ノートルダム大聖堂の再建に元ギークの大富豪が130億円余を寄付

現地時間の4月15日夕方に火災が発生したパリのノートルダム大聖堂は、全焼を免れたが856歳の建物は大きな被害に見舞われ、屋根のほとんどは中央の尖塔とともに崩壊した。

火は8時間燃え続けたのちに消防夫たちがその大半を消火し、大聖堂を象徴する2つの矩形の塔や多くの貴重な遺物は救われた。その中には、イエス・キリストが磔刑のおりにかぶっていたとされるいばらの冠もある。それでも、フランスの大統領のエマニュエル・マクロンは、ほとんど鎮火したとき大聖堂の外でこう語った。「最悪の事態は避けられたが完全な勝利はまだだ」。続けてマクロンは、修復のための資金を得るために国際的な資金調達キャンペーンを開始する計画だ、と述べた。

そのキャンペーンは幸先のいいスタートを切ったのかもしれない。らAFPによると、ピノー氏は声明の中で、そのお金は彼の家族の投資企業Artemisから出す、と言っている。それだけあれば、教会当局の手で「ノートルダムを完全に再建できる」と彼が願っている金額だそうだ。

ピノー氏はフランスのラグジュアリーグループKeringのオーナーであり、ここはGucci(グッチ)やSaint Laurent(サン・ローラン)などラグジュアリーブランドの持株会社だ。あまり知られていないのは、彼が少々ギークである、いやあったことだ。

彼は数年前に本誌TechCrunchのインタビューに応じ、コンピューターサイエンスが好きなことや、ソフトウェアデベロッパーとしてヒューレットパッカード社(Hewlett Packard)でインターンしたことなどを語った。そのとき彼は、Soft Computingの創業を支援したことも語った。それは彼の学生仲間であるEric Fischmeister氏とGilles Venturi氏が1984年にパリで立ち上げた企業だ。その会社はのちに上場し、昨年の12月にはその過半数株を大手広告企業Publicisに売った

その後積極的な慈善活動家であるピノー氏は、そのほかの世界の大富豪たちと違って、スタートアップの世界をほとんど避けてきたようだ。彼の数少ないスタートアップ投資の中には、ネットショッピングFancyの初期などがある。もっと最近では、昨年5月、ロサンゼルスのいわゆるスマートヘッドフォンのメーカーMuzikへの投資がある。上記Forbes誌の記事によると、そのときの投資総額7000万ドルの半分近くを、ピノー氏が出資した。

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YouTubeのアルゴリズムがノートルダム寺院火災の実況ストリームに9.11の情報を添加

YouTubeでノートルダム寺院の実況放送を見ていた一部の人の画面に、9月11日事件に関する情報ボックスという異様に場違いなものが表示された。

BuzzFeedの報告によると、その間違って置かれたファクトチェックボックスは少なくとも3つのメジャーなニュースサイトからの実況ストリームに出現した。Twitterのユーザーたちも、その情報誤配を知らせている(下図)。

[YouTubeのファクトチェックは完全にぶっ壊れてるようだな]

皮肉にもこの機能は、誤報を訂正するために設計されたツールだ。ビデオの下の小さな情報ボックスに、YouTubeのパートナーからの事実情報が表示される。今回はEncyclopedia Britannica(ブリタニカ百科事典)だった。

YouTubeはこのファクトチェック情報パネルを今年インドで開始し、今ではほかの国でも見られるようだ。

当時同社は、こんな発表声明を述べていた。「ユーザーは、ブリタニカ百科事典やウィキペディアなどサードパーティからの情報を見ることができる。また、月面着陸などネット上でときどき誤報の対象にもなっている、十分に確定した歴史的および科学的話題の一部には、そのビデオも付随する」。

その情報ボックスは明らかにアルゴリズムが作り出しており、今日の不運な失敗は、そこに人の目が介入していないことを示している。塔のようなものが燃えている映像を見たアルゴリズムは、9/11の情報を取り出したのかもしれない。今YouTubeに、原因を問い合わせている。

アップデート: YouTubeのスポークスパーソンが本誌TechCrunchに次のような声明をくれた。

私たちは今もまだ続いているノートルダム寺院の火災を深く悲しんでおります。昨年私どもは、誤報の対象となった主題に関し、ブリタニカ百科事典やウィキペディアなどサードパーティの情報源へのリンクのある、情報パネルをローンチしました。これらのパネルはアルゴリズムによってトリガーされ、弊社のシステムはときどき間違った呼び出しをします。私たちは今、火災に関連する実況ストリームではこれらのパネルを無効にしています。

画像クレジット: Martin Barzilai/Bloomberg via Getty Images/Getty Images

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Google Cloudがサービスメッシュのためのネットワーキング管理ツール「Traffic Director」を発表

いつも新しいテクノロジーが、新しい用語の一群を引き連れてやってくる。コンテナ化された世界では、アプリケーションは離散的な小片すなわちマイクロサービスに分割される。そんなサービスが増殖すると、サービスメッシュと呼ばれるサービスのネットワークが作られ、その上で彼らは対話する。このような新しいテクノロジーはつねに管理層(マネジメントレイヤ)が必要になり、とくにここではネットワークのアドミニストレーターが新しいコンセプトであるサービスメッシュを理解しコントロールしなければならない。

米国時間4月9日のGoogle Cloud Nextカンファレンスで同社は、オープンなサービスメッシュのためのTraffic Directorのベータを発表した。それはサービスメッシュの中で起きていることの、ネットワークの管理者による理解を助ける。

Google Cloudで技術的インフラストラクチャのエンジニアリングを担当しているヴァイスプレジデントのBrad Calder氏が、このツールを紹介するブログ記事でこう言っている。「サービスメッシュの採用を加速しその管理の苦労を減らすために、Traffic Directorをご紹介できることはきわめて喜ばしい。それはサービスメッシュのためのエンタープライズ対応の構成とトラフィックコントロールのプレーンであり、その上ではグローバルな回復力とインテリジェントなロードバランシング、および、カナリアデプロイメントのような高度なトラフィックコントロールが可能である」。

Traffic Directorは、オペレーションがサービスメッシュを自分たちのネットワーク上にデプロイする方法を提供し、その仕事ぶりやシステムのほかの部分との対話をより強力にコントロールできるようにする。このツールはGCP上のVirtual MachinesやCompute Engineで利用でき、コンテナ化されたアプローチではGCP上のGKE(Google Kubernetes Engine)で使える。

このプロダクトは4月10日の時点でやっとベータだが、そのロードマップには新たなセキュリティ機能とハイブリッド環境のサポート、そして最終的には、昨日同社が紹介したハイブリッド管理ツールAnthosとの統合も行われる。

関連記事: Google’s hybrid cloud platform is coming to AWS and Azure(ハイブリッド環境&マルチクラウド環境管理ツールAnthosの紹介、未訳)

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ザッカーバーグ氏の個人的警備にFacebookは22億円超を支出

2018年は確かに、Facebookにとって厳しい年だった。その年、Cambridge Analyticaのスキャンダルと人々の高まる怒りによろめき続けた同社は、創業者に対する憎悪にも対応しなければならず、彼と家族の安全を護るために巨額を出費した。

FacebookのCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏の年俸は1ドルであり、ボーナスもないが、しかし主にセキュリティ関連のそのほかの報酬として数百万ドルを取得している。米国時間4月12日の午後発表されたSECの文書の中で同社は、2018年にザッカーバーグ氏が2200万ドル(約24.6億円)のそのほかの報酬を取得したことを明かしている。2017年にはそれは、900万ドルあまりだった。

2018年の数字のうち260万ドルは、ザッカーバーグ氏のプライベートジェットによる個人的旅行のための支出だが、そのほかの2000万ドル(約22億円)近くは彼個人のセキュリティ費用に関連している。

彼は2018年の個人的旅行や住居の警備費用として、税引き前の額で995万6847ドル(約11億円)が支払われている。さらにそのほかに、彼と彼の家族の個人的セキュリティに関連するそのほかの費用として、税引き前の手当1000万ドルを会社は支払っている。これらをすべて合わせると、2017年の彼の個人的警備の費用の3倍近くになる。

同社のそのSEC文書は、次のように述べている。「弊社の高い社会的可視性に鑑み、弊社の報酬および企業統治委員会は、ザッカーバーグ氏の、彼が弊社のファウンダーであり、CEO、会長、および過半数株主であることに直接起因する彼の安全性への具体的な脅威に基づく、安全性の懸念に対処するために、彼に全体的なセキュリティ事業’を授権している。

個人的セキュリティ事業に基づく報酬は、FacebookのCOO Sheryl Sandbergにも与えられている。彼女は2018年にそのほかの報酬を380万ドル取得しており、うち290万ドルは彼女の個人的セキュリティ費用である。

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IoTのセキュリティサービスは需要急増でArmisは早くもシリーズCで70億円相当を調達

Armisは、エージェントを使わずにネットワーク上のIoTデバイスを保護する。その技術は市場のニーズにフィットしたらしく、同社の売上は前年比で700%も増加した。そしてそれは当然投資家の関心を惹き、彼らは同社にシリーズCのラウンドで6500万ドル(約70億円)を、同社の成長の加速を今後も維持するために注入した。

Sequoia Capitalがそのラウンドをリードし、新たな投資家としてInsight Venture PartnersとIntermountain Venturesが加わった。また、これまでの投資家Bain Capital Ventures、Red Dot Capital Partners、そしてTenaya Capitalも参加した。同社によると、これで調達総額は1億1200万ドルに達する。

同社は、ネットワーク上のデバイス管理の中でもとりわけ難しい問題を解決する。デバイスはあちこちにあるけど、それらの上でエージェントを動かせないとしたら、どうやって管理するか?同社の協同ファウンダーでCTOのNadir Izrael氏は曰く「古いデバイスは、ポートをスキャンしただけでシャットダウンしてしまうこともある。細心の注意が必要なんだ」。

そこでArmisは、受け身なアプローチでセキュリティの問題に臨む。まず、正常なデバイスのやることを観察し学習し理解する。それらは、動作の指紋のようなものだ。Izrael氏は次のように語る。「デバイスがネットワークの上でやることを観察する。彼らがどう振る舞うかを見る。そこから、必要なことをすべて見つけ出す。Amisの本質は、デバイスのビヘイビアを知るための大きなクラウドソーシングエンジンだ。基本的に、Armisのどのクライアントも、デバイスの動作をつねに学習している。そしてそれらの統計モデルや機械学習のモデルをもとに、マスターモデルを作る」。

データの取り方の詳細は聞かなかったが、いずれにせよ同社の技術はセキュリティの痛点を捉えているのだろう。同社は1年前に3000万ドルのシリーズBを発表したばかりだが、成長がはやく人手が足りないので、新たな雇用のための資金が必要になった。

急成長はそれ自身がスタートアップにとってチャレンジになる。今125名のワークフォースを年内に倍にしたいのだが、新しい社員たちと新しい顧客のためのシステムを即動くように整備することも欠かせない。

もちろん新社員は営業とマーケティング方面でも必要だが、そのほかにカスタマサポートの充実や、パートナーシップ事業によるシステムインテグレータやISV、MSPたちからの協力も重要だ。彼らは、同社のためにも顧客のケアをやってくれるだろう。

関連記事: Armis raises $30 million Series B as enterprise IoT security heats up(ArmisのシリーズB、未訳)

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有機食フードデリバリーのTrifectaがBeyond Meatの植物性ミートを採用

有機食のデリバリーサービスTrifecta(3連勝)がBeyond Meatと提携して、後者の植物性獣肉代替食材を前者の献立に利用していく、と両社が発表した。

同じ獣肉代替植物性食材でも、最大のコンペティターであるImpossible Foodsのようにレストランなど業務用を狙うのではなく、Beyond Meatは食料品店の通路から消費者直行を目指している。デリバリーサービスという業務ユーザーを経由するのは、今回が初めてだ。

Trifectaは、新たに食材に植物性蛋白質を採用することによって、ケトン・ダイエッターやヴィーガン、ベジタリアン、古代食ダイエターなどの人々のニーズに対応したい、と考えている。

TrifectaのCEOであるGreg Connolly氏は声明でこう述べている。「Trifectaは健康やフィットネスに関心のある人びとの間で急速に日常的定番のような名前になりつつある。すでに植物性食材の多い製品はあるが、高タンパク、低炭水化物、低飽和脂肪のものはまだない。だからBeyond Meatは、そんな我が社にとってぴったりの会社だ」。

Trifectaの食事セットやお弁当などは、USDA(米農務省)指定の材料で、しかも食肉は冷凍されず野生または草だけを食べていた動物の肉を使用している。また、消費者の多量養素(macronutrient)ニーズにも応じている。同社の食品は冷蔵庫で冷やされたケースに入れられ、完全に調理されすぐに食べられる状態で届けられる。同社の食事製品は米国すべての州で利用できる。

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初めてのブラックホールの画像を作ったアルゴリズムはMITの院生Katie Boumanの指揮で開発された

ブラックホールの画像の作成を初めて可能にしたアルゴリズムの開発を指揮したのは、当時まだMITの大学院生だったコンピューターサイエンティストのKatie Bouman氏だ。Bouman氏がFacebookでシェアした写真では、彼女自身がその歴史的な画像が処理されていく様子に反応している。

Bouman氏がCHIRP(Continuous High-resolution Image Reconstruction using Patch priors、パッチプライオリティを用いる連続的で高解像度な画像再構築)と名付けたそのアルゴリズムは、ブラックホールの画像データを捉えてそれらを一枚の統一的な画像にまとめる国際的なコラボレーションEvent Horizon Telescopeを構成する、世界中の8つの電波望遠鏡からのデータを結合するために必要だった。

彼女のサイトによると、現在ポスドクのフェローとしてEvent Horizon Telescopeに関わっており、その後はカルテックのコンピューティングと数学学部の助教授になる。

CHIRPの開発は2016年にMITが発表し、3つの異なる場所から集まった研究者チームが開発に携わった。それらは、MITのコンピューターサイエンスと人工知能研究所、Harvard-Smithsonian天体物理学センター、そしてMITのHaystack天文台だ。MITの3年前の説明によると、そのプロジェクトは地球全体を巨大な電波望遠鏡の一枚のディッシュ(パラボラアンテナの反射板)にすることを目指していた。

天文学的信号は少しずつ異なるレートで電波望遠鏡にやってくるから、正しい視覚的情報が取り出せるような正しい計算のためには、レートの不均一性に対応する方法を編み出さないといけない。

MITは以下のように説明する。

Bouman氏はこの問題に対して、巧妙な代数的解法を採用した。3つの望遠鏡からの測定値をかけ合わせれば、大気ノイズに起因する余計な遅延は互いに打ち消し合う。そのためにはそれぞれの新たな測定値が2台ではなく3台の望遠鏡からのデータを必要とするが、精度の向上が情報の喪失を埋め合わせる。

それからこのアルゴリズムは最初の画像を再構築して精製し、ブラックホールの最終的な歴史的画像を準備する。CHIRPは、無線インターフェロメトリーを用いるいかなる撮像システムにも利用できる。

Event Horizon Telescopeが集めたデータはあまりにも大量で、MITのHaystack天文台には計500キログラムのハードディスクに載せて送られた。

(左はKatie Bouman氏とブラックホールの画像データを収めたハードディスクの山。右は人間の月面着陸を助けるコードを書いた同じくMITのコンピューターサイエンティストMargaret Hamilton氏)。

アルゴリズムの開発過程を詳しく知りたい人は、Bouman氏の2016年のTED講義を聴こう。

画像クレジット: MIT

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テック企業大手のサービスのアルゴリズムによる偏向を防ぐ法案を民主党が提出

民主党の議員たちが、巨大テクノロジー企業の表面下に潜んでいるアルゴリズムによる偏向(algorithmic biases、アルゴリズミックバイアス)を抑止する法案を提出した。そのAlgorithmic Accountability Act(アルゴリズム説明責任法)と呼ばれる法案は、民主党上院議員のRon Wyden氏(オレゴン州)とCory Booker氏(ニュージャージー州)が提出し、下院では民主党下院議員Yvette Clarke氏(ニューヨーク州)が提出者となる。

この法案は時宜を得ている。先月だけでも、Facebookは求人広告における差別的扱いで集団訴訟を示談に持ち込み、また住宅都市開発省からは住宅広告のターゲティングツールで同様の民事訴訟を提起された。この法案は年商5000万ドル以上の企業をが対象だが、100万以上のユーザーのデータを保持している企業はほとんどすべて、この要件に当てはまるだろう。

関連記事: 米住宅省が住宅広告におけるFacebookの広告ターゲティングを差別として告訴

米国時間4月9日、上院で提出されたダークパターンデザインを禁ずる法案(用語解説)と同じく、このアルゴリズム説明責任法(PDF)も監督省庁は連邦取引委員会(Federal Trade Commission、FTC)になる。そして法案によるとFTCは企業に、自分たちのアルゴリズムによる意思決定システムに対する「インパクト評価」を命じることができる。その評価は、自動化システムの中にある「正確性、公平性、偏り、差別、プライバシー、そしてセキュリティ」に関するありうる結果を査定し、問題が見つかった場合は修正を要求される。

法案に関する声明の中でBooker氏は、ユーザーに買う機会のない家や、就く機会のない仕事や、その存在を知ることのできない金融サービス等を提供する、テクノロジーの差別的実践を非難した。

Booker氏はこう言っている。「この法律は企業に、自分たちのツールの正確さや公平さ、偏り、そして差別を頻繁に評価することを要求する」。

大手テクノロジー企業の偏向は今やホットな話題だが、この問題に対する政党のアプローチはかなり違った角度からも行われている。米国時間4月10日、たまたま上院の司法小委員会が上院議員Ted Cruz氏を座長とするヒアリングを行った。Cruz氏は、FacebookやTwitterが右寄りのユーザーを冷遇しているとする、根拠のない主張を繰り返す共和党員たちのリーダー格の人物だ。

一方民主党の議員たちは、アルゴリズムによる偏向のプラットホーム以外の問題にも関心があるようだ。

Clarke下院議員はこう言っている。「大企業が彼らの自動化システムの意図せざる影響に背を向けないようにするアルゴリズム説明責任法は、21世紀のテクノロジーが確実に、疎外ではなく力づけのツールになるよう導く。そしてまた、すべての消費者のセキュリティとプライバシーを強化する」。

関連記事: ‘Hateful comments’ result in YouTube disabling chat during a live-streamed hearing on hate(ヘイトをめぐる公聴会にヘイトコメントが殺到、未訳)

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GoogleのAI専門VCが機械学習のモデル開発を助けるLabelboxに投資

機械学習アプリケーションのためのデータセットを作り、管理し、メンテナンスするLabelboxが、新たな投資ラウンドで1000万ドルを調達した。

そのリード投資家Gradient Venturesは、GoogleのAI専門のベンチャーファンドだ。これに、前からの投資家Kleiner Perkins、First Round Capital、エンジェル投資家のSumon Sadhuが参加した。

Labelboxは、データのラベリングをアウトソーシングする過程を管理し、企業や団体に彼らが集めるデータを管理し、データのクォリティーを確保するためのツールキットを提供する。同社CEO Manu Sharma氏はそう説明してくれた。

CEOのSharmaとCTOのDan Rasmuson、そしてCOOのBrian RiegerらLabelboxのファウンダーたちにとっては、彼らが開発したツールは前に社員として勤めていたDroneDeployやPlanet Labs、Boeingなどで必要性を痛感していたサービスの実現だ。

今回得た資金は、社員を現在の11名から22名に増やして営業とマーケティングのチームを作ることに充てたい、という。

Labelboxの現在の顧客はおよそ50社で、課金は彼らがアップロードするデータの量と利用するサービスの種類に基づいて行われる、名前を挙げてもよい顧客は、FLIR Systems、Lytx、Airbus、Genius Sports、KeepTruckinなどだ。

Labelboxが昨年ステルスを脱したとき本誌も報じたように、同社のツールキットは誰でも無料で使える。利用量が一定の閾値を超えたときのみ、課金される。たとえばLytxは、ドライブレコーダーDriveCamのためにLabelboxを利用している。すでに50万台のトラックにインストールされているそのカメラはAIを使って危険運転を検出するので、その能力は訓練によってアップする。またメディアと出版の大手企業Conde Nastは、ランウェイ上のファッションを同社のコンテンツアーカイブにあるファッションと関連付けるためにLabelboxを利用している。

Sharma氏が声明文の中で言っている。「Labelboxはモデルの開発時間を大幅に減らし、データサイエンティストたちが自力ですばらしい機械学習アプリケーションを作れるようになる。新たな資金でデータラベリングのインフラストラクチャをさらに強化して、機械学習のチームに強力なオートメーションとコラボレーションとエンタープライズ級の機能を提供していきたい」。

Gradient Venturesはこの技術に投資したいと思うほどの関心を持ち、機械学習のツールの開発をグローバルにサポートしていける同社の能力に将来性を見出している。

Gradient VenturesのファウンダーでマネージングパートナーのAnna Patterson氏はこう言っている。「Labelboxは機械学習を製造業、運輸交通業、ヘルスケアなどさまざまな分野にわたって産業化していける位置にいる。そうすることによって同社は、AIのポテンシャルを全世界の企業に向けて開放するだろう」。

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Google Cloudの2つの新データセンターがソウルとソルトレイクシティで2020年稼働

米国時間4月9日に開催されたGoogle Cloud Nextで同社は、2020年までに新しいデータセンターを2つ稼働させる。ひとつは韓国のソウル、もうひとつは米国のユタ州ソルトレイクシティである、と発表した。

同社は、他のウェブスケール企業たちと同じく、これまでの数年間、新たなデータセンターの建設に邁進してきた。今では15リージョンが計45ゾーンをホストしている。これにより同社は13カ国にプレゼンスがあり、2016年から2018年にかけては470億ドルという巨額の資本的支出を行ってきた。

Googleのデータセンター(画像提供: Google)

プロダクト管理のディレクターのDominic Preuss氏は、次のように述べた。「韓国ソウルの可用性は2020年の早期に発表できるだろう。これにより、アプリケーションを構築する顧客には3つのゾーンを持つ1つの新しいリージョンが提供される。なお、顧客には、その市場の自分たちの顧客にサービスを提供しようとしている多国籍企業や、グローバル展開を目指している地元企業が含まれる。これによって弊社は彼らのニーズに対応することができ、彼らは自分たちが望むやり方で顧客に奉仕できるようになる」。

さらに付け加えて、「ソルトレイクシティはオレゴンとロサンゼルスに次いで合衆国西部における弊社の第3のリージョンになる。デベロッパーは西部において、複数のリージョンにまたがる分散アプリケーションを構築できるようになる」。

なお、同社の発表では日本の大阪の新しいデータセンターは数週間後に稼働を開始する。インドネシアのジャカルタに建設中のデータセンターは、来年前半に稼働開始の予定だ。

【訳注】上の地図はおかしいので、正しくはこちらをご覧ください。

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K-PopグループBlackpinkの「Kill This Love」がプレミアも含めYouTubeで新記録

韓国で人気トップのポップグループであるBlackpinkの最新のビデオが、YouTubeの記録を更新した。Googleのスポークスパーソンは本誌TechCrunchに、「Kill This Love」が3日未満というこれまでで最速のスピードで1億ビューに達したことを確認した。また投稿後の最初の24時間のビュー数5670万も音楽ビデオとして新記録だ。

また、Blackpinkの最初のシングルでそのEPのタイトル曲でもある「Kill This Love」は、YouTubeプレミアでピークの同時ビュー数が97万9000に達し、最大のプレミアになった。これまで同時ビュー数82万9000でYouTubeプレミアのトップだったのは、12月のアリアナ・グランデの「thank u, next」だった。YouTubeが新しいクリエイターツールの一環としてプレミアをローンチしたのは昨年の10月だ。クリエイターはこの機能でリリース前にビデオを宣伝するランディングページを作れ、そこにはライブのビデオなどによるチャット機能もあり、YouTubeがもっと直接的にTwitchと競合できるようになる。

