ドナルド・トランプ、誤情報を発信した政権移行チームのメンバーを追放

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いわゆる偽ニュースが深刻な問題を引き起こし、全米が身をもって教訓を得た。FacebookRedditTwitter等のソーシャルネットワークの幹部だけではない。不機嫌だが才気あふれるWeather Channelの気象学者たちもだ。

ニュースを装った誤情報に端を発した最近の悲劇は、日曜日にワシントンDCのComet Ping Pongという子供に人気のピザ店で、ガンマンが発砲した事件だった。

事件に関するNPRの報道によると、「男が『私的に捜査』していたと主張したのは…全く架空の陰謀論で、Comet Ping Pongが国際的な凶悪児童虐待陰謀団のアジトで、ヒラリー・クリントンをはじめとする強力な民主党員が首謀者だというものだった」

幸い陰謀論を信じるワシントンDCの自警団員の手で死亡した人はいなかった。

しかしこの発砲事件の翌日、トランプの政権移行チームの一員、マイケル・G・フリンは、問題の陰謀論を信じ続けるツイートを発信したために解任された。

トランプのシニアアドバイザー、マイケル・フリン退役陸軍中将の息子であるG・フリンは、陰謀論に全く根拠がないとする警察捜査を無視し、既に銃による暴力を引き起こしていた陰謀論を支持することの危険性も無視した。

誤情報をツイッターに流した人物をトランプが解任したことを、メディアはすかさず偽善だと指摘した ― われわれのPEOTUS(次期米国大統領)が正確性の権威であったためしはない。

トランプのツイートを通じた偽りの歴史は2011年に立ち返る。当時トランプはオバマ大統領の米国市民権に関する長年にわたる嘘の拡散を始めた。

翌年には、気象変動は中国が仕掛けたデマだと主張した。

そして最近では支持者に対して選挙人投票は地すべり的勝利であり、数百万人の不法投票者がいなければ一般投票でも勝っていたと、嘘をつき続けた。

次は誰の仕事がなくなるのか憶測せずにいられない。フリン中将でさえ、Twitter等のソーシャルメディアでヒラリー・クリントンについて誤情報と陰謀論を流布し、ヒラリーが児童売買に関与していたと根拠なく言いふらした。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook Engeneeringの責任者が機械学習を解説―ビデオ・チュートリアル公開

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数学を勉強すること。もっと数学。さらに数学―というのが人工知能に興味ある学生に対するに対するFacebookの人工知能ラボの責任者、 Yann LeCunと応用機械学習グループの責任者、Joaquin Quiñonero Candelaのアドバイスだ。

テクノロジー企業は必要な能力としてよくSTEMという頭文字語を使う。 科学、テクノロジー、工学、数学(science, technology, engineering, math)の略だ。今回公開された人工知能と機械学習に関するチュートリアル・ビデオは学生に対するアドバイスとしても大いに役立つだろう。Facebookによれば、学生がやるべきことは野菜を残さず食べる他に数学 I、 II、 III、線形代数、統計をできるだけ速い時期にマスターすることだという。

このリストの中では特に統計学が目立つ。私の高校時代にはこの教科は一流大学を目指す生徒にはAP〔進学に有利となる高度授業〕の点数計算で有利でないとして無視されることが多かった。

微分方程式が機械学習の原動力となるエンジンなら統計は器械の歯車そのものだ。記事末にFacebookのAIのビデオ・チュートリアル(AI explainer)をエンベッドした。

本当のことを言えば、 LeCunと Candelaのビデオの対象は大学生以上だろう。しかし「どの科目がどのように重要なのか」は教育のあらゆるレベルで動機づけに欠かせない。それに加えて、われわれの日常生活でも統計の知識はこの上なく役立つ。Facebookの2人の科学者が「数学。もっと数学」と述べているとおり、数学は科学、工学一般ばかりでなく、コンピューター科学、経済学、神経科学など今日非常に重要になっている分野でも必須だ。広告の効果を強化するためにニューロン・ネットワークと認知科学を機械学習に応用するなどということは数学なしに実現できるはずがない。

統計学は知識と学習の本質を理解するという哲学上の重要課題の入り口でもある。最近Facebookのニュースフィードのバイアスの有無について議論されているが、忘れてならなないのは、たとえ機械学習だろうと、すべてのアプリの背後にはそれを作った人間がいるという点だ。われわれは人工知能の進歩によるコンピューターのブラックボックス化という問題に対する効果的な対策をまだ見つけていないが、それを見つけようとしているのはまさしく人間だ。またデータをやみくもにいじる前に、学習の本質がどういうものであるかを理解しておくことが重要になる。

最後の方でFacebookは機械学習の分野でどのような職に就けるか簡単に説明している。といっても説明のほとんどは自明だ。機械学習を実際にマスターしようとするならまず適切な指導教授を見つける必要がある。PhD課程の院生は教授より時間に余裕があるからいろいろ指導してもらえるかもしれない。企業でインターンとして働いてみるのは現実世界でAI(がどのように使われているかを知るのによい方法だ。

実のところ、実際にPhD課程に応募する場合、大学のランキングなどより指導教授の方がはるかに重要になるとFacebookの2人は注意している。一度博士課程に入学を許されたら、未解決の問題を探し、それを解決するコードを書きオープンソースで発表するのが大切だという。

〔日本版〕以下のビデオの音声は英語だが、アニメーションや図解だけでも理解の助けになる。また日本語で説明する際のヒントにもなりそうだ。

AI入門

機械学習とは


勾配降下法(Gradient Descent)


ディープラーニング

誤差逆伝播法(Back Propagation)


畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network)



Featured Image: Getty Images/Yuri Khristich/Hemera (modified by TechCrunch)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

FacebookのインターネットドローンAquilaで運輸安全委員会が‘構造的欠陥’を調査中

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FacebookのInternet.orgとFree Basicsのメリットについては異論も多いけど、でもそれを届けるために作っている、太陽光を動力とする巨大なレーザー照射ドローンは相当クールだ。でもそのAquilaの最初のテスト飛行で露見した“構造的欠陥”は、Facebookが考えていたよりも深刻なようだ。Bloombergの記事によると、運輸安全委員会(NTSB)が調査を行っている

今本誌TechCrunchはNTSBに、事故報告書などを見せてくれ、とリクエストしている。そういうものがあるとしても、開示には時間がかかるだろう。何か得られたら、この記事をアップデートしよう。

この6月28日に行われたテスト飛行について、Facebookは7月に総括を書いている。何をテストしたのか、何が分かったのか、などなどだ。「現実世界の状況」(Real-world conditions)という項目では、いくつかの想定外を認めている

現在もこの大規模なテスト飛行の結果を分析している。それには、着陸直前に経験した構造的欠陥も含まれる。これと、そのほかの構造試験の詳細を、将来的にはシェアしたい。

NTSBの調査が入ったせいか、そのシェアはまだしていない。しかしFacebookは今日、テスト飛行のポジティブな結果を強調する声明を発表した:

テスト飛行の成功と、いくつかのパフォーマンスモデルおよびコンポーネントの実証ができたことに、満足している。それらには、航空力学、電池、コントロールシステム、クルーの教育訓練などが含まれ、いずれにおいても、重大な想定外は起きなかった。

実験的な設計の巨大な航空機の、初めての実機テストで、何も問題が起きないと期待するのは無理だ。プロジェクトに近い筋によると、最初から、ある程度の損傷は予想されていた。なぜならAquilaの設計は、何度も離陸着陸することを想定していないからだ。着陸装置はなくて、スキー板のような橇(そり)がついている。また、当日は予想外に風が強かった。その筋によると、同機は90分飛行して、着陸の数秒前に事故は起きた。

NTSBには、このような航空事故を調査する権利があり、今回そうすると決めたのは、そのテストと航空機が広く注目を浴びているからだろう。しかしNTSBは、ネジが一つ外れていたぐらいでは問題にしない。Bloombergによれば、彼らの分類では今回は明らかに“事故”であり、したがって損傷は偶発的でなく“本質的な”ものである。

しかし、これらの用語はNTSBや航空機の試験者にとって、独特の意味を持っている。もしもAquilaが頭から地面に墜落したり、火災を起したり、そのほかの派手な損傷を受けたのなら、それはもっと早くから分かったはずだ。そんなときは、こんな婉曲な用語にはならないだろう。詳しくは事故報告書を待つばかりだが、プロジェクトの規模と、FacebookがAquilaの開発にかける自負と誇りを見るかぎり、その(誇り等の)翼にすこし傷がついたことは、確かなようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebook、企業ユーザー向けにFacebookとMessengerとInstagramをまとめた統合受信箱を提供

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Facebookは、企業のFacebook、Facebook Messenger、Instagramを使った顧客とのやりを便利にする新機能を披露した。

Facebookページのグローバル責任者、Benji Shomairはこの新しい機能について「最も要望の多かったものの一つ」と説明している。

従来、企業がFacebookとInstagramで顧客に対応するためには、それぞれのアプリを立ち上げる必要があった ― ソーシャルメディア上でのコミュニケーションが増えるにつれ益々困難になる(Facebookによると、Facebookページだけで毎月「50億件近いコメントとメッセージとユーザー投稿がある」)。

「中には、様々な要望に迅速に対応するために複数の電話機を持つ人もいる」と同氏は付け加えた。

これからは、Facebookのページマネージャーアプリを使って、企業はどのコメントにも ― Facebookの投稿、Facebookページの投稿、Instagramおよびビデオへのメッセージとコメント等 ― 返信できるようになる。個々のチャンネルに集中できるように専用のタブも作られる。

既にFacebookは、一部のユーザーでこれをテスト中で、今後数週間のうちに広く公開される予定だ(これはどちらかというと、小から中程度の企業に向いている。大企業は自社のソーシャルメディア活動を管理するために専用のアプリを持っていることが多い)。

ちなみに、Instagramを使っている時にはInstagramのコメントに普通に返信したいという人は、もちろんこれまで通りに行うことができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Snapchat、大型IPOを秘かに申請(ロイター発)

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Snapchatは来年初めの上場を目指して秘かにIPO申請していた。Reutersの報道による。

ここ数年、IPOを正式発表するよりずっと早く、秘密裡に申請する会社が増えてきた。そうすることでSEC(証券取引委員会)が申請を受けてから、書類を公開して業界ウォッチャーや投資家が精査するまでの時間がとれる。これはIPOが特別に差し迫っていることを意味するのではなく ― Snapchatの上場は以前報道されたように早くて3月 ― 上場のそぶりを示す意味はある。

年間売上10億ドル未満の会社は非公開でSECに申請できることがJOBS法で定められている。

以上を踏まえると、SnapchatのIPOは大方の予想通りの時期にやってきそうだ。同社の一日当たりアクティブユーザー数は1.5億人で、マーケティングにとって最も魅力ある広告プラットフォームとして急速に注目を浴びている。大統領選挙後、Facebookをはじめとする他のプラットフォームが虚偽のニュースが横行していると厳しい視線にさらされていることも、Snapchatにつけ入るチャンスを与えている。

既にSnapchatは、2017年の売上目標を最大10億ドルに置いていることが、TechCrunchの入手したリーク文書からわかった。同文書によると今年は2.5億ドルから3.5億ドルの売上と予測している。一方でPinterestのように事前の予測を達成できないプラットフォームもあり、Facebookは広告比率が上限に達し、成長が止まりつつあることを投資家に伝えている。いずれもSnapchatに宣伝費を獲得る機会があることを意味しており、投資家から見た価値はさらに高くなるだろう。

The Wall Street Journalによると、Snapchatが申請書類を提出したのは大統領選挙前だった。しかし選挙後のニュースを見る限り、Snapchatが既存ユーザーの信頼を把み続け、既存ネットワークからもユーザーを奪うことができれば、投資家へのアピールもいっそう高まるだろう。記事によると評価額は200億ドルから250億ドルと予測されている。

以前の報道によるとSnapchatはa href=”https://techcrunch.com/2016/10/26/snapchat-is-reportedly-looking-to-raise-as-much-as-4b-in-its-upcoming-ipo/”>IPOで最大40億ドル、時価総額250~350億ドルの調達を目指していた。これは今年5月の資金調達ラウンドで18億ドルを得た時の2倍に相当する企業価値だ。こうした話題は、投資家の興味を探り興奮をかき立てるためのよくある戦術だが、どうやら事態は正式なものになるつつあるようだ。

Snapchatの担当者はコメントを拒んでいる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、フェイク記事追放には人力よりも機械学習アルゴリズムを重視する方針

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Facebookにはフェイク・ニュースを拡散してドナルド・トランプの大統領当選を助けたという非難が殺到している。Gizmodoの記事によるとFacebookは右派メディア多数に対する影響が大きすぎるという理由でフェイク・ニュースを探知するアップデートを延期したという。

Facebookはこの報道を直接に否定し、TechCrunchに対して「記事の主張は真実ではない。われわれは特定の政治的立場への影響を考慮してニュースフィードへの変更を行ったり、延期したりしたことはない」と語った。

TechCrunchはコンテンツの中立性に関してFacebookから直接詳しいアップデートを得る機会があった。

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2015年の1月にFacebookは捏造ニュース記事を追放するためのアップデートを発表した。これはユーザーによって多数の「報告」フラグが付けられた記事の表示ランクを下げるものだった。こうして降格された記事の多くは後で投稿者自身が削除している。このシステムは現在も作動中だ。

その後2016年8月にFacebookはさらにニュースフィードのアップデートを行った。 これは クリックベイトと呼ばれる記事を抑止することを目的としたもので、 Facebookは人間が選んだ典型的なクリックベイト的記事タイトルを資料として機械学習システムに学習させた。機械学習はクリックベイト的タイトルを認識し、そのような記事の表示ランクを自動的に下げることが期待された。

Facebookによると、 今年のクリックベイト対策アップデートで、開発チームは2種類のオプションを用意した。一つは2015年のユーザー報告にもとづくフェイク検出システムで、他方はもっぱら機械学習のアルゴリズムに頼るコンピューター・システムだった。

Facebookによれば、機械学習を利用したクリックベイト探知システムは間違った陽性反応(クリックベイトでないものをクリックベイトと判定すること)もその逆のエラーも人間の場合より少なく良好な実績だったという。そこでFacebookはこのシステムをリリースした。もちろん開発過程でリリースされなかったバージョンをGizmodoが取り上げている可能性はある。Facebookの担当者に対するインタビューでは、「右派の言論の降格が適切であるかどうかはクリックベイト抑止策を実際に選択するにあたって全く考慮されなかった」ということだ。しか政治的バイアスの有無はやはり懸念事項だろう。

Facebookの決断は ユーザーの「報告」に基づく人間のキュレーションより機械学習アルゴリズムに重きを置くというものだった。これは「人間の介入によるバイアスの可能性を減らす」というFacebookの最近の方針にも一致する。ただしこの立場自体がさまざまな問題を含んでいる。

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今年に入ってGizmodoに掲載された記事には「Facebookのトレンドをチェックする人間のキュレーターは編集権の一環として主観によって保守派の傾向の記事を排除している」という主張が紹介されていた。Facebookはこの主張を否定したが、同時にキュレーション・チームを解雇し、人力に頼らずアルゴリズムによってトレンドを設定する方向に舵を切った。すると今度はFacebookはフェイク記事をトレンドとして表示したとして非難された。New York Timesの記事は「トレンドの記事選定方法はFacebookの客観性を麻痺させるもの」と激しく攻撃した。

仮に Facebookが保留されているクリックベイト対策版をリリースしていたとするなら、フェイク記事の選択はユーザーからの報告を検討する担当スタッフの主観に依存することになっていただろう。しかしクリックベイトを選び出すにあたって、あからさまなデタラメと巧妙なトリックとの間の線引は非常に難しい。一方、政治活動家やトロルはFacebookの記事報告機能を乱用して、自分たちに不利であれば正確な記事に対しても組織的に報告フラグを立てるという攻撃をしかけるだろう。

この難しい状況はソーシャル・フィードの掲載ランク付けにあたってユーザー・エンゲージメントをベースとしていること必然的な結果だ。国民を2分するような政治的状況における選挙活動やどんな記事であろうと閲覧されれば広告収入が得られるということがフェイク記事の氾濫の大きな動機となっている。

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誰が真実の審判者となるのか?

Facebookとともに大きなニュースのチャンネルであるTwitter、Googleも前途に難関が予想される。事実によって簡単にそれと見分けられるフェイクは問題の一部に過ぎず、対処も比較的簡単だろう。誇張が極端な記事、あからさまなテクニックを用いた釣り(クリックベイト)記事への対応はもっと難しい。

というのも、Facebookなどのプラットフォームはユーザー・エンゲージメントに比例する報酬システムを用いているため、ニュース媒体にはセンセーショナリズムによってページビューを稼ごうとする動機が存在するかだらだ。政治的立場が明らかな伝統あるニュース媒体の場合、不当な誇張がないよう責任を持つことが求められる。しかしFacebookのようなネットワーク上である目的のために特別に設定され、口コミのパワーだけ頼ろうとするニュースサイトの責任を問うのは難しい。こうした媒体はその場限りのトラフィックと収入を目的としているので、読者が誇張やフェイクにうんざりしても、単にそのサイトを閉鎖して新しい名前で別のサイトを立ち上げればすむ。

誇張ないしフェイク記事を報告する手順をシンプルにする、実否が疑わしい記事にはファクトチェック・サイトへのリンクを追加する、正確性が立証されていないサイトの記事の拡散を保留する、などはそれぞれ有効だろう。しかしフェイク記事がマネタイズに有効だという構造そのものを再検討するのがフェイクの追放にあたって最優先されるべき事項だ。

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しかしFacebookのようなネットワークに真実の警察となるよう求めるのは危険過ぎる。どのニュースを削除しろという圧力は現在よりはるかに増え、それに伴って非難のボルテージが上がるのは必然的だ。少なくともテクノロジー・プラットホームがユーザー・エンゲージメントによって記事のランキングを行うならば、仮にフェイク・ニュースの検出で誤りがあったとしても、それは個々のユーザーが誇張やフェイクであるかどうかを判断すればよいことだ。FacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグはこの立場を強調し、「われわれ自身が真理の審判者であるかのような立場に立つことにはこの上なく慎重でなければならない」と書いている。

現在 Facebookは難しい立場に置かれている。ユーザーの判断を信頼するとしてフェイク・ニュースが拡散するに任されば非難されるだろう。しかしフェイク・ニュースを発見して削除する立場を取れば、それは検閲と同じでありユーザーから選択の自由を奪うことなるとして非難されるはずだ。世界最大のソーシャル・ネットワークは次の行動を慎重に選ばねばならないだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebookには広告主の信頼を取り戻すための説明責任がある

Man standing with fingers crossed behind back

【本稿の執筆者、James G. Brooks, Jr.はソーシャルビデオ配信会社、 GlassViewのファウンダー・CEO。】

9月にFacebookのデータに「相違」がありユーザーの平均ビデオ視聴時間を過大に報告していたことを同社が認めたとき、広告業界全体が不満に包まれた。

誤差は膨大であり ― 数値は2年間にわたり最大60~80%水増しされていた ― Facebookに有利なものだったため、邪悪な動機を指摘する向きもあった。少なくともそれは、メディア会社が提供する自社データを信じる愚かさを浮き彫りにする出来事だった。

「FacebookやGoogleのようなメディアオーナーがなすべき努力を怠り、comScoreにデータを渡して独立した評価を可能にしていないことも、長年指摘してきた」と、大手広告会社、WPPの最高責任者、Martin SorrellがBloombergに語った。「審判と選手は同一人物であってはならない」(ちなみにWPPはcomScoreの調査に多大な投資をしている)。

広告主はFacebookビデオをビュー単価で購入し、3秒以上見られたものがカウントされる。しかし問題のデータは、Facebookビデオが実際以上に効果的である印象を与え、マーケターに予定より多くの出費を強いる結果になった。

マーケターにとっては、またもやFacebookとGoogleの独占状態を実感する出来事だった。Microsoftのような政府の介入がない中、今はFaceGoogleの世界であり、誰もがそれを受け入るしかない。しかし、Facebookが市場に善意をもたらす気持ちを持っているのであれば、事態を改善するべくマーケターにできることが5つある。

  • 内部監査を要求する:理想的には、Facebookが第三者機関に依頼して内部監査を実施し、今回何が間違っていたかを明らかにし、二度と同じことが起きないよう安全対策がなされたことを確認する。これがマーケターの信頼を取り戻すための第一歩だ。
  • Facebookに第三者による検証を義務づける:ANA(全米広告協会)はすでに、Facebookがメディア評価協議会(MRC)に依頼して、独立の第三者による検証を実施すべきであると提言している。「ANAは、メディア企業が認定機関や監査の基準を遵守しなくてもよい実利的理由などないと信じている」とANAのCEO Bob Liodiceは9月末のブログ記事に書いている。これまでのところFacebookはMRCの利用についてコメントを拒んでいる。
  • 将来に向けた透明性を要求する:Facebookは塀に囲まれた庭園であり、マーケターは中で起きていることをほとんど見ることができない。Facebookの水増し疑惑が尾を引く理由の一つは、同社の性能ダッシュボードに一部のデータや方式の説明が欠けていることだ。Facebookのビュー回数の基準は、ビデオの総視聴時間を視聴者数で割ることで算出すべきだった。実際には「ビュー」(3秒以上の再生)の回数で割っていた。もしFacebookがビュー回数と視聴者数を分けて表示していれば、こうした不作為の誤りは避けられたはずだ。
  • 小規模な業者とつきあう:独立のアドテック会社は、 利用できる限りの第三者機関データを使って自らのROI事例をマーケターに提示する。ブランドが独自の基準を使いたければそれも可能だ。大会社は利用できるデータがはるかに多いので、都合のよいものを選んで「宿題を自己採点」できる。
  • 当局に圧力をかけて介入させる:1990年代にMicrosoftがデスクトップPCを独占していたとき、米国司法省は同社を訴え、最終的に合意に致った。懲罰は軽微なものだったが、Microsoftは悪評の集中砲火を浴びブランドは永久に傷ついた。この種の対立は今はまだ起きていないかもしれないが、以前Facebookがデータプライバシーに関してユーザーに嘘をついたことが発覚したとき FTCの介入があった。企業に対する嘘も(それが事実であれば)同様の介入の理由になる。

現実はといえば、果たしてFacebookに悪意があったのか、単にずさんだったのかは誰にもわからない。どちらであれ、多くのブランドは自分の広告が実際より効果を上げていたかのように欺かれた。決して起きてはならないことだ。誰が真実を言い、誰が不正を働いているかを知ろうとすること以外にも、マーケターには心配の種が山ほどある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

InstagramストーリーにURL挿入、友達タグ付け、 Boomerangsの1秒ビデオ機能追加

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今日(米国時間11/10)、Instagramストーリーリリース以來最大となるバージョンアップを行った。

同社によると、ストーリーにInstagram内から関連サイトを開けるURLリンク挿入、@+ユーザー名による友達のタグづけ、 Boomerangアプリのスワイプでの立ち上げの3機能が新たに追加された。以下順に紹介してみよう。

URL

まず、たぶんこれがいちばん重要な点だと思うが、Instagramへの投稿者は有効なURLリンクを含めることができるようになった。つまりInstagramを開いたユーザーはボタンをタップするだけで投稿者が意図したウェブサイトにジャンプすることができる。

ビューワーがリンクのボタンをタップすると、Instagram内にブラウザの窓が開き、URLが指定したページが自動的に表示される。

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ストーリーのクリエーターはストーリーを作成する際にリンクを含めることができる。写真やビデオを撮った後にリンクを追加するボタンが表示される。すでに文字や描画をするためのボタンが追加されているが、それに並んでリンクのボタンが追加された。

ただしビューワーにURLそのものではなく(これはわずらわしい)、See Moreというボタンが画面下部に表示される。このボタンにURLが関連付けられている。ビューワーはいちいちURLの中身を見ることなくワンタッチで作成者の意図するサイト、ページに移動することができる。

ユーザーはクリックする前にURLを確認することができないので、Instagramでは不当なリンクの追加を防止する措置を取る。これはプロファイルに追加するリンクに対する規制と同じだ。

この機能は当初、身元を確認されたアカウントだけが利用できる。ただしこれまでの例からすると、近くユーザー全員に開放されることになるだろう。Instagramではこの点について時期も含めて一切明らかにしていない。

当初はプロフェッショナルなクリエーターのアカウントが別のプラットフォームで作成されたコンテンツへのジャンプを促すことになるだろう。たとえばYouTubeのビデオとかSoundCloudの楽曲などだ。またセレブや企業が通販サイトへのリンクを追加する場合もあるだろう。メディアのアカウントの場合はそのサイトに掲載されているニュース記事や番組へのリンクになるはずだ。

こうしたユーザーにとってURLが追加できるようになったことはInstagramの価値を大きくアップするものだ。ライバルのSnapchatに対する最大の不満はクリエーターがSnapsやストーリーにURLを含めることができないことだった。【略】

友達のタグ付け

ストーリーの2番目の大きな改良はMentionsだ。投稿者は @ マークを付加することで他のInstagramユーザーをタグ付けできるようになった。

具体的にはこういう仕組みだ。

ストーリー向けに写真なりビデオなりを撮影した後、ユーザーはタップしてテキストを追加する。このとき単に@につづいて友達の Instagramのユーザー名を入力する。コメントやキャプションの場合と同様、Instagramはユーザー名もオートコンプリートしてくれる。

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タグ付けされた後、ユーザー名には下線が表示される。ビューワーがタグをタップするとタグ付けされた相手のプロフィールが表示される。コメントやキャプションの場合と同様、フォローしている友達にタグ付けされたユーザーには通知が送られる。もし自分がフォローしていないユーザーが自分をタグ付けしようとした場合通知は「リクエス」のフォルダーに入る。

1ストーリー中でタグ付けできる相手の数は10人までだ。ただしテキストとしてなら誰の名前でも入力できる。あまりたくさんの友達をタグ付けすると写真をごたつかせてしまうというおそれがあるときはテキストボックスを使った方がいいだろう。

URL挿入とは異なり、@による友達のタグ付けはユーザー全員がすぐに利用できる。

Boomerang

最後になるが、今回のアップデートでInstagram ストーリーの中からBoomerangが呼び出せるようになった。これはループする1秒間のビデオを作ることができるスタンドアローンのアプリだ。.新しいStoryを作る際に通常の画面(通常の写真とビデオを撮影できる)からスワイプでBoomerangモードに切り替えることができる。これまでユーザーはBoomerangを使おうとすればいったんInstagramストーリーを閉じて Boomerangアプリを開く必要があった。

面白いことに、今回のアップデートでは Instagram ストーリーのためのBoomerangsしか作れない。通常のInstagramにBoomerangsビデオを追加したい場合には、やはりInstagramを離れてBoomerangsを立ち上げる必要がある。

これらのアップデートは今日ただちに公開される。URL(当面は身元確認ずみユーザーのみ対象)を除いて他の2つの機能は全員が利用可能だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebookがデータセンター内ネットワークを新型スイッチとともに40GBから100GBにアップグレード中

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Facebookは今、同社のデータセンター内の光ファイバーネットワークを40GBから100GBにアップグレードしようとしている。同社のトップ・オブ・ラック・スイッチ(ひとつのラック上のすべてのサーバーを接続するスイッチ)Wedge 100は今日(米国時間11/8)すでにOpen Compute Projectに受諾され、またすべてのラックをデータセンター内で接続する次世代100GスイッチプラットホームBackpackもベールを脱いだ。

FacebookのDirector of Software Engineering for NetworkingであるOmar Baldonadoによると、同社がこの、より高速なネットワーキング技術を必要とする理由はいくつかある。しかしその最大の要因は、ライブと録画双方のビデオのサポートを拡大することだ。さらに、360度の写真やビデオも含まれる。Facebook自身の内部的なデータセンタートラフィックも、ユーザー体験の改善のために、アナリティクスなどのデータへの需要がデベロッパー部門から増えており、それにも対応しなければならない。

しかし100Gは、今でもまだ、高速ネットワーキングの最先端技術だ。もちろん今それに取り組んでいるのはFacebookだけではない。たとえばLinkedInも最近、オレゴン州のデータセンターを将来100Gにする計画を発表した。Facebookが他と違うのは、サーバーの設計やネットワーキング技術、およびそれらを支えるソフトウェアを、業界全体のためにオープンにすることに、コミットしていることだ。

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Baldonadoによると、40Gから100Gへの移行で生ずる問題の一つが、新しいデバイスの“電力大喰らい”癖、そして冷却の困難さだ(彼は、“ゲーム用PCをオーバークロックでずっと使うようなもの”、と言った)。“それだけのハイスピードはどうしても必要だけど、そのためにはスイッチだけでなく、データセンター全体としての対応が必要になる”、と彼は語る。“だから業界のあらゆる部分…サーバーのベンダ、NICのメーカー、光りファイバーのメーカー、などなど…と協働しなくては、これだけのスケールアップは実現できない”。

Backpackの能力が前の“6-pack”スイッチの2.5倍だとしても、その電力消費量も2.5倍なのだ。

Facebookは、BackpackスイッチもOpen Compute Pojectに出す予定だ。それは今、社内テストの段階から徐々に、同社のデータセンターに実装されつつある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebook、Messenger最新版で広告メッセージの利用を一般企業に公開

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本体であるソーシャル・ネットワークのFacebookとは独立にリアルタイムのコミュニケーション・チャンネルとしてMessengerが着実にユーザーを増やしている。今日(米国時間11/8)、FacebookはMessengerの新バージョンを発表した。これによりデベロッパーにとってMessengerを利用してコンテンツを拡散するためのツールが増えた。同時にFacebookとしてはMessengerに対して広告主からのトラフィックが増えることを期待しているようだ。

Facebookによれば、今日のアップデートで発表されたMessenger v1.3では、「スポンサー・メッセージ」が利用可能になるという。ほとんどすべてのFacebook広告主はMessengerプラットフォームを通じてユーザーに広告メッセージを送信できるようになる。TechCrunchでは6ヶ月前の記事でFacebookが一部のブランドとユーザーを対象にMessenger広告のテストを始めたことを紹介した。

今回のニュースは、ポルトガルのリスボンで開催中のWeb SummitカンファレンスでMessengerのプロダクト担当副社長, David Marcusがステージ上で発表したものだ。これは興味あるタイミングだった。直前にFacebook本体と傘下のサービスであるWhatsApp間でデータを共有する計画を当面停止することが発表されたばかりだった。Facookがこのような決定を行ったのはイギリスとデータ保護団体、ICOからの要請があったためだという。

WhatsAppとFacebook間のデータ共有についてはEUレベルでも批判がある。また多くのユーザーも不満を募らせている。というのもFacebookがWhatsAppを190億ドルで買収したときに、双方のサービスのユーザーを安心させるべく、両社はまったく独立した事業体として運営されると繰り返し約束していたからだ。

しかしこれは話が脱線したようだ。今年4月にFacebookの広告メッセージの実験について書いたとき、われわれはMessengerのユーザーは(通例)特定の友達からのメッセージのみ受信することを予期しているのに、未承諾で広告メッセージが送りつけられるようなことがあればユーザー体験を低下させる危険性があると指摘した。

Facebookではこの危険を避けるためユーザーにある程度の「オプション」を与えるようだ。当面、企業はユーザーに無差別にメッセージを送ることはできない。すでに企業の運営するスレッド内にいる相手にしか送信できない。ユーザーが過去に企業スレッド内に入ったことがあり、そのことを忘れているのに企業側から突然広告メッセージが送りつけられるというような場合も考えられる。こういうときユーザーはそのメッセージないし送り主をブロックすることができる。私はこのブロックの有効期間などの詳細をFacebookに問い合わせているので、情報が得られたらこの記事をアップデートするつもりだ。

さて企業はそもそもこの新ツールをどのように利用できるのだろうか? これにはいくつかの方法がある。企業が提供するボットをユーザーが利用した場合、ユーザーがすでに何らかのサブスクリプション契約に加入していた場合のアップデート、あるいはユーザーがニュースフィード広告になんらかの反応を示した場合などが考えられる。これにはユーザーがクリックすると企業にメッセージが送られる各種の場合が含まれる。こうした機能は広告のボス、Andrew “Boz” Bosworthが昨年9月のTechCrunch Disruptで紹介したものだ。今日、Marcusはこの仕組が一般広告主からも利用できるようになったことを明かした。Facebookによれば、ベータテスターにはAbsolut
Vodka、Tommy Hilfiger、Activisionなどの各社が含まれるという。

ニュースフィード広告をクリックないしタップしたときにMessengerにリンクさせることができるというのは興味ある仕組みだ。ユーザーがニュースフィード広告に関心を持ったとき、ユーザーはFacebookを離れて企業サイトにジャンプするのではなく、Facebook内に留まったままMessengerで企業との会話を続けることができるわけだ。このとき企業側で対応するのは人工知能を利用した何らかのボットになる場合が多いだろう。

今日、Facebookはこの他に、v1.3プラットフォームのボット関係のいくつかのアップデートを発表した【原文参照】。

取材中…

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

誰でも簡単にチャットボットを作れるOctane AIにGeneral Catalystが150万ドルを投資

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ボットが熱い。Facebookが今春のF8でチャットボットを持ち込んだことをきっかけに、今では、企業のカスタマーサービスのページ、eコマース、エンタテイメントなどなど、犬も歩けばボットに当たるご時世になった。

でも、有能なデベロッパーを抱えてない個人や零細企業は、どうやってボットを作ればよいのか?

そこで、Octane AIが登場。それは、メディア界の名士Ben Parrと、起業マニアのMatt Schlicht、そしてOmegleのファウンダーLeif K-Brooksが作ったスタートアップだ。彼らは、人気の高いFacebookグループデジタルマガジンで、ボット界の名士にもなった。

WixやWeeblyは万人向けのWebサイトデザインツールだが、Octane AIはそれらのチャットボット版だ。まるで幼児用お絵かきページのように、簡単にボットを作れる。私にもできた。簡単な挨拶をするだけの、ボットだけどね。

Evernoteの協同ファウンダーでGeneral CatalystのパートナーPhil Libinが、なんでOctaneに150万ドルも投資するのか、説明してくれた。彼の説では、“ボットはテクノロジーと対話するためのとっても自然な方法だ”。しかもOctaneは、ファウンダーたちのまわりに、すでにコミュニティができていることにも、感心した。

50 CentやAerosmithなど、すでに強力な顧客もいるOctaneは、今はFacebookに力を入れつつ、今後はSMSやiMessage、Slack、一般のWebサイトにも手を広げていきたい、と言っている。

“これは大企業だけでなく、誰にも必要なものだと思う”、とSchlichtは語る。

ボットは単なるギミック…手先の小細工…ではない、と信ずるParrは曰く、“時間を節約できるからね、実際に。そして、タイム・イズ・マネーだよ。あらゆる企業が、使って得をするツールだな”。

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アドブロッカーをブロックしたFacebookはデスクトップの広告収入が18%も増加した

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Facebookは最近、Adblock Plusなどのアドブロッカーを回避して、早くもその成果を上げている。今日の同社の、どでかい第三四半期決算報告によると、デスクトップの広告収入は前年同期比で18%増加し、これまでの各四半期のほぼ9%の成長率から一挙に躍進した。その大きな原因が、アドブロッカーの阻止にある、とされている。

Adblock Plusはその禁圧を迂回すると宣言し、一時的に成功したが、Facebookは彼らの対策を無効化して、広告がAdblock Plusを通過できるようにした。Facebookの言い分は、広告はサービスの運用費用に充てられるから、極端に邪魔でないかぎり、ユーザーに広告を見せるのは理にかなっている、という論理だ。Adblock Plusや一部のユーザーは、Facebookの広告はフィードに混ぜ込まれている場合でも邪魔である、と反論する。また、広告にはユーザーの所在などを調べてプライバシーを侵す危険性があり、アドブロッカーはそれを防ぐ、と彼らは主張している。

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Facebookの今四半期のデスクトップの売上は11億ドルに達し、前四半期の9億9800万ドルから増加した。Facebookの広告収入の84%はモバイルからだが、Q3の総売上70億1000万ドルの中でのデスクトップ11億ドルは、些細とは言えない額である。アドブロッカーのユーザーたちから広告収入を取り戻し、大きな広告収入を達成したために、これまでの売上成長率の鈍化を埋め合わせることができた、と言えよう。

決算報告においてFacebookのCFO David Wehnerはこう述べた: “今四半期のデスクトップの売上成長率は18%に達したが、最近の各四半期はこれの半分ぐらいの前年同期比成長率だった。デスクトップの売上のこのような急成長は、広告妨害の影響を減らすわれわれの努力によるところが大きい、と思われる。すなわち、デスクトップの売上成長の加速は、主にそれによるものである”。彼は、これはあくまでもデスクトップの広告収入にかぎっての話だ、と念を押した。

Facebookのエリート技術者部隊がアドブロッカーソフトと、それらへのオープンソース寄与貢献者軍団に勝ち続けるかぎり、Facebookは今でも残存するデスクトップユーザーからさらに多くの広告収入を絞りとることができるだろう。

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Facebook、Q3決算発表― 売上70.1億ドル、ユーザーは17.9億人と絶好調

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Facebookは驚くほど好調な第3四半期決算を発表した。売上高は70.1億ドル、1株あたり利益は1.09ドル、月間アクティブ・ユーザー(MAU)は17.9億人だった。

月間ユーザー数は対前年比で16%アップしている。第3四半期中にも4.67%アップしている。これは前期、第2四半期中の3.63%の成長をさらに上回るものだ。1日あたりアクティブ・ユーザー数(DAU)も前期の11.3億人から今期は11.8億人に増加している。対前年比では17%の増加だ。
Facebookのモバイル月間アクティブ・ユーザーは16.6億とこれも前期の15.7億から5.7%のアップだ。10億人単位での記録といえば、Facebookは今期、モバイルのみのユーザー数で10.55億人とビリオンの大台に乗った。

Facebookは売上69.2億ドル、1株あたり利益0.97ドルというアナリストの予想を粉砕した。Facebookの株価は先月末に133.50ドルという新高値を記録した後、いっとき下げていたが、決算発表後の時間外取引価格は126.17ドルに落ち着いている。

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マーク・ザッカーバーグは状況を簡潔に要約して「今期も好成績だった」と書いている。Facebookは株式公開以後、連続して市場の予想を上回る成績を残してきた。例外は為替変動の直撃を受けた四半期だけだったが、このときは他のテクノロジー企業も軒並み打撃を受けている。

モバイルは今やFacebookの広告収入の84%を占めている。率としては第2四半期と変わらない。昨年同期にはモバイル広告の割合は78%だった。つまり同社は68億ドルの全広告収入のうち57億ドルをモバイル広告から上げていることになる。

Facebookの利益は23.79億ドル、前期の20.5億ドルからなんと16%のアップだった。対前年比では160%アップという驚異的な数字となる。支出は若干増えて11億ドルだった。現金、現金等価物、株式は261.4億ドルとなる。WhatsAppクラスの大型買収を思い立っても十分な額だ。

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売上高70.1億ドルの対前年比59%という伸びはTwitterと比較すると際立って優秀だ。Twitterの対前年比の売上アップは10%に留まっている。

Facebookは創立以來12年半が経っているが、ユーザーの忠実度は高い。月間アクティブ・ユーザーの66%が毎日Facebookを使っている。66%というスティキー率は前四半期と同じだ。Snapchatの攻勢という懸念にも関わらず、ユーザーがFacebookから離れる兆候はない。

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Facebookのビジネスは順調だったものの、メディアへの露出では多難な四半期だった。戦争の恐怖を伝えるベトナム戦争時代の裸の子供の写真を検閲、削除したことで強い批判を浴びた。Facebookはその後、ニュース価値が認められる写真については掲載していくと誓っている。Facebookは「メディア企業」であるとは依然として認めていないが、十数億の人々がどんなニュースを見るかはFacebookのコンテンツ選択のアルゴリズムによっている。これは絶大な影響を与えているはずだ。

いずれにせよ、Facebookのビデオへの投資と注力は十分な見返りを生みつつある。視聴者数は巨大であり、Facebookが非常に料金の高い広告をニュースフィードに挿入する機会はますます増えている。今期、ビデオ広告はアメリカとカナダにおけるユーザー1人あたり平均収入(ARPU)の9.1%を占めるまでに成長している。YouTubeという強力な先行者の存在を懸念する声もあったが、ビデオに賭けたことは大きく成功しつある。

〔日本版〕原文コメントにタイトル中の人数がタイプミスではないかという指摘があったが、タイトルではMAUの1.788Bという数字(2番目のグラフ)を採用しており、間違いではない。1.179BはDAUの数字。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Microsoftが次世代型クラウドハードウェアの設計をオープンソース化…コミュニティのコラボレーションに期待

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Microsoftが今日、同社の次世代型ハイパースケール(hyperscale, 自動スケーリング)クラウドハードウェアの設計をオープンソースにし、それをOpen Compute Project(OCP)に寄贈した。Microsoftが2014年に参加したOCPには、Facebook, Google, Intel, IBM, Rackspaceなど、多くのクラウドベンダがいる。これまでの2年間で同社はすでに、サーバーやネットワーキング、データセンターなどの設計をいくつか寄贈している。

同社がProject Olympusと呼ぶこのオープンソース事業は、完成した設計をオープンソースにして寄贈する通常のやり方と違って、設計がまだ最終的な商用化のレベルに達していない。つまり、設計過程にコミュニティがコラボレーションしていくことを、前提しているのだ。

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Azureでハードウェアインフラストラクチャを担当するゼネラルマネージャーKushagra Vaidが、今日の発表声明で述べている: “私たちは、これまでにも、OCP Foundationやオープンソースコミュニティとの密接な協働関係から、非常に多くのことを学んだ。しかしそこで理解した重要なことは、現在のオープンソースハードウェアの開発が、オープンソースソフトウェアほどアジャイルでもなく、頻繁な反復型でもないことである”。そこで、コミュニティに設計への初期的アクセスを与えることによって、Microsoftは“新製品の市場化までの時間を縮小し、投資費用を縮減する”ことを、期待するのだ。

Project Olympusの設計に含まれるのは、新しいマザーボードと、電池内蔵により高可用性の電源装置、高密度ストレージ拡張能力のあるサーバーシャシー、および、複数の(ときに多様な)マシンを載せるサーバーラック群に行き渡る電源配布ユニットだ。既存のデータセンターとその構成のもとで、すぐに使えるために、モジュール性を重視した設計になっている。

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FacebookのOCPサーバー

Open Compute Project FoundationのCTO Bill Carterは、今日の声明文でこう述べている: “Microsoftはオープンソースハードウェアの開発に、新しい時代を切り拓いた。コラボレーションと市場化の方法に新しい姿を持ち込んだProject Olympusは、OCPとオープンソースデータセンターハードウェアの、これまでの歴史になかったものである”。

Microsoftは、FacebookなどそのほかのOCPメンバーと同様、自己のデータセンターにおいてOCPのハードウェアを広範囲に利用している。Microsoftによると、同社が購入したサーバーの90%以上は、OCPに寄贈された仕様に基づいている。OCPを創始したFacebookでは、ほとんどすべてのサーバーがOCPマシンだ。Googleも今年初めにOCPに参加したが、クラウドプラットホームのマーケットリーダーであるAmazonは、まずそもそも、未だにオープンソースに向けての動きがなく、今後についても不明である。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebook、NaverのSnapchatクローン、Snowの買収を試みるも失敗していた

BERLIN, GERMANY - FEBRUARY 24:  The Facebook logo is displayed at the Facebook Innovation Hub on February 24, 2016 in Berlin, Germany. The Facebook Innovation Hub is a temporary exhibition space where the company is showcasing some of its newest technologies and projects.  (Photo by Sean Gallup/Getty Images)

FacebookはSnapchatのように動き、臭い、似ている存在はすべて買収しようとしているという噂の火に油を注ぐような出来事があったもようだ。事情に通じた情報源がTechCrunchに語ったところによると、この夏FacebookはSnowの買収を試みたが不成功に終わったという。このサービスはSnapchatによく似ており、運営しているNaverは時価総額250億ドルの巨大韓国企業で、有名なチャット・アプリ、Lineの背後の存在でもある。

われわれが接触した情報源によれば、Snowにはすでに8000万のダウンロードがあり、さらに毎月1000万ずつダウンロードを増やしているという。この急成長ぶりにひかれたのはFacebookだけではなく、Tencent(巨大チャット・アプリWeChatを運営)やAlibabaも買収を試みたことをTechCrunchはつかんでいる。

Naverはわれわれに対し「Snowが多数の企業からラブコールを受けたのは事実だ」と声明を送ってきた。ただしSnowが買収攻勢を受けたことは確認したものの、買収を試みた会社について具体的な社名は明かさなかった。

Facebookにはコメントを求めたが回答はなかった。

Snowはこの夏、韓国、日本、中国でAndroid、iOS双方のアプリがそれぞれの公式ストアでランキング入りし、合計3000万ダウンロードを集めたときにときにまず注目を集めた。7月にはNew York Timesに長文記事が掲載され、Snow(とNaver)はSnapchatがアジア市場への関心が低いことを好機としていると説明された。これも結果としてSnowへの関心を高めた。

この記事が出た後、Facebookのファウンダー、CEOのマーク・ザッカーバーグがSnowの存在に気づき、Naverのファウンダー、会長のHae-Jin Lee(イ・ヘジン)に電話して買収の希望を伝えた。Naverは7月にLineを日米で同時に上場させ、10億ドル以上の資金を得ることに成功している。しかしイ会長はSnowにはLineなみの将来性があると信じていたためFacebookの申し出を断った。

実際、9月に入ってLineが4500万ドルをSnowに投資するなどしてLineとSnowの連携は強化されている。この際のSnowの会社評価額は1億8000万ドルだったが、誕生わずか1年後の企業にしては悪くない額だ。Lineは日本、タイ、台湾という主要市場以外でのユーザー獲得に苦労している。そこでSnowとの連携が海外市場でのLineの事業拡張に有益だと考えられたのだろう。

SnowにはSnapchatクローン的な性格があるものの、内容には異なる点も多い。

まず第一に、Naverは各地域でサービスのローカライズに真剣に取り組んでいる。これは2011年から2012年にかけてLineが実行した戦略で、このときは韓国と日本でセレブを動員してサービス内に目立つように記事を載せることでサービスの立ち上げに役立てた。【略】

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Snapchat — 現在は‘Snap’に改名 —は来年の株式上場に向けて準備中だと広く報じられている。上場されれば同社の時価総額は250億ドル前後になり、40億ドルの資金を調達できるものとみられている。

こうした数字は3年前にFacebookからの30億ドルでの買収の申し出を断ったCEOのEvan Spiegelの決定を強く支持するものになりそうだ。 当時、この決定は間違いだと強く批判されたものだが。

Snowは誕生後、日が浅いため、Facebookが買収失敗を悔やむような巨大な存在に成長するかどうかはまだ不明だ。

現在のところFacebookは自社サービスにリアルタイム・チャット的性格を盛り込むために全力を挙げている。これにはSnapchatからの「インスピレーション」が多数含まれているという。

具体的に見ていくと、Instagram StoriesはFacebook自身がSnapchatの影響を認めている。Facebookのこのサービスは2ヶ月で1億人のユーザーを獲得するという成績を挙げた。これより規模は小さいがFacebookからはティーンエージャー向けのビデオ・アプリSnapchat風のカメラ機能、ポーランドでテストされた MessengerのSnapchatクローン的機能なども出ている。

〔日本版〕Naver会長Hae-Jin Leeに関する日本語記事では「李海珍」という漢字表記がある。ただし本人に対する直接インタビューの記事では「李ヘジン」の表記だった。この記事では姓名ともカタカナ表記にとどめた。

画像: Sean Gallup/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebookが「選挙ガイド」とも呼べる新しい機能をリリース 

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本日、Facebookは大統領選挙から上下院議員や州知事の選挙まで、あらゆるタイプの選挙をカバーした選挙ガイドとも言える新機能をリリースした。「投票への参加を促す」ことが目的だ。この機能では、ユーザーは候補者や法案を「お気に入り」に登録することができ、実際の投票のときに後から自分のお気に入りを確認することが可能だ。

Facebookが注意喚起するように、この機能はインターネット投票ツールではない。そのため、Facebook上の投票結果が実際の選挙での投票数にカウントされるわけではない。しかし、大統領選挙の候補者や法案などのことをよく知るきっかけにはなるだろう。

この新機能はFacebookがこれまで導入してきた選挙関連機能のなかでも最新のものとなる。今年初めに同社がリリースした「投票に登録」機能は200万ものユーザーに利用されただけでなく、最近では政治家がFacebookページに自身の政治スタンスを表示したり、ユーザーがFacebookページを通じてその政治家を支持できる機能などを導入している。しかし、Facebookが本格的な政治関連の機能をリリースしたのはこれが初めてだ。今日からこの機能を利用することができるが、それがニュースフィードにも表示されるのは来週以降になる。

ユーザーはこの機能を利用して候補者の政治スタンスを確認したり、彼らを支持するコメントを確認したり、お気に入りの政治家を選んだり、投票した結果を自分自身にメールすることで後から確認したりすることが可能だ。Facebookが先週リリースした機能によって集められた候補者を支持するコメントや政治スタンスは、この新機能でも確認することができる。

大統領選挙は連日新聞の一面を飾っており、多くのユーザーはすでに自分が支持する候補者を心に決めているとは思うが、地方の議員選挙や法案のことまで良く知るユーザーは少ないだろう。また、誰を支持するか決めかねているとすれば、友達が支持する候補者を確認して参考にすることもできる。

現在のところ、この機能で確認できるのは大統領選や州議員選挙に関する情報だけだ。ローカルの選挙に関する情報も確認したい場合には住所を入力する必要がある。Facebookによれば、投票に関する情報は60日間保存された後に破棄され、このツールによって集められたデータを公表することはないという。

自分の投票内容の公開範囲をそれぞれの項目ごとに選択することも可能だ。つまり、ある法案を支持するコメントを公開する一方で、大統領選でどの候補者に投票するのかは秘密にしておくこともできる。

新機能を発表したブログのポストのなかで、Facebookのスポークスパーソンは「投票に参加したいと思っている人々がより簡単に参加できるような仕組みをつくり、政治について発言する場を提供したいと思っています」と話している。

Trending Topicsのリリース後、それがもつ保守的なニュースに対するバイアスを指摘されたFacebookにとって、この新機能に対する異議申し立てや、それが不公正ではないかという批判は避けたいところだろう。そのため、候補者や彼らの政治スタンスに関する情報はFacebook自身が集めたものではない。より公平な機関であるCenter for Technology & Civic LifeがFacebookの代わりに全米の選挙情報を集め、そのデータを提供しているのだ。そのデータの中に誤りを見つけた場合、Facebookにレポートすることが可能だ。

この新機能について動画にまとめたので見てほしい:

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

 

Facebook、「民族親和性」に基づく広告ターゲティングに批判

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米国の非営利報道機関、ProPublicaは今日(米国時間10/28)、Facebookの広告機能に潜在的問題があると指摘した ― 具体的には、「民族親和性」に基づいてユーザーを広告の対象に加えたり外したりする機能だ。

この機能は以前から存在しており(FacebookはProPublicのJullia AngwinとTerry Parriss Jr. に、「多文化広告」の一環として2年前から提供していると話した)、利用する広告主は、これを年齢、性別、地域によるターゲティング等、従来からの一般的慣行の自然な拡張と感じているかもしれない。

しかしAngwinとParrisは、住居および雇用に関する差別的広告を禁止する連邦法があると指摘する。実際、市民権利弁護士のJohn Relmanにこの広告ターゲティングオプションを見せたところ、「これは恐ろしい。完全な違法行為だ。国が定める公正住宅法にあからさまに違反している」と語った。

Facebookはこれに対して、多文化対応の責任者、Christian Martinezがブログ記事で回答した。Martinezは、民族親和性は正確にはユーザーの民族性に基づくものではなく、「Facebook上で特定の民族コミュニティーに関連するコンテンツに『いいね!』等の行動をとった」かどうかに基づいている ― そしてユーザーは自分の広告ターゲティング設定を調整することができる ― と指摘している(法律家っぽい区別だと感じるかもしれないが、これは法的問題の可能性に関する議論だ)。

Martinezは、この種のターゲティングの利点を説明している。

例えば、ラテン系コミュニティーのための求人求職フェアを開催する非営利団体は、コミュニティー内で興味のある人たちにFacebook広告を使って連絡できる。あるいは、黒人女性向けのヘアケア製品を売る業者は、自社製品を欲しがる可能性の最も高い人たちにリーチできる

また、このターゲティング機能で起こり得る、より差別的な行動についてMartinezはこう言っている:

「当社の広告ポリシーは、この種の広告を厳重に禁止している。それは違法な広告である。Facebook上でこの種の差別広告を見つけた場合、当社は直ちに強制行動をとる。また、ウェブサイトという性格上、当社はアパート賃貸や求職の詳細を知る立場にないことが多い ― このため、広告に違法な差別性があると関係当局から通知をを受けた際には、その広告を削除する」

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「Facebookでの安全」ページが50言語に拡大―「いじめ防止ハブ」もアップデート

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Facebookは17億人のメンバーを有する世界最大のソーシャルネットワークだが、最近メディアとして強い批判を浴びる事件が起きている。Facebookではこれに対してユーザーがこのプラットフォームでの体験をさらに安全にするため、多数の新機能を追加中だ。

今日(米国時間10/24)、同社はFacebookでの安全(Safety Center)を全面的にアップデートし、世界の50言語で利用できるようにした。Facebookのユーザーはプライバシーをよりきめ細かく設定できるようになる。Facebookによれば「いじめ防止ハブ」は世界で60のNPO等と提携しており、さまざまなツールへのアクセスが容易になったという。

これらのパートナーにはChildnet InternationalConnect Safely(十代の青少年と保護者のためのオンライン・フォーラム)、Family Safety Online Instituteなどが含まれる。〔日本の場合、カタリバ、キッズドア、Re:incが提携先とされている。


このニュースが発表されたタイミングはいくつかの点で興味深い。1週間前にFacebookは投稿にあたっての禁止事項を多少緩和する ことを発表した。要するに、ニュース価値が認められる限り、一部のユーザーが不快に思うかもしれない露骨その他の内容であっても投稿可能になる。

また新しい「Facebookでの安全」ページの発表はライバルと目されていたソーシャルメディア、Twitterが1つだけでなく2つの買収候補を失った1週間後だった。大手企業がTwitter買収から手を引いた理由の一つはプラットフォーム上に蔓延するトロルとハラスメントをTwitterが効果的にコントロールできていないことだった。Twitterはこの点にもっと真剣に取り組む必要がある。

Facebookの安全センターはn 2010年4月ごろからある。「いじめ防止ハブ」も2013年に立ち上げられており、両方とも定期的にメンテナンスされてきた。場合によっては、特定のオンライン・ハラスメントやセキュリティー問題に対する回答という形でアップデートされることもあった。

今回Facebookはこうした安全対策ツールの利用を世界のユーザーに拡大した。こうした問題が英語圏のユーザーに限られないことをFacebook自身も認めたかたちだ。

Facebookのグローバル・セキュリティーの責任者、Antigone Davisは新しい安全センターはさらにモバイル・フレンドリーになったと書いている。 多くの国や地域でモバイルがFacebookの利用のメインのプラットフォームとなってきたことを考えるとこれは理にかなっている。安全センターは50ヶ国語に拡張され、Facebookのセキュリティー設定を適切に利用するための方法を解説するビデオも追加された。

「いじめ防止ハブ」が最初に登場したのは2013年で、FacebookはYale Center for Emotional Intelligenceと共同でこのプロジェクトを開発した。新バージョンは新らたな機能満載というわけではないが、Facebookは提携団体を60に増やし、このページの存在を広く知らせると同時に関係者にとってさらに使いやすいものにする努力を払っている。

Facebookでは近況の投稿の表示先を特定のグループに制限できるし、その方法もわかりやすく解説されている。これはツイートの公開先を制限できないというTwitterの重大な欠点を浮き彫りにするものだ。Twitterがこの点を改良するのは、まだ間に合うか手遅れか、という際どいところに来ていると思う。

Facebookは安全センターのアップデートを機に、5つの分野の分野に関してユーザーの注意を再度呼びかけている。

  1. Facebookは2段階認証機能を用意しているのでメンバーはできる限り利用すべきであること。新しいデバイスからFacebookをログインしようとすると予め登録した携帯電話経由で身元認証が行われる。
  2. 投稿が不快、ハラスメントなどの内容を含んでいる場合、「報告」機能(ほとんどすべての記事にリンクが付属する)を利用することを推奨(ただし報告の結果、Facebookがどのような措置を取ったかなどの報告はなされない)。
  3. Facebookでは利用体験を改善するために投稿が表示される相手を選ぶことを推奨している。公開範囲は「友達」、「親しい友達」など細かく設定できる。また友達、仕事、地域など適切な基準で相手を選んでカスタムリストを設定することができる。
  4. タグ付け、タイムライン表示の内容もカスタマイズできる。Facebookではこうした設定についても確認するよう勧めている。
  5. プラバシーセキュリティーのページにこうした設定方法がすべて説明されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook Live、5月以来の利用者は4倍増。テレビCMと屋外広告を展開

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Facebookは、ライブ動画がセレブだけのものではないことを、みんなに伝えたがっている。Facebookは、米国および英国で、テレビ、ウェブ、街頭、バス、バケッジクレーム等に新たな広告を掲載、何かいい物を見たり、自慢したり、大切なことを言いたい時にライブ中継することを推奨している。

このキャンペーンは、5月以来あらゆる時間帯で利用者が4倍以上に増えているライブ動画の勢いを、さらに加速するかもしれない。ビデオストリームは7大陸に加えて宇宙からも発信され、ユーザーは通常のビデオの10倍コメントを付け、視聴時間はライブ以外のコンテンツの3倍に上る。多くの視聴者が集まるのは著名人のものだが、ほとんどのライブ中継は一般ユーザーによるものだ。

Facebookは、YouTube LiveやTwitterのPeriscopeと、ライブ発信者や視聴者の獲得を争っている。一連の広告で支持者を増やしたいところだ。

ビデオCMをまとめた動画を下に貼った。

Facebookといえば、2012年にユーザー10億人達成を祝った、意味不明で仰々しい「Facebookは椅子のようなもの」というのテレビCMを思いだす。そう、誰の暮らしの中にも存在する、という意味らしい。

新しいキャンペーンは、ずっと直接的で包括的で真っ当だ。どのCMも、ユーザーがライブ中継できるものの例を挙げている。FacebookのCMO、 Gary Briggsによると、「CMのコンテンツはすべて ― どのビデオも写真も ― スマートフォンのFacebook Liveで撮ったもの」だそうだ。通常Facebookは、失敗した製品は放置してリソースを注ぎ込まないので、Liveには大きな可能性を期待しているのだろう。

新広告キャンペーンのキャッチフレーズと場所は以下の通り。

  • テレビ/ウェブの30秒スポット:隠れた才能の持ち主が、隠しておかなくてもよくなった時、ライブ中継するには― 「うまくいってる。もしそうでなくても友達はきっと君のことをすごいと思うよ」。
  • テレビ/ウェブの30秒スポット:何か言いたいことがあって、あとは声に出して言うだけという時、ライブ中継するには ― 「もう一人じゃない。聞いてくれる友達がいる」
  • 15秒スポット:髪を切る直前の子供
  • 15秒スポット:激しい雷雨をビデオに撮っている男
  • 15秒スポット:小さな女の子がギターを弾きながら歌っている
  • 15秒スポット:テディベアの扮装をした犬
  • 15秒スポット:波打ち際を歩いている男
  • バス広告:このすばらしいバスツアーに参加していなくても、すばらしいツアーを案内したい時、ライブ中継するには
  • バス待合所:犬以外の動物を散歩させている人を見た時、ライブ中継するには
  • バス待合所:友達とただ出かけたりした時、ライブ中継するには
  • バス待合所:町で一番のギロピタを買った時、ライブ中継するには
  • バゲッジクレーム:最初のスーツケースが落ちてくるのを全員が待っている時、ライブ中継するには
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    Blank outdoor bus advertising shelter ; Shutterstock ID 426533326
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    Blank outdoor advertising shelter ; Shutterstock ID 372970987
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    Outdoor advertising bus shelter ; Shutterstock ID 323731910

FacebookはこれまでにもFacebook Liveのプロモーションに力を入れており、140以上のニュースサイトやインフルエンサーに対して500億ドル以上を使ってきた。その結果Facebookでライブストリーミングをするコンセプトは浸透したが、今度はユーザーが実際に使うよう仕向けなくてはならない。

YouTubeが自らをウェブ有名人の発表の場と位置づけ、Periscopeが市民ジャーナリズムと専門家のQ&Aに焦点を絞る中、Facebook Liveの広告は、一般人の発信ツールとして位置づけている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、現実のユーティリティーへ―料理配達、チケット購入などが簡単に

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今日(米国時間10/19)、Facebookはいくつかの新機能を発表した。Facebookはユーザーが単にテキストや写真を投稿するだけでなく、現実の場面でもこのソーシャルメディアを使ってもらいたいようだ。Facebookページでは、ユーザーはDelivery.comとSliceを通じて宅配で料理注文することができる。また MyTimeを通じて専門的サービスの見積もりを取ったり、 Facebookを離れることなくTicketmasterとEventBriteで映画やコンサートのチケットを購入したりできる。

Facebookはイェローページの復活に向けて努力をしているが、これらの新機能はその最新の成果といえるだろう。特に月間で6億5000万人がFacebookのイベント機能を利用していることを考えるとFacebook内からチケット購入ができるようになることの影響は大きい。現在はFacebookでイベントを知っても実際に参加するためには別のサービスにログインしてチケットを買う必要があった。このフリクションを取り除くことができれば、Facebookのイベント機能は各種イベントの主催者にとって対話性の高い広告媒体としての魅力を大きく増すことになる。

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友達があなたの知っている都市や地域を旅行している場合、新しいRecommendations(お勧め)機能を利用して何をしたらいいか提案することができる。ユーザーが不案内な町にやって来て「私は何をしたらいい?」と投稿するとFacebookの人工知能が自動的にそのことを探知する。ユーザーがRecommendations機能をオンにしている場合、友達の「お勧め提案を求む」という投稿がニュースフィードに目立つように表示される。この投稿への友達のコメントには地図が含まれ、後で利用するのが簡単なようにブックマークもできる。つまり「東京に来たけど寿司はどこで食べたらいい?」とか「サンフランシスコでブリトーがおいしいのはどこ?」といった質問に答える(そして提案を利用する)のが大幅に簡単になる。

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Facebookは今月、スタンドアローのイベント・アプリをリリースしたが、このアプリの優れた機能を本体アプリのイベント・タブにも移植した。ユーザーはデフォールトで友達からのRSVP(参加の可否連絡待つ)を含めてイベント発見のためのフィードを見ることができる。このフィードでは今日、明日、あるいは今週末にどんなイベントがあったかを簡単に調べることができる。もっと詳しく日程を知りたい場合は伝統的なカレンダー表示に切り替えることができる。ユーザーは新しいイベント機能を利用することで、地域のパーティー、展覧会、コンサート、カンファレンス、飲み会などの情報を最大漏らさず知ることができる。

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これらの新機能は当面アメリカを対象として今日から公開が始まる。反応が良ければ他の地域にも拡張される可能性がある。

FacebookはGoogle、Yelp、Fandango、ローカル情報サイト、料理宅配アプリなどに流れているトラフィックの一部を自サービス内に取り込もうとしているようだ。Facebookのタイムランはユーザーが慣れており、UIとしても使いやすい。ここに友達からの提案が表示されるのはユーザーにとって便利であり、使いにくく、身元不明の記事が多数ヒットするモバイル検索に十分勝てるとFacebookでは考えている。

ユーザーの習慣は一朝一夕に変わるものではないからモバイル・トラフィックに大きな影響を与えるような変化がすぐに起きるかどうかは分からない。しかしFacebookがユーザーが何をどこで買うのかについて今より豊富な情報を入手できるようになるのは間違いなさそうだ。ユーザーが特定のコンサート会場によく行く、あるいはタイ料理をよく注文するなどの情報が得られば、ターゲット広告の精度を改善するために役立つのはもちろんだ。

ユーザーがFacebook上で、友達だけでなく各種のビジネスとも相互作用をするチャンスが増えれば、ビジネス側でもFacebookにおける自社の露出を重視せざるを得ない。広告予算をFacebookにさらに振り向けることが必要になるわけだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+