機械学習を利用して肺がんの兆候を早期発見する技術でKaggleが賞金100万ドルのコンペを主催

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データサイエンスのコンペを毎年主催してほぼ10年になるスタートアップKaggleが、今度の賞金総額100万ドルのコンペでは、肺の中の癌になりそうな病変組織を見分ける今よりも良い方法を募る。この2017 Data Science Bowlと名付けられたコンペの資金提供者はLaura and John Arnold FoundationとBooz Allen Hamiltonだ。

目標を限定したコンペで高額賞金、というケースは、今回が初めてではない。昨年の同コンペでは心臓病の兆候を見つけるデータ分析技術に20万ドルの賞金が提供された。さらにその前年は、海の健康診断、という課題だった。

でもこれまでで最高額の賞金は、今年の100万ドルだ。優勝者が50万ドル、2位、3位、4位がそれぞれ20万、10万、2万5000ドルとなる。〔4位は複数か?〕

Kaggleは2010年にAnthony GoldbloomとBen Hamnerが創設した。これまですでにKhosla Ventures, Index VenturesなどからシリーズAで1100万ドルを調達している。

Goldbloomは本誌に、“うちは、データサイエンスのホームのような企業でありたい”、と語った。

同社の収益源は、このサイトでコンペを行う企業や財団などからの出資金の一部だ。また80万名近い会員のための求職求人掲示板からの収益もある。

2017 Data Science Bowlがローンチしたのは今朝(米国時間1/12)だが、すでに300のチームからの提出物がある。Goldbloomによるとこれらの提出物の多くは、提出の早さを競って自慢するためだ、という。しかし2017年4月12日の締め切りまでに、一日平均5件の提出がある、という予想だ。

参加チームは、国立癌研究所(National Cancer Institute)が提供する肺のスキャン画像を使って自分たちのモデルを作る。目標は、今のソリューションが不適切である最大の理由、すなわち高い偽陽性率を、大幅に減らすことだ。

GoogleのDeepMindMicrosoftには、どちらにも、目のスキャン画像を分析して今後失明になりそうな兆候を見つける機械学習モデルとそのためのリソースがある。

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スマートウォッチが毎日勝手に健康診断をしてくれる…病気の早期発見のための強力なツールだ

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自分の健康を気にして、さまざまな不具合の兆候に気をつけている人は多いが、そんな人たちの中にも、心拍や体温など測定できる項目を毎日チェックしている人はあまりいない。これまで、そんな人が一人もいなかったとしても、これからはスマートウォッチが毎日、勝手に測定してくれるだろう。

スタンフォード大学のMichael Snyderの研究チームが最近発表した、長期的な実験の結果によると、スマートウォッチは確かに、疾病の診断や監視の役に立つ。

この2年がかりの実験には43名の人が参加して、その間さまざまな測度を決まった時間に測り、そしてそれらの結果と、旅行、睡眠障害、病気など、現実世界の事象との相関関係を調べた。彼らが発見したことを一般化して言うと、スマートウォッチは全般的な健康をチェックし監視するツールとして、とても役に立つ、ということだ。ただしもちろんそのためには、ユーザーである人間の正しい知識や、デバイスの正しい扱い方が重要だ。

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研究論文の図表は、いろんなデバイス(図左端)でいろんな活動を調べたことを示している。

たとえば空の旅では、血中酸素が少なくなって疲れる人が多い。また、ライム病の発症もチェックでき、2型糖尿病の診断に役立つインスリン感受性も生理的測定から分かる。

病気の兆候は自分で分かることもあるが、でもスマートウォッチがやるような検査項目の定期的な測定が加われば、兆候の発見が発症の数時間〜数日前にできるようになる。本格的な診断ではないけれども、いろんな値が基準値を外れていたら、睡眠を多くとるとか、風邪の予防に努めるなど、した方が良いかもしれない。チームは今、測定アルゴリズムの精度を上げる努力をしている。

PLOS Biologyに発表された彼らの研究論文には、こんな記述が: “全体として、これらの結果は、ポータブルなバイオセンサーが個人の活動や生理状態の監視に役立つ情報を提供できることを、示している。今後それらは健康管理に重要な役割を演じ、低所得層や僻地の人びとでも低費用でヘルスケアにアクセスできるようになるだろう”。

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SyncThink、スポーツ現場などでの脳震盪判定にOculus Riftを活用

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ここ十年ほど、激しいコンタクトスポーツの最中に発生する脳震盪に対して注目が集まっている。脳に繰り返し衝撃を受けることにより、長期に及ぶ影響が発生することが明らかになってきたからだ。

そうした中、スポーツの現場で役立つソリューションを生み出したいと誕生したのがSyncThinkだ。設立したのはStanford Concussion and Brain Performance CenterのDr. Jamshid Ghajarだ。VRを使って脳震盪の診断をスピーディーかつ正確に行うソリューションを提供する。

開発したシステムはEYE-SYNCと呼ばれるもので、非常にコンパクトでどこにでも持ち運べるようにもなっている。現在の脳震盪チェックでは、プレイヤーが試合にとどまることができるように、周りの選手たちが「助ける」ような行動をすることもある。SyncThinkではヘッドセットを使って外部環境から切り離したテストを行うことで、プレイヤーの状態をより正確に判定できるようになっているのだ。

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システムで利用したのはDK2 Oculus Riftで、これにアイトラッキング・センサーを加えて、脳に受けた衝撃が脳震盪を引き起こしているかどうかを素早く判定できるようになっているのだ。

このシステムは既にスタンフォード大学のスポーツ授業の現場などで利用されている。試合が行われるフィールド上での利用をまず第一に考えているわけだが、コンパクトさゆえに軍隊などでの活用可能性もあるはずだと考えているそうだ。

そしてこのたび、ボストンに拠点をおいているSyncThinkは、インディアナ大学が脳震盪の研究にEYE-SYNCを用いることになったと発表した。

「脳震盪はさまざまな兆候から経験的な判断も加えて判定していました。ここに科学分析的なシステムを加えることで、より正確な判定ができるようになると思うのです」と、インディアナ大学で運動生理学のAssistant Professorを務めるKawata Keisuke氏は述べている。「脳に受けた障害の程度を迅速に判定する仕組みを確立し、兵士やアスリートたちが最高のパフォーマンスを安全に発揮できるようにしていくのが私の務めなのです」とのことだ。

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(翻訳:Maeda, H

One Dropのスマート(電脳)グルコースモニタリングハードウェアをFDAが承認、ついに発売へ

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この夏One Dropは、その糖尿病管理アプリのために、シリーズAで800万ドルを調達した。そのときの同社によれば、資金の一部は同社のモバイル健康ソフトウェア専用のハードウェアの開発に充てられる、ということだった。

そしてできたChromeは、グルコースモニタリングシステムで、しかしそれにしてはシンプルですっきりしたデザインだ。4つのもので構成され、それらは、標準的な試薬紙片とランシング・デバイス、ランセット、そしてBluetoothで接続されるメーターだ。アメリカではすでにFDAが承認済み、そしてヨーロッパではCEマークをもらっている(本稿執筆時点、同社による)。

そこで今月中には、One Dropのサイトで発売される。アメリカではApple Storeでも。Appleはここ数年、健康づいているから、お似合いの独占代理店だ。

Chromeの月額制会員サービスの会員になると、試薬紙片はいくらでも無料、そして公認の糖尿病教育者が24/7でモバイルアプリからの相談を聞いてくれる。無料バージョンでは、グルコースや医療関係のデータにアクセスしたり、他のアプリからのフィットネス情報を取り入れたりする。

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糖尿病患者の健康状態を常時チェックして警報をスマホに送るSiren Careの“スマートソックス”

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糖尿病の健康チェックサービスSiren Careが、糖尿病患者が温度センサーで炎症や傷害を、リアルタイムで検出する、スマートソックス(靴下)を作った。

協同ファウンダーのRan Maは、ノースウェスタン大学にいるときに傷めた背中の皮膚を回復するため、バイオマスを育てていたとき、糖尿病患者の足の処置について勉強を始め、怪我を調べたり防ぐためにウェアラブルを作ることを思いついた。

糖尿病患者はタイプ1の人も2の人も足に問題を抱えることが多く、とくに、足がむくみがちである。それは放置すると、感染症や足の切断手術など深刻な事態になることもある。重大な合併症を防ぐためには早期発見がきわめて重要であり、そこでMaと彼女に協力する協同ファウンダーVeronica Tranは、衣服などへのセンサーの内蔵が鍵だ、と考えた。

しかし糖尿病患者の足の傷害を見つけるウェアラブルは、Sirenのソックスが初めてではない。SurroSense Rxは糖尿病患者のための靴の中敷きで、Tillges TechnologiesのPressureGuardianは、問題を検出するよう設計されたブーツだ。

でもブーツは扱いが面倒だが、Sirenのソックスは靴の中敷きよりも皮膚によく密着する。センサーはソックスの生地に織り込まれていて、炎症があるとそれを検出する。その情報はユーザーのスマートフォンにアップロードされ、問題を警報する。

ソックスが異常な高熱を検出すると、そのデータはソックスとアプリとクラウドに保存される。それは足に傷害があるというサインなので、足を調べろという警報がユーザーに送られる。

“靴紐と同じぐらい、単純でふだんは気にならない存在だけど、傷害があればそれを知らせてくれる”、とMaは語る。

ウェアラブルだけど、ソックスを充電する必要はない。最初から電池内蔵で、それは6か月もつ。またその電気が消費されるのは、実際にそれを履いているときだけだ。寝るときなどに脱げば、ソックスも寝てしまう。洗濯機で洗えるし、丈夫だから少なくとも6か月は使える。

Maは曰く、“わが社のSmart Textile(電脳織物)技術は、さまざまなセンサーや電子回路を織り込める。湿度センサー、圧力センサー、光センサー、LED、RFID、MCU、BLEなどなど、何でもシームレスに布地と一体化する”。糖尿病患者のための炎症検出ソックスは、同社のこんな大きな技術の、ひとつの利用例だ。夢はもっと大きい。

炎症や傷害の検出だけでも、ほかにさまざまな体の部位があるから、製品開発の幅は広い。

Sirenは500 startupsのバッチ18から巣立ち、ソックスは来春発売する。予約は、ここで受け付けている。週の各曜日用、という考え方で、7足がワンセットだ。

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人工肉スタートアップのMemphis Meatsは感謝祭のターキーも人工肉にしたいと願う

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Memphis Meatsは、今年の初めに人工肉のミートボールでスタートアップ世界の話題になった。今度同社は、ほかの肉にも挑戦しようとしている—たとえばターキー(turkey, 七面鳥)だ。

同社はこのほどIndiegogoのクラウドファンディングキャンペーンを立ち上げ、未来の肉の姿とその味を一般大衆に教育することによって、毎年の感謝祭に屠殺される5000万羽近くの鳥たちの一部を救おうとしている。

私はIndiegogoのキャンペーンを記事にすることに、それほど熱心な方ではないが、同社の場合は、目的はターキーなどの肉を作るための資金を得ることではなく、啓蒙のためだ、という。資金に関してはMemphis Meatsはすでに、採取した動物の細胞をペトリ皿の中で培養するために、300万ドルのシード資金を獲得している。

動物をめぐる産業複合体は、この惑星と人類にとって非常に有害だ、とMemphis Meatsは言う。一個のハンバーガーを作るために660ガロンの水を消費し、そしてCDC(疫病管理センター)によれば、生肉は食品が媒介する疾病を起こす細菌の、主要な発生源である。そこで同社は、動物の細胞を培養して生物学的に同一の肉を作り、本物の肉だけど残酷さとは無縁で地球環境にフレンドリーな、食肉を提供しようとしている。

Memphis Meatsによれば、その“クリーンミート”が、スーパーの棚に並ぶようになるのは、5年後だそうだ。

Memphis Meatsには、その5年間にやることが、たくさんある。菜食主義者の友人たちに、人工肉を食べたいか聞いてみると、分からない、とか、気持ち悪いという人が多い。でもMemphis Meatsのような、培養によって作った動物製品は、菜食ではなく肉をふつうに食べたいけど、健康や環境上の理由から今は食べていない、という人たちには、理想的かもしれない。

しかしながら同社は、多くの消費者がその気になるためにはかなりの準備期間が必要だ、と認めている。同社は啓蒙活動の一環として、支援者からの寄付を募っており、その一口は3ドルから1000ドルまでだ。3ドル寄付すると–それはふつうのファストフードのバーガーの値段だが–、その人はMemphis Meatsから“チャンピオン”(champion, 主義主張の擁護者)の称号をもらえる。金額に応じて、ロゴ入りのステッカーや水筒、フーディー (hoodie, フード付きトレーナー)なども、もらう。1000ドルの人は、すべての賞品をもらって、Webサイトに名前が載る。

現在までに集まった寄付金は、700名近くの支援者から計52000ドル近い。これもまた、同社がベイエリアのラボで作っているターキーなどの人工肉の、将来的な市場化を支援する。

感謝祭に多くの人たちが人工肉のターキーを買うようになるのは、まだ遠い未来の話だと思うが、でも、もしかして、それほど遠くないかもしれない。

同社のスポークスパーソンはこう語る: “最初は挽肉状の人工肉を開発するが、成型肉も計画している。チキンブレストや、ステーキ、そしてまるまる一羽のターキー(“七面鳥の丸焼き”用)も、需要があれば作るだろう”。

同社からもらったビデオでは、グリルの上でビーフのようなものを焼いている。これの次がターキーか? では、あなたが生まれて初めて見る、Memphis Meats製のビーフ・ ファヒータ(fajita)をご覧いただこう:

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ゲノム配列を読んで、しかも謝礼が貰える遺伝解析スタートアップGenos

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最初のヒトゲノム配列の決定には、驚異の27億ドルがかかった。しかも、遺伝子疾患に関してそれが飛躍的な進展につながる兆しもなかった。幸いに、それ以来ゲノム配列決定のコストは劇的に低下し、新しいタイプの消費者向けの遺伝子解析スタートアップが登場し、個人のDNA二重鎖配列を詳細に決定する業務を請け負うようになる。

Genosはそのようなスタートアップの一つで、次世代シークエンシング技術を使い、個人の遺伝情報の詳細を明らかにし、クラウドソーシングによって集めた遺伝マップを研究者に提供することにより遺伝子疾患の原因解明に寄与することを目的とする。

同社によれば、近い将来個人の全ゲノム配列を読む計画だが、現在はまずエキソームを読むサービスを開始する予定だ。エキソームとは、ゲノム中でタンパク質に翻訳される領域の全遺伝子のことだ。エキソームは稀な遺伝的変異によって生じる遺伝子疾患の同定に極めて重要だ。

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よって、SNP(いわゆるsnips)形式と比較して、得られる情報量は膨大で、個人の遺伝情報の極めて細かい部分までが取得される。

23andMeは最近、この手の次世代シークエンシングサービスを中止したが、創始者のAnne Wojcickiは先週開催されたWSJD Live conferenceで、その技術を「ホットで、きらびやかなもの」と呼んだ。しかし彼女は「得られる情報のすべてを処理するのは極めて複雑」と言い、同社はその結果に関して曖昧な点を残したくないと考えている、と付け加えた。

次世代シークエンシングを使えば、例えば、あなたがある種の乳がんにかかる危険が僅かにある、といったことが判る。しかし、Wojcickiが指摘した通り、その情報を使ってすることがあるにしても、一体何をする必要があるのか、という点を明確にすることは困難だ。

しかしながら、このレベルの詳細なデータを提供することに取り組む企業は、その気になればたくさん見つかる。Genos同様に、Color GenomicsHelix、Veritasはみんな、この新しくより進歩的な塩基配列決定テクニックに賭けており、この手法を使って有用な情報を掘り出し、我々が病気にかかる可能性についてよりよく理解するための情報を提供しようとしている。

これらの新規の遺伝情報解析のスタートアップはデータ収集とその実装の為に独自のアプローチを採っている。Genosの場合は、参加者それぞれが研究のプロセスを援助することを奨励することで遺伝マップの作成を行っている。同様に、23andMeや他のスタートアップも、ある程度は参加者に任意で質問に答えてもらったりある種の研究への参加の了解を取り付けたりしている。しかし、Genosの場合は、参加者一律に同意書へのサインを要請する代わりに、毎回情報提供の報酬として参加者にインセンティブを与える計画だ。

その方法で経済的にうまく行くのだろうか。その部分に関しては明確ではない。Genosがいくら払うかについては現時点で議論の余地があるが、同社によれば今から数ヶ月後、そのサービスが公式にローンチされる日が近づけば明らかにされる予定だ。対照的に現在、遺伝解析関連企業の多くは任意で得ている情報に対して報酬を支払っていない点は注目に値する。

その間、Genosは前述のサービスのローンチへの動きを加速し、ガン発見の為のプラットホームであるNantOmicsから600万ドルの戦略的投資を調達した。同社の諮問委員の中には以下の著名人が含まれる。George Churchはヒトゲノム計画の始動を助けたゲノム研究のリーダーであり、Alvin E. Rothはノーベル経済学賞受賞者、Mina RadhakrishnanはUberの幹部を務めた後、現在Redpoint VenturesのEIRである。

他のゲノミクスのスタートアップはより多くの資金を集めており、製品の展開においてはずっと先を行っているが、Genosの、謝礼を支払って情報を収集する、というアプローチは興味深いもので、同社はそのための良いチームを擁している。そのアプローチが上手くいくかどうか注視するとしよう。
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(翻訳:Tsubouchi)

Amazon CEO Jeff Bezosがまたバイオテク企業に投資、今度は新しいアンチエージング療法のスタートアップだ

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シリコンバレーでは必ず何年かに一度、不老不死や長寿を喧伝する者が現れる。その前に、そんなに長生きをして一体何をするのかを、考えておいた方がよい、と私は思うのだけど。今度登場したUnity Biotechnologyは、加齢に関連した症状の進行を遅くすることによって長寿を実現する、と主張するスタートアップだ。同社は今日(米国時間10/27)、シリーズBで1億1600万ドルという巨額を調達したことを発表した。投資家の中には、AmazonのJeff Bezosもいる。

体(からだ)が、細胞の老化を遅らせることがある。何かのストレスで、細胞が分裂を停止することがあり、それは、がん細胞の分裂と成長を停止することもあるから、抗癌治療にも利用できる、と考えられている。でもそんな細胞が多すぎると、加齢とともに別の問題が生じる。Unityが追究しているのは、炎症や、加齢と結びついているその他の疾病を起こす古い細胞を、体が積極的に捨てるようにするための方法だ。

Unityの技術には、体の老化を遅らせる可能性があり、科学や医療分野の上位投資家たちの関心を招(よ)んでいる。またバイオテクノロジー分野の非上場企業としては、相当巨額な資金を獲得した少数企業の、仲間入りをしている。

Bezosは、前にもバイオテクに投資している。それは2014年のJuno Therapeuticsだが、そのときは彼のVC Bezos Expeditionsからの投資だった。Junoはがんの免疫療法で画期的な発見をして、バイオテク企業としては数少ないIPO成功企業の一つになった。

バイオテク企業への投資案件の多いスコットランドのミューチュアルファンドBaillie Giffordのほか、Venrock, ARCH Venture Capital, Mayo Clinic, WuXi Pharmaceuticalsなどがこの投資ラウンドに参加した。

同社の発表によると、元KYTHERA BiopharmaceuticalsのCEO Keith Leonardが新たにCEOになり、これまでのCEOで協同ファウンダーのNathaniel “Ned” DavidはUnityの社長になる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Uber、ユーザーにインフルエンザ予防接種5人分を無料提供

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昨年Uberは、オンデマンド健康パック配送サービスのUberHEALTHをスタートし、オプションとしてインフルエンザの予防接種を提供した。2016年も、同じくオンデマンドで「対インフルエンザ」ケアパックを提供するUber for Healthをアプリ内でリクエストすると、近くに住む最大5人までがインフルエンザの予防接種を受けられる。しかも今年は、すべて無料だ。

昨年のプログラムでUberは、インフルエンザ・ケアパックを10ドルで販売し、予防接種を無料オプションとして提供していたが、今年はどちらも無料利用できる。ケアパックと予防接種のリクエストは、Uberアプリ内の “Health” オプションから、10月25日の午前11時から午後3時まで米国の対象17都市で利用できる。

Uberはブログで、インフルエンザの予防接種を受けるのは自分の健康のためだけではない、と指摘している ― 一人が受けることで、他の人がインフルエンザにかかる確率を50~60%減らすことができる。歩き回る感染源が減るからだ。

無料の予防接種はパートナーのPassport Healthを通じて手配された看護師が実施する。昨年このプログラムを利用しなかった唯一の理由は、予防接種は無料でも健康パックが有料だったためだった。今年は全部が無料なので、Uber for Healthが利用できる下記の都市に住む人にとって、利用しない理由は一切ない。

対象となる都市/州:フィラデルフィア(ペンシルベニア州)、ワシントンDC、シラキュース(ニューヨーク州)、ロードアイランド州、ボストン(マサチューセッツ州)、コネチカット州、ポートランド(メイン州)、デラウェア州、ニューハンプシャー州、ヒューストン(テキサス州)、タラハシー(フロリダ州)、ジャクソンビル(フロリダ州)、バーミングハム(アラバマ州)、シカゴ(イリノイ州)、コロンバス(オハイオ州)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

起業家円卓会議(ERA)デモデーにおける12社のプレゼンテーション

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ご存知ない方へ。Entrepreneur Roundtable Accelerator(起業家円卓会議アクセラレーター)は、他のアクセラレーターと同様に、参加するスタートアップ企業を投資候補者へ紹介するプログラムである。

プログラムはまた、スタートアップがマーケットに参加することを助けてくれる、業界に関連したメンターとのペアリングも行う。今年は、12スタートアップのうちの11社が、ERAから40000ドルのシード投資を受けた

このプログラムの有名な卒業生の1つはPublic Stuffだ。苦情管理で顧客をアシストするソフトウェア企業である ‐ 現在はブルジュ・ハリファのビル管理における苦情管理を支援している。

今年のスタートアップは、あらゆる場所からのB2B市場への対応、サイバーセキュリティプラットフォーム、そしてネット接続された犬小屋までをカバーする幅広いものだった。以下に、各企業についての概要をまとめよう。

Caylent

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ソフトウェア開発者が、クラウドを通じてコンテナの構築、ロールアウト、そして管理をできるようにデザインされたDevOpsプラットフォーム。Caylentは、企業のプログラマーたちの新しいプログラムとプロジェクトの構築と保守を簡単にして、本質的に1つの強い組織を作り上げる手助けをする。

Caylentのパイプラインは、アプリケーションのテスト、構築、そしてデプロイを含んでいて、サーバー管理にもおよぶ。Dockerとコンテナテクノロジーで提携し、新しいコードのデプロイ、監視、そして自動テストを可能にしている ‐ これによって企業のプログラマーをDevOpsマシーンへと変身させる。

プレゼンテーションの中では、このフィールドに関する同社の向かう方向への将来性へのアピールに加えて、MicrosoftがCaylentのクラウドインフラストラクチャに投資していることも言及された。

ClearChat

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安全な通信のための企業向けサイバーセキュリティプラットフォーム。私たちも以前取り上げたことがある。今も増大し続ける、金融、健康、法務、政府などに適した、セキュアなチームのコミュニケーションとファイル共有の必要性に応えることを狙っている ‐ もちろんTechCrunchのような出版にも。

ClearChat は、本質的にSlackの補完を狙っている。隔週とも言えるペースで主要なコミュニケーションプラットフォームが破られていて 、個人情報が危険にさらされている。ClearChatは、やりとりしているものの内容に関してプライバシーと安全を守る、チームのためのよりよいプラットフォームを提供しつつ、こうした危険な現状を終わらせたと願っている。

CoLoadX

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古臭い慣習が支配する国際海上貨物業界を狙っているB2Bマーケットプレイス。CoLoadXは海上貨物の船積みの近代化を行おうとしているが、輸送費の節約だけではなく、大規模な船積みにも対応できる標準的な方式の地位になることを狙っている。

現在、彼らの最初の顧客たちはニューヨークからドバイまでの範囲で運行を行っている、このように彼らは既にいくつかの海と大洋をカバーしている。

Fauad Shariff、Petere Miner、そしてSalima Fassellの3人組に率いられた同社は、輸送コンテナ業界に新しい方式を持ち込むことに断固たる決意で臨んでいる。単に最もコストが安い提案を顧客のために見つけるだけでなく、それをインターネットを介して行うのだ – これは大部分をFAXと電話に頼っている業界にとって、新鮮な手段なのだ。彼らがこのジレンマに対して正しいアプローチをしていると考えてくれる顧客が、どの位いるのかがこの先注目される点だ。

Dog Parker

dog-parker-2-190x80彼らは今年のDisrupt NYの参加者である。これが要約だ:安全で、分刻みの温度管理がされた犬小屋。よく分からない説明である。

Dog Parkerの目標は、店舗がその敷地内に安全な犬小屋を設置できるようにすること、具体的にはDog Parkerの犬小屋を置いてもらうということだ。ビジネス上の観点は、通常は衛生上の規制から、こうした施設がなければ来店することのできない犬の飼い主を、小売店が引きつけられるようにすること。そうして業界を問わずビジネスの推進が行われるようにすることである。

一方、商品としての本当のアイデアは、犬の所有者が健康と安全に関してDog Parkerを信頼できるようにすることで、安全で、抗菌で、温度管理のされた鍵のかかる犬小屋は事前にアプリを通して予約をすることが可能で、どの位置にあるかもアプリを通して知ることができる。

問題は、私のジャーマン・シェパードのどの1匹もその中に収まろうとしないことだ。

Felix Gray

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David RogerとChris Benedictによって創業されたFelix Grayは、目の健康を意識している21世紀のスタートアップだ。大人のミレニアル世代と現代の子供たちの両方を相手にしている。眼精疲労の原因になるブルーライトやスクリーンの反射から目を保護することを目的としたメガネを売っている(この技術はGunnar Optiksに酷似している)。これによってドライアイの、究極には不眠の原因になるという眼精疲労を予防するのである。

結局のところ、いまや誰もが何時間も画面を見つめている。何時間もの間画面を見続ける私たちの眼精疲労を軽減するための手頃なソリューションを提供したいというのがFelix Grayの主張である。Felix Grayのメガネはブルーライトフィルター付きで95ドル、なしで75ドルである。

問題は、これは光学的なアプローチではなく、ハードウェアの改良によって解決されると思われる問題に対する一時的な解だということだ。

FROTH

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Catie Cole、Dae Lim、そしてHarry Leeによって創業された First Round on the House(FROTH)はアルコール飲料ブランドのためにデザインされたニューヨークのマーケティングプラットフォームだ。

その目的は、iOSアプリを介して、消費者に飲料ブランドのマーケティング効果を届けることだ。もしAbsolutウォッカが気になっているが、飲むことがなかった場合、Absoluteはあなたに彼らのウォッカを飲む気にさせる。

ブランドは、アプリを利用して飲み手のために特定の場所(バー)を指定する。飲み手(ユーザー)は自分の手元でアプリを使い、気分に合った飲み物を指定する。ユーザーの選んだ場所で飲料ブランドはこのコネクションを使って、ユーザーをターゲットにして飲み物の選択肢を提供することが出来る ‐ その店でのテイスティング(味見)の一環としてだ。皆がタダ酒を好きなこと、そして無料で試飲させてくれるブランドには更に向かいやすいことにに気がつくのにそれほど長い時間はいらない。そして、結局それらが飲み手の好む飲料になっていくことにも。

Bullet BourbonとKetel One VodkaがFROTHの新しい2つのパートナーである、今年の後半にはノンアルコールのブランドの参加も計画されている。

inkHunter

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InkHunterはモバイルアプリ全般を改善することを狙ったARプラットフォームである、ARはモバイルでは遅く、一貫性がないと思われてることがその開発の動機だ。

Oleksandra RohachoveとPavlo Razumovskyiによって創業されたinkHunterは、ARを使って自分の体の上のタトゥーをプレビューすることを可能にする – これは、彼らの提供するマークベースのARテクノロジーの1応用例である。身体の上でタトゥーを入れたい場所にスマイルマークを描くことで、inkHunterアプリはその落書きを認識しタトゥーに変換してARを使い画面上に表示する。

これまでのところ、inkHunterはApp Storeで250万回以上ダウンロードされている。彼らはプレゼンテーションで、タトゥーを超えて、彼らのAR技術をeコマースや、健康産業、そしてゲーム会社で利用してもらうことが彼らの希望だと述べた。

Karate Health

karate-health-190x80Arif SorathiaとBrett Adelmanによって創業された、データサイエンス主導のスタートアップである。狼瘡などの、慢性で自己免疫疾患の患者を対象にしている。

Karate Healthは、ピアリレーションシップ、薬や副作用の追跡、そして教育素材を組み合わせたアプリだ。ユーザーは自分の処方薬、経験した症状、そして幾つかの必要な個人情報(年齢や性別など)を入力する。患者たちに自分自身の状態について学んでもらうことがKarate Healthの最終目標であり、一方ヘルスケアプロバイダーに彼らの患者の状態や症状について知るためのよりコスト効率の高い手段も提供し、研究と治療を改善する。

成功の可能性という点では、Karate Healthはそのプレゼンテーションの中で、現在1500人以上の狼瘡患者を支援しており、程なくその専門分野を関節リウマチ(RA)患者を支援にも広げると述べた。

Koa

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Mark Hartmanによって創業されたKoaは、住宅ローンの買い手と売り手のためのソフトウェアプラットフォームである。エンドツーエンドの取引及びローン管理を行うこのシステムは、2008年の金融危機からずっとアップデートされて来なかった業界の、近代化を目指している。

Koaの現在および将来の顧客は、彼らのローン投資に対する管理、分析、執行を、コンピューター上のオンラインコントロールパネルを使用して行う。有効性に対するKoaの主張は、Koaのそのまま使えるソフトウェア実装によってユーザーはコストを減らし、利益を増やす便益を受けることができるというものだ。一見ものすごくエキサイティングなものではないが、潜在的な顧客の増加に伴い、Koaの究極のビジョンは顧客同士の取引を可能にするものとなる – おそらくそれは有用なものであろう。

Pairprep

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Pairprep:教育プラットフォームのスタートアップ。Sean Lanningによって創業され、AIを活用する企業だ。写真を撮るか、PDFをアップロードすることで、教師(または親)が課題を作成することができ、それらを彼らの生徒たちのための個別の必要性に応じて調整することができる。

より良くより豊かな課題を作成し、究極的には主要な教科書出版社と競うことを可能にするために、複数の教師(または親)がコラボレーションするためのツールが用意されている。Pairprepの主張は、50000人の代数教師のチームは、PearsonやMcGraw-Hillといった大出版社の専門家たちよりも、生徒のためのよりよい課題を生み出すことができるというものである。

35万8000人のユーザーを擁するPairPrepは、業界を根底から覆すだけの強みと知識を(その協力する教師たちが)持っていると考えている。当初、ソフトウェアの基本機能に対しての教師からの支払いは発生しない、プレミアム機能(生徒のための個別支援機能など)に対して支払いを行ってくれる学校を獲得するのが彼らの目標である。

SensorKit

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Houtan FanisalekとKenneth Krugerによって設立されたSensorKitは、アクティビティやジェスチャー認識を行うプラットフォームである。彼らが主張するのは、機械学習を使ってApple WatchやMoto 360 smartwatchesのようなウェアラブルからのトラッキングを向上させるという点である。ありがたいことに、これは新しいハードウェアを生産するということではなく、既存のウェアラブルのセンサーを改良するという話である。

SensorKitはアプリを裏側で支える頭脳であり、YouMoveとよばれるソフトと同じメンバーによって開発された。AndroidとiOS向けのものが存在していて、プラットフォームを用いてユーザーのアクションを自動的に検出する。検出されるものはベンチプレス、スクワット、ボート漕ぎ運動、時間の設定や休憩などである ‐ すべて聴覚フィードバックを用いてユーザーのコーチに利用される。

以前はiPhone上のアプリだけだったが、SensorKitは新しく解放されたApple Watchのセンサーをこの先活用するようになる。よってYouMoveはApple Watch上で使えるようになる。これは10月7日からである。

Turnout.ai

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Julien Newmanが共同創業者であるTurnout.aiは、企業に近代的な世論調査を可能にする、B2Bの分析プラットフォームだ

世論調査員や申込書から世論データを手動で集めることは定型作業なので、Turnout.aiはそうしたフォームをスキャンして検索可能なPDFの形に変換する。「草の根アプリを使った草の根運動」の世論調査員は、リストを撮影しデータを集める。Turnout.aiはデータをデジタル化し、支持者たちにあなたの主張(登録時にアウトラインを入力したもの)に関連するデータとして送ることができる。

Turnout.aiの名簿に加わった最初の顧客はUberである、(アプリ全体ではなく)分析エンジンのみを使って、Turnout.aiによって定量化されたデータから定性データを見つけている、そうして社会的反発を回避するようにしている。その通り、本質的に彼らは企業や個人的な課題への支援を行うために対話の内容をマイニングしている – その是非の判断はお任せする。

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(翻訳:Sako)

遺伝子検査の23andMe、人種の多様性を反映させた遺伝情報の収集を計画

NEW YORK, NY - NOVEMBER 10:  23andMe CEO Anne Wojcicki speaks on stage during 'The Fast Company Innovation Festival' - Data + Drugs: The New Evolution Of Drug Making With 23andMe And Sprout on November 10, 2015 in New York City.  (Photo by Brad Barket/Getty Images for Fast Company)

消費者向け遺伝子検査の先駆けである23andMeは、世界中の多様な遺伝データを積極的に収集し、その領域でトップを目指すと発表した。

同社は本日、系統解析サービスを単独のサービスとして99ドルでリリース、自分の遺伝的出自に興味を持つ人たちは、試験管に唾を吐くだけで自らの祖先や親戚をたどることが出来るようになる。

DNAで家系をたどるサービスは創業者のAnne Wojcickiによると同社のプラットホームにおいて大変人気のあるサービスで、一般的な遺伝学そのものに対しても良い導入点なる。さらに、世界中の誰もが自分たちがどこから来たのかを潜在的に知りたがっているという点で、このサービスに対する需要は万国共通のものがある、とWojcickiは付け加えた。

しかしながら、同社の祖先解析コースのレポートは、人種の多様性を反映した遺伝情報を著しく欠いている点が、厳しく批判されている。例えば、Euny HongがQuartzでレビューを書いているように、彼女の遺伝情報はレポートによるとたった76人の朝鮮人に由来しているということだ。

23andMeによると既に幾つかのプログラムが始動して、そのプラットフォームにおける有色人種の遺伝的データを充実させようとしている。同社は今春、Roots into the Futureというプロジェクトを導入し、アフリカ系アメリカ人の遺伝情報の収集を行っている。さらに、23andMeはHuman Genome Diversity Projectの資金援助も行い、現在アフリカにおいて2つのプロジェクトが進行中で、祖先を構成する遺伝データの多様性の増加を図っている。

しかし、23andMeにとって注力すべき箇所は一点ではない。実際、全米バイオテクノロジー情報センターによれば、遺伝的同定において使用されるサンプルの96パーセントがヨーロッパの人々からのものだった。

23andMe

そして、その反動がくる先は少数の遺伝的サンプルから成るグループだ。その点に関して言えば、単にもっと多様性を確保すべく世界中の人々に自社の製品を売り込もうという観点のみならず、ヘルス・リサーチ一般に対する意味合いが大きい。つまり、大きいサンプルサイズを確保することで病気の遺伝的マーカーを発見する確率がずっと増し、また研究が正しく行われる確率も上昇するのだ。

 23andMeはこの問題について、同社のブログ内の「現実問題としての遺伝研究における多様性」という記事で言及している。ある心臓疾患の研究において、偏った研究に基づいたせいで、アフリカ系アメリカ人は白人に比べ、ある遺伝的変異を持っている確率が高く、そのせいで肥大型心筋症という心臓病を発症する可能性が高いという、誤った結論が導かれた。実際、その変異を持つ確率に人種間での差はなかった。遺伝研究が正しく行われればこのような偏りは取り除かれるが、そのためには数と多様性の両面においてより広い範囲のデータが必要である。

23andMeによると、同社が現在供給しているデータに対しては自社独自の研究で対応するものの、次のステップに進むためには一般大衆の参加が必要ということだ。

23andMeが今後増やしていきたいと考えている研究の良い例が、最近発表された、ネバダ州で行われる集団遺伝調査だ。ネバダ州行政府はRenown Health FoundationとNevada’s Knowledge Fundの援助を受け、同州の何千人もの市民に対し無料テストの機会を提供し、健康状態、人口構成、遺伝的・環境的データを調べることを引き受けた。

もちろんネバダはほとんど白人とヒスパニックだ。しかしWojcickiは他の参加者が同様のテストに参加してくれることにより、人種の偏りのギャップを埋めてくれていると期待している。

「この領域には素晴らしい可能性があります。大きなグループの利点を生かせば、そのグループ内で協力し個人それぞれの医療記録を照らし合わせることで、個人にあった医療、オーダーメイド医療といった点で、真に革新をもたらすようなコミュニティーの形成が可能になり、研究が飛躍的に進むでしょう」と、WojcickiはTechCrunchに語った。

僅かばかりのDNAと引き換えに自らの祖先の情報を知りたい人はここに行ってキットをオーダーしよう。

系統解析コースは元来、顧客に提供されるサービスの一部分であり、そのサービスの中に健康に関するデータも含まれていた。現在、顧客は系統解析コースを単独で選ぶことも出来るし、健康・系統解析の両方の選択も可能だ。
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(翻訳:Tsubouchi)

SamsungのスマートベルトがKickstarterに登場、すでに満額突破、名前はWELTに

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ベルリンでは、それ〔ドイツ語Welt〕は“世界”という意味だ。そのことについて、いろいろ深読みもできるかもしれないけど、今のぼくはここ数日IFAを取材しておりまして、忙しすぎるのであります。

このガジェットがデビューしたのは1月のCESだったが、そろそろ潮時かもしれない。CESやIFAなどの見本市に登場するだけでなく、この製品はこのほど、配布日を来年の1月としてKickstarterに登場したSGNLのような圧勝ではないが、期限までまだ1か月以上あるのに、すでに目標額を突破している。

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この製品を作ったのはSamsungからスピンオフした小さなハードウェアスタートアップで、フィットネス追跡機能をベルトに収めることをねらっている。そういう製品は前にもあったが、今回のがいちばん良い出来栄えのようだ。WELTという名前以外の疑問点としては、フィットネス追跡製品が世の中にいろいろある中で、なぜわざわざ、ズボンがずり落ちないようにするための品物に、そんなものを組み込まなければならないのか?

実は、ぼくには分からない。しかしKickstarter上の230名あまりの支援者たちは、分かっているようだ。ベルトが得意なことといえば、腰回りを測ることかな。IFAの会場には、体脂肪を測る秤(はかり)などもいろいろあるが、そんなデバイスが提供している情報には、人をその気にさせるものもあれば、かえって、読む者をがっくりさせるようなのもある。

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結局のところ、これらのウェアラブルには、究極の、そして共通の問題があるのではないか。たしかに、正しいデータを提供してくれるだろうけど、人間を悪い生活習慣から抜け出させてくれる能力はあるのか?と。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

糖尿病患者の血糖測定器とスマホをつなぐHealth2Syn、シリーズAで300万ドル獲得

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糖尿病をモニターする際、その作業を行うのは若干の苦痛を伴う。医療系テックのスタートアップであるHealth2Sync2014年のコンシューマー・エレクロニクス・ ショーのハードウェアバトルフィールドコンペティションで立ち上がった会社だ。同社の目標はほとんどの標準の血糖測定器につながる安価なアクセサリーを開発して、血糖値を直接自分のスマホに流し込み、血糖値のモニターを簡便化することだ。

同社は本日シリーズAで300万ドルの資金を確保したと発表した。WI Harper Groupのリードで、Cherubic VenturesiSeed VenturesSparkLabs Global Venturesが参加した。

同社のプレスリリースによれば、Health2Syncはその資金を使って製品開発を継続すると共に、日本、中国、東南アジアなど海外のマーケットの開発に力を入れるとしている。
Health2Syncのテクノロジーの中核を成すのは、スマホと血糖測定器をつなぐケーブルにあり、そのケーブルはヘッドホン差し込み口経由で二つの装置が会話できるようにする。これら二つの装置が一旦つながれば、血糖測定器に保存されたデータがHealth2Syncアプリによりスマホと同期する。
アプリはアンドロイドとiOSの両方で利用可能で、ケーブルには二種類ある。1つ目は古い仕様に対応したもので、もう一方はより新しいモデル用で、このタイプはデータを赤外線で送信できる。
データを数字とグラフィックの両方で表示することに加え、Health2Syncアプリのユーザーは家族メンバーを付け加えることが出来るので、家族みんなで糖尿病のコントロールに向けて協力して取り組むことができる。さらにアプリを使えばデータを自分の医者や糖尿病の指導員に送ることができ、糖尿病専門家からの意見は病気のコントロールに役立つだろう。
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さらに同社によれば、この製品は実際に効果を発揮している。プレスリリースによると、試験に参加し、Health2Syncを120日間使った患者たちのHbA1cの平均値が、当初の8.6パーセントから6.89パーセントにまで低下し、その結果健康に問題の生じるリスクが著しく低下したということだ。

メイヨ・クリニックによれば、糖尿病患者では典型的に言って、HbA1cの値が7〜8パーセント以下であれば病状が上手くコントロールされているとみなされる。

300万ドルを口座に追加することでHealth2Syncはテクノロジーをさらに進化させ糖尿病患者がその病気をコントロールするのをますます容易にしてくれるはずだ。特に日本、中国、東南アジア方面で朗報が期待される。

今後の動きに注目しよう。次の2016年サンフランシスコ・ディスラプト・バトルフィールドにも乞うご期待。ほんの二週間足らずの9月12日から14日まで、サンフランシスコのピア48で開催だ。
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(翻訳:Tsubouchi)

建設現場の健康環境をモニタするSmartSiteのハードウェアは一般市販のセンサーを使って低価格を実現

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Y Combinator出身のSmartSiteが、建設労働者の労働環境をモニタするハードウェアとクラウド上のソフトウェアのペアをリリースした。

癌や呼吸器障害、皮膚炎などは肌や粘膜が危険物質に触れることで起こり、また過度な騒音や振動も健康被害をもたらす。これらの劣悪な環境にさらされることは、とくに建設労働者において多い。

アメリカ労働省のデータによると、建設労働者の労災死は最近増加傾向にあり、2014年には874名を数えた。

そこでSmartSiteのシステムは、ノイズのレベルと、空気中の微粒子、および紫外線をモニタする。

協同ファウンダーのMichael AndreaとJames Batstoneによると、SmartSiteのモニタリングハードウェアは一般市販のセンサーを使っており、それらは、マイクロフォン、レーザーによる微粒子カウンター、そしてUVセンサーだ。

SmartSite's system monitors particulates, UV rays and more on construction sites.

SmartSiteのシステムは建設現場の微粒子と紫外線などをモニタする。

一方彼らのソフトウェアは、完全に独自製品だ。それにより建設チームは、現場の安全な場所と危険な場所を見分けることができる。

AndreaとBatstoneが建設労働者の健康と安全に関心を持ったのは、彼らがロンドンのRoyal College of Art(王立芸術大学院)のプロジェクトでプロダクトデザイナーおよびスマートシティの研究者として仕事をしていたときだ。

そのとき知ったのは、建設企業は大も小も、環境の有害無害を、各現場の過去の情報や経験に基づいて評価していることだった。

ときどきは正確な測定を行うが、そのための装備は高価であり、また測定には長時間を要した。

SmartSiteのねらいは、建設現場を毎日正確にモニタすることだ。しかも、現場作業の邪魔をすることなく。またそのための器具等は、持ち運びや設置が極力簡単でなければならない。いろいろ、複数のものを持ち込む方式は、もってのほかである。

Andreaは語る、“結局、どの企業も労働者のために正しいことをしたいと思ってはいるけど、しかし実際に疾病等を見つけて誠実に対応していたら時間と費用を要し、訴訟に持ち込まれることもある。だから、積極的なモニタリングを、さぼりがちになる”。

今某社とパイロット事業を進めているが、その社名は明かせないそうだ。

SmartSiteはY Combinatorの今の学期の‘生徒’で、すでにこのアクセラレータから若干の資金をもらっている。そのほかの資金調達計画や、過去の調達額に関しては、ノーコメント、だそうである。

画像提供: SmartSite Inc.

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

アリアナ・ハフィントン、ハフィントンポストを離れる―新しいウェルネス・スタートアップThriveに集中

2016-08-12-ariana-huffington

今日(米国時間8/11)、有力ニュースブログ、ハフィントンポストの共同ファウンダー、編集長のアリアナ・ハフィントンがハフィントン・ポストを去り、ウェルネス・スタートアップのThrive Globalの育成、運営に集中することが明らかとなった。

今朝アリアナ・ハフィントンは次のようになツイートを投稿した。

HuffPostが最後の仕事になるだろうと思っていたが、私はHuffPostの編集長の職を降りることを決めた。今後は私の新しいベンチャーであるThrive Globalの運営に当たる。 

Thrive Globalというスタートアップはアリアナ・ハフィントンの最初の自己啓発書のタイトル(Thrive: The Third Metric to Redefining Success and Creating a Life of Well-Being, Wisdom, and Wonder)から取られており、 人々が優先順位を選択し、心身の健康をベストに保つことを助ける。

新しいスタートアップは金額は不明だがシリーズAの資金調達に成功している。プレスリリースによればThriveはセミナー、コーチング、その他の方法を用いてユーザーのストレスと疲労を減少させ、健康や心身の充実を図ることを一歩ずつ進めていくという。

Arianna Huffington

Arianna Huffington

シリーズAのラウンドをリードしたのはLerer Hippeau Venturesで、ハフィントンポストの共同ファウンダー、 Ken Lererと元CEOのEric Hippeau創立したベンチャー・キャピタルだ。Blue Pool Capital、Greycroft Partners、Advancit Capital、Female Founders Fund、Zoë Baird、Nicolas Berggruen、Joanna Coles、Ray Dalio、Mohamed El-Erian、Nick Green、Gunnar Lovelace、Fred Harman、Isabella Huffington、Andre Iguodala、Sean Parkerもこのラウンドに参加している。

Thriveは11月、大統領選終了後にスタートする予定。

ハフィントン・ポストは独立企業としてスタートした後、2011年にAOLが買収した。その後AOLはVerizonに買収されている。

〔日本版〕AOLのCEO、Tim ArmstrongのAOL社員向けメモは原文参照。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

不妊診断に取り組むPhosphorusが1000万ドルの資金を獲得

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DNAの塩基配列決定の効率が向上してより安価になるにつれ、多くの企業がその領域に誕生している。そのうちでも、最近設立されたPhosphorusがFirstMarkの主導でシリーズAで1000万ドルの資金を調達した。

Phosphorusは実はゲノミクスを専門とする企業であるRecombineからのスピンアウトだ。Recombineは昨年、CooperSurgicalに8500万ドルで買収された。

Alexander Bisognano率いるRecombineは医療診断を提供する会社だ。子供を作ろうとしているカップルの遺伝子配列を調べ、それらが生まれてくる子供にどのような影響を与えるかを診断する。これらには先天的疾患や病気に関連した劣性遺伝子の情報などが含まれる。

先の売却に関しては、Recombineは医療テストそのものを、その販路を拡大する目的でCooperSurgicalに売却したが、ソフトウェアのプラットフォームとデータマップは手元に残した。

現在BisognanoはRecombineで得られたデータマップを次のベンチャーであるPhosphorusで利用しようと目論んでいる。

Phosphorusが取り組むのは様々な局面での生殖に関する問題で、子供を作りたいカップルに関して不妊の原因として考えられるあらゆる可能性に関してのテストを行う。このテストによりカップルは不妊に結びつく行動を慎んだり、または安心して子作りに取り組んで大丈夫というゴーサインをもらったりする。
同社には、これまでPhosphorusやRecombineで行った検査結果の蓄積がある。これらのゲノムデータは顧客が匿名を条件にグループ内でのデータ共有を許可したものだ。Phosphorusはこれらのリソースにアクセス出来るおかげで、他のテストでは見逃す可能性のあることまで検出可能だ。

FertilityMapWithDesign多くの医師や臨床研究者が直面していることなのだが、難しいのは、何かを新規に発見してもそれが本当なのかを確かめるのに必要な十分なサイズのデータセットにアクセスできない、もしくは巨大なデータセットがあっても必要な情報をそこから取り出してくることが出来ない、という点だ。

PhosphorusのFertilityMapを使えば、医師と研究者はPhosphorusの製品を利用して研究を進めることができる。その一方で、不妊治療クリニックやその患者が利用できるのは、得られたデータや、データを解釈し、さらには遺伝子と健康の直接の関連を理解するためのリソースだ。

以下、Phosphorusのウェブサイトからの引用:

これまでの不妊検査ではせいぜい1、2か所の遺伝的要因をチェックするだけでしたが、FertilityMapではもっと大規模な多変数的アプローチを採用しています。検査を行う際は、本人の履歴、これまでの妊娠の有無、家族の病歴などを考慮して、何百もの臨床的変数と何千もの遺伝的変数を解析します。FertilityMapは、予測的アルゴリズムの開発を通じて不妊原因および予後の診断とその治療に関する有用な情報を引き出すもので、妊娠を望む、より多くの家族の手助けになればと考えております。

もっと詳しく知りたい人はPhosphorusのウェブサイトへ。

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(翻訳:Tsubouchi)

Withings社の「洗練された」スマート体温計が発売

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この度、フランス企業のWithingsは、CESにおいてWithings Thermoの発表を行った。Withingsはすでにノキアにより1億9000万ドルで買収されている。Withings Thermoは体温の変化を追える、100ドルのスマート体温計だ。本日(訳注、7月19日)より、アップルストア、アップルとWithingsのウェブサイトで発売される。

Withings Thermoは側頭部動脈の温度を測定する装置で、今日手に入る最高の体温計だろう。側頭部の動脈の温度を使い体温を測る。操作は、装置をこめかみに置き、ボタンを押し2秒ほど待つ、たったそれだけだ。

実際の装置内部では、この体温計は16の赤外センサーを備えており、2秒間に4000回もの測定を行っている。これこそが、この装置が昔懐かし体温計よりずっと正確な理由だ。また、この体温計は小さなディスプレーに体温を表示するが、実際のところその機能は単なる体温計の域を超える。
この体温計はBluetooth経由でWi-Fiネットワークや電話に接続可能なので、熱が長引いている場合は、体温の時間的推移をモニターすることが容易だ。

また、子供がいる場合は、複数のプロファイルを作成し、例えばイブプロフェンをいつ服用したかなどを記録しておくことができる。また、赤ちゃん成人を問わず、使用可能だ。FDAの認可を受けているおかげで、ボストン小児病院の開発した、発熱診断ツールであるThermiaを使って子供の発熱の処方にも取り組んでいる。

たとえこの体温計をスマホに接続しない場合でも、それ自体がなかなか良い装置だ。小さなディスプレーが備わっているので、スマホがなくてもちゃんと使える。

AAA規格の電池2個で、2年ほど作動するため、使うたびに電池交換する必要はない。

Withings Thermoは現在アメリカのみで販売されているが、すぐに世界中で手に入るようになるはずだ。同様に、Withings Thermoは他の店舗からも入手できるようになるだろう。同社とアップルは製品発売に際した一過的な独占販売の契約を交わしているからだ。

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(翻訳:Tsubouchi)

服にワッペンのように縫い付けておける軽量薄型毒ガス検出器をMITで開発、当面は軍用を目指す

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MITの4人の研究者チームが、毒ガスを検知するウェアラブルセンサーを開発した。これとアプリによりスマートフォンなどのワイヤレスデバイスがユーザーに、危険を知らせることができる。

研究者たちが構想しているのは、送信機の回路も含めてクレジットカードよりも薄くて軽いバッジを作り、それを実戦用の軍服に縫い付けておくことだ。

“兵士はすでに大量の装備を身につけているし、その中には多くの通信機器もある”、とMITの化学の教授Timothy Swagerが、彼が中心になって書いたこのセンサーに関するペーパーで述べている。Journal of the American Chemical Society載ったそのペーパーは、ポスドクの学生Shinsuke IshiharaやPhDのJoseph AzzarelliとMarkrete Krikorianらが共著している。

“しかし今の兵士は毒ガスを検知するウェアラブルセンサーを身につけていない。検出装置はいろいろあるが、身につけて動き回れるようなものではない。われわれのセンサーは、紙よりも軽い”、とSwagerは語る。

簡単に言うとそのセンサーは、カーボンナノチューブを搭載した回路だ。カーボンナノチューブは筒状に連なった炭素分子で、細いワイヤーのように見える。

Swagerはこう説明する: “通常のワイヤー、たとえば電気のコードなどは、プラスチックで包まれて外界と遮断され、ユーザーを安全にしている。しかしカーボンナノチューブは、プラスチックなどで包んで絶縁を実現することができない。われわれの場合はナノチューブをポリマーで包んでいる”。

サリンガスのような毒ガスに触れると、ポリマーが壊れて絶縁がなくなる。そのためナノチューブが互いに接触して伝導性を持つようになり、信号がスマートフォンなどへ送信される。

信号の送信はNFCで行われるので、スマートフォンなどのワイヤレスデバイス側にもNFCの能力が必要だ。また、NFCはその名(near-field communication)のとおり、伝達距離が短い。ただし、インターネットがなくても通信できる利点がある。

センサーの反応は不可逆性なので、一定の量の毒ガスを検知し報告したら、その後空気中にガスが検出されなくても、検知〜報告量は下(さ)がらない。

“可逆的に反応するセンサーもある。そういうセンサーでは現在の検知量に応じて信号が変化(増減)する。しかしこのセンサーは違う。反応が不可逆的なので、総量が分かる”、とSwagerは述べる。

ウェアラブルのバッジと通信装置から成る毒ガス検出器は、労働者が毒性の化学物質に触れがちな各種の工場などで、民間の需要もありえるだろう。

Swagerによると、この製品を作り出す技術はすでにマサチューセッツ州ケンブリッジのC2Sense社にライセンスされている。商用製品の開発にも取り組んでおり、それには少なくとも1年はかかる、ということだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Apple、iOS 10に臓器提供を組み込む

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それはiOS 10の最先端新機能ではないかもしれないが、重要であることは間違いはい。Appleは今日(米国時間7/5)、Donate Life Americaと協力して、同社のモバイルオペレーティングシステムに臓器提供を組み込むことを発表した

今秋iOS 10が公開されると、ユーザーは、「わずか数回のタップで」臓器、目、および細胞組織の提供者になれる。標準装備のHealthアプリを通じて登録したユーザーは、Natio Danate Life Registry(全米臓器提供ライブラリー)に追加される。またアプリは、興味を持った人々を追加情報のサイトに誘導する。

「アップデートされたHealthアプリを使って、われわれは臓器提供に関する教育と認知向上の場を提供する。登録はこれまで以上に簡単だ」と、AppleのCOO、Jeff Williamsがリリース文で言った。「わずか数秒で終わる簡単な手続きによって、最大8人の命を救える可能性がある」。

同社によると、現在12万人のアメリカ人が命を救うための移植を待っており、10分毎に新しい人が追加されている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

スマホがジカ熱の特効薬に?

SAO PAULO, BRAZIL - MARCH 04:  Aedes aegypti mosquito, the species which transmits the dengue virus, chikungunya fever and zika is photographed on March 04, 2016 in Sao Paulo, Brazil. (Photo by William Volcov/Brazil Photo Press/LatinContent/Getty Images)

【編集部注:本稿の執筆者、Shawn DuBravacはConsumer Technology Associationのチーフ・エコノミストでDigital Destiny: How the New Age of Data Will Transform the Way We Live, Work, and Communicateの著者】

スマホは現代の生活においてさながらデジタル版スイス・アーミーナイフのような存在となった。単に電話としての役割を超えて、写真やビデオを撮影したり、物を購入したり、ソーシャルネットワークに接続したり、街で道案内をしてくれたり、考え得るあらゆる目的のために、時には考えもつかないものも含めて使用されている。アプリを使うのもスマホ上だ。

今日のスマホは極めて強力なマイクロコンピュータだ。驚くべきことには、現在、このデバイスの計算力が集団でひとつにまとめあげられ、さらにすごい目的に使われつつある。その目的とは、ジカウィルスに対する治療法を見つけ出すことだ。

我々のほとんどは、この小さな奇跡とでもいうようなデバイスをポケットやパースに入れて普段持ち運んでおり、もはやスマホなしの生活など想像すらできない。その依存度たるや、オバマ大統領によるとそれはもはや「崇拝」といったレベルのもののようだ。しかし大統領も#OpenZikaプロジェクトのニュースを聞けば見方を変えるかもしれない。

IBMのWorld Community Gridの研究プロジェクトは、ボランティアのコンピュータ、アンドロイドのスマホ及びタブレットのネットワークを仮想的なスーパーコンピュータに変えてしまおうというものだ。

ボランティアがWorld Community Gridのアプリをダウンロードすると、研究者はそのデバイスにアクセスして演算を実行することができるようになる。蚊に媒介されるジカウィルスを撃退するには抗ウィルス剤が必要だが、その演算はジカに対する抗ウィルス剤を製造するために必要な化合物に関する仮想実験を行うためのものだ

Consumer Technology Associationの研究によると、世界中では大体26億のスマホが使われており、さらに14億のスマホが毎年売れている。先進国の多くでは、スマホの総数は人口より多く、世界の最僻地でも所有率は増加の一途を辿っている。

スマホ人気の陰で固定電話の契約数は下降の一途を辿り、アメリカでは遂に世帯数の50%を割り込むまでになった。また、スマホは何百万ものデジタルカメラのシェアを切り崩している。つい最近の2011年の時点では80%のアメリカ人はデジカメを所持していたが、今日その比率はたったの61%だ。つまり我々は迅速かつ熱狂的にオンライン、オフラインの両方においてスマホに移行しているのだ。

仮想的ドラッグスクリーニングは今日のスマホが実現できる最新ワザのひとつだ。そんなことまでできるとは。

我々が暮らしている空間では、互いに繋がった何百億ものデバイスがあらゆる場所に現れ、公共および私的な空間で日常的に存在している対象を次々に置き換えている。例えば、パーキングメーターや消火栓、自転車ラックや道路、自動車や家のドアの鍵がどんどんインターネットに繋がっている。カメラやマイクロフォンや各種センサーが実際の居住空間と一体化している。

大概のカメラやマイクロフォンはオンデマンドで動作するものだ。すなわちユーザーがデバイスに次どうするかを指示する必要がある。これらのデバイスがデジタル化し、さらにインターネットに接続され「センサー化」すれば、これまでそこにあったが特に利用されず放置され、デジタル情報として利用し得なかったデータを、今度は体系的に取得し始めることが可能になる。

そこにこそ強力なパワーが隠れている。そしてこれこそがWorld Community Gridの着眼するところであり、そのパワーを利用することでこれまでマラリア、エボラ、結核や様々な病気の研究が行われてきた。

#OpenZikaプロジェクトにより研究者はボランティアの提供するデバイスを使って演算を実行させてもらうが、持ち主がデバイスを利用する際に悪影響が出ることはなく、そのせいで持ち主のデータの安全性が損なわれた例はこれまで報告されていない。同時に、このプロジェクトで研究者が手にする演算力はスーパーコンピュータの演算力をも霞ませるほどのものだ。これは、スーパーコンピュータが誰にでも利用できるものではないという点と関係がある。

ラトガース大学の新興・再興病原体センターのAlexander PerrymanがCNBCに語ったところでは、研究者がいわゆる一般的なスーパーコンピュータを使うことができるのはたった数万時間、それは中央処理装置の実行時間で数十万時間に相当する、という。一方でWorld Community Gridであれば3万年相当の中央処理装置の実行時間が手に入る。

ジカ熱の治癒に役立つ化合物を探索するには、何千万種類にも及ぶ化合物を計算評価する必要があるが、World Community Gridプロジェクトはその過程を効率化し、計算にかかる時間の短縮に貢献するだろう。ジカ熱は致死率そのものは低いものの、妊婦が感染した蚊にかまれると赤ちゃんに先天性異常が引き起こされる可能性がある。

仮想的ドラッグスクリーニングは今日のスマホが実現できる最新ワザのひとつだ。そんなことまでできるとは。そして次に何が来るだろうか。大いに注目したい。

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(翻訳:Tsubouchi)