Facebookグループに新機能――アナリティクスや予約投稿、加入申請者のフィルタリングなど

マーク・ザッカーバーグが6000ワード弱の人道主義宣言に記した通り、Facebookが「コミュニティを構築する」上でグループ機能は欠かせないものだ。そして、ザッカーバーグの約束通り、本日(現地時間6/22)シカゴで行われたCommunities Summitにて、Facebookはグループ管理人向けの新たな機能を発表した。なお、同イベントにはFacebookでトップを争うグループの管理人300人が集った。今回発表された機能の中には、アナリティックスツールや加入申請者のフィルタリングツール、強制退会済みユーザーに関連した情報を削除する機能、予約投稿機能、グループ間のリンク機能などが含まれている。

これらの新しい機能のおかげで、以前は管理人がグループの運営のために手動で行っていたような作業が、自動化もしくは簡素化されるようになる。さらに、社会活動から患者支援ネットワークや趣味の集まりまで含む、多種多様なグループの結束が強まるだけでなく、より多くの関連コンテンツがグループ内で共有されるようになるだろう。

「グループはFacebookの誕生直後からある機能です」とチーフ・プロダクト・オフィサーのChris Coxは話す。「もともとのFacebookは、友人同士の繋がりよりも自分が属するコミュニティを重視したサービスで、『自分と同じ寮には誰が住んでいたか?』『同級生にはどんな人がいたか?』『自分と同じクラブには誰がいたか?』といった問いがサービスの中心にありました。つまり、当初は友達と写真を共有し合うためのサービスではなく、それはFacebookが変化を遂げた後の姿なんです」

さらにCoxは、Facebookが現実世界の絆を深めるための場から、お互いの情報を覗き見るための場に変わってしまったような気さえすると、物憂げに語った。しかしFacebookは、もともとの存在意義を取り戻そうと、現在新しいミッションに取り組んでいる。

ちょうど本日、同社は新しいミッションステートメントを発表し、そこには「人々にコミュニティを構築する力を提供し、世界中の結束を強める」と記されている。ちなみに、以前のミッションステートメントは「世界をよりオープンにし、つながりを強める」だった。つまり、Facebookは単なるつながりだけでは不十分だと認め、今後は人同士や人と周囲の世界のつながりを強めるようなプラットフォームにならなければいけないと考えているのだ。そして、このミッションを達成するための目標として、Facebookは10億人のユーザーが有意義なコミュニティに属するための手助けをしていくとザッカーバーグは語った。

しかし、まずFacebookは有意義なグループをつくるために必要なツールを準備しなければならない。ザッカバーグはユーザー向けの文書の中で、Facebookは「管理人の望む形でグループを運営し、成長させていけるようなツールをもっとたくさん作らなければ」いけないと述べていた。そのツールが遂に発表されたのだ。

グループインサイト:アナリティクスはグループの管理人がもっとも欲しがっていたツールだ。そこでFacebookは、ウェブ版・モバイル版両方の管理ページに、ユーザー情報を配信するツールを追加した。表示される情報の中には、リアリタイムでの成長率やメンバー数、さらにはアップされた投稿の数や、どの時間帯に訪れる人が多いのかといったエンゲージメントに関する指標も含まれている。どのコンテンツがメンバーの共感を呼ぶかがわかれば、管理人はもっと似たようなコンテンツを共有できるようになる。

予約投稿:グループインサイトからは投稿に最適なタイミングを割り出すことができるが、この機能を使えば、管理人やモデレーターがそのタイミングに投稿を予約できるようになる。つまり、彼らは時間が空いたときに情報をまとめ、後からそれを投稿できるようになるのだ。平日時間がとれない人であれば、週末に1週間分のポストをまとめて書き、次の週に毎日新しいポストが投稿されるよう予約する、といったことも可能。グループの管理人は全員ボランティアで、日中は別の仕事をしていることを考えると、これは極めて重要な機能だ。

グループ間のリンク:グループの中には、大きな組織の分会として機能しているものや、他のグループと関連があり、メンバーも一部かぶっているようなものもある。そこで導入されたグループ間のリンク機能を使えば、管理人はメンバーが興味を持ちそうな関連グループや似たグループに関する情報を掲載できるようになる。さらにFacebookは、正式なサブグループ機能も近々公開予定とのこと。このふたつの機能があれば、ユーザーが自分の好みに合ったグループを見つけやすくなるだけでなく、大きなグループのメンバーであれば、住む地域や趣味といった共通点を持つ人と分会を作って密な会話をするといったことも簡単にできるようになる。

強制退会済みのユーザーに関連した情報の削除:荒らしや何かしらの迷惑行為をした人がグループから退会させられた場合、管理人はすぐにその人のポストやコメントを全て削除し、さらにはその人がグループ外のユーザーに送った招待状を無効化できるようになった。この機能のおかげで迷惑行為の記録を完全に抹消できるため、もしかしたらグループ内での荒らし行為も減るかもしれない。

加入申請者のフィルタリング:管理人がメンバー候補のひととなりを把握できるように、先日Facebookはスクリーニング用の質問機能を導入した。しかし、新たに加わったフィルタリング機能では、性別や居住地などの条件を設定するだけで、自動的に加入申請者をふるいにかけることができる。残念ながら細かな設定はできないため、特に問題があるわけではないのにグループへの加入を拒否される人が出てくる可能性もある。

例えば、生物学上は男性だが自分のことを女性と認識している人だと、女性オンリーのグループには入れないかもしれないのだ。また、サンフランシスコに住んでいるが、よくオークランドに病気の母の面倒を見に行っているという人も、オークランドの地域グループには加入できない可能性がある。時間がかかる面倒な作業とはいえ、手作業で加入申請をチェックしていく方がこういった問題は防ぎやすいのだ。

この点に関し、誤って加入拒否された人が自分の意見を伝える方法はあるのかとFacebookに尋ねたところ、現状は存在しないがフィルター関連の問題には注視していくという回答を得た。

Facebookは、毎月プラットフォームを利用する10億人超のユーザーが、全員納得できるようなプロダクトを開発するという難題に取り組んでいる。しかし、その分チャンスも大きい。友達と交流するためのソーシャルアプリや、世界の動向を追うためのニュースアプリは次々と誕生する一方で、グループというのはFacebook以外ではあまり見ない機能だ。グループ機能がさらに進化し、もっと多くのユーザーがグループに加入するようになれば、FacebookはNews Feed以外の場で、もっとニッチでユーザーの好みにあったコンテンツを配信できるようになるかもしれない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

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TechCrunch Japan

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