Googleはスパイツールとされるアプリ「ToTok」のストア削除を認める

2019年12月のThe New York Timesの報道によれば、人気のメッセージングアプリのToTokは、アラブ首長国連邦(UAE)の政府がユーザーの会話や位置情報、ソーシャル上の繋がりを追跡するために使用しているスパイツールだという。同アプリはGoogle(グーグル)の調査により12月にGoogle Play ストアから削除されたが、2020年1月初めに復活した。そして同社は今回、同アプリを再び削除したことを認めたが、その理由についてはコメントを避けた。

なお、海外テックサイトの9to5Googleは米国時間2月14日の金曜日に、ToTokが再びGoogle Playから削除されたことを初めて報じた。

グーグルは質問に対し、Google Playから同アプリを削除したことを認めた。さらに同社は、このアクションは外部からの指示や要請に応じたものではないと述べた。つまり、アメリカ政府はこの問題に関与しておらず、グーグル自身がアプリ自体を削除することを選択したのである。これは、ポリシー違反の可能性が高い。

The New York Timesの最初の記事によると、ToTokはローンチから数カ月で、中東からヨーロッパ、アジア、アフリカ、北米にてApple(アップル)とグーグルのアプリストアから何百万回もダウンロードされた。匿名の情報筋よれば、このアプリはユーザーの「すべての会話、行動、関係、アポイントメント、サウンド、イメージ」を追跡するために使われたという。

ToTokが削除された時点で、グーグルは同アプリがGoogle Playのポリシー(詳細は不明)に違反していると述べていた。アプリ調査会社のSensor Towerによると、アプリはこれまでに1000万回以上インストールされていたという。

1月にToToTokのウェブサイトは、アプリが再びダウンロード可能になったと発表していた。

Viceによると、Google Playに提出されたアップデート版のアプリには、ユーザーの連絡先リストへのアクセスと同期を許可するための、新しいダイアログが設けられていた。

奇妙なことに、アップデート版のToTokはGoogle Playのチャートに2度とランクインしなかった。

通常、App AnnieやSensor Towerのようなサードパーティーのアプリ調査会社は、非常にランキングの低いアプリも確認できる。例えばApp Annieのチャートは、どのカテゴリーでも1750位までのランキングを追跡している。しかし復活後のToTokは、自国のUAEのストアでさえランクインすることはなかった。

しかし、アプリはダウンロード可能だった。グーグルはこのアプリを先週金曜日の2月14日にPlayストアから削除したことを認めた。

現在、ToTokのウェブサイトには、サードパーティーによるAndroid向けアプリストアにあるアプリのリストが掲載されているが、Google Playは登録されていない。なお、サイトでは直接ダウンロードできるAPKファイルが提供されている。

また、ToTokはiOSでは引き続き利用できなくなっている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

YouTubeは悪質コメント対策としてコメントをデフォルトで隠す方式をテスト中

YouTubeのコメント欄は評判が悪い。「インターネット上で最悪」「YouTube全体の有毒な文化の反映」「クリエイターはむちゃくちゃなことをしないと報酬がない」などとも言われた。大騒ぎになったものの中には、児童虐待自殺者の実写ビデオ危険な「奇跡の治療」の宣伝共謀罪の仲間集めなどがある。そこでYouTubeは、デフォルトでコメントを隠すデザイン変更を検討している。

XDA DevelopersがインドのAndroidデバイスでそのテストを最初に目撃した。従来、YouTubeのiOSとAndroidのモバイルアプリではコメントが目立つ場所にない。ビデオは画面上部に出るが、その下には追加、共有、その他、評価などのエンゲージボタンがあるだけだ。さらにその下はYouTubeのアルゴリズムからの推奨ビデオ「次の動画」がある。本当にコメントを見たければ、ページの底までスクロールしなければならない。

テストでは、そのコメント欄すらまったくなかった。その代わり、ボタンをクリックして別の場所へ行かないとコメントは見られない。

その「コメント」(Comments)ボタンは、ビデオの直下の、低く評価と共有の両ボタンの間にある。これでコメントが今後増えるのか、減るのか、横ばいか、それもYouTubeは知りたいのだろう。

ユーザーは、スクロールしてもコメントは見られず、ボタンをタップする必要がある。とはいえ、これまでのように延々とスクロールしないとコメントを見られないのとは、どちらが使いやすいのか?ボタンのほうが楽かもしれない。

XDA Developersの記事によると、そうやって表示した新しいコメント欄は、ページをリフレッシュすれば新しく加わったコメントも見られる。ウィンドウ上部の「X」ボタンをタップすればコメント欄は閉じる。

インドのAndroidデバイスでテスト中とのことだが、現にiOSにもあるし、地域も特定されていない。つまりテストは広範囲に行われていて、インド向けにローカライズされたアプリの機能ではない。

このコメント欄の変更が登場した背景には、YouTubeのコメントがいじめや虐待、口論など、何の役にも立たないコンテンツの棲家になってるだけでなく、小児性愛者が悪用するツールになってることがある。彼らは徒党を組み、コメントでコミュニケーションして、ビデオやタイムスタンプを他と共有している。

YouTubeは最初、子どもが登場するビデオでコメントを無効にした。もっと最近では子どものいるコンテンツを別のアプリに移すことを検討している。子どもビデオをたくさん見られるプラットホームが全世界的に完全オープンになることのおそろしさを、まず検討してほしいところだ。

YouTubeのスポークスパーソンは「Comments」ボタンのテストの件を確認したが「小さな実験をたくさんやってる中の1つにすぎない」と軽視の態度を見せた。

そのスポークスパーソンはこう述べた。「人々にとって重要な意義のあるビデオの発見や視聴、共有、対話等がもっと容易にできるように常に実験を重ねております。ビデオを見るページにコメントをどのように表示すべきかについても、いくつかのオプションをテストしています。ご指摘の機能も、YouTubeが常に行っている小さな実験の1つです。実験のフィードバックに基づいて、機能の一般公開の是非を検討することになります」。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Amazon、iOSアプリにARショッピング機能を追加

本日(米国時間11/1)Amazonは、AR Viewと呼ばれる新機能を公開した。ユーザーはスマートフォンのカメラを使ってオンラインの製品を実生活空間の中で見ることができる。AR Viewは今日からiOSデバイス用Amazonアプリに追加され、家庭やオフィス向け製品数千種類 ―― 家具、電子機器、おもちゃ、ゲーム、室内装飾等々 ―― を拡張現実の中で見られる機能を提供する。

同社は以前にも自社アプリでAR技術に手を出したことはあったが、AR stickerという方式だった。この”shoppable stickers”は対象商品が少なく、太くて白い縁取りがなされたマンガ的デザインはまるで本物のステッカーのようで、あまり役に立つとはいえなかった。

しかし他の多くの小売業者がARの導入に力を入れており、中でも家具販売では特に積極的なのは、実際に家に置いたときどう見えるかがわからないのでオンラインでの販売が難しいからだ。多くの客はショウルームへ行ってランプやじゅうたんなどの装飾品とあわせて部屋に置かれている家具を見ることを好む。

拡張現実(AR)はこうした行動を変える可能性を秘めている。消費者は展示用に作られた部屋ではなく、自分の部屋に置いたところを想像できるからだ。

最近、TargetWayfairIKEAなどいくつかの小売業者が、ウェブサイトやアプリにARショッピング機能を導入している。

IKEAの実装方法と同じく、AmazonのAR ViewはAppleのARKitを利用している ―― サードパーティー開発者がモバイルアプリにAR機能を簡単に付加できるソフトウェアだ。このため、AmazonアプリのAR ViewはiPhone 6s以降のハードウェアで最新オペレーティングシステムのiOS 11が動作していないと使用できない。

新機能を使ってみるには、まずAmazonアプリのカメラアイコンをタップする ―― これまでバーコードをスキャンしたりビジュアル検索していたのと同じアイコンだ。次に表示されたメニューで “AR View” を選ぶ(AR ViewはAR stickersを置き換えたのではないようで、まだ残っている)。

