Facebook、NGO向けに「今すぐ寄付」ボタンを導入。支払い情報収集効果も

本日(米国時間12/16)Facebookは、“Donate Now”[今すぐ寄付]ボタンを導入し、非営利団体の募金活動をはるかにやりやすくした。ビジネスへの副次効果? ボタンによってクレジットカード番号その他の支払い情報が登録されるので、FacebookはこれをEコマースやゲームの後押しに使えるかもしれない。

19の非営利初期パートナーが、各Facebookページのトップおよびニュースフィード記事の末尾にDonate Nowボタンを表示し始める。DonorsChoose.org(私のお気に入り)、Boys And Girls Club Of America、World Wildlife Fund、UNICEF、Red Cross、Kivaなどが参加する。しばらくテストした後、Facebookは同機能を他のNGOにも解放する予定で、希望者はここでサインアップできる。

Donate Nowボタンのおかげで、NGOはユーザーをFacebookや友達から離れさせることなく、その場でポップアップから寄付を受付けることができる。ユーザーは、寄付する金額を決め、支払い情報を入力するか既にFacebookに登録してある情報を使える。このポップアップによってコンバージョン率が上がり、困窮しているプロジェクトに多くの資金が送られるだろう。Donate Nowボタンは、友達に寄付を呼びかける便利な方法にもなるので、慈善行為がバイラルに広がる手助けになる。Facebookは、寄付金処理の手数料を徴収しない。

悲しいことに、企業はすべて邪悪であり、非営利組織を助けたいと思っている立派な人間などいるはずがない、と信じている人たちもいる。しかし、Facebookは純粋にそれらの大義に役立とうとしているようだ。たとえボタンが同社のビジネスを後押しするとしても。営利企業が慈善活動を始め、長期的には利益になるかもしれない、というのは最近のトレンドでもある。Facebookは、Internet.orgという途上国のインターネット利用を促進するプロジェクトを支援しているが、同サービスへのサインアップを増やすことにもつながる。また今日の午前、Comcastは数百万ドル規模の資金をオンライン教育事業のKhan Academyに援助することを発表し、より多くの低所得世帯が同社の低価格サービスを利用することを期待している。

[アップデート:Facebookは、寄付をした後、簡単にクレジットカード情報を削除できるしくみを用意すべきだろう。現在は、アカウント設定に行って支払い情報からクレジットカードを削除する必要がある。そこへのリンクを追加するか、寄付の流れの中に削除ボタンをつければ便利になる・・・が、今後NGOに寄付する場合には面倒になる。]

Facebookは、アプリストアを持つAppleやGoogle、さらにはAmazonらEコマース巨人たちと比べて、クレジットカード番号収集レースで遅れを取っている。支払い情報が登録されていないことが、Facebookゲームでバーチャルグッズを買ったり、友達にFacebookギフトカードを買ったりする際の障壁になっている。価値ある大義に寄付をするという道徳的要請が、クレジットカード番号を打ち込んだり、PayPalなど他の支払いサービスと接続するというユーザーのハードルを下げられるかもしれない。

登録されている支払い情報が増えることは、Facebookの最近のEコマース促進策、「Facebookでオートフィル」の強化にもつながる。このしくみを使うと、サードパーティーのモバイルアプリが、チェックアウト手続きの中にボタンを統合し、ユーザーは殆ど文字を打つことなくFacebookから支払い情報や配送情報を簡単に取り込める。

Facebookは、手数料も収益分配も要求していないが、オートフィルを通じて支払いデータを覗き見ることで、広告のROIを証明する計画だ。例えば、あなたが広告をクリックしてJackThreadsのEコマースアプリをダウンロードし、「Facebookでオートフィル」を使って以前Donate Nowボタン経由で入力した支払い情報をインポートして購入すれば、Facebookは広告主に対して、彼らのマーケティングメッセージがどれだけ収入を生んだかを伝えられる。

こうしたDonate NowがもたらすFacebookビジネスへの間接的促進は、彼らがこのボタンを作った直接の動機ではないかもしれないが、都合の良いシナジーではある。人々を友達や非営利活動とつなぐことが、たまたま彼らを広告主とつなぎやすくする結果にもなるというだけだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Amazon、生鮮食品を扱うAmazonFreshを予定通りサンフランシスコでスタート

以前の記事で扱ったように、Amazonがサンフランシスコでの生鮮食品の取り扱いを開始した。

これまではシアトルおよびロサンゼルスで展開していたが、これをサンフランシスコにも拡大したというわけだ。

サービスの名称はAmazonFreshで、年会費として299ドルが必要となる。会員になれば生鮮食品、肉、乳製品などが即日ないし翌日に配送されるようになる。年会費を払えば、同時にプライム会員としても登録される。

小売界のワンストップサービスを目指すAmazonにとって、生鮮食品の販売というのは新しい可能性を探る実験的意味があるのかもしれない。Amazonは、ターゲットコーポレーションが小売界で成し遂げてきたことを、デジタルの世界で実現しようとしているわけだ。

可能性のひとつとして、生鮮食品の提供を行うことで、利用者が定期的にサイトを訪問するようになるという効果も期待できる。取り扱い製品を次々に拡大していく中、サイトを訪問してくる利用者のついで買い効果なども最大化していきたい考えだ。

競合はと見回せば、ちょうど本日ボストンでサービスを開始したInstacartやWalmartなどの名前があがるだろう。

サンフランシスコに住んでいて、AmazonFreshを試してみようかという方はこちらから手続きを行うことができる。

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(翻訳:Maeda, H


ブランド商品を販売するEvernote Market、月次売上全体の30%を占めるまでに成長

EvernoteのCEOであるPhil Libinが、パリで行われているLeWebで壇上に立った。Libin曰く、フリーミアムのEvernoteで100万ドルの売り上げを達成するには16ヵ月を要した。それがEvernote Businessは5ヵ月でこの金額を達成し、そして9月に開設したEvernote Marketは、なんと1ヵ月で100万ドルを達成したのだそうだ。

