財務分析を応用して企業の炭素排出量削減を助けるYC卒のSINAI

企業にとって、気候変動と戦うための第一歩は、自分たちがそれにどれだけ貢献しているかを知ることだ。Y Combinatorを最近卒業したSINAI Technologiesは、その理解を助けてくれる企業だ。

創業者のMaria Fujihara(マリア・フジハラ)氏は持続可能性産業と16年つき合ってきたベテランで、最近では企業のLEED認証への適合を促進するための一連のツールを作ってきた。SINAIは認証ツールを国際市場に適合させるための長年の取り組みの成果であり、またこの5年間はSingularity University(シンギュラリティ・ユニバーシティ)で炭素排出プロファイルに関する研究を行っている。

フジハラ氏は「会社を起ち上げたときに、カーボンオフセットを始めた。最近の3年ぐらいで企業も政府も炭素排出量を計算しており、自らの炭素排出量と炭素インベントリを知り、自分の炭素インベントリを使って炭素クレジットを買うようになった」と語る。

そして彼女によると、その市場は成熟して多くの企業が参加するようになっているという。「それでも排出量は、過去6年間増える一方でまったく減らない。減らすためのソリューションを考えなかったからだ」と彼女は言う。企業は炭素排出量の測定にばかり集中して、さまざまなポリシーによる削減方法を見出さなかった。ビジネスのどの部分をターゲットにすべきかについても考えなかった。しかし「それぞれのビジネスをユーザーシナリオとして理解すれば、彼らのヴァリューチェーンの中で排出量を減らせる」という。

SINAIのサービスは企業における排出量関連のさまざまな報告書作成やデータ取得を自動化して、わかりやすいかたちでモニタできるようにすることだ。「財務分析と似ているが、対象はお金ではなくて環境分析だ。しかも四半期ごとではなくて、年に1回行う」とフジハラ氏は言う。

現在同社は製造業、運輸業、アパレルとリテール、食品と飲料、そして不動産という5つの業界にフォーカスしている。同社の声明によると「炭素循環の構成要素は、炭素排出インベントリ(フットプリント)の作成、オプションの適切な選択により低炭素シナリオを作る、カーボン削減のターゲットを設定する(科学的でない視点も含む)、炭素予算を計算する、今後可能性がある炭素税を分析する、最適最善の炭素価格を定義する、そして外部的シナリオ(国内的国際的政策へのコンプライアンスに基づくもの)を分析することだ。

フジハラ氏の共同創業者であるAlain Rodriguez(アラン・ロドリゲス)氏は、現在、気候問題に取り組んでいるUberの20名の技術者の1人だ。SINAIの声明によると「基本的に我々は気候問題に財務分析の方法論を結びつけて、排出の削減と低炭素技術の実装に伴うコストの管理を行う。そのコストは企業の炭素価格のベースになる。この方法ではさまざまな要素が互いに依存し合っており、炭素循環のどの段階にある企業でも分析でき、その一歩一歩における価値を提供する」という。

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産業用ロボット大手ファナックがAI利用でオートメーションをオートメーションする

工場等の製造工程はオートメーションによってすでに相当合理化されているが、しかしそれらのマシンは有能な技術者が苦労して訓練しなければならない。産業用ロボットの大手ファナックは、ロボットをもっと訓練しやすくして、オートメーションを製薬などより幅広い産業が利用できるものにしたい、と考えている。同社は米国時間4月18日に行われたTechCrunchのイベント「Robotics + AI Sessions」で、人工知能を利用する新しいツールを発表した。それは、簡単なアノテーションとセンサー技術によりロボットに容器から正しいオブジェクトを取り出すよう教え、訓練工程を従来より数時間も短縮する。

Bin-picking(ビンピッキング、より単純にはピッキング)はその名のとおり、ロボットアームを容器(bin)から正しい品物を取り出せるよう訓練して、一括注文した部品を正しく選り分けるなどの面倒で時間のかかる仕事をやらせる。そのために部品のサンプルを写真に撮り、ロボットが視覚センサーで目の前の部品とマッチできるようにする。従来のビンピッキングロボットの訓練では、正しいパーツを取り出せるようにたくさんのルールを教えなければならない。

ファナックのロボット事業本部本部長の稲葉清典博士はこう語る。「以前はそのためのルールを作るために大量の試行錯誤ややり直しが必要で時間もかかり、とても面倒だった」。

たとえば積まれた部品の山を見て、そこに目的の部品を見つけるためのルールがある。あるいはその中でいちばん目立つもの、目立つという概念を教えなければならない。エラーを犯したら人間オペレーターがそのことをロボットに教え、訓練をやり直す。オートメーションを導入してまだ日の浅い産業では、ロボットを訓練するための技術者やオペレーターを確保することが難しい。

