Appleの「秘密」eBayストア再び

2012年秋、Apple製品を正規オンライン再生品ストアよりも安く売る、謎のeBayストアが現れた。その店は多くの人々からAppleが運営していると臆測されたが、会社は関与を認めなかった。そのストアは昨年姿を消したが、今また同じような店が登場し、今回は「Apple認定」iPhone 5端末を販売している。これは、新しいiPhoneがすぐそこまで来ているという意味だろうか? おそらく。

最初にこれを見つけたのはAppleInsiderで、新しいeBayストアにはいくつかのiPhone 5モデルが、価格449ドルから499ドルで売られている。種類は、色がブラックおよびホワイト、ストレージが16、32、および64 GBで、GSMネットワーク用にアンロックされている。さらに1年間のApple保証も付属し、「新品同様の状態に復帰」「マニュアル、充電器と共に再梱包済」および「Appleによる最終品質検査」を受けているとウェブサイトの説明に書かれている。

なお、Appleの正規再生品サイトには、現在iPhone 5は販売されていない ― その意味ではどのiPhone機種も。

最近開店したこの “FactoryCertified” という名前の店は、新しいiOSデバイスの登場を暗示するものかもしれない。通常はAppleの9月製品イベント発表される。最初のApple eBayストアが登場した時、そこでは再生済iPadがAppleストアより100ドル安く販売されていた、とAppleInsiderは指摘している。今回、新しいストアは古いiPhoneモデルを売っている ― これは新しいiPhoneモデルが地平線近くに来ていることを、間違いなく示すものだ。

本誌がAppleおよびeBay両社にこのニュースについて尋ねたところ、eBayはコメントを拒んだ。Appleからの返答は未だにないが、情報が入り次第本稿をアップデートする予定だ。

現時点では、これが〈本物の〉Apple運営店であるという100%の確証はないが、eBayがコメントを拒否したことは、暗黙の肯定と受け取ることもできる。そもそも、もしこれが無名の第三者によるものか「単なる大きな誤解」であれば、eBayは、現在広くあらゆる Apple関連ブログ野火のごとく駆け巡っているニュースの訂正に協力してくれただろう。とはいえ、問題のストアは認定Appleリセラーによって運営されている可能性もある。

事実、最初の「公式」eBayストアにAppleがどう関与していたのかについても、多少の混乱があった。当時9to5Macは、同ストアがAppleの運営によるものであることをeBayが認めたと報じた。eBayは同誌に対して「目立たないテストサイトだが大規模に展開されるかもしれない」と伝えたとされる。しかし、そのストアの商品ページには、売り手が「Apple Inc.より、Apple正規再生製品をeBayで販売する認可を取得」している旨が書かれていた。このことから、9to5Macの記事を不正確であると指摘する向きもあった。

しかし、AppleInsiderは、後日最初のストアがApple運営によるパイロットプログラムであることを確認したと言っている。これも、この新しいストアが本物であることを予兆させるに十分な情報だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


ウェアラブル市場の分かれ目は「妥協」

フィットネスアプリとウェアラブルが牽引力を増す中、Android Wearの発表によって、消費者は初めて〈使えるであろう〉スマートウォッチを提示された。これからの数ヵ月や数年、この新カテゴリーは、MicrosoftのOSに対する統一アプローチ〈対〉AppleのiOSとMac OS Xの意図的な多様化、に似た決断を消費者に迫るだろう。

Windows 8は、「妥協なき」オペレーティングシステムとして設計されたことがよく知られている。タブレット、ノート、デスクトップを含むあらゆるカテゴリーのデバイスに統一された体験を提供する。これは、キーボード、マウス、タッチ、スタイラス等の複数タイプの入力、およびコートのポケットに入る小さなダブレットから、テレビ兼用にも使えるオールインワン機までの様々なフォームファクターを扱えるインターフェースをデザインすることを意味している。

Appleは正反対のアプローチを採用した。自社デバイスはそれぞれのフォームファクターに合わせて正しく妥協してデザインする。iPadのラインアップはタッチに、Macのハードウェアとソフトウェアはキーボードとマウスに、それぞれ最適化されている。

これまでのところ、二つの哲学の間に起きている矛盾は、伝統的PCにおけるWindows 8に対する緩やかな反応と、iPadがライバルのWindows 8タブレットたちを ― Microsoftがゴールをずらして、Surface 3タブレットの本当にライバルはMacbook Airだと言うところまで ― 圧倒しているという結果を招いている

SurfaceがノートPCとタブレットの融合体であるように、Android Wearデバイスは、フィットネス中心のウエアラブルとスマートフォン、それぞれから機能を取り入れている。歩数や心拍数を測定することができるスマートウォッチに、将来メーカーはさらに健康情報を得るために、あらゆるセンサーを投入するに違いない。センサーとバッテリーと画面を詰め込み、さらに道順を値るなど複雑な対話に必要なインターフェースを備えるために、彼らは大きさを犠牲にするだろう。

ウエアラブル界のもう一方の端には、Jawbone UPのように、センサーとワイヤレス機能以外をすべて剥ぎとったデバイスがある。これらの製品はより快適で、バッテリー寿命も長く、デバイス自身には事実上ユーザー体験がない。市場が拡大し、センサーが小さく安くなるにつれ、こうしたデバイスは安くなる一方だ。

どちらの哲学が消費者に受け入れられるかは興味深い。人々は、携帯電話を1台しか持たないのと同じように、1種類のデバイスを腕に巻き、最小限に妥協したデバイスを使うのか? それとも、固有の興味や健康への気遣いのために、減量用にリストバンドを1つ、睡眠習慣の監視にもう一つという具合に選ぶのか。

あるいは、ださいと思われることを乗り越えて複数のデバイスを身に付けるのか。片腕に通知と音声検索のためのスマートウォッチ、もう一方の腕にはセンサー満載の様々なデバイスを、用途に応じて取っかえひっかえするのかもしれない。

Android Wearが今日初めて市場に現れたばかりで、Appleの “iWatch” は来たる10月に発表されるであろうという今、予言するにはまだ早すぎる。どちらの会社とも両面作戦をとっているようだ ― GoogleはAndroid WearとGoogle Fitを提供し、Appleは自社独自のウォッチを作りつつ、Healthアプリで複数デバイスのデータを管理しようとしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Appleが高級腕時計のTag Heuerから営業部長を引き抜く、iWatchを高級ブランドに育てる気?

