「マイクロインフルエンサー」マーケティングプラットフォームを日本でも展開する台湾のInfluenxioが2.2億円調達

Influenxioのメンバー。中央が創業者でCEOのAllan Ko(アラン・コー)氏(画像クレジット:Influenxio)

「マイクロインフルエンサー」がマーケッターたちの間で影響力を持ち始めている。台北を拠点とするInfluenxioの創業者でCEOのAllan Ko(アラン・コー)氏は、マイクロインフルエンサーのフォロワーは1000人程度と多くはないが、特定のコンテンツに強くオーディエンスから注目と信頼を集めていると語る。Influenxioは同社のオンラインプラットフォーム上でInstagramのマイクロインフルエンサーと連携している。そのInfluenxioが現地時間3月8日、DCM Venturesが主導するプレシリーズAで200万ドル(約2億2000万円)を調達したことと、新しいサブスクリプションプランを開始することを発表した。

2018年に創業したInfluenxioは、シードインベスターのSparkLabs Taipeiなどからこれまでに300万ドル(約3億2500万円)を調達したことになる。同社は現在、台湾と日本で事業を運営しており、台湾では10万人、日本では25万人のInstagramクリエイターが同社のデータベースに登録されている。これまでに6000以上のブランドがInfluenxioのプラットフォームに登録し、1000件以上のキャンペーンを実施した。

Influenxioは今回調達した資金を人材の雇用と製品開発に使う計画だ。コー氏はTechCrunchに対し、サブスクリプションプランはこの分野では比較的新しいモデルで、目的の1つはこのモデルが有効かどうかを検証することだと述べた。他に日本のプラットフォームを増強し、さらに多くの国に拡大する計画もある。

Influenxioプラットフォームのスクリーンショット

Influenxioは過去のキャンペーンやパフォーマンスのデータ、クライアントからのレビューを分析してアルゴリズムを改良している。コー氏はTechCrunchに対し、インフルエンサーを見つけるところからインフルエンサーへの支払いまで、キャンペーン制作のプロセス全体をInfluenxio経由で実施するため、幅広いデータを集めてテクノロジーを磨くことができると説明した。

インフルエンサーには、キャンペーンに参加するごとに通常35〜40ドル(約3800〜4300円)が支払われる。Influenxioを利用しているブランドには、フード(レストランなど)、ファッション、ビューティー、生活サービスなどがある。

コー氏はInfluenxioを起業する前に、デジタルマーケティング業界で15年間働いていた。Yahoo!とMicrosoftのアカウントマネージャーを務めた後、香港と台湾のGoogleのオンラインパートナーシップグループで責任者を務めた。同氏はデジタルマーケティングについて学んだことを生かし、多くの企業にとって利用しやすいスタートアップを作ろうと考えた。

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大企業はInfluenxioを利用して、母の日やクリスマスなど特別なイベントのマーケティングキャンペーンを迅速に展開している。例えば台湾のある広告主は、Influenxioを利用して1週間で200人近くのインフルエンサーを動員し、製品を試用して投稿するように依頼した。Influenxioを利用している著名な企業には、資生堂、Shopee、iHerb、KKBoxなどがある。

しかしInfluenxioのクライアントの大半(およそ80〜90%)は中小企業だ。中小企業は通常、1カ月に数人のインフルエンサーと連携し、時間をかけて複数のキャンペーンを実施してブランドの認知度を上げるとコー氏は説明する。

Influenxioの新しいサブスクリプションプランは、このような中小企業のためのものだ。プランは1カ月100ドル(約1万800円)未満で、まず台湾でスタートしてから他の市場に展開される。コー氏は「プラットフォームを立ち上げた最初の年に、中小企業は専門家やアドバイスを求めていることがわかりました」という。マーケティングマネージャーがいない中小企業が多く、Influenxioのサブスクリプションプランはそうした企業におのずとマッチする。プランでは毎月新しいインフルエンサーに依頼し分析を提供するため、企業はキャンペーンの成果を知ることができる。

Influenxioは「マイクロインフルエンサーエコノミー」に進出している多くのスタートアップの1つで、他にはAspireIQ、Upfluence、Grinなどがある。

コー氏は、Influenxioの最大の特徴は中小企業に注目し、インフルエンサーキャンペーンを実施するためのワンストップのマーケットプレイスを提供していることだという。さらに同氏は「我々のプラットフォームにとって重要なのは、とても簡単でシンプルでなくてはならないということです。広告主がプラットフォームをスムーズに使えるようにすることに多くの時間を費やしました。インフルエンサーに対しては、もっと便利にしようと取り組んでいます。例えばインフルエンサーが報酬を受け取る方法を簡単にしたいと思っています」と述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Influenxioマーケティングインフルエンサー台湾資金調達

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(文:Catherine Shu、翻訳:Kaori Koyama)

投稿者:

TechCrunch Japan

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