そしてそこに、ファナックの新しいAIベースのツールが登場して、訓練工程を単純化する。人間オペレーターは容器に乱雑に放り込まれているパーツの写真を見て、ロボットに取り出させたいパーツの例を画面上でタップする。それは、幼児におもちゃの片付け方を教えるのに似ている。これは通常のAIベースの視覚センサーを訓練する場合に比べてかなり短時間で済み、同時に複数のロボットを訓練できる。

稲葉氏はこう語る。「人間が物を動かすときと同じやり方をロボットに人間オペレーターが教えるのは、きわめて難しい。しかしAIを利用すれば、従来のやり方よりももっと直観的にロボットに教えることができる」。彼によると、この技術はまだ初期的な段階なので、実際に工場の組立ラインで使えるようになるためには、さらなる研究開発が必要、という。

画像クレジット: Bloomberg/Getty Images

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GE Appliancesがクラウドソーシングな製品開発サービスを企業顧客向けに売っていく

GE Appliancesは今や中国の家電メーカーHaierの子会社だが、このたびクラウドソーシングによる製品開発事業をスピンアウトして、企業顧客にそのサービスを提供して(==売って)いくことになった。その企業名は、Giddyだ。

クラウドソーシングは不死鳥のように不滅のアイデアだ。ただし過去数年間では、失敗した企業も少なくない。たとえばQuirkyLocal Motorsのような企業は、メイカーたちのコミュニティからアイデアを得る製品開発ショップを作り、才能のあるアマチュアたちの技術やデザインと、手作りプロトタイピングによる製品を、マスマーケットに向けて売った。

そのような企業がこれまでに調達した資金総額は1億ドルを超えているが、しかしQuirkyは挫折し、1000人の自動車設計エンジニアを育てるというビジョンを掲げたLocal Motorsは失速した。

GE AppliancesもかつてはQuirkyとご縁があったが、今回はそれと同じモデルを企業顧客向けに生かそうとしている。

GE Appliancesはケンタッキー州ルイヴィルの本社に、Quirkyに倣ったFirstBuildという子会社を作った。そしてそれを、新製品のテストに利用しようとした。一部の製品、たとえば新しい製氷機水出しコーヒーマシンは成功して、実際に市販された。

GiddyのCEOに就任したTaylor Dawsonは、声明文でこう述べている: “企業がイノベーションにアプローチする方法はたえず進化している。しかも最近ではますます、会社の四方の壁の外にアイデアを求めようとしている。弊社も新鮮な考え方にビジネスとしてアクセスし、人びとが自分の好きなことをして経験を積んでいくための、機会を提供していきたい”。

一方FirstBuildはルイヴィルから上海に移転してオフィスを拡張し、2018年にはインド進出を計画している。

そしてGiddyはQuirkyとFirstBuildのモデルを取り入れ、モバイルのプラットホームとして企業に売っていく。企業顧客はここに開発テーマをポストして、社員たちや外部設計者/デザイナーにアイデアの開発を訴求する。

その最初のチャレンジ(開発テーマ)はCESで発表する予定で、その詳細はこのページにある。

企業顧客はGiddyに料金を払うのだが、アマチュア投資家やホビイスト、メイカーたちの参加は無料だ。彼らはさまざまなチャレンジの中から、自分の関心に沿うものを見つけて取り組む。

Dawsonは、こう言っている: “テクノロジーはすばらしいが、でもその価値はGiddyのクリエイティブコミュニティにある。そのアーチストたちやエンジニアたちが、テクノロジーのさまざまな価値を提供する。すでに弊社はFirstBuildで、コミュニティとオープンなイノベーションのパワーを経験した。そしてそれがGEの製品にとって有効なら、同じやり方がほかの企業にも有効なはずだ”。

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Apple、米国の先進的製造業の職の拡大に10億ドルのファンドを組成

昨日(米国時間5/3)、CNBCのJim Cramerとの対談でAppleのCEO、ティム・クックはアメリカにおける先進的製造業における職を拡大するために10億ドルのファンドを組成したことを明らかにした。

この決定にはトランプ大統領も大賛成だろうが、Appleがこのプロジェクトを準備し始めたのは大統領選よりはるか前だった。以前からAppleはアメリカにおけるハードウェア製造に投資している。テキサスのMac工場についてはTechCrunchが去年レポートしている。また2013年にAppleは “メイド・イン・USA”として Mac Proを紹介した。これはアメリカ上院のキャンペーンより前のことだ。.

ファンドの組成の発表はやや微妙な四半期決算の発表の直後に行われた。この決算発表では iPhoneとiPadのセールスは予測に届かなかったが、サービスからの収入はアップしており、中国における売上も好調だった。中国市場はこれまでも長くアメリカ企業にとって試練が待ち受ける市場だった。

CNBCのインタビューで、クックはAppleこのファンドからの最初の投資について今月中にも明らかにすると述べた。こうした投資の詳細はまだ不明だ。投資先やこの投資によりファンド、最終的にAppleがどのような利益を得る仕組みなのかについても判明していない。

コンピューターとエレクトロニクスの製造分野にける失業率は平均に較べて低く、2016年12月の労働統計局の数字では 2.2%だった。しかしアメリカでこの分野に従事する労働者数は2007年以来、減少傾向だ。製造業全体ではアメリカの労働力の約9%が従事している。

DeloitteとManufacturing Instituteによる労働者のスキル・ギャップに関する調査では、技能ないし高度な技能を必要とする製造業の職に関する応募者に関して、アメリカのメーカー各社の80%で「中程度の不足」ない「し深刻な不足」を経験しているという。

画像:Justin Sullivan/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Samsungの次世代EVバッテリーは、20分の充電で約500キロの走行が可能

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Samsungのバッテリー製造子会社、SDIが発表した新しい電気自動車用バッテリーは、1回の充電で最大372マイル(526 km)の走行が可能で、わずか20分間の充電で310マイル走れる。北米国際自動車ショウで初めて紹介されたこの新バッテリーは、現在Samsung SDIが製造しているバッテリー製品と比べて、必要なユニット数と重量が10%減るという。

量産は2021年以降の予定だが、同じ頃各メーカーから出てくると思われる自動運転車への塔載には間に合いそうだ。EVと自動運転車は相互に密接な関係を持っている。Fordをはじめとする各自動車メーカーが計画している、オンデマンド相乗りサービスにとって、どちらも決定的に重要な役割を担っている。

20分の充電でそれだけの距離を走れるようになることは、EVがもっと多くのドライバーにとって実用的になる上で大きな意味がある。トイレに行ってコーヒーかお菓子を食べる程度の時間だ。対してTeslaのスーパーチャージャーは、30分の充電で約170マイルなので、Samsungが計画中の技術はおよそ2倍の性能を提供することになる。

TeslaのCTO JB Straubelがスーパーチャージャーを最初に披露した時の話によると、Teslaの長期的目標は充電時間を5~10分にすることで、同社は充電ステーションの理論的最大出力を秘かに強化している(ただしTesla車のバッテリーが受入れられる電力量は今も120 kWhに制限されている)。

Teslaは自社のバッテリーをパナソニックと提携して製造しており、最新世代のバッテリー工場をネバダ州に建設中だ。一方Samsungの新しい2万1700シリンダーセルモデルは、「複数の米国自動車スタートアップ」がEVに使用しているとSamsung SDIは言っている。その中の一社で新しいEV会社のLucid Motorsには、元Teslaの社員が数多く在籍している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

3Dプリンターでセラミックの精密プリントができる…Formlabsがそのための実験システムとツールを開発

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Formlabsの3Dプリンターは、まるで射出成形で作ったような、しっかりした滑らかなオブジェクトを作る。しかし今回彼らは、改良された素材をいくつか加え、その中には、完全にマットで、最適なプリントを得るために配合を変えられるグレーの素材や、あとでふつうに焼成できるセラミックの素材がある。

さらに同社は、メイカーやエンジニアのための実験的なツールキットForm Xをローンチした。

“3Dプリントと弊社のForm 2でどこまでのことができるかを探求し、即興で作ったりできるために、斬新な素材と研究用ツールを用意したい”、と協同ファウンダーのDavid Lakatosは語る。“セラミックのレジンはその好例だ。今の3Dプリントでは、セラミックは、科学的に探究すべき素材の中でもっとも新奇なものの一つだ。セラミックを3Dプリントできれば、これまでのセラミック製造技術ではできなかったような構造や複雑な形が可能になる”。

上のビデオでは、Davidが新しいレジンとシステムについて語り、プリントしたパーツの一部を見せてくれる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

トランプは製造職を取り戻すと約束したが、ロボットはそれを許さない

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賃金の停滞や失業、不完全雇用に苦しむアメリカ人にとって、ドナルド・トランプの最も魅力的な選挙公約は製造業の雇用をアメリカに取り戻すことだった。

政策や関税、地政学といった複雑なことがらの舵とりだけでも、次期大統領にとっては十分大変だ。しかし、テクノロジーはこの公約をほぼ履行不能にするだろう。

なぜか?製造業の仕事は、人間ではなくロボットがすることがますます増えているからだ。

既に海外の自動車、電気、電子産業のメーカーでは、労働力への依存を減らすのにロボット工学が一役買っていると、国連貿易開発会議が最近発行した政策報告書は書いている。

そして、オートメーションによってこれまで東南アジア等で行われていた製造業を米国内で操業することが可能になる。

Rethink Robotics' Baxter.

Rethink RoboticのBaxter.

しかし製造業がこの国に帰ってきても、多くの職がついてくるわけではない。途上国ではオートメーションによって労働者が仕事を失ったことを報告書が指摘しているが、米国も同じ状況に直面するだろう。

興味深いロボット技術を生み出し、国内でも海外でも人々から職を「奪う」側に立つスタートアップたちが、シード資金やベンチャー資金を呼び込んでいる。

例えばハンバーガーを引っくり返すロボットやピザを作るロボットが、Momentum Machines Zumeでそれぞれ作られているし、Rational Roboticsはペンキ塗りロボットを作っている。ModbotBaxterのように、製造業その他の様々な目的にカスタマイズできるロボットを作るメーカーもある。

スタートアップだけではない。NikeAdidasといった有名ブランドが、ロボットと3Dプリンターを導入して靴を作り、下請業者を減らしている。大規模な農場はかなり前からロボットを導入しており、AmazonUPSのような大企業も、物流や倉庫でロボットに大幅に依存している。

Zume's pizza-making robots.

Zumeのピザ作りロボット

国連会議の報告書は「先進国のロボット利用が増えることで、途上国の低い労働コストの優位性が失われる」と説明しており、すでに世界に影響を及ぼしている。

ロボットは生産性を高めるだけではない。海外に工場を設置するためのあらゆる頭痛の種を取り除いてくれる。

国境を越えてメーカーに外注したり従業員を雇ったりするためには、人員、設計、品質、安全、習慣、輸送、規制順守、知的財産権等を遠方から管理するためのコストが発生する。

ロボット技術が進歩するにつれ、「リショアリング」[製造拠点を自国に戻す]の魅力がいっそう高まる。労働力だけでなく管理や法務の諸経費も削減できるからだ。

そしてロボットは当然賢くなっていく。コンピュータービジョンと人工知能の進歩がロボットの実現を約束し、その中にあるソフトウェア頭脳は益々人間に近づいていく。製造現場ではもちろんのこと、身の安全を守ることや接客でさえも。

そう、ロボットのレジ係アシスタント警備員さらには客室乗務員も。

それでも「手作り」の品や、人間が提供するサービスの市場がずっと残ることを願いたい。そしておそらく、元従業員たちに新しい仕事のスキルを教えるためのロボットが必要だろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

鈍重無芸だった3Dプリンターが急にお利口な多芸になるRizeの拡張ポリマー沈着技術

BostonのRize Incが開発した新しいタイプの3Dプリント技術を使うと、プリント後の、長時間かかる、バリ取り、後処理などの作業を省略できる。

The Rize text on the side of this grabby-hand isn't printed on the object - it is part of the 3D printed plastic.

この、物をつかめる手の上部の‘rize’というテキストは、あとからプリントしたのではなく最初の(一回だけの)プリント工程の一部だ。

同社が特許を保有しているこの技術はAugmented Polymer Depositionと呼ばれ、プラスチックにさまざまな機能を持たせることができる。たとえば、3Dプリントされた製品を台から容易に取り出せるようにしたり、製品に染料を注入して図形のあるパーツを作ったり(右図)、部分的に硬度を変えたり、といった超能力を発揮する。

同社のマーケティング担当VP Julie Reeceが説明する: “これまでは不可能だったが、わが社が開発した技術では、3Dプリントしたパーツにさまざまな‘質’を持たせることができる。つまり一回の3Dプリントでできるパーツが、いろんな質を持つことができる。たとえば、ランニングシューズをプリントすることもできるだろう”。

この技術は現在まだベータだが、すでに多様な製品計画があり、数年内に‘質’に関する技術の多様化と、機能性染料の開発も予定している。同社は、ベータテストと今後の次世代型3Dプリンターの市場化のために、シリーズAで500万ドルを調達した。

でも、プリント物の‘質’の多様化とはいっても、まだ牛肉をプリントすることはできないようだ。残念。

©2016 Jon Chomitz Photography 3 Prescott street, Somerville, MA  02143 www.chomitz.com     jon@chomitz.com 617.625.6789

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

生まれる前の赤ちゃんに手でさわれるIn Utero 3DのWaiting Without Barriersプロジェクト

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ポーランドのIn Utero 3Dは、とても愛らしいサービスを提供している。子宮の中の赤ちゃんの形を3Dプリントして、目の不自由なお母さんでも生まれる前の子どもを感じられ、目の健常なお母さんが超音波画像を見て感じるのと同じ喜びを体験できるようにする。

そのプロジェクトはWaiting Without Barriers(障碍のない待期)と呼ばれ、会社はポーランド北部にあるが、利用はヨーロッパ全域で可能だ。同社は1PLN(ポーランド新ズロチ)または1ユーロで、妊娠中のお母さんたちの赤ちゃんのレリーフをプリントする。ふつうの3Dプリンターを使い、モデルの超音波3D画像データに対して作為的な理想化をしないから、多くのお母さんが自分の子を初めて見たときと、まさに同じ体験を提供する。

すでにこういうことを数社がやっているが、しかしWaiting Without Barriersにはすばらしい理念があり、アイデアもすばらしい。プリントの質は、FDM(熱溶解積層法)プリントにしては良い方だ。

3Dプリントの人気はこのところ急落しているが、21世紀におけるもっともクールでもっとも将来性のある技術の一つだ、と今でも思う。まだ家庭でフォークや車をダウンロードしてプリントすることはできないが、小さなプラスチックとデジタルファイルで、自分の子どもを細部まで正確に感じることができるのは、すてきだよね。

出典: 3DPrintingIndustry

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多様なツールヘッドを駆使する3Dプリンタからすばらしい振り子式時計が生まれた

 

未来には、マルチツールヘッドのロボットが人間の臓器を採取し、人間の生殖サイクルをコントロールするだろう*。そうなるまでには、彼らは素晴らしい時計を作れる。ロボットではなくMatt Olczykが作ったこの時計は、ツールヘッドを交換していろんなことができる3Dプリンタ、ZMorphで作られた。〔*: 原著者は、ロボットが人間社会を支配する未来をテーマに、記事を書いてる人。〕

ZMorphのシステムには、CNCフライス盤、デュアルエクストルーダー、(オプションで)チョコレートエクストルーダー、さらにレーザー焼成機もある。これらのヘッドを全部使ってOlczykは、精密に噛み合う歯車や、数字板、さまざまな彫り出し部品などを作った。たいへんな労力と時間を投じた結果は、なかなかクールだ。ZMorphの連中が書いている:

3Dプリントだけではできないものも多い。3Dプリントのように素材を足し加えていく“足し算の”製造技術は画期的だが、削る、磨く、彫りだすなど、要らないものを引いて取り去っていく“引き算の”製造技術もまだまだ必要だ。すべての技術に制約があり、3Dプリントにも制約がある。それらは、3Dプリントの原理そのものに由来する制約だ。だから、ラピッドプロトタイピングでも実際の加工でも、射出整形やCNCフライス盤のような既存の方法を使うべき場面がある。素材の制約が使える機械の制約や、美的表現の制約、ときにはコストの制約につながる。だから、3Dプリントではできない部分を別の技術で補うのは、当然なのだ。

 

できあがった時計はかなり独特だ。振り子を使って針を動かすが、歯車はよく見えるように表面に展開している。しかしそれは実用時計であり、Olczykはプラスチックや木、それにプレキシグラス(強化アクリル板)まで使って部品を作った。今の3Dプリンタは、Makerbotのような押し出し成形タイプと、FormlabsのようなSLA(光造形)タイプに分かれるが、ここに見るような第三の道もある。

出典: 3DPrint

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トースターのように誰もが使える3Dプリンタを目指したSkriware、799ドルでフルオート

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まず、下のビデオをご覧いただきたい。アクション映画の予告編のナレーションを担当しているような男が、ちょっとおかしな英語で喋っているこのビデオは、これまでぼくが見たKickstarter上の売り込みビデオの中では、最高傑作だ。おっと、いきなり脇道に逸れてしまったが、このポーランド製の3DプリンタSkriwareは、これまでの3Dプリンタおよび3Dプリントのあり方に不満だった連中が作った。もうこれ以上、新しい3Dプリンタは要らないよ、という声も聞こえるが、Skriwareはもっともっと使いやすいソフトウェアとハードウェアを目指している。

目標は、ユーザにワンタッチシステムを提供することだ。ネット上にさまざまな、3Dプリントオブジェクトのマーケットプレースがある。そこから何かをダウンロードしてプリント物が出来上がるまで、ほとんど人手が介入しない。それはほかの家庭用3Dプリンタでもできるが、799ドルの機種にそんなフルオートの機能はなかった。

低価格化の鍵は、プリントヘッドの設計を単純化したことと、熱をあまり必要としない素材を使ったことだ。彼らは、焦点を使いやすさに絞った。3Dプリントの市場においては、それは新しい切り口だ。

“Skriwareは、できるかぎり使いやすくて、直観的に使える3Dプリンタを目指した。ゲームのフィギュアを作りたい小学生でも、孫にテレビドラマの超人的ヒーローの形をしたクッキーを作ってあげたいと思っているおばあちゃんでも、簡単に使えるプリンタを作りたかった”、と彼らは書いている。

発売は来年の4月だが、すでに完成度は高いようだ。ヨーロッパ製の、電脳内蔵の、デバイスだ。3Dプリンタを売るために、こんな仰々しいナレーションは要らないと思うが、たしかに3Dプリントの市場は、今や変化の時期だ。

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研究者が3Dプリント(プラスチック)植毛システムを開発

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カーネギーメロン大学の研究者らは、3Dプリントされた物体にリアルなプラスチック製毛髪を付加するシステムを開発した。これは頭髪の不自由な人々を助けるものではないが、3Dプリントされたキャラクターに可愛いらしい髪形を付加できるほか、生物の成長過程を模倣することもできる。

システムは標準的な3Dプリンターを使用し、特別なプログラムで微量のプラスチックを射出してホットグルーのように引っぱり上げる。毛髪は表面にランダムあるいは整列して植えることができ、ブラシやカットも可能。

研究者らは、高熱のPLA押出機だけを使って、排出されたプラスチックを引き上げるのは難しいことに気付いた。その代わりに、プレート全体を横向きに移動して、プラスチックを表面から引き離す方法をとった。「プリントヘッドをすばやく上に動かすことはできないが、ヘッドも制作中の作品を支えるプリント台も、横向きにはすばやく動かすこができる」と研究者らは言う。「溶けた材料を付着させた後、プリントヘッドと台を横向きに動かすことによって、望み通りの毛髪のような糸を作りだすことができた」。

「材料をほんの少し押し出して引っぱるだけ」とカーネギーメロン大学人間/コンピューターインタラクション研究所のPh.D生、Gierad Lapuは言った。「実は非常に単純なアイデアなんです」。

プロジェクトの詳細はここで読めるが、近々この技術を私の3Dプリンティング技巧に加えて、最終的には毛むくじゃらの実物大バート・レイノレズを青いプラスチックで3Dプリントするので楽しみにしていてほしい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GetScaleは中国などの工場に工程監視+工員指導システムをインストールして不良品の発生を完全に防ぐ

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GetScaleのカメラは、一見すると工場内のふつうの監視カメラのようだが、実は、技術者と組立ラインの労働者を直接コミュニケーションさせてお互いの仕事をやりやすくし、さらに製造工程の全体を記録に残すことが、同社のサービスなのだ。

たとえば開発チームが合衆国にいて、ハードウェアの製造工場が海の向こうにあっても、GetScaleを使えば製品の質が維持され、問題が起きて不当にも工場の労働者が責められる、ということがなくなる。

2014年1月にGetScaleを作ったJonathan FriedmanとColton Piersonは、電子回路部品を作るサービスCircuitHub(ここもYC出身、3年前にFriedmanらが創業)にいたのだが、そこで頻繁に見たOEMたちと工場とのあいだの問題を、解決したいと思った。GetScaleは社員が今9名で、オフィスはカリフォルニアのRedwood Cityと深圳と上海にある。約20社の顧客の中には、iCrackedNeurolabware、それにNapwellなどがいる。同社が過去半年にモニタしたユニット(一つの工程の仕上がり品)の数は、のべ25万だ。

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FriemanはGetScaleを立ち上げる前に、中国の工場の寮に住みこんで彼らの労働条件の理解に努めた。

そこで彼が知ったのは、ラインの労働者に対する法的保護がほとんど何もないことだ。工程で問題が起きると、その損失は、責任が工員にない場合でも彼らの賃金カットや減給という形で埋め合わせられる。たとえばFriedmanが訪ねたある工員寮では、社員たちが法外な水道料金を払わせられていた。

しかし製造業は競争が激しいので、ほとんど不可能のような納期や価格を提示して受注しているところも、少なくない。サプライチェーン上のサードパーティのプロバイダたちにも、問題がある。しかもそれは、契約企業や会計事務所、複数のメーカー、セールスエンジニア、プロセスエンジニア、ゼネラルマネージャ等々と、やたら数が多い。

GetScaleのモニタリングシステムがあると、ハードウェアのエンジニアたちは、あいだに人を介さず直接、工員たちに詳しい指示を与えることができる。コミュニケーションが改善され、工程がスピードアップされる。

“中国の工場で不良品ができる原因は、二つしかない。モラルが低くて不正やごまかしをやること…こちらはそんなに多くない。もうひとつは、発注者が何を求めているのかを、よく理解していないことだ”、とFriedmanは語る。

彼の定義では、GetScaleは監査役だ。OEMたちは、撮影モニタ+指導用ディスプレイ一台あたり最少で月額110ドルを払い、GetScaleはそれを協力工場と分有する。工程や試験工程で問題が生じたときの、罰金のようなものはない。

“工場が完全に期待どおりのことをやってくれれば、報奨金のような仕組みがあってもよいし、またその工場の評判が広まる仕組みもあるべきだ”、とFriedmanは言う。“でも今の彼らのやり方では、そんな余裕がないね”。

GetScaleの顧客はそのWebアプリケーションを使って、工程を監視し指導するための戦略を作る。それを中国語に翻訳し(もうすぐスペイン語も)、GetScaleはモニタリングステーションを工場にインストールする。工員のすぐそばに置かれたディスプレイに詳細な指示が表示され(上図)、カメラは工程(と最後の検品過程)を撮影して記録する。一つ一つのコンポーネントのバーコードや、完成したユニットのシリアルナンバーも記録される。

すべての情報はGetScaleのサーバ上に恒久的にアーカイブされ、問題が生じたとき、やみくもに現場の工員のせいにされることは、なくなる。また検品が撮影記録され、発注者に完動品が渡っている証拠にもなるから、ありえない不良品で製造企業が訴訟されることもない。

FriedmanとPiersonはハードウェアスタートアップに投資しているインキュベータやVCたちとパートナーして、この監視指導システムのユーザを増やしたい、と考えている。また、彼ら工場のサプライチェーン上に、同社の良い噂が広まることも、期待している。

システムではなく、単なる工程監視機器なら、KeysightやAgilentなどが作っているが、それらはいずれも一台25万ドル以上もして、高い。

GetScaleの、カメラ+ディスプレイ、ワンセット月額110ドルは、ハードウェアメーカーにとっても、手を出しやすい価格だ。

“つい先日も、あるアメリカの製造企業が、数社の得意先大企業が製造工程のオーディットトレイルを要求している、と言ってきた。彼ら得意先は、本来ならきみたちが工場を毎月訪れて視察してほしい、と言っているのだ”、とPiersonは語る。

“そこでその企業は、GetScaleが記録したすべての製品と工程の監視データを見せた。それがあれば、はるばる中国の工場に出張する必要もなく、また、一つ々々のすべての製品の工程を詳細にチェックできる。CEOは、きみたちのおかげで中国に出張せずにすんだよ、と感謝の言葉を述べた”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

交換部品のメーカーや型番をすぐに見つけるPartPicがシードで$1.5Mを獲得

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昨年サンフランシスコのTC Startup BattlefieldでローンチしたPartPicが、15あまりのエンジェルやVC、戦略的投資家たち(Robert Saunders、Joanne Wilson、Arc Angel Fund、Jumpfundなど)から150万ドルのシード資金を獲得したことを発表した。

PartPicは何をするのか: メーカー企業と契約したら、そこが作っているすべての部品製品の360度写真とそれらのメタデータを入手または作成する。ユーザが何かの部品(たとえば小さなネジやボルト)の写真を送ってくると、PartPicのソフトウェアが自動的にそれのメーカーや型番などを同定する。

家具のネジがなくなった顧客は、もうこれからは電話口で30分を費やしてそのネジの説明をしなくてもよい。その部品の写真を撮ってPartPicに送れば、一瞬で品名とメーカーと型番が分かるから、すぐに送ってもらって家具を直せる。〔*余計な訳注: なくなった部品の写真をどーやって撮るんだよっ?! しかも、古いものだと、今は作ってません、在庫もありません、ということがとっても多いぜ。プラ製品や合成材製品だと、ネジは入手できても受け側がボロボロってことも多いしね。〕

メーカーによっては50万種類もの部品の在庫があったりするから、その中から特定の部品が瞬間的に分かれば、時間と労力のすごい節約になる。

PartPicは最近、いくつかのピッチコンペで優勝した。たとえば、SXSWのアクセラレータショウケースにおけるベストエンタプライズテクノロジ賞、アトランタで行われたThe Rise of the Restのピッチコンテストの一等賞などだ。後者の“賞金”には、AOLの協同ファウンダSteve Caseからの10万ドルの投資も含まれていた。

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Vanhawksが160万ドルを調達。いよいよスマート自転車「Valour」の出荷を開始

Y Combinatorの2015年ウィンタークラスのメンバーであり、スマート自転車を手がけるVanhawksがReal Ventures、オリンピックのトライアスロンで金メダルを獲得したSimon Whitfield、Relentless PursuitのパートナーであるBrenda Irwinや、その他のエンジェル投資家より160万ドルの資金を調達した。昨年のKickstarterキャンペーンで82万ドルを獲得したスマート自転車のValourを、出資者に対して間もなく送り出すための費用としても利用する。コンセプトから実現にいたるまでに必要となった各種費用にも充て、さらには自転車業界向けのソフトウェアプロダクトの第一人者となるための成長プランの実現のためにも活用していくそうだ。

Vanhawksの共同ファウンダーであるAli Zahidはインタビューで、実際にプロダクトを出荷するにあたって、Kickstarterでの調達額以上が必要となったのも致し方ないことであると述べている。すなわち、ZahidらにとってVanhawksが最初のスタートアップ体験であり、実際のプロダクト製作にどういった種類のお金が必要になるかを知るための経験を持っていなかったのだ。Kickstarterでの出資者に対し、本来は昨年末のうちに出荷を開始したいとしていたが、間に合わせることができなかった。しかしZahidによれば現在は各種作業も順調に動いていて、この春から25台ないし50台くらいずつ出荷できる見込みなのだそうだ。そのペースで進めば夏ごろにはバックログも解消し、そして2、3週間の納期で新たなオーダーを受けることもできる予定なのだとのこと。そしてVanhawksは、自転車製作以外の分野でも成長を目指していくこととなる。

さらにZahidの言葉を引いておこう。「自転車を作って売るだけというビジネスを目指しているのではないのです」とのこと。「自転車業界におけるソフトウェア部門の担い手となることを目指しています。世界のさまざまな分野でソフトウェアが用いられるようになっていますが、自転車業界でもソフトウェアの重要性は増ししていくはずなのです」。

Zahidは、数年のうちに自転車業界における標準ソフトウェアのようなものの担い手(Vanhawksもここを目指している)が登場してくると踏んでいるわけだ。ヨーロッパはもちろん世界中の多くの地域で、自転車は重要な移動手段として普及している。北アメリカでもますます自転車の利用頻度が上がってくるはずだと見ている。1990年から2011年の間をみても、都市生活者による自転車人気は高まっている。すなわちVanhawksのターゲットとるする市場は、大いなる成長市場であると考えられるのだ。

Vanhawksの成長戦略の中で、Valourは「自転車用ソフトウェア」のショーケースとしての役割も持っていることになる。たとえばナビゲーションシステムであるとか、後方からの接近を検知する仕組み、あるいは道路コンディションを通知する機能なども搭載している。もちろん移動距離や高低差などを記録しておくこともできる。Wazeのように、クラウドソーシングを活用した情報共有機能を提供することもできる。また、盗難対策用トラッキングシステムも搭載しており、オーナーが自分の自転車のために投じた金銭、時間、労力を保護する仕組みも備わっている。

自転車というのは、全身の集中力を投入してこそ安全に走ることができるという面もある。自転車に乗りながら、自分でさまざまなデータを入力するようなことはできないと考えた方がいい。しかし自転車をさらに魅力的な乗り物にしていくにあたって、自動的にデータを収集するような仕組みは大いに役立つはずだ。

Valourには、自転車そのものとしての魅力もある。ただし、多くのテック系スタートアップと同様に、ソフトウェアこそがVanhawksの提供するサービスの中核を担うものとなっていくのだろう。

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(翻訳:Maeda, H


Yota、シンガポールにてE-Ink画面搭載のデュアルスクリーン・スマートフォンの製造を開始

yotaphoneロシアの電話機メーカーのYota Devicesが、シンガポールで初のE-Ink画面搭載デュアルスクリーンYotaPhoneの製造を開始する(訳者注:YotaPhoneについてはこちらの記事もご参照ください)。

シンガポールの製造業者でるHi-Pが製造ラインを配置することになった。

また、YotaのCOOであるLau Geckler曰く、アジアにおけるセールスオフィスおよび、同社2つめとなるR&D施設もシンガポールに構築するとのこと。1つめのR&D施設はフィンランドに設置されており、ロシアおよびアメリカの開発者からなるチームにより運営されているそうだ。

同時にYotaは、アジアおよびアメリカでの販売およびマーケティングスタッフを募集中でもある。今のところのロシア本社の社員数は55名。ここでソフトウェア開発およびデザインを行なっている。

Gecklerは昨年8月にYotaに入社したそうだが、現在も積極的な採用活動を繰り広げているところなのだそうだ。ちなみにGeckler入社時の社員数は15名だったとのことだ。

以前Gecklerに会った際もYotaPhoneを見せてくれた。そのときは充電器がゴムバンドで本体にとめてあり、まだプロトタイプなのだと説明していた。しかしいよいよ正式な製造ラインを稼働させて、間に合わせ部分などないマスプロダクションに入ることとなるわけだ。

生産規模がどの程度のものになるのかについては教えてもらえなかった。しかし大量生産の目処がつけば、中国などで安価な製造ラインを構築することも可能な契約となっているような印象を受けた。製造プロセスについても、可能な限り自社の権利を確保する条件で事を進めているのだそうだ。

但し、他の製造ラインを直ちに準備するという予定はないとのこと。またシンガポール、日本、インドネシア、あるいは香港などのアジア地域よりも先に、まずロシアでの販売を開始することは決定事項であるそうだ。ただ、とくに日本からは、E-Ink画面も搭載したデュアルスクリーン・スマートフォンに対する引き合いが多くあるのだそうだ。「日本市場ではかなりの成功が見込めるのかもしれません」とGecklerは述べている。

Yota Devicesはロシアの通信会社であるYotaから、2011年12月にスピンオフした企業だ。通信会社であったYotaの方は現在、ロシア内のMegafonという通信会社と合併している。

Yota DevicesはこれまでにはLTEモデム、ルーター、ドングルなどを手がけてきている。今日までに300万台程度の売り上げをあげてきており、うち昨年の売り上げが100万台だったのだそうだ。

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(翻訳:Maeda, H)