Evernote Marketでは、ポストイットやEvernoteブランドのソックスやバックパックなど幅広く提供している。売れ行きは順調で、在庫の維持に苦労しているほどだという。Libin曰く、Evernote Marketは単なる派生的ブランドショップとしての扱いなのではなく、あくまでもEvernoteビジネスの中核を為すものと位置付けているのだとのこと。今のところのベストセラーはバックパック、Scansnap Evernote Scanner、Jot Script Stylusなどで、これらを併せてEvernote Marketの売り上げ中30%を占めているとのこと。また、Evernote Market全体では、Evernoteの月次売上の30%を占めるまでになっている。

Evernote Marketがスタートするまでは、プレミアムの売り上げが89%で、Evernote Businessが11%となっていた。現在はそれぞれの割合が61%および9%となっている。

現在のEvernoteの状況は、それぞれのビジネスプランがお互いをサポートしあっているという状況であるようだ。実は、Evernote Market利用者の11%はEvernoteの利用者ではないらしい。Evernote Marketの製品を見て、単純に商品を気に入ってバックパックなどを購入しているということのようだ。またEvernote Marketの売り上げの51%は、Evernoteの無料版利用者からのものであるそうだ(Market利用者でも、Evernote無料版の利用者が最大になっている)。投資家の中には、有料版にアップグレードしない利用者ばかりを多く抱えていることを問題視する人もいたが、どうやら無料利用者を抱えることの意味というのもわかりやすく提示できたとLibinは考えているようだ。すなわちEvernoteの無料利用者が、今やEvernoteの行うビジネスの中で非常に重要な顧客として振る舞い始めているわけだ。

毎度出てくるEvernoteの公開話では、Libinはやはり「急ぐつもりはない」と回答していた。IPOには、まだ数年はかかるとみているようだ。ただ、利用者がEvernoteを信頼して膨大な情報を預けてくれるような状況の中、その信頼に応えて会社を公開することの意味は大きいとも考えているそうだ。

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(翻訳:Maeda, H


モバイル決済のSquare、精度を上げて対応機種も拡大した新しいカードリーダーをリリース

昨日公開されたティーザーで予告されていた通り、Squareが新しいプロダクトを発表した。いったい何が出てくるのかと憶測を巡らせたが、出てきたのはカードリーダーの新版だった。確かに、これが最もありそうな話ではあった。新しいリーダーはこれまでのものよりも薄く、読み取り精度が向上しているようだ。3.5mmオーディオジャックプラグも、より多くのデバイスで利用できるように対応が行われている。

新しいSquare Readerは来年からの提供を予定しているようだが、ホームページ上からの無償配布も開始されている(訳注:アメリカと日本では異なる仕組みになっているかもしれません)。どのくらい薄くなったかと言えば、iPhone 5や5sと同じ程度になっている。すなわち、オリジナルのものと比べて厚みが半分程度になっているのだ。またエッジはよりシャープになっていて、驚くべき仕掛けがあるわけではないが、外見は相当に格好良くなったように感じる。

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(翻訳:Maeda, H


Square、Vine上でティーザー告知展開中。何かはわからないけれど、何かが登場予定?!

SquareがVine上でナゾのティーザーを展開中だ。アメリカ時間の月曜日に、何かを発表することを暗示しているらしい。何が発表されるのか、投稿されているVineビデオからはほとんど何もわからない。どうやらまるめたこぶしの中に入るものなのだろうか。しかしビデオ中の「こぶし」もおそらくは単なる表現上のもので、具体的なことを示すものではないのだろう。すなわち、何が発表されるのか、まったく何もわからない。

何もわからない中、敢えて予想するなら、クレジットカード用ドングルをアップデートするようなことが考えられるだろうか。Squareは2009年にこのドングルの提供を開始して以来、同じものを使い続けている。但し、このドングルはいかにもSquareらしさを示すものでもあり、イメージを損なわずにどういった機能追加をするのかと考えると、可能性は低いようにも感じられる。

あるいは、国際展開上で必要となってくるChip and PIN対応のリーダーを発表するのかもしれない。もう少し想像力を働かせるなら(少々強引すぎる想像かもしれないが)商店内個人マーケティングを可能とするAppleのiBeaconトランスミッターを搭載するという可能性もあるのかもしれない。

iBeaconを使えば店舗を訪問している客に最新の商品情報や割引商品情報などを通知することができる。またフリーマーケットやイベント会場などでもさまざまな情報を通知できるようになる。これと統合することで、Squareがさらに便利に使えるようになることは間違いない。おまけにiBeaconのトランスミッターというのは、上のビデオ中の左手の中に隠れるほどの大きさだと思うのだ。

結論とすると、明日になって何が出てくるのかは全くわからないということだ。しかし、SquareのVine情報は注視しておこう。

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(翻訳:Maeda, H


Amazon、生鮮食品を販売するAmazonFreshを来週中にもサンフランシスコで展開予定

本やDVDの配送にドローンを使うよりも、実際的に役立つこととは何だろう。

たとえば「食品」の配送に使えばより有効だと言えるだろう。

All Things Dの記事によると、Amazonはサンフランシスコでも、生鮮食品の消費者向け配送サービスを開始するのだそうだ。スタートは12月10日の予定らしい。

これまでのところでも、既にシアトル(Amazonのホームグラウンド)およびロサンゼルスにてAmazonFreshを展開している。このサービス地域を拡張するという話なのだろう。さらにAll Things Dに入った情報筋の話以外にも、シアトルでのサービス開始に関する情報が他にもある。

Twitter上にはAmazonFreshのトラックを見たという情報が流れており、また人材募集広告なども傍証になる。

これまでもAmazonは、加工食品については全国的に展開してきていた。Amazon Primeに加入している場合には、こうした加工食品も翌日には配送してもらうことができた。今回展開されるAmazonFreshというのは、加工食品のみならず新鮮な農産物、肉、ミルクなどを当日(ないし翌日)のうちに配達してくれるものだ。なかなか便利に使えそうな感じではないだろうか。

これまでのところこ、AmazonFreshは年間299ドルの会費を徴収するサービスとして展開されている。

食品販売は、さほど儲けの大きいサービスであるとは言えないだろう。しかしAmazonは、消費者の「購入」エクスペリエンスを一手に担いたいと考えている様子。電化製品、洋服、家具、などなど、すべてをAmazonから提供したいと考えているわけだ。

