9月9日に発表されるiPhone 6がデバイス・オブ・ザ・イヤー確実なこれだけの理由

Appleは9月9日に大がかかりな製品発表イベントを準備している。これが新しい iPhoneの発表であるのは間違いない。iPhone 5sは前世代の5に対する小改良にとどまったが、iPhone 6(と現在呼ばれている)はiPhone 5sに対して大きなバージョンアップとなるはずだ。 またこのところかなり長期間にわたってフラグシップモデルの投入を控えてきたAppleにとっても極めて重要な製品リリースとなる。

ここ1と月ばかりのリーク情報の氾濫によって、すでにわれわれは新iPhoneについてかなり詳しい情報を得ている。そうした情報によれば、まず4.7インチ・スクリーンのモデルが出荷され、同時にか、あるいはやや遅れて5.5インチ・モデルも販売されるという。5.5インチが遅れるのは製品供給が間に合わないからだという。

iPhoneに大型スクリーン・モデルが投入される影響を軽視すべきではない。Samsungは最近「Appleが今になってやっと大型スクリーンを出した」と揶揄するコマーシャルを作ったが、これはむしろ多くのユーザーが大型ディスプレイを欲しながら、Androidに乗り換えることをせず、Appleがそれを出すまで辛抱強く待っていたことを証拠立てるものだ。

しかも今回の目玉はスクリーンのサイズだけではない。Appleは保護ガラスに新素材を使うと言われている。おそらくサファイアガラスの一種であるらしいが、ひび割れ、傷つきに対して画期的に強いという。Appleはゴリラガラスの採用でパイオニアだったが、現在では多くのライバルが採用するようになっている。さらに強力な新ガラスの投入はAppleに大きな優位性をもたらすだろう。

またカメラも改良されるだろうし、ついにNFCが搭載されるかもしれない。そうなればiPhoneには支払ツールとしても大きな可能性が開けることになる。

Appleは新モデルには既存のファン、乗り換え組を惹きつけるためにCPUなどのパフォーマンスの改良を行ってきた。それに加えて上のような目玉機能も発表されれば、今回のイベントはAppleファンをこれまでで最高に熱狂させるものになるに違いない。現行iPhoneは製品ライフサイクルの終盤にさしかかっているにもかかわらず、力強い売れ行を見せている。今回の新製品が「単に」スクリーンを大型化するだけの改良だと考えるなら、それは大いに観察を誤っている。それにAppleはこれまでもずっと「そしてもう一つ」の驚きを用意してきた。

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速報:AppleのiPhoneイベントは9月9日で事実上確定

Appleは9月9日にiPhoneイベントを準備しているという情報が流れている。Re/Codeの John Paczkowskiによれば、このイベントで次世代のiPhoneがお披露目されるという。9月9日という日付は過去のiPhone発表の流れにも沿う。次世代のiPhoneには大型スクリーン版が加わると報じられてきた。これまでの例では、Appleは発表イベントの直後に予約受付を開始し、1週間から10日後に出荷開始というスケジュールだった。

われわがつかんだ情報によれば、Appleはほぼ間違いなく4.7インチのiPhoneを発表する。5.5インチ版も用意しているはずだが、5.5インチ版の発表はもう少し遅れるかもしれない。デザインに関しては全モデルに金属製筐体が用意されるという噂もある。また気圧、気温、湿度センサー、NFC機能が搭載されてくるかもしれない。

AppleはおそらくこのiPhone 6と同時にiOS 8を一般公開するはずだ。既存のiPhoneのOSのアップデート開始も9月9日になる可能性が高い。iOS 8にiPhone 6の新しいハードウェア専用の機能が含まれているかどうかも判明するだろう。

われわれはAppleに情報の確認を求めている。何か新しい情報が入り次第アップデートする。

アップデート:BloombergWSJも9月9日と報じた。日程はこれで事実上決まったとみていい。

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MicrosoftがまたテレビCMでAppleたたき

Microsoftの最新のテレビコマーシャルは、同社の音声アシスタントをAppleのそれと比較している。ネタバレ: 今回はMicrosoftの勝ち。

そのコマーシャルには、iPhone 5SのSiriと、ローエンド機Lumia 635の上のCortanaが登場する。そして後者すなわちMicrosoftの音声アシスタントは、人や場所(位置)に関連したリクエストに対応する。それは、Siriにはまだできない仕事だ。

Microsoftのこの感動的な音声アシスタントは、Windows Phone 8デバイスを8.1にアップデートすると使える。Cortanaはいわば、SiriとGoogle Nowの良いとこ取りだ。Siriのように自然言語によるテキスト入力に対応できるだけでなく、下のビデオで見られるように、今後のことに関する予告的な通知もしてくれる。

MicrosoftとAppleはずいぶん昔から、相手をけなすことをコマーシャルのネタにしてきた。このぶんだと、まだまだそれは続きそうだ。でもMicrosoftは今回で、すべての弾(たま)を撃ち尽くしてしまったかもしれない。そしてSiriは、iOS 8でCortanaを抜くつもりだろう。

 

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Appleが本の内容解析サービス、BookLampを極秘で買収した理由

〔アップデート〕「Appleはアイダホ州Boiseに本拠を置く本のビッグデータ解析のスタートアップ、BookLampを買収した」というTechCrunchの以下の記事に対し、Appleは「われわれはときおり小規模なテクノロジー企業を買収するが、通例、その目的や将来計画については論じないこととしている」という定形をコメント寄せ、事実上、買収を確認した。

別の情報源によると買収金額は「1000万ドル以上、1500万ドル以下」 だという。

BookLampの主要なプロダクトはBook Genomeプロジェクトで、選択、分類、検索などに役立てるため、自然言語処理テクノロジーを用いて本の内容を解析するサービスだ。BookLampのテクノロジーはAppleのiBooksサービスのユーザー体験を強化するために役立てられるのだろう。

BookLampチーム:(左から)Matt Monroe、Sidian Jones、Aaron Stanton、Dan Bowen

買収に先立ってBookLampは地元投資家から90万ドルを調達していた。BookLampはAppleの最初のアイダホ州での買収となったもようだ。一時AmazonもBookLampに関心を示し交渉を行っていたらしい。結局Amazonは別の本のディスカバリー・エンジンであるGoodReadsを買収した。

Book Genomeプロジェクトとは?

BookLampが有名になったこのプロジェクトは多数の小説の内容をスキャンし、読者が読んで好んだものに似たスタイルや内容の小説ないし著者を推薦するというものだ。このスキャンはテーマ、プロット、内容も抽出でき、推薦や検索の精度を向上させるのに役立てることができる。AppleがBookLampを買収した大きな要因はeブックの検索、推薦能力でAmazonに対抗したかったからだろう。

TechCrunchは2011年にBookLampを紹介している。当時BookLampは「われわれは本のPandoraを目指す」としていた。つまり多数の本をスキャンしてその内容を数値化し、類似性を判定して推薦に使うテクノロジーの開発だ。昨年、CEOのAaron StantonはBook Genomeプロジェクトについて、われわれは毎週4万冊から10万冊の本をスキャンしていると語った。

BookLampのテクノロジーがどう働くのか例を見てみよう。上のスクリーショットはDigital Book WorldがBookLampのテクノロジーを利用してスティーブン・キングの『呪われた町(Salme’s Lot)』の内容をビジュアル化したものだ。‘吸血鬼、超自然現象’、‘葬儀/死 ’、‘家庭、家庭環境’、‘苦痛、恐怖/ 否定的感情’などが要素として抽出されている。

下は同じくスティーブン・キングの『キャリー』の分析。

BookLampは小説の内容について、たとえば性的コンテンツの表現の程度や表現されている場所を特定するなどの解析もできる。下はDigital Book Worldが掲載したBookLampのデータによる官能小説の大ベストセラー、50 Shades Of Greyの分析だ。最初はおとなしく始まるがやがて強烈にエロティックなシーンが現れる。一番下は『愛しの伯爵と秘密のひとときを』(His Mistress By Morning)の分析で、ところどころにエロティックなシーンがあるものの全体としてはピューリタン的だ。 真ん中はペントハウス誌に寄せられた体験談という体裁の短篇集、“Letters To Penthouse XXVIII”で、まちがいなく全編ノンストップのエロだ。

読者が自分の好きな小説を選ぶとBookLampはその内容をスキャンして「本のDNA」を抽出し、それに基づいて読者が好みそうな小説を推薦する。たとえば『ダビンチ・コード』のファンには『テンプル騎士団の遺産』を推薦するという具合だ。両者は‘カトリック教会’、‘歴史/学問の世界’、‘戦略的計画’‘図書館’などの要素が共通している。

iBooksの強化に向けて

Appleが自社のeブック・プラットフォームの強化のためにBookLampを利用する方法はいくつか考えられる。

まず最初にAmazon X-Rayのような機能を提供するためにBookLampが使えるだろう。X-Rayは登場人物を始めとして特定の単語が本のどこにどれほど登場するかをグラフィックに示してくれる。これは本を詳細なカテゴリーに分類したり性的、暴力的コンテンツの有無や程度を判断したりするのに大いに役立つ。ペアレンタル・コントロールには必須の機能だ。現在AmazonはX-RayをKindleデバイスだけでなくiOSのKindleアプリにも提供している。

また「本のDNA」を抽出するテクノロジーはeブックの個人出版が盛んになった場合、市場性を判断し、適切にカテゴリー化するのに役立つだろう。

しかしもっとも有用ななのは、もちろんiBooksへの推薦機能の導入だ。

現在AppleのiBooksにはユーザー別のカスタマイズ機能があまりない。App Storeと同様のベストセラー・チャートはあるが、「これを読んだ人はこちらも読んでいます」という推薦機能はない。信頼できる推薦機能はユーザーをつなぎとめ、繰り返し購入させるのに非常に有力なツールだ。

AppleとAmazonのeブック戦争でBookLampはAppleの秘密兵器として活躍しそうだ。

この記事はDigital Book Worldの図へのクレジットを正しく入れるためにアップデートされている

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好きな写真やイラストから簡単にiPhone向けカスタム絵文字が作れるアプリ、Imojiが登場

スマートフォンのメッセージ・アプリが人気を得るにつれて、絵文字、ステッカー、スタンプがわれわれの日常生活の一部となってきた。しかしiPhoneにプレインストールされた絵文字のバラエティはかなり限られている。今日(米国時間7/24)、この点を変えるべく、imojiという新しいアプリが登場した。ユーザーは既存の写真やイラストを簡単な操作でカスタム絵文字に変えてiMessageで利用できる。

ImojiWhatsAppのような独自メッセージ・サービスではなく、Appleのデフォールト・メッセージ・アプリのiMessageのエクステンションとして機能するアプリだ。その点ではUltratextやGIF共有のNutmegに似ている。

Imojiではウェブで見つけた画像あるいはiPhoneのギャラリーに保存された写真を選び、好みの部分を切り出してステッカーが作れる。

最初の1、2回はズーム、トリミング、切り出しなどのツールの使い方を学ぶために多少時間がかかるかもしれないが、慣れてしまえば非常に簡単だ。.

制作したステッカーは公開、非公開を選択でき、タグ付けすることもでき、 iMessageのテキスト中で利用できる。

また他のimojiユーザーが作って公開しているステッカーを検索する機能もある。

下のビデオでステッカーの作り方と利用の仕方がデモされている。

Imojiを作ったのはカルチャーやデザインをテーマにした月間モバイル雑誌Offlineの共同ファウンダーで、元AppleのTom Smithだ。

「絵文字、ステッカーの普及は目を見張るものがある。ユーザーが自分の置かれた状況や感情を簡単に表現できる能力を大きく拡張する新しいコミュケーションの手段が生まれた」とSmithは言う。「しかし外国でポピュラーなステッカーが必ずしも北アメリカで人気があるとは限らない。そうしたステッカーをあまりにふざけている、漫画的すぎる考えるユーザーも多い」とSmithはimojiの開発の動機を語った。

将来はimojiアプリにユーザー・プロフィールの拡充やお気に入りのステッカー・クリエーターをフォローする機能など、ソーシャルな要素をさらに取り入れて行く計画だ。ビジネスモデルとしては制作されたステッカーの一部を企業がマーケティング用に利用することなどが考えられている。

Imojiの開発はこれまで全額自己資金で賄われてきたが、現在、投資家との交渉が始まったところだという。.

アプリはiTunesで無料ダウンロードできる

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Samsungがコマーシャルで発売前のiPhone 6をトロる

Samsungは事あるたびに、虎の威、じゃなかったAppleの威を借りたい会社のようだ。相手のデバイスが、まだ実際には存在しないときでも。この韓国のスマートフォンメーカーが最近YouTubeに載せたビデオは、今秋発売されるiPhone 6の、画面が大きいという噂をサカナにしている。そしてSamsungの言い分は: そんなの前からやってるぜ!、だ。

しかしそれが、まさにSamsungの問題なのだ。これまで、すでに数年間も、大きくて、確かに美しい画面のデバイスを次々と出してきたけど、このコマーシャルに登場するiPhoneお兄ちゃんは、そのことを知らない。そんなこと、いやしくも、現代の世の中では、あってはならないことだ。だって、どんなメディアも、どんなショップも、Samsungの大型ディスプレイのスマートフォンを、人びとにいくつも見せつけてきたはずだから。

Appleの新製品を待っている人たちに対する、そんなの前からあるよ、という訴求は、しかしあまり有効とは言えない。むしろ、Samsungにとって逆効果だろう。ぼくがふつうにテレビでこのコマーシャルを見たら、今まで待って良かったな、と思うだろうし、Googleでたくさん検索をして、大画面のiPhoneが噂ではなく真実であることを、確認するだろう。

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Appleが2万名の社員からの集団訴訟に直面…カリフォルニア州労働法違反で

今日(米国時間7/22)はAppleが本年度第三四半期の決算報告を行う日だが、この機に乗じてもうひとつのApple関連のニュースをマスコミに流したい、とねらっているグループがある。彼らはAppleに、カリフォルニア州の労働法違反の廉で集団訴訟を仕掛けている。その内容は、昼食時間、休憩時間、最後の給与支払い方法などの問題だ。原告団の申し立てによると、この訴訟は約2万名の現在および過去のApple社員に関連している。

この訴訟は最初、2011年に、Appleの本社やショップにいた4名の社員が起こした。そして原告の人数がかなり増えたために昨日(米国時間7/21)やっと、集団訴訟と認められた。

訴訟と集団訴訟認定に関わる公式の法廷文書を、下に埋め込んだ。原告団を代表する弁護士、サンディエゴのHogue & Belong法律事務所のTyler Belongは、この訴訟を次のように説明している:

“この訴訟はBrandon Felczerをはじめ、数名のAppleの小売部門と本社部門の社員(“原告”)により、2011年12月に起こされた。原告たちは、自分たちと、そのほかの同じ状況にあるカリフォルニアのApple社員を代表したいと願った。彼らは、Appleが社員に許可する食事時間や休憩時間および最後の給与支払いのタイミングが、カリフォルニアの労働法と給与規則に違反している、と判断した。彼らは長年、Appleの反論と戦い、大量の意見陳述などを行ってきたが、昨日になってやっと、カリフォルニア高裁は彼らの申し立てを認め、本訴訟を集団訴訟と認定し、約2万名のApple社員から成る原告集団を代表する弁護団としてHogue & Belongを指名した。すなわち、昨日の裁定をもってAppleは、約2万名の現在および過去のApple社員に関わる、食事時間、休憩時間、および最終給与に関する違反の申し立てに、直面することになる。”

訴状をざっと読んでみると、名前は4名の名前が記載されているだけだが、訴えの内容はかなり幅広い。たとえばある人は、休憩時間なしの5時間の拘束を訴え、また別の人は、72時間の事前通告からさらに二日遅れて最後の給与が支払われた、と訴えている。

以下の公式文書では関連する社員の数は18000名だが、Belongによるとこれは、Appleから原告団の弁護士に渡された初期の推計に基づくもので、“その後、参加社員の増加とともに集団のサイズは継続的に大きくなり、今では2万名を超えている”、ということだ。

AppleはiPhoneおよびMacという世界的なブランドを抱える時価総額5710億ドルの企業だが、これまでも集団訴訟と無縁ではなかった。最近の、雇用慣行をめぐる集団訴訟では、同社とGoogleやIntel、Adobeなどから成る被告たちが3億2400万ドルの和解金(示談金)を払うことになった。それは、各社が共謀して人材の高額引き抜きを抑止し、結果的に給与の人為的な低額安定をもたらした、という嫌疑だった。

弁護団によると、今回の集団訴訟では金銭的な要求はまだ確定していない。

本誌は今Appleに、コメントを求めている。


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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Apple、iOSデベロッパーへの支払い総額は200億ドル。半分が過去1年間


iOSデベロッパーがいかに稼いでいるかを追跡している人たちのための速報。今日(米国時間7/22)午前の収支会見によると、Apple は累計200億ドルをiOSデベロッパーに支払った。

この総額以上に驚きなのは支払われた時期だ。2008年にApp Storeがスタートして以来の合計200億ドルのうち、「ほぼ半分」が過去1年間に支払われている。

今年1月時点で、Appleの支払い総額は150億ドルだった。これは、最近6ヵ月間に約50億ドルが払われたことを意味する。比較すると、Googleは先日のI/Oカンファレンスで、過去1年間に50億ドルをデベロッパーに支払ったと言っていた。

(Appleがこれでいくら儲けたか気になる人のために書いておくと、Appleの取り分は30%で、デベロッパーが70%を得る。200億ドルは、約285億ドルの70%であり、AppleはこれまでにApp Storeでおよそ85億ドルを稼いだことになる。)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Appleの第3四半期、利益77億ドルと好調―iPad不振で売上374億ドルは予想を下回る

Appleは先ほど、2014年第3四半期の決算を発表した。これによると売上は374億ドル、純益は77億ドル、一株当たり利益は1.28ドルだった。昨年同期比では、売上5.9%アップ、一株当たり利益は19.6%のアップ(7対1の株式分割を修正後)だった。

Fortuneがまとめたアナリストの予測では、一株当たり利益は1.26ドル、売上383.1億ドルだった。また粗利益率は38.0%となって、利益を押し上げると予測していた。

蓋を開けてみると、売上ではやや期待を下回る結果となった。しかし粗利益率は予想よりさらに高く、39.4%にも上ったため、一株当たり利益は予想を上まわった。売上不振の原因は iPadの不調だ。

Appleが発表した前四半期の見通しでは360億ドルから380億ドルの売上、37%から38%の粗利益が期待されていた。2013年のAppleの見通しはずっと正確で、実際の売上は予測の上限とほとんど一致した。

Appleもアナリストも今期の好調な粗利益を予測していたが、売上はもっと増えるはずだった。しかしiPhone 5cは予想ほど売れず、 消費者はiPad miniよりiPad Airを好んだようだった。

ハードウェア

今期、AppleはiPhoneを3530万台、iPadを1330万台、Macを440万台販売した。2013年の同期と比較するとiPhoneの販売台数は13.9%アップしたのに対して、iPadは8.9%ダウンしている。販売台数に関してはわれわれのこちらの記事を参照


地域別売上

やはり今期もAppleの成長には中国が大きな割合を占めていることが示された。iPhone、iPadとも中国の売上シェアが大きい。こちらの記事を参照


株式市場の反応

1株を7株にする株式分割、自社株買い戻しに300億ドルを追加、配当を8%に増やす戦略などが功を奏し、Appleの株式はきわめて好調に取引されている。過去3ヶ月、株価はほぼ一本調子で値上がりし、分割後で100.81ドルというほぼ過去最高値をつけた。今回の決算の発表後の株価は安定している(時間外取引0.44%のダウン)。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


iOS 8ベータに、新機能の使い方を教えてくれるアプリが登場


先月のApple Worldwide Developers Conferenceで発表されたiOS 8では、昨年デビューしたデザインを洗練すると共に、通知との対話、iPhoneとMac間でのスムーズな移動、メッセージ方法の改善等、数多くの機能が追加された。

発表以来、Appleは定期的なベータ版アップデートでこれらの新機能、新アプリを公開してきた。9to5Macを始めとするApple系ブログが今日見つけたところによると、最新リリースには、新アプリ、Tipsが含まれている。ユーザーの気付きにくい機能やショートカットを教えてくれるもので、新機能をオン/オフする手順も紹介されている。

同アプリに加えて、AppleはiPhone、iPad、およびiPod touchを使う上でのヒントとコツを紹介する専用ウェブページを立ち上げた。[訳注:日本語ページもあるが中身は翻訳時点で英語のまま]。アプリとサイトの内容は同じで、iOS 8の通知からiMessageに直接返信したり、Siriをボタンを押すことなく使う方法などが説明されている。

いずれの方法でヒントを見る場合も、ユーザーはフィードバックを残すことができる。iOSアプリでは、ヒントに「いいね!」をつけることができ、ウェブページでは「役に立った/役に立たなかった」のボタンが、各ヒントに下に用意されている。

現時点では6種類しかヒントが載っていないが、Appleは、毎週1件ずつ追加していくと言っている。そのペースなら、秋の正式リリースまでにiOS 8の主要な新機能はカバーされるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


『沈みゆく帝国』の著者、ケイン岩谷ゆかり氏がセミナーでDanbo山田昇氏と対談

ケイン岩谷ゆかり氏の『沈みゆく帝国 スティーブ・ジョブズ亡きあと、アップルは偉大な企業でいられるのか』(日経BP刊) についてはTechCrunch JapanでもApple CEOティム・クックが名指しで批判した「沈みゆく帝国」で詳しい書評を掲載しているが、岩谷氏が昨夜(7/16)東京でセミナーを行ったので取材してきた。

このセミナーは出版元である日経BPが企画し、趣旨に賛同したサイバーエージェントがビジネスパーソン向けイベント事業、SHAKE100の一環として運営協力したものという。

セミナーはサイバーエージェントの渡邉大介氏がモデレータとなり、岩谷氏とMacお宝鑑定団の会長、山田昇(Danbo)氏が対談するという形で行われた。

なお、岩谷氏の日本での発言については本書の編集者である日経BP出版局の中川ヒロミ部長の、「ジョブズが去って一番変わったのは広告」、『沈みゆく帝国』著者がアップルの今後を語るという記事がたいへん参考になる。

執筆の動機―「Appleはもうクールじゃない」

岩谷氏は、もともとAppleについて、ジョブズを支えたチームに焦点を当てた本を書こうと考えていたという。しかしウォルター・アイザックソンによる膨大な伝記の出版とジョブズの死で、Appleの過去についてはひとつの答えが出たと感じ、その未来について考えてみたくなった。そのモチーフは、「偉大な創業者を失った会社がその後も偉大でいられるのか?」という疑問だった。この点は、20世紀末に井深大と盛田昭夫という創業者を失った後のソニーがいつの間にか不振にあえぐようになったことが念頭にあった。

はたして、スティーブ・ジョブズという不世出の天才を失った後もAppleは全盛期の輝きを維持し続けることができるのか? 岩谷氏はこの点について最近体験したエピソードを語った。岩谷氏は1月ほど前にサンフランシスコの名門中学で話をする機会があった。そのときに「自分(岩谷)はiPhone、iPadのユーザーだが、最近のAppleのプロダクトには問題もあると思うが、UIやアプリ連携の点でまだAndroidには移行しにくい」と言ったところ、すかさず中学生から「後で教えてやるよ!」と返されたという。新しいものを追う若者の間ではiPhoneはすでに一時のような「クールなプロダクト」ではなくなっていることを感じたという。

情報源は「歴史に残りたい」と協力

ガードの固いことで知られるAppleからこれほど豊富な内部情報を取材できた秘密について岩谷氏はこう語った。「Wall Street Journal時代もAppleは厳しい取材相手で、記事の個々の単語のニュアンスについてもAppleから要請を受けることがあった。ジョブズの生前であればあれほど多くの情報は得られなかったと思う。しかしジョブズの死後、その呪縛が薄れた。一方でジョブズに近い場所で働いていた人々には『この偉大な企業で果たした自分の役割をきちんと歴史に残したい』と考える人々がいて、取材に応じてくれた」という。

またジョブズが後継者としてクックを選んだのは「ジョブズの栄光を薄れさせるような独自性を発揮せず、かといってAppleを傾けもせず、堅実に経営してける人物」ということだったのかもしれないと岩谷氏は推測する。

ジョブズ時代には驚くほど細かいこと点ジョブズがすべてを決めていたという。データの出る幕はなく、M&Aだろうと製品開発だろうとジョブズの一言がすべてだった。その結果、エンジニアの地位は高く、MBAの出る幕はほとんどなかった。しかしティム・クックはデータと多数決が好きだという。この点はAppleが世界有数の巨大企業になってきたことからの必然だったかもしれないが、それでも官僚化は進んでいる感触だという。山田昇氏によるとは「以前のAppleは副社長(VP)が15人くらいだったが、今は50人くらいに増えた」という

ジョブズ後にAppleの空気が変わった例として、岩谷氏はApple内でG2Gという言葉が使われていることを挙げた。”Go to Google”の略で「誰それは最近見えないね」というと「ああ、奴はG2Gさ(Googleに転職したよ)」というような会話が交わされているのだという。

Appleのビジネスは絶好調ではないか?

山田氏は「Appleの現状は売上、利益ともに世界有数で、株価も高い水準を維持している。危機というのは当たらないのでは?」と疑問を呈した。

岩谷氏は『沈みゆく帝国』というのは日本語版のタイトルだと断った上で、「ソニーも創業者を失った後何年も好調を続けた。またジョブズがAppleから追放された当初、経営のプロのジョン・スカリーの下で業績は好調に見えた。しかし岩谷氏が取材したところでは、1985年当時も、ジョブズが去った後ですぐに社内ではエンジニアの地位が低下し、リスクを取ったプロジェクトがなくなるなどカルチャーの変化が感じられたと証言する人が多かったという。「業績の低下が表に出たときには事態はすでに相当悪化している」として岩谷氏は現在伝えられるAppleのカルチャーの変化に懸念を示した。

岩谷氏はスカリーにもインタビューしたが「創業者でないCEOはやはり自由が効かない」と語ったという。「スティーブなら通ってしまうようなことが自分の場合は株主や幹部が反対してやりずらかった」のだそうだ。ティム・クックはスカリーと同様、経営のプロで、ジョブズのパートナーとしては理想的だったが、ジョブズの天才の輝き、超人的な説得力はない。またAppleの社内文化は非常にタイト(結束力が強く)で、M&Aで外部から参加した人材は溶け込むのに苦労するという。

つまり、外部の人間がCEOになれるようなカルチャーではなさそうだ。岩谷氏はApple Store事業のチーフにスカウトされた元バーバリーのCEO、アンジェラ・アーレンツがAppleに溶け込めるか、その動向に注目していると語った。

どんな企業も永遠に輝き続けるのは無理なのかも

筆者(滑川)は、たまたまその朝、飛び込んできた速報:AppleとIBMがハード、ソフトで全面提携―エンタープライズ分野に激震という記事を翻訳したところだったので、Q&Aの際に「AppleとIBMの提携はうまくいくと思うか?」と質問してみた。

岩谷氏は「その成否はわからないが、もしうまく行かないとしたら、それはティム・クック自身の能力不足などによるのではなく、Appleという組織が巨大化し、官僚化したことによる結果だろう」と答えた。

岩谷氏はこれに続けて「本書はAppleを批判するために書かれたという誤解があるが、私はそうしているつもりはない。しかしAppleといえども永遠にあの輝きを放ち続けるのは無理なのかもしれないと感じることはある」と締めくった。

ティム・クックという人物の謎

最後に筆者(滑川)の感想を少し付け加えると、まず岩谷氏の徹底した取材ぶりにもとづく事実の積み重ねに圧倒される。さまざな場面が印象に残っているが、その一つがティム・クックCEOの人物像を得るためにアラバマ州南部のスモールタウン、ロバーツデールにまで足を運んでクックを教えた高校の教師などにインタビューした部分だ。

私はそこで描写された南部の町の雰囲気はハーパー・リーのベストセラー『アラバマ物語』にそっくりなことに気づいた。グレゴリー・ペック主演の映画も有名な『アラバマ物語』の舞台は1934年、ヨーロッパでヒットラーが権力を握った頃の南部の町だが、その町のモデルになったハーパー・リーの生地モンローヴィルをGoogleマップで調べてみると、ロバーツデールから車で2時間くらいの近所だった。

『沈みゆく帝国』を読んでいくうちに、アラバマの田舎町では80年経っても(物質的な面は別として)人々の行き方がほとんど変わっていないのに驚かされた。岩谷氏は本書でティム・クックがゲイ・レズビアン向けの雑誌の人気投票でナンバーワンになったことを紹介しながら、「(ゲイであるかどうかは)大きな違いはない。クックに私生活の時間はほとんどないからだ」とユーモラスに述べている。

それやこれを考えるとティム・クックの容易に人を寄せ付けない性格は、桁外れの才能と独自の感性を秘めた少年が「全員が全員のことを隅から隅まで知っている」南部の町に違和感を感じながら育ったことからも形成されたのではないかなどと勝手な想像が膨らんだ。そういえば、『アラバマ物語』には「おもしろい作り話をいくらでも作ってくれる」ディルという「変わった」少年が登場する。このディルのモデルであり、ハーパー・リーの従兄弟で一時隣家に住んでいたのが後年のゲイの天才作家、トルーマン・カポーティだったという。

外村仁Evernote Japan会長、林信行氏、小林啓倫氏を始め、Appleに詳しく、IT分野で影響力ある方が大勢出席しており、岩谷氏の著書への関心が高いことが感じられた。Appleの今後に興味があれば必読の基礎資料とといっていいだろう。

滑川海彦 Facebook Google+ 写真撮影:滑川)


eブックの価格談合嫌疑でAppleは–控訴審で負ければ–4億ドルあまりの補償金を支払うことに

Appleは33の州と合意に達し、eブックの価格に関する独禁法違反の訴訟を、消費者に対して4億ドルを支払うことで解決することになった。弁護士や州に支払う訴訟費用を合わせると、支払い総額は4億5000万ドルになる。

しかし今Appleは控訴しているので、その結果によっては減額、またはまったく払わないこともありえる。昨年、国レベルの判事が、同社は独禁法に違反して、出版社との共謀によりeブックの価格を固定したと判決したが、Appleは、それは違法行為ではないと主張していた。

以下は、今日発表された同社の声明文だ:

Appleは共謀してeブックの価格を固定していないので、その申し立てに対して控訴により抗議を続ける。弊社は違法行為を行っておらず、事実の公正な評価がそのことを明らかにするものと信じている。iBooks Storeはこれまでずっと消費者と出版産業全体にとって良いものであり、著名な作家にも新人の小説家にも利益をもたらしている。控訴審の結果を待つまでの間、弊社は、控訴の結果を条件とする決着に合意した。控訴で弊社の嫌疑が晴れた場合には、和解金は支払われない。

昨年の判決ではAppleに対していくつかの制約が課せられた。そのひとつが、外部モニタを任命すること。同社は先月、この訴訟の民事的部分に決着をつけたが、その内容は公表されていない。

ニューヨーク州の司法長官Eric T. Schneidermanは今日の(4億ドルの)決着について、こんなプレスリリースを発表した: “これは大きな勝利であり、Appleが、不法に水増しされたeブックの価格を支払った消費者に数億ドルの補償金を払う可能性が確定した”。

[画像出典: Flickr/Lydia Fizz]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Flappy Bird、ついに時空を超えてApple IIにも移植完了

真打ち登場、というのとは少々異なるが、これがひとつの到達点なのだろうと思う。何の話かといえばFlappy Birdだ。多くの人が、あらゆるプラットフォームに移植しようと時間を使ってきたが、ついに行き着くところに行き着いた感じだ。

その到達地点はどこか。1977年に世に出た伝説のApple IIだ。今や「新時代のHello, World」だとまで言われることすらあるFlappy Birdを、Apple IIではプレイすることができなかった。これを何とかしようと、開発者のDagen Brockが立ち上がった。6週間の間に暇な時間を見つけては開発に取り組み、ついに1メガヘルト(文末に注あり)のマシン上で60FPSで動作するゲームを作り上げたのだ(サウンドもあり)。

システムの特性を考慮にいれて、Brockはプロダクト(「Flapple Bird」や「FlapIIe Bird」と呼んで欲しいと言っている)を5.25インチあるいは3.5インチのフロッピーディスク上で利用できるようにしている。もし偶然にも当然にもApple IIを持っていないという場合にはエミュレート版がウェブに公開されてもいる(訳注:なかなかのできですのでぜひご覧ください)。

余計な話:もしApple IIを押し入れから引き出すなら、多くの人はFlapple BirdよりもOregon TrailやZork、あるいはAdventureなどで遊ぶ方を選択するだろうとは思う。

(物知りの方への注釈)文中の「メガヘルト」は「メガヘルツ」の「単数形」をイメージしたものです。しかしもちろん「ヘルツ」とは人名由来の単位であり、その単数形などは存在しません。

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(翻訳:Maeda, H


【書籍】Apple CEOティム・クックが名指しで批判した「沈みゆく帝国」

編集部:この記事は、本の要約サイト「flier(フライヤー)」と共同で選書したIT・テクノロジー関連書籍の要約を紹介するものだ。コンテンツは後日、フライヤーで公開される内容の一部である。

タイトル 沈みゆく帝国 スティーブ・ジョブズ亡きあと、Appleは偉大な企業でいられるのか
著者 ケイン岩谷ゆかり 著、井口耕二 訳、外村仁 解説
ページ数 540
出版社 日経BP社
価格 2160円(税込)
要約者の評点 総合:3.7(5点満点、下記3点の平均値)
革新性:3.5、明瞭性:4.0、応用性:3.5

要約者によるレビュー

Appleの偉大な経営者スティーブ・ジョブズが存命中には、彼のリーダーシップやプレゼンテーションに注目が集まり、それにまつわる多数の書籍が出版された。その後ジョブズが膵臓がんで亡くなると、『インサイド・アップル』(早川書房)や『アップル帝国の正体』(文藝春秋)といった、Appleの組織構造について言及した書籍が発表されるようになる。

そしていま、世間の関心は「ビジョナリーなリーダーが去っても、偉大な会社が偉大なままでいられるのか」という点に寄せられている。たとえば、昨年末に日本で発売された『アップルvs.グーグル―どちらが世界を支配するのか―』(新潮社)では、GoogleとAppleがテクノロジーの領域にとどまらずメディア業界まで視野に入れた戦いを繰り広げるなかで、AndroidがiPhoneのシェアを追い抜き、優勢に立っているのはGoogleだと主張している。

対する本書はAppleの内部について深く掘り下げた1冊だ。社員が辞め、イノベーションが生まれないばかりか、アプリまで失敗作続きという状態に陥ってしまった内情を探るとともに、下請けの台湾企業フォックスコンの労働環境やサムスンとの特許裁判における争点など、次々と明らかにされる事実は衝撃的なものばかりである。

Appleの現CEO、ティム・クックが「寝言だ」と名指しで批判したと言われる本書は、米国の読者レビューを見ても肯定派と否定派に二分されているようだ。しかしながら、仔細にわたる著者の調査や分析は現経営陣が陥っている苦境を白日の下に晒している。日本に多いApple信者にこそぜひ読んでいただきたい一冊だ。著者のケイン岩谷ゆかりは、ウォール・ストリート・ジャーナルでApple担当として活躍した人物。ジョブズの肝臓移植やiPadの発表など数々のスクープを出した後、本書執筆のために退職した。

本書の要点

・ジョブズの後継者としてAppleのCEOに就任したティム・クックは、「在庫のアッティラ王」と呼ばれるほど管理面には強いが、ビジョナリーではなく、イノベーターの経験もない。

・帝国と化したAppleはSiriや地図アプリの失敗、Androidの台頭によるスマートフォン市場でのシェア低下、終わらない特許係争、制御不能になったサプライヤーなど、多くの課題を抱えている。

・ジョブズ亡きあと、問題が噴出しているAppleにはもはや世界を再発明するような製品を生み出す能力はなく、クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」の例外ではなくなってしまった。

【必読ポイント】沈みゆく帝国

Siriの失敗

ジョブズの死去前日に発表されたiPhone 4Sは、見た目は前機種と変わらないものの、いくつかの機能が改良されたほか、新たな機能としてSiriが搭載されていた。未来を感じさせるものとして当初センセーショナルを巻き起こしたSiriだが、「バーチャルアシスタント」という謳い文句ほど役には立たないことがすぐに明らかになる。関係のない答えを返してきたり、わけのわからないことを言ったりすることが多いのだ。聞き間違えによって質問すら理解できないことすらある。

未熟な段階であるにもかかわらず、Appleは世間のSiriに対する期待値を上げすぎてしまっていた。それゆえ、Siriは「洗練されている」というAppleのイメージを叩き壊すとともに、今後もAppleが並外れた新製品を生み出せるということに疑問を抱かせてしまったのだ。

イノベーションのジレンマ

ハーバード・ビジネス・スクールの教授であるクレイトン・クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」は、巨大企業が新興企業に敗れる理由を説明した理論だ。技術がどんどん進化していく世界においては、既存市場を破壊する能力がなければ生き残りは難しい。

新たな製品を発表するたびに大きく、また無敵になっていくAppleは、これまでこの理論が適用できない例外となっていた。市場に新たな可能性を拓き、新たな消費者の欲求を生み出すことを一番の目標とし、利益は二の次にするのが特徴だった。しかし最近はライバルをたたくことに重きを置きすぎており、製品をより完璧に近づけることに邁進している。その結果、安さを武器にライバルが市場参入する隙ができてしまったのだ。

ソニーが共同創業者である盛田氏の引退を機に偉大な企業から単なる良い企業になってしまったように、Appleもイノベーションのジレンマに囚われてしまう可能性があるとクリステンセンは指摘する。そうならないためには、オペレーティングシステムをオープンにして技術を供与するという形でイノベーションを推進し、自社開発では得られないほどの存在感を業界内で確立すること。もしくは、破壊的な製品カテゴリをまた生み出すことが必要だ。クックは「最高の製品をつくることこそ、我々の道しるべだ」と繰り返し述べている。あとは、それができることを証明しなくてはならない。

地図アプリの失敗

スマートフォン市場におけるAppleのシェアが低下する一方、サムスンのシェアが急伸している。失敗が許されない状況の中で、新たに発表されたiPhone 5に標準搭載となる地図アプリは悲惨な結果を招いてしまう。それまで搭載されていたGoogleマップではなく、自社開発の地図アプリに差し替えることにしたのだが、あるはずの道路が表示されない、お店やランドマークの名前が間違っている、と地図自体が使い物にならない有様だったのだ。

AppleはGoogleを超えるものを作ろうとするあまり勇み足になってしまった。さらに、Siriと同様に開発を秘密裡に進めたために十分な試験ができなかった。地図アプリの試験を担当したディベロッパーはバグを報告しており、その問題がトップに報告されていなかったのか、それとも大した問題ではないと判断されたのかは定かではない。いずれにせよ、Appleの仕事の進め方がおかしくなってしまっていた。

クックは自ら謝罪を表明するとともに、ライバルのアプリの利用を促すという屈辱を受けた。さらにこのアプリを監修していたフォーストールが謝罪を拒否したため、クックは次期CEO候補と言われていたフォーストールを辞任させる。失敗を厳しく追及するクックのやり方では、部下がリスクを嫌ってイノベーションが生まれにくくなるおそれがある。このように見てくると、「Appleの未来を描く人物としてクックが最良の人物なのか」という疑問が湧いてくる。

弱まるAppleの支配力

Appleは自社工場を持っていない。iPhoneなどの製品の多くは、サプライヤーである台湾の巨大メーカー、フォックスコン(鴻海精密工業)に作らせている。軍隊にたとえられるフォックスコンの工場では教育と訓練が施された100万人もの工員が計画通りに製品を作っている。Apple製品に対する需要が高まるにつれ、Appleはフォックスコンに対して圧力をかけ、その厳しい労働環境は自殺者が相次いで問題になるほどであった。

そしてフォックスコンがiPhone 5の製造を受注し、組立ラインをフル稼働させるよう工場のマネージャーに指示が下されたとき、工員たちの堪忍袋の緒が切れた。今回は自殺ではなく、外に対して怒りを爆発させたのだ。2000名もの工員が暴徒と化し、建物を破壊した。別の工場では製造の基準が高すぎるとして、工員と品質管理係がストライキに入った。美しいiPhoneやiPadを製造する現場の暗い実態が明るみに出てしまった格好だ。

Appleにとって痛手なのは、こうしたイメージ面での失敗だけではない。クックがCEOに就任してからもAppleとフォックスコンの蜜月関係は続いていたが、Appleがあまりにフォックスコンに依存してしまったため、最近では力関係が逆転し、フォックスコンの方がAppleの要求を押し返し、価格の引き上げを交渉できるようになってしまったのだ。

Appleは委託先を拡大してフォックスコンへの依存を引き下げようと努力しているが、製造ノウハウはサプライヤーが握っているため、なかなか一筋縄ではいかない。新しいサプライヤーをAppleが要求する高い品質基準を満たすよう鍛えるのは容易ではない。最近ではシャープのようにAppleの販売減速の影響を受けて窮地に立たされる企業も出てきており、以前のようにAppleとの取引には大きなメリットがあるわけではなくなってしまったのだ。

沈みゆく帝国

ジョブズが亡くなって2年あまりのうちに、彼が生み出し、愛した会社は四方八方から押し寄せるたくさんの課題に直面している。

業界自体を変えてしまう夢のような新製品が出なくなったことだけではない。世間からの憧れは消え失せ、厳しい目が注がれるようになった。フォックスコンに依存していることに伴う危険が明らかになった。スマートフォンやタブレット市場はAndroidが席巻しつつあり、Apple製品のシェアが低下した。士気が低迷した社員が次々と辞め、あろうことかGoogleに行く人も多い。

こうした課題が大挙して押し寄せているなかで、株価は低迷し、利益もこの10年で初めて減少してしまった。株主総会でクックは新製品の開発に注力していると繰り返し述べたが、「クックが話すたびに株価が下がる」とまで揶揄される始末だ。

Appleに求められていることは、もう一度世界をあっと言わせる魔法のような新製品を出し、Appleの売上や利益にはっきりと貢献するような成功を収めることだ。だが、ジョブズが後継者に選んだクックはビジョナリーではなく、イノベーターの経験もなく、強みは表計算ソフトでしかない。クックの口から出てくる言葉は単調で、ちょっと調子が外れている。きらめきも、炎のような活気も感じられない。

元Apple取締役で、ジョブズの親友でもあったOracleのCEOであるラリー・エリソンは、「ジョブズがいなくなったいま、昔ほどの成功はもう無理だ」と語っている。


速報:AppleとIBMがハード、ソフトで全面提携―エンタープライズ分野に激震

AppleはIBMと戦略的提携関係を結んだことを発表した。これによりIBMの150以上のエンタープライズ向けITアプリとツールがAppleのプラットフォームにネーティブで移植される。同時にIBMは世界各国でAppleのiPhoneとiPadを顧客企業に販売する。CNBCのインタビューに答えて、AppleのCEO、Tim CookとIBMのCEO、Virginia Romettyは「AppleとIBMはぴったりと合うジグソーパズルのピースのような関係だ」とその提携が理想的であることを強調した。

この提携によってAppleはIBMのビッグデータとそのアナリティクス処理能力にアクセスできるようになる。またIBMと提携して開発されるクラウドアプリは「下はiPhoneやiPad」までサポートする。これにより、iOSベースのクラウド・サービスはセキュリティー、アナリティクス、大規模モバイルデバイス管理ツールなどが飛躍的に強化される。

いわゆるiOS向けのIBM MobileFirstソリューションはさまざまな業種の特殊な企業ニーズに合致したアプリを提供する。CookとRomettyは航空機のパイロットの支援アプリを例に挙げた。またAppleは、IBMの10万人もの業種ごとの深い現場知識を持つコンサルタントの力を借りられるのはAppleがエンタープライズ・アプリを開発する上でこのうえない助けとなると指摘した。

ここ数年、企業へのiPadの普及とiPhone、BYOD〔私物デバイス持ち込み〕のトレンドなどにより、Appleのエンタープライズ分野への参入の条件が整いつつあった。

AppleとIBMがまず参入を狙う分野はプレスリリースによれば、小売、ヘルスケア、金融、保険、旅行、運輸、テレコムなどになるという。アプリケーションのリリースはこの秋から来年いっぱいかけて順次行われる。その内容はクラウドストレージ、セキュリティー、MDM〔モバイルデバイス管理〕からプライベートなアプリ・ストアまでエンタープライズ・システムの全分野にわたる。つまりGoogleが展開しつつあるPlay for Enterpriseに似ているが、Appleの場合は、IBMという膨大な実績を持つエンタープライズ分野の第一人者の力を借りることができるわけだ。

この提携にはAppleCare for Enterpriseも含まれ、顧客のIT部門に対し、24時間年中無休のサポートを電話とオンラインで提供する一方、IBMの社員はオンサイトでのサポートを行う。IBMは企業顧客に対してiPhoneとiPadの販売(リースを含む)を行う。

業界アナリストのTim Bajarinは、「この提携はGoogleとMicrosoftのエンタープライズ向けモバイル戦略にとって大きな打撃だ」 と指摘する。

Googleの次世代モバイルOS、Android Lの発表が近づく中、AppleとIBMの提携は今後さらに深化し範囲を広げていきそうだ。いずれにせよ、今秋にも始まるというこの提携に基づくアプリのリリースに注目だ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Appleがプログラミング言語Swiftに関する一般公開のブログを開設

時代は変わる(Times, they are a-changin’)*だね: Appleが、同社の新しいプログラミング言語Swiftに関するブログを立ち上げた。それは、この言語による、iOSMac OS Xのためのアプリケーション開発を、普及促進するためだ。〔*: The Times They Are A Changin’、ボブ・ディランの初期の(大)ヒット曲の一つ。〕

分厚い壁で自らを囲い込んだ巨大企業として有名だったAppleが、オープン性と呼ばれる新時代に向けて舵を切った。それは、ライバルのGoogleがよくやるような、発売にまだこぎつけていない新製品を派手に見せびらかすのとは違って、Appleは、同社製品の重要な差別化要因であるアプリケーションを作ってくれるデベロッパを、西も東も分からない暗闇の中に置き続けるわけにいかない、と認識しているからだ。

オープンにすべきものがいろいろある中でAppleが最初にSwiftを取り上げたのは、たぶん、A)Objective-CからSwifitへの移行をできるだけ大規模かつ迅速に進めたい、B)言語自体がまだ開発中なので、オープンにすることによって言語の設計に関するより多くのフィードバックを得たい、からだろう。

デベロッパたちはTwitterの上で、Appleのやり方が変わったことに対する意外感を率直に述べている:

・[Appleの技術者たちが自分の仕事を公開の場で語るなんて。マーケティングや法務の連中が何か言ったのかな。]
・[時代は変わるね。しかもすごい変化だ。]
・[これはSwiftのニュースではなくて、Appleが公開ブログを設けたことがニュースなのだ。]
・[何?何?何だって? Swiftのブログだって? しかもAppleが?!?]

そのブログの記事は、今のところ一つしかない。その記事は、iOSやMac OS Xのデベロッパが実際の開発業務でSwiftを使おうとするときに抱(いだ)くであろう、言語の将来性に対する不安に応えている。

ただしそれは、Appleにとってはまったく問題ではないようだ:

簡単に申し上げると、あなたが今日書いたSwiftのアプリケーションを、iOS 8とOS X Yosemiteがリリースされるこの秋にApp Storeに提出されたならば、そのアプリケーションが未来においても完動することを信用できます。それだけでなく、同じアプリケーションをOS X MavericksやiOS 7の上で動かすこともできます。それが可能なのは、Xcodeが小さなSwifitランタイムライブラリをあなたのアプリケーションのバンドル内に埋め込むからです。そのライブラリが埋め込まれていれば、あなたのアプリケーションのひとつのバージョンが、過去と現在と未来のOSリリースの上で動きます。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ハッピー・バースデイ! 6年目のApp Storeのトレンドを探る

ハッピー・バースデイ、 iTunes App Store! AppleのApp Storeが今日(米国時間7/10)で満6歳になった。Appleの最新の発表によれば、提供中のアプリは120万種類、トータル・ダウンロードは750億回だという。

しかしアプリのデベロッパーにとってはビジネスはそうバラ色ではない。今朝、2社から発表されたそれぞれ異なるアナリティクス・レポートがこの点を証明しているといえそうだ。1社のレポートによれば、AppStoreのデビュー以来、ここに登録されたアプリの21%以上が「すでに死んでいる」という。またもう1社のレポートは「アプリの燃え尽き症候群」を新しいトレンドとして挙げている。つまり、われわれは多くのアプリを単なる消耗品としてしか見ていない、ということのようだ。少し遊んですぐに飽きてしまう。単一の作業のために利用し、それきり忘れてしまう。新しいアプリが話題になればそちらに飛びつく、等々だ。

死んだアプリと燃え尽きたアプリ

箱入りソフトウェアの時代とは異なり、今のアプリ・デベロッパーは単にアプリを売るだけではすまない。ユーザーを熱心なファンに変え、高いエンゲージメントを維持し、モバイル広告、アプリ内販売などさまざまな収益モデルを考えなければならない。、そしてAppStoreのチャートで高順位をキープし続けねばならない。しかもApp Storeのランキング・アルゴリズムは不可解だししょっちゅう変わる

アナリティクス会社のAdjustによると、App Storeにはこの6年間でトータル160万1413種類のアプリがアップロードされたという。しかし現在公開されているのは125万2777種類に過ぎない。

この「死んだ」あるいは「消えた」アプリの主なカテゴリーは書籍 (27%)、エンタテインメント(25%)、ユーティリティ (25%) だという。

一方でApp Storeは依然として成長を続けており、毎月6万もの新しいアプリがアップロードされる。Adjustによれば成長が減速する気配はない。App Storeの7年目の誕生日には57万8000のアプリが新たに登録されるだろうという。

この予測はおおむね正しいだろう。Apple自身が発表した数字でも成長は続いている。Appleは2012年のWWDCから2013年のWWDCの間に25万のiOSアプリを追加している。その前の1年間では22万5000、さらにその前の年は20万だった。

AppleのCEO、ティム・クックは最近、「現在iOSの登録デベロッパーは900万、昨年に比べて47%の増加だ」と述べた。App Storeの売上は昨年100億ドルを記録し、Appleはこれまでに総額で150億ドルをデベロッパーに支払っている。Appleによれば、ユーザーはアプリを毎秒800回ダウンロードしており、ダウンロードの総計は750億回に上るという。

しかしこのうちで少しでも陽の目を見るアプリはごくわずかだ。Adjustのレポートは、ロングテールの端の方に位置するアプリを「ゾンビー・アプリ」と名づけている。こうしたアプリはあまりにダウンロード数が少ないためApp Storeのランキングのリストに載ることさえできない。

Adjustはゾンビーであるかどうかの線を「3万9171種類をApp Storeランキングに過去3ヶ月で3分の2の期間搭載されたこと」というところに引いている。

Adjustによれば。「ゾンビー・アプリ」の数は年々増加している。先月(2014年6月)のゾンビー率は79.6%(全119万7087アプリ中、95万3387アプリ)で2014年5月の77%からさらに上昇している。昨年6月のゾンビー率は70.4%だった。

アプリを発見してもらう困難さ

つまりこれは、大部分のデベロッパーにとってApp Storeのランキングを通じてアプリを発見してもらうことは不可能だということを意味する。

Appleはこの問題に対して、最近積極的に手を打っている。特にこの秋に正式公開されるiOS 8のApp Storeでは、カテゴリーが細分され、追加の候補や検索トレンドの表示など検索機能も強化された。iOS 8ではApp StoreがOSそのものに組み込まれたので、ホーム画面をプルダウンしてデバイス内をSpotlight検索すると、AppStore内のアプリも候補として表示されるようになった。

忠実なファン・ユーザーは減少中

一方、もう一つのアナリティクス会社、Localyticsのレポートはユーザー・エンゲージメントに関する問題を指摘している。Localyticsはあるアプリの「パワーユーザー」と「忠実なユーザー」を合わせた数字を「粘着率」と呼んでいるが、これが22%と低迷している

2014第2年四半期.では、メディアとエンターテイメントのカテゴリーは粘着率が高く、テクノロジー系(タイマー、電卓など)は16%、ゲーム19%と低い。

冒頭でも述べたように、Localyticsが指摘するのは「アプリの燃え尽き」というトレンドだ。2011年以来、月に10回以上アプリを使う「パワーユーザー」の数が「忠実なユーザー」より常に多かったのだが、2014年にはいって第1、第2四半期ともパワーユーザーが1%増えたのに対して忠実なユーザーは2%減少するという新たな傾向を見せている。

いずれにせよ、App Storeの規模が拡大するにつれてデベロッパーが勝ち抜くためのハードルも高くなるのは避けられない。ランキングに入ることさえ非常に困難になっているにもかかわらず、Appleは友だちへのアプリ推薦などソーシャル機能の利用にはさほど熱心ではない。 このためFacebookがアプリのインストール広告で大成功を収めている

App Storeが拡大するのに対応してデベロッパーはアプリをユーザーに発見してもらうための新たな手法を考案しなければならない。Facebookだけでなく、他の広告、マーケティングのチャンネルも考慮すべきだろう。そしていったんインストールされた後もエンゲージメントの維持のための努力を続けねばならない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Samsungもコモディティー化による「死の価格レース」に巻き込まれている

テクノロジーの歴史で繰り返し起きてきた現象がまた起きている。あるジャンルの製品があまりに多様化し、無数のメーカーによってありとあらゆる機能とデザインが試されると、ユーザーの選択の基準は最後には価格に収斂してしまう。いったんそういう状況になると、小回りの効く新興メーカーが低価格を武器に既存の大メーカーに挑戦し、大メーカーは高価なハイエンド製品にシフトして売上高を確保しようと試みる。たとえばDellはネットブック市場の不振にDell Adamoで対応しようとした。そしてけっきょくは底なしの価格競争に疲れ果てて全員が倒れることになる。

ノートパソコン、フィーチャーフォン、上記のネットブックなどみなこの運命をたどった。

どうやらこの「死の価格レース」がスマートフォン市場にもやって来たようだ。いっとき絶好調だったLGもHTCも不振が続いている。次にコモディティー化の波に飲まれそうなビッグ・プレイヤーはSamsungだ。今後ひどいことになりそうな予感がする。

私はGalaxyシリーズの大ファンだ。しかし最新のS5には乗り換えなかった。理由はソフトウェアだ。もともとAndroidは完璧には遠い(といえば非難のコメントが殺到しそうだ。こう感じるのは私だけなのだろう)システムだが、マルウェアがはびこり、Play Storeにはガラクタのアプリが大量に並んでますますユーザー体験を損ねている。私は我慢して使っているが、楽しんでいるわけではない。

そのうえSamsungにはライバルが次々に現れている。300ドルのCyanogenmodベースのギーク向けスマートフォンもあれば、HuaweiやLenovoのエントリー・モデルもある。特に中国ではSamsungのシェアが急速にXiaomiに奪われつつある。130ドルと手頃な価格ながらスマートなRedMiハンドセットはSamsungの安っぽいプラスチックのエントリーモデルから魅力を失わせている。KantarWorldPanel ComTechの5月末のレポートによると、4月にはXiaomiは販売台数トップの座を再度奪った。しかも顧客の4分の1はSamsungからの乗り換えだったという。

つまりSamsungはシェアは低いものの天文学的利益を積み上げているAppleから無名のハードウェア・スタートアップまで全員と競争しなければならない。

この好ましからゼル状況はSamsungの売上高の推移に現れ始めている。売上高は9%から11%ダウンし、利益は24%ダウンした。S5は起死回生の特効薬という触れ込みだったが、 そうはならなかった。笑ってしまうのはこのブルームバーグの記事と記事のURLの食い違いだ。〔記事のタイトルは『Samsung、四半期決算はアナリストの予想を下回るも業績回復を予測』だが、URLの文字列には『Samsung予測を下回る―低価格製品が不振』とある〕。ビジネス界は皆Samsungに回復してもらいたいのだが、そういう情勢にはなっていない。

テクノロジー・アナリストのBen Thompsonはこの点について鋭い説明を与えている。まず第一に「ほとんどの消費者は価格を第一に考える」。たとえばMoto GとSamsungのスマートフォンという選択では結局価格がものを言う。無数の類似製品の山の中ではブランドは無力だ。

Thompsonはこう書いている。

結局のところSamsungの最大の問題はソフトウェアで差別化ができていない点だ。そうなれば長期的な競争力の源泉は価格しかなくなる。この点ではHPとDellを先例として学習する必要があるだろう。スマートフォン市場はパソコン市場とよく似ている。独自のOSを搭載したハードウェアのメーカー〔Apple〕だけが巨額の利益を積み上げる一方で、それ以外の全てのメーカーはソフトウェアの支配者に利益を吸い上げられるだけの敗者となってしまう。

と、これが偽らざる実情だ。どんぐりの背比べの参加者で満員となった市場(そうではないと言っても無駄だ)では差別化の要因は価格だけになる。誰もそんな競争はしたくない。しかしけっきょくはそこに落ち込んでいくのだ。今後状況はさらにひどくなるだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Appleがオールガラス製のケースに収めたiPhoneやiPad、モニタなどで特許を出願

AppleInsiderによると、Appleは、外殻ケースがすべてガラス製のデバイスを作る方法で特許を出願した。それは、すべての部分を溶融して完全にシームレスな(継ぎ目のない)外見を作り出している。オールガラス製のケースには、iOSデバイスやテレビのモニタなどが収容されるのだろう。

ガラスだけの構造体が設計された目的は、耐久性の最大化と重量の節約だ。一体成型でなく溶融方式なのは、単一のガラスブロックだと重くなるからだ。溶融構造の内部のリブや部分的な強化成形もガラス製で、それらは、構造的にとくに弱いと思われる要所に配置されている。

iPhone 4では前面と背面にガラスのパネルが使われたが、この特許では完全にガラス製のケースに入れられたガジェットを作るから、ほかのメーカーのガラスを使った製品とはまったく違う美観になる。たとえばテレビのモニタの売り場にオールガラス製のRetina Cinema Displayがあったら、それだけが目立ってしまうだろう。またオールガラスケース入りのiPhoneが出たら、いつも以上にマスコミが騒ぎ立てるだろう。

ガラスには衝撃に弱いという性質があるし、そのほかの問題もあるだろう。Appleの特許によくあるように、Appleはただその技術を実験してみただけで、今はほかのことをやってるのかもしれない(サファイヤガラスもその例の一つだ)。しかし出願書類の中の発明者のところには、AppleのSVPで名人デザイナーJony Iveの名もある。ガラスの一体成型はSF映画やSFテレビドラマによく出てくる。だからAppleは、そういうSF的な未来を先取りしたいのかもしれない。

画像: all-glass iPhone 6 concept video(オールガラスのiPhone 6のコンセプトビデオ)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


iOS 8最新ベータで、Healthアプリに内蔵歩数計がついた

AppleはiOS 8の新ベータ版を開発者に公開した。お楽しみの一つは健康とフィットネスの中核となる内蔵Health機能だ。HealthアプリはiOS 8で新たに登場する。サードパーティー製のセンサーから信号を受け取ったり、ユーザーの設定に応じて、他の健康やフィットネスのアプリとデータを共有できる。これまでのベータ版ではアプリを立ち上げても中身がなかったが、今回、サードパーティー製のハードウェアがなくても、歩数とカロリーを測定できるようになった。

新機能は、iPhone 5sのM7コプロセッサーを使って歩数を測り、ユーザーは日、週、月、年毎にデータを見られる。測定に誤りがあると思った時には、一部のデータを削除することもできる。歩数は他のアプリとシェアできる。この機能を発見した9to5Macが試してみたところ、歩数は正確に測定されていた。

iOS 8の新機能には、カフェイン追跡もある。カフェイン摂取量は手動入力する必要があるが、これは他の同じことをするサードパーティーアプリでも同様だ。このデータも他のアプリとシェアできる。

これらの新機能が重要なのは、iOSにおける健康全般に関する今後の道筋を示すものだからだ。Appleは市場を見渡して、さらにヘルス&フィットネス追跡機能を自社アプリに追加しつつ、サードパーティーには隙間を埋めさせていく。同社は過去のiOSでもこれをやる意志を明らかにしており、かつてサードパーティーに任せるのが良いと言っていた、マップの乗り換え案内にも乗り出しているとも噂されている。、

結局サードパーティーデベロッパーのために豊かなエコシステムを構築することは、Appleにとってもユーザーにとっても良いことであるが、デバイスの所有者が使いたい内蔵機能を利用できるようにすることが最優先だろう。最新ベータ版でのHealthアプリは、正式公開までにさらに充実していくに違いない。Appleとしてもわずかな機能しかない状態で新アプリを公開することは避けたいはずだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook