ワールドカップを前に熱くなるサッカー関連アプリケーション。The Football Appは700万ドルを追加調達

サッカーの世界では大金が動く。現実のチーム運営などのみだけでなく、大勢のファンが利用するアプリケーションについても同様のことが言えるようだ。

この度、ベルリンに拠点をおくThe Football Appが、ニューヨークのUnion Square Ventures(Twitter、Tumblr、Zynga、あるいはKickstarterなどへの出資を成功させている)が主導して、他にも多数のエンジェルが参加した最新のラウンドにて、700万ドルの追加資金を調達したのだ。ちなみに、ベルリンのEarlybird Venture Capitalが主導した5月のラウンドでは1000万ドルを調達している。ごく短期間に、かなりの資金調達を立て続けに行ったことになる。

もしかすると勘ぐる人もいるかもしれないが、調達の裏に何か問題があるというわけではないようだ。2008年のリリース以来、いろいろなプラットフォームに対応したモバイルアプリケーションのダウンロード数は1000万件に達している。また、この6ヵ月以内のダウンロード数が300万件に達しているというのも評価できる数字だ。今回の資金調達は、人気もあって、それなりの額を調達している、ライバルのFTBproをリードしよう狙いもあってのものだろう。

もちろんタイミングもよく考えられたものだと言えよう。すなわち、来年にはワールドカップが開催されるのだ。まさに、一気に大量の数の利用者を獲得するチャンスが間近に迫っているというわけだ。The Football Appのファウンダー兼CEOのLucas von Cranachは次のように述べている。すなわち「私たちは、2014年のワールドカップ後には、利用者数を3億5000万と倍増させたいと考えています。モバイルデバイスを利用していて、サッカーに興味をある人すべてが利用候補者ということになります」。

今回の資金は「ソーシャル面を強化して、利用者の使用頻度をあげる」のにも使っていくのだそうだ。

確かに「ソーシャル」面の強化は、アプリケーションを成長させることに繋がっていきそうに思える。ソーシャルネットワークとしての性質も持つようになれば、いつでもどこからでも、ファン同士がサッカーの話で盛り上がることができるようになるわけだ。こうした意味では今回、Union Square Venturesがラウンドをリードしているのは大きな意味がありそうだ。すなわちUnion Square VenturesはこれまでにTwitter、Foursquare、およびTumblrと関係したことがあるわけで、ソーシャル要素を成長させていくためのノウハウも持っているものと考えて良い。The Football App自身も、あるいは他の投資家たちも、その点に大いに期待しているに違いなかろう。

今月初め、アプリケーションには「Fat Zone」という機能が加わり、試合結果、ニュース情報、全世界からのサッカー情報などに加え、ソーシャルフィードからも各種情報が集約されるようになっている。

こうした変更を経て、The Football Appは、Fanatixと同じような仕組みも実装したと言えそうだ。FTBproなどもまた新たな動きを見せてくると思われ、2014年のワールドカップを、一層愉しむためのテック面での環境整備も進んでいくことになる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


LinkedInがニュースアグリゲーターのPulseのアプリ開発中―モバイル・コンテンツ配信機能の強化を図る

ビジネスパーソン向けのソーシャルネットワーク、LinkedInは今や世界で2億3800万のメンバーを有するまでになっている。

今日(米国時間)、LinkedInは最近買収したニュースアグリゲーターのPulseの新しいアプリを開発していることを明らかにした。Pulseの共同ファウンダー、Ankit Guptaは「このサービスはLinkedInの主力コンテンツ・サービスとなる」と語った。

LinkedInのアカウント情報を利用してログインしたPulseユーザーには、LinkedInの推薦する記事、トップ・エグゼクティブなどインターネットの有力なインフルエンサーのブログ記事などのコンテンツが配信されることになる。LinkedInはPulseを単なるニュースリーダーを超えて、ユーザーのプロフェッショナルな必要に応じてカスタマイズされたニュースアグリゲーターにすることを目指している。

PulseはFlipboardのライバルのニュースリーダーで、この4月、LinkedInに9000万ドル以上で買収された。現在Pulseは買収以前とほぼ同様のサービス提供しており、LinkedInはPulseを将来どのように利用するつもりか明らかにしていなかった。Pulseは若干のLinkedIn連携機能を除けば、事実上スタンドアローンのサービスとして運営されている。

LinkedInのアカウント情報を他のサービスでも利用するというのは興味ある拡張だ。同時にLinkedInはこれも近年買収したRapportiveにを利用したLinkedIn IntroアプリをiPhone向けに発表した。詳細はこちらを参照。

また新しいiPadアプリを発表し、モバイル・サービスにビデオや画像などビジュアルな要素をこれまで以上に供給すると同時に、今年始めにデスクトップ版に導入した拡張検索機能をアプリにも移植した。

LinkedInによればユニーク・アクセスの38%はモバイル・デバイスからだといい。CEO Jeff Weinerは「LinkedInは近くモバイル化の瞬間、つまりモバイルからのトラフィックがデスクトップを超える時を迎えるだろう」と予測している。

PulseをLinkedInのモバイル体験の柱の一つに加える目的はサービスのパーソナル化を深化させるためだ。今日、モバイル・デバイスほどユーザーの接触、利用時間の長いないチャンネルは他に存在しない。これまでにもLinkedInは、モバイル・アプリに検索、経歴のアップロード、求職への応募連絡相手の管理などの機能を次々に追加してきた。Pulseの新アプリの公開は来年になるもようだ。【後略】

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


LinkedIn、メールの相手情報を表示するiPhoneアプリ、Introを発表―iPadアプリもアップデート

LinkedInのCEO、Jeff Weinerは「Linkedinのビジョンの実現を阻むハードルは規模だ」 という。規模の拡大を急ぐ努力の一環として、今日(米国時間10/23)、LinkedinはLinkedInとRapportiveの情報をさまざまなiOSメールアプリから利用できるIntroを発表した。同時にiPadアプリもアップデートされた。

IntroはGmail、Yahoo Mail、Aol Mail、iCloud、Google Appsの各iPhone版メールアプリをサポートする。Introはメールの受信者欄に送信者のプロフィール写真、肩書などを自動的に挿入する。

今日、LinkedInはモバイルにサービスの重点を移す戦略と新しい統計も発表している。LinkedInのユニーク訪問数の38%はモバイル・デバイスからのものだという(2011年の第1四半期にはモバイル・アクセスはわずか8%だった)。LinkedInはまた4月に買収したニュースリーダーアプリのPulseもアップデートした

Introでメールがスマートに

Introはこちらで登録するだけで今日から誰でも利用できる。このアプリは基本的に2012年2月に買収したRapportiveの機能を利用している。Rapportiveは受信したメールの送信元情報をGmailの右サイドバーに表示するデスクトップアプリだ。Introはこの機能をiOSの各メール・アプリで実現する。

Introを利用すると、ユーザーがメールを書く際に送信者名を入力すると即座にその相手の写真、肩書、会社情報などのミニ・バイオのパネルが現れる。クリックすると、相手がLinkedInに登録している場合、経歴、学歴、居住地、ブログなどの関連リンク等すべての公開情報と共通の友人が表示される。またLinkedInで友だちになること求めるボタンも用意されている。下のスクリーンショットはIntroを利用していない場合(左)と利用している場合(右)のメールの比較だ。Introを利用している場合、受信したメールの送信者のIntro情報が件名と日付の下に表示される。

LinkedInでは、メールのユーザーがこの機能を使って相手について詳しい情報を知り、効果的にメールを利用できるようになることを期待している。たとえば売り込み先のクライアントがミシガン大学の出身者であるとわかればミシガン大学の話題を出して親しみを増すことができる。初めての相手とメールをやりとりする場合、いちいちGoogle検索をかけなくともメールアプリ内から詳しい人物情報を得ることができる。

Introの動作メカニズムは巧妙だ。IntroはAppleと提携しているわけではなく、一般公開されているプロフィール設定APIを利用している。Introに各メールアドレスとそのパスワードを入力すると、カスタマイズされたプロフィールが設定され、その内容がiOSのメールアプリ内に表示される仕組みだ。スマートフォンの設定メニューあるいはIntroアプリからIntroとの連携を随時停止することができる。

しかしいったん使い始めれば連携を停止する気にはまずならないだろう。使ってみて私は非常に優れたアプリだと感じた。役に立つ情報をきわめて小さなスペースに圧縮して表示し、ワンタップでさらに詳しい情報を大量に引き出せる。Introをインストールすると、LinkedInサイトを全く訪問しなくても、毎日LinkedInを利用しているユーザーになるというのはLinkedInとして巧みな戦略だ。

iPadアプリのアップデート

新しいLinkedIn for iPadアプリも今日公開された。このアプリはウェブ版を機械的に中程度のサイズのスクリーンに押し込めたというわけではなく、タブレット専用のデザインが採用されている。ナビゲーションは個人別に最適化されたカルーセル式の横スワイプだ。ユーザーは人物だけでなく、会社や職でも検索が可能だ。

LinkedIn for iPadにはLinkedIn Influencerのコンテンツが読みやすく表示される。Influencerは400人のトップ・ビジネス・エグゼクティブからの有益なブログ記事をストリームする。新しいアプリでは専用ページが設けられて可読性が大きく高まった。LinkedInはさまざまな方法で収益を上げているので、他のウェブサービスのようにすべてのページにできるかぎり大量の広告を表示する必要がない。これはiPadで長文を読む際のユーザー体験には大きなメリットだ。写真はフルスクリーンに拡大できるし、ビデオは記事中のその場で再生可能だ。

これらの改良でLinkedInはモバイルの狭い画面にも大きく進出できそうだ。この戦略が成功すればLinkedInは「必要があったときにたまに使う」ユーティリティーから日々欠かせないサービスへと飛躍できる。LinkedInはビジネスモデルを人材リクルート業から次第に広告に移しつつあるので、ページビューを増やすことはビジネス上重要な目標となる。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


「今夜の予定」計画を手伝ってくれるYPlanに、Android版アプリケーションが登場

YPlanは登場からまだ1年にも満たないサービスだが、活躍の場を広げつつあるようだ。

本サービスが登場したのはイギリスでのことだった。それが先月にはニューヨークデビューを果たし、さらにはAndroid版もリリースすることとなった。

ご存じない方に説明しておくと、YPlanというのは24時間位内に行われるクールなイベント、パーティー、コンサートなどの情報を集めておいて、「今夜の予定」に悩む利用者に情報を提供するサービスだ。

サービスを使うと支払いもアプリケーションから行え、またチケットの印刷も必要ない。イベント会場の入り口であたふたとする必要もなく、利用者からは「ナイトライフ用のUberのような存在」との評価も受けている。

YPlanによると、この10ヵ月の間に30万件のダウンロードがあったのだとのこと。今回のAndroid版のリリースにより、さらに利用者数を増やしたい考えだ。ちなみにYPlanはシリーズAにてGeneral Catalystより1200万ドルを調達している。

ところで、Android版のリリースに時間がかかったようだが、理由はあるのだろうか。

YPlanによると、求める技術者のレベルをかなりの高レベルにおいていたこともあって、開発者を見つけるのに時間がかかったのだそうだ。「品質の高いAndroidアプリケーションを開発するには、それなりの時間もかかります。今年の夏は、Android版の開発とニューヨーク展開にかかりっきりでした」と、共同ファウンダー兼CTOのViktoras Jucikasは言っている。

YPlanにとって、Android版の展開は今後のサービス成長にとってとても重要なことだ。将来的にはソーシャルネットワークとの連携を深め、友達同士でナイトライフを愉しむための情報を広く提供していきたい考えだ。

取り敢えず今のところは、Android版のリリースも行ったことで、アプリケーション利用者に対する提供情報の質や量を高めていくことを目指している。

現在のサービス提供地域はニューヨークとロンドンに限定されている。双方の地域の居住者はYPlanのサイトiOSiOSアプリケーション、ないしAndroidアプリケーションでYPlanを試してみることができる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


iTunesもGoogle Playもかったるい, 「自分の」アプリストアを開きたいならAppGalleriesを利用しよう

InMobiがMMTG Labsを買収してから1年あまりとなる今日(米国時間10/22)、このモバイル広告企業は買収の成果となる初めての大型製品をお披露目した。それはAppGalleriesの新バージョンで、パブリッシャーが自分のアプリストアを作って開店でき、そこに広告も入るというものだ。新バージョンではUIが一新され、パブリッシャーがアプリを選択~校閲する自由度が大きくなった。また、巧妙なアルゴリズムにより、ストアの自動的な在庫充実が可能になった。

これはInMobiのより広範な刷新の一環で、ほかにも、テンプレートを使ったカスタムな広告フォーマットにより、ゲーム、天気予報アプリ、ユーティリティなど各種のアプリの広告を作れるようになり、広告上のクリックを前よりも増やせることが期待できる。

MMTGの協同ファウンダRyan MerketがInMobiのプロダクト担当ディレクターになり、彼によると、ホワイトレーベルのアプリストアをパブリッシャーに提供できるのは良い方向性だ、と言う。それはこれまでAppStoresと呼ばれていたサービスで、そのドメインを今ではInMobiが保有し、AppGalleriesへリダイレクトされる。自分に合ったアプリを見つけるのは難しいから、消費者はどうしても、これまで自分が良いと思ったアプリやブランドの関連製品を一望したいと思う。そういう一望の場所を作れるのが、AppGalleriesの便利なところだ。ただしこれまでMMTGには、強力な収益化モデルがなかった。

“自力でスクラッチ〔ゼロから〕で広告ネットワークを作るのはたいへんだから、買収される道を選んだ。うちのビジョンはVCたちになかなか理解してもらえないだろう、とも思った”、とMerketは語る。“InMobiには、そのビジョンを実現するだけの技術力がある”。

InMobiは、今では独立系広告ネットワークの大手だ。このネットワークのユーザ総数は6億9100万に達する。これは、Merketによると、Facebookに次いで二位である。JumptapとMillennial Mediaを合わせたよりも大きい。InMobiのネットワーク上には30000あまりのアプリとサイトがあり、InMobiが扱う広告はモバイルインターネットの全ユーザの60%、全世界のスマートフォンユーザの40%に達していることになる。InMobiのモバイル広告からダウンロードされたアプリは、5000万ダウンロードに達する。

AppGalleriesをパブリッシャーは無料で利用できるが、そこには自分が選んだアプリだけを‘陳列’できる。またその個人化されたアプリストアの在庫は、InMobiが選んだアプリでやユーザ自身のサイトからのセレクションで自動充填されることもある。Merketの説明によると、たとえばあるブログ記事にあるアプリのリビューが載っていたら、そのブログでリビューされているすべてのアプリをAppGalleriesのストアに集めることもできる。Javaで書かれたアルゴリズムが、そういう自動充填処理を行う。その処理には期間や次元を設定できるので、たとえば本誌TechCrunchがAppGalleriesによるアプリストアを持ったら、“これまでの10分以内に公開されたすべての記事中で言及されているアプリを集める”、といった処理も可能だ。しかもInMobiは記事中のリンクを書き換えて、そのパブリッシャーのAppGalleriesストアへ行くようにもできる。もはや、iTunesやGoogle Playへは行かないのだ!

また、そういうアプリのリンクを有料広告に変えられれば、広告収入が得られる。パブリッシャーが自分の広告を売ってもよいし、InMobiのネットワークからの広告を使ってもよい。ただし最小限一つの、InMobi広告がストアのリスト上に”sponsored”のタグ付きでなければならない。それが、AppGalleriesの利用条件だ。InMobiによると、初期のAppGalleriesのテスト結果では、最大でアプリのダウンロード数が600%も増加し、eCPMも、モバイル広告の平均が1~3ドルのところ、最大で12ドルに達した。

アプリインストール広告はFacebookなどでも成功しているから、そのコンセプトを完全なアプリストアへと拡張し、そこに、そういう広告と選ばれたアプリのリストを混ぜ込むことは、理にかなっている。だからInMobiとしてはAppGalleriesをあらゆるパブリッシャーに、アプリストアの自己店として利用してもらいたい。それはHTML5で書かれているので、モバイルのWebサイトでも、あるいはiOSやAndroidのネイティブOS内でも使える(Windows Phoneなどそのほかのプラットホームについては不明)。そしてそれらは、Webサイト上の広告やスタンドアロンのアプリ、あるいはパブリッシャーのアプリそのもののリンクからでもアクセスできる。

MerketによるとInMobiは今、AppGalleriesの展開をFacebookなど大手ソーシャルネットワークのプラットホーム上でも行いたい、と考えている。まだ具体的には決まっていないが、たしかにFacebookやTwitterやLinkedInなどがAppGalleriesを実装したらおもしろいことになるだろう。今はどこでも、今後の成長源としてモバイルを意識しているから、今後の課題は短時間で飽きられがちなプラットホームにどうやってユーザのエンゲージメントをつなぎとめるか、になってくる。Facebookなど大手SNSにおいても、ユーザの滞留時間の増と、それに伴う広告の効果の増大が、今および今後の重要な関心になるはずだ。AppGalleriesは、上手に作り込めば、まさにその関心に応えるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


アクティブユーザー拡大のためにいろいろと考えているらしいTwitterに伝えたいこと

地球上で最もパワフルなソーシャルネットワークでありながら、Twitterは完璧とはほど遠い状態だ。登録利用者10億人のうち、4分の1しかアクティブに利用していないのだ。日々、利用してもらうための何かが足りないのだ。さて、その足りないものとは何だろう。

AllThingsDによると、TwitterはLine、KakaoTalk、あるいはSnapchatなどを意識してメッセージアプリケーションの提供を行おうとしているのだそうだ。また、MessageMeの社員とミーティングを行ったという話もある。タッグを組むつもりなのか、あるいは買収(aqui-hire)を視野に入れているのか、細かい話はまだ何もわからない。

実際にこのような動きがあるのかどうかわからないのだが、果たしてTwitterにとって、メッセージングサービスへの参入が、今まさに望まれていることなのだろうか。

答えは「否」であると思う。

ほとんどの人は、身内の連絡用やダイレクトメッセージ送信のためにTwitterを使っているわけではない。誰のスマートフォンを覗いてみても、メッセージングアプリケーションは何本も入っているのが普通だ。そんな状況の中、TwitterのDMを使うのは、Twitter上の連絡先しか知らないからという理由がほとんどを占めるだろう。

TwitterのDMがあまり使われない理由は、単純に「便利ではない」からだろう。しかも、Twitterサービスの開始以来ずっと、Twitter社のDM機能に対する扱いも冷たいものだった。バグらしき問題が生じることもあったり(最近もURLを含んだメッセージが送れないという状況が発生している)、そもそもサイトでは裏メニューのような扱いになっていたりもする。DMを送るにはいくつもクリックしなければならないのだ。

ただ、TwitterはDM関連での機能変更を行っていたりもする。多くの人が話題にしたように、フォローしていない相手からのDMも受け取れるようになったの(標準状態ではこの設定はオフとなっていて、設定のチェックボックスにチェックすることでオンになる)。これは、これまでDMというものを完全にプライベートな世界でのものであるとしていたTwitterの立場を変更するものであるのかもしれない。

しかし、Twitter上のDM機能がさらに充実してきたとしても、通常のテキストメッセージ、Snapchat、Viber、あるいはMessageMeを使わずにTwitterを使おうという動機づけになるのだろうか。数多く存在する他のメッセージングツールから、Twitterに乗り換えるメリットは、何かあるのだろうか。

Twitterとしてみれば、メッセージングアプリケーションの世界に「標準サービス」が存在しない(少なくともアメリカでは)ところにチャンスを見出したい考えなのだろう。だがそもそもTwitterはメッセージングのジャンルを目指したのではなかったはずだ。メッセージングサービスは、Twitterの得意分野というわけでもない。将来的にも、Twitterの利用者が「メッセージング」を目的にTwitterを使うようにはならないと考えるのが普通だろう。

まあ昔話をするのであれば、Dorseyは、Twitterを仲間内での連絡手段として開発したようだ(「食事にする?」といった具合)。しかし、その意図とは異なる方向に進化することとなった。確かに当初は、お互いによく知る人と連絡をメッセージをやり取りする仕組みとして生まれたのかもしれない。そこだけをみれば、確かにTwitterはメッセージングのようなものだった。しかし進化の方向は大いに変化することとなった。

Twitterは成長するにしたがって、身の回りで起こっていることを、広い世界と共有するためのツールとなった。たとえば同じテレビ番組を観ている人たちがTwitterを経由して繋がるようになった。また同じ店にいる人や、同じ困難、あるいは幸運にであった人が、Twitterで情報を分け合うようになった。Twitterは、世界中の人を「リアルタイム」で繋ぐツールになっているのだ。人々の話の流れを楽しみ、そしてその気になれば参加することもできる。Twitterにセレブが参加するようになったことも、現在のこの状況を作り上げる一助となっている。これは「プライベート」な「当事者間」の世界とは対極をなすものだ(Anthony Weinerは個人的なことを大っぴらに扱っていて両者の区別はないのかもしれない)。

安定した数のアクティブユーザーを獲得(そして保持)したいのであれば、強みを活かして、弱い部分から手を引くということが大切なはずだ。現在のTwitterにとって、メッセージング関連サービスが提供サービスの強みであるということはないはずだ。SnapchatやMessageMeの後を追うことは、すなわちTwitterの魅力を薄めてしまうことにもなりかねないように思う。

利用者がいったい何を気に入っているのかを十分に考えるべきだと思うのだ。

たとえばTwitterの魅力のひとつとして、「フォロー」という概念がある。「相互」の関係でない「フォロー」という一方通行の関係性をソーシャルネットワークに持ち込んだのはTwitterが最初だった。この「フォロー」構造のおかげで、現実世界での関係に関わらず、ネットワーク上でいろいろな人と繋がることができるようになったのだ。

また、突然にセレブになるという可能性があるのもTwitterの特徴だ。上の階に住むおかしな隣人のことをツイートしていた人物は本を出すことになった。また、BuzzFeedのライターはFoxに職を得た

Instagramなど、そのほか数多くのソーシャルネットワークも、Twitterの仕組みを踏襲している。すなわち、友人同士で繋がるためのツールという位置づけから、自分の話を世の中に流すためのチャネルとして機能しているのだ。

フォロワーを増やしたいと、つい考えさせられてしまうのも、広い意味ではTwitterの魅力のひとつと言えるのかもしれない。もっと多くの人にフォローして欲しいと考えて、アクティブユーザーがさらにアクティブになるというようなことがあるからだ。

さらに重視すべきなのは、Twitterが「リアルタイムの会話」に力を入れたサービスである点だ。デジタルツールの中でも、これほどまでに「リアルタイム」を強調するツールは他に見当たらない。多くの人が、Twitterで一番面白かった思い出はと言われれば、他の人と「時間を共有した」瞬間のことを思い出すのではないだろうか。

スーパーボウルで停電になってしまっても、Twitterでは多くの人が共有するその事件を活用することができた。あるいは時間つぶしのドラマを最終回まで見て後悔しても、Twitterで仲間が大勢いることを知り安心することができる。

こうしたTwitterのリアルタイム性というのは、サービス全体の本質ともいえるところだ。シリアスなシリア問題から、暇つぶし的なドラマの最終回に盛り上がるといったところまでをカバーする。さらに、そこに参加して楽しむということもできれば、あるいはただ盛り上がりを眺めて楽しむという両方のスタイルが用意されているのだ。

Twitterの魅力というのはこうしたところにあるのだと思う。メッセージングというのは、そうしたTwitterの本質と離れたところにあるように思うのだ。メッセージングというのは、確かに「ソーシャル」なものではあるが、しかしあくまでも「部分的」なものに過ぎない。そうした「部分」に乗り出すのがうまくいかないのはTwitter CameraやTwitter #music(Twitter社の代表的失敗事例)でわかっていることだと思うのだ。Twitterがなすべきことは、Twitterが提供するソーシャルネットワークの「総合的」な楽しみ方を、新規利用者に対してもわかりやすく、快適に提供することであるはずだ。

もちろんTwitterがそこに気づいていないわけでもない。少しずつ努力は続けているようだ。たとえばTwitter上で交わされる会話のやり取りはスレッドにまとめられ、青線を使って時系列で見ることができるようにしたりなど、便利になる機能を追加しようとしている。会話の中に入っている人をフォローしていないと見え方が異なったり、また、ちょっと古い発言にひとことだけの返信をしたりする人がいた場合など、これまでは会話の流れが全く見えなくなってしまっていた。会話表示の改善というのは、そうした混乱をなくすためになされているものだ。

ただ、Twitterの「強み」は、実のところそのまま「弱み」にもなり得るところが難しい。先ほどあげた「フォロー」という仕組みをみてみよう。フォロワーを増やしたいという気持ちがTwitterを活性化させることがあることは先に書いた。但し、フォローする側に立ってみると、また違う側面が見えてくる。多くの場合、Twitterに参加するといろいろな人をフォローしてみるものだろう。しかしそうこうするうちに、面白そうな人、出版社、興味のある企業など多くをフォローし過ぎて、膨大な量のフィードを消化しきれなくなってしまう。

もちろん、こうした事情があれば外部サービスなどを使ってうまく対処するというのがクラウド時代の対処法だろう。ただ、Twitterでは外部アプリケーションとの連携ということを徐々に制限していたりもする。Twitterではすべてのツイートをそのまま利用者に向けて流し続けることを旨としている。すなわち利用者本人にコントロール権が存在することを意味するのだが、しかし逆に言えば、何か問題を感じたとしてもすべて自力で解決しなければならないといことになっている。

この状況を少し「改善」することでTwitterがずいぶんと使いやすくなると考えている人も多いはずだ。本当に気になるツイートのみをフィルタリングする機能などは、欲しいと考えている人も多いのではなかろうか。

そんなこんなと皆がいろいろと意見を言い始めた昨今、AllThingsDにもあるように、Twitterは7年前のサービス開始から数えて3番目となる大幅なアップグレードを準備中なのだとのこと。シンプルさを意識しつつ、テレビ番組との連携を深め、新たに参加してきた人が簡単に面白そうな話題を見つけられるようにするのだとのこと。また、写真やビデオなどのメディア系も充実する方向らしい。Twitterは、誕生のとき以来、テキストによる表現に重きをおいてきた。また、写真も扱っていこうという方向を強め始めたところで、InstagramがTwitter上に写真を表示しなくなるという「事件」も起きてしまった。そうした事象を乗り越えて、マルチメディア化を進めていくことは、新しい利用者にとっても使いやすく、そしてわかりやすい情報を提供していくことに繋がるだろう。

ちなみに、Twitterが現在のDM機能に改良を加えるというのであれば、それはそれで悪くない話なのかもしれない。DMの機能はそれなりに使い道があるものだ。但し、それを新規利用者獲得のための武器だなどと考えれば、それは思い違いになると思うのだ。また、スタンドアロンのメッセージングアプリケーションを開発するというのは、既存利用者に対するメリットは少なく、単にTwitterというサービスを見えにくくするだけの役にしか立たないのではなかろうか。Twitterの本来的目的のために使える技術者を、他の用途に回してしまうことにも繋がってしまうと思う。

いろいろと書いてきたが、Twitterが何らかの動きを見せるまではすべて憶測の話に過ぎない。しかしどうか妙な改装プランに邁進するようなことはやめて欲しいのだ。記事が「TL;DR」(Too long, didn’t read)と言われそうな記事だが、Twitterに話を聞いてもらうためなら、少しずつDMで送ってもいいと思っている。。

[Image: Flickr/Steve Snodgrass]

原文へ

(翻訳:Maeda, H


モバイル時代の英語教育サービスを目指し、東京でサービスインを準備中のOKpanda

モバイル時代となり、外国語学習はどこにいてもできるようになり、また外出先で見つけた気になる外国語を翻訳するサービスなども数多く登場してきている。メジャーなDuolingoをはじめ、英語やドイツ語、あるいはロマンス語系を学ぶためのサービスが非常に多く登場してきている。しかしそのような中、学習者としてアジアや、とくに日本をメインターゲットとしたサービスというのはほとんど見当たらない。

そこにビジネスチャンスを見つけようとするのがOKpandaだ。シリアル・アントレプレナー兼アプリケーション開発者であるAdam Griesと、マルチプレイヤーゲーム系スタートアップのPlayerDuelの共同ファウンダー兼CTOだったNir Markusが設立した。アジア圏での英語学習サービスを提供しようと考えており、日本を最初のターゲットとして位置付けている。

事業展開のため、OKpandaはResolute Venturesが主導し、Innovation Endeavors、Kapor Capital、そして500 Startupsなども参加したラウンドで140万ドルの資金を調達している。尚、Karma、TapjoyのファウンダーであるLee Lindenや、APAX Asiaの前チェアマンだったMax Burger、ProdcteevのファウンダーであるIlan Abehassera、そしてMafia Warsの共同ファウンダーであるRoger Dickeyなど、数多くのエンジェル投資家も出資している。

もちろん、日本市場でのサービス展開を目指すのはOKpandaが最初というわけではない。しかし日本にはまだまだ掘り起こされていない市場価値があるはずだというのがOKpandaの考えだ。たとえばGriesは、たいていのサービスでは現代の口語英語による会話レッスンに力を入れていないと分析している。すなわち、英語を「学んだ」人でなく、ネイティブの使う英語表現などの部分で、まだまだサービスを提供する余地があると考えているわけだ。

