AmazonがAWS勉強交流施設The Loftをサンフランシスコに再オープン

今年すこし前にAmazonはサンフランシスコに、デベロッパが同社のAWSの技術者たちとお話したり、勉強したり、互いに交流ネットワークを作ったり、あるいはただ集まるだけのためのスペースをオープンした。このいわば”にわかづくりのロフト“は、6月に4週間開いていた。今日同社は、このスペースを今年の秋に再開する、その前にそれの“来訪者にとっての価値を高めるために”コンセプトの練り直しを行う、と発表した

6月のときはAmazonは、期間は4週間だけ、と明言した。今回は期間についての発表はないので、今Amazonに問い合わせている。うわさでは、ロフトは秋にオープンして、今回は閉鎖の予定がないらしい。

デベロッパは6月と同じく、その”The Loft”へ行って(LOFTと混同しないように)、AWSのエキスパートから一対一で助言をもらったり、開発事例を通じてAWSについて学んだり、ロフト内で行われるインストラクター付きのブートキャンプに参加したりできる。またデベロッパが実際にAWSに触ってみながら自分のペースで知識を深めることもできる。

夜は交流会みたいなものが開かれ、スタートアップたちからの話も聞ける。この前はTwilioやCoreOS、Coin、Hearsay Socialなどの人がスピーチした。

AWSは年を重ねるにつれ、次第にとても複雑なシステムになっていて、情報をネット上に見つけるのは比較的容易でも、それだけでは、いまいちよく分からない部分もある。サンフランシスコのこのスペースと、例年ラスベガスで行われるデベロッパカンファレンスre:invent、それにオンラインの資格検定教育などでAmazonは、情報の不足に関するデベロッパの不満に対応しようとしている。とくにこのロフトの場合は、生身(なまみ)で、一対一でAWSの技術者から話を聞けることが、デベロッパにとってありがたいだろう。re:inventもそういう直接的な学習の場だから、6月の初オープンのときAmazonのJeff Barr(AWSチーフエヴァンジェリスト)は、そのにわかづくりのロフトのことを”ちょいといかれたre:invent“(re:invent on crack)と呼んだのだ。

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazonでは5分に1冊新しい本が出る

Claude Nougatというライターが書いたおもしろい記事によると、U.S. AmazonのKindle Storeには8月16日現在で約340万種の本(とアプリ)があり、1時間に12種ずつ増えている。1時間に12ということは、えーと、5分に一つだ。そしてたぶん、その多くはインディーの本だ。

よーく考えてみよう。

楽観主義の人にとっては何も問題ないが、わずかでも悲観主義の人にとっては、考えさせられる数字だ。Nougatはこう書いている:

“ある程度成功している自費出版の著者にとっても、ライター人生は厳しいものである。われわれ、その他大勢はいったいどうなるのか?

それはつまり、新人が一人現れるたびに彼/彼女を呑み込んでしまう本の津波なのだ!”

この津波は、もっとメジャーな本も呑み込む。合衆国の五大大手出版社は、Amazonのドアの前で立ち止まる。これだけたくさんの本から選べるのだから、有名出版社の本のKindle版に14ドル99セントも払うのはもったいない。99セントの、あるいは無料の、いろいろな本を試した方が楽しい。有名出版社の本はプロが念を入れて作っている、という主張はもちろんある。しかしそれも、急速に変わりつつある。

インディーの出版物は今ものすごく人気があり、中にはロボットが書いているものもある。あっという間に10万種の本を書いたロボットもいる。ロボットがいようといまいと、ジャンクの多い世界だから、レビューやランク付けがますます重要だ。そしてランクやレビューに頼るようになると、多くの人びとがせいぜい上位100ぐらいしか検討しない。101番目以降は、忘却の彼方へと消え去る。

インディーの100万長者ですら、楽ではない。ヴァンパイア小説で数百万ドルを稼いだAmanda Hockingも、今では本を無料または安くせざるをえなくなり、ランクはぐっと下降した。Hugh HoweyのDustはAmazonという本の大神殿で800位にいるが、それは実質、340万種のビリにいるのと等しい。

ライターであることは、ますます難しい。インディーのための出版ツールが本の出版を容易にし、Amazonは彼らに道を開いた。でもAmazonの稼ぎでボートを買ったり、生活を支えていくことは、奇跡以外ではありえない。不可能ではないが、でもあなたが大津波に飲み込まれてしまう理由が340万ある(1時間に12ある)。奇跡を起こす秘訣は、このノイズに打ち勝つことだが、それはいつの時代にも、人が何かを書くことの高貴な目標だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ドローン配送のPrime AirにAmazonは本気だ―NASAの宇宙飛行士など多数の人材獲得

ドローンを利用して注文から30分で配達するAmazonの野心的プロジェクト、Prime Airに重要な動きがあった。Prime Airはマーケティングのための話題作りなどではないらしい。Amazonは最近宇宙航空工学の分野における重要人物を何人もスカウトした。この中にはNASAの宇宙飛行士やMicrosoftの研究者、さらにはGoogle Earthの元となったスタートアップ、Keyholeの共同ファウンダーまで含まれる。

AmazonがこのタイミングでPrime Airにテコ入れを図る理由は何だろう?

Jeff Bezosはは昨年のクリスマスを控えた時期にCBSの60 Minutesのインタビュー中で派手にドローンによる配達計画、Prime Airを発表した。インタビューしたベテランのレポーター、Charlie Roseはドアをくぐった先にPrime Airのドローンが鎮座しているのをみて「これはなんと!」と驚きの声を上げた。

多くの専門家はCBSの報道に疑問を抱いたHacker NewsなどはPrime Airは「ベイパーウェア」、つまり単なる話題作りのためのプロジェクトで現実性はないと批判した。またFAA(連邦航空局)もPrime Airに友好的ではない。去る6月にFAAhはPrime Airを名指しでドローンを商業的配送に利用することをを禁止した。

しかし、今回の人材スカウトを考えるとそうした否定的な見方には疑問符がつく。

スカウトされた重要人物

7月にAmazonは機械学習の専門家で、Bingの精度を劇的に改善したMicrosoftの研究者チームのリーダー、Paul ViolaをPrime Airのサイエンス担当副社長として採用した。LinkedInのページによると、ViolaはBingの広告チームも指導し、売上を大きく増大させるのに貢献したようだ。

もう1人の重要人物はPrime Airのシニア・マネージャーに採用されたAvi Bar-Zeev,だ。Bar-ZeevはGoogleが買収してEarthに作り変えたスタートアップ、Keyhole, Inc.の共同ファウンダーで、その後Microsoftでさまざまなバーチャル・リアリティーや拡張現実プロジェクトに関わった。また2013年には短期間だがAmazonに勤務して独自のタブレットの開発に協力した。それがPrime AirプロジェクトでAmazonに復帰した。

Prime AirはBoeingLockheed MartinMIT Space Propulsion Labから航空工学の専門家を採用している

またNASAの宇宙飛行士、Neil Woodwardもテクニカル・プログラム・マネージャーとして参加している。Woodwardはドローンの試験飛行、安全・リスク管理、許認可手続きなどを担当している。

Prime Air担当副社長のGur Kimchi(Googleが買収するまでクラウド・カーナビ・サービスのWazeの取締役だった)とPrime Airプロジェクトの共同ファウンダー、Daniel BuchmuellerFast Companyがプロフィールを掲載)も引き続きプロジェクトを指揮する。

腕力でスピードアップを狙う?

もちろんドローン配達がいつかは合法化されることになるのか不明だし、されるとしてもまだ長い時間がかかるだろう。しかしAmazonは断固としてプロジェクトを推し進める決意のようだ。

そのために、Association for Unmanned Vehicle Systems Internationalというドローンの利用促進を訴えるNPOの法律顧問だったGielowを公共政策チームのリーダーに据えてドローンの合法化運動を組織する準備を進めている。

また現在、Prime Airはシアトルとイギリスのロンドン、ケンブリッジで人材を募集中だ。これだけ力を入れているプロジェクトが単なるベーパーウェアとは考えにくいようだ。

アップデート: 8/20, 8 PM ET: Avi Bar-Zeevが自分のブログにこの記事に対するコメントをアップして、Amazon に復帰することを決めた背景を説明している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


デベロッパツールをどんどん増強するAmazon、今度は人間テスターによるアプリテストサービス

Appleは今年のはじめに、モバイルアプリのテストサービスとして人気があったTestFlightを買収した。そして今日(米国時間8/13)はAmazonが、Amazon Appstoreをターゲットとするデベロッパのための、従来からある同社自身のモバイルアプリテストサービスと競合するような新サービスを立ち上げた。”Live App Testing“と呼ばれるその新しいツールでは、デベロッパが自分のアプリを、ストアへの出品前に、あらかじめ決まっているテスターたちに手早く配布する。

Amazonによると、テストするアプリはAmazonの一連のデベロッパサービスをすべて利用できる。たとえば、アプリ制作時におけるアプリ内購入のテストなども。

Live App Testingを利用するためには、まずデベロッパがテスターたちにお願いのメールを送る。そしてダウンロードの案内をもらったテスターは自分のデバイス上でアプリをトライできる。 テスト対象機種はAmazon Fireデバイス(Fire TVを含む)と、Androidデバイスだ。よく見るとこれは、Google自身のテストサービスと競合する部分もある。

しかし自分のAndroidアプリケーションでGoogle PlayストアとAmazon Appstoreの両方をねらっているデベロッパは、このAmazonの新サービスに魅力を感じるだろう。調査によれば、Amazonユーザはアプリの購入やアプリ内購入の金遣いが積極的だから、デベロッパもAmazon Appstoreを無視できない。もちろんそのアプリは、高いコンバージョンレートをねらって最適化されている。

 

この新サービスには、テストに関する基本的な分析もある。それは、クラッシュした回数などだが、デベロッパはさらに、そのほかのデベロッパサービスも利用して、ユーザのエンゲージメントやリピート使用、そのほかのバグなども調べるだろう。

この新しいテストサービスは、Amazonがこのところ次々と打ち出しているデベロッパツールの一環だ。そのほかにA/Bテストサービス、Amazon Maps、アプリ内購入のAPI、モバイル広告、モバイルのAmazon Associates、デバイスメッセージング、GameCircle(ゲームデータのシンク)、それに、Amazonアカウントによるログイン、などもある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazon、Local Registerでローカル支払サービスに参入―Squareより手数料が1%も低い

AmazonはSquareとPayPal Hereに真っ向から勝負を挑むモバイル支払サービス、Local Registerをスタートさせた。カードリーダーの価格は10ドル、専用アプリは無料で、このサービスの手数料はクレジットカード、デビットカード共にカードのスワイプによる1回の支払額の1.75%とSquareより1%も安い。

ただしこの料率は10月31日までに申し込んだアーリーアダプターのみに適用される特別レートだ。Squareの現行レートは、スワイプが2.75%、カード情報の手入力が3.5%プラス15セントだ。Amazonの1.75%の特別料率が適用されるのは2016年1月末までで、その後はスワイプが2.5%、手入力が2.75%となる予定だ。

Amazonはユーザーに10ドルのクレジットを当初から与えるので、カードリーダーの10ドルの料金も実は名目だけだ。Amazonがライバルからマーチャントを奪おうとしている手段は主にその低料率だ。しかしAmazonはそれに加えてLocal RegisterはAmazonのオンライン・ストアで十分に実証された安全なインフラを利用すること、トラブルに備えてカスタマー・サポートが待機していること、カードリーダーがスワイプの際にぐらつかないデザインであることなどをアピールしている。

Amazon Appstore、iOS App Store、Google PlayからダウンロードできるLocal Registerアプリ内でマーチャントは詳しい販売状況を確認できる。アプリは個別取引の記録だけでなく売上合計や「もっともよく売れた時間帯」などの情報も提供する。またAmazonは店舗や食べ物を販売するトラックなどで利用する際に便利な現金箱、レシートのプリンター、モバイル・デバイスを固定しておくスタンドなど豊富なアクセサリも用意している。

Local Registerで受けた支払は、翌営業日にマーチャントの銀行口座に振り込まれる。ただし、支払われた額はAmazonのオンラインストアでのショッピングには即座に使える。トランザクション額の一部をAamzonのエコシステムに還流させるなかなか巧みな仕組みといえるだろう。

Squareのリーダーがさまざまな店舗で販売されているのに対抗して、Local Registerのリーダーも8月19日から大手オフィス用品チェーンのStaplesのアメリカの各店舗で販売される。

Squareは最近、ICカード対応のリーダーを発表している。これはAmazonに対して当面の優位性だが、ICカードが普及し始めればAmazonもすぐに対応するだろう。いずれにせよ、Amazonの参入はSquareとPayPalにとって大きな脅威であることは間違いない。Amazonがライバルに勝つためにどれほど力を入れてくるかが見ものだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


本が本でなくなる日

Hachette vs. Amazonの戦争があり、Kindle Unlimitedが登場、そんな中で、出版者であることと、ライターであること、そして読者であることの意味が、今非常に悩ましく問われようとしている。Laura MillerがSalonに書いた優れた記事は、“自費出版本の熱心な読者たちは、アメリカ中のぬかるみ*の中を歩きまわることに合意した”、と言っている。それは、今やAmazonが、誰でも壁に糞を投げつけてよいと言っているので、われわれ読者はそれらの糞が壁に張り付くか床に落ちるかを確認しなければならない、という意味だ。〔*: slush pile, 愚作の持ち込み原稿の山。〕

でも、現実はこうだ: われわれが知っていた本の姿は、変わりつつある。本は、雑誌や新聞と同じ運命をたどりつつある。 散文テキストの分厚い塊は価値を失いつつあり、人びとがそれに対して払う価格も下がっていく。たとえばKindle Unlimitedがスタートしたとき9歳の息子に、好きな本を何でもダウンロードして読みな、と言った。彼はHarry Potterなどの長編フィクションには見向きもせず、すぐさまMinecraft関連の大作をダウンロードしたが、それはしかし私が見ればRedditのMinecraftギャグを本の形に集めたようなものだ。“それは本じゃないよ”、と彼に言ったが、今や、それが、本なのだ。

Amazonは積極的に、われわれの本に対する考え方を変えようとしている。前世紀には、出版社は限られた数の作品を、“安い”製品を作ることが善とされる経済システムの中で生産し、配布した。紙とボール紙で作られた本(ハードカバーの本、ペーパーバックでない本)は、高級品のように売られた。売れ残りは砕かれてパルプになり、新本として売られることはなかった。そして、古書市場というニッチの市場ができあがった。

そして今や、eブックの登場により、ハードカバーの本の価値は大幅に減価した。しかも、大手出版5社は、本をおかしな、新しい方法で売るはめになった。その形は、サンドイッチに似ている。彼らは大量の本を売るが、それらはAmazonのUnlimitedのMinecraftストアで売られるような本だ…セレブの伝記、料理本、政治的暴言集、などなど。それらの厚いパンにはさまれた薄い具の部分が文学書だが、その売上の大半はStephen Kingなど少数の人気作家に依存している(とよいのだけど)。昔の文学書ジャンルの、厚いハムだった部分は、今や干からびた薄いカルパッチョだ。

出版人たちは、口癖のように、自分たちは大きな付加価値を提供している、と言う。それには同意しよう。彼らのところには、偉大なる編集者と、優れたアーチストと、有能なPR部員がいる。歴史的には、大手出版社は文化の司祭であり、言葉の大法官だった。人類の知的生活に仕える執事でもあった。でも彼らの強大な権力も、必勝とは言えない。最近友人が立派な本を有名出版社から出して、1年で750部売れた。ぼくはIndiegogoとAmazonを利用して、自分のインディー本を同じ期間に数千部売った。ぼくも、出版社と心中すべきだっただろうか? 全国の書店まわりをやって、サイン会もして、Jon StewartがホストするDaily Showで自分の本を宣伝すべきだったか? それもいいけど、ぼくは死なずに生き延びたい。

Amazonは、金目当てでHachetteやそのほかの取次と喧嘩しているのではない。Amazonは、有料コンテンツを配布するための新しい市場を自分が支配するために、彼らを蹴落としたいのだ。もちろん、そのコンテンツの要(かなめ)が、eブックだ。

今では、ブログというものがある。ブログ記事と本は、本質的に異なっている。本は長いし、完璧な編集作業を要するし、製作に長時間かかる。良い本を作るためには、時間をかけるか、またはエキスパートたちのチームに良い仕事をさせるか、だ。でもインディーのライターには、コピーエディタ(原稿整理編集者)を雇うほどのお金がない。だからインディー作品のクォリティには、今後も疑問符がつく。

でも、ブログはどうか。これまでは、とにかく早く書いて早くお金をもらうライターといえば、ジャーナリストだけだった…自称ジャーナリストも含めて。でも今では、MediumやWordPressなどのソフトの上で出版が行われるので、平均的なライターたちが早く書いてわりと早めにお金をもらえる。彼らには、コンサルタントなどの副業もある。対して、大手出版社や大手マスコミだけを相手にしているジャーナリストは、今や泥の中でもがいている。誰しも、昔からやってきたことしか、できない。コピーエディタがしっかり手を入れた記事、事実をチェックされて、ジャーナリズムの黄金律と呼ばれるThe New York Timesに載った500語の力作を、懐かしむのもよい。ぼくもTimesに記事が載ったことがあるが、でもあそこの人たちは、たしかに優秀だけど、ここTechCrunchやTMZやBuzzfeedやJoeの釣りブログなどで仕事をしている人たちと比べて、とくに良いとか悪いということはない。違いは、NYTはかつて強力であり、その記憶の残像のおかげで世界中の寄稿者のネットワークが維持されていることだ。でも、ぼくたちみんなは、TMZもEngadgetもBuzzfeedも、短編記事でマネタイズしてきた。NYTがそれをやって生き延びることは、まずできない。

そして、かくして出版産業は衰退していく。なんとか生きていけるインディーのライター1000人に対して、大きく稼ぐ者が数十名、そして大手出版は対応を誤る。音楽産業のように派手な無様(ぶざま)さにならないのは、大手出版による、印刷物による、堅牢な本の顧客が、ある程度は残るからだ。でも、彼らが時代に取り残されることは、間違いない。Kindle Unlimitedはインディーライターが好きな読者層を獲得し、Amazonはインディーの本を値引きしてでも売るが、大手出版5社は逆に彼らに対し大手いじめ屋になる。そして、Bezosが勝つ。

ぼくはライターであり、書くことが好きだ。書いたものは、読んでほしい。Laura Millerがぬかるみと呼んだライターや作品も、そこらにたしかにある。でも、それはかまわない。ここ10年ほどは、ブログにも色とりどりのぬかるみやジャングルがあった。しかし今では大手インターネットメディアの傘下に入ったものと、多数の小さなインディーに両極している。インディーの出版にも、同じことがやがて起きるだろう。それは避けられないことだし、Amazonはそういった動きのすべてから稼ぐつもりでいる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


GoogleやAmazonも参入、熾烈を極める米国の即日配達ビジネス、日本の可能性は?

編集部注:この原稿は内藤聡氏(@satoruitter)による寄稿である。内藤氏はEast Venturesアソシエートで、海外のテクノロジー情報を発信するブログ「シリコンバレーによろしく」を書くテクノロジー・ブロガーだ。

昨今、ベイエリア(サンフランシスコからシリコンバレーを含む一帯)ではオンデマンド系のプロダクトを目にする機会が増えてきました。オンデマンド系のプロダクトとは、消費者が必要なモノやサービスを必要な分だけ即座に購入・利用できるといった形式のビジネスで、P2Pの低価格タクシー配車サービスのuberXや、家事代行サービスのHomejoyなどが代表的な例です。また、消費者のみならず、労働者(サービス提供側)も必要な時に必要な分だけ働けるということが、この分野をオンデマンドと呼ぶ所以になっています。

そんなオンデマンド系ビジネスの中でも、とりわけオンデマンドECの分野が注目を集めており、InstacartやPostmates、SpoonRocketなどのスタートアップからGoogle、eBay、Amazonといった大手企業までがこの分野に進出しています。

今回は、米国におけるオンデマンドEC分野の主要プロダクトを紹介した後に、この分野の今後と、日本での可能性について言及していきたいと思います。

オンデマンドECとは?

オンデマンドECとは、注文された商品を最短で1時間以内(フード系であれば数十分以内)、遅くとも当日に配達するといったビジネスを指します。食品、日用品、料理のデリバリーなどが主要な分野です。

ベイエリアでオンデマンドECが台頭した背景

ベイエリアでこの分野のプロダクトが台頭してきた背景として、ベイエリアの不便な消費環境とスマートフォンの普及の2点が考えられます。

まず、ベイエリアの消費環境ですが、日本の都市部のように徒歩圏内にコンビニやスーパーが存在しないので、日々の買い物がとても億劫に感じます。食品や日用品は大量に買い貯めすることが主な消費習慣で、必要に応じてコンビニでちょこっと何かを購入するといったことができません。また、日用品をAmazonなどで購入する際も、日本のように物流インフラが整っていないため、通常配達で数週間、Amazonプライムでさえ在庫の場所によっては到着までに数日かかるのが当たり前です。

食事に関しても、日本の都市部のように少し歩けば美味しい飲食店が見つかるといった地理的環境ではないため、外食ひとつをとってもそれなりの移動を必要とします。それゆえ、自宅にいながらデリバリーを利用して食事を取る、いわゆる中食のスタイルが日本以上に好まれているように感じます。上記のような環境的な不便さを解決するための手段として、現在オンデマンドECが多くの人に受け入れられつつあるのです。

次に、スマートフォンの普及がオンデマンドECの台頭要因になったという点です。ユーザーがモバイルを通じて時間と場所を問わず商品を閲覧・注文できるようになったことや、配送状況をリアルタイムでトラッキングできることなど消費者視点の利便性向上はもちろんありますが、それ以上に労働者側の人間が1人1台モバイルを持つようになった時代背景が大きな要因であると考えます。

オンデマンド系のサービスは、配達を仕事とするパートタイムのスタッフが好きな時間に必要な分だけ働くといった仕組みが主流です。そして、彼らはタイムカードを切る代わりに、専用のアプリを立ち上げることで仕事を開始します。このように、彼らがスマートフォン経由で注文を受け取り、商品を配達するというサービスを提供できるのは、多くの働き手がスマートフォンを所有している今の時代だから機能しているのだと考えます。上記のような端末の普及がオンデマンド系のプロダクトの提供を可能にした大きな要因と言えるでしょう。

オンデマンドECの主要分野は食品、日用品、料理

続いて、オンデマンドECの分野における主要プロダクトを紹介していきます。なお、オンデマンド系のサービスは、自分で在庫を持つ形式(リテイラー型)と、在庫を持たず自前のスタッフが商品を配達する形式(ロジスティック型)がありますが、ここでは一括りでオンデマンドECとします。

Instacart

Instacartは、食品の分野に特化したオンデマンドECです。注文が入ると、Shoppersと呼ばれるパートタイムのスタッフがSafewayやWhole Foodなどのスーパーに出向いて商品を購入・配達してくれるというもの。最短1時間以内で配達してくれる上に時間指定もできるため、主婦を中心に人気を集めているアプリです。1時間以内の配達だと送料が$5.99(約600円)、2時間以上であれば$3.99(約400円)といった価格設定。年間$99(約1万円)のInstacart Expressに加入することで$35(約3500円)以上の買い物の送料が無料になります。Instacartは通常の料金より30%程度水増しして販売し利益を上げているという意見もありますが、現在は店頭価格と同様の価格の商品を見かけることが多く、各リテイラーから売上に応じてコミッションを取る形式に変更したのかもしれません。

Postmates

Postmatesは、近所のレストランやスーパーの商品を何でも最短で1時間以内に配達してくれるデリバリーサービスです。他のプロダクトと違い24時間利用できます。Postmates側がレストランのメニューやスーパーの商品等の情報を収集しており、ユーザーはその中から欲しい商品を選ぶだけで注文を完了させることができます。欲しい商品がPostmates上にない場合は、メモ形式で商品名とその説明を文章で記入し注文することが可能。商品はPostmateというメッセンジャーバイクに乗ったスタッフが配達します。料金は1回につき$5(約500円)の基本料に加え、購入額の9%と移動距離から計算された追加手数料がかかります。

WunWun

WunWunは、どんな商品でも基本的に無料で配達してくれるデリバリーサービスです。現在はマンハッタンとブルックリンでのみサービスを提供しています。注文を受付ける最低購入金額は$10(約1000円)。ビジネスモデルは、商品を購入したリテイラーや、その商品のメーカーにコミッションフィーを請求するといったもの。

Google Shopping ExpresseBay Now

Google Shopping ExpressとeBay Nowは、電化製品やアパレルなどの商品を最短で1時間以内に配達してくれるオンデマンドECです。Instacartが食品に特化しているのに対して、GoogleとeBayは、Best Buy(家電)やOffice Depot(オフィス用品)、Walgreen(ドラッグストア)、Uben Outfitters(アパレル)などで販売されている日用品を取り扱っています。Googleは1回の配達につき$4.99(約500円)で最低購入金額は要求しない一方、eBayは1回の配送料は$5(約500円)で、$25(約2500円)から注文を受け付けています。

AmazonFresh

AmazonFreshは、食品のデリバリーサービスです。大手で唯一、生鮮食品・加工食品の分野をカバーしています。年間$299(約3万円)のAmazonFresh会員に加入することで、無料で商品を即日配達してくれるといったもの。最低購入額が$35(約3500円)に設定されていますが、本やDVDといったAmazonで販売している通常の商品も合計額に加算できる仕組みになっており、食品以外の商品も抱き合わせて購入させたい狙いが伺えます。今後は、ローカルのレストランや食品小売店(パンや惣菜等)の商品の販売をマーケットプレイス形式で拡大させていくようです。

CaviaZestyDoorDash

オンデマンド系ECの分野で、特に注目されているのがフードデリバリーです。各プレイヤーが各々の基準でレストランをキュレーションし、その店舗のメニューを宅配するといったもの。Caviaは地元の人気レストラン、Zestyは健康志向のメニューを提供しています。また、多くのサービスがサンフランシスコ(ベイエリア北部)で提供されている一方で、DoorDashはサンノゼやパロアルトといったサウスベイ(ベイエリア南部)に特化しており、地理的に差別化を図っているようです。

SpoonRocketSprigMunchery

キュレーション型のものとは別に、自前でシェフを雇う、もしくはシェフと提携して料理を提供するプレイヤーも存在します。SpoonRocketは、日本のbento.jpのようなサービスで、自前で製造した料理を注文から最短15分以内で配達するといったサービスをランチの時間限定で提供しています。料理の選択肢は4つしかなく(内容は毎日変更)、価格は送料込みで一律$8(約800円)。Sprigも同様に、食材にこだわった料理を注文から最短で20分以内に届けるサービスをランチとディナーの時間に提供しています。またMuncheryは、一流シェフの料理を自宅で楽しめるというコンセプトのもと、有名シェフと提携して$10(約1000円)前後の料理を調理・配達しています。『俺のフレンチ・レストラン』のデリバリー版と説明すると分かりやすいかもしれません。

オンデマンドECの今後と日本での可能性

上記のように、現在では食品、日用品、料理といったジャンルを中心に数々のプレイヤーがオンデマンドECの分野でサービスを提供しています。そして今後も、主に以下の3つの形式でスタートアップが新たにこの分野に参入する余地があると考えています。

1つ目は、提供する商品を特定の分野に絞ることで品揃えの幅を広げ、ユーザー体験を向上させる形式。アルコールの販売に特化したMinibarDrizlyが良い例です。

2つ目は、同業者がまだカバーしていない地域でいち早くサービスを開始し市場を獲得する形式。サービスの提供地域をサウスベイに絞っているDoorDashや、シアトルに特化しているPeachなどが良い例です。

3つ目は、購入方法に差別的要素を加えるといった形式。例えば、深夜帯の配達に特化したものや、共同購入を可能にさせるスタートアップが出てくるかもしれません。

一方、日本でオンデマンドEC系のビジネスがスケールするのかといった点も気になるところです。先述したように、日用品や食事を購入するのが億劫な米国ベイエリアとは違い、日本ではコンビニやスーパー、レストランが充実しており、いつでも徒歩圏内で必要な食品や日用品、おいしい食事を手に入れることができるため、この手のサービスにおいて、日本に米国ほど強い需要はないかもしれません。

しかし、既存のコンビニやスーパー、一部のレストランがデリバリーのサービスを提供していることから分かるように、買い物に行く時間や労力を節約したいビジネスパーソンや高齢者、主婦などが一定数存在するのも事実です。コンビニや近所のレストラン、またネットスーパーとは異なった形のユーザー体験を提供することができれば、日本でも評価額$1B(1000億円)には届かなくとも数百億円規模のビジネスになる可能性は十分にあると思います。Muncheryのように、行列のできるレストランの料理をハイエンド向けに提供するフードデリバリーや、人口密度の高い日本の都市部では、配達よりもテイクアウトに特化した事前注文型のECなどに需要がありそうです。

日米問わず、今後もオンデマンドECの分野から目が離せません。


Appleが本の内容解析サービス、BookLampを極秘で買収した理由

〔アップデート〕「Appleはアイダホ州Boiseに本拠を置く本のビッグデータ解析のスタートアップ、BookLampを買収した」というTechCrunchの以下の記事に対し、Appleは「われわれはときおり小規模なテクノロジー企業を買収するが、通例、その目的や将来計画については論じないこととしている」という定形をコメント寄せ、事実上、買収を確認した。

別の情報源によると買収金額は「1000万ドル以上、1500万ドル以下」 だという。

BookLampの主要なプロダクトはBook Genomeプロジェクトで、選択、分類、検索などに役立てるため、自然言語処理テクノロジーを用いて本の内容を解析するサービスだ。BookLampのテクノロジーはAppleのiBooksサービスのユーザー体験を強化するために役立てられるのだろう。

BookLampチーム:(左から)Matt Monroe、Sidian Jones、Aaron Stanton、Dan Bowen

買収に先立ってBookLampは地元投資家から90万ドルを調達していた。BookLampはAppleの最初のアイダホ州での買収となったもようだ。一時AmazonもBookLampに関心を示し交渉を行っていたらしい。結局Amazonは別の本のディスカバリー・エンジンであるGoodReadsを買収した。

Book Genomeプロジェクトとは?

BookLampが有名になったこのプロジェクトは多数の小説の内容をスキャンし、読者が読んで好んだものに似たスタイルや内容の小説ないし著者を推薦するというものだ。このスキャンはテーマ、プロット、内容も抽出でき、推薦や検索の精度を向上させるのに役立てることができる。AppleがBookLampを買収した大きな要因はeブックの検索、推薦能力でAmazonに対抗したかったからだろう。

TechCrunchは2011年にBookLampを紹介している。当時BookLampは「われわれは本のPandoraを目指す」としていた。つまり多数の本をスキャンしてその内容を数値化し、類似性を判定して推薦に使うテクノロジーの開発だ。昨年、CEOのAaron StantonはBook Genomeプロジェクトについて、われわれは毎週4万冊から10万冊の本をスキャンしていると語った。

BookLampのテクノロジーがどう働くのか例を見てみよう。上のスクリーショットはDigital Book WorldがBookLampのテクノロジーを利用してスティーブン・キングの『呪われた町(Salme’s Lot)』の内容をビジュアル化したものだ。‘吸血鬼、超自然現象’、‘葬儀/死 ’、‘家庭、家庭環境’、‘苦痛、恐怖/ 否定的感情’などが要素として抽出されている。

下は同じくスティーブン・キングの『キャリー』の分析。

BookLampは小説の内容について、たとえば性的コンテンツの表現の程度や表現されている場所を特定するなどの解析もできる。下はDigital Book Worldが掲載したBookLampのデータによる官能小説の大ベストセラー、50 Shades Of Greyの分析だ。最初はおとなしく始まるがやがて強烈にエロティックなシーンが現れる。一番下は『愛しの伯爵と秘密のひとときを』(His Mistress By Morning)の分析で、ところどころにエロティックなシーンがあるものの全体としてはピューリタン的だ。 真ん中はペントハウス誌に寄せられた体験談という体裁の短篇集、“Letters To Penthouse XXVIII”で、まちがいなく全編ノンストップのエロだ。

読者が自分の好きな小説を選ぶとBookLampはその内容をスキャンして「本のDNA」を抽出し、それに基づいて読者が好みそうな小説を推薦する。たとえば『ダビンチ・コード』のファンには『テンプル騎士団の遺産』を推薦するという具合だ。両者は‘カトリック教会’、‘歴史/学問の世界’、‘戦略的計画’‘図書館’などの要素が共通している。

iBooksの強化に向けて

Appleが自社のeブック・プラットフォームの強化のためにBookLampを利用する方法はいくつか考えられる。

まず最初にAmazon X-Rayのような機能を提供するためにBookLampが使えるだろう。X-Rayは登場人物を始めとして特定の単語が本のどこにどれほど登場するかをグラフィックに示してくれる。これは本を詳細なカテゴリーに分類したり性的、暴力的コンテンツの有無や程度を判断したりするのに大いに役立つ。ペアレンタル・コントロールには必須の機能だ。現在AmazonはX-RayをKindleデバイスだけでなくiOSのKindleアプリにも提供している。

また「本のDNA」を抽出するテクノロジーはeブックの個人出版が盛んになった場合、市場性を判断し、適切にカテゴリー化するのに役立つだろう。

しかしもっとも有用ななのは、もちろんiBooksへの推薦機能の導入だ。

現在AppleのiBooksにはユーザー別のカスタマイズ機能があまりない。App Storeと同様のベストセラー・チャートはあるが、「これを読んだ人はこちらも読んでいます」という推薦機能はない。信頼できる推薦機能はユーザーをつなぎとめ、繰り返し購入させるのに非常に有力なツールだ。

AppleとAmazonのeブック戦争でBookLampはAppleの秘密兵器として活躍しそうだ。

この記事はDigital Book Worldの図へのクレジットを正しく入れるためにアップデートされている

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カフェインのイヤリングはいかが?―Amazon、カスタマイズできる3Dプリント製品ストアをオープン

Amazonは3Dプリント製品のストアをオープンした。このストアでは消費者はサイズ、色、素材、デザインの一部などを好みに応じてカスタマイズすることができる。取り扱い分野は宝飾品、エレクトロニクス製品、おもちゃ、ゲーム、インテリア製品、キッチン用品などで、MixeeSculpteo、3DLTなど多数のパートナーが製品を提供する。

Amazonは「このストアのデビューによって、従来よりはるかに柔軟に消費者の要求に応じることができるようになる」としている。Amazonのマーケットプレイス販売部門のディレクター、Petra Schindler-Carterはプレスリリースで「3Dプリント製品ストアはオンライン通販のパラダイムシフトの開始を告げるものだ。製造業は消費者の要求にこれまでよりはるかに機敏に対応することができる」と述べた。

ストアのオープンにともなってAmazonは3Dプリント製品を消費者が簡単にカスタマイズできるツールもリリースした。このウィジェットでは、基本的なデザインを選択し、色や素材(プラスティック、金属など)を指定すと360°全周方向から3Dでプレビューができる。また顧客は厚さ、直径などデザインのいくつかの部分をカスタマイズできる。

分野や素材によって価格はさまざまだが、安い製品の場合は30ドル台だ。

多くの主要国で最大級の小売企業であるAmazonが、消費者が直接カスタマイズ可能な3Dプリント製品の販売を始めたことは、製造業そのもののターニングポイントとなる可能性を秘めている。受注生産や小ロット生産の製品は3Dプリンターを利用することで製造コストが劇的に下がる。3Dプリント・テクノロジーが今後も発達を続けるなら、カバーされる製品の分野も加速度的に広がっていくだろう。

今のところAmazonは予めカタログに載せた製品しか販売しない。Shapewaysのようにユーザーがアップロードしたデータを3D出力するサービスは提供していない。しかし将来は、その方向へのドアも開かれるかもしれない。

〔日本版〕 カット写真は分子モデルアクセサリーで、写真はカフェインだというが、砂糖、ドーパミン、アスピリンなどいろいろなオプションがある。イヤリングとネックレスがあり、サイズは大中小、素材はナイロンかステンレスが選べる。

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Amazonの第2四半期は売上193.4億ドル、赤字1700万ドルで株価は5%急落

今日(米国時間7/24)、株式市場の取引終了と同時に、Amazonは第2四半期の決算を発表した。これによると193億4000万ドルの売上に対して一株当たり0.27ドルの損失が計上されている。アナリストは193億400万ドルの売上と一株当たり0.15ドルの赤字と予測していた。

対前年同期比ではAmazonの売上は23%アップしたが、損益は7900万ドルの黒字から1700万ドルの赤字へと大幅にダウンした。昨年同期の純益は700万ドルだったが、今期は1億2600万ドルの純損失となった。

この情報にAmazonの株価は5%も急落した。しかしAmazonの株価は損益よりもっっぱら売上高にもとづいて評価される傾向がある。 また小売業の特性から第4四半期に売上が急増するという季節的要因も強い。

Amazonの今期末の現金及び現金等価物は50億ドルだった。

Amazonは新発売のFireスマートフォンについて詳しい説明をしていないが、「ローンチ後、Amazon Appstoreへのアプリの登録は2倍以上に増えた」と述べた。

Amazonの損失の原因は巨額の投資だ。発表によると、AWSは「昨年、数千人の社員を新たに採用した」という。これも利益を圧迫する要因の一つだろう。

第3四半期の見通しは、売上が197億ドルから215億ドル、損失が8億1000万ドルから4億1000万ドルと、昨年同期の2500万ドルの損失に比べて赤字の急増を見込んでいる。Amazonはこの見込みについて「4億1000万ドルに上る株式ベースの給与と無形固定資産の償却」によるものとしている。

Amazonのサービス売上総額は昨年同期の29億5200万ドルから40億8900万ドルへ38.52%アップした。北アメリカの「その他」の部に計上されているAWSの売上は11億8600万ドルだった。

投資家は今期の結果にも来期の見通しにも弱気になっている。Amazonは売上高では予測どおりだったが、予測を大きく上回る損失に市場はショックを受けたかたちだ。

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AmazonのFire Phoneを使ってみた…まさにeコマース王Amazonのためのスマホだ

先月発表されたAmazonのFire Phoneは、同社初のモバイルハードウェアだ。従兄弟(いとこ)のKindle Fireタブレットと同様、OSはAndroidの独自フォークを使用、 Amazonの大きな、どんどん成長しているコンテンツライブラリのすべてに、簡便にアクセスできる。

外見的には高級品っぽくて、AppleやHTC、Samsungなどの代表的機種と比べても見劣りしない。iPhone4や4Sに似て、前面と背面がガラス、そして縁(ふち)を構成する曲面状のプラスチックは、AmazonのeリーダーKindle Paperwhiteのような、スムースでしっかりした印象を与える。

Kindle Fireのインタフェイスに慣れている人は、Fire Phoneのカルーセル状のホーム画面にすぐ親しめるだろう。ユーザは自分が最近使ったアプリやコンテンツを、簡単にスクロールできる。カルーセルの下には、通知が表示されたり、あるいはAmazonのストアにある関連コンテンツのリンクがある。また、下の方からスワイプすると、アプリをグリッド状に並べた‘ふつうの’ホーム画面のレイアウトになる。

〔ここにスライドが表示されない場合は、原文を見てください。〕

Fire PhoneのDynamic Perspective(動的パースペクティブ)機能は、デバイスの前面にある4基の赤外線カメラを使用して、まるで3Dのような、奥行きのある物や画面を表示する…もちろんユーザの視線の角度に応じて立体像は変わる*。これをいちばん多く使うのはロック画面で、いろいろなシーンのセレクトをアニメのジオラマのような感覚で行える。また本機をユーザが手に持ったときの角度(傾斜)に応じて表示内容が自動的に変わる、“peek”(覗き)と呼ばれる機能もある。ただし、この動的パースペクティブ機能を巧みに使いこなしているサードパーティアプリは、まだあまりないようだ。〔*: 余計な訳注…3Dで上から下から横から物を見られる=表示する機能は、何よりもeコマースで生きる!〕

Amazon Fire Phoneのもうひとつの目立つ機能が、Fireflyだ。これはボリュームロッカーの横にある専用カメラ用のボタンを押して起動する。ざっと試してみたが、カメラがとらえた、ほとんどどんな製品でも、それをAmazonで買うといくらで買えるか、を表示してくれる。ぼくが試したのは、本各種、DVD各種、CD各種、歯磨き、オフィス用電話機、手を消毒するスプレー、…これらすべてが、すぐに認識された。ただしこれらはどれも、表面にその商品のラベルがある。まちを歩いている人を撮って、その人が着ている服の値段を調べるのは、まず無理だろう。でも、それすら、数か月後には可能になるかもしれない。なぜならFireflyのSDKがやがて、サードパーティのデベロッパに提供されるからだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazon Unlimitedに出版ビッグ5が参加しない理由

Amazon Unlimitedは、本のNetflixと評された。これは、Netflixが、低予算インディーズ作品の山と、いくつかの主要小スタジオの作品からなるという意味である限りは正しい。実は、Amazonの新しい9.99ドル読み放題サービスには、「商業出版社ビッグ5」の本が含まれていない。Amazonが口をつぐんでいる話題だ。

私はAmazoに説明を求めているが未だに回答はない。しかし、Unlimitedのリストにある人気作品を見渡せば、いずれも、小さな出版社 ー 「小さな」は相対的表現 ー あるいは独立系作品であることがわかる。例えば、 Life Of Piの発行元は、Mariner Booksで、ここは教育系出版社、Houghton Mifflin Harcourtの傘下だ。Michael LewisのThe Flash Boysは、W. W. Norton & Companyから出ている。そして目玉作品のHarry Potterは?これを所有するのはPottermore Limited、J K Rowlingのビジネスベンチャーだ。要するに、大物たちは参加していない。

実際、主要出版社の多くは、他のパートナーの開発と投資に必死だ。 例えば、Oyster Booksは、このアンチAmazon感情の恩恵に預かっているし、Zola Booksのように、出版インサイダーらが出資した会社もある。これらのサービスが実を ー 現金を ー 成らせられるかどうかは、別問題だ。

インディーズ作家の一人として私は、Amazonがロングテールのためにしていることは重要だと知っている。自分の本を[試して」みる人たちからお金をもらえるのはすばらしいことだ。しかし、Amazonの行動にまつわる騒動はまだ終わっていない。Hachetteとの戦いは収まる様子がなく、今やビッグ5は、Amazonが味方であるより、はるかそれ以上に敵であることに気づき始めている、全体的に見て、Unlimitedの人気作品に関する見通しは明るくない。しかし、Netflixが実証したように、少数の大ヒット作品を前面に掲げ、そこそこ人気のタイトルを無限リストに加えることは、堅実なビジネスモデルだ。

ついでだが、Unlimitedは電子デバイスでの読書を探求したい子供たちにとって、実に有難いサービスだ。例えば私の息子は、Minecraftの電子書籍をすでに数十冊ダウンロードしており、著者はロボットか小学生らしい。一冊など、全編がインターネットから集めてきたMinecratf用語から成っていた。ちなみに、彼はまだハリーポッターを読もうとしない。無料なのに。

この事実は、ビッグ5をためらわせるにちがいない。もしAmazonが一儲けすることができなければ、富は広く分散されることになり、Oprah Book Club受賞作品の著者たちも実入りは少なくなるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Amazon、月額$9.99で読み放題サービスを提供するKindle Unlimitedを正式スタート

Amazonが公式にKindle Unlimitedの開始をアナウンスした。電子書籍およびオーディオブックの「食べ放題」サービスだ。

これはまさに「書籍版Netflix」といったサービスで、KindleおよびKindleの動作するデバイスにて60万点にものぼる電子ブックや、あるいはAudibleのオーディオブックを楽しむことができる。

さまざまなベストセラー作品が対象に含まれていて、Diary of a Wimpy Kidシリーズやハンガー・ゲーム三部作、フラッシュ・ボーイズなども読むことができる。

また『灯台へ』や『猫のゆりかご』といった古典作品や、Kindleオンリーで提供されるさまざまな作品群もサービスの対象となっている。

オーディオブック化されているものについては、読んでいる位置を同期しながら文字と音声を切り替えて楽しむことができるのも大きな魅力だ。

何冊でもライブラリに加えることができるようになっていて、Amazonのサイトでは「Read for Free」という新しいボタンが表示される。著者との間でのロイヤリティの割り振りなどについての情報はまだ入っていない。

これはビデオ見放題のサービスであるAmazon Prime Videoとも似たところのあるサービスだ。有名なベストセラー作品も多く対象となってはいるが、対象作品となっているものの多くは、Unlimitedにて新たな読者開拓を狙う、ニッチな作品が多い。ただしメジャー出版社であるいわゆる「ビッグファイブ」も、いくつかベストセラーや有名作品をUnlimitedの対象作品として提供している。出版社との間での利益配分がどうなっているのかにも興味がわくところだ。Unlimitedサービスには多くの人が登録するものと思われ、出版社としてもそれなりの利益配分を求めているはずだ。

ちなみにOysterなどにとっては悪夢のような出来事と言って良いかもしれない。Amazonのような業界リーダーが読み放題サービスに参入することで、小規模な競合サービスなど蹴散らされてしまうことが予想される。そうしたある意味での「問題点」はともかく、たとえばインディーライターとの関わりを考えても、Unlimitedサービスは大いに注目に値するだろう。

訳注:英文オリジナル記事の方には、プレスリリース文書も添付されています。

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(翻訳:Maeda, H


Amazon、電子書籍定額($9.99)読み放題の「Kindle Unlimited」を準備中(?!)

Amazonが、驚愕の(と言ってよいだろう)サービスを提供しようとしているらしい。Kindle利用者に対し、60万もの電子書籍およびオーディオブックを月額9ドル99セントにて無制限に提供しようとするサービスだ。情報のでどころはこちらのキャッシュに残るウェブページだ。本件を最初に報じたのはGigaOMだった。

これは、たとえばスタートアップのOysterなどが提供しようとする「電子書籍版Netflix」を大規模に展開しようとするものといえよう。Kindleはかなりの成功を納めており、Amazonの利用者も多い。類似サービスと比較して規模の麺では圧倒することとなりそうだ。但し、先ほどのキャッシュが残るページには、Oysterには提供を行なっているSimon & SchusterHarperCollinsなど、いわゆるビッグファイブからの書籍提供については言及されていない。

最大手の出版社は多額(米ドルにて最低7桁)の前払金を求め、さらに読まれるごとに費用が発生するという仕組みを求めている様子。また、新刊書は従来のようにまずは通常の販売チャネル用として確保しておきたいと考えている。Amazonとしてはそうした例外的条件をつけることなくサービスの展開を行いたいわけで、そうした両者の思惑のぶつかり合いから、先述のページにビッグファイブの名前が見られない状況となっているのだろう。

さらにAmazonはAudibleを買収し、Whyspersync for Voiceという機能を通じて8000ほどのオーディオブックを提供しているのも大きな魅力となるだろう。利用者は目的や状況に応じて、電子書籍とオーディオブックを自在に切り替えて楽しめるようにもなる。

このKindle UnlimitedはAmazonにとっても新たなチャレンジとなるものだ。書籍関連分野に限定したもので、たとえばAmazonプライムなどとは独立したサービスとして展開されることになるのだろう。これまで年間99ドルのプライム会員費用にてサブスクリプションサービス(インスタント・ビデオ、Kindle Lending Library、そしてPrime Music)を展開していた。そのような中、独立したサービスとしてKindle Unlimitedを投入することで、さらなる売上向上を目指すことができるようになるわけだ。しかもこのサービスの対象となる人は、Amazonの最も熱心な利用者層でもある。

詳細はAmazonに問い合わせ中。何かわかれば続報をお届けしたい。

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(翻訳:Maeda, H


AWSは、開発ツールから脱皮しようとしている

Amazon Web Servicesは、様々なことで知られているが、そのいずれもがクラウドコンピューティングのインスタンス、データベース、およびストレージ等のデベロッパー向けサービスに関連するものだった。しかし最近AWSは、徐々にエンドユーザー向け生産性ツールになりつつある。

Amazonがこの市場へ参入した最初の試みはAmazon Cloud Driveだった。これは去る2011年にスタートしたが、正確な利用者数は知られていないものの、多くの消費者が登録したとは思えない。今 ― おそらくFire Phoneの発売に合わせて ― 同社はこの取り組みに拍車をかけるべく、AWSの名前の下、エンタープライズユーザーを引き込もうとしている。

Cloud Driveの後、この分野ではおよそ静かだったAmazonだが、昨年になってAmazon WorkSpacesの限定ベータテストを開始した。これはエンタープライズ向けのバーチャルデスクトップで、今年3月に一般公開された。Workspaceを使うために、依然として管理者はAWS管理コンソールで設定する必要があるが、ユーザーにとっては単純明快な体験だ。

このプロジェクトは、もちろん実際のウェブアプリケーションよりもバーチャル化が主な目的だった。しかし、今回Amazonが発表したZocaloは、Google Drive for WorkやDropboxと競合するフル装備のサービスで、ウェブベースのインターフェースが用意されている。ここでも対象は主としてエンタープライズであり、消費者向けの無料サービスは提供されない(ただし、5ドル/ユーザー・月という通常価格は実に意欲的だ)。しかし、ひとたび軌道に乗れば、Amazonが企業だけを相手にするとは考えにくい。

Amazonは、これまでにも電子書籍や音楽サービス向けにある種のウェブアプリを長年提供してきたが(おそらくAmazon.comもウェブアプリだとする考えもあるだろう)、Zocaloは、AWSにとって全く新しい方向への一歩だ。そしてこれは、スタートアップ各社が心配すべき事柄でもある。例えば、DropboxはAWS上でスタートした。しかし、Amzonも自らこの市場を取りに来るとしたらどうだろうか?

Fire OSで、同社はデザインもできることを示した。Zocaloのデザインが一部Fire OSに似ているのは偶然ではないだろう。

消費者向きではないが、AWSの新しいモバイルアプリ分析サービスも、同じように同社のプラットフォーム上に作られた他の分析サービスと競合する立場にAmazonを置くものだ。機能的にはまだ、Flurryの分析サービス並みとはいかないが、豊富な無料サービスは多くのデベロッパーにとって十分かもしれない。

現時点でAWSは、モバイルであれウェブであれ、デベロッパーがアプリ開発に必要なものを、ほぼすべて提供している。同サービス上には新機能が急速に追加されているが、その殆どは段階的なアップデートだ。同社がAWSを新しい(あるいは少なくともAmazonにとって新しい)分野にどう展開していくかを模策中であり、その多くがデベロッパー向けサービスやAPI以外に向けられていることは理にかなっている。

Amazonの取り柄は何をおいてもその積極性であり、最近のFire Phoneや数々の新ウェブサービスの発表がそれをよく表している。その結果各分野のライバルたちをいら立たせることがあるとしても、おそらくそれはAmazonがさほど心配していることではないだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


親の同意のない巨額のアプリ内購入に関してFTCがAmazonを告訴

【抄訳】

連邦取引委員会(Federal Trade Commission, FTC)が木曜日(米国時間7/10)に、 Amazonに対する告訴状を提出し、同社は子どもたちの親の同意のないアプリ内購入に関し、親たちに数百万ドルを請求した、と申し立てた。

この告訴は、Appleが今年の初めに受け入れたような‘親の同意’モデルの実装要求をAmazonが拒否したことの結果である。先週FTCからAmazonに送られた書簡にも、そのことは明記されている。Amazon自身は、FTCがAppleに対して認めたのと同様の、実効性のある親のコントロールをすでに実装している、と考えており、すでに、子どもが親の許可無くアプリ内購入をした、と主張する親には返金した、と同社は言っている。

しかし今日の告訴状でFTCは、アプリ内購入の額の30%を取るAmazonは、子どもたちに“これらの子ども向けゲームで遊ばせて、‘アイコン’や‘スター’や‘どんぐり’といったアプリ内の仮想アイテムに、親の関与なく無制限の金額を支払わせている’、と非難している。

木曜日に発表された声明の中でFTCの女性委員長Edith Ramirezは、こう言っている: “Amazonのアプリ内システムは子どもたちが親のアカウントに親の許可なく、無制限の課金を負わせることを許している。Amazonの社員たちですら、その過程が深刻な問題を作り出していることを認識している。われわれは、被害を受けた親たちへの返金と、Amazonがアプリ内購入に関して確実に親の同意を得るよう、裁判所が命令することを求めている”。

Amazonがアプリ内課金を最初に始めた2011年11月にFTCは、パスワードによる保護がないので子どもたちは自由に無許可の購入ができる、とAmazonを非難した。FTCによれば、そのために親のところには巨額の請求が来ることになり、Amazonの社員はそれが問題を起こすことに気がついていた、という。告訴状には、そういう内容のAmazon社員のメールが添付された。そのメールの一つは、“うちの顧客の大半にとって、明らかに問題になる”、と言っている。そのメールは、“今のこの状況は家が火災で燃えている〔のを放置している〕のに等しい”、と述べている。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazon、Hachetteの著者に「交渉が決着するまでeブック売上の100%を支払う」と提案

AmazonはHachetteとの戦争が長引く中で新しい手を打ってきた。New York Timesによれば、AmazonのKindleコンテンツ担当副社長、DavidNaggarはHachetteの一部の著者に向けて「交渉が決着するまで売上の100%を著者に払う」と提案するメールを送ったという。このメールはAmazonの宿敵、AuthorsGuildにも転送された。

Naggarのメールにはこうある。

Hachetteとの交渉が長引く中、これに巻き込まれた著者が不利益を被っていることをわれわれは認識している。特に新人、中堅の著者に与える影響が深刻であることに留意している。しかしHachetteはわれわれの提案に対してなかなか反応せず、交渉を進展させようという意欲に著しく欠けている。Hachetteがこの態度を劇的に改めない限り、交渉は非常に長引くだろう。

Hachetteが同意するなら、この交渉が続く期間中、Hachetteの著者はAmazonが販売するeブックの売上の100%を受け取ることにするようわれわれは提案する。AmazonとHachetteは双方ともに、新たな合意に達するまでの期間中、eブック売上からの利益を放棄するものとする。

これと同時に、AmazonはHachetteの印刷版書籍の在庫、販売価格についてもすべて従来のレベルに戻す。また近刊書の予約受け付けも再開する。

この書簡に対してAuthors Guildは「著者を助けると見せかけてHachetteを骨抜きにしようとする企みだ」とブーイングしている。しかしAmazonが出版社を必要とする度合いよりも出版社がAmazonを必要とする度合いの方が大きい。主にAmazonの支援によって、インディー出版社は質量ともに四半期ごとに急成長しつつある。インディー出版社が既存の巨大出版社を追い越す日も近いのではないか。

出版社に対する著者の感情も厳しくなっている。先週、ミステリー作家のRobert Chazz Chute はAuthors GuildのAmazonに対する頑な態度について「Amazonは市場で競争に勝っているに過ぎない。これを独占と呼んで非難するのは奇妙だ」と批判した。

Amazonが著者が失っている収入の埋め合わせをするのは正しい。しかしこれがAmazonにできる最良のことかといえばもちろんノーだ。しかし両者とも簡単には引き下がらないだろう。SF作家のコリー・ドクトロウが論じたように、出版社は海賊行為を恐れるあまり、最大、最強の海賊、ジェフ・ベゾスに権利を預けてしまった。出版社が2000年代にeブックにDRMを設定することを決めたとき、われわれがAmazonの鉄の腕に囲いこまれるという運命が決まってしまった。AppleでさえAmazonからわれわれを救い出すことはできなかった。

いずれHachetteは妥協を余儀なくされるだろう。Amazonの支配力は一層増すに違いない。Authors Guildはまたもやイノベーションに歯ぎしりして食ってかかるチャンスを得るだろう。そうした中で割を食うのはいつも著者だ

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Amazon、超低価格のEC2インスタンス、T2をリリース―Google Compute Engineに対抗

今日(米国時間7/1)、Amazon はEC2クラウド・コンピューティングにこれまでで最も低料金のインスタンスを追加した。このT2インスタンスはオンデマンドの場合、1時間あたり0.013ドル(月極なら9.50ドル)で、予約インスタンスの場合はさらに安い。ただし若干の注意事項がある。

まずこのインスタンスの処理能力はかなり限定されている。いちばん小さいt2.microインスタンスのデフォールト(Amazonはベースライン・パフォーマンスと呼んでいる)は最大CPU能力の10%となる。ただしユーザーには毎日一定のクレジット・ポイントが与えられ、一定時間に限ってインスタンスをフルパワーで作動させることができる。

たとえばt2.microインスタンスの場合、利用1時間ごとに6CPUクレジット・ポイントが与えられる(t2.small、t2.mediumの場合、それぞれ12ポイント、24ポイント)。使用されなかったポイントは24時間に限って蓄積でき、1ポイントでCPUを1分間フルパワーで作動させるために使える。

たとえばt2.microのユーザーがベースライン・パフォーマンスでインスタンスを起動したまま10時間にわたってCPUを使わなかった場合、CPUを1時間フルパワーで作動させることができる(10時間x6ポイント=60ポイント)。

Amazonの他のインスタンスと違って、T2の料金体系はシンプルなので予測がしやすく、またクレジット・ポイントを蓄積することによって、短時間なら大きなパワーを得ることができる。0.013ドル/時というのはGoogle Computeエンジンのローエンドのインスタンスとほぼ同じレベルの料金だ。

AWSのチーフ・エバンジェリストのJeff Barrは「このようなインスタンスはトラフィック量の比較的少ないウェブサイトのホスティングの他に実験的なプロジェクトを開発しているデベロッパーにも好適だ」と述べた。

つまりT2が主なターゲットとしているのは〔ポイントを貯めておいて〕日に何度かプロジェクトを走らせることができるホスティング能力を完備したサーバーを必要としているようなデベロッパーだろう。このような場合、Amazonの通常のインスタンスは高価すぎ、クライアントはこれまでもっと低料金のLinodeDigital Oceanなどのプライベート・バーチャル・サーバーに流れていたただろう。

新インスタンスは現在ほとんどのリージョンで利用可能だ(北カリフォルニア、中国、AWS GoveCloudの各リージョンでは利用できない)。

〔日本版〕Amazonによれば、CPUは2.5 GHz Xeon、Asia Pacific (Tokyo)リージョンから利用可能。

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完全防水のKindle Paperwhiteは確かに便利だ

従来から大きく進化した利便性をもたらすデバイスが登場すると、その便利さに目がいってしまって改善ポイントを見逃してしまうこともある。Kindle Paperwhiteが、まさにそのケースに当てはまるのではないだろうか。Amazonが世に出したこのデバイスを上回る電子書籍リーダーというのは、まだ存在しないように思う。但し、ビーチで突然の大波におそわれたような場合は少々やっかいだ。普通の本であればしわになっても読めなくなるということはなかったが、Kindleはもしかすると動かなくなってしまう。Kindle Paperwhiteに残された最期の欠点を改善しようと動き出したのがWaterfiだ。

Waterfi版Kindleも、外見的には本家版となんら変わりはない。ノーマルのKindleと同じ感じで、ただ、ほんの少し重量が増しているだけだ。タッチスクリーンの動作も、もとのものと変わりない。外見的にはほとんど変わらない中、Waterfiの加工が施され、完璧な防水加工となっているのだ。真水でも海水でも、ともかく200フィート以上の深さに時間無制限で耐え得る。

間違いのないように強調しておくと、備えているのは防滴機能ではなく防水機能だ。たとえばスキューバダイビングにでかけ、海の底に腰を落ち着けながら『海底二万里』を読むことができるわけだ。これはちょっとした「経験」になり得るかもしれない。もう少し現実的な話をするならば、たとえば風呂に入りながら読書することができる。さらにカリブ海のリゾート地のプールサイドバーで、水濡れなど心配せずに読書することができる。出かけていく時間が気になるなら、裏庭で子供用のビニールプールをふくらませて、そこで読書に勤しむことももちろんできる。

防水機能を確認するため、シャワールームに持ち込んでみた。シャワーヘッドの真下にもっていかない限りは普通に使うことができた。シャワーヘッドの下に持って行くと、シャワーによる水流をタッチ操作だと誤認識してしまうのだ。また、水を入れた容器に沈めて3日間放置してもみた。取り出した後でも、なんの変化もなくきちんと動作した。もともとバッテリー寿命も長い製品なので、水の中に1ヵ月間おいておいても、きっとまだ読書に使うことができるだろう。Kindleの収納場所に困っているという人がもしいるのなら、トイレのタンクの中にしまっておくこともできる。読書はトイレでと決めている人がいれば、まさに一石二鳥の収納場所だと言えるかもしれない。

電子デバイスを防水にしても、それが必要となる環境で使ったりしないのではないかという話もある。もちろん、そういうデバイスもあるだろう。しかしKindle Paperwhiteは旅行やビーチにも持ち出されることの多いデバイスだ。これを防水化するのは確かに有益なことだと思う。価格はWi-Fi(広告掲載版ではない)版で239ドル99セントとなっている。3G版は299ドル99セントだ。現在の最安値と比べると120ドルも余計に払うことにはなる。しかしそれでKindleがスーパーKindleに生まれ変わるのだ。得られる便利さを考えると、考えて見るに値する金額ではないだろうか。

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(翻訳:Maeda, H


AmazonのFire Phoneでほかのスマホにない機能はなんだろう?

〔これらの画像をスライド形式で見たい方は、原文を見てください。〕

今日Amazonは、長らく噂されていたFire Phoneを披露した。最大の目玉は、みんなの予想どおり3D効果だが、ほかにもこれまでの携帯〜スマートフォンになかった気の利いた機能がいくつかある。

 
 
Firefly

Fireflyは、Amazonの携帯だからこそ意味がある。それは“物のShazam”のようなもので、あなたのカメラが見た物をAmazonで買えてしまうのだ!

 
 
撮ったらそれを買え

カメラが電話番号や本の表紙や商品のバーコードを見たら、Fireflyがその電話番号の完全な形や本の名前や製品を自動的に見つけ出す。

 
 
映画や音楽も分かる

カメラがテレビ画面を見たら、今映っている番組や映画の名前を当てる。Shazamのように、音楽の曲名も当てる。

 
 
Firefly専用の物理ボタンがある

Fireflyはデバイスの側面の物理ボタンで起動するから、カメラが物を見たらその直後に2〜3秒でそれをAmazonで買える。

 
 
写真のストレージは容量無制限

Fire Phone本体のストレージは32GBまたは64GBだが、AmazonのCloud Driveは無料で容量無制限だ。

 
 
メーデー! メーデー!

昨年Kindle Fire HDXが出たときは、最大の目玉がメーデー機能(救難信号)だった。一度タップするだけでAmazonのカスタマサポートの人が画面に現れて、あなたを助けてくれる。Fire Phoneにも、その機能があるのだ。

 
 
視界が動く3D効果

単なる立体写真ではない。あなたの顔〜頭が右へ動けば右から見た像になるし、左へ動けば左からの像になる。上下に関しても同じ。Amazonはこれを、ヘッドトラッキング機能(頭を追跡する機能)と呼んでいる。(今このWebページの上で頭を動かしても無駄!)。

 
 
なんでも3D

フロントカメラがつねにユーザの頭の動きを追っているから、写真でもロック画面でも、ありとあらゆるインタフェイスがその動きに追随する。なかなか感動的ではあるが、果たしてそれほど重要な機能かな?

 
 
SDKがある

サードパーティのデベロッパが自分のアプリやゲームから4つのカメラを利用して、3D効果〜頭追跡機能を実装できる。そのためのSDKがすでに提供されている。

 
 
Amazon Primeのエコシステム

Fire PhoneはAmazonのPrimeアカウントに統合されている。だからInstant Video、Prime Music、Kindleのeブックなどなど、PrimeのコンテンツのすべてにFire Phoneからアクセスできる。本来は有料のアカウントだが、Fire Phoneを買うと1年間、無料で優待される。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))