企業にとって、気候変動と戦うための第一歩は、自分たちがそれにどれだけ貢献しているかを知ることだ。Y Combinatorを最近卒業したSINAI Technologiesは、その理解を助けてくれる企業だ。
創業者のMaria Fujihara(マリア・フジハラ)氏は持続可能性産業と16年つき合ってきたベテランで、最近では企業のLEED認証への適合を促進するための一連のツールを作ってきた。SINAIは認証ツールを国際市場に適合させるための長年の取り組みの成果であり、またこの5年間はSingularity University(シンギュラリティ・ユニバーシティ)で炭素排出プロファイルに関する研究を行っている。
フジハラ氏は「会社を起ち上げたときに、カーボンオフセットを始めた。最近の3年ぐらいで企業も政府も炭素排出量を計算しており、自らの炭素排出量と炭素インベントリを知り、自分の炭素インベントリを使って炭素クレジットを買うようになった」と語る。
そして彼女によると、その市場は成熟して多くの企業が参加するようになっているという。「それでも排出量は、過去6年間増える一方でまったく減らない。減らすためのソリューションを考えなかったからだ」と彼女は言う。企業は炭素排出量の測定にばかり集中して、さまざまなポリシーによる削減方法を見出さなかった。ビジネスのどの部分をターゲットにすべきかについても考えなかった。しかし「それぞれのビジネスをユーザーシナリオとして理解すれば、彼らのヴァリューチェーンの中で排出量を減らせる」という。
SINAIのサービスは企業における排出量関連のさまざまな報告書作成やデータ取得を自動化して、わかりやすいかたちでモニタできるようにすることだ。「財務分析と似ているが、対象はお金ではなくて環境分析だ。しかも四半期ごとではなくて、年に1回行う」とフジハラ氏は言う。
現在同社は製造業、運輸業、アパレルとリテール、食品と飲料、そして不動産という5つの業界にフォーカスしている。同社の声明によると「炭素循環の構成要素は、炭素排出インベントリ(フットプリント)の作成、オプションの適切な選択により低炭素シナリオを作る、カーボン削減のターゲットを設定する(科学的でない視点も含む)、炭素予算を計算する、今後可能性がある炭素税を分析する、最適最善の炭素価格を定義する、そして外部的シナリオ(国内的国際的政策へのコンプライアンスに基づくもの)を分析することだ。
フジハラ氏の共同創業者であるAlain Rodriguez(アラン・ロドリゲス)氏は、現在、気候問題に取り組んでいるUberの20名の技術者の1人だ。SINAIの声明によると「基本的に我々は気候問題に財務分析の方法論を結びつけて、排出の削減と低炭素技術の実装に伴うコストの管理を行う。そのコストは企業の炭素価格のベースになる。この方法ではさまざまな要素が互いに依存し合っており、炭素循環のどの段階にある企業でも分析でき、その一歩一歩における価値を提供する」という。