シアトルで実験中の生鮮食品オンライン宅配、Amazon Fresh、本格的事業化迫る?

Amazonはここ5年ほどAmazonFreshという生鮮食品宅配の実験をシアトル地区で続けている。今日(米国時間6/4)のReutersの記事によれば、このAmazon Freshが本格的な事業化に向けて拡大されるらしい。AmazonFresh方式のサービスが今年中にロサンゼルス、サンフランシスコでもオープンし、2014年までにアメリカ内外の20都市にサービスが拡大されるという。

Reutersは事情に詳しい2人の情報源が「事業が順調に拡大できるかどうか、その成否はなんといっても最初の2都市の運営結果にかかっている」述べたと報じている。生鮮食品の小売は昨年だけで5680億ドルという巨大市場だ。Amazonにとってその潜在的価値は図り知れない。

デジタルコンテンツやエレクトロニクス製品の分野でのAmazonの優位性が確固たるものになるにつれて、新たな分野への進出に興味を抱くようになったのかもしれない。Amazonが重視するのは常に成長だ。前四半期の成長は普通の会社なら十分満足すべきレベルだったが、過去の急成長と比べると一部のアナリストにはもの足りないと映ったようだ。その結果、株価は控え目な推移をみせている。

生鮮食品の場合、既存大手のWal-MartやWhole Foodsなどは完全に現実店舗のチェーン店なので、Amazonの前には未開拓の巨大市場が広がっている。Reutersも指摘するとおり、生鮮食品というのはオンライン通販にはあまり向かない市場だと考えられてきた。大きな理由は在庫を維持するために莫大なコストがかかることにある。本や家電製品と違って一定時間で売れ残った商品は廃棄物となるし、保管には冷蔵、冷凍設備も必要になる。

Amazonは失敗したこの分野のパイオニアWebvanも含めてスタートアップとは桁違いのリソースを投じることができる。しかもシアトルで5年も実験を重ねている。ジェフ・ベゾスは2011年にAmazon Freshについて楽観的な評価を述べた。しかし同時にAmazonが事業化するまでにはさらに改良を要する点があると認めた。

どうやらベゾスとそのチームはこの2年間で行った改良でAmazon Freshは事業化に踏み切るのに足りるレベルに達したと判断したようだ。この報道が事実であっても、生鮮食品は地域ごとに特性が大きく異るので展開にはかなりの時間がかかるだろう。

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Amazonプライムよりもっと早く。物理的配達の未来

編集部注:Semil ShahはTechCrunchのゲストライター。Twitterアカウントは@semil

「メンバーシップ、それが特権」。アメリカンエキスプレスの有名なスローガンが、今や数多くの人々が喜んで所有しているオンライン・メンバーシップにも当てはまる。それはAmazon Prime。Primeに加入して以来 ― これは単なる逸話である ― わが家がTargetストアに足を運ぶ回数は減り続け、2013年、緊急時に故障部品を買いに行った1回を除き、私はどこのメガストアでも買ったことがない。Primeによって、Amazonは最もエレガントな消費者セグメントを作り出し、メンバーにはわずかなクリックまたはタップであらゆるデバイスからカートに商品を積むように促し、買い物の度にこの質問を自問するよう顧客を教育している。「この商品を48時間以内に必要?」

もしその答が「イエス」ならどうするのか?

もちろんAmazonは、すでに翌日配達を提供しているので、48時間は24時間に圧縮されている。これは、Amazonが将来多くの競争で戦うことになる領域 ― 従来や新時代のさまざまなな方法によって、Amazon商品をわれわれの手に家に届ける配達戦争と作戦だ。私が予想するAmazonが最初の24時間を削ぎ落とす方法を以下にご披露する。Amazonがどんな方法を編み出すのか、みなさんの意見やアイデアも歓迎だ。

時間単位の配達:多くのサンフランシスコのスタートアップが行っているやり方を、Amazonも後追いするだろう。注文した商品が必要なのは、1時間後、2時間後、4時間後、それともその日のうちでいいのか? Amazonはそれぞれの配達時間帯を設定し、利便性に応じて料金を追加するだろう。そして、商品の選択、チェックアウト、配達ゾーンの設定、時間帯の指定方法も今より簡単になるだろう(ややこじつけめくが、Amazonはすでに、よく買う日用品のために「定期購入で節約」オプションを用意して、このセグメント化を始めている)。

決まった場所への配達これはまさにAmazon Lockersの話だ。移動が多い、時間が不規則、荷物を預かる人がいない、職場に届けてほしくない、などの人々にとって、LockersはAmazon専用の私書箱になる。その結果Lockerは、Amazonの運送費を下げ、顧客との物理的接点を作ってAmazonブランドに触れる機会を増やす。これは重要だ。

小売倉庫:今やAmazonは、州を越える売上税の規則変更のために、多くの州(カリフォルニア等)に物理的施設を持っている。突拍子もなく聞こえるかもしれないが、Amazonが選ばれた場所にコストコ風の店を作り、一工夫こらしたライブAmazonショッピング体験を作る可能性がある。

空中配達:未来の配達方法に関する記事で、無人飛行ドローンに触れないわけにはいかない。ドローンは今さまざまな理由で話題になっているが、これは商用利用の話だ。今私はこの記事を、日曜日の午前に屋外の小さなデッキで書いているが、ここは私が実際に「定期購入」しているAmazon商品を、ドローンが定期的に着陸して配達するのに最適なスポットだ。Amazonの運用能力からみて、将来Amazonがこれを実施することを私は本気で期待している。

2012年9月、私はAmazonに関する 記事を書き、この会社の驚くべき広範囲な事業分野の様々な面を簡単に紹介した。Amazonの規模とスピードは圧倒的であり、a16zのJeff Jordanによるこの優れた記事は、AmazonとGoogleが衝突する運命にあることを鋭く指摘している。JordanのOpenTableおよびPayPalにおける社長経験と、現在AirbnbおよびPinterestで取締役を務めていることをを踏まえると、誰よりも未来のEコマースが見えているのは彼だろう。この戦場が作りだした機会に関心のあるスタートアップは、配達分野や、配達用ロッカー(BufferBoxはすぐにGoogleが買収した)、 ドローンのハードおよびソフト、これら効率よく運用するための新技術、あるいは小売店舗での経験を再発明する技術やデザイン等の分野でスタートを切った企業に注目するとよい。

写真提供:Lord Enfeld / Creative Commons Flickr

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(翻訳:Nob Takahashi)


デベロッパが自分のアプリの利用状況をチェックできるApp Engagement ReportsをAmazon Appstoreが提供

モバイルアプリのデベロッパ向けに数々のサービスを連射しているAmazonが今日(米国時間5/24)は、App Engagement Reportsを発表した。これは、アプリの利用状況を報告する無料のアプリケーションで、今度から同社のMobile App Distribution Portalに含まれることになる。Amazon Appstoreのデベロッパがアプリのパフォーマンスや売上などに関する情報を知りたいときに、このアプリケーションを使う。

同社の発表時の説明によると、このレポートには、各日各月のアクティブデバイス数、アプリのインストール数、アプリの実動セッション数、デバイス一台あたりの平均売上、ユーザ保持率(リテンションレート)などの数値データがあり、それをマーケットプレース別にフィルタしてチャート形式で見たり、CSVでダウンロードしたりできる。また期間を区切って時系列でデータを見ることもできる。

提供されるEngagement Reports(エンゲージメントレポート)は、次の6種類だ:

  • 概要: あなたのアプリやゲームの主な利用状況データ
  • 平均売上: アプリ内アイテムのデバイス一台あたり各日各月平均売上(Average Revenue per Device, ARPD)と有料ユーザ一人当たり平均売上(Average Revenue per Paid User, ARPPU)
  • リテンション(ユーザ保持率): 1日3日7日の日別保持率と1週2週3週の週別保持率
  • アクティブデバイス数: 各日アクティブデバイス(Daily Active Devices, DAD)、各月アクティブデバイス(Monthly Active Devices, MAD)、スティッキーファクター(Sticky Factor(DAD/MAD), 継続率)
  • アプリ実動セッション: 各日総セッション数とデバイス一台当たり平均セッション数
  • アプリのインストール: 各日インストール数とアンインストール数

当面、レポートが得られるのは2012年10月25日以降に提出したアプリのみだ。それ以降に更新のないデベロッパは、アプリを再パブリッシュするかアップデートを提出して、レポート機能を有効にする必要がある。ただしアプリのコードに変更は必要なく、ほかのソフトウェアを統合する必要もない。

Amazon Appstoreのアプリの最新バージョンの、一般的なAndroidデバイス上での使用状況のほかに、Kindle FireやFire HDなどAmazonのデバイスで動くアプリもレポートに含まれる。

アプリの売上や利用状況に関するデータはAmazonのAppstoreにかぎらず、マーケットプレースサービスが提供するサービスの一環としてきわめて重要だから、Google PlayストアやAppleのiTunesではすでに標準の機能になっている。多くのデベロッパがサードパーティのSDKを統合して詳細なレポートを得ているが、だからAmazon自身が提供しなくもてよい、ということにはならない。Amazonはこの機能について、“デベロッパからのリクエストがとても多かった”、と言っているが、なにしろマーケットプレースが必ず持つべき機能の一つだ。

このEngagement Reportsの提供の前にも、AmazonはAppstoreの機能増強に努めている。そのグローバル展開だけではなく、アプリ内決済、サブスクリプション(会費制)、そしてAmazon独自の仮想通貨Amazon Coinsまで導入してきた。いずれも、デベロッパの収益性を高めるための布陣だ。

デベロッパにはこういう機能を実験しているひまが、なかなかなかったが、でもARPU(ユーザ一人当たり平均売上)やリテンション(保持率)などは、アプリの今後の改良の強力な動機を導くデータだから、必ずレポートを見るという習慣をつけた方が良い。

レポートの項目の詳細については、ここに説明がある。またEngagement ReportsのFAQには、いろいろと具体的な質問とそれらへの答えが載っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazon、”Kindle Worlds” をスタート。ファン・フィクションを書いて印税をもらおう

時として作家が作る世界はあまりに魅力的で、その世界に肉付けしようと他の人々が賛美のフィクションを書きたい衝動に駆られることがある。そしてゴシップガールのような駄作でさえ、山ほどの人々がその登場人物と世界を使って書きたがる。このたびAmazonは、ファン・フィクション作家が利益を上げる場として、“Kindle Worlds”をスタートする。

Worldsは、Kindle Singles、Kindle Serialsに続く、著作家がデジタル出版で利益を得る方法であり、最大の特長は、さほどクリエイティブでない人も参加できることだ。しくみは、ファンが他の著作家の書いた作品にまつわる物語を書き、それをKindleブックストアで販売できるというもの。Amazonは、原著作権保有者とファン作家の両方にロイヤルティー支払う。1万ワード以上の作品については売上の35%がファン作家の手に入る。

もっと短い作品向けの新しい収益モデルもあり、通常1ドル以下で販売される5000~1万ワードの作品に適用される。この場合の作家の取り分は20%だ。

ファン・フィクション作家は公式Amazon Kindle Wolrdウェブサイトで今から登録可能で、AmazonはWorldsストアを6月に開業する予定だ。スタート時点で50以上の委託作品があり、誰もが自分の作品を投稿できるセルフサービス投稿プラットフォームを近々公開する。

Amazonのビジネスのやり方は実に賢い。既存の人気コンテンツを、一人の著者では(あるいは数人で書いている場合でさえ)不可能だった方法で活用できるうえ、すでにネット上に存在するファン・フィクションの巨大な市場も利用できる。そういえば私も、恐ろしく出来が悪くて恐ろしく長いスターウォーズ拡張世界の原稿が、クローゼットのどこかに眠っている。もし見つけたら、子供っぽい走り書きを何とかテキストに起こして、もしAmazonがディズニーから権利を取ってくれれば、Worldsに出して楽に儲けてみることを考えてみたい。

現在Amazonは、テレビ、映画、書籍、ゲーム、音楽等の様々なコンテンツ提供者とライセンス契約を固める準備を進めているところだ。私の唯一の疑問は、なぜこんなに時間がかかったのかということだけだ。無限の文字コンテンツが欲しければ、ファン・フィクションこそ最適の場所だ。

好きです、ゴシップガール

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(翻訳:Nob Takahashi)


Amazon、巨大温室のようなバイオ・ドーム付き新本社の建設計画を発表―すぐ近所に立派な公園もあるんですけど

Amazonは未来的な本社ビルの建設計画を関係当局に提出したと報じられている。この計画では高層タワーに加えて半球形の温室のようなバイオドームが3棟併設される。このドーム内では多様な植物が育てられると同時に、公園のような環境で社員が働けるよう、オフィスおよび各種福利厚生施設が設けられる計画だという。

これがその計画案だ(最初に報じたのはGeekWire)。一般的に言って、たいへん洒落ていて未来的で、さらに流行に乗っている。

つまりAppleもだいぶ前になるが、宇宙船オフィスの計画を発表しているし、他の大手テクノロジー企業もオフィスに社員を引き止めておくために非常な努力を払っている。 最近もMarissa MayerがYahooの服務規程を改定してYahooの社員の在宅勤務を禁止して大きな話題になった。その後Yahooは昔ニューヨーク・タイムズの本社だったタイムズ・ビルに広いスペースを借りた。聞く所では、タイムズ・スクエアを見下ろすこのオフィスには、700人の社員を収容することができるという。

現在Google、Apple、Facebook、Amazonというテクノロジー企業のトップ社が期せずしてオフィス環境の整備に力を入れている。

Googleのオフィスはマウンテンビューの本社にせよ、ニューヨーク・オフィスにせよ、一流シェフが腕をふるう無料の食事が用意されるなどまずは最良の職場環境といってよいだろう。Appleはスティーブ・ジョブズの最後のビッグ・プロジェクトである空飛ぶ円盤のような新本社の建設に取り組んでいる。FacebookもGoogleと同様、チェス、ビデオゲーム、バスケット・コート、無料ランチなどの福利厚生をふんだんに提供している。

そういう次第で、第四の騎士たるAmazonも優秀な社員を引き止めておくためには何か手を打たねばならないと感じ始めたのだろう。誰にとってもよいことだ。社員は快適な環境で働くことができるし、雇用者は社員の能率が上がれば十分に投資の元が取れる。

とはいうものの、Amazonの場合、たった3ブロック先に完璧な公園があるのだが。

Here’s the full set of plans:

Amazon's new HQ design by John Cook

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Amazonが3D画面のスマートフォンと音楽ストリーミング専用機を発売か?

AmazonはKindleリーダーやタブレットなどハードウェアも提供しているが、Wall Street Journalによると、近くスマートフォン2機種と、音楽ストリーミング専用のデバイスを出すらしい。スマートフォンのハイエンド機の方には、眼鏡不要の3Dスクリーンがある。もう一つの機種は、詳報はないけどふつうのスマホだろう。

Amazonがスマートフォンを出すという噂は前からあったが、最近Windows PhoneのエヴァンジェリストCharlie Kindelをスカウトしたため、いよいよか!と期待が盛り上がった。本誌のNatasha Lomasが以前、Kindelの話を記事にしたことがある。そのとき彼は、Androidの分裂によってほかの選手たちに乗ずる機会が生まれている、と言っていた。彼はまさに、Amazonでその機会に乗りたいのだろう。しかもそれらは、大きなプロジェクトの最初の2機種にすぎないのかもしれないが、まだ公式には何の発表もない。

噂の3Dデバイスは、網膜追跡技術(retina-tracking technology)を利用して、専用眼鏡がなくても見えるホログラフ的画像を表示する、と言われている。その立体像は、画面の上をホバーする。それも一種のギミックのように聞こえるが、なにしろあの3DSを初めとして、消費者向け電子製品の3D技術の現状は、まだあまり芳しくない。3DSも、最近のマーケティングでは3Dを強調しなくなった。HTCやSonyも携帯の3Dディスプレイを売りものにしようとしたが、あまり成功していない。

でも最近は、各社とも、ニッチで終わらないような3Dハードウェアを作ることに力を入れている。Chromebook Pixel、Google Glass、それにAppleの噂のスマートウォッチなどもその例だ。最近出たAcer Aspire R7も、大衆製品ではないハイエンド機で、その線をねらっている。

Amazonのもう一つのスマートフォンは、おそらくマスマーケット向けだろう。また専用オーディオプレイヤーは、ストリーミング音楽世代のためのiPhoneをねらっているのかもしれない。WSJの記事は、一部の機種は数か月後に発売、と言っている。それとも、3DなどはAmazonが社内的にテストしているだけ、かもしれない。

Amazonに問い合わせたが、今のところ返事はない。公式のコメントをもらえたら、この記事をアップデートしよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazon2013年Q1業績で予測を上回る。売上22%増の160億ドル、純利益は37%減の8200万ドル

昨期Amazonは、順調な業績を続けウォール街を喜ばせながら、予測を下回る収支でアナリストらを驚かせた。年末商戦を踏まえ予測は高かったにもかかわらず、2012年Q4、Amazonの純利益は45%減の9700万ドルだった。しかし総売上が伸びを続けて22%増の212億ドルだったのは明るいニュースだった。

今日(米国時間4/25)もAmazonはその傾向を維持し、Q4で予測を下回った後遺症がわずかにみられる。本日午後の株式市場閉鎖後、Eコマースの巨人は業績を発表した。キャッシュフローは39%増の42.5億ドル(前年同期は30億ドル)、総売上は22%増の160.7億ドル(同131.8億ドル)だった。

売上160億ドルに対し、1株当たり利益(EPS)0.18ドルと予測を上回った。今日の発表まで、ウォール街の予測はEPSに関してはずっと低く、0.08ドルだった。一方売上予測は162億ドルで、Amazonの売上は160.7億ドルとわずかに下回った。

昨年来変わらぬ市場変動による良否こもごもの結果にもかかわらず、Amazonの株価は上昇傾向にあり、274.70ドルで引けた。これは同社がこの秋に独自のセットトップボックスを販売し、リビングルームにもっとハードウェアを持ちこもうとしているという噂による。

今日の発表でAmazonのファウンダー・CEO、Jeff Bezosは、数字にも減益にも触れず、Netflixに戦いを挑むべく同社のInstant Videoユーザーにオリジナル番組を提供していることを強調した。先週同社はInstant Videoに新しく14本のコメディーおよび子供向け番組をパイロット提供し、たちまち「Instant Videoで最も見られたテレビ番組」になったと月曜日に発表した。

「Amazon Studioはテレビ番組の新しいやり方に取り組んでいる。このパイロットテストは誰でも意見を言えるよう一般公開されている。私にもAmazon Studioチームにもそれぞれ好みはあるが、このアプローチのすばらしいところは、われわれの意見は無関係だということだ。何がレギュラー番組になるかを決めるのは顧客だ。Amazon Originalsがわれわれのプライムメンバーのために価値を生みだすもう一つの方法になることを願っている。」とBezosは今日の収支会見で言った。

他の注目点。Amazonのフリーキャッシュフローは1.77億ドルとなり前年の11.5億ドルから85%減少したが、主な要因はシアトルに購入した事務所スペースに14億ドル支払ったことによる。Q1の経常利益は1.81億ドル、前年同期の1.92億ドルから6%減、純利益は8200万ドルで2012年Q1の1.32億ドルから37%減少した。

Amazonの明るい面は依然として増え続けている。オリジナル番組への移行と、A+E、CBS、FX、PBS、およびScrippsとのライセンス契約によるPrime Instant Videoのセレクションの拡大が奏功した。つまりこれは、Downton AbbeyやJustified、Under the Domeなどの番組や、Food Network、Cooking Channel、Travel Channedl、HGTVなどのコンテンツがみなAmazonにやってくることを意味している。Prime Instant Videoには現在映画とテレビ番組が3万8000本あると同社は言っている。

さらにAmazonは、Safari用の新しいMP3ストアの開店についても大きく宣伝した。これはiPhoneやiPod Touchユーザーが同社のカタログからデジタル音楽を見つけて購入できるものだ。この直前、Amazonのアプリストアの影響力が高まり高い収益の可能性があるいう報道があった。Amazonはこの四半期にiPad、iPad mini用のCloudプレーヤー、AutoRipのアナログレコードへの拡張、Kindle Fire HD 8.9インチモデルも発表した。

著作者や読者にとっても嬉しいニュースがある。Amazonは、業界標準の年2回を越え毎月の著作料支払いを開始すると発表したほか、人気の書籍お薦めサイトGoodreadsを買収した。

全体的に見てAmazonにとって多忙な四半期だったが、中でもAWSは過去数ヶ月間に多数の新サービスを立ち上げ、再度料金を値下げした。今日の発表で同社は、AWSは「2006年の開業以来31回値下げを行い、2013年に入ってからだけでも7回下げている」と言った。

しかし将来に関してAmazonは予測を下げており、次四半期の売上予測は145~162億ドルで、これは2012年Q2の13~26%増に相当する。同じく経常損益は、-3.4億ドル~+0.1億ドルと予測している。言い換えれば損失の可能性がある。

詳細はAmazonのQ1業績発表資料を参照されたい。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Amazonが秋に独自のTVセットトップボックスをリリースか

BloombergのBusinessweekの記事によれば、この秋Amazonは配信するコンテンツをリビングの大画面で楽しめるようにするセットトップボックスをリリースする計画だといいう。AmazonはすでにKindleプラットフォームを消費者に強力に売り込んでいる。Appleのファンシーさ、XBoxのゲーム機という本質、Google TVの中途半端さが好きでない消費者がターゲットだ。

もちろんセットトップボックスはすでに競争が非常に激しい市場になっている。 しかしAmazonはこうしたライバルにない強みを持っている。つまり消費者がテレビを見ている間に売り込める膨大な商品群を倉庫にストックしているという点だ。おそらくAmazonのサービスはテレビを見ながら直接、あるいはモバイルデバイスを通じてオンライン・ショッピングができるようになっているはずだ。たとえば古いテレビに飽き始めているときに、新しいテレビがクリックひとつで買えるとなったら、その誘惑に屈する消費者は多いはずだ。

Amazon TVでは興味ある独自番組も企画されているようだが、むしろホームショッピング2.0という側面が重要だと思う。

すでにサービスを開始しているスタートアップを買収するというよくある方法を使わず、AmazonはクパチーノのLab126で社内開発することを決断した。

AmazonはKindleシリーズをAmazon Primeの送料無料サービスのユーザーをターゲットして売り込みに成功している。Amazonにすでに定期的に金を払っているユーザーなら新しいプロダクトにさらに金を払う可能性が高いわけだ。もっとも映画やテレビ番組の配信に「送料無料」がどう関係があるのかは不明だが、消費者は満足しているようだ。

Kindleプラットフォームで一番人気が出ているのがオリジナル・コンテンツであるからにはセットトップボックスの開発は必然だったといえる。Amazonが人気のある独自番組をより多く製作することができれば、それだけAmazonの独自デバイスをテレビにつなぐ理由が増えるわけだ。これはAppleが既存のデバイスをテコにして新しいデバイスを売り込んできたのと同じ手法だ。Amazonはそのノウハウをよく研究したものとみえる。

Amazonの参入は遅すぎたという声も上がるだろうが、 Jeff Bezosは今回も他者の失敗を観察して学ぶという賢明かつ計算し抜いた戦略を取っていると思う。Kindleの成功もシンプルなペーパーバック的読書体験に機能を集中させたことが大きい。

[写真:Flickr]

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Amazon傘下になったGoodreadsは、統合を密にしつつインディーズの立場を守る

今日(米国時間3/28)の午後AmazonがGoodreadsの買収を発表した後、私はGoodreadsのCEO Otis ChandlerとAmazonのKindleコンテンツ担当VP Russ Grandinettiのふたりと話す機会を得た。いちばん気になっていた2点、即ち契約に至った経緯とKindle/Goodreads統合の詳細計画については、ふたり共曖昧さを貫いていたが、それでも将来の計画についていくつかのヒントを漏らしてくれた。

Chandler(写真は妻で共同ファウンダーのElizabethと一緒)によると、Kindleとの統合はGoodreadsユーザーの間でも人気が高く、Grandinettiは、Kindleデバイスやアプリ上でのソーシャル体験を「超カンタン」にしたかったと言った。どんな形になるかに関しては「機能については発売時にお話ししたい」と言うだけだった。

本誌のDrew Olanoffがこのニュースを報じた際、これによってAmazonが電子書籍のライバル、特にAppleに対してソーシャル的な優位性を得られのかどうかが注目的の一つだった。Amazonの買収によってGoodredsの非Kindleデバイスとの統合が不可能になるのかという私の質問に対して、Grandinettiは、AmazonチームはKindleアプリがiOS、Android上でも動くよう頑張っていると答えた。つまり、例えばiPadのKindleアプリ経由でGoodreadsを利用できることになりそうだ(ただしこれは、むしろiBookstoreに関して重要視していたDrewの指摘を消し去るものではない。また、Amazonは以前ソーシャル読書のスタートアップ、Shelfariも買収しているが、ソーシャル面の急転回にはつながっていないことも指摘しておきたい)。

Goodreadsが今後もFacebookと密に連携していくのか、Amazonでスタンドアロンのソーシャル体験を作っていくのかについても質問した。Chandlerは、「Facebookは今後もGoodreadsにとって重要だ。われわれのミッションは人々が読書を通じて自分を表現するのを支援することであり、Facebookの膨大なユーザー基盤はそれを容易にすると答えた。

さらにChandlerはこの買収に関する自身のブログ記事で、「Goodreadsはサイト利用者が喜ぶものすべてを引き続き提供し続ける」と書いている。ちなみに、Goodreadsチームは全員今後もサンフランシスコに残る。Chandlerは「ZapposとIMDbの形態」と似た形の独立子会社として運営されるだろう」と言っていた。

「これからも採用も続け、チームを大きくしていく」と彼はつけ加えた。

AmazonとGoodredsは過去に何度か衝突があった。中でも昨年1月には、Amazonのデータに制約が多いという理由で、Goodreadsは書籍データの主要入手先をAmazonからIngramへと乗り替えた。今日この件に触れたところ、Grandinettiは、「GoodreadsがAmazonのAPIを使わなくなったことはどちらの利益にもならなかった思う」と語り、今こそ「発見と読書の全く新しい領域を探る」ためにAmazonのデータをGoodreadsに取り戻す時だと彼は言った。

Chandlerは、Amazonデータを止めたことによる不都合の一つが海外データだったと言う。この買収によって、Goodreadsは再びそのデータを利用できるようになる。

APIと言えば、Chandlerは別のインタビューで、Goodreadsは今後も自身のAPIを公開し、Koboへのレビューフィードも続ける予定だと語った。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Amazon、ユーザー1600万人のソーシャル読書サービスのGoodreadsを買収―Kindleとの統合で圧倒的優位を狙う

今日(米国時間3/28)、Amazonは有力なソーシャル読書サービス、Goodreadsを買収したと発表した。金額などの詳細は不明。買収手続きは第2四半期に完了する。

Goodreadsは2007年1月のスタート以来、True Ventures他から275万ドルの資金を調達している。 去年8月にわれわれが取材した際には、ユーザーは1000万人以上、 投稿された本は3億6000万冊以上で、毎月2200万冊が新たに投稿されているということだった。現在GoodReadsではユーザーは1600万人だと発表している。

この種のソーシャル・サービスを傘下に持つことは、Amazonにきわめて大きな比較優位性を与えることになる。たとえばオンライン電子書籍販売でのライバル、Appleはソーシャルな要素をまったくといってよいほど持っていない。もっぱら本についての情報を共有し、活発に議論をするソーシャル・サービスがAmazonの一部となるというのはまったく理にかなったことだ。

Amazonは当面Goodreadsのユーザーに対して特別割引などの優待キャンペーンができる。しかしそれ以上に、Amazon自身のソーシャル読書ネットワークとして本体への緊密な統合を図ることができるだろう。

下は昨年8月時点での毎月の登録書籍刷数の推移を表すグラフだ。Kindleと連携することでこの数はさらに飛躍しそうだ。

AmazonのKindleコンテンツ担当副社長Russ GrandinettiはAmazonのeブック事業にとってこの買収がきわめて重要であるとして次のように述べている。

AmazonとGoodreadsは読書体験の再構築に向けて情熱を共有している。Goodreadsは読者が新しい本を発見し、それについての意見を交換する新しい枠組みを作った。一方、AmazonはKindleで世界中、いついかなる場所でも本が読めるように読書体験を拡張した。さらにAmazonとGoodreadsは何千人も著者に新たな読者を紹介し、著作によって生活ができる道を開いてきた。われわれ両社が力を合わせることにより、読者と著者の双方に新たな喜びを与える方法がいろいろ発見できるものと期待している。

一方、Goodread’sの共同ファウンダー、CEOのOtis ChandlerはAmazonの買収によって開かられた新たな展望について次のように述べた。

本とその中に表現された物語や思想は、われわれの社会を織りなす重要な糸のひとつだ。人々は読んだ本について語り、その体験を共有するのが好きだ。私はAmazonとKindleと提携する機会を与えられたことにこの上なく興奮している。われわれは今やGoodreadsのソーシャル読書体験を今までにないスピードで世界中の何百万という読者に広めていくことができるようになった。

Goodreadsは公式ブログの記事でもう少し詳しくAmazonへの参加の意義や、Kindleとの統合が最優先課題であることなどを説明している。Chandlerによれば、

Amazonへの参加には以下の3つのメリットがある。

1. Amazonのユーザーと資源をもってすればGoodreadsの活発な読書家のコミュニティーをさらに多くの新たなユーザーに対して紹介し、また既存のユーザーの体験を改善することができる。

2. Goodreadsのユーザーは以前からeリーダー上でGoodreadsを作動させるよう要望してきた。今やGoodreadsは世界最大のeリーダー・プラットフォーム、Kindle上での展開を視野に入れることができるようになった。

3. AmazonはGoodreadsの独立性を尊重し、われわれがこのブランドと独特の文化を維持したまま活動を続けてよいと約束してくれた。

ソーシャル機能に加えてGoodreadsは長年の間に高度な本の推薦テクノロジーを確立している。これもAmazonにとっては喉から手が出るほど欲しかった資産だろう。

一方で、ライバルのAppleが手がけたデジタル・コンテンツ販売に関連するソーシャル機能といえば音楽ソーシャルネットワークを目指したPingくらいのものだ。しかしPingは人気を得ることができず、昨年10月に閉鎖された。Amazonがデジタル・コンテンツの各分野でGoodreadsに相当するような有力ソーシャル・サービスの買収に成功するならその分野での優位性は動かぬものとなり、当然売上にも反映されるだろう。とにかくGoodreadsが保有している膨大なユーザー・データの価値を考えただけでもこの買収は見事なスラムダンクだ。

また最近Amazonは著者自身による出版ビジネスにも参入して予想以上に売上を伸ばしているが、これもGoodreadsとの相乗効果が期待できる分野だ。

Goodreadsは興味ある数字を発表している。

過去90日間にGoodreadsのメンバーは毎秒4冊以上を『読みたい本』として登録している。

こうした数字がAmazonによる買収の決め手となかったのかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Amazon Web Services(AWS)が専用ハードウェアによるセキュリティサービスCloudHSMを開始

Amazonが今日(米国時間3/1)、CloudHSMのローンチを発表した。この新しいサービス はAmazon Web Services(AWS)のユーザに、専用のハードウェアモジュール(Hardware Security Module, CloudHSMの’HSM’)よるデータセキュリティを提供する。セキュリティに関して企業内的、契約条件的、あるいは法制的なコンプライアンス要件を抱えるユーザを、対象としている。Amazonの主張によると、これまで、クラウドサービスを利用する企業の唯一のオプションは、機密データやその暗号キーを自社所有のオンプレミスのデータセンターに保存することだった。当然これによって、アプリケーションをクラウドへ全面的に移行させることが困難になる。

Amazonの説明によると、今回の新しいサービスを利用することが適している分野は、“データベースの暗号化、DRM(Digital Rights Management)、認証や本人証明におけるPKI(Public Key Infrastructure)、署名入りドキュメント、支払などのトランザクション処理、などなどである。そのハードウェアの実体は、SafeNet, Inc.製のLuna SAモジュールだ。

CloudHSMサービスはAmazonのVirtual Private Cloud(VPC)を利用し*、ハードウェアはユーザのVPC内に配備され、ユーザが指定したIPアドレスを持つ。Amazonによるとこのサービスは企業にキーストレージを提供し、それらのキーを、“暗号モジュールの国際的規格(Common Criteria EAL4+)と合衆国規格(NIST FIPS 140-2)に準拠する、不正操作耐性のあるHSMアプライアンス”により、保護する。〔*: 関連記事。〕

HSMはユーザのEC2インスタンスの近くに置かれるので、ネットワーク起因のレイテンシはきわめて低いはずだ。

ただしこれは、お安いサービスではない。まず、配備費用(前払い)が5000ドル、そして使用料は1時間1ドル88セント(月額約1373ドル)だ。これぐらいの高度なセキュリティを必要とする企業にとってはたいした額ではないかもしれないが、暗号キーやデータを安全に保存したいと単純に願うスタートアップ向きではない。HSMのクライアントソフトウェアは複数のCloudHSMにまたがってリクエストのロードバランシング(負荷均衡化)を行うが、Amazonによると複数配備には“数週間を要する”そうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazonが[Send to Kindle](コンテンツをKindleへ送る)ボタンをローンチ

Amazonが今日(米国時間3/19)、[Send to Kindle]ボタンをローンチした*。これはWebデベロッパWordPressのブロガーたちが使う小さなウィジェットで、ユーザがこれを押すとコンテンツがKindleリーダーやアプリに保存される。今このボタンがすでに載っているのは、The Washington PostTIMEBoing Boingの記事だ。〔*: 小さな[k]の字だけがあるボタン。たとえばこの記事。〕

Amazonの[Send to Kindle]スイート(アプリケーションとブラウザプラグイン)は昨年ローンチし、そのGoogle Chromeエクステンションには[Send to Kindle]ボタンがあった。それはPocketやInstapaperのようなコンテンツクリップサービスに代わって使われるもので、Kindleの上でeブック以外のものが読める仕組みだ:

[Send to Kindle]ボタンを使ってコンテンツをあなたのKindleに送り、あとで都合の良いときに読めるようになります。一度送れば、あなたのKindleデバイスやiPhone, iPad, Android(携帯とタブレット)の無料のKindleアプリで、いつでもどこでも読めるようになります。あなたの目にとまったWebサイトやブログを、あとで探す苦労がなくなります。あなたのKindleを開けば、すべてのコンテンツがそこにあります。[Send to Kindle]ボタンは、Webから集めたコンテンツをお仕事や学校の宿題、趣味などで活用するためにも、便利に使えます。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazon、 EC2のさらなる料金値下げでクラウド・コンピューティングのライバルに攻勢

AmazonはライバルのGoogle Compute EngineWindows Azureなどのエンタープライズ・クラウド・プラットフォームに対抗するためにさらに賭け金を競り上げてきた。

今日(米国時間3/5)、Amazon WebServicesはEC2の予約インスタンス(Linux/UNIX、Red Hat Enterprise Linux、SUSE Linux EnterpriseServer)の料金を最大で27%値下げすると発表した。これによりオンデマンドのインスタンスに比べると最高65%安くなる計算だ。この動きはAmazonがスケールにものを言わせてギリギリまで利益を削っていく姿勢をさらに強めたことを意味する。

われわれのAlex Williamsが最近書いたとおり、Amazonのエンタープライズ・サービスのビジネスモデルは(実はAmazonの消費者向けサービスも同様だが)、利益率を限界まで低くして、その代わりに規模の拡大を狙う。Amazonは2006年にエンタープライズ・サービスを開始して以来、2012年の12月までに23回も値下げをしている。

今回の値下げの内訳は以下のとおり。

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AmazonのJeff Barrはブログ記事で、値下げは今日(3月5日)以降の購入について有効となる」と書いている。また購入のガイドラインとして「サーバの稼働率が15%以下のユーザーはオンデマンドのインスタンスを利用するほうがよい。15%から40%ならLight Utilization予約インスタンス、40%から80%ならMedium、それ以上の稼働率ならHeavyを契約すべきだ」と助言している。

今回の値下げはAmazonがAWSサービスを多様化させようとする努力の一環でもある。去年限定的に公開したRedshiftデータウェアハウス・サービスを最近、全世界に展開している。また今月に入ってから無料の(自動)コンサルティング・サービス、AWS Trusted Advisorをリリースした。これはAmazonが自社サービスのユーザーの利用状況をビッグデータとして分析し、特定のユーザーに対して料金節約やパフォーマンス向上のアドバイスを提供するというものだ。

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現実店舗の「ショールーム」化のリスクは家電以外のあらゆる量販店に及ぶ―Pacedが詳細レポートを発表

Mobile price check

Madrona Ventrue Groupが支援する位置情報分析を専門とするスタートアップ、Placedがいわゆる「ショールーム化」のトレンドが現実店舗に与える影響を詳細に分析したレポートを発表した。このレポートはショールーム化がeコマース企業、特にAmazonに与えるメリットも分析している。ちなみに、MadronaはAmazonに最初期に投資したことで知られている。

Placedの調査はショールーム化について過去最大かつもっとも詳細なものだ。ショールーム化というのは消費者が興味ある商品を手に取ってチェックするためだけに現実店舗に立ち寄り、購入はオンラインですませてしまうという傾向を指す用語だ。昨年、comScoreのU.S. Internetレポートは回答者の35%がショールーム化に相当する行動を取っていると認めた。またショールーム化の傾向は若い層ほど高く、 25-34歳では55%にも上っていた。

今日(米国時間2/27)発表されたPlacedの調査は、今年1月に全米の1万5000人の調査員から得た10億件のデータをベースにしている。comScoreのmobileLensのモニタ・パネルの方が規模は大きいがPlacedのコア・ビジネスは位置情報分析であり、その面で優位に立っている。Placedのモニタ・パネルからの情報や分析ツールはモバイル・アプリのデベロッパーがユーザーの現実世界での振る舞いを理解し、適切なターゲティングを行う上で大いに役立つだろう。

分析結果によれば、ショールーム化によってもっとも影響を受ける可能性がある企業のトップはWalmartとTargetだという。Amazonの顧客のうち、25.2%がWalmartを利用しており、10.7%がTargetを利用している。この順位を下に辿ると、Walgreensm、CVS、BestBuy、Home Depot、Lowe’s、Sam’s Club、Dollar Tree、Costco、GameStop、RiteAid、Kohl’s、PetSmart、RadioShackなどとなる。もちろんAmazonと顧客が重なってだけではショールーム化が進んでいるかどうかは分からない。この点について下で詳しく紹介する。

placed-overlap

女性Walmartがお好みのようだ。利用者の割合が男性より37%多い。Targetはさらに女性に強く 60.5も多い。Best BuyとGameStopは男性優位だ。

male-female chart 1

しかし購入状況をみると、Amazonで過去3ヶ月に100ドル以上購入している顧客は、スーパーマーケットよりもCostco(平均より52%多い)やBJs Wholesale Club(47%多い)、Toys R Us(43%多い)のような大型量販店をよく利用する傾向が見られた。

big spenders

しかしこの調査でもっとも重要な発見は実物店舗への影響の数字だ。Best BuyとTargetはショールーム化の影響を受けるトップで、BestBuyの顧客はショールーム行動を取る率が平均より20%も高く、Targetでは15%高かった。これらのチェーン店が数ヶ月前から「対Amazon価格保証」キャンペーンを開始しているのはおそらく偶然ではないだろう。

しかし影響を受けているのはBest Buyだけではない―Bed, Bath & Beyond、PetSmart、Toy R Us、Searsその他多くの現実店舗がショールーム化によるリスクにさらされている

Walmartも影響を受けているが、ショールーム行動を取る顧客はBest Buyより10%も低いので比較的安全といえる。Targetよりも15%低い。ショールーム行動を取る顧客の割合が高いハイリスク・グループにはPetSmart (位)、Toys R Us(3位)、Best Buy(4位)、Sears(5位)。しかしながら、危険率で1位となったのは、やや意外にもBed, Bath & Beyond〔寝装品、浴室用品〕で、顧客のショールーム行動の割合は平均より27%も高かった。

amazon showroomers

男女比は伝統的なく分のとおりで、男性はBest Buy、The Home Depot〔DIY〕、Lowe’s〔DIY〕の利用が多く、女性はKohl’s〔女性向けアパレル〕、PetSmart〔ペット用品〕、Bed,Bath & Beyond、Marshalls〔アパレル〕、Old Navy〔アパレル〕の利用が多かった。

male vs female chart 2

PlacedはまたAmazon Price Checkアプリを利用しているユーザーの行動を調査している。このアプリは簡単にいえばショールーム行動を容易にするのが目的だ。このアプリのユーザーがもっとも好む現実店舗はT.J.Maxx〔ブランド・ファッション〕だった(注意:これはアプリがこの店舗でもっとも頻繁に使われたことを意味するわけではない。このアプリを利用するユーザーの中でT.J.Maxxがもっとも頻繁に訪問されているということだ)。Costco、OfficeDepot、AT&T Wireless、Toys R Usもこのアプリのユーザーに好まれている。

amazon price check shoppers

レポートにはさらに詳しいデータや分析が掲載されている。全体として大いに興味深い調査だが、欲をいえば、バーコード・スキャン・アプリがどこでどれほど使われているか、また価格チェックアプリの使用がeコマースでの成約率にどれほどの影響を与えるかについても調査、分析が欲しかったところだ。こうした調査は困難だろうが今後の挑戦に期待したい。

一方で、Ipsos MediaCTとIABによる最近の調査は、ショールーム行動は現実店舗での売上増をもたらしているとしている。価格チェックアプリのユーザーは42%がオンラインで購入するが、現実店舗で」購入するユーザーも 30%存在するというのだ。現実店舗の経営者は消費者がこうしたオンラインでの価格チェックを行うことを前提とsちた上で競争力のある価格と対面販売ならではの優れたサービスを提供していくことがもっとも賢明な道だろう。

写真、図版:トップはFourthsource; 他はPlaced

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KindleのiOSアップデートにユーザーのライブラリを完全に削除するという恐怖のバグ〔アップデート:修正版リリースずみ〕

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昨日(米国時間2/26)、AmazonはKindleのiOSアプリ( iPhone、iPad、iPod touchすべて)をバージョン3.6.1にアップデートした。

いくつかのバグを修正し登録手続きを改良するのが目的だったが、このアップデートには深刻なバグがあったことが判明した。本の虫そろいのユーザーたちの目の前で彼らのAmazonのデジタル・ライブラリーと個人設定が完全に消滅してしまったという。

アップデート: Amazonは以下のような呼びかけを発表した。

今回のアプリのアップデート中にユーザーの登録を削除してまう可能性のある問題が発見されました。この場合、Amazonアカウント名、メールアドレス、パスワードをAmazonCloudに登録してください。Amazonから購入したコンテンツはクラウド上に保管されており、利用できます。Amazonではこの問題を修正したバージョンをAppleに送付しておりますので公開をお待ちください。

アップデート: AppleがAmazonの修正版(3.6.2)を公開した。この最新版は安全と思われる。

iTunesのページに書き込まれた悲鳴の一部。

このアップデートはiPadの私の本を全部削除してしまいました。別名で再登録しなければなりませんでした。一からやり直しです。クラウドには130冊も本を保管しているのです。

さて、ここで注目はAmazonが熱心なKindleファン(まあFireを使わずにiOSデバイスを使っているという点でそれほど熱心なファンとはいえないのかもしれないが)にどう対応するかだ。消えてしまったライブラリの復元について何らかの措置を考えているのだろうか?

幸いなことに、データはクラウドに残っているので、ユーザーが同じコンテンツを二度買わざるを得ないような事態には陥らずにすんだ。しかし映画を25本、テレビ番組を30回分、本を200冊購入していたとすると再ダウンロードはそうとうに苦痛な作業になるだろう。

[via TUAW]

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AWS、OpsWorksをリリース―Chefと連動してアプリ公開のライフサイクルをクラウド上で効率化する画期的サービス

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AWS(Amazon Web Services)はトラフィックの規模に応じて自由にスケールさせながらアプリの配信を管理するOpsWorksOpsWorksという新サービスをスタートさせた。

より興味が持たれるのは、新しく生まれつつ在るPasS(Platform as a Service)分野に破壊的革新をもたらす可能性があることだ。DevOps〔開発者が同時に運用者であるシステム〕の運用管理ツールの分野ではChefとPuppetが激しく競争しているが、そのインフラは次第に複雑さを増している。

プレスリリースによると、このサービスはリソース・プロビジョニング、コンフィグレーション管理、アプリケーション公開、ソフトウェアのアップデート、利用状況のモニタとアクセス管理などを含めたアプリの全ライフサイクルを管理するという。AmazonのCTO、Werner Vogelsによれば、AWS OpsWorksはベルリンのPeritor社(Scalariumの開発元で、AWSが2012年に買収)の開発によるものだという。

OpsWorksはデベロッパーに多層のレイヤーを提供する。レイヤーはデベロッパーが公開しようとする各種のAWSインスタンスの設計図の役割を果たす。レイヤーは特定のインスタンスのコンフィグレーションを設定したり、関連するAWSのリソース、たとえばElastic IPアドレスを取得したりするのに用いられる。デベロッパーはこれによってAWSのクラウド環境を容易に動的に管理できる。新サービスはRuby、PHP、HAProxy、Memcached、MySQLをサポートしている。さらにデベロッパーカスタム・レイヤーを開発して利用することができる。OpsWorksはChefと連動しており、必要に応じて特定のイベントに関連づけられたChefのレシピ〔運用自動化のスクリプト〕を呼び出すことが可能だという。

デベロッパーはOpsWorksは異なるレイヤーに自由にインスタンスを割り当てることができる。.

またOpsWorksではあらゆる面で処理の自動化が図られている。たとえばこのサービスはアプリの定義して公開する。デベロッパーはOpsWorksにソースコードの場所を教えておくだけで、後はこのサービスがデータベースのコンフィグレーションなどの作業を自動的に進めてくれる。

OpsWorksは非常に大きな影響を与える可能性がある。Hacker Newsのコメント欄にもあったが、Herokuを置き換える可能性もある。またOpsWorksがChefと連動する点については、Puppetに与える影響が注目される。

いずれにせよ、PaaS/DevOps市場は急速な拡大、進歩を続けており、OpsWorksの出現でアプリの公開管理の自動化とスピードアップはいっそう進むことになるだろう。

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ますます好調のAmazon。目指すのは「帝国」ではなく「世界」

amazon hidden empire編集部注本稿寄稿者のJohn Geraciはイノベーション・エージェンシーのfaberNovelのマーケティング部門を率いている。企業向けに事業創設のためのコンサルティングサービスを提供している。Twitterアカウントは@johngeraci

2年前、faberNovelから「Amazon.com: The Hidden Empire」という資料をリリースしている。ひとつのスタートアップとして始まったサービスが、17年間でいかにして世界を代表するEコマースサイトになったのかを示したものだ。資料は多くの人に見ていただき、そして多くの議論を巻き起こした。

資料のタイトルを「Hidden Empire」としたのは、当時の段階でAmazonはまだ「誰もが認める巨人」というわけではなかったからだ。もちろん大勢の人が書籍を購入するのにAmazonを利用していた。しかし2011年当時、IT業界の「巨人」といえばApple、Google、そしてFacebookを指すものだったのだ。「巨人」たちはビジョナリー・カンパニーとして君臨していた。Amazonは当時、まだ「本および小物」の店という存在に過ぎなかった。

2年のうちに状況は大きく変化した。

資料をリリースしてからも、Amazonは進化を続けて、常に話題の中心として成長を続けてきた。ライバルとしての小売店群を徹底的に蹴散らしてきた。そのような状況をうけ、faberNovelは「Amazon.com: The Hidden Empire」の改訂版をリリースした。最新の動向をまとめてあり、きっとお読みになる方のお役に立つものと思う。以下に、2013年版のハイライトを記しておこう。

  • Kindleが大成功となった。低価格デバイスを広く提供することで、Appleに対する挑戦者としての地位も獲得した。
  • 当日配送やピックアップ・ロッカーサービスの実現により、他の小売サイトなどのみではなく、地域の小売店舗とも直接的競合関係に入った。
  • Amazon SupplyによりB2B分野にも進出している。その他でも企業ユーザーの獲得に動いていて、どうやら成功しつつあるようだ。
  • Amazonは常に、新しい、そして影響度の高いビジネスモデルを開発し続けている。たとえば生徒に対する教科書レンタルサービスなども手がけて、将来の可能性を探り続けている。
  • Amazonは、あらゆるものを(anything)、どこにでも(anywhere)、そしていつでも(anytime)提供できるようになりつつある。
  • Bezosはこれからのスティーブ・ジョブズとなるのだろうか。外見的魅力で言えばジョブズが上だろう(申し訳ない)。しかしビジョナリーとしての存在感は増しつつあると思う。

ビジネスを展開するにあたって、Amazonとどのような位置関係を築くべきだろうか。あらゆる場所にAmazonありという時代になりつつある。ぜひ、私たちの資料もご覧頂き、ご意見をお聞かせ願えれば幸いだ。

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(翻訳:Maeda, H)

Amazonが中古eブックのマーケットプレースを開業へ

[筆者: Victoria Ho]
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Amazonは、中古のeブックを売ろうとしている。

同社は最近、読者が自分の読んだeブックの所有権を無効にし、Amazonのマーケットプレースに出す方法を発明して、特許を取った

もちろんeブックは傷んだりしないが、その再販とは、そのライセンス(自分だけが読めるという権利)を移転することだ。今でもKindleの本を“貸す”ことはできるから、ライセンスの移転はすでに行われている。貸した本が友だちのデジタルライブラリにある間は、その本はオーナーのデバイス上から消えている。

約1年半前にローンチしたReDigiというサービスもある。同社の指摘によると、Amazonが2009年に申請した特許は再販の技術が同社とは異なり、Amazonの本が新しいデバイスにダウンロードされると、その本は元のオーナーの書棚から削除される。

一方ReDigiの方法は、ユーザの本がReDigiのサーバに“移動”されてから新しいデバイスにダウンロードされる。同社の主張では、この方法なら本の新しいコピーは作られない。オリジナルが移動するだけである。でも私から見れば、それは言い方の違いにすぎない。Amazonの方法でも、本のコピーは終始一つしかない。

しかしそれでも、ReDigiは狼狽していることだろう。Amazonの特許は、ユーザが一度買ったデジタル製品に対する権利を、その製品の全生涯にわたってAmazonが持つ、と言っている。そうすると、ReDigiのようなサードパーティは(その特許に触れるので)中古品マーケットプレースになれない、ということになる。彼らの前途に暗雲が…。

〔訳注: この件の詳細に関心のある方には、原文のコメントを読むことをおすすめします。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

速報:Amazon、Amazon Coinsを発表―Kindle Fire向けバーチャル通貨、5月に運用開始

Screen Shot 2013-02-05 at 9.14.37 AM

AmazonはさきほどKindle Fire向けの新しいバーチャル通貨Amazon Coinsについて発表した。FireユーザーはAmazon Appstoreを通じてこの通貨をアプリ購入、アプリ内のアイテムやコンテンツの購入に利用できる。

このサービスが実際に運用開始されるのは来る5月の予定だ。

スタート時のキャンペーンではAmazonはユーザーに対して何千万ドル分ものAmazon Coinsを無償配布することを計画しているという。ユーザーは通常のAmazonアカウントを通じてCoinsを購入することができる。

すでにAmazonのアプリ・ストアにアプリを登録しているデベロッパーはAmazon Coinsに対応するために何もする必要がない。しかしバーチャル通貨の利用開始に間に合せたい新規のデベロッパーは4月25日までにAppstoreでアプリの承認を受けなければならないという。

AmazonはKindle Fireプラットフォームでのユーザーのコンバージョン率は極めて高いとしており、Amazon Coinsはこの利点を生かしてユーザーにさらにスピーディーな支払い方法を提供するのが狙いだ。Amazonでは最近アプリ内購入を可能にしてデベロッパーに対しより多くの収入確保の道を開いたところだ。

バーチャル通貨の導入はいちいちクレジットカードから支払いを行う必要をなくし、ユーザーの支出のハードルを下げることによってデベロッパーの収入を増やそうという狙いだ。

デベロッパーはAmazon Coinsによる支払いでも従来のクレジットカードによる支払いと同様、すべての購入金額の70%を得る。

Amazonのコインに関するFAQによると、1 Amazon Coinは1セントに相当する。つまり2.99ドルのアプリは299 Amazon Coinsに相当することになる。

Amazon Coinシステムは当面アメリカ国内のみで運用される。また定期購入・購読には用いることができない。

Amazon自身が計画しているような顧客にAmazon Coinsを配布するようなプロモーションをデベロッパーも行えるかどうかは現在明らかでない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+

決算で予想を上回ったAppleの株価が下落し, 下回ったAmazonが上がったのはなぜか?

[筆者: Howard Lindzon]
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編集者注記: Howard LindzonはStockTwitsの協同ファウンダでCEOだ。ここはトレーダーや投資家のためのソーシャルネットワークで、アイデアや情報をリアルタイムで共有し合っている。彼の履歴はここ、Twitter上では@howardlindzonへ。

この質問への答をぼくが持っていたら、人生は最高だ。その答への反応が前もって分かっていたら、最高のそのまた上だね。

AmazonとAppleの決算報告直後の株価が互いに逆方向に動いたのは、予想と見通しの問題だ。ウォール街はAppleに対する予想が高すぎ、Amazonに対しては‘別の’予想を持っていた。ウォール街がAppleに期待したのは、‘粗利率’の伸びだ。Amazonに対しては‘利益額’の伸びを期待しなかった。馬鹿げて聞こえるかもしれないが、Appleの決算報告で利益が低く粗利率が大きかったら、株は急騰したかもしれない。今日のAmazonの決算報告で記録的な利益が発表され、利益率は低下傾向を維持していたら、ウォール街は恐慌になったかもしれない。

市場の言葉は独特だから、一般人には理解しづらい。でもそれが、ウォール街の流儀なのだ。スペイン語も中国語も簡単に学べる言語だったら、今ごろはすべてのアメリカ人がそれらを喋れるだろう。株式市場を動かしている大きな要因は、需要/供給、企業の収益、予想、そしてムードだ。しかし金融メディアは見だしネタを求める。ぼくは25年間、投資や株の売買をやってきたが、結局、生き残るコツは恥ずかしいほど平凡、リスク管理だ。最良中の最良と言われるものは、つねに50%の確率で最悪だ。

AppleとAmazonは、最近の少なくとも10年株を持ってた人にとっては、すばらしい投資先だった。Appleはこのところずっと、ウォール街の醜いアヒルの子だった。Appleに関しては、ムードが冷えていた。あの、世界最大で世界でもっとも稼ぐ企業が今や、海図なき海を航行している。ウォール街は突然、Appleの収益や利益率や成長率を予測する方法を失い、お手上げになった。ましてや、これから1年先のムードなんて闇の中だ。でも、でも、…、彼らはトライするだろう。そして、必ず何らかの予想を立て、スプレッドシートに向かう。

Appleを持ってる人(ぼくも)は現金残高や収益〔の健全さ〕を見て、市場は操作されているかまたは壊れていると宣言する(ぼくはしない)。ウォール街は、今のAppleの利益額を織り込まなくなった。先行き見通しが、良くないのだ。Appleでは成長率が数値で低下率を表せるほどまでに鈍化したが、でもこの大きさの企業ならありえることだ。しかしウォール街は、成長の鈍化とGoogleやSamsungから仕掛けられる競争が、ダメージになることを懸念している。Appleはこれまでウォール街に、とってもたくさんのサプライズを与えてきたから、Appleに関しては(Jobs語の)マジックが規準になってしまった。そのAppleがだるくなった今、彼らは安全な逃げ場を求める。

一方Amazonは、ウォール街のアナリストたちの‘利益(額)’指向からすり抜けることができた。Jeff Bezosは手品のような手口で、ウォール街の目が売上の伸びとマーケットシェアとクラウドと、そして今日の発表の…利益率に行くように仕向けた。Amazonは24.1パーセントの利益率を報告し、そしてそれはウォール街をハッピーにする数字だった。

来四半期は、変わるかもしれない。でもぼくは、AppleとAmazonの粗利率方向に視線を維持するだろう。利益額がまた持て囃されるようになるまでは。…ということだな。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))