Facebook、テスト中のiPhoneアプリでPathのフライアウトボタンを真似

2809ruben

Facebookの前に抵抗は無力だ。もしあなたのアイデアが彼らの14.4億ユーザーに役立つなら、少人数向けにあなたが先に作ったことなど気にかけない。それがTwitterのフォローボタン認証アカウントであれ、Snapchatの消滅する写真や写真への書き込みであれ、Facebookはすぐにライバルから吸収する。

それを偶然と呼ぶか、インスピレーションと呼ぶか、それともコピーと呼ぶか。時としてソーシャルアプリの作り方には絶対的に「正しい方法」が存在する、たとえ以前誰がやった方法でも。

Path Flyout Button Open Sourced

彼らがデザインを盗むお気に入りアプリの一つがPathだ。あるFacebook社員は、ステージ上で「FacebookはPathをコピーしようとしている」とまで言った。

Path Flyout

多くの機能がLineとWeChatといったアジアのメッセージングアプリによって海外で考案されたが、Pathがアメリカで作った機能のいくつかは直ちにFacebookで使われた。例えば、「OK」とタイプする代わりに、無言で返信ボタンを押すと肯定を意味するチェックマークが送られる。Facebookは、Messengerのサムアップボタンで同じことをした。

そして昨年Pathは、企業に電話の代わりにインスタントメッセージを送れるようにした。数ヵ月前、Facebookは同じような “Business On Messenger” 機能を発表した。

今Facebookは、多くをPathから借りている超人気のiPhone版Facebookアプリのデザイン改訂をテストしている。新画面では画面下中央のMessengerボタンが “Post” ボタンに置き換わっている。タップすると「写真を撮る」「チェックイン」「写真をシェア」「投稿する」の小さなアイコンがPostボタンから飛び出す(フライアウト)。こうすることで、カテゴリーごとのボタンで画面を埋めることなく投稿の種類を選べる。

Facebook iOS Flyout Buttons

The new Facebook For iPhone design being tested

デザイン変更のテストを見つけたのはRobert Scobleで、Facebookはデザインをテスト中であることを広報を通じて認め、「われわれは常にFacebook体験を向上する方法を探索しており、現在はナビゲーションの小さな改訂をテストしている」と私に話した。対象はごく少数のユーザーであり、全員に公開されることはないかもしれないが、Facebookのモバイルに対する意向を伝えるものではある。

この「フライアウトメニュー」は、Pathが2011年にスタートした際、最も称賛されたデザイン技法の一つだった。iOSデザイナーのDaniel Davisが考案したこのデザインは人気を呼び、自らの海賊版をオープンソース化したデザイナーもいた。

Facebook Mobile Design

Facebook’s existing iPhone design

Facebookでは、フライアウトメニューによって人々がシェアするコンテンツの幅が広がるかもしれない。アプリで撮った写真もその一つだ。フライアウト画面には十分なスペースがあるので、新たなシェアカテゴリーを加えることもできるだろう。画面トップの「近況」「写真」「チェックイン」のボタンをなくせば、Facebookはもっと直接的に行動を呼びかける「今どんな気持ち?」と書くこともできる。

ナビゲーションデザインのテストでは、FacebookのMessengerアプリへのショートカットが左上に置かれており、アプリ内のボタンで迷うことを妨げるかもしれない。

Facebookの使命とビジネスモデルのすべては、ユーザーの自発的なコンテンツ提供に依存している。しかしSnapchat等のコンテンツ作成アプリの台頭によって、Facebookはコンテンツが他のソーシャルネットワークに逃げる事態に遭遇するかもしれない。実際私も、FacebookよりもSnapchatストーリーへの投稿が増えている。

モバイルアプリのデザイン改訂によってFacebookは、今でもここが友達みんなとシェアする場所であることをユーザーに思い出させることができるかもしれない。

[画像提供:Ruben L. Oppenheimer via CourrierInternational]

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

もしもFacebookがコンテンツに料金を支払ったなら?

like-a-vision

バカバカしい考えだとはわかっているが、もしライターやアーティストがFacebookにタダで作品を提供しなかったからどうなるだろうか?たしかにパイプを敷いたのはFacebookだが、だからといって水に価値がないわけではない。コンテンツは人々をFacebookのニュースフィードにとどまらせ、そこは専門的にターゲットされた広告で埋め尽くされている。たった今クリエイターたちへの見返りは参照トラフィックだけだ。

ニュースサイトのように広告を売っているコンテンツビジネスにとっては、受け入れられる取引かもしれない。New York Timesにはこうしたクリックを資産に変える営業チームがいる。しかし、このニュースフィード経済は一部のクリエイターにとって残酷でさえある。

unnamed-4

あなたが映画製作者や写真家なら、Facebookは容易にあなたのコンテンツを吸い上げ、壁に囲まれた庭園の中で、売り上げを分け合うことなく配信する。ようやく最近、Instant Articlesによって、パブリッシャーに分け前を与え始めたが、それもコンテンツを全面的にFacebookアプリ内でホストする場合に限られる。もちろんクリエイターはFacebookをボイコットすることが可能だが、代わりのコンテンツはいくらでもある。跪かなければ追放されるだけだ。

クリエイターがファンから直接収入を得るのを手助けするサービスもいくつか現れている。MemberfulとTinyPassは、プレミアムコンテンツを販売するための有償ウォールの設定を容易にする。さらに面白いやり方として、Patreonはクリエイターがコンテンツを公開するたびに、ファンが一定額を寄付するしくみを提供する。例えば曲やビデオにつき1ドルなど。

投資家らはこれを、レコードレーベルその他アーティストとファンを仲介するしくみの代替案として期待しており、1700万ドルをPatreonにつぎ込んだ。KickstarterとIndiegogoは巨大なしくみへと成長したが、彼らの提供する一回ごとのしくみは、定期的にリリースしていくために継続的な資金調達が必要なクリエイターには適用できない。

sunset

今週まで、この支援支払い分野にもう一人のプレーヤーがいた。Tugboat Yardsだ。彼らはGreylockとAndreessen Horowitzという一流ファンドの支援を受けていた。しかし、 FacebookがファウンダーのAndrew Ankerを買収/雇用したことでサービスは閉鎖された。

Ankerは、買収についての発表文にこう書いている。「私たちはFacebookの製品チームに加わり、ニュース、ビデオなどのメディア製品に取り組む。Tugboartをスターストした最初の理由 — 中小メディアプラットフォームのための視聴者管理プラットフォームがない ー は3年後の今も変わっていない。私たちは、より広いスコープを持つFacebookでこの問題を解決することを楽しみにしている」

Tugboardで、Ankerはこうした問題を解決するためにパプリッシャーが一部のコンテンツを有償化したり、ショップをひらいたり、デジタル投げ銭箱を置いたりするしくみを提供した。

Facebookでは、同様のツールを膨大なクライアントベースに届けることが可能だ。事実上、インターネット上のあらゆる人とパプリッシャーがアカウントを持ち、Facebookのコンテンツ配信チャンネルであるニュースフィードを知っている。

Screen Shot 2015-05-24 at 12.12.55 PM

Facebookがこれに関してできることはいくつかあると私は考える。

まずAnkerは、パブリッシャーが収益化に関して何を必要としているかをFacebookに理解させ、そのしくみを既存製品にさりげなく取り込む。例えば、Facebookの新サービスであるInstant Articlesを改良して、気軽なビジターを忠実な読者へと変えるしくみにする。自サイトでそのつながりを作ることは、パブリッシャーがアクセスを増やすために犠牲にすることの一つだ。Ankerなら、パブリッシャーに視聴者との関係をFacebookが分断していると感じさせなくできるかもしれない。

Tugboat Facebookさらに積極的なやり方としてFacebookは、
Parseの買収を通じてアプリデベロッパーに開発、成長および収益化のためにツールを提供したのと同じように、パブリッシャーやアーティストのコンテンツを収益化するツールを作ることもできる。もしFacebookがパプリッシャーに送り込むトラフィックを収益化する方が、単に広告を掲載するよりも良いとなれば、彼らはFacebookの配信チャンネルに頼ることへの抵抗が減るだろう。例えば有償ウォールの入り口に、どの友達が購読しているか、料金を払えばどんな素晴らしいコンテンツを読めるかが表示されているところを想像してほしい。

そしてもしFacebookがさらに本格的な支援システムを作りたければ、Patronに真っ向から競合し、Vesselのような新しいクリエイタープラットフォームの分野に進出するシステムを作ることもできる。おそらくFacebookは、Facebookページのコンテンツを唯一あるいは早期に閲覧するしくみとして有償購読を提供するだろう。お気に入りのクリエイターのコンテンツを追いかけることなく、ファンは支援したコンテンツをフィードの中で見ることができるようになる。

自分のビデオや写真や記事をFacebookにホストさせることも、最大のファンたちからの支払いと結びつけるためと考えれば、そう怖くは感じなくなるだろう。

Facebookはインターネットを飲み込もうとしている。その新しいモバイル支払いシステムや、急速に拡大するビデオインフラストラクチャーからInstant Articlesまで、Facebookが張り巡らせてきた輝く新たなパイプはまさにそのためにある。コンテンツを送り込む人々に支払うための努力は、それらのバイプを満たす確実な方法だ。

[画像提供:Mister Thoms

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、MessengerにチャットIDを導入―発信者情報の表示でビジネス利用も容易に

2015-05-22-facebookmessenger

メッセージが着信したが、名前に見覚えがない。どこの馬の骨? スパム? それとも昨日カンファレンスで会った好感のもてる人物だろうか? 新しいFacebook メッセンジャーはメッセージに応答する前に相手についての情報を与えてくれる。メッセンジャーは初めてメッセージを送信してきた相手の居住地域、肩書などの公開情報をメッセージ・スレッドのトップに表示するようになった。このアップデートはiOSとAndroidに対するもので、今日(米国時間5/21)から公開される。当面アメリカ、イギリス、フランス、インドのユーザーが対象となる。

友達以外の誰かからメッセージが届いたとき、メッセンジャーはその相手を、たとえば「フード・ブロガー」で「シアトル居住」であるというように表示する。すると記憶をたどって「最近シアトルに出張したときフィッシュ・マーケットで話をした女性だな」などと思い出すことができるわけだ。相手が実際に会ったことがある人間だと分かればメッセージに返事をしようと考える可能性が高くなる。また会話を「えー、どこでお会いしましたっけ?」というような気まずい文句で始めずにすむ。

Facebook Chat ID

またメッセンジャーはすでにFacebookで友達になっているが、過去にメッセージのやりとりをしたことがない相手についても情報を提供してくれる。たとえば、高校の同級生が最近あなたの町に引っ越してきて同じ業種の会社に勤めたとしよう。メッセージの冒頭に居住地と職種が表示されれば「高校の同級生のネイト? 何の用だろう?」という疑いは「おや、ネイトが町に引っ越してきて同業になったのか!」に変わるだろう。

友達以外でも友達でも、メッセンジャーが表示するのは一般に公開ないし受け手に対して公開されている情報だ。プライバシー設定に反するような情報が表示されることはない。

この新機能はFacebookが先月発表した発信者IDを表示するAndroid向けアプリ、Helloに似ているので、チャットIDと呼ぶことにする。発信者IDアプリは通話が着信すると相手の電話番号をデータベースと照合し、Facebookのユーザーの場合はその公開情報を表示し、既知のスパマーの場合は自動的にブロックするというものだ。

11287557_10104450668765960_51409173_o

チャットIDと発信元IDはFacebook友達だけでなく、ユーザーの生活におけるあらゆる個人的コミュニケーションをFacebookが仲介しようという戦略の現れとみることができる。これによってユーザーは自分のソーシャル・ネットワークを効果的に拡大することができる。同時に、特にビジネス面で、Facebookの役割がさらに高まるだろう。

これまでFacebookは友達以外との会話にメッセンジャーを利用することについては慎重な態度を取っていた。たとえば、友達以外からのメッセージの多くをスパムといっしょに「その他」のインボックスにまわしてユーザーの目に触れにくくしていた。一般のユーザーはめったに「その他」のインボックスをチェックしないので、用のないメッセージを見ないですむと同時に重要なメッセージを見るチャンスを失わせてもいた。私の友達は長年音信不通だった兄弟からのメッセージが「その他」に入っていたために長いこと見逃していたという。

私の取材に対してFacebookは「『その他』インボックスの扱いにはまったく変化がない。今までもメッセンジャーで友達以外とチャットできた」と語ったが、 今回のチャットIDの導入によって、メインのインボックスに振り分けられるメッセージは増えるに違いない。本来『その他』に分類されてはいけないビジネス上のメッセージが表示されやすくなると期待してよいのではないだろうか。.

