アドビがマーケター向けの新しい分析ツール「Journey IQ」を発表

米国時間3月26日、ラスベガスで開催されているAdobe Summitにおいて、アドビはAnalyticsスイートの機能を強化することを発表した。新しい機能はマーケターが顧客をより深く理解するのに役立つもので、カスタマージャーニー全体を追跡する新しいツールや、広告とマーケティングの成果の関係(これを理解するのは驚くほど難しい)を確かめるのに役立つツールなどが含まれている。

カスタマージャーニー全体を追跡する新しいツールの名前は「Journey IQ」。カスタマージャーニー全体をもっと理解しようとするアイデア自体は新しくない。マーケティング分析をするベンダーはこの問題に10年以上取り組んでいる。

Adobe Analyticsのプロダクトマーケティング担当ディレクターであるJohn Bates氏は、カスタマージャーニーに対する理解は今後のマーケティング活動を考える上で役立つもので、Journey IQはそのために作られたツールだと言う。「このツールはまさにこれまでの体験を完全に把握するためのもので、良い体験や瞬間と悪い体験や瞬間を区別するのに役立ちます」と同氏は説明する。

サイト内の顧客のエンゲージメントにおいて何が起きたかを理解する助けとなるように、アドビは行動につながるデータと分析を顧客に提供しようとしている。それは今後のより良い体験につながるからだ。マーケティングベンダーにとっては常に体験がすべてであり、体験を理解することを主眼としたデータを多く得られれば大きな成功が得られるとベンダーは考えている。

このソリューションは、チャーン分析、カスタマージャーニーをステップ・バイ・ステップで追跡するタイムラプス分析、過去や将来を見る分析といった要素を取り入れている。ゴールはマーケターに対してできるだけ多くの情報を提供することだ。これによってマーケターはサイトの訪問者がポジティブな行動をとるように改善することができる。マーケターにとっては、この次は何かを(もっとたくさん)買うことがジャーニーの終わりとなる。

広告とマーケティングキャンペーンの成果の関係を見るツールの方は「Advertising Analytics」という名前で、Adobe Advertising Cloudと新たに統合される。マーケターはすでにデジタル広告に関する洞察を得ていると思われがちだが、広告とマーケティングはテクノロジー面でサイロ化していることが多く、両方のデータをまとめて全体像を描くことは難しい。

アドビは、顧客に対する広告と顧客がサイトを訪れたときにとった行動の関係をマーケターに提供しようとしている。この関係がわかれば、消費者の行動につながる効果的な広告戦略を深く理解できるだろう。

この2つの分析ツールはマーケター向けに、顧客がどのようにしてなぜサイトを訪れたのか、サイトでどう行動したのかを理解するために、また顧客はなぜ行動したのか、行動しなかったのかをより深く考察するために作られている。

ポジティブな顧客体験を構築し、その結果として売上を増やし顧客満足を高めるために、本稿で述べてきたような関係を理解することは不可欠だ。しかしこうしたツールを使っても何が起きているかを理解するのは難しいと心にとどめておかなくてはならない。

Image Credits:Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。