インフラ管理もできるヘッドレスCMS開発のPrismicがシリーズAで約22億円を調達

コンテンツ管理システム(CMS)を開発するPrismic(プリズミック)がシリーズAラウンドで2000万ドル(約22億円)を調達した。同社は2016年以来利益を計上しているが、製品を迅速に反復開発することにより、ヘッドレスCMSの可能性を最大限に引き出したいと考えている。Aglaé VenturesとEurazeoが資金調達ラウンドを共同でリードした。

ヘッドレスコンテンツ管理システムは、従来のコンテンツ管理システムとは少し異なる。ウェブサイトのバックエンドとフロントエンドが完全に別々に動く。安全なところに保存されているバックエンドにコンテンツを書き込む。アプリケーションのフロントエンドは、APIによりバックエンドからコンテンツを引き出し、それを顧客や読者に表示する。

コンテンツ管理システムの上記2つの重要部分を分離することには多くの利点がある。より安全になり、はるかに優れた拡張性を獲得し、フロントエンドフレームワークとホスティングに関して大きな柔軟性が生まれる。

Prismicは、CMSでの反復開発に加え、インフラを管理する。サインアップするときにバックエンドを自分のサーバーに持ち込む必要はない。管理インターフェイスに接続すれば、作業を始められる。

その後はAPIからコンテンツにアクセスできる。これは、独自のウェブサイトを構築し、Prismicからコンテンツを取得できることを意味する。モバイルアプリを作成して、ニュースセクションのコンテンツバックエンドとしてPrismicを使用することもできる。

独自のフレームワークを選択し、そのフレームワークを介してサイトを構築できる。Prismicは、Gatsby、React.js、Next.js、Vue.jsなどをサポートしている。

Prismicはまた「Slices」の普及を試みている。従来のコンテンツ管理システムでは、ページや投稿を作成できる。各ページで同じヘッダーとフッターを使用する。これは、ウェブサイトに含まれるコンテンツの単位にすぎない。

Slicesは上部のバナー、注目のコンテンツ、いくつかの関連コンテンツ、最近のレビュー、ニュースレターのサインアップフォームなど、ウェブサイトのバーティカルセクションだ。開発者はReact.jsやVue.jsなどにより独自のカスタムスライスを作成できる。

その後、コンテンツマーケティングチームは、スライスを組み合わせて一致させたり、新しいページを作成するたびにスライスをカスタマイズしたりできる。それは多くの可能性を解き放ち、技術者以外の人々がウェブサイトの動的コンテンツを作成できるようになる。本質的には、PrismicはそれらのスライスによりCMSにいくつかのノーコード機能を追加しようとしている。

「Prismicはマーケティングチームのページビルダーになります。そこから、サイトのすべてのセクションにアクセスし、それらのスライスをつなぎ合わせてコンテンツを追加することで、新しいページを作成できます」と共同創業者でCEOのSadek Drobi(サデック・ドロビ)氏は筆者に語った。

特にそのコンセプトにはいくつかの可能性があるようだ。同社が資金を調達できたのはそのためだ。このスタートアップはサブスクリプションから収益を生み出し、ウェブエージェンシーなどの小規模なクライアントだけでなく、法人向けプランを選ぶ大企業もターゲットにしている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:PrismicCMS資金調達ヘッドレスCMS

画像クレジット:HalGatewood.com / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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