Appleがまた、高級品名門ブランドの役員を引きぬいた。今度のPatrick Pruniauxは、高級腕時計Tag Heuerの営業担当VPで、彼は7年いた高級時計の世界を去り、Appleに加わる。上の写真で右から二人目がPruniauxで、iWatchの噂がやや盛り上がってきたタイミングでAppleに入ることになる。

Tag Heurは、Formula Oneシリーズの腕時計と、イメージキャラクターがTiger Woodsであることで知られている。

Reutersの記事によると、時計業界のアナリストたちはiWatchは高級品市場には食い込めない、と見ている。腕時計の中級品市場は、顧客がきわめて浮気っぽいことで悪名高い。しかしiOSで動くスマートウォッチは、うまくいけばクォーツや機械式腕時計からの浮気を誘うステータスシンボルになりうるかもしれない。スイスの時計メーカーの多くが、 スマートウォッチでは出遅れているが、でもSwatchのPaparazziウォッチは、WiFiでニュースをユーザの手首に運んでくれる。

Tim CookのAppleは、Pruniauxの前にも高級ブランドから人を引きぬいた。5月にはBurberryの元CEO Angela Ahrendtsを、そしてその前にはYves Saint LaurentのトップPaul Deneveを、かっさらったのだ。

これでいよいよ、iWatchの登場も間近か? それはPruniauxだけが知っている。われわれ外野から見てて分かるのは、Appleが高級品市場に三倍賭けしていることだけだ。

画像出典: ishida-watch.com

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


アメリカのオンデマンド音楽ストリーミング、対前年比42%アップ―ダウンロード販売は衰退へ

2014年上半期のNielsen音楽市場レポートが発表された。これによると、デジタル音楽の消費チャンネルはダウンロードからオンデマンド・ストリーミングに急速にシフトしつつある。オンデマンド・ストリーミングは対前年同期(上半期)比で42%のアップとなっている。2014年上半期には700億曲がストリーミング再生された。逆に、デジタル楽曲のダウンロードは13%ダウンして5億9360万曲に、アルバムのダウンロードは11.6%ダウンして5380万枚となった。

Nielsenのレポートを読むと、AppleがBeatsを買収したのは賢明だったと思えてくる。つまりiTunesのダウンロード販売モデルは急速に衰退しつつあるからだ。楽曲のオンライン、オフライン販売が低調だったため、ストリーミングを含む音楽産業全体の売上も3.3%ダウンした。

一方、独自の趣味を持った若い層の影響だろうが、アナログ・レコードの販売が対前年比で40%もアップし、400万枚となった。販売を伸ばした物理的媒体はこれだけだった。

アルバムには平均10曲が含まれるとする標準的な換算法を用いると、2014年上半期には11億3100万曲が販売されたことになる。これは2013年同期比で12%のダウン。

これまで長い間YouTubeの音楽ビデオが音楽ストリーミングの主要なチャンネルだったが、Spotifyなどのオンデマンド・オーディオ・ストリーミングの登場で、音楽ストリーミングの成長は50%以上となり、ビデオの35%を大きく上回った。音楽ストリーミングに関してオーディオとビデオはほぼ同規模となり、2014年上半期にはオーディオが336億5000万曲、ビデオが366億4000万曲がストリーミングされた。この成長率が続けば、2014年末にはオーディオ・ストリーミングが音楽ビデオのストリーミングを追い越すことは確実だ。

こちらにNielsenのレポート全文をエンベッドした。

【中略】

この15年で音楽ビジネスはCD販売、Napsterによる海賊天国、iTunesのダウンロード販売、Pandoraのインターネット・ラジオ、YouTubeの音楽ビデオ・ストリーミングを経て、Spotifyのオーディオ・ストリーミング時代を迎えた。合法的なストリーミングが普及したことによって、近くレコードレーベルもこれまでの頑な態度を改め、各種の音楽ディスカバリー・アプリを許可するだろう。誰でも好みの音楽を自由に聞くことができる時代がついに実現しそうだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


モバイルと人類の関係を描くドキュメンタリー映画。Kickstarterでキャンペーン展開中

私たちがいったいどのようなソフトウェアを生み出し、そしてソフトウェアによりどのような影響を受けているのかということに興味のある人は、きっとこの話にも興味を持つことだろう。2007年のiPhone誕生以来、世界がどのように変わってきたのかを描くドキュメンタリー映画を作ろうとするKickstarterキャンペーンが展開中なのだ。タイトルを「App: The Human Story」という。

作品の完成は2015年の12月予定とまだ先の話だが、ブロガーでありVesperの共同創業者であるJohn Gruber、Instapaperを産んだMarco Arment、そしてMacWorldのJason Snellなど、ソフトウェア界の名だたる大物たちへの取材も行っている。

上に掲載した予告ビデオを見ると、Appleのことばかりであるように思われるかもしれない。それも当然であるようだ。本プロジェクトの共同クリエイターであるJake Schumacherがメールで教えてくれた話によれば、彼自身も、同じく共同クリエイターのJedidiah Hurtも、iOSおよびMacのヘビーユーザーなのだそうだ。「そういうこともあって、iOS関連の話から始めるのが私たちにとってもとっつきやすかったのです」とのこと。予告ビデオを制作したのちには、もちろんAndroid側への取材もすすめており、ビッグネームへのコンタクトを行っているのだそうだ。

また、AndroidについてはAndroid OSの適用範囲の拡大などについても話をまとめていきたいと考えているそうだ。Android、Chrome、およびGoogle Appsを担当するGoogleのバイスプレジデントであるSundar Pichaiについてはぜひとも取り上げたいのだとのこと。またAndroidのユーザーエクスペリエンスについてのディレクターを務めるMatias Duarteにもコンタクトをとっているとのことだ。

人気を集めたインディーゲームに注目して、その背景をドキュメンタリーで綴るIndie Game: The Movieが、やはりクラウドファンディングで資金を獲得した。また、こうした情報ドキュメントは多くの人が興味をもち、実際に手がけている分野でもある。ただ多くの人はブログやポッドキャスティングでの情報発信を行っており、全体をひとつにまとめたものというのはなかなかないのが現状だ。これに着目したのが「App: The Human Story」で、あちこちの情報をかき集めずとも、大事な情報をすべて一箇所から得られるようなコンテンツを生み出したいと考えているのだ。

プロジェクトのサポーターに対しては特別なお返しも用意しているのだそうだ。映画の作成にあたって用意したインタビューは、多く編集段階で捨てられてしまうことになる。300ドル以上を出資した人に対しては、映画で省かれる部分も含めた完全版を提供することにしているとのこと。300ドルはなかなかの高額だ。しかしDaring FireballのTシャツやプレミアムポッドキャストを購入したりしている人にとっては、こちらの「完全版」もかなり魅力的なものかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H


Apple App Storeのアプリ拒絶方針がやや緩和、ただしチャートのランクを操作しようとするものは依然厳禁

App Storeにおけるアプリの承認基準の最近の変更方針をめぐって、モバイルアプリのデベロッパ間に議論と懸念が広まっている。いくつかのフォーラムの投稿などを見ると、すでにAppleは、ビデオ広告を見ることやソーシャルな共有に対して報酬を提供するアプリの、拒絶を開始しているようだ。

しかしまた一方では、新たな変化があるらしい。

ビデオ広告業界の情報筋によると、このところ、上記に関連したアプリの拒絶が減少し、新しい方針が撤回されたかのような感触がある。

さらにまた、初期の、より問題の多かった拒絶が解除されて、アプリがApp Storeの棚に戻りつつあるらしい。

どうやらAppleのアプリ審査部署は、報奨によってユーザにそのアプリをレビューさせたり、格付けさせたり、ほかのアプリをダウンロードさせるようなアプリは、今後も拒絶していくようだ。そのような報奨は、App Storeのトップチャートに影響を及ぼすからだ。

しかし上記のような行為を伴わずに、単純にビデオを見るだけで報酬がもらえるビデオ広告は許容される。また、そのアプリに関する記事をソーシャルメディアに投稿したら報酬が得られるものでも、OKだ。

そしてまた、デベロッパが自己のアプリやほかの人たちのアプリを宣伝しているだけのビデオ広告はOKだが、その中で実際にアプリをダウンロードさせて報奨を提供するものは、ノーだ。

報奨のあるビデオやソーシャル共有とは?

今日では、ビデオ広告企業というものが数多くあって、デベロッパがお金を得たり、自分のアプリを見つけてもらうための広告を提供している。それらの企業は、AdColony、Applifier(Unity)、Flurry、TapJoy、SupersonicAds、Vungle、AppLovin、Sponsorpay、NativeX、などなど々々だ。そしてそれらのビデオ広告の多くが、ほかのアプリの広告だ。

デベロッパは、そういう報奨つきのビデオ広告を自分のモバイルゲームの中で利用し、ユーザがそのビデオを見てくれたことへの報酬として、仮想通貨やそのほかの特典を与える。そのビデオ広告に登場するアプリやゲームも、露出が増えるという利益を得るし、ときには、新しいユーザが実際にそのアプリ/ゲームをダウンロードしてくれることもある。

そのような報奨を、ビデオ広告の視聴だけでなく、アプリのソーシャルな共有に対しても提供しているアプリが少なくない。たとえばCandy Crushはメッセージを表示して、Facebookにポストしたら寿命が延びますよ、とユーザを誘う(この場合、ゲーム中の“延命”が報奨である)。

デベロッパはこの方法で露出を増やし、混み合っていて自分を目立たせることが難しいApp Storeで、ユーザ獲得の機会を少しでも増すことができる。しかし一方で、これらの報奨提供メッセージなどは、ゲームに集中したいユーザにとって、邪魔、うるさい、というデメリットもある。そしてAppleがとくにまゆをひそめるのが、これらのテクニックの濫用によって、App Storeのチャートの順位が人為的に変わってしまうことだ。

エンドユーザの感じ方には、好悪両面がある。ビデオの視聴や共有をうるさく勧誘されるのはいやだ、という感じ方と、実際にお金を払わなくても仮想通貨をもらえるのは嬉しいな、という感じ方。

再び変化のきざしが

アプリが拒絶されるというニュースがあっちにもこっちにも載るようになってから、デベロッパの不安が広がった。濫用のレッテルを貼られるほどこの方法を多用しているデベロッパは、あまりいなかったし、しかも強制ではなくオプトイン、すなわちユーザの自由意思だ。しかしAppleは、その強権を揮って、デベロッパの…ときには唯一の…収入源をカットするというのだ。

しかし実際には、ビデオ広告が一律に禁じられるわけではない。自分のアプリや、ほかのアプリ、あるいは一般的なブランドや商品のビデオ広告があってもよいし、それらを見てくれた人に報酬が提供されてもよい。ただ一ついけないのは、広告の上で直接、アプリをダウンロードできて、それに対する報奨があることだ。

ビデオ広告のプロバイダたちが実際に調べたところによると、アプリ拒絶のニュースが発表された直後に比べて、最近では拒絶されるアプリの数が大幅に減少している。

結論: いけないのは「ランクの操作」

どうやら、実際にはいろんな複数の方法が併用されていたり、報酬や報奨の厳密な定義を見つけることが難しい、という問題が(Appleのアプリ審査部内に)あったようだ。一部には報奨制の濫用と呼べるほどの、露骨でどぎついアプリが実際にあるかもしれない。しかし、良識的で大まかなルールはこうだ: App Storeのチャート上のアプリの順位を変えることを主目的として報酬が(すなわち報奨として)提供されているものはダメ。

そもそも、噂では、ビデオ広告視聴/ソーシャル共有に対する報奨のあるアプリを拒絶するという話は、AppleのiAdのチームが言い出しっぺだという。また一方で、それはない、という説もある。いずれも、真偽のほどはわからない。

ただ一つ真実なのは、今デベロッパたちは懸命になって、自分のアプリをダウンロードしてもらい、超混雑のApp Storeでランクを上げるための、新しい方法を探していることだ。

この秋リリースされるiOS 8は、アプリの発見という問題をいくつかの方法で解決しようとしている。それらは、”Explore”セクションの改良、サブカテゴリの導入、関連項目を提案する検索、検索のトレンド、アプリのバンドル、デベロッパがキャンペーンの効果を分析する方法の改良、などなどだ。でも、ユーザに単純にご褒美や謝礼をあげてアプリのランクを上げる行為をしてもらう、という、これまでの、あまりにもわかりやすい方法は、簡単にできるからこそ、一部のデベロッパにとってはなかなかやめられないのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Fitness関連アプリケーションの利用率は、他ジャンルを87%上回る速度で成長中

最近リリースされたFlurry Analyticsのレポートによると、2014年になって、健康およびフィットネス分野のアプリケーションが他ジャンルのものと比べて急速に伸びているのだそうだ。調査は6,800のiPhoneおよびiPadアプリケーションを通じて行われた。その調査によると、全体の利用率の伸びが33%であるのに対し、健康およびフィットネス分野のものは62%の伸びを示しているのだそうだ(セッション数比較)。成長速度が、他ジャンルのアプリケーションに比べて87%上回る計算になる。

AppleおよびGoogleも、フィットネス系アプリケーションとウェアラブルを連携させるエコシステムの拡大を目指している。HealthKitGoogle Fitを通じて、ウェアラブルデバイスのデータは簡単にシェアできるようになり、さらにそのデータを加工するアプリケーションなどが作りやすくなる方向性がある。

今年の後半になれば、そうしたプラットフォームを活用したプロダクトが登場することとなり、さらに関連アプリケーションの開発が進むことになるだろうと思われる。但しAppleはiOS 8で利用可能となるHealthKitおよびHealthの登場を待つだけでなく、最新の広告では、既に利用可能な健康管理ないしフィットネス関連のアプリケーションを紹介している。

Flurryのレポートでは、健康およびフィットネス分野アプリケーションの利用者につき、さらに詳細な分析を試みている。それによると中年女性が主要なターゲットであると言えそうで、全体の平均よりも3倍の頻度でこの分野のアプリケーションを利用していることがわかる。主要利用者層のうち62%が女性で、とくに25歳から54歳の層が平均より多く利用している。

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(翻訳:Maeda, H


Appleのアクティベーションロックが、主要都市のiPhone盗難を減少させた

AppleがiOS 7で導入したアクティベーションロック機構は、ニューヨーク、ロンドン、およびサンフランシスコにおけるiPhoneの盗難を事実減少させていると、ニューヨーク司法長官Eric Schneidermanは語った。

「キルスイッチの導入は、スマートフォンの盗難行為に対して明らかな効果があった」とSchneidermanがNew York Timesのインタビューに答えて言った。「クレジットカードの停止と同じようにiPhoneが無効化されるなら、文鎮を盗むのと同じことになる」。

アクティベーションロック導入前後の6ヵ月間を比較したところ、iPhone盗難は38%減った、とサンフランシスコ市警察は言っている。

2014年の最初の5ヵ月間、Apple関連の盗難件数は、2013年の同時期に比べて19%減少した。

スマートフォンの登場以来、誰かの手からを奪い、デバイスを消去し、売り飛ばすことによって簡単に200~300ドルが手に入ることから、盗難は急増している。実際ニューヨーク市警は、2012年に「アンチApple盗難」キャンペーンを実施し、iPhoneオーナーが盗難に備えて端末を登録できるようにした。

しかし、アクティベーションロックの導入によって、ユーザーが遠隔操作で端末を消去あるいはロックできるようになったことが、スマートフォン関連盗難の増加を逆転させたようだ。

スマートフォンに盗難防止に取り組んでいる会社はAppleだけではない。最近カリフォルニア州は、同州で販売されるスマートフォンに盗難防止対策を必須とする法案を通過させ、現在MicrosoftがWindows Phoneシステムで開発を進めている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Appleのスマートウォッチは10月デビューか―2.5インチ曲面ディスプレイでワイヤレス充電

Reutersの記事によると、Appleは早ければ10月にスマートウォッチを発売する。これに備えて7月にも量産が開始される。このスマートウォッチのスクリーンは直径2.5インチ、やや角ばった形状で、バンドから少し浮き上がったアーチ型だという。またタッチ機能、ワイヤレス充電機能も備える。

記事によれば、Appleは発売後最初の1年で5000万台の販売を予定している。OEM生産に当たるのは台湾のQuantaコンピュータ社で、同社は現在小ロットの試作を行っている。試作バッチのディスプレイはLGが供給している。このスマートウォッチはSamsungのGear 2のものに似た心拍計を備えているという。

Appleがこの秋にスマートウォッチの発表を準備しているという情報は業界に広く知れ渡っているが、今回権威あるニュースメディアによるさらに具体的な報道が追加された。今月、日本の大手経済紙、日経もAppleはスマートウォッチを10月に発表すると報じた。この記事では曲面OLEDディスプレイが採用され、健康モニタ関連の機能が提供されるとしていた。これはReutersの記事の「アーチ型のディスプレイ」という情報と一致する。

一般的に言って、Appleが新製品の発表を控えて量産に入ると、製品の詳細に関する情報が次々にリークされる。新しいiPhoneのローンチの際も同様だった。そうした前例も考慮すれば、最近のAppleのスマートウォッチに関する情報もかなり確度が高いと考えられる。

Appleが角型のディスプレイを採用したというのが事実ならそのデザインはこれまでも噂されてきたように、NikeのFuelBandに近いのかもしれない。しかしデザインに関してはまだ十分に信頼できる情報は出ていない。ただし、スマートウォッチがAppleが秋に一般公開を予定しているiOS 8のHealth機能と連携することは間違いないだろう。

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Apple、1099ドルのエントリーモデルiMacを発売開始

Appleが新型iMacをリリースした。エントリーマシンの位置付けで、一体型フルセットで価格は1099ドルからとなっている。これまでのものに比べて200ドル安い価格となっている。Intelの1.4GHz Core i5プロセッサーを搭載し、メモリは8GB、ハードディスク容量は500GBで、Intel HD Graphics 5000を積んでいる。

カスタマイズも受け付けており、1TBのHDDを搭載したり、あるいはFusionドライブ、ないし256GBのSSDフラッシュストレージに変更することができる。但し、最初から200ドル余計に支払えばquad-coreのIntelプロセッサーが搭載され、1TBのハードディスクにIntel Iris Proを積んだモデルが手に入る。またそちらのモデルならRAMを16GBにすることも可能だ。

すなわち今回発表されたモデルは、パフォーマンス面などで強化しようとするものではない。家庭内でちょっとした用途に使うためのモデルとして必要十分な機能を備えたモデルという位置付けなのだろう。新学期を迎えるシーズンに増加するであろうニーズに応じるためのモデルと言うことができるかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H


Apple CEO、ティム・クックはiWatchの細部に興味がない(NYT紙)

Apple CEO Tim Cookは、今日(米国時間6/15)のNew York Timesにその人物像が取り上げられ、彼の経営者として、および人権・環境問題への取り組みに関する背景が詳しく紹介された。しかし、そこにはさらに、噂されるiWatchプロジェクトに関する情報も載せられている。どうやって作られているのか、いつ販売されるのか。

Cookは、前CEO、スティーブ・ジョブズと比べと、製品開発に直接口を出さないと言われている。ジョブズは、新デバイスのごく些細な部分にさえ狂気じみた関心を示したことで知られている。iWatchについて、NYTの情報源は、Cookは製品開発の細部に関する責任を、他の幹部、例えばデザイン責任者のJony Ive等に委譲することを好むと言う。

そしてCookは、心拍等の重要な生命信号の監視能力や、どうやってそれが、医療を情報に基づいた効果的なものにするのに役立つか等、iWatchの「巨視的意味あい」に集中していると言われている。これを踏まえれば、HealthおよびHealthKitが、消費者にiWatchが届けるものの中で重要な部分を占めると予測することは理にかなっている。

Apple自身はその開発の事実さえ認めていないが、来たるべきiWatchに関する最新情報が記事に書かれている ― NYTの情報源によると、第4四半期中に発売されるらしい。これは、9月に新しいiPhoneハードウェアと共に発売されるとする予想や、日本のビジネス紙、日経による10月単独発売説などの過去の噂とも符合する。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Apple、プッシュ通知を表示できるiPadのSmart Coverの特許を出願

AppleInsiderによれば、AppleはiPadにSmart Coverをしたままで各種のプッシュ通知が表示されるようにする特許を出願中だ。通知の表示はSmart CoverにLEDなどの発光素子を組み立むアクティブ方式とSmart Coverの一部を透明化してiPadの画面が見えるようにするパッシブ方式の2種類が出願されている。

アクティブ方式の場合、Smart Coverの表面に埋め込まれたアイコンが発光してユーザーに通知があることを知らせる。メール着信の場合は封筒のアイコン、メッセージの場合は吹き出しのアイコンといった具合だ。また通知の重要性に応じてアイコンの位置や色を変える。一方、透明パネルを利用する方式はiPad自体のスクリーンが利用できるのでさらに表示の柔軟性が高い。この場合は、単にメッセージやメールを受け取ったことを知らせるだけでなく、その通知に関連するコンテンツも表示できる。たとえばカレンダーから予定されたイベントの通知を受けた場合、イベントの内容や参加者も表示できる。

アクティブ方式の場合は電源が必要になるが、Appleの特許はこれに対して2つの方式を提案している。Smart Coverを本体に接着させている磁石をMagSafeアダプターのようなタイプに変更し、電力を供給できるようにするという案と、Smart Coverに電磁誘導充電機能をもたせ、iPadないし他の外部機器で充電するという案だ。透明パネルを利用する方式は電源を必要としないという大きな利点がある。

この改良型Smart Coverは既存のものと同様の折りたたみ式デザインで、従来通りiPadのスタンドとして利用できる。Smart CoverはiPadでもっとも人気のあるアクセサリーの一つだし、こうした改良が加えらればユーザーには便利だろう。ただし、電力消費や製造コストの問題が考えられるので、すぐに製品化されるかどうかは不明だ。

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ビデオを見たりソーシャルな共有で”ごほうび”をくれるアプリはApp Storeから締め出しへ…iOS 8の大改革

Appleは、デベロッパたちがアプリケーションの収益化や成長のために利用しているツールの規制を開始した。規制の対象となるのは、報奨で誘ってビデオの視聴をすすめるツール、ソーシャルに共有するとおまけがもらえるもの、プレイしているゲームの中でほかのアプリを見つけさせるもの、などだ。この規制はアプリ業界全体に影響を及ぼし、アプリの成長や市場拡大のためにこれまで一般的に使われていた方法を“リセットする”効果を持つだろう。

iOS 8で改革されるiOS App Storeに関してAppleは、アプリの発見過程の変更をいくつか発表している。そのための新しい機能ではユーザが、トレンドのキーワードやカテゴリ、カテゴリの小分類(サブカテゴリ)、関連する検索語、などを駆使してアプリを見つける。デベロッパは自分のアプリを、複数まとめて宣伝できる。しかし同社が発表しなかったかんじんの部分は、iOS8でアプリの発見方法を新しくするだけでなく、 Apple自身がそれを完全にコントロールしようとしていることだ。

ビデオの広告、ほかのアプリの宣伝、ソーシャルな共有は拒絶される

アプリのデベロッパたちはすでにAppleのアプリリビューチームから拒絶通知を受け取り始めているが、それらの通知は、AppleのDeveloper Guidelinesに書かれていることを、App Storeがアプリを受け取らない理由として挙げている。

たとえばデベロッパたちのためのQ&AフォーラムStackOverflowには、これまで4回リリースできて、今回は本体コードではなくグラフィクスの一部をすこし変えただけのアプリが拒絶された、という投稿がある。

この拒絶だけでなく、Appleが多くの場合に挙げる理由は、以下のような条項だ:

2.25: ほかの人のアプリを購入や宣伝のために表示し、そのやり方がApp Storeに酷似しているアプリは拒絶される。ただしその必要性が承認されたもの(健康管理や、航空機、障害者補助などのため)と、対象顧客層のために重要な付加価値を提供するものは例外とする。

3.10: 金を払った偽(にせ)のリビューや、そのほかの不適切な方法によって、ユーザのリビューやApp Storeにおけるランクを操作しようとするデベロッパはiOS Developer Programから除名される。

Appleのリビュワーは、次のように説明した: 2.25(2条25節)は“ほかの者のアプリを宣伝すること”、3.10は“ほかのデベロッパのビデオを見ることに無料のゲーム内クレジットを与えること”に関連している。ほかに、報奨によって共有を誘導しているアプリも拒絶される(例: Facebookにポストしたら何かをあげる、など)。

聞くところによると、今ではかなり多くのデベロッパが拒絶通知を受け取っている。彼らの一部は経緯の詳細を公開サイトに投稿しており、たとえばMobileDevHQフォーラム上のこれなんかもそうだ。そのデベロッパは、“これからは、何かをシェアするようユーザにすすめることはできないのか? 本には昔からそんな文があるし、Candy Crushにすらある”、と困惑の気持ちを表明している。

ほかのアプリを宣伝したり、ユーザに釣り餌を与えたりすることだけでなく、それによって
App Storeのランクを操作しようとすることも、拒絶の理由になる。

iOS 8大改革の前には、App StoreのTop Chartsが、アプリ発見に重要な貢献をしていた。そして高ランクに到達したアプリは — 何らかの操作や詐術によるものが多いが — 一日に何万票もかき集めるのだ。

[拒絶通知文の一部…ランキングの操作を指摘している]

前からあるアプリもこの大掃除のターゲットに?

Developer Guidelinesの文は非常に一般的であるため、とりわけ2.25は、どんなアプリ内広告でも引っかかってしまいそうだ。Appleがアプリ内広告を攻撃したのはこれが初めてではなく、こんなに長引いている係争もある。

今日では、専業の広告ネットワークのような企業が宣伝や収益化のためのビデオ広告を提供して、デベロッパの収入やアプリの知名度アップを助けている。したがって新たな拒絶方針が対象とするのはデベロッパだけでなく、AdColony、Applifier(Unity)、Flurry、TapJoy、SupersonicAds、Vungle、AppLovin、Sponsorpayなどなどといった、報奨つきビデオや、クロスプロモーションサービス*などのツールを提供している企業もだ。逆にFacebookやAppleのiAdのような、報奨付きビデオ広告をやってないところは、とても有利になる。またVungleなどが提供している一般ブランドの広告は、今回の拒絶云々の話とは無縁のようである。〔*: cross promotion; 相手のものの広告を載せてやることが、自分の広告を載せてもらうことの代価となる方式。〕

今回のApp Store改革の影響を受ける業界の情報筋は、拒絶の犠牲者になるのは多くのデベロッパたちだけでなく、ずっと前からApp Storeにあるアプリもやられる、と言っている。拒絶通知をもらったデベロッパがAppleに問い合わせると、Appleはこんな状況説明をくれた:

ときには、App StoreにあるアプリがApp Store Review Guidelinesに準拠していないと思われることもある。App Store上のアプリのコンプライアンス厳守に関しては厳格な努力を重ねており、現在App Store上にあってしかも非準拠であるものを、見つけ出そうとしている。それらをすべて見つけるためには時間を要するが、今回貴殿のアプリが拒絶された理由に、ほかのアプリの非準拠は含まれていない。

今後は、いかなる形の報奨つき格付けや広告視聴をも、削除していくことが妥当である。

今すでにApp Storeにある非準拠アプリを見つけて削除していけば、ゲームの大企業の一部はそういうアプリ宣伝や収益化の方法の常習犯だから、App Storeからトップタイトルの多くが急に消えてしまうという事態にもなりかねない。

Candy Crashの大成長も、報奨付き共有が支えている部分が大きい。それはFacebookの統合に大々的に依存し、Facebookのお友だちを招いたら、ご褒美(寿命を延ばす、など)をあげるわ、なんてやっている。

App Storeのリセットで再び公平性と機会均等を

この変化でApp Storeのデベロッパが受ける影響は大きい。App Storeの新しいルールをよく調べて、自分のアプリの検索ランクなどを高めるためにこれからは何をどうすべきか、新たにできる“トレンド”の機能はどう使うべきか(今のベータ状態ではよくわからないが)などを勉強しなければならない。この変化で収入が減るデベロッパもいるだろうから、そっちの影響も大きい。

一方、ふつうの広告ネットワークは有利だ。Appleのリビュワーの一人が、こうすすめている: “自分のゲームの広告は、ふつうの広告ネットワークで十分にできる。ただしそんな標準的な広告チャネルでは、ほかのゲームのためのマーケティングはできないけどね”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Appleマップの迷走続く―WWDCでマップのアップデートがなかった理由は?

Appleは先週のWWDCでプロダクト全般にわたって大規模なアップデートを行った。4000以上の新しいAPI新プログラミング言語、意欲的な新クラウドサービスを始めとして、エンドユーザー向けからデベロッパー向けに至るまで多数の改良が発表された。

しかしその中でほとんど手がつかなかった部門がある。マップだ。

ほとんど、というのは中国で提供されているマップの改良というニュースはあったからだ。われわれの情報源によると「今回のiOS8に間に合わなかった改良がいくつかある」という。Appleはマップについて、もっと抜本的なアップデートを準備していたのだという。

鳴り物入りでGoogleマップと決別して以来2年になるが、Appleは依然としてマップで苦闘を続けている。

Appleは将来の計画を前もって発表しないのが伝統だが、WWDCの前に9to5Macはマップのアップデートについてかなり詳細な情報を掲載していた。

それによると、地図データの信頼性の向上、ユーザーにとって興味ある地点情報の追加、高速道路や空港などの地図ラベルの改善、インターフェイスの簡素化、ユーザーの現在位置付近のバス、地下鉄、鉄道の乗換案内等々が発表されるはずだった。

ある情報源は間に合わなかった理由は人事問題だとした。「デベロッパーが多数Appleを辞めたことがマップの改良がiOS 8のリリースに間に合わなかった理由だ」という。別の情報源は、「この遅延は人事問題よりもむしろプロジェクト管理、エンジニアリング管理の失敗のせいだ。タスクの割り振りがまずくて、デベロッパーはプロジェクトからプロジェクトへと右往左往させられた」とする。

マップはAppleにとっていわくつきの分野だ。2012年のWWDCでAppleは強大な(かつ極めて信頼性の高い)Googleマップを切り捨てて、独自に開発したマップを公開した。

ところがこれはAppleとしては極めて珍しい大失敗に終わった。データの信頼性は低く、奇怪なレンダリングがあちこちで発見されてユーザーを面食らわせた。CEOのTim Cookdは公式に謝罪し、改善を約束する破目に陥った。

事実、Appleはこの2年間、地図とナビゲーション関連のテクノロジーと人材を確保すべく大いに努力してきた。2013年にAppleが買収したと判明している13社のうち5社は地図関連だった。BroadMapEmbarkHopStop(この2社は乗換案内)に加えて、先週には位置情報のソーシャル検索エンジンのSpotsetterも買収している。

しかしこの間、ライバルも立ち止まっていたわけではない。Googleはすばらしい出来栄えのiOS向けGoogleマップ・アプリをリリースしたし、MapBoxはデベロッパーが地図データを活用することを助けるツールを多数発表した。またNokiaは携帯電話ビジネスをMicrosoftに売却した後、残された地図とナビゲーション・サービスに全力を注いでいる。

しかし多少の遅れはあるにせよAppleもいつまでも出遅れてはいないだろう。

Appleとしてもそうせざるを得ない。モバイル化の進展と共にマップの重要性はかつてないほど高まっている。今や検索の重要な柱となった位置情報を処理するプラットフォームはマップだ。WWDCでAppleは位置情報を利用するアプリが68万種類もAppStoreに登録されていると発表した。これらのアプリにはソーシャル、ゲーム、フィットネス、ヘルス、トラベルなどさまざまなジャンルに加えて、当然のことだが、ナビゲーションが含まれている。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


iOS 8で、iPhoneはあなたのデジタルハブになる

Macworld 2001で、スティーブ・ジョブズは有名な「デジタルハブ」戦略を紹介し、Macを動画撮影や音楽再生等のあらゆる単目的ガジェットを管理するデバイスにすると語った。今年のWWDCイベントで、AppleはiPhoneが新しいハブになり、Mac、iPad、そしてクラウドにあるものすべてが、単なるアクセサリーになることを示した。

これはAppleにとって大きな転換だ ― スティーブ・ジョブズは最後のWWDC基調講演で、iCloudはあらゆる人々にとってデジタル生活の新たな中心になると宣言した:「われわれは、PCとMacを単なるデバイスへと格下げする」

今のところ、iCloudはあの約束を果たすに致っていない。デバイス間の連絡先の同期等はiOSでスムーズに働いているが、iCloudにデータを保存しようとするデベロッパーにとって、Appleの約束通りにはなっておらず、自身で解決するか、Dropbox、Amazon、Google等の統合ソリューションを利用する結果となっている。

一方、デバイス利用時間の膨大な部分が、ノートPC、デスクトップ、タブレットから、スマートフォンへと移りつつある。Andreessen Horowitzのアナリスト、Benedict Evansは4月にこう言っていた:「タブレットやノートやデスクトップは『ビッグスクリーン』という一つのカテゴリーとしてスマートフォンと戦っていると考えた方がよい。そして、そのチャンスはスマートフォンよりも小さい」

Facebookの月間平均ユーザー数を見れば、このトレンドが実世界での利用にどう反映しているかがわかる。モバイルだけでアクセスする人数は、デスクトップだけ ― あるいはノートPCだけ ― の人数より多い。そしてユーザーの79%は、利用の一部がモバイル経由だ。

Graph courtesy of Andreessen Horowitz analyst Benedict Evans.

iOS 8でAppleは、モバイルに集中する生まれたてのエコシステムを推進することによってこのトレンドを後押ししている。今週Appleが披露した「新」エコシステムのほぼ全てが、ユーザーのデジタル体験の中心にiPhoneを据えている。

  • Mac OS Yosemiteで電話をかけたり、SMSメッセージを送るためにはiPhoneが必要。
  • HealthKitおよび新しい健康アプリで、iPhoneはあらゆるフィットネス・ダイエット用アプリやセンサーの主要情報格納場所であり、Appleはエコシステム全体の中心にiPhoneを置いている。
  • 同様に、HomeKitはiPhoneをあらゆるホーム用スマートデバイスの制御に使う。特に、HomeKitでAppleは、初めてデベロッパーにSiriの語彙を増やす機会を与えた ― ユーザーは「Siri、キッチンの明かりを全部消して」とか「Siri、1階の明かりを全部つけて」などをSiriに命令するために、家の中の部屋と「ゾーン」を定義できる。
  • CarPlayは、車内のインフォテイメントシステムを、iPhoneが制御を乗っとるための無能なインターフェースへと変え、“Hey, Siri”コマンドによって充電中のiPhoneが完全ハンズフリー体験を提供する。
  • Touch IDをサードパーティーデベロッパーが利用できるようになり、iPhoneをバンキングやプライベートメッセージ等を行うための最も安全な手段にする。
  • AppleがiOS 8でAirPlayのピアツーピア接続を使用することにより、ビデオやゲームのコンテンツをApple TVに送るためにWiFiネットワークすら不要になる。

iPhoneはあなたのホームパソコンほど強力ではないかもしれないが、十分能力があり、ほぼいつでもそばにいて、デスクトップ機では殆ど意味のないソフトウェア機能やセンサーを満載している。

iOS 8でマジックを起こすのはiCloudだが、それは、ユーザーによる自分や自分のデバイスのすぐ近くの世界とのやりとりを利用することによって行われる。これは、デスクトップ(そしてクラウド)から離れることによって可能になることだ。こうして、コンピューティングは、よりパーソナルに、そして私たちが実際に生きている世界とより密接なものになる。

Appleの最新CMのキャッチフレーズは、「iPhone 5sのパワーを得たあなたは、自分で思っているよりパワフルだ」。彼らはそれがどのように、創造性を表現したり、身体をより良くケアする ― より人間らしくある ― ために使われているかを示した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


AppleのiCloudに対する新しいアプローチは、全員を幸せにする

先週のWWDC基調講演で、AppleはCloudKitを発表した。これは、アプリ開発者がAppleのiCloudを「事実上フリー」に使える開発フレームワークで、これまで以上にモバイルアプリでの利用が簡単になる。

今日(米国時間6/6)午前、QuartzのDan Frommerはこれを、ようやくAppleがクラウドを「モノにした」ことを示す兆候のひとつだと言った。

しかしそれは、AppleがiOSおよびMacデベロッパーの懸念をこれまでになく真剣に受け止めている証しでもある。昨年、本誌のMatthew Panzarinoが、iCloudsは事実上2つあると書いた。一つは巨大で概ね信頼のおけるインフラストラクチャーで、Appleが自身のアプリを載せているもの、もう一つは、デベロッパーが最初のバージョンのiCloudで手渡された寄せ集めのネットワークや同期のプロトコルだ。

Apple自身は、同じテクノロジーを使っていなかったため、例えばCore Data同期等の機能で一般iOSアプリが遭遇するようなトラブルを経験したことがなく、問題を真剣に捉えてこなかった。Panzarinoがこう書いている。

望むらくはAppleが自社アプリでiCloudのデベロッパーAPIをもっと使うことだ。会社が自社の機能を内部で使うことはドッグフーディングとも呼ばれ、iCloudのような複雑なシステムでは特に、成熟と安定を確かめる優れた方法た。現在Appleは、Core Data同期機能を、iTunes Trailersアプリでしか使っていない。これは多くのビデオを配信するが決して複雑なアプリではない。AppleはこれらのAPIをあまり使っていないために、デベロッパーたちが出くわす問題を体験していない。

その結果、多くのデベロッパーは自身のアプリでiCloudを使うことを諦め、自前でクラウド同期を行ったり、Amazon、Dropbox、Google等のライバルを統合している。

Appleはそれを変えたがっているようだ。Andreessen Horowitzのアナリスト、Benedict Evansは水曜日(6/4)に、AppleはiOS 8で数多くの魅力的なクラウドベース機能を披露した ― そしてデベロッパー全員が使えるCloudKitフレームワークを構築した、と書いた。

Appleがウェブ(URL)だけでなく、クラウドを大切に思っていることがわかる。これはGoogleとは対照的で、あちらは完全に逆のアプローチを取っている。Googleにとってデバイスは無能な容器にすぎず知能はクラウドにあるが、Appleにとってクラウドは単なる無能なストレージであり、デバイスが知能のための場だ。そのために、全く新しいAPIセット、CloudKitを使り、デベロッパーがそれを実行することを可能にした。そして写真アプリの開発では、(おそらく初めてと思われる)ドッグフーディングを行っている。

誰もが利用できるフレームワークの上に作られた機能は、iOS 8の新しい写真編集ツール群だけではない。同社は他にもKeynote、Safari、メール、マップ、連絡先、メモ、およびリマインダーの「ハンドオフ」機能(iPhoneのMacの間でやりかけの作業をスムーズに継続できる)が、サードパーティーデベロッパーが利用できるものと同じ公開APIの上に構築されていると言っている。

Appleとサードパーティーデベロッパーが同じ条件で開発できることは、全員の利益だ。Appleは、自社アプリの水準を守るためにも、今まで以上にデベロッパー向けフレームワークの品質向上に注力するようになり、デベロッパーも「安心して動く」便利なクラウド部品を使うことに尻込みしなくなる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


曲面OLEDディスプレイを搭載し、健康情報管理などに利用できるApple製iWatchは10月に登場(日経記事より)

Appleは今年もWorldwide Developers Conferenceにて、いろいろな情報を提供してくれた。ただiWatchに関しての情報は出てこなかったようだ。しかし日本の新聞社である日経からの情報によれば、iWatchは10月リリースにむけて着々と準備を行っている最中なのだそうだ。曲面OLEDディスプレイを搭載して、OSにはiOS 8を採用していると、日経はレポートしている。

これまでにもiWatchに関する情報は流れてきていた。iWatchは着信履歴やメッセージの通知を行うのみならず、睡眠時の心拍数や、また消費カロリー、あるいは血中糖度および血中酸素濃度などを利用者に通知するようになっているとのことだった。さらに、NikeがFuelBand部門のレイオフを行っているとの情報が流れて以来、これはAppleとNikeが協業していることによるものだという噂があった。日経の報道はこの点についても肯定的な情報を流している。

これまでに流れた噂を肯定するだけの記事のようでもあるが、リリース日を予測している点で新たな情報であるということができよう。曰く、新型iPhoneと同時に、10月にリリースされるというのだ。いつか登場するはずだという話は何度も出てきていたが、これまでで最も限定的な期日を予測した記事であるといえるだろう。ちなみに日経は以前にも公式アナウンス以前にリリースデートを正確に言い当てたことがある。

WWDCではHealthおよびHealthKitがアナウンスされた。健康およびフィットネス管理を行うためのプラットフォームとなるものだ。HealthKitを通じて、Healthで収集した各種データを活用するプログラムを作成できるようになっている。健康/フィットネス関連の情報を統一的に扱う仕組みが用意されたのだ。またAppleの提供したアプリケーションだけでも、各種健康関連の情報を入手することができ、また必要なときに医療関係者などに示すための情報を集約することができるようになっている。

そうした情報を一括で管理して活用するために、Apple発のウェアラブルが出てくるという「噂」が、そろそろ現実化しそうだという話なわけだ。

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(翻訳:Maeda, H


iOS 8ベータのロック画面で、位置情報に応じたアプリが「おすすめ」される

AppleのiOS 8には、ロック画面の左下隅に、位置情報に応じてお薦めアプリを表示する新機能が入っていることが、MacRumorsフォーラムへのデベロッパーの書き込みでわかった。これは、既にインストール済みのアプリの場合も、持っていないアプリが薦められる場合もある。

おすすめが表示されるのは、iOSデバイスとMacの間をスムーズに移動するためのContinuity(連続性)機能アイコンと同じ位置だ。ただしこちらは、コンテキスト的に関連のあるソフトウェアが表示される。例えばスターバックスに入った時、スターパックスアプリを簡単に開くことができたり、駅に着いたら、その駅専用のアプリがお薦めされるといった具合だ。既存のアプリにも有効と思われるので、デベロッパー側が修正する必要はないが、現実世界のATMや券売機、レジスター等とやりとりするアプリが対象になっているようだ。

あるユーザーに聞いたところ、UCSCキャンパスに入ったらUCSCアプリがお薦めされたが、インストールされていなかったためApp Storeへのリンクが表示されたそうだ。MacRumor読者からも似たような話があり、Costcoに行った時に、App StoreのCoscoアプリのリンクが出たと書いていた。ロック画面のアイコンを上にスワイプするとApp Storeのそのアプリが表示されたが、ストア内の別の場所へは行けなかった。

Appleは昨年iOS 7で、App Storeに「近くで人気」機能を導入し、同じ地域のApp Storeユーザーがよくダウンロードしているアプリのリストが表示されるようになった。しかし、今回の追加は全く新しいレベルのコンテキストを利用したアプリ発見を提供するもので、インストールはしたがあまり使っていないアプリを思い出させる効果がある。メンバーカードアプリ等、他のPassbookアプリの利用促進にも大いに役立つだろうから、デベロッパーは対応する価値がある。

高度なコンテキスト利用は、スマートフォンプラットホームにとって益々重要性が高まっており、様々な意味でGoogle Nowと機能的に競合するが、特定の位置に応じてユーザーに直接行動を起こさせる点で、一歩先を行っている。また、ユーザーがお薦めを押しつけがましく感じない程度に目立たない。初期ベータの機能が全て最終版iOSに採用されるわけではないので、今後どう発展するのか、どんなアプリが対応するかは、正式公開を待つしかない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


FleksyのiOS 8用サードパーティキーボードがベータテスト参加者を募集中

このときが来るのを待ってました!とばかりFleksyはいち早く、iOS 8用の同社製サードパーティソフトウェアキーボードをリリースした。Appleが、個々のアプリ固有ではなく全システム的な入力ソフトもOKだぞ、と発表してからまだ数日も経っていない。同社は今ベータテスターを募集しているから、iOS 8のプレリリースビルドを使っている人は、試してみたらどうだろう。

Fleksyのキーボードのユニークなところは、デバイス本体やキーボードのキーを実際に見なくても文字をタイプできることだ。元々視覚障害者がスマートフォンなどを使えるために考案されたシステムだが、今ではFleksyは、これからの時代のインターネット接続製品全般のための、普遍的な次世代型入力方式になることを、ねらっている。

FleksyはすでにKPCBやHighland Capitalから400万ドルを調達して、これまで主にAndroid方面に注力してきたが、ぼくは協同ファウンダのIoannis Verdelisに会うたびに、iOSを話題にしてきた。今度のAppleの方針転換によって、いずれユーザは自分好みのソフトウェアキーボードをデフォルトのキーボードに指定できるようになるだろう。これまでは特定のアプリ内でキーボードをカスタム化できる、というオプションはあったが、これからはFleksyのようなプロダクトをもっと多くのユーザがもっと一般的に利用して、会社を成長させてくれる、というシナリオもありえるのだ。

Appleはまだ、音声入力や自動大文字化、自動修正の提案、などのAPIを公開していないから、そのぶん、サードパーティにとってのハンディはある。必要なら、それらの機能を自作しなければならない。でもFleksyは最初からそのつもりで、いろんな機能の自作に取り組んでいる。だから、競合他社に比べて同社はすでに、相当有利な位置につけているかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Appleの新プログラミング言語Swiftは、4年前の1人プロジェクトから始まった

月曜日(米国時間6/2)のWWDCで、AppleはiOSおよびMacデベロッパーコミュニティーに新風を巻き起こした。発表された新プログラミング言語Swiftは、同社の開発ツールチームによって一から設計された。

言語自体が、Appleデベロッパーが現在使用しているObjective-Cのコンパイラー、ランタイム,およびライブラリーの上に構築されている。つまり、iOSやMacのアプリ開発に慣れた人たちは、わずかな文法を覚えるだけで、既存のコードベースにSwiftコードを組み込むことができる。なにしろ、Swiftを使ってFlappy Birdクローンをわずか9時間― 休憩時間を含む ― で作ったという野心的プログラマーもいる 。

Appleの開発ツール責任者、Chris Lattnerによると、Swift言語の開発は2010年7月に始まった。彼は自身の個人ブログに、この言語が個人プロジェクトとしてスタートし、「存在を知っていたのはわずかな人々だけだった」と書いている。2011年の終りに、数人の精鋭エンジニアがプロジェクトに加わり、Apple開発ツールチームの主要目標になったのは、2013年7月になってからだったという。

AppleはSwiftの開発理由を、「ほら、こっちの方がObjective-Cよりいいだろう」とだけ言うこともできただろうが(Objective-Cランタイムチームのメンバーが発したツイートを参照)、Lattnerはこのプロジェクトに対する彼の動機付け、もっとずっと大きい視野を見据えたものだったと言う。

プログラミングをもっと取っつきやすく楽しくすることが、次世代のプログラマーたちにアピールし、コンピューターサイエンスの教え方を変えるきっかけになることを願っている。

Lattnerのページには、Swiftが受けた影響も暗示されている。外部の人々の多くは、1983年に作られたObjective-Cを、長期的に置換えるためだと想像している。

彼によると、言語の文法と構造を設計する際参考にしたのは、Objective-C、Rust、Haskell、Ruby、Python、C#、 CLU等の言語であり、SwiftのXcode “Playground” 機能は、プログラミングを「学びやすく」するというBret Victorの理論、および2012年にKickstarterで30万ドル以上を集めた拡張可能なインタラクティブ・プログラミング環境、Light Tableにインスパイアされた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook