Alipayが韓国のKakao Payに2億ドルを出資 ― 韓国のEコマース、モバイルペイメント市場に攻勢をかける

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AlibabaグループのAnt Financialが新たなM&Aを発表した。同社は、韓国のKakaoが展開するフィンテックプロジェクトに2億ドルを出資する。Kakaoは韓国でメッセージング業界で独占的な地位を確立しており、企業価値は50億ドルにものぼる。

AlipayやAlibabaのデジタルバンキング事業を運営するAnt Financialは、近日ローンチ予定のKakao Payに出資することを決めた。このディールにより、Ant FinancialはKakao Payを通して同社の金融サービスを韓国でも展開する。また、オンラインのペイメントサービスだけでなく、オフラインの金融サービスにもビジネスを拡大する構えだ。

Kakao Talkのユーザーは合計で4800万人。韓国では、95%のスマートフォンにKakao Talkがインストールされていると言われている。以前からKakao Talkにはモバイルペイメント機能は備わっていた。しかし先月、Kakaoの取締役会は同社の金融サービス部門の子会社化を決定。Kakao Payが誕生することとなった。Kakao Talkでは、店頭での支払機能、P2P送金機能、各種料金の支払機能、Webバンキング機能などが利用できる。また、今後はローンの借り入れ機能なども追加する予定だ。

Kakao Payが提供する各種機能は、これまでにAnt Financialが中国で提供し、成功してきた分野だ。そのため、このパートナーシップは両社に大きな戦略的価値を与えるものだと言えるだろう。Kakaoの成長を加速させることはもちろん、Alibabaにも大きなメリットがあるのだ。このパートナーシップにより、Alibabaは韓国のEコマース市場に攻勢をかけることが可能になるだけでなく、韓国を訪れる中国人観光客がAlipayを使いやすくなるというメリットもある。

Ant Financialは現在、30億ドルのデットファンディング・ラウンドを実施している最中だ。同社はこの資金を利用して他社への出資や買収を積極的に行っていくと話しているが、すでにその戦略は動き出している。Ant FinancialはアメリカのMoneyGramを8億8000万ドルで買収しただけでなく、最近ではタイのAscend Money、フィリピンのMynt、インドのPaytm、シンガポールのM-Daqなどに資本参加している。今回のKakao Payへの出資も含め、これらの動きはすべて戦略的な理由にもとづいたものだ。今後も同様の動きが見られることだろう。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Mediumがビジネス立て直しのため、日本でのオペレーションを終了

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ブログプラットフォームにはWordPressやtumblrなど色々あるけれど、Mediumは執筆に専念できるシンプルなUIが特徴のサービスだ。そんなMediumから本日、日本でのオペレーションを停止するという残念なニュースが入った。Mediumの日本語公式アカウントMedium Japanの投稿によると、本日より公式パブリケーションやTwitterとFacebookの公式アカウントの運営を止めるという。

ご存知の方も多いだろうがMediumは、Twitterのファウンダーでもあるエヴァン・ウィリアムズ氏が2011年に創業したブログサービスだ。これまでに1億3200万ドルを調達していて、2016年度の読者数は前年比3倍になったが、ビジネスは必ずしも順調ではなかったようだ。今年の1月、ウィリアムズ氏はMediumのニューヨークとワシントンオフィスを閉鎖し、50名のレイオフを行うと発表した。今後はビジネスを再考し、有料購読モデルを推進していくという。

日本では2015年初頭からMedium Japan編集部が立ち上がり、オリジナルコンテンツやMedium上の人気記事の翻訳を公式パブリケーションで配信していた。Mediumはビジネスの立て直しの一環として、日本を含む海外拠点のオペレーションからも撤退すると決めたようだ。Medium Japanは本日投稿したブログ記事で以下のようにコメントしている。

Japan 含めて10カ国以上で Medium の運営を続けてきましたが、本年よりすべてのオペレーションを本社であるサンフランシスコに集中させることにしました。そのため、これまで2年に渡って運営、キュレーションしてきた各公式パブリケーションや公式 Twitter、公式 Facebook を本日を持って止めることを決定しました。

私も読者としてMediumの記事を楽しんでいたし、Medium Japanの翻訳にも微力ながら協力していたことがあるので、Mediumが日本でのオペレーションから撤退するというのは少し切ない。ただ日本で今日からMediumが利用できなくなるということではないだろうし、今後Mediumがパワーアップしてより良いサービスを日本でも展開できる日が来ることに期待したい。

出版業界の未来

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私はDigital Readerのエディター、Nate Hoffelder氏が好きだ。彼は業界にこびない数少ないブロガーの1人だし、文章に余計な装飾を施すこともない。彼の主張は、本は素晴らしい、出版業界は破滅に向かう、書くことは非常に重要だ、というものだ。

だからこそ、彼がChip McGregor氏の主張を批判したときは嬉しかった。彼の主張とは、今後は本がモバイルに直接配信されるようになり、メインストリームの出版社がいよいよ変革に本腰を入れ始めるにつれて、インディーズ出版からユーザーが離れていく、というものだ。McGregor氏の主張のなかには正しいものある ― スマートフォンで読む電子書籍は今後ますます普及するだろう。でも、間違いも多い。

最初の間違いとは何か。彼は、Barnes & Nobleがベストセラー作品だけを集めた小規模の本屋を開店すると信じている。McGregor氏はこう主張する:

Barnes & Nobleはベストセラー作品だけを取り扱う小規模な本屋を開店するだろう。これに関する内部情報を持っているわけではないが、Amazonが従来型の本屋を始めようとしている今、B&Nもマーケットシェアを取り戻すための何らかの策を考えなければならない。

ほかに適当な言葉がないのでハッキリと言うが、B&Nはすでに死んだ。大規模ストアを構え、その中にあらゆる種類の本やぬいぐるみなどを詰め込むという彼らの戦略は失敗したのだ。コーヒーを飲みたい、または雑誌を無料で立ち読みしたいという欲求がなければ、B&Nに足を運ぶ理由などない。その点、電子書籍の誕生によって独立系の本屋は助けられ、大型本屋は破壊されたといえる。しかし、新作や中古本、そして子ども向け書籍を扱う小規模の本屋チェーンという姿を想像することはできるが、B&Nがその役割を担うとは思えないのだ。

加えて、彼の主張のなかにはインディーズ作家が大規模のパブリッシャーに戻ってくるというものがある。でも、そうはならないと思う。McGregor氏は自身のブログポストの中で、パレートの法則に従えば収益の80%は20%のライターから生まれると書いている。パブリッシャーが意思決定をするとき、彼らが持っているのは不完全な情報だけだ。それを考えれば、彼らがその20%のライターを特定することができるという考えは馬鹿げていると言わざるを得ない。

そうではなく、今後は多種多様な作家たちがインディーズ作家としての道を選ぶことになるだろう。メインストリームのパブリッシャーとしてではなく、インディーズとして成功した作家の代表例がEliot Peper氏だ。他にもたくさんいる。また、McGregor氏は99セントという超低価格なインディーズ本の価格設定にも懐疑的な見方をもっており、そういった価格設定はこれから衰退していくだろうと述べている。しかし、それも起こりそうもない。99セントの価格設定は、収益を伸ばしたり、Amazonのランキングをあげる方法としては賢いやり方だ。その価格設定をやめることは、すなわち、多くのインディーズ作家の死を意味する。

これまでに述べたことを要約する。McGregory氏の主張のなかには賛同できるものもある。モバイル・オンリーという考え方は今後も広まっていくだろうし、キリスト教SFなどのニッチなテーマは衰退していくだろう(McGregory氏は、「近年では、キリスト教SF小説をいまだに取り扱っている出版社は数えるほどしかいない。出版社の多くは、少数の人々にしか受け入れられない宗教色の強すぎる本を扱うのではなく、クオリティの高い文学小説や、広範な人々に受け入れられる女性に関するストーリーを取り扱うようになった。サスペンス系の小説を扱っているところもある」と述べている)。だが、B&Nやインディーズ作家に関する彼の意見には反対だ。伝統的な出版業界の外側では、物事が上手くまわっている。何か新しいことしたいという気持ちさえあれば、近年の出版業界の慣習に従うことなく、それを達成することも可能なのだ。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

メニューはわずか数種類 ― マレーシアのフードデリバリー「Dah Makan」が1300万ドルを調達

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東南アジアのフードデリバリー企業として今年初めて大型の資金調達を果たしたのは、Dah Makanとなった。同国の投資家から浴びていた批判を跳ね返したかたちだ。

Dah Makanは現地時間19日、シードラウンドでNFQ Capital、East Ventures、Asia Venture Group、Gruparaなどから1300万ドルを調達した。Nestléの前CEOもエンジェル投資家として本調達ラウンドに参加している。

Dah Makan(現地の言葉で「もうご飯は食べた?」)は、2年前にクアラルンプールで生まれたサービスだ。どうサービスはアジアにおける「フルスタック」サービスの1つであり、業務のすべて(調理、配送、支払いなど)を自社で行っている。これは、創業初期のフード系サービスとしてはめずらしいことだ。Rocket InternetのFoodPandaは、地域のレストランと共同でビジネスを行い、レストランと顧客を結びつける大きな役割を果たしている。しかし、プロセスの中に外部関係者を多く含めれば含めるほど、プロセス全体の複雑性と不確実性が増す可能性がある。FoodPandaはサードパーティにプロダクトのクオリティ管理や配送を委託しているにもかかわらず、ユーザーの期待に応えるサービスではあるだろう。一方で、その同類のDah Makanは、サービスとシステムの管理がしやすい体制を整えている。

例えば、Dah Makanはランチとディナーのあらかじめ決められた時間にしか配送を行なわない。そして、その時間の45分前に注文された分だけを受け付ける。顧客にとってはかなり制限のあるサービスだということだ(ランチとディナーのメニューは日ごとに決められた数種類の料理しかなく、ビッグブランドの料理は取り扱っていない)。しかし、そのトレードオフによってDah Makanは徹底的なプロダクト管理を可能にしている。

配達ルートも最適化されている。注文が入るごとに配達用のバイクを送り出すのではなく、Dah Makanはその日の注文数と顧客の位置情報をもとに最適化された配達ルートを計算する。Dah Makanにとって、これは金銭的なメリットにもつながる。従来のフードデリバリーサービスでは、ある注文が利益を生む一方で、またある注文では損失を生むというのが一般的だった。しかし、同社のサービスではすべての注文から利益を得ることができると彼らは話している ― ただし、マーケティングや給与などのコストはユニットごとの損益計算にはもちろん含まれてはいない。

Dah Makanでは1回かぎりの注文をすることもできるが、同社は顧客に会員オプションに加入することを奨励している。彼らの会員サービスは固定されたプランというよりも、どちらかというとポイント制プランのようなものだ。99MYR(22ドル20セント)で5回、379MYR(85ドル)で20回、999MYR(225ドル)で50回分の注文をすることができる。しかし、ユーザーが数日のあいだ街を離れていたり、その日のメニューが気に入らない場合は、そのポイントを後々のためにとっておくことが可能だ。

同社のファウンダーたちはTechCrunchの取材に対して、会員制サービス「Dah Makan Prime」からの収益が「大半を占めている」と話している。

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Dah MakanとFoodPandaのサービスが似ているので、Dah Makanの共同創業者たちが元FoodPandaの従業員だったと言われてもそこまで驚かなかった。Dah Makan CEOのJonathan Weins氏とCOOのJessica Li氏は、2014年に同社のアイデアを考えつくまではFoodPandaの香港チームに所属していた。そして、後にCTOのChristian Edelmann氏が加わったことでアイデアが現実化した。

Weins氏は「フードデリバリーをもっと手軽な価格で提供し、もっと便利なサービスにしたかった」と語る。

Dah Makanは現在、1日あたり1000件の注文を獲得しているという。しかし、同社はマレーシア全土にビジネスを拡大するつもりはない。その代わり、彼らは今年のおわりまでに他の東南アジア諸国へと海外展開を進める予定だ。

「今回調達した資金はクアラルンプールに投下する予定です。この市場は非常に大きいからです。この市場にはまだ、私たちがリーチできる潜在顧客がたくさんいます」とWeins氏は説明する。彼によれば、クアラルンプールでリーチ可能な潜在顧客は約600万人だという。

「テクノロジーにも大きく投資していきます。ルーティングやクラスタリング、そしてドライバーの配送場所を決める機械学習などがその例です」と彼は加えた。

同社は「今年末をめどに」シリーズAの調達ラウンドも実施する予定だ。その資金を利用することで、人口密度、現地の購買力、競合関係などのファクターを考慮しながら海外展開を進めていくという。そうなれば、シンガポールのGrainなど、他の「フルスタック」フードデリバリー企業と直接的に競合する可能性が非常に高い。

Grainと同じように、人々がヘルシーな食べ物や利便性にどれだけ魅力を感じるのか、そして彼らがFoodPandaのメニューにあるようなビッグネーム企業の食べ物にどれだけ飽き飽きしているのか、という点が勝負の分かれ目となるだろう。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Amazonショッピングアプリが「音声検索」の提供を開始――ブランド名やカテゴリ名、複数キーワードにも対応

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バーコード検索や画像スキャン検索を提供することで、オンラインショッピングの利便性向上を追求してきたAmazon.co.jp(以下、Amazon)。同社は2月21日、Amazonショッピングアプリ(iOS、Android)に新たに音声検索機能の提供を開始した。米国、イギリス、ドイツに続いて、日本が4カ国目の対応となるが、独自の検索エンジンを利用した日本語の音声検索の提供は初めてのことだ。

この機能の提供により、ユーザーは文字を入力することなく、ワンタップで購入予定の商品の詳細ページへのアクセスが可能になった。

複数キーワードを組み合わせた検索も可能

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使い方は他社が提供している音声検索機能と変わりはない。検索ボックスの右側に表示されている「マイクアイコン」をタップし、マイクへのアクセスを許可(初回だけ)するだけで使い始めることができる。

テキスト検索と同様に商品名だけでなく、ブランド名やカテゴリ名、複数キーワードの組み合わせによる検索も可能だという。

実際に試してみたのだが、検索結果の表示スピードも早く、使い勝手が良かった。音声検索機能はスマートフォンに内蔵され、普段から馴染みのある人も多いと思うが、テキストを入力せず音声で欲しい商品を検索できるのは想像以上に便利なものだった。

米国で好調な「Amazon Echo(エコー)」、日本での展開は?

今回、日本で音声検索機能が提供されたが、米国では音声認識技術「Alexa(アレクサ)」を搭載したスピーカー型音声アシスタント「Amazon Echo」が注目を集め、“音声で買い物をする”ということがいよいよ現実のものとなってきた。

2014年当初、Amazon Echoは、話しかけるだけで好きな音楽をかけてくれる、天気予報を教えてくれるといった基本的な機能しか有していなかった。

しかし、2016年以降、Alexa Voice Service(AVS)を開発者向けに解放したり、Alexa Skill Kit(ASK)と呼ばれるコンテンツ作成の枠組みを定義したりすることで、Amazon Echoの機能が進化。商品の注文やタクシーの配達なども行えるようになり、最近、米国ではAmazon Echoがニュースの音声を間違って聞き取り、注文をしてしまうといった事例も発生しているほどだ。

なお、Amazon Echoの日本での展開は未定となっている。

旅行で余った外貨コインを電子マネーに交換、「ポケットチェンジ」が羽田空港に登場

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海外旅行は楽しいが、帰国する時に余った外貨の小銭をなんとかできないかと思ったことはないだろうか。硬貨は銀行で両替できないため、空港の募金箱に入れるか、次の海外旅行まで取っておいている人がほとんどではないかと思う。Pocket Change(ポケットチェンジ)はこの課題を解決するため、外貨を電子マネーやギフト券と交換できるサービスを開発している。ポケットチェンジは本日、この外貨を交換する専用キオスク端末を、2017年2月20日より羽田空港国際線ターミナルに設置したことを発表した。

ポケットチェンジの専用端末ではタッチパネルで外貨の交換先を選択し、余った硬貨と紙幣を投入するだけでギフト券などに交換可能だ。楽天Edyなどの非接触ICカード型電子マネーの場合は、ICカードをかざしてチャージできる。

ポケットチェンジは日本人旅行者だけでなく、訪日外国人旅行客も利用できるサービスだ。そのため交換先は海外のWeChat(微信)やViberなどにも対応している。ユニセフなどの団体に寄付をすることもでき、交換先サービスは全部で15種類以上ある。現在対応している通貨は、米ドル、ユーロ、中国元、韓国ウォン、日本円だ。

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ポケットチェンジは2015年12月に創業し、2016年6月より楽天の本社や空港関連施設など複数箇所で端末を設置している。今回、羽田空港国際線ターミナルに端末を設置するにあたり、端末の使いやすさの向上とともに、対応通貨や交換先サービス、言語の拡充を進めた。今後は、国内外の主要空港や空港駅などでも端末を設置し、サービスを提供していく予定だ。

海外ではニューヨーク発のTravelersBoxなどが同様のサービスを提供している。このようなサービスが広まれば、海外旅行で使い切らなかった小銭が家で眠ったままになるという問題はなくなりそうだ。私も次回海外旅行に行く際には、自宅にある外貨を空港に持って行って、搭乗時間までのコーヒー代にでもしようかと思う。

企業のクラウド環境をモニタしてリソース等の最適化を行うYotaScaleが$3.6Mを調達

Vector high tech internet data center. Network equipment that is used to organize the server room

エンタープライズ指向のアクセラレータAlchemistを卒業したYotaScaleが、360万ドルのベンチャー資金の調達を発表した。そのラウンドに参加した投資家は、Engineering Capital, Pelion Ventures, およびエンジェルのJocelyn Goldfein, Timothy Chou, そしてRobert Dykesだ。同社は機械学習を利用して、企業のクラウドコンピューティングの実行性能(パフォーマンス)や可用性、費用などの最適化を図る。同社と競合するCloudHealth TechnologiesCloudabilityも、この今や熱い市場で、合わせて8000万ドルの資金を獲得している。

クラウドコンピューティングは、今やどの産業でも事業の不可欠な要素になりつつあるが、しかしイノベーションが急速なので、インフラの進化に適切に付き合っていくのが難しい。その責任を人間に丸投げするのではなく、YotaScaleはクラウドインフラの実行性能管理そのものを自動化する。

同社は、きわめて多面的で複雑なクラウドデータを絶えず精査して、顧客企業のインフラストラクチャがその重要な事業的プライオリティに向けて確実に最適化されている状態を保つ。プライオリティは、費用の最小化などシンプルなものもあれば、目標の異なる複数のプロジェクトが関与する複雑な動的構造のこともある。

“機械の稼働率が低い、などの単純なことなら人間にも分かるし、一部の機械を止めればすむことだ”、とYotaScaleのCEO Asim Razzaqは語る。

Razzaqのシステムは、クラウドの利用データに課金とログのデータを結びつける。その複合データが、ベースラインと対照して異状を検出するための基盤になる。大量のデータではない、と思われるかもしれないが、リソースの消費やCPUの利用状態などの稼働状況を外挿するには十分なのだ。

むしろ、異状検出で難しいのは‘正常’の定義だ。何が正常かは、状況によって千差万別だからだ。分かりやすい例としては、CPUの利用がスパイクしても、それがブラックフライデーのeコマースなら全然異常ではない。そこでYotaScaleは履歴データにだけこだわるのではなく、今後の見通しも重視する。それによって、状況によるデータの浮動も理解できるようになる。変化が見られたら、それらにいちいちフラグをつけるのではなく、パフォーマンスの見通しと実態を突き合わせる。

クラウドインフラストラクチャのデータは、さまざまなタイプのデータがさまざまな時間間隔で生成される。毎時というものもあれば、毎日、というものもある。それらの違いを正確に見極めながら最適化を図る作業が、非常に難しい。アンサンブル学習という機械学習のテクニックを利用して分析の精度を上げ、捕捉したデータの多面的な特徴を管理している。基本は回帰分析だが、用途によってはそのほかの半教師ありモデルも使っている。

YotaScaleのユーザーであるApigeeやZenefitsなどは、機械学習に頼ってクラウドコンピューティングのニーズの理想的な管理ができている。その負担が、クラウドからもDevOpsからも消えている。また言うまでもなく、機械学習はリアルタイムの分析がとても得意だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

米上院、国境警察官によるパスワードの要求を禁止する法案を提出へ

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プライバシー擁護派は米国国境でのデジタル詮策を強化する提案に不満を抱いているが、問題は上院で取り上げられることになりそうだ。

オレゴン州選出ロン・ワイデン上院議員は、ジョン・ケリー国土安全保障省長官宛の書簡で、米国税関国境警察官が抑留者の所有するロックされた端末のパスワードを取得しているという報告について説明責任を追求した。ワイデン氏は憲法修正第4条に基づき、その行為は超法規的で相当の理由を欠いておりこのような捜査には令状が必要であるとして一蹴した。

「法執行機関がソーシャルメディア企業やメールプロバイダーからデータを取得する方法については確固たる法的規定がある」とワイデンは書いている。「政府がサービス提供者にユーザーデータの提出を求めるには捜査令状その他の裁判所命令が必要だ」。

国境警察官がログイン情報を直接要求することは、この牽制制度を回避し米国民の権利を侵害するものだとワイデンは指摘する。プライバシーの懸念に加えこうした侵略的政策は海外出張を抑止する恐れもあり、国境での大がかりな「デジタル捜査網」は米国税関国境警備局の本分を逸脱している。

ワイデン議員が提出を予定している法案は、国境警察官がいかなる端末を検査する場合にも令状を必須とすることに加え、法執行機関が旅行者に対してソーシャルメディアの個人情報を提出するよう圧力をかけることを禁止している。同書簡は国家安全保障局に対し、国境でロックされた端末をアクセスしたり、ソーシャルメティアのパスワードを要求した全事例を報告することも要求している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「BASE」のショッピングアプリが100万ダウンロード突破、マーケ機能強化でショップに商機

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誰でも手軽にネットショップを開設できるECプラットフォーム「BASE」や決済サービス「PAY.JP」などを手がけるBASE。最近ではBASEのアプリの普及にも力を入れていたが、2月17日にそのアプリが100万ダウンロードを突破したと発表した。

BASEは2012年11月の設立。これまで30万店舗のネットショップが開設されており、今では毎月1万店舗以上新しいショップが開設されている状況だという。アプリは2013年6月にiOS版、2015年5月にAndroid版をそれぞれリリース。アプリは当初は商品カタログ的なものだったが、2015年6月にショッピングアプリとしてリニューアル(Android版は2016年3月)。その後もプッシュ機能の追加などを行ってきた。

このプッシュ機能や、店舗のフォロー機能などによって店舗側からユーザーに対するダイレクトマーケティングを実現できることが、店舗側にとってもメリットになっているという。

実際、フォロワー数の多いショップと少ないショップの売上平均と販売件数を比較したところ、フォロワーが100人以上いるショップはフォロワーが100人未満のショップに比べて、売上平均で16倍増、購入件数で20倍増という数字が出ているのだそうだ。PCウェブ、スマートフォンウェブ、スマートフォンアプリの流通比率は非公開だが、マーケティング機能を強化し、ショップが利用し始めた2017年始以降アプリ経由の流通が増加しており、その割合は10%以上になっているという。

BASE代表取締役の鶴岡裕太氏は、いわゆるECのマーケットプレイスが運用、広告、決済でビジネスをしている途説明した上で「BASEはまだ流通の売上しかなく、ショップで商品が売れないと儲からない構造。これを維持しながら、今後はマーチャントのマーケティング手段やショップがもっと売れる仕組みなどを探っていきたい」と語った。

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大手アパート管理代行企業がAirbnbを訴訟…物件の一部が‘Airbnbホテル’のようになるのは困る、と

PARIS, FRANCE - APRIL 11:  A view shows an underwater room structure installed by the Airbnb accommodation site in the Aquarium of Paris, on April 11, 2016 in Paris, France. Airbnb and the Aquarium of Paris offer contest winners a night underwater sleeping with sharks.  (Photo by Chesnot/Getty Images)

早くも立場が逆に。サンフランシスコニューヨーク市アナハイムを訴えたAirbnbが今度は、訴えられる側になった。およそ5万件の不動産物件を抱えるアメリカ最大のアパート管理代行会社Apartment Investment & Management Company(Aimco)がAirbnbを、同社(Amico)が管理or保有する賃貸物件に関する違法行為を意図的に奨励した、として訴訟した。Wall Street Journalが、そう報じている

カリフォルニアとフロリダの2州で訴状を提出したAimcoは、金銭的被害を訴え、また、裁判所命令でAirbnbが、賃借者がその賃借物件を違法に取り扱うこと〔Airbnb利用者への又貸し〕を、奨励できなくなることを求めている。訴えの主旨は、Amicoが管理代行している建物にAribnbが、“コミュニティの平和な環境の維持に価値を認めない身元不詳の個人”を連れ込んでいる、というものだ。

“弊社の賃貸物件に対する意図的な不法行為を積極的に奨励しそれから利益を得ているAirbnbのやり方は、許しがたい。また同社はそうするにあたって、同じ建物内の常住者とその家族を完全に無視し、彼らに対する無礼な態度を貫き、彼らにとって安全でない状況を作り出している”、とAimcoのCEO Terry Considineは声明文で述べている。“Amicoにその損害が賠償されることと、今後のAirbnbに弊社物件に対する違法行為への関与を禁じ、法を順守する住民たち*が良質な生活体験を享受できるようになることを、法廷に求める”。〔*: アパート全体がAirbnb化していない場合のこと。〕

Amicoによると、この訴訟に至るまでにAimcoは、昨年8月と10月と12月にAirbnbに対し、Airbnb上の物件の一部はAmicoの賃貸契約に違反している、という主旨の文書を送付している。

AirbnbのスポークスパーソンがWSJに語っている反論は: “それは強力な利益代表者によるミドルクラスに対する攻撃であり、裁判の本案(実体事項)にはなり得ない主張だ”、である。

Airbnbは家主たちをなだめるために、売上の一部を提供しているが、それに対する評価や成果は今のところ不明だ。今回の裁判の結果次第では、家主たちがAirbnbに対して、さらに強気な法的アクションを起こすかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

App Store、定期購読より有料アプリを優遇してトップチャートを正常化するテストを実施

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この週末Apple App Storeのトップセールス(Top Grossing)チャートに、あまり知られていない有料アプリがいくつか登場した。App Storeが新しいアルゴリズムをテストしているのか、かなり大きなバグなのかどちらかと思われる。この状態が始まったのは金曜日で、トップセールスアプリだけの現象のようで、トップ無料とトップ有料アプリでは起きていない。

しかしトップセールスチャートは、全体チャートだけではなくApp Storeの全カテゴリーが影響を受けている。

あるデベロッパーによると、自分たちのアプリはカテゴリーで2位だったのが35位に下がったという。これが彼らに問題を知らせた最初の警告だった。その日は非常に好調で、過去最高の月になるかもしれない時だった。

先週末を通じて、トップセールスチャートでふだん上位を占めていたアプリが順位を下げ、人気の低いアプリが取って代わった。まるでアルゴリズムが有償アプリをアプリ内購入で稼ぐアプリより優先するようにアルゴリズムが変更されたかのようだ。

例えば、 アルゴリズムの変更は一部の絵文字アプリに有利に働いていてSteph CurryのStephMojiもその一つだ。しかし、絵文字アプリがいくつか急に人気を得るのはわからないでもないが、もっとニッチなContruction Manager Proや15ドルの翻訳アプリがチャートに登場するのは場違いに感じる(下の画像参照)。

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Image Credit: Sensor Tower

ソフトウェアメーカーのEquinuxが提示する一つの理論は、Appleが新アルゴリズムの実験を行っていて、定期購読による収益のウェイトを減らし、有料アプリを重視しているのではないかというものだ。

このところトップセールスチャートが停滞気味であることを踏まえると、これは理にかなっている。

近年App Storeのトップセールスチャートは、SupercellのClash RoyaleやCandy Crush、ポケモンGO等の常連人気ゲームと、Netflix、Pandora、Spotify等のトップストリーミングサービスで占められている。

最近Appleは定期購読サービスを拡大して、これまで以上に多くのアプリが利用できるようになっ たが、定期購読アプリの人気が高くなったためにトップセールスチャートには同じ顔ぶれのアプリが並ぶ傾向にある。これでは新しいアプリが割り込むのが難しくなり、チャートを見る楽しみが半減する。

変更されれば、有料アプリは定期購読アプリと同じ条件で競えるようになる。新アルゴリズムは定期購読の最初の新規利用分だけを勘案し、更新は考慮しなくなるらしいからだ。

インディー系アプリにとっては歓迎すべき変更で、ビッグネームと並んでランキング入りするチャンスがようやく巡ってくる。

残念ながらそうはならなかった。月曜日(米国時間2/20)の午前0時、すべてが元に戻った。

もちろんこれは、AppleがApp Storeのアルゴリズムについて少なくとも〈考えている〉ことを示すものだ。ただし、アプリの発見にどれほど効果があるかはまた別の問題だ。トップチャートで何がトレンドかを見るユーザーも何パーセントか存在するだろうが、大方はApp Storeをキーワードで検索するか、まとめ記事を見るのが普通だ。ともあれトップセールスチャートは改変の時期を迎えているので、Appleが今後もこの種の実験を続けても不思議はない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

5秒の声サービス「Baby」のDoki Dokiが京大VCから5000万円追加調達で外国語学習に応用

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Doki Dokiのメンバー。右真ん中が井口尊仁CEO

2008年のセカイカメラ、2013年のTelepathy Oneとテック業界の話題をさらった井口尊仁氏のスタートアップ企業Doki Dokiが今日、京都大学イノベーションキャピタルからプレシード投資として5000万円の追加資金調達を行ったと発表した。2014年6月に米国拠点で設立されたDoki Dokiは、これまでにSkyland Venturesサイバーエージェント・ベンチャーズのほかエンジェル投資家らから約6000万円の資金を調達していて、累計調達額は1億1000万円になるという。

声のコミュニケーションアプリ「Baby」は2016年10月の米国ローンチ時にTechCrunch Japanでも取り上げたが、Twitterようにパブリックなタイムラインに見ず知らずの人たちの5秒の声が流れるというプラットフォームだ。Babyはローンチから4カ月ほど経つが、Doki Dokiの井口CEOによればユーザー数などはベータ版のため非公開。近々大幅なバージョンアップを控えているという。

今回の資金調達をきっかけに、京都大学学術情報メディアセンターとの共同学術研究を推進するという。初期段階では5秒間の音声コミュニケーションを使った外国語学習のユースケース検証を行い、その後は今後は感情分析や機械学習を用いた音声コミュニケーションの進化を促進する共同研究を実施予定だという。

Amazon EchoやGoogle Home、AirPodsなど音声を使ったユーザーインターフェイスへの注目は高まる一方なので、音声データを集めることができれば有用な研究ができるだろう。それもこれもBabyがそもそも「使いたくなる理由」を提供できていてこそ。ECやホームコンピューティングのUIとしての有用性は多くの人が体感し、指摘しはじめている。果たしてBabyのように「声」をパブリックなタイムラインに流すことが楽しかったり、有用だったりするのかどうか。Doki Dokiは、まだこれからそれを証明しないとならないのだろう。一方、スマホ時代になって消費に時間のかかる旧来型パッケージのコンテンツが重たいなと感じている人は多いだろう。そうしたことからマイクロ学習にも注目が集まっているので「5秒音声による学習」というのに面白い展開もあるのかもしれない。

昨年スマホの中国市場でトップだったOppoは今年のMWCで高精細画像を売りにするようだ

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今年のMWC(Mobile World Congress, 世界最大のスマートフォントレードショウ)がもうすぐ始めるので、各社はチラリズム(teasers)に忙しい。ビッグニュースをバルセロナの本番会場まで待たせる“じらし作戦”のところもあれば、LGのように、すでに何もかも見せてしまったところもある。

スターの多い中国で昨年大躍進を遂げたOppoは、典型的なじらしのチラリズムだ。中国のスマートフォンの中では昨年のトップだった同社は、売上の前年同期比122%(2倍強)を達成したが、今回スマホ本体についてはまだ何も語らない。

むしろ同社は、昨年に続いて、画像技術に焦点を当てている。昨年は16メガピクセルのフロントカメラを載せたSelfie Expertシリーズなどの機種で、セルフィー(自撮り)機能を強調した。

そして今年のOppoが中心的に訴求したい画像技術が、同社の言う“5x Project”(5倍プロジェクト)だ。それは、同社の記者発表によると、“これまでになかったほど、きわめて高精細な画像撮影能力をユーザーに提供する”、というものだ。それ以上詳しいことは書かれていないが、たぶんセルフィーに限らず全般的に、解像度の高い画像機能を提供する、ということだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

サムスン、米国の企業評判調査で大きく順位後退

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昨年はほぼ誰にとっても辛い年だった。中でもSamsungはNote 7騒動が長期にわたった上、それ以外にリコールが2件あった。電子の巨人は洗濯機もリコール対象となり狂気の渦に巻き込まれる一方で、幹部らは対政府取引で疑わしい行動を起こした。

驚く人も多いだろうが、そんな中で会社はほとんど痛手を被っていない ― 少なくとも財務的には。堅調な部品事業のおかげでSamsungは予測をくつがえして過去3年で最高の利益を記録した。興味深いことに、昨年末に発表されたReutersの調査で、同社の米国での評判はさほど打撃を受けなかった。

しかしながらHarris Pollの最新データはその感傷に水を差すことになりそうだ。韓国のGalaxyメーカーは米国評判指数レポートで昨年の7位から49位へと大きく順位を下げた。すぐ後には米国郵政公社(U.S. Postal Service)が控えている。ちなみにAmazon、Apple、Googleはそれぞれ1位、5位、8位を占めている。

調査は昨年11月末から12月中旬にかけて実施され、米国の成人3万人を対象に様々なブランドの社会的責任、ビジョン/リーダーシップ、財務実績、職場環境、製品、サービス、およびいかにも漠然とした「感情的魅力」について尋ねた。

昨年末に調査が行われて以来、Samsungは同社の製品安全性およびNote 7危機の社内対応への懸念に対する策を講じてきた。起こした混乱を「深く」詫びると共に、将来同じ過ちの犯さないよう取り組んでいることを強調している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

尻尾を振るRoombaに注目―IEEEが効果的インターフェイスだと重視

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IEEEは2013年の面白い研究のビデオを発掘して公開した。Roombaに取り付けたふわふわした犬の尻尾は面白いだけではなかった。インターフェイスとして役立つというのだ。

この研究はAshish SinghとJames Youngによるもので、ロボット掃除機のRoombaに尻尾を装着すると内部状態を知らせるためのコミュニケーションに非常に役立つとしている。たとえばすばやく尻尾を振っている状態は「万事OK」だが、ゆっくり左右に動かしているなら「問題あり」という具合だ。

「工場で運搬に従事しているロボットから家庭内で利用されるロボット、PackBotのような汎用ロボットまであらゆるロボットがこのテクノロジーでメリットを得る」とYoungは語っている。

ロボットに尻尾を取り付けるのはどんな場合に適当だろう? ロボットの内部状態を知らせるという目的であれば、ディスプレイやスピーカーを追加するより尻尾を追加したほうがはるかに安上がりだ。もちろんこれは将来ロボットがあらゆる場所に存在するようになりわずかなコスト削減も全体としてきわめて大きな影響をもたらすという前提にもとづいている。

しかしそうした実用性とは別に、おもちゃ市場をみれば、ごく単純な鳴き声や笑い声を挙げるだけで愛着が大きく高まることはファービーや恐竜ロボットのプレオ、最近ではハッチマル〔生まれてう~も〕の例でも明らかだ。

この研究を行ったマニトバ大学のチームは、ロボットが人間に情報を知らせるために「視覚的手段」を備えることが重要だと指摘している。これにより人間は「手遅れになる前に」ロボットの内部状態を把握できる。このチームはまた人間のロボットに対する共感(empathy)についても研究しており、人間がロボットに対する共感を動画と現実で比較した。その結果、人間は動画に現れるロボットに対するよりも現実のロボットに対して強い感情移入をする傾向があることが判明したという。

〔日本版〕IEEE Spectrumのページは、「Roombaがロボット掃除機だということは分かっているが、観察していると、ときおり掃除機としては不可解な行動する。Roombaについてはさほど大きな問題ではないだろうが、ロボティクス一般として考えると(重要だ」とロボットと人間のコミュニケーションを改善する必要性を述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

WhatsAppが加工写真共有のStatusをスタート―Snapchatクローンだが暗号化

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FacebookグループのWhatsAppはSnapchatの国際的な勢力拡大にブレーキをかけられるかもしれない。WhatsApp Statusという新しい機能はデコ写真(およびビデオ、GIF)を24時間に限って共有する。もちろんSnapchat Storiesの「そっくり」だが、StatusはWhatsApp本体とテキスト・メッセージと同様、エンド・ツー・エンドで暗号化されておりセキュリティーが強固だ。

WhatsAppでは昨年11月から一部のユーザーを対象にStatus機能のベータ版をテスト していた。今回はいよいよ正式なタブとしてiOS版、Android版、Windows Phone版が世界に公開される。WhatsAppのユーザーは絵や文字を手描きしたり、スタンプなど貼ってデコレーションをした写真を友達との間でプライベートに共有できるようになった。共有範囲やプライバシー設定は本体アプリの設定のとおりだという。特定の友達に写真、ビデオを添付してメッセージを送ることも従来どおりできる。

StatusはまたWhatsAppに新しい広告掲載スペースを提供する。Snap、Instagramの前例が参考になるなら、Facebookはフルスクリーンの広告をStatus投稿の合間に表示するだろう。

新しく導入されたStatusはAOLのインスタント・メッセージを思わせるいささか古臭いMy Status機能を代替する。WhatsAppがちょうど8年前にスタートしたとき、My Statusはこのアプリの唯一の機能だった。【略】

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WhatsApp Statusは以前のMy statusを代替する

WhatsAppは今や月間ユーザー12億人の巨大サービスに成長した。投稿されるメッセージ数は毎日600億通に上る。これには33億枚の写真、7億6000万本のビデオ、。8000万本のGIFが含まれるという。WhatsAppの機能拡張はSnapchatにとってトラブルを意味することになるかもしれない。WhatsApp Statusが順調にユーザーを獲得するようなら、Snapchatのリッチメディアのサポートをセールスポイントとする国際展開はスローダウンし、同社の収入源は既存のユーザー、ハードウェア、プロフェッショナルによるコンテンツなどに限られることになるかもしれない。

Instagram Storiesの1日あたりユーザーも今や1億5000万人を数えることで明らかなように、Snapchatのクローンであっても、膨大なユーザーを抱えるアプリに適切に付加されるなら成功を収める。TechCrunchはこの記事でSnapchatがトラフィックを奪われていることを最初に報じた。 アナリストやセレブのSNSマネージャーはSnapchatのピュー・カウントが低下していることを認めていた。

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WhatsAppのカメラ機能

Snapchatの運営会社、Snapの株式上場申請書にはユーザー成長率が82%もダウンしたことが報告されていた。申請書によれば、2016年の第2四半期に17.2%だった成長率が、Instagram Storiesがローンチされた第4四半期に3.2%に急減している。

Instagramは大胆にもSnapchatクローンのStoriesを堂々とメインタブに位置づけたのに対し、 WhatsAppはStatusをかなり深い場所の埋め込んでいる。しかしStatusはStoriesのスライドショーのフォーマットを、これがまだ浸透していない地域、南アメリカ、東欧、途上国などへの普及を加速する可能性がある。こういう地域ではSnapchatもまだ広く利用されていないのでユーザーはクローンだというイメージを持ちにくいだろう。

WhatsAppは当初、シンプルな実用本位のテキスト・チャットのプラットフォームと位置づけられていた(多機能性を求めるならFacebook Messengerを利用することができる)。しかし昨年WhatsAppはリッチメディア時代にふさわしく、カメラ機能を導入した。StatusがWhatsAppはシンプルさを損なうことがなければ世界各地でSnapchatに対抗できる存在になるかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

サイトの問い合わせを電話からチャットに、スクリプト1行で追加できる「チャットポート」

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初めて行くサロンや飲食店に足を踏み入れるのにはちょっと勇気がいる。個人経営のサロンだったらどんな人が対応してくれるのか気になるし、ネットで見つけたクーポンは使えるのかなど聞きたいこともある。電話するほどではないこともチャットでなら気軽に問い合わせができ、すぐに対応してもらえたのならその店のサービスを利用してみようという気にもなりやすいだろう。ただ、個人事業主や小さな組織にとっては営業時間中ずっとお客からのメッセージ対応したり、そのために専任の人を置いたりするのは難しいかもしれない。ミームグライダーは本日リリースした「チャットポート」で、そうした小規模組織や個人事業主でもチャットによるカスタマーサービスを気軽に取り入れられるようにしたい考えだ。

自宅でサロンを運営している個人事業主や数人で運営しているスタートアップ企業なら、自社サイトを持っているところも多いだろう。チャットポートはウェブサイトにスクリプトを1行入れるだけで利用できるオンラインサポートツールだ。カスタマーサポートの担当者がチャットポートのサポート画面を開いている時だけ、サイトにチャットのウィジェットが表示される。訪問ユーザーから質問があれば、担当者はリアルタイムでユーザーに対応できる。サポート画面を閉じている間は、ウィジェットは問い合わせフォームに自動で切り替わる仕組みだ。少ない人数の組織でもチャットやメールで効率的なカスタマーサポートを提供できるようにするのがチャットポートの狙いだ。

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店舗や個人事業主なら、Facebook MessengerやLINE@などを使う手段もある。しかし初めて店舗などに問い合わせをする時は、個人のIDを用いるLINEやMessengerより匿名チャットの方が連絡しやすいとミームグライダーの代表を務める杉本宏史氏は考えている。正式ローンチ前からチャットポートを試験的に導入している個人経営のヘッドスパでは、新規のお客からどのような施術が受けられるのかといった質問や予約依頼までチャットで来るようになり、サロンと新規顧客との接点になっていると杉本氏は言う。

杉本氏は前職でニフティに勤め、40代に入ってから起業した。ニフティではサービス企画や新規事業開発に携わり、ベンチャー企業と接する機会もあったという。そうした経験の中で、「一生に一度くらい、起業する側に回りたい」という思いが芽生え、2003年10月にミームグライダーを創業するに至ったそうだ。杉本氏はこれまでに、安定性に優れたコミュニケーションサービスが構築できるErlang/OTP言語を使ってC向けサービスをいくつか手がけている。今回ローンチしたチャットポートについては「大企業にあるようなサポートセンターの代替手段という位置付けではなく、個人事業主やスタートアップが電話の代わりにお客さんと直接話せる機会を提供したい」と話す。

チャットポートの利用価格は年間契約で1万1760円(月額換算だと980円)だ。今後は利用者の獲得に向け、Web制作会社やWebデザイナーとの提携を進め、間接販売チャネルの拡大を計画しているという。ゆくゆくは人工知能を使ったチャットボットサービスなども展開したい考えだと杉本氏は話している。

HealthTapの人工知能ドクターがAlexaをサポート―手が不自由なユーザーに朗報

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Amazon Alaxaからは音声でピザが注文できる。玄関のドアのカギをかけたり外したりできる。これに加えて今日(米国時間2/20)からAlexaのユーザーは(そう望むなら)ヘルスケアのスタートアップ、 HealthTapのオンライン・ドクターから助言を受けることができるようになった。

HealthTapは同社の人工知能を利用した健康アシスタントがAlexaをサポートを発表したと発表した。ユーザーは“Alexa, talk to Dr. AI.”という音声コマンドでHealthTapのAIドクターを呼び出せる。その後Amazonのスマート・スピーカーは医師の診察をシミュレーションした(あくまで補助であって代替するものではないという)フォーマットに従ってユーザーの健康上の問題を聞き取り、助言を与える。

HealthTapによればこのこのAIドクターは「態度が知的であり安心感を与える。ユーザーの質問をダイナミックに処理して自然言語による回答を生成するインターフェイスを備えている」という。さらに緊急性、必要性が高い場合、現実の医師の診察を予約することもできる。

このシステムのターゲットは移動が困難な高齢者、障害者を想定している。Dr. AIはこれまでiPhoneとAndroidアプリから利用可能だったが、Alexaのサポートが追加されたことで、さらにユーザーフレンドリーになった。HealthTapでは特に手の動きが不自由なユーザーにとって利便性が増したとしている。

〔日本版〕HealthTapなどオンライン・ヘルスケアに関してはTechCrunch JapanでもRemedyはKhosla Venturesが支援するAI利用の低料金遠隔医療サービスなどで紹介している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Android Studioはいつまでこの体たらくを続けるのか?

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年に2回程度、私はちょっとしたAndroid開発をすることが必要なプロジェクトに関わっている。そこで、年に2回程度Googleのいわゆる統合開発環境であるAndroid Studioを、祈るような気持ちで立ち上げる。…そして年に2回、それがいまだにエレガントで直感的なRube Goldberg機械(複雑怪奇な仕掛けでちょっとしたことを行うだけの機械)であることに気がついて、苦い失望に顔をしかめるのだ。

私が特定のOSに肩入れしているわけではないことは急いで付け加えておきたい、というより私はどちらかといえばGoogle贔屓なのだ。これまでの私のスマートフォンは全てAndroidだった。最初にHTC Magicを買った2009年以来、私は職業としても趣味としてもAndroidアプリを書き続けて来た。その後もAndroidが続き、Galaxy S2、Nexus 4、Moto X、そしてピカピカのPixelを手にしている。

しかし私は、iOSやtvOSのアプリ書いている。そしてAppleのソフトウェアに対する覇権的態度は嫌っているものの、AppleのIDEであるXcodeを立ち上げると、少しほっとした気持ちになるのだ。それは高速で滑らかに動く。そして、それがあまり上手く動作しないときでも、足手まといになることは滅多にない 、だがAndroid Studioの場合、足手まといになることが基本機能なのだ。

例えば、私はそのビジュアルツールを利用して、スクリーン上に要素を本当に上手くレイアウトできた試しがない。もちろんそれが理論的に可能であることは知っている。しかし試す度に強度のフラストレーションに襲われて、結局XMLでレイアウトを直接書くことになるのだ。これが私1人だけの問題ではないことは確かだ。逆にXcodeでは、自由奔放に楽しく、ドラッグアンドドロップをするだけだ。

最初の状態ではAndroid Studioは自動的にJavaクラスをロードしていない。これを行うためには、不可解な迷路の中に埋め込まれたメニューに辿り着かなければならない。最初の状態では、Android Studioは、おそらく私が必要とする無数のサポートライブラリをどのようにロードすべきかを教えてくれないし、Androidエミュレーター(いまだに耐え難いほど遅い)をどのように実行すれば良いかも教えてくれない。この両者への秘密の扉は、信じようが信じまいが、”Tools”メニューの中の”Android”サブメニューの中に埋め込まれている。このことについて、少し考えてみよう。何故GoogleのフラッグシップAndroid開発ツールに、”Tools/Android”メニューがあるのだろうか?全部がAndroidツールではないのか?これらの重要な要素がメニューである必要があるのか?

…問題の1つは、もちろん、Android Studioがゼロから作られたものではないということだ。それは今やもう年老いたJava IDEであるIntelliJ IDEAプラットフォームに基づいている…まあそれでお分かりだろう。15歳という年齢を感じさせるソフトウェアだし、それはAndroid開発のために作られたというよりも、対応させたということが明らかなものなのだ(”Tools/Android”を思い出してみよう)。そして、もちろんそれはJavaで書かれていて、マルチプラットフォームで動作する…しかし動作は遅い。

Androidのエコシステム自身が、さまざまなライブラリとSDKの、目まいがするような過剰なバージョンへと断片化し、扱いにくくかつ複雑であることは事実だ。例えば、ビルドツールのGradleが開発者泣かせということは有名な話だ(とはいえビルドそのものは難しい。Appleのビルドツールも開発者の手をがっちりと掴んでいてはくれない)。しかし、良く設計されたIDEは、少なくともこの苦痛を緩和できる。Android Studioがマルチプラットフォームでなければならないのに対して、Xcodeは1つのOSだけで走れば良いというのは真実だ。しかし、他でもないGoogleは、マルチプラットフォーム上でネイティブコードをサポートできるリソースを持っている筈だ。

巨大怪物のGoogleが、10億台以上で使われているそのモバイルプラットフォーム向けのフラッグシップ開発環境を、これほどまでに遅く、ツギハギだらけで醜いもののままにしていることは本当に驚異的だ。負の効果は測り知れない。iOSの開発をより早くより効率的にしているものの理由の1つが、良いツールが提供されていることだ。両方のエコシステムに慣れた開発者たちは、AndroidよりもiOSの方を好む。なぜならそちらの方が遥かに使いやすいからだ。そのため私たちはスマートフォンソフトウェアとしてiOSを優先することになり、Androidは二の次になってしまうのだ。AndroidアプリはiOSプリよりも大きくなりがちなことで有名だ、それなのにIDEがそれに対処できないということは信じがたい。

まあ身勝手な話だが、仮にGoogleのIDEが優れていた場合には、Appleに対して改善を迫るとは思う。Xcodeは完璧からは程遠い。クラッシュもすれば、ハングアップもする。しかしそうした欠陥があるとしても、比較するまでもなく、iOSの開発はAndroidの開発よりも遥かに苦痛が少ないものだ。(まあ、それもデプロイしようとするまでの話だが。そこから先はAndroidには苦労がない。Appleの「改善はされたもののしばしば不可解な」、ビルド、署名、アップロード、提出、そしてベータ版ビルドですら承認を待たされるプロセスは、iOS開発者に深い恨みと怒りを引き起こすものだと知っている)。

しかし最近、半ば疑いながらの期待ではあるが、真のライバルが初めて現れてきたようだ。このことは、最近Microsoftによって買収されたXamarinのおかげで、.NETプログラマーたちにとっては既に知られていたことだ。Xamarinを使えば.NETを用いてAndroidとiOSに対してネイティブアプリを作成することが可能になる。しかし最近ではFacebookのRact Nativeが、(あまり沢山の)ネイティブコードを書くことなしに、クロスプラットフォームネイティブコードを書くための現実的なソリューションとなりつつある。すなわちAndroid StudioもXcodeも利用する必要がないのだ。

私はAppleとGoogleの開発環境が消え去ってしまうと言っているわけではない。しかしAppleとGoogleのデファクトで塞がれた道を、誰かが少なくとも押し退けようと努力しているのを見ることができることは良いことだ。彼らは、特に後者は、競争の欠如によって自己満足的に成長してきた。彼らがReactに、どのように対応(react)するかを見守ろう。

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(翻訳:Sako)

世界最小クラスの紛失防止タグ「MAMORIO」、開発元がメルコから1億円超の資金調達

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紛失防止IoTタグ「MAMORIO(マモリオ)」を開発・販売するMAMORIOは2月20日、メルコグループの持株会社メルコホールディングスを引受先とする第三者割当増資の実施を発表した。調達額は非公開だが、1億数千万円程度の規模だとみられる。

MAMORIOは、日本版Amazon Launchpadの出品プロダクトとしても取り上げられた世界最小クラスの紛失防止タグ。Bluetoothでスマホとペアリングして、スマホをゲートウェイとしてサーバーと通信する。スマホと、タグが付いている財布や鍵などの貴重品との距離が離れると、MAMORIOアプリに通知が届く仕組みだ。2015年11月の出荷開始から現在までに数万個を販売し、利用ユーザーがカバーした面積は累計で250万平方キロメートルを超えるという。

MAMORIOはアクセラレータプログラムの「KDDI ∞(無限) Labo」の第10期に採択され、日本航空(JAL)の整備用機材の位置管理など、さまざまな法人との実証実験を行ってきた。MAMORIO代表取締役の増木大己氏によれば「実証実験では評価を得られた。これらのユースケースの積み重ねを経て、ゲートウェイとIoTハードウェアとの連携による新しいサービスや製品機能の用途(ニーズ)を、複数の企業から頂いている」ということだ。

“IoT時代の社会全体での安心ネットワークを提供する”という中期ビジョン「ゲートウェイ2.0」を掲げるメルコホールディングスからの今回の調達。増木氏は「グループ会社にバッファローを中核とした、ゲートウェイに関する高い技術力を持つメルコとスタートアップ(である我々)が組むことで、新しいサービスや製品を生み出すことができると考えている」と話している。「これまでの各企業からのニーズに加え、メルコのアドバイスも得て、2017年中には新製品を提供したい」(増木氏)