Twitter CEOのジャック・ドーシーがは政治広告を全面禁止すると発言

TwitterのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)CEOは、Twitterが政治広告を全面的に禁止することをツイートで発表した。ただし、投票者登録など「わずかな例外」を除くとしている。

「政治的メッセージのリーチは獲得するものであり、買うものではないと私は信じている」とも書いている。例外の範囲がどこまでなのかは明らかにされていないが、禁止の対象は候補者を推薦する広告、政治的問題における立場を支持する広告の両方と思わえる。

ドーシー氏は、会社として正式な方針を11月15日までに公表し、11月22日付けでその方針を適用すると言った。「インターネット政治広告は市民による議論にまったく新しい課題を投げかけている。機械学習によるメッセージングの最適化や細かいターゲティング、チェックを受けていない虚偽情報、そして悪質なフェイクニュースなど、すべてが猛烈な速さで広まり、技術もスケールも拡大している」と同氏は述べた。

それなら、虚偽情報を排除する努力をしながら広告を受け付けてもいいのではないか?同氏は会社として「金銭のもたらす余分な負担と複雑さを避けつつ、根本的問題に集中する必要がある」と彼は主張した。包括的な方針は、Twitterが真実性を個別に判断することの悩みと議論を避けるのにも役立つ。

この直前、Facebookは政治広告のファクトチェックを拒否したことで強い批判に晒され(選挙関連の虚偽情報撲滅を段階的に進めてはいた)、Facebook社員が公開書簡で会社のスタンスを批判する事態に至った。

また、最近の議論のきっかけになった、トランプ陣営がジョー・バイデン氏の陰謀論を流布した広告の1つはYouTubeとTwitterにも流された。なお、一部のTVネットワークにも流されたがCNNは放映を拒んだ。

つまり、たとえ議論の矛先はFacebookに向けられていても、寛容と責任に関わる判断は主要インターネットワークプラットフォームすべてが直面しなければならない問題だ。

実際今年の夏Twitterは、香港での抗議運動にまつわる「政治的不和の種をまく」活動を見つけた後、国が支援する報道機関の広告をブロックすると発言した。そこには 中国政府と繋がりのあるアカウント数百件が関わっていた

Facebookは単に政治広告をすべて禁止すべきだという考えは、一部の評論家の間で言われている解決策で、TechCrunchのJosh Constine(ジョシュ・コンスティン)も書いている。現在までは極端で非現実的な方法と思われていたかもしれない。それが突然現実的に見えてきた。少なくともMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は当分この質問に答え続けなくてはならないだろう。

ドーシー氏は自身のツイートでFacebookの名前に直接言及こそしなかったが「例えば、当社が『私たちは人々が当社のシステムを悪用して虚偽情報を流布するのを阻止するべく大いに努力している、しかし、誰かが金を払って人々をターゲットして自分たちの政治広告を強制的に見せれば、好きなことを言うことができます! 』、などと言ったら信用をなくすだろう」と言ってFacebookの立場を暗に批判した。

もうひとつ「興味深い」のは、TwitterがこれをFacebookが最新の決算報告を発表したその日を選んで発表したことだ。ドーシー氏は、Twitterが「はるかに大きな政治広告エコシステムの小さな部分」であることを認めながらも、「我々は一切の政治広告なしに多くの人たちに届けた社会運動をたくさん見てきた。これがもっと増えていくことを信じるばかりだ」と述べた。

eMarketerのシニアアナリストであるJasmine Enberg(ジャスミン・エンバーグ)氏は声明で、この行動について「Facebookとまったく対照的」と語ったが、「政治広告はTwitterの中核ビジネスにとってさほど重要な位置を占めていないに違いない」とも指摘した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookの従業員グループが政治広告の嘘を規制するようザッカーバーグ氏に要求

大統領選挙の政治広告をファクトチェックに送ること、マイクロターゲティングを制限すること、出費できる広告費に上限を設けること、選挙活動禁止期間を監視すること、または少なくともユーザーに警告すること。これらは、Facebook(フェイスブック)の従業員が、政治広告の偽情報に対処するようCEOマーク・ザッカーバーグ氏と会社幹部に宛てた公開嘆願書の中の対処案だ。

この書簡はニューヨーク・タイムズのMike Isaac(マイク・アイザック)氏が入手したもの。それは、「自由な言論と有料の言論は別物だ。政治家や選挙候補者のファクトチェックに関する私たちの現在のポリシーは、Facebookの根幹である精神を危険に晒している」と主張している。数週間前、Facebookの内部協力フォーラムに投稿された。

関連記事:Facebookは選挙キャンペーン広告を禁止し、嘘を止めよ(未訳)

この考え方は、私が10月13日にTechCrunchで公開した、Facebookは政治広告を禁止すべきと訴えたコラムの内容と重なっている。Facebookの政治広告で流される歯止めのない虚報は、政治家とその支持者によって、その主張やライバル候補に関する感情的で不正確な情報が拡散され、さらにそうした広告のための資金集めを助長している。

Facebookは、金持ちの不誠実な人間ほど大金を投じて大声で嘘を拡散できる現状を制限しつつも、各自のFacebook・ページでの自由な発言を許すことは可能だ。私たちは、Facebookがもし政治広告を禁止しなければファクトチェックを行うか、攻撃される恐れのない投票や寄付といった一般的な広告ユニットを使うこと、またはその両方を行うことを提案した。さらに、コミュニティーへのマイクロターゲティングが虚報に対して脆弱であり、簡単に寄付できるリンクはFacebookの広告を、同等のテレビやラジオのスポット広告よりも危険なものにすると批判した。

10月23日水曜日、ワシントンD.C.にて下院金融サービス委員会で証言するFacebookのCEOマーク・ザッカーバーグ氏(写真:Aurora Samperio/NurPhoto via Getty Images)

3万5000名のFacebook従業員のうち、250名以上が書簡に署名をした。そこではこう明言されている。「私たちは現状のポリシーに強く抗議します。それは人々の声を擁護しておらず、反対に、政治家の投稿は信頼できると信じる人々へのターゲティングにより、政治家が私たちのプラットフォームを兵器化することを許すものです」と。現在のポリシーは、選挙の品位を保つためのFacebookの努力をないがしろにし、虚報を容認し、嘘で利益を得ることを良しとしているというシグナルを発してユーザーを混乱させていると訴えている。

提案された対処策は次のとおり。

  1. 第三者によるファクトチェックを受けない限り政治広告は受け付けない。
  2. 政治広告と政治的でないオーガニック投稿との区別がつくよう視覚デザインを変える。
  3. カスタムオーディエンスの使用を含む政治広告のマイクロターゲティングを制限する。なぜならマイクロターゲティングは、政治家の誠実性を保つとFacebookが主張している世間の厳しい目から、それを隠してしまうため。
  4. 選挙活動禁止期間中の政治広告を監視し、虚報による影響と拡散を制限する。
  5. 政治家または候補者による広告への出費を、彼ら自身とその政治活動委員会を含めた合算で制限する。
  6. ファクトチェックを受けていない政治広告がひと目でわかるようにする。

これらのアプローチを組み合わせることで、Facebookは虚報が拡散される前に、または個々の主張の監視を行う必要性が生じる前に、政治広告を止めるか禁止することができる。

この書簡に対するFacebookの反応は「私たちは今後も政治的言論への検閲を行わない立場を維持し、政治広告にさらに踏み込んだ透明性を持たせるよう検討を進める」というものだった。だが、これは書簡の論点をすり替えている。従業員たちは、Facebookから政治家を追放せよとは言っていないし、彼らの投稿や広告を削除せよとも言っていない。警告の印を付けて、金によるリーチの拡大を制限しようと言っているだけだ。それは検閲には当たらない。

報道機関や、民主党ニューヨーク州選出のアレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員をはじめとする政治家たちからの反発にも関わらず、ザッカーバーグ氏は現在のポリシーを堅持している。議会証言の際にコルテス議員から、具体的にどんな虚報が広告では許されるのかと質問されたザッカーバーグ氏は言葉を詰まらせていた

しかしその後の金曜日、共和党のリンゼー・グラム議員がオカシオ・コルテス議員のグリーン・ニュー・ディール法案に賛成したとする、ファクトチェックの能力を試す目的で出された広告の掲載を取り止めた。グラム議員は実際には反対している。Facebookは、今後は政治活動委員会の広告をファクトチェックにかけるとロイターに話した。

Facebookにできる、政治家の広告のためのひとつの賢明なアプローチとして、ファクトチェックを重ねることがある。大統領選の候補者を手始めとして、より正しく精査できるようにデータを増やすのだ。嘘と判定されたものは、単に嘘を示すラベルを添付するのではなく、コンテンツをブロックする形でインタースティシャル警告を表示する。これは、一般向けにあまり目立ちすぎない、州ごとのターゲティングのみを許可する、政治広告の大きな断り書きと組み合わせて使うことができる。

広告料金の出費制限と選挙活動禁止期間の決定は、少し複雑だ。低く制限すれば、選挙活動の公平さを保つことができ、活動禁止期間を広げれば、とくに投票期間中は、有権者の投票を妨害するボーター・サプレッションを防止できる。おそらくこれらの制限は、Facebookが開設を予定し、モデレーションとポリシーの最高裁判所となる監督委員会に委ねられることになるだろう。

ザッカーバーグ氏の主張の核心には、時が経てば歴史は検閲ではなく言論に傾く、という考えがある。しかしそれは、テクノロジーは正直者にも不正直者にも平等に恩恵を与えるという前提に基づく理想郷的な詭弁に屈している。現実には、分別のある真実よりも煽動的な虚報のほうが、ずっと遠くまで、ずっと早く到達する。無数のバラエティーに富むマイクロターゲティング広告は、嘘つきを罰するように作られた民主的な仕掛けを無力化し威圧する。その一方で、盲信的な支持者の報道機関が正直者を非難し続ける。

ザッカーバーグ氏は、Facebookが真実の警察になることを避けたがっている。だが、もし彼が、その正しいと信じる思想信条から一歩退いてくれたなら、私たちやFacebookの従業員たちが提案するように、虚報を制限するための進歩的なアプローチの可能性が開かれる。

Facebook従業員が会社幹部に宛てた、政治広告に関する書簡の全文をここに掲載する。ニューヨーク・タイムズより転載。

私たちは、ここで働くことに誇りを持っています。

Facebookは、思いを発言する人々の味方です。討論し、異なる意見を交換し、考えを表現する場所を作ることにより、私たちのアプリやテクノロジーは世界中の人々にとって有意義なものとなります。

このような表現を可能にする場所で働けることを私たちは誇りに思うと同時に、社会の変化に伴い進化することが必然であると信じています。クリス・コックスもこう言っています。「ソーシャルメディアの効果は中立ではなく、その歴史はまだ刻まれていないことを、私たちは自覚している」

ここは私たちの会社です。

私たちは、この会社のリーダーであるあなたたちに訴えます。なぜなら今の路線が、我らがプロダクトチームが、この2年間、品位の保全のために達成した大いなる前進を無に帰するものであることを憂慮しているからです。私たちがここで働く理由は、それを重視しているからであり、ほんの些細な選択も、恐ろしいほどのスケールで社会に影響を及ぼすからです。手遅れになる前に、私たちはこの懸念を表明したいと思います。

自由な言論と、有料の言論とは別物です。

虚報は、すべての人たちに影響を与えます。政治家や政界を目指す人たちを対象にした私たちのファクトチェックのポリシーは、Facebookの根幹を脅かします。私たちは、現状のポリシーに強く抗議します。それは人々の声を擁護しておらず、反対に、政治家の投稿は信頼できると信じる人々へのターゲティングにより、政治家が私たちのプラットフォームを兵器化することを許すものです。

現在の状態で、広告料を受け取り市民向けの虚報をプラットフォームで公開すれば、以下の事態が予想されます。

広告料を支払ったコンテンツと類似のオーガニックコンテンツを、または第三者のファクトチェックを受けたものと受けていないものを、同列に表示することを許せば、プラットフォームへの不信感が増加します。さらにそれは、権力の座にある人、または権力の座に着こうとしている人による故意の虚偽報道キャンペーンから利益を得ることを私たちが是認しているとのメッセージを発することになります。

品位ある製品開発が無駄になります。現在、品位の保全を担当する数々のチームは、より文脈に即した形でのコンテンツの提示、違反コンテンツの降格といったさまざまな課題に懸命に対処しています。Election 2020 Lockdown(2020年大統領選挙ロックダウン)に関して、品位保全担当チームは、支持と不支持の難しい選択を行ったところです。ところが今のポリシーは、プラットフォームの信頼性を低下させ、彼らの努力を無に帰するものです。2020ロックダウンの後も、このポリシーには、今後世界で実施される選挙に危害を与え続けることになります。

改善案

私たちの目標は、従業員の多くが今のポリシーに納得していないことをリーダーたちに知ってもらうことにあります。
私たちは、私たちのビジネスと、私たちの製品を利用される人々の両方を守るための、よりよい解決策をリーダーのみなさんと共に作り上げることを望んでいます。この作業には、微妙な見解の違いがあることは承知していますが、政治広告を完全に排除しない方向で私たちにできることは数多くあります。

以下に示す提案は、すべて広告関連のコンテンツに関するものであり、オーガニックコンテンツは対象としません。

1. 政治広告に、他の広告と同じ基準を適用する。

a. 政治広告でシェアされる虚報には、私たちの社会に並外れた不利益をもたらす衝撃力があります。他の広告に義務付けられている基準に準拠しない政治広告からは、料金を受け取るべきではありません。

2. 政治広告には明確な視覚デザインを施す。

a. 政治広告とオーガニックな投稿との見分けに人々は苦労しています。政治広告には、はっきりそれとわかるデザインを施し、人々が簡単に話の流れを把握できるようにすべきです。

3. 政治広告のターゲティングを制限する。

a. 現在、政治家や政治キャンペーンは、カスタムオーディエンスなど、私たちの高度な広告ターゲティングツールが利用できます。政治広告の広告主の間では、有権者名簿(有権者に接触できるよう公開されています)をアップロードし、行動トラッキングツール(Facebook・ピクセルなど)や広告エンゲージメントを使って宣伝効果を高めるのが一般的です。これを許可することで生じるリスクは、有権者が、私たちが称するところの政治的発言に伴う“世間の監視”に参加しにくくなることです。こうした広告は、マイクロターゲティングされていることが多いため、私たちのプラットフォームでの会話は、他のプラットフォームでのものに比べて、ずっと閉鎖的なものになります。現在、私たちは、住宅、教育、クレジットのバーティカルマーケティングでは、差別問題の過去があるためにターゲティングを制限しています。同様の制限を政治広告にも広げるべきです。

4. 政治活動禁止期間中の監視を広げる。

a. 各地方の法令や規制に従い、選挙活動禁止期間中の監視を行います。世界中のあらゆる選挙における自主的な活動禁止期間を調査し、誠実な良き市民として行動します。

5. 個々の政治家ごとに、資金源に関係なく、出費制限を設ける。

a. 政治広告を掲載する利点として、発言を広く伝えられることがあると、Facebookは主張してきました。しかし、高明な政治家は大金を注ぎ込み大きな声で主張を行い、ライバル候補の声をかき消してしまいます。この問題を解決するには、選挙活動委員会と政治家の両方が広告を出す際には、個々の広告主ではなく、両者の広告費を合算して上限を設けます。

6. 政治広告のポリシーを明確にする。

a. もしFacebookが政治広告のポリシーを変更しないならば、政治広告の表示方法を更新する必要があります。消費者と広告主にとって、政治広告が、他の広告に適用されるファクトチェックを免除されていることは、すぐにはわかりません。私たちの虚報に関する広告ポリシーでは、元の政治コンテンツや広告には適用されないことは、誰にでも簡単に理解できるようにしなければなりません。とくに、政治的な虚報は、他のタイプの虚報に比べて破壊力が大きいためです。

そのため、政治セクションは“禁止コンテンツ”(絶対に掲載不可)から外し、“制限コンテンツ”(制限下で掲載可能)に移すべきです。

私たちは、実際の変化を確かめられるよう、オープンなダイアログでこれを議論したいと思っています。

私たちは、品位保全の担当チームの仕事に誇りを持っています。今後数カ月間、私たちはこの議論を続け、共に解決策に向けて協力できることを願っています。

今でもここは私たちの会社です。

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(翻訳:金井哲夫)

Facebookが初のヘルスケアツールを公開

Facebookのヘルスケア事業への新規参入を妨げたと言われるCambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)スキャンダルから1年半、ソーシャルメディアの巨人はPreventive Health(予防衛生)という名前のツールを公開し、ユーザーに定期的な健康チェックを促しサービス提供者と繋ごうとしている。

新サービスの立案者は同社のヘルスケア研究責任者であるFreddy Abnousi(フレディ・アブヌーシ)博士で、かつては匿名の医療データを収集し「ハッシング」という技術を使って2つのデータセットに存在する個人のデータを(CNBCの報道によると研究目的で)マッチングする秘密プロジェクトに関わっていた。

American Cancer Society(米国ガン協会)、American College of Cardiology(米国心臓学会議)、American Heart Association(米国心臓協会)、およびCenters for Disease Control and Prevention(米国疾病予防管理センター)の協力を得て、Facebookはユーザーが一定年齢層の健康を維持するために必要な一連の標準的検査を受けるよう促すデジタル催促状を開発している。

最初に焦点を当てたのは、米国の2大死亡原因である心臓病とガンに加えて、毎年数百万人の米国人が罹病するインフルエンザだ。

「心臓病は世界中の男女の最大の死亡原因であり、多くの場合100%予防が可能だ。人々が毎日アクセスするプラットフォームに予防リマインダーを導入することで、心臓の健康に関する事前行動を起こすためのツールをユーザーに提供できる」とアメリカ心臓学会議のRichar Kovacs(リチャード・コヴァクス)会長が声明で語った。

Preventive Healthツールを利用したい人は、Facebookのモバイルアプリの中で、どの協力企業がユーザーの年齢性別に応じて必要な検診を薦めているかを知ることができる。

このツールを使ってFacebookは検査が完了したことを記録し、将来の検査日程のリマインダーを設定してFacebook上で通知することができる。Facebookは検査を受ける機関の情報も教えてくれる。やらないことはと言えば、Facebookはいかなるテストの結果も収集しないことをユーザーに確約している。

「健康は特に私的なものであり、プライバシーと安全については最初から考慮している。たとえば、Preventive Healthを使ってユーザーは将来の検査のリマインダーを設定し、完了の印をつけることができるが、検査結果には当社も協力医療機関もアクセスできない」と同社が声明で語った。「Preventive Healthの利用に関する個人情報は、医療機関や保険会社と共有こともないので、保険の資格審査などに利用されることはない。

新しい健康ツールの利用者は、インフルエンザ予防注射を接種できる場所を探すためにも利用できる、と同社は言う。「インフルエンザワクチンには病気予防以上の効果がある。入院によるリスクを軽減し、慢性疾患を持つ人の深刻な医療状態を防ぎ、妊娠中や産後の女性を守る」と予防接種と呼吸器疾患国立センターのディレクターであるNancy Messonnier(ナンシー・メッソニエ)博士が声明で語った。「このような新しいツールがあるとユーザーは自分たちのコミニュティーで先陣を切ってインフルエンザと戦うための情報や設備をすぐに利用できるようになる」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ジャーナリストのFacebook Newsへの質問に対するザッカーバーグ氏の回答

Facebook(フェイスブック)のCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏がジャーナリストやメディア企業の重役たちを目の前に登壇したときは、明るくおどけた様子すら見せていた。その時点で彼は、このイベントが10月第4週に行ったもののうち「今のところベスト」と説明していたが、報道界が懐疑的である理由を彼はよくわかっていた。

Facebookは、結果としてこの10年間、経済的に困難な状況を報道界に与えてきた主犯格だった。そのため、Facebookを再び信用することなど馬鹿げていると感じる人間は、出版業界には大勢いるTechCrunchの記者であるJosh Constineもその一人だ。

1つには、Facebookのアルゴリズムがどのように異なるタイプのコンテンツを優先させるのか、そしてアルゴリズムを変更することで出版界にどれほど甚大な被害が及ぶのかという疑問だ。

「私たちは、パートナーたちと力を合わせることで、情報の処理方法について、より透明性を高め、より多くの時間をかけて観察できるようになります」とザッカーバーグ氏は話し、続けて「安定性が大きなテーマだと思います」と語った。そこでFacebookは何かを「実験」として試そうとしているようだが、「それが急激な変化をもたらすようなら、みなさんのビジネスに採り入れることは難しくなるでしょう」と言った。

同時にザッカーバーグ氏は、Facebookのアルゴリズムは「私たちの事業の中でも、もっとも理解されにくい部分」だと論じた。具体的には、利用者になるべく長い時間Facebookを見て過ごさせるためだけにフィードを最適化しているという批判が多いことを挙げていた。

「それは真実ではありません」と彼は言った。「もう何年にもなりますが、すべてのフィード担当チームに対して私は【中略】利用時間の最大化を目的としたシステムの最適化を禁じてきました。私たちが実際に行っているのは、有意義な対話ができる限り多くできるよう促すことを目的にしたシステムの最適化です」

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例えば「Facebookがアルゴリズムを友人や家族のコンテンツを他のタイプ(ニュースなど)よりも優先させるよう変更したとき、人気の動画が1日あたり実質的に5000万時間ぶん見られなくなった」と彼は言う。その後の収支報告では、Facebookの時価総額は米国市場最大の下げ幅を記録した。

ザッカーバーグ氏は、News Corp(ニューズ・コープ)のCEOであるRobert Thomson(ロバート・トンプソン)氏と共にニューヨークのステージに登場し、Facebook Newsの開始について討論した。ニュースは、Facebookの中に新設されるニュース専門のタブだ。トンプソン氏は、こんな簡単な質問から話を切り出した。「なぜ、こんなに時間がかかったのです?」

ザッカーバーグ氏はこれを受け流し、こう切り返した。「これ以上の褒め言葉はありません。私たちが現実に良いことをしたという意味ですからね」。

さらにザッカーバーグ氏は、Facebookはずっと以前からジャーナリズムに興味を抱いてきたと続けた。「インターネットのプラットフォームはみな、報道を支援するための資金援助や提携の努力をする責任があると思っています」と言うが、当初その努力はニュースフィードに限られていた。それは基礎的なアーキテクチャーであり、ニュースのためのスペースは十分に与えられていない。ほとんどの利用者の最大の関心事は友人や家族の話なので、なおさらだ。

そのためFacebook Newsは、ニュースにふさわしい場所として活躍することになる。ちなみに、メインのニュースフィードにも今までどおりニュースは現れるとFacebookは説明している。ザッカーバーグ氏はまた、いわゆる「エコシステムの混乱」を招いた過去の実験を踏まえ、本格開始前に問題なく運用できるかを確かめるのだと述べていた。

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特に彼はこのタブを、多くの人たちの興味を惹くように、Facebook MarketplaceやFacebook Watchと並べてFacebook内に表示させなければならないと話す。ザッカーバーグ氏は、これらのタブに対する大半のFacebook利用者の関心が低いことも認めている。しかし、そもそもの利用者数が膨大であるため、その数%でも数としては意味がある。

「(Facebook Newsは)おそらく数年内に、2000万から3000万のユーザーを獲得できると思います。それだけでも、十分に価値があります」と彼は言う。

Facebookは、Facebook Newsに参加する一部の出版社に出資もしている。ザッカーバーグ氏はこれを「長期の安定した関係とパートナーシップを多くの出版社と結ぶのは、これが初めて」だと言っている。

出資する出版社をどうやって選んだかに関する詳しい説明を、何人ものジャーナリストが求めていた。ザッカーバーグ氏は、それにはFacebook Newsに幅広いニュースを提供できるかなど、数多くの要素があると答えていた。これまであまりFacebookにニュースを流してこなかった出版社も対象になるという。また、有料サイトに掲載しているニュースを出してもらう場合には、その埋め合わせもしなければならない。

「厳格な決まりはありません。いずれは規則化されるでしょうが、限度を超えることはありません」と彼は話していた。

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ザッカーバーグ氏はさらに、近年、政治広告のファクトチェックに消極的な姿勢が批判されている中で、Facebookがいかにして正確さと品質を保つのかという質問を受けていた。

彼は、政治広告の話は今日の話題ではないと避けつつ「これは種類の異なる問題です」と言い返した。つまり、参加する出版社にFacebookの出版指針を守らせることと、Top Stories(トップストーリー)セクションに表示されるトップニュースの審査を行うジャーナリスト集団を雇うことにより、何を載せて何を載せないかを決める大幅な自由がFacebookにあるのだと彼は論じていた。

「質の高いニュース専用のスペースには、みなが発言権を持ち、意見を交換できるスペースに期待しているものとは別の期待を人々は抱いています」と彼は言う。

Facebookに批判的なニュースを載せるかどうかについては、ザッカーバーグ氏は、ブルームバーグが自社関連のニュースを(ほとんど)扱っていないことを知って喜んでいたようだ。

「そんなことができるとは知らなかった」と彼はジョークを飛ばした。そして真顔に戻ってこう話した。「良い悪いは別として、私たちは数々のニュースの中で大変に目立つ存在になっています。Facebookの活動に関するニュースを排除する行為は、ニュースタブにとって合理的なものとは思えません。将来に向けて信頼を高めてゆくためにはFacebook関連のニュースも客観的に扱うべきです」。

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(翻訳:金井哲夫)

ニューヨーク州のFacebook反トラスト捜査に46人の司法長官が参加

ニューヨーク州のLetitia James(レティシア・ジェームズ)司法長官は、Facebookの反トラスト法違反に関する捜査の手を強めている。「Facebookの行為が消費者データを危険にさらし、消費者の選択肢の質を下げ、あるいは広告費用を高騰させているかどうかを究明する」ためだ。

同氏に同調する地方長官は当初8州とワシントンDCだったが、メンバーは増え続けている。米国時間10月22日の発表でジェームズ氏は、新たに31の州およびグアムの司法長官が捜査に参加したことを明らかにした。

「全米の州司法長官と党派を超えた議論を重ねた結果、本日我々はFacebookによる反トラスト法違反の疑いに関する捜査に参加する州、地区、地域の数が大幅に増えたことを発表する」と声明で語った。「今後の捜査に際しては、あらゆる捜査手段を駆使してFacebookの一連の行為が競争を抑制しユーザーをリスクに晒したのかを追求する」。

現在46人の司法長官がジェームズ氏の捜査に参加している。本捜査は、司法省および連邦取引委員会による現在進行中の反トラスト捜査とは明確に区別される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookがカリフォルニア州の住宅問題対策に1000億円超を拠出

米国カリフォルニアは、州全体に広がるさまざまな問題のために深刻な住宅難に悩まされている。中でもサンフランシスコのベイエリアが特に目立っているのは、超大企業の存在と高給IT社員らが問題を増幅しているからだ。

一部の巨大IT企業がこうした問題の責任を取るべく、手ごろな住宅提供を推進する組織に資金提供することはいまや珍しくない。シアトルでは、Microsoft(マイクロソフト)とAmazon(アマゾン)が取り組みを発表している。ベイエリアでは、Googleが10億ドル(約1080億円)、10年計画を最近発表し、このたびFacebook(フェイスブック)が同様の行動に出た。

FacebookのCFOであるDavid Wehner(デビッド・ウェナー)氏の ブログ投稿で、同社は手ごろな住宅提供のために10億ドルを用意したことを発表した。「この取組みをきっかけにして2万件の新たな住宅が生まれることを期待している」と同社はコメントしている。

もちろんこれは、カリフォルニア州政府に一括で小切手が送られるという意味ではない。複数のプロジェクトに分割されている。

  • カリフォルニア州:2.5億ドルを、州と連携して「住居が不足」している地域で州保有の余剰土地開発を支援するために投入する。
  • ベイエリア:2.25億ドルの価値のあるメンロパークにあるFacebook所有地を居住地域として提供する。さらに1.5億ドルを手頃な住宅向け投資ファンドであるThe Bay’s Future Fundに提供する。 さらに2500万ドルを、サンタクララおよびサンマテオ郡の労働者向け住宅建築の基金に提供する。
  • カリフォルニア州およびその他の地区:最後の3.5億ドルは、その他の既存の取組みへの「追加投資」のため、およびFacebookのカリフォルニア州外オフィス近くの住宅問題への取組みのために確保される。

カリフォルニア州側は大企業による支援を歓迎していると見られるが、州政府の問題対応失敗の程度を踏まえると、数億ドルレベルの支援ですら焼け石に水だ

「州政府は住宅問題を自力だけで解決できない。Facebookに続く他社の協力も必要だ。現状を打破してこの州が直面している価格危機を乗り越えるためには、民間部門や慈善団体の協力が必要だ」と、ギャビン・ニューサムカリフォルニア州知事が声明で語った。

関連記事:Google announces $1B, 10-year plan to add thousands of homes to Bay Area

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

民主主義の大規模な破壊を恐れたインド政府がネットサービスを一部規制へ

インド政府は米国時間10月21日、情報仲介企業を規制する既存のルールを改定する計画であることを発表した。情報仲介企業(Intermediary、Intermediarries)とは、コンテンツの作成をユーザーに依存しているソーシャルメディアアプリケーションなどのことで「彼らは民主主義にとんでもない破壊をもたらしている」と政府は見ている。

最高裁判所に提出された法的文書で、エレクトロニクスと情報技術省(Ministry of Electronics and Information Technology)は「情報仲介企業を規制する規則を2020年1月15日までに起草する」と表明している。

さらにその文書の中で同省は「インターネットは民主的な政体に想像を絶する破壊をもたらす強力なツールとして勃興した」とコメントしている。そこで同省によれば、情報仲介企業を監視監督することによって「個人の権利や国の統一性、尊厳性、および安全性に対する現在ますます増加している脅威に対抗できる」としている。

インド政府は昨年後半に、法案協議に関するガイドラインの草案を発表した。それによると「提案されている規則は2011年の法律を改訂するもので、情報仲介企業として500万以上のユーザーがいるソーシャルメディアなどのサービスを対象とする」ことを明らかにした。

政府の職員によると、規則の今日的な改定が必要なときとは放置すれば偽の情報やインターネットのそのほかの悪用が継続的に氾濫すると思われる時代や社会状況を指す。

10月21日に提出された文書は、WhatsApp上のメッセージの発信源を明らかにするシステムを導入せよとするインド政府の要求に対するFacebookからの拒否への応答だ。WhatsAppはインドで人気最大のインスタントメッセージングプラットホームで、ユーザー数は4億人を超えている

インドではソーシャルメディアのユーザーがアカウントに、政府発行の12桁のバイオメトリックスIDであるAadhaar(アーダール)をリンクさせるべきだという意見もある。12億人がこのシステムに登録している。

Facebookの役員は「インド政府の要求である発信源の開示に応じたら、全世界のWhatsAppユーザーが享受しているエンドツーエンドの暗号化が無意味になる」と主張している。「暗号化をなくしたらユーザーの安全性とプライバシーが侵される」と彼らは主張する。最高裁判所は米国時間10月22日にFacebookの言いぶんを聴く予定だ。

インドのインターネット人口は近年増大し、業界の推計によると現在は6億人を超えている。安価なAndroidハンドセットと低料金のモバイルデータの増殖により、ますます多くのインド人がインターネットとソーシャルメディアプラットホームのユーザーになっている。

ある下級裁判所は最高裁判所に対して「テクノロジーは経済成長と社会開発に寄与する半面、ヘイトスピーチやフェイクニュース、公序紊乱、反国家的活動、名誉毀損的投稿、などなどの違法行為がインターネットとソーシャルメディアの上で急増している」と伝えた。

画像クレジット: HABIB NAQASH/AFP/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebookは言論の自由ではない、暴言に最適化された増幅アルゴリズムだ

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は10月17日に講演を行い、「すべての人に発言力を与える」こと、そして「できる限り表現の自由の定義を広く保つ」ための戦いを称賛していた。もちろん、それはいい考えだ。表現の自由は、彼の道標ではないにしても、リベラルな民主主義の道標だ。それに反論する人間はいないだろう。

問題は、Facebook(フェイスブック)が言論の自由を与えていない点だ。それが与えているのは、自由な増幅だ。最初のころのFacebookのように、誰かのページや暴力的な投稿を読むために、そこまでわざわざナビゲートしなければならないとしたら、たとえ嘘であろうが憎悪に満ちた内容だろうが、ほとんど問題にされない。

だが人々がFacebookで実際に読んでいるのは、自分のニュースフィードだ。その中の投稿は、すべての人に同等の発言力を与えられた結果として表示されるわけではない。厳格な時系列に沿って表示されるわけでもない。私たちがFacebookで読んでいる内容は、完全にFacebookのアルゴリズムによって選ばれたものだ。ニュースフィードが自由な言論の場であり、増幅もほとんどされない場だと勘違いしている人からしてみれば、めちゃくちゃ排除され、めちゃくちゃ検閲されている場所だ。

では、増幅とはなんだろう?投稿内容には2つの形式がある。通常のネイティブコンテンツは、エンゲージメントを高めるアルゴリズムにより最適化される。これは、人々にFacebookでより長い時間を過ごさせるためのものだ。それにより、増幅されたもうひとつの形式のコンテンツ、つまり有料広告に触れる時間が長くなる。

もちろんこれは完璧ではない。ザッカーバーグ氏が講演で述べていたように、Facebookは捏造記事や誤った医療情報などが拡散しないように阻止する努力をしている。それがなくともアルゴリズムによって排除されるにも関わらずだ。しかしザッカーバーグ氏は、有料広告による政治的な誤情報の拡散は阻止しないと決意している。

この決断には、私は個人的には同意できないし、分別のある人なら、合意しにくい問題だろうと私は考える。ところが、それを言論の自由を擁護するためだと主張するのは、非常に不誠実なことだと私は感じた。もし誰かが、どこかのプラットフォームなりネットワークに露骨な偽政治広告を出そうとして掲載が拒否されたとき、それを言論の自由に対する攻撃だと真剣に考える人はいるだろうか?いるはずがない。それに対する反論には、まともに応じる必要もない。

だがさらに深刻なのは、アルゴリズムが内容を感知していなければ公正だとFacebookが考えているらしい点だ。ザッカーバーグ氏が人々に発言権を与えることに言及したとき、彼が本当に意味していたのは、Facebookのアルゴリズムによって選ばれた人に発言権を与えるということだ。「人には大規模に自己表現をする力があります。それは世界の新たな権力、第5権力です」と彼が発言したとき、その真意は、Facebookのアルゴリズムこそ第五権力だという点にあった。

その信念とは、明らかに、法律が求め社会契約が示唆する必要最低限のことを超えたコンテンツに基づく人間の判断、つまり、彼が講演の中で指摘していたヘイトスピーチ、嫌がらせ、危険な偽医療情報のフィルタリングは、危険で間違っていて、それはネイティブコンテンツにも有料広告にも通じるというものだ。それに従えば、Facebookのアルゴリズムは、コンテンツに関与しない限りは完全に公正ということになる。

だがこの信念は、完全に間違っている。これまで見てきたとおり、「エンゲージメントのための最適化」は、怒りや二極化や不誠実な偽情報のための最適化であることが非常に多かった。それぞれの問題に関して特定の側に味方することは、たしかになかった。しかしそれは、どちらの側でも、極論、陰謀説、感情的な罵倒を助長してきた。不信感、疑念、争いをいたるところで煽ってきた。私たちは、ずっとそれを見てきた。その中に私たちは暮らしてきた。

Facebookの、内容に関わらず政治広告を承認するという判断は、本質的には、彼らのアルゴリズムがエンゲージメントを最適化する方法の理論的な延長線上にある。それは、内容に基づく判断をしない限り、現在進行中の、今後永遠に続く、人々に何を見せて、何を見せないかの操作(これが言論の自由に反するとお考えなら検閲と読んでもいいだろう)は、したがって公平かつ公正なのだと物語っている。こうした考え方には、10年前いや5年前までは対抗できた。しかし、今はもう対抗できない。

これはもう、変えられないことでもある。Facebookのそもそもの罪は広告ではない。それは利用者にもっと広告を見せることを目的としたエンゲージメントのための最適化だ。Facebookが世界のポジティブな力になるためには、そこを変える必要がある。とは言え、彼らは決して変わらないだろう。なぜなら、そのエンゲージメントこそFacebookのビジネスモデルの基本だからだ。

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(翻訳:金井哲夫)

Facebookの「リブラ」が大方針転換で現地通貨と連動か

Facebookは、同社のデジタル通貨プロジェクトを、さまざまな通貨を組み合わせた「通貨バスケット」と結びついた人工的通貨とする計画を変更する可能性があることを表明した。

ロイターによると、Facebookのリブラプロジェクト責任者、David Marcus(デイヴィド・マーカス)氏は銀行幹部グループに対して、同社の主要なゴールは優れた決済システムを作ることであり、当社提案したプロジェクトのしくみと異なる方法の採用も辞さないと語った。

当初、Facebookとパートナー企業らは、リブラ・アソシエーションが設定した主要通貨を組み合わせた「バスケット」と結びついた仮想通貨を作る計画だった。

各国の中央銀行はこれを、当局の規制を回避する危険な計画の一環だと考え、Facebookが構築した暗号通貨と決済技術の運用に対する監視を強化するまでプロジェクトを待機させている。

当局の調査の結果、暗号通貨の運用方法を決めるリブラ・アソシエーションの主要なパートナーの一部にさまざまな問題が見つかった。

先月、 リブラ・アソシエーションの設立メンバーのうち7社が脱退し、そこにはPayPal、Mastercard、Visa、Ebay、Stripeらが含まれていた。その7社はリブラにとって重要な戦略的価値をもっていた。Stripe、Mastercard、Visa、およびEbayは、新しい通貨の爆発的スケーリングに必要となる膨大な数の決済処理業者や小売店舗を抱えている。
関連記事:Libra claims 180 potential replacements for 7 mutineers

ここへ来てマーカス氏は人工的通貨の制定を断念し、リブラを運用する地域の現地通貨と結びつけられたステーブルコインを考えている。

「別のやり方もある」とリブラ・アソシエーション幹部の発言をロイターが引用した。「人工的通貨単位を作る代わりに、ドル・ステーブルコイン、ユーロ・ステーブルコイン、ポンド・ステーブルコインという具合にいくつものステーブルコインを作ることもできる。

こうした事象はすべて、Facebookが発表した暗号通貨リブラの発行日付に影響を与える。マーカス氏はロイターに、今でも6月発行が目標だが、リブラ・アソシエーションは、規制当局が指摘した問題を修正し、承認が得られるまでプロジェクトを進めないつもりだ。

ただし、その承認を得ることも難しくなりつつある。世界中の通貨政策が、ステーブルコインに対しても懐疑の目を向け始めているからだ。

ロイターによると、G-20参加国の財務担当者らは「ステーブルコイン・プロジェクトが『運営を開始』するためには、マネーロンダリング、違法金融、消費者保護などの問題を精査する必要がある」と語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

罰金総額3.8兆円の対Facebook集団訴訟がいよいよ本番へ

Facebookは、米国イリノイ州で顔認識データを悪用したとされる賠償額350億ドル(約3兆8000億円)の集団訴訟の前段で敗訴した。米国時間10月16日、同社はその訴訟を棄却してもらうために必要な第9巡回裁判所の裁判官全員の前でのヒアリングを拒否されたのだ。従ってこの訴訟は、最高裁判所の仲裁がないかぎり実際の裁判にかけられる。

訴状によると、マッピングが始まった2011年にイリノイ州の市民は、アップロードされた彼らの写真が顔認識でスキャンされることに同意していないし、データがどれだけ長く保存されるのかに関する情報の提供もなかった。Facebookは700万人の人々に対し一人あたり1000ドルから5000ドルの罰金を科せられ、その総額は最大で350億ドルになる。

facebook facial recognition photo review

第9巡回裁判所の3人の判事はこの訴訟の棄却を求めるFacebookの申し立てを却下し、原告を集団訴訟原告不適格とする8月の抗告も退けられた。判事の一人は、Facebookの顔認識データが監視カメラの記録で彼らを特定するために利用されたり、さらにはバイオメトリックスで保護されている携帯電話をアンロックするために使われたこともありえると述べた。Facebookはもともとこの機能を、写真のタグを強化するために作り、ユーザーにタグのない写真を見せ、それが自分であるか、それとも特定の友だちであるかを尋ねていた。

Nicholas Iovinoが今日見つけた裁判所の発表を、この記事の末尾に掲載した。コメントを求められたFacebookのスポークスパーソンは、次のように答えた。 「Facebookは常に顔認識技術の使用について人々に話しており、それを彼らのために利用することの是非に関しては彼らにコントロールを与えている。私たちは私たちのオプションを目下再検討しており、今後も私たち自身を強力に擁護し続けたい」。

2015年に提出されたこの集団訴訟の告訴を、Facebookはあらゆる手段で阻止しようとした。訴状中の大量の言葉の定義に異議を申し立てたり、訴えの基盤にもなっている「バイオメトリック情報プライバシー法」を無効とするロビー活動を展開したりした。

FTCの同意判決違反では5億ドルの示談金で合意に達したが、この集団訴訟の罰金額はその記録を破っている。昨年の年商550億ドル(約6兆円)のFacebookにとってたいした額ではないかもしれないが、この訴訟にはデータのプライバシーや透明性に関する要求が大量に付随している。350億ドルの罰金決定は、今日のFacebookの株価の2.25%下げに貢献したようだ。

画像クレジット: Mike MacKenzie
補足記事提供: Zack Whittaker

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebook主催のアイトラッキングコンペで東京のクーガーが世界3位に入賞

Facebookが主催するアイトラッキングの認識精度を競う「OpenEDS(Open Eye Dataset)Challenge」は、世界各国からコンピュータビジョンの研究者が挑戦するコンペティションだ。大学などの研究機関も参加するこのコンペの結果が9月30日に発表された。コンペの2つの課題のうち、2D画像の眼球位置を推定する「Semantic Segmentation Challenge(セマンティックセグメンテーションチャレンジ)」では、東京・渋谷に拠点を置くクーガーのチームが提出したAIモデルが世界3位を獲得している。

VR/AR普及のカギ、視線追跡の「精度」と「軽さ」を競う

VR/ARが注目を集める中で、スマートグラスの装着時に視線や眼球の動きを追跡する「アイトラッキング」の需要は高まっている。深層学習の進歩によりアイトラッキング領域でも成功例は出てきている。ただしCPUの性能にはまだ限界があり、リアルタイムでの精度の高い計算には制限がある。

また安定した効率的な機械学習ソリューションを用意するためには、異なる条件下にある何千人ものユーザーから、大量で正確な学習データを取得する必要がある。しかしコスト面でも正確性の面でも、実際には収集できるトレーニングデータの量と品質には制約がある。

VRデバイス「Oculus Rift」や「Oculus Go」などの製品も持つFacebookが、OpenEDS Challengeを開催し、機械学習やコンピュータビジョンの研究者の参加を求めるのには、こうした背景がある。OpenEDS Challengeでは、2つの課題が提示された。

1つは、2D画像から眼の瞳孔や虹彩、強膜、そしてその他の部分の位置を正確に推定する「セマンティックセグメンテーション」。もう1つは、入手が困難な現実の視線データに代わり、現実的な眼の画像を合成して効率的なデータ学習が行えるようにする「Synthetic Eye Generation(シンセティックアイジェネレーション)」だ。

このうちセマンティックセグメンテーションの課題で、クーガーに所属するDevanathan Sabarinathan氏とDr. Priya Kansal氏によるAIモデルが3位にランクイン。さらにこのモデルの独自性が評価され、11月に韓国・ソウルで行われるコンピュータビジョンのカンファレンス「ICCV」ではこのモデルについての論文が採択され、発表が決定している。

既存手法を活用してコンペ条件をクリア、入賞も果たす

セマンティックセグメンテーションの技術は、VR/ARデバイスなどで視線追跡を行うときに、2D画像の正確な認識、つまり眼の重要な領域(強膜、瞳孔、虹彩)とそれ以外の領域をピクセル単位で区分するために必要なものだ。認識の精度の高さとリソース消費の少なさが求められるため、今回のFacebookのコンペでは「モデルの精度」「モデルサイズの軽量化」の視点で審査が行われた。

クーガーが発表したEyeNetモデルによる認識結果画像

今回クーガーが発表したモデル「EyeNet(アイネット)」は、7月に米国で開催された別のコンピュータビジョンに関するカンファレンス「CVPR」で同社が発表した、骨格認識のモデル「SkeletonNet(スケルトンネット)」をベースに開発された。OpenEDS Challengeでは、高精度を保ちながら、モデルサイズを2MB以下、モデルのパラメータ数(複雑さ)を40万以下に抑えるという条件をクリアしなければならない。結果、クーガーのモデルは提示されたベースラインをクリアしただけでなく、世界3位を獲得することができた。

ベースラインのモデルの数値:
mIoU: 0.89478
Model Complexity: 416,088.00000
Total Score: 0.76240

クーガーのモデルの数値:
mIoU: 0.95112 (6.3%の向上)
Model Complexity: 258,021.00000 (38%の向上)
Total score: 0.97556 (28%の向上)

このコンペティションで上位入賞を果たしたチームは認識精度を上げるうえで、主にデータの前処理での工夫に注力している。クーガーは、インプットデータのどの部分を重視するかを決定する「アテンション機構」の複数使用や、Microsoft Researchが2015年に考案した、高い画像認識能力を持つニューラルネットワークモデル「Residual Network」を組み合わせることなどによって、モデルの精度を向上しながら軽量化も果たしたという。

より自然なコミュニケーションのために人型AIアシスタントを開発

クーガーは2006年の創業。ホンダへのAI学習シミュレータ提供や、Amazonが主催するロボットコンテストAmazon Robotics Challenge(ARC)上位チームへの技術支援、NEDO次世代AIプロジェクトでのクラウドロボティクス開発統括などで知られる。ゲームAI、画像認識AI、ブロックチェーンの分野に強みがあり、現在は人型AIアシスタント「Connectome(コネクトーム)」の開発・提供に力を入れている。

クーガー代表取締役CEOの石井敦氏は「人型AI、バーチャルヒューマンエージェントには、ゲームAIによる生きているように感じるキャラクター性、視覚情報から状況を理解する画像認識能力、情報の信頼性を担保し、安全にデータを扱うブロックチェーン技術の3つすべてが必要」と話す。「当社は3つの分野それぞれで、世界トップクラスの技術を持っている。そのうちの画像認識領域での成果のひとつが、今回のOpenEDS Challengeでの3位入賞だ」(石井氏)

Connectomeは音声認識、映像認識、そして表情やしぐさから感情を認識する機能やジェスチャーを認識する機能を持つ。

コンピュータのモニターやデジタルサイネージで動く「モニターモード」やタブレット、スマホのようなモバイル機器で動く「ARモード」が開発されており、ショッピングセンターやコワーキングスペースなどの施設の案内や利用者とのコミュニケーション、イベント実況などで活用が進められている。

「Siri」や「Googleアシスタント」をはじめ、スマートスピーカーなど音声によるAIアシスタントはある程度、一般化してきたが、わざわざ人間のように振る舞うエージェントを用意するのはまだ、ハードルも高い部分もある。また、中には「機械やキャラクターでも用が足りるのに、必ずしも人型にすることはないのではないか」という論もある。石井氏に人間のようなインターフェースを持つ、バーチャルヒューマンエージェントを開発する意図を聞いてみた。

ロチェスター大学の研究では、バーチャルヒューマンとASD患者の10代の若者たちが会話するプロジェクトで、患者の60%が実際の人間より話しやすいと回答している。また、南カリフォルニア大学の調査では、音声のみでコミュニケーションを取るときと比較して、バーチャルヒューマンを使った場合、応答率は17%増加し、応答時間は19%増えたという結果もあり、人型が相手の方が利用者が出す情報量が増え、共感が生まれることが分かっている。人型AIの方がコミュニケーションがより自然になり、人間の信頼度も上がる。特にヘルスケア領域などでは、キャラクターよりも人のようなもの、より人に近いものと話したい人は多いと考えている」(石井氏)

石井氏は「目線の分析はもはや当然になっていて、より細かな分析へと焦点は移っている」として、バーチャルヒューマンエージェントへの画像認識技術の応用について、こう語った。「クーガーではコンピュータビジョンの分野で強みを持ちながら、バーチャルヒューマンを開発している。またバーチャルヒューマンエージェントのSDKを他社にも提供することで、ユースケースの拡大を図っている。ゆくゆくは今回発表したアイトラッキングの認識技術をSDKにも取り込むつもりだ」(石井氏)

FacebookのLibra AssociationからMastercardとVisa、eBay、Stripeが脱退

PaypalがFacebookの暗号通貨Libraとその関連団体から一抜けると発表してから1週間後に、さらにeBay、Stripe、そしてMastercardの3社が離脱すると報じられた。そしてVisaももその後を追うことが判明した。

TechCrunch宛てのコメントでStripeのスポークスパーソンは「Libraとの将来の協働の可能性のためにドアは開けておくが、今その可能性はない」と語った。

「Stripeは、オンラインの商業を世界中の人びとアクセスできるようにするためのプロジェクトを支持している。Libraにはその力がある。今後もその進歩を注視し、未来におけるLibra Associationとの協働に向けてオープンな姿勢を維持したい」。

eBayは、スポークスパーソンの談話がロイターに載った。「Libra Associationのビジョンを高く評価しているが、eBayは創立メンバーとして前進しないことを決定した」。

Mastercardが近く行う離脱は、WSJが報じた。3つの有力パートナーが揃っていなくなることは、このプロジェクトにとって大きな打撃だ。すべては、まだ表面化していない規制圧力のために多くのメンバーが支持を見直している、という記事のわずか数日後に起きたことだ。

アップデート:今度はVisaも脱退したが、規制に関する懸念を直接的に述べている:

Visaは現時点でLibra Associationに参加しないことを決定した。今後も評価は継続するが、弊社の最終的意思決定は、当団体がすべての規制要件を完全に満たすかなど、いくつかの要素に依存している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

PayPalがFacebook率いるLibra Associationから撤退する最初の企業に

【抄訳】
PayPalは、Facebookがこの前発表した暗号通貨Libraとその関連団体から公式に脱退する最初の企業になった。

PayPalは次のように声明している。「PayPalは今回、Libra Associationへの今後の参加を見合わせ、誰にでもアクセスできる金融サービスの実現という弊社のこれまでのミッションの前進に引き続きフォーカスすることを決定した。Libraが志望しているものに対しては今後も支持を続け、協力のあり方について対話を維持したい。FacebookはPayPalにとって長年の貴重な戦略的パートナーであり、今後もいろいろな面でFacebookとパートナーしサポートを続けるであろう」。

PayPalのような高名なパートナー候補がこの取り組みから、まだ離陸すらしていない時点で撤退したことは、FacebookとLibra Association(Libra連合)にとって大きな打撃だ。それでなくてもLibraは、最初は協力的だった一部大企業の変心に苦しみ、規制当局などからの否定的な反応(反トラスト問題など)に足を引っ張られていた。このままでは、立ち上げとその後の成長も、思わしくないかもしれない。

これに対してLibra Associationは、PayPalへの対応として、口調は控えめだが厳しい声明を発表した。Facebookは本誌からの質問をこのグループに渡し、直接にコメントすることを控えたようだ。

すなわち、Facebookのスポークスパーソンは「Libraのような意欲的な事業は、ある種の大胆さと気丈さを必要とする。それは正しくより良いやり方で金融サービスへの平等なアクセスを目指す、現世代にとっての重要な機会であり、その旅路は厳しく困難なものになるであろう。金融のシステムを金融機関のものから人びとのものへ変えようとするこの変革努力は、きわめて困難な道のりであり、何よりも必要なのはそのミッションへの献身である。われわれは、この献身の欠如について、あとからではなく今知りたいと願っている」とコメントしている。

【中略】

今週初めのウォール・ストリート・ジャーナルの記事は「MastercardやVisaなどの企業がPayPalに倣ってLibraプロジェクトから撤退するかもしれない」と報じている。これに関しVisaのCEOであるAl Kelly(アル・ケリー)氏は公式声明で「規制やそのほかの問題が阻害要因にならないかぎり立ち位置は従来と変わらない」と語った。

【後略】

関連記事:議会証言でFacebookのデジタル通貨の欠陥が明らかに(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Instagramが「親しい友達」専用チャットアプリ「Threads」を世界でスタート

Instagramが親しい友達に今やっていることを自動的に送信できるとしたらどうだろう?例えば、 (家にいる)、 (仕事中) (移動中)、 ️(リラックスしている)といった具合だ。これがInstagramの新アプリ「Threads」の狙いだ。Instagramの「親しい友達」専用のチャットツールで、ワンタッチでカメラを起動するショートカットが用意され、写真やビデオを簡単に送信できる。

ThreadsにはStatus(マニュアル送信)とAuto Status(自動送信)というこれまでなかったまったく新しい機能が用意される。ユーザーはここに好みの絵文字をメッセージとして設定し、親しい友達に自分のステータスをワンタッチで知らせることができる。また位置情報をベースにしてInstagramが自動的に各種機能にアクセスできるようオプトインすること可能だ。

Instagram Threads Auto Status

米国時間10月4日、ThreadsアプリはiOS版とAndroid版が世界で公開される予定だ。 FacebookによるInstagramのメジャーアップデートはSnapchat最大のユースケース、つまり親しい友達に対する写真とテキストの連続送信をターゲットとしている。

どこの誰ともわからない相手からのどうでもいい着信には皆飽き飽きしている。チャットアプリのユーザーにとって興味があるのは「親しい友達」リストにあるメンバーの動静だが、Threadsに表示されるのはまさにこの「親しい友達」だ。もちろんInstagram本体からダイレクトメッセージ機能を使ってもいいし、併用することもできる。

ただしThreadsがユニークなのはわれわれが1年半前に発見したカスタム絵文字指定によるステータス送信機能をとうとう正式機能に組み込んだことだろう。

ThreadsのStatusとAuto Statusはユーザーがいまどういう状態にあるか、そのコンテキストをワンタッチで伝えることができるので会話を始めるきっかけに好適だ。「移動中」のアイコンが表示されていればなぜ返事がないのかわかるし、「仕事中」ならオフィスを訪問すれば会えるだろう。ただしプライバシーを考慮してマップ表示などの正確な位置情報は表示されない。重要なのは友達がどこにいるかではなくどんな状態にあるかだ。それがわかれば会話を始める、しばらく控えるなどの判斷の材料になる。

Instagramのコンシューマ・プロダクト・デザインの責任者であるRobby Stein(ロビー・ステイン)氏は私のインタビューに対してこう説明した。

Threadsは「恒常的なつながり」を提供するのが目的だ。基本的な狙いは「自分にアクセスできる相手を正確に管理できるようにする」ことだ。 自分が日頃メッセージをやり取りする相手が特定の数人に限られているなら、そのような行動を簡単にするアプリを作ってもいいではないか? また文章をタイプしてメッセージを送る時間がなくても(ワンタッチで絵文字を送ることで)「つながっている」ことができるならたいへん便利だろう。

ThreadsをInstagram本体とは別のアプリとしてリリースしたのは、ひとつには万一不評だった場合でも本体に被害を及ばさないためもある。しかし成功すれば、Threadsは家族その他親しい友達の動静を常に知ることができる魔法ののぞき窓となる。SMS、WeChat、Snapchatその他のチャットアプリの雑音に悩まされているユーザーにとっては大きな朗報となるかもしれない。

「親しい友達」専用

ソーシャルネットワークの厄介な点は、どうでもいい相手を偶然や礼儀などが原因で友達に追加してしまうことだ。こうした友達の投稿でタイムラインが占領されると全体として興味を引かないものとなってしまう。特にFacebook本体アプリは「万能型ネットワーク」であるため家族、恋人から上司、同僚まであらゆる人々が見ている場所だ。そのためプライベートなことがらはFacebookに投稿しにくいと感じるユーザーが増えている。

Instagram Close Friends Threads

Instagramが「親しい友達」を発表したのは昨年11月ベルリンで開催されたTechCrunch Disruptだった。これは特定のメンバーを「親しい友達」として設定できる機能で、このグループにだけストーリーズを投稿することができる。Facebookは何度もリスト設定に新しい機能を追加してきたがいずれも設定の手間がメリットに見合わず、広く使われるようにならなかった。

「親しい友達」は設定も簡単だし、相手は自分がリストに載っているかどうか分からない。大変便利な機能で、ベルリンで初めて見たとき、Instagramがまだこれを実装していなかったのに驚いたほどだ。【中略】

Auto Statusは受動的情報共有

3年前に私はソーシャルネットワークには「友達がいまどんな状態にあるかいちいち尋ねないでもわかる仕組みが必要だ」と書いた。

InstagramのThreadsはこうしたニーズに応えるアプリだ。プライバシー上の懸念があるため、情報共有の設定が微妙となるが、Threadsでは共有相手を限定すると同時に正確な位置情報などが表示されないようにしている。

Instagram threads Status

Statusによる共有では絵文字でメッセージを送信する。これは1時間から4時間で消滅する。事前に短文を送信メッセージとして用意することもできるし、無数の絵文字から選択することも可能だ。
設定できるメッセージ絵文字には (空いてる)、 (忙しい)、 (勉強中)、 (トラブっている)など.がある。

いっぽうAuto Statusgはデフォルトではオフになっている。この機能をオンにすると、Instagramは収集したデータによって自動的に適切な絵文字を選択して親しい友達に送信する。例えば、ロケーション情報から家、勤務先、カフェ、バー、旅行中などを判断し、それに合った絵文字を選び出す。加速度センサーの情報から自転車に乗っていると判断することもできる。またバッテリーが減っている、充電中であるなどの情報も送信される。

しかしなぜバッテリー情報を送信する必要があるのだろう?これについてInstagramのステイン氏は「バッテリーが充電中だとユーザーがデバイスの近くにいない可能性ある。すぐに返事ができないかもしれない。バッテリー残量がわずかだとステータス送信を止めるかもしれない」からだという。なるほど親しい友達のバッテリーの状況を知っていれば便利なこともありそうだ。【中略】

Instagram threads logo

いまのところ、InstagramはThreadsを商業的に利用する予定はないという。つまり広告が表示されることはない。実際、Facebookはデバイスから得た正確な位置情報を広告その他に利用することはしていない。位置情報は映画館にいる、レストランにいるなどユーザーの状況を知るためだけに用いているという。またFacebookは得られたロケーション情報を一定期間を超えて保存することしないという。

そうではあってもFacebookやInstagramが個人情報を収集し過ぎると考える人々にとってAuto Status機能は反感を呼ぶかもしれない。しかし親しい友達が「ヒマにしている」か「忙しくしている」か知ることができるのは反Facebook派の懸念以上にメリットがあると思う。ThreadsがきっかけとなってInstagramは新しいソーシャルなつながりのハブとなる可能性がある。【中略】

ソーシャルな自慢は情報共有を萎縮させる。Snapchatその他のチャットアプリはこれを排除しようとあれこれ試みたが結局うまくいっていない。Instagramは逆にソーシャルネットワークがさまざまな事情で膨れ上がってしまうのは止むを得ないと認め、逆に本当に親しい友達間のチャットアプリを作ることにした。これはよい考えではないだろうか。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

EUの包括的コンテンツ削除命令の中止を求め、FacebookのザッカーバーグCEOが訴訟へ

Facebookは欧州の最高裁判所と戦うつもりだ。米国時間10月3日に同法廷は、EU諸国が現地法に違反するコンテンツを包括的に削除するようFacebookに命令できるとする裁定を下した。

しかし本日、CEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はライブストリーミング配信された社内Q&Aで「これは、われわれも他の会社も戦うべき問題だ」と語った。

同氏は、Facebookはこれまでに行き過ぎた削除要求との「戦いに勝利」してきたと説明した。さらに「裁定が具体的にどのように適用されるかは欧州各国の裁判所によって異なる」ことも指摘した。

Facebookは本日New York Timesに提供した声明で、欧州司法裁判所の裁定は「1つの国が他の国の言論に対して自国の法律を強いることはできないという長年続いている原則を覆すものだ」と語り、この決定は「インターネット企業は特定の国で違法になる可能性のある言論を監視、解釈、削除する役割を果たすべき」だとする問題を表面化させるものだとも語った。

Zuckerberg Live QA

ザッカーバーグ氏は最近ライブストリーミングでのQ&Aを実施していなかったが、Facebook社内では毎週行っている。The VergeのCasey Newton氏がリークされたFacebook全社ミーティングの2時間にわたる音声データを公開したあとも、同氏は隠すことはなにもないことを示そうとしている。

質問前の発言でザッカーバーグ氏は、米国のウィリアム・バー司法長官が公開書簡で、米国、英国、およびオーストラリアがFacebookに対して、暗号化のメッセージングアプリ全体への拡大を中止するよう要求していることも話題にした。「これは非常に深刻な問題と捉えている」とザッカーバーグ氏は言った。「我々はさまざまな正当性のバランスを取ろうとしている。児童虐待者やテロリストの摘発と、反体制派や一般市民のプライバシーや保護のバランスはその一例だ」。

ザッカーバーグ氏は、Facebookは暗号化されたアプリでも監視は可能であると主張した。「パターンを検出するためにできることはたくさんある」。例えば、Facebookで悪事を働くWhatsAppアカウントを停止したり、メッセージスレッドそのもの以外の不審な行動を分析することで「アップロード時に見つける」こともできると説明した。

同氏は、Facebookが規制当局による会社分割の企てを止めるために訴訟する可能性があると発言したことについて聞かれた。大統領候補のエリザベス・ウォーレン氏が企業分割を政策の中心としていることから、彼女の発言を届きにくくしたり、支援者の有権者登録を回避しようとするのではないかという議論があることについても語った。

ザッカーバーグ氏は具体的にもしFacebookがそれを理由にエリザベス・ウォーレン氏が大統領になることを心配しているのだとしたら、我々が公平であり、彼女やほかの候補者たちの声が確実に届くようにしていると、どうやって信じてもらえるだろう」と言い、「私がいいだろうと思うことに人々が同意してないとしても、それでも私はその人たちに発言の機会を与えたい。我々は常に、人々が表現したいことを自分たちの好き嫌いよりも優先させなければならない」。

もちろん今日のセッションでは、リークされたQ&Aセッションよりも用心深かった。ある時ザッカーバーグ氏は、これはプライベートな会話ではないので「Dating」(日本未公開の出会い機能)のデータは公開しないと言った。それでも今回のトークによって、Facebookの政治的立場が激動の時を迎えていることは明らかになった。

ザッカーバーグ氏はQ&Aの最初に、今回のセッションを一般公開することについて「自分はインタビュー対応が下手すぎるので、失うものはなにもない」からだと冗談を言った。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookでニュースを読む人は多いが内容を信用する人は少ない

画像クレジット:Jon SCC BY 2.0ライセンスによるFlickr

Facebookは、今月にも「ニュースタブ」を導入する準備を整えている。人手によってキュレーションしたニュースストーリーを表示するもの。友達だちがシェアした記事、有料のプロモーション、アルゴリズムによって選ばれた記事が表示されるニュースフィードを補うものとなる。しかし、ソーシャルメディアが、今日のニュースのプラットフォームとして、どのように見られているかを示す分の悪いレポートが登場した。

ソーシャルメディアごとのニュース消費量(Pew調べ)

Pew Research Center(ピューリサーチセンター)の調査によれば、この7月の調査の対象となった米国の成人の半数以上(約52%)は、すでにFacebookでニュースを読んでいるという。その結果、Facebookが、ソーシャルメディアの中でもっとも人気のあるニュースソースとなっている。ちなみに、2位はYouTubeで28%、3位はTwitterの17%となっている。Instagram、LinkedIn、Reddit、Snapchat、といった他のさまざまなプラットフォームも、数字は小さいながら、それなりの存在感を示している。

全体として、調査対象となった人の88%は、ソーシャルメディアがユーザーに見せるニュースは「少なくとも多少は統制」されていると考えていた。

しかし、そうした統制についての感情はさほど極端なものではない。

回答者の過半数(62%)は、ソーシャルメディア各社が、それぞれのプラットフォームに表示するニュースの選択について「統制し過ぎ」だと考えている。そして、55%の人は、その結果ニュースの取り合わせが偏っていると思う、と答えている。全体の53%は、一方的な視点で書かれたニュースの存在に気付き、51%は、不正確なニュースはソーシャルメディアの「非常に大きな問題」だと捉えている。

このような調査結果は不安をかきたてる。Facebookなどのメディアは、すでにニュースの配信に関しても、大きな力を握っていることを明確に示している。それと同時に、そうしたことが好ましくない影響を及ぼすと、すでに多くの人が判断していることも示している。

そうした不穏な話に続いて、ソーシャルメディアのプラットフォームが、悪意によってどの程度操作されているのか、ということも、今回の調査結果には含まれている。政治団体や政府が、身分を隠し、ソーシャルメディア上で人心を惑わすような話をばらまいているという話は、数年前から今日に至るまで囁かれてきた。しかし、いくらプラットフォーム側が、そうしたアカウントを特定して削除しようとしたところで、むしろおおっぴらな悪用は増え続けているのだ。

つい先月には、有料チャンネル(つまり広告)でストーリーを掲示する人は、自分の政治的な意図に合わせてニュースの見出しを書き換えられることが明らかになった。大多数の人に、ニュースの論調を偏向させて見せるためだ。多くの人は、友だちの子供の最新の写真をチェックしたりするためにスクロールする際、ストーリーをクリックして中身を読むことなく、表示されている要約を読んでいるだけなのだ。

そして、それは消費者にとってのみ悪いことなのではない。ニュースの発行元は、自分たちのストーリーをソーシャルメディアがシェアし、収益化可能なトラフィックに変換することで得ている収入の分け前を受け取っていないことを、長い間嘆いてきた。そして規制が強化されることで、こうした状況もじきに変わるだろうと考える人もいた。ところが、今週のWSJのレポートは、それもすぐには変わりそうもないことを示唆していた。Facebookは、人手でキュレーションされる新たなニュースタブでシェアされる記事についても、ごく一部の発行元にしか使用料を支払うつもりがないというのだ。

さらに興味をそそる詳細まで掘り下げてみると、共和党支持者は民主党支持者に比べて、ソーシャルメディアがニュースに及ぼす影響を問題視していることを、Pewは突き止めた。右寄りの人の75%が、ソーシャルメディアはニュースを統制しすぎだと考えているのに対し、左寄りの人は53%だけが、そう感じている。皮肉なことに、ソーシャルメディアが自分の考えを反映したものになっているか、という質問になると、これらの数字は逆転する。

またPewは、ソーシャルメディアでニュースを読む人の48%が、ニュースは「リベラル、または、かなりリベラル」と信じていることも示している。これは、共和党支持者は民主党支持者よりも、ソーシャルメディアがニュースを統制し過ぎていると考えていることと符合する。逆に、ニュースが保守的、または、かなり保守的だと信じている人は14%だった。これは、右寄りの人が、メディアはあまりにもリベラルだと感じていることを裏付けているのかもしれない。そして彼らは、彼ら自身の政治的信条にそぐわないニュースを見せられていると感じているのだろう。

また今回の調査は、Facebookから支払いを受けているのはごく一部のニュース発行元だけ、という最近の報告に沿った結果も示している。回答者の82%は、すべてのニュースソースが、現状ではFacebookから対等に扱われていないのではないかと感じている。つまり、一部のニュースソースが他よりも目立つような扱いを受けているということ。ほぼ88%の人は、「注目度の高い」、言い換えれば「クリックベイト」と呼ばれるような記事を発行している会社の記事が、フィードに表示されやすいと信じているのだ。そして84%が、ソーシャルメディア内でのフォローという行為が重要な役割を演じていると考えている。79%は、ストーリーの政治的傾向が、自分のフィードに表示される頻度に影響していると信じている。

男性と女性の読者の差異については、このレポートの調査結果も驚くに値しない。最近の他のソーシャルメディアに関する調査と似たりよったりとなっている。たとえば、Redditのようなメディアは、かなり男性の読者に偏っているが、Facebookでは逆に女性が多い。

最後に、このレポートは主にニュースの偏りと、それに対する感じ方についてのものだが、ここに登場しているプラットフォームの種類と、それぞれの傾向に注目して見てみるのも興味深い。たとえばTikTokは、ソーシャルメディアの世界では、やがて支配的な力を持つようになると多くの人が考えているものの、ニュースを読むためのプラットフォームだと考えている人は、1%にも満たない。一方Snapchatも、ニュース配信となると、たった6%でしかない。

これらのプラットフォームには、若いユーザーが多いことを考えると、これは、若い人たちが、ソーシャルメディアをニュースを読むためには使っていないことを示していると考えられる。さらに言えば、そもそもニュースには興味がないということなのだろう。ソーシャルメディアのプラットフォームは、今のところニュースの世界ではのけ者と位置付けられているのかもしれない。しかし、そうと決めつける必要はない。会話の種類を変えることもできるはずだ。そうして、これまでは会話に加わってこなかったような人を、引き込むこともできるだろう。

この調査は、Pewが、7月8日から7月21日にかけて、American Trendsのリサーチパネルに属する回答者5107人に対して実施したもの。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Facebookがインド亜大陸におけるクリケット国際大会の独占デジタル権を獲得

Jos Buttler runs out Martin Guptill off the final ball of the superover to give England victory during the England v New Zealand ICC Cricket World Cup Final 2019 at Lords Cricket Ground on July 14th 2019 in London (Photo by Tom Jenkins/Getty Images)

クリケットファンは今後数年間、Facebookを頻繁に見ることになりそうだ。現地時間9月26日、Facebookは国際クリケット評議会(ICC)と提携し、2023年までのICCの世界大会に関してインド亜大陸における独占デジタルコンテンツ権を獲得したことを発表した。

この4年間の契約の金銭的な条件は明らかにされていない。Facebookはインド亜大陸で、試合後とプレイ中のハイライトや試合に関する「おすすめコンテンツ」を提供する。この独占権はインド亜大陸に限定され、ほかの地域では試合後のハイライトを提供する予定だ。Facebookは、この「かつてない、画期的な」契約を通じて「数億人のクリケットファン」に楽しんでもらえることを楽しみにしていると述べている。

Facebookの担当者はTechCrunchに対し、どこのマーケットでも試合のライブストリーミングはしないと語った。

Facebook Indiaのバイスプレジデント兼マネージングディレクターのAjit Mohan(アジト・モーハン)氏は発表の中で次のように述べている。「ICCにとっては、FacebookファミリーのFacebook、Instagram、WhatsAppを活用して、既存のファンにサービスすると同時に次世代のファンを取り込む、またとないチャンスだ。人々は毎日我々のプラットフォームを利用してクリケットについて話し、友情を育む。今回のパートナーシップを通じて、我々は新しい会話、新しいつながり、新しいファン精神に火をつけるような特別なコンテンツをファンに提供することができる」。

クリケットは米国ではあまりメジャーではないが、英国、インド、オーストラリアなどFacebookの主要マーケットの多くでトップクラスの人気を誇るスポーツイベントのひとつだ。どれほどの人気かというと、ディズニー傘下のインドのストリーミングサービス「Hotstar」は、クリケットのライブストリーミングで同時最多視聴数の世界記録を打ち立てた。

Facebookはよくわかっている。2017年に同社は、インドで人気のクリケットトーナメント「IPL」の5年間のオンラインストリーミング権に6億ドル(約647億円)の入札をした。この入札は、Hotstarを運営するStar Indiaに破れた。昨年Facebookはスペインのプロサッカーリーグ「La Liga」のインドなどでのストリーミング権を獲得し、その後調査をしていた

ICCによれば、7月に終了したICC男子クリケットワールドカップでは、ICCのデジタルとソーシャルメディアのプラットフォーム全体で動画が46億ビューを獲得したという。今回の契約は、以下の大会を対象としている。

  • ICC女子T20ワールドカップ2020
  • ICC男子T20ワールドカップ2020
  • IICC女子クリケットワールドカップ2021
  • IICCワールドテストチャンピオンシップ決勝2021
  • IICC男子T20ワールドカップ2021
  • IICC女子T20ワールドカップ2022
  • IICC男子クリケットワールドカップ2023
  • IICCワールドテストチャンピオンシップ決勝2023
  • IICC男子T20ワールドカップ予選2019
  • IICC男子クリケットワールドカップ予選2022
  • IICC U19クリケットワールドカップ2020
  • IICC U19クリケットワールドカップ2022

昨年Star Indiaは、インドの全クリケットチームの試合について、グローバルでデジタルのライブストリーミング権とテレビの放映権を総額9億4400万(約1018億円)で獲得した。

モーハン氏は、Facebookに加わる前はHotstarの最高責任者だった。同氏は「FacebookはARとVRの未来を描いている。我々は世界中のファンに最高のイノベーションをもたらす可能性があり、そのことに興奮している」と述べた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

FacebookのHorizonは巨大なVRマルチプレイヤーワールド

Facebookは、米国時間9月25日、映画「レディ・プレイヤー1(Ready Player One)」に出てくる「オアシス(Oasis)」のようなVR世界を、独自に構築中であると発表した。それがFacebook Horizon(ホライズン)だ。サンドボックス化された仮想現実の世界で、その中にユーザーが独自の環境やゲームを構築できるもの。そこで友達と遊び、交流したり、他のユーザーが造成した地形を探索したりすることができる。つまり、ネット上の仮想世界、Second Life(セカンドライフ)のFacebook版のようなものだ。

Horizonは、2020年初頭に非公開ベータとして開始される予定となっている。ユーザーは、自分を表すアバターを自由に作成し、Telepods(テレポッド)と呼ばれるポータルを使って、仮想の地域を行ったり来たりすることができる。また映画を観たり、友達といっしょにいろいろなメディアを楽しんだり、「Wing Strikers」といったマルチプレーヤーのゲームで遊んだりすることも可能。Horizon Locals(地元住民)という人間のガイドもいて、ユーザーを支援してくれる。VRの世界での安全を守り、荒らしがはびこらないようにする。

早期アクセスを希望するユーザーは、ここからベータ版に申し込むことができる。

Horizonの立ち上げにあたってFacebookは、既存のソーシャルVR体験、Facebook Spacesと、Oculus Roomsを、1025日に閉鎖する。Horizonが利用可能となるまでは、多少のブランク期間が発生する。Oculus Roomsは、ユーザーが自由に模様替えを楽しめるVRの貸室として、2016年に登場した。一方のFacebook Spacesは、2017に公開され、ユーザー同士がチャットしたり、映画を観たり、友達とVRの自撮りもできるようなもの。しかしいずれも、多少のソーシャル機能を備えたロビーの待合室のように感じられるもので、その先に控える本格的なVRゲームへの入り口に過ぎないもの、という雰囲気は拭えなかった。そうしたものとは対照的に、Horizonは目的地であり、単に目新しいだけでなく、ユーザーが長い時間を過ごすことができる場所として設計されている。

Facebook Horizonの仕組み

一見した範囲では、HorizonはSecond Lifeを近代化したもの、一人称のSims(シムズ)、AltspaceVRが意図していたものを成就させるもの、あるいはプレステのPSVRを利用したDreamsや、子供にも人気のクロスプラットフォームのRobloxと競合するもの、と考えられる。2016年にFacebookは、Oculusの新しい従業員全員に、「レディ・プレイヤー1」の小説を配っていた。それ以来、彼らはその世界の構築に熱心に取り組んできたようだ。

Facebook Horizonは、ある町の広場に集められた状態からスタートする。そこに足を踏み入れる前に、ユーザーは、かなり広範囲をカバーする何でもアリのアバターツールを使って、自分の容姿や服装を自由に設定できる。ユーザーは、VRの内部でHorizon World Builderを使って、ゲームの競技場、休暇で行く隠れ家などを作ったり、そうした場所で可能な活動を定義したりできる。いずれもプログラミングは不要だ。

Facebook Horizonでは、オブジェクトをゼロから構築できる

たとえば、熱帯の海に浮かぶ島を設計し、友人を招待して、仮想のプライベートビーチでいっしょに過ごすこともできる。Oculusにもあった彫刻機能、Mediumに似たオブジェクトクリエーターを使えば、自分のアバターに着せるカスタムTシャツなど、何でも作ることができる。また、本格的に開発したい人は、ビジュアルなスクリプトツールを使って、インタラクティブに応答する体験を作成することも可能だ。

Horizonの安全性については、Facebookは「市民権」のページを設けて説明している。そこには、「Facebook Horizonの市民として、敬意の持てる快適な文化を創り出す義務があります… Horizonの市民は友好的で、開放的、そして好奇心も強いのです」と書かれている。Horizon Localsは、VRの世界を歩き回っていて、質問に答えてくれたり、技術的または安全上の問題がある場合には、ユーザーを支援してくれる。彼らは、顧客サポートでもあり、また世界の治安部隊でもあろうとしているのだろう。

Facebook Horizonには、Localsがいて、安全と技術面のサポートを提供してくれる

万一、ちょっと手が付けられないような状態になってしまったら、シールドボタンをタップして中断し、Horizonと並立するプライベート空間に閉じこもることもできる。ユーザーは、自分用の個人的な空間の境界を定義できる。その中には、他の誰も顔を出したり、踏み込んだりすることができない。そこでは、黙秘、遮断、報告といった一般的なツールがすべて利用できる。Facebookが、コミュニティの風潮の大筋を定義し、こうした保護機能も用意したことは、賢明な措置と言えるだろう。

Facebook CEO、マーク・ザッカーバーグ氏は、米国サンノゼで開催されたOculus Connect 6カンファレンスで、Horizonを発表した。同氏によれば、Facebookとコミュニティが、VRサンドボックスについて、より多くの経験を積むにつれて「Horizonが拡大し、良いものになっていく中で、このような性質を持つことになる」と説明した。

Horizonでは、ユーザーが独自の島や地域を作成することも可能

Horizonは、ソーシャルインタラクションを促進することに腐心しているようなビジネスにとっては、まさに意義のあるものだろう。ユーザーがそこに留まった時間に応じて、広告収入を得ることもできる。Horizonの中には、いろいろなブランドの仮想の看板、おもちゃや家具を購入できるFacebook運営のショップ、ナイキの靴やシュプリームのシャツなどのブランド品を扱うサードパーティのモール、などが登場することも容易に想像できる。そうしたものからの収益の分配や、ゲームの世界の利用、特別な惑星の探検などが可能となるサブスクサービスの収入が、Facebookを潤すことになる。

Facebookも、市場に登場してから15年が経過し、新鮮味もだいぶ薄れてきた。ユーザーも新たな社交の場を求めている。多くのユーザーは、Facebook上での近況のアップデートや、しらじらしいライフイベントには見切りを付けている。きれいな写真が並ぶInstagramや、しがらみのないSnapchatの方に引き寄せられているのだ。Facebookは、もしSpacesに替わる独自のVR機能が開発できなければ、脇に追いやられる危険もあった。Horizonが、ユーザーが現実の生活から逃避でき、友達と自分の生活を比較して妬んだりする必要のないVR世界を提供できれば、Facebookに飽きてしまったり、窮屈さを感じているユーザーにアピールするはずだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Facebookが描く「ポストウェブ」の未来、マルチプレイヤーVR空間「Horizon」を来年スタート

5年前、FacebookはVRの草分けであるOculusを20億ドルで買収した。今週、ニューラルインターフェースのパイオニアであるCTRL-Labsを5億ドルを上回る金額で買収し、大規模なマルチプレイヤーVR共有空間「Horizon」を来年はじめにスタートすると発表した。

OculusはFacebook Reality Labsという(やや不気味な名前の)組織となり、Facebookの初期エンジニア15人の一人で、デスクトップからモバイルへの広告モデルの移行を指揮したAndrew Bosworth(アンドリュー・ボスワース)氏が長を務めることになった。同氏が今までよりずっと興味深く、長期的な変化を担うプロジェクトの責任者なったことは想像に難くない。ワールドワイドウェブから、その先にある何かへの変化だ。

Facebookの数十億ドル規模の大きな賭けは、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏の水晶玉の中に浮かぶビジョン。ウィリアム・ギブソンの言葉を借りるなら「サイバースペース」の新開地であり、かつてOculusの新入社員に配られていた映画「READY PLAYER ONE」(レディ・プレイヤー1)の世界で言う「オアシス」になることは間違いない。バーチャルリアリティー(仮想現実)は、我々の現実世界と仮想的な事物を組み合わせるミクストリアリティー(複合現実)とも言ってもいい。

私には皆さんの呆れている顔が目に浮かぶ。たしかに突飛な発想であることはわかっている。AR(拡張現実)やVRは、核融合やブラジルと同じく、いつかはやって来ると言われている時間が長すぎて、真面目に将来を考えるのが難しくなっている。「ニューロマンサー」が最初に出版されたのは1984年だった。Jaron Lanier(ジャロン・ラニアー)氏が最初の本格的VRヘッドセットとモーションキャプチャーウェアラブルであるEyePhoneとDataGloveをデモしたのは30年以上前のことだ。共有グローバルVR空間という発想が、ますますレトロフューチャーのように感じるのも無理はない。

しかしザッカーバーグ氏の示す変化への道は明白であり、ゲームを橋渡しに使うところは実践的だ。世界最初で最高の巨大マルチプレイヤーオンラインVRゲームを作る(Magic Leapのミクストリアリティーよりも没入的であり、従って説得力もある)。Facebookのパワーと規模と富を使ってゲーマーたちを集め、月間ユーザー数百万人の人気コミュニティーを作る。

そして、VRがゆっくりとウェブ自身に取って代わるという大きなビジョンへと推移する。ノートパソコンをヘッドセットで置き換え、スマートフォンをスマートメガネで、キーボードをニューラルインターフェースで置き換える。一度に変わるのではなく、少しずつ何年もかけて、Horizonのゲーム世界が交流やメッセージのためのプラットフォームになり、ゲームだけでなく仕事にも使われるようになる。そのときインターネットの住人たちはFacebookのウェブサイトを訪れたり、アプリを開くだけではなく、(たとえ仮想的にせよ)文字通りFacebookの塀に囲まれた庭園に住むようになる。

そんなビジョンはいよいよ薄気味悪いのでは?そのとおり。本当に実現するのか?まあ、多分そうはならない。しかし、それが大きな富をもたらし、したがって現在進行中のFacebookの数十億ドルの賭けが理にかなっている可能性がゼロより十分に大きいことは認めざるを得ない。

もちろんこれは、Facebook唯一の将来へのビジョンではない。数ある賭けのひとつにすぎない。 ソーシャルメディア広告からメッセージと決済へとピボットすることも考えられる。現在の途方もなく成功しているビジネスを捨てて、経験も実験もされたことのないビジネスモデルに移行する道を探ろうとする彼らの意欲を称賛しないわけにはいかない。

賭けは成功するのか?Facebook HorizonやVRやニューラルインターフェースは、ウィリアム・ギブソンの言った「何十億人もが毎日体験している共感覚幻想」への玄関口なのだろうか? オッズが高いとは言えないが、現実世界のどれと比べてもチャンスはありそうに思える。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookが「いいね!」の数の非表示テスト開始、妬みの感情を抑えるため

もし誰かの投稿に「いいね!」がたくさんあったら、妬ましい気持ちになるだろう。自分の投稿に「いいね!」あまり付かなかったら恥ずかしく感じる。さらに、「いいね!」を求めるあまり、自分の人生を歪めて描いてしまうかもしれない。「いいね!」も付かない、つまらない人間と思われるのが嫌で、ありのままを書かなくなってしまうかもしれない。

Facebookが、投稿の「いいね!」の数を公式に非表示にし始めたのはそのためだ。すでに9月27日から、まずはオーストラリアで始まっている。投稿した本人は、「いいね!」の数を見ることができるが、他の人からは見ることができなくなる。今のところ、何人がいいね、またはその他の反応をしたか、数を見ることができるが、今後は誰が反応したかだけが表示されるようになる。

このように「いいね!」の数を隠すテストについては、今月のはじめに、Facebookが密かにプロトタイプを作成していることを、TechCrunchがレポートした。これは、リバースエンジニアリングの達人、Jane Manchun Wong(ジェーン・マンチン・ワン)氏がAndroidアプリのコードで発見したもの。今回のテストは、Instagramの「いいね!」の数の非表示のテストと並行して実行される。このInstagramの「いいね!」の非表示についても、4月にカナダで最初にテストされた際に、TechCrunchがスクープした。これはその後、7月に他の6カ国にも拡大された。

「いいね、その他の反応、動画視聴の各回数を、Facebook全体で非公開にする限定的なテストを実施しています」と、Facebookの広報担当者は語った。「フィードバックを収集して、この変更がユーザー体験を改善できるかどうかを確かめます」。このテストが、ユーザーのエンゲージメントを台なしにすることなく幸福感を増進することができたなら、他の国々にも拡大して全ユーザーに適用することになる可能性もある。ただし、今回以降のテストは現状では計画されていない。

これによってFacebookが目指すのは、安心して自分自身を表現できるようにすること。ユーザーには、「いいね!」を付けた人の数ではなく、シェアする内容の品質と、大切だと思っている人たちとの結びつきに重点を置いてほしいと考えている。このテストは、同社の副社長であるFidji Simo(フィッジ・シモ)氏の管轄下にあるニュースフィードチームによって実施され、メインのFacebookアプリで有効となる。すでにInstagram上のテストが、データを蓄積し始めているものの、アプリがかなり異なるのでFacebook上でのテストも必要なのだという。

上の図に示すように、「Likes(いいね!)」ボタン自体は、誰からでも見えている。コメント数は引き続き表示され、投稿に対する最も一般的なタイプの反応を示す顔マークと「いいね!」を付けた一部の人の名前も表示されている。機能的には、この投稿を見た人が「いいね!」を付けた人のリストを開いて、その数を数えることは可能だ。しかしこのテストは、ユーザーが数字を見ただけで不安に駆られたりすることを防ごうというものなのだ。

友人の投稿に大きな数字が付いているのを見て、自分がちっぽけな人間に思えたり、自分の投稿の数字が小さいのは、自分が人に認められていないのを宣伝しているようなものだと感じたりすることなく、Facebookをもっと気楽に使えるようになるかもしれない。「いいね!」の数の非表示には、群集心理を軽減する可能性もある。やみくもに「いいね!」をクリックして、他の人と同意見であることをひたすら示すのではなく、投稿自体を気に入ったかどうか自分自身で判断するようユーザーに促すのだ。

約2年前にも書いたことだが、一連の研究が、Facebookがもたらしうる害を指摘している。そうした研究によると、友達とメッセージを交換したり、投稿のスレッドにコメントを書き込んだりすること自体は、ユーザーをいい気分にさせてくれる。しかし、ほとんど習慣的にスクロールして「いいね!」を付けて回ることは、妬みのスパイラルを引き起こし、幸福感の減少につながるという。ユーザーは、自分自身のいかにも退屈な生活を、友人や有名人が共有している「いいね!」のたくさん付いた派手なできごとと比較して、自分がちっぽけな人間だと思ってしまいがちなのだ。

例えば、Krasanova(クラサノバ)氏らの研究によれば、ユーザーが人生においてなんらかの妬みの感情をいだく瞬間の20%は、Facebookを使っている最中のことだという。そして「惰性的に他人をフォローしていることが、長期的にはユーザーの人生の満足度を下げる傾向にある。そうすることで、社会的な上層と比較することになり、不愉快な感情を引き起こすからだ」というのだ。

1つの懸念は、多くのフォロワーを持ち、個々のユーザーの投稿数よりも多くの「いいね!」を獲得することの多いFacebookページも、そうした群集心理を取り除いてしまうと、多大なエンゲージメントとリーチを失う可能性があるということ。カナダの何人かのインフルエンサーは、Instagramで「いいね!」の非表示のテストが開始されて以来、リーチが減少していると不満を表明してきた。しかし、それを証明する決定的なデータはない。一方Facebookは、ランキングアルゴリズムの一部として、今でも「いいね!」の数を利用している。

Facebookが、今後15年先まで使われ続けるソーシャルネットワークを構築したいなら、ブランドより、エンゲージメントより、さらには広告収入より、ユーザーの幸福を優先しなければならない。また、たとえばユーザーがあまりにも長時間、だらだらとスクロールし続けている場合には、通知や警告を表示するといった工夫も必要となるだろう。それはともかくとして、「いいね!」の数の非表示が機能して、それが標準になれば、Facebookは、ずっと昔に大学の中で使われ始めたときのように、素朴な共有の場に戻ることができるかもしれない。一生続く人気コンテストに参加し続けたいという人はいないのだ。

Snapchatには、そもそも「いいね」がない。私は、SnapchatのCEOであるEvan Spiegel(エヴァン・スピーゲル)氏にTechCrunch Disrupt SF(10月2日〜4日、チケットはこちら)でインタビューすることになっている。そこでは、ソーシャルネットワークが増大する心の健康への懸念に対し、どのように取り組んでいくのか探ってみたいと考えている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)