Truphoneは調達した3億3900万ドルで負債を返済し、IoTデバイスの接続事業に賭ける

低コストの国際的なモバイル音声通話およびデータプラン通じて名を上げた、ロンドンを拠点とするモバイル企業Truphoneは、通信の未来に突き進むための戦略として、とても大きな一歩を踏み出した。同社は2億5500万ポンド(3億3900万ドル)という巨額の資金を調達し、負債を帳消しにした上で携帯電話にとどまらないデバイス間のデータ接続に賭けようとしている。

この投資は、株主割当発行(rights issue)としておこなわれる。すなわち株式が既存株主に対して特別価格で発行されるのだ。今回のケースでは2つの投資ファーム、MindenとVollin Holdingsがその対象だ。これらはロシアの新興財閥で特にサッカーチームChelseaを所有していることで有名なRoman Abramovichが関係するファームである。本日(米国時間10月2日)のニュースに先立ち、彼らはすでにTruphoneの株式の83%を所有していた。

Truphone CEOのRalph Steffensは、TechCrunchに対して、このラウンドはTruphoneを、3億7000万ポンド(4億9100万ドル)と評価したと語った。これは、Truphoneのこれまでに報告されたラウンドに比べて大きなプレミアムではなく、会社がこれまでに調達した資金よりも遥かに少ない。2013年には Truphoneは3億ポンドの評価で7500万ポンドを調達し、現在までに合計で6億ドル弱を調達している。

Steffensによれば、本日の投資の大部分は、Truphoneの負債を返済し、綺麗な状態で進めるように使われるということだ。

同社は2006年以来営業を続けており(私は同社を「スタートアップ」と呼んでも良い期間は、いささかオーバーしていると思っている)、最後の3〜4年の間にビジネスの拡大に伴い約2億3900万ポンドの負債を抱えることになった、とSteffensは語った。

調達資金の残りの部分は会社の投資に回され、特にIoTビジネスでのさらなる買収に使われる。この領域は、Truphoneが既にある程度の基礎を作り上げているところなのだ。「数日の内には発表できる、戦略的買収を進めているところです」と彼は語った。

インターネットに接続できる新しいスマートデバイスの急増は、そうした接続を提供する新たなスタートアップグループの参入を招いている。Truphoneに加えて、同じ事業分野の他の企業としてはCubic Telecomが挙げられる。同社はAudiとコネクテッドカーで協業し、その成長のための資金調達も行っている。

Steffensによれば、Truphoneは「自動車メーカーとの取引」もしているが(メーカー名を挙げることは拒否)、同社のIoTへの関心はそれをさらに超えているということだ。「 当初は自動車業界に焦点を当てていたのですが、ここ6〜9カ月の間には、他の業界からも大きな商談が持ち込まれています」。

興味深いことに、Truphoneの基本的な技術は、同社のレガシービジネスの根幹であると同時に、これから参入したいと考えているビジネスの根幹でもあるのだ。

Truphoneがユーザーに低価格の音声通話並びにデータプランを提供できていた理由は、複数の国の複数のキャリアからの通信容量を、組み合わせることのできるソフトウェアを持っていたからなのだ。これによって、Truphoneユーザーはある容量を購入するだけで、それを様々な国で追加料金なしで利用することができるようになる。

そしてこれからは、安価な音声通話とデータに対するものと同じフレームワークを使って、それを必要とする任意のデバイスに適用し、新しいホームセキュリティや工場の機械のための通信路を提供することができるのだ。

「私たちは投資家のコミュニティから、正しい方向に進んでいるという点で、高い信頼を寄せて貰っています」とSteffensは、TruphoneがIoTに深く入り込もうとしている点について語った。「高度なソリューションを提供するために、一流企業や優良企業の皆さまたちと密な話し合いをする機会が増えています」。これらは自動車だけでなく、これから市場に登場する、より広い範囲の「スマート」なデバイスに対応する可能性があると彼は語った。

一方、同社の現在のビジネスは、従来のサービスの上で継続していく。

これには、220カ国で現在3500社の企業顧客向けに提供されている、Truphoneの低価格モバイルサービス(ローミングパッケージの明白なターゲット市場)、そして新しいAppleとの戦略的パートナーシップのような活動が含まれている。

TruphoneはAppleのeSimベースハードウェアの接続プロバイダーとして働いている(現段階ではiPadだけが対象となっている)。Steffensは、このパートナーシップのことを、現時点で「フルスピード」で取り組んでいる事業だと表現した。Truphoneは、今年の末までに30の市場で、そして来年には54の市場で、Appleデバイスを用いることができるようにすることが目標だ。

Steffensは、Truphoneは2018年には「高い収益性を達成するでしょう」と付け加えた。「それは英雄的な努力を必要とするものではありませんし、超一流企業との契約が必要となるものでもありません。つまり現在のビジネスの延長線上で達成できるということなのです」。

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(翻訳:Sako)
FEATURED IMAGE: NICOELNINO/GETTY IMAGES

福岡発AI・IoTスタートアップのスカイディスクが7.4億円を調達、提供分野の拡大と海外展開目指す

AIやIoT を活用したソリューションを提供するスカイディスクは10月3日、ニッセイ・キャピタル、 DG Daiwa Ventures、環境エネルギー投資、山口キャピタル、加賀電子、ドーガンベータ、アーキタイプベンチャーズを引受先とする第三者割当増資により、総額7.4億円を調達したことを明らかにした。

スカイディスクは2013年に福岡で設立。2016年の1月にニッセイ・キャピタル、アーキタイプベンチャーズ、ドーガンが運営するファンドから1億円を調達していて、今回はそれに続く資金調達となる。

センサデバイスからAI分析サービスまでワンストップで提供

スカイディスクの特徴はAI・IoTを現場で導入するのに必要な機能をワンストップで提供していることだ。

具体的にはデータを取得するための「センサデバイス」、そのデータをクラウドに届けるための「通信システム」、取得したデータを蓄積する「データ蓄積クラウド」、貯まったデータを分析するための「AI分析・学習モデル」といった技術やシステムを全て自社で保有。様々な業界の課題に合わせて、IoTとAIを活用したソリューションを提供している。

その1つが先日TechCrunchでも紹介した、スマホのマイク機能を使って取得した「音」により、設備機器の異常診断ができる「スマート聴診棒」だ。

従来は熟練の担当者が機器の発する音をたよりに行っていた異常診断業務。高度な技術や経験が必要になる属人的な業務であり、後世へノウハウを継承することも現場の課題となっていた。

そこでスカイディスクではIoTとAIを活用し、若手の担当者でも対応できる仕組みを構築。ある電力会社のニーズからできあがったシステムだったが、他社でも同様の課題を抱えていることを知り、正式なサービスとしてリリースした。

スマート聴診棒

設備保全分野に限らず、スカイディスクでは農家向けにハウスの気温や湿度などを自動測定できるシステムや、フィットネススタジオ向けに施設内の室温や酸素濃度を感知するシステムなども提供している。

プロダクトアウト型から、マーケットイン型の企業体へ変化

「(2016年1月に)出資を受けてからビジネスサイドのメンバーも増え、プロダクトアウト型の企業体からマーケットイン型へシフトしてきている。顧客のニーズや痛みをAIやIoTでいかに解決していくのか探るアプローチへ変わった結果、スマート聴診棒のようなサービスが生まれた」

そう話すのは、スカイディスク代表取締役CEOの橋本司氏。この1年半ほどで5名だった同社の社員は約25名までに増えた。事業が前進するきっかけになったのは、チーム編成が変わったことに加え顧客の変化もあったからだという。

「以前は『IoTって何?』という顧客が多かったが、今では『AIやIoTを活用してこのような課題を解決できないか?』という声が増えた。問い合わせもIoT推進部のような新設された部署だけでなく、実際に課題を抱えている事業部からいただくように変わってきている。現場の課題が明確なため取り組みやすく、仮に対応できない場合も断りやすい。状況判断のサイクルが早くなり、事業の成長に繋がっている」(橋本氏)

スカイディスク代表取締役CEOの橋本司氏

この1、2年ほどで「AIやIoTの活用に貪欲になった企業が増えてきている」(橋本氏)という実感があるからこそ、さらに多くの顧客に自社の技術を提供できるように資金調達へと踏み切った。今後スカイディスクではAIエンジニアやビジネス開発人員を増やした上で、「提供分野の拡大」と「海外展開」の2つに取り組む。

たとえば現在同社が注力している設備保全分野では、工場やビルの機械装置だけでなく、鉄道やトンネル、橋梁といったインフラにも拡大していきたい考えだ。扱うデータについてもスマート聴診棒のような「音」に加え、「振動・電流」から故障予兆が検知できるサービスを準備し顧客のニーズに応える。

また九州工業大学と介護領域でのIoT活用に関する共同研究をスタート。これまで着手できていなかった分野でもチャレンジを始めていく計画だ。

そしてAIやIoTを活用したサービスを提供できるのは、日本国内の企業だけではない。特に設備保全の問題などは世界でも共通する部分が多いという。橋本氏によると「主にアジア圏で実際に話が出てきている」そうだ。日本で作った事例の海外展開やその逆パターンなど、これから1、2年で国を超えた取り組みも行っていくという。

マグネシウム製の食べられる温度センサーが食品の鮮度を保つ

生鮮食品の温度を輸送時に適温にキープすることは意外と難しいが、スイスの人たちはそれに取り組んでいる。この前彼らは本物の果物の荷の中に混ぜ込むロボットフルーツを発明したが、今度は別のチームが、食品に貼り付ける生分解性の温度センサーを作った。そのセンサーは、食品の出荷地からあなたの口の中胃の中まで旅をする。

食品の現在の温度を目視で、あるいは手作業で確認するのは困難だが、温度をコンスタントにかつワイヤレスでモニタできるなら、時間と労力の大きな節約になる。

これまでもRFIDタグなどを使えばそれはできたが、金属製のタグを誤飲したりしたら、それが毒物である可能性もある。今回ETH Zurich(チューリッヒ工科大学)のGiovanni Salvatoreが考えたのは、人間が安全に消化できる素材を使って、超薄型のセンサーを作ることだ。

彼と彼のチームによるその研究は、Advanced Functional Materials誌に載っている。彼らが作ったセンサーは厚さがわずか16マイクロメートルで(人間の髪の毛の太さは100マイクロメートルぐらい)、マグネシウムでできている。ETH Zurichのニュースリリースによると、マグネシウムは人体の必須栄養素のひとつだ。たしかに、それはそうだ。

酸化シリコンと窒化シリコンも使っているが、こちらも無害だ。そしてチップの全体をコーンとポテトのでんぷんで作った分解性のポリマーが包んでいる。曲げたり伸ばしたりできるし、くしゃくしゃになっても機能は生きている(ただし食べ物自体の状況も確認しよう)。

ケースの中のごく一部のリンゴや魚やバナナなどにこれを貼り付けて、船やトラックに積む。すると冷蔵室の外からでも、食品の温度(気温ではない)を知ることができる。そして、それが行きつくべきところへ行き着けば、あとは体内で分解される。

もちろん、電源やワイヤレスの部位は生分解性ではない。それらは外部にあって、同じく必須栄養素のひとつである亜鉛のケーブルで接続する計画だが、この難問が解決するまでは、まだ完全解ではない。でもセンサー部分が完成しただけでも、すごい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

電力をまったく消費せずに何年も眠り続けるセンサーが、事象が起きたときだけ目覚めて信号を送る

通常の電力や太陽光発電などが使えるところで、常時電源onのカメラを設置することは容易だが、自然の奥地とか地下などの特殊な環境では、電力を一滴も無駄にしたくない。そこでこのほどDARPAで開発された新しいタイプのセンサーは、検知すべき事象が実際に起きるまでは、電力をまったく消費しない。だから、電池を充電しなくても、何年でも現場に放置できる。

このようなセンサーは、廃炉になった原発の深くて長いトンネルの中とか、山奥の廃鉱などに設置すると、電源供給の苦労が要らない。そしてそこに何かが起きたら、直ちにそれを表すデータが送信される。それまでの電力消費量は、ほとんどゼロだ。そこでDARPAはこれを、Near Zero Power RF and Sensor Operation(所要電力がゼロに近いRFおよびセンサーの運用)と呼んでいる。

この難しい要求に、ノースイースタン大学のエンジニアたちが取り組んだ。彼らは自分たちの仕事を、“plasmonically-enhanced micromechanical photoswitch” (プラズモンで強化される微小機械用光スイッチ)と呼んでいる…その技術のすべてを言い表しているね…ぼくの記事はここで終わってもいいぐらいだ。でも、昔教室で居眠りをしていた読者のために、説明の努力をしてみよう。

このセンサーは、赤外線の光波を検出する。赤外線は、目には見えないけど、人体、車、火など、熱のあるところから大量に発生している。しかしそのセンサーは、赤外線が存在しないときは完全に電源がoffになっている。

しかし赤外線が現れたら、センサーのカバーに当たって増幅される。プラズモンは伝導性素材の特殊な振る舞いだが、この場合は赤外線に反応して素材を熱する〔==赤外線が増幅される〕のだ。

エレメントの加熱によって閉じたギャップ(下左)。

“赤外線のエネルギーがセンサーの感知成分を加熱し、それによりセンサーの主要部位に物理的な動きを起こす”、DARPAのプログラムマネージャーTroy Olssonがブログにそう書いている。“これらの動きによって、それまで開(あ)いていた回路成分が閉じ、赤外線が検出されたことが信号される”。

井戸のパドルにようなものだ、と考えてみよう。それは、何年も何もせずにそこにあるが、誰かが井戸に石を投げ込んだら、石がパドルに当たり、回転してクランクを回す。クランクは紐を引っ張り、井戸のオーナーに知らせるための旗を揚げる。ただし、Olssonの説明は、もっとややこしい。

“この技術には複数の感知成分があり、それぞれが特定の波長の赤外線を吸収する。それらが複雑な論理回路を構成し、赤外線のスペクトルを分析できる。そのためこのセンサーは単に環境中の赤外線エネルギーを検出するだけでなく、その発生源(火、車、人、その他)を特定できる”。

“長年、人が維持作業などをせずに放置されているセンサーが、めったにないけど重要な事象を検知できる”、と研究者たちは書いている。たしかに、セキュリティ以外にも用途はたくさんあるだろう。たとえば森じゅうにこのセンサーをはりめぐらしたら、動物の群(むれ)の移動をモニタできるだろう。宇宙では、非常にまれな現象を捉えるかもね。

この技術を説明しているペーパーは、今日(米国時間9/11)発行されるNature Nanotechnologyに載っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

スマホを使って自宅の外からエアコンを操作する「Nature Remo」が予約開始

「Nature Remo」

スマートフォンアプリを通じてエアコンや家電のリモコンをコントロールできるNatureのIoTプロダクト「Nature Remo(ネイチャー リモ)」。これまでクラウドファンディングサイトなどに限定して提供されていたこのプロダクトが、いよいよ一般向けに提供されることになった。

Natureの日本法人であるNature Japanは8月29日、Nature Remoの予約受付を開始した。定価は1万3000円。10月からの正式発売を予定しているが、現在は特別価格として9980円で予約中だ。特別価格は限定数を達成したら終了するとしている。

Nature Remoは、専用のスマホアプリを使って、戸外からエアコンをはじめとした家電のリモコン操作ができるIoT製品。WiFiや赤外線の送受信機能に加えて、人感、温度、湿度、照度などのセンサーを備える。

Nature Remoのアプリイメージ

電源を入れ、アプリとのペアリングやWiFi、リモコンの送受信(リモコンをNature Remoに向けて信号を送って認識させる)といった設定を行えば使用の準備は完了。帰宅前に室内の温度を確認してエアコンをONにしたり、外出時に消し忘れた家電の電源を戸外からOFFにしたりといった操作が可能になる。また、GPSを使って、特定エリアに入った、もしくは特定エリアから出たタイミングで家電の電源をON・OFFするといった「ルール」の設定も可能だ。

IFTTTにも対応しており、IFTTT経由でGoogleアシスタントやAmazon Echoなどと連携することもできる。APIも近日公開予定だという。ダイキンやパナソニックをはじめ、三菱電機、日立、東芝、富士通、シャープなど各社のエアコンに対応するのも特徴だ。

Natureは、ハーバード大学発のスタートアップ。Nature Japanの代表取締役も務めるファウンダーでCEOの塩出晴海氏がハーバード大学のMBA課程在籍中に、同じくファウンダーでCTOの大塚雅和氏と立ち上げた。2017年5月にはNature Remoをクラウドファンディングサイトの「Kickstarter」で発表。MakuakeやIndiegogoといったクラウドファンディングサイトとあわせて、総額2000万円以上の資金を集めた。

Microsoftが完全な管理を伴うイベントルーティングサービスAzure Event Gridを立ち上げ

Microsoftが今日(米国時間8/16)、Azure系列の新製品をプレビューとして発表した。それは、イベントベースのアプリケーションを作りやすくするためのツールだ。

そのAzure Event Gridは、画像やビデオがアップロードされた、ボタンがクリックされた、データベースがアップデートされた、などなどのイベントをAzureの正式のオブジェクトとして扱う。Event GridはMicrosoftの既存のサーバーレス製品Azure FunctionsやAzure Logic Apps(の足りない機能)を補完して、完全に管理されたイベントルーティングサービスへのアクセスを与える。この新しいサービスにより、どんなイベントに対しても、それを受け入れて反応する柔軟性が与えられる。それらは、Azure内部で起きるイベントでも、あるいはサードパーティのサービスや既存のアプリケーションで起きるイベントでもよい。

Event Gridを使うと、イベントを特定のエンドポイント(あるいは複数のエンドポイント)へルートしたりフィルタできる。

“サーバーレス”という言葉は、最初から一貫して誤称だ。たしかにアプリケーションはサーバーを呼び出さないけど、イベントに応じて何かをやるのは依然としてサーバー、というかサーバー上のコードだ。サーバーレスプラットホームの基本的なコンセプトは、このモデルではイベント駆動のアプリケーションを、それを支える低レベルのインフラストラクチャ(サーバーなど)をまったく気にせずに作れる、という点にある。

たとえば、MicrosoftのAzure ComputeのディレクターCorey Sandersによると、Event Gridは、マイクロサービスを作るためのMicrosoftのプラットホームService Fabricの上にあるが、デベロッパーはそのサービスについて何も知る必要がなく、プラットホームがすべての面倒を見る。

Event Gridはwebhookのエンドポイントとして、どんなアプリケーションからでも入力を取れるから、Azure FunctionsやLogic Appsなどよりもやや進んでいる。“目標は、顧客が管理でき操作できる正式のオブジェクトとしてのイベントを提供することだ”、と、Sandersは語る。基本仕様としてEvent Gridは、Azure Blog StorageやResource Manager, Application Topics, Event Hubs, Azure Functions, Azure Automation, そしてLogic Appsをサポートしている。またCosmosDBデータベースサービスやIoT Hubなどの新しいサービスも、年内にはサポートされる。IoTアプリケーションはイベント駆動が定石だから、IoT Hubのリリース時点でイベントのサポートがなかったのが、むしろ意外だ。

標準的なサーバーレスアプリケーションとインテグレーションはLogic Appsがあれば十分かもしれないが、Event Gridを使えばオペレーションのワークフローの一部を自動化でき、たとえば新しい仮想マシンやデータベースの立ち上げなどにも、自動的に対応できるようになる。

Event Gridの料金は処理するオペレーションの数による。最初の10万オペレーションは無料、そしてその後、100万オペレーションごとに60セントだ。現在のプレビューの時点では、30セントとなる。ひとつのオペレーションは、入力処理、高度な数値演算、デリバリの試み、管理タスクの呼び出しなどだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

あらゆるIoTデバイスのためのクラウドプラットホームを提供するWiaが€750Kのシード資金を獲得

アイルランド出身のWiaは、そのクラウドサービスにより、センサーを装備したハードウェアデバイスを、完全なIoTデバイスとして運用できるようにしてくれる。同社はこのほど、Suir Valley Venturesがリードするシードラウンドにより、75万ユーロを調達した。このラウンドには、Enterprise Irelandも参加した。

2015年に創業したWiaは、ダム(dumb)デバイスをスマートデバイスに変えてIoTとして動かすために必要なクラウドインフラストラクチャの設営と、その日常のお世話のあれこれをすべて、デベロッパーに代わって引き受ける。同社の主張によると、どんなタイプのセンサー・デバイスでも、わずか数分で“安全でスマートで便利なアプリケーション”に換えて、大量の時間とコーディングを節約する。

WiaのファウンダーでCEOのConall Lavertyはこう説明する: “デベロッパーはハードウェアを作る。それは温度計かもしれないし、自転車用の計器かもしれない。自動運転車でもいいね。これらのデバイスの共通点は何だろう? センサーのデータを捉えて、これらのデバイスをスマートで便利な装置に換えることさ”。

“そのためには、プラットホームが必要だ。これまでのやり方では、たくさんのデベロッパーを部屋に閉じ込めて何十万行ものコードを書かせ、数か月後には何かが動き出す、と希望することだった。それは、門のところに誰かが来たら玄関の警告灯を点けて不審者の来訪を知らせる、たったそれだけのデバイスかもしれない”。

たったそれだけのデバイスでも、通信のインフラからデベロッパーが自作していると、たいへんな作業になる。彼は、そう言いたい。そこで、WiaのようなIoTのプラットホームを利用しなさい、と。すでにRelayrEvrythngのような競合他社も現れている。

“面倒なことは全部われわれが引き受ける。わが社のエンタープライズクラスのプラットホームを利用すれば、通信にインターネットを利用するスマートデバイスをわずか数分で立ち上げられる。門から玄関までの通信インフラを自作するのはたいへんだが、うちを利用すれば通信インフラは完璧な状態ですでにある。どんなデバイスでも、容易に管理し、データを捕捉し、コントロールし、既存システムへの統合もできる。それをするために、コードは1行も書かなくてよい”、とLavertyは激しく売り込む。

決済を超簡易化したサービス、Stripeをご存知の方には、こんな言い方が良いかもしれない: Wiaは、“物のインターネットのStripe”になりたいのだ。

Lavertyによると、Wiaはささいな消費者製品から、世界中に何百万ものデバイスをデプロイするエンタープライズに至るまで、あらゆる種類およびサイズのIoTデベロッパーに対応できる。“うちは水平なプラットホームだから、業種業態を特定しない。ロジスティクスや農業にも、十分対応できる”。

デベロッパーがWiaをちょっと試してみるのは、無料だ。Wiaのクラウドサービス上でIoTの本格展開をしていく企業顧客は、料金が月額59ユーロからだ。料金は、デバイス数をベースとする従量制になる。数か月後にはこのプラットホームのオンプレミスバージョンもリリースする予定で、そちらは年額のライセンス料になる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

KDDIがソラコムを約200億円で買収―日経新聞が報道

今朝(2017年8月2日)日経新聞が報じたところによれば、KDDIはIoTスタートアップのソラコムを買収する模様。発行済全株式を8月内にも取得し、買収額は約200億円となるという。もし事実であれば、日本のスタートアップ企業の買収額としては「大型ホームラン」といって良いM&Aとなりそうだ。創業3年弱のスピードエグジットでもある。TechCrunch Japanでは現在ソラコム広報部に対して買収の事実を確認中だが、事前に先方から取材の申し入れがあり、もともと本日午後に取材を予定していた。買収に関してではないかと思われる。

SORACOMが提供するSIMカードを手にするソラコム共同創業者でCEOの玉川憲氏(2015年9月、撮影はTechCrunch Japan西村賢)

ソラコムの法人設立は2014年11月。AWSのエバンジェリストだった玉川憲氏が本格始動したのは2015年のことで、WiL、インフィニティー・ベンチャーズLLPなどから7億円のシード資金を調達。2015年9月には革新的なMVNOサービスを発表し、その後はIoTプラットフォーム「SORACOM」として通信モジュールやプログラマブルな通信サービスを次々に開発して提供してきた。2016年5月にはグローバル展開を目指すとして総額24億円のシリーズB資金調達を発表している。現在は東京のほかシンガポール、パロアルト、コペンハーゲンに拠点を持ちグローバルで社員数は約40人となっている。

従来、通信キャリアなどがサービス構築のために利用している通信機器の一部をAmazonのクラウド上にソフトウェアとして実装したのがソラコムだ。価格破壊を起こしながら、ソフトウェアならではの機能や設定、きめこまかな従量課金といった柔軟性を実現しているのが特徴だ。デバイスをネットやクラウドに繋げ、管理する通信サービス部分に特化して、高度なセキュリティーやAPIベースの制御機構、低トラフィック向けの安価なサービスなどを提供している。

2016年10月からはKDDIはソラコムと「KDDI IoTコネクト Air」の共同開発を発表するなど協業を進めていた。

TechCrunch Japanでは午後に玉川CEOへのインタビューを行い、続報を掲載予定だ。

 

Microsoft、Cortana搭載のサーモスタットを公開――音声アシスタント普及のカギはコラボ

スマートホーム業界に新たなサーモスタットが登場する。Microsoftの音声アシスタントCortanaを搭載したGLASだ。

Nestをはじめとする企業のおかげで、インターネットに接続されたサーモスタットの人気が高まっているのはご承知の通りだが、MicrosoftもGLASを開発するJohnson Controlsと共に同業界への参入を決めたようだ。

この度The Vergeによって、美しい見た目のGLASをフィーチャーした動画が密かにYouTubeに公開されていたことがわかった。

デバイス上には室温や空気の質、カレンダーが表示されるほか、タッチスクリーンが搭載されており、ユーザーは手動で設定を調整したり、情報を確認したりできる。ここにCortanaが加わることで、音声操作もできるということだ。動画によれば、GLASは室内に人がいるかどうかもセンサーで感知できるので、電気の無駄遣いも防げるという。

同プロダクトはMicrosoftのWindows 10 IoT Coreをベースに設計されており、Cortana以外にAzureクラウドサービスもサポートする予定だと、ワシントン州のレッドモンドを拠点とするJohnson Controlsは語る(といっても現時点ではどのサービスがどのように統合されるのかはハッキリしていない)。

GLASの価格はまだ発表されていないため、現在Microsoftに確認中だ。

昨年Microsoftは、Cortanaをサードパーティに(ハードウェア・ソフトウェア利用どちらも)公開すると発表した。Johnson ControlsのGLASは、Harman Kardonが昨年発表したスマートスピーカーと並んで、Cortanaを使った商品としてはパイオニア的な存在と言える。

しかし音声アシスタントが搭載されたサーモスタット自体は、GLASが初めてというわけではない。EcobeeはAlexaを使ったサーモスタットと照明スイッチを開発しているほか、DishのセットトップボックスにもAlexaが搭載されており、Amazonはスマートホームだけでなくテレビも制覇しようとしている。

先日の記事でも指摘されていた通り、AmazonがAlexaでスマートホームの分野を攻め込む上で、サードパーティとの協業は欠かせない要素だ。今回のJonson Controlsとのコラボレーション(少なくとも動画を見る限りは素晴らしい商品だ)を見る限り、MicorosoftのCortanaに関しても同じことが言えるとわかる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

この伸縮する耐久性の高いセンサーは衣服に織り込むことも可能だ

もし私たちがIoTに関わらなければならないのなら、衣服もその仲間に入れないことには意味がない。しかし、衣服は着用され、洗濯され、束ねられ、折りたたまれなければならない。そうした扱いすべてに耐え得る電子機器を作るのは困難だ。それでも多くの試みが重ねられて来ている。その最も新しい試みの1つが、ハーバード大学ウィスインスティテュートによるものだ、これはシンプルだが効果的なレイヤー手法を用いて、耐久性がありカスタマイズ可能な、柔軟なセンサーを生み出すものだ。

これはとても基本的なものである、すなわちシリコンの充填物の上下を導電性の布地の層で挟んだ素材のサンドイッチだ。布地が伸びると、シリコーンは薄くなり、導電層が互いに接近して、それらの間の静電容量を変化させ、異なる電気信号を生成する。

液体シリコーン上に布を置くことで、加工を可能にし、層を物理的に固定化されたものにする。このため信号はより予測可能となり、布地はいつでも基本静電容量に戻ることができる。その一方、わずかな曲げや伸びがあっても、測定可能な変化が生じる。また、任意の大きさと形状の布片に細断しても機能する。

チームは複数の素材を組み合わせて作った手袋で、個々の指の微妙な動きが簡単に検知できることを示した。

この素材について説明した論文の、共著者の1人である大学院生のVanessa Sanchezは、ハーバードのニュースリリースの中で「センサの感度が高いということは、手全体を開いているか握りしめているかだけではなく、1本の指をわずかに動かすなど、小さな動きを区別する能力があることを意味します」と語っている。

これはスポーツからバーチャルリアリティまで、あらゆる種類の産業に対して恩恵をもたらすものかもしれない。身体追跡を行なうための現在の手段は、例えば拳に装着する外骨格のようなものや、運動着の内側に付けるストップウォッチサイズのトラッカーなどのように、硬く奇妙なものが多い。

とはいえ、この材料はまだ初期の段階だ。信号は非常にシンプルなので、慎重な工夫を凝らすことなしに、方向性を持たせることは基本的にはできない。つまり、システムは対象が曲がっていることは検知できるが、左右のどちらに曲がっているかを検知することはできないのだ。とはいえ、私は賢いエンジニアが、信号処理か、異なる切断方法を行って素材に貼り付けることによって、この問題を解決してくれると信じている。

チームはAdvanced Materials Technologiesの最新号作成手順を詳述している。もし自分で試してみたいと思っている人は、ハーバードのSoft Robotics Toolkitページでも詳細を読むことができる。

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(翻訳:Sako)

SAPがビジネスとIoTのデータを結ぶLeonardo IoT Bridgeを発表

SAPは本日(米国時間7月11日)、Leonardo IoT Bridgeと呼ばれる新しいツールを発表した。現場のセンサーから収集されたデータと、企業内で動作するビジネスシステムの間のギャップを埋めるためにデザインされたツールだ。

製造業界は今、センサーを備えた機器群が、健康や周囲の環境データを、濁流のようにインターネット上を介して送り付けるようになる、大規模なシフトの途上だ。

大規模で複雑なERPシステムデータベースの開発で知られるドイツのSAPは、大量のビジネスデータ処理処理を通して学んだ知見を、接続されたセンサ群や基盤となるシステムに適用したいと考えている。

このため、同社はこの5月に、SAP Leonardoと呼ばれる新しいプラットフォームを発表した。SAPのInternet of Things担当SVP(これが出来たばかりのポジションであることは確実だ)であるNils Herzberg氏によれば、Leonardoは、大量のIoTデータを収集し処理を行い、そして活用することを助けるクラウドサービスである。

初の顧客イベントであるLeonardo Liveで、本日発表されたLeonardo IoT Bridgeは、SAPアプリケーション情報とセンサーデータを組み合わせて、運用状況をリアルタイムで追跡することができるようにするデジタル司令センターだ。

新しいツールを発表した同社のブログ記事によれば、「SAP Leonardo IoT Bridgeの主要な機能は、IoTアプリケーションから送られる予想外のイベントや予定外のイベントを特定し、ユーザーにコンテキストと共に提示を行なうことです。その際には意思決定を助けるために、サービスレベル契約、コストおよびその他の関連要因とのトレードオフも同時に示されます」とのことだ。

もし述べられたとおりに動作するならば、リアルタイムで情報を追跡するために苦労している物流および運用チームを持つ顧客たちへの福音となるだろう。実際同社は、Bosch Groupと提携し、配送会社向けの、配送車両ならびに荷物のリアルタイム追跡を行なう、IoT Bridge Bridgeのダッシュボードの構築を行なうことを発表した。このシステムは車両の位置情報や、車内の温度並びに衝撃データに基づく荷物の状態に関わるセンサーデータを、IoT Delivery Bridgeに対して送信する。

しかも、それは単に車両が故障していることや、ひどい渋滞に巻き込まれていること、そして荷物が破損したことなどが検知できるだけではない。近隣のどこに代替車両や荷物があるのか、とにかくどのような手段を用いれば配送を完遂できるのかを知るために、ビジネス情報にアクセスすることが可能だ。

このツールは、さまざまなやりかたで構成することができるため、この同じ技術を使用して、製造業における機械設備の故障や、スーパーマーケットの食品腐敗に対する予測などに応用することも可能だろう。

標準のLeonardoサービスには、機械学習、分析、ビッグデータ、さらにはブロックチェーンがサービスとして含まれる。プラットフォームはセンサーからの情報を収集し、データを活用する、より実用的なワークフローを構築する目的に役立つ。

Herzbergが指摘したように、もし倉庫内に修理部品があるかどうか、どれ位の時間でそれを入手できるのか、そして修理を行うことのできる訓練されたサービス要員がいるのかどうかが分からないのならば、燃料ポンプが故障する可能性があると予測できてもあまり意味がない。これは実際、こうした種類の情報を追跡するシステムを構築している、SAPのようなERPプロバイダにとっては、魅力的な応用対象分野だ。そのノウハウを使ってIoTデータを活用できると彼らは考えている。

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(翻訳:Sako)

エッジで安価にディープラーニング活用、Ideinが1.8億円を調達

処理性能が高くないエッジデバイスでディープラーニングを使った画像認識などを実用化する技術を開発するスタートアップ企業のIdein(イデイン)は今日、グローバル・ブレインDG LabファンドからシリーズAラウンドとして合計1億8000万円の資金調達を実施したことを発表した。Ideinは2015年4月の創業で、これまでエンジェル投資家や日本政策金融公庫などから3000万円の資金を得て、受託や研究開発を進めてきた。2016年末には黒字化しているが、「高度センシングデバイス」と、それらを使うためのクラウド側のインフラをSaaSで提供するという狙いでビジネスをスケールさせるという狙いだ。

クラウドではなくエッジでDLを活用

静止画や動画を解析して「そこに何が映っているのか」「何が起こっているのか」を理解するコンピュタービジョンという研究と応用の領域が、ディープラーニングによって近年劇的に性能が向上している、というのは皆さんご存知のとおり。GoogleやAmazon、Microsoft、IBMが次々とAPIを公開して民主化も進んでいる。もう各企業がモデルのトレーニングをしたり、開発者がディープラーニングのライブラリの使い方を学ばなくてもディープラーニングの恩恵を受けることができるようになってきた。

問題は画像を認識する場所だ。

APIベースにしろ、自社でディープラーニングを使うにしろ、今のところ多くの処理はサーバー上(クラウド上)で起こる。サーバー上で認識(推論)するということは、そのための画像データをネットワークで送信する必要があるが、その通信コストは用途によってはペイしないかもしれない。監視系のIoTなんかが、そうした応用の1つだ。

Idein創業者で代表の中村晃一氏は「画像認識APIを呼び続けるよりもエッジデバイスでディープラーニングを使うことで安くできます。普通にクラウドでやると通信コストは月額数十万円になり、これは削りづらいところです」と話す。

認識するのは画像だけではなく、音や加速度といったセンサーも組み合わせる。ポイントはセンサーから入ってきた情報をクラウドに投げるのではなく、エッジ側でディープラーニングを使った処理をしてしまうところ。サイズが小さく構造化したデータをクラウドやサービスに接続することでデータ収集や監視を行うのが狙い、という。

Idein創業者で代表取締役の中村晃一氏

例えばヘルスケアや介護の見守りの領域で応用が可能だ。医療関係の知人から「睡眠時無呼吸症候」の相談を受けて2014年末に試作した電球型のセンシングデバイスで手応えを感じたことが、そもそもの今回の取り組みのスタートという。「実際に3Dプリンターを使って3ヶ月ほどで作ってみたら、デバイスでイベントを取得するというのは他にも需要がありそうだ、これは結構いけるぞと思ったんです」(中村氏)

中村氏をはじめIdeinの11人のチームメンバーは情報科学系の研究者とエンジニア。中村氏は 東京大学情報理工学系研究科コンピューター科学でコンパイラの最適化技術に取り組んだりしていたそう。

Ideinの強みは、汎用のRaspberry Pi上で高速にディープラーニングを使うソフトウェア環境を整えたこと。Ideinが使っているのはプロセッサもソフトウェアも汎用のものだ。Raspberry Piはスマホと似たプロセッサだし、ディープラーニングにはChainerやCaffeといったオープンソースのライブラリを使う。難しいのはRaspberry Pi搭載のGPUであるVideoCore IVを使うために、アセンブラ、コンパイラ、数値計算ライブラリなど一通りのツールチェーンを自分たちで作った部分という。これによって10倍から30倍の高速化となり、以下の動画にあるように、30ドル程度の汎用デバイスでGoogleNet(Googleが配布している画像認識の学習モデル)による認識時間が0.7秒という実用的な速度になっている、という。

戦略としてはライブラリの一部はオープンソースとしていき、むしろソフトウェアのデプロイ(エッジデバイスに配布する)や管理、センシングで得たイベント情報のネット側のつなぎこみの部分で課金をしていくモデルを考えているそう。センサー自体も高度なものである必要がないほか、ソフトウェアのアップデートによって、新しい学習モデルを使った認識機能を増やしていくことができる。例えば顔認識は最初から組み入れつつ、後から顔の方向や表情を取得するといったようなことができるそうだ。

元ソニー・VAIO企画担当が開発した画像共有デバイス「Hale Orb」が40時間でIndiegogoの目標額を達成

離れて暮らす家族に写真や動画を共有する、という時に、どのような方法を思いつくだろう。PCやスマホ、タブレットを使い、メールやSNSを経由してやり取りする、というのが、現時点での主なやり方だろうか。ただし、シニア世代にとっては、スマホやPCを使うこと自体が難しく感じられる、という人も多い。このため紙にプリントした写真を郵送したり、動画ならDVDやBlu-rayディスクに焼いて送ったり、といった方法もまだまだ現役だ。そんな中、シニアでも操作が分かりやすく、テレビで家族から共有された写真や動画を見ることができる「まごチャンネル」のようなIoTデバイスも出てきている

今回、アメリカのクラウドファンディングサイト「Indiegogo」で、40時間で2万ドルの目標額を達成した「Hale Orb(ハレ・オーブ)」も、家族からメールやSNSで送られた写真やビデオをテレビ画面で簡単に表示できる、IoTデバイスだ。

Hale Orbは目標額を達成したことを受け、日本への配送予約も受け付けることになった。6月30日までプレオーダー受付を予定しており、プレオーダー価格はプラスチック製のLatteが139ドル、木製のDark Woodが199ドル(いずれも送料別)となっている。プロダクトは2017年12月、北米から出荷開始を予定している。

美しいコントローラーでテレビ上の画像を操れる「Hale Orb」

Hale Orbは、リモコンとなる「Orb」、テレビに接続するHDMIスティック、そしてアカウント管理やメディアを保存するクラウドサービスから構成される。HDMIスティックをテレビに差し込み、Wi-Fi接続を設定すれば、アップロードされた写真や動画をテレビで見ることができるようになる。

Hale Orbでは、家族がそれぞれのSNSに写真を投稿したり、メールに写真を添付することで、家族専用のプライベートアルバムをクラウド上に作成できる。アルバムの共有に特別なアプリは不要で、Google、Dropbox、Facebook、Instagram、LINEなどに保存した写真や動画を同期することが可能だ。今後、写真とビデオのアップロードをより簡単にするスマホアプリの提供も予定されているそうだ。

閲覧する側は、家族から投稿された写真や動画を見るだけであれば、メールやSNSのアカウントは不要。スマホやPCを使わずに、テレビに家族の写真やビデオを表示することができる。つまり、PCやスマホが苦手なシニア世代でも、家族からプレゼントされたHale Orbを使って、共有された画像を見ることが可能だ。

球体の独特の形をしたOrbは、新しい画像が共有されたことを光の点滅で通知し、テレビ画面上に並んだ画像を選択したり、表示したりするためのリモコンだ。最初の動画を見てもらえば分かると思うが、わずかに傾きのある球の上部を推すとスイッチが入り、回すとテレビ上で画像をスライドさせて選択できる。Orbにはプラスチック製の「Latte」と高級感のある木製の「Dark Wood」の2種類が用意されている。いずれも触った感じが気持ちよさそうで、デバイスというよりはリビングに置いておけるインテリアという雰囲気のデザインだ。

スマホの画面に縛られない新しい体験を作りたかった

Hale Orbを提供するのは、サンフランシスコを拠点とするDouZen。ソニーで「VAIO」や「CLIE」の商品企画を担当した後、「Misfit Shine」などのシリコンバレーのプロジェクトにも関わった日本人、三浦謙太郎氏が創業した企業だ。三浦氏は学生時代も含め、20年以上ベイエリアにいて土地勘があり、共同創業者で技術担当のJulian Orbanes氏(MITメディア・ラボでUIを研究していた)も米国在住だったことから、米国での創業を決めたという。

DouZenには、三浦氏、Orbanes氏のほか、電気設計技術者や車・医療関連機器の試作・製造のスペシャリスト、サーバーエンジニア、プロダクトデザイナー、UXデザイナー、組み込みソフトウェアエンジニアなどが集結。日米在住の日本人、アメリカ人が参加しているそうだ。

Hale Orb開発のきっかけについて尋ねると、三浦氏は「2014年の中頃から『スマホの画面に縛られない新しい体験』をデモ的に作ろうと考え始めていた。ちょうどその頃、TVにDouZenで開発した高速UIを表示できるコンピュータスティックの価格がこなれてきたこともあり、さまざまなコンテンツの可能性を考えたが、ファミリー向けのものがいいと感じた」と答えてくれた。

「自分自身、5人の家族が日米で常に遠く離れており、メール添付で写真や動画をたまに送っているだけではどうも物足りなさを感じていた。あまり楽しくないし(やり取りの)頻度も低い。しかしそれが唯一『みんなが使える』共通のやり方だったのでしょうがなかったのです。(共同創業者の)Julianに話すと、彼も似たような問題意識を自分の家族内での(写真)シェアについて感じていた。それなら製品にしない?というのが本格的なスタートです」(三浦氏)

Hale Orbの球状の独特の形は、どのように決まったのか。三浦氏は「もともと『ボワーっと光って通知する物体』というのと、『回転型のインターフェイスで、ものすごく簡単に高速にナビゲートできる』というのが漠然とあった」という。「加えて『家庭用なので温かみが欲しい』『あまりガジェットや工業製品感を出したくない』『とはいえ、あまりDIYのクラフト製品っぽくするとプロダクトとしての魅力がない』といったさまざまな議論の中で、『やはり球がシンプルで美しい』という思いが出てきた。すぐに知り合いのエンジニアの方にお願いをして、3Dプリントで試作品を作ったら、最初からその大きさが手のひらに収まって、ちょうど良かったのです。周りに触ってもらっても評判がよく、その後デザインの微調整はありましたが、外寸はほぼ当初のままです。我々はもともとはUI屋なので、当初から『回して横方向で気持ちよくスクロール』といったユーザーインターフェイス上のコンセプトがありました。それと円・もしくは球がマッチしたということですね」(三浦氏)

素材については「いろいろな物を検討したのですが、あまり最初からいろいろはできないので、当初のコンセプトどおり、まずは木材と樹脂の両方で行くという結論に至りました。今後はもっと増やしたいとは思っています」と三浦氏は答えている。

Hale Orbの機能についても聞いてみた。Google HomeやAmazon Echoなど、スマートホームのハブとして多機能のデバイスが登場している中で、「写真・動画の共有」に機能を絞った理由は何か。三浦氏は「まず、Orbを『汎用のマウス』的な立ち位置にしてしまうのは避けたかった」と説明する。

「メディアの音量をコントロールしたり、室温管理をしたり、フォトショップのブラシのサイズを変えたり、“なんでもIoTコントローラー”にすることで(汎用化すれば)、あくまでもサブのインターフェイスになる。また、一つ一つの操作が『浅い』体験になり、ユーザーに刺さらないのではと考えた。そこで、あえて専用の体験を深掘りするために、ゼロから作ることにこだわりました」(三浦氏)

三浦氏はHale Orbのユーザーエクスペリエンスについて、「コアにあるのは『大量のビジュアルコンテンツを、大画面で心地よくナビゲートしたり検索する体験』。当初は『狭く深い専用体験』を極めつつ、その後市場の要望に応じて進化させていきたいと思う」と述べている。

ちなみに、Google HomeやAmazon Echoに関しては、今後のHale Orbのアップデートで連携する予定もあるという。ホームコンピューティングのコントローラーとしての機能拡大も検討されているのだろうか。三浦氏によれば、「機能拡大は考えている。我々の考えではボイスコントロールは今後普通になるが、“ボイスだけ”ではある種のコンテンツに関しては限界があると考える。とっつきやすさという意味でもボイスコントロールはある層には問題があると思うので、『フィジカルなOrbのUI+ボイス』でいくのが良いだろうと考えている」とのこと。

「“Hale Orb単体での(独自の)ボイス体験”を加えることが本命ではあるが、ボイスアシスタントも今後増えていく中で『Alexa、Hale Orbで最新の写真のスライドショーを始めて』というような連携は比較的簡単なため、すぐにやりたいとは思っている」(三浦氏)

通常価格については今のところ、199ドルから399ドルが予定されている。リテラシーの低いシニアを含むファミリー層をユーザーとして見た場合、共有画像がテレビで見られるという機能だけの価格としては、少々お高いのではないか、と感じられる。

この点について、三浦氏に尋ねると「周辺機器として見てしまうとその通りだが、『楽しく簡単に、家族が全員飽きずに常に参加できる体験』という部分をいかに伝えられるかだと考えている。特に米国では100ドル以下を目指したいところだが、今は価格の最適化よりも、体験の最適化を重視している。今後、台数が出せればもっと価格も下げられる。また、月額制でサービスをプラスしていくなど、ビジネスモデルによってはハードの価格をもっと下げられるので、そうした可能性も検討している」ということだった。

Googleが支援するCMUの「スーパーセンサー」プロジェクトは、普通の機器の世界にIoTパワーを持ち込む

いわゆる「スマートホーム」は、しばしば信じられないほど馬鹿馬鹿しいものに見えることがある。なんの問題もなく使えている家電たちを、インターネットに接続する同等品に置き換えるために、大金を払わなければならないし、しかもそうした新しい機器たちはハッキングに対する脆弱性を持っていたり、メーカーの気まぐれで機能が使えなくなったりする。

または、家庭内の各機器や可動式什器たちに、センサーを貼り付けることもできる。これは最後には室内をセンサー貼付ガジェットで埋め尽くしてしまうことに等しい、全てのものにモーションセンサーや見苦しいダッシュスタイルボタンなどが貼り付くことになる。

しかも多くの場合、これらのコネクテッドデバイスの一群をどのように導入していくかを熟慮する余裕もなく、非常にセンシティブなものになり得る個人情報を、利益を追求するものたちの目に晒すべくクラウドの中に送り込むことになるのだ。

CMUのFuture Interfaces Groupの研究者たちは、屋内環境の検知を可能にするための異なるアプローチを研究している。彼らは、少なくともよりスマートなインテリアを作り出すための、より迅速で、安価で、面倒のない方法があると考えている。またデプロイを行なう主体に依存するものの、プライバシー上の利点も存在している。

これまでに彼らが構築してきたものは、本格的なIoT利用シナリオが宣伝しているような、多くの遠隔制御オプションを提供するものではない。しかし、もし求められていることが、必要な室内状況の情報を伝えることや、生活環境に対する状況判断を行なうアプリを支援するための正確なリアルタイム情報の質を向上させることだというのなら、彼らのアプローチは極めて有望なものに思える。

チームは今週、デンバーで開催されたACM CHIカンファレンスで彼らの研究についての発表を行った。また同時に、テストシステムが動作している様子を示す以下のデモビデオを公表した。

このシステムでは、複数の個別センサーが組み込まれたカスタムプラグインセンサーボードを使用するが、プライバシーの観点からカメラは組み込まれていない。カスタムセンサー(以下の図を参照)は、機械学習アルゴリズムを使用して入力データを処理する。したがって家庭内での様々な活動を識別するようにトレーニングすることが可能である。例えば(スマートではない)電化製品の電源が入ったとか、水道が出されたこと、調理器具が動作していること、そしてミキサーが動いていることなどを検知できる。またそれは、食器棚のドアと電子レンジのドアのどちらが開閉されたのかを識別することや、ガスレンジのどちらのバーナーに火が点いているのか、そしてトイレが流されたのかなどを識別することさえできる。

よってこれは、室内の様々な異なる活動を追跡することのできる、複数の統合センサーデバイスなのだ。これによって、全てのものに冗長で見苦しいセンサーを貼り付けることを回避できるし、同時に(物理センサーが不調になるとか、故障するとか、バッテリー切れになるなどの)故障が起き得る箇所を取り除くこともできる。

CMUの研究者であるChris Harrisonによれば、このアイデアは、設置された各部屋の汎用の情報収集を目的とした、「クイックアンドダーティ(急ごしらえで洗練されていない)」なスマートホームシステムということだ。他にも同様のマルチセンサー方式に沿って考えているものもあるが、このプロジェクトは、コネクテッドデバイスのオープンエコシステムの開発を促進することを目的として、50万ドル以上に及ぶ資金をGoogleが提供する、IoTエコシステム研究活動の1部なのである。

CMUの「スーパーセンサー」プロジェクトがその一部を成す、Googleによる2015年における研究プロポーザルは、主な目標と優先事項を以下のように記述している:

このプログラムのミッションは、オープンなウェブ上で情報を見つけて利用するときのように、コネクテッドデバイスの発見と対話を簡単にすることにより、IoTの効果的な利用と広範な適用を可能にすることである。結果として生まれるオープンエコシステムは、ユーザビリティを促進し、プライバシーとセキュリティを確保し、なによりも相互運用性を保証しなければならない。

Harrisonは、Googleが考えているかもしれないスーパーセンサー研究の商用化については話すことができないと答えた。しかし同社にとって、このようなものを自身のプロダクトに組み込むための可能性が高い道筋は、明らかに見えている。例えばGoogle Homeの音声駆動AIスピーカーを、スーパーセンサーからの情報を入力する、家庭内インターフェイスの中心として利用することができる。家のオーナーは、その中央IoT装置を介して、家庭内の情報を受け取ったり、状況を問い合わせたりすることができるようになる。

私がHarrisonに対して「それならGoogle Homeのコネクテッドスピーカーは家庭内の情報を家の所有者に告げるためのシステムとして利用できますね、例えば水を出しっぱなしだと声で警告したり、お望みなら家庭内記録として月にドリップした珈琲の杯数を数えることもできるということですね」と問いかけたところ、彼はその可能性を明確に認めつつ、TechCrinchに対してこう言った「もちろんです。私たちのセンサーはそのプロダクト(あるいはNestやCromecast)にそのまま入れることが可能です」。

水栓から水が出ているなどの、主要な室内イベントを感知することができるだけでなく、システムはそうした主要イベントを使った2次的な推論を行うことができる。例えば、水がどのくらいの時間流されていたのかを知っているので、どの位の量の水が使われたのかを計算することができる。

もしくは、更に複雑なイベントの連鎖(例えば、電子レンジのドアが開けられて閉められたこと、調理が開始されたこと、ドアが開けられ再び閉じられたこと、調理が続いていること、そして調理が終了したこと)をモニターして、現在家電機器が利用可能か否かをスマートに通知することができたりする。または、時間の経過とともに利用実績をモニターすることで、ディスペンサーアイテム(ペーパータオルなど)が補充を必要とするか、また別のタイプの機器が手当の必要があるのか、といった情報を得ることができる。

デモビデオでは、システムを有効活用する様々なシナリオが示されているが、それはスマートホーム的なものではなくて、たとえば使用されたペーパータオルの数をカウントして補充通知を送るとか、ホワイトボードのペンがいつ書けなくなるかをその使用量に基いて予測するといった、オフィスや公共トイレでのスマート設備管理などを可能にするアプリケーションたちが示されている。あるいは、工業生産の作業現場をモニターし、どの工具が使われているかを区別することもできる。明らかにこれには安全上の利点がある。

産業現場での汎用トラッキングには、多くの可能な利点が存在している。消耗品がなくなる前に補充を促す通知や、機器が正常に動作していないときにスタッフに注意を促すといったものだ。そして一般的には、環境を円滑かつ効率的に稼動させる役に立つ。

しかし家庭内においては、このような継続的で潜在的に強力であるアクティビティのモニタリングは、まあ少々気色の悪いものに思える。

プライバシー面ではシステムに組み込まれた機能によって、少なくとも生のセンサーデータは決してボードから外に出ることはない。よって、例えば、生の音声データはクラウドへ送られることはない。Harrisonは、私が「何でも知っているスマートホーム」はディストピアへの入口なのではないかと尋ねた質問に対して「私たちは信号が復元可能にならないように、ボード上の全てものを注意深く考慮しています」と答えた。「音声でも何でも、クラウドに送信されることはありません。

「例えば、コーヒーの準備ができたかなどを知らせるアプリを開発したいと思っても、開発者は生データを見ることはできません。その代わりに、彼らは『コーヒー準備完了』という統合センサーフィードをモニターすることになります。そしてそれが手に入るものの全てです。このことでプライバシーが守られるのです」。

しかし、彼は商業用および工業用のユースケースが「特に強力」であることにも同意して、明らかな安全上の利点と全体的なコスト削減の可能性に触れつつ、次のように付け加えた「もしレストランやスーパーマーケットがスマートセンサーを用いることで、現状をリアルタイムに把握できるとしたらどうでしょう。現在は何もわからないので、何かを知ろうと思ったら人間を歩き回らせるしかないのです」。

もちろんシステムにはいくつかの制限がある。(現在は)インターネットに接続されていないので、機器を遠隔操作することができないということもその1つだ(まあ、インターネットに接続されたオーブンを介して侵入したハッカーによる被害を心配しているのなら、この制限もまたメリットだろう)。

また別の制限は、家の中で起きる混沌とした状況だ。もしたくさんの家電製品の動作や家庭内活動が一斉に始まると、検出システムをかなり混乱させる可能性がある。Harrisonはこの点を認めて「もし騒々しいものが沢山ある場合には、性能が劣化する可能性があります」と言った。また彼は、異なる機器は異なるセンサーチャネルをトリガーする可能性が高いので、恐らくノイズをくぐり抜けてくるタイプのアクティビティもあるだろうと語った。

「食洗機と、コーヒーミルと、トースターと、ミキサーなどを同時に使った場合にには、その中の一部だけしか認識できない可能性も高いと思います(もちろんキッチンがとても忙しい状態であることは認識することはできる)」と彼は付け加えた。

CMUのチームは、デモシステムのために、5つの異なる部屋にセンサーボード(1部屋に1枚)を設置した。各ボードには平均8個の統合センサーが搭載されていて、Harrisonによれば、1週間の信号学習の後の、全施設での平均認識精度は、98%という非常に秀逸な結果だったそうだ。

もちろん、システム自身も訓練する必要がある。これがまた別の潜在的な限界である。アルゴリズム自身が何を感知しているかを判断できるようにするために、家の中への機器や機能の導入の際には、人間がそれなりの設定作業を行なうことが求められる。とはいえHarrisonは、既知の機器に関する知識ライブラリをクラウド上に準備しておくことで、制限をある程度緩和することができるだろうと言う。

「ミキサーがどのような音を出すかを機械が一度学習してしまえば、その『分類知識』を全員が使えるように配ってしまうことが可能です(なのでユーザーは自分でトレーニングをする必要はない)」と彼は指摘した。

この統合センサーシステムのようなものを商用化するのはどの程度難しいことなのだろう?Harrisonによれば、チームはすでに「きわめて緊密に統合された」ボードと「包括的なバックエンド」を構築したということで、「まだ商用化には至らないものの、私たちは着実に前進しています」と考えているということだ。

とはいえ、彼は市場出荷のタイミングに関しては、何のヒントも話すことはなかった。おそらくGoogleとの契約上の制約なのだろう。

彼は、そのチームが、マウンテンビューの会社(Google)からの資金援助でこのプロジェクトに取り組み続けていると語ったが、その「次のステップ」に関してはほとんど何も語ることはできなかった。なので、それに関してはAlphabet側の気持ちになって想像をしてみて欲しい。

「現在私たちが焦点を当てているのは、疎なセンサーネットワーク(1つの部屋に1つのボード程度)を用いて建物全体への配備を行い、内部で起きていることの全てを感知することです」と彼は付け加えた。「機器やデバイスを自動的に識別するための深層学習も行っているので、ユーザーは何の設定もする必要はありません。本当にプラグ&プレイです」。

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(翻訳:Sako)

Nectarが作った酒瓶の注ぎ口とストッパーは超音波技術+IoTでバーの在庫管理ができる…人気酒の‘飲み率’も分かる

レストランは売上の60%をアルコール飲料に依存している。だから、バーの背後の棚にしまわれたあと、お酒に何が起きるかを知ってることは、バーのオーナーにとってきわめて重要だ。そこでIoTスタートアップNectarは、超音波を利用して瓶の中のお酒の在庫管理ができる、ストッパーと注ぎ口をローンチした。

バーの常連が見ると、Nectarの注ぎ口とストッパーは、そこらに売ってるものと変わりない。でも、その黒いプラスチック製の外套の中には超音波センサーがあって、瓶の形と液体の深さを瞬時に捉え、その瓶から消費されたアルコールの量を計算する。

複数の瓶から集められたデータは、Nectarの在庫管理ソフトウェアに送られる。そこで消費量を容易に調べることができ、よく売れる/飲まれる瓶の再注文もボタンにタッチしてできる。

Nectarはテクノロジー系のスタートアップだけど、実態はNielsenなどの測定企業に近い。ただしテレビの視聴率ではなく全国のバーの瓶たちから集めた酒類の消費データは、広告主や酒造企業に、今後の宣伝戦略や製品計画のための貴重な洞察を提供するだろう。

NectarはJoe LonsdaleLior Susanから、455万ドルの資金を調達している。両人は自分のファンド、8VCとEclipse Venturesとは別にこの投資をしている。またCameronとTyler Winklevossなど、ホスピタリティー産業と縁のあるエンジェルたちも、この投資に参加した。

このストッパーと注ぎ口は、今予約を受け付けているが、発売日は未定だ。バーはこのセンサー付き製品の代金を払うのではなく、会費制でそれらを使用する。月額会費は299ドルからで、大きなバーほど高くなる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Fenderの新製品はWi-Fi内蔵のIoTギターアンプ――人気アーティストの音色を再現したプリセットも

Fenderにとって2つ目となるアプリ「Tone」は、前作よりもかなり野心的だ。私が知る限りでは、Toneのように3種の新しいアンプと同時にリリースされたスマートフォンアプリというのはこれまでに存在しない。もちろん新しいアンプを使う上でこのアプリは必須ではないが、間違いなく大きな魅力のひとつではあるし、スマートフォンならではのやり方で、新しいアンプでは尽きることのないほどさまざまなギターの音色を再現できる。

新発売のMustang GTシリーズは、待ちに待ったWiFi・Bluetooth標準装備のコネクテッドアンプ。全てがインターネットに繋がっている2017年の今、このようなスマート機能を備えたアンプの登場は当然の結果とも言える。みんなIoTの世界に生きているということだ。しかし、Fenderはこの機能を本当にユーザーにとってプラスになるような形で導入しており、その点は何でもかんでもインターネットに繋げておけばいいと言わんばかりのプロダクトとは違う。

Fenderは数年前より先進的なテクノロジーの採用に力を入れてきたが、未だにかなり慎重なスタンスをとっている。昨年にはカナル型モニターを発表し、ギターやアンプを中心とした同社にとってのコンフォートゾーンからようやく飛び出したが、彼らにとって初となるチューニングアプリFender Tuneからは、まだまだ守りに入っているという印象を受けた。

Fenderほどの企業であれば、新しいテクノロジーの導入にあたって、あまり大きく賭けたくないのもわかる。Mustang GTのような機能を全てのアンプに採用するなどもってのほかだ。一方で、Fenderが長くユーザーに愛される理由のひとつは、そもそも彼らを人気ギターメーカーの地位に押し上げた、同社のテクノロジーに対する姿勢でもある。

Mustangラインは、Fenderが新たな道を進む上では最適なスタート地点だと言える。このデジタルアンプは、従来の真空管アンプからの脱却を意味し、今後ユーザーはエフェクターといった周辺機器なしで幅広い音色を再現できるようになる。デフォルトでもかなりの数のプリセットが準備されており、コントロールノブの横に搭載された小さなカラーディスプレイ上に全てが表示されるようになっている。

そしてユーザーは、Fender製のさまざまなアンプの音を再現したプリセットから好みのものを選ぶことができる。オンラインポータルには標準装備されているもの以外のプリセットも準備されているので、ユーザーは全てを携帯電話上で行わなくても済むが、モバイルアプリがあってこそ、このアンプの真価が発揮される。中にはRed Hot Chili PeppersやAnthraxといった有名どころから、Death Cab For CutieやBest Coastなどのインディー系を含め、多様なジャンルのアーティストの音色を再現したものも含まれている。

またFenderにとってのモバイルアプリの利点は、ユーザーに継続的にアップデート版を提供できることだ(そして将来的には有料のプレミアムラインも販売されることだろう)。

テーブル上におけるくらいのサイズの、1番小さなモデルでも249ドルと値段も手頃だ。価格設定や表現できる音の多様さを考えると、初心者にはかなり魅力的な商品として映るだろう。ギターをはじめたばかりの人にとって、エフェクターのツマミをあれこれいじることが、どれだけ難しくてや苛立つことかというのを、永遠のギター初心者である私はよく知っている。しかし、このアンプとアプリがあれば、駆け出しのギタープレイヤーでも自分が求めるサウンドにグッと近づくことができるだろう。私も今週デモ機を実際に触ってみたが、正直いってかなりいい音が鳴っていた。

当然のことながら、Fenderの売上の大部分は初心者から成り立っている。というのも、楽器を買ってそのうち触らなくなってしまうというのは、通過儀礼のようなものだからだ。

さらに、これはプロ向けの製品ではないし、本物の真空管アンプとエフェクターを組み合わせたようなリッチな音はしない。そのため、Mustangは基本的には練習用のアンプの部類に入るだろう。その一方で準備されているプリセットの数を考えると、サイズの大きなモデルあればバーで行われるライブくらいであれば使えるかもしれない。また、各アンプにはUSB端子も搭載されているので、直接GarageBandでギターを録音してデモを作ることもできる。

正直言って、ギターメーカーとして世界的に有名なブランドの1つがIoTの分野に進出しようとしていると聞いたとき、私はかなり疑ってかかっていた。しかしMustangシリーズは、ただ流行りにのって新しいテクノロジーに手を出してみようという類のものではなく、きちんとテクノロジーを使って利便性を向上させ、さらには小型アンプの利点を上手く伸ばしているような商品だ。

モバイルアプリは既に無料で公開されており、Mustangアンプは(アメリカ国内では)今週中には大手楽器店の店頭に並ぶ予定だ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

BrickerBotワームは安全でないIoTデバイスを無能化してセキュリティ管理者の自覚を促す

The Janitorと呼ばれるハッカーが作った、バージョンが複数あるプログラムBrickerBotは、安全でないIoTデバイスを見つけて、それを動作不能にする。セキュリティ研究家のPascal Geenensがそのワームを数週間追跡し、感染したWebカメラなどのIoTデバイスを破壊する様子を目撃した。

それらのデバイスはすべてBusyBoxと呼ばれるLinuxパッケージを使っており、telnetインタフェイスをデフォルトのパスワードで露出していた。そのようなデバイスは容易にMiraiボットネットの餌食になり、DoS攻撃の武器にされてしまう。

BrickerBotはこれらのデバイスを見つけて、無能化する。最初のバージョンは約1000のデバイスを攻撃し、次のバージョンは数千かそれ以上を攻撃した。デバイスの内部メモリをフォーマットすることによって、それらを無能にする。

Janitorはこう書いている: “2016年の、IoTボットネットによるDDoS無差別攻撃には、ぼくもびっくりした。大規模な攻撃があれば業界が立ち上がって対策するだろう、と思ったけど、数か月という記録破りの攻撃が続き、あらゆる真剣な対策が講じられたにもかかわらず、通常の方法で問題を迅速に解決することはできなかった。ぼくは自分のプロジェクトを、‘インターネットの化学療法’だと思っている。ぼく自身はまあ、それのお医者さんだ(ジョークだけどね)。化学療法は辛い治療法だから、健康な患者には決して適用しない。でもインターネットは2016年のQ3とQ4に重症の病気になり、穏やかな治療法は効果がなかった”。

こんな、正義の使者を自称する自己正当化は、おもしろいし、しかも巧妙だ。ユーザーが自分のシステムのセキュリティを怠った場合、ちょっと痛い目に遭った方が、彼らの真剣な対応を促すだろう。そして、管理者のパスワードを、デフォルトのままにするようなずさんさから、卒業できるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Microsoft、IoT Centralをスタート―企業向けフル機能のクラウドIoTサービス

今日(米国時間4/20)、MicrosoftはIoT Centralをオープンした。これは企業向けにInternet of Things〔モノのインターネット〕を実現するクラウド・ベースの新しいサービスだ。企業はIoTに関する専門的知識を持った人材やハードウェアを社内に準備することなしに、IoTを組み込んだシステムを構築、運用することができる。基本的にIoT-as-a-Serviceといってよいだろう。

これに伴いMicrosoftは企業IoTにAzure Stream Analyticsを導入し、IoTデバイスからのデータ取得の効率を高めるとしている。このアナリティクスには時系列データを扱うことに最適化されたまったく新しい機能が組み込まれている。

今回発表されたもっとも重要なサービスはIoT CentralとAzure Time Series Insightsの一連のツールだ。MicrosoftのIoT事業のディレクター、 Sam Georgeは私のインタビューに答えて、「この新サービスの趣旨は多数の新しい機能を提供することによって既存のAzure IoT Suiteを大幅に強化することだ」と述べた。多くの企業にとって IoTの組み込みは同業ライバルとの差別化を図る上で有力な手法だ。しかしそのためには大量の専門的能力を必要とする。Georgeによれば「IoTは有力な差別化の手段だが、同時に、多くのビジネス分野でIoTを実現するために特別な能力を必要とすることも判明した」とGeorgeは言う。

企業がIoTソリューションを実現することを助けるのがIoT Centralの役割だ。「このサービスを利用するカスタマー企業はクラウドに関する特別な知識、スキルは一切必要ない。IoT CentralはMicrosoftが100%責任を持って運営する。IoTを導入、運用するために必要なITインフラはそっくりMicrosoftが提供する。企業は目的とするビジネスから得られたデータを解析するだけよい」という。また多数のビジネス分野向けに事前に構築された標準パッケージも用意されている。

ただしユーザー企業はデータのストレージ、解析エンジンをMicrosoftに依存せざるを得ない。これは企業側の柔軟性を失わせるという副作用をもたらすかもしれない。

時系列データを解析するAzure Time Series Insightsは現在プレビュー版で提供される。このサービスは簡単にいえばMicrosoftが提供する新しいデータベースだ。Microsoftはこのテクノロジーをずっと以前からAzureへアクセス・ログを記録するのに用いていた(つまりこのシステムは毎日数十億のイベントを処理してきた)。さまざまな例外はあるものの、IoTデータは基本的に時系列で得られる場合が多い。Time Series Insightsは分析、視覚化、対話性等がすべて時系列データの処理に最適化されており、何らかの異常を発見する能力も優れているという。既存のソフトウェアに接続するためのAPIもデベロッパーに対して提供される。

Microsoftが発表したもう一つのサービス、Azure Stream Analyticsはさまざまなエッジデバイス〔データのエントリーポイントとなる機器〕上で作動する。つまりこれらのデバイスはそれ自身でリアルタイム・アナリティクスを実行可能で、得られたデータをすべてAzureサーバーに送信する必要がない。クラウド・ソリューションは何百万ものデバイスのデータを解析する必要があるが、個々のデバイスが得るデータのすべてが重要であるというわけではない。またRaspberry Piのような小さなコンピューターでもAzure Stream Analyticsをローカルで実行する能力を十分に備えている。そのためインターネットインターネット接続が不安定な状況でもエッジデバイスから信頼性のあるデータ取得が可能となる。

Georgeによれば、MicrosoftはIoTは今後さらに成熟したテクノロジーとなり、ますます多くの有用な情報がエッジデバイスとの間でやり取りされるようになると考えている。Stream
Analyticsはこの方向に向けてのMicrosoftの第一歩だという。

もちろんMicrosoftはIoTクラウド分野での唯一のプレイヤーではない。 しかし企業がIoTを導入する際、GoogleやAWSのようなライバルと比較してMicrosoftの方がはるかに助けになるとGeorgeは考えている。「現在さまざななビジネス分野を横断してこれら3つの超巨大クラウドが存在する。しかしその中でオンプレミスのITに対する緊密なサポートも含めてIoTに特化したサービスを提供しようとしているのはAzureクラウドだけだ。これはライバルと比較して重要な差別化要因だと思う」とGeorgeは述べた。

画像: NicoElNino/Getty Images

〔日本版〕下のビデオはMicrosoftによるIoT Central紹介

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

UbuntuのCanonicalがスマートフォンから撤退、デスクトップはUnityからGNOMEに戻る

人気の高いLinuxディストリビューションUbuntuを作っているCanonicalは、スマートフォンやタブレットでモバイルの世界に進出したい、という願いを持っていた。今やUbuntuで動くスマートフォンを買うのは(少なくともアメリカでは)容易ではないが、しかしここ数年、さまざまな機種が出たり消えたりを繰り返した。そしてCanonicalのファウンダーMark Shuttleworthの今日(米国時間4/5)の発表によれば、同社はスマートフォン事業への投資を終了する。

さらに、Ubuntuに関しては、18.04のリリースからGNOMEデスクトップに戻り、独自に開発していたUnity8デスクトップ環境を捨てる。

そしてCanonical自身は今後、クラウドとIoTに注力する。ただし、“数百万もの人びとが依存しているUbuntuデスクトップへの情熱と投資と責任感は今後も継続することを強調しておきたい”、とShuttleworthは書いている。“弊社は世界でもっとも使いやすいオープンソースデスクトップの生産を継続し、既存のLTS〔長期サポートバージョン〕のメンテナンスも怠らず、多くの商業的パートナーと協力してそのデスクトップを配布し、それに依存している企業顧客をサポートし、そしてそれらの上でイノベーションを志向する何百万ものIoTとクラウドのデベロッパーたちを喜ばせたい”。

今やパブリックとプライベートのクラウドの大半がLinuxの上で動いており、またその多くがUbuntuを使っている(もちろんRed Hatなどとの競合もある)。最近行われるクラウド関連のカンファレンスに、何らかの形でのCanonicalのプレゼンスがない、ということは一度もなかったと思う。同社はLinuxのディストリビューションがいちばん有名だが、UbuntuやOpenStackやコンテナを(多くの場合Kubernetesを伴って)自社のデータセンターで使う大企業顧客向けにサポートすることからも、収益を得ている。同社は数字を発表していないが、売上の大きな部分が、このようなエンタープライズ・サポートであり、しかもそれは急速に成長し利益も大きい分野だろう。

IoTの世界では、Ubuntu Coreと同社のSnapsコンセプト(サンドボックス化したアプリケーションをどのLinuxディストリビューションでもインストールし動かせる)が、徐々にユーザーを増やしている。たとえば先日のMWCでは、Shuttleworthが私を連れて、Canonicalのブースと、Snapsを使っているサードパーティ全社のブースを訪問した。このようなSnapsの人気には、Shuttleworth自身がかなり興奮していたようだ。

“究極の選択は、企業の成長に寄与している分野に投資することだ”、とShuttleworthは書いている。“それらは、デスクトップとサーバーとVMを提供するUbuntuそれ自身、弊社のクラウドインフラストラクチャ製品(OpenStackとKubernetes)、クラウドオペレーションの能力(MAAS, LXD, Juju, BootStack)、そしてSnapsとUbuntu CoreによるIoT路線だ”。

Unity8については、公平に言っても、多くのUbuntuユーザーがその消滅を悲しいとは思わないだろう。それを好きなユーザーも一部にはいるけど、なんといってもGnomeはLinuxのデスクトップ環境として長年、もっとも人気が高い(しかもこのところ、どんどん進化している)。分派行動で実装が多様化〜分裂していることもないから、デベロッパーにとっても使いやすいはずだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ペット(猫、小型犬)の出入りをスマホのアプリでコントロールするペットドアSureFlapはペット版IoTだ

この夏、ペット・テクノロジーの分野についに登場するのが、アプリでコントロールするキャットドアだ。猫がその‘家’や‘部屋’の外へ出たら、警告をくれる。もはや、ペットにもプライバシーはないのである!

イギリスのSureFlapは、これまでもマイクロチップを装備した食餌器とか、正しいチップを埋め込んだ(RFIDカラーをした)ペットだけが通れるペットドアなどを作ってきたが、飼い主たちがリモートコントロールできるペット用品を求めていることに、気づいていた。そこで今回は、同社の、マイクロチップを埋め込んだペットドアをアプリからコントロールできるようにして、今年の夏に発売することにした。

その新製品Microchip Pet Door Connectは、飼い主がスマートフォンのアプリからドアをロックしたり解錠したりできる。また毎日の一定の“外出禁止時間”を、アプリで設定できる(通常は出入り自由)。

ペットがこのドアを出たり入ったりするたびに、飼い主はアプリから通知を受け取る。またその出入りは、ログに記録される。そのパターンの変化で、異状を検出できるかもしれない。

アプリへのアクセスは他人、たとえばペットシッターと共有できる。

SureFlapは、デバイス(ここではドア)とアプリの接続にクラウドIoTプラットホームXivelyを使っている。まさにこれは、IoTだから。こういう形のIoT接続製品を今後もいろいろ出していきたい、と同社は言っている。

このペットドアは、猫と小型犬に使える。お値段はドア本体が119.99ポンド、ハブデバイス(ドアとアプリの通信用)が49.99ポンド、計159.99ポンドだ。

ドアとスマホで(クラウドを介する)ネット通信ができるためには、最低でも1Mbpsのブロードバンド接続が必要だ。上図のドアの隣りにあるハブデバイスの接続には、ルーターに空きのEthernetポートが必要。

このペットドアは電源が4本のC電池で、寿命は通常の使用で半年から1年だ。

ドアとアプリの通信はTLSで暗号化されている。またAWSのELBでロードバランスをしているから、サーバーとの接続不良も少ない。ペットドアとハブとの通信も、暗号化されている。

これまでのSureFlapのペットドアには通信機能がないが、同社は、それらの製品に対してもアップグレードオプションを提供する予定だ、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))