また、アジアにおけるさまざまな市場条件も、新規参入を支援するものと考えることができるのだそうだ。たとえば日本はアジア最大規模の語学学習マーケット(首位の中国に僅かな差で2位)で、語学学習の市場規模は50億ドルほどとなっている。ここには電子辞書やテスト準備のためのデバイス類は含まれておらず、これを入れればほぼ80億ドルの市場規模になっている。

さらに、多国籍展開を目指す楽天やユニクロなどのトップ企業が、英語を公用語として用い始めていることも、英語学習熱を更に高める効果があるとふんでいる。ビジネスの世界において、英語が「標準言語」としての地位を高めつつあるわけだ。日本の企業の多くが、グローバルマーケットに打って出て成長を成し遂げようとしている。しかし日本では英語を苦手だと考える人も多い。そこに大きなチャンスがあるのだとGriesは述べている。

OKpandaのアプリケーションはまだリリースされておらず、Griesの話では12月までにはリリースしたいという考えであるそうだ。最初はまずiPhone版を展開していく。ちなみにこれまでは44%のシェアを握るNTT DocomoがiPhoneを扱っていなかった。しかし最近になってiPhoneの取り扱いを開始した(但し、Docomo自体は苦戦しているようではある)。これによって、日本でもiPhoneがさらに普及していくと考えられ、これまたOKpandaにとっての追い風だと言えるのかもしれない。

先にも述べたように、日本人はこれまでに膨大な金額を英語教育のために使ってきた。しかし英語が得意な国民というわけではなく、2012年におけるTOEFLの結果では、スピーキング能力はアジア内で下から3番めというランキングになっている。Gries曰く、こういう状況も見据えて、OKpandaではまずリスニングとスピーキングに重点をおいていくことにしているのだという。そしてそれこそが、アジア諸国における「主要ニーズ」(key needs)であると意識しているのだとのこと。

学習には、いつも手元に持ち歩いているスマートフォンを使う。数多くのアバターと、現実的なシチュエーションを想定した「会話」を行っていくことで、英語の学習を進めていくことになる。これにより何十万もの英語の自然な言い回しを身につけていこうという狙いだ。

OKpandaの拠点はニューヨークにある。しかし東京オフィスも準備した。東京でのサービスインを控え、これからしばらくはほとんどのメンバーが東京で活動することになるそうだ。12月までにまず日本向けの英語学習モバイル教材をリリースし、それからアジア各国に展開していく考えだ。ビジネス展開を見据えつつ、2014年ないし2015年のアジア各国展開を目指している。

世界には20億の英語学習者がいて、また500 StartupsのDave McClureが言うように「英語が世界の事実上の標準言語となっていて、みんなのポケットにはモバイルデバイスが入っている」と言っていた。「英語」と「モバイル」、そして「教育」の親和性は高いはずなのだ。

OKpandaは、まず楽しく、かつ簡単な英語学習プログラムの提供を目指している。なかなか成果の出ない英語学習を続けさせられてきた日本人に「楽しく」、そして「簡単な」方法を提供しようと考えているのだ。

効率的で魅力的なサービスを展開するため、OKpandaは優秀な人材をアドバイザリーボードのメンバーとして確保するためにも獲得資金を活用している。たとえばHarvard English Teachers’ Programの元Associate DirectorであるKaren Price教授や、LearnistのファウンダーであるFarbood Nivi、そしてFarmvilleおよびRed Hot Labsの共同ファウンダーであるAmitt Mahajanなどの名前も見える。

興味のある人はOKpandaのホームページにてメンバー登録をしておくことができる。登録したメールアドレスにサービス開始時期などの情報が届くようになるわけだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


グループでの写真共有やアルバム管理を簡単にするCluster、いよいよAndroid版も登場

写真共有アプリケーションを提供しているClusterAndroid版が登場して、より便利に使えるようになった。

ちなみにClusterは今年の夏、Instagramに初期から投資していたBaseline VenturesのSteve Andersonの主導によるラウンドで160万ドルの資金を調達してもいる。アプリケーションの機能としては、以前から提供されているiOSアプリケーションと同様で、簡単にフォトコレクションを作成して他の人に見せたり、写真を投稿してもらったり、あるいはプライベートで共有したりすることができる。

Clusterが最初に登場したのは2月のことで、まずはiOS版がリリースされた(そういうアプリケーションは多い)。以来、コメント機能、共有機能などを追加したり、デザイン面のアップデートを行ったりしている。

Android版の方でも、使い勝手はiPhone版とほぼ同じであるようだ。「new」をタップすれば新しいアルバムを作成することができる。そして「event」か「topic」のどちらを目的とするアルバムなのかを指定する。誕生日や結婚式、パーティーやバケーションについてのものなのか、それとも何かのテーマについて、特定のイベントとは関係なく綴っていくのか(たとえばペットの写真など)で区別するわけだ。

写真を登録する際は、登録する写真と同じ日付ないし同じ場所で撮った写真が一括で選択されるようにすることもできる。これはアルバム作成の手間を大いに減らすことに繋がる。たいていのアプリケーションでは、追加する写真をひとつひとつ指定する必要がある。派手さはないが、本当に便利な機能だと思う。

アルバムを作成すれば、寄稿者もワンタッチで登録できる。追加以来はメールないしテキストメッセージで行う。また、多くのソーシャルアプリケーションが自分友だちスパムを送るようになってしまった中、友だちの招待をClusterに任せるのか、それとも自分で行うのかを選ぶことができるようになっている。これは昨今のアプリケーションとしては「良心的」と言えるかもしれない。また、アプリケーション内から招待通知を送るのか、それとも招待コードを発行しておいて、後ほどFacebook経由やメール、あるいはサイトへの投稿あるいはテキストメッセージ経由で招待することを選択することもできる。

もちろんAndroid版で、iOS版の機能を全て実装したというわけでもない。しかしアルバムを作ったり、あるいは知り合いの招待を受けて、アルバム作成に参加したりということは問題なく行える。個人的には、近しい友人や家族と写真を共有するのに、Flock(今やGoogleに買収されたBumpのプロダクト)を使っていた。しかしiOS版とAndroid版のあまりの違いにがっかりしていたりしたものだった。ことClusterについてはそのようなこともないようで、なかなか便利に使えそうな印象を持っている。

また、ウェブ上でのエクスペリエンスにも気を配っているのが興味深い。ウェブからも、スマートフォンと同様に、写真のアップロード、コメント、お気に入りへの登録などを行うことができるのだ。これも他の写真共有サービスが見落としているところではないだろうか。より多くの人に使ってもらうためには、多くの人が使っているプラットフォームで利用できるプロダクトを出す必要があるのだ。最新のデバイスを手に、最新機能への対応をせまるテック系の人も大事だが、シェアの大きな既存技術を放置していてもいけないのだ。

ところで私たちは日に日に、自らが生み出す写真コンテンツのボリュームに圧倒されるようになってきている。昨今では写真をFacebookのアルバムにまとめたりする人も減ってきていいる。友だちのためになるのならと苦労してまとめたものだったが、見てもらおうと思った人以外にもうっかり公開してしまうようなことも続出した。そこで、たとえばメッセージングアプリケーションを使ってごく限られた人と共有したり、あるいはInstagramのようなオープンなプラットフォームを使う場合は当たり障りのない写真のみをシェアするというようになってきてしまったのだ。そうした中で、写真共有を改めて楽しいものとしてくれそうなのがClusterだ。基本的にはごく近い人とのみシェアするようにしつつ、それをたとえばFacebookなどに公開して、より広い範囲のひとと共有するオプションも用意しているわけだ。

モバイルを主戦場とした写真アプリケーションということで、たとえばApp Store内だけを見渡しても競合は多い。また、AppleのiCloudやGoogle+、あるいはFacebookやYahooのFlickrなどという大手も「競合」になるだろう。さらに利用者拡大には資金が必要で、その大変さに道を見失うスタートアップも多い。さらには投資家たちが、消費者向けサービスへの出資を渋りつつあるという話もある。利用者の拡大がなければ、フォトブックやギフトなどというマネタイズの仕組みも実装できない。但し、使いやすい仕組みをモバイルおよびウェブ上で展開しているのは魅力だ。徐々に利用者も増えていくこととなりそうだ。

最近リリースされたAndroid版アプリケーションについては、こちらから入手することができる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


曲を分析してギタリストにコード進行などを教えてくれるCapoがバージョンアップ

本誌TechCrunchの正社員ギタリスト/恐怖のギタリストであるぼくは、Capoのようなアプリが好きだ。この29ドルのプログラムを使うとiTunesにあるどんな曲でも分析してタブ譜を作ってくれる。また、演奏/練習中にコードを教えてくれるし、難しいところをループしたり遅くすることもできる。

試しに、Radioheadの”Creep”を、Capoが教えてくれるコードにしたがって、録音してみた。ゲームのRock Bandみたいに。この曲が使ってるコードはG、B7、C、Cmの4つで、バレのコードは通常、3rdまたは4thのポジションで弾く。 Capo が教えてくれるコードはほとんど正しくて、曲がよく分かるし、音も本物のギターの音ではないけど役に立つ。ぼくが録音した結果を、聴いてみよう:

たしかに、完璧ではなかった。BマイナーとDのコードが抜けている。でも、最初はこんなもんだろう。完全な初心者には無理でも、経験者なら練習したり調べたりして直せる。ほかの曲もいろいろ試してみたが、Icona Popsの”I Love It”は、コードの認識が完璧だった。

このアプリは、ピッチや速さを変えられるのが良い。速さを1/4ぐらいにすると、ギターのパートがよく分かるし、難しい部分の練習にも役に立つ。Riffstationのような同種のアプリもあるけど、使いやすさという点ではCapoが上だ。

まだ不出来なところもある。タブ譜のシステムは、曲の音響スペクトログラムをスワップイプして、どの音を拾いたいのか、教えてやる必要がある。しかもそれは、不正確だ。でも、このアプリに合った曲を見つけて練習すれば、かなり使いやすくはなる。

Capoはアマチュアのギタリストにとってクールなツールだし、プロのためのおもちゃとしても、おもしろい。こんなアプリに出会うといつも思うのだけど、ぼくが高校生のときCapoと良品のストラトキャスターを持っていたら、たぶん学校へは行かなかっただろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


いつでも「ネイティブ」に質問ができる、ソーシャル翻訳サービスのLinqapp

語学学習のサポートをしようとするスタートアップは多い。旅行や学校の授業などにも役立つ。ただ、そこまで体系だったものでなくとも、ちょっとしたことについてネイティブの意見を聞きたいと思うことがある。

たとえば映画を見るための行列に並んでいるときだ。ふと「くもりときどきミートボール」を中国語でなんというのだろうかと気になって仕方なくなることがある。そんなときに便利なのが「ソーシャル翻訳」アプリケーションのLinqappだ。開発者曰く「人力Google翻訳」とでも言うべきものだとのことだ。

Linqappには、テキスト、写真、録音した音声などを使って質問を登録することができる。すると、ターゲットとして指定した言語をネイティブとして使う人にプッシュ通知が送られるようになっている。ポイントシステムを採用しており、そのためもあって迅速かつ正確な回答が寄せられることとなる。

メジャーな言語についていえば、Linqappは非常に効果的に機能しているようだ。現在のところ登録者が多いのは英語、中国語、スペイン語、そして日本語をネイティブに使う利用者たちだ。実験してみようと「stevia」を中国語でなんと言うのだろうかと質問を投げてみたが、4分もしないうちに植物および甘味料の双方について漢字を教えてもらうことができた。さらに中国語での発音までも、音声録音で教えてもらうことができた。

このLionkappは現在のところAndroid版のみが提供されている。iOS版も近々登場する予定になっているようだ(iOSファーストでリリースする開発者が多いが、LinqAppではAndroidの利用者の多さに着目したわけだ)。リリースされたのは2週間前だが、既に1万人が登録している。

開発者のSebastian AngとDavid Vegaのことを最初に知ったのは、彼らが台湾を走り回っていたときのことだ。彼らは中国語を勉強しているときに、Linqappのアイデアを思い付いたのだそうだ。台北で暮らし始めたときにはほとんど言葉がわからず、数多くの問題に遭遇したそうだ。しかしそのような問題に遭遇する中で、どんなアプリケーションも、あるいはウェブサイトも、自分たちを救ってくれるサービスを提供していないことに気づいたのだ。たとえば手書きのフードメニューなどを読み込むことのできるOCRはほとんどない。また、複雑怪奇な公共交通手段地図なども、言葉がわからないとほとんどお手上げになってしまうのだ。

「(現在の)コンピューター翻訳には出来ないことが多くあります」とAngは述べる。「台北のバス運行時刻表などを理解できる外国人など存在しないはずです。Google翻訳にも限界があることを知る好例になります。しかし、台北言語のネイティブがひとりいればすぐに解決する問題でもあるわけです。運行表の写真を撮って、そして自分の行きたい場所などを示せばすぐに的確なバスを教えてもらえるはずです。

Angは、やはりソーシャル翻訳プラットフォームを展開するVerbalize Itを一番のライバルとして見ているのだとのこと。しかしLinqappは無料であり(Verbalizeの方はパーソナル版の価格が5ドル99セントよりとなっている)、ソーシャルディスカバリーのためのプラットフォームとしても機能する点で差別化をはかろうとしている。世界中の言葉で、いろいろな事物についての質問を交換する場を作ることで、DuolingoWaygoなどのメジャー言語学習アプリケーションでは為しえないサービスを提供しようとしているわけだ。

例えば最近、中国語を母国語とする人に「QQとはなんですか」という質問があった。これはTencentの提供しているメッセンジャーソフトの場合もあるし、また「歯ごたえがある」(chewy)という言葉のスラング表現でもある。あるいは映画の「マチェーテ・キルズ」は中国語で何というのかという質問もあった。こうしたことについては、中国語を学習したからといって、なかなか答えられるようにはならないものだ。

マネタイズについて、まずはポイントを販売することで行っていこうという考えだ。将来的にはより広範な翻訳サービスプラットフォームとして機能させたいのだとのこと。つまり現在Linqappに寄せられている質問よりは少々複雑ながら、しかし翻訳エージェントなどに依頼するほどではないもの(簡単な操作説明書等)の翻訳を依頼することなどもできるようにしたいのだそうだ。

Linqappを利用するには、アカウントを作成してログインするか、あるいはFacebookアカウントを利用してもログインすることができる。ログインすると、ネイティブ言語を指定して、他に使える言語や、質問する対象となる言語などを登録する。テキストでの質問を投稿するのは全くの無料で行うことができる。但し、写真や録音音声を使って質問するにはLinqappの「ポイント」が必要となる(登録時に無料でいくらかのポイントがもらえる。そして他の人の質問に回答することでもポイントを増やすことができる)。質問を投稿すると、ネイティブな人々に対してプッシュ通知が送られる。その際、15分間に設定されたタイマーも動きだし、タイマーが切れる前に回答すると、ポイントが与えられる仕組みとなっている。寄せられた回答の中で、もっとも役立ったものはどれなのかを選び、そして何ポイントを付与するかも決めることになる。

尚、プロフィール欄や、他の利用者に対するコンタクト機能なども提供されている(質問や回答のやりとりから、台北在住でアメリカのカルトフィルムや「ブレイキング・バッド」シリーズが好きな人との出会いを期待するという使い方もある)。Ang曰く、Linqappのコミュニティ機能は、他のクラウドソーシング型言語関連サービスと競っていく上での優位点になりえると考えているのだそうだ。

「質問を投稿するたびに、これまでは全く繋がっていなかった人と繋がる可能性も出てくるわけです。これはまた、これまでのソーシャルネットワークとは違った結びつきを提供することができるようになるのではないかと考えています。繋がる可能性すらほとんど皆無だったところに、国境を越えた助け合いに基づく関係性を生じさせることができるのです」。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


Kickstarterで目標額調達間近のFlyKly。後輪交換で、手持ちの自転車を「電動アシスト」化

Kickstarterに登録されているFlyKly Smart Wheelは、手持ちの自転車を電動アシスト自転車に変身させるものだ。後輪にモーター等の必要機器を埋め込んでいる。

Smart Wheelを、いま利用している自転車の後輪(ギア付/ギア無しを問わない)と交換して、スピード設定などを行うアプリケーションを用意すれば準備完了となる。アプリケーションは、このSmart Wheelのロックやロック解除にも用いる(ホイールをロックして、自転車自体が動かないようにするのだ)。それでも盗まれてしまった場合には、追跡用のGPS機能も備わっている。

このFlyKlyを開発したのはニューヨークに拠点をおくスタートアップだ。開発者によると、26インチから29インチのホイールに対応した自転車になら取り付けることができるのだそうだ。取り換えの作業も非常に簡単であるとのこと。但しチェーンオイルには注意が必要だ。取り替えた後輪に搭載されているモーターはアプリケーションによりコントロールされ、上り坂でギアを軽くしたり、あるいは平坦地でスピードを増したりという操作も自動で行うようになっている。

FlyKly搭載自転車の最高速度は20mph(25km/h)から30mph(50km/h)のレンジで設定する。バッテリーは36Vのリチウムバッテリーを使っている。バッテリーの充電は電源ソケットにつないで2、3時間で完了する。また、モーターを切ってペダリングを行ったり、あるいは坂を下ったり、はたまた設定速度を超えてスピードを出すことでも充電することができる。

速度設定などはスマートフォンにダウンロードしたアプリケーションで行うようになっている。ペダリングを開始すると、設定した速度までモーターが回ることになる。そして一定の速度でクルージングを楽しむことができる。意図的に速度を落とすとき、あるいはバッテリーの残量がなくなったときに、スピードは低下することとなる。尚、ペダリングをやめた場合も、モーターは停止する。

また、Smart Wheel搭載のGPS機能を使って、ツーリングルートを管理したり、それを誰かとシェアしたりといったこともできる。また内部パーツの管理を行う機能も持っていて、パーツ交換などの必要性が生じた際には、アプリケーションを通じてアラーとを流すようになっている。

FlyKlyのフルシステムにはスマートフォンマウント用のフォルダーも含まれる。ここにスマートフォンを搭載しておくことで、運転中でも簡単に速度設定を変更することができる。また夜間走行用にLEDも搭載されており、またダイナモによる発電で、スマートフォンを充電することもできるようになっている。

このFlyKly以前にも、普通の自転車を電動自転車にしてしまおうとするKickstarterプロジェクトは存在した。たとえばRubbeeというものも、面白い仕組みだった。但し、FlyKlyの方が、より統合的なアプローチであると言えそうだ。Rubbeeの方は、後輪の上にモーター駆動装置を取り付けて、後輪を「押し回す」ような仕組みだった。FlyKlyの方は後輪自体を交換するもので、モーターはホイールの中央部に配置されている。

むろん仕組みにも興味の集まるところだが、値段も大いに気になるところだ。Rubbeeの1,240ドルという値段を見て、即座に考慮から外したという人も多かったはずだ。もちろんこれは自転車抜きの値段だ。確かに便利なのだろうが、しかし決して安い買い物ではない。

一方で今回紹介しているFlyKlyは値段も抑え目だ。初期割引価格の550ドルは既に予定数を満たしてしまっているが、現在でも590ドルで入手できることになっている。もちろんこれでも、バッテリーの充電回数が1000回程度とされる中、「お手頃」な価格とはとても言えないが、同種の製品群と比べるとかなり抑えられたものとは言える。

