WANをクラウド上で仮想化するVeloCloudが$21Mを調達して一般公開へ

クラウドへ移行しつつある技術のリストに、今やネットワーキングも加えるべきだ。長年CiscoやJuniperなどネットワーキングの巨人企業の領分だったwide area networks(WAN, ワン)を今では、 VeloCloud Networksのような企業がサービスとして提供している。そのVeloCloudが今日(米国時間6/17)、数社の有力VCから2100万ドルの資金を調達し、ステルス状態を脱して一般公開にこぎつけた。

カリフォルニア州ロスアルトスに本社を置く同社は、企業のネットワーク利用を最適化するサービスを売っている。CEOのSanjay Uppalによると、同社の技術によりモバイルユーザや企業の支社支店などが、ネットワークをもっとも効率的かつ費用効果の高い方法で利用できる。

Uppalは曰く、(性能が二年ごとに倍増するという)“ムーアの法則が通用しない領域が二つある。それは、電池とWANだ”。彼によると、従来のプライベートネットワークの費用は1メガバイト/1人/1か月あたりほぼ200ドルぐらいだったが、インターネットとその上のサービスを利用すれば、その1/100ですむ。

“うちがやろうとしているのは、その、200ドルではなく2ドルしかかからないインターネットを使ってプライベートなWANを構築し、ユーザ企業の選択肢を広げることだ”、とUppalは語る。

このプロジェクトをVeloCloudはこれまで、2年がかりで育ててきた。ネットワーキング方面のインキュベータThe Fabricから孵化したVeloCloudは2012年11月にシード資金を獲得し、次いでNEAから500万ドルを調達した。さらにその次はVenrockの指揮のもとに1500万ドルのシリーズBを調達、それは同社がステルスを脱する1か月前だった。以上で、合計調達額が2100万ドルになるのだ。

WANをクラウド上に仮想化するといっても、あまりぴんとこない人が多いかもしれないが、支社支店などの事業所が各地に分散している大企業にとってはネットワーキングの費用を大幅に節減できる可能性がある。VeloCloudはベータ時代にすでに20社の顧客があり、いずれも全国各地に多くの事業所を抱える大企業だ。

“うちはディープ・パケット・インスペクションを行っている。だから全国で2000の事業所があって、そのそれぞれでネットワーキングアプリケーションが動いている場合でも、それぞれに対して最良の情報伝送ラインを判定できる”、とUppalは述べる。

NEAのゼネラルパートナーKrishna “Kittu” Kolluriにとっては、ネットワーキングの仮想化は、エンタプライズアプリケーションがクラウド化しつつある今日の重要なトレンドの、一端を担うものだ。

彼のポートフォリオ企業の一つであるStorvisorは、ストレージを仮想化している。そしてVeloCloudはネットワークの仮想化だ。Kolluriはこう言う、“NEAのパートナーになったのは8年前だが、当時はセキュリティとネットワーキングの分野にはあまり動きがなかった。でも今では、コンピューティングとストレージとネットワーキングを区別する境界が、(消えたわけではないが)、非常に薄れつつある”。

写真: Flickr/Simon Cockell

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AmazonもEBSでSSDストレージをローンチ―料金はGoogleより安く、3000 IOPSをサポート

GoogleがSSDベースのクラウド・ストレージリリースした翌日の今日(米国時間6/17)、 Amazonもこれと非常によく似たSSDストレージを発表した。Elastic Block Store (EBS)においてこの新しいGeneral Purpose SSDボリュームは、標準的なHDDベースのボリュームとすでにSSDを導入している高価なProvisioned IOPSボリュームの中間に位置づけられる。

EBSはパーシステント・ストレージを提供するAmazonサービスで、そのボリュームはEC2クラウド・コンピューティングのインスタンスから利用できる。

今回新設されたGeneral Purpose SSDボリュームはProvisioned IOPSと異なり、入出力に関して追加料金ないし前払い料金を一切必要としない。データセンターはオレゴンとバージニアが利用でき、料金は1月1GBあたり0.10ドルから。他のリージョンからの料金はこれよりやや高くなるが、それでもGoogleのSSDストレージの1月1GBあたり0.325ドルよりずっと安い。

Amazonはこのタイプのストレージはボリュームあたり 毎秒3000回の入出力(IOPS)バーストを30分にわたってサポートできると約束している(ボリュームのサイズにはよらない)。Provisioned IOPSボリュームは48000 IOPSが可能だが、これはほとんどのアプリケーションで過剰性能だろう。新しいgeneral-purposeボリュームはAmazonがProvisioned IOPSのために開発したのとと同一のテクノロジーを用いているという。

Amazonによると、SSDベースのボリュームはHDDベースに比べて10倍のIOPSを処理でき、レイテンシーは10分の1、パフォーマンスの安定性も高いという。またこの新しいSSDベースのボリュームはバーストモードで3000IOPSを処理できるため、HDDにくらべてブート時間が半分になるとしている。

Amazonは今後SSDストレージをEBSの標準オプションとしていく方針のようだ。これまで標準であったHDDベースのストレージは今後はEBSMagneticボリュームと呼ばれる。”

昨日、SSDストレージを発表した際にGoogleは「入出力に対して追加料金を課さない」ことを強調した。Amazonが新しいSSDストレージでも入出力に料金を課さず、単純なストレージ容量のみの従量制ととしたのはおそらく偶然ではないだろう。デベロッパーはこれまでもAmazonの料金システムが複雑過ぎると不満を漏らしてきたが、SSDストレージの料金システムはAmazonが今後より単純な従量制に移行する前触れなのかもしれない。

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GoogleのCloud PlatformがSSDによるパーシステントディスクとHTTPロードバランシングを提供

あと数日でGoogleのデベロッパカンファレンスGoogle I/Oが始まるが、同社はそれを待つこともなく今日(米国時間6/16)、同社のCloud Platformの二つの新しい機能をローンチした。今日のGoogleの発表によると、その二つは何(いず)れもデベロッパが前から要望していたもので、ひとつはHTTPのロードバランシング、もうひとつはSSDを使ったパーシステントなストレージだ。どちらも今はプレビューなので、テストしてみたいデベロッパはここで申し込む。

毎秒のI/Oの頻度がものすごく高いアプリケーションを抱えるデベロッパは、前からSSDを要望していたが、今度からは月額0.325ドル/GBでそれを使えるようになる。これまでのパーシステントストレージは0.04ドルだったから、相当に高い。ただしI/O操作そのものへの課金はない。AmazonのEC2のインスタンスにはSSDを使うものもあるが、それらにはパーシステントストレージの機能はない。

ディスクベースのパーシステントストレージでは、1GBのリードが約0.3IOPS、ライトが1.5IOPSだったが、SSDベースではリード、ライトともに最大30IOPSとなる。最大持続スループットも、SSDは相当に高い。

 

HTTPのロードバランシング機能は、Googleによると、最大で1秒あたり100万リクエストまでスケールできる(ウォームアップ時間なし)。コンテンツベースのルーティングをサポートし、Googleがとくに強調するのは、複数のリージョンにまたがってロードバランスできることだ。グローバルなサービス提供者がレイテンシを下げたいとき、助かるだろう。また複数のインスタンスにまたがるロードでレイテンシを抱えていたデベロッパも、そのリクエストを最適化できる。いずれの場合もアプリケーション自身は一つのIPアドレスにアクセスするだけなので、ロードバランスをとくに意識しない。だから使いやすい機能だ、とGoogleは言っている。

ただしこのロードバランシングは当面、SSLプロトコルをサポートしない。SSLを利用したいデベロッパは、Googleの既存の、プロトコルベースのロードバランシングシステムを使わなければならない。

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Microsoft、Azure MLを発表―クラウドベースの機械学習プラットフォームは未来を予測する

最近急速にクラウド化しているMicrosoftが、今日(米国時間6/16)、クラウドベースの機械学習プラットフォームを発表した。このAzure MLはクラウド上でビッグデータを利用することにより、単に過去を分析するのではなく、将来の事象を予測するアプリやAPIを作ることができる。

Azure MLはXboxやBingですでに使われている機械学習機能を利用している。またデベロッパーが未来予測アプリを開発するために使うテンプレートとワークフローも用意される。これによって機械学習アプリを開発するスピードは大幅に加速されるという。サービスのプロバイダはAzure MLプラットフォーム上で各種のウェブサービスを開発できるだけでなく、APIを公開することも可能になる。

Microsoftのコーポレート・バイスプレジデントでAzure MLの責任者、Joseph Sirosh(Microsoftに移る前は長年Amazonに在職)は、「このプラットフォームを利用すればユーザー、パートナーは未来を予測するビッグデータ・アプリケーションを開発することが可能になる」と述べた。

Siroshは「過去の分析ではなく未来を予測し、それを変えることができるのがAzure MLの傑出した特長だ」という。

「既存のデータ分析システムも未来の予測ができる。しかし機械学習は未来を書き換えることができる」とSiroshは説明する。 つまりビッグデータを分析してパターンを発見し、製品の需要や病気の流行を予測したり、エレベーターが故障する前にメンテナンスが必要だと教えたりする。さらには犯罪の発生を予測して防犯に役立てることもできるという。

Siroshによれば、こうしたことを可能にしてゲームのルールを変えたのはクラウド化だという。もしユーザー企業が独力で実行しようとすれば何週間も、それどころか何ヶ月もかかるような膨大な処理がクラウド上ではごく短時間で実行できる。

またSiroshは「クラウドは最後の1マイル問題も解決した」という。以前このようなサービスではまずデータ・サイエンティストがビッグデータを分析してパターンを見出し、IT部門がそれに応じてアプリケーションを開発するという手順を踏む必要があった。このプログラムのコーディングがきわめて手間のかかる作業であり、何週間、何ヶ月もかかっていた。しかしAzure MLならアプリケーション開発は数時間ですんでしまうという。

また多くのデータ・サイエンティストが利用している統計処理言語Rのオープンソース・プロジェクトから300以上のパッケージが利用できる。

またSiroshは多くのユーザーがAzure MLプラットフォーム上でアプリやAPIを公開することによって好循環が始まることを期待している。「ユーザーがデータをAzure MLに持ってきてアプリやAPIを公開する。するとさらに多くのユーザーそのアプリをAPIを利用してさら多くのデータをAzure MLに持ち込むようになる」とSiroshは説明する。

Azure MLは現在、秘密にプレビューされている。しかしMicrosoftはいくつかの実例を明かした。その一つはMirosoftのパートナー、Max451が開発しているシステムで、これは小売業者が消費者の好みを分析することによって商品の売れ行きを予測するサービスだ。小売業者はもっとも売れそうな商品の在庫を増やすなどして利益を増大できる。

またカーネギーメロン大学はキャンパスの建物でのエネルギー消費を抑えるためにAzure MLを使って学内の活動パターンの予測手法を開発中だ。

しかしこの分野を手がけているのはMicrosoftばかりではない。IBMは昨年冬、Watson人工知能をクラウド・サービス化した。また先週はErsatz Labsというスタートアップがディープラーニング人工知能のクラウドプラットフォームをローンチしている。

Azure MLは来月に公開プレビュー段階に入るという。正式リリースの日程は明らかにされていない。

写真: (c) Can Stock Photo

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GoogleのApp EngineもDockerをサポート、オープンソースのコンテナ管理ツールを提供

Dockerは今や明らかにデベロッパコミュニティの大スターであり、Googleも当然、真剣に対応している。 今年はCompute EngineにDockerの基本的なサポートを加えたが、さらに今日(米国時間6/10)は、App EngineもDockerに対応する、と発表した。そしてそのためには、最近ローンチしたユーザ管理型仮想マシン(Managed VMs)を活用する。

またデベロッパによるDockerの利用を支援するために、Googleは今日、コンテナ管理ツールKubernetesをローンチする。さらにGoogleがDockerのコミュニティに本格的に参加するために、同社のインフラ担当VP Eric BrewerをDocker Governance Committeeにノミネートし、 “コミュニティと協力してコンテナのさらに良いオープンスタンダード構築に貢献していきたい”、との意思表示をした。

コンテナはGoogleにとって新しいものではない。同社はこれまで長年にわたって、大規模なデータセンターを管理するために内製のコンテナを使ってきた。今や同社は毎週、同社のデータセンター全体で20億あまりのコンテナをローンチしている。

GoogleのクラウドサービスプロダクトにおけるDockerの導入を推進してきた、プロダクトマネージャのCraig McLuckieは、Dockerのサポートは同社にとって当然なことだ、と言う。従来型のホスティングでは、新しいボックスを加えることが毎回、大仕事だった。しかし最近のアプリケーションは多くの小さなサービスの集合体であることが多いので、コンテナがうってつけの世界だ。だからMcLuckieは、“コンテナはうちにものすごく大量の価値をもたらす”、と言う。“多くのデベロッパにとってDockerは、大きな便宜を提供してくれるのだ”。

デベロッパがDockerをApp Engineで使うと、既存のDockerイメージの大きなライブラリにアクセスでき、またGoogleのストレージサービスを利用して自分のものを持ち込むこともできる。DockerイメージはManaged VMsに展開でき、するとデベロッパはGoogleのPaaSにない各種のサービスをApp Engineで動かせるので、多大な柔軟性 (自由度)が得られる。

またデベロッパが自分のApp Engineアプリケーションをパッケージして、それらからDockerイメージを作る作業を、ものすごく楽にしていきたい、と McLuckieは言っている。

App EngineにおけるDockerのサポートはまだベータだが、デベロッパはここでユーザ登録をして利用できる。

Dockerを使う場合、コンテナの管理やスケジューリングはユーザの責任だが、今ではそれらを支援するKubernetesのようなサードパーティツールがいろいろある。Kubernetesはギリシア語で“船の操舵手”という意味で、マシンの“艦隊”へのコンテナの展開を助けるオープンソースのコンテナマネージャだ。マシンを互いに連携させる機能のほかに、健康管理やレプリケーションの機能もある。なお、このコンテナマネージャはGoogleのサービスに縛られることなく、いろんなプラットホーム上のコンテナを一元管理できる。

Google自身はコンテナシステムとしてOmegaを使っており、Kubernetesも同社のデータセンターの運用にために作ったツールだが、今回はそれをDocker用にまったく新たに書き起こした。Googleが社内で使っているものよりもずっと、デベロッパフレンドリになっているそうだ。スタートアップ企業には、GoogleにあるようなDevOpsのチームがない場合が多いから、その点にも配慮している。

McLuckieによると、Kubernetesには多数のデベロッパが使えるという利点があり、ということは管理するコンテナ群が広範なデベロッパ集合にまたがっていてもよい、という意味だ。そのコードは、GitHubで入手できる。

関連記事(日本語訳)〕

 

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LINEがセールスフォースと提携、海外の法人需要開拓の足がかりに

LINEと米Salesforce(セールスフォース)は10日、パートナーシップを締結したことを発表。LINEはSalesforceのCRMサービス「Salesforce ExactTarget Marketing Cloud」と連携し、公式アカウントを持つ企業向けに提供する「LINEビジネスコネクト」の導入負担を軽減する。日本とアジアを中心に収益化を進めるLINEだが、アメリカやヨーロッパに強いセールスフォースと提携し、海外の法人需要開拓の足がかりにする狙いもある。

LINEビジネスコネクトは、公式アカウントを開設した企業が持つ顧客データベースと接続し、LINEを使ってユーザーごとに最適化したメッセージを送れるサービス。従来の公式アカウントは、すべてのユーザーに同じメッセージしか送信できない「一方通行」だったが、LINEビジネスコネクトは性別や年令などの属性に応じてメッセージを送り分けられるのが特徴。

2月の発表以降、注目を集めるLINEビジネスコネクトだが、企業側は顧客データベースを連携するためのシステム開発が負担だった。導入費用についてLINEは「一概に言えない」というが、一部の企業からは「億単位」といった声も上がっている。そこでLINEはセールスフォースのCRMサービスと連携することで、企業のシステム開発負担を軽減する狙いがあるようだ。(関連記事:LINEが企業向けにAPI公開、既存のマーケティングツールを置き換えようとしている

Salesforce ExactTarget Marketing Cloudは、顧客データベースやウェブ閲覧履歴などに応じて、メッセージやコンテンツを効率的に配信できるサービス。LINEの公式アカウントを持つ企業は今後、セールスフォースの顧客データベースと連携し、ユーザーごとに最適なメッセージをLINEで配信できるようになる。Salesforce ExactTarget Marketing Cloudの利用料金は明らかにされていないが、日経新聞によれば年間800万円程度だとしている。

両サービスの連携は10日に日本でスタート。両社は今後、既存顧客企業でお互いのサービスを検討している企業に対して、両社サービスの連携によるシナジー効果を訴求することで新たな顧客獲得も図っていく。


iOS 8 SDKではデベロッパがA7ハードウェアのグラフィクス機能に直接アクセス–iPhone/iPadが最新ゲーム機並の迫力に

Appleは今日(米国時間6/2)のiOS 8の立ちあげに併せて、このモバイルオペレーティングシステムのための数々の新しいデベロッパツールをリリースした。その新しいiOS SDKをAppleのCEO Tim Cookは、“App Storeのローンチから今日までで最大のリリース”と呼び、APIの新設や更新が4000以上もあることを誇示した。

中でもとくにデベロッパが気に入ると思われるのは…新言語Swift以外では…、Appleが”Metal”と呼ぶ機能だ。デベロッパが、A7プロセッサのグラフィクスやコンピューティングなどハードウェア機能に直接アクセスできること、そういうライブラリというかAPI集のことを、Metalと総称している。同社によると、Metalを使うことにより、グラフィクスや計算集約的な処理におけるオーバヘッドが減り、マルチスレディングの効率も上がり、iPhoneやiPadにおけるグラフィクスの速さと迫力は最新のゲーム専用機と肩を並べるものになる。これにより、描画のスピードは、iOS 7を1とすると、iOS 8ではその10倍になる。

主に2Dや3Dのカジュアルゲームのデベロッパ向けに、SceneKitが新たに提供され、また既存のSpriteKitには、力場やピクセルごとの物理計算や逆運動の計算が加わる。

今日は大方の予想通り健康アプリがローンチされたが、それに併せてHealthKitというものがローンチされた。これを使うとデベロッパは、自分のアプリとAppleの健康アプリとのあいだで、データを交換できる。

このSDKの大きな目玉には、スマートホームデバイスを作ってそれにiOSと通信をさせたい、というデベロッパのためにフレームワークHomeKitが含まれる。また大量のデータ伝送やデータの保存をクラウドを使ってやりたい、というデベロッパのためには、iCloudの無料のAPI集とも言うべきCloudKitが提供される。なおHomeKitに関する詳細な記事がここにある。

CloudKitでAppleは、クラウドをベースとするバックエンド市場に参入するが、ストレージもAPIも無料という点が、既存のサービスと違う。容量制限は、クラウドストレージ1PB、データベース10TB、一日のデータ伝送量5TBだ。どんなアプリでもサービスでも、またユーザがどれだけ増えても、これだけあればとりあえず十分だろう。

今日の発表でとくに目立った機能が、アプリの拡張機能だ。これによりさまざまなアプリが、ほかのアプリへのインタフェイスを露呈することができる。この機能は、サンドボックスに入れられて安全が図られる。この拡張機能を使って、たとえばメールと写真編集アプリとのあいだで写真をやりとりできるだろう。Safariも、この拡張機能にアクセスできる。AppleのCraig Federighiが今日行ったデモでは、Safariの中からBing Translateを呼び出して翻訳をやらせていた。

ついにサードパーティアプリが通知センターの中で自分独自のウィジェットを定義できるようになった。しかも、対話できるウィジェットもOKだ。

指紋認証システムTouch IDも、そのAPIが提供される。つまりサードパーティのアプリが、Appleの指紋認証を使えるのだ。

iOSの写真機能もそのAPIがデベロッパに公開され、それらはPhotoKitというフレームワーク名で総称される。AppleのPhotosアプリも、もちろんこのAPIを使って構築されているのだ。非破壊的エディットやPhotosのライブラリを/にリード/ライトできる機能、またCamera APIによりフォーカス、ホワイトバランス、露出などのコントロールが、デベロッパの写真撮影アプリの中でできる。

iOS 8のベータとそのSDKは、developer.apple.comで登録したデベロッパが利用できる。

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Appleの自前のクラウドをデベロッパが利用できるためのクラウドAPI集CloudKitが供用開始

ハードウェアの美とソフトウェアのパワーではどこにも負けないAppleだが、MobileMeやiCloud、Siriなどによるクラウドへの進出は、そのAppleにも大きな欠落があったことを世に示した。

今日のWWDCイベントでAppleは、高度な写真ストレージ/シンクアプリiCloud Driveを発表して、クラウドへの進出がますます本気であることを示した。そしてもうひとつ、デベロッパ向けのCloudKitを忘れてはいけない。

CloudKitは、アプリの作者がAppleのiCloudを利用するための、“実質的に無料の”デベロッパフレームワークだ。これによりデベロッパは、自分のモバイルアプリにクラウド利用の部位を容易に含めることができる。それまではこういう簡便なAPIがなかったから、アプリからAppleのクラウドを利用しようとすると苦労が大きすぎて、ついついMicrosoft AzureやGoogle Cloud Platform、Amazon Web Servicesなどサードパーティのクラウドサービスを利用してしまうのだ。

デベロッパはCloudKit APIのいろんな部分を呼ぶ出すことによって、クラウドの認証、検索、通知などの機能を、Appleと競合するサードパーティサービスを利用しなくても、自分のアプリ上に実装できる。

データのストレージも伝送も、無料で利用できる容量が多くのアプリデベロッパにとって十分に大きいと思われる。無料とは言っても、まだ有料の料金体系をAppleは発表していないのだ。

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受信メールの添付ファイルをクラウドストレージにコピーするOoberDocsが新たにGoogleDriveやMicrosoft OneDriveをサポート

OoberDocsは、TechCrunch Disrupt NYのハッカソンに登場したかわいいツールだが、このほど、その機能集合を拡大してGoogle Driveのサポートを含めることになった。この、受信したメールのすべての添付ファイルをクラウドストレージにコピーするサービスは、最初はDropboxだけをサポートしていた。

ファウンダのJohn McBrideが本誌TechCrunchに今日(米国時間5/30)、OoberDocsが10000個めのファイルをアップロードした、と報告してきた。ユーザ数はそれほど多くはないが、着実に増えている。

サービスの利用は週末に少なくて、ウィークデイに多い。仕事で使っている人が多い、ということだ。同社はかつて本誌に、今後ビジネスユーザには安い年会費を課金したい、と言っていた。

McBrideによると、6月からはMicrosoftのOneDriveのサポートを開始し、7月にはBoxが加わる。ちょっと雑だったユーザインタフェイスも、近く改築してユーザフレンドリにするそうだ。

ハッカソンに登場したプロジェクトが成長した姿を見るのは、楽しい。サポートするクラウドストレージが増えたことの成果を、数か月後にチェックしてみたい、と考えている。

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Windows Phone 8.1用のファイルマネージャFilesがローンチ…まさにWindows文化だ!

今日の午後(米国時間5/30)、MicrosoftがFilesをリリースした。それは前から約束されていたWindows Phone 8.1用のファイルマネージャだ。

シンプルなアプリだが、ローカルな(==実機上の)ファイル管理はこんなもんだろう。Filesのユーザは、ローカルに保存されているコンテンツや、SDカード上のコンテンツにアクセスできる。フォルダも作れるし、コンテンツの移動や削除など、一般的なお仕事もできる。

RedditのAMA(何でも聞いてよ)でMicrosoft Windows PhoneのグルJoe Belfioreが、Filesを予告した。そのとき彼は、5月の終わり頃と言ったから、タイミングはどんぴしゃりだ。

Windows Phone 8.1のユーザはここでダウンロードできる。Windows PhoneのユーザはまだWindows Phone 8の人が多いと思うが、Windows Phone 8.1は最初、デベロッパだけが対象だった。マスマーケットは、まだこれからだ。

FilesはApp AnnieのWindows Phoneランキングチャートに載っていない。8.1だから、すぐには登場しないだろう。だから現時点での評判などは、よくわからない。

Microsoftはなぜ、携帯電話のオペレーティングシステムにもファイルマネージャが必要、と考えているのか? なぜならWindows Phoneは、OneDriveやOfficeのクライアントでもあるからだ。そしてMicrosoftは、モバイル上でもそれらが実際に利用されることを望んでいる。

おっと、それから、ユーザもそれを要望したからだ。

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MicrosoftのCEO、サトヤ・ナデラ、「われわれはポストPCのさらに先の時代に入る」

MicrosoftのCEO、Satya Nadellaは「Microsoftは現在のポストPC時代のさらに先を見据えている。来るべき時代には企業も個人もひとつのデバイスに縛り付けられることなく、クラウドとモバイルを主要な環境とするようになる」というビジョンを語った。

第1回のCODEカンファレンスでNadellaは「われわれは今、ポスト・ポストPC時代の入り口に立っているのだと思う」と述べた。

NedellaはMicrosoftのCEOに就任してからまだ3ヶ月だが、大いに多忙な3ヶ月だった。Nadellaの就任後、MicrosoftはOffice for iPadをリリースし、 72億ドルでNokiaを買収し、ハードウェアではSurface Pro 3を発表して大きな反響を呼んだ。

もちろんこうしたプロジェクトの多くはNadellaの就任以前からスタートしていた。しかし30年を超えるMicrosoftの歴史でBill GatesとSteveBallmerに次いで3人目のCEOとなったNadellaはこの会社を再定義するという使命に取り組んでいる。これまでのMicorosoftはソフトウェア・ベンダーだったが、Nadellaはこれをデバイスとサービスの企業に変身させようと懸命だ。

クラウドとエンタープライズ担当の執行副社長であったNadellaはその任務にまさに適任だといえよう。

Microsoftはかつてなくハードウェア事業に力を入れている。その理由のひとつはポストPC時代の本格的な到来と共に、パソコン向けソフトウェアのライセンス事業の上にあぐらをかいていられなくなったという事情だ。

AppleのiOSとGoogleのAndroidがモバイル開発の主要プラットフォームとして地位を確立してしまったため、Microsoftはモバイル分野における独自の地位を守るためにWindowsのモバイルデバイスの93.5%を製造しているNokiaを買収せざるを得なかった。

独自ハードウェアと同時に、Microsoftはクラウド・ベースのサービスも次々に発表した。これをよく象徴するのがMicrosoftのクラウド・インフラを最大限に利用したNokia Lumia 930だろう。

Nadellaが果たしてMicrosoftを救えるほど素早くポスト・ポストPC時代への変身を完了できるかに.強い関心が集まっている。

さらに取材中。

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酪農家のためのSaaS Farmeronが二度目の資金調達で$2.65Mを獲得

酪農家をExcelとの悪戦苦闘から解放するSaaS Farmeronが、Matt Swanson、Andrew Murphy、SoftTech VC、およびNextView Venturesから新たに265万ドルを調達した。資金は営業の拡充に充てられる。

Farmeronは50頭から5000頭規模の酪農家を対象とし、彼らの複雑なデータ処理を一括代行する。とくに複雑なのは、経営データよりもむしろ日々の飼養〜生産に関わるデータだ。

投資家のSwansonは、これまでAssociated Feed & SupplyやVirtus Nutritionなど、カリフォルニアの酪農牧畜向け飼料企業で経験を積んだ起業家だ。

また、MFE TechのMurphyは、合衆国の大手牛肉生産農家Innovative Livestock ServicesのオーナーでCEOだった人物である。

2012年にFarmeronは、140万ドルのシードラウンドを終えている。

同社の競合他社であるDairyComp305やDHI-Provoなどは、酪農家や牧畜農家を対象とする会計事務所のような、古いタイプの帳簿付けサービス企業だ。

今ではInforやSAP、OracleなどのIT大手が農家のためのオンプレミスのERPに進出しようとしているが、まだ実績はない。しかも彼らのプロダクトは、FarmeronのようなSaaSのプラットホームではない。

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クラウド名刺管理はいよいよ世界へ–Sansanが14.6億円を調達して米国進出へ

メルカリKAIZEN Platformfreeeと大規模な資金調達が発表されているが、この流れはまだ続くようだ。法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan(旧:LinkKnowledge)」や個人向けの無料名刺管理サービス「Eight」を展開するSansanが、DCM、日本経済新聞デジタルメディア、産業革新機構、環境エネルギー投資、GMO VenturePartnersなどを引受先とする総額14.6億円の第三者割当増資を実施した。

Sansanでは、今回の調達を受けて海外戦略を強化する。Sansanは2013年に米国に子会社を設立。すでにノンプロモーションで試験的にサービスを展開してきているそうだが、これを5月より本格化する。

米国提供するサービスはSansan(旧:LinkKnowledge)をベースにしたものになる予定。ただし、LinkKnowledge自体は2007年にスタートしているサービスであり、販売方法も仕組みも決して今の時代に適したものとは言えない。そのため、米国ではサービス内容も国内で提供しているものとは少し異なるものにしており、課金についてもフリーミアムモデルを採用するそうだ。このサービスは、今秋をめどに国内でも提供する予定だという。

一方で、Eightについては現時点で米国展開をする予定はない。「名刺管理」と「名刺をもとにしたメッセージの送受信」という点ではLinkedInというプレーヤーもいるので、あえてレッドオーシャンに進まないということだろうか。すでに50万人が利用しているというEightだが、スキャン代行サービスを手がけるスキャンマンと組んだり、コワーキングスペースと組んだキャンペーンなどを展開したりするなど、当面は国内での認知度向上施策を続けるようだ。


データベースバックエンドのFirebaseがアプリケーションのホスティングもメニューに加える

リアルタイムアプリケーションのためのバックエンドとなるデータベースサービス(DBaaS)を提供するFirebaseが、このプラットホームの提供機能を拡張してWebアプリケーションのホスティングサービスも行うことになった。このFirebase Hostingサービスは、テストやプロトタイプというよりも、アプリケーションの本格的な本番展開のためのホスティングサービスである。同社はこれで、単なるDBaaSから、れっきとしたPaaSに変貌したことになる。

同社の主張によると、モバイルアプリは基本的に各アプリストアでホストされ、そのバックエンドをFirebaseやParse、Microsoft、Googleなどがサービスしていた。しかし同様のサービスがWebアプリケーションにはない。アプリケーションのホスティングはデベロッパにとっても苦痛で、CDNとかSSLの証明、サーバの構成など、面倒な作業が多い。

同社によれば、今後同社はデベロッパに、彼らのアプリケーションのための完全なパッケージ、すなわちリアルタイムデータベース+ホスティングを与えていく。これからは、バックエンドのインフラストラクチャをよそに依存す必要がない。

Firebase Hostingは、SSLの証明を自動的に確保するなどのバックエンド雑務をすべて面倒見る。アプリケーションの展開もワンコマンドで行え、ロールバックについても同様だ。また、世界中にデータセンターのあるFastlyのCDNがデフォルトでサポートされているので、アプリケーションのスムーズな動きが多くの場合に期待できる。

プロトタイプなど、カスタムドメインが要らない使い方では無料のプランもある。そして本格展開に移行するときには、Firebaseの有料プランに乗り換える。

なお、Firebaseのホスティングサービスは、単独では提供されない(必ずデータベースサービスとセット)。そして、Firebaseのホスティングを使いながら、アプリケーションのほかの部分はそのほかのバックエンドサービスを利用してもよい。ただし、そのやり方は経済的に無理があるかもしれない。

Firebaseによると、現在のユーザ数(デベロッパ数)は7万で、ホスティングサービスはベータ時に展開したWebアプリケーションサイトが1300以上すでにある。

 

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MS OfficeのiPadアプリ、46日で2700万ダウンロードを達成

4月上旬にMicrosoftはOffice for iPadのダウンロード数が1200万回に達したと発表した。それから1月少々で、さらに1500万ダウンロードが追加され、今日(米国時間5/12)、総数は2700万回となった。

アプリが 公開されてからわずか46日にしてはとんでもない数だ。1日平均、58万7000ダウンロードという計算になる。それだけユーザー側からの要望が強かったということだろう。 あと1月後もすれば洪水のようなダウンロードが収まるのかどうか興味深い。

OfficeアプリのなかではWordがもっとも人気が高く、アメリカでは11位、109カ国でトップ100位に入っている。iPad向けOfficeのリリース後に発表されたGoogleドキュメントのiPad向け生産性アプリはアメリカでは23位に降下している。

Office for iPadは最近Microsoftが強力に推し進めているクロスプラットフォーム化、モバイル化、クラウド化路線の一環だ。統計的に見れば、Wordはローンチ以来の勢いを少しずつ失っている。

タブレット・デバイスが市場に確固とした地位を築いてから相当な期間が経過していることを考えると、タブレット向け生産性ツールが本格的に登場したのは驚くほど最近だ。iPad向けOfficeの提供もDropbox、Box,、Googleなどのライバルを相手にしたプラットフォーム戦争の一つの局面と考えるべきだろう。iOSでダウンロード数を稼ぐことはOneDriveやOffice365の売上増大につながる。 考えすぎだろうか? ともあれ、MicrosoftはAppleを助けるためにiPadのサポートを始めたのでないことは確かだ。

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食品を分子レベルで分析して栄養素や完熟度を判定するスペクトロメータSCiOがKickstarterで人気沸騰

今週行われたTechCrunch Disrupt NYのHardware Alleyに登場したConsumerPhysics社のSCiOは、左図のようなハンドヘルドの“フードスキャナ”だ。このデバイスはポケットサイズのスペクトロメータ(分光計)で、物(とくに食品)に光を当ててその光の反射光の波長から、それが何であるかを判定する。現在市販のスペクトロメータに比べて、小さくて安いことが最大の特長だ。

したがって消費者が食品の含有カロリーを知ったり、薬の真偽を判定するためにも気軽に買える。

デバイスを目的物に向けてボタンを押すと、近赤外線光がその物を照らす。デバイスはBluetoothでスマートフォンのアプリに接続されていて、そのアプリはクラウド上のデータベースを調べてその物が何であるかを判定し、結果を返す。

スペクトロメータは前からある技術だから、その機能もよく知られている。しかしSCiOが成し遂げたのは、同社によると、低価格の光学部品と最先端の信号処理アルゴリズムを結びつけて小型化したことだ。開発に3年を要した、という。

小さくするために感度を犠牲にしたのではないか、という否定的な説もある

Hardware Alleyのデモでは、りんごやトマト、チーズといったありふれた食品が使われたせいか、問題は感じられなかった。信号媒体が光だから、食品がラップされていても大丈夫だ。スペクトロメータの信号をデータベースと照合したアプリは、その食品のカロリーや糖分に関する情報を返す。Kicstarterの資金募集ページでは、果物などの熟度もわかる、と言っているが、それはデモには含まれなかった。

でもDisruptで評判になったせいか、今では目標額20万ドルに対してすでに100万ドルを突破している。

ConsumerPhysicsのCEO Dror Sharon自身も、この成果に驚いている。彼は最初SCiOについて、ハードウェアハッカーや技術マニアの人たちにしかアッピールしないだろう、と考えていた。でもKickstarterでのこの人気ぶりは、SF映画に出てくる奇妙なガジェットのようなこの製品が、ビジネスの軌道に乗りそうなことを示している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Box、大躍進―GEの全社員30万ユーザーのためのクラウド・ストレージ契約を獲得

今朝(米国時間5/8)、Boxは巨大な顧客を獲得したことを発表した。

ゼネラル・エレクトリック(GE)は、全社的クラウドストレージとしてBoxを採用することを決定した。

Boxによると、全世界170カ国、 30万人の社員がこのサービスを利用することになるという。GEはこのクラウドストレージによって社員の共同作業の効率がアップし、モバイル化にもより良く対応できるようになると期待している。

現代の企業はモバイル、ソーシャル、クラウドなどの新しいテクノロジーにビジネス環境を適合させる強い圧力を受けている。GEは社員がさまざまなコンテンツを保存、共有、共同作業するためのプラットフォームとしてBoxを選んだ。

GEとの契約の成立を伝える今朝のブログ記事でCEOのAaron LevieはGEはこれまでも新しいテクノロジーを積極的に採用して組織に変革をもたらしてきたと書いている。GEはiPhoneとiPadを最初に採用したFortune 500企業だった。またGEのCIO、Jamie MillerはIT部門だけでなく全社的な革新のために新しいテクノロジーを採用する旗振り役を長く務めてきた。

2週間ほど前にS-1上場申請書を提出したことに伴って、Boxは情報発信を制限される期間に入った。情報の空白が生じたため、そこをあれやこれやの(たいていは否定的な)推測が埋めることになり、Boxはさんざんな目に合っている。わずか1週間ほどでBoxのイメージはクラウドの寵児から失敗者へと転落してしまった。しかし現実はそのどちらでもないのだろう。

GEとの契約は大成功だが、BoxはすでにSchneider Electricで6万5000ユーザー、P&Gで3万ユーザーの大型契約をすでに得ている。Boxがこの調子で今後も大口ユーザーの獲得に成功するなら、悲観論を撃退して投資家を納得させることができそうだ。

写真 BY FLICKR USER BOB JAGENDORF. USED UNDER CC BY 2.0 LICENSE.

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


GoogleがクラウドモニタリングサービスStackdriverを買収して同社クラウドプラットホームの優位化を目指す

Googleが今日(米国時間5/7)、同社がクラウドをモニタするサービスStackdriverを買収したことを発表した。今後Googleは、同社のCloud Platformの機能の一環として、同サービスの機能を提供していくものと思われる。買収の価額等は公表されていないが、Stackdriverはこれまで、Bain CapitalとFlybridge Capitalがそれぞれ率いる2回のラウンドにより、計1500万ドルを調達している。

2012年にローンチしたStackdriverは、ユーザのクラウドアプリケーションの監視を代行し、問題が起きたときにはdevopsの一部を自動化、そして、ユーザのクラウド利用状況を詳細に数字で把握し記録する。

これまで、Amazon Web Servicesのモニタリングが主だったが、個別のサーバや、Rackspaceのクラウドサービス、Google Cloud Engineのインスタンスなどもサポートしている。昨年同社がシリーズBの資金調達ラウンドを完了したときに、協同ファウンダのIzzy AzeriとDan Belcherに聞いたところによると、今後はもっとサポートする対象サービスを増やしたいという話だった。そういった努力が、今回の買収に結びついたのだろう。

Googleとしては、Stackdriverの既有のサービスはすべてそのまま継続させ、ユーザにはハイブリッドなクラウド環境に対しても使えるツールを提供していく。ただしStackdriverのチームは当面、Google Cloud Platformとの統合化に追われ、主にGoogleの顧客に“同社の高度なモニタリング能力を提供して”いくことになる。そしてそれが、顧客においては、Googleのクラウドサービスを利用することのアドバンテージにもなる。

Googleのクラウドプラットホームが一種の節目を迎えているときに、この買収が行われた、とも言える。数週間前にはまずクラウドストレージをめぐる小規模な価格戦争の口火を切り、その後は同社のクラウドストレージとコンピューティングサービスに多様な新サービスをローンチしていった。Googleはクラウドプラットホームサービスに関して、相当本気だと伺われる。今のところ、この世界のリーダーはAmazon Web Servicesだが、AWS自体は使いやすいモニタリング機能をまだ提供していない。

だからStackdriverの高度なモニタリング機能を加えたGoogleは、そのプラットホームを市場でより目立たせることができ、クラウドコンピューティングがコモディティ化して料金も下がる一方、コアなコンピューティングとストレージサービスが主体であるかぎりは各社の差別化要因もほとんどない、というこの時期に、他社に鼻の先ぐらいの差をつけることが、できるかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


容量無制限のBitcasaが自分を無名のクラウドストレージインフラとして使えるAPIサービスCloudFSを提供

かつてTechCrunch Disrupt Battlefieldでデビューし、“容量無制限”*で話題になったクラウドストレージサービスBitcasaが今日(米国時間5/6)、デベロッパ向けのAPIサービスCloudFS〔クラウドファイルシステム〕を立ち上げる。これにより、デベロッパが作るアプリケーションの中から、Bitcasaというブランド名を意識することなく、クラウドストレージにアクセスできるようになる。Bitcasaによると、すでにPlexやCloudlessなどがこのAPIサービスを利用している。〔*: 今では無料(20GB)から無制限(11900円/月)まで4段階の利用プランがある。 〕

CEOのBrian Taptichによると、11月にローンチしたデベロッパ向けサービスはすでに5000名の登録ユーザがいるが、彼等からのいちばん強い要望が、自分のアプリケーションの中からBitcasaというサービスをBitcasaという名前で利用することでなく、まるで自分のアプリケーションの中に、それの機能の一環として、クラウドストレージの利用もある、すなわちサードパーティサービスのブランド名が表に出ない、という使い方だった。

このAPIセットは、いろんな機能を提供している。ファイル管理、ファイル共有、メディアのコード変換、パスワード不要の暗号化、などなど公開クラウドストレージの主機能すべてだ。しかも同社は、Bitcasaの従来の”Turn-key Drive”に加えて9つの既製のアプリケーションを提供するので、デベロッパの仕事も楽になる。しかもデベロッパは、BitcasaのCloudFS APIサービスからAWSなどそのほかのクラウドサービスにもアクセスできる。

“EvernoteやDropboxには、バックエンドのストレージを管理する機能がない。消費者向けサービスとしては、優秀だけどね”、とTaptichは説明する。彼によれば、同社は今後、次世代のデベロッパ向けのサービスに力を入れる。次世代のデベロッパとは、パブリッククラウドの構築に要するオーバヘッドや時間、労力などを自ら投じようとはしない、文字通り新人類のデベロッパたちだ。

“このAPIを使うと、デベロッパが自分だけのiCloudを簡単に作れるんだ”、と彼は言う。

CEOは、デベロッパプラットホームへの注力は同社の方向転換ではない、と念を押す。本来の消費者向けサービスはユーザ数が100万を超えており、今後も継続する。デベロッパ向けサービスの開始は、同社のプロダクトの多様化だ。今の顧客の中には(実名を挙げないが)合衆国やそのほかの国のモバイル事業者もおり、彼等は、Google(Google Drive)やApple(iCloud)に対抗して独自のクラウドストレージを提供できることに関心がある。そういう意味でデベロッパ向けのBitcasaは、各顧客が自分のクラウドストレージを築くための、無印の原料だ。

APIのドキュメンテーションは、今日からあるが、APIの非公開ベータは今月末に始まる。公開ベータは夏の予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


開発者のためのGoogle Docsを自称するCodeanywhere、Disrupt NYでも大人気

プログラマーのためのGoogle Docsを自称するCodeanywhereがなかなかの人気だ。どこからでも、いつもと同じ開発環境を利用できるようにしようとするサービスだ。Disrupt NYのStartup Alleyで、観客の投票によるベストカンパニーに選ばれ、共同ファウンダーのIvan BurazinおよびVedran Jukicが、先ほどプレゼンテーションを行った。

このアイデアを思いついたのは、自分のPCがなくても、いつもと同じ環境でプログラム開発が行えないものかと考えたからだった。また開発と言わないまでも、問題点の修正を行うだけであっても、自分の環境一式を持ち歩かないといけないことに疑問を感じたこともあった。そのアイデアを推し進め、出先のPCからウェブ経由で利用できるようにしたのみならず、iOSおよびAndroid版のアプリケーションも提供している。

運営にあたっているのは2名の共同ファウンダーに5名のエンジニアだ。これまでに63万5000ドルの資金を調達しているそうだ。Burazinによれば、日々新たに400名が登録していて、利用者数は20万を超えており、先週のログイン者数は5万人程度になるのだそうだ。

料金はフリーミアムモデルを採用していて、有料版は月額5ドル(年間登録では50ドル)となっている。これによりFTP、FTPS、ないしSFTPサーバーを好きなだけ利用することができる。来月中にはオフラインモードで利用できるようにする予定で、Githubなどとの連携も深めて行きたいとのことだ。

訳注:Codeanywhereの「Features」ページでは以下の機能について説明が掲載されています。

  • ブラウザ内から利用できるコードエディタ
  • ファイルエクスプローラー
  • Dropbox、Github、Driveなどとの連携
  • SSHターミナル
  • リビジョン管理

原文へ

(翻訳:Maeda, H