若い世代のプロフェッショナルは以前ほどLinkedInを重視しなくなっている。モバイル化とメッセージ機能で遅れを取っていると感じられるためだ。Facebookがその間隙を埋めることになるかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

The New York TimesとFacebookのファウスト的契約…ニュースのビジネスモデルはどう変わるべきか?

shutterstock_173280530-e1431622512280

[筆者: Tom Goodwin]
編集者注記: Tom GoodwinはHavas Mediaのストラテジー/イノベーション担当SVP。

高級紙は今、突然落ちてきた巨大な岩に押しつぶされそうになっている。これまでで二番目に最悪の意思決定は、自分たちのコンテンツをFacebookに無料でホストさせることだったが、しかし一番の最悪はそれをしないことだろう。

2006年に音楽業界がストリーミングサービスと契約を交わしたときを思い出す。それは彼らにもっと多くの人びとに到達する機会を与え、アルバムを買わない人たちにも音楽を提供できるだろうが、同時にそこには、コンテンツの価値を下げるリスクが伴うだろう。音楽へのアクセスがあまりに容易に、そして安易になるためだ。

The New York Timesをはじめ、多くのレガシー企業が、自分たちが未来に生き延びるために構築し投資してきたつもりのものから、その意図を裏切る現実をつきつけられている。それは、高級紙だけではない。タクシーの営業免許を持つ企業、BordersBlockbustersのようなお店、Kodakのようなメーカー企業…彼らが生産と流通のために築きあげてきた複雑で高価な資産が、今やデジタルの大洪水に襲われてその価値を下げ、無形の損失と化している。

The New York Timesは今でも、世界クラスのコンテンツを書くジャーナリストたちに高給を払い、それらのコンテンツは一晩で印刷されて全国に広まる。その過程を、複雑なロジスティクスが支えている。一方Facebookは、何も作っていない。彼らは大量のデータをそのサーバの上でホストし、それが抱える史上最良の個人情報で収益を稼ぎ出し*、そのすべてのお金はカスタマインタフェイスで作られている。〔*: 広告等のターゲティング、個人化のこと。〕

それらのレガシー企業は、愚かしい間違いを犯した。Uberがタクシーというレガシービジネスを殺しているのは、業界が、規制という幻想の壁で守られた成功の歴史の上にあぐらをかいていたからだ。KodakとBlockbusterは傲慢のあまり、誰でも自分たちを追いぬくことができる、という考えを封殺した。Appleよりも前からスマートフォンを作っていたNokiaは、その価値が、ハードウェアではなくソフトウェアと優れたユーザ体験にあることを見抜けなかった。旅行や音楽などそのほかの業界も、今世界を食べつくそうとしているソフトウェアとデジタル化の波に呑まれてしまった。もはや、変わるべきか・べきでないかの時代は遠く去り、どのように変わるべきかがメインの問(とい)になっている。

Facebookで無料で読まれることは、The New York TimesやBildのような高級紙にとっては、読者が増えるだけでなく、有料制という基本的な経営基盤を崩すことになる。

広告だけを収入源とするメディアにとって、コンテンツがFacebookでホストされることは、それほどの難題ではない。ネイティブオンリーのBuzzFeedでも、あるいはGuardianやBBCでも、それは広告収入が多くなる方法であり、読者が増えてコンテンツへの反応がより広範に分かる機会だ。しかしThe New York TimesやBildのような高級紙にとっては、読者が増えるだけでなく、有料制という基本的な経営基盤を崩すことになる。有料読者を増やすための拡販努力は彼らのメインの成長源であり、もしかすると、彼らの明るい未来の基盤かもしれない。

では、The New York TimesはFacebookへのコンテンツ提供を、未来の読者増のための無料購読マーケティングキャンペーンと見るのか、それとも広告収入の増加策と見るのか? それは、まだ分からない。彼らにも、分かっていないのではないか。

NYTにとってそれが何を意味するかはともかくとして、確実なのは、これからがジャーナリズムにとって厳しい時代になることだ。

ニュースの高級ブランドの死

これまでのニュースは、ニュースの専門企業が作って編集して消費者に届けるものだった。私たちは、Times(==NYT)を買ってその紙の上をナビゲートする。それは、消費者とブランドとの関係だった。私たちはニュースのプロバイダという公共性を信じて、さまざまな話題を読む。

でも現代社会の‘新聞の一面’はTwitterでありFacebookだ。紙面というより、個々の記事を読み、その話題や、見解を知る。メディアではなく、ライターがブランドだ。放送メディアのニュース番組も、重要性が薄れている。この記事でTechCrunchがTom Goodwin(私)をホストしたことは、吉か凶か? ソーシャルメディアでこれを見たとき、何かが変わるだろうか?

音楽やテレビでも、同じことが始まっている。かつては、アルバムを買い、土曜の夜にはNBCを視た。今では、個々の具体的な曲や歌が好きなのであり、〔TV番組では〕Breaking Badは好きだけど、どの局かは知らない。コンテンツがそのプロバイダから切り離され、プロバイダはコントロールを失う。

時代は変わる

このコントロールの喪失は、Facebookにとって好機になり、コンテンツが無料でホストされ広告収入がプロバイダへ行く形が、ニュース消費の究極の標準形として定着するのか?

Facebookはこれまでも、ブランドをあまり厚遇していない。無料でやって長続きしなかったものを、有料に切り替えたことはある。FacebookがWebへの一般的なポータルになり、世界へのポータルにもなりそうな今日、ニュースの高級ブランドは絶滅危惧種になる。それから先は、どうなるのか?

今は、ニュースコンテンツにとっておもしろい時代だ。ニュースを作り、収益化し、配布する方法が、変わろうとしている。ネイティブがいちばん良い、という結論になるのか? マイクロペイメント(小額支払)や独占形式(メディアとの再結合)が、価値あるコンテンツからブランドが収益を得る方法になるのか? 誰かが考えているように、eコマースなどそのほかの収益源や、商業的パートナーシップが、ニュースブランドを救う大きな力になるのか?

一つだけ確かなのは、FacebookにとってもThe New York Timesにとっても、これが実験であること。しかし後者がこの契約をキャンセルしても、消費者のビヘイビアはキャンセルできない。魂を悪魔に売ったファウストは、それを買い戻すことができない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebookがメディアにユーザデータと広告収入を保証する高速ニュースサービスInstant Articlesを開始

 

[抄訳]
Facebookが今日(米国時間5/12)、数か月前から噂のあった“Instant Articles”を公開した。これはFacebookのNews Feedの中でパブリッシャーのオリジナルコンテンツをネイティブにホストする、というもので、ユーザがリンクをクリックしてWebサイトがロードされるのを待つ必要がない。今日載ったのはThe New York TimesやBuzzFeed、National Geographicほか6誌(紙)のリッチメディアや記事で、世界中のどこからでもFacebookのiPhoneアプリで見られる。

Facebookはユーザのアクセスデータを独占せず、パブリッシャーと共有する。またInstant ArticlesはcomScoreやOmniture、BuzzFeed、Google Analyticsなどのオーディエンス計測および帰属ツールと互換性がある。広告は、パブリッシャーが売ったものなら売上の100%がパブリッシャーへ行き、Facebookが売った広告なら、Wall Street Journalが前に報じたように、Facebookが標準定率の30%を取る。

Instant Articlesがそのフォーマットを理由に、FacebookによるNews Feedのソートで特別扱いされることはない。しかしユーザがInstant Articlesをほかの記事よりも多くクリックしたり、like(いいね!)したり、コメントしたり、シェアしたりすれば、そのほかの人気記事と同様に、上の方に表示されることもありえる。そうすると、Instant Articlesのフォーマットに最初から合わせようとするパブリッシャーが増えるかもしれない。

3-Map (new)
Instant Articlesの記事はロードが速いだけでなく、オリジナルのHTMLやRSSがそのまま使われるので、パブリッシャーのWebサイトのような感じになる。ただしパブリッシャーはFacebookが提供している写真ズーム、ビデオ、オーディオキャプション付きの地図、“環境ビデオ”(記事に味付けをする動く画像)などのヴィヴィッドメディアオプションを活用してもよい。Osofskyは、“デベロッパと同じツールをパブリッシャーも使える。モバイルWebの制約に縛られる必要はない”、と言っている。

Instant Articlesは、テストの結果が良好なら数週間後にパブリッシャーの数を増やすつもりだし、最終的にはどんなメディアでもFacebook上で記事を共有できるようにする予定だ。

tl;dr – Facebookは、ユーザがそこから逃げ出した穴を塞ごうとしている。モバイルWebでは記事のロードが遅いので、Facebookアプリを使わなくなったユーザもいる。今回の、オリジナル記事の埋め込みによるスピードアップで再びみんなが、Facebookで友だちと会ったり、コンテンツを見つけたり、広告を見たりするようになるだろう。

デザインはPaperから学ぶ

FacebookのニューズリーダーPaperはユーザ数が千万のオーダーに達しなかったから失敗だ、と見なす人が多いが、しかしCameraやSlingshotなど、そのほかのFacebookアプリと同様に、それはユーザの行動に関するインサイトを得てサービス本体に反映させることが目的だった。Facebookが写真のフィルタやステッカーなどを思いついたのも、そういうインサイトからであり、PaperはFacebookに、パブリッシャーが提供したいと望んでいる、一定のフォーマットによるリーディング体験について教えた。

Instant Articles borrows from the branded article covers pioneered in Facebook Paper