表示された画面でトップメニューをスワイプしていくと、リビングルーム、室内装飾、ベッドルーム、キッチン、電子機器、おもちゃとゲーム、などのカテゴリーを選べる。”top pick”[厳選]セクションもあって現在はEchoスピーカーも入っている。

ただし、商品セレクションの中にはどこまで役に立つのかわからないものもある ―― 黄色いおもちゃのトラックやEcho Dotを買う前に、ビジュアル化する必要があるか?しかし家具などの大きなものやキッチン家電などカウンタートップに置くものに関しては便利かもしれない。

AR Viewの画面では、商品を移動、回転させて360度ビューで見ることができるとAmazonは言っている。

AR Viewは現在iOSデバイス向けに公開中で、Amazonのブラックフライデーセールニュースとともに発表された。

発表文の中で同社は、これでAmazonにはARを含め様々なショッピング方法が揃ったことを強調した。おすすめ商品を一覧できるInteresting Findsや、実際に町を走る “Treasure Trucks” 、リアル世界のAmazon書店、ホリデー・トイ・リストギフトガイドハンドメイドショップなどが用意されている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Snapchatの新しいフィルターは、頭上の空を置き換える

Snapchatの最新AR(拡張現実)機能は、写真を撮る時に顔ではなく、世界に向かって働く新技術だ。”Sky Filters” と呼ばれるその機能は、画像内の空を自動的に検出し、全く別の景色に書き換えてしまう。

この新しいフィルター群は今日からiOSとAndroidで配布されるとSnapchatは言っている。毎日エフェクトが入れ替わり、バーチャル天気、日の入り、星空、虹、暗雲など様々な空のフィルターがある。

このフィルターは、Snapchatがフレーム内に空があることを認識すれば、ほかのフィルターと同じように使うことができる。

Snapchatは、様々なARの新機能を投入しており、最近では周囲とやりとりするアニメーション3D Bitmojiや、ユーザーのまわりにバーチャル物体やエフェクトを追加するWorld Lensesも今年公開した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Supershipの「Sunnychat」は5秒動画を軸にしたコミュニケーションアプリ

Supership取締役の古川健介氏(左)、Supership代表取締役の森岡康一氏(右)

Supership取締役の古川健介氏(左)、Supership代表取締役の森岡康一氏(右)

コミュニケーションアプリと言えば、テキストやスタンプでのやり取りを思い浮かべるが、Supershipが8月1日にリリースした「Sunnychat」(iOSAndroidでそれぞれ提供)は、1つの動画(もしくは写真)を友人間で共有するところからコミュニケーションをスタートさせるアプリになっている。

アプリを起動してホーム画面にあるムービーアイコンをタップし、動画や写真を撮影し、アプリ上の友人と共有。共有した友人間でテキストチャットやスタンプによるコミュニケーションができるサービス。動画は最大5秒まで撮影可能。友人の追加はFacebookやQRコード、電話帳連携が可能(Androidのみ。iOSでは現状QRコードでしか友人を追加できないようだ)。今後はTwitter連携にも対応する予定だ。

Sunnychatの画面イメージ

Sunnychatの画面イメージ

サービスを担当するのはSupership取締役の古川健介氏。Supershipは2015年9月にKDDIグループ(厳密にはKDDIの子会社であるSyn.ホールディングスの傘下)のスケールアウト、nanapi、ビットセラーの3社が合併して生まれた。古川氏はnanapiの創業者で元代表取締役だ。

ちなみにSyn.ホールディングスでは、「すべてが相互につながる『よりよい世界』を実現する」というテーマのもと、スマートフォン時代の新ポータル構想「Syn.」を掲げてサービス群のアライアンスを組んでいる。Syn.ホールディングス代表取締役副社長でSupership代表取締役の森岡康一氏は、Sunnychatもこの「繋がり」のテーマに沿った新規事業だと説明する。

古川氏は「テキスト、つまり言語を中心にしたコミュニケーションはネガティブな感情に振れやすい。逆に非言語、動画や写真を軸にしたコミュニケーションはポジティブな感情に振れやすい」と語る(古川氏はチームラボ代表取締役である猪子寿之氏の話としてこれを数年前に語っていた)。

ではポジティブなコミュニケーションを生むにはどうしたらいいか? Sunnychatではまずは動画や画像を投稿することで、それらについてのポジティブなリアクションができるような仕様にしたのだそう。今後はSnapChatSNOWのような顔認識を使ったエフェクト、さらにはARを使ったエフェクトなども導入を検討している。なおKDDIグループのサービスと連携することは現時点では予定しておらず、ユーザーベースを独自に作っていくことを目指すという。また目標ユーザー数などは公開しておらず、マネタイズに関してはまずはユーザーを拡大してから…とのこと。

8月1日にSupership内で開催された会見の質疑では、前述のSnapChatやSNOWのほか、LINEやTwitterなど先行するコミュニケーションサービスとの差別化に関する質問があったが、「いろいろ参考にさせてもらっているが、競合というのは実はあまり考えていない」(古川氏)という。とは言え、ダウンロードして1日、まだ僕の環境(iOS版)では友人招待の方法が限られていることもあって友人があまり居ないので、他のコミュニケーションサービスとの決定的な違いについてはまだちょっとはっきりしていないところもある(例えば動画が自動再生されるので、LINEのように都度ダウンロードして再生するといった手間がない、とかはあるのだけど)。

ところで古川氏といえば、学生時代に受験生向けの電子掲示板「ミルクカフェ」を立ち上げ、また総合電子掲示板「したらば掲示板」を運営(その後ライブドアに売却)した後にリクルートに入社。いくつかのコミュニティサービスを立ち上げた後にnanapi(当時の社名はロケットスタート)を起業。ハウツーメディアの「nanapi」などを提供してきた。会見後、メディアやコミュニティを運営してきた古川氏がどうしてこのサービスを開発したのか尋ねたところ、こんな答えが返ってきた。

「コミュニケーションをメディア化したものがコミュニティだと思う。そしてコミュニティはいろいろと、『キツい』ことがある。知らない人とのコミュニケーションを許容できる人は、実はそういない。オープンなもの(コミュニティ)も考えたが、それよりも多くの人がコミュニケーションできるようなサービスを作りたかった」(古川氏)

ユーザー主導の音楽ビデオサービスMusical.lyがライブストリーミングのlive.lyをローンチ

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Musical.lyが音楽ビデオの枠を超えて、ユーザーがビデオをライブストリーミングできるプラットホームlive.lyをローンチした。ユーザーはlive.lyアプリを使ってブロードキャストができ、友だちなどはそれを、musical.lyで見る(視る)ことができる。

昨年ローンチしたmusical.lyは急成長が続いていて、今ではこの地球上の約8000万人のティーンが利用している。このアプリを使うと音楽ビデオを簡単に作れるし、またRihannaやMeghan Trainorといった人気アーチストの曲に自分の声をダビングすることもできる。

そして、live.lyが加わったことによって、“録画した(された)ビデオ”だけがコンテンツではなくなった。ライブのストリーミングはFacebookがFacebook Liveをローンチし、またTwitterのPeriscopeの絶えざる進化により、人気が爆発している。Musical.lyもこのトレンドに乗って、ライブビデオのビジネスでも強力なプレーヤーになりたいのだ。

musical.lyは最初、‘口パク’サービスとしてティーンたちの人気アプリになった。でも副CEOのAlex Zhuによると、やがて人びとは“自分たちが予想もしなかったやり方でmusical.lyを利用するようになった”。コメディや動物のビデオなど、音楽以外の利用が増えたためlive.lyは、そういう多様なビデオを軸に、ユーザーが互いにリアルタイムで対話する手段になるだろう、と彼は期待している。

live.lyはすでに一部のユーザーに提供されているが、数週間後には全ユーザーが利用できるようになる。

Musical.lyは、数年前にSnapchatが大人気になって以来初めての、急成長のソーシャルネットワークの一つだ。

本誌TechCrunchは、この上海生まれの企業の巨額の資金調達について報じたが、そのときの評価額は約5億ドルで、投資にはGGV CapitalやGreylockなどが参加した。

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

グルメQ&Aの「ペコッター」、インキュベイトやiSGなどから資金調達しサービスを加速

ブライトテーブル代表取締役社長の松下勇作氏(左から3人目)、デザイナーの大塚晴香(同4人目)と投資家陣

ブライトテーブル代表取締役社長の松下勇作氏(左から3人目)、デザイナーの大塚晴香(同4人目)と投資家陣

グルメQ&Aサービス「ペコッター」を運営するブライトテーブルは1月26日、インキュベイトファンド2号投資事業有限責任組合(追加出資)、iSGインベストメントワークス(2月よりiSGSインベストメントワークスに社名変更予定)、East Ventures、松本龍祐氏(ソウゾウ代表取締役社長)を引受先とする第三者割当増資を実施したことを明らかにした。金額は非公開。

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なお同社は2015年11月にベンチャーユナイテッドからも第三者割当増資を実施している。こちらも金額は非公開で、今回はこれと同ラウンドでの調達となる。ブライトテーブルでは、今後採用を強化してサービス開発体制の強化。Q&Aデータの解析なども進めるとしている。

ペコッターは、希望する飲食店の条件を投稿すると、ほかのユーザーがその条件に合った飲食店の情報を教えてもらえるというサービスだ。ユーザーの質問の投稿に対して、複数のユーザーがチャット形式で回答するインターフェースを採用する。

サービスは2015年3月に開始。現在のユーザー数は2万人。一般のユーザーによる質問・回答に加えて、運営サイドでも回答を行っているそうだが、これまでの回答率は100%、平均5分以内に3〜4件の回答がつくという。ユーザーの割合としては男性のほうが多いが、回答率では女性が65%と男性を上回っている。

また、2015年11月からはチャットによるレストラン予約代行サービス「ペコッター予約」を正式に開始。開始前と比較して、アクティブユーザー数が3倍、予約数は約4倍に伸びているという。加えて、アプリ上でのアクションに応じて「ペコ」と呼ぶポイントを付与。ペコはAmazonギフト券などに交換できる。

ただし前述の予約代行機能、裏側でペコッターの運営が手動で電話をかけているそうで、正直現状のままの運用ではスケールすることは難しそうなところもある。これについてブライトテーブル代表取締役社長の松下勇作氏は、「自動音声を使った予約の仕組みや予約台帳サービスとの連携などを検討していきたい」と説明する。

また冒頭で触れたように、今後はQ&Aデータの解析にも力を入れる。投稿内容から値段や地名、人数、時間、ジャンル、喫煙の可否、朝食やデート利用といった要素を解析し、人力での回答だけでなく、機械的にも飲食店のレコメンドも行う考えだ。それに向けて、ペコッターのキャラクターである「はらぺこくん」を機械化した「メカペコくん」の開発者も募集している。

ペコッターは現在すべてのサービスを無料で利用できる。今後はまず春までにDAU1万人を目指す。将来的には「投げ銭」機能の導入ほか、飲食店やユーザーへの課金でのマネタイズを進める考えだ。

日経グループのQUICKからまさかの美少女キャラゲームーー背景には3年がかりの大プロジェクト

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QUICKと言えば、日本経済新聞グループで金融・経済向けツールやレポートを提供する、1971年設立の言ってみれば“おカタい”会社。そんな同社が、美少女ゲームアプリを出したというのだから驚きだ。

同社は12月21日より、iOS向けにゲームアプリ「IRroid(アイアールロイド) 恋の有効フロンティア」の提供を開始した。App Storeから無料でダウンロードできる(アイテム課金あり)。来春にはAndroid版のアプリも提供する予定だ。

このゲームでは、NTTやキリンホールディングス、旭硝子、帝人、コロプラなど、約30社の応援キャラクター(各社とも擬人化され、美少女イラストとなっている)が登場。ユーザーは「カブ主」となって、お気に入りのキャラクター5人をポートフォリオ(カードゲームで言うところのデッキだ)に自分の資産(実際のお金ではなく、ゲーム内通貨だ)を配分して投資を行う。

株価はリアルな株価データと連動している。ユーザーは投資で資産を増やしつつ、そこで得た通貨でアイテムを購入してIRroidたちにプレゼントを贈るなどしてコミュニケーションをとり、親密度を高めていく。キャラとの親密度が高くなれば、キャラごとのストーリーが閲覧できるほか、株価が上がった際などにボーナスがあるという。

プレスリリースには記載がなかったが、アプリを立ち上げると開発元としてユビキタスエンターテインメントのロゴが表示された。正直なところ最初は提供元と美少女キャラのギャップに戸惑ったのだけれど、本気のゲームアプリとして仕上がっている。

このアプリ、そしてアプリのベースとなる「IRroid」の世界観を作っているのは、「チャンス部」と呼ばれる選任5人、兼任2人で組織されたQUICK若手社員集団とのこと。

同部署の部長である大河内善宏氏に聞いたのだが、IRroidは(1)若年層に企業への関心を高めファンにする(投資家層の拡大)、(2)金融リテラシーの向上と“投資”の社会イメージの改善(証券全体のリブランディング)、(3)証券金融市場の活性化と投資教育(投資・企業情報の啓蒙活動)ーーという3つのミッションを掲げた本気(と多分担当者の趣味と)のプロジェクトなのだという。

プロジェクトは3か年の中期計画のもと進行しており、2014年8月にまず、IRroidのサイトがオープン。これまでに105社の上場企業の応援キャラクターを生み出し、各社の株価データ(や4コママンガ、イラストなど)を提供してきた。

「1年目は今回のコンセプトに共感いただける企業を増やしていくことに注力をいたしました。2年目はいかにユーザーに想い入れを持っていただき、ファンを拡大するうえで、キャラクターにストーリーを加味したアプリをリリースいたしました」(大河内氏)

3年目となる2016年には、「IRroidのブランドを、証券会社、発行体の方々にライセンス提供を行い、実際に投資家を増やすお手伝いをしていきます」としており、6月にはキャラクターを起用した企業紹介ムックを出版する。さらにはテレビの経済番組、新機軸のIRイベント等も企画しているという。

アプリ開発のNagisaがiOS事業を終了、生々しいその経緯を明らかに

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10月にアップルが開発者アカウントを停止し、App Store上から自社アプリが一斉に削除されたNagisa。業界には様々なウワサが錯綜し、それに対してのアナウンスもしていた同社だが、12月11日には自社で提供するiOSアプリ事業のサービスを終了すると正式に発表。今後は受託制作、事業提携・協業等でiOSアプリを提供するほか、事業譲渡でのサービス提供の道を模索するとした。加えて、開発者アカウントの復旧に向けてアップルとは協議を継続するとしている。

この11日の発表だけでは、結局のところNagisaはなぜアカウントの停止措置を受けたのかという詳細は分からないままだった。そのため、これまでに同社が否定していた話も含めて「マンガアプリ上に性的描写があったのではないか」「SNSの運用監視を怠ったのではないか」といったウワサが流れた。だが14日、Nagisaはその経緯について生々しい内容を含めた発表を行っている。

性的描写や広告SDK、審査時のコンテンツ表示が原因

同社の発表によるとアカウント停止の理由は、(1)一般漫画作品の一部にある性的描写での規約違反、(2)既存アプリのアップデート未対応による広告SDKでの規約違反、(3)コンテンツの開発環境と本番環境の出し分け——の3点だ。

まずマンガの性描写について。アップルは以前から表現規制に厳しいという評判があったが(以前だと、マンガ内に描かれたMacbookのアップルマークが問題になったなんて話もある)、規約こそ開示しないものの、性描写についても日本の商業誌以上の規制を行っている。

Nagisaいわく「米アップル社からのご指摘を受け、作品の掲載取り下げ、及び性的描写の該当箇所の白塗り修正を順次進めておりました(中略)米アップル社へ複数回に渡る確認を行っておりましたが、十分な見解を得られることができず(中略)修正作業人員の不足から、迅速な対応が行えていたとは申し上げられない状況でした」という状況だったのだという。同社はアダルト作品については掲載していないとアナウンスしているが、アップルの(明確にしていない)規約上はたとえ一般誌のマンガであってもアウトだったということだろう。

また同社は過去3年間で100個以上のアプリを提供しているが、その広告実装に問題があったというのが2つめの話だ。同社も「具体的なアプリ名について米アップルからのご指摘はなく、いくつかのアプリで規約違反があるという報告をいただいておりました。」としている。僕も数社のアプリ開発者に話を聞いたところ、アップルでは具体的に問題箇所を指摘したり、修正の確認をしたりということはないそうだ。そのため、開発者側で「修正したつもり」であっても、アップル側から見ればペナルティが重なっていったということがあるということだろう。

また3つめに挙げた「コンテンツの開発環境と本番環境の出し分け」だが、Nagisaの説明によると「これまでマンガアプリの審査に3ヶ月以上を要したことがあり、800作以上にのぼる作品のチェックによる審査の遅延を考慮に入れた」ため、審査中のアプリの対応は、一部コンテンツのみが公開されている開発環境を利用していたということだ。つまり、審査をスムーズにするためだというのが言い分だが、それをアップル側が問題視したというわけだ。

これに関連しては「開発者あるある」とでも言うべき話を聞いた。例えばカードゲームアプリなんかであれば、規約上アウトもしくはグレーなコンテンツ(例えば性的描写そのものでなくても、きわどいイラストなど)はアプリ審査中には表示しないようにしておき、審査後に改めて表示するといったことは、アプリ開発者の間では時々聞くような話なのだそう。Nagisaがどんなコンテンツを表示しなかったのかは明らかにされなかったが、「すべてを開示していない」ということ自体が指摘すべきポイントになったことは間違いない。

ユーザーに対して謝罪

僕は経緯を説明したリリースが公開されるのと前後してNagisaに問い合わせを行っているが、リリースにも「これまで長くご愛用してくださったユーザーの皆様にはご迷惑をおかけいたしまして大変申し訳ございませんが、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。」とあるように、同社からはユーザーに対する謝罪のコメントを得た。

アップルはアプリビジネスの個別具体例に関しては関して一切アナウンスを行っていないし、アプリやアカウントが停止措置を受けた際、アプリ開発サイドがここまで詳細な説明をするのは異例のケースだ。詳細を公開したのは、アプリのアップデートができないユーザーなどへの謝罪という観点が大きいのではないだろうか。

ただしそもそも論で言えば、アップルという企業のプラットフォームに乗ってビジネスをする以上、彼らが正しかろうが、そうでなかろうが、ルールはルールだということだ。プラットフォーマーの意向に沿わなければ、いつでも、誰でも、こういった事態が起こりうるということなのだろう。

「gumiショック」からの復活は? TechCrunch Tokyoでgumi代表の国光氏に聞く

いよいよ開催まで2週間を切ったスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2015」。また新たな登壇者について紹介したい。今回登壇が決まったのはgumi代表取締役社長の国光宏尚氏だ。

gumi代表取締役社長の国光宏尚氏

gumi代表取締役社長の国光宏尚氏

国光氏率いるgumiは2007年の創業(当時の社名はアットムービー・パイレーツ)。当初は自社でSNS「gumi」を提供していた。

実はこのgumi、mixiやDeNA、GREEなどよりも早くオープン化を実施した先進的なSNSだったりするのだが、早すぎるオープン化は当時ユーザーに受け入れられなかった。その後同社はSNSからソーシャルゲームの開発へと事業をシフトするが、これまでに資金繰りに苦戦し、3度倒産の危機を迎えたのだという。

そんな苦労の末に2014年12月、見事東証マザーズ市場に上場するが、今度は上場から2カ月半で業績予想の下方修正を発表。2015年4月期の業績が営業利益13億円の黒字から4億円の赤字になると発表。追い打ちをかけるように無担保での30億円の銀行借入や韓国子会社での横領事件などがあきらかになったこともあって「gumiショック」なんて揶揄され、市場の投資家から厳しい批判を受けた。

今日時点の株価を見てもまだ上場時の価格には遠い状況だが、10月に完全子会社化したエイリムの新作タイトル「ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス」は好調のようだし、以前決算説明会などで発表していた新作タイトルなども続々リリースの予定。さらにはこれまで立ち上げてきた海外拠点での展開も加速するとしている。復活の準備は整ってきたようだ。

TechCrunch Tokyoではそんな国光氏に、上場後の振り返り、そしてgumiの今後の展開について語ってもらう予定だ。取材や講演の場ではことあるごとに「(総合エンターテインメント企業として)ディズニーを目指す」と語っていた国光氏。そのディズニーへの道に向けた新しい話もあるかもしれない。興味がある人は是非とも同氏のセッションを見に来て欲しい。

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物理演算ゲームBrain Dotsに自分でステージを作れる「ビルダー機能」が搭載された

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トランスリミットが提供する物理演算パズルアプリ「Brain Dots」。当初300までだったステージ数も現在は500以上にまで拡大したが、ヘビーユーザーはすでに全ステージをクリアしているそうで、同社にはステージ追加の要望が寄せられている状況だ。

そんなBrain Dotsが10月1日にバージョン2.0のアプリの提供を開始した。その目玉となるのが、ユーザーが自らステージを作成し、他のユーザーと共有できる「ステージビルダー機能」だ。

ステージビルダー機能を使えば、ユーザーはBrain Dotsのステージを構成する様々なパーツを自由に配置し、新たなステージを作成できる。作ったステージは、作成したユーザーがクリアすると公開可能になる。公開されたステージは世界中のユーザーがプレイしたり、評価・お気に入り登録したりできる。

コンシューマーゲーム機のWii Uにおいては、9月に任天堂が「スーパーマリオメーカー」というタイトルをリリースしている。これは人気アクションゲーム「スーパーマリオブラザーズ」のステージを自ら作成し、世界中に公開できるというもので、ソーシャルネットワークを見ると非常に人気を博しているようだ。今回のステージビルダー機能のコンセプトはこれに近いだろう。トランスリミットでは新機能によって、「Brain Dotsはユーザーが作りユーザが遊ぶプラットフォームとして生まれ変わる」と説明している。

ちなみに最新のダウンロード数やアクティブユーザー数については聞けなかったが、「ダウンロード数は伸びているし、継続率は非常にいい。(アクティブについては)リリース当初の勢いがもの凄かったので目減りしている感はあるが、もうひと山作っていく」(トランスリミット代表取締役の高場大樹氏)とのこと。

ステージビルダー機能のイメージ

ステージビルダー機能のイメージ

CtoCコマースのメルカリが新会社「ソウゾウ」を設立、代表には元ヤフーの松本氏

CtoCコマースを提供するメルカリ。同社が9月17日、100%子会社となる新会社「ソウゾウ」を設立したことを明らかにした。資本金は非公開。代表にはメルカリ執行役員の松本龍祐氏が就任する。

松本氏は2800万ダウンロードの写真加工アプリ「DECOPIC」を手がけたコミュニティファクトリーの創業者で、同社をヤフーに売却したのち、ヤフーのアプリ開発室本部長などを務めた。2015年3月にヤフーを退職し、5月にメルカリに参画している。

ソウゾウはまだプロダクトのリリースをしておらず、Wantedlyなどを通じて人材募集を開始したところ。松本氏は「今後新しいアプリをどんどん作っていく」としている。同氏はDECOPIC以外にもTRILLなど女性向けのサービスやメディアにも関わってきているが、ソウゾウは特に女性にターゲットを限定したサービスを展開するという訳ではないという。

ちなみにメルカリの創業期の社名は「コウゾウ」。ソウゾウはこの名称にかけたもののようだ。まずは最初のプロダクトの提供を待ちたい。

エフルート創業者・佐藤崇氏の次なる挑戦はアプリ紹介メディア「AppCube」、事前登録を開始

appcube

モバイルサービスの黎明期、2003年にビットレイティングス(現:アクセルマーク)
を設立し、検索サービス「froute.jp(エフルート)」をはじめとしたサービスを提供した佐藤崇氏。2010年には同社を離れてモブキャストに参画。取締役としてプラットフォーム事業を推進した人物だ。

佐藤氏は2015年1月にモブキャストの役員を退任。再び起業家とし挑戦すべく、新会社のスマートアプリを設立した。6月にはEast Venturesおよび山田進太郎氏(メルカリ代表取締役社長)、藪考樹氏(モブキャスト代表取締役)などの個人投資家から合計3450万円の資金を調達したことを明らかにしている。

そんなスマートアプリの第1弾サービスが間もなくローンチする。同社は9月16日、「AppCube」のティザーサイトを公開し、サービスの事前登録を開始した。今秋中にもまずはAndroid向けにサービスを提供する。

AppCubeは、スマートフォン向けアプリの情報を集約したアグリゲーションサービス。国内のアプリストアに掲載された300万件以上のアプリの情報をクロールしてリアルタイムに収集。アプリの情報と、人工知能で分類した関連レビューやニュース、動画などを集約し、ユーザーの利用動向に合わせて表示する。デモを少し見せてもらっただけなので「人工知能云々…」というところは分からなかったのだけれども、1つのアプリに紐付いて、さまざまな媒体に分散されているレビューや動画などが一覧して閲覧できることは確認できた。特にゲームなど「濃い」アプリの情報収集に向いているだろう。自分がインストールしたアプリを把握し、最新情報を通知する機能なども用意する。

佐藤氏いわく、AppCubeは「アプリ紹介メディアとも言えるが、(コンテンツを作るのではなく)テクノロジーでストアにあるアプリの情報、アプリに紐付く外部の情報をすべて網羅する」のだという。Android、iOSあわせて300万以上もあると言われるスマートフォンアプリ。だがその99%はユーザーに発見されずに埋もれているのが現状だ。その理由は「広告で歪んだランキングや検索メニューからアプリを探す」(同社のリリースより)から。そこでAppCubeでは、アプリの関連情報を網羅。利用動向も把握することで、新しいアプリとの出会いを提案するとしている。

わずか1万DLのアプリが月商1000万円を達成する事例も——アプリ制作ツール「Yappli」運営元が3.3億円を調達

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「1年目は本当に大苦戦、月の売上は数十万円で毎月微増を繰り返すだけ。『いいプロダクトを作ったから来て使ってよ』というのでは全然ダメだった」——ノンプログラミングでアプリを制作できるツール「Yappli」を手がけるファストメディアの取材は、代表取締役の庵原保文氏のこんな重たい言葉から始まった。

同社は9月1日付けでグロービス・キャピタル・パートナーズ、Salesforce Ventures(米Salesforce.comグループのコーポレートベンチャー事業部)、YJキャピタル(既存株主でもある)、個人投資家の川田尚吾氏を引受先とした総額約3億3000万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにしている。出資比率やバリュエーションは非公開。

ファストメディアは、ヤフーで同僚として働いていた庵原氏と共同創業者で取締役の佐野将史氏、取締役の黒田真澄氏の3人が2011年に立ち上げた個人プロジェクトからスタート。2013年にYappliを正式公開した。

Yappliはブラウザ上で機能をドラッグアンドドロップで配置し、クリエイティブをアップロードしていくことで、ノンプログラミングでスマートフォンアプリ(iOS/Android)を作成できるサービスだ。詳細は以下の動画を見てもらえばと思う。

ジオプッシュ(スマートフォンが特定のエリアにある際にプッシュ通知を送る機能)を含むプッシュ通知にも対応し、広告配信も可能、アプリの申請も代行する。冒頭で庵原氏が語るように、プロダクト自体は——初めてデモを見たリリース時から——イケていると思った。価格も月額9800円からと比較的安価で中小規模の会社でも使いやすい。だが、クラウドサービスとしてサイト上で販売していたところで有料ユーザーはほとんど増えなかったという。

同社はYJキャピタルからシードマネーを調達していたが、サービスインから1年経たずで売上は数十万円。さすがに「これでは危ない」となって方針を転換。大手企業をターゲットに営業を始めたところ、今度は驚くように案件が取れ始めた。新生銀行や日本ロレアル、女性アパレルのアダストリアホールディングスなどが次々と自社アプリの制作にYappliを導入。3人というスモールチームだったこともあって、サービスインから1年半経たずして単月黒字を達成した。

「革新的なサービスを作って数万円で手軽にスモールビジネスに提供しようとしたが、結局市場のニーズを見ていなかった。自社アプリを求めていたのはすでに顧客を抱えている大手企業。だがいざ制作会社に相談すると1000万円単位の見積もりが来るので、容易にアプリを制作できないという課題があった」(庵原氏)。そんな大手企業にこそプロダクトが刺さったのだという。「制作会社と比べれば10分の1程度で導入が可能。またノンプログラミングでアプリを作れるというのは、ITリテラシーの低いEC担当者であっても運用できるということ。そこも評価されている」(庵原氏)

サービスに登録する法人は、無料も含めて5000社。有料ユーザー(社数非公開)の7割はアパレル関連の自社アプリやブランドアプリだという。アプリはそのブランドのファンがダウンロードすることもあって、アクティブ率が高く、売上への貢献度も大きいケースが多いという。

「ブランドアプリであれば、アプリのプッシュ通知はメールマガジンよりも効果がある。ECサイトの売上全体のうち10%程度がアプリ経由というブランドも複数ある。1社だけだが、1万ダウンロードのアプリだけで月商1000万円を達成するという事例もある」(庵原氏)。プッシュ通知の開封率(通知が来て、そのアプリを起動すること)は約30%、通知から5分以内での開封率が5〜10%あるため、タイムセールなどを積極的に行うブランドも多いという。

同社では今回の調達を契機にサイト上で提供していた低価格帯のサービスの新規募集をいったん終了する。今後は人員を拡大し、サービス開発および法人営業に注力するとしている。

VHS画質のビデオが撮れるiOSアプリ…20世紀へタイムスリップ

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前世紀の、カムコーダーで撮った貧しい画質のビデオが恋しい人、あなたのためのiOSアプリがあるよ。その名もまさにVHS Camcorderで、お値段は3ドル99セントだ。

でも、それだけ払う価値はある。しかもこのアプリが欲しい人は、ふだん、大量の有料アプリを買ったりしない人たちだ。

画質がHDの対極になるだけでなく、音質もひどい。画面には時間と日付が出る(下図)し、左上には”PLAY”〔再生中〕のテキストもある。

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録画中に画面を指でこすると、画質はさらに悪くなる。あのでっかいカムコーダーと、箱にいっぱい詰めたVHSテープが、人生に突然闖入してきたみたいだ。ズームもできる:

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設定(下図)で、日付を操作できるから、あたかも昔撮ったビデオらしく、することもできる。もう一度、今度は自分で、The Blair Witch Projectを撮ってみたいね。

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ぼくは下のクリップを撮ったあと、それをBob SagetのAmerica’s Funniest Home Video(爆笑家庭ビデオ賞…記事下のビデオ…)に応募したくなった。歳がばれちゃうね。

撮ったビデオはカメラロールに保存され、Instagramなどで共有もできる。ビデオにエフェクトをつけるアプリはすでにたくさんあるから、これも仲間に加えたらどうだろう?

少なくとも、きみのママとパパは大喜びするぞ。

America, this is you。(“これがあなたなのよ、アメリカさん”…下のビデオのタイトルソング)

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

トランスリミットの「Brain Dots」が1カ月で1000万ダウンロード達成——海外比率は95%

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ノンプロモーションながらリリースから10日で100万ダウンロードを達成したトランスリミットのスマートフォン(iOS/Android)向けパズルゲーム「Brain Dots」だが、リリース1カ月にして1000万ダウンロードを達成したという。

Brain Dotsは物理演算を用いたパズルゲーム。ステージごとに1つずつ用意される青と赤の2つ「点」をくっつけるとクリアとなる。ユーザーはそのために、画面に線をひいて道を作ったり、図形をぶつけて点を移動させたりすることになる。

トランスリミットによると、韓国や米国、ロシアをはじめとした海外からの利用が伸びており、ユーザーの海外比率は96.25%になるという。アクティブユーザーのアプリ平均滞在時間は1日約30分、全ユーザーの総プレイ回数は1日1億回(ステージへのチャレンジ回数)を超えるという。

アクティブ率は非公開だが、「かなり高い数字」(トランスリミット代表取締役の高場大樹氏)。また継続率については、「面クリア形式の方が(最高得点を競う形式より)難易度設計が難しいが、一方でユーザにとっては目標値を設定しやすく、継続しやすい。最高得点を目指す形式だと同じところを何度もプレイするため、飽きは早くなる傾向にあると思う」とのこと。

Brain Dotsのステージは合計300。すでに全クリアの報告もソーシャルメディア上で見かけるようになったが、近日中に複数ステージのクリア時間を競うタイムアタック制イベントを開催するほか、ステージ追加などを含んだアップデートも実施する予定。

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「明日渋谷で1時にランチ」と自然文で予定入力、Fantasticalが日本語に完全対応

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明日渋谷で西村さんとランチ―、と自然文で予定を入力できるカレンダーアプリの「Fantastical 2」がバージョンアップして日本語フル対応となった。メニューやメッセージが日本語されただけではなく、自然言語を理解して「いい感じ」に予定表にスルリンと入れてくれるインターフェイスとエンジン部分についても日本語対応となった。やるかどうかは別としてSiriと同じエンジンで音声入力にも対応するのでApple Watchに話しかけて音声入力で予定を入れることもできる。

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「来週の金曜」とか「26日の夜に」といった語句を理解するほか、場所についても「新宿」とか「ヒカリエ」といった地名や建物名を理解する。Mac版であればコンタクトリストにある名前も認識する。使ってみれば分かるが、文字を入れていくそばから、「明日」「渋谷」「お昼に」という文字がニュルン、ニュルンと実際の日付に変換されたりして入力ボックスの下のカレンダー画面に飛んで行く。さざなみのようなアニメーションが気持ちがいい。

Fantasticalを提供するFlexibitsの共同創業者であるMichael Simmons氏が来日中だったのでTechCrunch Japanで話を聞いてみた。iPhone版が600円、オリジナル版ともいえるMac OS版が4800円と高額であるにもかかわらず常時アプリストアの上位に入っている人気アプリの秘密とは何か? VC資金を入れずにブートストラップで成長を継続している理由は?

2010年に機械学習の適用分野としてカレンダーアプリを選択

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最近プロダクティビティアプリといえば、モバイルアプリ市場の盛り上がりの波に乗って成功を収めるスタートアップ企業がいくつか出ている。メール、カレンダー、コンタクトと、データそのものはクラウドの先にあるので、そのデータを操作するクライアント側が自由に選べるようになって独立系アプリがしのぎを削っている。最近だとDropboxが買収したMailboxやマイクロソフトが買収したSunrise、Acompliが目立った成功例だ。

2010年創業のFlexibitsがカレンダーアプリを提供するようになったキッカケは、もともと共同創業者のKent Sutherland氏が大学で自然言語と機械学習の研究をしていたことから、この技術を適用できる領域はなんだろうかと考えた結果なんだとか。ローンチしてみるまで、こんなに人気が出るとは思わなかった、とMichaelはいう。

Fantasticalはフランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語に対応していて、2015年3月にはMac版で新たに日本語サポートを追加。今日リリースされたバージョン2.4ではiOS版でも日本語にフル対応した。新バージョンはApple Watchにも対応する。

実際の言語処理として何をやっているのかというと、いわゆる教師ありの機械学習だ。実際に人間が入力した大量の予定情報テキストを解析して、その結果が正しいかどうかを人間が判定してエンジンの精度を上げていく。これは各言語ごとにやる必要があるので、言語サポートの追加は結構たいへんなのだとか。単にテキストを正規表現で切り出すような処理をしているのではないということは、例えば「明日9時から会議」としたときと、「明日9時からディナー」としたときでは「9時」の解釈が朝なのか夜の21時なのか自動で変わってくることから分かる。冒頭で紹介した「渋谷で1時からランチ」という予定だと、実は時刻を入れなくて「明日渋谷で吉田さんとランチ」と入れるだけで、時刻を12時に設定してくれたりもする。なかなか賢い。

ただ、「明日7時からリサとご飯」としたら朝7時となって、「明日7時からリサと晩ご飯」とすると19時としてくれるのに、「晩御飯」「晩メシ」などとすると、それが夜のイベントだとは解釈してくれなかったりして、この辺はもう少し日本文化を理解すべくチューニングをしていくと良いのではないかと思った。「晩ご飯」は単に「晩+ご飯」と解析されて、「晩」が19時となっているようだ。「飲み会」とか「会食」、「接待」あたりの語句は単に学習すれば済むことのように思えるので期待したい。ユーザーが修正する時刻とテキストの組み合わせから逆に学習すればいいようにも思えるが、今のところはローカルのアプリで入力されるデータから学習するということはやってないそうだ。ともあれ、「明日北川さんと会食」と打ったあとに「、夜に」と付け加えると、そこで時刻が22時になったり、さらに「2時間」と入れると予定終了時刻を伸ばして22時から24時に設定してくれるような自由度の高さがあって、「お、分かってくれるやんか!」という感じはいい。ほかのカレンダーアプリにない気持ちよさがある。

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シンプルさとネイティブなUIを徹底

Fantasticalの特徴は自然言語による入力ということに加えてUIが各OSで最適化されているということもある。

FantasticalはもともとMac版としてスタートして、iPhone版は結構後になってから追加している。この理由として、狭い画面にカレンダーを表示しても使い勝手が良くなくて満足できるユーザー体験を提供できると思えなかったから、とMichealは言う。「単にMac版を小さくしてiPhone版とするようなことをしたくなかったんです」。

iPhone版ではデイティッカーと呼ぶ上部のカレンダー部分を左右にスライドすると、それに合わせて下の箇条書きの予定も切り替わる。逆に下の箇条書きを動かすと、上のデイティッカーも動く。「すごく直感的でスムーズです。このデイティッカーのUIのアイデアを思いつくまではiPhone版を提供しようとは思いませんでした」。

今回のバージョン2.4では、Mobile SafariやMailのようなスタッカブルな3DのタブUIを実装。予定を入れるとき、入力中の予定を見ながらカレンダーやほかの予定を見たいことがあるが、それがiPhoneでもやりやすくなっている。ちなみに、このUIは、ちょっと見るとiOSネイティブのUIのように見えるけど、実はアップルはこのUIフレームワークを公開していない。だからこれは完全独自実装だそうだ(下の写真の右側)。

iPad版についてもダッシュボードと呼ぶタブレット向けのUIを設計したという。タブレット専用UIは開発コストが高い割に、全体にタブレット市場は停滞しているのでは? という質問に対してMichaelは、そもそもFantastical利用者の半分くらいがiPad専用アプリも使っていると、ちょっと信じられないような利用率の高さを口にした。また、iOS 9でマルチタスクやジェスチャーのサポートが始まったら、再びタブレット市場はきわめて大きな伸びを示すだろうとの見解だった。

ちなみに、Fantasticalは6月に開催されたWWDCでApple Design Awards 2015の賞を受けたアプリの1つだ。

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VCマネーを入れず、買収提案も受け付けずに自己資金でスケールするメリット

冒頭で書いたように、プロダクティビティ関連アプリは、少なくないVCがチャンスとみて関連スタートアップに投資している。Flexibitsは、こうした道を選択していない。

「出資や買収提案も頻繁に来ていますが、今のところ外部資本を入れるつもりはありません。すごく小さなチームでリーンにやっています」

ただ、Flexibitsではカレンダーとはまた別のプロダクティビティアプリを来年初頭にリリースも予定しているほか、Android版も検討しているので、チームを大きくすること自体は考えているそうだ。

「今やってる仕事は、とにかく気に入っています。収益性もいいし、売却する理由がないですよね。VCから支援を受けているスタートアップは会社を売るべき理由があるのかもしれませんが、われわれは収益は一貫してすっごく増えていますし、今の状態にとても満足しています。アップルから買収提案があったらですか? よほど金額的に大きなディールでない限りは、ないですね(笑)」

買収された後に大企業で一組織となることのデメリットと、現在のように多くのファンを掴んで自由に創造性を発揮できることを天秤にかけると、今のところ後者のままというのが選択ということのようだ。

「Flexibitsとは別に私はHockeyAppの共同創業者でもあって、この会社はマイクロソフトに買収されました。だから買収自体に反対ってことではないんです。VC支援についても、ハードウェアスタートアップとかFacebookのように初期に収益を産まないものでは必要でしょう。われわれが違うというだけですね」

人気を取るか収益を取るか、高額アプリというビジネス

収益性の高いアプリでビジネスを成長させることについてMichaelは、以下のように話す。

「自然言語入力エンジンには価値があると思っています。カレンダーアプリに、こうした機能やシンプルなUIを提供しようと思ったら、それを評価してくれる人たちをターゲットするのが正しいのです。ユーザーがお金を払うことに慣れていない、もしくは払いたくないというAndroid市場へ向かうのが賢い選択だとは思いませんね。プレミアム感のあるプロダクティビティアプリに数百円とか数千円もお金を払おうという人たちは、アップル製品を使っているケースが多いんです」

「99セントのアプリでダウンロード数がトップだけど売上げランキングは50位というのと、ダウンロード数では50位だけど、50ドルのアプリで売上高がトップというのだと、どっちがいいかってことですよね。人気を取るか売り上げか。起業家としての私は売上を取りますね」

「実際、VCに支援されてるどんなプロダクティビティアプリや、フリーミアムで無料版もあるSunriseのようなアプリよりも、われわれのアプリのほうがはるかに売上が大きいんです」

外部資本が入ると、よくも悪くも成長へのプレッシャーにさらされる。それがない状態で、Flexibitsの成長の原動力となっているのは何なのだろうか?

「Apple Watchが出たり、iOS 9が出たり、そのたびにわれわれは適応していて、立ち止まってるわけではないのです。それがFlexibitsが成長している理由で、製品を良くし続けるということです。年明けにリリースする次のアプリがうまく行って、より大きな成功となるようなことがあれば、今の会社をずっとやって行くということもあるかもしれません」

「一発必中で作った」 物理演算ゲームのBrain Dotsが10日で100万ダウンロードを達成

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世界1300万ダウンロード、海外ユーザー比率95%と世界でプレイされている対戦型脳トレアプリ「Brain Wars」を開発したトランスリミット。同社の第2弾タイトルの物理演算パズルアプリ「Brain Dots」が7月6日のリリースから10日で100万ダウンロードを突破した。

Brain Dotsは物理演算を利用したパズルゲームだ。ステージごとに1つずつ用意される青と赤の2つ点をくっつけるために、画面に線をひいて道を作ったり、図形を描いて点にぶつけて移動させたりするというシンプルなルール。全部で300のステージを用意する。

トランスリミット代表取締役の高場大樹氏いわく、前作のBrain Warsでは100万ダウンロードまで2カ月半かかったが、「今回ははじめからゲームを作り込んでリリースを迎えた。そのためApp Storeのおすすめに取り上げられるのが早かった」とのこと。またBrain Warsからの送客などは行っているが、広告などを使った大々的なプロモーションは実施していない。またこのゲームも海外ユーザーの比率が高く、現在88.1%が日本以外のユーザーだという。

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既報のとおり、Brain Dotsはバナー広告を入れず、ゲーム内で使用するコインを入手するために動画広告を視聴してもらう(もしくは課金でアイテムを購入する)というモデルなのだが、「ユーザが視聴するかどうか選択できる動画広告は想定通りの数値で視聴されており、中には毎回必ず観てくれるユーザもいる」(高場氏)ということで、ユーザーにも受け入れられているのだという。

ちなみにすでに用意された300ステージをクリアしたというツイートも見かけるのだけれども、近日のアップデートでステージも追加する予定だそう。またこれも既報のとおりだが、イベント機能を実装し、「より継続して遊めるタイトルを目指す」(高場氏)としている。

Brain Warsは「成熟期」に

ちなみに最近高場氏にBrain Warsの状況についても聞いているので、ここで紹介しておく。1年前にリリースされたBrain Warsは、「サービス自体は成熟傾向にある」(高場氏)のだそう。売上自体は下がっておらず横ばいで、今後も引き続きユーザーを伸ばしたいということだった。ただしこの3カ月はBrain Dotsの開発に自社の全リソースを集中していたそうだ。

またちょっと早いかと思いつつ、今後のプロダクトについても聞いたのだが、当面はこの2タイトルに注力する予定だという。「現状は年1本が限界。踏み込んだら全力でやる。それがうまくいったのだと思う。リリースが多いに越したことはないが、“量産型”のゲームではないので一発必中で作っている」(高場氏)

“毛穴が見えない”美肌フィルター搭載で「リア充」の取り込みをねらう—サイバー子会社がライブ配信アプリ「宅スタ」

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ライブ配信サービスのツイキャスこと「Twitcasting」。サービス開始から5年で登録ユーザー数1000万人(4月時点)、累計配信回数で1億5000万回(3月時点)と大きく成長した。ディー・エヌ・エーの「Showroom」など競合サービスもあるが、アタマ1つ抜けた状態にあると言っていい。そんなライブ配信の分野にサイバーエージェントが参入した。

サイバーエージェント子会社のタクスタは7月9日、ライブ配信アプリ「宅スタ」を公開した。iOS、Androidに対応しており、App StoreおよびGoogle Playから無料でダウンロードできる。

宅スタは個人向けのライブ配信アプリ。Twitterのアカウントさえ登録すれば誰でもスマートフォン1つでライブ配信が可能になる。視聴のみのであればTwitterアカウントも必要ない。現時点ではAmeba IDとの連携は行っていない。

「宅スタ」の視聴画面

「宅スタ」の視聴画面

“初めての自撮り”に配慮した「フィルター」機能

最後発のライブ配信サービスとなる宅スタの最大の特徴は、動画の「フィルター加工」が可能なことだという。フィルターを使うことでユーザーは自分好みの映像でのライブ配信が可能になるとしている。

「初めての『自撮り』に配慮している」——タクスタ代表取締役社長の田久保健太氏はこう語る。ライブ配信の経験をしたことのないユーザーが宅スタのアプリを立ち上げ、配信ボタンをタップする。するとインカメラで自分の顔がどアップになるのだから、抵抗があるユーザーだっているだろう。

これを少しでも緩和するためにフィルターを導入した。配信ボタンをタップすると、デフォルトで「美肌」なフィルターがかかった状態になる。「どの距離で毛穴が見える、見えないというような細かいところまでバランスを調整した」(田久保氏)

また、あらかじめ撮影した静止画像と音声のみで配信する「静画モード」を用意。動画で配信したくない場所、もしくはタイミングでこのモードに切り替えることも可能だ。Twitterアカウントは複数登録して切り替えることも対応。「実際に原宿で女子高生にヒアリングしたが、多くの回答者が『本アカ(メインのアカウント)』『裏アカ(匿名など、メインアカウントでは言えないようなことを発信するアカウント)』『共通アカ(友人らと運用するアカウント)』の3アカウントを持っていた。このTwitterの利用スタイルに合わせた」(田久保氏)

タクスタ代表取締役社長の田久保健太氏

タクスタ代表取締役社長の田久保健太氏

住所や実名が投稿されないようにする「禁止ワード」の設定も可能。「Ameba同様の監視はするが、リアルタイムで何が起こるか分からない」(田久保氏)とのことで、可能な限り配信者の安全性には配慮したという。また低回線でも利用できるよう、画質とフレームレートを落とした低画質再生モードも備える。同社によると利用可能なデータ量を超過し、通信速度制限がかかった状態でも視聴可能とのこと(一応お伝えしておくと、音声のみの配信やNGワード設定などは競合にも用意されている)。

インターフェースはスマートフォンのスクリーン全部に画像が映る「縦画面」となっている。この画面下部、動画に重なるかたちでコメントや各種の通知が表示される。

また、視聴者は配信者に対して「エール」を送ることができる。画面右下のエールボタンをタップすると、配信画面に星が飛び出すエフェクトがかかる。エールは1日300回までに制限されている。将来的には星以外のエフェクトも用意する予定だそうで、ここでのマネタイズを検討しているようだ。

さらに配信者には「○○さんが入室した」「○○さんが最初のコメントをした」、視聴者には「今なら(他のコメントが少ないので)質問すれば回答がもらえるかも」といったニュアンスでコミュニケーションのきっかけを与える通知をすることもできる。配信後は配信回数やコメント数、エール数、配信時間などを知らせる簡単なアナリティクス画面が表示される。配信した動画は60日間保存されるが、設定によって無期限保存も可能だ。

ライバルはツイキャスとPeriscope、強みは「リア充」の取り込み

田久保氏は競合についてツイキャスと、Twitterが買収したPeriscopeだと明言する。

タクスタは2014年11月の設立。その以前はアメーバピグ事業を統括していたという田久保氏。競合サービスとの比較について聞くと、「アメーバピグを通じて、ローリテラシーで若い人たちの文化というのが分かってきた。(リテラシーは低いが)リア充なユーザーを無視してはいけない。言葉は悪いが、『暇なリア充』に使ってもらえば、大きくサービスが広がると考えている。そこをどう取り込むかがサイバーエージェントグループのプロデュース力ではないか。もちろんユーザー自ら移行することもあるだろうが、自分たちで配信者を育てていきたい」と答える。ただし、あくまで配信者の中心は一般ユーザー。現時点ではAmebaブログのように芸能人を積極的に取り込むことはしないという。

マネタイズについては未定だが、タイアップの動画配信などは検討しているという。また前述の通り、エールに関する課金の可能性もありそうだ。当面の目標については「半期が終わる2016年3月時点で日本一の動画メディアになりたいとは思っている。だがまずは質のいい配信者と配信内容が集まることが大事だと考えている。7月はユーザーに『アツい』と思ってもらえる空間作りをしていく」(田久保氏)

サイバーエージェントではAmeba、広告、ゲームに続く新たな事業の柱として「動画」を掲げている。タクスタ以外の動きとしては、3月にはテレビ朝日と新会社を設立。定額制動画配信プラットフォーム「Abema」を提供するとしているほか、直近の7月6日には、東京・原宿の竹下口に公開スタジオ「AmebaFRESH!Studio」をオープン。今秋リリース予定の生放送アプリ「AmebaFRESH!」向けの番組を配信する。なお今後は宅スタでもこのスタジオを使った配信・イベントなども検討している。

トランスリミットが新ゲーム——シンプルだけどハマる物理演算パズル「Brain Dots」

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2014年5月に対戦型脳トレアプリ「Brain Wars」をリリースしたトランスリミット。Brain Warsは現在世界1300万ダウンロード、海外ユーザー比率は95%というグローバルなアプリに成長した。そんな同社が第2弾となるゲームアプリ「Brain Dots」をiOS、Android向けに公開した。App StoreおよびGoogle Playで無料でダウンロードできる。

Brain Dotsは物理演算を利用したパズルゲームだ。画面上に表示される青と赤の2つ点、これをくっつけるのがルールというシンプルなゲーム。2つの点をくっつけるためにユーザーは線や図形などを描くのだが、それらは物理法則に従って動くため、描いた線で道やてこを作ったり、描いた図形を点にぶつけて弾いたりすることで目的を達成する。同様の物理演算パズルでは、リイカの「Q」やKloonigamesの「Crayon Physics」などが有名だろうか。

Brain Warsでの成功と失敗

アプリは15言語に対応。Brain WarsではOSの言語設定に合わせて8言語でサービスを提供していたが、今回はゲーム内に言語設定機能を用意。「OSは英語だが、ゲームは日本語」といった細かい設定も可能にした。言語設定は豊富だが、ゲーム内容としてはBrain Wars同様にノンバーバルで知識を必要としないシンプルなものになっている。序盤の数ステージはヒントが出るが、実質1ステージでチュートリアルは終了。僕も記事を書くために実際にプレイしてみたが、ついついハマって数ステージ進めてしまった。

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ステージは現時点で300まで用意。すべて無料でプレイ可能だ。線を描く時に使う「ペン」はステージクリア数に合わせて25種類以上提供される。

これらのペンはゲームクリア時や動画広告閲覧時に得られる「コイン」もしくは課金で購入可能。最初から利用できる鉛筆だけでもすべてのステージをクリア可能だが、ペンごとに線の色や太さ、点と図形、図形と図形が当たったときの摩擦の掛かりかたが異なるため、ステージを有利に進められるものも多いという。

また、プレイの様子は動画で録画されており、リプレイしたり、SNSで共有したりできる。同じステージでもさまざまな攻略法のあるゲームだ。動画コミュニティは盛り上がりそう。なお録画・共有プラットフォームには「Everyplay」を採用している。

「BrainWarasでうまくいったところ、うまくいかなかったところがある。うまくいったのは表示する言語を少なくして、世界の誰もが遊べるようにしたこと。一方でうまくいかなかったのは、ネットワーク環境(が遅いこと)によってリアルタイム対戦で遊べないユーザーがいたこと。それで今回は1人用ゲームをベースにした」—トランスリミット代表取締役の高場大樹氏はこう語る。

今後のアップデートでは、ステージクリア時間を競う「タイムアタック」の機能を提供。ネットワーク環境に依存せず、非同期で対戦ができるような仕掛けを盛り込む予定だという。ちなみに前述のQとCrayon Physicsについて尋ねてみたのだけれど、Qは「全く意識していないわけではないが、シンプルさで差別化している」と説明。Crayon Physicsについては知らなかったとのことだった。

トランスリミット代表取締役の高場大樹氏

トランスリミット代表取締役の高場大樹氏

マネタイズは人気ゲーム「Crossy Road」を参考に

マネタイズは動画広告とペンの販売による課金。高場氏は、Hipster Whale の人気ゲーム「Crossy Road」のビジネスモデルを参考にしていると語る。

このゲームはニワトリをはじめとしたキャラクターが道路を渡っていく距離を競うシンプルなモノだが、このゲームでも動画広告を閲覧することで得られるコインでさまざまなキャラクターを購入できる(他の条件でもキャラクターの入手は可能)。2人のクリエーターが12週間で開発したというこのゲームは、世界5000万ダウンロード、売上は10億円に上るという。

アプリは世界で同時配信する。またBrain Warsともアプリ間で送客を行う予定。目標については「前作が1300万ダウンロードくらいあるのでそれ以上に。Brain Warsは人(他のユーザー)と戦うゲームなので、負けてしまった人のプレイ継続に繋がらないところもある。そういう意味ではポテンシャル的にはこのゲームのほうが大きい。対象ユーザーも年齢、性別を問わず広いので、2000〜3000万ダウンロード、欲を言うともっと大きな数字を目指したい」(高場氏)としている。