パブリッシャーの広告の売上管理を助けるPlacements.ioがシード資金$3.8Mを調達

Placements.ioによると、同社はオンラインのパブリッシャーが広告料金を期日までに払ってもらえるようにするサービスだ。

ファウンダーのEdwin Fuは曰く、彼はSalesforceにいたとき、“世界最大のメディア企業数社”と仕事をして、“大きな問題に気づいた”。それは彼らの、広告の売上の回収や請求の管理が円滑に行われていないことだった。

彼によるとその問題は、オンライン広告の処理が近年ますます複雑化し、複数の異なるシステム間でデータの共有もできず、パブリッシャーがセールスのオーダーを実行するまでに手作業で43ものステップをこなし、それらに72時間もかかっていた。

そしてそこには、Fuが“需要サイド(つまり広告主)のためのツールを作る企業への異様に大きい投資”、と呼ぶ現象がこれまであり、彼の主張では、“今ではむしろ供給サイド〔広告スペースの供給すなわちパブリッシャー〕を助けることによって、均衡を達成する必要がある”。

Placements.ioは、パブリッシャーが広告の在庫や(広告主からの)オーダー、決済、請求などのすべての事務を、複数のセールスチャネルにまたがって管理できるシステムを提供する。またそのシステムは、DFP, AppNexus Ad Server, Freewheel Salesforce.com, Netsuite, MediaMathなどさまざまなアドテックシステムと統合している。

Placements.ioの創業は2014年で、今ではオーストラリアのNineMSNやZillow/Trulia, eBay, Cox Media Groupなどの顧客がいる。

その同社が今日、Revel Partnersのリードにより、380万ドルのシード資金を獲得したことを発表した。そのラウンドには、Vulcan CapitalとAlpine Meridianも参加した。Fuによるとその資金は主に営業とマーケティングの拡大、そして製品および顧客サポートへの投資に充てられる。彼は、Googleが来年同社のDoubleClick Sales Managerを閉鎖することを、ビッグチャンスと見なしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebookは選挙広告に関する市の条例に違反したとシアトルが主張

シアトルの選挙管理委員によると、Facebookは市の条例に違反して、選挙戦のときの広告費の出所を公表しなかった。Reutersの記事は、シアトルの倫理および選挙管理委員会の事務局長Wayne Barnettが、Facebookは昨年の市の選挙の広告支出の情報を明らかにすべきであり、それをしなければ広告の購入一件につき5000ドルの罰金を課せられると述べた、と報じている。

Facebook, TwitterおよびGoogleは上院における証言を要求され、大統領選をロシアが妨害するためにソーシャルメディアをどのように利用したかを明かすよう求められてきた。昨年の秋にFacebookは、同プラットホーム上の政治的広告に関する透明性を高めると約束し、広告費をどこが払ったかユーザーに分かるためのツールなどを用意した。その前にFacebookは、2016年の大統領選に関連した3000あまりの広告が、ロシアと関連のあるバイヤーによって買われた、と認めた。

FacebookのVP Will CastleberryがReutersに語ったところによると、同社は“政治的広告の透明性を強力に支持している。シアトルの選挙管理委員会からの求めに応じて、適切な情報を提供した”、という。しかしBarnettによると、Facebookは市の職員に会って部分的な支出データを彼らに与えたものの、あれでは“公共の義務を満たすレベルにはほど遠い”、という。

Facebookは、選挙戦時の広告支出に関するもっと詳しい情報を提供する、と誓っているが、それをFacebookに強制した自治体はシアトルが初めてかもしれない。問題の核心は、ラジオやテレビやケーブル企業などが政治的広告を扱う場合のやり方、たとえば、どの候補にも平等に放送時間を配分し局の政治委員会は広告支出を公表すべし、といったことを定めている国や地方の法律がすべて、ソーシャルメディアの勃興以前に書かれたものであることにある。その結果、Facebookのようなオンラインのプラットホームに法を適用しようとすると、多くの混乱が生ずるのだ。

本誌TechCrunchは今、シアトルの倫理および選挙管理委員会とFacebookにコメントを求めている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebook、暗号通貨、ICO、バイナリーオプションの広告を禁止

Facebookは新しい広告規約を発表し、暗号通貨、バイナリーオプション、ICOの広告を禁止した。今日(米国時間1/30)投稿されたFacebookのプロダクト・マネジメント・ディレクター、Rob Leathernのブログ記事によれば、この禁止について新規約は「このようなプロダクトやサービスは誤解を招き、あるいは虚偽を含む行為と頻繁に関連している」と明示している。

Bitcoin、Litecoin、Ethereumのような暗号通貨、また暗号通貨を利用したICOは休息にメインストリームの地位を獲得したが、同時に多数のインチキや詐欺行為も生んでいる。Leathernはブログに「〔暗号通貨に関連した〕各種のプロダクトやサービスを人々が発見し、学ぶことを望む」としながら、「しかし現在、暗号通貨、バイナリーオプション、ICOに関連して運用が不誠実なプロダクトのプロモーションが存在する」と書いている。

Leathernはこの禁止が非常に広汎であることを認め、これはそのように意図したたものだと説明した。Facebookでは引き続き暗号通貨、バイナリーオプション、ICOに関連して誤解を招くおそれのある広告を選り分けるアルゴリズムを開発していくという。

Facebookは将来全般的な状況が改善されれば、全面禁止と強制のための方策を再検討する。しかし当面Facebookは「違反広告を発見したら通報して欲しい」としている。

Leathernによれば「新規約は、広告の誠実性とセキュリティーを改善するための努力の一環であり、悪事を企む者がFaebookを利用して利益を得ることを防止するのが目的だ」という。

画像:Bryce Durbin/TechCrunch

〔日本版〕上記の広告はすでに日本のFacebookの広告規約でも禁止されている。ただし現時点では表記は英語のまま(「4 禁止されているコンテンツ」の末尾、29項)。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

会話でニーズを“あっためる”、チャットボット広告のZEALSが4.2億円調達

チャットボットを利用した会話広告サービスを展開するZEALSは1月29日、JAFCOフリークアウト・ホールディングスを引受先とした第三者割当増資を実施した。調達金額は4億2000万円だ。

ZEALSが提供する「fanp(ファンプ)」は、チャットボットを利用した会話型の広告出稿サービスだ。通常では、Facebookに出稿したインフィード広告をクリックすると、より詳細な内容を説明するランディングページ(LP)に遷移することが多いと思う。

一方、fanpでは広告をクリックするとLPに飛ぶ代わりにFacebook Messengerのチャットボットが立ち上がる。ユーザーはそのチャットボットとの会話を通じ、広告を出稿した企業のサービスや商品の理解を深めるというわけだ。そのような会話内容の“設計”はZEALSが行う。

チャットボットとの会話は自然言語処理を駆使したフリー形式ではなく、あらかじめ用意された選択肢をタップして会話していくタイプだ。ZEALSは元々ロボットの向けの会話エンジンを作っていた企業なので、自然言語処理には長けている。しかし、ユーザーの離脱率をできるだけ低くするという目的から選択型のチャットボットに決めたそうだ。

「はじめは自然言語処理を利用したチャットボットもテストしたが、ユーザーがボットと2回も会話することなく離脱してしまうことが続いた。今は、個人情報の入力などを除き、ほぼすべての入力を選択形式にしている」(ZEALS代表取締役の清水正大氏)

fanpには顧客情報を管理するCRMもあり、ダッシュボードからユーザーの会話内容やデモグラフィック・データを確認することができるようにもなっている。

fanpのCRM機能

それでは、会話広告の威力とはいかほどのものなのだろうか。ZEALSが独自に調査したところによれば、インフィード広告とLPの組み合わせで出稿した場合のCVR(コンバージョン率)は0.8%だったのに対し、会話広告ではその約7倍にあたる5.7%だったという。

清水氏はこの結果について、「入力された検索語をもとに表示されるリスティング広告では、ユーザーのニーズが明確だ。一方、インフィード広告ではユーザーのニーズがまだ“あったまって”いない。会話広告では、まだ顕在化していないニーズをチャットボットとの会話と通してあっため、商品やサービスの理解を深めることができる」と語る。

また、一度ユーザーが離脱してしまったとしても、fanpはその後も継続してユーザーに働きかける。なかには、追加的な会話によって初回から半年後にコンバージョンした例もあるそうだ。

2017年5月にリリースしたfanpは、これまでに味の素キャリアデザインセンターインベスターズクラウドなど数十社を顧客として獲得している。業種としては、人材、保険、不動産など高単価サービスを提供する企業が多いのだという。よく考えてから購入を決めるタイプの商品・サービスと会話は(たとえそれがボットとの間のものでも)相性が良いのだろう。これまでに解析した会話データは4200万件を超す。

fanpを利用した広告出稿には、広告出稿費(最低150万円〜)、システム利用料、会話量に応じた従量課金料金がかかる。

ちなみに、ZEALSはもともと、メディア向けチャットボットサービスの「fanp」と企業向けの会話広告サービス「fanp Biz」の2つを提供していた。しかし、その後同社は会話広告サービスにリソースを集中させると決断。現在はかつてのfanp Bizをfanpという名称で提供している。やっぱり広告の方が儲かったのだろう。

ZEALSは今回調達した資金を利用して、チャットボットとユーザーの会話をデザインする「コミュニケーション・デザイナー」の採用を進めるという。TVCMや雑誌広告などは専門のクリエイターがクリエイティブの企画設計を行う。それと同じように、チャットボットやロボットとの会話の設計にも専門的な人材が必要になる社会がくる、というのが清水氏の考えだ。

ZEALSは2014年4月の創業。2017年5月には約8000万円の資金調達も実施している。

ZEALS代表取締役の清水正大氏

Google、ユーザーを尾け回す広告のミュート機能強化――「リマインダー広告」の表示停止が可能に

どのサイトに行っても執念深くユーザーを尾行してくる広告に出くわしたことがあると思う。どこかのサイトでたまたま何かの広告をクリックするとその広告が他のサイトにも現れる。いやどこのサイトに行ってもつけ回してくるのだ。Googleはユーザーがこういう広告を黙らせる手段を強化した。

一見すると奇妙な動きに思えるかもしれない。つまりGoogleの本業は広告ビジネスだ。ユーザーがあるプロダクトに関心を示したらその広告が繰り返しユーザーの目に触れるようにするのは広告の効果を高める上で有利であり、結局のところGoogleの売上を伸ばすのではないか? しかしGoogleは今日(米国時間1/25)の公式ブログの記事でユーザーに対する透明性とコントロール能力の提供を強化しなければならない理由を述べている。

当然のことだが、ユーザーがすでに興味を持っていないプロダクトならいくら「リマインダー広告」を表示しても効果がない。これは結局Googleのビジネスに良い結果をもたらさない。

Googlはスノーブーツを例に挙げている。誰かがSnow Boots Co.のサイトを訪問してスノーブーツを検索した後で、別のサイトの別のタイプのスノーブーツを購入したとする。ユーザーはSnow Boots Co.の製品にすでに興味を持っていない。にもかかわらず、このサイトがユーザーにスノーブーツの広告を送り続けたとすると、ユーザーは不快になる。興味ない広告がどのサイトに行っても必ず表示されるというのは非常に煩わしい経験だ。Googleが提供する新機能はこうした広告を簡単にミュートできるという。

この数年、Googleはユーザーが広告をミュートしたり設定を変えたりできるツールを提供してきたが、新機能は「広告設定」から不快な「リマインダー広告」をミュートする方法を提供する。

Googleの新しいミュート機能はユーザーのアカウントの広告設定に反映され、すべてのデバイスで有効となる。ある広告をスマートフォンでミュートした場合、デスクトップでも表示されなくなるという。

こうしたリマインダー広告のミュートはGoogle検索、YouTube、Gmail等のプラットフォームに拡張されるという。

これらに加えてGoogleは 2012年に実装した「不要な広告をブロックする」能力も強化される。

GoogleのJon Krafcikは「2017年に何百万人ものユーザーが毎日、不要な広告のミュート機能を利用している。2017年に得たユーザー・フィードバックによれば50億件以上の広告が不要な広告としてミュートされた。またユーザーからのコメントに基いて100以上の広告をわれわれの広告ネットワークから除外した」とブログ記事に書いている。

繰り返すが、今回のアップデートの影響はGoogleが表示する広告に限られる。したがって別の広告ネットワークはうるさい広告を依然として表示してくるだろう。たとえばFacebookとInstagramが送りつけてくる大量のリマインダー広告などはブロックできない。

ともあれGoogle広告については不要な広告を削除するを開いて現在の状態を確認し、必要に応じてミュート機能を利用しよう。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

主要サイトの多くが、密かにアンチ広告ブロッカー対策を講じている

広告ブロッカーが、ウェブ上の広告ベースのビジネスモデルに、不利な影響を与えていることは特に秘密ではない。これは、広告主たちの様々な反応を引き起こしている。例えばあるサイトは比較的丁寧な利用者へのホワイトリストへの追加依頼(TechCrunchが行っているもの)を行い、また他のあるサイトはブロックを避けるための広告の動的再配備を行う。新しい調査によると、Web上の上位1万サイトのうち、3分の1近くが広告ブロッキング対策を講じている。その多くは対抗策を静かに実行し、とても洗練されている。

アンチア広告ブロッキング技術の伸びを受けて、アイオワ大学とUCリバーサイド校の研究者たちは、かつて行われたものを上回る規模で、主要なサイトに対する詳細な調査(PDF)を行うことにした。目に見えたり、ポップアップや壊れたコンテンツなどの明らかなアンチ広告ブロッキング対策などの観察から立てられたりした最初の予想では、おそらく有名サイトの1から5%がそのような対策を施しているのだろうと思われていた――しかし実際には、その割合は桁違いに高かったのだ。

研究者たちは、広告ブロックソフトウェアが埋め込まれたブラウザー、埋め込まれていないブラウザーの両者を用いて、何千ものサイトを何度も訪問した。ブロックを行うブラウザーと、ブロックを行わないブラウザーの最終レンダリングコードを比較することによって、たとえ利用者に通知を行わなくても、サイトがページ内容を変更したり、ブロッカーの存在を認知していることを判断できる。

上に示したように、(調査会社Alexaによる)トップ1万サイトのうち30.5%が、何らかの広告ブロッカー検出を行っていた。トップ1000で見てみると、その割合は38.2%となる(TechCrunchもこの中に含まれているが、私の知る限りでは、訪問者に、サイトをホワイトリストへ追加するよう依頼している)。

得られた結果は、アンチ広告ブロッカーは、以前レポートされたときよりも、更に普及が進んでいることを示している[…]私たちの仮説は、以前に報告されたものよりも、更に多くのウェブサイトが、広告ブロッカーを「気にしてはいる」ものの、多くのサイトはまだ、実際には広告ブロッカーを使うユーザーに対して対抗手段をとってはいないだろうというものだった。

しかし、実際には多くの広告プロバイダーが、アンチブロッキングテクノロジーを提供していることが判明した。それは広告に似た様々な「おとり」コンテンツを生成するスクリプトの形で提供されている。例えば広告ブロッカーを起動するきっかけになる名前やタグが付けられた画像や要素がある場合、サイト側にそれを知らせる。例えば”banner_ad”というマークのついたdiv は読み込まず、”banner”という説明の書かれたイメージはロードするようなブロックのパターンは、ブラウザによって強制される広告ブロッキングの種類と深さを明らかにする。

サイトは、(単に応答の必要性を判断するために)単純にこの情報を記録したり、検知された広告ブロッカーが反応しない形で、広告の再配備を行ったりすることができる。

広告主たちによるこれらの新しい共通対抗手段の検出に加えて、研究者たちは、現在の広告ブロッカーたちを、意図通りに機能させ続けさせることができるかもしれない、いくつかの手段を提案している。

1つの方法は、ブロッカーをチェックするJavaScriptコードを動的に書き換えてしまい、ブロッカーがないと思わせるようにすることだ。しかし、この方法は、本当は広告ブロッカーがあるのに、あたかもブロッカーが無いようにレンダリングさせることで、いくつかのサイトを壊してしまう可能性がある。

2番目の方法は「おとり」のコンテンツを特定し、それをわざとブロックしないことで、サイト側にブラウザーにブロッカーがないと思わせ、サイトから広告を普通に出させる――しかし結局実際の広告はブロックする――というものだ。

しかし、もちろんそれは、広告主たちによる、新しくより洗練された対策を誘発していくことになるだろう。論文の結論は以下の通り:

長期的に出版社や広告主たちに圧力をかけ続けるために、急速に拡大している技術競争の中で、広告ブロッカーはアンチ広告ブロッカーに対抗するペースを緩めないことが大切である。私たちの研究は、この方向への重要な一歩である。

この調査は、2018年2月のNetwork and Distributed Systems Security Symposiumに向けて投稿された。

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(翻訳:sako)

Chromeのビルトイン・アドブロッカーは2月15日から――Googleが発表

今年初めにGoogleは「ある種の広告をChromeから締め出す」という計画を発表した。長らくそれがいつからか分からなかったが、やっと期日がはっきりした。来年の2月15日だ(via VentureBeat)。Googleもメンバーである広告適正化の団体、Coalition for Better Adsが定めた基準に基づくアドブロッカーがこの日からChromeにビルトインされる。

もちろんすべての広告がブロックされるわけではない。このアドブロッカーは不必要にうるさく、押し付けがましい広告をブロックする。この場合、あるサイトが掲出する広告の一つが「基準不適合」と認定されると、他の広告は基準に適合していても、そのサイトの広告は全面的にブロックされる

GoogleではChoromeへのアドブロッカー導入に先立って、多数の広告主と共同で広告基準に適合することを確認する努力を続けている。影響の大きい新機能なので「突然自社の広告がブロックされた」といった苦情が出ないよう、慎重を期する必要があるわけだ。

Googleがネーティブ・アドブロッカーをChromeに導入することにした理由としては、不快、不適切な広告がはびこるとユーザーはサードパーティーのアドブロッカーをChromeに設置するようになり、こうしたアドブロッカーにはあらゆる広告を排除しようとするものもあるからだ。そうなるとGoogleの本来の収益源である広告代理業に悪影響を与える可能性が出てくる。

〔日本版〕Googleの発表はこちら

画像: Stephen Shankland/Flickr UNDER A CC BY-SA 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、広告ターゲティングで有色人種を除外する機能を一時停止へ

Facebookは、広告主がターゲティングの対象から「多文化的つながり」に関心のあるグループを除外できる運用方法とポリシーに関して非難の的になっている。このほど、非営利報道機関、ProPublicaの捜査と連邦議会黒人幹部会(CBC)からの圧力を受け、Facebookは同社の広告ポリシーを精査することを約束した。COO Sheryl Sandbergが、CBC議長のCedric Richmondに宛てたレターに書いた。

広告主にターゲティングツールを差別的に利用させない方法が見つかるまで、同社は多文化交流グループを除外するオプションを一時的に無効にする。SandbergのCBC宛レターによると、多文化交流グループは「Facebookでの行動からみて、アフリカ系アメリカ人、ラテン系アメリカ人、あるいはアジア系アメリカ人コミュニティーに関連する広告に興味をもつ可能性が示唆される人たちから成っている」。

多文化マーケティングは広告業界では一般的だとSandbergは書いている。「この種のマーケティングには数多くの正当な利用場面がある」と彼女は言っているが、広告主がFacebookを使って、住宅、雇用、融資などの分野で差別することも懸念されている。

「オンライン広告主が住宅などの広告ターゲティングで「人種的つながり」を選択することを許しているFacebookは、差別的な住宅慣行に加担している」と CBCのメンバーらが昨年語った

Facebookは、LGBTQコミュニティーや障害者など、その他の「慎重に扱うべき分類」についても、広告主が除外ターゲティングにどう利用しているかを調査すると言っている

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Instagramのビジネスプロフィール、2500万件を突破

Instagramがアナウンスしたところによれば、アクティブなビジネスプロフィール数が2500万を突破しているのだそうだ。6月の1500万から大いに伸びていることになる。

Instagramはさまざまなデータ(9月には、月間のアクティブユーザーが8億を突破し、デイリーでも5億となり、公告主も200万を突破したとアナウンスしていた)を公開してくれている。しかし今回の発表は、Instagramを顧客とつながるためのビジネスツールとして活用しようとする企業の増加を示すもので、非常に興味深いものだ。さらに、Instagramアカウントのうちの80%以上がビジネス・プロフィールをフォローしており、さらに2億人が日々ビジネスプロフィールをチェックしているという数値も明らかにされている。

ビジネスプロフィールを使えば、プロフィール画面で各種ビジネス情報を提供できるようになったり、詳細なデータ解析ができるようになっている。Instagramが、このビジネスプロフィールの機能を提供しはじめたのは1年半ほど前のことだった。そこからの急成長は注目に値する。

Instagramのビジネス部門でディレクターを務めるVishal Shahによれば、ビジネスプロフィールを外部のウェブサイトにリンクさせていない企業が50%に及ぶとのこと。すなわち、InstagramはInstagramとして完結する、ないし主要ビジネスツールとして利用する方式が主流となっているのだ。Instagramネイティブとして展開するビジネスプロフィールが成功をおさめているケースが多いのだそうだ。

ただ、ビジネスプロフィールが増加すれば、一般利用者からの注目を集めることが難しくなるということはあるのではなかろうか。Instagramの親会社たるFacebookでも、Facebookページを展開しても、オーガニックなアクセスを得ることが難しくなっているということがしばらく前から言われてきている。ニュースフィードの中で扱うコンテンツを増やしていることも、ビジネス利用者が埋没するきっかけとなってしまっている。

しかしShahによれば、Instagramでは状況が異なるとのこと。フィードやInstagramストーリーを充実させつつ、検索やハッシュタグを意識した投稿をすることで、効果的に大きな注目を集めることができるとのこと。

ビジネスプロフィールへのアクセスの3分の2は、プロフィールをフォローしている人以外からもたらされているらしい。Shahは、今後こうしたデータを詳細に分析するツールを用意することで、ビジネスプロフィールのさらなる利用拡大を目指していきたいとしている。

なお、オンライン広告をめぐっては、公告の透明性ということが大いに語られる昨今となっている。InstagramやFacebookなどの巨大プラットフォーマーが、誤った情報を提供することがあってはならないということが言われるようになった。Shahによれば、この点についてもInstagramはFacebookと連携しながら十分な注意をしているとのことだ。Instagramも、Facebookの展開する透明性イニシアチブ(transparency initiative)に参加していくことにしているのだそうだ。

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(翻訳:Maeda, H

Appleの今年の感謝祭CMは雪のプラハで踊るペア――AirPodsをフィーチャー

毎年Appleはアメリカでサンクスギビングデーにあわせて新しいCMを発表してきた。他のAppleのCMと比べると、この時期のCMは特定のプロダクトや機能を宣伝するというより、「時候のご挨拶」といった雰囲気が強い。

というわけで今年のAirPodsのCMも同じ傾向だ。“Sway”と呼ばれる新しいCMはプラハの街が舞台で、白いAirPodsを耳に着けた女性がiPhone Xからサム・スミスの “Palace”を流す。

女性はそこから別の世界に入り込み、ダイナミックなダンスを繰り広げる。やがて男性に突き当たり、AirPodsの片方を渡し、こんどは雪の舞う中をペアで踊る。

ちなみにこのCMのダンサーの男女は実生活でも結婚しているという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ロシアがFacebookに出稿したフェイク広告の一部を下院の委員会が公表、その画像もある

どれだけの量のロシアによるコンテンツがソーシャルネットワーク上に流通したのか、今テクノロジー企業はそれを探り当てようと焦っているが、正確な計量は不可能だろう。しかしここにご紹介する議会資料は、アメリカ社会に怒りと分断をもたらそうとした、外国勢力によるFacebook上の広告操作の、実態の一端を見せてくれる。

今日(米国時間11/1)下院の諜報委員会が、ロシア政府とつながりのある団体等が出稿したFacebookとInstagram上の政治広告の事例集を公開した。これらの広告はすべて、アメリカ社会の分断を教唆しており、政治的な個人攻撃臭のあるものも少なくない。同委員会は先月、Facebookが提供した3000件の広告をすべて公開すると匂わせたが、今回はロシア政府筋の出稿と思われる、人物ではなく政治的案件に関わる広告のサンプル25件にとどまった。読者がPDFを扱わずにすむために、本誌はそれらをここにまとめた。

下表でお分かりのように、あらゆるものが攻撃にさらされている。それらロシアからの広告は、極右と極左の両方、黒人人権活動家やムスリム、キリスト教徒、LGBTQの人びと、銃の保有者、そしてIvanka Trumpのジュエリー製品まで標的にしている。

ご存知のとおり広告費は、その広告が生成したインプレッション数とクリック数にほぼ比例するが、これらの広告の中には、それが1000ドルを超えたものも少なくない。もちろん、‘すべて’ではないが。

それらの‘成功広告’がどれか、それも分かっているが、ここでは広告の代表的な例だけでなく、それらのコストとターゲット層、そしてその成績を表にまとめた。これのWebバージョンとして、読者がソートできる表もあり、そこにはそれらの広告の画像へのリンクもある。お楽しみを!

〔ここに表が表示されない場合は、Webバージョンをご覧ください。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebookの“広告透明性機能”は来月発効、政治広告出稿者の説明責任を重視

ロシアが昨年の大統領選に影響を及ぼすべく、Facebookの広告を使った、という懸念に応えて同社は、広告の透明性を増進して、広告の出元を誰が見ても分かるようにする、と発表した。

今日(米国時間10/27)同社はその計画の具体的な詳細を明らかにし、その新しい透明性機能は来月から動き出す、と述べた。それ以後はFacebook Pageに“View Ads”(広告を見る)というボタンが登場し、それをクリックすると今Page上にあるすべての広告が一覧される(下図)。

Facebookによると、近くそのテストをカナダで開始する。アメリカの場合は、国の選挙に関する広告のアーカイブも含まれ、それは向こう4年ごとに更新される。また広告費の累計と平均、各広告が受け取ったインプレッション数、広告のターゲットの層特性、などの情報も開示される。

さらに、政治広告は出稿者の身元確認、住所、選挙関連であることの明記、などを必要とする。またそれらの広告には、“paid by”(誰が広告費を出しているか)のリンクがあって、その詳細情報を見れる。また機械学習のツールを使って、身元を明かしていない政治広告の出稿者を見つける。

これらの機能が、多くのFacebookユーザーの利益になるだろうか? それはないと思うが、でも広告担当のVP Rob Goldmanはこう言っている: “透明性はみんなを助ける。とくに政治の監視グループや記者などの役に立つ。広告主たちに説明責任を持たせることによって、どこの誰が何のためにこんな主張を(広告で)しているのか、分かるようになる”。

この同じ時期に議会は、ネット広告に対する規制を超党派で法制化しようとしている。そして少し前にはTwitterが、これと同じような透明性対策を発表した。

Facebook View Ads

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

フィンランドの広告スタートアップ、Smartly.io、既存株式売却で資金調達――2000万ドルでアメリカ進出へ

フィンランドの首都ヘルシンキを本拠とするSmartly.ioはFacebook広告プラットフォームを通じてマーケティングの自動化を狙うスタートアップだ。同社は今日(米国時間9/19)、発行済株式の売却によって2000万ドルの資金を調達したことを発表した。これは既存株主の株式をヨーロッパのベンチャーキャピタルのHighland Europeに売却するという方法で実施された。

2013年創業のSmartly.ioのファウンダー、CEOのKristo Ovaskaは「われわれは2年前からすでに黒字化している」と述べた。同社の株式はファウンダー、エンゼル投資家、社員が所有していた。そのため今回のラウンドはSmartly.ioに対して会社の売却あるいは上場による現金化の道を探るという圧力を与えずにファウンダーらの株式を現金化し、報酬に充てる効果があった。

Ovaskaは「Highland EuropeはアメリカのHighland Capital Partnerと密接な関係のあるベンチャーキャピタルだ。Smartly.ioはアメリカ市場を始めとする各国市場への進出を計画しており、HighlandはSmartlyの経営のグローバル化、進出先での企業買収などのアグレッシブな成長戦略やその資金づくり助けるだろう」と付け加えた。

Facebook Marketing PartnerはFacebookが開発したプラットフォームで、Facebookが審査、選定した企業のマーケティングを助ける。Smartly.ioのツールはブランドの商品画像から自動的にバナーやビデオによる広告を作成し、、Facebookに出広する。Smartlyはまたオーディエンスのターゲティングや出広のタイミングや表示先など広告予算の運用も独自に決定する。

Smartly.ioは最近、通年換算で10億ドルの広告予算を処理していることを発表した。現在、Smartlyのプラットフォームを利用しているブランド、広告代理店の数は500社以上で、eBay、JustFab、Zillow、SkyScanner、Lazada、Deliverooなどの有名企業が含まれる。【略】

「Smartly.ioの社員は150人だが急速に拡大中だ。Highlandはアメリカにおける有望なカスタマー候補企業をリストすることに十分な経験がある。顧客獲得だけでなく人材採用も助けるだろう」とOvaskaは述べた。【略】

Smartly.ioのカスタマー・サポートはすべて同社の社内で行われる。社員のほとんどはプログラミングの経験があり、CEOのOvaska自身も自ら毎日何時間かカスタマー・サポートを行っている。Ovaskaはカスタマー・サービスの充実が他のマーケティング自動化ツールに対するSmartly.ioの競争力の源泉だとしている。

Smartly.ioはシンガポールにもアジア太平洋地域のカスタマーのためのオフィスを開設しているが、もっとも重要な市場はいうまでもなくアメリカだ。

「アメリカ市場の成長可能性は非常に大きい。Facebookプラットフォームに向けられている世界の広告予算を見ると、アメリカ市場はその他の地域をすべて合計した以上の金額となっている。同時にもっとも成熟した市場でもある。われわれはアメリカを中心に投資していく」とOvaskaは述べた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AppleがSafariの新しい広告追跡防止機能(クッキーに対する制限など)を擁護

Appleには、Webの訪問者たちがオンラインの広告主たちに追跡されるのを制限する新しいやり方を、今さら引っ込める気はない。

Safariのその新しい機能はIntelligent Tracking Preventionと呼ばれ、最初は、6月に行われたAppleのカンファレンス、Worldwide Developers Conference(WWDC)で発表された。それは、広告主がユーザーを追跡する(調べる)のを防ぐための、複数の方法を組み合わせていて、たとえば広告のターゲット変えにクッキーを利用することを24時間だけに制限し、それ以降30日間そのクッキーを発行したサイトをユーザーが再訪しなかったら、クッキーを完全に削除する。

今週の初めに広告業界の6つの業界団体(Interactive Advertising BureauやAmerican Association of Advertising Industriesなど)が、Appleのこのやり方を“透明性を欠き恣意的”と批判する公開書簡を発表した。

“Appleの一方的で強引なやり方は消費者の選択権を奪い、広告に支えられているオンラインコンテンツやサービスとそれらを愛する消費者にとって有害である”、と彼らは書いている。

そしてAppleの答は? どうやら同社はこのまま前進を続け、消費者のプライバシーのための正しいやり方だと自分を擁護するようだ。以下が、同社の声明だ:

Appleは、人間にはプライバシーの権利があると信ずる。Safariはデフォルトでサードパーティのクッキーをブロックする初めてのブラウザーであり、 Intelligent Tracking Preventionはユーザーのプライバシーを保護するさらに進んだ方法である。

広告の追跡技術がこれほどまでに蔓延しているからには、広告追跡企業が人びとのWeb閲覧履歴を記録して保有していることもありえる。その情報は無許可で集めたものであり、広告のターゲット変えに利用されている。それによって広告が、インターネット全域で人びとを追尾しているのだ。新たなIntelligent Tracking Prevention機能は、このクロスサイト追跡に使われているクッキーなどのデータを検出して排除し、個人の閲覧をプライベートに保つ。この機能は広告をブロックせず、また人びとが実際にクリックして訪れるサイトの正当な追跡を妨害しない。サイトの機能と対話するために設計されているクッキーや、Webのパブリッシャー自身が置いた広告は、正常に表示される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

次期Chromeは耳障りなビデオ自動再生を無音化へ――Googleが機能とポリシーを変更

ウェブを見ていて非常に不愉快なことの一つは―広告を別にすれば―開いたページが勝手に大音量でビデオの再生を始めることだろう。これはユーザーを驚かせ、苛立たせるだけでなく、データ転送量も食ってしまう。特にモバイルの場合は痛い。Googleはこの問題に対処する計画だ。近く公開される次期のChrome(Chrome 64)ではGoogleは自動再生に制限を加える。

公式ブログによれば、自動再生が許可されるのは無音(ミュートされているか音声トラックなしの場合)、あるいはユーザーがそのページに興味を示していると判断された場合に限られる。後者の場合、ユーザーの興味はいくつかの基準によって判定される。たとえば、デスクトップからユーザーがそのサイトをひんぱんに訪問してビデオを再生していた場合、表示されたページをクリックないしタップした場合、またモバイルデバイスのホームスクリーンにサイトを追加した場合などだ。

ただしその一方で、 Googleはモバイルでのビデオの自動再生に対するユーザー保護手段の一部を無効化する。Chrome for Androidの場合、「自動再生を無効にする」オプションは廃止される。また現在、モバイルでChromeのデータセーバー・モードを有効にすると、自動的に自動再生がブロックされるが、次期Chromeではこれも廃止される。

Googleによれば、こうした変更で「自動再生ブロックの信頼性が増す」という。しかし実際にはそうでない場合もありそうだ。ユーザーがすでに何らかの方法で自動再生をブロックしている場合、今後設定に注意を払わないと自動再生が増えることになるだろう。

ただしGoogleはChrome 64以降でポリシーを変更し、かつ Chrome 63以降で個別サイトの自動再生の音声をを完全に停止するオプションを加えた。ユーザーがあるサイトをひんぱんに訪問するものの、ビデオの自動再生の音声が耳障りだという場合(ニュースメディアや情報サイトなどでそういう場合がありそうだ)、ユーザーはビデオ再生を永続的にミュートすることができる。

この設定はサイトごとに記録され、ブラウザのタブを閉じ、後で再び開いた際にも維持されるという。

10月に公開されるChrome 63の安定版にサイトの音声停止が搭載される。自動再生に関する新しいポリシーが適用されるのは12月のChrome 64ベータからとなる。f Chrome 64の安定版の公開は2018年1月が予定されている。

Googleが対処を準備しているのは自動再生だけではない。Chromeネーティブの広告ブロック機能も開発中だという。これはAndroidデベロッパー・キットにもこの夏追加された。

このブロッカーの広告選択基準はCoalition for Better Adsが制定する業界標準にもとづいている。これによれば画面の大部分を覆うように表示され、コンテンツを読むためにカウントダウンが終わるのを待たねばならないような広告や繰り返しポップアップするような広告がブロック対象に含まれる。この広告ブロッカーは来年ブラウザに搭載されるという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

LinkedIn、動画投稿機能を一般公開――将来的にはライブ動画、動画広告も導入か

ソーシャルネットワークの世界では動画の重要性がますます高まっている。FacebookやTwitterをはじめとする各サービスが、トラフィックの獲得やエンゲージメント率の向上、さらにはテレビ業界の高額な広告料を狙って動画機能の拡充に努めている。Snapchatにいたっては開発時点から動画をサービスの中心に据えてきた。

Microsoft傘下のLinkedInもようやくその仲間に加わろうとしている。本日(現地時間8月22日)同社は、iOS・Androidアプリ経由で動画をアップロードできる機能を全ユーザーに対して公開すると発表した。

彼らの狙いは、進行中や完了したプロジェクト、製品デモなど、仕事の様子を動画でユーザーに共有させることだ。その様子はSnapchat系以外のソーシャルサイトの動画機能とよく似ている。動画に興味を持っているものの何から手をつければいいかわからないというユーザーに向けて、説明書まで準備されている(Snapchatとは大違いだ)。

実は今回発表された機能は全く新しいものではない。LinkedInは今年に入ってから対象を絞って動画投稿機能をローンチし、その結果は彼らの願い通りだった。動画コンテンツはそれ以外と比較して20倍以上もシェアされやすいということがわかったのだ。それ以前にも、同社は昨年インフルエンサーによるQuora風のQ&Aサービスがローンチしており、厳密な意味で言えばLinkedInは既に動画コンテンツの分野に足を踏み入れていた。

そう考えると、動画投稿機能の一般公開はようやくという感もあるが、5億人のLinkedInユーザーにとっては、流行りに乗り切れないLinkedInというのはそこまで驚くべきことではないのかもしれない。

これまでも同社は、比較的動きが遅いソーシャルサイトとして知られていた。「LinkedIn」と「ようやく(finally)」という言葉を組み合わせてGoogle検索してみれば、TechCrunchだけでなくさまざまなメディアで、同社がモバイル(AndroidiPadへの対応、さらにはモバイル・ウェブ版の統一)やコミュニケーション・シェア機能の拡充新興国への進出といった波に乗り遅れてきた様子が報じられているのがわかる。

なぜ動画機能のローンチにここまで時間がかかったのかという質問に対し、同社の広報担当者は「私たちはユーザーが仕事に関連したコンテンツを制作・シェアする手段の拡充に注力してきた。パブリッシングツール同様、動画機能の導入にあたっては、現状のコンテンツの投稿、共有、発見フローを変えず、さらにユーザーエクスペリエンスを向上するような形になるよう試行錯誤を繰り返した」と語った。

何はともあれ、ようやく動画機能がローンチされたことで、今後同機能がどのようなプロダクトへ進化していくのか、そしてこれまでにローンチされた機能や将来的に開発予定のものとどのようなシナジーを生み出していくのかに関して興味が湧いてくる。

そこでカギになるのがライブ動画だ。

今年LinkedInはFacebok Liveのプロダクトマネージャーを務めていたPeter Roybalを密かにチームに迎え、今後彼が動画ビジネスを率いていく予定だ。Roybalの上司は、LinkedInが去年買収したRun HopというスタートアップのファウンダーPete Daviesで、彼は現在LinkedInのコンテンツ・パブリッシング機能全体を管轄している。ソーシャル界の雄Facebookのライブ動画配信プラットフォームを管理していたRoybalの参画により、LinkedInが今後動画機能をどのような方向に導こうとしているのかある程度予想がつく。

会社のプロフィールページ、教育サービス、採用支援、プロフェッショナルネットワークといった、LinkedInがこれまでに構築してきたサービスとライブ動画の相性の良さは言わずもがなだ。

教育分野に関し、LinkedInはLynda.comを15億ドルで買収した後、LinkedIn Learningと呼ばれるサイトをローンチし、従業員向けの教材を探している企業や個人に向けてオンラインコースを提供している(さらに現在は個別指導機能のテスト中)。

これらの分野では、文字ベースでやりとりできる機能が付いた一対多数配信、そして一対一のビデオチャットの両方が有効活用できる。

特に長年LinkedInの収益の大部分を担ってきた採用ビジネスにおける一対一ビデオチャットの有効性(企業や求人の宣伝、候補者の面接など)は明白だ。

(ちなみに現在Microsoftが運営しているSkypeとLinkedIn間のコラボに関する話は全く聞かないが、Skypeも面接用のプラットフォームを開発中との噂を耳にしたことがある。Microsoftは本件に関するコメントを控えているが、既に企業の面接でSkypeが広く利用されていることを考えるとこの動きには納得がいく)

「ライブ動画やビデオチャットを利用することで、サービスに全く新しい側面が加わるため、将来的な可能性としては興味を持っている」と広報担当者も語っている。

その他に近い将来LinkedInが動画を活用するであろう分野としては、広告や企業動画が挙げられる。

企業動画の配信に関しては「近日中にローンチ予定」と広報担当者は話しており、別の情報筋によれば、企業動画はプロフィールページ以外にも掲載されるようになるとのこと。これに関連し、LinkedInはハッシュタグを使ってコンテンツが検索できるページ(例;#TED2017)を改良中で、今後このページが動画の拡散に使われることになるだろう。

上述の機能やサービスは全て、何のためにLinkedInが動画に力を入れはじめたのかということに繋がってくる。その目的は、ずばり広告だ。

Facebook、Twitter、Snapchat、YouTube、Yahoo/AOL/Oathといった企業が既に気づいた通り、今日のデジタル広告界では動画こそが王様だ。LinkedInも動画コンテンツを充実させることで、動画広告に近づける。

「現時点では動画広告は掲載しておらず、今はエクスペリエンスの向上やユーザーからの情報収集に努めている。しかし動画広告の導入は自然な流れであり、将来的なプランとして検討中。今のところ具体的な計画はないが、さまざまな可能性を模索していきたい」とLinkedInは語った。

多くの可能性が広がっていると同時にゴールが見えづらい動画ビジネスだが、LinkedIn(そしてMicrosoft)の次なる狙いであることは間違いないようだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

偽再生ボタン表示するとFacebookの表示ランクが下がる――クリックベイト対策、また一歩前進

Facebookのニュースフィードを見ていて偽の再生ボタンをクリックしてしまったことはないだろうか? このボタンはビデオを再生せず、別のサイトを開くリンクが隠されている。私は何度も引っかかった。そこで2014年にFacebookは、偽再生ボタン付きリンク画像を禁止せよという記事を書いたぐらいだ。

今になってやっとFacebook手を打ち始めたようだ。今日(米国時間8/17)、Facebookはニュースフィードの表示アルゴリズムを変更し、プレビューに偽のプレイボタンを表示したり、静止画であるのにビデオのように見せかけてファイルをアップロードするサイトのランクを大幅に下げることとした。こうした手口でトラフィックを稼いでいたパブリッシャーは大打撃を受けることになるだろう。ただしFacebookはこうした投稿を完全に削除することはしない(他の重大な約款違反がないかぎり)。

以下はスパマーがクリックベイトのためによく使う偽再生ボタンの例だ。

Facebookは広告で偽のプレイボタンを表示することを禁止している。ニュースフィードのプロダクト・マネージャー、Greg Marraは私のインタビューに対して「これは存在しない機能を表示することを禁止した広告約款の違反を理由とするもので、数年前に制定された」と話した。しかし広告以外のニュースフィードには偽プレイボタンがはびこるままだった。

「その後ユーザーから偽のプレイボタンに対する苦情が寄せられた」とMarraは付け加えた。 そこで今日のアップデートとなったわけだ。スパマーがクリック稼ぎに使うこうした偽プレイボタンや偽ビデオを発見、分類するために.Facebookでは人工知能による機械視覚を訓練しているという。【略】

Facebookによれば、パブリッシャーがリンク先にビデオが存在することを正規に示したい場合は、Open Graphメタタグを利用すべきだとしている。またパブリッシャーはタイトルやキャプションにWatchないしVideoと表示してもよい。

ニュースフィードにおけるフェイク再生ボタンを表示したプレビューの例(左)。ユーザーがビデオを再生するつもりでクリックすると広告満載のページに飛ばされる(右)。

Facebookはこれまでも。CGで秒数を表示するなどの細工をして録画ビデオを繰り返し再生しているのにライブ中継と偽ったりするような悪質な広告主に悩まされてきた。TechCrunchではこの1月にFacebookに対して、こうした連中を退治するよう勧めたところ、5月になって取り締まりが実施された。

その後Facebookではパブリッシャーがページビューを稼ぐために静止画をビデオに見せかけて投稿する新たな手口に対応を迫られていた。 今回のアップデートでこうした投稿の表示ランクは大きく下げられる。Facebookでは人工知能による「モーション・スコアリング」でクリップ画面内の動きを検知し、ランク付けするとしている。

今日のアップデートはページビュー稼ぎのクリックベイトに対する大掛かりな取り締まりの一環をなす。 Facebookでは偽ビデオの他に、誤解を招くタイトルや重要な情報を隠した投稿の規制をさらに多数の言語に拡大している。またスパマーが好んで拡散する中身のないリンクフェイクニュース も表示ランクを下げられる。またFacebookでは疑わしいニュースについては別の立場からのニュースにリンクしてユーザーがクリックベイトに釣られることを防ごうとしている。【略】

こうした不愉快で苛立たしい投稿をニュースフィードから追放すればユーザーは正常なコンテンツに集中することが可能になる。これにより滞在時間やビデオの再生回数などのエンゲージメントが増大することが期待される。つまりはFacebookのビジネスにとって有益となるわけだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、「うっかりクリック」は広告として課金しない方針を発表

FacebookはAudience Networkでユーザーが「うっかりクリックした広告」に対し広告料金を課金しないこととした。

われわれは別のページを開こうとしてタップしたりスクロールしたりスワイプしたりする拍子にうっかり広告を開いてしまうことがある(私の場合、意図して開くというよりこうして偶然に開いた広告の方が多いと思う)。

そこでプロダクト・マーケティング担当マネージャーのBrett Vogelは「FacebookはAudience Network(Facebookが自社以外のアプリに広告を配信するサービス)において意図しない広告クリックについては広告主に課金せず、広告メトリックスからも除外する」と発表した。

Facebookではユーザーが広告を開いてから2秒以下で閉じたり遷移したりした場合は「意図しない動作」とみなすことにした。ともあれ、ユーザーが広告を開いて2秒以下で戻ってしまったのではその広告が気に入られなかったことは確かだ。

Vogelは2秒以下という時間に関して「とりあえずこれでスタートするが必要があれば調整する」としている。

Facebookからの広告配信を受けて掲載しているサイトの運営者は収入の減少を心配するかもしれないが、Vogelは「大多数のサイトでは意図的でないクリックの数は少ないためほとんど影響を受けないはず」としている。Vogelはこの変更はエコシステムの改善を目的としているとして、「非意図的な広告クリックに頼るようなサイト運営は長期的にみて不健全だ」と付け加えた。

Facebookではこれに加えて新しい広告メトリックスを導入している(われわれの記事)。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

2億DAUのGiphy、スポンサードコンテンツ導入を検討中との噂

そろそろ、といったところか。

設立から4年が経ったGIF検索サービスのGiphyが、ついにマネタイズにとりかかろうとしている。

関係者によれば、Giphyはメッセージアプリ内でのスポンサードGIFのテストを近々始めるとのこと。つまり、今後メッセージアプリ内でGIFを検索したユーザーは、スポンサー付きのGIFを目にするようになるかもしれない。

ある程度のユースケースは容易に想像できる。例えば、「月曜」や「朝」といった単語が入力されたらスターバックスのGIFが表示される、といった具合だろう。その一方で、特に映画やテレビ番組(そもそもGiphyのコンテンツの大部分は映画やテレビ番組の切れ端だ)をはじめとするブランドが、既存のコンテンツを使ったGIFを配信するという可能性もある。

仕組み自体はGoogleの検索広告と大差ない。Googleで「Walmart」と検索すれば、恐らくWalmartやTargetの広告が表示されるだろう。

しかしGiphyが一般の検索サービスと違うのは、主な検索ワードがブランド名ではなく、動作やリアクション、感情に関連した言葉だという点だ。つまり、スポンサードGIFが導入されれば、「Wooo(やったー)」という検索ワードに対して、ショットグラスにJose Cuervo(テキーラ)を注ぐGIFが表示されたり、「Cheers(乾杯)」という言葉に、バドワイザーのボトルを打ち付け合うGIFが返ってきたりするかもしれないのだ(ここでNetflixが「Chill(ゆっくりする)」で広告を打たなければガッカリだ)。

また、Giphyのスポンサードコンテンツは、Snapchatのスポンサードフィルターのような形で機能することになるだろう。例え企業が裏についたコンテンツだとしても、友人から送られてきたということでユーザーがコンテンツを目にする確率は上がるため、ブランドは消費者にリーチしやすくなる。

先述の関係者によれば、GiphyのDAU(日間アクティブユーザー数)はAPI経由とウェブサイトを合わせて2億人に達し、Giphyが管理しているサービスとウェブサイトを合わせたMAU(月間アクティブユーザー数)は2億5000万人におよぶという。つまり、ほとんどのユーザーが毎日Giphyを利用しているのだ。

スポンサードコンテンツの配信がいつ頃始まるかについてはわかっておらず、Giphyもコメントを控えている。しかしGiphy COOのAdam Leibsohnは、同社がユーザー数を伸ばす段階から広告商品を開発する段階に移行したと語った(その広告がどのようなものになるかについては明かされなかったが)。

「GIPHY Studios経由で、すでにパートナー企業とは1年以上コンテンツ制作で協力してきました」とLeibsohnは語る。「その経験から、広告商品をどんなものにするべきかという方向性が決まってきました」

どんな企業が最初に広告をテストすることになりそうか尋ねたところ、「コンテンツやエンターテイメント、テクノロジー、広告の分野では、既に世界的に有名なブランドと一緒に仕事をしています」とLeibsohnは語った。「広告をローンチするとなると、既存のパートナーをビジネス相手として考えるのが自然な流れでしょうね」

テストに関しては、どのプラットフォームが実験台になるのかまだハッキリしない。さらに、自社のウェブサイトやアプリ以外のプラットフォーム上でスポンサードコンテンツを配信するとなった場合、ビジネスモデルはどうなるのだろうか。

Slack、iMessage、Facebook Messenger、Twitterといったサービスは全てGiphyにとっては大口のプラットフォームだが、初期テストには少し規模が大きすぎるかもしれない。ここで忘れてはいけないのが、Giphyは何がうまくいくのか試すためにスタンドアローンアプリを次々にリリースするような企業だということだ。

戦略的に言えば、スポンサードコンテンツの実験台にぴったりなのはTinderだと個人的には考えている。既にTinderにはGiphyが統合されており、ユーザーはかなり頻繁にGIFを使っている。実際に昨年の人気トップ25に入ったGIFの中には、Tinderユーザーのおかげでランクインしたものがあった。

このようにTinderとGiphyの相性は(エンゲージメントの観点から)抜群な上、TinderでのデビューはTwitterのようにパブリックなプラットフォームに比べればリスクが低く、仕事で使われることの多いSlackほどの不確実性ややりにくさもない。

本件についてTinderにコメントを求めたが、今のところ返答はない。

スポンサードコンテンツの他にも収益化のポイントはいくつも思いつく。まず彼らにはウェブサイトへの膨大なトラフィックがある。実際のところ、訪問者の50%以上はコンテンツを閲覧する目的でウェブサイトを訪れているとGiphyは語る。

つまり彼らは、検索ワードを使ったネイティブ広告をウェブサイト上でも販売できるのだ。

さらに現在Giphyは、アカデミー賞やゴールデングローブ賞といった大型イベントに合わせてライブGIFを公開している。今のところGiphyのチームは無料でライブGIFを制作しているが、これから各イベントとパートナーシップを結ぶというのは十分ありえる。『フルハウス』や『となりのサインフェルド』といった往年の名作を使って、大手テレビ・ケーブルテレビ局向けにGIFを作るというアイディアには触れるまでもないだろう。

P2Pのネイティブコンテンツが未来の広告の大部分を占めるようになると考えている人はたくさんいるが、実際にはそれがどのような仕組みになるのかというのは未だよくわかっていない。しかしGiphyは比較的短期間のうちに、iMessage上であれ、Twitter、Tinder、Slack上であれ、私たちのコミュニケーションの欠かせない一部となった。

なおGiphyは2016年10月に7200万ドルを調達しており、これまでの累計調達額は1億5000万ドル、評価額は6億ドルにのぼると言われている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

広告効果の測定やターゲティングの正しさを位置データから評価するPlacecastのLocation Verification

モバイルマーケティングのPlacecastのCEO Alistair Goodmanによると、これからは、広告効果の計測や検証では、位置データが鍵になる、という。

Goodmanが例として挙げるFactualとMobile Marketing Associationの研究では、マーケターたちの40%が位置データの品質を気にしている。彼によると、位置データを集めて利用する過程にはさまざまな“限界点”があるが、しかし最終的には、既存のデータセットは信頼性が完全ではなく、広告のターゲティングの不適正の原因となり、損失が生じている。

これを変えようとしているのが、PlacecastのLocation Verificationプロダクトだ。Goodmanの説明ではそれは、“データの精度を評価するための業界初の真理集合”だ。実際にこのプロダクトの初期のテストでは、Placecast以外の広告のインプレッションの25%は正しくターゲティングされていないことが見つかった。

Goodmanによると重要な違いは、Placecastがモバイルのキャリアからのデータに頼っていることだ。それは、Sprint傘下のPinsight Mediaなどだ。(本誌TechCrunch isはSprintと競合しているVerizonがオーナーだ。)

なぜ、そのデータの方が信頼性が高いのか? Goodman曰く、それらのデータは“アドッテックのために作られていない”。むしろそれは、キャリアにとっても重要なデータであり、たとえばあるセルタワーから別のタワーへ通話が渡されるときに、通話が落ちないことをそれらのデータで確認する。

Location VerificationはPlacecast内部の別の事業部が管理し、独立性と客観性を維持する、とGoodmanは語る。プライバシーに関しては、データはすべて“集積され匿名化され、またキャリア自身のプライバシーポリシーの監督下にある”、ということだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))