DJI Sparkドローンのコントロールアプリは4種類の自動飛行モードをサポート、SDKも最初から提供

今日(米国時間5/24)ニューヨークで行われたメディアイベントで、DJIが新製品のドローンSparkを発表した。それはポータブルなドローン入門機であり、日常的な航空撮影にも適している。ぴかぴかのSparkを手に入れたあなたのために、DJIはiOS上のコントロールアプリGO 4をリリースした。

このアプリには、4種類の自動飛行モードがあり、そのおかげで、あなたやぼくがちょいと複雑な飛ばし方をして、499ドルもするおもちゃを壊すおそれがない。起動時のGO 4はActiveTrackモードで、画面中の飛行物体に焦点を合わせる。Panoモードは、複数の画面を自動的に縫い合わせてパノラマを作る。ShallowFocusは背景をぼかす〔これは‘飛行モード’ではない〕。TapFlyはターゲットの上でホバーしたり、そいつを追ったりする。Gestureモードは手のジェスチャーで自撮りをしたりビデオを撮ったりする。

もちろんGO 4には写真やビデオ用のフィルターや、自動編集機能もある。YouTube, Instagram, Twitter, Facebookなどのソーシャルネットワークへのアップロードもできる。

Sparkの飛行モードはすべて、GPS/GLONASSのセンサー群と3Dセンサーシステムと、そしてDJIが視界位置決めシステム(vision positioning system)という名前でマーケティングしている機能により飛行時の安定を維持し、完全な自律飛行ができる。

SparkのSDKもすでに提供されていて、Epsonとのパートナーシップや、ドローン使用中のコーディング、一人称ビューのゴーグルの併用などにより、飛行モードや撮影機能などに関してクリエイティブな工夫ができる。

Sparkは今、予約販売中で499ドル、店頭に出るのは6月15日の予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

小型高精度のレーダーシステムを作るEchodyneが$29Mを調達、ドローンや自動運転車にレーダー能力を実装

自動運転車は自分の回りのものを検出して接触や衝突を避けるための、センサーを必要とうする。しかも車が高速で動いているときには、前もって、正確に、十分に早く、ものを認識して衝突を避けることが必要だ。

そのための既存のシステムの多くが、何らかの光測検出系とカメラを主に利用している。しかし、そういうLiDAR(レーザー光測装置)やカメラの効力は天候に左右される。彼らは霧や塵埃、悪天候の中では視力が落ちる。遠くの物も、苦手だ。そして、その多くが十分な堅牢性とコンパクト性を欠き、おそらくドローンなどでは使えない。

そこで投資家たちは今、軽量レーダーシステムのEchodyneに2900万ドルを投資しようとしている。その製品はまずドローン用からスタートするが、今後は自動車やボート、移動能力のあるロボットなどにも利用できる。これでやっと、自動運転車が十分な自律能力を持つかもしれない。

この新たなラウンドでEchodyneの総調達額は4400万ドルになる。このシリーズBのラウンドを仕切ったのはNew Enterprise Associates、これにBill Gates, Madrona Venture Group, Vulcan Capital, Lux Capital, The Kresge Foundationなどが参加した。

Echodyneのレーダーシステムはコンパクトで軽いから、たとえば送電線や農地などを点検監視する商用のドローンにも乗せられる。そのポケットサイズのレーダーのデモを、本誌も今月の初めに報じた。その記事には、LiDARや従来のセンサーとの違いも説明されている。

EchodyneのCEO Eben Frankenbergによると、これまで作ってきたのはドローン用のレーダーのみで、今それを組み込んだ製品を開発中のドローンメーカー(複数)の社名は明かせない。自動車用のレーダーシステムは、まだ‘開発途上’だそうだ。

今回の資金の用途は、生産能力の拡大(今の年産数百台から数千台のオーダーへ)と、レーダーのソフトウェアの改良と機能拡張に充てられる。

“わが社のハードウェアは、既存の商用レーダーよりずっと進んでいる。ジェット戦闘機のノーズコーンに収まっている、フェーズドアレイレーダーのような使い方も十分にできる。でもレーダーが捉えた像で何ができるか、というソフトウェア的可能性は、まだ十分に汲みつくしていない。たとえば、ある種の、コンピューター・ビジョンのようなソフトウェアも可能なはずだ”。

同社のレーダーはポイントクラウド(点群)と像の両方を作るので、コンピューター・ビジョンの場合と同じように、ニューラルネットワークやAIによる処理も可能だ。それにより自動運転車などは、自分の環境をより正しく認識分類できる、とCEOは語る。

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遊びのための模型のドローンも登録対象とするFAAの規則を連邦裁が否認、単純にホビイストの勝利にはならない模様

FAA(連邦航空局)のドローン登録データベースが今週、連邦控訴裁判所の裁定で大きな問題にぶつかった。裁判所はドローンのホビイストJohn Taylorの、今の法律では模型のドローンが属する分類〔規制対象機種の分類〕が決まっていない、という説を受け入れたのだ。

Brett Kavanaugh判事はこう声明している: “Taylorは、FAAには彼に登録規則を適用して登録を要求する法的権限があると考えていない。Taylorは正しい”。

裁判所は、ドローン登録データベースが2012年のFAA Modernization and Reform Act(FAAの現代化と改革に関する法律)に違反している、と主張した。その法律は、“模型の航空機に関してはいかなる規則も規制も公布しない”、と言っている。

そのデータベースは、アメリカにおけるドローン保有者の増大に対応するために、2015年に提案された。ドローンの増加は政府に、プライバシーと安全性に関するさまざまな懸念をもたらした。FAAは今回の裁定について控訴するか、別の方法で同様のシステムをセットアップすることを選ぶだろう。

FAAのスポークスパーソンはこう語る: “連邦控訴裁の裁定はドローンの登録制と関連しているので、細心に検討している。FAAは、ドローンが安全に操縦され、セキュリティやプライバシーの脅威をもたらさないために、登録制と操縦に関する規制を設けている。われわれは目下、裁定に対するわれわれの選択肢と対応を考慮中である”。

ドローンの国際的な業界団体Association for Unmanned Vehicle Systems International(AUVSI)も、裁定に不満だ。同団体のCEO Brian Wynneは、次のようなコメントを本誌にくれた:

AUVSIは、レクリエーション用の無人航空機(unmanned aircraft systems, UAS)の登録に関するFAAの規則を認めないとする、アメリカ連邦控訴裁判所の決定に幻滅している。UASの登録は、国の空域を利用する者の責任と義務を明確にし、不注意で粗暴な行動を抑止して安全の文化を作り出すために重要である。われわれは、有人と無人の両方を含む航空界全体にまたがる継続的責任を確立するために、議会と協力して法的解決策を策定する計画である。

ドローンの売れ行きはアメリカで急成長している。NPDによると、2016年2月からの1年間で、それまでの全売上に相当する台数が売れている(すなわち一挙に倍増)。その、FAAの規則ができてからの1年間で、登録台数は55万台、登録料は5ドル、そして違反者は罰せられる。

このたびの裁定は、規制を制約と感ずるホビイストにとって勝利と見なされるが、今後ホビイスト向けの小型機種を出すと予想されているDJIなどのドローンメーカーは、この件ではFAAに同調している。

“ドローンの登録に向かってのFAAの革新的なアプローチは、きわめて合理的である。登録はドローンの操縦者に責任と教育をもたらす”、DJIの法務担当VP Brendan Schulmanは、本誌宛の声明でそう述べている。“FAAのプログラムを妨害する法的問題は、業界と政策立案者双方の協力で解決されることを、期待する”。

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LEGOドローンのFlybrixがクラウドファンディングを行わなかった理由―、ハードウェアスタートアップのジレンマ

Flybrixは、子どもがLEGOブロックを使って組み立てられるドローンを2015年に発表した。その当時、共同ファウンダーであるAmir Hirsch、Robb Walters、Holly Kasunの3人は、クラウドファンディングを通じた資金調達の賛否について議論していた。KickstarterやIndiegogo上で資金を調達した、PebbleOculusScanaduといったスタートアップのような露出を求めていた彼らだが、同時にクラウドファンディングを行うハードウェアスタートアップに対して、疑いの目を向ける消費者が増えているというのがネックだったのだ。

Kickstarterの依頼を受けてペンシルベニア大学が行った研究では、Kickstarter上で資金調達を行ったプロジェクトのうち、9%が支援者に対する”リワード”を提供できなかったとされている。Kickstarterはこの独自調査の結果を2015年3月に発表したものの、Indiegogoをはじめとするその他のクラウドファンディング・プラットフォームに関しては、そのような数字が明らかにされていない。少なくとも、各社は利用規約の中に、プロジェクトが資金調達に成功しても、支援者がその見返りを受け取れない可能性があることを明記している。

Flybrix共同ファウンダーの1人のKasunは、クラウドファンディングの世界では、成果物を提供できなかったハードウェアキャンペーンほど、怒りに満ちた反応を生み出すものはないと語っている。ユーザーは芸術的なプロジェクトには寛容なようだが、CoolestのクーラーボックスKreyosのスマートウォッチが、時間通りに(またはそもそもプロダクト自体が)届かなかったときには怒り狂っていた。ドローンも決して例外ではない。

FlybrixがLEGOドローンキットの製造を開始する準備ができるまでに、Torquing GroupのZano Nanoドローンや、AirDroidのPocket Droneといったプロジェクトが失敗に終わっていった。1万2000人に及ぶ支援者が集まったZanoプロジェクトに関しては、一体何が起きたのかを解明するため、Kickstarterは調査ジャーナリストまで雇っていた。

当時Lily Roboticsも、カメラ付き自動追尾型ドローンを予定通りに出荷できずにいた。するとその後すぐに、サンフランシスコ地方検事局が同社を虚偽広告の疑いで起訴したのだ。投資家からも1500万ドルを調達していたにも関わらず、結局Lilyは今年シャットダウンすることとなった。

このような前例もあってか、Flybrixはクラウドファンディング・キャンペーンを完遂するためには、プロトタイプの段階をこえて、サプライヤーがきちんと発注分の製造をこなせるかサプライチェーンを試さなければいけないと判断した。「絶対的な数字ではありませんが、1000ユニット製造すれば、統計的に見て十分なサンプルが得られるので、小さなロットで発生しそうな問題を発見・解決することができます」とKasunは話す。

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クラウドファンディングなしで初期のコストをまかなうため、Flybrixは約100万ドルをシードラウンドで調達した。その一方で共同ファンダーの3人は、クラウドファンディング・キャンペーンに対する反応をもって、消費者の需要の一部だけでも見せることができれば、もっと簡単にシードファンドを調達できていただろうと語っている。

そうは言っても、クラウドファンディングを行わずに、限られた数の消費者の手元に最初のドローンを届けるというのは、最善の判断だったと同社は感じている。2016年9月にFlybrixは一般向けにもドローンの販売を開始し、自社サイトから直接製品を販売している。結果的に同社は、KickstarterやIndiegogoに頼らず、求めていた露出を得ることができた。

公式ローンチから90日の間に、Flybrixは190万ドル分のドローンを販売できたのだ。そして今日までに8000ユニットを出荷している同社は、ディストリビューターの助けを借りずに、現在学校や行政機関から大型の発注を受けている。さらに墜落に強い同社のドローンは、テック系の製品を中心に扱うPao Altoのb8taという店舗でも販売されている。

「私たちの最初の製品は、Appleのコンピューターほど洗練されてはいません。しかし私たちは長い間、ドローンという小さな空飛ぶロボットを使って、Appleのように教育市場に入りこもうと考えてきました。最終的には、もっと大きな一般消費者市場にも進出していければと考えています」とFlybrixのCOOは話す。

今後Flybrixは、新たに資金を調達し、新しいキットの開発やモバイルアプリの機能拡充、同社のドローンを組み込んだカリキュラムの考案に取り組もうとしている。将来的にクラウドファンディングを行うかどうかについては、まだ決まっていない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

アメリカの海軍研究所が開発した“群れで飛ぶ自動飛行小型ドローン”CICADAがいよいよ実用化フェーズへ向かう

航空機から落とされたパッケージから、手のひらサイズのドローンの大群がわき出て飛んでいく。それを研究しているのが、アメリカ海軍研究所のCICADAプロジェクトだ。実際の大群飛行テストを、近いうちに行う、という。

CICADAはClose-In Covert Autonomous Disposable Aircraftの頭字語で、その意味は、潜伏接近用使い捨て自動飛行航空機、だ。気圧と気温と湿度のセンサーを搭載し、小さな翼に自動飛行のための回路基板がある。公式仕様によると、重量は65グラム、毎秒1000フィートの速度で落下する。32機をローンチチューブに収め、それを海軍機P-3 Orionから投下する。空中に放たれたCICADAは目標に向かって飛行し、約5メートルの精度で着陸できる。

プロジェクトの最終テストはもうすぐ始まり、その後は産業目的や研究目的のためのカスタム化に着手する。

CICADAプロジェクトはかなり前から始まっており、開発が始まったのは2006年、最初のテスト飛行は2011年に行われた。今回のテストが、この手のひらサイズのお忍び監視用デバイスの、卒業式(社会への巣立ち)になる。いろんな用途に使えそうだし、スピードもあり、音も静かだから、卒業後の彼らにはいろんなアプリケーションが待っていることだろう。

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スイスで血液サンプルの病院間搬送にドローンの遠距離自律飛行が認められた…交通渋滞の悩み解消

スイス連邦民間航空局(Swiss Federal Office for Civil Aviation, FOCA)がMatternetに、同社の配達ドローンが昼夜を問わずいつでも、都市の上空を自律飛行してもよい、と認可した。この規制のハードルをクリアしたことによって来年早々から、MatternetのパートナーSwiss Post(スイス郵便)は、Matternetのドローンを使って血液サンプルなどの小荷物を、人口56000人の小都市ルガーノの病院間で配達できることになる。

MatternetのCEOで協同ファウンダーのAndreas Raptopoulosは語る: “わが社にとって大きな進歩だ。これからはわが社の技術を、スイス全域で運用できる。医療とeコマースの大きな機会が開ける”。彼がとくに強調するのは、Matternetのシステムをボタンひとつで利用でき、しかもスイス国内では見通し線を超えたドローンの飛行が可能になることだ。

配達ドローンで競合するZiplineFlirteyなどは、ドローンを作って顧客のためにそれらを飛ばす仕事をするが、Matternetは同社の技術を、Swiss Postに代表されるような物流企業に売っている。

今回スイス政府が自律飛行を許可したMatternetのM2ドローンは、航続距離20キロメートルで2キログラムの荷重を運ぶ。平均速度は、毎時36キロメートルだ。クワッドコプターで、二重化センサーと自動操縦システムを搭載している。機上の電子機器がだめになったら、パラシュートを開いて着陸する。離陸も着陸も基地局から行い、そこには赤外線信号によるピンポイントの着陸ができる。

今月(2017/3)の初めにSwiss PostとMatternetは“共同イノベーションプロジェクト”を立ち上げ、手始めに、ティチーノのEOC病院グループのうちルガーノの2院間のドローン配達をテストした。それまでは血液サンプルも陸上輸送だったから、渋滞などで緊急の検査に間に合わないこともあった。病院間でサンプルを空輸できるようになり、しかも有人のヘリや飛行機は不要だから、検査と、その後の診療行為に遅れがなくなる。

ドローンの医療利用はすでに各所で始まっている。ドイツでは、DHLの“小荷物コプター”が、北海の孤島ユイストの住民に薬を届けている。ルワンダでは、Ziplineが政府の事業により、血液や医療用品を病院と診療所に配達している

でも、MatternetとSwiss PostとティチーノのEOC病院グループの取り組みは、先進国の人口稠密市場における初めての、ドローン配達の医療利用だ。

Swiss PostとMatternetとのパートナーシップは2年前に始まったが、血液サンプルなど“バイオハザードな”素材に関しては、ドローンの利用に特別の許認可を要する現状が、今でもある。しかしドローンによる配達のテストを今後さらに重ねたのちには、ドローン配達の医療利用がSwiss Postの通常のオフィシャルなサービスになるだろう。

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水中ドローンGladiusは4Kのビデオカメラを搭載、海水の塩分も平気だ

最初のドローンは空を飛んだ。そして今度は水中だ! このGladiusは、要するに遠隔操縦する潜水艦で、深さ100メートルまで潜れて4Kのカメラ〔==オプション〕で撮影できる。

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ぼくはプロトタイプを見たけど、とってもハンサムだ。大きくて黄色い双胴式のモンスター、とも呼べるこの野獣は、スマートフォンに接続されるリモコンでコントロールし、半ばテザリングされている。すなわち、条件が良ければ最大500メートルまでの遠隔操縦ができる。

最小限の構成は、ドローン本体と1080pのカメラ、30メートルの繋留ロープ、そして一種のリピーターとして動作する“Wi-Fiブイ”だ。ビーチで使うことが前提だが、でも、どこからでも海に放り込むことができる。初期支援者には599ドル、4Kモデルは799ドルだ。“四次の自由度”を持つ、とされており、深く潜って海底で亀や冷蔵庫に会える。

今住んでるブルックリンが暖かくなったら、本格的なレビューを書こう。しかし、見た感じでは、とってもクールでお利口そうだ。ビーチで楽しむのもよいし、ブルックリンのゴーワヌス運河で錆びた銃を見つけるのもよいかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoPro、さらに270人をレイオフへ―Q1は好成績と予告

今日(米国時間3/15)は 2017年第一四半期の決算の予告を発表した。これによると売上は前期に発表されたガイダンスの予測幅の上限という好成績だという。しかしこの明るいニュースに270人分の職を新たにカットする計画が影を落とすこととなった。

このレイオフは2016年1月に発表された100人分(7%)、11月の200人分(15%)の人員カットに上乗せされる。

2015年のクリスマス商戦の不振に続き、待望の新製品、折り畳み式のKarmaドローンがリコールを余儀なくされ、GoProの株価は急落した。 このリコールは「少数のKarma」に飛行中に電力を失うという不具合があったためだという。2016年のGoProのビジネスは荒れ模様となり、墜落を回避するための措置が必要となったわけだ(どうしてもこういう比喩を思いついてしまう)。

いつもながらGoProのファウンダー、CEOのNick Woodmanは強気で、将来計画を発表するときは笑顔を絶やさない。

Woodmanは決算関係のニュースと同時に発表されたプレスリリースでこう述べている。「GoProの財務状況はわれわれのプロダクトの高いブランド力に見合うものだと確信する。コスト削減の努力が実を結び、製品計画は順調だ。重要な点として、われわれは2017年には年間を通じて非GAAPベースでの黒字を出せるものと予測する」。

この声明は今年1月にCESでGoProが発表した内容に沿ったものだ。悪いニュースの中にあって若干の明るい要素を示したわけで、 株価は時間外取引で小幅ながら反発した。

Forbesが引用した情報源によれば、このレイオフは主として仮想現実部門とメディア部門をターゲットにしたものという。情報源はこれらの部門について「責任者がすでに誰もいない」と述べている。CESでWoodmanが述べた「GoProはコア事業に資源を集中する」という路線を実行するものなのだろう。そうであっても、類似製品があふれ、その多くが低価格を武器にしている市場のリーダーとして会社の舵取りは難しいものとなりそうだ。ことに、一時は提携したこともあるライバル、DJIとの競争は厳しくなる。

われわれはGoProに付け加える情報があるかどうか問い合わせ中だが、同社は公開された声明で意味は十分通じるという立場を取ると思われる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

DoorDasyのCEOがオンデマンド食品配達の未来を語る

今週私はDoorDashのCEO、Tony Xuにインタビューし、オンデマンド食品配送について話を聞いた。記憶している読者もいると思うが、この1月、DoorDashはStarship Technologiesと協力して食品のロボット配送を実験している。

上のビデオでXuと私は食品宅配について課題、収益性、今後の予測など話し合った。

その中でXuはロボット配送について「この分野では変化は急激はさほど急激には起きないだろう」と述べた。Xuは「食品配送の分野では、われわれDoorDashがそうだが、テクノロジーと人間は互いに補完し合うと考えている」といいう。

2015年にアメリカでは2100億ドル分の食品、料理が宅配ないしテイクアウトされた。しかしBusiness Insider Intelligenceによれば、この分野の2大プレイヤー、GrubHub/SeamlessとEat24は両者合せてわずか26億ドル分の売上にしか寄与していない。

つまりこの分野にはきわめて大勢のライバルがいる。同時におそらく食品が宅配される方法もさまざまなのだろう。レストランから料理を引き取って配達する場合もあるだろうし、料理を作る店が出前をすることもあるだろう。それともわれわれが思いつかないだけでまったく別の宅配パターンがあるのかもしれない。

上のビデオでわれわれは広い範囲にわたって議論している。

〔日本版〕ビデオでは0:37あたりから6輪の地上走行ドローンが活躍することろが見られる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

救助活動用に赤十字が特注したLand Rover Discoveryはドローンを標準装備して視界を拡大

Land Rover Discoveryの捜索救助専用車‘Project Discovery’は、実際にオーストリアの赤十字が採用していて、走行時でもこのSUVの屋根から離着陸する四回転翼ドローンを標準装備している。任務のないときはドローンは磁石で固定されているが、捜索救助を助けるときには、赤十字の人間スタッフが車や徒歩で入り込めないところを探索する。

この車はJaguar Land RoverのSpecial Vehicle Operations(SVO, 特殊車両作戦)部門が設計した。チームの名前もクールだ。Land Roverは赤十字とこれまで63年の長きにわたってパートナーしており、この車もそのパートナーシップの一環としてのカスタムメイドだ。ドローンを標準装備したDiscoveryは、その長いパートナーシップの中でも、技術的には最も高度な成果だろう。

そのドローンは撮像をリアルタイムで、車にいる救助隊に送り、彼らに遭難者を探索するための鳥瞰的な視野を与える。また地震や雪崩、山火事、台風などのときは、地形の変化状況を伝える。緊急時に、刻々と状況が変化するようなとき、ドローンが提供する視界は大いに助かるだろう。

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ほかに‘Project Hero’と名付けられたプロジェクトもあり、そのためのLand Rover Discoveryには、緊急時の作業スペースとしてスライド式の床パネルがある。ドローンの装着点が車体上に複数あり、夜間用にLED照明がついている。また、国際標準規格のプラグを使っている各種デバイスのための、電源供給ポイントもある。

プロジェクトの最初のデプロイは、鉱山で有名なエルツベルグにある、オーストリア赤十字の訓練センターで行われる。最初の訓練期間は2017年6月からの12か月で、ドローンを使う救助活動のシミュレーションも、チームにそのための技術力をつけさせるために行われる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

”カメラ企業”としてのSnapの野望―、360度カメラからドローンまで

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Spectaclesに続く、”カメラ企業”Snapの新製品は何になるのだろうか?複数の情報筋によれば、同社はこれまで360度カメラの可能性を探っており、360度カメラや3Dカメラに詳しい開発者を会社に招いて、今後Snapが開発すべき製品のオプションに関するプレゼンを受けていたという。

一方、Snapはまだ360度カメラの調査をはじめたばかりで、実際に製品がリリースされるかどうかは定かではない。なお、同社は本件についてコメントを控えている。

もしも360度カメラが市場に出れば、SnapはSpectaclesで撮影できる1人称視点で丸いフレームの動画のように、これまでにない形式のコンテンツをSnapchatに追加できるほか、新しい収益源を確保することができるかもしれない。

以前Snapは、買収の可能性を示唆しつついくつかのスタートアップとミーティングを行ったが、結局その目的は、同社が今後進出できそうな新しい市場やテクノロジーに関する情報収集だったと、SnapのM&A周りに詳しいある関係者は話す。

さらにその人物によれば、中にはミーティング後に実際にSnapが買収した企業もあったが、「さまざまな相手と何度もミーティングを重ね、情報を引き出すだけという場合もありました。Snapは買収に興味があるようなふりをして、相手から情報を引き出そうとしているようです」とも語っている。

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SamsungのGear 360

例えば、Snapがセルフィー用ドローンを開発するスタートアップLilyとの話し合いに入ったものの、結局何も具体化しなかったという情報を、昨年末にTechCrunchは入手していた。その後Business Insideが両社の話し合いについて報じ、Lilyは最終的に倒産した。さらに昨日The New York Timesは、Snapがドローンを「開発した」と報じており、TechCrunchがコンタクトした関係者もそれを認めている。しかしドローンについても、実際に製品としてリリースされるかどうかはわかっていない。

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Artist rendering of Ricoh’s forthcoming R 360 camera 近々発売が予定されているRicohのR360のレンダリング画像

Snapが得意分野を離れてドローン市場に進出するとなると、そこには厳しい競争が待っている。Lilyはプレオーダーで3400万ドルもの売上を確保していたにも関わらず、結局製品をリリースできないまま倒産してしまった。またGoProにはKarmaがあるが、先日の落下事故を受けてリコール・リローンチを余儀なくされた。

中国発で人気の大手ドローン企業DJIは、コンシューマー向けドローン市場で1番の性能を誇るカメラ付きドローンを製造しているとされており、その他にも市場には価格の安いドローンが溢れている。こんな状況の中Snapがドローンを開発するとすれば、競合製品とは違う新しくて”クール”なカメラの機能や、使いやすさに重きをおかなければいけない可能性が高い。

そういう意味では、もしかしたら360度カメラの方がSnapにとってはチャンスがあるのかもしれない。RicohのThetaやSamsungのGear 360などが競合製品として存在する一方、まだアメリカでは一般に普及し大成功を収めた360度カメラはない。また、ドローンよりも360度カメラの方が、持ち運びがしやすく操作も簡単で、画像取込というSnapの専門性をうまく活用できるだろう。

通常360度カメラは複数の魚眼レンズを使って写真や動画を撮影し、見る人は携帯電話のスクリーンを動かしたりスワイプしたりすることで、撮影された空間を色んな角度から眺めることができる。これが没入感につながるのだ。これまでのところ、人の心をつかむような360度コンテンツというのはなかなか誕生しておらず、プロのビデオグラファーもどんなコンテンツが360度カメラと相性が良いのかまだ模索している段階だ。

コンサート中のステージや戦闘機のコックピットの様子を360度動画で長時間眺めていても、退屈であまり身近に感じないかもしれないが、知人や友人に囲まれているような雰囲気の短い動画であれば、もっと楽しく感じられるかもしれない。さらに、もしもティーンエイジャーがSnapの360度カメラを手にすれば、また新たな使い方が生まれる可能性もある。

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このRicoh Thetaで撮影された写真のように、360度動画・写真は色んな角度から眺めることができる。

他にもSnapはこれまでに、GoProのようなアクションカメラや、3D画像が撮影できるカメラなどの開発を検討していたと関係者は話す。また、Spectaclesの第2世代がリリースされる可能性もあるが、少なくとも初代Spectaclesは売上という意味ではほとんど実績を残せていない。

今週予定されているSnapのIPOが近づく中、投資家は今後新しい収益源を求めることになるだろう。Snapchatのユーザー数の伸びは、競合のInstagramがStories(TechCrunchはInstagramのStoriesがSnapchatのユーザーを奪っていくだろうと報じていた)をローンチしてから鈍化してしまったが、新しいタイプのコンテンツを撮影できる新製品を導入することで、Snapは再度ユーザー数を増やせるかもしれない。

Snapのハードウェア戦略の裏には「携帯電話のカメラにできないことは何か?」という問いが存在する。携帯電話では手を使わないでPOV動画は撮影できない。だからこそSpectaclesが誕生したのだ。同様に、携帯電話は空を飛べないし、周囲の様子を一度に撮影することもできない。携帯電話を握りしめてゆっくりとその場を回りながら、自分のいる場所を撮影している人をよく見かけるが、360度カメラを使えば、友だちはよりリアルに、あなたと同じ場所にいるような感覚を味わえるかもしれない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Otherlabのボール紙製ドローンは2ポンドの荷重を運んで消滅する

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ドローンは、人間が入り込めないようなところでも仕事ができる便利な道具だが、その高価な金属製の装置を人間が容易に回収できないケースもある。そこでサンフランシスコのOtherlabが考えたのは、Wired誌によると: 一回かぎりの軽い仕事を終えたら使い捨てとなるドローンだ。

そのアイデアは、突然誰かの頭にひらめいた妄想ではない。OtherlabのこのApsaraと呼ばれるプロジェクト(Aerial Platform Supporting Autonomous Resupply Actions, APSARA, 自律的再補給アクションをサポートする航空機プラットホーム)は、DARPAが資金の一部を出している。そのねらいは、目標区域に小さな荷重を配給して、成功したらその痕跡を残さないドローン(のようなもの)の開発だ。

そこで、Apsaraの構想のひとつはグライダーだ。ボール紙製で、その最長部分は長さ3フィートの主翼。折りたたみ式で、使うときには開いてテープで固定する(上図)。ボール紙製なら数か月後には消滅すると思われるが、Otherlabはもっと早い方法として、わずか数日で完全に生分解するキノコ、ないし菌糸体の利用を考えている。

もちろん、ドローンだから電子回路/部品を搭載している。それがなければ、ただの紙飛行機だ。翼を動かすアクチュエータが2基あり、それで航路をコントロールする。位置を知るためのGPS装置もある。それらの電子回路/部品があるおかげで、目的地の50フィート以内に着陸できる。DARPAなどの目的にとっては、あともうちょっと、と言いたい距離だ。

DARPAは生分解する電子部品も研究開発しているから、それらの電子回路や部品もドローンと一緒に消え去る。そこで、その、積載量わずか2ポンドのほとんど無音の航空機は、数日後には痕跡を残さずに消滅する。いかにも、国防方面が欲しがりそうなデバイスだ。

しかしWired誌は、そのほかの用途も挙げている: OtherlabからスピンアウトしたEverflyが考えているのは、食品店の配達に使える積載量22ポンドのドローンだ。それもやはり、軽量で低衝撃の使い捨てをねらっている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

UPSがドローン配送テストを実施―、実用化に向けてはまだ課題も

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今週の月曜日、フロリダ州タンパの郊外にあるブルーベリー畑で、UPSは初となるドローンを使った住宅への配送テストを実施した。

実際の配送は、まずトラックの屋根からオクトコプター(またはマルチコプター)と呼ばれる8つの翼を持つドローンを飛ばし、ドローンが直接家まで荷物を配達し、離陸地点とは別の場所に移動したトラックまで戻ってくるという流れで行われた。その後トラックに取り付けられたロボットアームがドローンを引っ張り、屋根の上に機体を着陸させた。

月曜日のテストで使われたドローンは、オハイオ州にあるWorkhorse Group Inc.と呼ばれる会社が製造したもので、同社は以前からUPSと取引があった。Workhorseはドローンの開発以外にも、商業用の電気式ハイブリッドトラックやバッテリーを製造している。UPSはこれまでに彼らから350台のハイブリッドトラックを購入しており、そのうち125台が実際に日常業務で利用されている。そしてWorkhorseが新たに開発し、今回のテストで使われたHorseFlyドローンデリバリーシステムは、同社のトラック専用につくられたものだ。

テスト用トラックは、屋根からHorseFlyを飛ばし、着陸時にはロボットアームでHorseFlyの機体を掴めるよう特別に作られたものだった。ドローンの下にぶら下がっているカゴは、トラックの屋根の穴を通じて車内に入りこめるようになっているため、荷物の積み込みもトラックの中から行える。さらにドローンはトラックとドッキングしているときに、アームを通じてトラックのバッテリーに接続し、充電できるようになっている。

トラックからドローンを飛ばすというコンセプト自体はこれまでにもあった。メルセデス・ベンツとドローンスタートアップのMatternetは、ベンツのトラックからMatternetのデリバリードローンを飛ばす「Vision Vans」と呼ばれるプランを2016年9月に発表し、CESではデリバリートラックの実物が展示されていた。

UPSでエンジニアリング部門のヴァイスプレジデントを務めるJohn Doderoは、同社のゴールはガソリン車であれ電気自動車であれ、どんな車両からでもドローンを飛ばせるようにして、ドローンに配送の最後の部分を担当させることだと言う。「トラックの屋根に設置されたドローンの離着陸に使われるパーツは、どんなタイプの車にも取り付けることができますが、そもそも充電が物理的に可能かというのは確認しなければいけません」と彼は説明する。

一方HorseFlyはカーボンファイバーでできており、重さは9.5ポンド(約4.3キログラム)だ。さらに自社開発の18650型リチウムバッテリーパックが搭載されており、最高時速は45マイル(約72キロ)で30分の連続飛行が可能だとWorkhorseは話す。対照的に、ほとんどのコンシューマー向けドローンは22分間しか継続して飛行できない。HorseFlyは10ポンド(約4.5キログラム)までの重さの荷物を運べるので、UPSはさまざまな種類の荷物の配送にこのドローンを利用できる。

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「ドローンが配送することになる荷物を確認してみたところ、50ポンド(約23キログラム)のテレビなど思い荷物は対象になっていないことがわかりました」とWorkhorse CEOのSteve Burnsは説明する。「平均的な荷物の重さやサイズを確認し、ユースケースをしっかり把握してからドローンを開発しました」

その他の条件として、FAA(連邦航空局)の規制にもとづき、HorseFlyは操縦している人の目で視認できる範囲までしか飛行できないため、テスト中は事前に設定されたルートに沿って飛んでいた。しかし実用化されれば、「On-Road Integrated Optimaization and Navigation(別名ORIONシステム)」と呼ばれる、UPS独自のソフトを使ってドローンの飛行経路が決められる可能性もある。

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もしも全てが計画通りいけば、そのうちUPSのドライバーがダッシュボードに取り付けられたタッチスクリーン上のボタンを押すだけで、ドローンが荷物を配送するようになるかもしれない。

これが実現すれば、トラックが入れないような狭い道での配送も楽になり、家と家の間が離れているような郊外の地域では、わざわざ1軒1軒トラックで家をまわらなくてすむようになるだろう。さらにドライバーは自分でドローンを操縦しなくても、ボタンを押せば好きなタイミングでドローンを飛ばしたり、呼び戻したりできるようになる。

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着陸時は、HorseFlyのガイダンスシステムが、空や地形、天気、風といった情報をカバーしているオンラインのデータベースから得た情報と、GPSコンパスやLIDAR、赤外線カメラなど機体に装備されているセンサーからのデータを使いながらトラックまで戻るように設計されている。

「技術的に1番難しかったのが、HorseFlyをトラックまで帰ってこさせることでした」とBurnsは話す。「トラックの天井には扉がついているので、基本的にはドローンを掴んで回収し、扉の下にある穴にドローンを置けるようなロボットシステムをトラックの屋根に取り付けなければいけません」

さらに彼はシステム全体がバックアップを考えてつくられていると話す。つまりHorseFlyは、何かひとつの機能が使えなくなっても飛行を続けられ、機能がふたつ使えなくなっても少なくとも着陸できるような仕組みになっているのだ。そのため、田舎ではよくあるように4Gの電波が使えなくても、ドローンは高周波信号を使ってトラックとの通信を続けられる。

UPSはこれまでにもドローンを使った実験を行っており、ルワンダではZiplineのドローンを使って輸血用の血液を運ぶなど、以前は人道支援物資配達へのドローン活用にフォーカスしていた。昨年の秋には、遠隔地への商業目的の配送テストを行い、そのときはUPSがStrategic Enterprise Fundを通じて投資した、ボストンのドローンメーカーCyphyとパートナーシップを組んでいた。しかしドローンがどのように日常業務で使われることになるかについて、UPSの考えが明らかになったのは今回が初めてだ。

UPSは上場企業であるWokrhorse Groupの株を保有していないが、すでにトラックの供給などを通じて関係性ができていることや、Workhorseのドローンテクノロジーの目覚ましい成長を主な理由に、彼らをパートナーに選んだ。

自社でドローンを開発せずに、これまでの配送モデルをそのまま利用し、トラックのようにドローンは他社から購入するというUPSの判断には納得がいく。

ピッツバーグにあるUberの研究施設の動向からもわかるとおり、最近ロボット工学の人材を獲得するのは難しくなってきており、彼らを会社にとどめておくのはさらなる難題だ。以前Uberはカーネギーメロン大学から大量の人材を引き抜いていたが、現在はそのしっぺ返しにあい、自動運転車の開発を目指すFordに社員を引き抜かれてしまっている。

なお、商業用ドローンの利用に関する規制は、まだFAAが精査を続けている。アメリカ郵政公社の調査によれば、アメリカ市民のドローンの誤作動に対する心配度合いは変わっておらず、ドローンによる配送を求める声が挙がっている一方で、ケガにつながる事故を恐れている人も多い。

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正直言って、彼らが心配するのももっともだ。月曜日に行われたUPSの2回目の非公式デモ中には、何か(もしかしたらレポーターのカメラかもしれない)が干渉して、ドローンのコンパスに問題が発生した。ドローンは離陸を中止して、UPSのトラックの屋根に着陸しようとしたが、結果的にトラックの横に落下し、あやうく閉じてかけていた天井の扉に挟まれてしまうところだった。

この誤作動についてBurnsは「こんなことが起きたのは初めてです」と話していた。

技術的な問題を解決していく以外にも、UPSや自社でドローンを開発しているAmazonのような企業は、ドローンと労働者の共存について考えなければいけない。ドローンが人の仕事や時間給を奪ってしまう可能性があるとすればなおさらだ。ちなみにUPSは、ドローンが導入されてもドライバーの仕事はなくならないと話しており、Doderoは「UPSドライバーは私たちの顔であり、顧客は彼らを頼りにしています」と言う。

「私たちは競争力をつけるために、ドローンを導入して、これまでであればドライバーが運転しなければならなかった道のりを省略しようとしているんです」と彼は説明する。「私たちのゴールは、UPSドライバーの代わりにドローンを使うことではなく、ドライバーができることを増やして、より効率的に業務が行えるような環境を整えることです」

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

鳥類学者が個体数調査にドローンを使用―、人が入れない地域の調査も可能に

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自然保護活動家がフィールドリサーチにドローンを使うときは、野生生物やその生息地の様子を上空から撮影する「空飛ぶ目」としてドローンを利用する場合がほとんどだ。しかしペンシルベニア州にあるGettysburg Collegeの鳥類学者たちは、アパラチア山脈(Appalachian Moutains)の鳥の鳴き声を録音するための「空飛ぶ耳」としてドローンを利用している。

今週発売された学術誌The Auk:Ornithological Advancesに掲載されている彼らの研究によれば、ドローンを使って集めたデータからは、地上で専門家が集めたデータと同じくらい正確に鳴鳥の数を導き出すことができたという。「無人航空機を使った鳴鳥の個体数確認の可能性について(The feasibility of counting songbirds using unmanned aerial vehicles)」と題されたこの論文は、Gettysburg Collegeで環境学を教えるAndy Wilsonと、彼の研究室に所属している学部生のJanine BarrおよびMegan Zagorskiによって共同執筆された。

A male Cerulean Warbler.

セルリアンウグイスのオス

Wilsonは、何ヶ月か前にアパラチア山脈でセルリアンウグイスの調査をしているときに、ドローンを使って鳥の鳴き声を録音するというアイディアを思いついたと話す。「私たちがいたエリアはとても険しくて、山の頂上からほとんどの調査を行っていました。そのため、周辺エリアに関しては素晴らしいサンプルを収集できたんですが、私たちがいた場所の両側にある急な斜面の情報は手に入れることができませんでした」

各地で野生生物の研究をしようとしている科学者の行く手を阻む障害物には、急な斜面のほかにも、ドロドロの沼地や凍結した場所、さらには高速道路やダムといった人工物などがある。鳥類学に関して言えば、「ある地帯を横断しようとすると、鳥が鳴くのを止めてしまうことがあります」とWilsonは語る。

鳴鳥は自分の縄張りを主張したり、交尾の相手をひきつけたりするために鳴き声をあげるが、継続的に鳴き続けるのにはかなりの体力を消耗する。そのため、特に人間の活動による騒音などで、自分の鳴き声が聞こえなさそうだと感じると、鳴鳥は体力を節約するために鳴くのを止めてしまうことがあるのだ。つまりRachal Carsonの著書「Silent Spring」が描いているように、鳥の鳴き声が聞こえないということは、最終的には人間の命にも関わってくるような環境問題が進行していることを示している。

Wilsonのチームは、ドローンから8メートルの釣り糸を垂らし、その先にくくりつけられたレコーダーを使って鳥の鳴き声を録音した。なお8メートルという釣り糸の長さは、マイクがドローン自体の騒音を拾わない距離をもとに決められた。このセットアップのおかげで、ドローンは調査対象の鳥からある程度離れた状態でホバリングすることができる。調査に使われたドローンは、長い距離を飛行する代わりに上空をホバリングし、ポイントカウント法と呼ばれる手段で個体数を調べる鳥類学者の代役を担っていた。ポイントカウント法とは、観察者が立っている地点から一定の時間内に見聞きできる全ての鳥について記録を残し、そこから個体数を求める手法を指している。

なお彼らは、DJIの4翼ドローンMatrice 100を使って調査を行った。大型農業ビジネスで使われているような研究レベルのドローンを使えればよかったが、学術目的で使うには値段が高すぎたとWilsonは話す。

ドローンを使って録音した鳴き声から導き出された個体数は、地上で研究者が集めたデータをもとにした個体数とほぼ同じだったが、中には例外もあった。まず、ドローンはナゲキバトのような周波数の低い鳴き声をうまく拾うことができなかった。また、ネコマネドリの鳴き声は絶え間なく続くため、音声から個体数を特定するのが難しかった。しかし、その他のアパラチア山脈でよく見られる鳥の個体数は、問題なくドローンが録音した音声から導き出すことができた。

今後もWilsonの研究室では、ドローンを使った個体数調査の可能性について実験を続けていくと彼は話す。そして現在Wilsonは、鳥がドローンに反応するか、そして反応する場合はどのくらいまでなら近づけるのかというテーマの研究を行おうとしている。例えば、50〜60メートルもしくはそれ以上離れたときに、鳥はドローンに何かしらの反応を示すのか?反応を示すとすれば、どのような反応なのか?といったことを彼のチームは研究しようとしているのだ。さらにWilsonは、地上で録音した音声とドローンを使って録音した音声から得られる鳴鳥のデータを比較してみたいと言う。

また彼は、環境科学者の多くは研究にドローンを使いたがっているが、もっと利用例を増やすために必要なことがふたつあると話す。ひとつめはバッテリーの寿命だ。最上位機種を晴天時に飛ばしたとしても、ひとつのバッテリーかカバーできる飛行時間は22分ほどだとWilsonは言う。そしてふたつめが騒音問題だ。未だにドローンから発される騒音は大きく、科学者はドローンが野生生物を刺激してしまうのではないかと心配している。「科学者に限らず、一般的な消費者も今より静かなドローンを求めていると私は思います」Wilsonは話す。

確かに、大きな鳴き声をあげるロボットが頭上を飛んでいるのを喜ばしいと感じる人はいないだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ドバイ、この夏にも空飛ぶドローン・タクシー導入へ―ビデオからすると本気らしい

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ドローンを利用した空飛ぶ無人タクシーという新しい乗客輸送の可能性に多くの会社が興味を持ち始めている。これは地上の渋滞を避けて高速で移動するために非常に優れた方法だ。アラブ首長国連邦の首都、ドバイは実際に乗客を空輸する新しいドローン・システムを、早ければこの夏にもスタートさせるという。

Uber、Airbusその他ほとんどの企業が貨物の輸送からドローンの実験を始めようとしている中、Mashableによれば、ドバイの道路運輸局は同市で開催されたWorld Government Summitカンファレンスで「空飛ぶタクシー」の計画を明らかにした。ドバイ市は一定のルートに沿って乗客を空輸するサービスを早ければこの月にもスタートさせるという。用いられる機体はEhang 184という電気モーター利用のドローン・クアドコプターだ。

Ehang 184は乗客定員1名、最大重量は100kgのドローンで、1回の充電で50km飛べる。最高速度は時速160kmだ。これだけあれば都市で忙しいビジネスパーソンを短距離移動させるのに十分実用になるだろう。ドローンの飛行はドバイ市の担当者がリモートで常時モニターする。すべてのドローンはドバイ市のコマンドセンターから集中管理される。ドバイ市よれば、すでにテスト飛行を開始しているというので、単なる話題作りのプロジェクトではないようだ。

ドバイは先進的な輸送テクノロジーをいち早く実験しようとする人々にチャンスを提供してきたことで有名だ。イーロン・マスクが提唱した真空チューブ輸送のHyperloop Oneも実際の輸送がアブダビ、ドバイ間で近く始まる。またドバイ市では自動運転のシャトルの実験がいくつも行われている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

岡山発のドローンベンチャー、ドローンデパートメントが数千万円の調達

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岡山発のドローンスタートアップ、ドローンデパートメントは第三者割当増資での調達を本日発表した。引受先は、個人投資家千葉功太郎氏とオプティマ・ベンチャーズだ。調達額は非公開だが、数千万円規模という。

ドローンデパートメントはドローンに関連するサービスをいくつか提供している。ドローンデパートメントの主力事業は、ドローンパイロットとドローン空撮を依頼したい企業や団体をつなげるサービスだ。空撮に特化した「ドローン空撮.com」と空撮以外の業務を依頼できる「SkyAgent」がある。

プロモーション写真や動画の撮影から、施設の点検、農薬散布、行政の災害時対策の実験まで様々な依頼が寄せられているとドローンデパートメントの代表取締役を務める白石和也氏は話す。ドローン空撮.comとSkyAgentでは依頼内容を精査し、適任のドローンパイロットを選定して依頼主に提案する形をとっている。これは、パイロットがそれぞれで保有しているドローンの性能やパイロットが持つ他のスキルが異なるためと白石氏は説明する。例えば、プロモーション動画の撮影だったら、空撮だけでなく動画の企画から制作編集までできるパイロットが適任だろう。ドローンデパートメントでは、そのように依頼主のニーズを細かくヒアリングして、パイロットを紹介する。

現在、全国のドローンパイロット約170名が登録している。依頼内容によって価格は異なるが、空撮写真なら2万円から、空撮と動画編集と音楽がセットになったプロモーション動画制作プランは15万円から依頼できる。

岡山だからこそできること

ドローンデパートメントは2016年7月に創業した会社だ。白石氏はもともとウェブ集客などの仕事を手がけていて、集客に悩んでいたドローンパイロットの友人に手を貸したのがきっかけでこの事業を立ち上げたと話す。今回の資金調達はサービス開発や営業活動といった運用資金に充てる考えだ。ドローンデパートメントの本社は岡山県岡山市にあり、今月にも東京オフィスを正式にオープンする計画だ。東京にオフィスを開設するのは、取引先が多く、営業活動の拠点にするためだという。

本社が岡山にあると営業活動やスタートアップ関連の情報が入手しづらいという課題もあると白石氏は話す。岡山発の企業でエクイティーファイナンスを実施したのはドローンデパートメントを入れて3社ほどで、スタートアップという働き方の選択肢があることもあまり広まっていないそうだ。ただ、岡山県に本社があることには同社にとってメリットもあると白石氏は説明する。東京のような人工集中地区ではドローンの飛行可能な場所は限られているが、岡山でなら土地の所有者や管理者の許可を得れば比較的容易にドローンが飛ばせる。そのためドローンを使った新たな試みや実験が行いやすいと白石氏は言う。例えば、ドローンデパートメントでは畑の鳥獣対策にドローンを活用するための検証なども始めているそうだ。また、岡山の地理的にも海に山、川、島がそろっていて、様々なシチエーションに応じたドローンの検証に向いている。岡山だからこそできることがあり、それを事業に生かし、ゆくゆくは地域の活性化にも貢献していきたいと白石氏は話している。

飛行中のドローンを空中で捕まえるポータブルな離着陸装置DARPAのSideArm

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軍用機のような形の固定翼ドローンは、離陸は容易だが着陸が難しい。そこでDARPAは、高速で飛行しているドローンを空中で捕まえるポータブルなドローン捕捉システムSideArmを開発した。

SideArmの基本的なアイデアは、航空母艦の甲板にあるフックシステムと似ている。あれを、上下逆さにしたような装置だ。

SideArmは輸送用コンテナに収まり、2人〜4人で組み立てられる。ドローンは同システムの水平状のレール・カタパルトを使って飛び立ち、着陸するときはレール下部にある捕捉機が、その真下を飛ぶドローンを捕まえる(下図)。

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ドローンの背中に出ているフックがワイヤにかかり、機を減速させると同時にネットの位置まで浮上させる。そして鼻部の突起が機体を正しい姿勢で捉える。

この装置のコンセプトとテストを、このビデオで見ることができる:

DARPAのGraham Drozeskiが、プレスリリースで述べている: “SideArmは航空母艦の機能を真似て、ドローンを安全に加速し減速させる。装置はポータブルで低コスト、どんなミッションにも使用でき、地域の特性などに制約されない。現行機だけでなく、将来の無人機でも使えるだろう”。

このシステムはDARPAと海軍の共同プロジェクトTernの一環で、艦船に高価で不可逆的な改造を加えなくても実現可能な、無人航空機システムを目指している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

300機のドローンが空を踊る ― Lady Gagaの後ろにはIntel製ドローンのバックダンサーが

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スーパーボウルのハーフタイムに行なわれたLady Gagaによるイベント。その時、彼女の後ろでは300機のドローンが歌に合わせて踊っていた。「Shooting Stars」と名付けられたそのドローンは、これまでにもDisney Worldのホリデーショーでも踊りを披露している。光を放つ何百機ものドローンが、きれいに動きを揃えながら自由自在に動きまわる。それらをコントロールするのは、たった1人の人間だ ― または、1台のコンピューターだ。

これは、これまでは個体ごとにコントロールされていたドローンを集団飛行させるという、Intelの最新プロジェクトだ。SF小説「Ender’s Game(邦題:エンダーのゲーム)」の世界が実現したのである。Orson Scott Cardが書いたその本のように、たった1人の人間が集団で飛行するドローンに指示を飛ばし、各機の状態をモニタリングする。しかも、Intelによれば1度に飛行させられるドローンの数には限りがないという。1度に1万機以上のドローンを飛行させることも可能だ。

Shooting Starの背後には、たくさんのプログラムによって構築されたデスクトップソフトウェアの存在がある。ドローンが飛行するルートは事前にプログラムされており、各機がそれぞれ与えられた役割をこなす。ドローンがお互いに掛け声を送るわけでも、衝突を未然に防ぐためのセンサーが搭載されているわけでもない。このソフトウェアがドローン同士の衝突を防いでいるのだ。

ドローン本体はとてもシンプルな作りになっている。重さはバレーボール1個分ほどしかない。胴体部分にはStyrofoam製の部品が使われており、4つのプロペラは金属製のゲージによって保護されている。このドローンは15分以内に組み立てできるように設計されていて、Intelはこのドローンをドイツの工場で組み立てている。本体にはネジが使われていないため、ドライバー無しで組み立てることが可能だ。そして、ドローンの下部には複数色を発光するLEDが装着されている。そして、このLEDが空に絵を描くのだ。

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IntelはこのプロジェクトをDisney Worldで最初に披露した。そして私は昨年の12月、第1回目のショーが行なわれる前に、Intelによる集団飛行デモを見学することができた。スーパーボウルでの演技と同じように、Disney Worldのショーもしっかりとした出来映えだった。しかし、このショーの本当にすばらしい部分はテレビカメラには収まっていない。それは、ドローンがまるで蛍のようにローンチパッドから飛び出す場面だ。

1つのローンチパッドには複数のドローンが1インチ間隔で並べられている。ローンチパッドにはドローンのLED部分を収納できるくぼみがあり、Shooting Starはそれに沿うように並べられる。また、このくぼみはドローンの充電用コネクターにもなっている。そして、ドローンがそこから一斉に飛び立つのだ。無数のローンチパッドから1機、また1機と飛び立っていく。発射と発射の間には短い間隔があけられていて、ドローンはその間隔を利用してそれぞれのポジションにつく。

Disneyのショーでは、Intelは実際に使用される機体数の2倍のドローンを用意しており、彼らが持ち込んだローンチパッドには合計で600機のドローンが格納されていた。そして、ソフトウェアが機体ごとのコンディションを判断し、状態が良い機体が空へと飛び立っていくのだ。

Intelはこのプロジェクトを2年前に開始している。2015年後半、同社はオーストリアのArs Electronica Futurelabとパートナーシップを締結し、そこに所属するアーティストやテクノロジー・リサーチャーの協力のもと、100機のドローンを集団飛行させることに成功した。その当時は、合計4つの別々の飛行場から発進した100機ドローンを、4人のパイロットが操縦していた。そして2016年も終盤に差し掛かったころ、Disney Wolrdでの第一回目のショーの前に、Intelは500機のドローンによる集団飛行デモを披露したのだ。

Intelが思い描くのは、集団で飛行するドローンが与えられたタスクをこなす世界だ。Disney Worldのショーで使われたものと同じ技術を利用すれば、複数のドローンで行方不明者を捜索したり、設備の点検や商品の検査をしたりすることが可能だ。IntelのRealSenseプラットフォームのようなソフトウェアを搭載したドローンが、群れをなして飛行機や貯水タワーの点検をしている様子を想像してみてほしい。もしくは、それらの無数のドローンがLEDを利用して空に巨大なスクリーンを描く様子を。でも、今のところ彼らに与えられているのはバックダンサーという役割だけだ。

IntelとDisneyが空に絵を描く

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

300機のドローンが空を踊る ― Lady Gagaの後ろにはIntel製ドローンのバックダンサーが

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スーパーボウルのハーフタイムに行なわれたLady Gagaによるイベント。その時、彼女の後ろでは300機のドローンが歌に合わせて踊っていた。「Shooting Stars」と名付けられたそのドローンは、これまでにもDisney Worldのホリデーショーでも踊りを披露している。光を放つ何百機ものドローンが、きれいに動きを揃えながら自由自在に動きまわる。それらをコントロールするのは、たった1人の人間だ ― または、1台のコンピューターだ。

これは、これまでは個体ごとにコントロールされていたドローンを集団飛行させるという、Intelの最新プロジェクトだ。SF小説「Ender’s Game(邦題:エンダーのゲーム)」の世界が実現したのである。Orson Scott Cardが書いたその本のように、たった1人の人間が集団で飛行するドローンに指示を飛ばし、各機の状態をモニタリングする。しかも、Intelによれば1度に飛行させられるドローンの数には限りがないという。1度に1万機以上のドローンを飛行させることも可能だ。

Shooting Starの背後には、たくさんのプログラムによって構築されたデスクトップソフトウェアの存在がある。ドローンが飛行するルートは事前にプログラムされており、各機がそれぞれ与えられた役割をこなす。ドローンがお互いに掛け声を送るわけでも、衝突を未然に防ぐためのセンサーが搭載されているわけでもない。このソフトウェアがドローン同士の衝突を防いでいるのだ。

ドローン本体はとてもシンプルな作りになっている。重さはバレーボール1個分ほどしかない。胴体部分にはStyrofoam製の部品が使われており、4つのプロペラは金属製のゲージによって保護されている。このドローンは15分以内に組み立てできるように設計されていて、Intelはこのドローンをドイツの工場で組み立てている。本体にはネジが使われていないため、ドライバー無しで組み立てることが可能だ。そして、ドローンの下部には複数色を発光するLEDが装着されている。そして、このLEDが空に絵を描くのだ。

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IntelはこのプロジェクトをDisney Worldで最初に披露した。そして私は昨年の12月、第1回目のショーが行なわれる前に、Intelによる集団飛行デモを見学することができた。スーパーボウルでの演技と同じように、Disney Worldのショーもしっかりとした出来映えだった。しかし、このショーの本当にすばらしい部分はテレビカメラには収まっていない。それは、ドローンがまるで蛍のようにローンチパッドから飛び出す場面だ。

1つのローンチパッドには複数のドローンが1インチ間隔で並べられている。ローンチパッドにはドローンのLED部分を収納できるくぼみがあり、Shooting Starはそれに沿うように並べられる。また、このくぼみはドローンの充電用コネクターにもなっている。そして、ドローンがそこから一斉に飛び立つのだ。無数のローンチパッドから1機、また1機と飛び立っていく。発射と発射の間には短い間隔があけられていて、ドローンはその間隔を利用してそれぞれのポジションにつく。

Disneyのショーでは、Intelは実際に使用される機体数の2倍のドローンを用意しており、彼らが持ち込んだローンチパッドには合計で600機のドローンが格納されていた。そして、ソフトウェアが機体ごとのコンディションを判断し、状態が良い機体が空へと飛び立っていくのだ。

Intelはこのプロジェクトを2年前に開始している。2015年後半、同社はオーストリアのArs Electronica Futurelabとパートナーシップを締結し、そこに所属するアーティストやテクノロジー・リサーチャーの協力のもと、100機のドローンを集団飛行させることに成功した。その当時は、合計4つの別々の飛行場から発進した100機ドローンを、4人のパイロットが操縦していた。そして2016年も終盤に差し掛かったころ、Disney Wolrdでの第一回目のショーの前に、Intelは500機のドローンによる集団飛行デモを披露したのだ。

Intelが思い描くのは、集団で飛行するドローンが与えられたタスクをこなす世界だ。Disney Worldのショーで使われたものと同じ技術を利用すれば、複数のドローンで行方不明者を捜索したり、設備の点検や商品の検査をしたりすることが可能だ。IntelのRealSenseプラットフォームのようなソフトウェアを搭載したドローンが、群れをなして飛行機や貯水タワーの点検をしている様子を想像してみてほしい。もしくは、それらの無数のドローンがLEDを利用して空に巨大なスクリーンを描く様子を。でも、今のところ彼らに与えられているのはバックダンサーという役割だけだ。

IntelとDisneyが空に絵を描く

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Elon Muskよ、自律飛行ドローンこそが未来の移動手段だ

circa 1962:  Cartoon family the Jetsons, comprised of George, Jane, Judy, Elroy, and Astro, flying in a space car in a space age city, in a still from the Hanna-Barbera animated television show, 'The Jetsons'.  (Photo by Hulton Archive/Getty Images)

【編集部注】執筆者のAdam SingoldaはTaboolaのCEO。

車が発明される前の時代の人に何が欲しいか聞いたら、”車”ではなく”速い馬”が欲しいと言っただろうというHenry Fordの有名な言葉がある。

私は今日の自動運転車が当時の速い馬にあたるのではないかと考えている。つまり自動運転車は現存するものの延長線上にあるものであって、決して新しいカテゴリーを生み出すものではない。想定の範囲内で革命的とは言えない。

こんなことを考えているとElon Muskという、おそらく自動運転車界でもっとも有名で情熱のある男に行き着く。

同じ車好きとして、私は彼を高く評価しているし、テック界の起業家としても彼を尊敬している。さらにElonは、ほとんどの場合において正しいというのも間違いない(Solar Cityに関してはもう少し時間をおく必要があるが、私は彼のことを信じている)。

そのため私は自動運転車のビジョンについて、彼と違った意見を持っていることを心苦しく思っている。将来的に人間が運転しなくなるというのは間違いないだろう。そして機械が運転手の役割を担うという意見にも賛同している。しかしその機械は、私たちの頭上から地上を見下ろしながら、州間高速道路を走っているだろう。

私たちは自動運転車をスキップして、自律飛行ドローンに乗ることになると私は考えているのだ。

Cartoon illustration of a flying car passing above other land vehicles

地上の車を飛び越えていく空飛ぶ車のイラスト

誤解しないでほしいのが、私は自動運転車のメリット自体はきちんと認識している。具体的には事故の減少、移動コストの減少、そして何より自由に使える時間の増加だ。

アメリカだけでも、車を利用した場合の通勤時間の平均は片道24分だ。つまり通勤に車を使っている人は、平均して最大20万分もの時間を会社への行き帰りだけに費やしていることになる。ここに買い物やほかの用事、旅行の際の移動時間、そして何かクリエイティブなことをする代わりに運転に脳を使っている時間を足し合わせると、膨大な量になる。

しかし自動運転車をスキップして自律飛行ドローンを採用することで、上記のような個人の問題だけでなく、社会的な課題も解決できる可能性があるのだ。

もしも自動運転車の代わりに、自律飛行ドローンで地上500メートルの高さに浮かべるとすれば、空中にドローンを停めて、いつでも好きな場所へ移動できるようになる。

一旦ここで一息ついて、私の意見に潜むバイアスを認識しておいてほしい。

私は車も好きだが、それ以上のドローン狂だ。私は自分が空を飛んでいるような気分になって、今まで見たこともないような景色を4Kで見るのが大好きだ。以前はDJI Phantom 3を使っていたが、その後4を購入し、今はMavicが到着するのを待っている(そして素晴らしいものは全てそうであるように、Mavicの到着はもちろん遅れている)。

しかしどうやらドローンに執着しているのは私だけではないようだ。Taboolaがアメリカのネットワークから抽出したデータによれば、人は1日に25万回もドローンに関する文章を読んでいる。

このあたりで話を元に戻すと、自律飛行ドローンの開発は、技術的には地上を走る自動運転車を開発するよりも簡単だ。というのも、自動運転車を開発するときには、歩行者や路面の悪い道路、突然あらわれるものなどを考慮しなければならない。

さらに自律飛行ドローンの方が安全性も高い上、そこまで高度な技術を必要としないため大量生産時のコストも恐らく自動運転車より低い。私は自律飛行ドローンが、水平に移動するエレベーターのように、ただボタンを押せば目的地に向かって飛んでいくようなシンプルなものになると考えている。将来的にはUberも、何台もの自律飛行ドローンを予め空に飛ばしておいて、ユーザーが”オンデマンド”でドローンを使えるようなビジネスをはじめるかもしれない(Wazeは乱気流レポートに差し替えなければいけないが)。

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自律飛行ドローンが誕生すれば、突然地上から500メートルの空間を自由に使えるようになる。それに対し、私たちホモ・サピエンスはこれまで20万年もの間、地上から1.5メートルの空間に全てを詰め込んできた。その結果発生した、駐車スペースの問題や渋滞、道路建設などは、自律飛行ドローンのもと、すぐに過去のものとなるだろう。

法規制も私の味方についている。ドローンを買うと、ほとんどの場合地上から500メートルより上には飛べないように予め設定されているが、500メートルもあれば十分だ。

今年に入ってから、私は実際に人用ドローンに乗ったことがある。正直少し怖かったが、未来の一部を見ることができ、とても感動する体験だった。

そろそろもっと高みを目指して考えて羽を広げ、自動運転車(速い馬)をスキップして自律飛行ドローンの考えにのっても良い頃だろう。

もしかしたら、宇宙家族ジェットソンはずっと前からそれに気づいていたのかもしれない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter