ロシアの米議会ハックは過去形でなく現在進行形、日本のTrend Microが痕跡を発見

日本のセキュリティ企業Trend Microの最新報告によると、昨年の民主党全国大会をハックしたのと同じ集団が、2017年の後半には終始、アメリカ上院を活発に標的にしていた。Trend Microは以前にも、外国の政府をねらう同様のフィッシング攻撃を明らかにしたことがある。今回のセキュリティ報告書によると、彼らの活動は2017年6月に始まり、上院の内部的メールシステムに見せかけたフィッシングサイトにより、議員たちの認証情報(パスワードなど)を盗もうとしていた。

Trend Microの報告は、同社がPawn Stormと呼ぶハッキング集団の行為を主に取り上げている。それは、一般にはFancy Bearという名前で知られていた“きわめて過激な諜報活動”グループだ。同じくセキュリティ企業のCrowdStrikeはそのグループを“ロシア発の脅威的活動集団”と呼び、ロシア軍部の諜報機関と結びついていることもありえる、としている。

Trend Microはその攻撃の性質について、次のように述べている:

2017年6月に、アメリカ上院のADFS(Active Directory Federation Services)を模倣するフィッシングサイトが開設された。これらのフィッシングサイトのデジタル指紋を、これまでの5年間に弊社が蓄えた大きなデータ集合と照合すると、それらを明確に、2016年と2017年の二度にわたって起きたPawn Storm事件と関連付けることができた。

アメリカ上院の本物のADFSサーバーには、オープンなインターネット上ではアクセスできないが、フィッシングにより、ファイヤーウォールの背後にあるADFSサーバー上のユーザー認証情報を取得することはできる。そうやってユーザーアカウントを一つだけ盗むことができた犯人は、組織内に自己の足場を作り、そこから彼らにとって本命の高位のユーザーに接近できる。

昨年4月に、オレゴン州選出で、上院諜報委員会の活発なメンバーであるRon Wyden上院議員が、二要素認証などの“ベーシックなサイバーセキュリティ方策”を上院が採用して、議員のメールアカウントなど、機密性の高い内部的デジタルシステムを保護するよう、勧告した。むしろそれが未だに、米議会の標準慣行ではないという事実の方が、怖ろしいと言えるだろう。

今では、民主党大会のハックやロシアの情報遺漏努力について過去形で語ることが多くなっているが、Trend Microなどの報告が示しているのは、アメリカの政治システムに対する脅威が現在進行形であることだ。2018年の中間選挙に向けてそれは、ますますエスカレートしていくだろう。

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トランプ政権、ホワイトハウス内での個人携帯電話を禁止

米国時間1月4日の声明で、ホワイトハウスのサラ・ハッカビー・サンダース報道官は、ウエストウィング内での個人用携帯電話の使用を禁止すると発表した。

「ホワイトハウスITシステムのセキュリティーおよび整合性はトランプ政権にとって最優先項目であるため、今後ウエストウィングでの個人携帯端末の使用は来客、スタッフともに禁止する。スタッフは業務遂行のために政府支給の端末を利用することができるので、今後もアメリカ国民のために職務に励んで欲しい」と新しい方針に関する声明でサンダース氏が語った。

禁止の噂は数カ月前から出回っていた。「ある職員は、施設のワイヤレスネットワークに接続される端末があまりにも多く、また個人携帯電話は政府支給の端末と比べてセキュリティーが低いと話していた」と11月に情報筋がBloombergに語った。ホワイトハウスのジョン・ケリー主席補佐官がこの行動の推進者だと言われている。

昨年2月にCNNは、当時のショーン・スパイサー報道官が自身のスタッフに対して抜き打ちの端末検査を行い、報道関係その他へのリークにつながる秘密の会話を調べたと報じた。「『緊急ミーティング』」と言われてスパイサー氏の部屋に入ると、テーブルに携帯電話を置くように命じられ、何も隠していないことを証明するために「携帯チェック」が行われた」と当時Politicoは書いている

トランプ政権はこの新しい「個人端末禁止」ルールをセキュリティー問題の一環だと位置づけようとしているが、ジャーナリストのMichael Wolffによるホワイトハウス爆弾暴露記事によるとそれも疑わしい。政権は当初から情報漏洩を非難してきており、今回の個人端末禁止はカオス状態の大統領任務遂行状態に関する発信を制御しようとする、遅きに失した(おそらく不毛な)努力と思われる。

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トランプ大統領のウェブサイトに、オバマ氏を責めるメッセージが隠されていた

ソースコードに隠されたイースターエッグの好きな人にはかなりいい話。Washington Postのデータレポーター、Christopher IngrahamがTwitterで見つけた情報によると、トランプ政権と共和党のウェブサイトに、オバマ氏のゴルフ好きに関するジョークの入ったコードが埋め込まれているという。

ソースコードを確認したところ、たしかにあった。「Oops!何か問題が起きた。オバマと違ってわれわれは問題の修正に務めている…ゴルフコース上ではなく」。見つかったのは、action.donaldjtrump.com のサイトで、 たとえばこのオバマに取りつかれた「就任年支持率調査」などをホストしている。donaldtrump.comのページにはない。

Ingrahamaが指摘しているように、これはGOP.comトップページを含む共和党の公式サイトにもある。いずれの例もこのオバマジョークはこの404エラーメッセージとセットになっている、「ヒラリー・クリントンとこのリンクの共通点は何か?どちらも完全の壊れている」。オバマとクリントンに対する侮辱はいずれもトランプ支持者の雰囲気を醸しだすもので、フロイト心理学における投影ではない。
挙げ句の果てにこのコードはそれ自身壊れていて、イコール記号が2つあるべきところが1つになっている。うっかりミス? あるいは、世界はこの非常によくできたジョークに恵まれていなかったのかもしれない。

[実際にこのメッセージが表示されることはない。Javascriptにエラーがある…比較(==)の代わりに代入(=)になっているので、どんなエラーでも404メッセージが表示される]

Thanks, Obama!

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Facebook上でロシアのトロルアカウントにやられたか分かるツールがやっとリリース

今年の秋は、Facebookの上でロシアのトロルアカウントに接触されたと思われる人の数がどんどん増えて、ついに1億5000万近くに達した。今日Facebookは、先月約束していたツールをやっとリリースし、ユーザーが「いいね!」したりフォローしたものが、怪しげな大衆操作のためにネット上にばらまかれた大量のページやコンテンツではないか、チェックできるようにした。

Facebookはそのツールのリリースを大声で発表することはせず、クリスマスの前の金曜日という、気づかれたくないものを公開するのにふさわしいゴミ箱のような日を待った。そしてそのツールを、ヘルプページの奥の方へ突っ込んだ。うまいやり方だね。

しかしそのツール自体は、とてもシンプルで使いやすい。このページへ行けば、あなたがいいね!したりフォローしたかもしれない、ロシアのInternet Research Agencyが作ったアカウントが一覧表示される。Instagramの自分のアカウントにログインしても、同じ情報が表示される。

あなたが怪しげなアカウントのどれかをフォローしていたら、こんなものが表示される:

このボックスが空なら、あなたは問題のアカウントに接触していないし、それに関与〔クリックなど〕していない。しかしそれでもあなたは、幸運な〔皮肉〕1億4600万人のひとりかもしれない。Facebookにもそれは分からないが、でも人びとに直接告げるこのやり方には感心しない。みんな、そのスクリーンショットを取って、“WTF!”(すげえ!)とか“OMG Facebook is broken!”(Facebookがぶっ壊れたよ!)などのキャプションをつけてポストするだろう。

選挙のとき、これと同様の干渉を受けたそのほかのサイトも、このようなツールを発表してほしいね。

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上院の超党派グループが地方レベルの選挙のセキュリティ向上で法案を提出

上院議員たちの超党派のグループが、中間選挙を控えたこの時期に、アメリカの選挙の技術的な正しさを守るための法案を提出した。上院に提出されたこの法案はSecure Elections Act(安全な選挙法)と呼ばれ、提出者は共和党上院議員のJames Lankford, Susan Collins, およびLindsey Graham, そして民主党上院議員のAmy Klobuchar, Kamala Harris, およびMartin Heinrichだ。

法案に付随する声明でCollins上院議員はこう述べている: “ロシア人たちが票の集計を変えられるという兆候はないが、しかしロシア人の関係者たちが州の選挙システムや公開されているWebサイトを侵そうと何度も試みたことを、われわれは知っている。われわれの超党派の法案は、各地の投票所の職員たちが、投票システムの安全を維持するために必要な情報と財源を確実に持つことによって、選挙過程の完全無欠性を強化するものである”。

この法案に関わったすべての上院議員が、このような声明の中で、アメリカ合衆国がその選挙システムをもっと安全にし標準化するまでは、ロシアはアメリカの民主主義への実在する脅威をもたらし続ける、と主張している。この法は、(1)連邦の諸機関が選挙関連のサイバー攻撃を州や地方の政府と直ちに共有すること、(2)州の職員が機密と指定されているかもしれない情報にアクセスする場合正しいセキュリティ確認を行うこと、(3)州が選挙システムの現代化を行うときは補助金を提供すること、そして(4)投票機械などの選挙システムを保護するためのサイバーセキュリティのガイドライン集を作ることを、必須としている。

Harris上院議員は、こう述べている: “ロシアは、彼らが2016年の選挙をに干渉したときに、われわれの民主主義のまさに中核を攻撃した。2018年の選挙が目前に迫っている今、ロシアは再び干渉に着手するだろう”。

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ニューヨーク州司法長官、FCCのネット中立性決議に複数州での反対訴訟を表明

ニューヨーク州司法長官でFCCのネット中立化法廃止に先陣を切って反対しているエリック・シュナイダーマンは、物議をかもしている同委員会の決議に対し、最初の法的対抗策のひとつを前進させた。

シュナイダーマンはFCCの投票前のパブリックコメント手続きに対する自身の捜査結果を踏まえ、「FCCによるネット中立化の違法な撤回を阻止」するべく、検察当局として訴訟を起こす意思を表明した。TechCrunchの質問に対しシュナイダーマンは、本訴訟を「数日のうちに」複数の州に広げるつもりだと答えた。

「われわれはニューヨークならびに全米市民の保護を維持するために異議を申し立てる。そしてインターネットやわれわれの経済に損害を与えようとするFCCの動きを積極的に阻止するために行動を起こす」とシュナイダーマンはプレスリリースで語った。

「今日決議された新しい規則は、ISPに多く支払ったユーザーだけが、FacebookやTwitterなどをアクセスし高品質のビデオストリーミングを利用できるようにすることを可能にする。さらに悪いことに、今日の投票によってISPは特定の地域を優遇することも可能になる」

ニューヨーク以外にどの州が訴訟に加わるかはまだわからないが、パブリックコメントの手続き中に発覚した偽コメントを理由に投票の延期を求めた書簡に署名した州は同調することが予想される。その書簡には18人の検事総長が、バージニア、デラウェア、ハワイ、カリフォルニア、ケンタッキー、マサチューセッツ、アイオワ、メリーランド、メイン、ミシシッピー、オレゴン、ペンシルバニア、ノースカロライナ、ロードアイランド、ワシントン、バーモント、およびワシントンDCから参加した。

シュナイダーマンはTechCrunhに、近く他州の検事総長からも本訴訟に加わる意思を示す声明が発表されるだろうと語った。本誌は動きがわかり次第続報する予定。

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サンフランシスコのエド・リー市長が急逝――テクノロジー企業の誘致に大きな功績

テクノロジー企業のトップと緊密な関係を保ってきたサンフランシスコの市長、エド・リーが急逝した。原因は心臓発作で65歳だった。リー市長はサンフランシスコをテクノロジー都市にする原動力だった。CBSを始めとするマスコミの報道の後、市は公式発表で市長が亡くなったことを確認した。

市の規則にもとづき、市議会(Board of Supervisors)議長のロンドン・ブリードが直ちに臨時市長代行に就任した。

リーは2011年から市長職にあった。 当時のギャビン・ニューサム市長がカリフォルニア州副知事に就任するため辞職した後、任期の残りを引き継いだ。

リーは最初の任期の終了後に市長に当選し、2015年以降市長の職にあった。サンフランシスコはアジア系移民の強い影響下にある都市だが、実際にアジア系アメリカ人が市長になったのはリーが最初だった。

サンフランシスコ市長としてリーはテクノロジー産業の誘致に努力した。リー市長にはロン・コンウェイなどのテクノロジー業界のリーダーがパートナーして重要な役割を果たした。コンウェイは個人的にも市長と近く、TechCrunch Disruptにも何度も登場してサンフランシスコのテクノロジー産業について語っている〔下の写真は2013年のDisruptにおけるリー市長とコンウェイ〕

当初からリー市長はサンフランシスコにシリコンバレーからテクノロジー・スタートアップを誘致することに積極的で、サンフランシスコの南部地区をスタートアップが飛躍を果たすために最適な地区にすべく努力した。

これは驚くべき先見の明だったが、同時に諸刃の剣でもあった。サンフランシスコはリー市長のビジョンをほぼ実現し、テクノロジー都市に生まれ変わった。シリコンバレーのスタートアップ世界をサンフランシスコに引き寄せることに大きな功績があったことは間違いない。何百人ものスタートアップのファウンダーがサンフランシスコを創業の地に選んだ

しかしこのことには副作用もあった。サンフランシスコは過密化し、生活費は法外に値上がりした。社会階層は両極化し、形式張ったものになった。こうした問題には解決が非常に困難なものもの多い。

リーの努力は税制改革から住宅供給に加えて、サンフランシスコにとって重要な問題であるホームレスの支援のためのギフトカードを販売するスタートアップ、HandUpの支援まで幅広いものだった。

困難な問題を数多く抱える地方政治にあって、リー市長の政策は常に万人から歓迎されるというわけにはいかず、 激しい議論を巻き起こすこともあった。しかしどんな場合でもエド・リーは全力を挙げて問題に取り組み、解決を目指す姿勢を崩さなかった。

エド・リー市長の家族、友人に深い哀悼の意を表明する。

画像: TechCrunch/MRD

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

政治戦略家のブラッドリー・タスクは6分野の規制と戦う――Uber株はSoftBankに売却

ブラッドリー・タスクはニューヨークの元市長、マイケル・ブルームバーグの選挙を繰り返し成功させた政治戦略家として政界では以前から著名な存在だった。その後、Uberの元CEO、トラビス・カラニックの招聘に応じてシリコンバレーに拠点を移し、Uberが各種の既成勢力と戦うのを助けた。タスクはUberが契約した最初の外部コンサルタントだったが、料金の支払いをUber株式で受け取ることに合意したため大株主の一人となった。ここで一挙に現在に飛ぶと、タスクは現在、政治戦略のコンサルタント企業ベンチャーファンドを運営している。

TechCrunchのインタビューに対し、タスクはSoftBankグループが主導するUberへの大型投資に際し、このコンソーシアムにUber株式を売却するつもりだと語った。タスクは「これは絶好のタイミングだ」と述べ、その理由を次のように説明した。

「Uberの上場がどうなるか決まったわけではないが、私はこの問題に詳しい。 [Uberが上場しても]現在の株価の1.5倍以上で売るのは難しいだろう。もちろん歴史的な大型上場になるだろうが、まだあと2年はかかる。プラス、上場後、株主が株式を売却できるようになるまで[標準的な]6か月のロックアップがかかるはずだ。その代わりに他の分野に投資したら私はどのくらいのリターンが見込めるだろう? おそらく1.5倍以上だと思う」。

タスクは最近lUberの業務を手がけていないが、他のクライアントに対して諸規制と戦う戦略を授けている。TechCrunchは先週タスクから詳しく話を聞くチャンスがあった。2018年にタスクが反規制のコンサルティングとベンチャー投資を行う重要な分野は以下の6部門だという。タスクの説明を要約すると―

社員vs契約者:これはきわめて大きな問題だ。まず独立契約者とはどういうものなのか、定義そのものがはっきりしない。しかし社員であるかないかは、時間外手当の支払い、源泉徴収、福利厚生を始めとして双方に甚大な影響がある。他の人々もそう言っているが、州政府は規則の文言をもっと明確化すべきだ。しかし〔問題は〕労働組合が透明性の高い労働市場を好まないことだ。『ルールをはっきりさせてくれ。そうすればわれわれの対応も決まる。そのルールでビジネスが成立しそうなら続ける。そうでないなら撤退する。しかしルールを教えないのはデモクラシーではない』というのがシェアリング・エコノミー側の主張だ。

ただ現在ワシントンで審議中の減税案は「労働者を契約者として分類する傾向を強めそうだ。〔タスクは〕属人的な福利厚生システムを考えている。これは福利厚生をプールして持ち歩き可能にするもので、労働者がどこでどのような形態で収入を得たとしても常に福利厚生などの便益が得られるようにする。フルタイムの正社員が得られる便益がすべて含まれるわけではないが、〔Uberのような会社が報酬の〕一部を拠出し、ドライバーも一部を拠出して、ヘルスケアや年金などに充当するモデルだ。

もちろん一夜にしてこうしてシステムを確立することはできない。また問題点として、労働組合は(正社員だけでなく)契約社員の待遇にももっと関心を抱くべきだ。しかし誰もが独立の契約社員のフレキシブルな労働条件と正社員の福利厚生の双方を得られるようなったら、正社員に雇用されるメリットがなくなるかもしれない。

自動運転車:私の考えでは〔自動運転は〕乗用車についは順調に進むだろうが、トラックには問題が起きそうだ(タスクのチームはこの問題にも取り組もうとしている。

He pointいわゆる自動運転法(SELF DRIVE Act)は超党派の支持を受けて、去る9月に下院を通過したが、上院ではまだ可決されていない。

これが自動運転車を律するアメリカで最初の連邦法になりそうだが、困ったことに、下院で可決されたものも上院で審議中のものも、対象から自動運転トラックを除外している。これは職が失われる(と同時に安全性も低下する)と懸念するトラック運転手組合からの圧力によるものだ。(上院の法案では自動車メーカーが生産できる自動運転車の台数にも上限が設けられている。自動運転のみ可能な車両の上限は1年目が1万5000台、3年目までが8万台、4年目以降は上限なし、となっている)。

大型トラックの除外―これはチームスター〔トラック運転手組合〕にとっては勝利だ。しかし戦いは政府のあらゆるレベルで続いている。Uberや〔Googleの〕WaymoやTesla側とチームスターのような既存勢力の間に一大闘争が巻き起こるのは誰にでも予測ができる話だ。しかし一度瓶から出てしまった魔神をもとに戻すことはできない。チームスターのような勢力ができるのは物事の進行を少し遅くすることだけだろう。

モバイル投票: モバイル投票には以前から強い関心がある。最近、あるモバイル投票のスタートアップのプロモーションを手がけた。モバイル投票は投票率の低下、特に地方選挙への関心の低下に対する解決策になると思う。 地方選挙の投票率は10%から15%というのが普通だ。〔タスクが関与している〕スタートアップはVoatzといい、創立4年目でブロックチェーンを利用しており、TechStarsのアクセラレーター・プログラムを今年出たばかりだ。この会社のテクノロジーはアメリカにかぎらず、世界中いたるところでわれわれの選挙に対するあり方を変える可能性がある。(タスクはこの会社に限らず、モバイル投票に関するソリューションを提供できる考えるあらゆるチームを援助する用意があるという)。

乗り捨て方式の自転車共有: これはやっかいな問題になる。道路は混雑している。ホームレスの数も多い。そういう状況で自転車をあちこちに乗り捨てる方式ではうまくいかないはずだ。自治体は禁止に動くと思う。アメリカの本当に混雑した都市でこれが自然な交通手段になるとは想像しにくい。(タスク自身がBirdというサンタモニカのキックスターターのデザインの電動スクーターのシェアリング・サービスへの投資家であることを考えると興味ある意見だ。BindのCEO、Travis VanderZandenは以前Uberのグロース担当副社長だった)。

eスポーツによるギャンブル:現在アメリカ最高裁はChristie対NCAAの訴訟を審理している。焦点はニュージャージー州はe〔オンライン〕スポーツ・ギャンブルを合法化する権限があるかどうかというものだ。1992年の連邦法はネバダ州以外でのスポーツ賭博を禁止している。Yahoo Financeが最近報じたとおり、今回の判決がどちらになろうと、アメリカのギャンブル禁止法規は近く緩和されるだろうとeスポーツ業界は楽観している(トランプ大統領は以前カジノのオーナーだった)。

もしギャンブル推進派が勝てばアメリカ中の州政府がeスポーツ・ギャンブルに殺到するだろう。eスポーツの運営企業はアメリカ先住民が運営しているカジノとのバトルロイヤル・モード突入する。〔カジノを特権的に運営できるために得られる〕売上と雇用をeスポーツ・ギャンブルと奪い合うことになる。共和党の減税案が法制化されれば、多くの州政府と自治体が収入を失うことになる。これがeスポーツに追い風となると予想する。

マリファナ合法化: マリファナが合法化される地域は増えるだろう。関連するスタートアップにとってはグッドニュースだ。議会の共和党はドラグを嫌っているが、もし(減税によって)カリフォルニアやニュージャージーで税収がダウンすれば、どこかでその穴埋めをする必要がある。しかも〔不人気な〕増税はできないだろう。〔こうした事情から〕マリファナの合法化は予想よりずっと早まるはずだ。(タスクの会社はマリファナのオンデマンド配送のスタートアップEazeのアドバイザー、投資家でもある)。

画像: Tusk Ventures

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FCC現委員長のネット中立性悪者説はすべて正しくない、と同僚の委員が指摘

2015年に、当時FCCの委員だったAjit Pai〔現委員長〕は、新たに制定されようとしていたネット中立性規則(net neutrality rules, NNR)に彼が反対票を投じる理由を詳細に述べた、長編のペーパーを委員会に提出した。彼はその中で、それらの規則がもたらす害について、たくさんの予言をした。そして今日(米国時間11/30)、同委員会のClyburn委員が、それらの予言のほとんどすべてが当たっていないことを指摘した

FCCのWebサイトにポストされた短いが要を得たドキュメントでClyburnは、現委員長の黙示録的予言の数々を取り上げている。曰く、この新しい規則で料金の規制ができるようになるだろう。曰く、FCCがISPにサービスの内容や方式を指示するようになるだろう。曰く、そしてもちろん最終的には裁判所が〔NNRを〕無効と裁定するだろう。…などなど。

言うまでもなく、そのどれも起きていない。いくつか、例を挙げよう:

Pai委員長: 法廷はこの不法な越権行為を支持しないだろう。
: 連邦控訴審は2015年の命令(NNR)を二度支持し、Paiが異議申し立ての根拠としている法的解釈のすべてを却下した(彼は同じ解釈をDestroying Internet Freedom Orderの草案で再び持ち出している)。

Pai委員長: ISPがGoogle Fiberのようなことをして市場に徐々に参入しようとすると、FCCはnoと言うだろう。
: FCCがブロードバンドの市場参入に対し規制を課したことはない。

Pai委員長: NNRに盛られているFCCの権限行使や規制の差し控えは一時的である。
: FCCがNNRで認められている権限不行使を撤回したことはまったくない。

Pai委員長: ブロードバンドの新しいユニバーサルサービスの料金が導入されるだろう。
: 新しいブロードバンドユニバーサルサービスの料金は導入されていない。

Pai委員長: ネットワークのアーキテクチャと設計に関する決定権はもはやエンジニアではなく官僚や法律家が手にするだろう。
: ネットワークのアーキテクチャと設計に関する決定権は確固として
エンジニアたちの手にあり続けている。FCCの行為がインターネットのネットワーク設計を指令したことは一度もない。

皮肉にも、この最後の予言は、彼の予想とは違う、別の形で事実になった。Pai自身の「インターネットの自由を回復する」の指令は、記録が残っているだけでも数百人ものエンジニアたちが、それ〔Paiの指令書〕を書いた官僚や法律家たちはネットワークのアーキテクチャと設計を根本的に誤解している、と説明している。

Clyburn委員による Paiの誤謬指摘の全文は、ここで読むことができる。本誌のインタビュー記事はここにある。

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ネット中立性の擁護者たちが12月7日に全国のVerizonショップで抗議集会を開く

12月14日にFCCが、自由でオープンなインターネットを護(まも)るオバマ大統領時代の政策を撤廃するか否かの票決を行う。票決は昨日(米国時間11/21)発表されたが、そのときFCCは、 2200万という歴史的な数に達したコメントへの言及を避けた。コメントの大多数は、撤廃に反対していた。

そのことに対する抗議集会が、12月7日に全国のVerizonのショップ(の店頭)で行われる。抗議集会を組織したのは、Demand Progress, Fight For The Future, そしてFreePress Action Fundだ。

主催者団体のページに、主旨が述べられている:

FCC委員長Ajit Paiは明らかにまだVerizonの社員であり、公人ではない。しかしそんな彼でも、議会の質問には答えなければならない。そこでわれわれは議員たちに働きかけて、FCCの監視という彼らの仕事を為し、その一環として、第二条ネットの中立性の保護を骨抜きにしてVerizonなどの大手ISPたちに彼らが望むクリスマスギフトを与えようとする、Ajit Paiのプランに議会として反対するよう、呼びかけるものである。

ネット中立性について短時間で知りたい人は、下のJohn Oliverの説明を聞くか、以前の本誌記事を読んでいただきたい。

簡単に言うとネット中立性とは、ISPがインターネットに‘高速レーン’を設けて、彼らが好む、または彼らに大金を払うコンテンツやWebサイトを優遇することから、消費者とインターネットを護(まも)ることである。

ではなぜ、抗議集会をVerizonのショップでやるのか?

FCCの委員長Ajit Paiはそれまで、Verizonの社員で顧問弁護士だった。またVerizonはネット中立性の強硬な反対者で、撤廃のためのロビー活動を行い、第二条を捨て去るための訴訟に数百万ドルを支出している。

編集者注記: VerizonはOathの親会社であり、OathはTechCrunchの親会社である。

〔関連記事:
ニューヨーク州司法長官がFCCのネット中立性に関する公聴コメント無視を批判(未訳)
FCCが「インターネットの自由の回復」の最終案を発表…それは全然自由じゃない(未訳)、高速レーンの設置など顧客の差別は私企業としてのISPの自由である、とするAjit Paiらの説。

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AWSが政府諜報機関用の秘密のリージョンを立ち上げ、インターネット接続なし

Amazonが今日、同社のクラウドコンピューティングサービスAWSに、アメリカ政府の諜報部門のワークロード向けに特別に設計された新しいリージョンが加わる、と発表した。そのリージョンはAWS Secret Regionとずばり名付けられ、政府のセキュリティの分類で“secret”レベルまでのワークロードを動かすことができる。AWSはすでに6億ドルの契約でCIAなどの政府省庁のトップシークレットのワークロードを動かしているが、これはそれをさらに補完するものだ。

AWSのこの発表のほぼ1か月前には、Microsoftがやはり同様の発表を行った。MicrosoftのGovernment Cloud上のAzure Government Secretにより、政府省庁およびそのパートナーの“secret”と分類されたデータを扱うワークロードがサポートされる。

Amazon Web Services Worldwide Public SectorのVP Teresa Carlsonはこう述べている: “アメリカ政府の諜報部門は今後、共通のツールセットと、最新技術の定常的な導入、および迅速なスケーリングを可能とする柔軟性により、自らのミッションを遂行できる。AWSのTop Secret Regionは三年前に導入され、最初の密封された*商用クラウドとしてアメリカの諜報部門の顧客たちはそれをきわめて成功裡に利用している。今回の新しいリージョンにより、省庁間のコラボレーションがさらに拡大され、意思決定者に重要な情報をより迅速に届け、国の安全がさらに増強されるであろう”。〔*: air-gapped, まわりに空隙がある==インターネットに接続されていない〕

最初の密封型クラウドTop Secretは、利用が諜報機関に限られていた。今度の新しいSecret Regionは全省庁が利用でき、既存のAmazon GovCloudなど、これまでのAWSとCIA等との関係内容とは無関係だ。

Googleもかなり前からG Suiteを政府系の顧客に提供しているが、同社はエンタープライズ顧客の獲得に熱心で、政府省庁やそのクラウドコンピューティングニーズはあまり視野にないようだ。しかし今後Googleも、政府からお墨付きをもらうことに励んで、そのサーバー上で政府の機密データを扱うようになるかもしれない。

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書字障害の子でも宿題でみんなに後れないSnapType、すでに150万回ダウンロード

とてもシンプルなアイデアが、大きな違いを作り出すことがある。SnapTypeも、その例だ。BenとAmberlynnのSlavin夫妻が作ったこのアプリは、宿題を画面に映して、書字障害などの子どもが答を手書きでなくタイプして答える。

小児科のセラピスト(作業療法士)であるAmberlynnは毎日、ADHDや自閉症、ダウン症、失読症などの子どもたちの相手をしている。その子たちの多くは、いろんな理由で、学校のワークシート(問題用紙)に答を書くことができない。そんな子たちの宿題を助けるために、彼女と夫は、シートを画像として映し出し、答を指タップでタイプできるアプリを作った。

二人の会社は、World Domination Summit Foundationからの1万ドルの助成金以外は完全に自己資本のみだ。Benはプログラマーで、アプリは全体を彼一人で作った。

アプリは無料で、これまでに150万回ダウンロードされている。ぼくが二人に会ったのは、今月上旬に本誌が小規模なミートアップを行ったオマーンの首都マスカットで、彼らはそのとき、4か月の中東横断自転車旅行の最終4か月めに入っていた。彼らは嬉々として、SnapTypeのことを話した。

“Amberlynnは、セラピストの資格を取るための勉強の卒業研修のとき、SnapTypeを思いついた。彼女はそのとき、5年生の書字障害の子を診ていたが、その子は、文字の手書きがまったくだめな子だった”、とBenは語り始めた。“彼の作業療法士は、彼がまともな文字を書けるようにいろんなことを試したが、どれもだめだった。その熱心な作業療法士は、問題用紙をスキャンしてコンピューターに表示し、彼が答をタイプできるようにさえしたが、その方法は時間がかかりすぎるので、やめてしまった。その子は、クラスで自分だけが時間内に問題用紙を終えられないので、悩んでいた”。

このアプリは、その名前が示すように、とてもシンプルだ。Proバージョンでは、児童生徒と先生がインターネットに接続して宿題をやり取りするが、リアルタイムでなく、メールやそのほかのファイル共有システムを使ってもよい。しっかりとした、シンプルなアイデアだが、教える側と教わる側で十分に心が通い合う。

SnapTypeを使うようになって、子どもは変わったか?

“子どもも、その子の療法士も、教師も、そして親も、とても喜んでいる”、とAmberlynnは語る。“それに、子どもがそのアプリを使ってるところを見るのも、楽しいわ。その子自身がワークシートの写真を撮り、iPadのキーボードを使って質問に答えていく。もう、クラスで自分だけが後れることはないし、自分の能力に自信を持てるようになる”。

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アメリカ政府の国民健康調査事業にFitbitのフィットネスデバイスがデータ収集に起用

オバマ大統領は2015年の一般教書で、Precision Medicine Initiative(個別化医療構想)という、疾病と各個人の特殊性との関係を明らかにするための、大規模な研究事業を提案した。昨年、National Institutes of Health(NIH)(国立衛生研究所)はその構想をAll of Usというやさしい名前に変えて、100万名のアメリカ人から匿名の健康情報を得るための登録業務を開始した。

まだ登録数はとても少ないが、しかしこのお役所は今年、プロジェクトのピッチをさらに上げて、Fitbitのフィットネスデバイスを10000個買って参加者に配布することにした。Fitbitは、このプロジェクトのためにNIHから認定された初めてのウェアラブルメーカーで、二つのメジャーなOSに対応していることと、一回の充電で数日使えることがその理由だ。つまりこの研究事業のメニューに含まれている、フィットネスや睡眠追跡の目的によく合っている。

参加者はFitbitの二つの人気製品、Charge 2Alta HRから、どちらかを選ぶ。発表に先駆けてFitbitの健康事業ゼネラルマネージャーAdam Pellegriniはこう語った: “この研究事業には、睡眠や心拍、運動など、個人のライフスタイル情報がとても重要なんだ。うちの器具なら、エネルギーレベルや睡眠、歩行などに関するリアルな標本データを提供できる。しかも、ふつうの日常生活をしている状態でね”。

この、日常性ということが、とても重要だ。つまりこの研究事業は、医療機関の外での、健康への影響要因を知ることが目的だからだ。フィットネスデバイスによるデータ収集は、期間を1年と予定しているが、そのデータによりウェアラブルの使われ方なども分かるだろう。

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ロシアがFacebookに出稿したフェイク広告の一部を下院の委員会が公表、その画像もある

どれだけの量のロシアによるコンテンツがソーシャルネットワーク上に流通したのか、今テクノロジー企業はそれを探り当てようと焦っているが、正確な計量は不可能だろう。しかしここにご紹介する議会資料は、アメリカ社会に怒りと分断をもたらそうとした、外国勢力によるFacebook上の広告操作の、実態の一端を見せてくれる。

今日(米国時間11/1)下院の諜報委員会が、ロシア政府とつながりのある団体等が出稿したFacebookとInstagram上の政治広告の事例集を公開した。これらの広告はすべて、アメリカ社会の分断を教唆しており、政治的な個人攻撃臭のあるものも少なくない。同委員会は先月、Facebookが提供した3000件の広告をすべて公開すると匂わせたが、今回はロシア政府筋の出稿と思われる、人物ではなく政治的案件に関わる広告のサンプル25件にとどまった。読者がPDFを扱わずにすむために、本誌はそれらをここにまとめた。

下表でお分かりのように、あらゆるものが攻撃にさらされている。それらロシアからの広告は、極右と極左の両方、黒人人権活動家やムスリム、キリスト教徒、LGBTQの人びと、銃の保有者、そしてIvanka Trumpのジュエリー製品まで標的にしている。

ご存知のとおり広告費は、その広告が生成したインプレッション数とクリック数にほぼ比例するが、これらの広告の中には、それが1000ドルを超えたものも少なくない。もちろん、‘すべて’ではないが。

それらの‘成功広告’がどれか、それも分かっているが、ここでは広告の代表的な例だけでなく、それらのコストとターゲット層、そしてその成績を表にまとめた。これのWebバージョンとして、読者がソートできる表もあり、そこにはそれらの広告の画像へのリンクもある。お楽しみを!

〔ここに表が表示されない場合は、Webバージョンをご覧ください。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebookの“広告透明性機能”は来月発効、政治広告出稿者の説明責任を重視

ロシアが昨年の大統領選に影響を及ぼすべく、Facebookの広告を使った、という懸念に応えて同社は、広告の透明性を増進して、広告の出元を誰が見ても分かるようにする、と発表した。

今日(米国時間10/27)同社はその計画の具体的な詳細を明らかにし、その新しい透明性機能は来月から動き出す、と述べた。それ以後はFacebook Pageに“View Ads”(広告を見る)というボタンが登場し、それをクリックすると今Page上にあるすべての広告が一覧される(下図)。

Facebookによると、近くそのテストをカナダで開始する。アメリカの場合は、国の選挙に関する広告のアーカイブも含まれ、それは向こう4年ごとに更新される。また広告費の累計と平均、各広告が受け取ったインプレッション数、広告のターゲットの層特性、などの情報も開示される。

さらに、政治広告は出稿者の身元確認、住所、選挙関連であることの明記、などを必要とする。またそれらの広告には、“paid by”(誰が広告費を出しているか)のリンクがあって、その詳細情報を見れる。また機械学習のツールを使って、身元を明かしていない政治広告の出稿者を見つける。

これらの機能が、多くのFacebookユーザーの利益になるだろうか? それはないと思うが、でも広告担当のVP Rob Goldmanはこう言っている: “透明性はみんなを助ける。とくに政治の監視グループや記者などの役に立つ。広告主たちに説明責任を持たせることによって、どこの誰が何のためにこんな主張を(広告で)しているのか、分かるようになる”。

この同じ時期に議会は、ネット広告に対する規制を超党派で法制化しようとしている。そして少し前にはTwitterが、これと同じような透明性対策を発表した。

Facebook View Ads

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Apple、Salesforce、PayPalが、ウェディングケーキ裁判でLGBT支持を表明

少数のIT企業が、同性カップルにウェディングケーキを作ることを拒否したコロラド州の菓子店を巡る裁判で法廷助言者として登録した。TechCrunchが確認したところによると参加したのはApple、Yelp、PayPal、Salesforce、およびAffirmの各社。準備書面は人権団体のHuman Rights Campaign(HRC)が回覧しており来週までにはさらに多くの企業名が発表される見込みだ。趣意書はワシントンDCの法律事務所、Steptoe & Johnsonが起草した。

LGBTQフレンドリーに関わる裁判には通常もっと多くのIT企業が意見表明するものだが、このMasterpiece Cakeshop 対 コロラド人権委員会の訴訟は、とりわけ繊細な社会問題を扱う一触触発のケースであり、憲法修正第1項に守られた信仰上の権利に関わるだけになおさらだ。IT企業が本件に対してやや引き気味である理由がここにある可能性は高いが、左翼傾向のIT企業がトランプ政権下で支持を求められている数多くの社会的大義も原因かもしれない。

今年3月、バージニア州の高校のトランスジェンダーの生徒 Gavin Grimmが教育委員会に対して、彼に男子トイレを使わせなかったのはTitle IX(連邦教育法第9編)に違反していると申仕立てた一件では、54社以上のIT企業が支持に動いた。結局この訴訟は最高裁判所に送られることなく、バージニア州リッチモンドの下級控訴裁判所に差し戻された。

企業が署名する期限について多少の混乱があったようだが、TechCrunchは締切が10月30日月曜日であることを確認した。本誌は主要IT企業にこの意見書への関心について問い合わせているので、情報が入り次第リストを更新する予定。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ハッカー攻撃されるリスクが特別高い人たちにGoogleが“最強のセキュリティ”を提供

【抄訳】
Googleが今日(米国時間10/17)、Gmail, Drive, YouTubeなどなどGoogleのアカウントが、尋常でない、きわめて高い攻撃のリスクにさらされている、と信じているユーザーのための、無料でオプトイン(非強制)のプログラムを立ち上げた。

そのAdvanced Protection(高度な保護)と呼ばれるプログラムは現在のところ、三つの主要成分がある:

  1. ハードウェアのセキュリティキー〔U2F〕が生成するトークンを用いる2FA(二要素認証)によりGmailとGoogleのアカウント保有者をフィッシング攻撃から守る。
  2. GmailとDriveへのアクセスをGoogleのアプリ/アプリケーションのみに限定して悪質なアプリケーションによるデータの窃盗を防ぐ。
  3. アカウントのリカバリ処理を複雑にして、なりすましがGmailのアカウントにアクセスすることを防ぐ。

要するにこれは、便利さを犠牲にしてセキュリティを高める措置だ。万人向きではない、とGoogleも言ってるように、たとえば一部のセレブとか、とにかくハッキングされる高いリスクがある、ないし、あると思っている、少数の人びとのためのサービスだ。

Googleが挙げている例は、選挙戦のスタッフや、やばい情報を扱っているジャーナリスト、環境や人権などの活動家、“ネットいじめネットセクハラ”に遭ってる人たち、などだ。この前の大統領選で現にあったように、選挙参謀のメールはハックされやすい。

昨年は民主党の選挙参謀John Podestaのメールがハックされて、メールアカウントの危険性にスポットライトが当たった。メールの内容が世間に公開されたために、選挙戦にかなりの影響を与えただろう。そして今年はフランスの大統領選で現大統領Emmanuel Macronのスタッフのメールアカウントがハックされた。メールがリークされたのは投票日の前夜だった。

【中略】

このプログラムはGoogleのアカウントのある人なら誰でも登録できるが、当面はChromeブラウザーを使う必要がある。Googleによると、ChromeはハードウェアセキュリティキーのスタンダードU2Fをサポートしているからだ。ただし、“ほかのブラウザーもこのスタンダードをなるべく早くサポートしてほしい”、ということだ。

【中略】

Advanced Protectionの登録申し込みはここで受け付けている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

水は身近すぎて忘れられている問題、研究者たちは将来に備えてネット上の情報共有化を提案

蛇口から出る水は、どこから来ているのだろう? どのようにろ過され、浄化されているのだろう? 1ガロン(約4リットル)の水を利用者に送るために要する市や州の費用はどれぐらいだろう? それはもっと安くできないのか? きれいな水がますます貴重な資源になってくるにつれて、あれやこれやの疑問が自然に湧いてくる。それらの疑問に答えるためには、オープンに共有される‘水のインターネット’(internet of water, IoW)が必要だ、デューク大学とアスペン研究所(Aspen Institute)の研究者たちはそう考えている

干ばつや洪水のような自然災害や、過密都市や工場廃液のような人災、これらの被害者である水系は酷使され無理解にさらされている。各地の行政や公共事業体は、水の使用に関するデータを大量に作っているが、国レベルのデータベースはほとんどなく、国や世界の標準に合ったオープンなデータベースとなると、なおさらない。

“人間と水に関しては、データは多いけど情報は乏しい”、デュークのニコラス研究所のMartin Doyleが説明する。“水のデータがオープンに共有され、みんながよく使うデジタルのプラットホーム〔Google検索など?〕に統合されたら、一般市民が地元の水質を測れるようになり、行政は水に起因する健康危機を早めに警報できるようになるなど、水をめぐる社会状況が一変するだろう”。

それは、ミネアポリスの水道局の人がフェニックスの1ガロンあたりの水道料金を知りたい、というレベルの問題ではない。むしろそれは、有意義なビッグデータがみすみす捨てられていた、という問題だ。視野を広げればより多くのデータが得られ、システムの一部を最適化するための意思決定の質も向上する。マクロとミクロの両方のレベルで。

しかしデータの収集と分析にはお金がかかり、国レベルの情報共有システムともなるとさらにお金が要る。そこで研究者たちの結論は、それをすることのメリットを分かりやすい言葉で説得していくことだ。結局のところ、お金の余裕のない州当局が、既存の実際に役に立っているサービスではなく新奇なデータプロジェクトに数百万ドルを投じるとしたら、そこまでする動機やメリットはなんだろうか?

研究者たちは、水と水のデータが極端に軽視されている、と断言する。カリフォルニアで最近の大規模な干ばつのとき行われたような、既存のデータ収集努力を検分することによって、オープンなデータにアクセスできることの具体的な利点を示せるのではないか、とも期待している。

それでも、こんな状況は、きれいな水の入手にはまったく問題がなく簡単でやさしい、ということを意味しているのではない。水不足や季節変動は、自然資源が今後さらに枯渇し、人口が増加するに伴って、ますます深刻になる。

“有限な水資源に対して需要は成長している。適正なトレードオフを見つけるためには、オープンで誰もがアクセスできるデータが必要だ”、カリフォルニア州水管理委員会のGreg Gearheartはそう語った。

デュークのチームが好んでそう呼ぶ“水のインターネット”は、すべての自治体からの、水に関するあらゆる種類のデータが集まるクリアリングハウスだ。関心を持つ一般市民や、行政府のデータサイエンティスト、それにアプリケーションのデベロッパーなど、誰もがそれにアクセスできる。

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2015年にロシアの諜報機関がNSAを侵害してサイバーセキュリティの戦略を盗んだらしい

NSA(National Security Agency,国家安全保障局)は2015年に深刻な侵害を蒙り、サイバー戦争に関する同局の戦略を外部に露出した。それには、防御の方法とともに、外国のネットワークを攻撃する方法も含まれていた。Wall Street Journalが今日(米国時間10/5)、そう報じている。その攻撃の背後にはロシアの諜報機関がいて、ロシアのKaspersky Labsのソフトウェアが道具として使われた、とされている。

しかもなんと、問題のデータはNSAの契約職員が自宅に持ち帰っていたと言われ、その人物がなぜか、彼らが使うKasperskyのウィルス防御ソフトウェアによって危機に陥った。その具体的な過程の説明はないが、推測では、同局のサーバー上の疑わしいファイル(マルウェアの実行ファイルなど)を彼がダウンロードし保存する行為に関連していたようだ。本誌は今、K社に詳しい情報を求めている。

Kaspersky Labsは今年非難の砲火を浴び、その背景では、数えきれないほど多くのサイバーセキュリティ関連事件と、噂される現政権との関係により、アメリカの国政に対するロシアの妨害が懸念されていた。つい先月は、同社のソフトウェアの使用が、行政府と議会の各部で禁じられた。Kasperskyは、“いかなる政府とも不当な関係はない”と言って嫌疑を否定し、申し立てには根拠がない、と主張した。

方法についてはよく分からないが、侵害があったことはほぼ確実である。WSJによると、侵害が深刻だったからこそコードネームまで付けられ、同局の上部からの訓戒もあったのだ。盗まれた資料にはNSAのオペレーションの詳細だけでなく、攻撃や防御に使われる実際のコードまであったと言われる。

侵害は公表されず、2015年に起きたものが2016年の春にやっと発見された。そのためロシアの諜報機関は選挙の年に楽に仕事を開始し、その年が深刻なサイバーセキュリティ事件に侵されることが、確実となったのだ。

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米上院、ロシア製セキュリティーソフト、カスペルスキーの政府内利用禁止を可決

先週、米国国土安全保障省が発行した、Kaspersky Labのセキュリティー・ソフトウェアの行政機関での利用を禁止する命令を受け、上院もこれを支持した。月曜日(米国時間9/18)上院は、ニューハンプシャー州選出民主党議員 Jeanne Shaheenが提出したKaspersky Lab排除の修正法案を通過させた。

修正法案は、木曜日(9/14)の発声投票を経て、国防授権法(NDAA)に付加された。上院軍事委員会のメンバーでもあるShaheenは、今月New York Timesに論説記事を書き、Kasperskyの排除を主張していた。

「わが国の安全に対する深刻な脆弱性を取り除く私の修正法案を、上院が超党派的に支持したことを非常にうれしく思う」と、法案通過を伝えるプレスリリースでShaheenが語った。「連邦政府の全コンピューターからKaspersky Labのソフトウェアを除去するという私の訴えを聞き入れてくれたトランプ政権に拍手を送りたい」

「この禁止令が法律の一部となり、連邦政府全体に拡大することが重要だ。私の修正法案はそのためにある。この法案が、党派を超え二院一体となった支持を得てることから、近く法制化することに私は楽観的だ」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook