アウディの全電動クロスオーバーQ4 e-tronはダイナミックARディスプレイを搭載

広くなったコックピットと収容スペースにアップグレードされたカップホルダーとともに、Audi(アウディ)は近日発売の全電動コンパクトクロスオーバー車「Q4 e-tron」に高度な新技術を導入する。そこにはドライバーの実際の視野に正確に反映される反応の速い拡張現実ヘッドアップディスプレイ(HUD)がある。

米国時間3月9日、Audiは同社ラインアップで5番目の電気自動車であるQ4 e-tronのインテリアを公開した。この車は2025年までにEVとプラグインハイブリッドを30車種以上発売するというドイツ自動車メーカーの計画の一部でもある。Q4 e-tronはかなり前から予定されていたモデルでコンセプトが最初に発表されたのは2019年のジュネーブ国際モーターショーだった。

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Q4の生産モデルの外観はまだ隠されているが、サイズはわかっている。大きめのコンパクトSUVに分類される電気自動車で、短いオーバーハングと2.77メートルのホイールベースという組み合わせは少々たくましいルックスであるように感じるが、これによりインテリアは長さ1.8メートルと大型フルサイズクラスSUV並みのスペースを確保している。

基本的な構造は、親会社であるVW(フォルクスワーゲン)のモジュラー電動駆動ツールキットシャシー(MEBプラットフォーム)に基づいている。この柔軟なモジュラーシステムをVWが最初に導入したのは2016年で、さまざまなEVを効率的にコスト効率よく生産するために開発された。さらに、フラットな床のおかげでデザイナーが扱える空間が広くなっている。そのスペースを生かしたデザインによって、センターコンソールにはカップホルダーが2つ、4.4リットルのカバー付き収納コンパートメント、USB-Cソケット2基(オプションで4基)および好みでAudiフォーンボックス(携帯電話をワイヤレス充電し信号を強化する)が配置される。

画像クレジット:Audi

ここでの主役はテクノロジー、中でも最も注目されるのがオプションのAR内蔵フロントガラスだ。このARフロントガラスは、通常のフロントガラスHUDよりも広い視野と正確でダイナミックなアニメーションを実現している。Q4 e-tronは重要な情報を2つのセクションに分けて表示する。1つがステータス、もう1つがARだ。前者はドライバーの約3メートル前方に現れて、速度、道路標識、運転支援システム、およびナビゲーションシンボルを常時表示する。

ARセクションでは、ドライバーには10メートル先に浮かんだシンボルが見える。そこでは車線逸脱警告機能が実際の車線境界線に赤い線を重ねて表示したり、適応クルーズコントロール使用時に前方を走行中のクルマに色つきのストライプを表示したりする。

「ヘッドアップディスプレイは決して新しいものではありません」とAudiはいう。「これは視界を奥に広げることによって、さらに積極的な活用を可能にしただけです」。

ARはナビ情報も表示する。Audiは方向を示す矢印を「drones(ドローン)」と呼んでいるが、おそらく直進している時に矢印が前方に現れては消え、次の行動位置に近づくと再び現れるからだろう。交差点に近づくと、ドローンが方向変更を声で伝え、その後ドライバーを正確な方向へと導く。

画像クレジット:Audi

ソフトウェア面では、Q4 e-tronのAR Creatorと呼ばれる処理ユニットが車の前面カメラ、レーダーセンサー、およびGPSナビゲーションから生データを受け取り、毎秒60フレームでディスプレイシンボルをレンダリングして周囲の環境に適応させて表示する。この、Audiが「picture generation unit(PGU、画像生成ユニット)」(基本的にたくさんの鏡の集まり)と呼ぶ装置の中の特殊なスモークと鏡を経由して表示される映像の品質は、当然ながら現実世界でどれだけこれがうまく働くかを決める重要な要素だ。現在はシミュレーションでしか確認することができないため、Audiがどこまでうまくやっているのかはわからない。広いフレームとダイナミックなシンボルは「現実世界と同じ明瞭さ」で表示されなくてはならない。さもなければドライバーの妨害になり、もし奥行きを正確に表せなければ、ドライバーに不快感を与えることにもなる。

Q4 e-tronは自然言語音声制御も改善され「Hey Audi(ヘイ・アウディ)」という呼びかけで起動できるようになる。さらにハンドルから物理ボタンを排除してタッチ式に変更した。ただし、ハプティック(触覚)フィードバックループによって、ボタンを押しているような感覚を得られる。

同社の2020年の販売台数の約3%、4万7000台が電気自動車のe-tron SUVとe-tron Sportbackだった。高級EVを発売すれば間違いなく増えていく数字だ。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Audi拡張現実 / AR電気自動車

画像クレジット:Audi

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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