Microsoft、HoloLensのデベロッパー向け開発キット予約開始―実機を含めて価格は3000ドル、出荷は3月30日

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MicrosoftはHoloLensのデベロッパー向け開発キットの予約受付を開始する。今回の発表を機に、MicrosoftはHoloLens版Skypeと何本かのゲームソフトなどHoloLensの可能性をデモするアプリをいくつかリリースした。

開発キットはデベロッパーごとに1セットを注文できる。ただし当面は招待されたデベロッパーのみで、価格は3000ドル。アメリカとカナダのデベロッパーに製品が出荷されるのは3月30日からとなる。

またHoloLensについていくつか新たな情報が公開された。

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注意すべきなのは、今回はあくまでデベロッパー向けリリースで、消費者版の発表ではないという点だ。これまでMicrosoftはHoloLensアプリ開発に関心のあるデベロッパーと水面下でやり取りをしてきたが、いよいよ正式にデベロッパーを開発プログラムに招待する運びとなったようだ。最初に招待されるのは誰なのか、広報担当は詳しいことを明らかにしなかったが、デベロッパーは数回に分けてまとめて招待されるようだ。

まだHoloLensプログラムへの参加を申し込んでいない読者も今からでも遅くないので申し込んでみるとよい。今後のバッチで招待される可能性は十分にある。

さて大枚3000ドルをはたくと何が手に入るのか? HoloLensのデベロッパー・エディションのパッケージには、まずHoloLensの実機が含まれている。クリッカーと呼ばれるループに指を通してクリックするコントローラー、キャリングケース、ノーズパッド、オーバーヘッド・ストラップ、バッテリー充電器、それにマイクロファイバーの布も含まれる。HoloLensヘッドセットはコンピューターに接続されなくても独立で作動する。64GBのフラッシュメモリーと2GBのRAM(これは少々サイズが小さすぎるようだ)を内蔵する。ヘッドセットの重量は576gだという。

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Microsoftによれば、バッテリー駆動時間は2時間から3時間で待受時間は最長2週間だ。HoloLensは自然空冷なのでファンがうるさく回るということはない。Intel の32ビットCPUとMicrosoft独自のHPU(Holographic Processing Unit)ハードウェアを備える。

もちろんこれ以外に大量のセンセー、カメラが内蔵されている。HPUはHoloLensのセンサーが収集した情報を解析し、必要な映像をリアルタイムで生成する。

ディスプレイは16:9のHD2台で、230万画素の「ホログラフィック解像度」を備えるということだ。【略】

HoloLensのデモ・アプリとゲーム

MicrosoftのAlex Kipmanのブログ記事によれば、 HoloLensはUniversal Windows 10アプリであるという。つまりWindows 10で正常に作動する現代のアプリはすべてHoloLensでも表示される(ただしHoloLens固有の機能は利用できない)ということだ。

今回のリリースを機に、MicrosoftではHoloLensのデモのためにいくつかのアプリを発表した。当初からHoloLensのデモに使われてきたSkypeが含まれるのは当然とだが、今回HoloLensからSkypeを使うユーザーは自分の見ているものを普通のデスクトップ・パソコンを使っているユーザーとも共有できるようになった。

またいくつかのゲームも公開された。

FragmentsはAR/VRのミックス・リアリティーの犯罪ドラマ仕立てで、舞台は「居間」だ。Microsoftによるとユーザーはこの部屋を歩きまわり、ソファに腰掛け、チャットができるという。

もう一つのゲームはYoung Conkerというプラットフォームで、ユーザーは自分がいる場所をベースにユニークなゲームを作成できる。どちらのゲームもAsobo Studioが開発した。

これに加えてMicrosoftは近くRoboRaidというゲームもリリースする。ユーザーは(もう見当がついただろうが)自宅をロボットの襲撃から守る。またHoloStudio 3Dモデリング・ツールや世界の絶景を360度パノラマで体験できるHoloTourも公開されるという。夏には「誰でもユーモラスで感情移入ができる3Dビデオ」を作れるActiongramのリリースも予定されている。

残念ながらHoloLens版のMinecraftに関する新情報はない。

HoloLensは私が久々に興奮して期待しているMicrosoftの製品だ。これまでのところは非常によくできたデモというレベルだったが、いよいよデモの世界を出るようだ。HoleLensが現実の環境でどんな能力を発揮するのか楽しみだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ソニー、3/15(日本時間3/16)にサンフランシスコのゲームショーでPlayStation VRをプレス発表

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Oculus Riftの予約受付開始までに残すところ1週間となり、HTC Viveも近く消費者のリビングにお目見えするだろう。このタイミンでソニーは特別イベントへの招待状をプレス向けに送ってきた。サンフランシスコで3月15日(日本時間3月16日)に開催されるイベントでソニーはPlayStation VRを発表する。

イベントは2016年のゲーム・デベロッパー・カンファレンス内で行われ、時刻は現地時間午後2時(日本時間は翌日午前7時)が予定されている。発表の後、デモが数時間用意されている。

去年のカンファレンスでソニーはMorpheusプロジェクトと呼ばれていたVRプラットフォームの開発状況のアップデートを発表している。

ソニーのVRについてはまだ不明な点が多い。特に製品版の出荷時期と価格が分かっていない。ソニーでは「2016年上半期中になる可能性が高い」 と示唆している。価格についてBloombergは「ソニーの幹部、Andrew Houseが新しいゲーム・プラットフォーム(として適切な価格)になると語った」と報じている。

3月のイベントで重要な事項が明かされるとしたらまず第一は価格だろう。Oculus Riftヘッドセットは599ドル、つい最近発表されたHTC Viveの価格は799ドルといずれもかなり高価だ。ソニーにはメインストリームのアイテムとして適切な価格を検討するのに十分な余裕がある。

PS4VRにはヘッドセットとして明らかに有利な点がいくつもある。VRを接続可能なハードウェアとしてすでに3600万台のPS4が出荷ずみというのはその中でも最大のものだ。ゲーマーは必要なコントローラーを購入ずみなので、ソニーはこのエコシステムでも有利だ。

ソニーが3月のゲームショーでVRヘッドセットに関して何を明らかにするのか大いに興味が持たれるところだ。ヘッドセットの特長、スペック、ゲーム・タイトルには一般消費者も強い関心を持っているだろう。TechCrunchはプレスイベントに出席し、入手できた情報は即座にツイートしていく。期待していただきたい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AppleのiPhoneパスワードのアンロック問題でアメリカ人の過半数はFBIを支持(ピュー・リサーチ調べ)

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ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)の発表によればAppleとFBIの紛争に関して、51%のアメリカ人が「Appleは容疑者のiPhone 5cのパスワード解除に協力すべきだ」と考えていることが判明した。一方Appleの立場を支持するアメリカ人は38%だった。

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このiPhoneは、サンバーナーディーノでのテロリストによる銃乱射事件で、容疑者の1人が所有していたものだ。FBIがAppleに対して、このiPhoneに格納されているデータにアクセスするためにバックドアを設けるよう要求したことに対し、AppleのCEO、ティム・クックは「この〔裁判所〕命令には従えない」と公開状で抗議した。

「ひとたび〔そうしたテクノロジーが〕生み出されれば、それはあらゆる場合にどんなデバイスに対しても繰り返し用いられる。物理的な世界の比喩でいえば、〔FBIの要求は〕何億ものドアを開けるマスターキーを作れというに等しい」と-クックパッドは最初の公開状に書いている。

それ以後多くの関係者がAppleを支持したが、AppleにFBIの要求に従うよう進める声もあった。ホワイトハウスは「国家的な重要案件だ」と述べ、司法省はAppleに対する要求の理由説明するl申し立てを行った。ビル・ゲイツは「AppleはiPhoneをアンロックすべきだ」と述べた。ドナルド・トランプも同意見だった。

他方、ジャック・ドーシーアーロン・レヴィマーク・ザッカーバーグスンダル・ピチャイマーク・キューバンらはAppleを支持した。

ピュー・リサーチによると、調査結果には民主党支持か共和党支持かなどの政党支持による党派的な偏りはさほど見られなかったという。ただし年齢が上がるにつれてFBI支持が増える傾向があった。Appleはアンロックすべきだという意見は18歳から29歳の層では47%で、反対は43%だったが、
50歳から64歳の層では賛成は51%に上った(27%が反対)。

つまりApple、司法省ともに圧倒的な支持を受けているわけではない。Appleには今週金曜まで態度決定の猶予が設けられているがすでにほとんど意味がなくなっている。Appleと司法省の間にはまだ表に出ていない激しいやりとりがあったことと思われる。Appleが意見の食い違いを公開状という形で表沙汰にしたのが正しい決定だったのかどうか、今後の進展に興味が持たれるところだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Bluetooth搭載の小さなセキュリティー・センサーがノートパソコンを見張ってくれる