Instant ArticlesはFacebook Paperが開拓したメディアブランド付きの報道記事を借用している

Paperは今後もサポートされるが、そのチームのプロマネMichael ReckhowやデザイナーのMike MatasはInstant Articlesの制作に加わった。Rechowは、一定のフォーマットの記事とか、パブリッシャーのブランドを匂わせるフォントの選択など、Paperから学んだことは多い、と言っている。

Instant Articlesのプロジェクトは、モバイルでいちばん重要なのはスピードである、という命題を抱えてスタートしたが、それには、iOS上のFacebookアプリが2012年にスピードを倍にしてユーザが大きく増えたことが影響している。

その後Facebookでは、モバイル上のあらゆるものを、しらみつぶしにスピードアップする取り組みが行われたが、最後まで残ったのが、ニュースの記事のロードだった。“ブランクスクリーンが表示されて、そこに何かがロードされるまで、平均8秒はかかっていた”、とMatasは言う。モバイルのユーザにとって8秒は永遠と等しく、多くの人が、フラストレーションのあまりアプリを閉じてしまうのだ。

Instant ArticlesはモバイルWebの10倍速くロードする

そこで9か月前にFacebookはInstant Articlesのプロジェクトを開始した。Instant Articlesでは、ユーザがNews Feedでそれを選ぶと、実際に記事がセレクトされる前に画像や記事がFacebookのネイティブアプリの中へプリロードされる。

一つをタップすると、ブラウザのウィンドウが開いてWebサイトがロードされるのを待つのではなく、コンテンツが横からすべるようにさっと現れる。Matasによると、そのロードは“モバイルWebの10倍速い”。ぼくがデモをWiFi上で試してみたときは、1/4秒ぐらいのロード時間だった。これなら、退屈してFacebookを去る人はいないだろう。

【後略】

これ以降の節は以下の二つ:

パブリッシャーを満足させる

—comScore、Google Analytics、BuzzFeedなどとの互換性

Screen Shot 2015-05-12 at 9.04.40 PM
2-Photo (new)

モバイル優先のニュースアプリ

—ユーザに負担をかけない軽快なUIと豊富な対話性

4-Video (new)

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

これからのアプリケーションはデータセンタースタックを必要とする

grid-platform-data

[筆者:Derrick Harris ]
編集者注記: Derrick HarrisはMesosphereのシニアリサーチアナリスト。Harrisは最近GigaOMに、クラウドとビッグデータについて書いた。

インターネットはこれまでの20年間で生活を大きく変えた。Webとモバイルのアプリケーションで、どこからでも、情報の検索と買い物とスムーズなコミュニケーションができ、しかもそのスピードは、これまでありえなかったほどに速い。車のダッシュボードでおすすめの映画を知り、携帯電話でビデオの制作と掲載ができる。温度計を買えば、仕事に出かける時間に暖房を消してくれる。

テクノロジ業界の外にいる人には、これらの技術進歩がマジックのように見えるかもしれないが、実際にこれらのアプリケーションを作っている人たちは、そこにどれだけ多くのものが込められているかを理解している。でも最近ではビジネスの世界にいる人たちみんなが、それを理解していることが重要になりつつある。

その理由は簡単だ: 優秀な企業は、次の10年の企業競争で落伍しないためにはITについてまったく新しい考え方をしなければならないことを理解している。モバイルアプリから冷蔵庫に至るまでのあらゆるものが、さらに一層個人化され、一層インテリジェントになり、より機敏に反応しなければならない。企業は機械学習を行い、センサのデータを取り入れ、ユーザのトラフィックの予期せざる急騰に無事に対応しなければならない。

後戻りはできない。アプリケーションが、ユーザが期待する体験を提供できなければ、彼らは、それを提供できるほかのアプリケーションを見つけるだろう。

アプリケーションのアーキテクチャの革命

アプリケーションとWebサイトのユーザは、過去数年間で百万のオーダーに達し、アプリケーションのそれまでのアーキテクチャは、その膨大な量のトラフィックとユーザデータに対応できなくなっている。さらに最近では、その大量のデジタルデータを有効利用しようという欲求が生まれ、その目的だけに奉仕するまったく新しい種類の技術への関心が芽生えてきた。

それらの技術には多くの場合、サーバの複数のクラスタにまたがって容易にスケールできるように設計された新しいストレージや処理能力、およびデータベースのフレームワークを作ることが含まれている。またさらに、これら各部位間の情報の移動を単純化し、高速化することも求められる。GoogleやLinkedIn、Facebook、Yahoo、Twitterなどの大きなインターネット企業では、この同じ一般的パターンが、何度も何度も繰り返し実装されている。

たとえばデータベースのレイヤでは、ほとんど誰もが関係データベースからスタートし、今になって新しいプランを考えなければならなくなっている。一部の企業は、MySQLデータベースをその自然な限界を超えて酷使するために、秘かに何百万ドルもの費用と人時間を投入し続けている。逆に新しいデータベース技術を作ったところもあるし、新旧の二股をかけているところもある。

またビッグデータの処理でも、新しいパターンが生まれている。具体的な技術はさまざまでも、今の大型Web企業に共通している新しいアーキテクチャは、データ処理のリアルタイム部分と、準リアルタイム部分と、バッチ部分という三層構造だ(下図)。必要に応じて、個人化されたWeb体験やコンテンツ体験をリアルタイムで高速に提供しなければならない。しかしまた同時に、社内のデータアナリストやデータサイエンティストたちが、データの集合に対して彼らの能力を十二分に発揮できなければならない。

MachineLearningArchitecture-v3

アプリケーションの構成部位としてのデータセンター

今ITに起きているイノベーションは、ものすごいスケールだ。GoogleやFacebook、Amazonなどは日々数十億のユーザに奉仕し、数百万件のユーザ対応処理が並列で行われている。それと同時に、大量のデータが保存される。しかしそれでも、彼らはめったにクラッシュしない。Twitterも、インフラストラクチャに思い切った投資をしてからは、あのfail whale(クジラさん)が現れなくなった。

これらの企業はこれまで、MapReduce、Hadoop、Cassandra、Kafkaなどなど、数々の技術を生み出してきた。また無名のスタートアップやデベロッパたちも、主にオープンソースの世界で、アプリケーションのパフォーマンスをとスケーラビリティを高め、ときにはまったく新しい機能を実現するための新しいツールを作ってきた。それらの中では、Spark、Storm、Elasticsearchなどがとくに有名だ。

また、そのような極端に巨大なスケールでも安定して動くアプリケーションを開発するための、アプリケーションの新しいアーキテクチャも生まれてきた。

たとえば、今いちばんもてはやされているのがマイクロサービスだ。これはアプリケーションを個々のサービスの集合として構成するアーキテクチャで、部品であるサービスは複数のアプリケーションから使われてもよい。これまでの、一枚岩的なアプリケーションアーキテクチャでは、各部位がそのアプリケーションの専用の部品として閉じ込められている。しかし、自立した個々のサービスの集まり、という新しいアーキテクチャでは、各部位間や、部位と特定のアプリケーションとのあいだの依存性がなくなり、サービスのスケールアップをアプリケーションの再構築を必要とせずに実現できる。

また、マイクロサービスと並んでビッグなトレンドになっているのが、コンテナ化だ。コンテナは、Dockerのようなデベロッパフレンドリなフレームワークを利用して作ってもよいし、もっと低レベルにLinux control groupsを使ってもよい。コンテナに収めたアプリケーションは分散サービスに容易にプラグインでき、いつ何をどこで動かすか、などをいちいち気にする必要がなくなる。コンテナがあることによってデベロッパは、自分のアプリケーションの機能や構造の磨き上げに集中できる。

以上のような、分散サービスの集合体とコンテナ化という新しいアーキテクチャ技術を一つの全体として見た場合には、それを“data center application stack”(データセンターアプリケーションスタック==アプリケーションの基本構成要素としてのデータセンター)と呼べる。奉仕すべきユーザが複数のプラットホーム上に何百万もいるようなアプリケーションを作り、それらのアプリケーションが多量かつ多様なデータをハイスピードで利用していくときには、どうしてもそういう、サービスの集合体的なものを使うことになる。したがって高性能なデータセンターが、いわば、アプリケーションの心臓部になる。

これらは、将来そうなるという説ではなくて、今急速に進展しているトレンドだ。巨大な消費者アプリや、Salesforc.comのような巨大なビジネスアプリケーションを志向するスタートアップたちのあいだでは、これらの技術がすでに常備品になっている。

またデベロッパやスタートアップだけでなく、企業も変わりつつある。Fortune 500社だけでなく、ITのイノベーションとは無縁と思われていた中規模の企業ですら、インターネットの時代に対応しようとすると変わらざるをえない。したがって彼らも、今ではデータセンターが提供するサービスに関心を持ち始めている。データセンターのアプリケーションスタック化は、企業の内部にも浸透していく。

“ビッグデータ”と“リアルタイム”と“物のインターネット(IoT)”は、今や単なるバズワードではなく、21世紀の経済において企業の成功を左右する必修科目だ。

そしてデータセンターアプリケーションのためのオペレーティングシステムが

しかしこれらはいずれも、実装が難しい。Hadoopをデプロイして管理してスケールする。Cassandraを〜〜〜〜。Kubernetesを〜〜〜〜。等々。使用するフレームワークやサービスごとに、あなたは手を洗って同じことを繰り返す。実装の困難さは、口にしてもしょうがないから、誰も口にしない。だから、世に氾濫する‘かっこいい話’には出てこない。

でもある時点で企業は、それまでのアプリケーションの書き方を反省し、データのパイプラインを築くことで、より強靭なアーキテクチャを確保したくなるだろう。

GoogleやMicrosoftのような、大きくてエンジニアをたくさん抱えている企業は、この問題をBorgAutopilotなどのシステムを自分で作って解決してきた。こういうシステムがあると、リソースの適正な割り当てを自動的にやってくれるから、何百万台ものサーバにまたがって動くサービスやアプリケーションの高い可用性が確保される。デベロッパやソフトウェアアーキテクトが頑張らなくても、アルゴリズムが、どこで、何を、どれだけのマシンの上で動かすかを決める。

しかし、BorgもAutopilotもすばらしいシステムだが、どちらもプロプライエタリだ。Googleが某論文の中で、Borgというものの存在を認めたのも、ごく最近のことだ。MicrosoftはAutopilotについて、ほとんど何も明らかにしていない。そしてBもAも、一般的なサービスとしては提供されていない。

そこで、Mesosphereだ、というお話になるのだが、それは次の機会のお楽しみに。

periodic-table-721x411-ea2b3e75968fbb5dd814f2a2cdc926ec

〔原文のコメントに、Microsoftの元社員からの反論があります。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebook、アプリ内購入インストール広告をスタート

deeplink-app-install-ads

Facebookは、実入りのいいアプリインストール広告ディープリンク を組み合わせて、アプリをダウンロードすると特定のアプリ内購入ページが開くようにした。その結果出来上がったのは、アプリを通じて製品やサービスを売るダイレクトマーケターにとって実に強力なツールだ。

ダイレクトマーケティングはウェブで一般的な手法で、ユーザーが特定商品の広告を見てクリックすると新たなブラウザータブが開きその場で購入できる。しかしモバイルでは、アプリを通じて商品を売ろうとすると、買り主はまずユーザーが自分のアプリをダウンロードするよう説得し、広告の商品を買うためにアプリ内で検索してもらう必要がある。

Facebookは、その最後の一仕事をディープリンクにやらせようとしている。それはアプリインストール広告並みにダイレクトマーケティングがのコンバージョン率を高める可能性を秘めている。私はこれを「アプリ内購入インストール広告」と呼び、Facebookが前四半期に記録した広告売上33.2億ドルを超える原動力になると考えている。

11057196_1623083497928325_834080577_n

Facebookのモバイルニュースフィードに、HotelTonightのアプリインストール広告を出すことを想像してほしい。アプリ会社は単にダウンロードしてほしいのではない。ユーザーがホテルを予約して手数料収入を得ることが目的だ。そこで、ふだんサンフランシスコに住んでいて現在ロサンゼルスにいる人々をターゲットして広告を打つ ― LAに急な出張をする可能性の高い人々だ。

従来、HotelTonightは広告で「今夜ニューヨークのホテルを取ろう」と言ってアプリのインストールを促すことができた。しかし、もしユーザーがクリックしてアプリをダウンロードし、その部屋を予約しようと思うと、アプリをインストールしてからニューヨーク市を検索しなくてはならなかった。これは結構な手間であり、アプリのインストールに1分はかかることを考えればなおさらだ。気を散らされたユーザーは何のためにアプリをダウンロードしたかも忘れてしまったり、面倒になってしまうかもしれない。この場合、HotelTonightはアプリをインストールさせるために金を払ったのに、ホテル予約で手数料を稼ぐこことはできない。

hoteltonight bonus rateこれからはHotelTinigthがアプリ内購入インストール広告を設定して、アプリを開くとすぐにニューヨークの今夜の空室検索結果やユーザーが希望すると思われる部屋の予約ページが表示されるようにできる。ユーザーは何かを覚えたり余分な作業をする必要がなくなる。購入成立にずっと近いところからスタートするので、HotelTonightが投資の見返りを得る確率はずっと高くなる。

Facebookは、以前ダウンロードしたアプリ内の特定ページに、直接ユーザーを誘導する再エンゲージメント広告を既に販売している。これは、ユーザーがインストールしたことさえ忘れているかもしれないアプリ内での購入を促進するためによく使われている。

しかしこのディープリンクと、アプリインストール広告による直接的満足感と高いコンバージョン率、さらにはダイレクトマーケティングの緊急行動要請を組み合わせることによって、Facebookは全く異なるタイプの広告を生み出した。

もしFacebookが、アプリ内購入インストール広告をクリックした人の地域年齢層や状況に応じて、異なるページへのディープリンクを埋め込むことができれば、いっそう面白くなる。それはURX等広告テクノロジーのスタートアップが取り組んでいるテーマだ。例えばスポーツ用品のEコマースアプリ内のリンク先が、性別、年齢、関心事、さらには加速度計の値やWi-Fiか携帯通信か、端末上に他にどのアプリがあるかによって異なるタイプの衣類や器具を指すところを想像してほしい。

いずれFacebookは、最も買いそうなアプリ内購入にユーザーを割り当てることによって、販売するインストール広告の投資効果をより早くより明確にすることができるだろう。デベロッパーに油田採掘機を売るのではなく、Facebookは彼らが正確にユーザーの財布を堀り当てられる場所を示すことができる。

関連記事

Facebook, Google, And Twitter's War For App Install Ads

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FacebookとNokia、モバイル、Instagram、Messengerの地図強化に向けて密かに提携

screen-shot-2015-05-04-at-14-38-57

Nokiaの地図部門部門、 Hereの買い手候補として噂されていた会社の一つが、モバイル地図強化のためにフィンランド企業と密かに契約した。Facebookは現在Hereの地図をモバイルウェブ版で使用中で、InstagramとMessengerなどのネイティブアプリの位置情報に利用するためのテストを行っている。

here facebookモバイル企業のNokiaはHereの売却を検討していることを正式に認めており評価額は20億ドルと言われているが、現在同社が保有するデータを考慮すればその2倍はあるとする向きもある。Facebook以外にも、Apple、自動車コンソーシアム、Samsung、Uber、Baidu、Alibaba、Tencent、およびYahooなどの名前が挙がっている(確度はまちまち)。

新たなFacebook/Nokiaの地図における提携はどちらの会社からも発表されていないが、コメントを求めたところ両社とも基本的内容を認めた。

「当社はNokia HEREの地図をFacebook全般でテストしており、一貫した地図体験を提供するための柔軟性を模索している」とFacebookの広報担当者が本誌にメールで伝えた。また「Android版InstagramとMessengerなどのスタンドアロンアプリでもテストしている」ことも認めた。

「われわれの地図がFacebookユーザーに喜んでもらえることを嬉しく思う」とHereの広報担当者は言った。

以上の情報からHereの地図がFacebookのアプリで見られるようになることは想像できるが、信頼できる筋によるとFacebookはジオコーディングにもHereを使っているという。ジオコーディングはInstagram、Messenger、およびメインFacebookアプリで位置情報をタグ付けする際、大量の特定位置データをFacebookとユーザーに提供する。

現在FacebookはメインのFacebookアプリでHereマップを使っていないが(iOSではApple iOSマップまたは、Googleマップがインストールされていればそれを使っているようだ)、ブラウザーでFacebookのモバイルサイトへ行き、ユーザーや店の地図を見ると、左下隅に”here”と斜めに書かれたロゴが見られる。

Facebookが地図を再検討し、提携先を変更することに驚きはない。

第一に、ユーザーの位置をタグ付けするために優れた位置情報技術を使うことによって、Facebookは特定位置から近況アップデートしたり写真を投稿するユーザーにとってより親切なサービスになる。Facebookのビジネスにおけるモバイルの割合の大きさを考えれば特にそうだ。

第二に、広告的観点からも非常に重要である。企業はFacebookを広告およびマーケティング業務の一環として使用しており、Facebookは特定の位置に基づく広告や他の位置情報関連サービスを提供することによって企業との関係(および売り上げ)の選択肢が増える。

Nokiaから上質な位置データを入手することは、別の理由からも論理的である。Facebookは以前から優れた位置情報サービスを持つことに注力しており、Glancee、Tag Tile、Gowalla、およびRel8tionなどの買収を通じて技術および人材を集めてきた。

最近では、Facebookの通知機能を改定し、ユーザーは友達ネットワークの近況に合わせて近くの場所を見ることができるようになった。

とはいえ、Facebookによる位置情報サービスの独自プラットフォーム構築への努力はまだ大きな成果を見せていない。

Facebookが最初にFoursquareからFacebook Placesの独自位置情報へと切り替えた時の苦悩ぶりを覚えているだろうか。その点でもNokia Hereのような位置情報データの大手プロバイダーと組むことには意味がある。

FacebookとNokiaの提携はこれか初めてではない。Facebookは、Nokia Hereの地図にデータを供給しているいくつかのソーシャルサービスの一つだ。また数年前、Nokiaが端末事業をMicrosoftに売却するずっと前で、世界最大の携帯端末メーカーだった頃、両社は端末事業の提携を検討したことがあった。Internet.orgによって途上国の人々をつなぐ方法 についても協力している。

一方、Hereマップをすでに使っている大企業がいくつかある。AmazonYahoo、Microsoft、およびBaidu等だ。

Facebookが結局Hereを買収しなかった場合、もし他者が買ったら両社の関係はどうなるのか、それが大きな疑問だ。

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、Messengerのモバイル・アプリに無料ビデオ通話を提供―iOSとAndroidをサポート

2015-04-28-facebook-messenger-video

出し抜けに人の家を訪問するのは礼儀正しいとはいえない。まずテキスト・メッセージを送ってからだ。Facebookがビデオ通話をMessengerアプリの機能として提供することにした理由はそれだろう。今日(米国時間4/27)、FacebookのMessengerのiOSとAndroidアプリに無料のVOIPビデオ通話機能が追加された。セルラー接続、WiFi接続の双方をサポートする。当面の提供地域はアメリカ、カナダ、イギリスなど15ヵ国〔日本は後日〕だが、すぐに拡大されるという。

Facebookの目的は、ユーザーが地球上のどこにいようと、どんなデバイスを持っていようと対面で会話できるようにすることだ。Messengerのビデオ通話なら、サンフランシスコで新しいiPhoneからLTEで接続しているユーザーがナイジェリアで安いAndroidから3Gの弱い電波をつかんでいるユーザーと顔を合わせて会話できる。下は短い紹介ビデオ。

Facebookは2011年にSkypeと提携してデスクトップのビデオ通話を提供したが、やがて独自のVOIPビデオのインフラを構築した。これがモバイルのMessengerアプリに拡張されたことでiOSデバイス同士でしか通話できないAppleのFaceTimeや今となっては古くさいSkype、普及度がいまいちのGoogleハングアウトには恐るべきライバルが誕生したことになる。

Messengerユーザーが6億人、Facebookユーザーが14億4000万人ということを考えれば、このVOIPビデオの規模がいかに巨大かわかるだろう。マーク・ザッカーバーグは先週のFacebookの決算発表の電話記者会見で、Messengerは世界のモバイルVOIP通話の10%を占めていると明らかにした。Facebookの高音質で信頼性の高いVOIP音声通話はすでに通常の通話にとって代わりつつあるが、これにビデオが加われば、このトレンドは一層加速されるだろう。

いかなる形にせよFacebookはMessengerを収益化する計画はないという。

Video call ringing[1][2][1] (1)

MessengerのFace-To-FaceTime

今日、iOSとAndroidのMessengerアプリにビデオ通話機能が追加されたのは、ベルギー、カナダ、クロアチア、デンマーク、フランス、ギリシャ、アイルランド、ラオス、リトアニア、メキシコ、ナイジェリア、ノルウェイ、オマーン、ポーランド、イギリス、アメリカ、ウルグアイの17ヵ国だ。今後数ヶ月かけて順次サポート地域を拡大していくとう。

ビデオ機能が追加されたユーザー同士でチャットを始めると、紹介ビデオにあるように、右上隅にビデオカメラのアイコンが表示される。アイコンをタップすると上の画像のように相手にビデオ通話開始のリクエストが表示される。相手が承認するとビデオ通話が開始される。カメラは自撮りモードでスタートするが、随時フロント・カメラに切り替えて周囲の景色を見せることも可能だ。

Screen Shot 2015-04-27 at 11.50.17 AM

Messengerは接続状況に応じて自動的に画質を調整する。サンフランシスコで私が見たデモの場合、LTEでタワーは2本立っている状態だったが、わずかにピクセルノイズが出た。音声のみのVOIPに切り替えることも簡単で、またビデオ接続を維持するのが困難な接続状態になるとMessengerはそのことを警告してくれる。Messengerの利用は一切無料だが、ユーザーのデータプランを大量に消費する可能性があるので注意が必要だ。できるかぎりWi-Fiを利用するのが賢明だ。

Messengerのビデオで巧みなアイディアは、通話者の一方がビデオ機能を切ることで、他方のビデオ画質をアップさせる機能が組み込まれていることだ。たとえばユーザーが自宅の居間でノルウェイのフィヨルドを航行している友達とビデオ通話している場合、居間の情景などには意味がないので、その送信を停止するとフィヨルドの景色が高画質で楽しめるというわけだ。【後略】

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

FacebookがHelloのテスト開始―着信の相手を表示、受信拒否、検索もできるスマート通話アプリ

2015-04-23-facebookhello

電話がかかってきたが、誰からだかわからない。そういうことがなくなる。Facebookが公開テスト中の新アプリ、Helloは受信、発信の際に電話番号とFacebookのプロフィール情報を照合し、電話の相手が誰かを教えてくれる。また迷惑電話として広く知られている番号からの着信を自動的にブロックしたり、レストランなどのビジネスを検索することもできる。

今日(米国時間4/22)、 アメリカ、ブラジル、ナイジェリアでHelloの公開テストが開始された。これらの地域のユーザーはこちらからダウンロードできる。テストの結果が良ければ、公開地域はここ数週間のうちにさらに拡大される。iPhoneユーザーには残念だが、このアプリはAndroid版のみだ(iOSはアプリが通話を処理するのを許さない)。

Helloの発信者情報には相手がFacebookで電話番号を公開している場合、その他の公開情報(名前、職業、プロフィール写真その他)が表示される。ユーザーは電話を受けるか無視するかを判断することができる。

Hello Feature Gif

Helloは簡単にいえば電話番号をキーにしてFacebookのソーシャルグラフ検索を自動的に実行するアプリだ。つまり個々のユーザーのプライバシー設定にはまったく影響しない。

似たような既存のアプリにはTrueCallerなどがある。

Helloのプロダクト・マネージャー、Andrea Vaccariは「毎日、アメリカだけでも10億回も電話がかけられている。ところが電話のユーザー体験というのは長い間まったく進歩していない。この分野には大きな進歩の余地が残されている」と語った。

下はFacebookによるHelloの紹介ビデオ。

いわばFacebook Phone 2.0

Dialer

ユーザーはHelloアプリをインストールした後、連絡相手情報を同期することを許可する。

Helloの機能はかなり豊富だ。以下、簡単に紹介する。

Facebook同期電話帳

写真を含むプロフィール情報が追加され、いわば機能強化版の電話帳として利用できる。

発信元ID

通話の着信があるとHelloはFacebookのデータベースで電話番号を検索する。相手がプライバシー設定で電話番号を「一般に公開」(デフォールト)にしている場合、そのユーザーが公開している情報が表示される。相手が「友達、友達の友達」などに公開を制限している場合でも着信側ユーザーがその公開範囲に含まれていれば、やはり表示される。

Search:Business

無料のVOIP通話

通話の後で、相手がFacebook Messengerをインストールしているかどうかの情報がポップアップする。インストールしていれば、タップ1回でその相手にはMessengerを利用した無料通話ができる。携帯電話の通話料が高い途上国の場合など特に有用な機能だろう。相手が通常の携帯網で電話をかけてきたときにその着信を無視し、MessengerのVOIP通話でかけ直すせばお互いに通話料がかからない。

ビジネス検索

BlockUnwantedCalls

Helloにはスマート検索機能も用意されている。通常のFacebookアプリの検索と同様、友達を検索できるが、Facebookはイエローページ情報をインポートして、多数の店舗の電話番号、住所、営業時間などを検索できるようにしている。「ピザ」で検索し、そのまま店に注文の電話をかけることができるわけだ。

受信拒否

Helloは個別番号に受信拒否を設定できる他に、着信した電話番号が広く受信拒否されていることも教えてくれる。もし非常に多くのユーザーによって着信が拒否されている電話番号の場合、Helloは着信音を鳴らさずに自動的に留守録状態に移る。ブロック設定は多くのオプションがあり、ユーザーは必要に応じて自分に適した設定を選ぶことができる。

オプトアウト

【原文を参照】

Hello広告?

プロダクト・マネージャーのVaccariは「現在、Helloに関する収益化プロジェクトは存在しない」と語ったが、広告による収益化の可能性はさまざまに考えられる。

PressKit-04-Search

たとえば、ビジネス検索に広告を挿入するのは簡単だろう。ストレートな検索連動広告だ。「ピザ」と検索するとピザ屋の検索結果の横に近所のイタリアン・レストランの広告が表示されるような仕組みだ。

HelloはまたFacebookが近く公開するビジネス向けインスタント・メッセージとも連動させることが可能だろう(ショッピングした後で、クレームや交換などをMessengerで店に依頼することができるようになる)。もちろん、そうした収益化を一切しなくてもHelloはFacebookへのユーザー囲い込みを強化する役に立つだろう。

Hello Better

全体としてHelloは押し付けがましくなりすぎないよう、たくみにバランスを取って便利な機能を提供していると感じた。実際の機能(ソーシャルグラフ検索)は比較的シンプルだが、電話のたびにリアルタイムで手作業で実行するのは煩わしくて不可能だ。それを自動化するというのはスマートなアイディアだ。とくに通話後にMessengerの利用を促す仕組みにしたのは巧妙だ。長らく進歩が止まっていた電話のユーザー体験を改良する大きなステップになり得るアプリだろう。

[原文へ]

滑川海彦@Facebook Google+

FacebookがオープンソースにしたReact Nativeでモバイルアプリの開発が大きく変わる

codecode

[筆者: Anders Lassen]
編集者注記: Anders LassenはFuseのファウンダでCEO。初めての、デザイナーとデベロッパの両方のためのネイティブアプリツールだ。

Facebookがこのほど、モバイルアプリを構築するためのフレームワークReact Nativeをオープンソースにした。React Nativeでは、デベロッパがJavaScriptでプログラムを書けば本物のネイティブのユーザインタフェイスができあがる。こんな説明では、技術系以外の読者は肩をすくめるだけだろうが、でもわれ思うに、この発表には重大な意味がある。React Nativeはやがて、モバイルアプリの開発という業界の業態を完全に変えてしまうだろう。そしてそれは、スマートデバイスのオーナー全員にも影響を及ぼすだろう。

HTML対ネイティブという戦争の終わり

長年モバイルアプリのデベロッパは、ほかのデベロッパには無縁な、独特の困難な選択をつねに迫られていた。AppleやGoogleのネイティブツールを使ってアプリを開発すべきか、それとも、何らかのクロスプラットホームなソリューションを使ってアプリを作るべきか?

最良のユーザ体験を作り出したいなら、ネイティブツールを使うべし、これが、これまでの定説だった。ネイティブアプリは速いし無駄がないから、ユーザの期待を裏切らない。欠点は、ネイティブツールは勉強がたいへんだし、またユーザにとっても、Webなどの標準的なインタフェイスに比べると、いちいち使い方をおぼえなければならない。プログラミング言語も各ネイティブプラットホームごとに独特だから、同じアプリを異なるプラットホームごとに二度も三度も書かなければならない。今日はiOS、明日はAndroid、と。したがってネイティブアプリは開発コストが高くつき、それが業界全体の頭痛の種だった。

一方、クロスプログラムなソリューションは、多くの場合、HTMLとCSSとJavaScriptという三種の神器から成るWebの技術だ。モバイルのプラットホームはいろいろあっても、Webページを表示する機能はどれにもある。だからWebの標準技術〜標準言語でアプリを書けば、プログラムはたった一度だけ書けばよいし、開発の費用や時間も少なくてすむ。

しかしそうやってWebの標準言語(HTML, CSS, JavaScript)で書いたプログラムはネイティブに比べると遅く、また言語の実装がプラットホームごとにやや違ったりする。しかも、素早くてなめらかなネイティブインタフェイスと違って、ユーザ体験がぎごちなくなりがちで、さらに、電力を食うので電池を酷使する。派手な要素を多く散りばめたWebアプリが、往々にしてとろく感じられるのは、そのためだ。

React Nativeには、JavaScriptでネイティブのユーザインタフェイスを作れるだけに終わらない、深い思想がある。

React Nativeは、ネイティブの良いところとWeb言語の良いところを“良いとこ取り”したような、新しいツールだ。デベロッパは、今や誰もが使っていて、プログラミングの初心者でも書けて、すべてのモバイルデバイスが実装しているJavaScriptでアプリを書く。しかしそれで作られるユーザインタフェイスは、本物のネイティブの部品が使われている。だからそれは、デベロッパにとって魅力的なライフラインだ。ネイティブアプリを書くためには各プラットホーム固有の言語…Objective-C, Swift, Java, …と固有のライブラリ(API)を勉強しなければならない、という恐怖から彼らは解放される。

今後成熟すべき余地はまだ十分にあるものの、React Nativeを使えば基本的に、HTMLかネイティブかという二者択一はなくなる。できあがるユーザインタフェイスは高品質なネイティブだが、それを慣れ親しんだJavaScriptで書けるのだ。

無駄な苦労を忘れ、アプリそのものをもっとおもしろく創造的に

React Nativeをちょっと使い込んでみると、JavaScriptでネイティブインタフェイスを書けるという表面的な利便性を超えた、深い思想があることに気づく。Facebookが1月に行った詳細なプレゼンテーション*を見ていただくとお分かりと思うが、とにかく、ワークフローがまったく新しい。これまで、大きなプロジェクトでは何時間もかかっていたようなプロセスの多くを削り取り、アプリのデベロッパが十分に納得できる開発体験を作り出している。 〔*: このビデオのコメントがおもしろい。〕

これまで、Webで開発する場合は変更の結果をすぐにブラウザの画面で見ることができたが、ネイティブ開発の場合はコンパイルしてデプロイしてモバイルデバイス上にローンチする、という待ち時間があった。それは、時間がかったるいだけではなくて、創造性とか、新しい試みの実験とかの、‘乗り’を失ってしまうのだ。デベロッパは独創的な試みを我慢して抑え、まあまあのレベルで妥協しなければならない。いろんなことをトライしていると、途中で夜が明けてしまうから。

数年語にはもっとクリーンで応答性の良いアプリが一般的になる。

React Nativeが導入したのは、ネイティブなユーザインタフェイスと、ユーザインタフェイスを動かすロジックを、それぞれ別立てにする(分離する)ことだ。そのために、一般的にリアクティブアプローチ日本語参考記事)と呼ばれている方法を使っている。ユーザインタフェイスは各モバイルデバイスに固有だが、それを動かすロジックは普遍的だ…ブラウザの動作が共通的で普遍的であるように。だからデベロッパは、Web開発のときと同じようなツールとワークフローを使える。コードに変更を加えると、結果がすぐにデバイスまたはエミュレータ上で見られる。アプリの制作が早くなり、新しいアイデアをいろいろトライできる余裕が生まれる。

この記事を読んだだけで、JavaScriptとブラウザツールに乗り換える気になった人は、あまりいないかもしれないが、でもツールのデベロッパには、React Nativeは大きなインスピレーションを与えたはずだ。モバイルアプリの市場は爆発的に拡大しているから、デベロッパとその時間はますます希少財だ。変更のたびに、アプリをコンパイルしてデプロイを待つという時間は、過去へと葬り去る必要がある。

新しいモバイル時代のインスピレーションを与えるオープンなコードベースを

React Nativeのコードベースは、これからは無料で誰にでも入手/利用できる。だからそのコードとアイデアが、ほかのツールや開発プラットホームにも浸透していくだろう。React Nativeの前身React.js(Webベースのユーザインタフェイスを作るためのフレームワーク)でも、それが起きた。React.jsは、それ自身が人気者になっただけではなく、そのほかのフレームワークにも強い影響を与えた。

そしてアプリのエンドユーザにとっては、よりクリーンで応答性の良い(レスポンシブな)アプリがこれからはどんどん多くなる。ほとんどお金をかけられなかったアプリでも。逆に高品質なアプリ開発はそのコストが下がり、アプリのデベロッパの生産性と創造性が高まる。

スマートフォンの登場によって、アプリ産業が経験したさまざまな苦痛は、今でも続いている。iOSとAndroidという二度手間、使いにくいツール、遅い開発サイクル。でもこれからは、React Nativeと、これからインスピレーションを得たいろんなツールにより、オープンソースのコードベースを軸とする新しいアプリ開発の時代が始まる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebook、ウェブ版メッセンジャー専用サイトを公開(現在は英語版のみ、順次拡張)

ウェブでFacebookのメッセンジャーを使おうとすると、ニュースフィードに次々に表示される新しい投稿や通知に気が散りがちだ。そこでFacebookはウェブにもモバイル版同様の専用Messengerインターフェイスを作った。今日(米国時間4/8)、Messenger.comがメッセージ専用サイトとしてオープンした。英語版はすでに世界に公開されている。その他の言語のサポートも順次進められる。

もちろん今までどおりFacebook.com内から「メッセージ」を選択することもできるが、Messenger.comは仕事で頻繁にメッセージをやりとりする忙しいユーザーやメインサイトのソーシャル活動は嫌いだが友達とチャットはしたいというユーザーには大いに歓迎されるだろう。Facebookをしなくても世界中の相手と高音質通話ができるなどFacebookメッセージの全機能が使えるようになった。

Facebookの広報担当者は私の取材に対して「デスクトップ版にもメッセージ専用サイトを作ったのはモバイルのMessengerアプリとユーザー体験の共通化を図るためだ」と答えた。

Messenger Web

新しいMessengerサイトは、上のスクリーンショットのように、左側に既存のスレッドが並び、右側に大きなチャット・ウィンドウが表示される。 音声、ビデオ通話、スタンプ、写真の添付などモバイル版で利用できる機能はほとんどすべてデスクトップ版でも利用できる。

ただし現在、ボイス・メッセージの録音と送信、ウェブカメラからの写真の直接送信、新しいMessengerプラットフォームを利用したコンテンツ共有などはまだサポートされていない。 しかしモバイルの場合と同様、Messengerを本体から切り離すことによって、ユーザーに煩雑さを感じさせることを恐れずに他のインスタント・メッセージと競争するための機能の追加ができるようになった。

Messenger Notifications

新Messengerのもう一つの便利な機能はデスクトップへの通知機能だ。メッセージを受信すると小さな通知窓がポップアップするので、すぐにMessengerタブを開いて返信することができる。

Messenger.comのスタートはFacebookが買収したWhatsAppが1月にウェブ・インターフェイスをリリースしたことに連動するものだろう。Facebookのユーザーベースが急速にモバイル第一化し、チャットがユーザーの日常生活に組み込まれるに連れて、あらゆるプラットフォームで快適なメッセージ・インターフェイスを提供する必要性が高まっていた。

ではFacebookは将来、Messenger専用のデスクトップ・クライアントを開発するだろうか? 専用アプリなら、そうでなくても混雑したブラウザを経由せずに、ワンクリックでチャットが始められるので便利だ。可能性はあるだろう。

〔日本版〕Facebookの「設定」から主要言語を「英語」に変えただけでは新しいデスクトップ・メッセンジャーは利用できないもよう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、eコマース機能を着々強化中―巨大ショッピング・ポータルが出現?

オンラインでショッピングするのが「いいね!」をするのと同じくらい簡単になったらどうだろう? たぶんわれわれはそのサイトでずいぶんたくさん買い物をすることになるだろう。そういうショッピング・ポータルになることに成功したサービスは単に手数料を稼げるだけではない。人々が何を買うかに絶大な影響力を振るえることになる。eコマースに関するFacebookの最近の動きはそのような方向を示唆しているかもしれない。

facebook-ecommerce

Facebookは2014年のF8カンファレンスで eコマースをスピードアップすることを目標の一つに揚げた。

先月、Facebookはメッセンジャー内に支払い機能を導入した〔現在アメリカのみ〕。メッセージのスレッドに表示される“$”ボタンをクリックして金額を入力するだけでその金額が即座に友達に送金される。

便利な機能だが、これは手始めにすぎないと見るべきだろう。

このメッセンジャー送金機能で、Facebookはデビットカードとユーザーのアカウントを結びつけた。重要なのはクレジットカードやPayPalなどの従来の支払い手段と異なり、デビットカードではFacebookは一切手数料を取らないという点だ。パスコードによる保護や送金履歴などセキュリティー対策も十分に行われている。

Facebookはこの迅速・無料の送金手段を向こう数年の間に事業の新たな柱に据えていくだろう。.

payments-in-messenger

小売ビジネスも新たなチャンネルを熱望している

最近、Facebookはマーチャントとの関係の強化をはかっている。これまでのようにマーチャントを外部の企業として扱うというより、むしろFaceookの人間のユーザーに近い扱いをするようになってきた。

Autofill

Facebookは2014年にAuto-Fill機能を公開した。これはパートナーサイトでショッピングするときにAuto-Fillをボタンをクリックすると住所、氏名、支払情報などがFacebookのユーザー情報を利用して自動的に書き込まれるというもので、ユーザーは長々しい入力をしないですむ。

FacebookはまたBuyボタンの実験を行っている。これはFacebookを離れることなく、ニュースフィードに表示された広告から直接ショッピングができるというものだ。

fb-buy-screen

今年2月にFacebookはeコマース向けに新しくプロダクト・広告を提供し始めた。これまでの広告ではマーチャント全体か単一の商品しか広告できなかったのに対して、新しい広告ユニットでは複数のプロダクトを一度に広告できる。

またFacebookは先月、カスタマイズ可能なショッピング検索エンジンのTheFindを買収した。これによってFacebookはユーザーがどんなプロダクトに興味を持っているかより正確に知ることができるようになり、広告ターゲティングの精度向上に役立つはずだ。たとえばヒッピー的ライフスタイルに興味を示すユーザーにはヨガマットの広告が効果的だろう。

shutterfly

Facebookの新しい複数プロダクト一括広告

そして数週間前、Facebookは小売業者を人間の友達のような親しみやすい存在にするためにきわめて野心的な手を打った。ユーザーが業者にメッセージを送れるようにする計画が発表された。F8デベロッパー・カンファレンスでプレビュー版が公開されたMessenger For Businessでは 、ユーザーはメッセンジャーを通じてショップに注文したり、発送の通知を受け取ったりできる。またメッセンジャーでさまざまなカスタマー・サポートを受けられる。

これらの動きはFacebookが総合的なショッピングポータルに一歩一歩近づいていることを示すものだ。

screen-shot-2015-03-25-at-10-53-11-am

ゼロフリクションのeコマースを目指して

pay-settings

そしてさらに重要なのは、最初に述べたメッセンジャー内でのデビット・カードによる支払いとeコマースが統合されたらどうなるかという点だ。

上で見てきたように、Facebookはユーザーに代わってサードパーティーに対し支払いの認証を行い、ユーザー情報を入力する能力をすでに備えている。ユーザーは住所、氏名、電話番号、。クレジットカード番号等々を入力する必要がない。発注確認、レシート、発送ずみ通知、注文キャンセル、クレームなどはすべてメッセンジャーでやりとりできる。

こうなればFacebook自体が巨大なショッピング・モールになるだろう。ユーザーはFacebookを離れることなく必要なものをなんでも買えるようになる。

実現までにはそれなりの時間がかかるだろうが、Facebookがそのようなゼロ・フリクションのeコマースを提供するようになったところを想像してみよう。今までのFacebookのeコマースは次のようなステップを踏んでいた。

  1. ストア、あるいは単一のプロダクトの広告が表示される
  2. 広告をクリックし、ストアが表示されるのを待つ
  3. 商品を選ぶ
  4. 支払い情報、送り先情報などを手入力する
  5. 注文手続きを完了する
  6. メールでレシートを受け取る
  7. 変更や問い合わせがあればメールか電話を使う
  8. メールで発送ずみ通知を受け取る

それがこうなるだろう。:

  1. ユーザー向けにターゲットされた商品の広告が表示される
  2. “Buy”ボタンを押す
  3. 配送先など必要情報が自動入力され表示されるので確認ボタンを押す
  4. メッセンジャーに注文確認、レシート、発送通知などを受け取る。キャンセル、クレーム、問い合わせなどはすべてメッセンジャーから行う

このeコマースのフローは通常の物品だけでなくタクシーを呼んだりチケットを購入したりするのにも使える。F8カンファレンスに先立って私はFacebookがメッセンジャー・プラットフォームの上でサードパーティーがアプリを開発できるようにする計画についてレポートした。その後Facebookに近い情報源から、Facebookはこのプラットフォーム上で、オンデマンドタクシー・サービスのようなアプリの開発に興味を示していると聞いた。

eコマースではユーザーの手数か減れば購買量は増える。Facebookは単に広告を売るビジネスモデルからゼロフリクションのeコマースサイトへ自らを拡張していくかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、ビデオ・コラボ・アプリ、Riffをリリース―20秒のビデオを撮り、友達を招待して続きを追加してもらおう

しばらく前に流行ったハーレムシェイクのビデオを覚えているだろうか? 今日(米国時間4/1)、Facebookが iOSAndroid発表した新しいアプリ、Riff (Androidのみ日本語版あり)を使えば、友達を巻き込んだビデオのクラウドソースが簡単にできる。

まずRiffで最長20秒までの動画を撮影する。タイトルには友達に次に何をしてもらいたいかを書く。たとえば「変顔して」とか「ジョニーに誕生日のお祝いを言う」などだ。友達のRiffアプリには招待の通知が来る。通知にはオリジナルのビデオが添付されている。招待された友達は依頼に従って新しいシーンを追加する。

Riffのプロダクト・マネージャー、Josh Miller は私の取材に対して、「適切なツールがあれば創造的なコラボレーションは爆発的に広がる可能性がある。20秒の短いビデオクリップがきっかけとなってFacebookの友達のサークルから大きなプロジェクトが生まれるかもしれない。その成果はFacebook上だけでなくインターネットのどこでも共有できる」と説明する。

ダウンロードはこちらから。下のGIFのようにビデオが追加される。

balancing-act-with-titles-2 2

こちらのRiffビデオはブロードウェイで上演中のミュージカル、「パリのアメリカ人」の出演者がファン向けに楽屋の様子を撮影したもの。

新しいミーム生成ツール

筋萎縮性側索硬化症の研究支援のために氷水をかぶって動画をアップするアイス・バケツ・チャレンジは2014年の4月から7月までの間にFacebookのビデオを50%成長させ、一日のビデオ再生回数が10億回に達した。Facebookが生成、共有する専用ツールを作ってこうした「ミーム」をホストすれば、膨大なビデオ・エンゲージメントを獲得できる可能性がある。ビデオ広告の販売にも好影響を与えるだろう。そこでMillerを始めとするFacebookのロンドン・オフィスの有志エンジニアが時間外のプロジェクトとして開発を始めたのだという。

Watch And Add

Riffの機能

Riff Share

Riffを使うにはいくつかの制限に従う必要がある。

  • ビデオはRiffアプリで撮影すること。外部からのアップロードはできない。3-2-1のカウントダウンが終わると同時に撮影開始する。撮影は中断できない。1回で必要な撮影を終わらせること。公開する前に再生して確認することはできるが、編集はできない。
  • Riffビデオに対しては「いいね!」やコメントはできない。Riffの目的は友達にビデオを追加させることなのであえて機能は最小限に絞ってある。
  • 視聴者は興味を持てないビデオはタップして早送りできる(Snapchat Storiesに似ている)。
  • ビデオを追加できるのはオリジナルの作成者に指名された協力者と撮影者の友達のみ。一挙に評判になるのではなく、ソーシャルグラフを通じて徐々にバイラル効果が広がることを狙っている。
  • オリジナルビデオの作成者はビデオスレッドを管理できる。「…」ボタンをタップすると不適切なビデオを削除できる。スレッドの参加者は特定のクリップの内容に問題があることをFacebookに報告できる。一般Facebookユーザーの場合はビデオスレッド全体について問題があると報告できる。
  • ローンチの時点でサポートされるのは以下の言語。英語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語、イタリア語、タイ語、ベトナム語、日本語、ポーランド語。

これまでにもRiffに似たコラボラティブ・ビデオ・ツールはいくつか発表されてきたが、いずれも成功を収めることはできなかった。またRiffを開発したFacebook Creative Labsの前回のプロジェクトSling Shotも失敗に終わっている。しかしコラボラティブ・ビデオ・ツール自体には大きな可能性があり、いずれはキラー・アプリが現れるはずだ。Riffがそうなるかどうか注目したい。

AppAnnie Slingshot

Facebook Creative Labs’ last content creation app Slingshot sank like a stone, according to AppAnnie

もっとも開発者のMillerは「単に大勢が利用するようになるだけがRiffの成功の基準ではない。われわれはRiffを通じて人々がビデオをどのように共有するか、どのようなビデオに関心が集まるか、ビデオ共有のためにどんなツールを望んでいるかなどを詳しく学ぶことができる」と語った。 さらにMillerは「このアプリはわれわれの実験的なサイドプロジェクトであり、開発は非常に楽しかった」と述べた。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

FacebookがAndroidデベロッパ向けに便利なオープンソースツール3種をローンチ

今週行われたFacebookのデベロッパカンファレンスF8で発表されたものの多くがiOS関連だったが、今日(米国時間3/26)はAndroidデベロッパ向けに三つのオープンソースのツールがリリースされた。

最初のYear Classと名付けられたライブラリは、ユーザが使っているデバイスの古さ新しさに合わせてデベロッパがアプリの機能を自動的に変えられる。たとえば古いデバイス向けにはアニメーションの方式を変えたり、最新のスマホ向けには美麗な表示機能を有効にしたりする。Year Classは生物個体の出生年別分類を表す“年級”という意味で、CPUのスピードやコアの数、RAMのサイズなどから、ユーザデバイスがどんだけ古いか新しいかを判断する。下図は、各年の代表的な機種だ(もちろんAndroidに限定)。

第二のツールNetwork Connection Classは、同じくClassでも出生年ではなくネットワーク接続のクォリティを表す。たとえばHSPAという言葉は、実際の接続速度を表していない。Facebookによると、HSPAの実効速度には最大で5倍の開き(差)がある。

そこでデベロッパは、このツールを使ってユーザごとの実効速度を知り、アプリの機能を調整できる。Year Classに比べるとセットアップのためのコードが多くなり、また実効速度を知るためには最初にかなりの量のデータを集めなければならない。

第三のツールFrescoは、Androidアプリ用の画像ライブラリだ。とくに、アプリが複数の画像をロードしようとしたときに、巧妙なメモリ管理と画像のストリーミングにより、メモリ不足に陥らないようにする(GIFアニメなんかは、サイズが大きくなりがちだ)。

そのほかこのライブラリには、プレースホルダを表示する機能や、画像をキャッシングする機能がある。技術的な詳細は、ここで読める。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa


F8:FacebookのAquilla大型太陽光ドローンはインターネット接続を万人に提供する

今日(米国時間3/26)はFacebookのデベロッパー・カンファレンス、F8 2015の2日目だが、今朝のキーノートでCTOのMike Schroepferkが何十億人もの人々に新たにインターネット接続を届けようとする同社の試みのカギとなるハードウェアを明かした。

Aquila〔ラテン語でワシの意味〕というコードネームで呼ばれる巨大ドローンは翼幅がボーイング767ほどもある。しかし極めて軽量の素材を用いるので、重量は自動車1台分程度だという。

今日のF8ではこの他にもオープンソースの開発ツール、React Nativeやビデオやテキストのコンテキストを理解する新しい人工知能のデモも行われた。

Aquilaが信じられないほど軽いのは、太陽光を動力源に連続して3ヶ月も滞空しなければならないからだ。大型ドローンを6万から9万フィート〔18kmから27km〕の高空に長時間飛ばすだけでも難しい課題だが、Facebookの目的はこのドローンを利用して地上の人々にインターネット接続を提供しようというところにある。

Aquila is the first complete concept we’ve seen come out of Facebook’Facebookがイギリスのドローン・スタートアップAscentaを主として人材獲得のために買収したのは約1年前になるが、その成果がまとまった形で公表されたのは今回が最初だ。〔Googleも同じ頃インターネット接続提供のためにドローン・スタートアップ、Titan Aerospaceを買収している。〕Aquilaはこの夏にも試験飛行が予定されているが、実用化開始までにはさらに数年かかるもようだ。

画像: Harvest Zhang/Facebook

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


PlayStation 4のアップデートでゲームの中断/再開ができるようになった、外部ハードディスクへのバックアップも

Sony PlayStation 4の最新アップデート”Yukimura”には、プレイヤー待望のSuspend/Resume(中断/再開)機能がある。一時停止するとPS4はRest Mode(休憩モード)に入り、再開すると、さっきやめたところから始まる。

このSuspend/Resume機能を使うと、いちいちセーブしてからアクションを止めなくてもよい。またRestModeで低電力消費の静止状態に入っても、何ごともなかったかのように蘇生する。これまでは、こういう一時的なポーズをするためには、メニューを開いて何かをチェックするふりをする必要があった。メニューが開いている間(かん)、ゲームはフリーズする。

YukimuraすなわちPS4のソフトウェアのバージョン2.50には、本体のHDDの内容を外部のUSBドライブ(ハードディスクやSSD)に/からセーブ/リストアするバックアップ機能が加わった。設定も、保存したデータも、ゲームのスクリーンショットも、パッチもダウンロードも、…システムのすべてをバックアップできる。

保存したデータのバックアップは前にもできたが、それはUSBのフラッシュドライブだけで、しかも新たなセットアップ(あるいはリセット)が必要ならシステムデータをPlaystationのサーバからダウンロードする必要があった。経験者として言えば、それはかったるいプロセスであり、システム全体をモバイルのSSDから単純にロードできるようになったのは、ほんとに良いことだ。

PSNの上の友だちを、Facebookのアカウントから探せる機能も加わった。また進行中のゲームに加わったり、招いたりするのも、前より簡単にできるようになった。自分のTrophy情報をFacebookやTwitterなどでシェアできる。Dualshock 4のボタンのレイアウトをカスタマイズできる。さらに、障害者のためのテキスト読み上げやグラフィカルな表示機能などもある。

ほかに、次のようなものも新たに加わった: (Sonyのサイトより)

  • リモートプレイとシェアプレイ**: 60fpsをサポートしているゲームでは、リモートプレイやシェアプレイのゲームを60fpsのデバイスにストリームできる。

  • システムソフトウェアのアップデートを自動インストール: 将来のシステムソフトウェアのアップデートは自動的にインストールされる。

  • サブアカウントのアップグレード: 18歳以上のユーザはPS4上のサブアカウントから直接、マスターアカウントをアップグレードでき、チャットの制限を取り除いたり、ウォレットにファンドを加えたり、コンテンツを買ったり、いろいろできる。

  • 公認アカウント: デベロッパやプロデユーサーやゲームデザイナーやコミュニティのマネージャなど、ゲーム業界のプロフェッショナルとして公認されているアカウントはバッジをつけて表示される。

  • Dailymotion.com: SHAREボタンでビデオクリップをDailymotionに直接アップロードできる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa


無理のないエラスティックな分散ストレージプラットホームHedvigがステルスを脱して$12Mを調達

新しいストレージプラットホームのローンチが、それが分散型という珍しいタイプのものであっても、人の胸をときめかせることはないと思うが、今日ステルスを脱して新たな資金調達を発表したHedvigには、ちょっと気にしてみたくなるすごい血統がある。HedvigのファウンダAvinash Lakshmanは、FacebookでCassandraを発明し、Amazonでは他と共同でNoSQLデータベースDynamoを発明した人物なのだ。スケーラブルな分散ストレージの作り方を知っている人といえば、それはたぶんLakshmanのことだ。

同社の今日の発表によれば、シリーズAで1250万ドルを調達し、ラウンドを仕切ったのはAtlantic Bridge Capital、これにTrue VenturesとRedpoint Venturesが参加した。この資金は同社の初のプロダクトの市場展開と、技術営業両面における陣容拡大に投じられる。

Hedvigの核となる考え方は、これまでのストレージでは、今日の企業が日々作り出しているデータの膨大な累積量とその増加になめらかに対応できない、というものだ。対してHedvigの分散プラットホームでは、ストレージの拡張が必要に応じて簡単にできるし、ストレージのアーキテクチャを頻繁に組み直す必要もない。

Lakshmanはこう書いている: “Hedvigは、企業が最初からすべてを分かっていると想定して、多くの時間と労力と予算を押し付け、やがて時の経過とともにそれが陳腐化する、というやり方を採らない。むしろ、まず既存のストレージ資産に無理なく適応し、その後、必要に応じて未来のストレージの購入もできる、という方式を提案する。そのストレージは、プロプライエタリなものでも、コモディティでも、どちらでもよい”。

Hedvigの主張によると同社のストレージソリューションは、ハードウェアとコンピューティング環境を特定せず、レガシーシステムでも仮想化システムでもクラウド環境でもどこでも利用できる。ユーザには“AWS的にシンプルな”利用インタフェイスを提供する(AWSのインタフェイスがシンプルだと言うAWSユーザはほとんどいないと思うが)。ストレージのプロビジョニングはアドミン自身が簡単にやれて、また社内社外のユーザにセルフサービス型のアクセスを提供できる。小さな展開からペタバイト級へのスケーリングも容易であり、データはその企業の方針によりオンプレミスでもパブリック/プライベートなクラウドでも、どこにあってもよい。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa


Facebook、Messengerプラットフォームを公開。コンテンツ作成や企業との対話に利用


今日(米国時間3/25)のF8カンファレンスで、Facebookは新たにMessengerプラットフォームを発表した。6億人のユーザーがサードパーティーツールを使ってコンテンツを作成、共有して、企業に電話やメールをすることなく直接対話できるようにするものだ。ESPN、JibJab、Giphyらの初期パートナーから提供されるコンテンツツールは、今日から利用できるようになる。Facebookは、限られたパートナーとビジネスチャット機能を開発中で、いずれ公開される模様だ。

本日Facebookは、Messenger上の体験を提供するデベロッパー向けに、SDKを公開した。

この発表は、Facebookがコンテンツに焦点を当てたMessengerプラットフォームを作るという、先週私が報じたスクープと一致する。Facebook Messengerの責任者、David Marcusは、「6億人規模のメッセージングプラットフォームをデベロッパーに開放するのは、欧米では初めてだ」と語った。

Facebookは、Parseデベロッパー、広告主、ウェブサイト、およびニュースフィードに関しても、数多くの新機能を公開した。発表の全容は本誌の“Everything Facebook Launched At F8″で見ることができる。

Messengerコンテンツアプリ

Messengerコンテンツアプリは、Messengerの入力ボックスの写真やスタンプアイコン横の「…」ボタンから利用できる。Messenger対応アプリをアプリストアからダウンロードするための直接リンクも置かれている。ユーザーはそれらのアプリを使ってGIFアニメや特殊効果を入れたビデオを作ったり、コンテンツを発見したら、すぐにそれをMessenger経由で友達にシェアできる。

初期のMessengerコンテンツアプリパートナーは以下の通り:ESPN, Bitmoji, JibJab, Legend, Ultratest, Ditty, Giphy, FlipLip, ClipDis, Memes, PicCollage, Kanvas, JJ Abrams’ studio Bad Robot’s Action Mobie FX, Boostr, Camoji, Cleo Video Texting, Clips, Dubsmash, Effectify, EmotionAR, EMU, Fotor, Gif Keyboard, GifJam, Hook’d, Imgur, Imoji, Keek, Magisto, Meme Generator, Noah Camera, Pic Stitch, PingTank, Score! on Friends, Selfied, Shout, StayFilm, Facebook Stickered, Strobe, Tackl, Talking Tom, Tempo, The Weather Channel, to.be Camera, およびWordeo。

こうした機能をMessenger自身に追加すればユーザーは邪魔に感じたり混乱したりする恐れがあるが、Messengerプラットフォームアプリは、独立したコンパニオンアプリとして動作する。

「たとえ今日パートナーと共に追加した機能の1/10でも、われわれが[直接Messengerに]追加していたら、ひどく遅くなってしまうだろう」とMarcusが私に言った。「使いたくない人は、使うことを強制されない…なぜなら新しい体験はMessegner内部にはないからだ。アプリ全体の体験が大きく膨らむのではない」。

パートナーを選ぶために、Facebook社員らは様々なクリエイティブアプリを試し、気に入ったものを選び、連絡を取った。Marcusによると、「殆どのアプリが底力を発揮して記録的な時間で完成させた」。そして、メッセージを送れるのはユーザーだけでアプリ自身ではないのでスパムの心配はない、とMarcusは信じている。

鮮烈なシェア方法を用意することによって、MessengerはSMSや他のメッセージアプリ、WeChat、Line、Kik、KakaoTalk、Google Messenger等と差別化しようとしている。FacebookはMessenger自身で収益化はしないが、Facebookやニュースフィードの利用を促進することが広告収入の増加につながる。

顧客から企業へのチャット

Facebookは、Messengerによる個人対企業コミュニケーションの再発明を目指している。要するに人々は電話のプッシュ音でカスタマーサポートのツリーをたどるのが嫌いだ。無限に続くメールのスレッドも面倒だ。1本のチャットスレッドに匿名でテキストメッセージを送る方が良い。

そのためにFacebookは、初期パートナーのEverlaneとZulilyと協力して、顧客と企業の対話方法を変えようとしている。例えば、Everlaneで何かを買った後、注文内容を変更したいときはMessengerを通じて店に連絡できる。

また、注文の確認メールを何通ももらう代わりに、Messengerでメッセージを受け取ることができる。

カスタマーサポートは、ZenDeskの統合のおかげでMessengerを使えるようになう。すでにカスタマーサポート用のライブチャットシステムを利用している企業も、Messengerに乗り替えることができるだろう。

企業は、自身で専用アプリを持っていなくても、Messenger経由で顧客にプッシュ通知を送れる。

従来厄介者だった顧客-企業コミュニケーションを取り込んでプラットフォームへの囲い込みを推進できるだけでなく、FacebookはEコマースの価値ある洞察を得ることができる。Facebookは、誰が何を買いどの企業と接触しているかを知れば知るほど、広告のターゲットやニュースフィードコンテンツの調整が正確になる。

プラットフォームの企業利用をFacebookがどう収益化するかについて、Marcusは私にこう話した、「現時点では考えていない。しかし時間と共に、消費者にとっての問題を解決し、企業が顧客に接触する良い方法を用意することができれば、良いビジネスモデルが見つかるだろう。両者にとっての問題を解決することが重要だ」。

新たなアプリ発見手段

Messengerプラットフォームは、Facebookへの固定化を促進し、ユーザーの自己表現を助け、カスタマーサポートの問題を解決する可能性を持っているだけでなく、アプリデベロッパーにも膨大な影響を与えるかもしれない。

現在アプリストアはゴミで埋め尽され、高品質の製品を見つけるのは困難だ。Messengerプラットフォームは、選ばれた良質アプリを発見する方法を生み、デベロッパーのビジネス構築に必要な公開の場を提供するだろう。

Marcusは、Messengerコンテンツアプリプラットフォームが解決する2つの大きな問題は、「(1) アプリの発見が簡単ではない、(2) シェアが難しい」であると説明する。ユーザーが既に持っているアプリでさえ、それを探して立ち上げ、何かを作り、カメラロールに保存し、目的のメッセージスレッドを探し、コンテンツをアップロードして、ようやくシェアできる。Marcusは、「われわれは優れたコンテンツを作りあるいは見つけることと、それを友達と共有することの距離を縮めた」と強調した。

Facebookは、世界一のメッセージングアプリになるためには自分だけで全部はできないことを知っている。サードパーティーデベロッパーや企業と協力して、コンテンツや商用価値を高めることによって、Messageは単なるチャットアプリの枠を越える。それは、人と世界全体をつなぐコミュニケーション・レイヤーになろうとしている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Facebook F8カンファレンス、初日のまとめ

今日(米国時間3/25)、Facebookのデベロッパー・カンファレンスF8が開幕した。初日の主要な発表をまとめてお送りする。大小さまざまな発表があったが、ここでは特に重要なものを選んで簡単に紹介する。

画像をクリックするとさらに詳しい元記事iにジャンプする〔日本版記事がある場合は日本版に飛ぶ〕。

メッセンジャーのプラットフォーム化

先週、われわれが全力を挙げてスクープに成功したとおり、 FacebookはMessengerをプラットフォームとしてデベロッパーに開放することに踏み切った。これによってデベロッパーはMessengerに新たな機能を追加できるようになる。GiphyのようなリアルタイムGIF画像検索、ボイスメッセージの声をいろいろに変える、チャットしながらお絵かきして友達に送れるようにする、など応用は無数に考えられる。Messenger内にミニ・アプリ・ストアができたようなものと考えるとよいだろう。

新しいリアルタイム・コメント・システム

Facebookを利用したブログのコメントシステム(この記事の下にも設置されている)はたいへん実用性の高い機能だが、リリース以来アップデートがないままかなり時間がたつ。

今日のアップデートで、ブログとFacebookページでコメントがリアルタイムで同期するようになった。つまりこの記事の末尾のコメント欄にコメントすると、すぐにTechCrunchのFacebookページにもそのコメントが反映する。

FBビデオがエンベッド可能に

FacebookはYouTubeの縄張りにも侵入しよとしている。Facebookビデオが他サイトに簡単にエンベッドできるようになった。もしかするとこれによってYouTubeにはアマチュアのホームビデオ的な投稿が減るかもしれない。Facebookはエンベッド・ビデオにも広告を表示するのだろうか? おそらくそうなるだろう。

360°全周ビデオ

面白いことに、Facebookは3D全周ビデオをニュースフィードでサポートすると発表した。ユーザーはビデオの再生中、マウスのカーソルで視点をあちこち動かすことができる。普通のディスプレイで全周ビデオを表示してもそれほどのインパクトはないが、カギはFacebookが買収したOculus Riftにある。バーチャル・リアリティー・ヘッドセットを装着して360°全周ビデオを再生するとそのインパクトは強い。FacebookはニュースフィードのVR化を狙っているのだろう。

あと10年くらいするとパパが子供にこんなことを言っているかもしれない。

「パパの若い頃はみんなでいっしょに>映画を見たんだぞ。みんなで同じスクリーンを見たんだ。そのスクリーンは平らだったんだ!」「わかったよ、パパ。いいからRiftを返してよ」

ParseはIoTのSDK

われわれは全速力でInternet of Things〔モノのインターネット〕の時代に突入しようとしている。コーヒーメーカーから冷蔵庫、照明、家のドアまでがインターネットに接続された世界だ。しかしモノのインターネットの規格化、標準化(そして当然相互運用性の確保)に関してはまだほとんど実績が挙がっていない。.

今日のF8でFacebookはParse for Internet Of Thingsを発表した。 これはさまざまなIoTプロジェクトにバックエンドを提供するSDKだ。相互運用性に関しても、まずArduinoをサポートし、順次範囲を拡大していくという。

LiveRail

去年、FacebookはLiveRailを買収した。これはサイトやアプリ内の広告スペースを入札によって販売する広告マーケットプレイスだが、今回、2つの変更を行った。まずビデオに加えてモバイル・ディスプレイ広告をサポートした。また広告のターゲティングのために匿名化されたFacebookのユーザー・データが利用できるようになった。

アプリのアナリティクス

Facebookはアプリとユーザーについてもちろん膨大な情報を持っている。今回Facebookはその一部をデベロッパーに公開し、どんな人間が彼らのアプリを使っているのか判断する手助けとすることを決めた。自分たちのゲームのプレイヤーは女性が多いのだろうか? ティーンエージャーの割合は? ティーンエージャーのアプリ内購入の平均は? アプリ内購入者の平均年齢は20代だろうか? Facebookの新しいアナリティクス・プラットフォームはそうした疑問に答えてくれるという。

明日のF8、2日目のレポートをお楽しみに。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+