HealthTapの人工知能ドクターがAlexaをサポート―手が不自由なユーザーに朗報

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Amazon Alaxaからは音声でピザが注文できる。玄関のドアのカギをかけたり外したりできる。これに加えて今日(米国時間2/20)からAlexaのユーザーは(そう望むなら)ヘルスケアのスタートアップ、 HealthTapのオンライン・ドクターから助言を受けることができるようになった。

HealthTapは同社の人工知能を利用した健康アシスタントがAlexaをサポートを発表したと発表した。ユーザーは“Alexa, talk to Dr. AI.”という音声コマンドでHealthTapのAIドクターを呼び出せる。その後Amazonのスマート・スピーカーは医師の診察をシミュレーションした(あくまで補助であって代替するものではないという)フォーマットに従ってユーザーの健康上の問題を聞き取り、助言を与える。

HealthTapによればこのこのAIドクターは「態度が知的であり安心感を与える。ユーザーの質問をダイナミックに処理して自然言語による回答を生成するインターフェイスを備えている」という。さらに緊急性、必要性が高い場合、現実の医師の診察を予約することもできる。

このシステムのターゲットは移動が困難な高齢者、障害者を想定している。Dr. AIはこれまでiPhoneとAndroidアプリから利用可能だったが、Alexaのサポートが追加されたことで、さらにユーザーフレンドリーになった。HealthTapでは特に手の動きが不自由なユーザーにとって利便性が増したとしている。

〔日本版〕HealthTapなどオンライン・ヘルスケアに関してはTechCrunch JapanでもRemedyはKhosla Venturesが支援するAI利用の低料金遠隔医療サービスなどで紹介している。

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Amazonが企業用のビデオ会議サービスChimeをAWSから提供、エンタープライズ顧客のつなぎとめ策か

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Amazonが今日(米国時間2/13)、同社のSkype対抗サービスChimeを発表した。それはAWSが提供するビデオ会議とコミュニケーションのサービスで、主に企業ユーザーがねらいだ。

単なるVoIP電話やビデオによるメッセージングだけでなく、Chimeには仮想ミーティング機能があり、ユーザーはこのサービスを利用してリモートミーティングを主催したり、参加できる。料金はユーザー一人月額2ドル50セントからで、ビデオや画面の共有など高度な機能も含めると最高月額が15ドルになる。ベーシックな機能だけなら無料だが、それでできるのはビデオ電話と二人だけのチャットのみだ。

ChimeはWindows, MacOS, iOS, そしてAndroidデバイス上で利用できる。

これはAmazonがSkype for businessやGoogle Hangoutsのようなものを提供する、という単純な話にとどまらず、AWSがGoToMeetingやCisco(WebEx)などと伍して仮想ミーティングの管理サービスに乗り出す、という事案でもある。

AWSのエンタープライズアプリケーション担当VP Gene Farrellが、今日の発表声明でこう言っている: “企業の仮想ミーティングは、今使っている技術に満足していないユーザーがとても多い。使いづらいアプリケーションやサービスが多く、オーディオやビデオの質も悪く、やりたいことをやるためには、複数のツールを頻繁に切り替えながら使わなければならない。しかもそれでいて、料金は異様に高い”。

本誌のエンタープライズ担当ライターRon Millerが今週書いているように、AWSはクラウドサービスではすでに巨人だ。今回Chimeでもってエンドユーザーサービスに進出するのも、競争激化の中でエンタープライズ顧客をもっとしっかりつかまえておきたい、という意思の表れだろう。Microsoft、Google、それにAlibabaのような新参者すら、AWSから顧客を奪おうと必死だ。しかもそのAWSは今や、Amazonの経営の柱と呼んでも過言ではないほどの、財務的優等生だ。

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AmazonのTapスピーカーがタップしなくても音声でAlexaを起動できるようになった

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AmazonのTapは、兄弟製品のEchoより音が良くて、昨年発表されたときも、スピーカー付きのAlexaデバイスというより、Alexa機能のあるBluetoothスピーカー、という位置づけだった。もうひとつの違いは名前に表れていて、音声機能を有効にするためにはユーザーがマイクロフォンをタップ(tap)するのだ。

ソフトウェアのネットからのアップデートは今日届いたが、実際にその物に触る必要性はなくなっている。タップ不要だ。Alexaの名前を呼ぶだけで、Alexa Appが応答し、ハンズフリー(hands-free, 手を使わない)で、Amazonのスマートアシスタントが起動するのだ。

アップデートは今すでに提供されているが、上で述べたように、アプリに対して名前を呼ぶ、というイントロがまず必要だ。従来どおりタップで使いたい人や、このインターネットに接続されたデバイスをずっと待ち受け状態にしておきたい人は、声を出してAlexaちゃんを呼ばなくてよい。

このアップデートによってEcho Spatial Perception(ESP)というものがインストールされる。ユーザーの近くにある、ほかのAmazon製品を見つけて、それと関連した応答をする、という機能だ。

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パブリッククラウドプラットホームにおけるAWSの王座は今後も揺るがず

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Amazonは木曜日(米国時間2/2)の決算報告の中で、同社のクラウド事業部Amazon Web Servicesの収益についても発表したが、それらは意外性とはほど遠いものだった。AWSの成長率そのものは、そのライバルのように突出してはいないが、それでも47%の高率、142億ドルという驚異的な四半期売上で35億3000万ドルの利益を上げた。

Microsoft Azureなどの方が成長率が高い、とはいっても、彼らはそもそも、最初から分母が小さい。AWSは巨体になりすぎて、子どもの体の敏捷さを失っているだけだ。

MicrosoftやIBM, Google, そしてOracleやAlibabaまでも、クラウドの高い成長率を誇っているが、彼らを全部合わせてもマーケットシェアではAWSに及ばない。しかも彼らが今後どれだけ売上を稼いでも、市場そのものがものすごい高率で成長している。つまり長期的に見れば、彼らは一定のサイズのパイの分け前を争っているのではない。

今ではいろんな市場予測があって、どれが正しいのかよく分からないけど、IDCの数字では、昨年のパブリッククラウドの市場規模は950億ドルだ。同社は、3年後にはこの倍以上、すなわち2020年には1950億ドルと予想している。これが正しければ、どのクラウド企業にも巨大な市場機会があることになる。

同じくIDCが予測する2020年の全企業のIT支出の総計は、2兆7000億ドルだ。少なくとも当面は、全IT支出の中でクラウドサービスへの支出が、微々たる比率であることが分かる。

これよりも楽観的なForresterは、2020年のパブリッククラウドの市場サイズを2360億ドルと予測している。どんな数字になるにせよ、市場そのものが急成長していることは明らかである。

それはマーケットシェアを争う各社にとっては良いニュースだが、AWS自身も急成長していくわけだから、それに追いつくのは難しい。Amazonは10年以上も前に業界で初めて、パブリッククラウドをInfrastructure as a Service(サービスとしてのインフラストラクチャ)、すなわちIaaSとして市場化したが、その後数年間にわたり、この新しい業態に挑戦する競合他社は一社も出現しなかった。

今日では、Synergy Researchの数字によれば、マーケットリーダーであるAWSのマーケットシェアはとてつもなく大きい。変化の激しい市場だから一概に言えないとはいえ、Synergy ResearchのチーフアナリストJohn Dinsdaleの説では、AWSに追いつくことはMicrosoftにとってすら、非常に難しい。

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Dinsdaleは語る: “単純に数字だけから言っても、AWSと二位以下との差があまりにも大きいから、短期的には首位争いと言えるほどの競争はありえない”。しかもAWSは、大きなマーケットシェアに安住することなく、次々と新しいイノベーションを打ち出している。

“AWSはインフラへの巨大な投資を継続しており、サービスの幅の拡大と実行性能の向上にも継続的に努めている。そのビジネスは顧客企業の成長と共に成長し、また今では重要な存在であるAWSを、母体であるAmazonが長期的に支えている。数字から言っても、ビジネスの論理から言っても、規模とマーケットシェアでAWSに匹敵するような競合他社は、近未来においては存在し得ない”、とDinsdaleは言葉を継ぐ。

だから今後しばらくは、すべてのパブリッククラウドベンダが、驚異的な業績をあげるにしても、それはAWSのシェアを奪ってのことではない。むしろ、今でもAWSのマーケットシェアは拡大を続けており、新しい機能やサービスを非常に頻繁に加え続けているから、資本力と企業力で負けていないMicrosoftやGoogleでも、AWSのマーケットシェアに食い込むことは、当分のあいだ難しいだろう。

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速報:Amazonの四半期は期待外れ―売上ダウン、利益アップ、株価はダウン

NEW YORK, NY - OCTOBER 27: Jeff Bezos, Chairman and founder of Amazon.com and owner of The Washington Post, addresses the Economic Club of New York, at the Sheraton New York Times Square Hotel, October 27, 2016 in New York City. Bezos discussed the future of Amazon, space travel, and his ownership of The Washington Post. (Photo by Drew Angerer/Getty Images)

シアトルではAmazonが2016年第4四半期の決算を発表した。eコマースの巨人の決算は437.4億ドルと予想を下回る売上となった。逆に1株あたり利益は予想を上回り、1.54ドルだった。今期の決算に関してウォールストリートの期待は高まっていた。アナリストの予測は売上446.8億ドル、1株あたり利益1.35ドルだった。

決算の数字が判明すると同時に時間外取引でAmazonの株価は急落した。Amazonによる2017年第1四半期の予測は売上が332.5億ドルから357.5億ドルとなっている。営業利益は対前年比でダウンするという予測だ。

投資家にとって前四半期は波乱含みだった。ウォールストリートは虚をつかれたかたちとなった。Amazonの1株あたり利益が78セントという予測より26セントも低かったからだ。1年を締めくくる時期にわずかの配当しかないことで株価は下落した。しかしムードは変わってここ数週間期待が高まっていた。

Amazonの株価は先月8.7%アップした。Amazonが急速に事業の多様化を進めることを投資家が信頼していたことが読み取れる。GoogleとAmazonはともに多様なプロダクトやサービスを展開しており、それらの事業を収益化しようと苦闘している。しかしこれまでAmazonはいくつかの面でGoogleに勝っていた。Amazonはクラウド化でもスマートスピーカーでもGoogleに先手を打った。AWSとAlexaは急激に巨大化している。

AWS自身のビジネスの成長に加えて、投資家はクラウド事業はeコマース事業と比較して人件費などの運営コストがはるかに低いことを好感している。

決算発表はさきほど行われたばかりなので、現在さらに詳細を取材中だ。新しい事実がわかり次第アップデートする。

画像:Drew Angerer/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Amazon、15億ドルを投じて航空貨物ハブ建設へ

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Amazonは社内に世界最大級のロジスティクス・システムを持っている。このことにさらに証拠が必要なら、Amazonが新しい航空貨物基地の建設のために15億ドルを投資する事実をを指摘すればよいだろう。新しい航空貨物ハブはケンタッキーの州境に近いシンシナティの郊外に建設され、最終的に2000人の職を作り出すものとWall Street Journalが報じた。

次第に拡大して現在40機にもなっているAmazonの貨物機に基地を提供するのがこのプロジェクトの目的だ。Amazonは専用の塗装を施された貨物ジェットの披露にあたってリース元がAmazon Prime Airという子会社であることを明らかにした。リテール・ビジネスにおけるAmazonのシェアが拡大するにつれ運輸のニーズも増大している。Amazonの航空貨物能力の拡充はロジスティクスの面で同社の大きな助けとなることが期待されている。しかしこれは同時に現在物流でAmazonのパートナーとなっているFedExやUPSにとって脅威となり得る状況だ。

Amazonはこれまだ長い間、他の運送事業者と競合する分野に進出することはないという方針を掲げてきた。しかしAmazonは海上運送事業ではすでに港湾荷役から通関業務まで取り扱うフォワーダー〔乙仲〕の資格を取得している。これはFedExやUPSが提供しているサービスだ。WSJによれば、Amazonは自社の通販ビジネスの物流だけでなく、他社や消費者に対する物流サービスの提供事業にも進出する準備を進めているという。これは現在の物流パートナーと直接に衝突するコースだ。

そういう事態になれば影響するところは巨大だ。しかしAmazonはサードパーティーの運輸事業者と提携しているものの、クリスマス商戦などの繁忙期に需要をさばくための能力の不足に苦しんできた。そこで独自の物流システムが構築によるロジスティクス能力の拡大はそれ自身で十分追求に値する目的だ。運送事業に進出するかどうかは将来の課題となる。

〔日本版〕WSJの記事によればAmazonがハブを置くのはシンシナティ市街の南に位置するCincinnati/Northern Kentucky International Airport(CVG)だという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Amazon、科学おもちゃの定期購入サービスを開始

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今日(米国時間1/24)Amazonは、親たちに向けた新しい定期購入サービス、STEM Clubを公開した。月々19.99ドルで、毎月自宅に教育玩具が送られてくる。同社によると、おもちゃはAmazonが選び、必ず年齢に相応のものを送るという。そしてもちろん “STEM” [Science/Technology/Engineering/Mathematics]の名が示す通り、おもちゃは、科学、技術、工学、および数学の分野に焦点が絞られる。

ただしこの定期購入プログラムは、どんなSTEM玩具でも送るわけではなく、最近発売されたものかAmazonが独占で取り扱っている商品に限られる。

登録するには、STEM Clubのページへ行き、子供の年齢(3~4、5~7、または8~13)を選ぶ。最初のおもちゃは一週間以内に届けられ、送料は無料。それ以降は月に一度のペースで送られてくる。同サイトによるとサービスの提供範囲は米国のみ。

AmazonがSTEM玩具を扱うのはこれが初めてではない。2015年、同社はこの種の商品を探すための場所として、STEM Toys & Games Store開設した

もちろん、Amazonにとってこの新たな店舗の開設は、若き心を燃え立たせ、学習意欲を湧かせるためでなく、親たちのSTEM玩具への関心に乗じて自社の収支をよくすることが目的だ。先のホリデー期間、STEM玩具は2番目に来訪者が多かった部門であり、売上は最も多かった。

同じく、Amazonがこうした玩具の定期購入サービスを始める目的は、継続的な収入ストリームを確保できるもある。同社の”Subscribe & Save”[定期購入で節約]プログラムと同じように、Amazonはこの新しい定期購入サービスが、買い物客の間に「設定したら忘れる」とでも言える心理を植え付けることを期待している。

しかし、そもそも親がこれに登録するかどうかは、まだわからない。結局のところ ― あなたのことは知らないが ― 私たちは既に大量のおもちゃに囲まれている。毎月それが一つずつ増えていくの待つところなど私には想像できない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazon Echoの起動語がStar Trekのコンピューターみたいになった

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AmazonのEchoスピーカーに、新しい起動語が加わった。これからは、大声で“Computer”と呼べば、音声アシスタントAlexaを起こせる。ユーザーが意図しない起動の可能性は確かに増えるが、でもStar Trekのファンで、最初のシリーズでもTNG(The Next Generation)でも、Enterprise号の乗組員たちが同機に搭載されているコンピューターに呼びかける様子をよく見ていた人たちには、嬉しいだろう。

ぼくも試してみたが、Amazonの広告に偽りはない。実はこの機能、かなり前からすでにあったらしい。意図せざる起動の機会が増えないかぎり、この呼び方を続けようと思うけど、今のところ問題はない。

非論理的な文でAlexaを困らせてやろうとしたが、だめだった。とても長いコードを聞かせてみたが、今のところぼくの家は破壊されていない。Scottyがタイムトラベルで2017年に戻ってきたとしても、オバカさんには見えないだろうし、再び鯨を救うかもしれない。

AlexaアプリのEchoの設定のところに、起動語の候補が4つあるから、その中から“Computer”を選べば、この機能が使える。

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Amazon、アカデミー賞で大健闘―マンチェスター・バイ・ザ・シーが作品賞候補

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今年のアカデミー賞でAmazonはNetflixに大きく差をつけた。 Amazonは質の高いオリジナル映画やテレビ番組を製作する努力を続けてきたが、今回マンチェスター・バイ・ザ・シー(Manchester by the Sea)がアカデミー賞作品賞候補になるという栄誉を受けた。ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ主演、ケネス・ローガン監督のこの映画は昨年のサンダンス・フェスティバルで公開されている。Amazonはこの作品の配給権獲得に1000万ドルを支払ったものとみられる。

マンチェスター・バイ・ザ・シーはアカデミー賞で合計6部門にノミネートされた。作品賞に加えて主演男優、助演男優、助演女優、監督賞などが含まれる。この映画は劇場公開されたが、これはAmazonが配給する作品では通例だ。Netflixはストリーミング・サービスで最初に公開する権利を得る場合が多い。この点がアカデミー賞など映画賞の受賞に影響してくる。

マンチェスター・バイ・ザ・シーは批評家からもきわめて高い評価を得た。ケイシー・アフレックにはセクハラで訴えられるというごたごたががあったが2010年に和解している。一方、Netflixはドキュメンタリー部門で黒人差別問題を扱った13th -憲法修正第13条(The 13th)がノミネートされた。アカデミーはこの部門でNetflixを気に入っているらしくたびたびノミネートされている。

〔日本版〕マンチェスター・バイ・ザ・シーの日本公開は今年5月の予定。ケイシー・アフレックはベン・アフレックの弟。

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Amazonの求人公告を見るとショッピング体験のVR化を計画しているらしい

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Amazonは、VRによるeコマースとかVRプラットホーム一般に関してこれまで、あまり目立つ動きがなかった。同じく大手テクノロジー企業であるFacebookやGoogleが仮想現実にとても多くのリソースを注いでいるだけに、Amazonの沈黙は目立つ。

しかし同社は、VRコンテンツには手を出すつもりだったのだ。先月は元Tribeca Film Festivalの頭目Genna Terranovaをスカウトして、同社のスタジオにおけるVRプロジェクトのトップに据えた。

そして今度は、ショッピング体験にVRを持ち込むつもりのようだ。最近の求人公告を見ると、同社はVRのクリエイティブ・ディレクターを募集している。Varietyの記事によると、それは“AmazonのVRソリューションの未来を構想するため”、とある。

その仕事は同社のA9部門に属する。そこは、製品の検索や広告技術を担当する部門だ。しかしその求人公告によると、この部門は“何百万もの顧客が多様なVRデバイスを用いて行うAmazonのVRショッピング体験を構築する”、となっている。

これ以外に詳しい情報はまだないが、VRは確かに、消費者に商品を立体として詳しく見る機会を与える。でも、実際にVRヘッドセットを装着してからAmazonでの買い物を開始するお客さんは、そもそもどれぐらいおられるだろうか。

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Amazon、米国内で10万人を新規雇用へ―トランプ次期大統領、早くも功績を強調

Tech CEO's meets with President-elect Donald Trump at Trump Tower December 14, 2016 in New York . / AFP / TIMOTHY A. CLARY        (Photo credit should read TIMOTHY A. CLARY/AFP/Getty Images)

ドナルド・トランプが正式にアメリカ大統領に就任するまでまだ1週間ほど先あるが、トランプ政権は早くもアメリカ国内の雇用増加の実績を誇ろうとしている。これまでのところで目立つのはインディアナ州に所在する空調設備大手のCarrierと日本のテレコムの巨人、SoftBankの計画だ。

今回、職の創造に関するトランプ政権のヒットは意外なところからやってきた。今週、Amazonは、向こう1年半でアメリカ国内で10万人を新規雇用する計画を発表した。Amazonによれば、同社は過去5年間に15万の新たな職を作ってきたという。

たしかに巨大なスケールではあるが、さまざまな分野でのAmazonの急速な成長を考えるとある程度予想できた数字だ。プレスリリースでAmazonのCEO、ジェフ・ベゾスは新規雇用は主としてフルフィルメントセンター、ロジスティクス、クラウドテクノロジー、機械学習の分野で実現されるだろうと述べた。

トランプ・チームはこれまでAmazonに対して批判を繰り返してきたが、今回は素早く歓迎の意向を発表した。アメリカ国内における職の確保は次期大統領が選挙戦を通じて公約としていた重要項目だ。

今日(米国時間1/12)、ショーン・スパイサー次期大統領報道官はメディア向けカンファレンス・コールで次のように述べた。

今回のAmazonの発表に先立って、次期大統領はテクノロジー業界のトップ経営者グループと会談し、アメリカ国内における職の確保と増大に留意するよう要請している。次期大統領はAmazonの意思決定になんらかの役割を果たせたと考えて満足している。

スパイサーが指しているのは最近ニューヨークのトランプ・タワーで開催された会談だ。これにベゾスも出席したが、トランプは選挙戦を通じてAmazonのビジネスを批判し続けた。トランプはベゾスとAmazoはの「大型の独禁法違反」や「租税回避」を行っていると非難し、「大統領に当選したなら厳正に対処する」と脅していた。

ベゾスは(多少の皮肉も含まれていただろうが)「トランプについては様子を見る必要がある」としていた。

その後ベゾスとトランプという大富豪の間にはロマンスが芽生えたのかもしれない。ベゾスはトランプとの会談で和解的な(少なくとも希望を交えた)会話を試みたようだ。会談後、プレスに次のように語っている。

次期大統領ならびに政権移行チーム、テクノロジー業界のトップとの今日の会談はきわめて生産的なものだったと思う。次期政権がイノベーションを政策の重要な柱とするという見解に私は同感だ。イノベーションはテクノロジー産業のみならず農業、製造業、インフラその他あらゆる面でアメリカの雇用を大きく増加させるだろう。

もちろんAmazonは新規雇用の理由として同社の成長も指摘するだろうが、計画発表のタイミングはトランプ・チームにとって追い風となった。われわれはAnazonに対してスパイサー次期報道官の説明にあった「大統領が果たした役割」が実際どのようなものであったか問い合わせている。

〔日本版〕トップの写真はドナルド・トランプとテクノロジー業界のリーダーの会談を撮影したもの。テーブル正面にトランプ次期大統領、向かって左にペンス次期副大統領、Facebookのシェリル・サンドバーグ、Googleのラリー・ペイジ、テーブルの角にAmazonのジェフ・ベゾスが見える。トランプの向かって右隣は政権移行チームの重要メンバーでこの会談の人選をしたといわれるベンチャー・キャピタリストのピーター・ティール、その右がAppleのティム・クック、Oracleのサフラ・カッツ。会談にはTeslaのイーロン・マスク、Microsoftのサティヤ・ナデラ、IBMのジニ・ロメッティーらも参加している。Googleからはエリック・シュミットも出席した。

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Amazonは空飛ぶ倉庫とドローンの編隊でフルフィルメントと配達の一式を空挺化へ

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Amazonは2013年から、ドローンによる配達に挑戦している。でもAmazonの最近の特許申請文書をよく見ると、Amazonが考えているのは単純に品物をドローンで運ぶだけでなく、フルフィルメントセンター全体を“空飛ぶフルフィルメントセンター”にしてしまう、という大規模な構想であることが分かる。つまりそれは、倉庫のツェッペリンだ(上図)。

この空挺型フルフィルメントセンター(airborne fulfillment centers, AFC)は、特定の品目の需要が近く急増する、と予想される地区の上空に、一定量の在庫を積んで停泊する。

このAFCには、食品の配達に適した冷蔵冷凍タイプも含め、各種のドローンが付随し、客が指定した日にち時間のスケジュールに基づいてAFCから送り出される。

特許文書には、実際の例としてスポーツのイベントが挙げられている。今、下の方では、何かの種目の全国大会の決勝戦が行われているとき、上空のAFCにはスナック類や、スポーツファンが殺到する記念品が山のように積まれている。

さらにその文書は、AFCは音声や垂れ幕などによる広告媒体にもなりうる、と示唆している。

また、空輸配送を可能にするための複雑なネットワークシステムにも、言及されている。

空飛ぶフルフィルメントセンターや、それが装備するドローン船隊に加え、Amazonはさらに、人間や各種サプライやドローンたちをAFCの近くまたは地上に運ぶ、大型シャトルも構想している。

大型シャトルがドローンをAFCへ運ぶ、という形では、ドローンのエネルギー(電池)が現場での配達だけに使われる。

もちろん、この空挺型システムの全体が、Amazon全体としての在庫管理システムのサブシステムになる。そしてこのサブシステムを、空中や地上から適切なソフトウェアとリモートコンピューティングリソースが制御し管理する。

そしてシャトルや飛行船やドローンは、配達のために空を飛ぶだけでなく、全体がメッシュネットワークを構成して各種の情報を連絡しあう。たとえば天候や風の予報から、互いに、その日その時間帯の最適ルートを教え合うだろう。また地上でeブックを読んでいる人のためにコンテンツを送信することもできる。

文書に記されているこれら大小さまざまな構想がそれぞれ、今どれぐらいの開発段階にあるのか、テスト、あるいはローンチの予定はいつごろか、などについてAmazonに問い合わせている。AFCの巨大飛行船は、いつどこで、初お目見えするのだろう?

Amazonはまだ、何も答をくれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Amazonは、ホリデーシーズンにAmazon Echoを9倍売った

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さて、Amazonは今年のホリデーシーズンに大量のEchoを売ったそうだ。同社によると昨年の9倍だ。もちろんこの会社はこの手の数字を具体的に発表することはないのだが、今日のプレスリリースには全世界で「数百万」を販売したと書いてある。

予兆は数週間前からあった。ホリデー期を前に、AmazonでもBest Buy等の提携小売店でもこの商品の入手は非常に困難になっていた。そしてもちろん、販売されている国が増え、低価格版のEcho Dotのおかげもあって昨年より買いやすくなっているという事情もある。

しかしさらに注目すべきは、EchoとEcho DotがAmazonの年間ベストセラーのトップにあることだ。Amazonは、「最大限の努力と増産にもかかわらず」在庫の確保に窮していると言っている。

発表された数字によると、Amazonはこのホリデーシーズンに10億個以上の商品を、プライムおよび〈フルフィルメント by Amazon〉経由で出荷しており、様々なカテゴリーのランキングでAmazon製品が上位を占めた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazon Go、年内にベータ公開―アプリ・ベースの食品ショッピング・システムはレジなし、行列なし

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Just Walk Out〔そのまま歩いて出る〕と非常にストレートに名付けられたテクノロジーがAmazon Goのベースとなっている。同時にこのシステムの目的がよくわかる。

このショッピング・サービスはシアトルのAmazon本社内に年内にオープンする予定の1800平方フィート(167平米)社員向けストアでベータ公開される。Amazonによれば、Goは「まったく新しい形のストアであり、出口での精算手続きを一切必要としない」という。

顧客はGoアプリを利用してストアにチェックインする。ストア内ではカメラを含む各種センサー、コンピューター・ビジョン、ディープラーニングを応用した人工知能の組み合わせが顧客の行動を解析して「何を棚から取リ出したか(あるいはその後戻したか)を」
認識しバーチャル・カートに加える。必要なものを買ったら顧客はそのままストアを出ればよい。ストアはAmazonのアカウントに自動的に課金する。このとき顧客はデジタル・レシートも受け取る。

Amazonはこのストアの開設のために4年前から開発を行っていたという。Amazonの公式のGoサイトには、「レジ前の行列も、そもそもレジ処理もないショッピング体験が実現できたらすばらしいだろう。コンピューター・ビジョンと機械学習の限界を押し広げ、顧客は必要なものを棚から取り、そのまま店を出られるようなストアを創り出すことは可能だろうか、とわれわれは自問した」と書かれている。

現在オープンが予定されているストアは食品だけを扱う。フル機能のスーパーマーケットというよりは21世紀版のオートマットといった雰囲気だ。ファーストフード店との競合に敗れるまでアメリカで人気があったオートマット食堂には細かく仕切られたショーケースが回転するようになっており、簡単な食事やスナックを取り出すことができた(調理は人間がやっていた)。

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Amazonが物理店舗の実験をするのはこれが初めてではない。昨年はやはりシアトルにAmazon Booksというワンオフの書店が開設された。Amazonではこの種の物理店舗を全米にチェーン展開する計画があるらしい。AmazonFreshは生鮮食品の配達サービスで、ここ数年アメリカ各地に少しずつカバー地域を広げている(このサービスAmazonが所在するワシントン州で開始された)。

Goは物理店舗と配達サービスの良い点を結びつけようとしたシステムだ。ショッピングから行列(と人手)をなくそうとするのが最近のトレンドだが、ここでAmazonは最大の存在になっている。生鮮食品の自動チェックアウト・システムにはSelfycart、さらにこの方向に舵を切った大きな存在としてInstacartがある。Amazonが準備しているストアは来年の早い時期にに一般のAmazonユーザーも利用可能になる。Amazonの過去の動きから判断すると、これは何か非常に大きなクサビの先端の役割を果たすのかもしれない。

〔日本版〕日本では167平米という売り場面積は平均的なコンビニより広く、小型のスーパーよりかなり狭い。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AWS ShieldはAWS上のすべてのWebアプリケーションをDDoSから守るフリーミアムのサービス (デフォルトでon)

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Amazon AWSのデベロッパーカンファレンスre:Inventで今日(米国時間12/1)、Amazonのクラウドコンピューティングサービスの上で動くWebアプリケーションをDDoSから守るサービス、 AWS Shieldが発表された。

AWS Shieldは今日から一般的に可利用となり、すでに、AWSの上で動いているすべてのWebアプリケーションに対して(無料で)有効になっている。このサービスは、AmazonがそのElastic Load BalancerやCDNのCloud Front、DNSサービスのRoute 53などで行ったことの成果がベースになっている。それはデベロッパーに、残念ながらこのところますます頻繁になっているたぐいのDDoS攻撃に対する保護を提供する。

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AWSによるとこの無料サービスは、もっともよくあるタイプの攻撃の96%に対してアプリケーションを保護する。

AWS Shieldには、より高度な有料バージョンもある。このバージョンは、もっと高度な攻撃に対してアプリケーションを保護する。この有料バージョンでは費用の保護も提供されるので、攻撃に遭遇したときに大量のAWS利用料が発生することが、防がれる。また24×7の相談窓口が提供され、特殊な対策等に関して保護のカスタム化を相談できる。有料バージョンの利用料は年額3000ドルと、Elastic Load BalancerやCloudFront、Route 53の利用に伴うデータ転送料金だ。

AmazonのCTO Werner Vogelsによると、同社の顧客は昨年とくに、DDoS攻撃に悩まされていた。

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Vogelsによると、Amazonが目撃している攻撃は、ネットワークをダウンさせようとする量的攻撃(volumetric attacks)や、サーバーのリソースを枯渇させようとする攻撃などだ。攻撃の大半(64%)は量的攻撃であり、次位がステート枯渇とアプリケーション層の攻撃だ。

AWS Shieldはデフォルトでonで、デベロッパーをこれらの攻撃から守っている。

これによりAmazonは、Cloudflareや、大手ネットワーキングベンダのDDoS保護サービスと競合することになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AWSのLambdaファンクションをエッジロケーションで実行できるためのツールLambda@Edge

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今日(米国時間12/1)Amazonは、Lambda@Edgeと呼ばれるツールを公開した。デベロッパーはこのツールにより、Lambdaファンクションをコンテンツデリバリネットワーク(CDN)上のエッジロケーションで実行でき、プロセスの作成に要する時間を短縮できる。

Lambda@Edgeを使ってデベロッパーは処理をエッジロケーションで実行でき、元のソースに戻る必要がない。これらのファンクションはHTTPリクエストを検査でき、それらに対するアクションを行う。アプリケーションの一部に関し、情報の物理的な旅程を短くすることによって、AWS Lambdaを利用するアプリケーションのパフォーマンスを改善できる。このプロダクトは、今日のAWS:reInventで披露された。

Amazon.comのCTO Werner Vogelsはこう言う: “仕事を光速でやることは無理でも、情報の経路を半分に短縮することはできる”。

Lambdaを利用するとデベロッパーは、サーバーの配備とか管理をやる必要なく、単純にコードを書いて実行できる。Amazonは昨日(米国時間11/30)、LambdaがIoTデバイスの上で仕事ができるようにする、と発表した。Lambdaファンクションは、従来のPythonのほかに、今ではC#でも書ける。今回のように、計算処理をネットワークのエッジに移動すれば、デバイスとクラウドのあいだの往復旅程(ラウンドトリップ)に伴う遅れ(レイテンシ)を避けることができる。

ユーザーが求めるパフォーマンス条件が厳しくなるに伴い、複数のオペレーション間の数ミリ秒の遅延ですら許せなくなる。ラウンドトリップタイムを節約できれば、デバイスの動作は、本当のリアルタイムにより近いものになるだろう。またそれにより、通信帯域の費用も節約できる。

このツールはAmazonのCDN CloudFrontを利用するはずだから、Amazonのデベロッパーのための一連の運用ツールの中に、またまた豊富なファンクションが含まれることになる。それは、(Google, Azureなどに対する)Amazonの競合上の有利性を、なお一層強化するだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AWSがローンチするBloxはEC2 Container Serviceのためのオープンソースツールのコレクション

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AmazonのクラウドコンピューティングプラットホームAWSはかなり前から、EC2 Container Service(ECS)でもってソフトウェアコンテナのサポートを提供してきた。今日の同社のデベロッパーカンファレンスre:Inventで同社は、コンテナのサポートの仕方に関するいくつかのアップデートを発表した。コンテナは今や、分散アプリケーションを運用する方法の定番とも言える地位に、急速に上(のぼ)りつめている。

まず、EC2のこのコンテナサービスは、カスタマイズの幅が広がる。とくに、Task Placement Engineと呼ばれるツールにより、デベロッパーはコンテナを特定の可利用域に配置できるようになる。

“コンテナの管理と実行は、弊社の少なからぬ顧客にとって、とりわけ一部のオープンソースソフトウェアを使った場合、苦労が多すぎた”、とAmazonのCTO Werner Vogelsが今日のキーノートで述べた。ECSの今回のアップデートは、その苦労の一部を軽減することが目的で、AWS上でコンテナを使うユーザーに、より多くの柔軟性を与える。

また今日Amazonが発表したBloxは、ECS用のコンテナ管理ツールを作るためのオープンソースプロジェクトのコレクションだ。たとえばコンテナのスケジューラーを作りたければ、MesosのようなサードパーティのスケジューラーをECSに統合できる。

Bloxが最初に提供する二つのプロジェクトは、どちらもGitHub上にある。それらは、クラスターのステートをチェックするサービスと、デーモンのスケジューラーだ。これまでオープンソースのコミュニティとは比較的‘浅い仲’だったAWSにしては、興味深い動きだ。しかしコンテナのエコシステムはその大半がオープンソースのプロジェクトに支えられているから、Amazonとしてもそろそろ積極的に関わった方が得策かもしれない。BloxプロジェクトはApache 2.0のライセンスで公開される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Amazon AWSのクラウドコンピューティングサービスEC2にFPGAインスタンスがお目見え、ビデオや機械学習ではGPUより強力

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AmazonのクラウドコンピューティングサービスAWSが今日、FPGA(field-programmable gate array)を使用する新しいインスタンスタイプ F1を発表した。FPGAはその名のとおり、ユーザーが現場でプログラミングできるゲートアレイで、アプリケーションの目的に合った特殊な構成もできる。そのため、場合によっては、従来のCPU/GPUの組み合わせを上回る高速が期待できる。

これらの新しいインスタンスは、AWSのUS Eastリージョンでは今日からプレビューで可利用になり、一般供用は年末頃からとなる。料金はまだ発表されていない。

まだそれほど広く普及しているわけではないが、最近のFPGAは価格も手頃になり、プログラミングも容易になった。そろそろ、もっと多くのサービスで使われるようになりそうだ。今回のようにクラウドからFPGAを提供することになると、多くのデベロッパーによる実験的な利用も拡大するだろう。

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“つねに、いろんなものを自分で試してみて、それから一般ユーザーに提供している”、とAWSのCEO Andy Jassyは述べている。

新しいF1インスタンスは、HDや4Kのビデオ処理やイメージング、および機械学習で、GPUに代わって使われることになりそうだ。たとえばMicrosoftは、同社のAIサービスのバックエンドをすべてFPGAで構成している。一方Googleは、自家製専用チップという、高価な路線を選んでいる。FPGAは途中でプログラムを書き換えられるから、アプリケーション内でコンテキストの切り替えが容易にできる。たとえばある時点で未加工の画像を処理していたが、その次にはFPGAをディープラーニング向けに再構成して、その画像を数ミリ秒で分析する、といったことができる。

AWSと共にこのF1インスタンスをテストした企業のひとつNGCodecは、VR/AR処理のためのRealityCodecコードをこれらの新しいインスタンスに移行したが、移行はわずか4週間ほどで完了した。理想としては、これまで手元のデバイスで駆動することが当然だったVR/ARのヘッドセットの、駆動と複雑なビデオ処理を、クラウドからできるようになるかもしれない。NGCodecのファウンダーOliver Gunasekaraによると、コーデックに使ったケースでは、FPGAがGPUよりも優勢だった。エンコーディングには大量の意思決定過程があり、GPUはそれらをCPUにやらせる場合が多いからだ。またこの種のシナリオでは、電力効率もFPGAの方が良い。

Amazonは、Xilinxのチップを使っている。最後に残った、独立系の大手FPGAメーカーだ。新しいインスタンスのスペックは、次のとおり:

  • Xilinx UltraScale+ VU9P, 16nmプロセスで製造。
  • 64 GiBのECCで保護されたメモリ, 28ビット幅のバス上(4つのDDR4チャネル)。
  • CPUへのインタフェイスはそれ専用のPCIe x 16。
  • 論理成分数は約250万。
  • 約6800のDSP(Digital Signal Processing)エンジン。
  • デバッグ用のVirtual JTAGインタフェイス。

しかしFPGAのプログラミングは今でも難しいし、Amazonがそれを容易にするツールを出す気配はない。でも、開発キットはあるだろうし、デベロッパーがこれらの新しいインスタンスを使い始めるために利用できるマシンイメージ(Amazon Machine Image)も提供されるだろう。

NGCodecのGunasekaraによると、Xilinxも、CやC++のような共通言語でFPGAをプログラミングできるためのツールを、多少提供している。同社は、F1インスタンスのためのデコーダーを、それらのツールを使って設計したようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AWS re:Inventでバーチャル・プライベート・サーバー、Lightsail発表―5ドル/月より

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今朝(米国時間11/30)のAWS re:InventカンファレンスでAmazonは新しいバーチャル・プライベート・サーバー〔VPS〕を発表した。料金は1台当た月5ドルからだという。このVPSサービスはLightsailと呼ばれ、ユーザーはクラウド上で簡単にサーバーを立ち上げることができる。しかも低価格で設定や管理の面倒な点は表に現れない。

AWSのCEO、Andy Jassyによれば、サーバーの立ち上げに通常なら必要とされる技術的知識をLightsailのユーザーは一切必要としないという。

またJassyはユーザーはメニューから必要とするオプションを選ぶだけでよいと説明した。 たとえばまずOSとしてUbuntuを選び、 あらかじめ付属する5つのバンドル(CPU、ストレージ、メモリなど)でVPSに必要なスペックを選択する。最後に名前を付けるだけで、すぐに作動させることができる。

クラウド上でバーチャル・マシンをスタートさせるために必要な各種の作業、たとえばストレージやセキュリティーを設定するなどの作業は非常に煩雑かつ技術的知識を必要としがちで、これがVPSの利用にあたって大きなハードルとなっていた。

Trinity Venturesのパートナー、Dan ScholnickはTechCrunchのインタビューに対し「この発表はAWSがマーケットを拡大しようとしていることを示す動きの一つだ。AWSは既存分野を守ることにも容赦ないが、可能性があればどこへでも出て行き、ライバルの弱みを攻撃する。ここ数年はAmazonのエンタープライズ市場への進出が注目された。今回の発表はデベロッパーに低価格で簡単にコンピューティング・パワーを提供するというAWSのデジタル・ビジネスの出発点に戻り、弱点を補強する動きだろう」と述べた。

面倒なしにサーバーを手早く立ち上げたいスタートアップやデベロッパー(個人かもしれない)にとってLightsail VPSは朗報だ。もちろんユーザー全般に向くプロダクトではない。それなりの技術的知識があり、自分が何を必要としているかよく知っているユーザー向けのプロダクトではある。しかしそのようなユーザーにとっては詳細なオプションが簡単に選択でき作業は大きくスピードアップする。スタートアップの立ち上げコストを削減するのにも大きな効果があるはずだ。

〔日本版〕AWSのカンファレンス関連記事に関しては下のバナーから参照できる(英語版)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AmazonがBibaの特許と従業員を取り込む:新しいビデオチャットサービスをリリースか

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AmazonによるTwitchElemental Technologiesの買収は、ビデオサービスに本格的に参入するという同社の大きな戦略の2つのピースでしかなかったようだ。このマーケットプレイスとクラウドコンピューティングの巨大企業は昨年、サンフランシスコを拠点とするBiba Systemsを人知れず買収していた。Biba Syestemsはビジネスパーソン向けのビデオメッセージングアプリを開発する企業だ。ある情報提供者によれば、Amazonは現在ビデオメッセージング・サービスの開発に取り組んでいる最中で、今月開催されるAWS re:Invent 2016でその全貌を明らかにする予定だという。

AmazonによるBiba Systemsの買収の可能性が最初に伝えられたのは先週のことだ。GeekWireは2015年9月にデラウェア州に提出された資料の中で、「Justin Acquisition」と呼ばれる企業体とAmazonの合併に関する記述を見つけた。Justin AcquisitionにAmazonの名が直接記載されているわけではないが、その資料には当時Amazonに雇われていたパラリーガル(法律事務所の事務員)の名前が含まれていたのだ。

私たちはAmazonにこの件に関するコメントを求めたものの、彼らからの返事はない(GeekWireの取材にも応じていないようだ)。そこで私たちは独自で調査をすすめることにした。その結果、私たちはAmazonがBibaのテクノロジーと従業員を取り込んでいたことを突き止めた。BibaとAmazonとの間の直接的なつながりを発見したのだ。

Bibaは2つの特許を取得している。1つはビデオ・カンファレンスに関わる技術、もう1つはオーディオ・ストリーミングに関わる技術だ。そして、この2ヶ月間で2つの特許の所有権がAmazonに移行されている。

さらに、Bibaの従業員に付与されたAmazon名義のEメールアドレスが存在することも突き止めた(この記事でそのEメールアドレスを公開する気はない)。

「ジャスティン・’Biba’」に道をゆずる?

AmazonがBibaのテクノロジーをどのように活用するかはまだ不明だ。だが、情報提供者によればAmazonは先日、数名を対象にビデオカンファレンス製品のテストを行ったところだという。

「彼らはそのプロダクトをサンクスギビング後に控えたre:Inventで発表する予定です」と情報提供者は話す。

そのプロダクトにBibaのテクノロジーが使われているかはまだ分からない(もし本当にそのプロダクトが来週発表されるとすればの話だが)。しかし偶然にも私たちは、Bibaが今年8月と9月に同社のAndroidアプリiOSアプリのアップデートを突然、それも密かに行っていたことに気がついた。同社は2015年9月以降、Twitter上のマーケティング活動を行っていないのにもかかわらずだ。

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AmazonがAWSで提供するアプリやサービスの拡大を目指しているのには納得がいく。

すでにAWSでは、クラウド・インフラストラクチャー上で動作するプロダクトをいくつか提供している。それには、クラウドベースのEメールおよびカレンダー管理サービスのWorkMailや、VMwareやParallels、Microsoftなどと競合関係にある仮想デスクトップサービスのWorkSpacesなどが含まれる。

その製品ミックスに、ビジネス向けのコラボレーション・プロダクトやカンファレンス・プロダクトを新たに加えることは自然な流れだと言えるだろう。Bibaが現在提供している機能には、ビデオ/音声カンファレンス、スケジュール管理、連絡先管理、メッセージング、スクリーン・シェアリング、ITマネージャー向けの運営管理機能などがある。

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過去には、はたしてAmazonはエンタープライズ向けソフトウェアのビジネスを拡大していくのかという議論もあったが、この件が本当であれば、その可能性も出てくる。この買収によってAmazonは、AWSの競合サービスであるAzure、そして幅広い種類のエンタープライズ向けプロダクトを抱えるMicrosoftに対する競争力を高めることができそうだ。Microsoftは先日、同社のカンファレンス・プロダクトであるSkypeのアップデートを行い、同アプリは以前よりビジネス・フレンドリーなものとなっている。

AmazonがどのようなサービスをAWSに加えるにしろ、それは既存サービスを共食いするのではなく、補完するようなサービスとなるだろう。すでにAmazonは、AWSでサードパーティーのソフトウェア・プロバイダー向けの大規模なマーケットプレイスを運営している。同社の消費者向けマーケットプレイスのエンタープライズ版とも呼べるサービスだ。

Bibaのテクロジーが活躍しそうな分野は他にもある。すでに述べたように、AmazonはJunstin Acquisitionという企業体を通して今回の買収を実施している。これに関してGeekWireは、同じくAmazonがすでに買収したビデオ・プラットフォームのTwitchと今回の買収には何らかの関連があるのではないかと推測している(Twitchの創業者は同じくビデオサービスのJustin.tvを創業した人物でもある。Twitchのビジネスにフォーカスするため、Justin.tvはすでに閉鎖されている)。

現在4500万人いるTwitchユーザーの多くは、自分のゲームプレイ姿を生中継したり、他のプレイヤーのプレイを観たり、それにコメントをしたりするゲーマーたちだ。だが、Twitchは「食」「アート」などの他の分野への拡大にも取り組んでいる。AmazonがBibaの機能をTwitchに組み込むことで、またはTwitchの機能をBibaに組み込むことで、Twitchにインタラクティブな要素を加え、同サービスをよりB2B向けのプラットフォームへと進化させることができる。

そして最後に、AmazonがBibaを社内用のプラットフォームとして利用する可能性もある。

Amazonの求人を見渡してみても、Bibaの名前に触れているものは1つしかなかった。AWSの顧客サポート部門であるAWS Supportのトレーニングを専門とする、トレーニング・スペシャリストの求人広告を見ると、応募要項のなかには過去にAdobe Connect、Webex、そしてBibaを利用したことがあるという項目がある。Amazonはまず、Bibaのプラットフォームを自社内のサポート・プラットフォームとして利用する可能性がある。そして、その後にAWS上のサービスとしてリリースすることも考えられるだろう。

CrunchBaseによれば、Bibaのこれまでの調達金額の合計は約1500万ドルで、主要投資家にはBenchmark、Trinity、InterWestPartnersなどがいる。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter