CoreOSのコンテナ管理サービスTectonicがバージョンアップ、Kubernetesとコンテナの自動アップデートが容易に

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CoreOSが今日(米国時間12/12)、Kubernetesを使用する同社のコンテナ管理サービスTectonicをアップデートし、Kubernetesとそれが管理するコンテナの両方を容易に自動アップデートできるようにした。

これまでは、Kubernetesのクラスタをダウンタイムなしでつねに最新状態に維持することは、意外に困難だった。CoreOSが“自動運転インフラストラクチャ(self-driving infrastructure)”と呼ぶ今回の新たなサービスでは、ユーザーの指定により、アプリケーションをダウンさせずに、Tectonicにこれらのアップデートを管理させられるようになった。CoreOSのオペレーティングシステム本体にはかねてから同様の機能があり、今回は同じ機能をTectonicとその上で動くアプリケーションに持ち込んだ形だ。最近のユーザーの使用状況にちなんで同社は、CoreOSをContainer Linuxとも呼んでいる。

アップデートの発表声明は、こう言っている: “企業は、オープンソースコミュニティの活発なイノベーションのペースに遅れずに追随し、自分たちのソフトウェアがつねに最新の機能と高度なセキュリティを提供していくことを、必要としている。自動運転インフラストラクチャは、前進アップデートと、ときには後退アップデートを、ボタンひとつでできることにより、これらの問題を解決している”。

今回のアップデートと並行して同社は、ノード数が10未満のユーザーはTectonicの使用を無料にする、と発表した。それ以上は、ノード数に応じての課金になる。これにより、これまでよりも多くのデベロッパーがこのサービスを試用できるようになり、その後彼らの企業に本格的に導入することを、同社は期待している。

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完全に隅から隅までオープンソースのラップトップコンピューターLibrebootは、ブートローダーもBIOSもオープンソース

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商用ソフトウェアがまったくない、純粋で完全なオープンソースラップトップは、以前からフリーソフトウェアのファンたちの究極の理想だった。そして今回登場したLibrebootは、ブート時のファームウェア〔+BIOS〕まで完全にオープンソースだから、夢の実現が近くなった。

この730ドルのラップトップは、何の変哲もないふつうのハードウェアだが、しかしオープンソースのソフトウェアしか載っていない。OSのDebian〔Debian Linux〕は、完全にオープンソースだ。また非公開のソフトウェアを避けるために、Wi-Fiチップを内蔵せずに、AtherosのWi-Fiドングルとそのオープンソースのドライバーを加えている。

オープンソースは、楽しいだけでなく、今やとても重要だ。デスクトップ上のLinuxはまだ普及途上だが、Debianはすでに機能満載で、使うのが楽しい。そしてLibrebootのプロジェクトは、ブート時からシャットダウンまで何もかもオープンソースにして、ゴールまでの最後の1マイルを走破した。

このラップトップは、ハードウェアとしてはCPUがARMの1.8GHz Rockchip RK3288クァッドコア、RAM 4GB、内蔵eMMCストレージ16GB、といった仕様だ。ストレージの増量は、microSDカードで行う。画面は11インチ、3年間の保証つきだ。

オープンソースのラップトップにこだわる人はそんなに多くないが、でも巨大コンピューター企業からコンピューティングの自由を奪い返したい、と思ったとき、実際にそれができるようになったのだから、嬉しいね。

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SUSEがHPEのOpenStackおよびCloud Foundry関連資産(そして人材)を買収

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SUSEの名は、Linuxのディストリビューションで知ってる人が多いと思うが、相当前から、OpenStackエコシステムの、目立たないけど一貫した活動メンバーだった。しかし最近の数か月、このドイツ企業はこの世界の強力なコンペティターとしても動き始めている。とくに今という時期は、OpenStackをめぐる企業の整理統合が進んでいるだけに、その動きは注目される。

今日(米国時間11/30)SUSEは、同社がHPE(Hewlett Packard Enterprise)のOpenStack(IaaS)およびCloud Foundry(PaaS)関連資産と人材を買収する、と発表した。これはHPEの、ソフトウェアビジネスをMicro Focusに売り払う(HPEは“spin-merge”する、という言葉を使っている)という決定に続く動きだ。ちなみにそのソフトウェアビジネスには、HPEが110億ドルで買ったAutonomy(その後90億ドルに減価)も含まれる。さらにもうひとつ言うと円が閉じるのだが、Micro FocusはSUSEのオーナーでもある。そしてそのSUSE が、今回はHPEのOpenStackおよびCloud Foundry資産を拾っているのだ。

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SUSEの主張では、今回の買収で同社のOpenStackポートフォリオがより充実し、またCloud FoundryのようなPaaS資産は、同社自身のエンタープライズ対応SUSE Cloud Foundryソリューションの市場化を助ける。

SUSEのCEO Nils Brauckmannはこう語る: “この買収の原動力となったものは、弊社の顧客とパートナーにエンタープライズ的価値をお届けしている、オープンソースのソフトウェア定義インフラストラクチャの提供への、SUSEのコミットメントだ。これはまた、有機的成長(本体の成長)とテクノロジーの買収を組み合わせてビジネスを構築していく弊社のやり方を、世に示すものでもある。重ねて申し上げると、この戦略は市場と世界のオープンソースコミュニティに、SUSEが進歩的で活発な企業であるという、強力なメッセージを送っている”。

SUSEはこれにより、LinuxとOpenStackとCloud Foundryに関してHPEの最優先オープンソースパートナーになる。

しかしHPEはOpenStackとCloud Foundryのゲームから完全に撤退するわけではない。HPEはSUSEのOpenStackおよびCloud Foundry技術を、同社自身のHelion OpenStackとStackatoソリューションに向けてOEMしていく。HPE自身の言葉によると、今回の動きは同社の戦略の“進化”を意味しているにすぎず、それによって同社は“ハイブリッドクラウドソリューションの次の進化の開発に集中できるようになる”、のだそうだ。同社の顧客がHelionプラットホームの将来性について不安を抱(いだ)き始めない、とは想像できないが。

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パラグアイのPoは3Dプリントされたカスタマイズ義肢を南米の貧しい人びと向けに開発

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人工装具(義肢など)の世界は2つの方向に進んでいる:1つの方向では、もし望むなら、最新のロボットソフトウェアと小さくなったセンサーが、たゆまず改善され続けている感覚とリアリズムを備えた、手足と指を可能にしてくれる。もう1つは、高速製造技術が、貧しく地理的に孤立した地域に洗練されたデザインをもたらすことを可能にする方向である。パラグアイの会社であるPoは、後者のゴールを目指している。もし彼らのものがなければ何も手に入れることができないような人たちのために、カスタマイズされた義肢を製作するのだ。

パラグアイについては、TechCrunchの共同創業者Eric Dijkhuisが以下のように述べている「驚くべき人びとに溢れ、沢山の課題も抱えた国です。1日当たりの切断術が多い国で、上腕の切断が高い割合を占めています。これは職場の安全規制の欠如と危険な作業エリア、そして多数のオートバイ事故に起因しているのです」。

低所得者が多いため、極めて少数の人たちだけが必要な義肢を購入することができる — Dijkhuisによれば3パーセント以下だ。Poの創業者は、そこに強い問題意識を感じた。オブジェクトをプリントして製造し、高度な既成の制御システムを入手できる時代に、なぜそのままでなければならないのか?

そこで、彼らは耐久性が高くプリント可能な手と前腕をデザインすることにした。形の調整や、サイズ、色、その他の基本パラメータをカスタマイズできる。現在は機械的に制御されるPoの腕が100以上使われているが、彼らはThalmic LabsのMyoデバイスに出会うことで、新たな発見を行った。

Myoについて覚えている人もいるだろう:それは腕に巻き付けて、様々な動きで生じる腕の筋肉の生体電気信号をモニターし、データを他のデバイスに無銭で送信するものだ。なので、例えば握り拳を作ったり、手を上に傾けたりすることで、ノートPCのウィンドウを閉じたり、アプリケーションを切り替えたりすることができる — そして義肢の場合なら、単純に動きを義肢にミラーリングすることが可能だ。

現在Poは5人を対象にMyPoのテストを行っている。MyPoはオリジナルのメカニカルアームとMyoによる制御メカニズムを組み合わせたものだ。

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「わずかなコストでMyPoは義肢の旧来の機能を反映します」とDijkhuis。「何種類もの掴み方、高い自由度、そして既にMyoアームバンドに対応しているアプリケーションと統合することさえ可能です」。そのため、オブジェクトを摘み上げたり動かしたりといった動作に加えて、ジェスチャーを、ソーシャルメディアや音楽アプリ、その他のものと対話するようにすることができる。

この最後の機能は、他者によっても検討されている最中だ:既存の義肢にぴったり装着することができて上記のような対話機能を実現するMyo対応のアクセサリーを、ドイツのデザイナーが最近作成した

四肢制御機構としてMyoを使用する利点は、予め学習させたジェスチャーと筋肉の動きを、直接腕の動きをに結びつけることができることだ。よって、ユーザーが拳をつくるための指を欠いていたとしても、かつてそうしていた頃の動きの記憶が残されていれば、Myoはそれを検知し反応することができる。

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「考え、思い出し、行動。そしてMyoのアームバンドが、全てのプロセスを素晴らしくガイドしてくれるのです」とDijkhuisは言う。

もちろんPoは、3Dプリントの義肢としは、最初でも唯一のものでもない — 既に多くの者がそれを行っている。とはいえ、単にデザインをするだけでは十分ではない。フィッティング、構成、そして部品のコストの問題がある。

「私たちは、ユーザーが負担可能な金額を支払い、残りを民間の寄付を通じた助成で賄えるような手助けをしています」とDijkhuisは説明した。「私たちはまた、私たちの仕事をサポートしてくれる、独立専門家、NGO、同盟企業や公的機関と協力しています。私たちのビジネスモデルは、現在Poパートナーによって、北アルゼンチンとブラジル南部で展開されていますが、誰でも標準的ですぐに使える手続きで自身の活動を始められるように、私たちのワークフロー全体がこれからオープンなものになります」。

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一方、全てのデータはThingiverseにアップされている(Thingiverseは3Dモデルを投稿し共有するサイト)ので、あなたはそこからデータをダウンロードし、調整し、提案を行ったり、あるいは自分自身で試してみることもできる。

想定利用者は技術に精通した都会人ではなく、企業もサービスも数十億ドルの評価額を求めるものではないので、これは技術的には特に注目すべきアプリケーションではない。しかし、貧しすぎて買う余裕のない子供に義肢を与えるというゴールは、大声で宣伝される価値がある。

「Poの作成と開発で、私たちは新しいテクノロジーの力を目の当たりにしました。3Dプリント、Myoアームバンド、そしてオープンソースです」とDijkhuisは語った。「私たちは、社会的影響へと適用されるこれらの技術が、業界を変革するだけでなく、人工装具の未来のためのゲームルールを書き換えて、イノベーションパワーを世界中の人に届けてくれるものと信じています」。

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(翻訳:Sako)

MicrosoftがLinux Foundationに参加

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もはや、オドロキではないかもしれない。Microsoftの今日(米国時間11/16)の発表によると、同社はLinux Foundationに、会費の高いプラチナ会員として参加する。

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Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinは、同団体とMicrosoftとの関係の歴史について語り、こう言った: “みんなにとっては意外かもしれないが、彼らは決して、うちの大ファンじゃなかったんだよ”。

しかしSatya NadellaがCEOになってからのMicrosoftは、これまでとはまったく違う歌を歌っている。今のMicrosoftは、オープンソースの最大の寄与貢献企業のひとつだ。最近のわずか数年間で、同社はCanonicalのUbuntuディストリビューションを実質的にWindows 10に組み込み、SQL ServerのLinux版を出し、.NETプラットホームの中核的部分をオープンソース化し、Red HatやSUSEなどとパートナーした。そしてZemlinも指摘するように、Microsoftは、Linux Foundationが管理するプロジェクトの多くに寄与貢献してきた。それらは、Node.js, OpenDaylight, Open Container Initiative, R Consortium, Open API Initiativeなどなどだ。

それにも関わらず今日の発表は、多くの人びとにとってオドロキだろう。過去には、MicrosoftとLinuxは犬猿の仲だ、と言われていた。Zemlinもこう言う: “オープンソースには反体制という感じ方がある。それも当然だ”。だから彼によれば、これまでも大企業がオープンソースをやり始めると、今回のような反応があった。でもしかしMicrosoftには、“すでに(オープンソースの世界における)長年の実績があるからね”、と彼は指摘する。

年会費50万ドルを払うLinux Foundationのこれまでのプラチナ会員は、Cisco, Fujitsu, HPE, Huawei, IBM, Intel, NEC, Oracle, Qualcomm, そしてSamsungだ。GoogleやFacebookなど10数社の主要なオープンソース企業が、ゴールド会員だ。

AzureチームのアーキテクトJohn Gossmanが、Linux Foundationの取締役会に加わる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Microsoftが次世代型クラウドハードウェアの設計をオープンソース化…コミュニティのコラボレーションに期待

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Microsoftが今日、同社の次世代型ハイパースケール(hyperscale, 自動スケーリング)クラウドハードウェアの設計をオープンソースにし、それをOpen Compute Project(OCP)に寄贈した。Microsoftが2014年に参加したOCPには、Facebook, Google, Intel, IBM, Rackspaceなど、多くのクラウドベンダがいる。これまでの2年間で同社はすでに、サーバーやネットワーキング、データセンターなどの設計をいくつか寄贈している。

同社がProject Olympusと呼ぶこのオープンソース事業は、完成した設計をオープンソースにして寄贈する通常のやり方と違って、設計がまだ最終的な商用化のレベルに達していない。つまり、設計過程にコミュニティがコラボレーションしていくことを、前提しているのだ。

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Azureでハードウェアインフラストラクチャを担当するゼネラルマネージャーKushagra Vaidが、今日の発表声明で述べている: “私たちは、これまでにも、OCP Foundationやオープンソースコミュニティとの密接な協働関係から、非常に多くのことを学んだ。しかしそこで理解した重要なことは、現在のオープンソースハードウェアの開発が、オープンソースソフトウェアほどアジャイルでもなく、頻繁な反復型でもないことである”。そこで、コミュニティに設計への初期的アクセスを与えることによって、Microsoftは“新製品の市場化までの時間を縮小し、投資費用を縮減する”ことを、期待するのだ。

Project Olympusの設計に含まれるのは、新しいマザーボードと、電池内蔵により高可用性の電源装置、高密度ストレージ拡張能力のあるサーバーシャシー、および、複数の(ときに多様な)マシンを載せるサーバーラック群に行き渡る電源配布ユニットだ。既存のデータセンターとその構成のもとで、すぐに使えるために、モジュール性を重視した設計になっている。

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FacebookのOCPサーバー

Open Compute Project FoundationのCTO Bill Carterは、今日の声明文でこう述べている: “Microsoftはオープンソースハードウェアの開発に、新しい時代を切り拓いた。コラボレーションと市場化の方法に新しい姿を持ち込んだProject Olympusは、OCPとオープンソースデータセンターハードウェアの、これまでの歴史になかったものである”。

Microsoftは、FacebookなどそのほかのOCPメンバーと同様、自己のデータセンターにおいてOCPのハードウェアを広範囲に利用している。Microsoftによると、同社が購入したサーバーの90%以上は、OCPに寄贈された仕様に基づいている。OCPを創始したFacebookでは、ほとんどすべてのサーバーがOCPマシンだ。Googleも今年初めにOCPに参加したが、クラウドプラットホームのマーケットリーダーであるAmazonは、まずそもそも、未だにオープンソースに向けての動きがなく、今後についても不明である。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

CoreOSのOpenStackクラウドを15分でデプロイできるツールStackanetes(OpenStack+コンテナ+Kubernetes)がテクニカルプレビューに達す