「Kill This Love」はiTunesでも新記録を打ち立てた。すなわち米国ストアでアジアの少女グループが1位になったのは、これが初めてである。

韓国最大の音楽レーベルであるYG Entertainmentが作った女性4人組のBlackpinkは、最も人気の高いK-Popグループのひとつだ。2016年のデビュー以来、アジアを中心に大量のファンを獲得していたが、今月後半のロサンゼルスを皮切りに最初の北米ツアーを開始し、BTSに次いで西欧の市場のメインストリームを狙っている。その歌詞は常に韓国語と英語のミックスだったが、「Kill This Love」はさらに多言語性を明確に打ち出して訴求ターゲットを広げようとしている。

画像クレジット: YG Entertainment

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企業と社員のアップル製デバイス管理を自動化するFleetsmithが海外進出を目指す

Fleetsmithは2016年に、クラウド上のApple(アップル)製デバイスを管理することをミッションとしてローンチした。同社はAppleのDevice Enrollment Program(日本語ページ)を利用して、これまでは複雑だったITの活動を単純化する。同社は昨年そのサービスを大幅に充実し、そして米国時間4月8日、Menlo VenturesがリードするシリーズBのラウンドで3000万ドルを調達したことを発表した。

Tiger Global ManagementとUpfront Ventures、およびHarrison Metalがこのラウンドに参加した。契約の条件として、MenloのパートナーですNaomi Pilosof Ionita氏が同社の取締役会に加わる。彼女の同僚であるMatt Murphy氏が取締役会のオブザーバーになる。同社発表のデータによると、これで同社の調達総額は4000万ドルあまりになる。

同社の共同創業者でCEOのZack Blum氏によると、最初のミッションは痛点の解消を目指し、共同創業者はAppleのデバイスを管理する現代的なアプローチを手探りで探した。Blumはこう説明する。「Fleetsmithを利用すると、顧客企業はデバイスを社員たちに直接配布できる。そして、それをもらった社員はWi-Fiに接続し、デバイスは自動的に管理システムに登録される」。

彼によると、このような自動化と、同社プロダクトのセキュリティおよびインテリジェンスの機能が合わさって、ITはデバイスの登録やアップデートについて心配する必要がなくなる。社員は、世界中のどこにいてもよい。

最初は主に中小企業に問題解決を提供していたが、最近では規模の大小を問わず、ワークフォースが分散している企業が主な顧客だ。そういう企業にとっては、どこからでも自動的に登録ができるのでとても便利だ。登録が完了したら顧客企業は、会社の全社員にセキュリティアップデートをプッシュしたり、必要ならアップデートを強制できる。ただし社員がクライアントところで会議に出ていることもあるので、そのようなアップデートができない場合には、強力なリマインダーを送る。

昨年同社は、ITが管理下のすべてのデバイスを一望にできるために、ダッシュボードを開発した。それを見ると、個々のデバイスの健康状態や問題点が分かる。たとえば、ディスクの暗号化をやっていないMacBook Proが数台見つかるかもしれない。

このダッシュボードは、Office 365やG Suiteのアイデンティティ管理部位に統合できる。ITはこれら両ツールから直接に社員をダッシュボードへインポートし、すると社員はFleetsmitこれらツールの認証情報でサインインできるから、全社員を管理下に収めることが迅速にできる。

スクリーンショット提供: Fleetsmith

Fleetsmithはまた、Managed Service Providers(MSPs, 各種のマネージドサービスのプロバイダー)とのパートナー事業により、そのリーチをさらに広げた。MSPsは中小企業のITを管理しているから、彼らとの関係を構築すればFleetsmithの拡大も迅速に行える。

現在同社は社員数30名、顧客企業数1500社に成長しているから、このやり方がうまく行ってるようだ。今回の新たな資金は今後のさらなる社員増と、プロダクトの能力拡大、そして海外進出に充てられる(これまでは米国市場のみ)。

関連記事: 中小企業の多様なApple製品の利用を自動化クラウドサービスで管理するFleetsmith$7.7Mを調達(同社シリーズA時)

画像クレジット: MacFormat Magazine / Getty Images

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Android上のGoogle Assistantのビジュアルな答が改良された

半年ぐらい前にGoogleは、スマートフォンのAssistantのルックスを一新した。そして米国時間4月6日、同社はそのフォローアップとして、Android上のAssistantのビジュアルな応答性を良くするための、小さいけどすてきな手直しを発表した。それによってアプリの使い心地は、Googleのそのほかのサービスと同じになるだろう。

たとえば、イベントをたずねたときの応答は、同じ質問をモバイルのブラウザー上でたずねたときとまったく同じだ。これまでは、Assistantのビジュアルな応答は、かなり簡略化されていた〔下図のそれぞれ左(Before)〕。

[イベント][株価][犬][猫]

  1. Events

  2. Stocks

  3. Dog

  4. Cats

また、これにはユーザーからの苦情もありそうだが、Assistantでは最適解がないのでWebサイトのリストを“その他の解”としてユーザーに見せるとき、二つのボックスを画面上に縦に並べた。それは、とっても見づらい。しかし今度からは、ふつうのGoogle検索のレイアウトと同じになる。

良いアイデアじゃないの。なんでそれに苦情が来るの? つまり、表示が通常のGoogle検索と同じになったことによって、検索広告も出るのだ。Assisitantが広告をユーザーに見せるのは、これが初めてだ。Webサイトのリストを答としてもらうような質問は、そんなに多くないから、まあいいじゃないか。でもユーザーが心配するのは、これをきっかけにAssistant上の広告が今後多くなることだ。

Googleによると、Assistantのユーザーに見せるその広告では、広告主は広告のターゲティングができない。そしてユーザーに関する情報を、捕捉しない。

今度のAssistantには、住宅ローンの計算や、カラーピッカー(画面から色を拾う)、チップの計算、水準器などの機能が加わった。また、株価を知りたいときは、完全な対話型のグラフでそれができる。今までのように、株価が表示されるだけではない。

これらの新しい機能は今のところ、アメリカのAndroidスマートフォンのみだ。例によって、あなたのお手元のスマホに現れるのはもうちょっとあとだね。

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サイバー犯罪のグループはFacebook上で繁栄を続けている

Facebookで何を買えるかを知ったら、誰もが驚くだろう。場所さえ知っていれば、何でも買える。Ciscoのセキュリティグ研究チームTalosの連中が、フィッシングや盗んだ認証情報、スパムなど、不法もしくはいかがわしい手段でお金を得ているFacebookのグループをたくさん見つけた。研究者たちが見つけた74のグループは、メンバー数の合計が38万5000人にも達する。

意外にも、それらのグループは自分たちの活動を隠そうとしていない。例えばTalosは、クレジットカードの番号を3桁のセキュリティコード(CVVコード)つきで売っている投稿を見つけた。持ち主本人の顔写真つき、というのもある。研究チームによると:

これらのグループの大半は、“Spam Professional”、“Spammer & Hacker Professional”、“Buy Cvv On THIS SHOP PAYMENT BY BTC ”、“Facebook hack (Phishing)”などなど、すぐにそれと分かる名前を使っている。そんな露骨な名前であるにもかかわらず、彼らはFacebook上で最大8年も存続し、その間にメンバーを何万人も獲得している。

盗んだ認証情報だけでなく、政府機関や企業などのシェルアカウントも売られており、彼らは大量のお金を移動する専門的技能を自慢し、偽のパスポートや本人認定文書などの偽造を売り込んでいる。

サイバー犯罪に関わっているFacebookユーザーが暴かれたのは、今回が初めてではない。2018年にBrian Krebs氏が報じた120のグループは計30万名以上のメンバーを抱え、フィッシング、スパミング、ボットネット、オンデマンドのDDoS攻撃などの犯行に手を染めていた。

Talosの研究者たちはブログでこう説明している。「Krebsが見つけたグループは恒久的に無効にされたが、それから数か月後にTalosは、一連の新しいグループを発見した。その一部は驚くべきことに、Krebsが報じているグループと同一または類似の名前だった」。

Talosの研究員のJaeson Schultz氏はこう書いている。「一部のグループは直ちに削除されたが、特定のポストだけを削除されたグループもいる。最終的にはFacebookのセキュリティチームにコンタクトして悪質なグループの大半を即座に取り除いたが、今でも新しいグループが次々と誕生しており、一部は今すでに活発に活動している」。

サイバー犯罪グループはFacebookが毎日のようにやらされているもぐらたたきゲームの、もぐらたちの一部にすぎない。Facebookは規模があまりにも大きく、その大きさに見合うだけの防犯対応能力を確保しないために、ここで述べたような不法かつ有害な活動は、今後も人の目の行き届かないあちこちの隅っこで、栄え続けるだろう。

Facebookのスポークスパーソンは次のように語った。「これらのグループはスパムや金銭的詐欺を禁じている当社のポリシーに違反しているので削除する。もっと警戒を強めねばならないことは分かっており、我々はこのような活動と戦うために分厚い投資を行っている」。

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コンテナのセキュリティをサービスするAquaがシリーズCで約68億円相当を調達

コンテナのセキュアな立ち上げを助けるAqua Securityが、Insight Partners率いるシリーズCで6200万ドルを調達したことを発表した。

これまでの投資家であるLightspeed Venture Partners、マイクロソフトのベンチャーファンドM12、TLV Partners、そしてShlomo Kramerも参加した。米国時間4月2日の投資で、「これまでの累積調達額は1億ドルを超える」と同社は言っている。

初期の投資家たちは、同社が2015年に創業されたとき賭けに出た。というのも当時はコンテナはまだ何者でもなかった。でもファウンダーたちは、次に来るものに関して確かなビジョンを持っていた。そしてその後、賭けはでっかく当たって今同社は、先行馬のアドバンテージを享受している。ますます多くの企業がKubernetesとコンテナの方を向くようになり、コンテナという特殊な環境を最初から想定したセキュリティ製品が必須になりつつある。

共同ファウンダーでCEOのDror Davidoff氏は、Fortune 500社のうち60社が同社の顧客だというが、その社名は明かさない。でもひとつのヒントとして、世界のトップバンクのうち5行が顧客だそうだ。そんなクラスの企業がコンテナのような新しい技術へ舵を切ったら、しっかりとしたセキュリティオプションなしでは本気で前へ進めない。それを、Aquaが提供する。

Davidoff氏はこう語る。「うちの顧客はみな、思い切った決断をして新しい技術を採用している。彼らは、既存のセキュリティツールでは問題を解決できないことも、よく知っている」。彼によると、みな最初は小さく始めるが、まわりでコンテナの採用が増えるにしたがって自分たちもコンテナの利用を拡大している。

コンテナのような軽量で短命(エフェメラル)なコンセプトはセキュリティの脅威も少ない、と思いがちだが、しかしDavidoff氏によると、コンテナはオープンな技術だから不正行為に遭いやすい。彼はこう言う。「今のコンテナは、誰も知らない初物技術ではない。多くの人に知られており、したがって危険性も増している。技術そのものがオープンだから、ハックもしやすいし脇道にも行きやすい。コンテナに機密情報があれば、その情報には容易にアクセスできる」。

Aquaは、コンテナのイメージをスキャンしてマルウェアを探し、安全を証明されたコンテナだけが確実に本番で動いているようにする。いわばAquaがコンテナの関所になるから、悪者が不正なイメージを挿入することが困難になる。しかしコンテナの短命という性質が、何かがこっそり入り込むことを許してしまう。DevOpsがいるところなら、欠陥コンテナを取り外して新たに証明されたコンテナに迅速に入れ替えるのも簡単だが。

同社は150名の社員がボストン周辺のオフィス、そしてR&Dチームはイスラエルのテルアビブにいる。今回の新たな資金で同社は、営業とマーケティングそしてカスタマサポートを充実させたい、と言っている。またプラットホームとしての能力を、サーバーレスコンピューティングなど新しい領域にも拡張したい。あれやこれやでDavidoff氏の皮算用によると、今から12ないし18カ月後には社員数は倍増、顧客数は3倍から4倍増を期待している。

これだけの資金があれば同社は今後のコンテナ化の拡大に遅れを取ることなく成長でき、プロダクションにおけるコンテナを安全に保ちたいと願う各社からの、セキュリティソリューションの需要に対応していけるだろう。

関連記事: Four years after its release, Kubernetes has come a long way(Kubernetesの誕生後の4年は長い旅路だった、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

日本の「はやぶさ2」が小惑星を銃撃して穴を掘る

打ち上げあり、テストあり軌道確保ありで忙しかった4月4日の宇宙に、今度は宇宙銃で小惑星を撃ってクレーターを作り、その中を調べるという遠隔探査が始まる。それをやってのける日本の探査機「はやぶさ2」は、「りゅうぐう」と呼ばれるオブジェクトからの標本回収という野心的なミッションに挑み、今のところ立派に成功している。

2014年に打ち上げられた「はやぶさ2」は、「りゅうぐう」の近傍に数カ月いて、一連の調査を行った。4基の小さな着陸装置があり、2つが昨年投下されて、その小惑星の上で楽しげに遊んでいる〔マーカーのことか?〕。

2月には本体が表面にタッチダウンして、大量の埃を舞い上がらせたが、衝突装置(SCI、Small Carry-on Impactor)がその小さな手荷物であるインパクター(衝突体)を秒速2キロメートルで撃ちこむというアナログなクライマックスはまだこれからだ。下のビデオは、地球上の実験で「りゅうぐう」に似た物質を銃撃したテストだ。

重力がとても小さい小惑星に、何が起きるだろうか。埃や岩石の小片が舞い上がるだろう。着陸したロボットたちはずっと離れたところにいるから、デブリのシャワーを浴びることはない。

その後、正確に言うと数週間後に、着陸装置と「はやぶさ2」本体は、新しいクレーターと埃や、銃撃で露出した岩石の層を調べる。標本を採取した船体は、今年後半に帰還する。

このクレーター生成オペレーションは米国時間4月4日夜、 日本時間4月5日午前中に行われる。画像はすぐに送られて来るだろう。チームはすでに、「りゅうぐう」の素晴らしい画像を大量にポストしている。その中には、子どもたちが描いた絵もある。太平洋時間4日午後6時には、下のビデオで実況放送も始まる。

この宇宙船が今何をしているか、いつ何どきでも知りたいという好奇心旺盛な人は、このHaya2NOWWebアプリケーションをチェックするとよい。このページは、受信したデータを直ちに視覚化して見せている。とっても便利なサイトだね!

画像クレジット: JAXA

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MySpaceの大規模データ喪失の前に集めた45万曲をInternet Archiveがアップロード

先月、MySpaceが2016年よりも前までにアップロードされたユーザーデータの大半を失ったことが露呈した。その中には、2003年から2015年までの、おそらく数百万曲はあると思われる音楽もある。これは、このサイトをもう利用していないユーザーにとっても、いつまでもあるのが当たり前と思っていた人たちには大きな損失だ。それはソーシャルメディアといえばMySpaceと言われた時代から今日までのネット上のスクラップブックみたいなもので、利用者の中には一般消費者だけでなく自分の作品をMySpace上で宣伝していたミュージシャンもいる。しかしInternet ArchiveがホストしているMP3のコレクションで、失われた音楽と(そして思い出を)取り返すユーザーがいるかもしれない。

【Internet ArchiveからのMySpaceコレクションの通知】

そのコレクションはMySpace Music Dragon Hoardと名付けられ、45万曲が収まっている。失われた音楽は、推計によると1400万人のアーティストの5300万曲と言われているから、45万人は微々たる量だが、有名アーティストの初期の作品もある。Twitterのユーザー@pinkpushpopが見つけたのは、Donald GloverやKaty Perryなどだった(下図)。

【よそでは絶対見つからないのもあるわ】

Internet ArchiveのJason Scott氏によるTwitterのこの投稿によると、このコレクションを編纂したのは「匿名の研究者グループで、これまで彼らは音楽ネットワークについて研究し、その過程で1.3TBのmp3を2008年から2010年にかけてのMySpaceを調べるために集めた」。そしてデータ喪失を知った彼らは、そのコレクションをScott氏に提供した。

喪失はデータのマイグレーションの間に起きたようだが、MySpaceはその状況について口を閉ざしている。だから、データ喪失は偶発的ではなかった(故意だった)と思わざるをえない。

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Amazonサードパーティいじめをやめる、検索結果で自社ブランド商品を目立たせる宣伝廃止

あなたもAmazonの検索結果が、Amazon Basics、Mama Bear、Daily Ritualといった同社のプライベートブランドの宣伝に圧倒されている、とお感じではないだろうか。企業が大きくなって議員たちに詮索されることの多くなったAmazonは、同社のプライベートラベルの製品のバナー広告など、あまりにも露骨な宣伝を静かに削除し始めた。そのことを報じたCNBCは、Amazon上のセラー(売り手、出店者)やコンサルタントにも取材している。

自分のプライベートブランドのための強力なマーケティング活動により、その広告が検索結果では他社よりも上に出るというAmazonのやり方は、反トラストの懸念を招いている。同社の日に日に強まる米国小売市場に対する支配力は、何年も前から精査され監視されている。しかし先月は、マサチューセッツ州出身の上院議員で民主党の大統領選挙予備選の候補であるElizabeth Warren氏が、AmazonやGoogle、Facebookのような巨大インターネット企業は分割すべしと発言してから、その圧力がさらに強まった。Warren氏のこの提案では、年商250億ドル(2兆8000億円)以上のプラットホームは分割対象となっているから、Amazon MarketplaceとAmazon Basicsは分割され、買収したWhole FoodsやZapposもスピンアウトしなければならなくなる。

バナー広告はないが、「black jersey tunic」(黒のジャージーのチュニック)の検索でDaily Ritualが結果の上位を独占している

Amazonのプライベートブランドは、このプラットホーム上のサードパーティのセラーにとって急速に大きな脅威になりつつある。そのブランドは2016年には約10種類あまりだったが近年増え続けて、今や電池やスピーカー、赤ちゃん用ウェットティッシュなどではAmazon上のトップブランドになりつつある。Amazonプライベートブランドは、TJI Researchによると、現状で、Amazonのプライベートラベルが135種あまり、Amazonオンリーの独占ブランドが330種ある。

Amazonは効率のいいサプライチェーンを抱えて高い利益率を享受しているが、それもサードパーティセラーを苦しめる。しかも、競争のために値下げをしても、Amazon上の検索結果ではAmazonのブランドばかり検索結果の上位に出るから、サードパーティブランドに消費者が着目しない。つまり、値下げをしてもAmazonのプライベートブランドに対抗できない。

Amazonが最近、反トラストの嫌疑を避けるためにやったことの中には、サードパーティセラーに対する価格均等要件の廃止がある。これは、同じ製品を他のサイトでAmazon上より安く売ってはいけない、という要件だ。

本誌TechCrunchは今Amazonにコメントを求めている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Adobe After Effectsでビデオのコンテンツ対応塗りつぶしができるように

Adobeは米国時間4月3日、Creative Cloudの一員である特殊効果ソフトウェアAfter Effectsでコンテンツに応じた塗りつぶし(content-aware fill)ができるようになる、と発表した。この機能はかなり前からPhotoshopにあり、写真から何かを消したらそのあとを、まわりにあるもの〔例: 青空〕に基づいて塗りつぶすのによく使われる。ご想像つくと思うが、それを静止画でなく動画でやろうとすると、相当大変だ。その消すべきものがあったすべてのコマで、塗りつぶしをやんなきゃならない。

同社はその大変なことを、AdobeのAIプラットホームAdobe Senseiを利用して実装した。邪魔者のブームマイクなど要らないものを消すには、それをマスクすればよい。マスキングが完全に終わったら、このツールが自動的に消されたあとを追跡して、一部が何かの後ろに隠れていたときでさえも、その場所にふさわしいピクセルで填める。結果を微修正したければ、Photoshopを使って参照フレーム(reference frames)を作ればよい。

  1. Ae_Content-Aware-Fill_1-Before

  2. Ae_Content-Aware-Fill_2-Mask

  3. Ae_Content-Aware-Fill_3-After

このコンテンツ対応塗りつぶしは360度のVRプロジェクトでも便利に使える、とAdobeは言っている。360度だから何かをカメラの視界の外に隠せない。塗りつぶすしかない。

来週行われる今年のNABの年次大会でAdobeは、After EffectsとPremiere Pro用にたくさんのビデオ機能をローンチする。その一部はワークフローの改良にフォーカスし、たとえばFreeform Projectという新しいパネルでは、重要なものを視覚的に並べ替えたり、オーディオをもっと良くするツールがある。なお、AuditionとPremiere Proには、環境音を抑制するオートダッキング機能がある。

例によってAdobeは、アプリケーションのパフォーマンスアップにも力を入れている。たとえば、PremiereのGPUレンダリングはエクスポートの時間を短縮し、8Kビデオのマスクの追跡は最大38倍速く、HDのシーンなら最大4倍速い。

ビデオは今、黄金時代を迎えているから、放送や映画、ストリーミングサービス、デジタルマーケティングなどの分野でビデオのプロたちが、消費者からのより高度なコンテンツの要求に直面している。一方でプロダクションのタイムラインはますます短く、仕事の受注数は増え続ける。Adobeのデジタルビデオオーディオ担当ヴァイスプレジデントSteven Warnerは次のように述べる。「Adobe Senseiが提供するパフォーマンスの最適化とインテリジェントな新機能の数々により、ビデオのプロたちは、だらだらと長かったプロダクションの仕事を減らし、クリエイティブなビジョンに集中できる」。

そして、Twitchのストリーマーにはボーナスがある。これからはCharacter Animatorを使ってリアルタイムのアニメーションを作れる。それはこのツールを使っているColbert Show などでお馴染みの、ライブのアニメーションだ。

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安心して犬を飼うための良質な人間関係を構築するGood Dog

私は今、自分ちで犬を飼いたいと思っている。でも、まず、犬を見つけるのが思ったほど簡単ではないことに気づく。犬を手に入れられる場所は、ブリーダーやシェルターやドッグレスキューなど山ほどたくさんあるが、それらの施設や人びとのやってることがどこまでまともなのか、それが分からない。良質な提供者を、どうやって見つけるのか。

そんなとき助けてくれるのがGood Dogだ。同社は米国時間4月1日、David Tisch氏が率いるBoxGroupやFelicis、Slow Ventures などから670万ドル(約7億円)を調達した。今日立ち上がったばかりのGood Dogは一種のマーケットプレイスで、事前によく調査したブリーダーやシェルター、レスキューなどが自分たちの持ち犬を紹介するセンター的なサイトでもあり、ここ1カ所で納得と満足ができる犬探しを目指している。

Tisch氏はこう声明している。「JoshとLaurenにGood Dogの始まりから関われたことは幸運だ。自分でも犬を探してみてすぐにわかったのは、その過程が完全に破綻していること、だから720億ドルのペット市場には大きな機会が開けていると言える」。

Good Dogの共同ファウンダーであるLauren McDevitt氏とJosh Wais氏は、eコマース大手Jet.comの社員だったが、犬を家族の一員にしたくなって犬探しをしたとき、アイデアがひらめいた。McDevitt氏によると、犬探しでいちばん苦労したのは犬に関するスタンダードと、それを熟知したプロの不在だ。ドシロートのいいかげんな活動や商売が多いようだ。

彼女は曰く「どれがいいのか悪いのかさえ、わからない。誰のやってることが正しいのかもわからない。犬を危険な状態に置いている人たちもいるから、いい意思を持った人間がいい犬を見つけることが、とても難しくなっている」。

Good Dogは、犬を世話するために人間がやるべきことを、人々に教育することに力を入れている。また、この人たちにはどんな犬がいいかという相性も大事にする。それから同社は犬を探している人たちに、信頼できる、動物への注意の行き届いた提供者のプロフィールを調べさせ、彼らとの結びつきを取り持つ。

その際、位置やシェルターを指定できる。犬種だけを指定してもいい。

Wais氏はこう言う。「我々のミッションはいい人といい提供者を結びつけて、悪い人たちを減らすことだ。ペット業界はとっくに破綻しているから、このような人と人を結ぶ仲人業によって無責任な提供者を減らしていけるだろう。そこに、うちの商機がある」。

今のところGood Dogは全米の1000人を超える責任ある提供者からの犬を紹介している。提供者は、Good Dogに載せる前に同社独自の基準でふるいにかける。それにより、犬の健康や社交性(人慣れ)、安全性に配慮した提供者だけをGood Dogから紹介する。

ユーザーが犬を決めて実際にそれを買ったとき、Good Dogはおよそ100ドルの料金をいただく。ブリーダーやシェルターやドッグレスキューには課金しない。また犬の提供者は、Good Dogにお金を払っても載せてはもらえない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa