飛行機や自動車などでユーザーの認知状態を識別し致命的なヒューマンエラーを予見・回避するCorrActions

センサーデータを用いて、眠気やアルコール、疲労などに影響されるユーザーの認知状態を査定する非侵襲的神経科学のスタートアップ「CorrActions」は、イスラエル時間5月27日、シードラウンドで270万ドル(約3億円)を調達したと発表した。アーリーステージファンドのVentureIsrael、シードファンドのOperator Partners、政府系ファンドのIsraeli Innovation Authority(IIA、イスラエル・イノベーション・オーソリティ)が、OurCrowdのインキュベーターLabs/02を拠点とする同社を支援している。

CorrActionsのアイデアは、戦闘機のコックピットや自動車など人間が機械と相互作用する、そしてユーザーの認知状態を知ることで致命的なエラーを防ぐことができる場所にタッチセンサーを使用するというもの。同社は、独自アルゴリズムによりユーザーの認知状態を識別し「体動監視により無意識の脳信号を解読する」ことで、エラーが発生する150ミリ秒前にエラーを検出できると約束している。このシステムは、基本的にどこに実装するかに依存しない汎用的なプラットフォームであるため、ほとんどの場合ユースケースを問わない。

「CorrActionsは、スマートウォッチやスマートフォン、さらにはステアリングホイールやジョイスティックなど、ほぼすべての電子機器にすでに搭載されているセンサーを使い、ユーザーの筋肉活動の微小な変化を分析することで、その瞬間の認知状態を読み取ることができる世界初のシステムです」と、同社の共同創業者でCSOのEldad Hochman(エルダド・ホフマン)氏は説明する。「ユーザーが2分間電子機器に触れるだけで、認知状態を正確に数値化し、故障や事故につながる急激な悪化を予測することもできます。そのような事態が起こる数秒前に予見できるのです。つまり疲労、酔い度、疲弊、集中力の欠如などのレベルを任意の瞬間に数値化できるということです」。

もちろん、最近の自動車の多くには覚醒度をモニターするセンサーが搭載されている。CorrActionsがすでに自動車業界の数社と共同で実証実験を行っているのも不思議ではない。さらに防衛産業ともプロジェクトを進めており、同社のシステムがパイロットのパフォーマンスを評価できることを示している。ホフマン氏は同社のアルゴリズムによって、スポーツ選手や高齢者が怪我や転倒の危険にさらされているときに警告を発することができるかもしれないとも考えている。

同社は今回の資金調達により、アルゴリズムのさらなる開発と、特に自動車業界における現在の導入パートナーのサポートを行っていくという。

CorrActionsの共同創業者兼CEOであるZvi Ginosar(ズヴィ・ジノサール)氏はこう述べている。「当社は、基本的な操作ミスを防ぐことで企業の工数やコストを削減できる可能性を秘めた技術を開発し、すでに大きな成果を上げています。さらに、当社のプラットフォームを応用することで、人命を救い、何千もの事故やミスを防ぐことができます。今後数カ月のうちに、さらに画期的な成果や実証実験を報告できるようにしたいと考えており、今回の資金調達はこの目標達成に大きく貢献するものです」。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:CorrActions資金調達イスラエルヒューマンエラー

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

オンデマンドグローサリーのFood Rocketは15分配達で大手サービスに対抗、西海岸に150店のダークストア開設を目指す

Gorillas(ゴリラス)のようなオンデマンドグローサリースタートアップは現在、欧州に進出しているが、オンデマンドのすべてのものはベイエリアでは平凡であるものの、創業間もないスタートアップは何か新しいことができるかもしれないと考えている。

Food Rocket(フードロケット)はAltaIR Capital、Baring Vostok fund、そしてロシア企業YonderのPhilipp Bashyan(フィリップ・バシアン)氏を含むビジネスエンジェルのAngelsdeckグループから200万ドル(約2億2000万円)を調達したと話す。バシアン氏は投資家、そしてアドバイザーとしてこの輪に加わった。

そう、確かにこの小さなスタートアップはDoorDash、GoPuff、InstaCart、Amazon Freshと競合している。しかしこれには踏み込まないでおこう。

Food Rocketのモバイルアプリを使ってユーザーは10〜15分で配達されるフレッシュな食材や調理済みの料理、日用品などを注文できると同社は話す。このサービスはソーマ、サウスパーク、ミッション・ベイ、ジャパンタウン、ヘイズバレー、その他のエリアで提供される。インフラとして西海岸に「ダークストア」150店を開設したい考えだ。

Food RocketのCEOで共同創業者のVitaly Aleksandrov(ビタリー・アレクサンドロフ)氏は次のように述べた。「このマーケットにおける米国の競争レベルはまだ対処できるものであり、だからこそ我々は基本的なプロダクトや日用品の即配という分野でリーダーになる機会を手にしています。当社はスーパーマーケットの実在店舗に取って代わり、消費者の現在のグローサリーショッピング慣行を変えることを目指しています」。

何と言えばいいだろうか。グッド・ラック?

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Food Rocket資金調達オンデマンド配送グローサリー

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

ユニークな強みを持つデバッグと可観測性プラットフォームのLightrunが25.3億円調達

開発者による本番コードのデバッグを支援するスタートアップLightrunが米国時間5月26日、Insight PartnersリードするシリーズAで2300万ドル(約25億3000万円)を調達したことを発表した。同社の400万ドル(約4億4000万円)のシードラウンドを仕切ったGlilot Capital Partnersもこのラウンドに参加している。

モニタリングのスタートアップは海水より多いが、その中でLightrunが傑出しているのは、ITのチームよりもデベロッパーを重視し、彼らが自分の日常のIDE(統合開発環境)からプロダクションコードをデバッグできるようにするからだ。彼らはわずかなキーストロークでモニタリング用のコードを装備できるが、ここで重要なのはLightrunが、コントロールをデベロッパーに持たせるための、同社が「ops-free」と呼ぶプロセスを提供することだ。この「シフトレフト」のアプローチにより、アプリケーションをモニタリングする工程をSplunkやNew Relicのようなops中心のツールから外して、デベロッパーがすでによく知っているワークスペースの中へ置く。

Lightrunの共同創業者でCEOのIlan Peleg(イラン・ペレグ)氏は次のように説明する。「可観測性の市場は極めてITのオペレーター指向です。ITのオペレーターが、サービスがダウンしているという恐れていたページをもらうと、彼らはサーバー上で実働しているインスタンスのヘルスメトリックスを見て、さまざまなフェイルオーバー方法とサービスの健康回復策を試みます。しかも彼らは、システム管理のために日常的に使っているのと同じインタフェイスの上でネイティブにそれを行おうとします。しかし、デベロッパーがバグがあるという恐ろしい通知をもらったら、それは犯罪の初動捜査のようなものになり、容疑者不在でわずかな手がかりしかありません」。

 

現在このサービスはJavaと、それ用の開発環境であるIntelliJのみをサポートしているが、言語とプラットフォームは今後もっと増やし、まずPythonとNode.jsをサポートし、対応するIDEも増やす予定だ。

ラウンドをリードしLightrunの取締役会に入ることになったInsight PartnersのマネージングディレクターであるTeddie Wardi(テディ・ワルディ)氏は、次のように述べている。「さまざまな可観測性ソリューションが市場に参入していますが、その中でLightrunのシフトレフトのアプローチは本当にユニークだ。可観測性をソフトウェア開発のライフサイクルの左(初期工程)へシフトすることの主眼は、可観測性をデベロッパーの日々のワークフローに合体することです。Lightrunは可観測性をさらにops抜きでリアルタイムで、他のどんなプラットフォームよりも開発工程にとってより人間工学的にしています。彼らは今後、敏速な機能開発と高頻度なデリバリーを最優先する企業の開発チームの、巨大な国際市場を手中にする位置にある、と私たちは信じています」。

同社は最近、サービスの無料のコミュニティエディションをローンチし、またDatadogやIntelliJ IDEA、Logz.io、Prometheus、Slack、StatsDなど一連の新たな統合を導入した。Lightrunの現在の顧客には、TaboolaやSisense、Tufinなどがいる。

同社の社員数は、2020年の1年間でそれまでの倍に増えた。今度の資金はデベロッパーコミュニティの育成の継続と、さまざまな能力を持った人材の雇用に当て、米国におけるプレゼンスも、もっと大きくしたいという。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Lightrunデバッグ資金調達

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

インフラ管理もできるヘッドレスCMS開発のPrismicがシリーズAで約22億円を調達

コンテンツ管理システム(CMS)を開発するPrismic(プリズミック)がシリーズAラウンドで2000万ドル(約22億円)を調達した。同社は2016年以来利益を計上しているが、製品を迅速に反復開発することにより、ヘッドレスCMSの可能性を最大限に引き出したいと考えている。Aglaé VenturesとEurazeoが資金調達ラウンドを共同でリードした。

ヘッドレスコンテンツ管理システムは、従来のコンテンツ管理システムとは少し異なる。ウェブサイトのバックエンドとフロントエンドが完全に別々に動く。安全なところに保存されているバックエンドにコンテンツを書き込む。アプリケーションのフロントエンドは、APIによりバックエンドからコンテンツを引き出し、それを顧客や読者に表示する。

コンテンツ管理システムの上記2つの重要部分を分離することには多くの利点がある。より安全になり、はるかに優れた拡張性を獲得し、フロントエンドフレームワークとホスティングに関して大きな柔軟性が生まれる。

Prismicは、CMSでの反復開発に加え、インフラを管理する。サインアップするときにバックエンドを自分のサーバーに持ち込む必要はない。管理インターフェイスに接続すれば、作業を始められる。

その後はAPIからコンテンツにアクセスできる。これは、独自のウェブサイトを構築し、Prismicからコンテンツを取得できることを意味する。モバイルアプリを作成して、ニュースセクションのコンテンツバックエンドとしてPrismicを使用することもできる。

独自のフレームワークを選択し、そのフレームワークを介してサイトを構築できる。Prismicは、Gatsby、React.js、Next.js、Vue.jsなどをサポートしている。

Prismicはまた「Slices」の普及を試みている。従来のコンテンツ管理システムでは、ページや投稿を作成できる。各ページで同じヘッダーとフッターを使用する。これは、ウェブサイトに含まれるコンテンツの単位にすぎない。

Slicesは上部のバナー、注目のコンテンツ、いくつかの関連コンテンツ、最近のレビュー、ニュースレターのサインアップフォームなど、ウェブサイトのバーティカルセクションだ。開発者はReact.jsやVue.jsなどにより独自のカスタムスライスを作成できる。

その後、コンテンツマーケティングチームは、スライスを組み合わせて一致させたり、新しいページを作成するたびにスライスをカスタマイズしたりできる。それは多くの可能性を解き放ち、技術者以外の人々がウェブサイトの動的コンテンツを作成できるようになる。本質的には、PrismicはそれらのスライスによりCMSにいくつかのノーコード機能を追加しようとしている。

「Prismicはマーケティングチームのページビルダーになります。そこから、サイトのすべてのセクションにアクセスし、それらのスライスをつなぎ合わせてコンテンツを追加することで、新しいページを作成できます」と共同創業者でCEOのSadek Drobi(サデック・ドロビ)氏は筆者に語った。

特にそのコンセプトにはいくつかの可能性があるようだ。同社が資金を調達できたのはそのためだ。このスタートアップはサブスクリプションから収益を生み出し、ウェブエージェンシーなどの小規模なクライアントだけでなく、法人向けプランを選ぶ大企業もターゲットにしている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:PrismicCMS資金調達ヘッドレスCMS

画像クレジット:HalGatewood.com / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

農地の石を除去するロボットを開発するTerraClearが約27.3億円を調達

農業用ロボットと聞いて、石を拾うロボットは最初に思い浮かばないだろう。それは当然だ。果物や野菜の収穫、除草、畑の手入れなどを自動化しようとしている企業は数多い。だが、石は多くの農家にとって依然として大きな問題だ。大きくて重いから除去するのが大変だし、放置していると機械を壊してしまう恐れもある。

「これは、私自身が人生をかけて取り組んでいることです」と、TerraClear(テラクリア)のCEOであるBrent Frei(ブレント・フライ)氏は、プレスリリースで述べている。「世界には4億エーカー以上の耕作に適した土地があり、この問題に対する費用対効果と生産性の高いソリューションを待ち望んでいます。このような反復的な作業は、自動化するのに最適な対象であり、我々の技術を農地に導入すれば、植え付けの準備に必要な労働力と時間を劇的に削減させることができます」。

ワシントン州ベルビューを拠点とするTerraClearは、1時間あたり最大400個の石を拾い上げ、最大300ポンド(約136kg)の石を移動させることができる、自動化されたロボットソリューションを作り上げた。2019年に製品開発を加速させるために600万ドル(約6億5500万円)の資金を調達した同社は、米国時間5月26日、シリーズAラウンドで2500万ドル(約27億3000万円)を調達したと発表した。

Madrona Venture Group(マドロナ・ベンチャー・グループ)が主導したこのラウンドによって、同社がこれまでに調達した資金の総額は3800万ドル(約41億5000万円)に達した。今回の資金は2022年に向けて、生産と販売の拡大および従業員の増員に充てられる。TerraClearのロボット「Rock Picker(ロックピッカー)」は現在、予約受付中だ。同社のシステムは、マッピングサービスやサードパーティのドローンサービスと連携し、AIを使って大きな石を識別して、投入されたロボットがこれらの石を除去することができる。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:TerraClear農業資金調達

画像クレジット:TerraClear

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

拡張現実でのNFTの閲覧・共有方法を模索する「Anima」がCoinbaseの支援を受ける

AR(拡張現実)とNFT(非代替性トークン)。これ以上いう必要があるだろうか?イエス?まあ、NFTが2021年にホットな瞬間を迎えたのは確かだ。しかし、投機的なゴールドラッシュがクールダウンし始め、人々がデジタル商品が将来どのように進化していくかを考え始めると、NFTが何の役に立つのか、NFTで何ができるのかという疑問がより頻繁に聞かれるようになってきた。

Animaは、Flipboardが2014年に買収した写真 / 動画アプリ「Ultravisual」の創業者たちによって設立された小規模なクリエイティブ系暗号スタートアップで、ARを利用してNFTアートやコレクターズアイテムの閲覧・共有方法を変えようとしている。同社の最新の取り組みは、アーティストがデジタル作品をより大きなデジタルステージに持っていくことを支援し、ARにおけるNFTの未来がどのようなものになるのかを見出そうとするものだ。

このスタートアップは、Coinbase Ventures、Divergence Ventures、Flamingo DAO、映画作家・写真家のLyle Owerko(ライル・オワーコ)氏、そして著作家Andrew Unger(アンドリュー・アンガー)氏から支援を得て50万ドル(約5500万円)の小規模なプレシードラウンドを実施した。

共同創業者のAlex Herrity(アレックス・ヘリティ)氏はこう語った。「NFTが、購入した商品のリターンを目的とした投機的な市場から離れていくのは健全なことだと思いますし、より親しみやすいものを作りたいと考えている私たちにとっても良いことだと思います」。

同社のより幅広いビジョンは、デジタルオブジェクトが現実世界と相互作用する方法を模索することだ。これはここ数年、ARの世界では最重要課題となっていたが、最近ではApple(アップル)やFacebook(フェイスブック)の新製品に対するクリエイターの様子見の姿勢により、開発が停滞していた。Animaの共同創業者たちは、ARとNFTの分野はどちらも非常に初期の段階にあることを認めているが、どちらの分野もギミックが明るみに出るくらいには成熟したと考えている。

共同創業者のNeil Voss(ニール・ヴォス)氏は、TechCrunchの取材に対しこう語った。「今は体験型のギミックが主流になっていますが、そうではなくARを、自分が集めたものまたはライフスタイルを彩るアクセサリーと触覚的な関係を築くための手段ととらえることで、コンテキストの変化が起こります」。

同社のチームはデジタルアートのオブジェクトをARに導入する初期の実験を行っており、すでに数名のアーティストと協力している。来月末には、ConsenSysのPalmプラットフォームをベースにしたマーケットプレイスを立ち上げ、今後のパートナーシップをより多く紹介していきたいとのこと。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:拡張現実NFTAnima資金調達アートマーケットプレイスCoinbase

画像クレジット:Anima

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(文:Lucas Matney、翻訳:Aya Nakazato)

GPSで迷子の犬や猫をトラッキングする「Tractive」がオーストリアから米国へ進出

犬や猫といったペットの行方を追跡するスタートアップに米国時間5月26日は、またまた大きな投資があった。オーストリアのTractiveが、Guidepost Growth EquityがリードするシリーズAで3500万ドル(約38億2000万円)を調達した。GPSを利用したペットトラッカーを開発する同社が創業したばかりの2013年以来の資金調達となる。

今回の資金調達で同社は、米国への本格的な進出を発表した。実は同社のLTEトラッカーは2020年夏に米国でも発売されたため「ソフトローンチ」は済んでいる。これまでオフィシャルな発表は何もなかったが、米国はこの製品にとって最速の成長市場になったようだ(訳注:米Amazonに多数のレビューがある)。

資金は米国を含む北米市場への拡張に向けられるが、企業の規模拡大や人員確保にも使われる予定だ。人員確保に関しては、同社はすでに北米地区担当の上級副社長とマーケティング担当副社長を任命している。

共同創業者でCEOのMichael Hurnaus(マイケル・ハーナウス)氏が、プレスリリースで次のように述べている。「Tractiveは、あなたの犬や猫のためのシートベルトのようなものです。どんなときでも、どんな場所でも役に立ちます。ペットの飼い主のみなさんの、犬や猫に対する愛情にふさわしい性能を実現しているため、Tractiveは最新の情報による最良の体験をユーザーにお届けします。仮想フェンスを設定することで日常の監視にも役に立つし、カロリー測定による肥満防止や、迷子になった犬や猫の発見も可能です」。

同社のもう1つのニュースは、新製品としてバッテリー寿命を長くしたバージョンの登場だ。Wi-Fiを使うことで、犬が家にいるときにはバッテリーへの負荷を下げる。それにより、バッテリーの寿命は旧バージョンの5倍になったという。本体価格は米国で50ドル(約5450円)、アプリは月額の会費を払う。

2021年2月には、ペット用スマート首輪のFiが3000万ドル(約32億7000万円)のシリーズBを発表している。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:TractiveペットオーストリアGPSトラッカー資金調達

画像クレジット:Tractive

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

奨学金・出産・子育てに関する助成費や保険など用公共制度の認知や手続きを簡素化する「Civichat」が1500万円調達

公共制度の認知や申請の手間などの手続きを簡素化するクラウド型ソフトウェア「Civichat」を開発するCivichatは5月25日、East Venturesを引受先とした総額1500万円のシードラウンドの資金調達を実施したと発表した。

Civichatは、LINEを利用したチャット形式にて、補助金や給付金、奨学金、妊娠・出産に関する助成費用、子育てに関する保険などの制度を知ることができる。さらに国の申請システムを利用しており、申請の代行までが可能だ。

Civichatは利用者にあわせて学習するシステムを採用しており、検索のたびにキーワードを入力する必要がなくなる。またCivichatのデータも毎日更新される。

無料のフリープランでは、質問やおすすめを受けることができる。給付金の15%となるスタンダードプランでは、補助金の申請サポートが受けられる。

Civichatは今回の資金調達により、さらなるプロダクト開発と体制の強化を進めるとしている。わかりやすいとはいえない行政関連の情報や手続きの普及を手助けする本サービスは、今後の成長が注目されそうだ。

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カテゴリー:GovTech
タグ:資金調達(用語)Civichat(企業・サービス)DX / デジタルトランスフォーメーション(用語)日本(国・地域)

デスクレスワーカー向け現場の改善提案クラウド「Cayzen」を手がけるエイトスが6000万円調達

製造業をはじめ現場での改善活動を支援するエイトスは5月25日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資および創業融資による約6000万円の資金調達を発表した。引受先はジェネシア・ベンチャーズ、借入先は日本政策金融公庫。また、デスクレスワーカー向け現場の改善提案クラウド「Cayzen」(カイゼン)の一般提供も開始した。

調達した資金は、Cayzenのさらなる機能強化のための開発費、顧客サポートなどの組織体制強化に活用する。

Cayzenのコンセプトは「オンライン目安箱」だ。多くの企業ではいまだに紙による改善提案が行われているが、その業務をデジタル化することで、アイデア同士のマッチング・育成、メンバー間・チーム間におけるコラボレーション創出が可能になる。

具体的には、アイデア募集・提案機能により従業員の提案をボトムアップで集約し、現場の業務改善や新規商品などの提案を実行につなげたり、リアルタイムダッシュボードで提案されたアイデアの効果額や実行状況を分析したり、コメント機能やポイント管理で提案活動の状況を可視化したりと、現場の改善に関わるフローを加速させられるとしている。

もともと日本で生まれ、「KAIZEN」として世界に普及した業務改善活動。世界で高い評価を受ける日本の人材の、さらなる生産性の向上が期待される。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:エイトス(企業)資金調達(用語)デスクレスワーク(用語)日本(国・地域)

台北のコンピュータービジョンeYs3DがシリーズAで7.7億円獲得、日本の丸文も投資

コンピュータービジョン技術のための、エンド・ツー・エンドのソフト・ハードウェアシステムのファブレスデザインハウスeYs3D Microelectronicsが、シリーズAで700万ドル(約7億7000万円)を調達した。参加者には、ARM IoT Capital、WI Harper、丸文が含まれる。いずれも戦略投資家だ。

台湾の台北に拠点を置くeYs3Dは2016年、ファブレスICおよびシステムインパッケージ(SiP)の設計会社であるEtronからスピンアウトした。eYs3Dは、新しい資金により、新市場で組み込みチップビジネスを構築する。集積回路、3Dセンサー、カメラモジュール、AIベースのソフトウェアなどの同社のテクノロジーは、ロボット工学、タッチレスコントロール、自動運転車、スマートリテールなど幅広く応用できる。eYs3Dの製品は、Facebook Oculus RiftS、Valve Indexバーチャルリアリティヘッドセット、Techman Robotsで使用されている。

マイクロプロセッサー企業であるArmは、eYs3Dのチップを自社のCPUとNPUに統合する予定だ。台北、北京、サンフランシスコにオフィスを構えるクロスボーダーの投資会社であるWI Harperは、eYs3Dに産業パートナーの国際ネットワークへのアクセスを提供する。半導体などの電子部品を販売する丸文株式会社は、eYs3Dの新たな流通チャネルを開拓する。

Arm IoT Capitalの会長であるPeter Hsieh(ピーター・シエ)氏は声明で「将来、強化されたコンピュータービジョンサポートがArmのAIアーキテクチャーとその展開において重要な役割を果たします。eYs3Dの革新的な3Dコンピュータービジョンの機能が市場に大きなメリットをもたらします。eYs3Dと提携し、AIに対応しやすいビジョンプロセッサーを生み出す機会に投資できることをうれしく思います」と述べた。

新しい資金は、eYs3Dの製品開発拡大と、一連の3Dコンピュータービジョンモジュールの立ち上げにも向けられる。また、新しいビジネスパートナーと協力して同社のプラットフォームを拡張し、より多くの人材を採用するためにも使われる。

eYs3Dの最高戦略責任者であるJames Wang(ジェームス・ワン)氏はTechCrunchに「世界的なチップ不足と台湾の干ばつによる当社の事業計画や生産計画への影響は大きくありません。集積回路製造サービスに関してEtronと協業しているからです」と語った。

「Etron Technologyは台湾のファウンドリーセクターの主要な顧客の1つであり、さまざまなファウンドリーと強い関係を持っているため、eYs3Dは顧客向けの製品を必要なときに受け取ることができます」とワン氏はいう。「一方、eYs3Dは主要な顧客と緊密に連携して、生産パイプラインのジャストインタイムのサプライチェーンの計画を立てています」。

同社のシステムは、シリコンの設計とアルゴリズムを組み合わせ、熱、3D、ニューラルネットワークの認識など、さまざまなセンサーから集まる情報を管理する。その技術は、Visual SLAM(vSLAM)、物体の深度認識、ジェスチャーによるコマンドをサポートする。

ワン氏によると、eYs3Dは集積回路設計からすぐに使用できる製品までエンド・ツー・エンドのサービスを提供でき、クライアントと緊密に連携して彼らが必要なものを探り当てる。例えば障害物の回避と人間の追跡機能のために、自律型ロボット会社にチップソリューションを提供した。

「彼らの専門はロボットモーター制御と機械であるため、3Dセンシングや物と人の認識のための設計モジュールに関してより完全なソリューションが必要でした。検証用のミドルウェアアルゴリズムサンプルとともに、当社の3D深度カメラソリューションとSDKの1つを提供しました」と、ワン氏は語る。「顧客は当社の設計パッケージを採用し、3D深度カメラソリューションをシームレスに統合して、概念実証を短期間で実現しました。次に、ロボットを商品化する前にカメラの設計をロボット本体に合うように改造する作業を支援しました」。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:台湾eYs3Dコンピュータービジョン資金調達

画像クレジット:eys3d

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(文:Catherine Shu、翻訳:Nariko Mizoguchi

ポケモンカードやFunko Popなどをライブストリームで販売するWhatnotが54.4億円を調達

Whatnot(ワットノット)は1つの目標を心に抱いている。それは、ポケモンカードやスポーツカード、ピンバッジなどのコレクターズアイテムを、安全で信頼性の高い方法で売買できる場所を提供することだ。

同社は当初、GOAT(ゴート)やStockX(ストックX)のような再販市場を目指していた。そこでは、小さなページに、販売される商品の静止画像がずらりと並んで表示されている。やがて、それ以外の形式を試して行く中で、かなり有望そうなものを発見することになる。それが「ライブ配信」だ。QVCやHome Shopping Networkのようなもの(いずれも有名な通販番組)を想像して欲しい。ただしそれは、巨大なスタジオでホストが宝石や家具を売るようなものではなく、ユーザーがスマートフォンを使って、ポケモンカードやヨーダのフィギュアを売るのだ。

画像クレジット:Whatnot

Whatnotについて初めて書いたのは2020年のことだった。それから短期間のうちに、同社は徐々に大きくなる資金調達を続けて、同年12月に400万ドル(約4億3000万円)、2021年3月に2000万ドル(約21億8000万円)、そして米国時間5月25日に、さらに5000万ドル(約54億4000万)を調達した。

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Whatnotは今でも、売り手が24時間365日利用できるように、より標準的な商品ページを提供し続けているものの、今ではライブストリーミングの方が圧倒的に重要な役割を果たすようになった。共同創業者のGrant LaFontaine(グラント・ラフォンテイン)氏は、私に対して「注意の95%」がライブストリーミングに向けられていると語った。ここは、同社の売上の大半を占める場所であり、ユーザーが最も関心を寄せているところなのだ。

他に、ユーザーが気にしているものは?スポーツカードだ。Whatnotは1月にスポーツカードの販売者にサイトを開放したが、すぐにサイトの最も売上の立つカテゴリーになった。この1つのカテゴリーだけで、今では毎月「数百万ドル」(数億円)の売上を占めているという。

Whatnotのチーム自体も急速に成長している。私が最初に話を聞いたときには、まだひと握りの社員しかいなかったが、2021年の1月には10人に増えていた。そして現在は45人のフルタイム従業員がいる。年内には100名近くになるだろうとラフォンテイン氏はいう。

Whatnotのマーケットプレイスでは誰でも販売を行うことができるが、ライブストリームで販売ができるのは、審査や招待を受けたユーザーだけだ。このことは、不正行為を抑制するのに役立っている。売り手は、偽のカードを忍び込ませたり、誰かを騙そうとしたりすれば、ライブストリーミングへのアクセス、つまり買い手を失ってしまう可能性があることを知っているからだ。

同社によれば、今回のシリーズBラウンドは、Y CombinatorによるContinuityファンドのAnu Hariharan(アヌ・ハリハラン)氏が主導し、Andreessen Horowitz、Animal Capital、その他多くのエンジェルが支援したということだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Whatnot資金調達ライブストリーミングコレクション

画像クレジット:Whatnot

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(文:Greg Kumparak、翻訳:sako)

必要な場所にデータを移動させるオープンソースのデータコネクタープラットフォームAirbyteが28.3億円調達

現在、企業が直面している大きな課題の1つは、関連するデータを見つけることではなく、必要な場所にデータを移動させることだ。この課題を解決するために、オープンソースのデータ統合プラットフォームを構築しているアーリーステージのスタートアップがAirbyte(エアバイト)である。同社は、先の520万ドル(約5億7000万円)のシードラウンドを発表してからわずか2カ月後である米国時間5月25日に、2600万ドル(約28億3000万円)のシリーズAを発表した。

このラウンドを主導したのはBenchmarkで、8VC、Accel、SV Angel、Y Combinator、および複数の技術業界の著名人が投資に参加した。同社はこれまでに3100万ドル(約33億7000万円)以上を調達しているが、そのすべてが2021年に入ってからのものだ。

共同創業者でCEOのMichel Tricot(マイケル・トリコット)氏は、TechCrunchの取材に対して「当社が開発しているのはデータベース、ファイル、APIなどのどこに置かれたデータでも、データウェアハウスやデータレイクなどのお好みの場所に移動させるための、オープンソースのデータ統合プラットフォームです」と語る。このために、さまざまなデータタイプへのコネクターの開発が行われている。同社は、コネクターを開発するためのオープンソースのプラットフォームとSDKを提供し、自身でもコネクターを開発しつつ、コミュニティに対して独自のコネクタの追加を呼びかけている。

スタートアップを取り巻く状況は急速に変化している。今回の資金調達に加えて、2021年5月初めには「Connected Development Kit」(CDK、コネクター開発キット)をリリースした。共同創業者であるJohn Lafleur(ジョン・ラフルール)氏は「このフレームワークを使うことで、カスタムコネクターを2〜3日ではなく、2時間で開発することができます」という。現時点で、プラットフォームの70個のコネクターのうちの約20%がコミュニティから提供されたものだが、CDKがコミュニティに普及するにつれて、その割合は増加するだろうと2人の創業者は期待している。

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Airbyteは2020年創業されたばかりだが、同社は2021年を、急速に成長しているコミュニティを拡大するために費やす予定だ。現時点でコミュニティメンバーは1200人、アクティブユーザーは500人に達している。当面はオープンソースのプロジェクトを継続しながら、将来はホステッドバージョンを開発しそこから収益を得る予定である。

今回の投資を主導しているBenchmarkのゼネラルパートナーであるChetan Puttagunta(チェタン・プッタグンタ)氏は、BenchmarkにはこれまでRed Hat(レッドハット)をはじめ、Elastic(エラスティック)、MongoDB(モンゴDB)、Acquia(アクイア)などのオープンソースのスタートアップへ、初期の投資家として投資を行ってきた歴史があると語った。

プッタグンタ氏がAirbyteにアプローチしたのは、コミュニティで多くの開発者が短期間に活躍しているのを見たからだという。「開発者コミュニティへの関わり合いという観点から、私たちは彼らに声をかけました。Airbyteがあちこちで見られるようになり、データを統合するためのデファクトスタンダードとして急速に普及していくのを目にしたのです。設立からわずか数カ月の会社としては、驚くべき成果でした」。

急激な成長によって、社員数は短期間で2倍の14名となった。ダイバーシティとインクルージョンに関しては、創業者が自ら会社のハンドブックを書き起こしており、その中には詳細な定義や目標などが含まれているが、これは初期段階の会社ではあまり見られることはない。

トリコット氏は「私たちは、ダイバーシティ、インクルージョン、帰属意識を継続的に向上させようとしています。決してこれで終わりと考えることはありません。常に改善の余地があるのです」と語る。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Airbyte資金調達オープンソースオープンデータデータウェアハウス

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)

企業のアプリやサイトにチャット機能を簡単に搭載できるHyroが11.4億円調達、Twilioも投資

元AirbudだったHyroは、米国時間5月25日、Spero VenturesがリードするシリーズAのラウンドで1050万ドル(約11億4000万円)を調達したことを発表した。投資に新たに参加したのは、TwilioとMindset Venturesで、既存投資家のHanaco VenturesとSpider CapitalとEntrepreneurs Roundtable Acceleratorも参加した。

Hyroは任意のアプリケーションやウェブサイトに音声やテキストによるチャット機能をつけるエンタープライズアプリケーションで、現在はヘルスケアの分野が対象だが、今後他の業種業界も狙っていくという。

同社は自らのことを「適応型コミュニケーションのプラットフォーム」と呼ぶ。顧客は同社のプラグアンドプレイですぐ簡単に使えるツールを利用して、コンタクトセンターやチャットボット、SMSなどのコミュニケーションに統合できる情報を会話可能な音声またはテキストで届ける。Hyroのターゲットは、基本的にエンドユーザーと頻繁にコミュニケーションを行わなければならない情報集約的な業種業界だ。

共同創業者のIsrael Krush(イスラエル・クラッシュ)氏によると、このようなコミュニケーションは往々にして、エンドユーザーにとっては不快な体験に、企業にとっては費用が高くて非効率な措置になりがちだ。この問題が最も露骨に存在するのが、パンデミック下のヘルスケア分野だ。エンドユーザーはウイルスやワクチンや検査などに関する情報を求めて受け付けを洪水のようにしてしまうが、それらの毎回同じような質問は何万通りもの言い方がある。エンタープライズの場合、質問に対する答えも時間や年月とともに変わってしまう。

Hyroを利用すると、情報の編集が容易にできて、その情報をエンドユーザーに効率的に届けることができる。もっと重要なのは、Hyroがウェブサイトなどの情報から会話のツリーをあらかじめ作成するので、答える側が事前に大変な苦労をしなくても済む。

クラッシュ氏によると、顧客対応は企業などにとって重大問題であり、マーケットは混雑している。今回の資金調達ラウンドにTwilioが参加したことは、同社にとって重要な差別化要因だろうとクラッシュ氏はいう。

クラッシュ氏は次のように語る。「市場は混み合っていて、自らをその他大勢と差別化することは実に難しいものです。私たちの技術がどれだけ優れていても、誰もが自らを1番だといいます。Twilioはこのラウンドに来てくれて、今は同社と、コンタクトセンター関連でパートナーシップを築こうとしています。このパートナーシップは、私たちのやり方の他との違いを本当に検証する試金石になるでしょう。私たちのアプローチは、スケーラビリティとモジュール化で違いがはっきりとあるはずです」。

クラッシュ氏は、Hyroはヘルスケア企業ではないと念を押す。「どんなエンタープライズでもお役に立てる」という。

現在、Hyroの顧客であるヘルスケア企業はCarrollやWheelpros、Mercy Health、University of Rochester(ロチェスター大学) Medical CenterそしてWeill Cornell Medicineなどだが、同社は今回得た資金で、不動産や政府機関など、その他の情報集約的な業界へ拡張したいと考えている。

今回を合わせてHyroの総調達額は1500万ドル(約16億3000万円)になる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Hyro資金調達チャットツール

画像クレジット:Hyro

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(文:Jordan Crook、翻訳:Hiroshi Iwatani)

田んぼの自動抑草ロボットを開発する有機米デザインが2億円を調達し実用化を加速

田んぼの自動抑草ロボットを開発する有機米デザインが2億円を調達し実用化を加速

山形県を拠点とする「地方都市の課題を希望に変える街づくり会社」ヤマタガデザインのグループ会社、有機米デザイン(本社は東京都小金井市)は5月25日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による2億円の資金調達を行ったと発表した。引受先はTDK。この増資により資本金などの合計は、資本準備金1億3908万円を含め3億1626万円となった。

有機米デザインは、田んぼの除草の手間を最小化するための自動抑草ロボットを開発するなど、有機米栽培ノウハウの確立に向けた研究開発を行う企業。2012年、元日産自動車のエンジニア2人を中心に始まった自動抑草ロボットの開発は、ヤマガタデザインに母体が移行し、やがて実用化を促進するため、2019年にヤマガタデザインの100%出資により有機米デザインとして独立した。同時に東京農工大学との共同研究契約を締結し、2020年には11都県の農家と連携して実験を重ねた。

自動抑草ロボットは、代掻き(しろかき。田んぼに水を張り土を攪拌して平らにならす作業)の後の田んぼを自律航行して、水をかき混ぜ泥を巻き上げることで水中に差し込む光をさえぎり、水面下の雑草の成長を抑制するというもの。除草剤を使用しない米の有機栽培は、慣行農法にくらべて10アールあたりの粗収入が2倍近くになる一方で、労力が大きく増える。特に除草にかかる労働時間は5倍に上るといわれているため、自動化への期待が高まっているとのこと。これまでの実験で自動抑草効果が確認され、同社では量産化に向けたさらなる改良を加えているところだ。現在は、条件の異なる全国17都府県に75台のロボットを投入し、実証実験を行っている。

TDKとは、2019年12月から協業の可能性を検討し始め、2020年4月から実証実験などで連携してきた。今後はTDKのバッテリーマネージメント技術や量産技術などの開発面でサポートを受け、数年以内の実用化、事業化を目指すという。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:農業 / アグリテック(用語)資金調達(用語)食品(用語)有機米デザイン(企業)ヤマタガデザイン(企業)日本(国・地域)

コロナ禍でむしろ育ち盛りの「インドア農業」Boweryがセレブの支援あり約326億円調達

ニューヨークを拠点とする垂直農法のスタートアップBowery Farmingは米国時間5月25日、3億ドル(約326億円)のシリーズC調達を発表した。このラウンドにより同社の資金調達総額は4億7200万ドル(約513億円)を超え、同社の企業価値は23億ドル(約2502億)となる。

Fidelity Management & Research Companyがこの大規模なラウンドをリードし、既存投資家であるGV(旧Google Ventures)、General Catalyst、GGV Capital、Temasek(テマセク)、Groupe Artémis(アルテミスグループ)が参加した。AmploとGaingelsも参加し、それに加えて、レーシングドライバーのLewis Hamilton(ルイス・ハミルトン)氏、バスケットボール選手でNBA選手会会長のChris Paul(クリス・ポール)氏、女優・映画監督のNatalie Portman(ナタリー・ポートマン)氏、有名シェフレストラン経営者のJosé Andrés(ホセ・アンドレ)氏、シンガーソングライター・俳優のJustin Timberlake(ジャスティン・ティンバーレイク)氏など、セレブ個人投資家も参加した。

今回の資金調達は、Boweryが2020年1月以降、750%の稼働率向上を謳うなど、実世界での目覚ましい成長を遂げていることを受けたものだ。同社はパンデミックに影響されるどころか、むしろ力強く育っているように見える。現在、同社の垂直農法による農産物は、Albertsons(Safeway、Acmeを含む)、Giant Food、Walmart(ウォルマート)、Whole Foods(ホールフーズ)などの大手チェーンを含む850の食料品店で販売されている。

画像クレジット:Bowery Farming

また2020年のパンデミックにともなう店舗シャットダウンの際には、Amazon Fresh(アマゾンフレッシュ)も必要不可欠となったeコマースでのフットプリントを拡大するのに大きく貢献した。

CEOのIrving Fain(アービング・フェイン)氏は、プレスリリースで次のように述べた。「Fidelityをはじめとする新たな投資家からの資金投入、および長期的な投資家パートナーからの追加支援は、現在の農業システムに対する新たなソリューションの重要なニーズと、当社のミッションを支援することで得られる大きな経済的機会を認めていただいたものです。今回の資金調達は、当社の継続的な事業拡大だけでなく、ビジネスの中核をなす独自技術の継続的な開発や、目の前にあるますます重要な機会に向けて迅速かつ効率的に事業をスケールしていく能力の向上にもつながります」。

画像クレジット:Bowery Farming

同社によると、この巨額の資金は、米国内の新たな場所にインドア(屋内)農場を拡大するとともに、従業員の増員や研究開発への投資に充てられるとのこと。前者にはペンシルバニア州ベツレヘムの工業地帯にある新しいサイトが含まれており、これまでで最大の規模になるという。

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カテゴリー:その他
タグ:Bowery農業垂直農業資金調達

画像クレジット:Bowery Farming

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

医療機器データプラットフォームのAcuityMDが7.6億円調達、医師とメーカーに情報提供

膨大な量のノイズとわずかなシグナルを含む世界では、消費者の選択を簡単なものにするスタートアップの存在は理に適っている。Career Karmaは学生のテックブートキャンプ選びを手伝っており、Stackin’はネオバンクと節約アプリの世界でミレニアル世代を誘導している。そしてボストン拠点の新たな会社はマーケットに出回っている最新の医療機器の情報を医師が把握するのをサポートしている。

Mike Monovoukas(マイク・モノフカス)氏、Lee Smith(リー・スミス)氏、Robert Coe(ロバート・コー)氏によって2019年に設立されたAcuityMD(アキュイティエムディー)は、格納されていることが多い医療機器データを開放したいと考えている法人向けのソフトウェア企業だ。その目的を達成するために、同社は米国時間5月24日の週にBenchmarkがリードしたシードラウンドで700万ドル(約7億6000万円)を調達した。

資金調達の一環として、BenchmarkのゼネラルパートナーであるEric Vishria(エリック・ヴィシュリア)氏がAcuityMDの役員会に加わる。医療テック企業をサポートするために2019年に1億ドル(約109億円)をクローズしたAjax HealthもAcuityMDのラウンドに参加した。シード資金でAcuityMDは現在8人のチームを年末までに倍増させ、1つのとある分野に投資する計画だとモノフカス氏は話した。その分野とは何をおいても「プロダクト」だ。

AcuityMDは、アイテムの販売から術後患者のその後の経過まで医療機器のライフサイクル全般を追跡するデータプラットフォームだ。1つのプロダクトについてある種のメタデータを与えるべく、個々の医療デバイスについての産業・マーケットデータを統合している。

「毎年発売されるプロダクトが1000点以上あり、医師がフェローやレジデントとしての期間を終えた後にそこら中にある最新かつ最もすばらしい医療テクノロジーの情報についていくのはほぼ不可能です」とモノフカス氏は述べた。「当社はこれをソフトウェアと調整の問題だととらえています。そこら中にデータはあるが、意思決定者に辿り着くという点では非効率です」。

同氏は、自身の家族が連続で手術を受けなければならなかったときに医療デバイス管理の非効率さを直に体験した。

「私がすばらしいと思ったのは、メーカーが何を使うべきかについて多くの情報を持っているということでした。しかし、その情報は正しいタイミングで適切な医師に伝わっていませんでした」と同氏は指摘した。「私が持った基本的な認識は、この業界の情報フローはやや壊れているというものでした。それは有能な医師や外科医であるということの問題ではなく、情報移送が欠如していました。これはデータ主導の世界においてはクレイジーなことです」。

そしてBain & Companyや医療デバイス会社で以前働いたことのあるモノフカス氏は、医療デバイスを長期療養患者の経過により対応するものにするためにどのようにデータを使うかについて考え始めた。より多くの情報の恩恵を受ける主な関係者は医師である一方で、AcuityMDのチームは主要顧客としてデバイスメーカーにも目を向けた。

その理由の1つは、病院と医師は販売先としては面倒なことで悪名高いためだ。別の理由は、医療デバイスのパフォーマンスデータはメーカーの販売チームが販促したりターゲットを絞ったり、そして売り込んだりするのに使うことができるキー信号だからだとモノフカス氏は筆者に語った。自社のデバイスの中で多くの外科医が必要とするかもしれないものに関するデータから、特定のデバイスの長期的な結果に至るまで、メーカーが自社のプロダクトのためにマーケットの可視性をいかに欲しているか同氏は説明した。

データは販売チームが特定のプロダクトで10人の医師をターゲットとすることがいかにメーカーにとって財務的にそして残るマーケットとの文脈において影響を及ぼすかを先制的に理解するのに役立つかもしれない。

AcuityMDは医療デバイスのリアルタイムデータベースになることを目指している。長期的には、かなりの需要がある重要なトランザクションにおいてメーカーと外科医をつなげる同日配送サービス事業者と自社を位置付けることができるかもしれない。モノフカス氏はロジスティックと在庫が医療デバイス産業のための「内臓にダメージを与えるような」問題である一方で、まだソリューションがないと話す。AcuityMDが各施設で必要とされる在庫を予想することができるようにったときに出番だと同氏はみている。Chloe Alpert(クロエ・アルパート)氏によって共同創業されたMedinasのような一部の企業が病院のシステムの中でどのように運営・管理しているのかに似ている。

しかし差し当たってAcuityMDは、自社のプラットフォームとベンチャー資金をプロバイダーシステムの外で使うのがベストだと考えている。同社は病院と外科医に関する多くのデータをMedicare CMSと保険会社から仕入れていて、プロバイダー側でしなければならないことはない。

問題は、そうしたデータソースが本当の動向を引き出すのに十分よいものであることを確保することだ。この点についてAcuityMDは十分だとしている。

「デジタルヘルス会社はゆくゆくはヘルスケアデータ会社になると誰かがいうのを聞いたことがあります。当社はやや異なるアプローチをとっています」とモノフカス氏は話した。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:AcuityMD資金調達医療

画像クレジット:akinbostanci / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

建築学生向けサービス「BEAVER」を運営するArchiTechが3500万円を調達、利用者数3000人突破

建築学生向けサービス「BEAVER」を運営するArchiTechが3500万円を調達、利用者数3000人突破

設計作品共有・建築ソフト学習・就活支援などを包括する建築学生向けサービス「BEAVER」(ビーバー)を提供するArchiTech(アーキテック)は5月24日、第三者割当増資による総額3500万円の資金調達を5月17日に実施したと発表した。引受先はTHE SEED。

調達した資金は、学生ユーザーのさらなる増加と定着を図るためのマーケティングとサービス開発体制、また企業とのマッチングを生み出し続けるためのBtoBサポート体制の構築にあてるとしている。

BEAVERは、「建築学生に必要な全てがここに。」をテーマに、建築を志す学生が学生期間中常に傍らにおいて使えるウェブサービスとして2018年11月にリリース。2021年5月現在で利用ユーザー数は3000人を突破し、日本最大級の建築学生コミュニティとなっているという。

同サービスでは、建築ITソフトのチュートリアル学習サービス、自身の設計作品の投稿や全国の学生の作品を閲覧できる作品共有サービス、自身の実績をまとめたウェブポートフォリオを基に企業とのマッチングを図る就活支援サービスを提供している。

2018年11月設立のArchiTechは、「愛される建築が生み出され続ける世界を実現する」をミッションに掲げる建築系スタートアップ。BEAVER、建築学生と建築系企業のマッチングサービス「BEAVER CAREER」(ビーバーキャリア)、建築CGイメージや3Dモデルの制作を行う「THE PERS」(ザ・パース)などの事業活動、またデザイン評価の可視・定量化に関する京都大学の共同研究事業を行っている。

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カテゴリー:EdTech
タグ:ArchiTech(企業)オンライン学習 / eラーニング / オンラインレッスン(用語)建設 / 建築(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

韓国のRiiidはソフトバンクの支援を受けてAIベースの学習プラットフォームをグローバルに拡大する

「AIが教育の世界を食べている」。ソウルを拠点とするRiiidの共同創業者でCEOのYJ Jang(YJ・チャン)氏は、自分のLinkedInのプロフィールにそう書いている。米国時間5月24日、AIを利用して学生のテスト対策学習などをパーソナライズするRiiidが、AIが教育を食べるプロセスのプレイヤーとして地位を確立するための大型資金調達を発表した。

Riiidは、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2のみから資金を調達する1億7500万ドル(約190億2000万円)のエクイティラウンドを完了した。

EdTechが好調な中での今回の資金調達となった。2020年にコロナ禍で学習がリモートに移行し、より良いツールを開発して教育市場に提供するチャンスが注目されたことを受けて、この分野の多くのスタートアップが多額の資金を調達してチャンスに挑戦している。Riiidは調達した資金で海外へ進出し、製品を拡充する計画だ。

Riiidは評価額を明らかにしていないが、このラウンドはこれまでで最大の規模で、同社のこれまでの調達金額の合計は2億5000万ドル(約271億7500万円)となった。これはEdTechの世界ではかなり大きい金額だ。

Riiidは主にSantaというTOEIC L&R対策アプリで有名になった。このアプリはこれまでに韓国と日本で250万人以上の学生に利用されている。英語のネイティブ話者でない場合、英語が使われている大学を志望する際にTOEICのスコアを求められることがよくある。

Riiidは他社との協力でTOEIC以外の試験対策にも乗り出している。Kaplanとの協力による韓国の学生向けのGMAT対策、教育サービスを各国に合わせて調整し提供するConnecME Educationとの協力によるエジプト、UAE、トルコ、サウジアラビア、ヨルダン向けACT対策、ラテンアメリカの大学受験生向けAIベースツールの開発などだ。ACT対策の開発の前には、ACTのCEOだったMarten Roorda(マーテン・ローダ)氏がRiiidの国際部門であるRiiid Labsに「エグゼクティブ・イン・レジデンス」として加わるとRiiidが発表していたため、ACT対策アプリを他のマーケットにも拡大するかもしれない。

同社は大学入試対策に加え、職業訓練アプリも開発している。不動産業者試験対策のSanta Realtorや保険代理店試験対策ツールを韓国で展開している。

EdTechがビジネスとして成長して全体の信頼性が高まり、対面での学習が一時的に中断したことによって生じたギャップを緊急に埋める必要がある中で、Riiidは成長してきた。AIをプラスアルファの要素として導入するのは、珍しいことではない。多くの企業が、1つで全員に対応する画一的なモデルにコンピュータビジョンや自然言語処理、機械学習の進化を取り入れて、エクスペリエンスをパーソナライズしている。ここで注目されるのは、Riiidが知的財産を考慮した研究開発を多く手がけてきたことだ。同社によれば、国内外で103件の特許を出願し、そのうち27件は取得済みだという。

RiiidのCEOであるチャン氏は発表の中で「Riiidは教育をAIで変革し、教育機会を真に民主化することを目指しています。今回の資金調達は我々が業界の新しいエコシステムをつくるジャーニーの始まりで、我々はグローバルなパートナーシップでこのミッションを実現していきます」と述べた。

ソフトバンクにとってはEdTech企業への大型投資の1つだ。他にはKahootに2億1500万ドル(約233億7000万円)を投資し、インドのUnacademyやブラジルのDescomplicaにも投資している。Riiidによれば、このラウンドはソフトバンクにとって教育アプリ用AI分野に特化した初の投資だったという。

SoftBank Investment AdvisersのマネージングパートナーであるGreg Moon(グレッグ・ムーン)氏は「Riiidは画一的なアプローチからパーソナライズされた指導へという教育におけるパラダイムシフトを牽引しています。AIと機械学習を活用したRiiidのプラットフォームは、教育関連企業、学校、学生にパーソナライズされたプランとツールを提供し、学習機会を最適化します。我々はYJやRiiidのチームと協力し、世界中で質の高い教育を民主化する目標を支援できることを喜んでいます」と述べている。

カテゴリー:EdTech
タグ:Riiid韓国ソフトバンク・ビジョン・ファンド資金調達AI

画像クレジット:Ivan Pantic / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Kaori Koyama)

クリエイターの収益化を可能にする「リンクインバイオ」ホームページビルダーのBeaconsが6.5億円調達

モバイル用ランディングページビルダーを提供するBeacons(ビーコンズ)が、600万ドル(約6億5000万円)のシードラウンドを実施した。同社はクリエイターが自分のソーシャルメディアのプロフィール欄を通して収益を上げられるようにするというビジョンを提唱している。Neal Jean(ニール・ジーン)氏、Jesse Zhang(ジェシー・ゾン)氏、Greg Luppescu(グレッグ・ルペスク)氏、David Zeng(デビッド・ゼン)氏が共同で創業したこの会社は、ソーシャルメディアを利用する人が自分のフォロワーに表示することができる、モバイルに最適化された単一のリンクハブを提供する。

競合他社のLinktree(リンクツリー)同様に、Beaconsは、TikTok、Instagram、Twitterのプロフィール欄から他のサイトにリンクする方法を提供し、同時にフォロワーに対して寄付やアフィリエイトリンクなどを紹介する。こうしたリンクインバイオ(プロフィール欄のリンク)分野で競う企業には、他に Shorby(ショービー)Milkshake(ミルクシェイク)Tap.bio(タップバイオ)Link in Profile(リンクインプロフィール)bio.fm(バイオfm)、そしてCampsite(キャンプサイト)などがある。

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Beaconsは、Y Combinatorの2019年夏クラスに参加し、2020年9月にプライベートベータ版を開始した。Andreessen Horowitzがシードラウンドを主導し、Atelier VenturesThe ChainsmokersのMantis Fund、Night Media Ventures、ブラジルのeスポーツグループであるLOUDggが参加している。

Beaconsは、今回の600万ドルのシードラウンドをエンジェルラウンドで調達していた60万ドル(約6500万円)に加えることで、同社はエンジニアやデザイナーを採用し、初めて創業を経験した4人の小さなチームを成長させることができる。

Beaconsの共同創業者でCEOのニール・ジーン氏は、TechCrunchの取材に対して「当社がLinktreeと大きく異なる点は、クリエイターが自分のページを無料でカスタマイズでき、無料プランでもより多くのオプションを提供していることです」と語った。

「【略】クリエイターのみなさんは、自分のウェブサイトの見栄えをとても気にしていますので、このやり方はクリエイターのみなさんが望む機能を提供して、私たちの市場でのシェアを拡大するための良い方法だと思っています」。

ソーシャルメディア企業たちは、クリエイターを自社のプラットフォームや今後の収益化スキームに囲い込むため、特に個々のコンテンツへの埋め込みリンクにはあまり熱心に対応していない。また、ユーザーのプロフィールに掲載できるURLを1つに限定しているところも多く、クリエイターは1つのリンクの価値をを最大限に高める必要がある。当然ながらBeaconsは、多くのソーシャルプラットフォームの制限的なデザインが、クリエイターがコンテンツから簡単かつ柔軟に収益を上げる可能性を妨げていると主張している。

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ジーン氏は「まず手始めに、クリエイターが使えるさまざまな機能を開発していますが、長期的には、多くの人がその上で構築することができるプラットフォームやエコシステムにしていくことが、よりスケーラブルな方法だと考えています」という。

「現在は、コンテンツ制作者にとってのWix(ウィックス)やSquarespace(スクエアスペース)のような存在だと思いますが、将来的には、クリエイターにとってのShopify(ショッピファイ)のような存在になりたいと考えています」。

Beacons上での構築

Beaconsを使う際に、ユーザーは無料とプレミアムの2つのプランを選ぶことができる。月額10ドル(約1087円)の「アントレプレナー」(起業家)プランは、独自ドメインのサポートや、Beaconsページを構成するリンク、テキスト、画像のスロットである「ブロック」の追加オプションなど、検討に値する機能を提供している。

画像クレジット:Beacons

Beaconsは、プレミアム収入以外にも、マネタイズに特化したいくつかのブロックで売上の一部を受け取ることで収益を上げる。たとえばショッピングに対応したTikTokフィード、動画や電子書籍のデジタルストア、クリエイターが自分のフォロワーにカスタムコンテンツを直接販売できる「リクエスト」ブロックなどだ。Beaconsの無料プランでは取引に9%の手数料がかかるが、プレミアムプランでは5%に減額される。

Beaconsで構築されたランディングサイトは、高度なカスタマイズ性を持っていて、メディアリッチでキュレーションされたホームページがあったMyspace(マイスペース)の時代を彷彿とさせる。同社は最近「コミュニティブロック」と呼ぶブロックを追加した。これは、たとえばTikTokのようなコラボレーションが盛んなプラットフォームで頻繁にチームを組む可能性のあるコラボレーターたちに、スポットライトを当てるための特別な場所だ。現在、Sia(シーア)、Green Day(グリーン・デイ)、Russell Brand(ラッセル・ブランド)などの有名人が登録されている。

Beaconsはまた、メールやSMSによるモバイルマーケティングや、クリエイターがオーディエンスを知るための分析機能にも対応している。同社によると、2020年10月のローンチ以来、ユーザー数は毎月70%ずつ増加しているという。

「現在、コンテンツ制作者と消費者は、既存のソーシャルプラットフォームが提供するもの以上の、高度な期待を抱いています」とジーン氏は調達時の声明で語った。「【略】Beaconを使えば、クリエイターは、見た目が良く、共有可能で、最終的に収益を生むことのできるカスタムドメインにオンライントラフィックを誘導することで、自分の将来をコントロールすることができるのです」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Beaconsクリエイター収益化資金調達リンクインバイオ

画像クレジット:Beacons

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:sako)

AIアシスタント「Pyrenee Drive」で交通事故撲滅を目指すPyreneeが2億円を調達

AIアシスタント「Pyrenee Drive」で交通事故撲滅を目指すPyreneeが2億円を調達

自動車の運転をより安全で快適にする車載機器「Pyrenee Drive」(ピレニードライブ)の開発を続けているPyrenee(ピレニー)は5月25日、総額2億円の資金調達を発表した。引受先は、フューチャーベンチャーキャピタル、菊池製作所、井伸之氏(クオンタムリープ代表取締役会長)、複数のベンチャーキャピタル、事業会社、個人投資家。

Pyrenee Driveは、交通事故の最大原因とされるドライバーのヒューマンエラーを回避するための装置。搭載されたAIが、道路状況の確認と危険予知を行い、事故の可能性を感知すると、音声と画面表示で即座にドライバーに警告する。オンライン型ドライブレコーダーも搭載するほか、後付け機器なのでどんな車にも装着できる。ナビゲーションなどの機能も、オンラインアップデートで追加してゆくとのこと。発売は2022年中を目指している。

AIアシスタント「Pyrenee Drive」で交通事故撲滅を目指すPyreneeが2億円を調達

開発中のPyrenee Driveと画面イメージ

今回調達した資金は、Pyrenee DriveのAIを活用した事故回避機能の強化と、発売に向けたハードウェアの量産設計に使われる予定。今後も調達を続けてゆくという。

Pyreneeは、人間の相棒となる製品を開発、販売するメーカーとして2016年創業。Pyrenee Driveは第1弾製品にあたり、2022年中の発売を目指して開発している。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:AI / 人工知能(用語)コンピュータービジョン(用語)資金調達(用語)Pyrenee(企業)日本(国・地域)