必要な場所にデータを移動させるオープンソースのデータコネクタープラットフォームAirbyteが28.3億円調達

現在、企業が直面している大きな課題の1つは、関連するデータを見つけることではなく、必要な場所にデータを移動させることだ。この課題を解決するために、オープンソースのデータ統合プラットフォームを構築しているアーリーステージのスタートアップがAirbyte(エアバイト)である。同社は、先の520万ドル(約5億7000万円)のシードラウンドを発表してからわずか2カ月後である米国時間5月25日に、2600万ドル(約28億3000万円)のシリーズAを発表した。

このラウンドを主導したのはBenchmarkで、8VC、Accel、SV Angel、Y Combinator、および複数の技術業界の著名人が投資に参加した。同社はこれまでに3100万ドル(約33億7000万円)以上を調達しているが、そのすべてが2021年に入ってからのものだ。

共同創業者でCEOのMichel Tricot(マイケル・トリコット)氏は、TechCrunchの取材に対して「当社が開発しているのはデータベース、ファイル、APIなどのどこに置かれたデータでも、データウェアハウスやデータレイクなどのお好みの場所に移動させるための、オープンソースのデータ統合プラットフォームです」と語る。このために、さまざまなデータタイプへのコネクターの開発が行われている。同社は、コネクターを開発するためのオープンソースのプラットフォームとSDKを提供し、自身でもコネクターを開発しつつ、コミュニティに対して独自のコネクタの追加を呼びかけている。

スタートアップを取り巻く状況は急速に変化している。今回の資金調達に加えて、2021年5月初めには「Connected Development Kit」(CDK、コネクター開発キット)をリリースした。共同創業者であるJohn Lafleur(ジョン・ラフルール)氏は「このフレームワークを使うことで、カスタムコネクターを2〜3日ではなく、2時間で開発することができます」という。現時点で、プラットフォームの70個のコネクターのうちの約20%がコミュニティから提供されたものだが、CDKがコミュニティに普及するにつれて、その割合は増加するだろうと2人の創業者は期待している。

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Airbyteは2020年創業されたばかりだが、同社は2021年を、急速に成長しているコミュニティを拡大するために費やす予定だ。現時点でコミュニティメンバーは1200人、アクティブユーザーは500人に達している。当面はオープンソースのプロジェクトを継続しながら、将来はホステッドバージョンを開発しそこから収益を得る予定である。

今回の投資を主導しているBenchmarkのゼネラルパートナーであるChetan Puttagunta(チェタン・プッタグンタ)氏は、BenchmarkにはこれまでRed Hat(レッドハット)をはじめ、Elastic(エラスティック)、MongoDB(モンゴDB)、Acquia(アクイア)などのオープンソースのスタートアップへ、初期の投資家として投資を行ってきた歴史があると語った。

プッタグンタ氏がAirbyteにアプローチしたのは、コミュニティで多くの開発者が短期間に活躍しているのを見たからだという。「開発者コミュニティへの関わり合いという観点から、私たちは彼らに声をかけました。Airbyteがあちこちで見られるようになり、データを統合するためのデファクトスタンダードとして急速に普及していくのを目にしたのです。設立からわずか数カ月の会社としては、驚くべき成果でした」。

急激な成長によって、社員数は短期間で2倍の14名となった。ダイバーシティとインクルージョンに関しては、創業者が自ら会社のハンドブックを書き起こしており、その中には詳細な定義や目標などが含まれているが、これは初期段階の会社ではあまり見られることはない。

トリコット氏は「私たちは、ダイバーシティ、インクルージョン、帰属意識を継続的に向上させようとしています。決してこれで終わりと考えることはありません。常に改善の余地があるのです」と語る。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Airbyte資金調達オープンソースオープンデータデータウェアハウス

画像クレジット:ipopba/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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