コーヒーショップで良い席を確保してノートパソコンを広げ、さあこれからひと仕事というときにトイレに行きたくなった。代わりにノートを見張ってくれそうな人物を探してあたりを見回すが適当な候補がいない。では席を諦めるか? 読者もそういう苦境に陥ったことがあるだろうと思う。

MetaSensorのSensor-1は小さなガジェットだが、オーナーの代わりにノートを見張って苦境を救ってくれるはずだ。ノートパソコンがわずかでも動かされるとサイレンを鳴らし、モバイルアプリに通知が行く。

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しかしこのデバイスはノートを見張るだけではない。

ホテルに泊まったときにDo Not Disturbの効果を確実にすることもできる。センサーをドアに取り付けておけばよい。スマートフォンが通信圏外でもサイレンは鳴らすしログも取っている。通信は低消費電力のBluetooth Smartを用いているので通信距離には限界あある。ただしノートやタブレットとペアリングしておけばインターネットを通じてスマートフォンに連絡してくれる。

つまりガレージにセットしておけば、ドアがいつ何回開閉されかが分かる。金庫やロッカーのドアが開かれると通知が来るようにもできる。自転車にセットしておくのにも使えるだろう。

何かが動かされたら、そのことを知りたい場合、Sensor-1を取り付けておけばよい。

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MetaSensorはSensor-1にハイテクを詰め込んでいる。3軸加速度計、ジャイロ、磁力計、RGB LEDライト、それに驚くほど大きな音が出せるサイレンだ。電力供給は標準的な(従ってユーザーが交換できる)コインタイプのバッテリーが使われている。利用法によって違いがあるが、通常、バッテリーは1年程度もつ。3Mの接着パッドがついており、たいていの表面に貼り付けることができる。

DIYマニアやデベロッパーのためにはAPIが用意されている。適切なコーディングをすればBluetooth接続が可能なRaspberry PiやArduinoから、たとえば加工される前のモーション・データを受信できる。

MetaSensorは現在IndieGogoで1ヵ月のキャンペーンを始めたところで、79ドルを投じればセンサー1個を入手できる。MetaSensorはすでに目標の1万ドルを集めている。製造プロセスが万事順調なら最初の製品は今年の10月に出荷されるはずだ。

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Faradayの電動アシスト、Cortlandは完全に普通の自転車に見える―Kickstarterで予約受付中

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Faraday Bicyclesが最初の電動アシスト自転車、Porteurを発表yしてから3年たつ。今回Faradayは2番目のeバイク、Cortlandを発表した。

Cortlandは現在Kickstarterで予約受け付け中だ。Cortlandはバッテリーが改良され、電動モーターや制御ソフトもアップデートされている(バッテリー容量は290Wh、アシスト状態で約40キロ走行)。

新しいバイクにはシートの下に補助バッテリーを取り付けるオプションが用意され、走行距離をさらに32キロほど伸ばすことができる。Cortlandには油圧ディスクブレーキ、ギアハブ式の8段変速機、ビルトインの4WのLEDヘッドライトなどが装備されている。

Cortlandのボディーは少しアップデートされたが、扱いやすい軽い自転車という基本は初代のPorteurと変わらない。新旧モデルともにバッテリーはフレーム内に隠されているため完全に普通の自転車に見える。これはデザインに不満を感じてeバイクに乗り換えることにためらいを感じているユーザーには格好の特長かもしれない。

重量は18kgで、市場に出ているeバイクとしては最軽量のモデルのひとつだ。

Faradayはまた別売オプションとして、新旧両モデルに取り付けられるGPSトラッカーを発表した。GPSガジェットは電動アシストやライトなどの設定を行うFaradayの専用アプリに連動する。

現在予約できるCortlandは2種類で、スタンダードのCortlandは2999ドル、Cortland Sはやや安く1999ドルだ。Sモデルはブレーキが油圧式ではなく普通の機械式になり、動力伝達がカーボンベルトの代わりにチェーンとなる。Kickstarterのキャンペーンは1週間で終了するが、すでに目標の10万ドル以上の金額がプレッジ〔資金提供の約束〕されている。

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これからのドラマーは3本腕だ―ウェアラブル・ロボットが正確なビートを刻む

前回われわれがジョージア工科大学のCenter for Music Technologyを訪問したとき、ギル・ワインバーグ教授は人間に合わせて歌い踊り、演奏する音楽ロボットを見せてくれた。今回ワインバーグはドラマーの3本目の腕となるウェアラブルなロボット・アームを開発した。

ワインバーグは「このロボットは音楽を聞き分け、人間の動作に反応する。装着したドラマーがハイハットを叩く動作をするとロボット・アームはそのリズムに合わせてライド・シンバルを叩く。ドラマーがスネアに移るとロボットはタムタムに向かう」と説明する。

この驚くべきロボットはドラマーの鳴らすビートを聞き分け、腕の動きを注視している。ロボットはドラマーの動作に反応してスティックを操り、いわば「ドラマーのグルーブ感を最大限に高める」ような補助をする。ドラマーがテンポを速めるとロボット・アームのスピードも速くなり、テンポを緩めるスピードは遅くなる。

「人間は環境を認識し反応できるウェアラブル・ロボットを装着することで能力を大幅に拡張できる。たとえばこのロボットはドラマーの3本目の腕として機能し、創造性を高めて音楽を豊かにする。ドラマーは通常では不可能な多数の楽器を同時に演奏することができるようになる」とワインバーグ教授は言う。

このロボット・アームはドラミングにユニークな要素を持ち込むことは確かだ。このプロジェクトはもともと事故で片腕を失ったドラマーのためのロボット・アームを実現する実験から始まった。ワインバーグのチームはドラマーに3本目の腕を装着することで音楽に画期的な変化をもたらすことができることに気づいたという。プレスリリース〔原文参照〕によると、ワインバーグたちは人間の頭脳に直結して思考によって作動するロボットの開発を計画しているという。

私としてはニール・パートのドラム演奏がコピーできるロボットの登場を期待している。

〔日本版〕Rushのドラマー、Neil Peartの発音はニール・ピアトが近い。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Samsung、Galaxy S7/S7 Edgeを発表―microSDスロット復活、バッテリーは大型化

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スペインのバルセロナで開催されているMWC 2016でSamsungは先ほどGalaxyの新モデル、S7とS7 edgeを披露した。基本的には「初心に返った」製品だ。

新しいGalaxyスマートフォンはS6に比べてわずかに厚いが、これは大型のバッテリーを搭載したためだ。SamsungはS7でそのルーツに戻り、防水性とmicroSDカードのスロットを復活させた。この2つの機能がなくなったことはS6シリーズへの大きな不満となっていた。

価格はまだ発表されていない。Samsungの発表を見た限りでは製造にはかなりのコストがかかっている印象だ。

S7 edgeはスクリーンが拡大

S7とS7 edgeのスペックはほとんど同一だ。ただS7 edgeの解像度はS7と同じQuad HDだが、丸みを帯びてカーブした側面に合わせてスクリーンは5.1インチから5.5インチに拡大されている。カーブしたスクリーンの端をスワイプすることでアプリを起動したりニュースを読んだりすることが素早くできるようになった。

バッテリーは巨大化

新モデルは胴回りに少々肉がついたように見える。Samsungがバッテリーの巨大化を実行したためだろう。これによって両モデルともバッテリー容量は大きくアップされた。S7のバッテリーは2550mAhから3000mAhへ、 より大きなスクリーンを搭載するS7 edgeでは2600mAhから3600mAhへ、それぞれ拡大された。

これにともなって新シリーズは以前より少しかさばる。S7は7.9mm、152グラムと発表されたが、これはS6より1.1mm厚く、14グラム重い。5.5インチ・スクリーンのせいもあって違いはS7 edgeではもっとはっきり感じられる。S7 edgeの157グラムという重さはS6 edgeに比べてほとんど20%も重い。

防水と拡張メモリー復活

昨年のS6シリーズの発表は多くのGalaxyファンを失望させた。防水機能、交換可能バッテリー、microSDカード・スロットがすべて失われたからだ。SamsungはiPhoneの真似をすることに満足を感じていたらしい。

新モデルでは交換可能なバッテリーは登場しなかったが、防水機能とmicroSDスロットは復活した。S7/S7 edgeは本体に32GBのメモリーを搭載するが、デュアルSIMカードスロットを備え、microSDが利用できる。これにより最大200GBのメモリーがサポートされる。両モデルとも防水性能はIP68認証だ。つまりある程度の水圧なら長時間水中に置かれても耐えられるということだ。

スクリーンは常時オン

新GalaxyはLG Gシリーズと同様の常時オンのディスプレイを搭載している。使用していないときでもスクリーンには時刻と最新の通知が低電力モードで表示される。

ユーザーは単に時刻を見たり通知を確認するために日に50回もデバイスのスイッチを入れる。それならそのたびにオフの状態から起動するより低電力モードで常時起動しておいたほうが便利だし、バッテリーへの影響もほとんどないという考えだ。会場でSamsungの社員に取材したところでは、常時オンによって消費される電力は全消費電力の1%にもみたないということだった。

常時オンのスクリーンは昨年LGが G4で採用し、今回発表されたG5でも継承されている。

カメラのAFは速くなった

カメラには新しいレンズと撮像素子が採用された。新しい撮像素子は12メガピクセルで、S6シリーズの16メガピクセルの素子ではない。

新シリーズのセールスポイントは明るいF1.7レンズで、前世代のカメラより95%も多い光を集められるという。もうひとつ、利用してはっきり気づく改良点はAF機能だ。「史上初のデュアル・ピクセル・センサー」の採用によるものだろうか、AFの作動速度がはっきり感じられるくらい速くなっている。バーやレストランの暗い照明でシャッターを切ってもけっこう見られる写真が撮れるようになったはずだ。

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S7とS7 edgeの共通スペック

  • スクリーン:Quad HD Super AMOLED 2560×1440
  • CPU:Quad-core 2.15GHz + 1.6GHz
  • 4GB RAM (LPDDR4)
  • カードスロット:microSD装着可能
  • 常時オン・スクリーン
  • IP68防水・防塵
  • リアカメラ:Dual Pixel 12MP / フロントカメラ: 5MP
  • OS:Android 6.0 Marshmallow

SamsungはiPhoneクローンを作ろうとするのを止めて、S7ではAndroidの長所を利用する方向に戻った。バッテリー大型化、拡張可能なメリー、防水防塵、スクリーンの拡大はいずれもはっきりした改善であり、歓迎できる。すべてのユーザーが期待していた方向でもある。

S7/S7 edgeの予約は2月23日(火)の午前8時(太平洋時間)から受付が開始される。店頭に並ぶのは3月11日が予定されている。

〔日本版〕Samsungのサイトはこちら。トップにS7 edgeの紹介が表示されるが、価格等の詳細はまだ掲載されていない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Mattelが300ドルの子供向け3Dプリンターを発表―カスタマイズしたバービーも出力へ

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ニューヨークで開催されている玩具のトレードショー、Toy Fair 2016で、Mattelが“ThingMaker”という300ドルの3Dプリンターを発表した。このデバイスを使えば子どもたちが家で自分だけの玩具をプリントすることができるようになる。3Dプリンターのソフトウェア開発にはAutodeskが協力しており、操作が非常にシンプルになっている。玩具はThingMakerだけでなく、標準的なインターフェイスを備えた他社の3Dプリンターでも出力できる。

ハードウェアに付属してくるこのソフトウェアがMattelの3Dプリンターを使いやすくし、広い層にとって価値の高いものとしている。

市場にはもっと低価格の3D1プリンターも多数登場しているが、付属のソフトウェアが使いにくかったり能力が不足していたりする場合がある。ThingMakerのデザイン・アプリはすでにiOS版、Android版が公開されている。小さな子どもたちでも簡単に使いこなせることがデザインの目標だ。

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実際のソフト開発を行ったのはAutodeskで、Toylandその他のベータ・テスターは「速い」、「機能がわかりやすい」、「ばかばかしいほど簡単」などの高評価を与えていいる。

アプリはThingMaker Designと呼ばれ、すぐに使えるキャラクター・テンプレートが多数含まれている。チュートリアルもわかりやすく、初心者でも簡単に使いはじめることができそうだ。少し慣れれば子どもたちが自分でゼロからキャラクターをデザインすることも難しくない。キャラクターの色や生地は自由にカスタマイズでき、アプリの中で折り曲げたりひねったりできるので、出力後の玩具がどんなふうであるかつかみやすい。デザインの成果はファイルとしてスマートフォンなどのモバイル・デバイスのカメラロールに保存することできるしGoogle
DriveやDropboxに送ることもできる。

デザインがSTLファイルとして完成したらいよいよアプリから3Dプリンターにワイヤレスで送信するわけだが、Mattelだけでなく他社のプリンターにも送れる。

またMattelのシステムの場合、キャラクターをプリントしたら終わりではない。子どもたちは大きな玩具のパーツをひとつずつプリントして後で組み立てることができる。人形、ロボット、恐竜、サソリ、ドクロ、ブレスレット、ネックレス等々お望みのままだ。

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この方式ならMatteは既存のすでにライセンスが確立している人気の玩具と3Dプリンティングを通じてタイアップできる。Mattelはこの点を真剣に考えており、ロードマップの中で「今後、他社ブランドのアイテムのプリントも行われるだろう」と
述べている。特定のブランド目名は名指されていないが、バービー人形やミニカー玩具のホットウィールなどについてはすでに計画中だということが示唆されている。

キャラクターの部品は連続して出力され、その後ソケットにボール部分をはめ込む方式で組み立てることができる。小さなキャラクターなら30分、大きなものでは一晩(つまり6時間から8時間)かかるという。

Mattelによれば、ThingMaker 3Dは硬質PLAフィラメントを使うという。ただしどんな色が利用可能かはまだ発表されていない。Toy
Fairの資料によれば、デモでは24色が使用されているという。Mattelの広報担当者の一人は「プリント素材は将来他のオプションが利用できるようになるかもしれない」と述べている。

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3D出力が始まると、安全上の理由からプリンターのドアは自動的にロックされる。子どもたちは正面の透明な窓からプリントの様子を観察することができる。プリンターが動いていないとき、プリンターヘッドは安全な位置に格納される。これは子どもたちが熱いプリンターヘッドや出力されたばかりのアイテムにうっかり触れて火傷しないための配慮だ。

玩具が3Dでプリントされるというのは小さな子どもたちの興味を惹きそうだが、USA Todaytの記事によると、製造物責任の観点からであろうが、Mattelでは「13歳以上向け」だとしている。しかし出力されるフィギュアの種類は3Dプリンターのシンプルなdデザインなどからみて、ThingMakerは小さな子どもが大人に付き添われて家に持っていくことになりそうだ。

実は“ThingMaker”という商品名にも由緒がある。これはMattelが1960年代に初めて発売した子どもたちが家でものづくりができる玩具の名前だった。l熱した型にPlastigoopと名付けられた液体プラスチックを流し込んで冷やすことで花やクリーピークローラーが作れた。当時Matteはこうした方法で子どもたちの創造性を伸ばそうと試みていたようだ。

それが21世紀のテクノロジーで蘇ったわけだ。

3Dプリンターが実際に発売されるのは秋も深まった頃になるようだが、MattelはすでにAmazonで予約の受付を始めている。

玩具メーカーとしてはMattelはアイテムへのデジタル・テクノロジーの採用に意欲的な方だ。Toy FairトレードショーでMattelはGoogleの段ボール製VRヘッドセットを利用した立体写真眼鏡、ビューマスターのリバイバル版を発表している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

さくらインターネットのIoTプラットフォームの本質は、閉域網に巨大なデータを蓄積することにある

さくらインターネットが以前から発表していたIoT向けのプラットフォームがいよいよ本格稼働する。同社は2月8日、「さくらのIoT Platform」のアルファ版のパートナー申し込み受付を開始した。4月にもアルファ版サービスを開始する予定。また9月にベータ版としてサービスを拡大。2016年度内の正式サービス提供を予定する。

さくらのIoT Platformは、同社オリジナルのモバイル通信モジュールである「さくらのIoT通信モジュール」(設計、開発はCerevoが担当。ソフトバンクおよびソラコム(NTTドコモ)の回線の2種類を提供)を通してL2接続した閉域網を用意。閉域網内ではストレージやデータベースといったバックグラウンド環境を構築、外部のクラウドやアプリケーションなどから呼び出し可能なAPIも提供する。

プラットフォームのコンセプトは「どこでも誰でも手軽に今すぐに」。マイコンやIoT製品にモジュールを組み込むことで、通信経路やサーバとの通信プロトコル(モジュールマイコンのUART、SPI、I2Cといった通信規格に対応)などを意識せず、モノ(ハードウェア)の制御とAPIを使ったデータ処理だけに対応すればいい。

アルファ版のためプラットフォームは無償で提供。通信モジュールや通信費などをベースにした定額料金ではなく、通信モジュールと閉域網で実際にやりとりされるメッセージと、APIを利用したデータの取得に応じて料金が設定される予定だ。「メッセージに関しては2年間期限で100万件(2年間、1分単位での通信に相当)で無償」といったプランも検討されている。3G回線の通信モジュールはこれまで数万円ほどの価格帯が一般的だったが、1万円以下で提供する見込み。なおアルファ版に関しては無償で提供。現在モジュールは1000台生産しており、それ以上のニーズがあれば別途対応を検討する。

閉域網にアップされるデータは、パブリックなものとプライベートなものに分けられる。パブリックなデータに関しては、APIを利用して開発者が自由かつ無償で扱える。一方でプライベートなデータは有料で利用することになる。さくらインターネットでは、プラットフォーム上により多くのデータが集まるよう、API取得時の料金の一部を、データをアップする開発者に還元することを検討している。

開発中の通信モジュール

開発中の通信モジュール

アルファ版の開始にあたり、Amazon Web Services(AWS)やヤフーのIoTプラットフォーム「myThings」などとも連携。さらに「Priority Partner」と呼ぶ先行パートナー企業も集まった。NECパーソナルコンピュータとはホームIoTやパブリックIoTの実現に向けた共創プロジェクトを展開。Cerevo、ソラコムはそれぞれ前述のとおり、また医療IoTスタートアップのサイマックスやM2Mのデータソリューションを提供するアプトポッドなどがすでにプラットフォームの採用を決定している。

と、ここまではすでに各メディアでも報じられている話。ざっくり言えば、IoT機器メーカーにとっては、「とにかく簡単に作れる(組み込みソフトのスキルが低くてもいける)、なのにセキュア」ということだ。会見後Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏にも話を聞いたのだが、閉域網にデータを預けることは、「セキュアな環境なので極論を言えば暗号化せずに通信できる。組み込みのマイコンにおいては、SSL通信などは重くて無駄な処理。そう考えるとマイコンの品質を下げて、原価低減ができるというメリットもある」といった利点もあるのだそうだ。

膨大なデータを閉域網に集めることこそが本質

さくらインターネット創業メンバーであり、現在同社のフェローとしてこの事業に携わる小笠原治氏によれば、さくらインターネットがこのプラットフォームで狙うのは、別に通信料やAPI利用料によるマネタイズではない。IoT機器から送られる膨大なデータのプールを閉域網に作ることだという。

小笠原氏は会見の中でも「(通信モジュールで)格安MVNOをやるわけではない」「デバイスメーカーになるわけでもない」「インターネットに開かれた繋がれたクラウドサービスを提供するわけでもない」と語っていた。もちろん正式サービス時には課金を行うわけだが、とにかく色んなデータを集めて、それを使った新しいビジネスのシードを見つけていくことこそが重要だという。このプラットフォームは「人々が気づけなかった世界の相関性に気づくためのプラットフォーム」を目指すとしている。

岩佐氏は、作り手の立場からこう語る。「IoT機器のメーカーが、誰かのセンサー値を使える世界というのはめちゃくちゃ面白い話になる。もちろんそんな構想があるメーカーは(現状では)ほぼいないが、スタートアップからは出てくるのではないか」

例えば世の自動車がリアルタイムに車速のデータをさくらのプラットフォームにリアルタイムでアップロードしているとしよう。そのデータがオープンなモノであれば、「ある道が混んでる」と瞬時に判断して、リアルタイムに迂回ルートを提案してくれるなんてこともできる。一部の自動車メーカー(ホンダのインターナビなど)では自社製品に閉じてこういった仕組みを提供しているが、これがパブリックなデータで実現できるようになるわけだ。もちろんこれはあくまで一例。正式サービスのローンチはまだ少し先だが、はたしてこのプラットフォームからどんなIoT機器が生まれてくるのだろうか。

さくらインターネット代表取締役社長の田中邦裕氏(一番左)、同社フェローの小笠原治氏(左から4人目)ほか、Priority Partner各社の代表ら

さくらインターネット代表取締役社長の田中邦裕氏(一番左)、同社フェローの小笠原治氏(左から4人目)ほか、Priority Partner各社の代表ら

3Dプリントができる子ども用のプラスチック押し出しペン3Doodler Startが39ドルで予約販売を開始

信じがたいことだが、世界初のプラスチックを押し出すペン3DoodlerがKickstarterで人気を博したのは3年近くも前だ。そして今回同社は、それの子供向けバージョン3Doodler Startでカムバックした。やけどしそうな熱いところが外に露出してないので安全、そして使用する素材もエコなプラスチックなので、安心して創造行為を楽しめる。今予約受付中で、同社のWebサイトで39ドルだ。

3Dプリンターはどれも、最初のうちは忍耐を要する。この3Doodler Startも例外ではないが、同社はクールでかわいいステンシル集DoodleBlocksを用意しており、”Super Mega Pack”を買えばそれが含まれている。だから幼い子でも、複雑な3Dプリントを楽しめる。

3Doodlerの協同ファウンダーDaniel Cowenを取材したとき、ぼくもちょっと試してみた。上のビデオで、使い方などをご覧いただこう(ステンシルの使い方の画面もある)。先輩機3Doodlerの売れ行きも、好調らしい。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

PCやスマートフォンを必要としない自立型VRヘッドセットをGoogleが開発中、という噂

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Googleは早ければ年内にも、従来の分類に当てはまらない、駆動と制御にPCやスマートフォンを要しない、消費者向け仮想現実ヘッドセットをリリースすべく、準備を進めているかもしれない、とWSJが報じている。

Googleによる、VRハードウェアの自社開発をめぐる噂は数週間前からある。Financial Timesは数日前に、GoogleがSamsung Gear VRのコンペティターとなるモバイルデバイスを近い将来、おそらく5月のGoogle I/Oあたりでリリースする、と報じた。

今日のWSJの記事は、Googleがこの完全自力タイプのヘッドセットにMovidiusの高性能チップを使う、とほのめかしている。そのチップはデバイス本体を駆動するだけでなく、外部カメラでヘッドセットの装着者を追跡するシステムにも使われる。

Movidiusも最近、同社のMyriad 2プロセシングプラットホームに関するパートナーシップを二週間前に結んだことを発表した。その中で同社は、Googleと協働して“マシンインテリジェンスをデバイスに持ち込む”、と具体的な話もしている(下のビデオ)。

また先月のブログ記事でMovidiusのCEO Remi El-Ouazzaneが次のように述べている: “マシンインテリジェンスとニューラルネットワークの分野でGoogleが成し遂げた進歩は驚異的だ。この技術を消費者製品に組み込むという課題は、きわめて高い電力使用効率の必要性に帰着する。そしてそここそが、製品が内蔵するハードウェアのアーキテクチャと、ニューラルコンピューティングの、深い統合化の舞台となる”。

仮想現実の消費者製品化については、これまでの数か月間で、Googleにはそのほかの重要な動きもあった。ただしその多くはCardboardやProject Tangoのような、消費者というよりVRやARのサードパーティのハードウェアメーカーやコンテンツ作者向けの、大枠的な開発ベース(プラットホーム)が主な話題だった。

Project Tangoはまだ初期的段階だが、Lenovoは現在、今夏リリース予定の初のTangoデバイスの開発を進めている。またGoogle Cardboardは、ベアボーンなデバイスでありながら、すでに500万台出荷され、消費者の顔に括りつけられている。

WSJの噂の源泉のひとつが、最近のGoogleの人事だ。数週間前にGoogleのプロマネ担当VP Clay Bavorが、そのほかのプロダクトの担当を外され、仮想現実提供物の専任になった。

また最近のGoogleの求人の中には、VR Hardware Engineering Technical Lead Manager(VRハードウェアのエンジニアリングのテクニカルリードマネージャー)という肩書があり、その職責は、複数の消費者電子製品を制作するチームのリーダーおよび、“高性能で電池駆動方式の、きわめて特殊な制約のある、消費者電子製品のシステム・インテグレーションを指揮する職務、とある。

PCやスマートフォンを必要としない電池駆動のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)が、今の業界のデベロッパー製品や消費者製品の現状を見るかぎり、相当重要な開発テーマであることは間違いない。

しかしモバイルのエコシステムと因縁の深いGoogleのような企業が、自分でそんなハードウェアの開発に乗り出すのは、やや異様でもある。モバイルのVRはすでにユーザーのアクセス性もかなり高く、消費者は強力で高性能なスマートフォンに駆動されるVR、およびそれらが提供する高精度で高速フレームレートの、他と比べるもののない体験に浸っているのだ。

しかし、何らかの結論を出すのは早すぎる。WSJは、デバイスの登場は年内と言っているが、記事に登場する情報筋たちは、開発は初期的段階であり、そのプロジェクトがお蔵にされることもありえる、と言っている。

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Metaの‘未来的な’次世代AR眼鏡のデモを体験したテクセレブたちが絶賛、一般公開は数週間後か

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【抄訳】
Google Glassと同じころ生まれた拡張現実(AR)眼鏡企業Metaが、同社のARヘッドセットの次世代バージョンを近く発表する。水曜日(米国時間2/10)に同社はYouTubeでビデオを公開したが、その中では何名かのテクノロジーインフルエンサーたちが、まだ公開前のデバイスのデモの、“未来的な”体験をほめている。

先週は未来のテクノロジーの予言者Robert Scobleが、Metaの最新のデモを経験してとても感激していたから、このビデオは明らかに、その追い風に乗ろうとしている。そのデモをScobleは、“これまでに経験した製品デモの中でいちばんおもしろい”、と絶賛している。

このようにコーフンが盛り上がるのは、Metaのサイトに製品の公式リリースまでのカウントダウンタイマーがあるせいでもある。そこでは、あとわずか20日あまりで“革命が始まる”、と豪語している。ただしScobleのFacebookページには、デバイスのリリースはMetaのCEOが来週のTED2016で講演をするときだ、とある。

というわけで具体的な情報は乏しいが、GigaOmの最近の記事は、Metaの今度のリリースはデベロッパーキットであり、消費者製品ではない、と言っている。

上の“じらしビデオ”(teaser)では、オーバーにドラマチックな曲が鳴っているが、そこではMetaの投資家としてやけに目立つRedditのファウンダーAlexis Ohanianが、MetaのAR眼鏡のデモ体験を語っている:

“ここ数年ぼくは、‘未来はこうなる’という予言をやたら口にしているが、その未来の中でまさに今自分が生きている、と思わせてしまうほどの製品デモは、これが初めてだ”、とこれまた大げさな絶賛。

【中略】

Metaは最近シリーズAで2300万ドルを獲得したが、それに対して評価額45億ドルのMagic LeapはシリーズCで7億9350万ドルという怪物のような額を調達している。でも、実際にプロトタイプのデバイスがあって一部の人びとがそのデモを試せるのは、Metaの方だ。MetaのデバイスはGoogle Glassのころからあるけど、そのころから単に魅せるARではなく、コンテンツを手で操作できることに力を入れている。

たとえば下のビデオは、2年前、2014年のCESで、MetaのCEOでファウンダーのMeron Gribetzが、説明しながらデモをやっている。コンテンツを手で操作、の意味が分かる。

もちろん今ではデバイスは小型化されているが、Scobleらのコーフンぶりを見ると、同社のAR技術は何らかのブレークスルーに到達したのではないか、とも思われる。われわれ一般人は今のところ、Metaのサイトでカウントダウンタイマーを見ることしかできなくて、残念だけど。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

映画やゲームの動きに合わせてカウチを振動させるImmersitがKickstarterでクラウドファンディング中

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Immersitは、今日(米国時間2/10)Kickstarterでローンチした、あなたのリビングのカウチのための、新種のコネクテッドデバイス(connected device)*だ。Immersitは振動を作り出して、あなたを、今見ているムービーやビデオゲームに没入させる。今部屋にあるカウチで、使える。〔*: connected device, インターネットに接続されたデバイス。〕

テーマパークで振動シートに座ったことが、おありかな? Immersitは、それのご家庭用だ。とはいえ、簡単に作れるものではない。同社は新しいカウチを作ってそれを売る方式を最初から拒否し、ちっちゃな台座を既存のカウチの下(脚部の下)に置くやり方にこだわった。その台座は二つの部分に分かれていて、上部が、上下や前後左右に短い周期で動く==振動を発生する。

カウチの中央部に置かれたブリッジが台座内のモーターを制御し、各モーターの同期を図る。キットは565ドルのタイプと904ドルのタイプがある。ムービーやビデオゲーム以外に、VRヘッドセットでも利用できる。いや、用途はもっともっと広い。

ただし、Immersitの各モーターは互いに同期しても、ゲームやムービーの動きとは(視覚的には)同期しない。そこで同社は、いろんな映画の中の振動をエンコードして、あなたが今見ている映画の動きにあった動き(振動)を作り出す。何を見ているかは、自動的に検出する。音声を、その映画の指紋として利用しているのだろう。

Immersitはベッドでもソファーでも、四つ足のものなら何でも使える。振動の強さは変えられるから、眠くなったとき自分を起こせる。

そして、仮想現実だ。仮想現実(VR)のヘッドセットは、それ自身がテレビなどよりも没入的だが、同社はコントローラーやカメラやトレッドミルを利用してVRの没入性を強めようとしている。VRヘッドセットでImmersitを使うのは、良い相性だ。

発売は、今年の12月を予定。ただしクラウドファンディングはどんなものでも、眉にやや唾を付けて見るべきだ。ImmersitはCESで実動プロトタイプを見せたが、最終製品はまだない。でもぼく自身は、ぜひこれを使って、カーチェイスの場面を見てみたいな。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Apple WatchがiPhoneアクセサリーの地位を脱する3つの方法

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Appleは正確な数字を発表していないが、昨年春の発売以來のApple Watchの販売台数は期待された水準には届いていないと多くの関係者は考えている。Appleの2015年度の決算書類を見ると、Apple Watchは17億ドル程度の売上高があったもようだ。

一方で、iPhoneは第4四半期だけでの322億ドルも売れている。これは大きな落差だ。新製品を発表するたびに殺到する客で長い行列ができるのを普通としてきたAppleとしては見過ごせない事態だ。

私自身についていえば、独立前の12年間をAppleで過ごした。会社勤めをしていた期間の大部分といっていい。その間、音楽とエンタテインメント分野の立ち上げとプロモーションに関わり、必然的にAppleの各種製品と業務の過程に詳しくなった。

その経験から、私はAppleの新製品を買うにあたっていくつかのルールを守っている。たとえば、ガジェットを買う場合には発売から6ヶ月待つこと(新ジャンルの製品の場合は特にそうだ)。Appleが初期不良を退治するにはだいたいそのくらいの期間が必要だ。しかも待っている間に重要な新機能が追加されることも珍しくない。

その6ヶ月はとうに過ぎたが、私はまだApple Watchをポケットマネーでは買っていない。現在Apple Watch 2.0のリリースが間近だという情報が渦を巻いているが、私は今回も自分の原則を守り、発売後6ヶ月様子をみるつもりだ。

Appleで長期間過ごしたおかげで、私はApple Watchについてもインサイダーの視点とアウトサイダーの視点の双方を持っている。その知識に基いてApple Watchが改良されるべき(そして売上を伸ばすべき点)点をいくつか考えてみたい。

ファッション性:現行のApple Watchはライバル製品に比べれば十分にスマートだ。しかしテクノロジー・ガジェットという本質を守りながらさらにデザインを改良する余地はあると思う。Appleはファッション業界のトップを何人も採用している。イブ・サンローランやバーバリーのデザイナーたちがAppleをライフスタイルのブランドに押し上げるべく才能を注いでいる。最近、Appleはあのエルメスとも提携している

全体的にみればこうしたAppleの努力は十分な成果を挙げているようだ。しかし、エルメス版Apple Watchなど著名デザイナーによるカスタム製品は一般消費者には手の出ない価格になっている。しゃれた時計バンドが欲しいユーザーがみな金持ちとは限らない。

当然ながらAppleは次のステップとしてもっと手の届きやすいブランド、たとえばTargetなどと提携してApple Watchのカスタマイズを進めるべきだろう。現状ではカスタム製品を購入するためのハードルが高過ぎる。Appleはもっと幅広い層に魅力ある製品を販売するべきだ。

現状ではApple WatchはiPhoneアクセサリーの一つという以上の存在ではない

以前、iPod Nanoをリリースしたとき、Appleは市場に新しい製品ジャンルを確立しただけでなく、アイテムを派手なキャンディー・カラーにすることでターゲットである若い層の心をつかむのに成功した。同じように、Apple Watchのバンドのカスタム化を今よりもっと簡単にし、値段を下げるだけでApple Watchの売れ行きを大きく改善できる。

独立性:消費者は外出するときに所有するガジェットを全部持ち歩かなくてもすむようになることを強く願っている。Apple Watchの場合、機能の主要な部分をiPhoneに依存していることはこの製品の最大の弱点だ。現在、Apple Watchのユーザーは常にiPhoneを携帯し、Bluetooth接続を絶やさないようにしなければならない。iPhoneなしでは機能は大幅に制限される

現状ではApple WatchはiPhoneアクセサリーの一つという以上の存在ではない。独自のデバイスとはいえない。しかし将来は、Apple WatchはiPhoneを含めて他のAppleデバイスから独立した製品になるべきだ。そうなって初めてユーザーのライフスタイルにシームレスに溶け込むことができる。たとえばジョギングに出るときにiPhoneを持たずにApple Watchを腕に着けるだけでGPSやフィットネス機能が利用できたら便利だろう。あるいは空港で出発を待っているとき、予定の便に遅れが出たら腕でピンという音が鳴って通知してくれるというのもよい。

残念ながら、今噂になっているApple Watch 2.0ではまだこういう機能は搭載されないだろう。テクノロジーのさらなる進歩を待つ必要がありそうだ。Appleはコンピューターをデスクトップからノートへシフトさせることで大成功を収めた。同様に、Appleはスマートウォッチをモバイル・デバイスに従属した状態から解放することで市場に圧倒的な地位を築くことができる。

ヘルス:もう少し現実的なレベルでいえば、消費者がウェアラブル・デバイスに大きな期待を抱いているのはヘルス関連の機能だということが分かる。

最近のアメリカ人がますます健康に注意を払うようになった結果、体調管理に役立つアプリは目覚ましい成長を遂げている。 ヘルス分野ではAppleはアプリやサービスの開発をサードパーティーのデベロッパーに任せているが、Apple自身がヘルス分野のイノベーションを主導することができるはずだ。それはブランドとしてのAppleの地位を高め、ウェアラブル分野のライバルに対してさらに差をつけることを可能にするだろう。

指を刺して血液を絞り出さずに血糖値が測定できるデバイスや装着者に心臓発作の予兆があることを警告してくれるアプリなどには大きな可能性があり、Fitbitなどが開発中だ。Appleは現実の人々をよく観察し、現実のニーズを把握するべきだ。Appleはヘルスケア・デバイス市場のリーダーとなるために絶好の位置にいる。

テクノロジーが成熟するまで買うのを待つという点にかけてはスティーブ・ジョブズという良いお手本がある。ジョブズは洗濯機やドライヤーなどの電化製品を自分の家のために買うのが遅いので有名だった。ジョブズは製品が機能でも信頼性でもデザイン性でもきわめて高い水準に達していることを望んだからだ。私はこの点でジョブズを見習っている。私だけでなく、売上に関する統計をみるかぎり、多くの消費者がApple Watchに関して同じ態度を取っているらしい。

私はAppleがこうした点を実現してくれることを強く期待している。上に書いた3点はApple Watchのようなウェアラブルが今後どういう方向に発展していくのか様子を見ている消費者を惹きつける上で確実な効果があるはずだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

NASAの有人火星探査計画、一歩進む―スーパー・グッピーがOrion探査機を空輸

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昨日(米国時間2/2)、人間を火星に往復させるプロジェクトのためにNASAが開発中の宇宙探査機、Orionが組み立てを終わり、テストのためにケネディー宇宙センターに到着した。驚くべき点は、到着のつい数時間前までこの巨大な宇宙船はニューオーリンズにあるNASAのミックハウド組み立て施設内あったことだ

Orion宇宙船をルイジアナ州ニューオーリンズからフロリダ州ケープカナベラルまで運ぶためにNASAは所有するスーパー・グッピーを使った。 スーパー・グッピー輸送機の貨物室は高さと幅が25フィート〔7.6m〕、長さが111フィート〔33.8m〕ある。この巨人機は最大26トンの貨物を搭載することが可能で、NASAでは陸路、海路では時間がかかりすぎるとか、そもそも運ぶことが不可能な大型のパーツを空輸するのによく利用している。

スーパー・グッピーの歴史は長く、アポロ計画の時代にまでさかのぼる。1960年代にサターン5型ロケットの部品をカリフォルニアの組み立て施設からフロリダまで空輸していた。NASAはロケットをまるごと船に載せて、パナマ運河経由で運ぶこともできた。しかしこれは空輸に比べて数週間、場合によっては数ヶ月も余計に時間がかかるという大きな欠点があった。

Super Guppy with 2 supersonic jets / Image courtesy of NASA

実験用超音速機2機を輸送するスーパー・グッピー /画像:NASA

最近では国際宇宙ステーションの大型モジュールなどを運搬するのにスーパー・グッピーが用いられている。

World's largest heat shield in the Super Guppy / Image courtesy of NASA

世界最大の熱遮蔽装置を運ぶスーパー・グッピー / 画像:NASA

火星探査機Orionはまだ完成しているわけではないが、きわめて高価な貨物であることに変わりはない。この有人宇宙飛行モジュールはNASAの人間による火星探査計画の実現に不可欠の要素だ。完成したときにはOrionは(SLS=Space Launch System)の一部となり、ロケットの先端に取り付けられ4人の宇宙飛行士を載せて火星に向けて飛びたつことになる。

Orionの初期モデルは2014年に初飛行を実施している。EFT-1(Exploration Flight Test 1)と名付けられこのミッションでは、Orionは地表から3600マイル〔5800km〕の彼方まで飛行した。この高度は国際宇宙ステーションの軌道よりも15倍も遠い。

ミックハウド組立施設ではエンジニアがOrionの基本的なモジュールとなる与圧室の組み立てを終えた。そこでさらに現実的なテストを実施するためにOrion与圧モジュールをケネディー宇宙センターに運ぶ必要が生じたわけだ。

Orion pressure vessel at NASA's Michoud Assembly Facility / Image courtesy of NASA

Orion与圧室モジュール。NASAのミックハウド組立施設にて / 画像: NASA

Orionにはこの後さまざまなサブ・システムが取り付けられる。すべて順調に進めば、Orionには 2018年に2回目のフライトが待っている(SLSの一部としては最初のミッションとなる)。残念なことにこれは前回のEFT-1の飛行成功から4年も後のことになる。

公衆の意見はNASAの計画にとって非常に重要だ。〔大統領選で〕政権が変わる際には特にそうだ。大きな打ち上げイベントは公衆の関心を呼び起こすのに絶好のチャンスではある。しかし大型モジュールの打ち上げには多額のコストを要するのでNASAは慎重に計画しなければならない。

NASAの計画に大きな変更が加えられなければ、 Orionの最初の有人宇宙飛行は2023年に予定されている。NASAでは2030年代にOrionを使って火星に人間を送り込みたいとしている。

〔日本版〕スーパーグッピーはボーイング社最後の大型プロペラ旅客機、ボーイング377ストラトクルーザーをベースにしたターボプロップ広胴輸送機。初期のエアバスの組立で大型パーツを輸送していたことでも有名。詳細はこちらに

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Apple、3月15日〔日本時間16日〕にイベントを開催―iPad、小型iPhoneなど発表予定

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1月中旬に私は「新型Apple Watchはいつ出るのだろうか?」という記事をTechCrunchに載せた。現在でもその答えはやはりノーだと思う。 しかし記事ではAppleは3月に関連イベントを開催するかもしれないと書いている。発表されるのはおそらく新世代のiPadと小型のiPhoneだろう。ただし、いくつかの情報源から聞いたところではイベントの中身はまだ流動的だ。これはハードウェアの開発状況次第ということになる、と付け加えている。

さて、情報源によると、イベントの開催日は3月15日で確定したようだ。また4インチのiPhoneと新iPadが発表されるのはほぼ確実になってきた。

今日(米国時間2/2)、9to5MacBuzzfeed NewsもAppleイベントの日付と発表されるであろうプロダクトを報じている。TechCrunch記事で私は「すっかり新しくデザインされたApple Watchのハードウェアは第1四半期のイベントには登場しないだろう。ただし新しいアクセサリーはいくつか発表されるかもしれない」と書いた。 BuzzfeedのJohn Paczkowskiは新しい腕時計バンドがストアに並ぶと書き、 9to5MacのMark Gurmanはミラネーゼ・ループの黒いバンド(これは私も欲しい)、新しいスポーツ・バンドやエルメス・バンドが発表されるだろうとしている。

4インチiPhoneと新iPadについてはだいぶ前から情報が流れており、記事も書かれている。 Intelの最新プロセッサSkylakeを搭載したMacbookの噂も出ているが、まだ発表の日取りを決められるような開発段階にはないと聞いている。これについてはあとしばらく待つ必要があるようだ。

Appleにコンタクトしてみたが、答えはいつも通りの「われわれは噂や推測にはコメントしません」だった。

画像: Sebastian Horndasch/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

スマートスプリンクラーのRachioが進化した第二世代機の提供を開始

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IoT市場がやや停滞気味に感じている人もいるのではなかろうか。トースターやロボット掃除機をスマートフォンからコントロールできるのは確かに面白いとは思った。ただ必要性という面から考えると、どうも「いらないもの」であるようにも感じられるのだ。ただしIoTに将来がないという意味ではない。省エネに寄与するIoTにはまだまだ大きな可能性があるはずだと思う。

今回紹介するRachioは、可能な限り無駄を省いて芝生に水やりを行うスプリンクラーだ。実はこのたびリリースされたのは第二世代のものとなる。クラウド情報を利用するデバイスとの連動性能を高め、天気などの情報に正しく対処して無駄を省く仕組みが実装されている。

市販価格は249ドルで、RachioのウェブサイトおよびAmazon、Home Depotなどから購入することができる。また最近の先端IoTデバイスらしく、Appleのオンラインストアでも販売されるようになるとのことだ。

Rachioによると、旧モデルにおいても散水を行う水道代を半分ほどに削減できたとのこと。節約につながったのはもちろんのこと、水利用の面で「サステナビリティー」を実現したプロダクトとなった。

その第一世代機のメリットに加え、第二世代のRachioでは他の家庭用スマートデバイスとの連携性を高めている。すなわちNest、Xfinity、Alarm.com、Control4、IFTTT、Nexia、Wink、そしてAmazon Echoなどと連携できるようになっているのだ。連携の幅を広げることで、たとえば雨が降っているのに芝生に水を撒くようなことはしないですむようになる。また散水のエリアを16のゾーンにわけて識別できるようになっており、またセンサーの種類も増えている。さらにくわえてセットアップもこれまでよりも簡単になっているのも魅力のひとつに挙げて良いだろう。

いろいろと性能の向上がある中で、値段が下がっているのもうれしいところだ。第一世代のプロダクトは299ドルだったが、新しい第二世代版は249ドルとなっている。より多くの利用者を獲得したいという狙いもあっての価格設定なのだろう。

Rachioは昨年11月に資本を増やしている。すなわちArborview Capitalが主導するシリーズAにて710万ドルを調達している。新たに得た資金は利用者の要求に沿うかたちでの成長戦略を実現するために利用する予定であるとのこと。

Rachioがもたらしてくれる利益のひとつとしては、水道代の低減という形でみえてくるものだろう。ただしこれは「節約」という効果だけでなく、資源の有効活用という面からしても人類にメリットをもたらしてくれるものだと言えるように思うのだ。

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(翻訳:Maeda, H

SamsungもAppleに続いてAndroidのデフォールト・ブラウザに広告ブロックを導入

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昨年iOS 9をリリースした際に、AppleはSafariブラウザで広告ブロックをサポートした。この日曜日、Androidデバイスのトップメーカー、Samsungは自社のスマートフォンにデフォールトで搭載されているブラウザにコンテンツと広告ブロックの機能を導入した。現在公開されているこのアップデートはLollipop(5.0)以降のAndroidを搭載したSamsungデバイスで作動し、起動方法はAppleのiOS 9の場合とほぼ同様だ。

このアップデートに伴い、サードパーティーのデベロッパーはコンテンツや広告をブロックする独自のアプリを開発することが可能になった。ユーザーにとって不要なコンテンツをブロックすることでページの読み込みを高速化し、データ転送量を圧縮することもできる。

こうした広告ブロック・アプリはSamsungの最新のブラウザに組み込まれたコンテンツ・ブロック拡張機能のAPI を利用することで可能になる。つまりユーザーは広告ブロック機能を利用するためにはSamsungのデフォールト・ブラウザを使わねばならない。Google Chromeその他サードパーティーのブラウザからはこの機能は利用できないことになる。

それでも広告ブロック機能の利用者数は膨大なものになる可能性がある。Google Playストアの調査によれば、Samsungのブラウザは1000万台以上(ただし5000万台以下)のデバイスでダウンロードされているという。しかもこの数字は明示的にダウンロードされた数だけで、Samsungのデバイスにプレインストールされている数ではない。

しかしAndroidではSafariブラウザが圧倒的な勢力となっているiOSの場合とは事情がやや異なる。Net Applicationsの調査によれば、Safariはモバイル・ブラウザの34%を占めているが、AndroidデバイスではGoogleの Chromeブラウザのトップの座は揺らいでいない。Android OSを提供しているのがGoogleであるという有利さもあり、 Chromeのシェアは41.57%となっている。

Appleの広告ブロック機能搭載の発表でユーザーにこの機能への関心が高まり、App Storeでは広告ブロック・アプリの順位が急上昇した。Samsungが自社ブラウザに広告ブロック機能を追加する最初の大手Androidメーカーとなったことも同様に大きな反響を呼んでいる。広告を主たる収入源としているパブリッシャーは売上の低下を懸念し始めている。

iOSの場合、広告ブロック・アプリのブームは一過性で、数週間で元に戻った。しかし一般ユーザーの間にはモバイル環境でインターネットを閲覧した場合、広告や不要なコンテンツが邪魔になることへの不満は根強い。モバイル・デバイスからのウェブ利用をもっと快適にするために、コンテンツ・ブロックとは異なる対策も取られている。たとえばGoogleのAMPプロジェクトを利用すればユーザー・フレンドリーで高速なウェブサイトを作れる。またFacebookはパブリッシャーがニュースフィード中に対話的なリッチメディア記事を簡単に挿入できるInstant Articlesの利用を促している。これはモバイル環境の場合、従来のようにURLでパブリッシャーのウェブサイトへのジャンプするのに比べて10倍も表示が速くなるという。

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Samsungの発表の直後からCrystalAdblock Fastなど広告ブロックの開発者はSamsungデバイス向アプリのプロモーションを活発化させている。Adblock Fastは20万のユーザーがChrome、Opera、Safariなどのブラウザでこのアプリを利用していると主張している。同社によれば、アプリはウェブページの表示最適化のために7種類のルールを作成でき、読み込みが最高で51%速くなるという。

Crystalも同様のコンテンツ・フィルター作成やマルウェアその他迷惑ソフトの侵入防止が可能だ。また容認可能な広告(Acceptable Ads)のガイドラインに沿った不快でない広告を表示する機能もある。

注目すべき点は、iOSのユーザーが一時Safariの広告ブロック機能に殺到したように、今回の発表でSamsungデバイスのユーザーの多数が新機能を利用するようになるかどうかだろう。またユーザー動向とは別に、2015年のスマートフォン市場で22.2%のシェアを占めるSamsungが広告ブロックAPIを実装したことが他のAndroidデバイス・メーカーにどういう影響を与えるかも重要だ。

長期的影響についていえば、AppleやSamsungのこうした動きがきっかけとなって、パブリッシャーがユーザー体験をもっと尊重し、快適なウェブサイトのエコシステムをつくる方向に進んでもらいたいと願うものだ。

画像: Bryce Durbin

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

NASA、オポチュニティの誕生日を祝う―火星探査機は12年目を迎えてなお稼働中

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今週、NASAは探査機オポチュニティの火星上での12年目を祝うことになる。驚くべき点は、このマーズ・ローバー探査機は火星の地表で90日だけもつように設計されていたという点だ。

誰一人予期できなかっが、火星の地表の気象が探査機の活動に驚くほど好都合だった。また運営チームが創造性を発揮してソフトウェアにいくつもの改良を加えたことなどにより、NASAは現在もオポチュニティを活動させ、映像を受け取っている。

地球から6ヶ月半の長い旅を経て、オポチュニティは火星大気に突入し、パラシュートを展開、ロケットの逆噴射と底部のエアバッグを併用して地表に安全に降り立った。これが2004年1月のことだった。

地球から6ヶ月半の長い旅を経て、オポチュニティは火星大気に突入し、パラシュートの展開、ロケットの逆噴射、底部のエアバッグを併用して地表に安全に降り立った。これが2004年1月のことだった。

NASAがローバー探査機は火星で90日しかもたないはずだと考えた理由の一つは、火星大気中の埃だった。この埃はオポチュニティのソーラー・パネルを短時間で覆い、発電機能を喪失させるはずだと推定されていた。

地球より50%も太陽より遠い火星上で太陽光で発電を行うのは埃がなくても十分に困難な課題だ。NASAはオポチュニティのソーラー・パネルを出来る限り大きくデザインして太陽光を吸収させようとしたが、それでも探査機の寿命は数十日、うまくいっても数ヶ月で、誰も年単位で作動を続けられるとは考えていなかった。

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火星の埃でオポチュニティのソーラーパネルが埃をかぶる/ 画像提供:NASA

しかし世の中に幸運というのは存在するもので、火星の大気中で起きる旋風のような現象、通称「ダスト・デビル」が探査機のソーラーパネルから埃を吹き飛ばして清掃してくれることが判明した。

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オポチュニティのソーラーパネルがダスト・デビルによって埃を吹き飛ばされる/画像提供:NASA

探査機の火星着陸後しばらくして、この現象はオポチュニティとNASAの運営チームにとって天与の機会であることが判明した。

しかし電力供給だけがNASAにとって問題であったわけではない。1年目に、活動中のオポチュニティは砂漠の砂に半分埋まってしまうという事態に遭遇した。
NASAのジェット推進研究所の専門家チームはオポチュニティのモックアップ〔実物大模型〕を作り、探査機を砂から抜け出させるためには車輪をどのように操作したらよいか、さまざまなシナリオをテストした。

こうしたハードウエア上の問題に加えて、ソフトウェアにも改良の必要が出てきた。NASAはきわめて遠距離からのリモート・アップデートにより資料探査、危険予知など探査機のさまざまな能力を改良した。

探査機を火星に送り込むというのはおそろしく金のかかるプロジェクトだ。もちろん人間を送り込むのに比べれば安いものだが、それでもNASAはオポチュニティを建造して火星に着陸させるのに4億ドルもの資金を必要とした。オポチュニティが当初の予定期間をはるかに超えてデータを収集し地球に送り続けていることは、NASAにとって同一のコストでより多量の貴重な情報を得られる機会を与えている。

NASAがオポチュニティを12年にわたって運用してきたことはエンジニアリングと創意工夫の勝利といっていいが、残念なことに 全員がそう考えているわけではない。NASAがオポチュニティを作動させるには年に1400万ドルかかる。また経年劣化によってオポチュニティの能力の低下も目立ってきた。

オポチュニティの資料収集分析装置のうち2つは故障により作動しない。一部の関節はときおりロックして動かなくなる。またフラッシュメモリの問題により、オポチュニティはときおり記憶喪失状態に陥る。

そうであっても、オポチュニティは偉大な科学的業績を挙げ続けている。近年、科学者は火星の古い地層を調べるためにオポチュニティを使っていくつもの巨大クレーターの内部を調査した。

オポチュニティはまた火星にはるか昔、水が液体として流れていたことを証明する上で決定的な役割を果たした。この事実から科学者は火星に生命が存在した時期があったはずだと推測するようになった。驚くべきことに、オポチュニティは人間の作った機械が他の惑星の地表で移動した距離の新記録を作った。

あちこちつぎはぎだらけになりながらも、オポチュニティは火星の厳しい環境の中で12年も作動を続け、まだ見ぬ火星の新しい映像を地球に送り続けている。オポチュニティはNASAにとって重要なシステムであるだけでなく、人類が火星を理解するための欠かせぬ資産だ。オポチュニティは今日も前進を続けている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Starryはまったく新しい無線インターネット―Aereoのファウンダーが既存ISPに挑戦

2016-01-28-starry

スタートアップはインターネットを使ってありとあらゆる産業を変革中だ。しかし誰もインターネットそのものの構造に手を触れようとしていないのは不可解だ。

なるほどインターネット接続サービスは巨額の費用を必要とするビジネスだ。そして日毎に増大するビデオのトラフィックによる輻輳を理由としてますます料金を吊り上げることが可能となっている。決まり文句のように聞こえたらお許しいただきたいが、これこそまさに変革を必要とする状況ではないだろうか。

そこでStarry Internetが登場する。

計算

テレビの無料中継というサービスに失敗したAereoだが、ファウンダーのChet Kanojiaは現在新しいインターネット接続サービスであるStarryを立ち上げ中だ。

Starryはミリ波の無線テクノロジーを利用することにより、ブロードバンド接続のインターネット・サービスのあらゆる側面をカバーできるとしている。つまり各家庭に最大1GBpsの接続をワイヤレスで提供できるとしている。

われわれはKanojiaに電話でインタビューし、このビッグ・プロジェクトについて取材した。Kanojiaは次のように説明した。

既存のISPの場合、家庭にインターネット回線を施設するごとに2500ドル程度のコストがかかる。コストだけでなく、さまざまな規制がさらにスピードを遅らせている。Starryなら各家庭にわずか25ドルでブロードバンド接続を提供できる。しかも当局の規制による遅れはゼロだ。

Kanojiaは実際のユーザーへの課金の詳細については明らかにしなかったが、接続速度(最高1Gbps)に応じた各種のプランを用意しているようだ。KanojiaによればComcastやTime Warner Cableなど、現在のアメリカのISPの料金体系に比べて、「家庭の負担は一桁以上少ない」という。

Starryはまた「転送量の月当たり上限」などは決して設けないという。Kanojiaによれば、この「データ転送量の上限」は既存ISPにとって今後ますます大きな問題になってくるはずだという。

テクノロジー

Starryの作動の仕組みはこうだ。

このサービスはミリ波帯におけるアクティブ・フェーズドアレイと呼ばれるテクノロジーに基いている。そう聞くと難解だが、なんとかわかりやすく説明しみたい。

Starryは各都市の建物の屋上に無線ノードを設置する(Starry Beamと呼ばれる)。このノードはStarryが接続をカバーする人口密集地に置かれ、現在未使用の30GHz以上の波長の電波を用いる。

Starry Beamは多数の方向にミリ波を発信する(アクティブ・フェーズドアレイ)。この電波はビル壁などに反射し、最後にStarry Pointと呼ばれるユーザーのノードに達する。

Starry Pointはユーザーの家庭の窓外に置かれ、Starry Stationと呼ばれる室内の革新的なWiFiルーターと有線接続される(この点についてはすぐに詳しく説明する)。

Screen Shot 2016-01-27 at 10.49.08 AM

WiFiインターネット接続はかなり以前から実用化されているが、通常は見通し範囲でのみ作動し、最大速度もケーブルモデムなどと同等だ。無線接続は戸毎にに配線するとコストが高くなる田園地帯などでISPに利用されている。.

Starryのテクノロジーは、これと逆に、人口が密集した都市部を対象としており、アクティブ・フェーズドアレイ・テクノロジーを利用するため、接続に中継無線タワーが見通せることを必要としない。

ビジネス

しかしStarryがユニークなのはテクノロジー面だけではないとKanojiaは言う。Starryはルーターやらモデムやら配線やらのややこしいテクノロジーを一切廃している。そのためインストールに専門家は必要ない。簡単な英語さえ読めればいいのだという。

Starryとブロードバンド接続の契約をしたときにユーザーが受け取るパッケージにはStarru Beamと接続できるStarry Point送受信機が入っている。これは窓の外の適当な場所に設置するだけで終わりだ。専門知識は必要ない。

価格349ドルのStarry Stationはこれまでのインターネット・ルーターの常識を覆すものだとKanojiaは説明する。

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パッケージにはインストールと設定を容易にする3.6インチ・スクリーンのAndroidデバイスが含まれる。Starry StationにはInternet Health Scorと呼ばれるソフトウェアが付属し、 スピードテストの大手Ooklaによるインターネット接続のモニタリングが常時行われる。

Starry Stationにはデバイス探索ソフト、ネットワーク・マップ、時間と内容を規制できるペアレンタルコントロールなどのソフトウェアと、利用のためのアプリがバンドルされている。

なおユーザーは349ドルのStarry Stationを必ずしも購入しなくてもよい。.

歴史

ファウンダー、CEOであるKanojiaは、Starryには既存のISPに比べて3つの大きなな優位性があるとしている。 その1と2はコストに関連するもので、回線開設のためのコスト、その後の運用と維持のコストがStarryの場合、格段に安いという。

3番目の優位性はビデオに関するものだが、これはKanojiaのこれまでの苦闘に深く関連している。

Kanojiaの前回のスタートアップ、Aereoは画期的な集合アンテナにより、テレビ信号を家庭のコンピュータなどに配信するサービスを提供して大成功を収めかけたが、全国をネットするキー局に訴えられ、法廷で完膚なきまでに打ちのめされた

Aereoがテレビ局にとってかくまで脅威だったのはわれわれのビデオの視聴方法と深く関連する。つまり現在のビデオ視聴は断固として既得権にしがみつく構えの既存のケーブルネットワークごとに寸断されている。ところが視聴者はコード・カッターという新語ができたことでも分かるように、徐々にかつ不可逆的にケーブルテレビから去りつつある。

「バンドルの魅力は薄れてきた」とKanojiaは言う。バンドルとは多くの既存ISPがケーブルテレビとインターネット接続をパッケージにしてユーザーに提供している現状を指している。

Aereoはケーブルテレビに関する前例からいえば合法的なはずだったが、訴訟は最高裁まで持ち込まれ、そこで「〔Aereoは〕あまりにもケーブルテレビの事業に似ている〔ので違法だ〕」と認定されてしまった( こちらで全記録を読める)。

要するにAereoも新しい無線テクノロジーでインターネットに変革をもたらそうとしていたが、その対象はテレビ番組の配信に限られていた。

Aereoチームのメンバーを多数含むStarryは、今回、インターネットのブロードバンド接続という全く新しい武器を手にしている。

Starry Internetは2月5日にボストンで運用を開始する。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+