Spotifyが数カ国で2人用プランを試験導入

The Vergeが指摘したように、Spotifyはアイルランドで「Premium Duo」という新たなサブスクリプションを導入した。その後の調べで、チリ、コロンビア、デンマーク、ポーランドでもPremium Duoの試験導入が始まっていることがわかった。「Duo」と付いていることから想像できる通り、同居している2人用のサブスクリプションだ。Premiumアカウントよりは少し高く、ファミリープランよりは少し安い。

3人か4人の家族ならファミリープランが順当だ。1カ月14.99ドル(日本では1,480円)で、最大6アカウントまでPremiumとして利用できる。

では2人だったら? 多くの人が1つのアカウントを共用しているだろう。1アカウントなら1カ月9.99ドル(日本では980円)で済む。

1つのアカウントを共用するのは使いづらいし、サービスの利用規約にも抵触する。たとえば通常のPremiumアカウントを1つ利用している場合、一度に1台のデバイスのみで音楽を再生できるので、あなたが音楽を聴き始めたら友だちのデバイスでは音楽が止まることになる。Duoはこの問題を解決する。

Spotify Duoで新しい価格設定が提供されたことになる。1カ月12.49ユーロ(約1,500円)だ。米国ではおそらく12.49ドル、英国では12.49ポンドになるだろうが、現在は提供されている国が限られている。このアカウントを利用できる条件はただ1つ、2人が同じ住所に住んでいるということだけだ。

SpotifyのWebサイトによれば、動作はファミリープランと同様だという。ユーザーは1人ずつアカウントを作成する。支払いをする人が招待のリンクを送信すると、受け取った人がグループに入れる。アカウントのリンクはいつでも解除できる。

Spotify Duoが1つのアカウントを共用している人々をターゲットにしていることは明らかだ。SpotifyはWebサイトに「これで別々のアカウントを利用できるので、一人ひとりに合った音楽をおすすめします」と記載している。

これに関連して同社は「Duo Mix」という新機能も導入した。これはPremium Duoを利用している2人の共有プレイリストだ。Duo Mixには2人とも気に入った曲がフィーチャーされる。チルミックスかアップビートミックスのどちらかを選ぶことができ、露骨なコンテンツを除外することもできる。

Duo Mixに加え、プレイリストのライブラリすべてをワンクリックでDuoアカウントの相手に共有することもできる。住所の変更や設定の確認をするための「Duo Hub」と呼ばれるアカウント管理機能もある。

Spotifyはこの新しいオプションでサブスクリプションを増やすことができるのだろうか。最新の決算発表の中で同社は、Premiumユーザー1人あたりの平均収益は4.89ユーロ(約600円)であると述べている。ファミリープランはすでに大人気のようだ。

Image Credits: Mohammed Elshamy/Anadolu Agency / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

米住宅省が住宅広告におけるFacebookの広告ターゲティングを差別として告訴

米国の住宅都市開発省は米国時間3月28日、Facebookを住宅に関する差別で告訴した。訴状によると、Facebookは同社の広告ターゲティングツールで公正住宅法(Fair Housing Act)に違反した。そのツールは、売り手が掲載物件を人種や性、出身国などによって制限することを許しているという。

この告発は、昨年8月に行われた調査の結果に基づいている。調査は公式の苦情に対応して行われ、その苦情は住宅販売者や家主が人間のさまざまなカテゴリーで広告をターゲティングできる(従って差別もできる)と非難している。

Ben Carson住宅都市開発省長官は声明で次のように述べている。「Facebookは人間の特性や住所に基づいて人びとを差別している。コンピューターを用いて個人の住宅の選択を制限することは、人に門前払いを食らわすような差別でありうる」。

一方Facebookは、本誌に宛てた声明で「その決定は意外だ」と言っている。続けてFacebookのスポークスパーソンは「住宅都市開発省の訴状に詳説されている差別に対応するための『有意義な措置』を講じた」と言っている。

その説明はこうだ。「昨年弊社は、誤用されるおそれのある何千ものターゲティングオプションを排除し、そして先週は、全米公正住宅連盟やACLUなどの団体との歴史に残るような協定により、住宅やクレジットや求人などの広告をFacebookに掲載するやり方を変えることになった。弊社は真剣に解決方法を見つけようとしているが、住宅都市開発省は、ユーザーデータのような機密情報への、安全対策を欠いたアクセスに固執している。弊社は今日の展開(告訴されたこと)に幻滅しているが、今後もこれらの問題に関して人権問題の専門家たちとの協働を続けていきたい」。

先週、FacebookはACLU, Outten & Golden LLP、および全米通信労働者組合との合意により、法的問題を回避した。その交渉は、1964年の人権法第8条の遵守に関わるもので、Facebookは住宅と求人の広告から性と年齢と人種に基づくターゲティングを取り去り、(住宅と求人の)案件リストのためのワンストップポータルを新たに作ることになった。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

動物病院と飼い主を結ぶ「ペット手帳」の運営会社をWiLと博報堂DYMPが共同出資で設立

米国カリフォルニア州拠点のベンチャーキャピタルであるWiLが立ち上げた「World Innovation Lab Fund II, L.P」(WiL Fund II)と博報堂DYメディアパートナーズは3月29日、動物病院と飼い主を結ぶプラットフォーム「ペット手帳」事業の運営会社としてstepdays(ステップデイズ)を共同出資により設立したことを発表した。営業開始は4月1日からとなる。

ペット手帳は、動物病院の業務効率化と飼い主の利便性向上を目的としたプラットフォーム。2018年4月よりLINEをインフラとしてトライアルを実施。飼い主向けには、獣医師や専門家が監修した信頼できる情報やアドバイス、飼育に便利なグッズの紹介、無料モニターキャンペーンなどの記事が読めるほか、ペット手帳と提携している最寄りの動物病院を登録することで事前問診や診療後の相談などが可能になる。

農林水産省の発表では、2018年の小動物診療施設数は1万1981施設とペット数に比べて数が少ない。WiLによると、動物病院では獣医師やスタッフの負担が増加しているという課題があるそうだ。同社ではペット市場における成⻑性と本事業の可能性に期待しており、業界が抱えるこれらの課題を解決してペット市場のさらなる成⻑を目指す狙いだ。また、博報堂DYメディアパートナーとのシナジーを生かし、新たな事業のかたちを示していきたいとのこと。一方の博報堂DYメディアパートナーズは、大手企業とのインキュベーション実績を持つWiLの知見やネットワークを活用し、自社開発の「ペット手帳」事業を持続的に成⻑させたいとしている。

ペット手帳では今後、商品・サービスのオンライン販売、順番待ち・予約システムなどのサービスをローンチ予定。動物病院の診察以外のサービス課題をデジタルで解決していくという。

ビックカメラが1日百数十円のオンデマンド型保険を提供開始、米スタートアップとの協業で実現

ビックカメラは3月29日、米国シリコンバレーのスタートアップ企業であるTrov(トロブ)と損害保険ジャパン日本興亜の3社共同で、スマートフォンなどのデジタル家電を補償対象とするオンデマンド型保険「ビック1日から保険」の提供を2019年4月1日から開始することを発表した。

Trovは2012年に設立のオンデマンド保険サービスを提供するスタートアップ。損害保険ジャパン日本興亜は2017年に同社に出資しており、国内向けの保険商品の開発を進めていた。

ビック1日から保険は、「スマートフォンで手軽に保険加入したい」「必要な時に必要な物にだけ保険加入したい」というニーズの高まりを受けて開発した保険商品。対象品目は、ビックカメラグループ各社(ビックカメラ、コジマ、ソフマップ)のECサイト「ビックカメラ・ドットコム」「コジマネット」「ソフマップ・ドットコム」で、スマートフォンやタブレット、パソコン、カメラ、ヘッドフォン、ゲーム機の6ジャンルのデジタル家電。

外出時や国内旅行時に、そのときに所有しているデジタル家電に対して、必要な日数だけ保険に加入できるのが特徴。加入手続きはスマホ上で完結する。1日当たりの保険料は、対象品目と保険金額によって異なるが、数十円~百数十円程度となる。

具体例としては、保険金額12万9000円の12インチMacBookは1日あたりの保険料が154円で、国内での使用に限り破損・水濡れによる事故を補償してくれる。保険による補償は、原則として修理または代品交換となる。トロブの事故受付窓口へ連絡後、ビックカメラグループ各店舗の修理カウンター(サービスサポートカウンター)に対象品目を持ち込めばいい。

DoorDashが移民・難民によるレストランを支援する新プログラム開始

DoorDashは米国時間3月28日、Kitchens Without Borders(国境なきキッチン)という新たなプログラムを開始した。このプログラムは移民や難民である事業主を支援するためのものだ。

まずはサンフランシスコのベイエリアのレストラン10店でのスタートとなる。その10店は、Besharam、Z Zoul Cafe、Onigilly、Los Cilantros、Sabores Del Sur、West Park Farm & Sea、Little Green Cyclo、Afghan Village、D’Maize、そしてSweet Lime Thai Cuisineだ。

これらのレストランを展開する事業主たちはKitchens Without Bordersサイトで紹介されている。またレストランはDoorDashアプリ内でも宣伝され、そして6週間にわたって配達コストが無料になる。

DoorDashの広報は、プログラム開始時の10店は応募のあった60店から選ばれ、プログラムの対象は今後、全米のレストランに広げる、と語った。

今回の新プログラム発表の1カ月前には、DoorDashは新たに4億ドルを調達したと明らかにしていた。DoorDashはまた、ドライバーへの報酬をめぐり今年初めに批判を浴びていた。

ブログへの投稿でCEOのTony Xuは、彼自身このプログラムに個人的な思い入れがある、と言っている。

一つには、私が移民だからだ。私は5才のときに中国からこの国にやって来た。そして私の母は、良い生活を築こうと、そして医者になるという夢を叶えるために中華料理店を営んだ。私は母の横で皿洗い係として働き、この国で成功するというのがどんなものか目の当たりにした。12年以上かけて母は希望していた医者になるためのお金をなんとか貯め、20年来経営しているクリニックを開いた。

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(翻訳:Mizoguchi)

Twitterがバッテリー消耗を抑制する「本当のダークモード」を導入

Twitter(ツイッター)のCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が1月に約束したように、同社は今日、これまでのダークモードよりもさらに暗いバージョンの提供を開始した。これまでは、Twitterのダークモードは真の黒ではなく青みがかっていて、これはユーザーみなに必ずしも好まれるものではなかった。そして今回、ダークモードをこれまでより真っ黒にできるオプショナルのセッティングが加わった。

この新機能を使うには、最初にTwitterアプリの「セッティングとプライバシー」のセクションにいき、「ディスプレイとサウンド」をクリックする。そこで、青みがかった黒のダークモードのトグルをオンにできる。

2つめのオプションとして「ライトアウト」も提供される。これを選ぶと、ダークモードは青みがなくなり黒になる。

今まで提供されていたダークモードを単に暗くするだけでない選択肢は面白い。ダークモードを提供しているほとんどのアプリでもそのオプションはなく、単に明るく白っぽいものか、黒かだけだ。控えめに言って、型にはまったことをいつもするわけではないTwitterだが、今回も独自路線をとった。

ダークモードへのひねりはマイナーチェンジに見えるかもしれないが、大きなスクリーンを搭載する端末が一般的になるにつれダークモードは人気を増している。これは特に、ハイエンドなOLEDデバイスのバッテリーを節約するのに役立つからだ(そしてTwitterのような定期的にチェックするアプリでは特にそうだ)。

また、一部の人はアプリを長時間使うとき、ダークモードだと目の負担が和らぐと感じている。

ダークモードに関する話題はThe Wall Street Journalでも取り上げられ、そこではバッテリーの持ちのためだけでなく、デバイス中毒を和らげたり睡眠を改善したりするのに役立つとして暗い画面が標準になりつつある、としている。

今ではYouTube、Google、Medium、Reddit、Instapaper、Pocket、iBooks、Kindle、Google Maps、Wazeなどを含む多くのアプリがダークモードをサポートしている。また、最近報道によると、WhatsAppもダークモード導入に取り組んでいる。

Dorseyは、Twitterのダークモードは「変な青色」だとするユーザーの不満への対応として、数カ月前に新しいダークモード導入の計画を発表していた。

「新しい『ライトアウト』モードは今日から利用できる」とTwitterは案内している。また、iOSデバイスではタイムゾーンに合わせた「自動」ダークモードも追加されている。

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(翻訳:Mizoguchi)

ML/AIプラットホームのVizion.aiがマネージドElasticsearchサービスを立ち上げ

オープンソースの分散検索エンジンのElasticsearchは、今や大小さまざまな多くの企業が自社の分散検索とアナリティクスを実装するために利用している。そのセットアップはそれほど困難ではないが、難しいのはリソースの最適プロビジョニングだ。特にユーザーの要求にスパイクがあるアプリケーションでは無駄のないリソース確保が難しい。そこで、Elasticsearchを管理を伴うクラウドサービスElasticsearch Serviceとして提供するVizion.aiは、その心配を解消し、ユーザーが実際に使ったインフラストラクチャにのみ課金する。

Vizion.aiのサービスは、必要に応じて自動的にスケールアップ・ダウンする。そのマネージドサービスとして提供されるSaaSプラットホームはプライベートとパブリック両様のクラウドデプロイをサポートし、Elasticの標準的スタックとの完全なAPI互換性がある。また標準のツールとして、データ視覚化のKibanaや、データをサービスに送るBeats、入力データを変換してデータパイプラインをセットアップするLogstashなど、Elasticsearchの標準のツールも含まれている。例えばーザーは、テスト用や開発用に複数のスタックを容易に作ることができる。

Vizion.aiのGeoff Tudor氏

Vision.aiのバイスプレジデントでゼネラルマネージャーのGeoff Tudor氏は、次のように語る。「AWSのElacticsearchサービスを使おうとすると、選択肢の数が多すぎて途方に暮れてしまう。インスタンスのサイズはどれにするか?、インスタンスはいくつ必要か?、地理的冗長性は必要か?、どんなネットワーキングを使うのか?、セキュリティはどうか?、などなど。選択を間違えると全体的なパフォーマンスに影響が及ぶ。弊社では、インフラストラクチャのレイヤの背後でリソースの均衡化を動的に行う」。

そのためにこのサービスはユーザーの利用パターンを見て、そのユースケースに合った最適なリソース割り当てを行う。実はVizion.aiの親会社Panzuraはエンタープライズ向けのマルチクラウドストレージサービスで、データのキャッシングに関する多くのパテントを持っている。今度の新しいElasticsearchサービスは、それらの技術を利用してリソースの最適割り当てを行う。

Tudor氏も認めるように、Elasticsearchの商用サービスはほかにもある。それらと、Vizion.aiの新しいサービスとの差別化要因は、事前にメタデータ用のストレージのサイズを決めなくてもよいこと、そして高価なSSDを大量に使わないことだ。PanzuraのIPを利用できるVision.aiは、最近のデータだけをSSDにキャッシュし、そのほかは安価なオブジェクトストレージのプールに収める。

さらに彼によると、Vizion.aiはAIやMLのワークロードを動かす総合的なサービスであり、Elasticsearchサービスはその構成成分のひとつだ。TensorFlowやPredictionIOのサポートも、目下準備中だ。とくにPredictionIOは、Elasticsearchと併用しやすい。「今後これを、マルチクラウドによる使いやすいサーバーレスのML/AIサービスにしていきたい。しかもうちでは、提供するのはコンピュート(計算処理)だけではなく、レコードのストレージも非常に高いコスパで利用できる」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

音声フィットネスアプリ「BeatFit」が総額2億円を資金調達

写真:BeatFit CEO 本田雄一氏(右から3人目)、COO 宮崎学氏(右から2人目)、CPO 永田昌一氏(左から3人目)

フィットネストレーナーによる音声ガイドでトレーニングをサポートするアプリ「BeatFit」。プロのトレーナーが音声でコーチするこのアプリでは、筋トレやランニング、ウォーキング、ランニングマシンやインドアバイクなどのマシントレーニングにヨガ・瞑想、ストレッチなど、多様なジャンルのクラスを提供し、ジムやアウトドア、自宅など、独りで運動する際の力強い味方となっている。

このアプリを開発・運営するBeatFitは3月29日、シリーズAラウンドとして総額約2億円の資金調達実施を発表した。2019年1月末に行われた第三者割当増資の引受先は、既存株主のSGI Japanと新たにラウンドに参加した大和企業投資。今回は2018年9月のシードラウンドに続く調達で、2018年1月の創業からの累計調達額は約3億円となる。

音声コーチでトレーニングが継続できるアプリ

BeatFitの特徴は「音声」ガイドのみでトレーニングが進められること。詳しい内容については以前の記事でも紹介しているので、ぜひご覧いただきたいが、動画メインのコンテンツでは画面を確かめながら運動することになりがちなところを、トレーナーが横について励ましながらトレーニングしているのに近い感覚になり、運動に集中できる。

さらに最近のバージョンでは、トレーニング前に運動の内容を短い動画で「チラ見」できるようにソフトウェアがアップデートされ、動きをチェックすることも可能になっている。

アプリを運営するBeatFit代表取締役CEOの本田雄一氏は「創業以来、音声でフィットネスのコンテンツを提供することに集中してきたが、市場もよい反応だ。2019年はさらにこれを推し進め、数万人から数十万人規模のユーザーを狙っていく」と話している。

代表取締役COOの宮崎学氏によれば、リリース当初は運動好き、トレーニング好きで激しいトレーニングを求めるユーザーの利用が多いのではないかと予想していたそうだが、実際には「女性ユーザーの割合が約7割と多く、運動強度も低めのクラスが人気だった」とのこと。ボディメイクだけでなく、運動不足解消やストレス軽減など、幅広い目的で利用されており、ダイエットや質の良い睡眠につながるメニューは特に人気が高いという。

本田氏も「日本ではゼロから運動習慣をつけたい人が『音声コーチがあるから続けられる』と利用してくれている。より多くの層へユーザーを広げたい」という。

2018年4月にベータ版、9月に正式版アプリをリリースしたBeatFitは、リリース以来、トレーナー14人を採用し、掲載クラス数は300を超えた。各クラスは定額制でいつでも、いくらでも利用可能。月額980円と有料ではあるが、順調に有料会員数を増やしているという。

パーソナライズ機能追加と提携で利用者拡大目指す

宮崎氏は、今回の調達の目的をアプリの機能強化とコンテンツ強化に充てるため、と話している。機能面では、AIを活用してアプリにパーソナライズ機能を追加し、レコメンドコンテンツの表示ができるようにしたい、とのことだ。

「アプリをしばらく使ってみて、『もう少し運動強度の強いトレーニングにトライしたい』『次にどんなトレーニングを取り入れればいいだろう』となったときに、現状のジャンルから探すメニューだと面倒なので、オススメのトレーニングを表示できるようにしたい」(宮崎氏)

代表取締役CPO(Chief Product Officer)の永田昌一氏も、米国と日本とのフィットネス環境の違いを引き合いに「自分にフィットしたトレーニング探しが日本では難しい」と説明。その人に合ったトレーニングクラスを、クラスの再生履歴(途中でやめてしまったか、最後までやれたか、といった行動履歴)やクラスの属性(ジャンル、強度などプロパティ)をもとにオススメを出す機能を開発する、と話している。初めて利用する人にも、初回に利用目的や普段の運動状況などをアンケートして、クラスを提案していく。

コンテンツについては著名人を採用したトレーニングを取り入れるなどの施策で、競争力強化を図るとしている。

またBeatFitでは、資金調達発表と同時にフィットネスクラブなどを運営するルネサンスとの事業提携開始も発表している。提携により、ルネサンスの運営するジム内でのプロモーションにも取り組んでいく。

「ルネサンスは入館システムやユーザー個々の接客の好みに合わせたパーソナライズなどでは、デジタル化やテクノロジーへの理解が進んだ企業。一方で、スタッフ不足に悩みがあり、セルフトレーニングを補える当社のメニューには期待されている。短時間でもしっかりトレーニングする層、若年層を取り込み、長期継続を促したい思惑もある」(宮崎氏)

本田氏も「ハウツーコンテンツや動画は多いが、分からなければ続かない。BeatFitなら『寄り添って一緒にトレーニングしてくれる』と評価されている」と

宮崎氏は「トレーニングをする場があることでアプリの解約防止に、トレーナーコンテンツがあることでジムの解約防止につながる」と提携で期待される効果を説明する。また法人営業に力を入れるルネサンスの営業力にも注目しているという。

将来的にはルネサンスの会員のデモグラフィック属性と、アプリ利用状況を踏まえた行動データとの掛け合わせにより、さらに開発を進めることも検討している、ということだった。

提携によるアプリの販売促進は、まずルネサンスの運営する関東20店舗でスタート。全国展開も予定しているという。

また、生命保険会社やほかのジムなど、提携企業はさらに加えていきたいと宮崎氏は述べている。

近年は「健康経営」に取り組む企業も増え、各社からもこれを支援するサービスが出ているが、本田氏は「健康診断結果から情報管理・コメントまでのサービスはあるが、続けて支援するサービスを組み込むところまでBeatFitでは考えている」と話す。

宮崎氏も「年に一度の診断や単発の取り組みではなく、本当に効果を上げるには日常化がカギ」と話す。BeatFitについては「ユーザーの声を聞いていると、ダイエットや睡眠の質を上げるなどで効果を現しており、カスタマーサクセスを実現してきている」といい、これまでの展開に自信を見せる。

「我々のサービスの価値は『やる気になっている人がトレーニングを継続できること』に加えて、『やる気がなかった人の行動を変えること』。これまでのアプリ提供でデータが増えてきたので、これを実証してビジネスへ取り入れたい」(宮崎氏)

さらに同社では、大学などの学術機関や医療機関からアドバイザーを招いて、共同研究の推進も予定している。

「独りで」から「みんなで」トレーニングできるアプリへ

独りでトレーニングができるアプリとして開発されたBeatFitは、今後どのようなアプリに進化していくのだろうか。宮崎氏は「現在はパーソナライズへの開発が始まっているところ。2019年後半にはさらにモチベーションを維持する機能、コミュニティ機能などを追加したい」と話している。

永田氏も「開発から1年、個人がトレーニングやケアを楽しめるように作ってきた。これからは『誰かと/みんなで』楽しんだり、がんばったりできるような機能を強化して、オープンなアプリにしていく」と述べる。

具体的には、目標をコミュニティで共有して励まし合う機能や、心拍計測などを同時に行うライブ機能による同時体験、ゲーミフィケーションの取り入れなどが検討されているそうだ。

宮崎氏は「僕たちが目指しているのは、運動をさせよう、ということではなく、『世界から不健康をなくす』ということ。世の中のすべての人が肉体的にも、精神的にも健康に暮らせるようにしたい。また、単に運動、健康、ケアを手がけるのではなく、テクノロジーを使ってそれを実現するのがミッションだ。創業から1年経ち、アプリを提供してきてそれがよりクリアになった」という。

世界的にもヘルスケア関連のアプリ市場は、ゲーム以外にもアプリ販売が伸びている中でひときわ大きく成長している分野だ。

米国ではフィットネスバイクの販売とバイク向け中心のクラス配信を行うユニコーン企業・Pelotonが2018年、8億ドルを売り上げたとみられている。またメディテーション・睡眠コンテンツ配信アプリのCalmも2017年時点で1億ドルを売り上げている。

同じく米国のAaptivはBeatFitと同じくオーディオ特化型アプリでフィットネスクラスを配信するスタートアップ。20万人以上の有料会員を抱え、ディズニー、ワーナー、BOSEなどと提携しており、2018年6月にはAmazonやディズニーから2200万ドルを調達した。時価総額は2億ドル以上と推定される。

本田氏は、BeatFitの海外展開についても視野に入れている、として「(ローカライズなどの)ハードルはそれほど高くない。アジアを皮切りに海外へも打って出たい」と語っていた。

価値の高いビジネスデータを共有、MSとアドビ、SAPがOpen Data Initiativeを拡大

昨年のMicrosoft Igniteカンファレンスでは、Microsoft、Adobe、SAPのCEOが一緒にステージに上り、Open Data Initiativeの立ち上げを発表した。この取り組みが目指すのは、それぞれの顧客が、お互いのサービス間でデータをやり取りしやすくすること。そのために、共通のデータフォーマットを標準化し、データをそれぞれのサイロから取り出して、顧客が選択した単一のデータレイクに移動できるようにする。今週開かれているAdobe Summitで米国時間の3月27日、3社はこのプログラムを拡大する計画を発表した。さらにパートナーを追加することも視野に入れている。

「私たちが力を合わせて取り組むのは、それぞれの顧客に共通の問題を解決するためです。その問題は、ずっと以前から言われ続けているもので、価値の高いビジネスデータほど、さまざまなアプリケーションの内側にサイロ化されているというものです」と、Microsoftのビジネスアプリケーションおよびグローバルインダストリ担当副社長のAlysa Taylor氏は語った。「データを取り出して、そのフォーマットを類推し、データに秘された情報を収集することは、非常にコストがかかり、手動の作業も必要で時間がかかるものなのです」。

このアライアンスの基本理念は、データは顧客のものであって、顧客はそこから可能な限り最大限の価値を引き出すことができなければならない、というもの。理想的には、共通のデータスキーマを持つことには大きな意味がある。つまり、顧客はベンダーから得たデータを変換する方法を考え出す必要もなく、そのすべてを簡単に1つのデータレイクに流し込むことができるようになる。それにより、そのデータを、さまざまな分析サービス、機械学習システム、さらに他の会社が提供するツールによって活用できる。

今回のAdobe Summitで、この3社連合は最初の顧客のユースケースを示した。それは、Unileverが、この共通のデータ標準をどのように利用しているかを明らかにするものだ。彼らが強調したかったさらに重要なポイントは、Open Data Initiativeは、当然ながら他の会社に対してもオープンになっているということ。その最初のステップとして同連合は、パートナー諮問委員会を設立することも米国時間3月27日に発表した。

「これが基本的に意味しているのは、このエコシステムを担っている主要な会社にも、ODIの取り組みに参加してもらえるように拡張した、ということです」と、Adobeのエコシステム開発担当副社長、Amit Ahuja氏は述べた。「私たちが始めようとしているのは、2つあるパートナーの大きなグループに焦点を合わせることです。そのうちの1つめは、この種のコアデータを多く持っている、本当に興味深いISVです。私たちは、そうした会社を、1つに統一された視野の中に確実に取り込みたいと考えています。そして2つめのグループは、自分たちのエンタープライズ向けアーキテクチャの中で、顧客を手助けしようとしている大手の事業者です」。

この新しい委員会に加わった最初の12のパートナーは、Accenture、Amadeus、Capgemini、Change Healthcare、Cognizant、EY、Finastra、Genesys、Hootsuite、Inmobi、Sprinklr、そしてWPPの各社だ。しかし、これはまだ最初のステップに過ぎない。やがて、このグループは、これら最初のパートナーをはるかに超えて拡大し、さらに多くの関係各社を巻き込んでいくはずだ。

「私たちは、本当にこれを広めたいと強く望んでいます。それにより、すばやく進歩し、私たちが話していることを実際にデモで示したいのです。コンセプトの段階でも、間違いなく顧客の利益になるものであることが分かってもらえるはずです」と、SAPのグローバルビジネス開発&エコシステム担当副社長、Abhay Kumar氏は述べた。このアライアンスが把握しているユースケースは、市場情報、販売情報、そしてサービス情報に重点を置いたものとなっていると、彼は付け加えた。

今日、企業は何十もの異なるシステムからデータを取り込む機会も多く、それらの情報をすべて理解するのはかなり困難となっている。そして、その段階に到達するだけでも、まずデータを変換して、利用可能な状態にする必要がある。そうするためには、データを解きほぐす、別のアプリケーションをいくつも動員しなければならない。「私も、そのために15から20ものアプリケーションを購入したくはありません」とAhuja氏は言う。「投資を身のあるものにして、すでに購入したアプリケーションへの投資を回収したいのです」。

この取り組みは、エンジニアリング、セールス、製品マーケティングの各グループにまたがるものであり、協力関係が非常に重要であると、3社は口を揃えて強調している。

(関連記事:Microsoft, SAP and Adobe take on Salesforce with their new Open Data Initiative for customer data

画像クレジット:Microsoft

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Instacartが配達人のための賃金即座支払い機能を追加

Instacartは米国時間3月27日から、食品を配達する個人ショッパーが配達で稼いだ金を早く使えるようになる新機能を提供する、と発表した。この新機能Instant Cashoutは支払いプラットフォームStripeとの提携のもとに構築され、ショッパーがアプリで賃金をデビットカードに送れる。

これまでショッパーは賃金支払いを受けるまでに1週間ほど待たなければならなかった。その代わりInstant Cashoutでは、ショッパーはすぐさま支払いをデビットカードに送ることを選択できる。

Instacartによると、Instant Cashoutのセットアップには5分もかからない。セットアップすれば、ショッパーは毎日24時間いつでも好きな時にこの機能を使えるようになる。

この機能は今日からマサチューセッツ州ボストンやオレゴン州ベンドなどを含むいくつかの選ばれた都市でスタートする。今年6月までには全Instacartショッパーが使えるようになる見込みだ。

ショッパーは、自分が住むエリアでこの機能が利用可能になれば電子メールで通知を受ける、とInstacartは話している。

この機能は、過去数年のInstacartとショッパーとの不安定な関係をリセットしようとしている最中に導入される。

先月、Instacartは議論を巻き起こしたチップポリシーへの変更を破棄した。その変更では、ショッパーへの賃金を相殺するのに顧客のチップを使っていた。いくつかのケースでは、利用客がチップは賃金とは別にボーナスとしてショッパーに払われると信じてチップを支払いに上乗せしていたが、実際にはショッパーは本来よりも少ない額しか受け取っていなかった。というのも、かなりのチップがInstacartがショッパーに保証した最低支払いに使われていたからだ。

ショッパーからの反発を受け(そして集団訴訟の脅威から)、InstacartのCEOであるApoorva Mehta氏はチップポリシーがミスガイドであることを認めて謝罪し、今後はショッパーへのチップを会社が取るのはやめると話した。Instacartはまた、会社がとったチップをさかのぼって補償した。そして最低支払額を上げた。

ショッパーへの支払いをめぐる問題にInstacartが直面したのは、これが初めてではなかった。

Instacartはショッパーを独立契約者と過って分類して業務にかかる費用を支払わなかったとして集団訴訟を起こされ、2017年に460万ドルを支払うことで決着した。その結果、Instacartは多くの顧客がチップのことだと考えていたアプリ内のサービス料を説明する部分を変更しなければならなかった。

その前には、ショッパーからの苦情を受け、Instacartはコミッションにチップがすべて行くというオプションを削除した。

支払いに素早くアクセスできるようになるこの方法をほとんどのショッパーが歓迎するだろうが、これは本当に画期的な機能というわけではない。事実、Instacartは他のギグエコノミー事業者に追いついただけにすぎない。例えば、UberLyftPostmatesDoorDashはすでに即座の支払いを提供している。

この機能が開発中であることは数カ月前から噂になっていたので、今日の発表は一部の人にとっては大きなサプライズではないだろう。しかし、支払いをめぐる問題が続くようであればInstacartを見切ろうと考えていたショッパーを引き止めるのには役立つかもしれない。

訂正:この記事はInstacartがこのニュースを発表しようと計画していた3月28日に掲載されるところを、エラーのために今日3月27日に掲載された。Instacartの許可を得て記事はそのまま掲載された。

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(翻訳:Mizoguchi)

“知り合い紹介”で組織と人とのつながりを提供するSpreadyがベータ版公開

人と組織の新しいつながりをつくるサービス「Spready」を提供するSpreadyは3月28日、同サービスのベータ版を提供開始すると発表した。

Spreadyは、組織がもつ「人を探したい」というニーズを解決するサービスで、そのニーズに合った人物を同サービスに登録する「Spreader(スプレッダー)」という人々が紹介するサービスだ。例えば、「新規事業を立ち上げるので、当該領域に詳しい人にヒアリングしたい」などのニーズが考えられる。

個人のつながりを利用して、企業に人を紹介するという点では、TechCrunch Tokyoスタートアップバトル卒業生のSCOUTERなどにも似ている。ただ、それらのサービスと違う点は、Spreadyでは就職の斡旋はしないことだという。「転職市場の流動性が低い日本のカルチャーを変えるために本当に必要なのは、人のスキルを流動的にしていくことだと思う」とSpready代表取締役の佐古雅亮氏は話す。そのため、直接企業に就職を斡旋するのではなく、企業が必要なスキルを持つ人材と組織とのつながりを作ることで、その目標を達成したいという。

現在、同サービスに登録するSpreaderは200人を超す。ベータ版の段階では知人を紹介したSpreaderにはレベニューシェアとして金銭報酬が与えられる仕組みだが、今年5月に予定されている正式ローンチでは、金銭報酬ではなく、例えば「新しいサービスを優先的に使用できる」や「依頼した企業の社長とランチできる」などの体験型の報酬を受け取るサービスに変えていく予定だとしている。

LGBT就職支援のJobRainbowが1000人規模の無料就活イベントを渋谷ヒカリエで開催

JobRainbowは3月30日13時に、東京・渋谷ヒカリエ9階ヒカリエホールにて、LGBT学生ら約1000名とLGBTフレンドリー企業20社以上が参加する無料の企業合同採用イベント「Real JobRainbow」を開催する。LGBT向け就職情報プラットフォーム運営や企業や行政機関向けのLGBT研修・コンサルティング事業などを展開してきたJobRainbowが手がける、初の大規模就活イベントだ。

同社は、昨年11月にTechCrunch Japanが同じ場所で開催したTechCrunch Tokyo 2018の「スタートアップバトル」で、100社超の応募の中からファイナリスト20社に選出された企業。最終選考のファイナルステージに進んだ6社のうちの1社でもある。

参加するフレンドリー企業は、ソフトバンク、富士通、モルガン・スタンレー、丸井グループ、アバナード、セールスフォース・ドットコム、日の丸交通、賢者屋、物語コーポレーション、Meltwater Japan、ベルシステム24、グローヴエンターテイメント、CEN DIVERSITY HOTEL&CAFE、横引シャッター、御茶の水美術専門学校、じょぶれい、SKIYAKI、Kafuu Resort Fuchaku CONDO・HOTEL、アルファ ロメオ、KIMPTON HOTELS & RESTAURANTS、THE STRINGS BY INTERCONTINENTAL TOKYOなど。IT・テクノロジー、証券・投資銀行、コンサルタント、飲食、運輸、ブライダル、教育などの業界への就職を希望する学生に向けたイベントとなる。

同社は渋谷ヒカリエで開催する理由として、日本初の同性パートナーシップが条例で認めらた都市であることを挙げている。そして、LGBTだけでなくさまざまなダイバーシティに力を入れる街であることから渋谷での開催を決めたとのこと。

イベントでは、人事顧問による「自分らしさの伝え方講座」、セクシュアリティをオープンにして活躍するLGBT社員やインフルエンサーによるトークショー、就活生のためのメイクアップブースなどのプログラムが用意されている。

そのほか。トランスジェンダーのラジオパーソナリティ「瞬」がMCを務め、TikTokで10万人フォロワーを持つLGBTインフルエンサーカップル「まさたい」やボディビルダーでゲイをカミングアウトして話題になった「芳賀セブン」をゲストに迎えたアフタートークセッションも開催される。

イベント概要は以下のとおり。参加には事前申し込みが必須で、イベント当日は参加者のプライバシー保護のため、報道関係者以外は撮影・録音は禁止となる。

【イベント概要】
日時:3月30日(13:00~18:00)※開場は13:00、企業ブース開場は13:30
場所:渋谷ヒカリエ9F(ヒカリエホールホールB)
対象者:「自分らしくはたらく」を実現したい社会人・学生・求職者(全年齢対象、セクシュアリティ不問、履歴書不要、服装自由)
参加費:無料

鎌倉市が行政手続きを効率化する「Graffer窓口印刷」の実証実験を開始

グラファーは3月28日、鎌倉市と共同で住民が市役所へ書類を提出する際の「手書き作業」を減らす実証実験を開始した。

グラファーと鎌倉市はこれまでにも共同で、「鎌倉市くらしの手続きガイド」の試験運用版を提供。このガイドでは、設問に答えていくだけで転入や転出などで必要な手続きと該当する市役所の窓口のリストを作成してくれる。月間で1000を超えるアクセスが記録されているとのこと。

今回の実証実験では、同ガイドでリストアップされた提出書類をPCやスマートフォンで事前に作成できる、「Graffer窓口印刷」サービスを導入する。

同サービスでフォームに必要項目を入力するとQRコードが作成されるので、このコードを鎌倉市役所の本庁舎1階受付に置かれた専用端末へかざせば、住民が提出書類を手書きすることなくまとめて印刷できる。

書類の印刷は無料で住民の費用負担もない。なお今回の実験では、書類作成時に繰り返し記入が求められる、氏名・住所・生年月日・電話番号の4項目が事前入力の対象とするが、今後は活用状況に応じて項目を増やす予定とのこと。

面倒な手書き作業をQRコードで一部軽減できるうえ、設問に答えるだけで提出が必要な書類がそろうため、PCやスマホの操作が苦にならない住民にとっては非常に重宝しそうな機能だ。市役所側も氏名・住所・生年月日・電話番号といった重要な情報の抜け漏れを防げ、読みやすい印刷文字で確認できるので窓口業務の効率化を図れるだろう。

なおグラファーは3月5日に「Graffer手続きガイド」を埼玉県横瀬町にも「横瀬町 手続きガイド 試験運用版」として導入している。

連絡帳アプリのCardhopがiOSにやってきた、通話やメッセージを素早く操作できる

Flexibitsは連絡帳アプリ「Cardhop」のiOS版をリリースした。最初にMac版が登場したCardhopではメッセージや通話、そして連絡帳への追加がより素早く行える。

iOSの連絡帳では、メッセージボタンを長押ししてもその動作は変えられない。しかしCardhopなら、通話やメッセージ、FaceTimeやFaceTime Audioだけでなく、WhatsAppやTelegram、Messenger、Skype、Viber、Twitterまでもをサポートしているのだ。

さらに、「Recents」タブでは連絡先だけでなく、アクションも表示される。これにより、よく使うアクションで友達とより簡単に連絡が取れる。友達の誕生日が一覧できる「Birthday」タブも面白い。さらに、G SuiteやExchangeにも対応している。

vCardのカスタマイズでは、誕生日や住所などを除外することも可能。QRコードでバーチャル名刺を作り、WeChatやSnapchat、Instagramに登録してもらうこともできる。

コマンドライン操作について

Cardhopはタブボタン上に検索バーを配置。ここでは直感的にコマンドを使いこなすことができる。

例えば、「WhatsApp Natasha」あるいは「wa Natasha」とタイプすれば、Natashaと会話が始められる。「copy Zack」とタイプすれば、コピーボタンつきのコンタクトカードが表示される。

連絡先の追加も簡単だ。「Amy Poehler 202-555-0172」とタイプすれば、かぶりをチェックした後に名前や電話番号を整理して登録してくれる。Siriショートカットでも、大事な人への通話やテキストをボイスコマンドで指示できる。

デフォルトアプリの代わりとして

CardhopはiOSに深く統合されており、アプリから通話をすると標準アプリが呼び出される。Cardhopからは出られなかった着信はみられない。一方で、Cardhopで作成した連絡先は標準アプリにも現れる。

もし大量の連絡先を抱えていれば、Cardhopはその取り扱いをすこし便利にしてくれるだろう。App Storeでの定価は4.99ドルだが、期間限定で3.99ドルにて購入できる。

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(文/塚本直樹 Twitter

Airbnbの利用者が5億人を突破

Airbnbなら1泊181ドル(約2万円)でアイルランドのゴールウェイにあるお城に泊まれます。

お城のプライベートルームに多くの人が注目し、予約を集めているという。こんな楽しい情報とともに、Airbnbが創業以来12年の成長の軌跡を示すさまざまな数字を公開した。

最も注目すべき数字は、Airbnbに登録されている600万の家、移動式の住居、ツリーハウス、ボートなどの利用者が、5億人を超えたというものだ。

Airbnbの積極的な拡大戦略からすれば、5億人を超えたことに驚きはない。310億ドル(約3兆4千万円)の価値があるとされている同社は先日、およそ4億6,500万ドル(約500億円)の価値があるとされているHotelTonightを買収すると発表した。

Airbnbの長期的なゴールは、ホームシェアリング、ホテルの予約、出張の手配、体験などエンド・ツー・エンドの旅行全般にわたるプラットフォームを構築することだ。直前の宿泊を手配できるモバイルアプリのHotelTonightを買収したことで、ピア・ツー・ピアのレンタル市場の支配が加速する。最も欲張りなユニコーンであるAirbnbは、Crunchbase Newsによるとインドのホテルのスタートアップ、Oyoの株式購入も検討しているという

分析プラットフォームのSecond Measureによれば、Airbnbは急速に既存のホテルビジネスを追い抜いている。2016年以降、Airbnbの売上は3倍に達したが、一方で大手ホテルチェーンの成長は11パーセントにとどまっている。Airbnbの年間売上はIHGとヒルトンを上回り、マリオットをも超えようとしている。マリオットといえば2016年にスターウッドホテルを買収して以来、業界を支配してきた存在だ。

2019年か2020年のIPOを検討していると言われるAirbnbにとって、こうした数字はすべて幸先の良いものだ。同社はこれまでに、Andreessen HorowitzやSequoia Capitalなどのベンチャーキャピタル投資家からの借入金とエクイティファンドで合わせて44億ドル(約4800億円)を調達している。 Airbnbは1月に、EBITDA(税引前利益に特別損益、支払利息、減価償却費を加えた利益)ベースで2年連続で黒字になったと発表していた。

利用者が5億人の節目を迎えたことに加え、Airbnbのプラットフォームを利用してスペースを提供しているホストの報酬の合計が650億ドル(約7兆円)に達したことも発表された。Airbnbのプラットホームで利用できる部屋数も152パーセント増えているという。利用者の地理的分布も、利用する目的地も広がっている。

そしてホストの年齢も幅広くなっていて、米国ではシニア層が急成長している。一方、ここ3年間で予約をした利用者の70パーセントは40歳未満だ。世界中のミレニアル世代がAirbnbで310億ドル(約3兆4千億円)の旅行を予約している。

現在Airbnbはピア・ツー・ピアのレンタル市場を支配しているが、Expediaは子会社のHomeAwayとBookings Holdingsを通じてBookings.com、Kayak、Pricelineが健闘しているためシェアを獲得しつつある。Airbnbが現在の成長スピードを維持するのは難しいかもしれない。

Image Credits:Airbnb

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(翻訳:Kaori Koyama)

アドビがマーケター向けの新しい分析ツール「Journey IQ」を発表

米国時間3月26日、ラスベガスで開催されているAdobe Summitにおいて、アドビはAnalyticsスイートの機能を強化することを発表した。新しい機能はマーケターが顧客をより深く理解するのに役立つもので、カスタマージャーニー全体を追跡する新しいツールや、広告とマーケティングの成果の関係(これを理解するのは驚くほど難しい)を確かめるのに役立つツールなどが含まれている。

カスタマージャーニー全体を追跡する新しいツールの名前は「Journey IQ」。カスタマージャーニー全体をもっと理解しようとするアイデア自体は新しくない。マーケティング分析をするベンダーはこの問題に10年以上取り組んでいる。

Adobe Analyticsのプロダクトマーケティング担当ディレクターであるJohn Bates氏は、カスタマージャーニーに対する理解は今後のマーケティング活動を考える上で役立つもので、Journey IQはそのために作られたツールだと言う。「このツールはまさにこれまでの体験を完全に把握するためのもので、良い体験や瞬間と悪い体験や瞬間を区別するのに役立ちます」と同氏は説明する。

サイト内の顧客のエンゲージメントにおいて何が起きたかを理解する助けとなるように、アドビは行動につながるデータと分析を顧客に提供しようとしている。それは今後のより良い体験につながるからだ。マーケティングベンダーにとっては常に体験がすべてであり、体験を理解することを主眼としたデータを多く得られれば大きな成功が得られるとベンダーは考えている。

このソリューションは、チャーン分析、カスタマージャーニーをステップ・バイ・ステップで追跡するタイムラプス分析、過去や将来を見る分析といった要素を取り入れている。ゴールはマーケターに対してできるだけ多くの情報を提供することだ。これによってマーケターはサイトの訪問者がポジティブな行動をとるように改善することができる。マーケターにとっては、この次は何かを(もっとたくさん)買うことがジャーニーの終わりとなる。

広告とマーケティングキャンペーンの成果の関係を見るツールの方は「Advertising Analytics」という名前で、Adobe Advertising Cloudと新たに統合される。マーケターはすでにデジタル広告に関する洞察を得ていると思われがちだが、広告とマーケティングはテクノロジー面でサイロ化していることが多く、両方のデータをまとめて全体像を描くことは難しい。

アドビは、顧客に対する広告と顧客がサイトを訪れたときにとった行動の関係をマーケターに提供しようとしている。この関係がわかれば、消費者の行動につながる効果的な広告戦略を深く理解できるだろう。

この2つの分析ツールはマーケター向けに、顧客がどのようにしてなぜサイトを訪れたのか、サイトでどう行動したのかを理解するために、また顧客はなぜ行動したのか、行動しなかったのかをより深く考察するために作られている。

ポジティブな顧客体験を構築し、その結果として売上を増やし顧客満足を高めるために、本稿で述べてきたような関係を理解することは不可欠だ。しかしこうしたツールを使っても何が起きているかを理解するのは難しいと心にとどめておかなくてはならない。

Image Credits:Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

キャンセルしたい宿泊予約を売買できる「Cansell」、出品可能エリアを世界5カ国に拡大

やむを得ずキャンセルするホテル予約を売買できるサービス「Cansell」を提供するCansellは3月27日、これまで国内限定だった出品エリアを海外にも拡大する。今回のリニューアルで世界150万軒以上の海外ホテルの比較検索が可能になるほか、日本、アメリカ、オーストラリア、シンガポール、カナダの計5カ国のホテル予約を出品可能になった。

2016年9月にローンチしたCansellは、ホテルを予約したあと何らかの理由でキャンセルしなければならないホテル予約(ホテルの宿泊権)を第三者と売買できるサービスだ。売買が成立すれば、売却側はホテルのキャンセル料を削減でき、買う側は通常よりも安く宿泊することができる。なお、Cansellでの出品希望の予約には必ず審査が入り、予約したときの値段よりも高くは売れないなどの制限を設けて高額転売を排除する仕組みが取り入れられている。

Cansellは今後も出品可能エリアを拡大し、2019年内に出品可能エリアを世界20カ国まで増やしていく予定だという。また、同時にサービスの多言語化も進めていきたいとしている。

オンライン完結のインテリアコーディネート「KAREN」運営が数千万円を資金調達

3Dイメージでインテリアコーディネートを提案する「KAREN」は、1部屋あたり7980円で、プロのコーディネーターによる個別のプランニングが受けられ、部屋のイメージはオンラインで受け取ることができるサービスだ。

今年1月16日にローンチしたKARENでは、コーディネート提案された家具が購入できるサイトをプランと一緒に教えてくれて、5〜30%オフのKAREN特別価格で購入することも可能だ。3月6日には、レンタル家具サービス「CLAS」との連携により、レンタル家具もコーディネートに加えられるようになっている

オンラインで依頼から提案、家具の入手までを完結できる便利さもあって、KARENは30代女性を中心に利用が広がり、ローンチから現在までに数百件の依頼をこなしたという。

KARENを運営するASHBERYは3月27日、個人投資家でエウレカ創業者の赤坂優氏、西川順氏、Fablic創業者のtakejune氏から、数千万円規模の資金調達を実施したと発表した。調達資金はサービス向上のために投資し、さらなる成長を目指すという。

ASHBERY代表取締役の武藤諒俊氏は、調達にあたって以下の通りコメントしている。

「適切なインテリアを選ぶことがいかに日常を良くするか、KARENを使ってもらえれば身をもって実感してもらえるだろうという自信がついてきました。
信じてくださるステークホルダーの方々のため、インテリア業界のため、そして何より使ってくださるユーザーのためにこれからも尽力してまいります」

美容師のためのアプリ「LiME」がアイスタイルから2.2億円を調達

LiMEのメンバー。写真右端が代表取締役の古木数馬氏

美容師のための顧客カルテ・予約管理アプリ「LiME(ライム)」を提供するLiMEは3月27日、「@cosme」などを運営するアイスタイルを引受先として、2億2000万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。LiMEは2018年2月にもアイスタイルから7000万円を調達しており、今回の増資はこれに続くものとなる。

美容師アプリのLiMEは、これまで紙で管理されてきた顧客のヘアスタイルやヘアケア情報などを記録したカルテを電子化してスマホで管理できる、基本無料のツールだ。アプリ内に写真やメモで顧客の髪型履歴を残すことができるので、美容師からは「サロンに残って施術情報を書かなくても、帰宅時やちょっとした空き時間に入力ができて効率的」と評価されているそうだ。

LiMEからは連絡先が分かる顧客に「そろそろカットにいらっしゃいませんか」といったメッセージを送信することも可能。また予約管理ツールとしての機能もあり、ウェブまたは顧客用予約アプリの「RiZM(リズム)」経由で、顧客から直接予約を受け付けることもできる(オンラインの予約受付は有料機能)。

RiZMを利用する顧客とは、写真やメッセージなど、カルテの一部を共有することもできる。

LiME代表取締役の古木数馬氏は、自分のサロンで美容師をしながらLiMEを2014年8月に設立した人物だ。現場で働く美容師としての視点から開発したアプリLiMEを2016年4月にリリース。現在は1万7000人以上の美容師が登録するツールとなっているという。

顧客とのヘアスタイル履歴共有やオンライン予約機能は、2018年10月に追加されたものだ。この追加により顧客がレビューの投稿もできるようになり、カルテや予約管理ツールとして利用しているうちに、自然と口コミや感想を蓄積することも可能となった。

また、これまでLiMEは美容師がスマートフォンで、個人個人で使うツールとして展開されてきたが、サロン全体で俯瞰してカルテ管理・予約管理ができるPC・iPad用のサービス「LiMEsalon」も開発している。LiMEsalonでは、LiMEアプリと連携することで、サロン全体の予約表や顧客管理、売上レポート機能を利用することが可能。今後LiMEでは、サロン向けサービス展開についても強化を図る。

さらにLiMEでは、今回の資金調達をきっかけに、アイスタイルが運営する@cosmeとの事業提携も検討していくということだ。

アドビとマイクロソフトが取引先データの共有で連携

Microsoft(マイクロソフト)とAdobe(アドビ)はここしばらく関係を築いてきたが、米国時間3月26日にラスベガスで開催されたAdobe Summitで、両社は2つのプラットフォーム間のより強固な連携を発表した。

そこには、 Adobeが昨年9月に47.5億ドルで買収したMarketoという会社のデータ共有も含まれている。このデータ共有は、Account Based Experience(ABX、取引先に基づく体験)と呼ばれている。両者は、Adobe Experience CloudのMarketo Engage、Microsoft Dynamics 365 for Sales、さらにはMicrosoftが2016年に262億ドルという巨額で買収したLinkedInなど複数のシステムの取引先データを共有する。

Microsoftは以前からLinkedInのデータを役立てる方法を探っており、MarketoのようなツールはLinkedInのデータを利用して取引先担当者の理解を深めるのに役立つ。Marketoの前CEOで現在AdobeでMarketoチームを率いるSteve Lucas氏は、顧客取引先は個人への販売と比べて複数の意思決定者が存在するためずっと複雑であると言った。販売サイクルは数カ月にわたることもあり、窓口担当者の追加情報を得られることは大きな意味がある。

「新しい取引先ベースの機能によって、マーケティングチームと営業チームは取引先や担当者に関する情報の連携が強化され、ビジネスへの影響力を測る新しい基準になる」とLucas氏が声明で説明した。

CRM Essentialsの代表でCRM、カスタマーサービス、マーケティングに長年携わっているBrent Leary氏は、これを顧客にも両社とっても有意義な提携だと見ている。「Microsoft DynamicsとLinkedInを、Marktoとより密接に連携させることで、AdobeのExperience CloudはB2B顧客の状況を知るために大きな価値のあるデータを手に入れることができる」とLeary氏はTechCrunchに話した。

目標は、複雑な営業案件を成立させることであり、両社のプロダクトを横断するより完全なデータを利用できるようになることがそれに役立つだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook