語学学習の需要増を受け個人指導マーケットプレイスのPreplyが38億円調達

語学学習のための個人指導マーケットプレイスPreply(プレプリー)は、Byju’sとNewselaが出資するEdTechファンドであるOwl VenturesとFull In Partnersが共同でリードしたシリーズBラウンドで3500万ドル(約38億円)を調達した。このラウンドの1年ほど前に、Preplyは1000万ドル(約10億8800万円)のシリーズAをクローズした。Preplyの投資家にはPoint Nine Capital、Hoxton Ventures、EduCapital、All Iron、Diligent Capital、Evli Growth Partnersが含まれる。

Preplyの最近の成長、そして語学学習におけるグローバルブームが現在の投資家の関心を物語っている。

シリーズAをクローズしたとき、Preplyで予約されたレッスンは200万で、十分に吟味された個人指導教師1万人を抱えていた。その1年後、Preplyのプラットフォーム上で予約されたレッスンは1000万超となり、個人指導教師のネットワークは190カ国4万人に成長した。Preplyは2020年に米国での事業拡大を狙っていた。そして今では売上高の3分の1は米国で上げていて、顧客数で最大のマーケットとなっている。

2021年IPOする計画のDuolingoや、2019年の売上高が1億5000万ドル(約163億2000万円)を超えたBabbelのような超重量級の競合相手がいるにもかかわらず、Preplyが牽引力を手にしていることを成長は示している。CEOのKirill Bigai(キリル・ビガイ)氏は生徒と個人指導教師を結びつけるのに人工知能を活用したテクノロジーによって他社と差異化を図ることができたと話す。

Preplyのセールスポイントは、生徒の学習ニーズに最も合う教師を結びつけられることだ。マーケットプレイス内で生徒と教師を結びつける前に400超のパラーメーターを比較検討する。例えば夜に学習したいサンフランシスコにいる生徒を、その要望に答えられるタイムゾーンにいる教師と結びつけることができるとビガイ氏は話す。また、学習のために2言語を使えるバイリンガルであるなど、生徒が自身と同じようなバックグラウンドを持っている教師を探すのもサポートできる。

Preplyが競合他社と最も異なる点は、学習がどのようになされるべきかという哲学にある。学習はライブで、そしてネイティブスピーカーと行われるべきであるとPreplyは信じているが、Duolingoのような企業はゲーム化して自己主導でできると考えている。

「当社の顧客は、当社の語学学習のやり方が他の学習アプリよりもずっと効果的だと考えています」とビガイ氏は述べた。Preplyはスペイン語、英語、フランス語などに加えてアイスランド語、チベット語、カタルーニャ語といったニッチな言語も含め、計50言語をサポートしている。

これまでにないEdTechのサブセクターへの無関心と既存プレイヤーの存在にもかかわらず、パンデミック中に他の語学学習アプリも同様に成長できた。Fluent Foreverは展開する語学学習システムのために490万ドル(約5億3000万円)を調達し、別の会社Fluent Cityはサブスクサービスを立ち上げた。

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法人向けでPreplyには大きなチャンスがあるとビガイ氏は考えている。同社は2019年に、同僚やクライアントが話す言語を従業員が学習するのをサポートするためのソリューションとして世界中の事業者への販売を開始した。2021年、Preplyはものすごい数の法人顧客を持つだろうとビガイ氏は話した。

同社は個人指導教師との収益分配契約によって利益を得ている。1時間あたり15〜20ドル(約1600〜2200円)の各レッスン代の20%、最初のレッスンの全費用がリードジェネレーションの代わりにかかる。法人向けのサービスでも同じビジネスモデルだが、雇用者がコストを負担しているため従業員の利用時間には上限がある。

Preplyは教師が同プラットフォームにどれくらい利用し続けるかを示す教師の保持についての数字は明かさない(この要素は、生徒の理解や学習の継続にとって鍵となる)。トップの教師の30%が複数年同プラットフォームで教えているとビガイ氏は述べた。

同社は売上高を明らかにするのは却下したが、望めば黒字化できたかもしれないと話した。差し当たってPreplyはB2Bサービスでの成長と事業開発を優先している。

カテゴリー:EdTech
タグ:Preply資金調達語学学習

画像クレジット:Brian A Jackson / Shutterstock

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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