より多くの利用者を「Prime」や「AmazonFresh」の会員として取り込むことができれば、Amazonはより多くのものを売ることができるようになる。少々高めの会員登録費を払った以上、なるべく多く活用しようとするのが人情でもあるからだ。消費者としては「有効活用」で、それがAmazonにとっては「利益」に繋がる。

生鮮食品の取り扱いサービスを広げていくのは、魅力的な選択しであると思われる。小売市場の主な担い手である女性を多く取り込んでいく可能性もある。

*念の為に言っておくが、サンフランシスコでオープンされるAmazonFreshでは、今のところドローン配送を利用する予定は立っていない。

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(翻訳:Maeda, H


スマートフォンに最適化したサイトの売上が大幅上昇―ブラックフライデーが87%、サンクスギビングデーが258% アップ(対前年比)

オンラインショッピングのモバイル部分が増加中だ。IBM Benchmarkによると、今年のブラックフライデーの場合、スマートフォンは全オンライントラフィックの4分の1を、オンラインショッピングの売上高の7.2%を占めた。

しかし当然ながらスマートフォンに最適化されたサイトの増加率はトラフィック、売上ともに平均を上回っているー。2013年のブラックフライデーの場合、対前年比で、スマートフォン最適化サイトの訪問者は75.65%、セールスは75.65%も上回っている。

このデータはモバイルサイトのデザインを行う世界的なeコマース・プラットフォームBranding Brand上で収集されたものだ。このプラットフォームの利用者にはAmerican Eagle Outfitters、Costco、Ralph Lauren、Sephora、Calvin Klein、Crate &Barrel、Nasty Gal、Kate Spade、Bath&Body Works、Brookstoneなどなどの大企業を始め200社が含まれる。

同社のMobile Commerce Indexはアパレル、ヘルスケア、美容、家庭用品などのクライアントのカテゴリーごとにサンプルを抽出し、デスクトップ版のままのサイトとスマートフォン最適化を行ったサイトとのパフォーマンスの差異を分析している。BrandingBrandのインデックスはスマートフォン最適化の影響の調査としては世界最大規模だ。

Branding Brandによれば、ブラックフライデーに152箇所のスマートフォン最適化サイトへの930万の訪問者のうちiOSからが 66.62%、Androidからが32.97%だったという。この訪問から17万4111の注文が発生し、その平均単価は93.2ドルで、対前年同日比22.08%のアップだった(BrandingBrand Indexの対象とするスマートフォン最適化サイトも昨年の46箇所から大幅に増えた。Branding Brand自身もこの間、950万ドルの資金を調達している)。

また同インデックスによれば、クライアントのeコマースサイトへのブラックフライデーの全トラフィックのうち、スマートフォンの割合は34.36%だった。一方、IBMBenchmarkが800箇所のeコマースサイトから集したデータよるたスマーフォンの割合は25%だった。ただしBranding Brandにはスマートフォン最適化を行うクライアントが集中しているわけだからこの結果は当然といえる。

Brand’s Indexによれば今年スマートフォン最適化サイトは対前年同日比で訪問者を69%増やし、売上も258.18%増えた。ただし平均注文単価は92.55と昨年とほぼ同額だった。

Branding Brandのデータは他の業界統計ともおおむね一致する。たとえばモバイル・アプリのパフォーマンス管理を専門とするCrittercismが最近サードパーティー(Dimensional Research)に委託して行った調査でも同様の傾向が見られた。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


「価格.com」モデルを東南アジアでタイムマシン経営する日本のスタートアップ

海外でヒットしたビジネスモデルをいち早く日本に持ち込む「タイムマシン経営」。ネットバブルと呼ばれた時代には、ヤフーをはじめ多くの企業が米国の成功モデルを輸入して成功したが、近年ではネット業界の国境や時差がなくなってきたせいか、かつてのようにその言葉を聞かなくなった(関連記事:もはや、日本でタイムマシン経営を成立させるのは無理か)。ならばと、価格比較サイト「価格.com」のモデルをインドネシアで展開しようとしているのが、Pricebookという日本のスタートアップだ。

Pricebookは、東南アジアでのネットビジネス経験がある2人が9月に設立したスタートアップ。国内でシード・アーリー投資を手がけるインキュベイトファンドが出資している。

Pricebookによれば、インドネシアはEC市場の伸びが著しく、B2C向け市場規模は2012年で約1040億円、2015年には約3560億円に拡大する見込みだという。同社は、「インドネシアにはEC領域に大きな可能性がある一方で、有力な価格比較サイトが台頭していない」と分析。インドネシアを含む東南アジアで価格.comと同様のポジションを取れると判断し、まずはインドネシアで12月3日にサービスをローンチした。

当初は、携帯電話やパソコンなどの家電を取り扱い、製品のレーティングやレビュー、検索、掲示板、レコメンド機能を搭載。販売店と価格の組み合わせをリスト化し、それぞれの販売店の評価とあわせて掲載する。いくつかあるという既存サービスとの差別化ポイントとしては、「最低価格比較」および「口コミ」の2点を打ち出していく。

Pricebookの辻友徳社長によれば、インドネシアの価格比較サイトは、製品の価格が間違っていることが多々あるのだという。そこで同社は、店舗のECサイトに負荷をかけない範囲内の頻度で価格をクロールしたり、セール情報ページはクロール頻度を上げるなどの施策を実施。誤った製品に基づいた価格については、人力作業で精度を向上させる。東南アジアの高い携帯電話普及率に合わせ、レスポンシブデザインやモバイルアプリの開発にも取り組む。

短期的な目標としては、競争源泉となる製品や価格データ、口コミを蓄積するとともに、SEOを重視してアクセスを集める。2014年中には、店舗から製品や価格のデータを自発的に提供してもらい、最新の価格情報をプッシュ型で配信する仕組みを構築する。「買い手・売り手ともに未成熟な市場なので当面は売上を追求しない」(辻氏)が、将来的には扱う商品のカテゴリーや展開国を増やし、2年をかけて単月黒字化を目指すとしている。


われはドローン ― 無人飛行機による配送、ついに本気の時代へ

ドローン配送の、実現上の細かい問題点など、取り敢えずおいておこう。ライフルの名手であれば、Amazonから無料で商品をゲットできるということだなどという考えも脇に置こう。配送可能距離が短すぎて、これまで配送対象地域外だったような場所はやはり対象外のままだとか、人口の密集する都会で飛ばせば、またいろいろと問題が起こりそうだという話も今のところは無視する。マーサズ・ヴィニヤードの隠れ家で受け取るのでもなければ、庭にペーパーバックを投げ入れていくような配送方式が受け入れられるわけがないとか、そういう話はまた次の機会にしよう。

あるいはもしかすると配送中のドローンが人の上に落ちてくるなんてことがあるかもしれない。「Amazonのプライム・ヘアカットだ」などと笑っていられない事態を招来することもあるかもしれない。そんな可能性も、まあ、頭から追い出しておく。まさかとは思うがFAAがBezosのアイデアを拒否するなどということがあり得るかもしれない。そういうネガティブな可能性はすべて忘れよう。「Amazonの本気」を感じてみようではないか。

取り敢えず、Amazonには豊富なマンパワーがある。カスタマーサービスの担当者たちは、1年365日24時間体制で、Kindle Fire HDXに登載した「メーデーボタン」がクリックされるのを待ち続けている。Bezosによると、このシステムの構築は数週間のうちに行ったそうだ。そして準備中はカスタマーサポート部門の長ですら、自分たちがいったい何を準備しているのかを知らなかったそうなのだ。つまり、Amazonは不可能とも思えることに向けて、従業員の能力を注力させることができる企業であるということを意味する。

また、ドローンの「知能」は大きく進化しつつある。たとえばAirwareなどの企業が無人ドローン向けのインテリジェントシステムを構築しつつある。結局のところは配送用ドローンは人力で管理し、緊急事態に備えておかなければならないだろう。しかしすべてを人力で行うなら、このドローン配送システムは実現不可能だ。ドローン側のインテリジェンスが向上することで、実現可能性がどんどん上がりつつあるのが現状だ。Centeyeのような仕組みを備えることにより、民生用ドローンも、軍事用無人攻撃機であるドローンと同様の性能をもつにいたっているのだ。もちろん搭載するのはヘルファイアミサイルなどではなく、たとえば『Diary Of A Wimpy Kid』などということになる。

さらに、Amazonにはドローン配送を実現したい熱意もある。Amazonもいわゆる「ラストワンマイル問題」を抱えていて、それに対処したいと考えているのだ。その辺りを考えればわかるように、ドローン配送システムのメイン舞台となるのはマンハッタンなどの大都会ではない。配送システムなども整備された既存マーケットではなく、新たな市場での展開を企図しているのだ。

新しい市場とはすなわち、これまでは即日配送などのシステムから見放されていた郊外のことだ。たとえば荷物を満載したトラックを配送地域付近まで送り、そこからドローンを飛ばすのだ。ミツバチの逆転版だと言えばわかりやすいだろうか。自分たちの持ってきた荷物を各家庭に届けて回り、そして巣に戻ってくるのだ。配送にかかる手間は減り、システマティックな配送システムで管理できるエリアが広がり、そして市場を広げることとなる。ブルックリンではAmazonに頼んだものは翌日にやってくる。しかし一部地域では迅速な配送を行うのに多くの費用がかかるということもある。ドローン配送は、この配送コストを大幅に下げてくれる可能性を持つ。

もちろん、ドローン配送というのが、全く新しい発明であるというわけではない。タコスを配送するTacocopterというものもあった。そうしたものをみて、ドローン配送が「ネタ」レベルだろうと考えている人もいることだろう。しかし、実現に向けて乗り出したのがBezosだ。ドローンはテクノロジーの粋を集めてますますパワフルに、そしてスマートになっていく。そしてAmazonもまたパワフルでスマートな組織だ。夢の実現に向けて、理想的な組み合わせが実現したと見ることもできるのではなかろうか。

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(翻訳:Maeda, H


パニック的騒乱もあった中、感謝祭当日に140万台のタブレットを売り上げたウォルマート

記事執筆時点、アメリカではまだブラックフライデーの売り上げ結果など出ていないが、しかしウォルマートが満足気に成果を報告している。なぜウォルマートが結果を予測できているかと言えば、それは単純な話だ。ブラックフライデーの売り上げは、前日の感謝祭の売り上げと同様の傾向を示すもので、そしてホリデーシーズンの間もだいたいそうした傾向が続くことになるからだ。

売り上げ額の詳細については1日が終わらなければ出てこないが、取り敢えず前日の感謝祭には、ウォルマートは全米で140万台のタブレットを売り上げたようだ。メーカーや機種などの分類はまだできていないが、ウォルマートによれば、iPad miniが全製品の中でも最もよく売れた製品のひとつとなると述べている。

ウォルマートの売り上げリストには大画面テレビや、ノートPCなど、よく売れる製品もある。その中でiPad miniが「最もよく売れた製品のひとつ」となるというのは、「140万台のタブレット」の中でも、iPad miniがかなりの割合を占めたということを意味するのだろう。他にどういったものが人気だったかと言えば、Microsoftの新しいXbox Oneや、ソニーのPlayStation 4などだ。モバイルゲームが広く流通し、また昨年には任天堂Wii Uが振るわなかったということがあった。しかし家庭用ゲーム機は、まだ一定の人気を保ち続けているようだ。

ちなみに、タオルの売上数をみるとタブレットの2倍となっている。感謝祭の1日をまとめれば、多くのアメリカ人が家族で集まり、感謝の気持ちを伝え、七面鳥を料理してタオルを買った日ということになる。すべての人が最優先でハイテク製品を買ったのではないことは確認しておこう。

ちなみに当然のことかもしれないが、ウォルマートのプレスリリースには、あちこちの店舗で暴動のような状況、喧嘩、マナー違反など人間の愚かしさを示す行為がみられたことには触れていない。140万台売れたというタブレットを巡っても、戦いがあったのだとするツイートが投稿されている。

(ブラックフライデーのウォルマートなんかにはもう*絶対*行かない。タブレットを奪い合う人の喧嘩に巻き込まれてひどい目にあったわ。お馬鹿な人を見たければぜひウォルマートに行ってみることね)

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(翻訳:Maeda, H


ウィッシュリストサービスを提供するaddwish、180万ドルを調達して本格的米国展開を開始

ウィッシュリストが活躍するシーズンがやってきた。デンマークのスタートアップであるaddwishが、北欧方面で活動するアーリーステージ対象のVCファームであるSunstone Capitalより、180万ドルの資金を調達した。addwishは消費者およびオンラインビジネス企業の双方に使ってもらうためのウィッシュリストサービスを提供している。

addwishにとっては、これが最初の外部資金の調達となる。2008年以来、自己資金による運営を行ってきた。Brian PetersonとKasper Refskou Jensenが共同ファウンダーであり、これまでは他に職を持ちつつ、サービスの運営を行ってきていた。

今回、Sunstoneからの資金を得たことにより、フルタイムでaddwishの運営を行っていくこととなった。まずは来年中に、アメリカのオンラインショップ3000件の参加を目指したいのだとのこと。このアメリカでの展開のためにスタッフを雇い入れたりする予定で、資金はここに投入する予定となっている。

現在のところでは、500以上のオンラインショップがaddwishのウィッシュリストプラグインを利用しているそうだ。消費者側について言うと、日々1000人がサインアップしているのだとのこと。これを近いうちに1日5000人規模にまで持って行きたいと考えている。

尚、本年末までにはヨーロッパと北米をあわせて、2000以上のショップにてaddwishのプラグインが導入されることになりそうだという話もある。こうした動きの中、ウィッシュリスト数はクリスマスまでに25万に達するのではないかと見込んでいる(利用者数の動向が激しいからということで、現時点での正確な利用者数は教えてもらえなかった)。

ところでaddwishは、先週iOSおよびAndroid版のアプリケーションをリリースしている。欲しいものが見つかったときにすぐにウィッシュリストを作成して管理することができる。また友だちや家族間でリストを共有し、ウィッシュリストの中から既にプレゼントとして送ったものを管理することもできるようになっている。

消費者としてaddwishを使う場合、無料でサービスを利用することができる。販売サイトがaddwishのプラグインを利用している場合、その販売サイトの商品を簡単にウィッシュリストに登録することができる。サイト側で対応していない場合や、オンラインで購入できないものなども、マニュアル作業で登録することができる。

そして実は、店舗側もaddwishのプラグインを無料で利用することができる。addwishのビジネスモデルは、ギフトを探して検索する利用者に対してサジェッションを行うのに費用を発生させるというものだ。プロモーションを行うことで、コンバージョンレートは2%程度から一気に15%に跳ね上がるのだそうだ。

ちなみに商品サジェッションはさまざまな段階で行われるようになっている。たとえば特定の商品を検索する場合、タイプする毎にヒットする製品が提案される。最終的にマッチする製品がない場合には、ショップの製品と紐付けされることなく登録され、あるいはぴったりマッチするものがあればその製品が利用者に提示されることとなる。特定プロダクトの検索時のみならず、ギフトを探すあらゆる行動をきっかけとして、さまざまな商品提案が行われるようになっている。

今回の出資について、Sunstone CapitalのパートナーであるChristian Jepsenは次のように述べている。「Sunstoneとしては、addwishの今後に大きく期待しているのです。addwishは消費者とショップの間を橋渡しするプロダクトで、世界中のどこでも通用するものです。これから世界中で利用されるようになる可能性もあります」。今後の発展を楽しみに見守りたいと思う。

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(翻訳:Maeda, H


Amazon JapanがストリーミングビデオサービスInstant Videoをローンチ

Amazon Japanが、26000本の輸入および国内の映画やテレビ番組をストリーミングやダウンロードで提供するサービスInstant Videoをローンチした。日本でオンラインビデオ市場に参入するAmazonの決定は、二つの理由で興味深い。まず、国内に大手の競合他社が多くて混み合った市場であること。そしてまた、ecではAmazon Japanの最大のライバルであるRakutenとの競合が、これでなお一層激化しそうなことだ。

Amazon JapanのInstant Videoサービスのローンチは、明日発売されるKindle HDXのデビューの直前に行われた。このデバイスには、Instant Videoの2000円ぶんのクーポンがサービスの販促としてつく。Instant Videoの料金は、24時間のレンタルに対し100円からだ。Amazon Japanはこのほか、eブックの販売を昨年末に開始し、また音楽サービスでは2500万あまりの曲を用意している。

Amazon JapanのInstant Videoは、日本のサイトであるGyaO Corp、Tsutaya TV、NotTV、そしてHuluおよびAppleの日本語化サービスとも競合する。Amazon Japanのストリーミングビデオへの新たな注力は、ライバルのRakutenがその年商160億ドルのインターネットサービスを、世界的な競合相手であるAmazonやNetflixなどに対してより強化するために、最近いくつかの重要なテコ入れ策を行ったことに、対抗するかのように打ち出された。この2年間でRakutenは、eリーダーサービスのKoboや、ヨーロッパのストリーミングビデオプラットホームWuaki.tv、それに字幕の翻訳をクラウドソースしているグローバルなビデオストリーミングプラットホームVikiを買収している。

Rakutenに関してアメリカ人がいちばんよく知っていることは、昨年のPinterestへの1億ドルの投資をリードした投資家であることだが、しかし同社は、世界最大のec企業の一つでもあり、その時価総額は1.9兆円(180億ドル)に達する。ただし、Amazonの時価総額はこれを大きくしのぐ1770億ドルだ。ecはマージンが極端に薄いので、Rakutenのデジタルコンテンツへの積極的な注力は理にかなっている。Amazon Japanのオンラインビデオ市場への進出は、その大きな企業サイズにもかかわらず、日本でのビジネスをこれまでのままで楽勝とはみなしていないことの現れだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazon、次世代Kindle Paperwhiteを開発中―300ppiの高解像度、フォントも改良されて来年第2四半期に登場か

TechCrunchが得た情報によると、Amazonは次世代Kindle Paperwhiteを来年の第2四半期早々にリリースすべく準備中だ。バージョンアップの目玉は300ppiの高精細度スクリーンの装備だ。これでやっとKoboのようなライバルとスペックで並ぶことがでできる。

新Paperwhiteのハードウェアは解像度のアップの他にもいくつか改良点がある。われわれが見たプロトタイプは画面が従来のようにベゼル部分から引っ込んでおらず、平になった。また画面自体もプラスティックではなくある種のマット・ガラスのような材質に変更されている。このガラス化にもかかわらず、新モデルは現行製品より軽くなっているらしい。

現行のAmazon Kindle Paperwhiteの画面解像度は212ppiで、KoboのE Ink製Aura HD. と比較すると見劣りがした。E InkはAmazonとKoboの双方にPearl E Inkを供給しているが、265ppiのAura HDはKoboに最初に供給した。Amazonはこれに不快感を示していたということだ。

Ice Wineというコードネームを与えられた新しい300ppiディスプレイはKoboの上級モデルの解像度を追い抜くことになる。ソフトウェアについては特に大きな変更はないらしい。しかし解像度の改良に応じて画面への表示量は増やされることになるのだろう。

またKindleのヘビーユーザーにとって嬉しいニュースは、AmazonがKindle用に読みやすいカスタム・フォントを準備していることだ。フォントの品質は長年にわたってKindleの弱点だった。前回のアップデートでいくつかのフォントが追加されたが、劇的な改良というほどではなかった。Kindleを前提に開発された新フォントは重要な改良になりそうだ。またAmazonは文章の右端にぶざまな空白ができるのを防ぐよう、ハイフネーションの導入に取り組んでいる。ただし次回のアップデートに間に合うかどうかは明らかでない。

デバイスの側面には従来のトグルタイプのボタンに代わって、押し込んだ位置で固定されるオンボタンが新設されるという情報だ。これだと手触りでオン/オフが分かるので便利だろう。ボタンにページめくり機能が与えられればいちいち画面のページ送り領域にタッチしにいかないでもすむ。

背面の筐体は現在のKindle Fire HDXタブレットに似たデザインになる。今より角ばってエッジが立った感じだ。現在のKindle Fireシリーズと同様、背面にパワースイッチのボタンが設けられる。

また環境光センサーが装備されて読者の周囲の照明条件に応じてスクリーンの輝度を自動的に調節する。システムが明暗に順応する速度は通常に人間の視覚が明暗に順応するのとほぼ同じ速度で、ひかく的ゆっくりしている。

といってもまだ発売まで数ヶ月あるので、これらの特徴も変更され、また新たな機能が追加されることはあり得る。この他に、われわれが以前報じたとおり、Amazonはスマートフォンの開発を続けている。廉価版とカメラをトータルで6個も備えたハイエンド機の2モデルが存在するという。

なおAmazonの広報担当者はこれらの情報に関するコメントを避けた。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


8枚のクレジットカードに変身する電子カードのCoinが質問に答える

Y/Combinatorが支援するスタートアップが開発したCoinはクレジットカード型の電子デバイスで、Bluetoothで読取機と通信し、最大8枚のクレジットカードの役を果たす。先週の予約発売の開始と同時に大きな注目を集め、当初の目標5万ドルを40分以内に達成してしまった。

同時に、ユーザーはCoinを購入しようと考えているだけでなく、仕組をもっと詳しく知りたがっていることも明らかになった。そこでCoinは最初のリリースに含まれる機能について詳しく説明することにした。

その中でも重要なのは、カードの使用状況をモニタして不正な使用が疑われる場合にはユーザーに警告メッセージを送る機能だ。

たとえば、店舗やレストランで支払いをした場合、代金の決済のためにスワイプした直後に係員がクレジットカードのデータを盗むためにもう一度スワイプしたとする。通常、銀行やクレジットカード会社は、不正に入手したカード情報を使って現実に取引が行われるまで何もしない。

Coinは不審なスワイプが行われた瞬間にユーザーに警告するので、ユーザーはその場で不正があったかどうかチェックすることが可能だ。

またユーザーはウェイター、家族、他人などが勝手にカードの入れ替えができないようにひとつのカードをロックすることができる。 またCoinは携帯電話と接続していなくても作動する。

Coinは予約開始とともに殺到した質問に応えて、FAQをアップデートした。

そのうちのいくつかを紹介する。

Q. Coinを渡した相手が支払うカードの選択を間違って変えてしまうということはありませんか?
A. カード選択ボタンは意図的に押しにくくデザインされています。Coinを落としたり、握ったり、その上に座ったり、機械式の読み取り機にかけたりしても選択が変わることはありません。

Q. ペアになっている携帯の電源が切れたり、機内モードになっている場合でもCoinは使えますか?
A. 使えます。ただし携帯との接続が長時間切れたままの場合、Coinの作動が停止することがあります。この場合は再度アクティベーションを行ってください。

Q. Coinの安全性は?
A. Coinのユーザーデータを保護することはわれわれの最優先課題です。ユーザーに安心して使用してもらえるよう、われわれはストレージ内のデータについても通信(httpとbluetooth)についても、モバイル・アプリ、Coin本体双方で128bitまたは256bitの暗号化を行っています。またユーザーがCoinを置き忘れた場合、警告メッセージが発せられます。

ファウンダーのKanishk Parashar向こう24日の立ち上げキャンペーンの期間を通じて予約可能であり、数量の制限はないと請け合った。注文量が増えればOEMメーカーがCoinを優先してくれるようになるのでかえって好都合なのだそうだ。

ParasharはCoinが初めてのハードウェア・ビジネスだという。その前のスタートアップはSmartMarketというモバイル支払サービスだった。ところがこのアプリはダウンロード数は多いものの、実際の支払いに使われる回数が少なかった。そこでParasharは電子クレジットカード型のデバイスを考えついたのだという。

Coinについてさらに知りたい場合はこちらに

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ミクシィがCtoCフリマアプリ「mixiマイ取引」で激戦区に本格参入

ミクシィは18日、SNS「mixi」ユーザー間で商品を売買できるサービス「mixiマイ取引」のiPhoneアプリを公開した。同社は7月、PCやスマホ向けmixi公式アプリなどで同サービスを開始していたが、このたび専用のアプリをリリースしてフリマアプリ市場に本格参入する。

アプリは、商品の写真や価格、説明文を登録するだけで出品できる手軽さが特徴。決済は、購入者から代金をミクシィが預かり、商品発送の完了後に売り手に支払う「mixiあんしん支払い」を利用する。出品は無料(商品代金を振り込む際に105円の手数料がかかる)。落札者は、mixiあんしん支払いの手数料として、1000円未満は一律42円、1000円以上は4.2%を支払う。

CtoC(個人間)取引のフリマアプリといえば、シードアクセラレーター「Open Network Lab(Onlab)から生まれた「Fril」、元ウノウで元Zynga Japanの山田進太郎氏が手がけた「メルカリ」、サイバーエージェントが提供する「毎日フリマ」、最近ではヤフーが子会社のコミュニティファクトリーと共同で女子向けアプリ「ClooShe(クロシェ)」を11月7日にリリースするなど参入が相次いでいる。

こうした中、mixiマイ取引は、母体となるSNSの「つながり」に差別化ポイントを置いている。例えば、出品者は購入希望者の中から相手のmixiプロフィールを見て、商品を譲る人を検討できる安心感があるのだとか。また、好きなアーティストのコンサートチケットを同じmixiコミュニティに入っている人から譲ってもらうといったmixiならではの使い方もあるのだという。

mixiは2004年のサービス開始当初より、コミュニティを利用したユーザー同士の売買が多く行われていた。こうしたニーズを受けて7月にmixiマイ取引を開始したところ、これまで毎月12万人以上のユーザーが利用しているという。売買される商品の平均単価や流通総額については明らかにされなかった。


デジタルコンテンツの販売プラットフォームGumroad、日本で銀行振込を開始して28%売上アップ

GumroadのCEO、Sahil Lavingiaは二十歳そこそこの若き起業家として有名だが、最近、このデジタル・コンテンツのオンライン販売プラットフォームは国際展開に力を入れている。その一環として今月、日本で販売代金の銀行振込を開始した。

Gumroadはすでに日本で実績を挙げており、Lavingiaによれば日本はアメリカに次いで第2位の市場だという。 しかし従来、販売代金の振込にはPayPalを用いていた。PayPalの利用はそう難しいわけではないが、あらゆる層のクリエーターがもっとも手軽にオンライン販売できるサービスを目指すGumroadとしては改善の余地があった。

Lavingiaによれば今月、Gumroadは日本の全銀ネットワークを利用した振込サービスを開始したという。日本のクリエーターは販売代金を直接自分の銀行口座に振り込んでもらえるようになった。これならたしかに簡単だ。またコンテンツのリストの日本語化も行った。

Gumroadがこうしたアップデートを実施した結果、日本での販売金額はすでに28%もアップしたという。 Lavingiaは「一度Gumroadを離れた大口の売り手が戻ってきてくれたことも貢献している」と付け加えた。

Lavingiaは他の国でも同様のアップデートを計画している。将来、Gumroadは通貨と言語の壁を超えて、世界の各地域に最適化されたプラットフォームとなることを目指している。たとえば日本では携帯メッセージ・サービスを利用したいわゆるケータイ小説が多数発表されている。そこでGumroadは購入者のSMSアカウントに小説を配信するなどのサービスも考えられるわけだ。

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Twitterの歩みを記した『Hatching Twitter』、ハリウッドの注目も浴びつつ上場直前に販売開始

Twitterの誕生からこれまでを記した『Hatching Twitter: A True Story of Money, Power, Friendship, and Betrayal』が間もなく発売となる。どうやら既に映画化に向けての動きが活発になっているのだそうだ。こちらに入っている情報では、ソニーが名乗りを上げているということなのだが、どうやら他にもメジャーどころがチャンスをうかがっているらしいのだ。

うち、少なくとも一社は、映画ではなくケーブルテレビ番組ないしNetflix上でのシリーズものを企画しているそうだ。これはすなわちHatching Twitterの中に、ドラマとして面白そうなシーンがたくさんあるということなのだろう。Twitterの設立から成長、そして上場を成し遂げる物語がNetflixオリジナルのコンテンツとして提供されることになれば、確かに大いに注目を集めることとなりそうだ。

ちなみにソニーは、1989年にコロンビア映画を買収している。コロンビア映画は、ご存知、Facebookのドラマメンタリー(drama-mentary)である「ソーシャル・ネットワーク」を提供した。全てが実話というわけではなかったが、大いに注目を集めることとなり、またいろいろな賞にもノミネートされることとなった。

また、既にキャストについてもいろいろと話題になっているようだ。たとえばJack Dorsey役についてはElijah Wood以外にあり得ないなどと言う人もいる。

本の内容についてはNew York Timesに概要が掲載されている。どうやら草創期には方針や権力を巡ってさまざまな争いもあったようだ。以前にも書いたが、数々の人間臭いドラマがあったようだ。そして確かにそういう人間臭さは、面白い映画に欠かせない要素であるとも言えるかもしれない。Biltonは映画化の噂についてはノーコメントを貫いている。

『Hatching Twitter: A True Story of Money, Power, Friendship, and Betrayal』の発売は11月5日が予定されている。そしてTwitterの、111億ドル企業(評価額)としての株式公開が11月6日の予定だ。Biltonも言うように「非常に良いタイミング」で世にでることとなる。

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(翻訳:Maeda, H


会員1000万人のファッション通販のFancyが東京など世界100都市 で当日配送開始―伊勢丹も参加して日本に本格進出へ

ソーシャル・ファッション通販のFancyはPinterest本家が通販を始める前から、いわば「お買い物ができるPinterest」だった。そのFancyがこのほど世界100都市でモバイル、ウェブサイトからの注文による即日配送サービスをスタートさせた。消費者が正午までに注文すると当日の午後5時までに配送される。Fancyによればアメリカ61都市、アジア、ヨーロッパ、中東の31都市、合計100都市にサービスを展開したという。Fancyはニューヨークでこの夏に即日配達のテストを開始していた。

Fancyの説明によれば、即日配送をサポートしている地域では正午までに注文すれば即日、地域外からの注文の場合は翌日に配送される。また正午過ぎの注文も翌日配送となる。

即日配送を可能にするロジスティクスについては、世界各地のパートナーと提携しながらネットワークを拡充しつつあるということだ。

ただし即日配送の料金はそう安くない。グッチのジッパー・バックパックやNike+ スポーツウォッチをその日のうちに手に入れたいなら1件あたり30ドルの配送料を払う必要がある。Fancyは常にハイエンドの顧客をターゲットに最大限に吟味されたハイエンドの商品を販売してきたからこの点はあまり問題にならないのかもしれない。

われわれの取材に対してはFancyは「この夏、限定的にテストをした結果、即日配送サービスに対するユーザーの反応は好意的だった。 われわれのサイトで毎日のようにショッピングする顧客にはこのようなサービスが必要だと判断した。ときおりFancyを利用するユーザーについても即日配達によって利用の頻度が増えること期待している」と答えた。

最近は即日配送を提供するサービスが増えている。WalmartはWalmart To Goで生鮮食品を含む商品の即日配送を“行っている。Google Shopping ExpresseBay Nowのような大手のサービスもある。TaskRabbitPostmatesInstacartWunWunのようなスタートアップも即日配送サービスに参入している。

Fancyは現在1000万人の登録ユーザーを有していると発表している。今年始めには800万人だった。この夏Fancyは5300万ドルの資金調達を行い、現在、毎日の売上が10万ドルに達しているという。即日配送サービスを開始した後、1日20万ドルという過去最高の売上を記録したとしている。

Fancyのサイトは世界に散らばっているため、サードパーティーの調査によってこれらの数字の裏付けを取るのは難しい。アメリカ国内だけの調査だが、SimilarWebによるとFancyのオンライン訪問者は100万に届かないようだ。AppAnnieの調査ではFancyアプリのアメリカでのダウンロード数はライフスタイル・カテゴリーの400位台だ。今月に入って世界の6カ国程度でライフスタイルのトップ100に入ったが、アメリカだはまだトップ100に入っていない。

とはいえ、Fancyの顧客ベースが数量的にはさほど巨大ではなくとも売上は潤沢にあるようだ。5000ドル以上のバッグや2000ドルのコートが売れていれば、比較的少数の常連顧客だけでFancyが発表しているような売上を達成することは十分可能だろう。

〔日本版〕 東京で即日配達可能な商品はこちら日本語版トップページ。また10月23日、伊勢丹がFancyへの出店を発表した。Fancyの伊勢丹ページはこちら。インテリア・空間デザイナー尾方釿一氏×仙台の伝統工芸「東北工芸」の「BEAN STOOL」やグローバルのステンレス包丁など日本らしい製品が出品されている。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


贅沢体験を提供するECサイトのLUXAとKDDIが3.3億円の資本業務提携

高価な食品や化粧品、家電から歌舞伎座や高級ホテル宿泊付きの旅行といった体験などをおトクな価格で提供するECサイト「LUXA(ルクサ)」がKDDI Open Innovation Fundから3億3,000万円を調達した。これまでにルクサはジャフコから2010年11月、今年3月に合計10億円を調達している。

今回調達した資金は主にオペレーション上の人員、広告・マーケティング、スマートフォンのユーザービリティ向上・インフラ強化に充てるようだ。LUXAの会員数は現在45万人で、今年3月の35万人から約7カ月で10万人ほど増えている。

ルクサはKDDIと資本提携だけでなく、お互いのサービスでも提携を積極的に行う。スマホの普及により、どのサービスでもモバイルからのアクセスが日に日に増しているが、LUXAも例外ではなく2012年1月には8%だったスマホ経由の売上が今では35%にまで増えている。売上金額でいうと11倍になるそうだ。今年3月には2012年1月と比較してスマホ経由の売上が6倍だと言っていたから、この半年でさらにスマホシフトが進んでいることがわかる。

 

LUXAは冒頭で述べたおトクな体験をタイムセール形式で提供している。だから、通勤時間やちょっとした休憩時間にチェックするユーザーが多く、スマホとの相性が良いのだとルクサ代表取締役会長の南壮一郎氏はいう。実際に時間帯別の購入比率を見てみると、朝と夕方の通勤時間ではスマホ経由の購入がPC経由のそれを上回っているし、一番活発なお昼時でもスマホとPCが同等になっている。今後はさらにスマホ経由の売上が増加してくるのだろう。

KDDI Open Innovation Fundは注力領域の1つにコマースを選んでおり、これまでにOrigamiやMONOCOといったスタートアップにも出資している。KDDIはこれらのサービスと共に新しいショッピング体験を提供したいという。その1つがLUXAとなるのだが、LUXAとの具体的な提携案としてはauスマートパスに特設ページを開設したり、auのサービスである「タイムライン」にプレミアム商品を提供することなどが決まっている。他にもauのキャリア決済、au IDなどをLUXAは使用するようだ。

今後はスマホでのユーザビリティ向上といった機能面はもちろん、スマホ経由の売上はPCに比べて若い女性が多いことから、この層に向けた商品群も強化していきたいという。ちなみに、今回の提携を記念してスクウェア・エニックスの社食ツアーがプレゼントされている。


楽天が「スマポ」を運営するスポットライトを買収、創業2年1カ月で

楽天がチェックイン型のポイントサービス「スマポ」を運営するスポットライトを買収したことが明らかになった。スポットライトは2011年9月に創業、これまでに伊藤忠テクノロジーベンチャーズから1億5,000万円を調達している。買収額は非公開となっている。

スマポは実店舗に出向いて、チェックインするとショッピングなどに使えるポイントがもらえるアプリである。このポイントはビッグカメラやマルイなどスマポに参加している店舗で共通して利用できる。

チェックインにはスマポ独自のデバイスを利用しており、店舗内に音波を発信するデバイスを設置し、それをスマートフォンで受信するから来店せずにポイントを得るような偽チェックインはできないことが特徴だ。

プレスリリースによると、楽天は今後スマポの来店検知プラットフォームを活用し、楽天グループの会員を実店舗へ送客するサービスの展開を検討しており、O2O事業を一層強化したいとしている。楽天はすでに購入時に貯まる「楽天スーパーポイント」を実店舗でも利用できるような施策なんかもテストしている。

楽天の2012年12月期国内流通総額のうち、スマートフォン、タブレット経由の割合は25%ほどで、来年には半分以上を占めるだろうと予想されており、これまで屋内でデスクトップを利用している人を対象にビジネスを拡大してきた楽天は徐々にその範囲をリアルにも広げようとしている。

なお、スポットライトの代表取締役柴田陽氏は同社を創業する前に商品のバーコードを読み取り、オンライン上でその製品を安く購入できないかを調べるショッピッ!を提供するコードスタートをIMJに売却した経緯を持つ(その後、IMJはコードスタートをオプトへ譲渡している)。