PayPal、 iPadベースのPOSレジのメーカーRevel Systemsと提携して現実店舗への進出に意欲

今日(米国時間10/14)、PayPalはiPadベースのPOSシステムのメーカーRevel Systemsと提携し、店頭POSレジ分野への参入をさらに一歩進めた。Revel Systemsは対前年比400%もの成長を記録しており、Dairy Queen、Goodwill、Popeyeなどの大手チェーン店をクライアントとしている。これまでPayPalはPOS分野に関して、最近独自ハードウェアのBeaconデバイスをローンチしたが、急成長を続けるSquareなどのライバルに対して内製の独自ハード、ソフトだけでは不十分だと気づいたもようだ。

この数ヶ月、PayPalはいくつかのPOSレジのメーカーと提携して既存システムにPayPalを追加させることに成功している。その中でも影響が大きいのは今年始めに発表されたNCRとの提携で、レストラン、駅、コンビニなどで広く利用されている老舗メーカーのレジ・システムでPayPalによる支払いができるようになった。

しかし今回のRevel Systemsこれまでとは異なる分野の支払いシステム分野で急成長している。Revelこの夏、シリーズBのラウンドで1010万ドルの資金を調達している。投資家はHungry JackのCEOで元McDonaldの東南アジア担当上級副社長、Tim Tigheと連続起業家のSean Tomlinsonだ。

Revelは2012年12月当時、TechCrunchの取材に対して「われわれはすでに黒字化を達成している。今回の投資はもっぱら成長を加速するために利用される」と説明した。

Revelは2010年でサンフランシスコで創立され、レストラン、食料品店など各種店舗を中心iPadベースのPOSレジ・システムを販売している。単に売上処理だけでなく、給与管理、在庫管理、顧客管理などのサービスも提供している。先月はアラバマ州立大学と契約を結び、iPadベースのポスレジをフットボール競技場の30箇所の売店に設置した。

Revelとの提携によってPayPalは多様な現実店舗での支払業務に進出する重要な足がかかりを得たことになる。PayPalは最近いくつかの有名ブランドのチェーン店と契約して、アメリカ中、何千箇所もの目立つ場所でPayPalによる支払いを行えるようになった。また最近スタートしたPayment CodeはユーザーのスマートフォンにQRコードを生成し、店舗側のスキャナーで読み込むというユニークな支払テクノロジーだ。

Revelは現在、サンフランシスコ、サンノゼなどに100人人の社員がおり、年商30万ドル以上のクライアントが2000社ある。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+

jp.techcrunch.com/achve

Square、Coineyなどに続き10億円増資でロイヤルゲートがモバイル決済に本格参入

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今年5月に国内参入した「Square」、国産スタートアップの「Coiney」、ソフトバンクが展開する「PayPal Here」、楽天が手がける「楽天スマートパス」など、競争が激化するモバイル決済サービス。これらのほとんどは中小規模のスモールビジネスを対象としているけれど、それよりも規模が大きい中堅・エンタープライズをターゲットするロイヤルゲートが15日、産業革新機構と総額10億円の投資契約を締結した。

ロイヤルゲートは企業向けの決済プラットフォーム「PAYGATE」を展開。現在は中堅規模の企業を中心に導入され(件数は非公開)、大手の運送・保険・通信会社などでも導入が検討されているのだという。1件あたりの決済金額が小さく、月間取扱高が数万〜数十万円程度の小規模店舗が中心に導入する競合サービスと比べて、PAYGATEは「月間数百万円から数億円」(ロイヤルゲート梅村圭司社長)単位で取引する中堅・エンタープライズ市場が主戦場。ちなみに10月11日、大手小売チェーンのユニクロ銀座店の一部フロアでSquareが導入されたが、現時点では1店舗のみにとどまっている。

PAYGATEのターゲット顧客(ロイヤルゲート提供)

エンタープライズ市場に入り込むには、企業が持つ独自ポイントへの対応、企業の既存システムとの連携、高度なセキュリティなどの要件が求められる、とロイヤルゲートの梅村社長は指摘する。同社はイヤフォンジャックやBluetoothで接続するカードリーダーを自社開発していて、それらはiOSやAndroidだけでなく、Windows 8.1にも対応している。そのほかには、NFCや口座振替・Jデビット、バーコードリーダーなどのマルチ決済が可能な端末も開発し、日本独自のカード文化への対応を図っているのだという。

「カードリーダーだけでなく決済用のアプリ、決済代行センターも自社開発しているため、企業のシステムと柔軟に連携できるのが強み」(梅村社長)。

カードリーダーについて少しだけ専門的なことを言うと、リーダーにはカードの磁気を1つのヘッドで読み取る「シングルヘッド」と、2つのヘッドで読み取る「デュアルヘッド」というタイプがある。SquareやPayPal Hereなどは前者、PAYGATEは後者となる。デュアルヘッドは「エンタープライズの要望が大きい」(梅村社長)という読み取り精度が高く、「JIS2型」と呼ばれるクレジットカードに含まれるポイント情報も読み取れるのが特徴だ。

他社イヤホンジャック型サービスのリーダーとの技術的比較(ロイヤルゲート提供)

今後はモバイル決済に加えて、モバイルPOS、ネット上で決済した商品を店舗で受け取れるウォレットサービスを合わせた決済サービス「PAYGATE OPEN Platform」にも注力。モバイルPOSを無償提供したり、他社のPOSとの連携を進めていく。ウォレットサービスでは消費者の購買動向をビッグデータとして収集し、クーポン型O2Oサービスによる広告収入を見込んでいる。調達した10億円の資金は、人員体制やデバイスの開発体制の強化にあてるほか、年内にはアジア地域に拠点を設け、来年には海外でもサービスを開始する。3〜5年にはIPOを視野に入れている。

スモールビジネス向けのモバイル決済は0.01%単位の手数料の値引き合戦が続くなど競争が激化しているけれど、「エンタープライズ市場は未開拓の金脈」と梅村社長はみている。「スモールビジネス向けモバイル決済は、手数料が安ければ他のサービスに乗り換えられてしまう」。その一方、「潜在市場は100兆円規模」(梅村社長)というエンタープライズ分野には膨大な「金脈」が眠っているのかもしれない。


Pinterest、いよいよPromoted Pin(広告Pin)のテストを開始(まずは一部利用者のみ)

Pinterestは先月、”Promoted Pin”という形での広告を導入するとアナウンスしていた。検索結果やカテゴリ表示画面でショップや企業による画像広告を表示するというものだ。そして本日、いよいよこの広告システムの実験を開始する旨のアナウンスがあった。ウェブ画面でも、モバイルアプリケーション上でも表示されるようになっているのだそうだ。

Pinterestは、ここしばらく個別のレコメンデーション機能や、価格表示機能操作アニメーションの追加多言語展開、多くの情報を含んだPinをするための開発者向け情報の充実等々を行ってきている。サービス自体のレベルをあげてきたわけで、そろそろPromoted Pinという形で広告を実装するのも、それなりの理解を得られる動きだと言えそうだ。

実装してきた機能は、業者やブランドなどが潜在ユーザーにアプローチしやすくなる機能であるとも言える。ボード上に魅力的なアイテムを並べていくことで、それらすべてが直接購入に繋がるわけではないにせよ、いろいろな広がりが増えてくる仕組みが展開されているわけだ。Pinのリッチ化(情報充実化)や価格情報の掲示、レコメンド機能などに加えて、いよいよPromoted Pinが導入されてきたわけで、また新たな展開が生まれてくることとなりそうだ。

Promoted Pinが表示されるのは検索結果やカテゴリ選択時の画面で、ここに普通のPinと同様な形で画像が表示されることとなる。いかにも広告風のバナーやポップアップではなく、純粋に利用者が興味に基いて出会った情報であるかのように表示される。

Promotional Pinの初期テストに参加している広告主についての情報は開示していない。但し、どうやらこの初期テスト段階では広告費用は発生していないらしい。ただ、実際の有料広告と同じ形でテストされているわけで、ここからPinterestとして有効性を確認し、そして今後の展開を考えていくということになる。

ちなみにこの広告テストは現在一部利用者に対してのみ実行しているもので、広告が全く表示されない利用者もいるとのことだ。

広告Pinのサンプルを上に掲載しておいた。Pin画像では、画像の説明および広告主へのリンクの下に「Promoted Pin」と記されている。ここに表示されている小さな「i」アイコンをクリックすると、「Promoted Pin」とは何かについての詳細情報も表示されるようになっている。

ファッションやギフト等、プロモーションが行われているのではないかと思われるカテゴリでいろいろと検索してみたりしたが、TechCrunchとしてはまだPromoted Pinを確認できていない。

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(翻訳:Maeda, H


Amazon IDでサードパーティのサイトで支払ができる‘Login and Pay with Amazon’ がスタート

今日(米国時間10/8)、AmazonはMoney 2020カンファレンスでLogin and Pay with Amazonというサービスを発表した。このサービスのパートナーとなったウェブサイトの訪問者はPay with Amazonというボタンを」クリックするだけで一切の支払手続きが済んでしまう。クレジットカード情報を入力したりPayPalサイトに移動したりする必要がない。ライバルの支払サービスには大きな打撃となるかもしれない。

Amazon Payments担当副社長のTom Taylorは今日発表されたプレスリリースで次のように述べている。「Amazonには2億1500万人の活動中の顧客アカウントがある。eコマース企業はLogin and Pay with Amazonを利用することによってAmazonの何百万という顧客を自らの顧客に変えることができる。顧客はAmazonのパスワードと支払情報を利用してパートナーサイトで支払いができる。つまりAmazonへの単一のログインで安全、確実、スピーディーなショッピングが可能となる」

これからは多くのオンライン・ショップの画面の下部にクレジットカードやPayPalと並んでPay with Amazonのボタンが表示されることになりそうだ。

Amazonはしばらく前から支払サービスを提供している。たとえばKickstarterなどが良い例だが、ユーザーがAmazonにログインして支払を行うと約束のプロダクトが発送された時点で引き落としが行われる。またAmazonは最近デベロッパー向けにオンラインゲームやコンテンツなどのサイトでのユーザー認証にあたってAmazon IDが利用できる‘Login with Amazon‘というサービスを開始した。Login and Pay with Amazonはこの2つのサービスを巧みに結合したものといえる。Amazonの支払システムとシンプルなoAuth認証の組み合わせはデベロッパーにもユーザーにも大いに魅力的だろう。

Pay with Amazonのローンチ・パートナーの一つはGogoで、同社すでに航空機内でのWiFiサービスの課金にAmazon Paymentsを利用している。Pay with Amazonボタンの導入も年内に行われる計画だ。Amazonでは「この支払システムを利用した購入者はAmazon.comでの購入者と同様のA-to-z保証によって保護される」としている。

オンライン支払にあたってはサービスに対する信用が極めて大きな要素となる。PayPalが現在の地位を築いたのもクレジットカード情報を入力するより安全性が高いという信用を得たからに他ならない。

Squareも‘デジタル支払サービスの主流になることを狙っている。PayPalに先を越されてしまったが、Squareもクロスサイト支払テクノロジーを持つBrainTreeの買収に関心を持っていた。現在Squareはあらかじめ定型化されたストアとSquareによる支払機能を組み込んだオンライン・ショッピング機能を開発中だといわれる。われわれがSquareに取材したところ11月には何か発表があるだろうということだった。

AmazonはAppleに次ぐ規模の巨大な顧客情報を持っている。Appleは5億7500万のアカウントを持っている。これまでAmazonは顧客アカウントの数を発表してこなかったが、上記のとおりTaylorは2億1500万という数字を挙げた。ちなみにAppleは今年のWWDCで「われわれが知る限りAppleが最大の顧客情報を持つオンラインストアだ」と述べている。Amazonの顧客ベースがサードパーティーのサイトでも利用できることになれば影響は巨大だ。

技術的な面ではこのサービスはウェブ、Kindle、iOS、Androidのいずれでもシームレスに作動するという。料金体系はごくシンプルで、2.9%プラス1件ごとに0.30ドル、ただし取引量に応じて減額される。Login and Pay with Amazonに関心があるデベロッパーはこちらでAPIの詳細をチェックできる

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


【独占インタビュー】AmazonのJeff Bezos; 自称, 優秀な電話交換手

レンタカーを運転してシアトル郊外を走っていく。まわりはびっしりとしたグレーグリーン、眼下は海、上は太陽だ。道の果てには、まるで長旅の終わりの賞のように都市がそびえ立っている*。木々は乾燥オレガノの色、空気は重く湿っている。ぼくはこれからAmazon国へ行って、その豊穣の国の王Jeff Bezosに会うのだ(シアトルの前の王Bill Gatesは、今では水辺でのんびり過ごしながら世界を救おうとしている)。〔*: 筆者はニューヨーク在住。〕

ニューヨークに住むぼくが、ここへ来るのは初めてだ。これまでAmazonの記事はたくさん書いてきたし、家中の壁紙をAmazonのロゴ入りのダンボール箱で張り替えることすらできただろう。だから、その人と実際に会うことはとても楽しみだ。秘書に案内されて部屋に入ると、そこに彼はいた。ぴったりフィットしたジーンズと、黒のボタンダウンと、Blade RunnerのRick Deckardのクローゼットにありそうなウィングチップを、完璧に着こなしている。ここに来る前にぼくは、ほかの記者やライターたちに、彼とのインタビューで過去に経験したことを聞いてみた。一人が、彼はベルトをしてないことが多い、と言った。でも今回彼は、ベルトをしていた。

“この部屋なら、サプライズのないふつうの感じで始められるね。どうぞおかけください”、と彼は言った。日当たりの良い立派な会議室で、ホワイトボードとテレビがある。その日の彼は、気合が入っていた。彼が、自分も座ってメディアの相手をすることは、珍しい。ふだんはステージに立ってスピーチするのだが、今回は、これまでに本を100万冊以上売った男からじかに話を聞ける、貴重な機会となった。

“うちの戦略とビジョンの三つめの柱は、とくに発表なんかしなくても、やがて誰の目にも見えるようになる”、と彼は言う。

そうか。では聞いてあげよう。彼は立ち上がって、ボードに何か書き始めた。まるで、ぼくは単位を取れなかった劣等生、彼は補習をしてくれる親切な教授だ。彼は、Amazonの成功を支える三本の柱、王国の鍵を、青いマーカーで書いた。

〔以下、「…..」内がBezosの発言〕

「うちは高級品を大衆価格で売る。利益は、人びとがうちの製品を買うときではなく、それを使うときに得られる。5年前のKindleを使っている人を見ても、がっかりはしない。アップグレードという名の面倒な坂道を、登らない人がいたってかまわない」。

「第三の柱はこれからのもので、顧客の満足とすべてのスタックを貫く統合化が交差するところにある。もっとも難しくてもっともクールなものは、まさにそこに起きる。‘すべてのスタック’とは、低レベルのハードウェアから始まって、その上のOS、主なアプリケーション、クラウド、そしてその上のサービスすら含む全体のことだ」。

そのとき、新製品が登場した。彼がぼくに見せたのは、新製品のKindle Fire HDXとKindle Fire HDだ。誇らしげな親のように彼はそれらを革製のバッグから取り出し、ひとつずつぼくの前に置いた。ぼくはそれを数分前にも見ていたが、彼がそれらをうやうやしく扱う様子には、別の意味があるようだ。彼は自分の子どもを、自慢げに人に見せているのだ。ハードウェアが底辺でサービスが最上辺という‘全スタック’の意味を、そうやって彼はぼくに教えようとしている。

彼がKindle HDXを持って上から下へスワイプすると、アイコンのリストが現れた。その中に、小さな救命具のような、見慣れないものがある。

「このボタンをクリックしてみよう。これはメイデイ(Mayday)という名前だ。何だと思う?」

小さなウィンドウがポップアップして、Amazonのサポートが笑顔で現れる。“ハイ、ぼくはDylanです。今Maydayを押されましたよね。何か、お困りですか?”。

それはぜったいに、シナリオどおりのデモだろう。Dylanは、自分のボスから呼ばれることを、事前に知っていたはずだ。しかしそれでもなお、それはすばらしくヒューマンな瞬間だった。Dylanは、終始微笑んでいた。

「ハイDylan、こっちはJeffだ。お客さんに、Maydayをお見せしようとしてるんだ。今度の製品の特長は、とっても洗練されていることと、すごくいろんな設定ができることなんだよ」。

彼はMaydayのことを、“オンデバイステクサポート(on-device tech support, デバイス上の技術サポート)”と呼んだ。

「まずDylan、画面の上で移動してみてくれないか。ちょっとだけ、上の右隅に行ってみて」。

Dylanのウィンドウが隅へ移動した。

「今いちばん売れてる人気ゲームは何かな?」

Dylanは、Angry Birds Star Wars IIを立ち上げた。王として帝国に君臨するBezosも、ゲームは人に選んでもらうのだ。

「なんでも人に教えてもらわないとできない人が多い。だからうちの製品は、教えることができなければならない。このサービスは24/7で無料で、目標はどんな質問にも15秒以内に答えてあげられることだ」。

「ものすごく、たいへんなことの多い仕事だけどね」。

Bezosによると、サポートが混み合うクリスマスの朝でも十分対応できるという。サポートを電話でやるのは難しいし、いずれにしても満足に機能するサポート体制を作るのは難題である、と彼は語る。Maydayでは、デバイス側の設計からパケットレベルでの通信ソフトウェアまで、綿密な取り組みを積み重ねたようだ。

「ユーザがデバイスの世話をすべきなのか? それともデバイスがユーザの世話をすべきか?」…こう語る彼は、Maydayでもってユーザ上位を取り戻したいのだ。

“今のAmazonはハードウェア企業か、それともサービス企業か?”、と尋ねてみた。

「いつも、それを聞かれるね。‘テクノロジ企業か?それとも再販業者か?’とかね。うちはテクノロジ企業であり、テクノロジを使って顧客の役に立つありとあらゆることをしているのだ」。

Amazonには有能な人材が大量にいる、と彼は言う。

「どこにでもいるよ。ビデオ部門にも、音楽チームにも、eブックのチームにも、メンロパークのLab 126にも。いろんなところに、ソフトウェアを書いている人たちがいる」。

「ハードウェアは難しい。重さの目標値がある。電池寿命を短くはできない。そういう、難しい課題がたくさんある。でも、ソフトウェアも、とても難しい」。

彼は笑った。大きな笑い声だ。Amazonの倉庫に鳴り響く声のようだ。その笑い声に、びびる人もいるだろう。Bezosが部屋にいるだけなのに。

「そのスタック全体に、容易な部分は一つもない。ハードウェアは難しい。クラウドの統合は超難しい。その上にサポートのようなレイヤを載せるのは、前人未到の挑戦だ」。

“CDや本を売らなくてもよくなったら、どうしますか?”、と聞いてみた。物理的な<物>を売らなくなったらハッピーか、それを知りたかった。

「そうなるまでには、相当な時間がかかるだろう。今は、Kindleのeブックを毎月大量に買う人たちでも、フィジカルな本を買っている。CDだけでなく、レコードもたくさん売れている」。

「うんと未来のことを言うのなら、それが何年先かはともかく、急速にデジタル化が進むだろう。今現在の方針は、フィジカルなメディア製品とデジタルの両方を揃えて、顧客の要求や選択に対応することだ」。

“今は倉庫がたくさんありますけど、それらが不良資産になりますね?”

「うちはメディア製品だけでなく、靴や紙おむつもたくさん売ってる。デジタル化できない製品の売上比率は、けっこう大きい。ミキサーや靴やおむつは、ダウンロードできないからね。3Dプリンタがあっても、ダウンロードしたデータでタブレットを作ることはできない」。

「でも3Dプリントは、すごくおもしろい。まだ時期尚早だが、Amazonでどう扱うかを考えてみたい。うちには、顧客が本を作るためのCreatespaceがあり、音楽CDでも同じことをしている。3Dプリントも、その線かもしれない」。

“ローカルに関しては、何か変化はありますか?”

「うちはシアトルではAmazon Freshで何年も前から生鮮食品を売っている。最近、ロサンゼルスでも始めた。どちらも、好調だ。でも、全国展開は早すぎる。最後の1マイルがロジスティックの難題だから、まったく新しい業態として考える必要がある。アップストリームに関しても、やはりロジスティックの難題がある。シアトルで長年実験をしているのも、そのためだ」。

“シアトルは寒いから、食品の鮮度が落ちませんね”、とジョークを言ってみた。

また、Bezosの大笑い。

「でも、湿気(しけ)ったらだめな物もあるからね」。

Jeff Bezosとは、何者だろう? おむつの会員制購入で妻が困ったことがある、という話をしてみた。Amazonから毎月一箱買っているのだが、妻は月半ばでなく月初めにほしいと言う。今のAmazonには、そんなきめ細かいカスタマサポートがないのではないか?

「ぼくは優秀な電話交換手だ。誰を呼べばいいか、正確に知っている」。

この、意外なほどシンプルで正確な答には、ぼくもびっくりした。Amazonの社員は97000名、その中心にBezosがいて、各方面に電話をつないでいる。彼の最大の関心事は、顧客とのコンスタントなコンタクトだ。だから、たまたま一度だけ値段を調べたワインでも、ディスカウントの案内が来る。Canon G15なんて、かなり前一度見ただけなのに、えんえんとメールが来る。今では、あまり気にもならないけど。

Amazonはテクノロジ企業でも再販業者でもサービス企業でもない。強大な求心力を持ったeコマースのリポジトリだ。いろんな製品が、摩擦最小限で、入ったり出たりを繰り返している。問題があれば、わずか数行書くだけで返品が処理される。Kindleが壊れたら、ボタンを押すとDylanが画面にポップアップして助けてくれる。何かがスリップすると、ダメージを迂回するルートをBezosが知っている。

帰りにぼくは、Bezosが履いていたようなウィングチップが欲しいな、と思った。それも絶対にAmazonにあり、ぼくのクリックを待ってるはずだ。それが、彼の特技だ。人が、欲しい物を入手できること。

おむつの配達を月初めにしてもらえるか、それはまだ分からないが、Bezosなら、誰に電話を回すべきか知っている、と思いたい。

[画像: AFP/Getty Images]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


楽天、Rakuten Essentialをスタート―アメリカのブログネットワークTidal Labsと提携して販売商品に関連記事を表示へ

日本のeコマースの巨人、楽天は今日(米国時間9/25)、強大なAmazonと差別化すべく、アメリカのRakuten.comに新たな機能を追加した。 このRakuten EssentialはTidal Labsのネットワークを通じてRakutenで販売される製品を推薦するブログ・コンテンツをインポートするものだ。

この機能は消費者がRakutenネットワークの掲載製品についてより深く知って購買意欲をそそられたり、あるいは少なくともRakuten.comを次回も訪問してくれるよう仕向けたりするのが目的だ。

Tidal Labsはあまり知名度は高くないが、いわば無印のハフィントン・ポストのようなものだ。またAbout.comにも似ている。特定の分野に詳しく、(この点もハフポに似ているが)たとえ無給であってもそれについて記事を書きたい熱心なブロガーを大量に組織している。Tidalがハフポと違うのは、こちらは他のサイトにコンテンツを供給することに特化している点だ。

Tidalの共同ファウンダーのMatt Myersは私の取材に答えて「一部のブロガーには報酬を支払っている。全員にではない」と答えた。たとえばTidalはCondeNast傘下のLucky.comにコンテンツを供給している。Luckyには何千人ものTidalのブロガーの記事が掲載されている。その一部は報酬を得ているという。しかし大多数のブロガーは有力サイトに記事が掲載され、ブロガーとしてイベントに招待されることがあるだけで満足しているのだという。

2011年のローンチ以来、TidalはConde Nast、HarperCollinsのようなメディアやPepsiのようなブランドと提携してきた。

こうしたブログ記事の一部は製品やサービスのプロモーションを意識している。企業サイトや一般サイトで特定の製品を推薦する記事やを見かけたことがあるだろう。RakutenEssentialはコンテンツがeコマース・サイトに特化しているという点でTidalにとって新しい分野の開拓となる。

もちろんRakuten.comにとっても重要な機能強化だ。このサイトは以前のBuy.comで、2010年に楽天に2億5000万ドルで買収されてRakuten.comに再編された。Rakuten.comのCOO、Bernard Luthiは「買収当時、Buy.comは主として消費者向けエレクトロニクス製品の通販サイトで、ユーザーもそれに見合ったもの(若い男性)だった。その後のわれわれの努力は主として、女性や子供、年配のユーザーを取り込むことに当てられた。Rakuten Essentialがその役に立つことを期待している」と語った。

またLuthiは「この提携は当面TidalのコンテンツをRakuten.comに導入することだが、将来はTidalのネットワークを通じて、製品に関するブログ記事にウィジェットを埋め込むことによってRakutenの商品をサイト外でも販売できるようにしたい」という。

両社はこの提携の財政面については明らかにしていない。Tidalと楽天の提携によって、楽天大株主の一員であるPinterestとなんらかの関係が生じるのかも注目される。現在、Pinterestは収益化に向けておそるおそる第一歩を踏み出したところだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ECテクノロジーのアラタナが総額約5.5億円の資金調達を実施 – リブセンスが会社として初めての出資

宮崎に拠点を置くアラタナが総額5億4,992万円の資金調達を実施した。このラウンドには既存株主のジャフコ、みずほキャピタル、GMO VenturePartnersの3社に加え、新たにNTTドコモ・ベンチャーズとリブセンスが参加している。リブセンスが会社として出資するのはこれが初めてのことだ。アラタナはこれまでに2011年3月に約6,200万円、昨年3月に約1億円をそれぞれ調達している。

アラタナはECサイト構築サービスの「CAGOLAB(カゴラボ)」やECサイトに必要なバナーなどを制作できる「SketchPage」といったサービスを展開している。SketchPageは3,000社以上が利用しているという。

これらのサービスに加えて、昨年6月からはソーシャルメディアの分析ツール「Zeeble」なども提供しており、ECサイトの構築面だけでなくECサイト運営に役立つツールの開発にも力を入れているようだ。

今後の展開についてはまだ明らかにされてないが、近々大きな動きがあると予想される。というのも、本日予定されていた(中止になった)アラタナの記者会見の内容には増資ではなく新事業についての発表が含まれていたからだ。

なお、プレスリリースによると今回の増資により展開される新サービスは、来年春にスタートを予定しているとのこと。


Amazon、紙版書籍購入者に対して無料(ないし安価)での電子本提供プログラムを開始予定

AmazonがKindle MatchBookという新たなサービスについてのアナウンスを行った。Amazonで紙の書籍を購入した利用者に対し、その本のデジタル版を無料ないし2ドル99セントの価格で提供するというものだ。価格は書籍によって決まることになる。本プログラムの対象となるのは、Amazonが書籍販売を開始した1995年から、これまでに購入した本ということなのだそうだ。

このKindle MatchBookプログラムは10月に開始される予定だ。開始までに、対象となる書籍を1万冊以上用意するとのこと。対象となる書籍は徐々に増やしていきたい考えだ。プログラムに参加するか否かは出版社側の判断であり、Kindle版のダウンロード時の価格の選択(無料、99セント、1ドル99セント、2ドル99セント)も出版社側で行う。

「遠い昔のクリントン時代、CompuServeアカウントでログインして、AmazonからMen Are from Mars, Women Are from Venusといった書籍を購入して頂いた方も、(18年たった今になって)Kindle版を非常に安価にダウンロードしてお楽しみいただけるようになるわけです」と、Kindle Content部門のVice PresidentであるRuss Grandinettiが、なかなかユニークな調子でプレスリリースの中で述べている。

ちなみに、メジャーな出版社も、あるいはKindle Direct Publishingで出版している個人であっても、サービス開始時に作品を掲載するための登録を行うことができるようになっている。このサービスは、印刷された本に加えて電子本も入手できる読者にとっては当然メリットがあるものだ。しかしそれだけでなく、出版社側にとっても、新たな販売機会を得るチャンスともなる。18年も前に書籍を購入した利用者に対し、紙版に加えて電子版の購入を促すことができるようになるわけだ。

読者にとっては、電子本の価格は無料であるのがベストだろう(既に持っている本を、さらにお金を出して買うということに躊躇いを感じる人もいるだろう)。しかし電子版の便利さを感じて、たとえ有料であっても購入しようとする人もいるはずだ。個人的には、過去においてもっとAmazonを使って購入しておけばよかったと後悔している。今後は、紙の本が欲しくなったらきっとAmazonを第一候補に考えることだろう。もちろん、そうした客が増えるようにというのが、Amazonの狙いであるわけだ。

(訳注:本稿はアメリカTechCrunchの記事であり、日本に適用される予定があるのかどうかについては確認していません)

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(翻訳:Maeda, H)


楽天がGoogle、Yahooを押しのけてビデオサイトのVikiを2億ドルで買収した理由―クラウドソース字幕翻訳をeコマースにも利用へ(三木谷浩史インタビュー)

日本のeコマースの巨人、楽天はシンガポールのビデオストリーミング・サービス、Vikiを2億ドルで買収した。Vikiは世界各地のユーザーコミュニティーがビデオコンテンツの字幕を翻訳するというユニークな国際化手法を取っているのが特長だ。

楽天のファウンダー、CEOの三木谷浩史にインタビューした結果、楽天はVikiのビデオコンテンツだけでなく、eコマース市場での世界制覇に向けてクラウドソース翻訳というシステムの利用も視野に入れていることが明らかになった。

当然ながらこの買収契約の締結までにはさまざまな曲折があったようだ。Vikiの共同ファウンダー、CEOのRazmig Hovaghimianが私の取材に答えて語ったところによると、楽天との交渉が本格化する前に、VikiはシリーズCの資金調達ラウンドの準備を進めていたところだったという(VikiはそれまでにAndreessenHorowitz、Greylock、Charles River Venturesに加えて個人投資家から総額2430万ドルを調達していた)。また別の情報源によると、Vikiに興味を示していたのはベンチャー投資家ばかりではなく、GoogleとYahooも買収を望んでいたという。

楽天のCEOの“Mickey”こと三木谷浩史もHovaghimianもVikiの買収を他にどんな会社が試みたかについては明らかにしていないが、GoogleはYouTubeを持ち、Yahooは長年にわたって、ビデオコンテンツの強化策を模索してきたから、この両社が含まれているのは意外ではない。また両社のビデオサービスはVikiと同様、広告ベースのビジネスモデルであり、海外での事業拡大を目指していたからVikiは魅力的なターゲットだったはずだ。

一方で、両CEOは、楽天がVikiがどのように出会ったのか、楽天の大戦略におけるVikiの位置づけ、また楽天が単なる投資ではなく直接買収に踏み切ったのか、その理由についても語ってくれた。

Vikiと楽天の出会い:. しばらく前にVikiはBlake Krikorian(Slingのファウンダー、現在Microsoft副社長)、Dave Goldberg(Survey MonkeyのCEO)という2人の戦略的投資家を取締役に加えた。 私は就任のタイミングからしてこの2人が今回の買収に何らかの役割を果たしたのではないかとHovaghimianに尋ねたところ、実は最初の出会いをもたらしたのはMITメディア・ラボの所長、Joiこと伊藤穣一であることが判明した。伊藤はVikiの最初期の投資家であり、以前からの取締役である。「JoiはVikiの日本市場進出を助けてくれた。Mickeyを紹介してくれたのもJoiだ」とHovaghimianは語った。その頃、Hovaghimianはシリコンバレーで投資家を探しており、買収については考えていなかったという。「よそ者がシリコンバレーで資金調達しようとするのは非常に疲れる経験だった」とHovaghimianは認めた。

「VikiはアジアでYahooと密接に協力しているし、YouTubeからもマルチチャンネル・ネットワークとして認められている。しかし楽天は企業文化からも相乗効果からもVikiによりよくフィットすると考えた。われわれがアジアをベースにした企業であることも大きかった」という。

「1ヶ月で10回ほど会った。最初から良い雰囲気で、交渉は非常に速く進んだ。私は〔三木谷浩史という〕人物が気に入ったし、楽天のビジョンにも共感した。彼らは全力でホームランを打ちに来ている。Vikiはさまざまな方面から関心を持たれてきたが、楽天がもっとも魅力的な相手だった」という。

Vikiは当面独立して事業を継続: Hovaghimianによれば、Yahoo、YouTubeとの提携関係には当面変化はないという。またNetflixその他、楽天の潜在的ライバルとの関係も継続される。「楽天はVikiに長期的な効果を期待しており、当面、大きな自由を認めている」とHovaghimianは言う。【中略】

投資でなく買収に踏み切った理由は? 私は三木谷に「なぜ楽天は単なる投資ではなくVikiの完全買収を決断したのか?」と尋ねた。事実、2012年に楽天はPinterestに1億ドルの戦略的投資を実施している。「Pinterestは(当時ブームの絶頂で)高すぎて買収できなかったからね」と三木谷はジョークを飛ばした。実際にはPinterestは楽天の事業にとってVikiほど直接の影響がなかったからだという。三木谷によれば、Pinterestは楽天のLinkshareアフィリエイト市場に大量のトラフィックを送り込んでくるという点が重要だった。ただし、Pinterestが公式な日本版の運用を開始していないので、日本の楽天はまだこのメリットを享受していないという。

ビデオストリーミングを超えた長期的視野:. 三木谷によれば、もっと重要だったのはVikiが楽天がこれまでビデオコンテンツで努力していた分野を強力に補完する存在だったことだという。楽天はNetflix式のOTTビデオストリーミング会社Wuakiをヨーロッパで運営している。また 楽天が買収したKoboデバイス向けにビデオコンテンツを拡充する計画 もある。こうした分野でVikiは直接的に役立つが、三木谷は「Vikiの買収はビデオだけを考えてのことではない」と語った。

三木谷によれば、PinterestとVikiの最大の差は、Pinterestはアメリカに重点を置くアメリカ企業であるのに対して、Vikiはグローバル化を目指す企業だという点にある。「われわれは世界の数多くの国に進出中だ。楽天のビジョンは楽天市場を全世界に広げることだ。そのためには多数の言語への翻訳がきわめて重要な課題になる。Vikiのクラウド翻訳テクノロジーは、字幕だけでなく、eコマースでも利用価値が高い。それが楽天がVikiを買収した大きな理由だ。われわれはビデオのことだけ考えていたわけではない」と三木谷は語った。

〔VikiのサービスについてはこちらのTechCrunch Japan記事参照。〕

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Y Combinatorデモ・デー―TechCrunchが選ぶ今年の夏学期の有望スタートアップ8チーム

今日(米国時間8/20)、Y Combinatorの2013年夏学期のデモ・デーが開催され、45のスタートアップがそれぞれ全力で売り込みのプレゼンを行った。われわれTechCrunchチームは25人の著名なベンチャーキャピタリストの意見も聞きながら、もっとも有望そうな8チームを選んだ。今回、普段よりもわれわれの意見が一致したので選ぶのが楽だった。

全45チームのそれぞれについての紹介はBatch 1Batch 2Batch 3の各記事を参照されたい。以下、順不同でわれわれの推薦チームを簡単に紹介する。

SpoonRocketオンデマンドのオーガニック料理宅配サービス

SpoonRocketのデモではフードサービス2.0とか料理のUber とかいったバズワードが飛び交った。しかしこのスタートアップのこれまでの実績を検討するとそれも誇張ではないと思える。このサービスはオーガニック素材の一般向け料理と菜食主義者向け料理を作って宅配する。一種類が6ドルだ。最速10分で配達できるという。その秘密は、まず毎日2種類の料理しか用意しないところになる。これによってコストを大幅に削減できる。配達車は保温装置つきだ。SpoonRocketによれば、通年換算で200万ドル相当の売上実績があり、毎週112%も成長しているという。現在はカリフォルニアのバークレーで営業しているが、学生が夏休みだというのにこの好調ぶりはすばらしい。将来は全米の大都市圏に展開する計画だ。

SpoonRocketについてのわれわれの記事

Panorama Education: 学校のデータ処理

Panoramaには大きな野心がある。生徒、教師、両親から得たビッグ・データを分析して全米の学校jすべてに提供しようというのだ。

ただしスタートはささやかなプロジェクトだった。3人の共同ファウンダーがYale大学の1年生だったときに、地元のニューヘイブン地区の公立学校のデータ分析を手がけたのがきっかけだったという。この5月にファウンダーたちがYaleを卒業したとき、Panoramaはずっと大規模なサービスに成長しており、合計50万ドルの売上を得ていた。現在全米の3600の学校がPanorama Educationにデータ処理を依頼している。Panoramaでは全米から収集したデータを提供することであらゆる学校が教育の質を向上させるのを助けられると期待している。

われわれの記事

Amulyte: お年寄りの安全モニタ

アメリカには2000万人のお年寄りがいる。Amulyteではお年寄りの安全を図るためにペンダント型のオンライン・デバイスを提供しようと試みている。このデバイスはGPS、Wi-Fi、加速度計を利用してユーザーの行動をモニタし、異常を検知した場合は携帯電話網を経由して家族などに急報される。

ペンダントは149ドルで安全モニタ・サービスは月額29ドルだ。現在年金生活者の居住施設と提携して実験を行いサービスの改良を図っている。こうした老人介護ビジネスはアメリカだけで100億ドル市場だ。

AmulyteについてのTechCrunch記事はこちら

Buttercoin: Bitcoinを利用した迅速、低料金の国際送金

国際送金は年間5000億ドルにも上る巨大ビジネスだ。同時に手数料が高額であることで悪名高い。

Buttercoinはbitcoinを利用することで、国際送金を迅速かつ低料金で合法的に実現しようというサービスだ。 Bitcoinを使う新しいテクノロジーのおかげでライバルより20万倍も迅速な送金が可能だという。また各地の免許を持った金融機関と提携することですべての取引が完全に合法的なものになっている。

Buttercoinはbitcoinによる国際送金自体からは手数料を徴収しない。ユーザーが他の通貨とbitcoinと交換する際に少額の手数料を課する。

Buttercoinに詳しい説明はこちら

True Link: お年寄り向けクレジットカード

True Link Financialは認知力に障害のあるお年寄りユーザー向けの支払い手段を提供しようとしている。こうしたユーザーは詐欺やいかがわしい売り込みにひっかかる危険性がある。

True LinkはVisaのネットワークを通じてこのクレジットカードを利用した取引を逐一モニタし、不審な点がないか、ブラックリストに載っている業者との取引がないかをチェックする。アメリカにおける高齢者のクレジットカード利用額は年間19億ドルにもなるという。

詳しい紹介記事はこちら

EasyPost: 発送を効率化する

テクノロジー系企業にとってはUPS、USPS、FedExなどの古臭いレガシーな運送システムは頭痛の種だ。EasyPostは運送業者とテクノロジー企業の間に立って独自のRESTful JSON APIを提供することによってこの問題を解決しようとしている。テクノロジー企業は最も有利な料金を素早く見つけ出せるし、発送した商品のトラッキング情報などもリアルタイムで得られる。料金は1個あたり5セントだが、260億個という膨大な運送商品数の相当部分を取り込もうという野心を抱いている。事実、このサービスは毎月179%の急成長ぶりだ。すでに7万個のトラッキングを実施して、SVAngelを含む投資家から85万ドルを調達している。ライバルにはPostmasterShipHawkなどというサービスがある。

EasyPostについての以前の記事。.

Standard Treasury: 一般銀行向けAPI

Standard Treasuryは一般銀行に対して口座間資金移動のような処理を簡単にするためのAPIを提供しようとしている。現在、アメリカ最大の5行を含む16の銀行と交渉中だという。交渉がまとまれば、200万ドルから1500万ドルの収入となる。

Standard Treasuryについての記事。.

7 Cups Of Tea: 「聞いてあげる」サービス

誰でも一生のうちにはどうして人に悩みを聞いてもらいたいという苦しい状況をに落ち込むものだ。離婚、家族の病気、将来への不安等々だ。このとき選ぶ道は2つある。家族と友だちは無料で話を聞いてくれるが、その忍耐力には限度がある。心理セラピーは効果的かもしれないが料金も敷居も高い。7 Cups of Teaはこの2つの中間のオプションを狙っている。訓練を受けたボランティアの聞き手を見つけることができるオンラインマーケットだ。 料金は無料ないし寸志のお礼でよい。7 Cups自身はやりとりされる料金の40%の分配を受ける。ローンチは8週間前だが、これまで着実な成長を示している。現在活動中の「悩みの聞き手」は160人で毎週1800回ものセッションをこなしているという。

7 Cupsについての記事

この3ヶ月かそれ以上サービスの立ち上げに努力してきたファウンダーたちに健闘を祈る。

この記事の執筆にはColleen Taylor、Kim-Mai Cutler、Ryan Lawler、Jordan Crookが協力した。

〔日本版:Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール(TechCrunch Japanの滑川、高橋共訳)にはY Combinatorの歴史と内幕が詳しく描写されている。〕

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Facebook、サードパーティー・サービスの支払情報の自動補完機能をテスト中(AllThingsDの「PayPal的サービス」というのは誤報)

Facebookがテスト中の新しい機能はPayPalのライバルになるようなものではなく、ユーザーの支払情報を自動的に補完入力して買い物を便利にする機能だと判明した。

今日(米国時間8/15)、AllThingsDは「Facebookはサードパーティー・アプリ向けに新機能をテストしている。これはPayPalのライバルになるようなサービスだ」と報じたが、詳細は明らかにしなかった。

現在テストされている機能は、ユーザがサードパーティーのモバイル・アプリ内で買い物をするといにクレジットカード情報、住所などの情報を自動的に入力してくれるというものだ。この情報はFacebookないでGifts機能やゲーム内購入などの機能を利用して支払いをしたときにユーザーが入力したものを利用する。この機能の利用を許可した後は数クリックで買い物が完了できる。いらいらさせられるモバイル・デバイス上での入力をしないですむ。

Facebook自身が支払いを仲介処理するわけではないのでPayPalのライバルになるというのは誤報だった。 この機能を使っても実際の支払いはPayPal、Braintree、Stripeその他、既存のサービスを経由する。この機能の利用は無料。

Facebookの狙いは、Facebook広告がクリックされた際に実際に購入行動に結びついたかどうかについて情報を得ることだ。これによってFacebookは広告主に対していっそう正確な費用対効果を示すことができる。

さらに詳細な情報は Facebook PaymentのテストはPayPalのライバルではなく入力情報の自動入力というわれわれの記事を参照。

われわれはFacebookに取材中なので、新しい情報が入り次第アップデートする。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Amazon、数百万ドルの絵画を販売するArt Storeを開設。ウォーホルもショッピングカートに乗る時代?

Amazon.comが、新たに「アートストア」(fine art store)を開設している。マーケットプレイス・パートナーたちが利用する方式だ。既に作品は4万点以上が登録され、扱っているアーティストは4,500人以上で、参加ギャラリーないしディーラーの数も150以上となっているのだそうだ。145万ドルで販売されるモネの「L’Enfant a la tasse, portait de Jean Monet」や、485万ドルの値段がついているノーマン・ロックウェルの「Willie Gillis: Package from Home」等、数百万ドルもする超有名作品も登録されている。

「アートストア」の登場により、従来はあちこちを見て回らないと探せなかったアート作品群をまとめて閲覧したり、簡単に検索することができるようになった。検索はタイトル、作品タイプ、サイズ、カラー、あるいは販売者などで絞り込むことができるようになっている。

このアートストアに参加しているのは、美術品作品の取り扱いを現代化しようと試みているUGalleryなどだ。同社は2006年からサービスを開始しており、こちらでもさまざまなギャラリーが収蔵する作品を一箇所で検索・購入することのできるマーケットプレイスを構築しようとしていた。Amazon Artの一員となることで、自社プラットフォームからの提供も続けながら、より広い顧客層を開拓できると考えているようだ。

ちなみにUgalleryは、オンラインアートに関する興味深いデータを掲載している。すなわち2013 Hiscox Online Art Trade Reportによると、コレクターの71%がインターネット売買を利用しているのだそうだ。少し前までは、2ドルほどのプラスチックアクセサリーやケーブル、犬のためのおもちゃなどを扱うAmazonが、値段のかけ離れたアート作品などを扱うのはフィットしないようにも思われた。しかしついにアート作品売買の分野にもオンライン取引の波がおとずれ、Eコマース帝国を構築しつつあるAmazonにとっても見込みのある市場と映るようになったようだ。

そうは言っても、数千ドルもするウォーホルのリトグラフをAmazonで買うというのに違和感を感じる人もいることだろう。こうしたものは、もう少し専門的なオークションハウスなどで購入するものだと考える人もいると思う(少なくとも個人的にはそんな印象だ)。ただ、Amazonを動かしているのは、あのWashington Postまで買収してしまうJeff Bezosだ。何百万ドルのプロダクトを通販サイトで取り扱おうとしていることも、何も驚くには値しないことなのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H)


国産モバイル決済のCoiney(コイニー)も決済手数料を3.24%に変更、入金サイクルも短縮し競争が本格化

今年5月にSquareが日本でローンチされてから、国内のモバイル決済サービスの競争は加速している。

PayPal Hereと楽天スマートパスはカードリーダーを有料で販売していたが、実質無料になるキャンペーンを行うなど様々な施策を行っている。

その中でも大きな動きが決済手数料だった。PayPal Hereと楽天スマートパスはSquareの3.25%に対抗し、3.24%へと改定してきた。そして本日、少し遅れて日本のモバイル決済スタートアップのCoineyも決済手数料を3.24%にすると発表した(現在は4%)。

8月21日からCoineyの取引は全てこの手数料で利用できる。これで国内で展開されているモバイル決済サービスの手数料はSquareの3.25%を除いて他3社は3.24%となり、手数料に関してはSquareの優位性はなくなった。

また、Coineyは入金サイクルの短縮も発表している。Squareと楽天スマートペイは銀行口座への振込が決済日の翌日/翌営業日で、PayPal Hereは(銀行により異なるが)3日から1週間ほどかかる。これに対してCoineyは毎月25日締め翌月末の振込になっており、資金繰りが厳しい店舗からすると導入の障壁になっていただろう。

しかし、手数料変更日と同じく8月21日からは月に6回までの支払いが可能となった。締め日が5日ごとになり、支払いはそれぞれの締め日から12日後にまで短縮された。

入金サイクルはSquare、楽天スマートペイに比べると依然差はあるが、今後実績が積み上がるにつれて改善されることだろう。なお、入金時の手数料に関しては3万円未満が105円、3万円以上は210円をユーザーが負担する。この点に関しては楽天スマートペイは210円(楽天銀行は手数料無料)、PayPal Hereは5万以上は210円、Squareは無料となっている。

この他、これまではメールでのみの対応だったレシートをプリントアウトできるように、9月中旬からプリンターを試験的に提供するそうだ。

Squareが日本でローンチした際には決済手数料の安さと入金サイクルの早さが目立っていたが、こぞって競合サービスが改善してきた。今後はさらにこれらの点では差別化が難しくなるだろう。となると、この先重要になってくるのはPOSレジの機能やSquare Walletのような顔パス決済(ここまで来ると”モバイル”決済ですらないが)といった点になるのかもしれない。

今後の各社の動きにも引き続き注視していきたい。


アメリカのスターバックス店ではモバイルを使う支払いが全売上の10%を超える–料金計算もワイヤレスで

Starbucksの合衆国の店舗はモバイル支払いを大々的に採用しているので人目を引く。同社が昨夜発表した最新の四半期決算では、合衆国の全店の売上の10%あまりがモバイル支払いによる、という(WSJより)。Starbucks専用のモバイルアプリのほかに、AppleのPassbookやSquare Walletがよく使われている。

このチェーン店のコーヒー屋さんは、今後ワイヤレスの料金計算マットを各テーブルに置くなど、モバイル化をさらに進めていく予定だ。そのPowermatによるワイヤレス料金計算システムは、ボストンの17店でテストし、8月にはシリコンバレーに来る。使用しているPower Matters Allianceの規格はQiを使っている携帯、たとえばNexus 4では使えない。しかしそれでも、今はPMA陣営に加わる企業が増えており、Starbucksの採用はさらにそれに拍車をかけるだろう。

注目すべきは、Starbucksの場合は企業の戦略レベルでモバイル化を推進し、しかも成功していることだ。StarbucksのCDO(Chief Digital Officer) Adam Brotmanによると、デジタル化はいろいろな面で合衆国の企業に目に見えるインパクトを与えつつある。そしてそれが将来性の大きな経営転換だからこそ、これまでデジタルに投資してきた企業は、これからも投資を続けようとしているのだ。

モバイル支払いは今ではベンダとそのブランドが多様化している。初期には、独占に近い一社がサービスを提供し、ワレットも一形式のみ、そして技術もNFCのようなものに限られていた。今のStarbucksのやり方は多種類の支払い方式を含み、従来からのバーコードスキャンも使え、そしてとても人気がある。便利で使いやすく、見つけやすく、複数のよく知ってるブランド名が見られるからだろう。

まだふつうの支払い方式が支配的な中で、Starbucksの例は、企業にやる気があり条件が整えばモバイル対応の商業が十分に成り立つことを示している。しかし今後しばらくは、全面的普及というより、Starbucksのような孤立した成功例があちこちに芽生えて育つという形になるのだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Googleの極秘プロジェクト、Helpouts、社内テスト中―ハングアウトをベースにしたサービスのeコマース・プラットフォーム

われわれが得た情報によると、Googleは強力なクラウド・プラットフォームの上にサービスのeコマース・プラットフォームを構築しようと試みているという。

このプロダクトは部内でHelpoutsと呼ばれており、個人や大小の企業がライブ・ビデオを通じてサービスの売買ができる仕組みだという。マーチャント(売り手)と消費者は定期的な番組で、あるいはその都度のオンデマンドのビデオで結びつけられる。マーチャントの評価や支払い管理が可能で、もちろん強力な検索と推薦の機能も用意されるという。

Googleのハングアウトのライブ・ビデオのインフラはさまざまな新しいリアルタイム・サービスバックエンドとして広く利用されている。新しいeコマース・サービスもこのインフラを利用するものだ。われわれが知り得たところでは、Googleは社内テストを6月下旬から開始している。一般公開までは少なくともあと1ヶ月以上あるらしい。

現在分かっている情報からするとHelpoutsは最近eBayがリリースしたSecretguruに似ている。これはコシェルジェ・スタイルのオンライン・プラットフォームで、マーチャントはビジネス・コンサルティングからメーキャップのアドバイスまでさまざまなサービスを直接消費者に提供できる。

eコマース分野でのAmazonの圧倒的な優位はフルフィルメント・センターのネットワークなど強力なロジスティクスに負っているところが大きい。これが低価格と迅速な配達を可能にしている。フルフィルメント分野でのインフラを持たないGoogleの場合、eコマース戦略はAmazonとはっきり差別化される必要があった。HelpoutsでGoogleはeBay、Zaarly、TaskRabbit、Live Ninjaなどが手がけている「協同的サービス消費」の分野に特化しようとしているようだ。

われわれの情報源によると、Helpoutsは上記の既存サービスと同様、コンピュータ利用、教育、飲料・食品、健康、修理、などの分野におけるサービスを扱うという。つまり、ヘルス・コンサルティング、料理教室、フィットネス・クラス、電化製品その他の修理、などだ。

Googleは社内テストに当たって、One Medical Group、Sears、Weight Watchers、Alliance Francesはじめ多数の企業の協力を得ている。一般公開の際にはこれら有名ブランドだけでなく、ヨガやフィットネスの有名講師などの個人も多数参加するようだ。

情報源によると、Helpoutsは従来のサービス提供タイプのオンライン・コマースに存在していた使いにくさを大幅に取り除くシステムになっているという。たとえばアルゼンチン在住のスペイン語講師が日本の受講生に直接レッスンを提供する、ワイオミングの主婦が家にいながらにしてニューヨークのヨガ・インストラクターのクラスに参加する、コンピュータの修理ショップが故障したラップトップの修理の相談に乗る、などといったシナリオだ。

Googleが何か新分野に乗り出すと、小規模な(たいていスタートアップの)ライバルは多かれ少なかれ苦しい立場に置かれる。LiveNinjaPowWow(これは元Google社員がファウンダー)、Live Moka、InstaEdu、Shmoopなどがそうだし、間接的にはAngie’sList、Udemy、Skillshare、TaskRabbit、CreativeLive、Curiousなどのプラットフォームにも影響が及ぶかもしれない。

情報源によると、GoogleはHelpoutsの開発を極秘で進めることに成功したという。24、5人のエンジニアのチームによってこの1年間ほど開発が行われてきたが、開発チーム以外でこのプロジェクトのことを知っていたのはほんのわずかのトップだけだったという。詳しいことはまだ霧の中だが、サーゲイ・ブリン直属の謎のGoogle X部隊が関与していたのかもしれない。

一般公開の方法や期日もまだ不明だが、GoogleではHelpoutsに関する全社的なミーティングが開かれたという。このプロダクトについてGoogleのトップに強力な推進者がいることは確かだ。

今の段階ではHelpoutsがYouTubeなみ(あるいは少なくともハングアウトなみ)のメインストリームのサービスに定着するのか、Google ReaderやWaveのようにやがて消えていく実験の一つに終わるのか予測するのは難しい。しかし取材の過程で聞いたGoogleの力の入れ方についての情報を総合すると、われわれはこのHepoutsが成功するのではないかという感触を得ている。

新たな情報が分かり次第アップデートする。

取材強力:Frederic Lardinois

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


登録者に健康スナックを毎月送付するNatureBoxが、General CatalystおよびSoftbankより850万ドルを調達

NatureBoxは、美味しくて、健康によいスナックを毎月登録者に配送する、サブスクリプション型サービスだ。18ヵ月前にスタートした。このNatureBoxからのアナウンスによれば、General CatalystおよびSoftbank Capital主導によるシリーズAにて、850万ドルの資金を調達したとのことだ。エンジニアリングチームを拡充し、顧客満足を向上させるプロダクトの開発を行うために資金を活用したい考えだ。

NatureBoxを簡単に説明すると、健康スナック向けのBirchboxといったものだ。月に20ドルの登録料で、ときどきパクついてしまうジャンクスナックの代わりとなる健康スナックが一箱送られてくるのだ。NatureBoxから送られてくるスナックはすべて栄養士が承認したもので、異性化糖、部分水素化油、トランス脂肪酸、および人工甘味料、香味料、着色料などを含んでいないものに限られている。また地元栽培家や、小規模食品サプライヤーとの協力関係も進めていこうとしている。

NatureBoxから発送されるスナックのバリエーションは現在80種ほどとなっている。月間に5ないし10種が追加されている。尚、リストから消されるものも僅かながら存在する。年末までに品揃えを100以上程度に持っていくことが当面の目標となっている。但し、品揃えを揃えればそれで良しという話ではない。NatureBoxとしては、揃えた品物を消費者に食べてもらうことが必要なのだ。そのため、NatureBoxは消費者の好みや、あるいは食餌制限などにマッチしたスナックを提供できるようにしている。

これまでの状況を見ると、NatureBoxのアイデアは消費者から支持されているようだ。2012年には登録者向けに50000箱を出荷したとのこと。今年については年間100万箱以上の出荷を目指しているところなのだそうだ。

もちろんサービス向上のために為すべきことは、まだまだ多い。データ分析能力を精密に行い、特定顧客向けに推奨すべきプロダクトをきちんと判別できるようにもしたいところだ。この点についてはNatureBoxのCEOであるGautam Guptaも同意見で、そのためにエンジニアリングチーム拡充の必要性を感じているそうだ。また製品開発およびマーケティング部門についても拡充していくらしい。

昨年12月、NatureBoxはGeneral Catalyst、Redpoint Ventures、およびエンジェルたちから200万ドルの資金を調達している。業務の拠点はカリフォルニア州サンカルロスにある。現在の従業員は35名。Guptaによると年内に45人体制を実現したいのだとのことだ。

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(翻訳:Maeda, H)


「ZOZOTOWN」のスタートトゥデイが「Stores.jp」のブラケットを完全子会社化 – 時価総額は約6億5000万円

ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイは「Stores.jp」などを運営するブラケットを簡易株式交換により完全子会社化したことを発表した。

スタートトゥデイはブラケットの1株に対し、350株を割当て、合計31万5000株を割当て交付している。スタートトゥデイの株価は現在(7月16日13時30分)2,071円なので、ブラケットの時価総額は約6億5,000万円となる。

プレスリリースによると、Stores.jpの店舗数は約4万を越え、その内70%以上はアパレルカテゴリー関連のストアだという。ストア開設者からの販売支援や物流サービスに対する需要が高まっていることなどを考慮し、両社のシステム基盤やサービス耐性を連携させ、さらに拡大成長を実現させたいとのこと。

ブラケットというと、最近はStores.jpが話題になることが多かった。昨年8月末にリリースされた同サービスはフリーミアムモデルで、4カ月後には黒字化、黒字化後は無料ロゴデザイン、ストアカード作成、段ボールの提供など、ストア開設者の満足度を向上させるべく、様々な取組みを行ってきた。

また、ブラケットは他にも様々なファッションサービスを展開していて、オンライン上で靴をデザインし、購入できる「Shoes of Prey」、モデルのマッチングサービス「ModelTown」、オンライン上でワンピースをデザインし、購入できる「PrivateRobe+」などがある(一覧はこちら)。

Stores.jp以外にもこうしたファッション系のサービスを多く展開していることから、スタートトゥデイとのシナジー効果は大きいだろう。

後ほど、今後の展開については取材してアップデートする予定だ。


オンラインショップサービスのBASEがキュレーションモール型のiOSアプリをリリース

手軽にオンラインショップを開設できるBASEStores.jpは共に昨年のリリース直後から店舗を増やし、両者ともに現在は約3万店舗が登録されている。今年4月にStores.jpが段ボール、名刺、ロゴを無料でストア開設者に対して提供すると発表した際には本誌でも取り上げたが、その直後にBASEも同様のサービスを提供するなど、スタートアップ界隈ではこの2つのサービスの競争は話題になることが多い。

そしてBASEは今日、モバイルのユーザービリティの向上のため、iOSアプリをリリースした。アプリはここからダウンロードできる。BASEはデスクトップ版ではストアをまとめて掲載するようなモールはこれまで提供してこなかったが、アプリではカテゴリーごとにいくつかのストアをピックアップして掲載し、買い手側を主に対象ユーザーとしているようだ。

「ファッション」、「ハンドメイド」、「リーズナブル」など7つのカテゴリーを用意し、それぞれ約30店舗がまとめられており、アプリ内からそのまま商品を購入できる。また、ストア開設者の管理画面や出品機能も付いており、ストアの運営もこのアプリから可能だ(アドオン機能のいくつかはアプリからは設定不可)。

BASE代表取締役社長の鶴岡裕太氏によると、今でもトラフィックの約6割がモバイルからで、とりわけソーシャルメディア経由のアクセスが多いそうだ。だから、今まで良いモノを売っていながらソーシャルメディアでアクセスを上手く集めることができなかったストア運営者には嬉しい場となるだろう。

BASEはiPhoneユーザーが多いため、iOSアプリを先行してリリースしたようだが、Androidアプリも近いうちに提供予定だそうだ。

気になる直近のデータだが、店舗数は既述の通り3万以上、月間100万UU(ユニークユーザー)、流通額は月間数千万円で、店舗は1日に約500ほど増えているそうだ。人気のあるストアでは1カ月の売上が400万円から500万円ほどまで成長してきており、この規模のストアは少しずつ増えてきていると鶴岡氏はいう。

プレミアムアカウントでの課金により、すでに黒字化しているStores.jpに対し、BASEは今のところ積極的に収益化には動いていない。将来的には手数料やテーマのプレミアムテンプレートの販売などを考えているようだが、今年はあまり大きくマネタイズはしない方針なのだそうだ。


日本の楽天、ロジスティックスのWebgistixを買収―アメリカでAmazon Primeなみのサービス提供へ

日本の巨大eコマース企業、楽天はアメリカの有力なロジスティクス・サービス、Webgistixを買収する。同社はeコマース業者に対して商品の保管、受注、発送などを代行するいわゆるフルフィルメント・サービスを提供している。楽天にとってWebgistixは日本国外でのロジスティクス関連の買収としては2件目になる。買収金額等の詳細は明らかになっていない。

Webgistixは2001年に創立された。提供するサービスは受注処理から在庫管理、配送の最適化までeコマースのロジスティックス全般に及ぶ。同社はアメリカ国内に戦略的に配置された独自のフルフィルメント・センターのネットワークを構築しており、アメリカのeコマースの顧客の98%に対して1-2日で配送を実行することができる。

一言でいえば、WebgistixはアメリカにおけるAmazon Primeに対する楽天の回答だ。Webgistixは利益をあげており、過去に1度だけ外部資金を調達している(金額は不明)。

楽天はウェブとモバイルでさまざまなサービスを提供しているが、メインとなるのは日本最大のオンライン通販サービス、楽天市場だ。楽天は売上高で世界最大のeコマース企業の一つであり、アメリカを含む20カ国で活動している。

ここ数年、同社はいくつかの興味あるM&Aと投資を実施してきた。イギリスのPlay.com、Buy.com(現在Rakuten.com)、Kobo、そして今年はGrommetを買収している。昨年、楽天はPinterestの1億ドルの資金調達ラウンドのリーダーを務めた。

ロジスティクスとフルフィルメントのインフラを構築するのはeコマース企業にとってきわめて優先度が高い。2012年8月、楽天物流は楽天市場の出店者向けに「楽天スーパーロジスティクス」の提供を開始した。これは受注処理、商品仕入れ、在庫管理、梱包、出荷、顧客サポート、さらには販促活動まで提供する総合的なフルフィルメント・サービスだ。2012年11月に楽天は倉庫のオートメーション・システムを提供するフランスの企業、Alpha Direct Servicesを買収し、ヨーロッパと日本でのロジスティクスの機能強化を図った。

楽天の三木谷浩史会長は「アメリカのRakuten.comの出店企業に対し、今後はWebgistixが倉庫の管理とフルフィルメント・サービス全般を提供していく。われわれの目標は出店者が世界のどこにでも商品を配送できるようなネットワークの構築だ。出店者に最大限の能力を与えることを楽天は重視している。だから楽天市場では出店企業が自社のページを自由にカスタマイズできる。次に強化を必要とする部分はロジスティクスだと考えている」と語った。

Webgistixのファウンダー、CEOのJoseph DiSorboは「われわれはアメリカ全土に2日以内に配送を実施できる。このサービスはAmazon Primeの直接のライバルだ。われわれが参加することによってRakutenのプラットフォームはAmazon Primeに匹敵する能力を獲得することになる。Amazonが強力な競争相手であることは確かだが、世界市場を考えた場合、まだ勝敗は決まっていない。楽天はAmazonとは異るアプローチで出店企業にメリットを与える」と述べた。

三木谷浩史率いる楽天がAmazonと互角に戦えるかどうか、今後に注目だ。しかし楽天がアメリカでの市場シェアとテクノロジーを獲得することにアグレッシブであるのは確かだ。昨年の楽天の売上は50億ドルでモバイル分野での成長も目覚ましい。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Stamplia:メールテンプレートに特化したマーケットプレイス登場

Stampliaというサービスの提供が始まった。サービスを運営しているのは、フランスのスタートアップであるKiwupだ。サービスの内容は、HTMLメール用のテンプレートマーケットプレイス。メールマガジン、取引上のやり取り、ないしサービス申込みの際にやり取りするメールのテンプレートを作成して、ここで販売することができるわけだ。テンプレート利用者の観点で言えば、いちいち自分でメールをデザインして時間を費やす必要もなくなる。

「事業者の方々は、何を伝えるべきかというのは当然に理解しています。しかしデザイン面については知識がないケースがほとんどです」と、Kiwupの共同ファウンダー兼CEOのVincent Martinetは言う。「Stampliaを利用すれば、不慣れな中で無理やり作った見栄えの悪いデザインと決別することができます。十分な検証も行なっていないテンプレートや、メールプロバイダーの提供する画一的なデザインを利用する必要はなくなるのです。メールによるキャンペーンの利益率を上げることが出来るようになるはずです」。

このサービスには投資家も興味を示しているのだとのこと。Kiwup側がTechCrunchに明かしたところによると、Jeremie BerrebiおよびXavier NielのKima Venturesから13万ドルの出資を受けたのだとのこと。この資金提供をうけて、サービスの一般公開に備えたのだそうだ。

商用メールにおけるデザインの重要性はますます増加しているのは間違いないものと思われる。消費者の許容レベルは確かに上がっているとおもわれるのだ。ニュースレターやキャンペーン通知メールにも高いレベルのデザイン性が求められるようになってきている。「ビジネスプロモーションにおいて、メールをうまく活用することは非常に重要です。そしてデザインを含めた戦略的プランニングが重要となってきているのです」とMartinetは言っている。「ひと目で良し悪しを判断されるようなことも多くなり、読むべきか否かはあっという間に判定されます。デザインが劣悪であると思われてしまうとメールの内容など誰も見てくれなくなってしまうのです。キャンペーンメールを送り始める前に、十分にデザイン面を熟考することが大事なのです」。

Stampliaは、アウトソーシングの流れにものるものだとKiwupは判断しているようだ。コア部分以外の作業をアウトソースするのはビジネス界におけるトレンドとなっている。コアビジネスに注力したい企業と、そしてさまざまなサービスを提供するオンラインマーケットプレイスの結びつきはますます盛んになっていくだろうと考えているそうだ。

デザイナーの側から見てもStampliaには大きなメリットがある。すなわち自身でメールデザインを必要とするクライアントを探してくる必要もないわけだ。また見積書を書いて、請求書を発行し、そして入金を確認するといった手間もいらなくなる。HTMLやPhotoshopで作成したデザインをアップロードし、カテゴリを指定して、検索に利用するメタデータを記述しておくだけだ。価格はテンプレートのタイプやフレキシビリティにより4ドルから15ドルの間で指定することになる。

登録されたテンプレートはすべて、Stamplia側で精査される。さらに、Litmusのサービスを利用して、25種類以上のメールクライアントないしデバイスでどのように表示されるのかのプレビューも作成される。尚、メール作法上スパムと判定されてしまうことがないかどうかについてもチェックが行われる。

デザイナーに支払われるコミッションは売上本数に応じて50%から70%の変動制となっている。尚、StampliaにはAPIも用意されていて、メールプロバイダーその他の事業者は、このAPI経由でメールテンプレートの紹介を行うことができるようになっている。アフィリエイトとしても活用できるようになっているわけだ。

もちろんデザインテンプレートなどを販売している事業者は他にも数多く存在する。しかしメールで利用するテンプレートに特化しているのはStampliaだけであり、それがウリになるのだとMartinetは言っている。売買関連でやり取りするメールや、ウェルカムメッセージ、サービスアップデート、請求書や領収書など、企業で利用するさまざまなシーンに応じたテンプレートを取り揃えていきたい考えだ。

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(翻訳:Maeda, H)