尚、FlyKlyはずいぶんと軽量化もしており(4kg)、導入も簡単だ(ホイールを付け替えるだけ)。比較的安価で、かつホイール部分のみを変更するという方法で、手持ちの自転車を電動アシスト化するというのはなかなか面白いアプローチではある。

Kickstarterでの設定目標額は10万ドルだが、29日を残して既に8万1000ドル以上の資金が集まっている。FlyKlyが良いところを突いたということなのだろう。目標額達成の確率も上がっているところだが、達成できれば来年の5月から出荷を開始したいとのことだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


Facebook、投稿後の記事編集機能をiOS版に導入―ウェブ、Android版に追いつく

Facebookはモバイル優先に体質を改めようと努力中だ。しかし新機能の多くは依然としてまずデスクトップ版に最初に導入される。その方がテストがしやすいからだ。

今日(米国時間10/17)、投稿後に記事やコメントを編集する機能とコメントとして写真を投稿する機能が iOS版に導入された。これでユーザーは自分の意見を写真で表現したり、タイプミスを恐れず記事を投稿したりできるようになった。

今回のiOS版アプリのアップデート(順次公開中なので一部のユーザーはまだ利用できないないかもしれない)にはこれ以外にも、エモーティコン、気分、活動を友だちのタイムラインで共有する機能も含まれている。つまり小さい絵文字と「JoshConstineは喜んでいます」、 「Josh Constineはコーヒーを飲んでいます」などというテキストが表示されるようになる。またプライバシーに配慮して、ナビゲーション・メニューのユーザー名の横にプライバシー設定画面へのショートカットになる鍵のアイコンが表示される。この画面にはプライバシー関係のFAQとユーザーが現在Facebookで何をしようとしているかが表示される。

写真によるコメントは7月に最初に導入され、Tumblrファンなどの若い先進的なユーザー層の人気を集めている。

Facebookは2012年にウェブ版ではコメントの編集ができるようにした。先月には投稿後の記事の編集がウェブ版とAndroid版で可能になった。これまでは投稿後にタイプミスを発見した場合、 削除して再投稿するしかなく、その場合「いいね!」もコメントもすべて消えてしまうのが悩みの種だった。

ただし「いいね!」やコメントを集めた後で記事本文を広告などに書き換えるというインチキを抑止するためにFacebookは編集された投稿やコメントには「編集済み」と表示し、クリックすると編集履歴が分かるようにしている。

これでいよいよ、投稿後の記事とコメントの編集がすべてのiOSユーザーに行き渡ることになった。長らくウェブ中心のサービスだったFacebookのモバイル優先への挑戦はこれからも続く。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


「コンテクスト」に応じてホームスクリーンを自動的に切り替えるAviateが公開βに

Andreessen Horowitzの支援するAviateが公開ベータとなった。Aviateとは増える一方のモバイルアプリケーションと付き合っていくための、より良いインタフェースを提供しようとするものだ。夏にアルファ版をリリースして以来、この新しいAndroid版ランチャーを試してみた利用者は7万名にのぼる。ちなみに、このアルファテストに参加した利用者に対してはベータ版の案内が送られている模様だ。アルファ登録を行っていなかった人に対しても、システム側の準備ができ次第、徐々に対応を進めていくとのこと。

また、バイラル効果を狙って、友人に配布できる招待コードも発行している(TechCrunchに提供された「TechCrunch」も利用できるかもしれない)。

7月にも紹介記事を掲載しているが、まだご存知ない方のために再度説明をしておこう。Aviateというのは、新しいタイプのAndroid向けランチャーだ。現在リリースされているほとんどのランチャーは、「カスタマイズ」機能を競っているような面もある。しかしAviateでは現在の「コンテクスト」に応じてホームスクリーンの構成を変更するようになっている。現在地や移動ステータス、ないし直近のアクティビティに基いて自動的にホームスクリーンを最適なものにしてくれるのだ。

たとえば、いま仕事場にいるとしよう。すると優先的に表示されるのは、各種ビジネスアプリケーション群ということになる。あるいは旅行中であるとしよう。するとワンタッチでアクセスできるところにはGoogle Mapsなどのナビゲーション系アプリケーションや、近くのレストランやバーなどのホットスポットを探すのに便利なYelpなどということになる。また、レストランを訪れたとするとFoursquareで簡単にチェックインすることができ、またワンタッチでレビューツールを起動することもできる。さらにはカメラやZagat、Foodspotting、OpenTableなどのアプリケーションも使いやすい場所に表示されるようになる。家に戻ってくればホーム画面は「ナイトタイム」モードとなり、カレンダーやスケジュールが表示される。また夜の読書タイム用にKindleなども表示されるようになる。

今回のベータ版で、アプリケーションの起動方法や、アプリケーションからの情報を表示する機能が新しくなった。情報を表示する仕方はウィジェットと同様の感じではあるが、あくまでも必要なときに表示するために「コンテクスト」を判断して表示する点が新しい。

「Aviateの提供を開始した当時は、それぞれにアプリケーションを、利用頻度の高い場面で表示するという機能を提供していました。たとえば、レストランにいるときにはFoodspottingやOpenTableといったアプリケーションを表示するようにしていました」と、共同ファウンダーのMark Daissは説明する。「しかし単純にアプリケーションを表示するというのではまだまだ不十分でした。アプリケーションからの情報をホームスクリーンに表示することで、一層便利なツールとなったのです。

画面に表示される内容は、まずAviate側で自動的に判断される。しかし設定画面から、より詳細な設定を行ってカスタマイズすることもできる。また、利用者のデータに基いて、アプリケーションのレコメンデーションなども行っていきたい考えなのだそうだ。まだまだ開発中の機能なのだそうだが、確かにそれはマネタイズの方法として有効なものとなるかもしれない。

尚、今回のバージョンから、Androidの標準ウィジェットを使った画面カスタマイズにも対応するようになった。ウィジェットは好きな画面に配置することができ、かなり自由度が増したといえよう。

ここまで説明しているように、現在地や現在のアクティビティなどの「コンテクスト」に応じてホーム画面を表示するのが主要機能だ。しかし利用頻度の高いアプリケーションに簡単にアクセスしたり、あるいはインストール済みアプリケーションをアルファベット順に表示したりすることもできる。これはいずれの画面からも呼び出して利用できるようになっている。

Aviateはジャンルとしては「ランチャー」に属するものであるが、これまでのものとは全く違った世界を見せてくれるものだ。他のランチャー系ツールのように「自由なカスタマイズ」をウリにするものとは異なる。インストールしたアプリケーションを、必要なときに簡単に利用するためのインタフェースを提供しようとしているのだ。あえて言えばFacebook Homeに似た面もある。ただし、Facebook Homeはスマートフォンを簡単に利用できるようにするというよりは、Facebookへのアクセスを簡単にするという機能を提供するものだ(もちろんFacebookの目的なそこにこそあったわけだ))。Aviateもまたスマートフォンのインタフェース部分に手を加えるものだが、何がなんでもFacebookに繋ごうとしない点で、いってみればより汎用的なツールであると言えるかもしれない。

あるいは、Googleのサービスと切り離されたGoogle Nowのようなものとも言えるのかもしれない。但し、Google Nowのように必要な時だけAviateを呼び出して使うということはできない。ランチャー自体を入れ替えて使わなければならないのだ。当然、通常のウィジェットやスタンドアロンのアプリケーションとしての使い方もできない点には注意が必要だ。

「まだ開発は始まったばかりというような段階です」と共同ファウンダーのPaul Montoy-Wilsonは述べる。「必要なときに適切なアプリケーションを間髪入れずに利用できるようにしたいと考えているのです。スワイプする必要などなく利用できるランチャーというのがあるべき姿ではないかと思うのです。立ち上げたら目の前に必要なものが揃っているというのが理想の姿です。その理想に向けて、まだまだ開発を行っている段階です」。

本サービスを展開しているのは、パロアルトのThumbsUp Labsで、元Google社員により立ち上げられた。これまでにHighland Capital、Andreessen Horowitzなどから180万ドルの資金を調達している。Aviateの登録はこちらから行うことができる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


マネー管理アプリのMoneytree、DGインキュベーション等から1億5,000万円を調達

Moneytreeは銀行口座やクレジットカードのアカウント、電子マネー口座などを登録すると、これらの口座残高や利用履歴を一括管理してくれるアプリだ。このアプリを提供するMoneytreeがDGインキュベーションと個人投資家から1億5,000万円の資金を調達した。

Moneytreeは現在iPhone向けにアプリを提供しているが、今年4月25日のローンチから約150日間で20万ダウンロードを達成している。iPad版、Web版も提供予定だ。このアプリは口座残高を確認するだけでなく、電子マネーをいつチャージしたか、クレジットカードの支払日はいつで、いくら必要なのかといった情報もまとめて表示してくれる。

Moneytreeのようなクラウド家計簿とも言うべきカテゴリに分類されるサービスは国内でもここ1、2年でいくつか登場し、盛り上がりをみせている。昨年11月にはZaimがクックパッドから4,200万円、今年3月にはマネーフォーワードが個人投資家等から約1億円を調達した。この他、MoneyLookやDr.Walletといったサービスも注目されている。

米国では一足早く2007年のTechCrunch50でデビューしたmintが約1年半で100万ユーザー近くを獲得し、2009年に1億7,000万ドルでIntuitに買収された。日本ではまだ圧倒的な地位を確立しているサービスはないが、各社はそれぞれ特徴を持って展開している。レシートを自動で読み取る機能を提供しているサービスもあれば、逆にアップロードされたレシートを手作業で入力するチームもある。

Moneytreeもさらにこのサービスを便利にするために対応金融機関を増やしながら、新機能、プレミアム機能を提供する予定だ。


PayPal、 iPadベースのPOSレジのメーカーRevel Systemsと提携して現実店舗への進出に意欲

今日(米国時間10/14)、PayPalはiPadベースのPOSシステムのメーカーRevel Systemsと提携し、店頭POSレジ分野への参入をさらに一歩進めた。Revel Systemsは対前年比400%もの成長を記録しており、Dairy Queen、Goodwill、Popeyeなどの大手チェーン店をクライアントとしている。これまでPayPalはPOS分野に関して、最近独自ハードウェアのBeaconデバイスをローンチしたが、急成長を続けるSquareなどのライバルに対して内製の独自ハード、ソフトだけでは不十分だと気づいたもようだ。

この数ヶ月、PayPalはいくつかのPOSレジのメーカーと提携して既存システムにPayPalを追加させることに成功している。その中でも影響が大きいのは今年始めに発表されたNCRとの提携で、レストラン、駅、コンビニなどで広く利用されている老舗メーカーのレジ・システムでPayPalによる支払いができるようになった。

しかし今回のRevel Systemsこれまでとは異なる分野の支払いシステム分野で急成長している。Revelこの夏、シリーズBのラウンドで1010万ドルの資金を調達している。投資家はHungry JackのCEOで元McDonaldの東南アジア担当上級副社長、Tim Tigheと連続起業家のSean Tomlinsonだ。

Revelは2012年12月当時、TechCrunchの取材に対して「われわれはすでに黒字化を達成している。今回の投資はもっぱら成長を加速するために利用される」と説明した。

Revelは2010年でサンフランシスコで創立され、レストラン、食料品店など各種店舗を中心iPadベースのPOSレジ・システムを販売している。単に売上処理だけでなく、給与管理、在庫管理、顧客管理などのサービスも提供している。先月はアラバマ州立大学と契約を結び、iPadベースのポスレジをフットボール競技場の30箇所の売店に設置した。

Revelとの提携によってPayPalは多様な現実店舗での支払業務に進出する重要な足がかかりを得たことになる。PayPalは最近いくつかの有名ブランドのチェーン店と契約して、アメリカ中、何千箇所もの目立つ場所でPayPalによる支払いを行えるようになった。また最近スタートしたPayment CodeはユーザーのスマートフォンにQRコードを生成し、店舗側のスキャナーで読み込むというユニークな支払テクノロジーだ。

Revelは現在、サンフランシスコ、サンノゼなどに100人人の社員がおり、年商30万ドル以上のクライアントが2000社ある。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+

jp.techcrunch.com/achve

Twitterはユーザーの関心グラフ情報で稼ぐ―MoPubを通じてサードパーティにターゲット広告配信へ

Financial Timesが得た情報によると、Twitter上のすべての活動は最近買収したMoPubを通じて、サードパーティーのサイトに効果的なターゲティング広告を表示するための材料として使われることになるらしい。ユーザーがTwitterにログインすると、自分が何をツイートしたか、誰をフォローしているによって関連するMoPubネットワークからの広告が表示される。しかしTwitterは自サイトへの表示だけでなく、このユーザー情報に基づいた広告の配信から収益を上げようとしているのだという。

TwitterのInterest Graph〔関心グラフ〕のデータがTwitterのビジネスのカギとなるわけだ。Twitterの株式上場が迫っている現在、サイトに広告を氾濫させずに大規模に収入を得る方法があれば株価にも好影響を与えるだろう。

Financial Timesの記事(有料)によると、TwitterはMoPubの買収手続きを完了中であり、このプラットフォームを利用してTwitterの関心グラフに基づくデータをサードパーティーのウェブサイトやモバイル・アプリに販売することを計画しているという。このデータにはユーザーのフォロー相手、ツイート内容が含まれる。これが重要な収益源として従来のプロモート・ツイートに加わることになると事情に通じた情報源が述べたという。

この記事ではまだ詳細は不明だが、Twitterが新たに買収したMoPubを利用してサードパーティーから収益を上げようとしていることは確かなようだ。

まず第一にTwitterはMoPubをオフサイト、オフアプリでの広告ターゲティング・プラットフォームとして利用することができる。たとえば私が「ハワイに行ってみたい」とか「デジタル一眼が欲しい」とかツイートしたら、あるいは@HawaiianAir(ハワイ航空)や@DCamMag(デジタルカメラワールド誌)をフォローしているとしよう。私がMoPubネットワークから広告を配信してもらっているウェブサイトを訪問するとハワイやデジタル一眼関係の広告が表示されるわけだ。Twitterは私のツイート中のキーワードやフォロー相手のデータを利用して効果的にターゲティングした広告をMoPubを通じてサードパーティーのサイトやアプリに販売することができる。

左の写真はMoPubのケーススタディーの例だが、ユーザーが「私は掃除が好き」とツイートしたところ、SongzaアプリにMr. Clean〔P&G社のマスコット・キャラクター〕の広告が表示された。

一部のユーザーはTwitterがユーザーのデータを利用してサードパーティーから収益を得るということに不安を感じるかもしれない。しかしTwitter上のほとんどのデータはもともと公開情報であり、多くのサードパーティーがすでに広告に利用している。またユーザーも他の多くのサイトにターゲット広告に使われる情報を自発的に提供している。ある意味でTwitter-MoPubの方が無害だといえる。【中略】

MoPubを買収したことでTwitterはサードパーティーへの広告配信という有利な事業で広告ネットワークにマージンを支払う必要がなくなった。株式上場を控えて賢明な判断であり、巨額の売上が見込めるので株価の維持に役立つだろう。最近TwitterはiTunes Radioのプロダクト・マネージャー、Gareth Paulをスカウトするなど、サードパーティーとの提携に特に力を入れている。

そこで次にはFacebookがモバイル広告配信事業を急速に立ち上げるために広告ネットワークの買収に踏み切るかどうかが注目される。

TwitterのMoPub買収額は3億5000万ドル相当のキャッシュと株式だったとされる。買収手続きは2013年第4四半期に完了するようだ。MoPubを利用した実際の事業開始はその後になる。Twitterに多額の売上をもたらしながらTwitterのストリームに広告は増えないという結果になることを期待したい。

[画像:Gluekit]

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


フィットネスはGoogle Glassで新展開? Race YourselfのGlassFitは10万ポンドを集めてリリース準備中

Google Glassは、まだ市場に出てきたわけではない。しかし世間はいったいどういう使い道があるのだろうと大いに期待して、そして議論している。操作をハンズフリーで行える点からすると、歩行中のナビゲーションや人気スポット案内などに便利ではあろう。そういう面でも面白いアプリケーションが出てくると思うが、もうひとつ、エクササイズ方面でも大いに可能性があるのではないだろうか。

この可能性を確信しているのがロンドンのRace Yourselfで、Glass用のフィットネスアプリケーションを世に出す費用として、CrowdCubeというクラウド型株式ファンディングプラットフォームを通じて10万ポンドの資金を調達した。

Race Yourselfが世に出そうとしているアプリケーションはGlassFitという名前だ。RunKeeperや、Nike Fuel Bandのように、エクササイズの記録をとったり、あるいはモチベーションを高めるのに用いる。ランニングなどのエクササイズにゲーミフィケーションの要素を持ち込み、Glassの特性を活かして拡張現実の面も強化しようとしている。たとえば、自己ベストを記録した自分との仮想レースなどということも行える。あるいは3ヵ月前の平均記録との対戦などということもできる。もちろんソーシャル機能を使って、友人のタイムと競い合うということもできるわけだ。

自転車でも同様の仕組みを利用する。もちろん、加速中の様子を再現する心配りもある。また「勝負」に熱中するあまり、信号無視をしてしまわないような仕組みも組み込まれている。取り敢えず、Race YourselfはGlassFitにたくさんのミニゲームを実装してスタートする予定なのだそうだ。拡張現実世界に住むゾンビとの命がけのレースなどもあって面白そうだ。これは確かにGoogle Glassの魅力を一気に高めることになるかもしれない。

「エクササイズはもちろん身体に良いことです。そしてゲームというのは楽しくて、人々を夢中にするものです。私たちは、それらを拡張現実世界の中で融合して、エクササイズを本当に楽しく、熱中できるものにしたいと考えているのです。その最初のプラットフォームとなるのが、Google Glassなのです」。これはRace Yourselfの共同ファウンダーであるAlex Fosterの言葉だ。「スマートフォン環境よりもはるかにモチベーション作りにも役立ち、記録を活用する方法もいろいろと考えられ、タイムを競うのにも新しい方法を導入することができます。パーソナルベストと競争をするのなら、果たしてそれを上回っているのかどうか、ランニング中により具体的なイメージとして見ていくことができるわけです」。

Glass上のセンサーのおかげで、たとえば「爪先を触る」動きを検知することができたり、あるいはタップ操作によってすぐに記録動作を一時停止することもできる。また「怪我モード」(injury mode)も搭載している。怪我をしているときや調子のよくないとき、より多くのアクティビティを消化したことにしたりしてくれるそうだ。ちなみにフィットネスと縁遠いところにいる筆者にとって、このモードがどういうものなのかよくわからなかった。

GlassFitのビジネスモデルもまた、Clash of ClansやLeague of Legendsなどのゲームを参考にしたものだ。「数多くのゲームを提供し、また今後も追加していきます」とFosterは言う。「利用者はカロリー消費や自己ベストの更新、フィットネス活動連続記録の達成などによりポイントをゲットします。集まったポイントはゲームのアンロックに利用することができます。面白いないし機能満載のゲームということになれば、アンロックするのにより多くのポイントが必要となります。ポイントが足りない場合に“購入”することもできるようにしていて、それがひとつの収益策ということになります。またアプリケーションを利用するのに必要となる心拍計や速度計の販売も行っていきます」。

GlassFitのリリースは、Google Glassの正式リリースと同時に行いたい考えだ。但し、来月ないし再来月あたりには、プレセールスや、Kickstarterでのキャンペーン等も行う予定にしている。Glassの一般向けリリースが行われないうちは、どうしてもGoogle Glassはニッチな存在ということになる。そのような中で行うキャンペーンなどがうまくいくのかどうかは微妙なところだ。但し、いざ正式リリースとなれば、多くの人がGoogle Glassに殺到するようになると、Race Yourselfは期待しているようだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


iPhone 5cのケース購入を後悔している人へ。救いはある!

いろんなカラーで楽しめる。プラスチックの手触りもちょっと面白い。そしてぴったりマッチしそうだということで、穴ぼこだらけのケースも買ってみる。

ケースは30ドル程度。装着してみて初めてApple TVリモート以来の失敗作であることに気付いて愕然としたりするわけだ。でもそんなに恥ずかしがる必要はない。誰でも失敗することはあるのだ。

おまけに。考えなしにiPhone 5cにあわせてケースも購入してしまった人々を救うためのアプリケーションも登場した。そのアプリケーションはCaseCollageというものだ。

アプリケーションをリリースしたのはLunarLincolnだ。Facebook、Instagram、Flickr、Picasaなどのソーシャルストリームから使いたい写真などを持ってきて、それをケースの穴の部分に表示するようにできるのだ。「non」だか「hon」だかの文字は表示されなくなり、また個性をアピールすることもできる。

自由に持ってきた写真を配置することもできるし、あるいはアプリケーションに同梱されている画像ないしテキストコレクションをカスタマイズしていくこともできる。文字が妙な具合に見えることが気に入らないのであって、純正ケースによるカラースキームは大好きなのだという人は、クロックス・ホールを色で埋めることもできる。

好み通りにアレンジしたら、デザインをプリントアウトして利用する。ケースに収まるサイズにカットして、iPhone 5cとケースの間に挟むのだ。取り敢えず恥ずかしくない状態にして、同様な過ちは決しておかさないと誓っておけばいい(iPhone 5c自体が間違いだったのかは置いておこう)。

このアプリケーションのおかげで救われる人も多いのではなかろうか。

アプリケーション本体は無料で、こちらからダウンロードできる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


GitHub for Windows、UI部分などをアップデート。更新時刻も相対時刻表示へ

GitHub for Windowsがアップデートされたようだ。GitHubのブログでは、今回のアップデートにより、一層軽快でわかりやすい仕組みを採用したとしている。細かな修正がいろいろと加えられてはいるようだが、目立つのはUI部分だ。

まず、基本的な動作を、たいていの人の世間常識に合わせた。すなわち古いものが左側に、そして新しいものが右側にくる配置としたのだ(たいていの国では、文字を左から右に記述する)。レポジトリにおいても、過去のコミットが左側に表示され、そして現在作業中のものが右側に表示される。

さらに、GitHub for Windowsからは横スクロールバーが消えることとなった。個人的には横スクロールバーもあまり気にならないが、しかし開発者の視点からみると異なるのかもしれない。長い「diff」表示ラインも折りたたまれて表示されるようになった。おかげで、あちこちにスクロールして表示を見る必要がなくなったわけだ。

また、作業の様子をよりわかりやすく把握できるようになった。たとえば、改変作業が行われた場合、作業の行われた日時を示すのではなく、相対時間が表示されるようになったのだ。つまり何らかの作業が行われたのが「たった今」(just now)なのか、15分前なのかが表示されるのだ。おかげで、属しているタイムゾーンによらずに作業の流れが把握できるようになった。

今回のアップデートは、さほど大きな変更が加えられているわけではない。開発者からリクエストの多かった使い勝手の面での改善を行ったというところだ。これまでよりも一層、メインの開発チームが所属するタイムゾーンなどを気にせずに、さまざまなプロジェクトの進行具合を把握しやすくなったと言うことができるだろう。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


Twitter世代向けに、数分間単位のごく短い教育ビデオを提供するCoursmos

Dave McClureのみならず、シード投資家に売り込みをかけるときは、相手を惹きつけることのできる内容から始めるべきだ」。

これを実践してまずCoursmosというiOSアプリケーションをリリースして、少なからぬ人の注目を集めることに成功したスタートアップがある。

そのスタートアップは、ロシアに拠点をおいている。彼らは、既存Eラーニングの問題点を突いて、より効果的な学習環境を提供するのだと主張している。長い時間(最低でも数週間)をかけて学習を行う従来型MOOCと異なり、Coursmosはレッスンをより細かい、把握しやすい規模に分解する。たいていは数分程度のビデオにまとめられていて、たとえば職場に向かうバスの中などでの利用を想定しているわけだ。

これは言うならば「Twitter世代に向けたEラーニング」といったところだ。マイクロブロギングサービスのように、教育コースを短い制限時間内で提供しようという試みだ。気を散らしやすい世代(Generation Distracted)向けの教育環境とも言えるのかもしれない。

「人々は学びたいと思っています。ただ、現在のMOOCは従来型のオフライン教育のやり方に拘り過ぎていると思うのです。もちろん、オンラインコースでも従来と同じクオリティを保とうと考えてのことなのでしょう。しかしひとまとまりの長さを小さくすることで、レッスンを受ける前に時間についてあれこれと悩む必要もなくなるでしょう。世に広がっているMOOCでは、受講前にかなりの覚悟が必要となってしまうのです」と、共同ファウンダーのPavel Dmitrievは言っている。

「Coursmosのマイクロコースフォーマットは、さほど時間をとることなく、簡単に内容を把握できるようになっています。3分間を確保できるのなら、レッスンをひとつ受けることができます。繰り返しておきますが、30分でなく3分でワンレッスンを完了することができるのです」。

ワンレッスンの長さを短くしようとする狙いを実現する意味もあって、CoursmosはモバイルファーストでまずはiOSアプリケーションをリリースすることとした。Androidアプリケーションも現在準備中だ。Dmitrievによれば、ウェブプラットフォームも構築する予定であるとのこと。6月の設立以来、これまでにシード資金として15万ドルを調達している。出資しているのはロシアのエンジェル投資家の他、ウクライナのテック系インキュベーターであるHappy Farmなどだ。

Coursmosはレッスン自体をどこから入手するのか。それはクラウドからだ。今のところ、講座の数はまだまだ非常に少ない。そして大方の予想通り、品質的にもばらつきが大きい。しかしこれは、新たなプラットフォームを開拓しようとする際にはよくあることだとも言える。

しかし、実はこの記事自体、500 StartupsのメンターであるVitaly Golombの作成したマイクロコースをきっかけに執筆にいたっているのだ。但しぱらぱらと他のコースを見てみたところでは、それほど面白いと思うものには出会えなかった。短いのだから全てのコースが簡潔にまとめられているというわけでもないようだ。

UGC(User Generated Content)というのが広く受け入れられるようになっており、Coursmosとしては「レッスン」についてもクラウドから良いものが出てくるはずだという信念を持っているのだろう。アプリケーションの中でも「フィーチャードコンテンツ」として、品質の高いコンテンツをまとめて提示することができるようになっている。そうした形で紹介できるほどに、たくさんのコンテンツが生まれてくるのであれば、なるほど面白いプラットフォームとして機能することになるのだろう。

また、アプリケーションには講義をカテゴリ毎に分類して表示する機能もある。カテゴリはアートや料理からコンピューター、工芸、健康、ビジネスなどの多岐にわたっている。購読するコースは「Your classes」タブにまとめておくことができ、簡単に見なおしてみることもできる。さらにすべてのレッスンには「mark completed」(完了マークを付ける)ボタンが用意されていて、「Your classes」タブ内のレッスンを全て受講したかどうかなど、簡単にチェックすることができる。

仕組みとしてはきちんとしていると思う。ただ、こうした仕組みの「中身」を埋めるのは、講義ビデオと同じような「短い間の苦労」では済まないかもしれない。今のところはコンテンツが登録されていないカテゴリもかなり存在するのだ。

確かに、YouTubeなどでも、シナモンパウダーにむせ返らない方法など、さまざまな知識を無償(ないしはほんの少しではあれ、ネット上でのウケを獲得するために、それとももしかすると広告収入でリッチになるという実現可能性の低い目的)で公開してくれる人がいる。そういう意味でCoursmosも、クラウド経由によるコンテンツの充実を願っているのだろう。ただ、YouTubeは多くのオーディエンスの獲得を期待できる大きなプラットフォームであり、また何ら「教育的」でなくてもコンテンツをアップロードすることができる。そういう意味でみるとCoursmosのハードルは少々高めに設定されていると言うこともできよう。

もちろんCoursmosも、ただ手をこまねいてコンテンツの充実を願っているわけではない。講座を有料にするオプションも提供して、口座開設のモチベーションをあげようと努力もしている。ちなみに有料化した場合は9%がCoursmosの取り分となり、それによりマネタイズの途も確保しようという考えだ。但し、同時に有料化する講座は少ないだろうとも予測しているようだ。既存MOOCでも大学レベルの教育プログラムを無料で提供しているわけで、3分の講座を有料で提供するには、相当に特殊かつ充実した内容でなければ難しいはずだと考えているわけだ。また、気を散らしやすい世代は、なかなか財布の紐を緩めないものだという認識もある。実際問題として、さくらんぼの柄を口の中で結ぶという難しい技も、YouTubeで無料公開されたりしているのだ。

無料で学ぶための方法として、MOOCが最大の関心を集めているのは間違いのないところだ。しかしCoursmosも、YouTubeで公開されているチュートリアルなどとは充分に競合していけるという目論見をもっている。誰もが自由にコンテンツをアップロードするのではなく、組織的な管理を行って、利用者側も体系だって閲覧できる仕組みを提供することにより、変わった猫のビデオなどよりは人気がでるはずだと考えているのだ。

「Coursmosは組織的に、教育分野に注力することで、より多くの人に学習環境を提供していきたいと考えているのです」とDmitrievは述べている。

本稿の執筆にはTechCrunchのSteve O’Hearも協力している。

原文へ

(翻訳:Maeda, H