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6か月前に、小型のLinuxディストリビューションとコンテナ管理サービスを提供するCoreOSは、その複雑さで敬遠されがちなOpenStackによるプライベートクラウドを、コンテナと、Googleのコンテナ管理ツールKubernetesを利用して容易にデプロイできるやり方をデモした。そして今日(米国時間10/26)同社は、そのツールのテクニカルプレビューのローンチにまでこぎつけ、誰もがたった一つのコマンドで、Kubernetes上のOpenStackをわずか15分でデプロイできるようになった、と発表した。

この、OpenStackとKubernetesをセットにしたプロダクトは“Stackanetes”と呼ばれ、CoreOSのチームは残念ながらこの奇妙な名前を気に入っているのだが、OpenStackの最新リリースであるNewtonを使用し、そのプラットホームのすべてのインフラストラクチャサービスを揃えた完全な高可用性OpenStackデプロイメントをセットアップする。

しかしOpenStackのクラウドをセットアップしている企業の多くは、Mirantis, Canonical, HPEなどのサードパーティベンダを利用してミッションクリティカルなワークロードをセットアップしている場合がほとんどだから、15分自力セットアップを訴求するCoreOSの今回のプロダクトは、一種のスタントでもある。しかしこれにより、OpenStack/コンテナ/Kubernetesという組み合わせが、少なくともOpenStackのベーシックなデプロイを、これまでになく、大幅に簡易化することを、多くの人びとに見せつけることはできる。これまで、OpenStackを使うことなど考えたこともなかった企業すら、前向きの関心を示すかもしれない。

StackanetesはコンテナエンジンとしてDocke Engineではなく、それと競合するCoreOSのrktを使用し、クラスタオーケストレーションツールとしてKubernetesを用いる。またCoreOSのチームによれば、Kubernetes自身もそのキー-ヴァリューストアとしてCoreOSで育ったetcdを使用している。

CoreOSのこのプロダクトでは、OpenStackのクラウドをセットアップするために必要なKubernetesの全オブジェクトが、約300行のYAMLのマークアップで定義されている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoogleとMonotypeが全言語対応フォントのNotoを公開

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サービスで世界中をつなぎ合わせようとしているGoogleは、これまでモバイルサービスや検索エンジン、地図、コネクティビティ、デバイスなどさまざまな分野に挑戦してきた。そして本日Googleは、野望を叶える上で欠かせない分野である一方、あまり注目されることのないフォント界での取り組みについてある重要な発表を行った。

そこでは、フォントの専門家であるMonotypeとの協力のもとで生まれた、Notoプロジェクトがお披露目された。5年におよぶ両社のコラボレーションの末に誕生したこのタイプフェイスは、単一のスタイルで800以上の言語と100種類以上の表記に対応している。既にこのフォントはオープンソースのOFL(オープンフォントライセンス)として公開されており、そのまま利用するだけでなく、フォントデザインに改変を加えることもできる。

ユーザーがどの言語でデジタルコンテンツを創作・消費しようと、白いボックス(通称”豆腐”)として表れる”未知”の文字を表示させないようにする、というのが両社の大きな狙いだ(Notoは”No to(fu)”という意味でもある)。さらにGoogleとMonotypeは、全言語のフォントが視覚的に統一されれば見た目にもよいと考えている。

両社がこのプロジェクトに取り掛かりはじめたころ、疑いの目を向ける人がいたのも確かだ。そんな人たちの意見が、パキスタン系アメリカ人ライターAli Eterazの以下の言葉に上手くまとめられていると個人的には思う(2014年にNPRが引用しているが、この頃プロジェクトは既にかなり進行していた)。

「2つの考えの間で揺れているんです」と彼は言った。「このGoogleの普遍主義的なプロジェクトは、無害、もしくは有益でさえあるかもしれない。でもその一方で、技術的帝国主義のようにも感じるんです」

手元にさまざまな種類が揃っていれば、フォント選びはとても楽しく開放的である上、正しいフォントを選ぶことで自分のメッセージが上手く伝わる場合もある。

そういった意味では、Notoプロジェクトの結果生まれたのは、想像力をかき立てるというよりも機能的なフォントだと私は思う。文字ひとつひとつが、考えうる限り最も当たり障りなくニュートラルで(ベーシックな英語のサンセリフ体を下に掲載している)、フォントスタイルには、さまざまなウェイトや台詞・サンセリフ体、数字、絵文字(基本的にはGoogleの絵文字)、記号、楽譜用の記号などが含まれている。

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しかし機能面から考えると、真の意味でのグローバルフォントを作り出すというのは、価値のある素晴らしい取り組みであると同時に、その結果誕生したフォントもすっきりしている。

「Google Notoは、その規模や範囲を考えると気の遠くなるようなプロジェクトでした。それでも、これまで誰も挑戦してこなかった問題を解決できる素晴らしい製品を、5年間のハードワークの末に誕生させることができ、私は誇りに思っています」とGoogle国際化部門のディレクターであるBob Jungは声明の中で語った。

「Notoプロジェクトにおけるゴールは、私たちが販売するデバイス用のフォントを作ることでしたが、同時に情報を保護する活動にも興味がありました。話者数が減っている言語や、学問の世界でしか使われていない言語、さらには既に使われていない言語で残された情報を保護するのは、とても重要なことだと考えています。デジタルフォントのNotoがなければ、そのような文化資源を守っていくのは大変難しいでしょう」

私が面白いと感じたのは、プロジェクト開始当初のGoogleとMonotype間での仕事の割り振りだ。

Monotypeは実際のデザイン業務を主に担当していた。その業務内容は、「文字・表記システム・文字体系に関する研究やそのデジタルデザイン化、個別言語のルールや慣習をフォントに適用する作業、さらには世界中の外部デザイナーや、表記に詳しい言語学者の管理など」だったとMonotypeは言う。

Googleは、その強力なエンジニア陣やその他の力によって、クライアントの役割を務めていたようだ。つまり、Monotypeがやらなければいけない事項のパラメーターを設定したり、その対価を支払ったりというのをGoogleが担当しており、「プロジェクトの要件や範囲を定義し、主要言語のデザインの方向性に関する重要な指示を出していたほか、デザインレビュー、技術テストのリソース提供、さまざまな言語に関する専門的なアドバイスの提供以外にも、このプロジェクトを実現させるための資金を供給していた」。

さらに両社は、「世界中から何百人もの研究者、デザイナー、言語学者、文化学者、プロジェクトマネージャーがGoogle Notoに関わっていた」とも話す。

Googleは、さまざまなサービスをローンチすることで、インターネットに接続されている所であれば、どこにでもその足跡を残そうとしており、Google Notoの開発プロセスはその動きに沿ったものであった。さらにこれは、言語に関するGoogleの他の取り組みとも合致する動きで、話者数を問わずにさまざまな言語をカバーしている翻訳サービスがその筆頭だ(今年Google Translateの対応言語数は100を超えた)。

商業帝国主義的な要素があるのではないかというコメントに関し、2011年のUnicode 6.0(現行は9.0)リリース時からGoogleと提携しているMonotypeは、ある程度このような反応に配慮しながらプロジェクトに取り組んできたようだ。

例えば、チベット語へのアプローチについてMonotypeは「さまざまな文献や資料をしっかりと研究した後、仏教寺院の協力を仰いでフォントを批評してもらい、それをもとに修正を加えました。修道僧はチベット語の原稿を絶えず読み込んでいることから、チベット語版のNotoを評価するには最適な人材で、最終的なフォントのデザインを決定する上で、彼らの助言はとても有益でした」と説明する。

Notoフォントは本日リリースされたが、MonotypeとGoogleはこれが完成形とは考えておらず、Unicodeの進化にあわせて、今後新たな表記やウェイトが追加されていく予定だ。

「私たちは熱意をもって活字というものに取り組んでおり、さまざま文化・言語・地域で活字が利用されるように日々の活動に取り組んでいます」とMonotypeの社長兼CEOのScott Landersは話す。「歴史上最も重要な活字プロジェクトのひとつとなったNotoで、こんなに大切な役割を担うことができて光栄です。Monotypeのフォントに関する専門性とGoogleの革新性が合わさることで、こんなに生産的な関係が生まれることがわかったので、今後もフォントがさまざま場面で利用されるように、このコラボレーションを続けていくのが楽しみです」

Notoフォントの取り組みに関する詳細については、こちらのGoogleとMonotypeのビデオをどうぞ。

Creating Noto for Google from Monotype on Vimeo.

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原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

OpenStackが14回目のバージョンアップ、スケーラビリティと自己回復力、ベアメタル上のコンテナに注力

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OpenStackは、企業がこれを使って自分のデータセンターにAWSのようなクラウドプラットホームを構築運用できる大規模なオープンソースプロジェクトだ。それが今日(米国時間10/6)、その14度目のメジャーバージョンアップをリリースしたNewtonと呼ばれるニューバージョンは、ここ数年間における、OpenStackのさらなる成熟を示している。そして今回は、OpenStackのコア的サービスの一部の、スケーラビリティと自己回復力の強化に力が入れられている。またそれと同時に、重要な新しい機能が二つ加わった。そのひとつは、コンテナとベアメタルサーバーのサポートの改良だ。

Newtonに寄与貢献したデベロッパーとユーザーは2500名あまりに達する。その数からもそれがビッグプロジェクトであることが分かるが、コンピュート、ストレージ、ネットワーキングといったデータセンターの中核的サービスをサポートするだけでなく、多様な小規模サービスも各種提供している。

OpenStack FoundationのCOO Mark Collierによると、Newtonの力点は新しい機能よりもむしろ、新しい種類のワークロードをサポートするためのツールの充実に置かれている。

CollierとOpenStack Foundationの上級役員Jonathan Bryceが強調するのは、OpenStackの仕事はあくまでも、ユーザーが自分のワークロードを動かすために必要とするインフラストラクチャを提供することだ、という点だ。ワークロードの種類やタイプ、そのために求められるツールは、いっさい特定しない。“クラウドと仮想マシンが同一視されることは、最近ではなくなった”、とCollierは述べる。むしろ今多いのは、ベアメタルとコンテナの併用だ。OpenStackはそんなユーザーに、すべてを一元管理できるための、単一の制御インタフェイスを提供しなければならない。

しかし企業の変革の歩みは遅くて、OpenStackを使っているアーリーアダプター的企業でさえ、コンテナの採用はまだ始まったばかりだ。Bryceは曰く、“アーリーアダプターの中には、すでにコンテナをプロダクションで(本番運用で)使っているところもある。しかし私の考えでは、OpenStackである・なしを問わず、コンテナをプロダクションで使うのは時期尚早だ”。しかしそれでも、彼によると、最近ではOpenStackのさまざまなコンポーネントを活用して、コンテナの採用を早めたい、というユーザーが増えている。

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OpenStackのコア・フィーチャーであるNovaコンピュートサービスや、Horizonダッシュボード、Swiftオブジェクト/blobストアなどは、今回のアップデートでスケーラビリティが向上した。OpenStack上のコンテナ管理プロジェクトMagumuは、すでにDocker Swarm, Kubernetes, およびMesosをサポートし、オペレーターがKubernetesのクラスターをベアメタルサーバーの上で動かすこともできる。またそういうベアメタルサーバーのプロビジョニングフレームワークIronicは、Magnumとよりタイトに統合化され、マルチテナントのネットワーキングもサポートする。

今回のリリースには、そういった多様なアップデートや改善改良が含まれる。その圧倒的な全容と各プロジェクトの詳細は、ここで見られる。

OpenStackはすでに、6か月先の次のリリースにも取り組んでいる。それは、今月後半にバルセロナで行われるOpenStack Summitまでには準備段階を終えて、来年2月に一般公開されるだろう。

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WalmartLabsがWalmart.comのアップグレードに使ったReactベースのアプリケーションプラットホームをオープンソース化

SPRINGER, NM -  MAY 15:  A Wal-Mart truck sits on the side of the highway May 15, 2005 near Springer, New Mexico.  Wal-Marts are now nearly ubiquitous on the American landscape, with over 3,000 stores coast-to-coast.  With growth, Wal-Mart continues to weather criticism of low wages, anti-union policies as well as accusations that it has homogenized America's retail economy and driven traditional stores and shops out of business. (Photo by Chris Hondros/Getty Images)

オープンソースソフトウェアという言葉と、あの大手スーパーマーケットWalmartが頭の中で結びつく人はあまりいないと思うが、同社のイノベーション意欲旺盛な技術開発部門WalmartLabsはこれまでにも、さまざまなオープンソースプロジェクトを一般公開している。その中でいちばんおもしろいと思えるのがDevOpsプラットホームOneOpsだが、今日(米国時間10/3)はそれと同等に意欲的なプロジェクトを立ち上げた。

Walmartのeコマース部門Walmart.comは、今や月間ビジター数が8000万、販売品目1500万に達する。そこが昨年1年間をかけて、React(react.js)とNode.jsに移行した。その移行過程でWalmartLabsのチームがWalmart.comのために作ったReactベースのアプリケーションプラットホームElectrodeがこのほど、オープンソースになった

デベロッパーは、Electrodeが提供しているいくつかの定型句的なReactコードに自分なりに手を加えて必要なモジュールを作り、それらの機能をNodeで作るアプリケーションに加えていく。たとえばそれは、Node.jsアプリケーションの構成を管理するツールや、アバブ・ザ・フォールド(above-the-fold)を素早く表示するReactコンポーネントなどだ。〔above-the-fold, アバブ・ザ・フォールド, ページの最上部、スクロールしないで見れる部分。 〕

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チームによると、このプロジェクトにはいくつかの特定の目標があり、それらはほかの企業の問題解決にも役立つはずだ、という。Electrodeは社内のデベロッパーがアプリケーションを早く作れることが目的であり、彼ら自身がこれまでの経験の中で開発してきたベストプラクティスに従った、堅実な構造をそのまま利用できる。

WalmartLabsの技術部長Alex Grigoryanはこう語る: “Electrodeはとりわけ、われわれが作るアプリケーションのパフォーマンスとデベロッパーの生産性を上げた。オープンソースにすることによって、コミュニティがそれをさらに良くしていくことを期待したい。もちろんそれは、うちだけではなく、これを使うデベロッパー全員にとってね”。

このプラットホームは、できるかぎりモジュール的な構造にするよう努めた。その結果それは、コア、モジュール群、ツール類、という三つの部分から成り、それぞれを単独で利用することもできる。

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Electrode今、WalmartでWalmart.comを動かしているが、今後はSamsClub.comなど、Walmart社のそのほかのWeb資産にも適用していく意向だ。Electrodeは昨年の12月に発足したプロジェクトだが、Grigoryanによると、プロジェクト自身は若くても内部で大量のオープンソースプロジェクトを利用している。オープンソースコミュニティの助けがなければ、これだけのものは到底作れなかっただろう、と彼は言う。

Electrodeに移行する前Walmartは主に、Thorax(Backbone.jsとHandlebars.jsによるフレームワーク)と、Javaを使っていた。

WalmartLabsがこれまでに発表したオープンソースプロジェクトはおよそ140あり、Electrodeもその仲間に加わる。まさしく、「今やすべての企業がソフトウェア企業だ」と言われる由縁である。Walmartのような一見保守的な企業でさえ、オープンソースの意義と効用に目覚めるのだから。

Grigoryanは述べる: “うちはいつも、大量のオープンソースを利用しているから、そのお返しをすることをつねに念頭に置かなければならない。Electrodeはアプリケーションのパフォーマンスとデベロッパーの生産性の両方を上げるから、オープンソース化する意義が十分にある。そしてまた、オープンソースのコミュニティによって、うちばかりでなく、それを使うほかのデベロッパーの役に立つ改良改善が為されることも、働きかけていきたい”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

TumblrでApple Live Photoの再生が可能に、ライブラリもオープンソースで公開

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Tumblrは本日、ウェブ上でAppleのLive Photosのサポートを開始した。同時に他のウェブ開発者が同じことを行なえるツールも公開している。同社は、任意のウェブサイトでLive Photosの公開を可能にするオープンソースのJavaScriptライブラリ「Laphs」 ‐ 正式名称「Live Anywhere Photos」 ‐ をリリースした。ウェブ上のLive Photoを実際に動かすには、クリックしてそのまま押し続ければ良い。モバイルでも同様だ。

AppleのLivePhotosは、iPhone6sと6s Plusから導入されたファイルフォーマットだ。静止画と短い動画を組み合わせたもので、ユニークな再生体験を生み出している。ウェブ上でこの効果を再生するために、TumblrはユーザーがiOSデバイスからLive Photoを投稿した際に、静止画(,jpeg)と動画(.mov)の両方のコピーを受け取る。そして、すべてのブラウザで正常に再生できるように、.movファイルを.mp4ファイルに変換するのだ。

その後Tumblrは、そのLaphsソリューションを用いて、.jpegと.mp4ファイルを組み合わせてLive Photoの効果を再構成し、Live PhotoをTumblerのウェブ上で再生する。

実はTumblrは既に、Live Photosを初期のうちから取り込んでいた。iPhoneの3Dタッチ対応スクリーンを使用して、押すと動く静止画を表示していたのだ。そして押せば画像は動き出して、あなたの写真にハリーポッターのような感覚を与えてくれる。

Live Photosは、Tumblrで絶大な人気があるGIFに似ているため、モバイル上での新しいフォーマットのサポートに素早く動いたのだ。実際、それはそれを実現した最初のサードパーティサービスとなった – 結局Facebookには数週間Google Photosには数ヶ月先行することになったのだ。またそれは、モバイル上のGIF Maker機能を用いて、Live PhotoをGIFに変換することもサポートしていた。。

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今やLaphsを使って、TumblrはLive Photosの更なる利用を自身のサイトを超えて推進して行くことが可能になった。そして、同社はAndroidにもLive Photoを持ち込むと言っている。

Tumblrのサイト上のLive Photoは、おなじみの同心円のLive Photoのアイコンが表示される。これは、当該画像の左上に表示される。

たとえば、このTumblrの新機能についてのアナウンス記事の中でLive Photoの例を見ることができる。動きのあるLive Photoを表示するには、ただマウスでクリックしてそのまま押し続けていれば良い。

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(翻訳:Sako)

MySQLの創始者たちが提唱するビジネスソースライセンス(BSL)とは

Software licenses GPL LGPL Flat 3d isometric concept vector. Wordplay propane fuel LPG become acronym of software license. Open source code it not means gratis. How to refuel your own software.

オープンソースライセンスについて言えば、開発者たちは十分な選択肢をもっている(GPL、BSD、MIT、Apacheなど)。それぞれのライセンスには長所と短所がある。同じことは、商用ライセンスにも適用される。しかしMySQLの創始者Michael “Monty” Wideniusと共同創始者David Axmarkは数年前に、別のモデルを思い付いた: ビジネスソースライセンス (BSL)である。

この新しいライセンスは、多くのスタートアップがそのソフトウェアに対して選択しているクローズドソースかつオープンコアのライセンスへの代替策を提供するものだ。そしてWideniusの新会社MariaDBは、初めてそのライセンスをプロダクトの1つに適用した

いくつかの点で、BSLは(オープンソースのひねりを加えた)ソフトウェアライセンスのフリーミアムのモデルに似ている。Wideniusが私に説明したように、BSLは本番運用時にどれくらいの規模のサーバ/CPUその他の利用を許諾できるかの指定を、開発者に認めるものだ(利用制限は本番利用にのみ適用され、テスト環境には適用されない)。指定規模以上での利用には、ライセンス料が発生するという仕組みだ。

これはきわめて標準的な商業用ライセンスのように聞こえるが、工夫が加えられている点は、ソースコードのすべてが常に参照可能であることと、BSLライセンスには有効期限があることだ。一定期間後(例えば3年とか)にライセンスが期限切れとなり、その後は開発者が選択したGPLその他の任意のライセンスに戻る。

「これは全く新しいエコシステムを生み出すことができます」とWideniusは私に語った。「そしてオープンソースが一度に手に入らなくても、将来的にはより多くのオープンソース・アプリケーションが生み出されます」。これらは力強い言葉だ。オープンソースの世界での彼の経験を踏まえるならば、彼とAxmarkがBSLを思い付いた経緯と理由を詳しく見てみる価値はある。

これは全く新しいエコシステムを生み出すことができます。そしてオープンソースが一度に手に入らなくても、将来的にはより多くのオープンソース・アプリケーションが生み出されます。

— Monty Widenius

Wideniusはライセンスについて多大な経験を持っており、MySQLのために作ったライセンスのおかげでかなりの財を成すことができた。「MySQLのようなプロダクトにとってGPLは本当によく出来たライセンスです、なぜならMySQLは企業がそのプロダクの中に統合したいようなものだからです」と彼は説明する。GPLライセンスのプロダクトを自社のプロダクトに統合するには、自社のソフトウェアもまたオープンソースにする必要がある。そうしたくないユーザーに対しては、WideniusとAxmarkが設立したMySQL AB社は、商用ライセンスを提供していた。

彼らが2008年に、MySQL ABをSunに売却時したときには、同社の収入の70%がライセンスから来ていた。「それがMySQLが巨大な価値を持っていた理由です」とWideniusは語る。「私たちはプロダクトの会社であり、人々は特定の状況下ではそれに対して支払いを行わなければなりませんでした」。

Wideniusは、実際にはBSLのバリエーションをもっと早くから使用したいと考えていた「…のですが、当時の経営陣は現在に比べて先を見通して居なかったため、クローズドソースで行くことになったのです」。そして数年前のこと、彼は自身のベンチャーキャピタル会社Open Oceanに多くのスタートアップがやってきて、彼らのエンドユーザープロダクトをオープンソースにしたがっていることに気が付いた。そうした企業のためには、MySQLのためには上手く行ったデュアルライセンスモデルは上手く働かなかった。なぜなら彼らは他のソフトウェアを自身のプロダクトの中に埋め込まなかったので、ライセンスに対して支払いをする理由がなかったのだ。

オープンソースにしたいと考えているほとんどの企業が、そうしたケースでやろうとしていることは、オープンソースツールの周りにサービスを提供するビジネスの構築だ。Wideniusはこのビジネスモデルがうまく行くとは思っていない(彼はそれがいくつかの会社では上手く行っていることを認めてはいるが)。「これは、プロジェクトをサポートする企業のためには上手くいきます – 人々はUbuntuのためのサポートを与え、そこからお金を稼ぐということです」と彼は言う。「しかし、ライセンスを持っていない企業は、プロダクトを作ることはほぼできません」。それは何故か?もしあなたが良いサポート担当から10パーセントのマージンをとるとすれば、1人の開発者を雇うためには10人のサポート担当が必要となる。彼の見方では、このモデルはスケールしない。

そこでMariaDBでは、チームはそのMaxScaleデータベースプロキシの最新バージョンをBSLで提供することにしたのだ(MariaDB自身はMySQLの変種なので、MySQLが従っているGPLにこの先もずっと従う)。

Wideniusが認識している限り、2つまたは3他の企業もすでにこのライセンスを利用しているが、彼は今は多くの企業が大企業が動くのを待っているのだと見ている。チームはまた、開発者が自身のソフトウェアをBSLに移行する際のフレームワークを与えるドキュメント作りを行っている。

新しいプロジェクトのためにBSLを採用したい開発者は、わずか4行を記入するだけだ:製品の名前、それ以上はユーザーが対価を払わなければならない制約条件、いつライセンスがオープンソースライセンスに変更されるかの情報、そしてどのライセンスになるのかの記述。

プロダクトの更新をするたびに、BSLライセンス期限も延長することになるので、開発者は自身のソフトウェアを最新に保つためのインセンティブが得られることになる。しかし彼らが最新版を提供しない場合 – またはユーザーが古いプロダクトで満足の場合 – にはBSLライセンス期限の訪れとともに新しいライセンスが適用されることになる。これはまた、開発者が廃業したときには、BSLライセンス期限以降にソフトウェアはオープンソースとなり、コミュニティが仕事を継続できることを意味している。

「多くの人が、間違った理由でこのライセンスを批判しています」とWideniusは私に言った。「しかし私は、これはより多くのオープンソースを生み出すことによって、オープンソースの将来をより良くするチャンスだと思っているのです – たとえ少々時間の遅れがあるとしても」。

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(翻訳:Sako)

MicrosoftがPowerShellをオープンソース化しLinuxやOS Xにも提供…Bash on Windowsとの差別化は?

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Microsoftが今日(米国時間8/18)、同社のPowerShellをオープンソース化し、LinuxやOS Xでも使えるようにする、と発表した。

PowerShellは、WindowsのパワーユーザーのためのMicrosoft製のコマンドラインシェルで、タスクを自動化するための拡張可能なスクリプト言語(シェル言語)のインタープリタでもある。シェルとしてはLinux上のBashとあまり変わらないが、Windowsという固有のシステムに深入りしている部分もある。なおBashは今や、Windows上にもある。Microsoftは今変わりつつあり、CEOのSatya Nadellaが折りにふれて繰り返すのは、今の同社が“マルチプラットホーム、マルチクラウド、そしてマルチOS対応”であることだ。今の同社では、数年前にはあり得なかったようなことがふつうに行われている。Windows 10の中にLinuxのサブシステムを作り、その中核的ツールの一部をオープンソース化する。そんなことが、今や日常茶飯事だ。

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Microsoftのテクニカルフェローで同社のEnterprise Cloudグループの主席アーキテクトであるJeffrey Snoverによると、Nadellaが全社的に訴えたいのは、顧客とのコミュニケーションを充実し、顧客が求めているものの実現を、売上と利益の源泉にしていくことだ。“顧客はサーバーもクライアントもクラウドも自分で選びたい、自分で決めたいと思っている。そんな顧客の親身なパートナーになってあげることがMicrosoftと顧客の共通の利益であるべきだ”、と彼はNadellaの主張を要約する。今のそんなMicrosoftがPowerShellの対応の幅を広げることは、顧客が、“どんなクライアントを選んでも…それがWindowsであってもOS XであってもLinuxであっても…単一の管理スタックを使える”ことに通ずる。まさに、Nadellaが主張するマルチOS対応だ。

Microsoftは今日の発表に先駆けて.NETフレームワークをオープンソース化し、.NET CoreをLinuxとOS Xでも可利用にした。PowerShellは.NETベースのツールなので、それが今回Linux/OS X対応になるのは自然な流れだ。

PowerShellを強力にしているのは、シェル本体だけではない。マルチOS化の一環としてPowerShell Editor Serviceが提供されるので、デベロッパーはシェルの機能をテキストエディターの中から利用できる。またVisual Studio Codeもサポートされ、そしてSublime(TypeScriptプラグイン)はすでに可利用だ。

PowerShellは拡張性が高いので、VMwareや、クラウドではライバルのAWSといったパートナーたちですら、PowerShell用のcmdlet(s)というものを作り、シェルやスクリプトから、たとえばAWSの場合は、EC2のインスタンスを直接管理できるようにしている。

PowerShellはMicrosoftのOperations Management Suite(OMS)を統合しているので、Azure, AWS, GoogleのCloud Platform、あるいはオンプレミスのデータセンターなど、アプリケーションやワークロードがどんなプラットホーム上にあっても、それらを管理できる。

Windows上にBashがあることと、LinuxやOS Xの上でPowerShellが使えることの違いについてSnoverは、前者(Bash on Windows)は、オープンソースのデベロッパーがWindows上で仕事ができるための措置だ、と言う。

Snoverも認めるように、オープンソースプロジェクトの管理についてMicrosoftはまだ‘学習中’だが、彼のチームはすでに、パートナーたちとその件で多くの会話を重ねている。今後はコミュニティを適正に統治することにより、コードの変更がコミュニティから得られるようにしたい、ともいう。もちろんPowerShellのコードも、その対象に含まれる。

Ubuntu, CentOS, Red HatなどのLinuxユーザーとOS Xのユーザーは、PowerShellを動かすために必要なものを、GitHubのPowerShellリポジトリからダウンロードできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MirantisとSUSEがパートナーしてOpenStackユーザーの広範なサポートを開始

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OpenStackを使っている企業に、ソフトウェアやサポートや教育訓練を提供しているMirantisが今日(米国時間8/9)、LinuxディストリビューションSUSEで知られるドイツのSUSE社とパートナーし、SUSEのエンタープライズLinux製品のカスタマサポートを提供していく、と発表した。また今後両社は、SUSE Linux Enterprise Serverを、Mirantis Openstackで用いる開発プラットホームにしていく。しかもさらに両社は、共同で、Red Hat Enterprise LinuxとCentOSもサポートする。

OpenStackに関してはSUSEとRed Hatの両社にそれぞれ独自のソリューションがあるので、Mirantisがこの競合する二社をサポートするのは一見奇妙に思えるが、しかし実は、末端のユーザー企業が、たった一種類のLinuxディストリビューションだけを使っていることはめったにないのだ。

Mirantisの協同ファウンダーでCMOのBoris Renskiは今日の声明文で、次のように述べている: “弊社の大企業顧客の多くが、2〜3種類のLinuxフレーバーを使っている。これからは、OpenStackのユーザーであれば、それらすべてのLinuxディストリビューションに関して、Mirantis一社からサポートを受けられるようになる。世界中の主要な業界で、何千社もがSUSEをメインに使っている。なぜならSUSEは、エンタープライズ級の信頼性の高い、企業が社運を賭けるに足る、高いレベルのサービス約定を提供しているからだ。SUSEとのパートナーシップはMirantisの顧客に、彼らが自社のプライベートクラウドを構築しようとするとき、そのような高いレベルのサポートを提供する”。

一方、SUSEで戦略と企業連合とマーケティングを担当するMichael Millerプレジデントによると、SUSEには元々、ユーザーを単一のディストリビューションに封じ込める趣味はない。そして彼は、“とくにOpenStackと関わるときには、〔企業間の〕政治のことは忘れるべきだ”、と述べる。彼によると、OpenStackはまだアーリーアダプターの時期にあり、そのデプロイも管理もきわめて難しい。しかしまた、それと同時に、OpenStackは、コンテナやネットワーク仮想化など、自分よりも後から登場した最新技術とのすり合わせに努力している段階だ。〔互いに争っている場合ではない。〕

MirantisのOpenStackディストリビューションは現在、CentOS向けに最適化されている(OpenStackのデプロイと管理サービスFuelのデフォルトOSとして)。またOpenStackのノードを動かす環境としては、Ubuntuが使われている。しかしMirantisの最新バージョンでは、OpenStackのコンピューティングノードとしてRed Hat Enterprise Linuxを使えるし、オープンソースのFuelツールもRHELを使っている。ただし、これらの公式サポートはまだだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

政府全体のオープンソース化をねらうホワイトハウス(大統領府)が、ソースコード公開のための一般ポリシーを提案

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ホワイトハウスはかねてから、テクノロジーを利用して政府の機能を改善することに熱心だった(現在のその方面のリーダーはCIO(Chief Information Officer)のTony Scottだ)。彼らは、コード(コンピューターのプログラム)が政府諸機関の役に立ち、害をもたらさないことと、合衆国政府が民間企業と同じように効率的にテクノロジーを利用できることを、望んでいる。

3月に公開したブログ記事でホワイトハウスは、オープンソースソフトウェアの利点を政府も利用したい、という意思を表明し、そして今日は(米国時間8/8)、政府諸機関が自分たちでより効率的にコードを書けるための、一連のルールを定めたFederal Source Codeポリシーをリリースした。

そのポリシーの主な要件は、“連邦政府によって、または、〜のために独自に開発される”ソースコードはいずれも、すべての政府諸機関による共有と再利用が可能でなければならない、というものだ。たとえば、TSA(運輸保安局)は、FBIが独自に作らせたソフトウェアのソースコードに、アクセスできなければならない。

連邦政府の諸機関とそれらの部課などが必要とするアプリケーションは、重複している場合が非常に多いはずだから、このオープンソースポリシーがうまく機能すれば、相当大きな節約が実現するだろう。このポリシーにも、“国の資金を使って独自に開発されたコードの、政府全域にわたる再利用の権利を保証することは、アメリカの納税者に多くの利益をもたらす”、と書かれている。

しかしこれまでは、連邦政府の諸機関は情報を一般に公開しないことが建前だったから、ソースコードも通常のオープンソースの場合のように一般公開されないのではないか?

この問題に関しては、現時点では単純で一律的な答を出しにくいが、だからといって、政府がオープンソースへ向かわない、ということではない。このポリシーに基づいて行われるパイロット事業は、ある種の妥協点を模索しているようだ。連邦諸機関はカスタム開発したコードの少なくとも20%を、オープンソースとしてリリースしなければならない。これはあくまでも、このパイロット事業のルールだが、これにより実際に、費用削減と効率向上の効果が目に見え、実感できるようになることが、期待されている。

ポリシーの全文はここにある。これは Tony Scottが合衆国政府内の全省庁のトップに宛てて書いた長い々々メモだ。メモは、おもしろい読み物であると同時に、この新しいポリシーの技術的な側面についても検討している(たとえば、ある政府機関で、コードの20%を公開すると国のセキュリティにリスクを招くような場合は、どうすべきか?)。

またそれには、ホワイトハウスが数か月後にCode.govを立ち上げる、と書かれている。それは、政府諸機関が公開するコードのための、全域的なホームサイトだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Comma.ai、高速道路自動走行のデータをオープンソースで公開―低価格の自動運転車に道

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George Hotz(Geohotz)が創立したスタートアップ、comma.aiは既存の自動車に既存のパーツを組み合わせることによって比較的低価格で自動運転車を製作できることを実証した。そのcomma.aiが7時間25分にわたる高速道路での自動運転で収集した全データをオープンソースで公開した。

地味なニュースに思えるかもしれないがそうではない。すくなくとも現在までに公開された高速道路の自動運転のデータと比べれば画期的だ。

comma.aiは最初の走行デモを成功させたときにBloombergで大きな記事になった。公開されたのは記事で紹介された自動走行システムを作るために機械学習システムを訓練したデータそのものだという。

Hotzはインタビューに答えて「このプロジェクトを始めたときは自動運転車は考えていなかった。単に機械学習をいろいろ試そうとしただけだった。ところがあたりを見回しても機械学習の実験に適した手頃なデータがなかった」と説明している。

HotzはKITTIのデータセットや最近発表されたさらに詳細なOxford RobotCarデータセットなどいくつかのデータを調べた。しかしこうしたデータ・セットは都市部の交通の実験で、Hotzが必要としていたのは高速道路での自動運転のデータだった。

「現在BloombergやNvidiaの実験を再現するのに適したデータは公開されていない。そこでそういうデータが世界に公開されてもいい時期だと考えた」とHotzは説明する。

もちろんcomma.aiのデータが利用できるからといって、誰でも1998年モデルのFord Tempoを自動運転車に変えることができるわけではない。しかしこのデータは有力なスタート地点を提供する。comma.aiが公開したのは現在取り組んでいる自動運転車のデータではなく、約半年前に行ったテストに関する全データだ。comma.aiのテクノロジーがその後さらに進歩しているのは間違いない。

Hotzは私の取材に対して「公開主のビジネスを危険にさらさずにオープンソース化はできるはずだと信じている。オープンソースでさらに情報を公開するためにも会社が生き延びることが重要だ。こうしたデータが得られるまでには数多くの失敗がある。誰もそういう失敗を繰り返す必要はない」とcomma.aiのデータ公開に関するアプローチを説明した。

Hotzによれば、comma.aiがデータをオープンソース化するのは、ホビイストのコミュニティーがさらに多くの貢献をできるようにするためだという。しかし機械学習システムの訓練に必要な基礎的な運転データの収集に膨大なは時間と資源を必要とする。Hotzはオープンソース・データの例としてDeepDriveを挙げた。これはGrand Theft Auto Vのプラットフォームを用いてリアルな自動運転シミュレーションを行うためのニューラルネットワーク・システムだ。

ホビイストを助けるというのは、才能ある人材を獲得するためのパイプラインを築くことでもある。comma.aiはオープンソース化したデータを用いて誰がどのようにさらなるオープンソース化をしているかモニターできる。comma.aiはもっとも輝かしい人材が誰なのかいち早く知ることができる。

Hotzによればcomma.aiのビジョンはシンプルだ。「われわれは今何をしているのかできるかぎり正確な情報を公開する。それでもスタートアップは〔大組織よりも〕速く、スマートかつ安価に機能できるということを確信している」のだという。

〔日本版〕ジョージ・ホッツは17歳で個人として初めてiPhoneのジェイルブレイクに成功するなど著名なハッカー。オープンソース化された自動運転データは圧縮で40GB(解凍後80GB)のサイズで、Anaconda、TensorFlowなどを必要とするという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebookがすべてのオープンソースプロジェクトの窓口をGitHub上に一本化、それをFacebook Incubatorと呼ぶ

BERLIN, GERMANY - FEBRUARY 24:  Coffee mugs adorned with the Facebook logo stand at the Facebook Innovation Hub on February 24, 2016 in Berlin, Germany. The Facebook Innovation Hub is a temporary exhibition space where the company is showcasing some of its newest technologies and projects.  (Photo by Sean Gallup/Getty Images)

【抄訳】
先週Facebookは、Reactによる開発を簡易化するためのプロジェクトCreate React Appを立ち上げた。しかし実はそれは、もっと大きな話の一部だった。GitHub上にFacebook Incubatorというものが作られ、そしてCreate React Appはそこに入る最初のプロジェクトなのだ。

Facebook Incubatorは、Facebookがオープンソースのプロジェクトをリリースするときの総合窓口になる。しかも今後長期的に。それは、Facebookが提供するオープンソースプロジェクトのベータのためのステージ、実験場、のようなものだ。

Facebookのオープンソース部門の長、James Pearceによると、主なねらいは、すべてのプロジェクトの良質なライフサイクル管理を維持すること。Facebookがオープンソースにしたプロジェクトはこれまでにおよそ400あり、GitHub上には数十万のフォロワーがいる。“どんなに数が多くなっても、良質な管理をキープしたい”、と彼は語る。そのために、すべての新しいプロジェクトが最初にこのFacebook Incubatorに入り、コミュニティの反応や採用の過程を一望できるようにする。

Pearceが強調するのは、このIncubatorはFacebookのそのほかのルートリポジトリの場合と同じく、同社自身が社内的に使うプロジェクトであり、活発に開発とメンテナンスを続けるチームが必ず存在する。休眠プロジェクトのための物置ではない。

このIncubatorを卒業するためには、ユーザーや愛好家が多くなることはもちろんだが、そのほかに、Facebook内部やその関連以外でも使われるようになっているか?、良質なドキュメンテーションが完備しているか?、ほかのツールと容易に統合できるか?、などが、重要な要件となる。Facebookがそのユーザーコミュニティにエンゲージできることも、要件の一つだ。

“業界全体からの反応があれば、それは、卒業してもよい兆候だ”、と彼は述べる。〔卒業、よりも、独立、と言うべきか?〕

Pearceは、ドキュメンテーションの重要性を何度も強調した。オープンソースでは、ドキュメンテーションが粗略になることが、少なくないからだ。Facebookは、このFacebook Incubatorリポジトリ専任の、テクニカルライターのチームを確保し、また技術者たちもドキュメンテーションの良質化に積極的に協力すべし、としている。また一部のドキュメンテーションに関しては、StackOverflowがこのたび新設したドキュメンテーションサービスも利用する予定だ。

なお、Open Compute Projectなどの、大きな組織や企画に属するオープンソースプロジェクトは、このIncubatorリポジトリには最初から入らない。デベロッパーは、最初からそっちの方へアクセスするだろう。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ブルガリア、政府調達ソフトウェア(の一部)をオープンソース化する法律を制定

Red neon sign, part of a duty free sign.

フリーでオープンソースのソフトウェア(FOSS)の支持者たちは、ブルガリアではこの先政府向けに書かれるソフトウェアのすべてがFOSSでなければならないという本日発表されたニュースに沸き立っている。これはとても期待を抱かせる前進なのだが、ものごとのやり方が大きく変化することを期待してはいけない。

新しい法律は、同国の電子ガバナンス法に対するいくつかの修正条項の形を取っている。修正条項についてのロビー活動を行った開発者であり政府顧問でもあるBozhidar Bozhanov はこれらの変更点について、自身のブログ上で誇らしげな父親のような態度で発表を行った。具体的には、政府のためのソフトウェア開発の契約に従うならば、開発過程を公開し、オープンソースの定義に適合させ、成果物を制限なく無償で利用できるようにしなければならないのである。

Bozhanovは 「これが意味することは、政府が調達するいかなるカスタムソフトウェアも、すべての国民に対して可視化されアクセス可能になるということです」とMediumへの投稿で述べている。「なにしろ、それらは納税者のお金から支払われているのですから、納税者たちがソフトウェアの内容を見て益を得ることができるようにしなければなりません」。

Bulgaria's awesome coat of arms.

ブルガリアのカッコイイ国章

ここには議論の余地はあまりない ー そしてオープンソースソフトウェアが提供する利点はそれ以外にも沢山あるのだ。とはいえ、新しい法律は政府からの委託ソフトウェアだけに影響を与えるもので、既存のライセンス契約はそのまま残される。このためこの法律をきっかけにUbuntuやLibreOfficeに大量移行するということにはならないのだ。

そして、この種の法律はDiebol 社の怪しげな投票機械のようなものをお払い箱にしてくれるかもしれないという嬉しい期待も抱かせるものの、おそらく期待ほどには上手くいかないだろう。

 

その理由の一つは、新しいシステムを一から開発しオープンソースとして公開するよりも、出来合いのシステムをただ買う方が安上がりで簡単だと政府が判断する可能性があること。また別の理由としては、新しい戦闘機や核施設のためにコードをオープンソース化する政府を実際に思い浮かべることができるだろうかということである(治安ならびに諜報機関は、ブルガリアの法律の適用対象外である)。

例外のリストは、かなりの長さになる筈で、実際にオープンソースライブラリに置かれるものはおそらく、とても平凡なもので、かつ非公開に開発されたソフトウェアが関係しないか、実用的ではないプロジェクトに関係したものばかりになるだろう。

私自身は、FOSSがニッチであることよりも、少しでもグローバルスタンダードの方向を目指すことを望んでいるが、私の心の中の皮肉屋は、たとえこの法律が他の数十カ国で制定されたとしても、こと政府ソフトウェアの場合には相変わらず同様の問題を抱え続けるのだろうとも思っている。それでも、これは正しい方向への一歩であり、ブルガリアの事例は見習って学ぶべきことなのだ。

ところで、米国もこの件に関しては完全に時代遅れというわけではない:米国政府最高情報責任者(CIO)評議会は、オープンソースに関する推奨声明を出していて、すでに大量の政府データがダウンロードおよび解析のために利用可能なのだ。透明性は私たちが過去何十年もかけて改善してきたプロセスであり、よそから指図されるものではないが ー この記事で取り上げたような法律を取り入れて損なわれるものではない。

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(翻訳:Hiroshi Sako

Nikeがオープンソースのソフトウェアをリリースして技術者募集に有利好印象を目指す

SHANGHAI, CHINA - APRIL 17: Shanghai residents pass by a Nike store on the Nanjing Road shopping street on April 17, 2010 in Shanghai, China. The Shanghai World Expo will be held from May 1 to October 31, 2010 and is expected to attract 70 million visitors. The trade show will be themed 'Better City - Better Life'. (Photo by Feng Li/Getty Images)

アスリートにとって自分の家のようなブランドNikeが、オープンソースのソフトウェアを立ちあげてプログラマーの仲間入りをしようとしている。

先週Nikeは、3つのオープンソースプロジェクトをGitHubに載せた: JSONをパースするフレームワーク、Javaのための分散トレーシングのソリューション、そしてSwiftで書かれた軽量ロギングライブラリだ。GitHub上の同社のサイトに使われているコードも、オープンソースした。

一般企業がオープンソースを試みるのはクールだが、テクノロジーの世界で本格的な強い印象を与えるのは難しい。にもかかわらず、このところ多くのノンテク企業がオープンソースのプロジェクトをリリースしている。Walmart Labs, Target, Best Buy, それにNikeのライバルAdidasまでも、GitHubのアカウントでプロジェクトをシェアしている。

一般企業がオープンソースのコンテンツをポストする動機の一つは、ブランドイメージの向上だ。今はどこでも、優秀な技術者を獲得するのが難しいから、彼らから見て良さそうなブランドイメージを身にまとおうとする。GitHub上にいろいろコードがあれば、就活している技術者もその企業に良い印象を持つだろう。

ねらいや目的が何であれ、NikeやWalmartなどはかなり前からテクノロジー企業‘らしさ’を見せつけている。Apple AppStoreにはNike作のiPhoneアプリが10、iPadアプリが2ある。Nike FuelのAPIのための、デベロッパー向けサイトもある。WalmartにはiPhoneアプリが3つあり、カタログのAPIを公開している。

今Nikeにコメントを求めているので、得られ次第この記事をアップデートしよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

CanonicalとPivotalのパートナーシップでUbuntu LinuxがCloud Foundryの推奨オペレーティングシステムになる

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オープンソースのクラウド開発プラットホームCloud Foundryを開発しているPivotalと、人気の高いLinuxディストリビューションUbuntuを作っているCanonicalが今日(米国時間7/6)発表したパートナーシップにより、UbuntuがCloud Foundryの推奨オペレーティングシステムになる。

両社はCloud FoundryがVMwareで開発されたオープンソースのプロジェクトだったころから仲が良い。2013年にVMwareとEMCとGEがPivotalを別会社としてスピンアウトしたときも、Cloud Foundryはその大きな部分であり、したがってUbuntuとの関係は今日まで続いている。CanonicalのUbuntuプロダクト担当マネージャーDustin Kirklandによると、むしろ両社の仲がこうしてオフィシャルになるまで時間がかかりすぎたことが、意外だという。しかしとにかく、今日の発表で公式なパートナーシップが確定したのだ。

これにより、Ubuntu Linuxを使っているCloud Foundryの顧客は、いろんなことが容易になる。まず第一に、Ubuntu Linuxのアップグレードが容易になり、セキュリティパッチの管理も自動化されるため、Cloud Foundryのユーザーは早く確実に重要なアップデートにアクセスできる。

また、Ubuntのサポート・レベルが自動的にLevel 3になる。これによりたとえば、Ubuntuの問題をCloud Foundryのサポートチームに解決できないときは、その問題がUbuntuの担当部署に回される。また、よくある、どっちの問題かはっきりしない状況では、両社が共同でサポートにあたる。どちらのチームも、サポート経験がきわめて豊富だ。

また、両社はセキュリティの証明でも協力し、スタンダードを起草する組織にも両社が一緒に関与することになるので、その結果Ubuntuはセキュリティの面で最先端のオペレーティングシステムになるだろう。しかもそれらのスタンダードは、両社のニーズを取り入れた規格になっていく。

“ベンチマークにも積極的に協力しているし、セキュリティガイドの策定においても、今後はより積極的な役割を担っていける”、とKirklandは説明する。

Crunchbaseによると、Pivotalは創業以来17億ドルという驚異的な額を調達している。今年5月のシリーズCでは、Ford Motor Company率いるラウンドにより、評価額28億ドルで6億5000万ドルを調達した

2004年に生まれたCanonicalは、これまで、一度のクラウドファンディングで1000万ドルを調達している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))