書評「MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣」――ARPU、テイクレートが重要なわけ

すでにシバタナオキ(柴田尚樹)氏の新刊、MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣を読まれた読者も多いと思う。まだ読んでない(積んである方を含む)向きのために簡単に紹介してみたい。

柴田尚樹氏はシリコンバレーのモバイル・アプリ検索最適化ツールのスタートアップ、SearchManの共同ファウンダーで、その経営が本業だ(TechCrunch Japan寄稿記事

柴田氏はしばらく前から決算資料をベースにテクノロジー系企業のビジネスを解説する記事をnote上に発表していた。 この連載が増補、加筆されて日経BPから出版されることになった。シリアスなビジネス書としては異例のヒットになっている、

念のため情報開示しておくと、柴田さんとは2009年にサンフランシスコで開催されたTechCrunchカンファレンスで会って以来(オフでお会いする機会は少ないが)お友達だ。しかしそれと別に、これは間違いなく素晴らしい本だと思う。裏側帯に「ファイナンス・リテラシーは一生モノの仕事力」とあったが、起業家、起業家志望者はもちろん、少しでもビジネスに関係する読者全員に必ず役立つはず。

企業会計についての本は大型書店の棚をいくつも占領するほど発行されているが、どれも面白くない。面白くないという表現が適切でないなら、わかりにくい。これから資格を取ろうと勉強中の学生ならともかく、多忙なビジネスパーソンが割ける時間にも気力にも制限がある。しかしこの本はeコマースならYahoo!とAmazon、FintechならSquareとPaypalというように(少なくともTechCrunch読者なら)誰でも知っている有名企業の最近の決算を例として「読み方のカンどころ」が解説されている。読んでいくうちに自然と解釈の基礎となる会計知識も身につく仕組みだ。

本書は柴田氏の経歴の中から生まれたものだ。柴田氏は2010年にシリコンバレーでスタートアップを立ち上げるまで楽天の最年少執行役員だった。当時楽天では経営トップが毎週全社員向けに業界トピックスを紹介するコーナーがあり、柴田氏はその「台本づくり」を任されたのだという。役員は超多忙だし、とおりいっぺんの業界情報なら社員は皆知っている。

そこで柴田氏は「(当時すでに)楽天はECから金融、広告などさまざまな事業を運営しているので、競合他社は国内外にたくさんあります。ライバルの決算を分析して、そこから読み取ることのできるサービス動向や経営戦略を解説すれば、社員の日常業務にも役立つ」と考えたという。

目次は下のとおり。お急ぎの向きは自分の興味あるセクションから読み始めてもいっこうにかまわないが、できれば最初のページから順に読む方がお得だ。フォーマットがとても親切にできていて、「決算を読むカンどころ」となる知識が自然に身につくよう配慮されている。

第1章: 決算が読めるようになると何が変わるのか?
第2章: ECビジネスの決算
第3章: FinTechビジネスの決算
第4章: 広告ビジネスの決算
第5章: 個人課金ビジネスの決算
第6章: 携帯キャリアの決算
第7章: 企業買収(M&A)と決算
終章: 決算を読む習慣をつける方法

テイクレートとARPUを覚えるだけでも役にたつ

各章のトビラには「その章のカンどころ」と「重要な3step」が掲載されている。たとえば「ECビジネスの決算」の章なら

ネット売上=取扱高xテイクレート(Take Rate)

が「カンどころ」だ。

本文を見ると、取扱高は流通総額、Gross Merchandise Sales、テイクレートはMonetization Rateと表記される場合があると説明されている。eコマース・ビジネスではA社プラットフォームでの販売(流通)総額が1000億円でもそれがA社の売上になるわけではない。ごく一部がA社の売上になる。この率がテイクレートで、eコマース・ビジネスはこのテイクレートを中心に回っている。たとえばeBayのテイクレートは9.2%、個人出品の手数料課金は10%なのでeBayの売上は取引手数料が主だろうと推定できる。

eコマースにはeBay、アリババ、楽天、Yahooなどの多くのプレイヤーが存在し、ビジネスモデルはそれぞれ異なる。一見すると比較は難しいように思えるが柴田氏によればそれぞれのテイクレートを計算することで横断的な考察が可能となるという。

ただし、Amazonだけはやや異色だ。「Amazonはほとんど利益を出していないのになぜ株価がここまで上がるのだろう?」と不思議に思っている読者も多いかと思うが、柴田氏は「競合他社の斜め上を行くAmazonという異端児」の章で具体的に分析している。

もうひとつ重要なのは次の式だ。

売上=ユーザー数×ユーザーあたりの売上(ARPU)

ARPUはAverage Revenue Per Userの頭文字だ。民放テレビは視聴者から料金を取らないのになぜ成立しているかといえばもちろんスポンサーから広告費を得ているからだ(広告モデル)。NHKは視聴者から料金を徴収している(サブスクリプションモデル)。新聞・雑誌は購読料と広告費の両方から収入を得ている(混合モデル)。こうしたビジネス・モデルはオンライン・メディアの場合でもまったく変わらない。本書ではARPUをカギとして民放テレビ、Facebook、ヤフーなどの広告を主たる収入源とするビジネスが解説されている。ここではMAU(月間アクティブ・ユーザー)、DAU(1日あたりアクティブ・ユーザー)も重要な指標として取り上げられている。

柴田氏はFacebookの「地域別DAU&ARPU」の経年変化をグラフ化して非常に興味深い結果を得ている(図4-7)。柴田氏はFacebookの売上は「アジア+その他地域」に関しては、まだまだDAUが伸びる余地がある」と結論している。数字だけを見ていたのでは気づかないが、グラフ化すると北米、ヨーロッパ、アジアではまったく異なった動きになっていることが一目瞭然だ。余談だが、TechCrunch Japanはオンラインメディアなのでスペースは比較的自由だ。そこで「1日あたりアクティブ・ユーザー」などと繰り返しても困らない。しかし紙媒体やオンラインでもスペースに制限がある媒体ではDAUという単語をどう処理するから頭が痛いだろうと思う。

この調子で重要なポイントを挙げていくとキリがない。ともあれ本書に目を通していただくのがよいと思う。ちなみに本書のフォーマットだが章立てやトビラの構成などは日経BP出版局の中川ヒロミ部長がいろいろとサゼスションを出し、柴田氏が対応して原稿を書き、担当編集者の後藤直義氏が具体的なページに落とし込んだものだそうだ。noteに連載された内容が優れていたのはもちろんだが編集段階でのブラッシュアップも大きな役割を果たしていると感じた。

ちなみに柴田氏は本書のニックネームとして「より決」を提案されている。たしかにニックネームが必要なほど反響は大きく、Amazonでは予約段階で総合2位となった。惜しくも予約総合1位を逃したのはローラのSpeak English With Meを抜けなかったからだそうだ。本書にはKindle版も用意されている。

Facebook、Messengerでディスプレイ広告を世界で実験中

今やモバイルの中心はメッセージ・サービスだ。そこでFacebookはメッセージでもできるだけ多くの広告を表示したい。Facebook Messengerにディスプレイ広告を表示する試みはオーストラリアとタイで「有望な結果をもたらした」という。

FacebookではMessgerにおけるディスプレイ広告のベータ・テスト世界に拡大する。広告主はMessengerにスペースを買うことができるようになる。今月末から、一部のユーザーはMessengerアプリのホーム画面に広告が表示されるのを見るだろう。

TechCrunchの取材に対し、FacebookはMessenger広告の表示は「ユーザーが用いるモバイルデバイスのディスプレイのサイズ、精細度、また開くスレッドの数などによって変化する」と述べた。

来月までかけてFacebookは徐々にMessenger広告を世界に拡張する計画だ。広告はAds ManagerまたはPower Editorから購入できる。これらのサービスでMessengerはFacebook本体、Instagram、Audience Network参加サイトと並んでモバイル広告を自動的に配信するメインの媒体の一つとなる。広告はユーザーが書いたメッセージ内容とは連動せず、通常のFacebook広告と同様のターゲティングを受ける。また視認性を確保するため広告はディスプレイのピクセルの50%以上を占める必要がある。

FacebookはMessengerでディスプレイ広告のテストを始めたのはこの1月からだが、表示デザインはその後変化している。当初は水平に移動させるカルーセル・デザインだったが、その後、単純な1枚のページに変わった。これは最近Messengerのデザインが改良され、ユーザーがスワイプできるようになったことに対応している。つまりうっかり広告もスワイプしてしまうことを防ごうしたもののようだ。【略】

昨年の4月、Facebookは企業によるスポンサード・メッセージの送信を可能にすべての企業がMessengerでの広告を利用できるようになった。 Facebook本体のニュースフィード広告をクリックしたユーザーがMessangerで企業と会話を続けることができる仕組みは2015年から導入されている。

Messengerのディスプレイ広告は通常のウェブページで、アプリの内部ブラウザでレンダリングされる。またクリックしてメッセージへという広告(Click To Message)と同様、ユーザーがディスプレイ広告をクリックすると企業はメッセージでユーザーと会話し、さらにプロモーションを続けることができる。こうしてユーザーが企業と会話することを選ぶと、企業は将来ユーザーにスポンサーード・メッセージを送信することが可能になる。

Facebook広告の専門家でBlitzMetricsのCTO、Dennis Yuによれば、「Facebookの場合はこうした新機能の導入を徐々に行うのが普通だが、購入と支払いを統合できるのがMessengerプラットフォームが特に優れた点だ。またMessengerにFacebookのAIアシスタント、Mが導入された。FacebookとAmazonはフリクションのないコマースを実現するという点で競争関係にある。FacebookはMsessengerの利点をできるだけ活かそうとするだろう」と述べた。

YuによればMessengerにはP2Pの送金に利用されているアプリ内支払機能があるため、FacebookではMessengerでユーザーが直接プロダクトを購入できるようにしていくだろうという。M AIアシスタントはユーザーのメッセージを分析して何かを購入しそうとだと判断するば関連するプロダクトを推薦できる。

一部のユーザーにとって、Messenger広告は私的に会話に割り込んできて狭いスペースを占領する邪魔者だ。Messenger広告を 完全にオフにする方法はない。しかし画面下部の下向矢印をタップすれば非表示やスパムを報告するなどのオプションが現れる。

いずれにせよディスプレイ広告は、スポンサード・メッセージのように広告であるにもかかわらず通常のメッセージと紛らわしいというようなことはない。ディスプレイ広告は、表示される頻度によるが、受信トレイに入り込む頻度があまり多くないのであれば、FacebookはMessengerのユーザー体験をあまり悪化させることなく収益化することが可能になるかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google、ポップアンダー、ポップオーバー広告を禁止

今日(米国時間7/11)、Googleは広告ポリシーの変更について解説を加えた。いかなるサイトに対してであれGoogle広告をポップアンダー広告として用いることは禁止だという。

閲覧中のウィンドウに隠れてそれと気づかれないよう広告ウィンドウが自動的に立ち上がるポップアンダー広告は無礼かつ不快であるだけでなく、内容も往々にしてスパム的だ。ユーザーが閲覧中のウィンドウを最小化するまでポップアンダーが表示されていることに気づかないことも多い。

またGoogle広告をポップオーバーに用いることも禁止された。新しい広告ポリシーについてGoogleは 「〔ポップオーバー、ポップアンダーのような〕広告は良いユーザー体験を与えるものではなく、これらにGoogle広告を用いることは適切でないと結論した」と述べている

Googleの発表によれば、Google広告をいかなるポップアンダーにも用いることができないだけでなく、ポップアンダー方式で広告を表示するサイトはGoogle広告そのものを利用することができない。

Googleはポップアップ広告に関して、サイトのナビゲーションに干渉するもの、ユーザー設定を勝手に書き換えるもの、ダウンロードを始めるもの、ウィルスを拡散するもの(これは当然!)など不適切な手法をすでに禁止していた。

この変更でウェブサイト運営者はユーザーフレンドリーでない広告を掲出することがいっそう困難になる。 Googleは「広告主にとってもサイト閲覧者にとっても利益となるようなエコシステムを維持する」ため広告におけるトレンドを分析しているという。

Googleが不適切な広告を締め出すためポリシーを変更するのはこれが初めてではない。この変更は往々にして大量のサイトが検索ランキングを下げられるという結果をもたらしてきた。AdSense広告を利用していないサイトにもこの変更は影響することがある。

たとえば、昨年、Googleはモバイルでポップアップ広告、インタースティシャル(ページ間)広告を表示するサイトのランクを下げると発表した。これは今年の1月から実施されている。今日の発表は広告ポリシーの変更にとどまったが、Googleはサイト運営者の悪事を正すためにこうしたさらに強力な手段を用いることがある。

〔日本版〕記事トップの画像はポップアンダーの説明。Googleは記事中のAdSensブログで「新ポリシーを簡単に要約すれば、ポップオーバーないしポップアンダーとしてロードされるページにGoogle広告を用いることは今後許されない。(To simplify our policies, we are no longer permitting the placement of Google ads on pages that are loaded as a pop-up or pop-under.)」と述べている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Web全域に拡散する製品や商品の画像を企業が追跡できマーケティング貢献度も分かるShareIQのサービス

製品や商品の画像がInstagramやPinterest、Tumblrなどなどの上で今やたくさん共有されている。そこでShareIQは、そんな状況を理解し利用しようと企業やお店に呼びかける。

ShareIQのファウンダーでCEOのBrian Killenは、マーケティング企業Acxiomの企画部長だったが、ある日、某小売企業のマーケティング担当役員にこう言われた: “Pinterestや世界中のWebサイトの至るところでうちの商品の写真を見るが、その商品や製品の情報はどこにもない。消費者はその品物を、どこでどうやって見つければいいんだ?”、彼のその質問に答えるべく、KillenはShareIQを立ち上げた。

マーケティングツールとしてのソーシャル・フォト・シェアリングはCuralateOlapicもやっているが、Killenの言うShareIQのユニークさは、商品/製品の画像のWeb上の拡散状況と、それらの画像の売上への貢献具合が分かることだ。

ShareIQ dashboard

ShareIQのアナリティクス機能により、そのブランドの人気コンテンツや、そのコンテンツが獲得したオーディエンス数などが分かる。また“シェアツリー”と呼ぶ視覚化により、コンテンツの拡散に貢献しているユーザーやパブリッシャーたちが分かる。そして、競合他社や競合ブランドとの比較もできる。

製品/商品の画像を見たりシェアした人を“カスタムオーディエンス”に仕立てると、その人が今後クールな製品の写真を見たとき、それをどこで買えるかという広告ないしリンクも表示される。

KillenによるとShareIQのキモは、それが、画像と関連データを保存する新しい方法であることだ。企業ユーザーは、大規模に、高い精度と速度で、そしてとても低い費用で、ShareIQのサーバーを利用できる。その結果、毎日Web上に登場する新しいコンテンツに企業が遅れないための、インフラストラクチャになる。

これまで同社が処理した画像は、約7500億点だ。

ShareIQが公式にローンチしたのは今週だが、顧客の中にはすでに、Tommy Hilfigerがいる。ベルリン発のShareIQは、ニューヨークに初めてのアメリカ事務所を開く。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

多様な広告キャンペーンとそのパフォーマンスを一元管理できるAdHawkがベータを脱して一般供用へ

1年あまりのベータテストを終えたAdHawkが、ついに一般公開され、すべてのアドバタイザーズが利用できるようになった。

同社のサービスを利用して企業は、FacebookやGoogle上の広告キャンペーンを管理できる。協同ファウンダーのTodd Saunders(AdHawkのCEO)とDan Pratt(同社のCOO)は、二人ともGoogleのAdWordsのチームにいたので、広告の世界をよく知っている。

AdHawkは、さまざまな広告キャンペーンのデータを一つのダッシュボード上に表示してくれる。Saundersによると、その際重要なのは、“高度なテクノロジー”を“分かりやすい分析ダッシュボード”から利用できることだ。AdHawkはデータを時系列で分析し、パフォーマンス改善のためのリコメンデーションをする。

AdHawkのわずか20名のチームが、どこまで‘高度なテクノロジー’なのか。Saundersによると同社は、小売業や製造業など、対象業種を絞っている。大手のコンペティターたちが“古い”とか、“退屈”と言って無視しがちな業種だ。

“とくに力を入れたのは、各業種固有のデータやキーワードを重視したことだ”、とSaundersは語る。そこでAdHawkの顧客は、ほとんどがeコマースをやっているが、しかしたとえば、“保険代理店の方がうちに来たら、残念ですがお役に立てません、と言うだろう”。

AdHawk dashboard

最近の経験では、AdHawkは集団訴訟でも役に立つそうだ。非常に多くの人たちに賠償金の支払いについて通知するとき、従来はメールや新聞広告に頼ってきたが、AdHawkの一部の顧客たちによると、正しくターゲティングされたオンライン広告が、いちばん効率的かつ効果的だそうだ。

今日(米国時間7/3)やっとベータを終えたAdHawkだが、Saundersによると、ユーザー登録待ちの企業がすでに7000社以上いるそうだ。

Techstars Boulderを卒業した同社は、ユーザーの月間の広告費支出の額に応じた会費が収益源だ。いちばん多いのは、月額の広告費が5000から75000ドル程度の企業、つまり広告のパフォーマンス分析を自力でやるのが難しい中小企業だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

中国のバイクシェアリングサービスOfo、自転車を広告化――北京でミニオン風の自転車を発見

週末にピッタリな話として、中国各地に広がるバイクシェアリングスタートアップ、そして彼らの自転車に関する話をお届けしたい。この度、業界の最前線にいる大手企業が、自転車を広告スペースとして使い始めたことがわかった。

2社あるユニコーン企業のひとつで、ドックレスのバイクシェアリングサービスを提供しているOfoが、ユニバーサル・ピクチャーズの『怪盗グルー』シリーズ第3弾(原題『Despicable Me 3』)の公開を控え、人気キャラクターミニオン風にカスタマイズされた自転車を配備しているのが見つかったのだ。

これは中国で現地のテック業界を追うEdmond Lococoが発見したもので、彼は本日(現地時間6月30日)北京の中心部にあるビジネス街で、たまたまミニオン自転車を見つけたと教えてくれた。下の写真からわかる通り、車輪の内側には映画の広告が貼られており、ハンドルの真ん中にはミニオンのゴーグルが取り付けられている。Ofoの自転車はもともと黄色なので、そこまで違和感もない。

同社によればサービスの利用回数は1日あたり1000万回にのぼるため、確かにOfoの自転車は広告主にとっては魅力的で新しい広告媒体として映るだろう。さらに、レンタル料は1回あたり1ドル以下に設定されているため、広告のような新しい収益源が彼らにとってどれだけ重要かというのも想像に難くない。

先週深センで行われたTechCrunchのイベントには、Ofoと彼らの最大のライバルMobikeの幹部が参加し、どちらも都市計画の手助けや渋滞の解消などのために自分たちのサービスがいかにユーザーデータをうまく利用しているかについて話していた。

レンタル料の安さもあり、これまでマネタイズはどちらの企業にとっても大きな問題だった。しかし、何億ドルという資金を調達し、何百万人というユーザーを獲得した両社の規模をもってすれば、自転車の貸出以外のビジネスにも参入していけるのは間違いない。

多い日には1日の利用回数が2500万回にのぼると言われているMobikeも、オンデマンド配達や小売店での割引サービス、データサービスといった将来的なマネタイズの手段を模索しているとCTOのJoe Xiaは先述のイベントで語っていた。しかし、その中に広告は含まれていなかった。

現在Ofoにミニオン自転車や今後の広告ビジネスに関するコメントを求めているので、新たな情報が入り次第この記事をアップデートしていきたい。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Google、VR広告プロジェクトのAdvrを発表――社内インキュベーターArea 120から誕生

Goolgは本日(現地時間6/28)、社内インキュベーターArea 120の専用サイトをローンチし、あまり公に語られることのなかった同プログラムの情報を正式に公開した。それと同時に、これまでのArea 120のプロジェクトとは一味違う、VR広告に関する試みが始まった。Advrと呼ばれるこのプロジェクトでは、3D(もしくはVR)空間で動画を再生する、キューブ型の広告の実験が行われている。

Area 120は、将来的にスタンドアローンのプロダクトや既存プロダクトの追加機能になり得る新しいアイディアを試す場をつくるため、そして起業家精神あふれる人材を社内に留めるために昨年の3月にローンチした。

ちなみに、インキュベーター自体の設立からあまり時間が経っていないこともあり、製品化されたプロジェクトは未だ誕生していない。

既にAres 120関してさまざま報道がなされており、その名前からは勤務時間の20%を自分の好きなプロジェクト使えるという、かの有名な20%ルールとの関連性がうかがえる(といっても、20%ルールは社内制度というより考え方に近いものだったが)。

しかし、Area 120は20%ルールのコンセプトを体系化した正式なプログラムだ。

社内インキュベーター制度のある大手テック企業はGoogleだけではない。MicrosoftはGarageと呼ばれる独自のプログラムを運営しており、Appleも2012年にBlue Skyで同じようなことをしようとしていた。

その中でもGoogleのArea 120はアクセラレーターのように運営されており、社員は決められた期間中に同プログラムに応募し、一部の選ばれたチームだけが参加権を獲得できる。各”クラス”は15のチームから構成され、彼らは6か月間かけて自分たちのプロジェクトに取り組むことになる。さらに、Area 120に参加している社員は日中の仕事から離れ、自分たちのプロジェクトにだけ集中できる。

もしもプロジェクトがうまくいけば、そのチームは期間終了後も引き続き自分たちのプロダクトに取り組むことができ、プロジェクトがうまくいかなかった社員は以前とは違うポジションでGoogleに戻ることになる。

Area 120のローンチから既に2クラスがこのプログラムに参加し、現在Googleは3期生の募集を行っている。

GoogleにとってもArea 120は新しい試みであるため、今後どうなるかや、そもそもArea 120にお金をかけるだけの価値があるのかというのはまだわかっていない。しかし、どこかのチームのアイディアが将来的にGoogleのプロダクトとしてローンチされたり、既存のプロダクトに吸収されたりする可能性は大いにある。その一方で、ほとんどのアイディアは十分なトラクションを集めることができずに終わるだろう。これは普通のスタートアップと同じだ。

Area 120のプロジェクトの内容は全てが公開されるわけではない。中には社内でだけ使われるものや、招待された人だけがテスターになれるものもあり、これまでメディアに取り上げられたプロジェクトの数はごくわずかだ。公開された中でいえば、Uptimeがもっとも期待されている。今月正式に一般配信がスタートしたこのアプリでは、友だちと一緒にYouTube動画を視聴することができる。

その他にもArea 120で生まれたプロダクトには、パーソナルスタイリストアプリのTailorやコーディング学習アプリのGrasshopper、絵文字メッセンジャーのSupersonic(こちらはサービス終了予定)などがある。また、特定のユーザーだけが利用できるサービスとして、バングラデシュのジョブマッチングサービスや、これからローンチ予定のAppointmentsとよばれる予約ツールなども存在するが、これまでGoogleがArea 120のプロジェクトを公に宣伝したことはなかった。

しかしAdvrは少し違うようで、本日Googleはディベロッパー向けのブログに同プロジェクトの記事を公開した。

Advr:VR環境における動画広告

Advrの主な目的は、VR環境内で動画広告が成立するか、そして成立するならばどのような形式になるのか、というのを解明することだ。

そこでAdvrのチームは、VR環境内で動画を再生できるUnityのプラグインを開発した。先述のブログポストによれば、ディベロッパーはVR用の全く新しい広告商品や実装が難しいものを開発するのに前向きではないため、Advrのチームはシンプルな立方体のフォーマットにたどり着いたという。

Advrの動画広告では、ユーザーが立方体をタップしたり、数秒間見つめたりすると、プレイヤーが表示されるようになっており、ユーザーはこの段階で広告を視聴するか、プレイヤーを閉じるかを選ぶことができる。

また、Advrのチームは、GoogleのDaydreamとCardboard、SamsungのGear VRを皮切りに、この新しい広告をさまざまなVRプラットフォームに導入しようとしている。

公に発表したからといって、GoogleがAdvrをVR広告のあるべき姿と考えているわけではなく、今の時点ではまだアイディアの域を出ない。その一方で、Google以外にもAdobeを含む数社(OutlyerImmersvOmniVirtなど)がVR広告を開発している。もしも成功すれば、AdvrはGoogleの収益に直接影響を与えるようなArea 120発のプロジェクトの先例になるだろう。

既に同プロジェクトでは、いくつかのVRゲームデベロッパーと協力してテストが行われているが、パートナーの詳細については明かされなかった。本日より、他のVRディベロッパーも招待ベースでAdvrのSDKを使えるようになったので、興味のある人はこちらを確認してみてほしい。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

“アフリカ版BuzzFeed”、OMG Digitalがシードラウンドで110万ドル調達

OMG Digitalの共同ファウンダー:Dominic Mensah、Prince Boakye Boampong、Jesse Arhin Ghnsah

ガーナ発のメディアスタートアップで「アフリカ版BuzzFeed」とも呼ばれているOMG Digitalが、シードラウンドで110万ドルを調達したと本日発表した。メインのサイトであるOMG Voiceは、既にガーナ以外にもナイジェリアとケニアに進出しており、今回調達した資金はさらなる市場拡大に使われる予定だ。

今回のラウンドには、Kima VenturesやSoma Capital、Comcast Ventures Catalyst Fund、Social Capital、M&Y Growth Partners、Macro Venturesのほか、Mino GamesのJosh BuckleyやWill Sternlicht、エンターテイメント分野で活躍する弁護士のKenneth Hertz、Off-Grid ElectricファウンダーのFrances Xavier Helgesenなど、エンジェル投資家も参加していた。ちなみにOMG Digitalについては、彼らが昨夏Y Combinatorのアクセラレータープログラムに参加した際にTechCrunchでも紹介していた

OMG Voiceは、Jesse Arhin Ghansah、Prince Boakye Boampong、Dominic Mensahの3人によって2016年2月にローンチされ、現在の月間ユニークユーザー数は450万人にのぼる。25人のチームに成長した彼らは、現在南アフリカ、ウガンダ、ザンビア、タンザニアへの進出を計画しおり、シード資金は市場拡大や動画コンテンツの制作、広告・マーケティング部門の増強に使われるという。

Ghansahとふたりの共同ファウンダーは、大学在学中の2012年にOMG Ghanaを立ち上げた。当時スマートフォンが一般に普及し始めていたものの、Ghansahはネット上に面白いコンテンツがあまりないと感じていた。

「インターネットをチェックしても、つまらないニュースや政治に関するコンテンツばかりだったので、かなりフラストレーションが溜まったのを覚えています。その経験から、リスティクル(まとめ記事)や軽めな内容の記事のように、私たちの世代に合った何かをつくりたいと思ったんです。その頃、スマートフォンが一般に広まり、Facebookがかなりの人気を呼んでいたこともあり、私たちはOMGを立ち上げることにしました」とGhansahは話す。

「その頃インターネットを利用していたのは、私たちのような若者ばかりでした。BuzzFeedやMashableはミレニアル世代に向けたコンテンツを発信していましたが、私たちは彼らのコンテンツにあまり共感できなかったので、自分たちで別のものを作ろうと考えたんです」

当初共同ファウンダーの3人は、OMG Ghanaをメインのプロジェクトとは考えておらず、マイクロレンディングプラットフォームを立ち上げようとしていた。しかし資金調達が上手くいかず、その一方でOMG Ghanaの読者は増え、収益も発生し始めていた。そこで彼らはメディア企業を設立することに決め、Y Combinatorのアクセラレータープログラムに参加したのだ。Ghansahは、昨年参加した同プログラムで「超大胆」になる方法を学んだと話す。

「まずはガーナから始めようと思っていたんですが、YCでは外国に進出しろと言われました。参加者は自分の限界を超えて大きなリスクをとるよう彼らに促されるんです」

さらにGhansahは、アフリカの人口の3分の1以上がミレニアル世代にあたるため、OMG Digitalの潜在的な読者はかなりいると付け加える。その一方で、BuzzFeedにはない問題として、彼らはアフリカ各国の文化や言語の違いという課題に取り組んでいかなければならない。

ほとんどのコンテンツは各国のサイトで共有できるような内容だが、それぞれのサイトオリジナルのコンテンツもたくさんある。例えば、ガーナのサイトでは「『Bye Felicia』というフレーズがピッタリな14場面」や「6人のかっこよすぎるガーナ戦士」といったオリジナル記事があり、ケニア版だと「ケニヤ人が『Game of Thrones』を好きな10個の理由」や「今後ケニアではプラスチック袋を持っているだけで刑務所送りに」といった見出しがサイトを飾っている。

「種々の文化的な違いやニュアンスが存在する一方で、中には共通点が見られる国もあります」とGhansahは言う。「例えばガーナとナイジェリアは文化的に近いため、この2国をターゲットにしたコンテンツをつくるのは比較的簡単です。ケニヤとタンザニアも似た文化を持っています。つまり、私たちは(市場拡大にあたって)既存の市場からできるだけ文化的に近い国へ進出しようとしているんです」

OMG Digitalは英語圏をカバーした後にフランス語や他の言語が公用語となっている国へと進出するつもりで、最終的にはアフリカ大陸の全ての国でメディアを運営したいと考えている。また、OMG Voiceの下には既にServePotと名付けられた料理関連のメディアブランドも存在し、今後はテクノロジーやライフスタイル関連のメディアも創刊される予定のようだ。彼らはほかにも、ミートアップイベントやスタートアップカンファレンスなどを開催するイベント業に取り組もうとしている。

BuzzFeedやその他のウェブメディアのように、OMG Digitalはデジタル広告から主な収益をあげている。現在は同社の売上の80%をバナー広告が占めているが、アフリカ以外の市場と同じように、広告主は投資に対する十分なリターンを得られていないと感じており、もっとモバイル端末に合った広告形態を求めているようだ(OMG Digitalのユーザーの90%がモバイル端末から同サイトにアクセスしており、特にAndroidユーザーの比率が高い)。

ユーザーの60%が18〜24歳の若者というOMG Digitalは、それぞれの市場でアフリカの若者にどうリーチすればよいか(国によってはFacebookよりもTwitterの方が人気のため、国ごとに戦略を考えなければならない)考えあぐねている海外企業にとっては魅力的な存在だ。既に同社は、Coca ColaやHuawei、KFC、Philips、Pringlesのほか、MTNを含むアフリカの大手通信会社数社とマーケティングキャンペーンやスポンサードコンテンツに関するパートナーシップを結んでいる。

「私たちは有名ブランドとタッグを組んで、アフリカのデジタル広告ビジネスのパイオニアになりたいと考えています。今のところいい感じにきています」とGhansahは話す。「ブランドも私たちの価値に気づき始めたようなので、これから2年間が大きな勝負になると思います」

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Googleは広告の個人化のためにGmailの受信トレイをスキャンすることをやめる

Googleからオドロキの発表だ。同社は今年後半に、Gmailの無料ユーザーの受信トレイを広告の個人化のためにスキャンすることをやめる。

G Suiteを有料会員として使っている企業ユーザーに対しては前からやっていないが、無料ユーザーの場合は、彼らに見せる広告のターゲティングのために、受信トレイを定常的にスキャンしていた。その情報と、ユーザーに関して知っているほかのことを組み合わせて、その人の‘広告プロフィール’を作っていた。

Google Cloud担当SVP Diane Greeneによると、この決定は広告の個人化をGoogleのほかのプロダクトと横並びにするため、言い換えるとGmailを特殊扱いしないために下(くだ)された。

Gmailに広告が出ることは止(や)まらないが、Googleはユーザーについてすでに多くのことを知っているから、Gmailからそれ以上の情報は要らない、とも言える。広告のパフォーマンスにとって役に立たない、有害である、という状況もあるのかもしれない。

Googleがあらゆることを善意でやっている、と信ずるならば、このような広告政策の変更の理由は、ユーザーに関する情報はもうこれ以上要らない、ということに尽きるだろう。受信トレイのスキャンがGmailの成長の足を引っ張っている、という兆候はない。今ではユーザー数が12億にも達しているのだ。

今日の声明でGreeneは、そんなことに言及していない。公式の説明としてはあくまでも、G SuiteのGmailと消費者向けGmailの規格を揃えるためだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebookグループに新機能――アナリティクスや予約投稿、加入申請者のフィルタリングなど

マーク・ザッカーバーグが6000ワード弱の人道主義宣言に記した通り、Facebookが「コミュニティを構築する」上でグループ機能は欠かせないものだ。そして、ザッカーバーグの約束通り、本日(現地時間6/22)シカゴで行われたCommunities Summitにて、Facebookはグループ管理人向けの新たな機能を発表した。なお、同イベントにはFacebookでトップを争うグループの管理人300人が集った。今回発表された機能の中には、アナリティックスツールや加入申請者のフィルタリングツール、強制退会済みユーザーに関連した情報を削除する機能、予約投稿機能、グループ間のリンク機能などが含まれている。

これらの新しい機能のおかげで、以前は管理人がグループの運営のために手動で行っていたような作業が、自動化もしくは簡素化されるようになる。さらに、社会活動から患者支援ネットワークや趣味の集まりまで含む、多種多様なグループの結束が強まるだけでなく、より多くの関連コンテンツがグループ内で共有されるようになるだろう。

「グループはFacebookの誕生直後からある機能です」とチーフ・プロダクト・オフィサーのChris Coxは話す。「もともとのFacebookは、友人同士の繋がりよりも自分が属するコミュニティを重視したサービスで、『自分と同じ寮には誰が住んでいたか?』『同級生にはどんな人がいたか?』『自分と同じクラブには誰がいたか?』といった問いがサービスの中心にありました。つまり、当初は友達と写真を共有し合うためのサービスではなく、それはFacebookが変化を遂げた後の姿なんです」

さらにCoxは、Facebookが現実世界の絆を深めるための場から、お互いの情報を覗き見るための場に変わってしまったような気さえすると、物憂げに語った。しかしFacebookは、もともとの存在意義を取り戻そうと、現在新しいミッションに取り組んでいる。

ちょうど本日、同社は新しいミッションステートメントを発表し、そこには「人々にコミュニティを構築する力を提供し、世界中の結束を強める」と記されている。ちなみに、以前のミッションステートメントは「世界をよりオープンにし、つながりを強める」だった。つまり、Facebookは単なるつながりだけでは不十分だと認め、今後は人同士や人と周囲の世界のつながりを強めるようなプラットフォームにならなければいけないと考えているのだ。そして、このミッションを達成するための目標として、Facebookは10億人のユーザーが有意義なコミュニティに属するための手助けをしていくとザッカーバーグは語った。

しかし、まずFacebookは有意義なグループをつくるために必要なツールを準備しなければならない。ザッカバーグはユーザー向けの文書の中で、Facebookは「管理人の望む形でグループを運営し、成長させていけるようなツールをもっとたくさん作らなければ」いけないと述べていた。そのツールが遂に発表されたのだ。

グループインサイト:アナリティクスはグループの管理人がもっとも欲しがっていたツールだ。そこでFacebookは、ウェブ版・モバイル版両方の管理ページに、ユーザー情報を配信するツールを追加した。表示される情報の中には、リアリタイムでの成長率やメンバー数、さらにはアップされた投稿の数や、どの時間帯に訪れる人が多いのかといったエンゲージメントに関する指標も含まれている。どのコンテンツがメンバーの共感を呼ぶかがわかれば、管理人はもっと似たようなコンテンツを共有できるようになる。

予約投稿:グループインサイトからは投稿に最適なタイミングを割り出すことができるが、この機能を使えば、管理人やモデレーターがそのタイミングに投稿を予約できるようになる。つまり、彼らは時間が空いたときに情報をまとめ、後からそれを投稿できるようになるのだ。平日時間がとれない人であれば、週末に1週間分のポストをまとめて書き、次の週に毎日新しいポストが投稿されるよう予約する、といったことも可能。グループの管理人は全員ボランティアで、日中は別の仕事をしていることを考えると、これは極めて重要な機能だ。

グループ間のリンク:グループの中には、大きな組織の分会として機能しているものや、他のグループと関連があり、メンバーも一部かぶっているようなものもある。そこで導入されたグループ間のリンク機能を使えば、管理人はメンバーが興味を持ちそうな関連グループや似たグループに関する情報を掲載できるようになる。さらにFacebookは、正式なサブグループ機能も近々公開予定とのこと。このふたつの機能があれば、ユーザーが自分の好みに合ったグループを見つけやすくなるだけでなく、大きなグループのメンバーであれば、住む地域や趣味といった共通点を持つ人と分会を作って密な会話をするといったことも簡単にできるようになる。

強制退会済みのユーザーに関連した情報の削除:荒らしや何かしらの迷惑行為をした人がグループから退会させられた場合、管理人はすぐにその人のポストやコメントを全て削除し、さらにはその人がグループ外のユーザーに送った招待状を無効化できるようになった。この機能のおかげで迷惑行為の記録を完全に抹消できるため、もしかしたらグループ内での荒らし行為も減るかもしれない。

加入申請者のフィルタリング:管理人がメンバー候補のひととなりを把握できるように、先日Facebookはスクリーニング用の質問機能を導入した。しかし、新たに加わったフィルタリング機能では、性別や居住地などの条件を設定するだけで、自動的に加入申請者をふるいにかけることができる。残念ながら細かな設定はできないため、特に問題があるわけではないのにグループへの加入を拒否される人が出てくる可能性もある。

例えば、生物学上は男性だが自分のことを女性と認識している人だと、女性オンリーのグループには入れないかもしれないのだ。また、サンフランシスコに住んでいるが、よくオークランドに病気の母の面倒を見に行っているという人も、オークランドの地域グループには加入できない可能性がある。時間がかかる面倒な作業とはいえ、手作業で加入申請をチェックしていく方がこういった問題は防ぎやすいのだ。

この点に関し、誤って加入拒否された人が自分の意見を伝える方法はあるのかとFacebookに尋ねたところ、現状は存在しないがフィルター関連の問題には注視していくという回答を得た。

Facebookは、毎月プラットフォームを利用する10億人超のユーザーが、全員納得できるようなプロダクトを開発するという難題に取り組んでいる。しかし、その分チャンスも大きい。友達と交流するためのソーシャルアプリや、世界の動向を追うためのニュースアプリは次々と誕生する一方で、グループというのはFacebook以外ではあまり見ない機能だ。グループ機能がさらに進化し、もっと多くのユーザーがグループに加入するようになれば、FacebookはNews Feed以外の場で、もっとニッチでユーザーの好みにあったコンテンツを配信できるようになるかもしれない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Instagram、スポンサード投稿を明示するフォーマットをテスト

Instagramではユーザーがスポンサード投稿を明確に識別できるようにする 標準的なフォーマットを作成してテスト中だ。

スポンサード投稿は、広告主が直接Instagramからスペースを買い取って表示する広告とは異なる。スポンサード投稿はいわゆるインフルエンサー・マーケティングの一つだ。スポンサード投稿では、企業はセレブその他オンラインで大きな影響力のある人物に料金を支払ってブランドやプロダクトをプロモートしてもらう。

テクノロジー系メディア系のビッグ・ビジネスはいずれもこうした手法に強い感心を抱いている。しかし同時に情報開示や透明性に関する疑問も引き起こす手法だ。

実際、FTC〔アメリカ通商委員会〕は最近、90人以上のインフルエンサーに対し、スポンサード投稿について「明確かつ目立つような方法で」そのことを表示すべきだと警告する書面を送った。つまり情報開示をmoreボタンの向こう側に隠したり、「ありがとう、[スポンサー名]!」というようなあいまいな語句を用いたりしてはならないということだ。

Instagramのクリエイティブ・プログラム・ディレクター、Charles Porchは私のインタビューに答えて、多くの広告主やインフルエンサーはわかりやすく、ストレートな情報開示の方法を望んでいると述べた。

「世界中でInstagramをベースにビジネスをしている人々が大勢いる。その規模は大小さまざまだ。こうしたユーザーはスポンサーと提携して投稿していることをはっきり示す透明性の高い情報開示の方法を求めている」とPorchは語った。

Aimee Song sponsored post

〔画像はインテリアデザイナーのAimee Songのスポンサード投稿例〕

このフォーマットを用いればインフルエンサーはスポンサー名を明記してスポンサード投稿であることを表示できる。これによって2つのことが可能となる。

まず、このフォーマットでは投稿のトップに“Paid partnership with”〔有料の提携〕の語句が表示される(この情報開示はInstagram Storiesの場合も同様)。広告であることを示す巨大なバナーほど目立つわけではないが、それでもこの投稿が広告の一種であることを理解させるためには十分だろう。語句は明確で紛れがない。トップの投稿者名の直下に表示されるので見落とされる可能性も少ない。同時に、スポンサード投稿を示すこのフォーマットを用いると、投稿したインフルエンサーと同様にスポンサーにも情報へのアクセスが可能となる。つまりリーチやエンゲージメントといった重要なデータをスポンサーも共有することができる。データは広告主のFacebook広告ダッシュボードに他の広告の分といっしょに表示される。

Instagramでは新しいタグをBuzzFeedAimee Songなど一部のユーザーでテスト中だ。そこでInstagramは近い将来すべてのスポンサード投稿にこのフォーマットの使用を義務づけるのかどうか尋ねてみた。

「現在はまだ第一段階だ。目的その1は人々を教育すること、2はフィードバックを得ること。 … 将来は義務付けもあり得るが、当面はフィードバックを得て新しいフォーマットに人々がどう反応するか研究したい」とPorchは述べた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Niantic、ポケモンGOの集客単価を発表――マクドナルドは最大1日300万ドル支払った計算

Nianticによれば、同社のゲーム、Pokémon GOは日本で延べ5億人の訪問者をマクドナルドなどの店舗に誘引したという。こうした提携スポットでは特別なデジタル・グッズが入手できる。ただしNianticはこれまで誘引した客1人当たりスポンサーがいくら支払っているかは明かしていなかった。

しかし昨日(米国時間5/30)、ブラジルの新聞、Globoに掲載されたインタビューでNianticの戦略的提携担当副社長、 Mathieu de Fayetは (翻訳によれば)「プレイヤーがある場所に行けばアイテムをゲットできるようにすることで、そういう場所の所有者であるパートナーから客単価で0.15ドルが支払われている。われわれは日本でこのシステムにより、すでに5億人を誘引している。[昨年夏のポケモンGOゲームのピーク時には]マクドナルドのは各店店舗1日あたり平均2000人を集客していた」と述べている。

しかしこの記事に対してNianticの広報担当者が訂正を加えた。それによると「0.15ドル」という数字は誤りだという。 おそらく翻訳の際に混乱があったのだろう。Nianticによれば同社の「集客1人あたりコスト(CPV)モデルでは、パートナーは提携スポットでは1日あたりユニーク客ごとの支払い額は0.50ドル以下としている」という。

0.15ドル/人で計算するとこうした提携によるNianticの売上は7500万ドルとなるが、0.5ドルという高い方の数字を採用すれば、2億5000万ドルだ。

日本のマクドナルドが3000店舗でポケモンGOと提携したとすると、ゲームの最盛期には客単価0.15ドルの場合90万ドル、客単価0.5ドルなら300万ドルが毎日Nianticに支払われた計算だ。

提携店舗を「ポケジム」にした場合、プレイヤーはバーチャル対戦ができる。「ポケストップ」の場合はタマゴやポケボールなどのモンスター捕獲アイテムを入手できる。

ポケモンGOはアメリカでSprintとStarbucksの7800店舗と提携している。両者ともこの拡張現実ゲームのマニアであるティーンエージャーや若い大人の歩行客を店舗に集める助けになると期待している。

ただし任天堂の取り分は売上のほんの一部だ。Nianticはライセンス料をPokémon Companyに支払うが、任天堂はこの会社の議決権の32%を所有している。

ポケモンGOがスポンサー企業にとって成功だったとしても、歩行客を現実店舗に呼び込むことを目的とするアプリは一つではない。ただYelpのようなサービスはレストランや店舗に客を送り込んだ成果を数量化するのに苦労している。客がYelpの情報によって行く店を発見したり、決めたりしたとしても、それを証明する方法がない。店舗にジオフェンスのような仕組みあってアプリに情報がフィードバックされるのでなければ客がどのような経緯で来店したか知ることはできない。

ポケモンGOの場合、プレイヤーはスポンサー企業の店舗に行くことで特定のバーチャル・グッズを手に入れるなどできる。ポケモンGO側では客が増えても追加コストはほとんどゼロだがス、ポンサーは集客1人ごとに最大0.5ドルを支払ってくれる。

位置情報ベースの各種の集客アプリも人気の高いバーチャルグッズや割引きクーポンなど追加コストがゼロに近いインセンティブを発見する必要があるだろう。こうすればスポンサーが拡大するにつれて利益率が急激に増加し、サービス開発の初期投資を回収できるようになるはずだ。しかしわざわざ特定の店舗に足を運び、手間をかけて獲得できる賞品がつまらないバッジやスタンプだけだったらYelpのユーザーは失望するだろう。アプリ側はもっとクリエーティブな才能を働かせる必要がある。

画像: Kentaro IEMOTO/Flickr UNDER A CC BY-SA 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

メアリー・ミーカー、『インターネット・トレンド2017』 を発表――ハイライトとスライドを掲載

インターネットで何が起きているのか、そのトレンドをつかむにはこれが一番スピーディーな方法だ。Kleiner Perkinsのパートナー、メアリー・ミーカー(Mary Meeker)が今年もInternet Trendsを発表した。テクノロジーの世界の「大統領一般教書」と思えばよい。待望のスライドには資金調達の状況、インターネットの普及、有力なインターフェイス、次の大きな波などあらゆる重要事項が簡潔にまとめられている。

われわれはこの記事に2017年版スライドをエンベッドした。こちらは2016版だ

ハイライトを選び、簡単な解説を加えたスライドショーはこちら。 “The best Meeker 2017 Internet Trends slides and what they mean”

2017年版の主要な項目をピックアップしてみた。

  • スマートフォンの売上、インターネットの普及速度は両方とも減速
  • 「モバイル化」は「モバイルへのシフト」ではなく「モバイルの追加」。アメリカではデスクトップの利用は目立って減少していないが、モバイルの利用は1日1人あたり3時間まで急上昇。
  • モバイル利用時間に比べてモバイル広告収入は追いついていない。今後モバイル広告プラットフォームには大きな成長が見込まれる。
  • オンライン広告の規模拡大の85%をGoogleとFacebookが占めた。
  • 向こう半年以内にインターネット広告額はテレビ広告額を追い越す
  • Spotify等が主導する音楽ストリーミングの売上は物理的メディアの売上を上回った。音楽ビジネスは16年ぶりに売上増
  • オンライン・スポーツは爆発的に成長中。対前年比で視聴者40%アップ。ミレニアル世代の半分は伝統的中継に対して強くオンライン・スポーツを選好
  • 悪意あるファイルを添付したメールスパムはクラウドの利用拡大と歩調をあわせて拡大。クリックするときは細心の注意が必要
  • テクノロジー企業が中国経済の成長の動力源。ライブストリーミングと自転車共有が急拡大中
  • インドではデータのコストが低下したためインターネットの普及が進んだ。スマートフォン価格は高止まり。
  • アメリカにおけるテクノロジー系時価総額トップ企業の60%は第一世代または第二世代の移民によって創立された。テクノロジー系非公開トップ企業の場合、第一世代の移民が50%を創立していた。

スライドは巨大で全部で355枚もある。われわれの作成したハイライトはこちら。

“The best Meeker 2017 Internet Trends slides and what they mean”

〔日本版〕過去のメアリー・ミーカーのレポートについてのTechCrunch記事はこちら

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ネット広告の効果としての物理店来店者数予測にGoogleはディープラーニングを利用

Googleは、今日行われたMarketing Nextカンファレンスで、来店計測ツールのアップデートを発表した。Googleは2014年以来、ユーザー名を取り去った位置データと状況的データを利用して、ネット広告に刺激されて物理店に来る人の数を推計してきた。今回同社は、そのツールを機械学習で強化して、考慮する要素を増やし、推計の精度を上げた。

オムニチャネルマーケティングは、今大流行のバズワードだ〔IBMにはOmni-channelという製品まである〕。これは、目立ちすぎて目ざわりな言葉であるだけでなく、マーケターにとっての重要な問題も示唆している。物理的な小売店という古い世界と、オンラインショッピングという新しい世界、この二つの世界のデータをうまく組み合わせて、今後の経営意思決定のために利用したいのだが、具体的にはどうやるのか? それがまさに、オムニチャネル(omnichannel, 全方向的な)マーケティングの課題なのだ。

Googleはこれまで、Wi-Fiの信号や位置データ、地図、計測データなどを利用して来店数を巧みに推計してきたが、でも過密都市や中高層のモールなどでは顧客の動きを掴みかねていた。そういうところのロングテールは、従来の推計テクニックになじまないのだ。

この不確実性を解決するために、Googleはディープラーニングに着目した。大量かつ多様な訓練データをディープラーニングに注ぎ込めば、もっと多様なユースケースを扱えるようになり、データの精度は上がるのではないか。

AdWrodsのプロマネVP Jerry Dsichlerはこう言う: “今は、コアの部分で機械学習を利用している。機械学習がなければ、来店数を計算できなかっただろう”。

Googleによると、わずか3年で、計算した来店者数は50億に達した。この数をもっと大きくしたい同社は、同様のキャンペーンにYouTubeやTrueViewを含めようとしている。今、ますますビデオ広告の効果が大きいから、その動きも当然だ。

YouTubeの利用を告知するにあたってGoogleはマーケターたちに、店舗売上の管理機能をデバイスとキャンペーンの両方に含める、と発表した。店頭データをAdWordsに統合すると、コンバージョンからの来客がさらに目立つようになるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

購入決定の要因(アトリビューション)を多様なキャンペーン構成要素から–機械学習で–分析するGoogle Attribution

GoogleのMarketing Nextカンファレンスで、同社はGoogle Attributionの新たなベータを発表した。これは、さまざまなマーケティング戦略の、顧客の購入決定成果(パフォーマンス)の違いと、その寄与要因(アトリビューション)を知るための無料のツールだ。

Googleは、デバイスやマーケティングチャネルの違いを超えて、Attributionがマーケティングキャンペーンを評価するためのホームになってほしい、と期待している。そのために、戦略と広告費とフィードバックという三つの要素を結ぶ緊密なループを作り、マーケターたちにより魅力的なツールを提供したい、と同社は考えている。最近のマーケターの多くが、ラストクリックモデル(last-click models, 買う直前==最後にどこを何をクリックしたか?)という単純な分析では満足しなくなっているのだ。

アトリビューションの特効薬は、マーケティングの世界では古くからある。Adobeのような大企業だけでなく、BrightFunnel、Bizibleなどのスタートアップもかなり前から、マーケターたちが古いラストクリック・パラダイムを打破できるためのツールを開発している。

最近までは、企業と顧客との最後の接点、ラストタッチポイントを、購入決定の要因とする説が、マーケターたちのあいだで有力だった。マーケターは、この欠陥のある説に基づいて、マーケティングキャンペーンを定量的に評価していたが、でもそれは、顧客の現場の実態というよりむしろ、ヒューリスティックな推論過程だ。

しかしマーケティングの分析に機械学習を利用するようになってからは、一見互いに関連性/共通性のなさそうなさまざまなマーケティング努力の、購入決定への相対的寄与貢献をモデル化できるようになった。それは、評価の方法として従来よりずっと、提供される情報量が多い。現場の実態というものは、ビデオ広告やバナー広告、メール、そのほかのいろいろな素材や情報が共鳴し合って、顧客をコンバージョン(購入決定)へ導くのだ。すべてをソーシャルメディア上の最後の広告のせいにするのは、おかど違いである。

Googleの分析測定担当シニアディレクターBabak Pahlavanはこう説明する: “クリックがあればクリックを数えるけど、どれだけの数のコンバージョンがそのソーシャルチャネルから来ているか〔==それがどれだけのアトリビューションか〕、そっちの方が重要だ。われわれはその測度を提供する”。

[Google Attributionの仕事: 各種データの総合化→パフォーマンスの分析(異なるアトリビューションモデルの比較)→アクション(分析結果による戦略最適化)]

Google Attributionはマーケターに、彼らの努力の明確な像を提供して、より正確な費用利益分析ができるようにする。ぼく自身はまだGoogle Attributionを使ったことがないので、パフォーマンスの向上を類似ツールと比較することはできないが、Googleの優位性はパフォーマンス云々よりもむしろ、多様なアトリビューションの相乗的な効果比較にあるようだ。

Googleが強調しているのは、このツールの使いやすさと、さまざまなアトリビューション要素の統合化、そして無料であることだ。大企業向けに有料バージョンを出す計画もあるが、Google製品のスケーラビリティはそこでも強いだろう。

Googleがアトリビューションの分析評価に本腰を入れ始めたのは2014年、同社が、マーケティングの効果を測定するAdometryを買収してからだ。AdometryはただちにAttribution 360に変身して、GoogleのAnalytics 360スイートの一部になった。それから2年、ツールの再構築と単純化に努力していた、とPahlavanは語る。

Google Attributionはまだベータだが、しかし同社によると、近い将来、さらに深い展開を行うから広告主たちはお楽しみに、ということだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Quoraが今日からセルフサービス型の広告プラットホームを開始、スタートアップ成熟の兆候

Quoraもうすぐ7歳になるが、これまで広告による収益化の歩みは遅かった。

このQ&Aサイトが最初に広告を導入したのは2016年の4月だが、これまでずっと、MulesoftやShopifyなど一部の広告パートナーだけによる非公開ベータにすぎなかった。

これからは、違う。

同社は今日(米国時間5/22)、セルフサービス型の広告プラットホームを一般に公開する、と発表した。同社は約18億ドルの評価額で8500万ドルを調達し、ユニコーンの仲間入りをしてから今日で1か月あまりになる。

広告主は、大でも小でも、テキストベースの広告やモバイルのアプリインストール広告を作れる。どちらもきわめてネイティブに見えて、目ざわりでない。

広告主は、QuoraのQ&Aの分類概念に基づくトピックによるターゲティングができる。たとえば、科学、政治、暗号通貨、などだ。地理別やプラットホーム別(デスクトップ、モバイル)のターゲティングもできる。

Facebookの無限に多いようなターゲティング・オプションに比べると実にささやかだが、ユーザー情報を大量に集めないサイトではトピックや位置、プラットホームぐらいが妥当なオプションだろう。

広告のターゲットを決めたら、広告主は予算を決め、CPC(cost per click)によるリアルタイムのオークションにかけられる。広告主が入札したCPCは、その後広告のパフォーマンスに応じて調節できる。今後Quoraは、コンバージョンピクセルを提供したり、モバイルのアトリビューションパートナーと共同して広告主たちにパフォーマンスとROIの証拠を見せる予定だ。

セルフサービス型の広告プラットホームを展開することは、収益を広告に依存するスタートアップにとって大きな節目だ。広告の営業やターゲティングを手作業でやることがなくなり、広告収入が自力で成長していけるからだ。小企業からの広告収入も、得やすくなる。小企業といえども、“塵も積もれば山となる”のである。

Snapchatも今月初めに、セルフサービス広告プラットホームをローンチしたが、それは創業から約5年半後のことだ。

Quoraのセルフサービス広告は今日ローンチし、それらはここでチェックできる

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google、300×250のモバイルページトップ広告を許可――ユーザーフレンドリーは後退?

昨日(米国時間5/2)、GoogleはAdSenseの約款をアップデートし、広告掲出に関する規制を一部緩めたことを発表した。これにより、従来は禁止されていた“above the fold”(スクロールせずに見える範囲)に広告を表示することが可能になった。今後は300×250の広告〔レクタングル(中)〕をモバイルでウェブページのトップに表示してもAdSenseの約款違反にならない。

なるほど。

300×250の長方形といえば、スマートフォンの小さな画面の相当部分を占めるサイズだ。しかしこれまではページをスクロールしなければこうした広告を目にしなくてすんだ。しかし今回の変更でモバイルウェブページを開いたとたんに大きな広告が目に飛び込んでくることになる。トップページの残りの部分にはコンテンツを表示する場所がろくに残らない。特にコンパクトサイズのスマートフォンの場合はそうだ。

この変更をもたらした原因の一つは、まさにその点だろう。多くの消費者がiPhone 7 Plus、Samsung Galaxy S8+、Google  Pixel XL、Huawei Mate 9 等々の大型スマートフォンを好むようになった。大型スマートフォンは当然画面のサイズも大きい。しかしGoogleは声明で「(above the fold広告は)消費者を苛立たせ、コンテンツを読むことを妨げるなどの副作用なしにユーザーフレンドリーな広告として掲出できることが判明した」からだと述べている。

本当だろうか?

そもそもこの位置の広告が禁止されていたのは「ユーザーフレンドリーではない」からだったはずだ。長方形の中型広告は、当然ながら、ページの本来の大半をコンテンツを次のページに追いやる。

このことはGoogle自身がAdSense文書で説明している(今のところまだこの部分はアップデートされていない)。

パブリッシャーは広告がページコンテンツを次のページに追い出すようなレイアウトを採用してはならなない。こうした理由からGoogleはモバイルウェブの場合、300×250またはそれ以上の広告ユニットをabove the foldの位置に表示することを許可していない。このようなレイアウトはユーザーがサイトのコンテンツを表示させるためにページを下にスクロールさせる必要が生じるからだ。【略】

なるほどGoogleは昨日のブログ記事でも、パブリッシャーはモバイルページで広告がコンテンツの消費を妨げることがないようレイアウトの十分に「気を配る必要がある」と述べている。

だが、今回のモバイル広告の規制の緩和はわかりやすいレイアウトを実現する努力に逆行していないだろうか?

Googleのモバイルウェブに関する改良の努力の中心はユーザーフレンドリーさだ。AMP広告(モバイル広告を高速にロードするテクノロジー)や Chromeブラウザに広告ブロック機能を導入したのも、苛立たしい待ち時間や広告表示をできるだけ減らそうとするのが目的のはずだ。

しかしGoogleの本質はやはり広告企業だ。GoogleのCPM(クリック単価)が低落傾向にある中、 同社はユーザーからより多くの収益を上げる必要に迫られている。Googleは株主を満足させておくために少しでも多くのインプレッションを必要としている。above the fold広告の許可はインプレッションを増やし、クリックも増やすことになるだろう。

画像: Marcio Jose Sanchez/AP

〔日本版〕日本のAdSense広告での取扱はまだ不明。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、Rewardsでオフライン購入を変革へ――個人別QRコードを提供

Facebookは現実店舗でのオフラインのショッピングにも役立つことを実証しようと新機能のテストを行っている。TechCrunchが得た情報によると、FacebookはユーザーにカスタマイズされたQRコードを提供し、特定の店舗で割引やボーナスを得られるようにするという実験を行っている。実験対象のユーザーの場合、モバイル・アプリのmoreタブにRewardsという新機能が表示される。

この件でFacebookに取材したところでは、テストは数ヶ月前から開始されたということだ。公式説明は以下のとおり。「各種のビジネスが消費者との結びつきを維持、拡大するのを助ける努力の一環として、われわれは小規模なテストを行っている。これはテスト・プログラムの参加店舗でFacebookのユーザーがショッピングをする際、アプリを通して割引やボーナスポイントなどを得られるようにするものだ」。

Facebook Rewards

このFacebook Rewards機能は消費者、店舗、Facebook自身の利益の拡大を目指している。消費者はFacebookのメンバーになっていることで割引やボーナスポイントを得られる。マーチャントはSNSと口コミの力によりコストパフォーマンスの高い方法で集客ができる。リピート客を作り、店舗に繰り返し足を運ばせることができればRewardsプログラムにかかる費用よりはるかに大きな利益を上げることができるわけだ。

ショッピングの際に新たなインセンティブを提供されればユーザーにとってFacebookの魅力が増す。またビジネスからはRewardsプログラムをプロモーションする広告の掲載を見込むことができる。さらにFacebookは「誰がいつどの店でどんなプロダクトを購入するのか?」という重要な情報を得ることができる。これはニュースフィードへの記事の選択と広告のターゲティングにおいて非常jに貴重な情報となる。

Snap Inc. もブリック・アンド・モーターと呼ばれる現実店舗でのショッピングを促進し購入履歴を得る独自の機能をプロモーションしている。店舗やブランドはこれはSponsored
Geofilters広告と呼ばれ、参加店舗の付近にいるSnapchatのユーザーには店舗に関連ある写真やビデオが配信される。Snapは同時に “Snap to Store”プログラムにより、ユーザーが付近に来ていることを店舗側に知らせる。

2012年にOffersをスタートさせたときから店舗におけるディスカウント・セールに役割を果たすことにFacebookは関心を抱いていた。Offersは昨年機能を強化された。Offersはオンライン、オフラインの双方で利用できる。具体的には特別のプロモーションに関連づけられたバーコードで、オフラインのショッピングならレジでスキャンされる。オンライン通販であればチェックアウト過程の一部として送信できる。FacebookはOffersは口コミで大きな成功を収めたと述べている。

Facebook Offers

この間Facebookはオンライン広告をオフラインの購入に結びつけるなど「消費行動のループを完結させる」方法を各種実行してきた。FacebookはDatalogix、Epsilon、Acxiom、BlueKaiなどのデータプロバイダーと提携して消費者のオフライン・ショッピングの情報をインデックスしている。またPOSシステムの有力企業、SquareやMarketoの協力を得て購入に直接結びつく広告を表示し、 GPS、Wi-Fi、携帯無線の中継塔その他から得られる情報を動員し、付近の店舗にユーザーを誘導しようと試みている。

Rewardsはその名のとおりいわゆるロイアルティー・プログラムに属するが、単に店舗側でスキャンできるのコードを提供するだけでなく、ユーザーごとに個別のQRコードを配信する。
消費者は来店ごとにレジでこのコードをスキャンさせていれば自動的にロイアルティーカードにポイントが加算されていく。

店舗別の顧客カードは失くしやすいしいちいち取り出すのも面倒だ。ストアアプリの場合は新しくダウンロードしてインストールする必要がある。 しかしRewardsはFacebookのモバイルアプリの一部をなすのでユーザーは常に持ち歩いているし、すぐに提示することができる。今後FacebookがRewardsのテストで好結果を得るようなら、全面的に展開されることが予想される。一方で、ロイアルティーカードをビジネスの柱とするスターアップはある朝突如、巨大なブルーのロードローラーがマーケットを踏み潰していく可能性に直面するかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

GoogleがChromeブラウザーに広告ブロック機能を実装中とか

今朝のWall Street Journal紙の記事によると、GoogleはChromeブラウザーにアドブロッカー(ad blocker, 広告ブロック機能)を、デフォルトでは全ユーザーの標準機能として搭載するらしい。Googleは収益の大半が広告収入だから、ちょっと首を傾(かし)げたくなる決定だが、むしろこれは、そのほかのアドブロッカーをブロックするための手段かもしれない。

Chromeに最初からアドブロッカーがあって、ポップオーバー(pop-over, 閲覧中のコンテンツをいきなり隠すやつ)とかオーディオやビデオの自動再生などをブロックしてくれるなら、ユーザーはサードパーティ製のアドブロッカーを探さなくてもよい…というGoogleの魂胆だ。WSJの記事によると、GoogleはAdblock Plusなどのサードパーティ製ブロッカーと交わす契約が、本当は嫌である。なぜなら、ブロックされた良質な広告にはGoogle自身が金を払ってブロッカーのフィルタを迂回しなければならないからだ。

今のChromeはWebブラウザーの半分近いマーケットシェアを握っているから、そこにアドブロッカーが標準であることになれば、サードパーティ製の命は絶たれる。ユーザーとしては、自分でわざわざアドブロッカーを探す必要がなくなるからだ。

それはまるで、Amazonがeコマースの覇者になった過程に似ている。長年の薄利多売…この場合は薄利どころか、アドブロッカーの無料提供による、市場支配だ。Googleは広告の全面排除を狙ってはいないが、消費者はユーザーフレンドリーで、受け入れてもよい広告だけを見られる、という利益を得る。アドブロッカーを1秒間offにしただけで、今の状況のひどさを実感できるからね。

ただしこの計画には、落とし穴がたくさんある。Google自身もアドバタイザーだから、広告を強力にコントロールすれば業界の批判を招き、公取などのお役所も介入してくるかもしれない。WSJの記事は、計画はまだ未確定と言っているが、数週間以内で、たとえば5月のI/Oカンファレンスあたりで発表されるかもしれない。そうなれば、これがインターネット上の広告産業全体に与える影響を、われわれはすぐに、目にすることができる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google Homeは迷惑なバーガーキングのコマーシャルに対する反応を停止

Googleが素早く行動したために、インターネットユーザーたちがバーガーキングの新しい15秒広告でイライラさせられる時間はほどんどなかった。ファストフード大手が、全国のスマートアシスタントを起動するためにデザインしたこのTVスポットは、公開されてわずか2時間ほどで効果が無くなった。

私たちはGoogleに対して、特定の音声をブロックするようにしたと思われる、今回のサーバー側の素早い修正に関する確認を行った。その間、私たちはオフィスのHomeユニットに対して実験を行い、コマーシャルが最早意図した動作を行わないことを確認することができた。

興味深いことに、それは特別の機能ではなくて、単に広告の声が使われたものだった。Homeに対して「ワッパーとは何?」と尋ね、その結果Wikipediaのエントリーが読み上げられるというのが当初の意図だった。Googleにとってこの修正は、セキュリティ上の欠陥にパッチを当てることに似ている(とはいえ今回のケースはセキュリティ上の脅威というよりは、迷惑という性格のものだが)。

既に確認済だがGoogleはこの広告には何の役割も果たしていない。このデバイスを使って新しい「美女と野獣」映画宣伝を行う決定下したことを巡る、最近のドタバタの後では、この騒ぎからできるだけ離れていたいと考えていることだろう。

Wikipediaのワッパーのページが編集ロックされる10秒前

その一方、アクセス対象のWikipediaのワッパーのページは、いまだにロックされてはいないが、その編集ページをみると編集合戦の様子をみることが可能で、そこにはバーガーがネズミや足の爪、果ては人肉を含んでいるといった誹謗中傷が書かれていたりする。

インターネットは永遠に自分自身の尻尾を食べる蛇(或いは足の爪を食うネズミかもしれないが)なので、このページでは既に、今回の騒動そのものと、Wikipediaの編集騒ぎについても触れられている。本当のことを知ることは難しい。バーガーキングは自社が巻き込まれていることを知っていただろう、同社は伝えられるところによれば、この華やかな広告騒動以前の今日(米国時間12日)の早い段階で、Wikipediaのエントリーを編集したと言われている。

少しマシな点もある。同社は過去にはもっとひどい経験をしているのだ 。そして、これはこれまでのところ今週の最低広告第17位であって、しかもまだ水曜日(米国時間)だ。ファストフード広告でピザは靴で注文するものだと知った、古き良き3月の日々が懐かしい。次は単純に30秒の広告枠を買って、説明時間をちゃんと取って、私たちのHomeの手を煩わせないようにして欲しい。

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(翻訳:Sako)