多様なツールヘッドを駆使する3Dプリンタからすばらしい振り子式時計が生まれた

 

未来には、マルチツールヘッドのロボットが人間の臓器を採取し、人間の生殖サイクルをコントロールするだろう*。そうなるまでには、彼らは素晴らしい時計を作れる。ロボットではなくMatt Olczykが作ったこの時計は、ツールヘッドを交換していろんなことができる3Dプリンタ、ZMorphで作られた。〔*: 原著者は、ロボットが人間社会を支配する未来をテーマに、記事を書いてる人。〕

ZMorphのシステムには、CNCフライス盤、デュアルエクストルーダー、(オプションで)チョコレートエクストルーダー、さらにレーザー焼成機もある。これらのヘッドを全部使ってOlczykは、精密に噛み合う歯車や、数字板、さまざまな彫り出し部品などを作った。たいへんな労力と時間を投じた結果は、なかなかクールだ。ZMorphの連中が書いている:

3Dプリントだけではできないものも多い。3Dプリントのように素材を足し加えていく“足し算の”製造技術は画期的だが、削る、磨く、彫りだすなど、要らないものを引いて取り去っていく“引き算の”製造技術もまだまだ必要だ。すべての技術に制約があり、3Dプリントにも制約がある。それらは、3Dプリントの原理そのものに由来する制約だ。だから、ラピッドプロトタイピングでも実際の加工でも、射出整形やCNCフライス盤のような既存の方法を使うべき場面がある。素材の制約が使える機械の制約や、美的表現の制約、ときにはコストの制約につながる。だから、3Dプリントではできない部分を別の技術で補うのは、当然なのだ。

 

できあがった時計はかなり独特だ。振り子を使って針を動かすが、歯車はよく見えるように表面に展開している。しかしそれは実用時計であり、Olczykはプラスチックや木、それにプレキシグラス(強化アクリル板)まで使って部品を作った。今の3Dプリンタは、Makerbotのような押し出し成形タイプと、FormlabsのようなSLA(光造形)タイプに分かれるが、ここに見るような第三の道もある。

出典: 3DPrint

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

デザイン画などからモバイルアプリケーションのプロトタイプを作成するAppGyver。カメラ制御なども実現可能

prototyper_logo世の中には多くのDIYアプリケーションビルダーが存在する。そうしたツールを使えばコーディングのノウハウがあまりなくてもアプリケーションを作ることができる。またコンポーネントをドラッグ&ドロップするだけでモバイル版のウェブサイトや簡単なアプリケーションを作成することができるものもある。今回紹介するAppGyver(大ヒットテレビシリーズのMacGyverと似せている)は、少々異なるアプローチをとるものだ。アプリケーションの開発ツールではなく、アプリケーションの「プロトタイプ」を作るするためのものなのだ。アプリケーション開発にあたって、デザイン設計段階などで便利に活用できるものだ。

AppGyverがスタートしたのは、もうしばらく前のことになる。アントレプレナーのMarko Lehtimaki(CEO)およびHenri Vahakainu(共同ファウンダー)が立ち上げたサービスだ。しかしサービスがプライベートベータとなったのは昨年12月のこと。それまでは、他のビジネスで行なっていたアプリケーション開発のプレゼンテーション用内部ツールとして利用されていたのだった。

「ビジネスのアイデアを説明する際、まずは相手側に“いったい何の話をしているのか”を理解してもらうのに時間がかかったものでした」とLehtimakiは言う。「提供しようとするアプリケーションの使用感などを伝えるツールが必要であると思ったのです」とのこと。

AppGyverは、DIYアプリケーション作成ツールと競合する部分もあるだろう。またプロトタイプ作成サービスとしてはjustinmindなども存在する。しかしLehtimakiによるとAppGyverの方が使い方も簡単ですぐに利用できる点で便利だとのこと。

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「デザイナーやプロダクトマネージャーの方に便利にお使い頂けると思います」とLehtimakiは説明する。「構成案やモックアップ、フォトショップで作った画像などがあれば、それらをもとにAppGyverを使ってすぐにインタラクティブなプロトタイプを作成することができます。数分で完了することもあります」とのこと。AppGyverではハードウェア的に準備されたUIやカメラなどにアクセスできるのも、競合と比較した際の強みとなっている。

プライベートベータでのテストは8週間にわたって行われたが、規模もさまざまの企業から2000名がテストに参加してきたのだそうだ。すぐにもプロトタイプ作成が必要になりそうなスタートアップからの参加もあった。

「スタートアップ企業にとっては、間違いなく便利なサービスだと思います。さまざまな機能調整やバージョンアップを短時間で行なっていくのに、プロトタイプの作成は欠かせないからです」とLehtimakiは自信を見せる。「投資家やメディアに対して、実際に動作するデモンストレーション用プロトタイプを簡単に作成することができるのです」。

テストに参加したうちの5%が有料正規版の利用を開始しているのだそうだ。ちなみに現在もまだ無料版も公開されている。有料版については、月間9ドルでBASIC版が利用できる。チェーンリアクションに対応したり、プロジェクトをZIPファイルでダウンロードできるなどのオプションを加えたPRO版は月間39ドルとなっている。

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現在はサンフランシスコに拠点をおき、7名でのサービス展開を行なっている。エンジェル投資家、友人、家族、およびファウンダー自身が60万ドルを出資して運営中で、シードラウンドの実施を計画中だ。事業内容もプロトタイプのみではなく、さらに拡大して行きたい考えなのだそうだ。

「プロトタイピングは、アプリケーション開発プロセスの最初に位置するものです。そこからアプリケーション完成までにさまざまな段階を踏むことになります」とLehtimakiは説明する。「私たちはアプリケーション開発のさまざまな面におけるサービスを展開していきたいと考えています」とのことだ。

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(翻訳:Maeda, H)