ビジネスSNS「Wantedly」がオープン化、自社サイトで潜在転職者にリーチ

ウォンテッドリーの仲暁子社長
クックパッドの採用ページに「話を聞きに行きたい」を設置した画面

クックパッドの採用ページに「話を聞きに行きたい」を設置した画面

日本経済新聞から約1億円の資金調達を発表したウォンテッドリーが、ビジネスSNS「Wantedly」のプラットフォームをオープン化する。第一弾としてAPIを公開し、外部サイトに「話を聞きに行きたい」ボタンを設置できるようにする。まずはサイバーエージェント、クックパッド、ヤフー、ディー・エヌ・エー(DeNA)の4社が導入し、年内をめどにすべての企業に開放する予定。

話を聞きに行きたいボタンは、求職者がWantedlyで気になった企業にエントリーするための機能。エントリーしたからといっても必ず連絡が来るわけではなく、企業側が気になった求職者にのみ招待メールが届く仕組み。一般的な転職サイトは求職者が毎回プロフィールや経歴を企業ごとに入力していたが、それが不要な分、気軽に応募できるというわけだ。

「話を聞きに行きたい」ボタンをクリックするだけでエントリーが完了する気軽さが特徴だ

「話を聞きに行きたい」ボタンをクリックするだけでエントリーが完了する気軽さが特徴だ

外部の企業は今後、JavaScriptを一行ホームページに挿入するだけで、話を聞きに行きたいボタンを自社サイトに導入できるようになる。採用担当側としては、従来の応募フローには乗って来なかった潜在転職者であったり、採用フローが面倒で離脱してしまったような転職者とも出会えるのがメリットだと、ウォンテッドリーの仲暁子社長は話す。

「イケてるエンジニアって、会社に遊びに来ているうちに選考に進んだりすることが多いじゃないですか。『話を聞きに行きたい』もそういった世界観。今回導入した企業からは、Wantedlyのボタンがあるからこそコンバージョンするケースがありそうと評価してもらっています。」(仲氏)

ウォンテッドリーの仲暁子社長

ウォンテッドリーの仲暁子社長

オープン化戦略の第一弾としてはこのほか、企業が社内の活動や告知をWantedlyに投稿する会社フィード機能を自社サイトに導入できる「会社フィードボックス」を公開した。会社フィードは昨年7月にリリースし、1000社が利用している。求職者としてはWantedlyの募集要項だけでは伝わりにくい会社の様子がわかり、企業としては社内の雰囲気を潜在候補者に対してカジュアルにアピールできるようになる。

Wantedlyは2011年2月に公開し、累計で1万社が登録。ウェブ業界を中心に、毎月約60万人がサイトを訪問している。4月には、名前や社名を入力するだけでWantedlyユーザーが検索できる「Sync」をリリースするなど、ビジネスSNSとしての側面を強化中だ。日経新聞との提携は詳細が明かされていないが、両社のIDを連携させればウェブ業界以外のユーザーにもリーチできるかもしれない。仲氏は「働くすべての人のインフラを目指す。そのためには、働く人が読んでいる日経は私達の強力な助っ人になる」と話している。

会社フィードボックスではWantedlyの募集要項だけでは伝わりにくい会社の様子をアピールできる

会社フィードボックスではWantedlyの募集要項だけでは伝わりにくい会社の様子をアピールできる

「競合はセルカ棒」カップルのデートに同行撮影する「ラブグラフ」が口コミでじわり拡大

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「カップルのデート写真、撮ります」――昨年1月に個人の趣味で始まったカップルフォトサイト「Lovegraph(ラブグラフ)」が、10〜20代を中心にじわりと伸びている。カメラマンがカップルのデートに同行して撮影するサービス。プリクラや自撮りでは難しい、自然な表情が撮影できることが人気で、月間の撮影件数は100組以上、カップル写真を掲載するサイトは月間30万PVに上る。

友人カップルのデート写真投稿→「私達も撮ってほしい」

ラブグラフを立ち上げたのは、カメラマン志望だった現役大学生の駒下純兵さん。もともとは写真の練習を兼ねて友人カップルのデートに同行し、無料で撮影した作品をサイトに掲載していた。カップルがInstagramやTwitterに撮影されたデート写真を投稿すると、「私達も撮ってほしい」と口コミが拡散。撮影依頼が50件を超えると、一人では対応しきれなくなった。

大阪在住の駒下さんは当初、カップルから交通費だけをもらって、東京、山梨、福岡など全国に足を運んでいた。しかし、撮影依頼が増えるにつれ「遠方だと交通費がカップルの負担になる」と思い、現地にいる知り合いのカメラマンに撮影を依頼。その後も撮影依頼は順調に増え、今年2月に事業化に踏み切った。

現在はサイト経由で撮影依頼を受け、担当のカメラマンがカップルに返信。撮影場所を決め、デート中の自然な表情を撮影している。最も人気が高いのは、カメラマンが厳選した写真12枚をもらえるプランで、料金は撮影費が1万円、カメラマンに払う交通費が1500円。写真をイラストにしたり、動画を撮影するプランもある。

9割以上のカップルが写真掲載を承諾

サイト上には、掲載に承諾したカップルのデート写真が並ぶ。興味深いのは、9割以上のカップルが承諾していること。10代カップルがこぞってMixChannelにキス動画を投稿していることを考えると不思議ではないかもしれないが、見方を変えると、写真の満足度が高いから掲載を許可しているとも言えそうだ。最近では家族の写真も増え、毎日1組ペースで掲載している。

口コミで伸びるラブグラフに、アーティストも注目し始めた。中高生に人気のシンガーソングライター・MACOさんは、新曲のプロモーションでコラボを4月に展開。Twitterでハッシュタグ「#MACO_Lovegraph」とともに写真をツイートしたカップルの中から2組を選び、新曲をBGMにした動画をYouTubeに公開した。

6月18日には、Crystal Kayの3年ぶりとなるシングル「君がいたから」とコラボした動画を公開。家族愛をテーマにした同曲にあわせて、ラブグラフの映像スタッフが脚本を制作した。

カメラマンは全国各地で約120人が在籍する。その多くは週末限定で撮影するセミプロで、報酬は撮影費の50%。志望者には作品のポートフォリオを提出してもらい、面接を経て採用している。「毎月50人ほどの応募があって、採用者は5人程度」(駒下さん)となかなか厳しい審査があるようだ。6月には全国で写真教室を開く「PHaT PHOTO」と提携し、ラブグラフのカメラマン養成講座も始めた。

ラブグラフは駒下さんほか取締役が3名、エンジニア、デザイナー、インターンの計6名。いくつかのVCから投資の提案もあったが、当面は自己資金で運営していく。「撮影収入だけでなく、写真素材をレンタルする事業の需要も伸びています。ある程度のマネタイズはできているので、いまは投資を受けるよりも、シナジーのある企業と組んで事業を大きくしていきたいです」(駒下さん)。

自撮りカップルを見るたびに歯がゆさ

駒下純兵さん

駒下純兵さん

駒下さんは関西大学4年の現役大学生。ラブグラフを事業化する前はカメラマンを志望していて、ミスコンや美男美女大学生スナップサイト 「美学生図鑑」で撮影の腕を磨いていた。ラブグラフもその一環として始めたものだ。

カメラマンとしてのキャリアに未練はないのかと聞くと、駒下さんは「ミスコンのカメラマンをやっていて、ある程度は名前も知れたんですが達成感がなくて。もともとカメラ始めたのは、他人に喜んでもらいたかったから。僕が撮らなくてもラブグラフが大きくなれば喜んでもらえる」と話す。

出張撮影サービスとしては、ミクシィ子会社のノハナが家族の記念日を想定した有料プランを出していたり、スマートフォンからフォトウェディングを申し込む「ファマリー」などがある。カップルの出張撮影サービスではビッグプレイヤーがいないが、駒下さんは「競合はセルカ棒なんです」と言う。

「セルカ棒で自撮りしてるカップルを見るたびに、『うわー、絶対ラブグラフのほうがいいのに』って思います。僕らが作りたいのは、カップルがちゃんと写真を撮る文化。プリクラかセルカ棒でやっていることを、ラブグラフでやってほしいんです。」

Facebook、See First機能をテスト中―ユーザーは友達やページを選んで常にトップに表示できる

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Facebookは親しい友達からの情報が大勢の知り合いの投稿に埋もれて見過ごされることがないようにするために新しいニュースフィードの表示アルゴリズムをテスト中だ。私はたまたま今朝(米国時間6/19)See Firstと呼ばれる新機能を発見した。友達やページのプロフィール画面でこの機能をオンにすると、その相手からの投稿は常にニュースフィードのトップに表示されるようになる。

See Firstはアルゴリズムによらず必ず表示されるという点でマーケッターにとっては垂涎ものの機能だ。ユーザーにとっても意図したとおりにニュースフィードの内容を決められるのはありがたい。

さっそくFacebookに取材したところ、「われわれはユーザー体験の改良のために常に努力している。現在、ユーザーが指定した人物ないしページがトップに表示される機能について小規模なテストを行っている」という返事が返ってきた。


これまでFacebookのユーザーがニュースフィードに表示される内容に影響を与える手段は「友達」と「フォロー」をオン/オフする以外なかった。広告に関しては「非表示」にしてその理由を選ぶことができる。また友達を「親しい友だち」に設定すると投稿が表示される可能性が高まる。しかしSee Firstはアルゴリズムを通して間接的に表示内容に影響を与えるのではなく、ユーザーが直接に表示内容を選択できるという点で画期的だ。

だいぶ前にFacebookは写真や近況などジャンル別に「どの程度ひんぱんに見たいか」をスライダーを操作して選ぶ機能を提供していた。しかしこれは操作があまりに煩雑で効果もわかりにくく、普及しなかった。

昨年、Facebookはトップバー右端の設定メニューにニュースフィードの設定を追加した。「サマリー」には「先週よく見た人」、「フォローをやめた人」が、「友達」、「ページ」、「グループ」にはその相手が一覧表示されて、ワンクリックでフォローを中止したり再開したりできる。「友達から削除」と違って相手に気づかれることなく表示を減らせるという点で便利な機能だが、友達やページの投稿を「もっと見る」という機能はいままでサポートされていなかった。

新機能が提供されているユーザーの場合、友達あるいはページのプロフィールで「フォロー中」のボタンを押すと「フォローをやめる」か「See First」かを選択できる。どちらを選択してFacebookはそのことを相手に伝えないので安心してよい。

Facebookはユーザー体験の改善のためにスパム、つまらないミーム、捏造ビデオなどを非表示にする努力を強めている。さらに最近は記事を読むのに費やす時間までアルゴリズムで利用するようになった。しかしアルゴリズムはいかに巧妙に組み立てられていようと、ユーザーが見たい記事を常に提供することはできない。Facebookはビデオ、メッセージ、イベントなどプラットフォームの拡大に努めているが、ソーシャルネットワークを人がくりかえし訪問するのはなんといっても友達がそこにいるからだ。その根本に立ち返るのは良いことだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

YouTubeがNewswireをスタート―ビデオの信頼性を専門家が検証して配信するニュースチャンネル

2015-06-19-youtubenewswire

今日(米国時間6/18)、YouTubeはビデオ共有とジャーナリズムのあり方に新しい風を吹き込むべく3つの新サービスをスタートさせた。そのメインとなるのは事実だと検証ずみのビデオを配信するYouTube Newswireという新しいニュース・チャンネルだ。このチャンネルはYouTubeにアップロードされたビデオから報道する価値があるものを選び、ジャーナリストが事実性を検証するソーシャル通信社Storyfulとの提携によって生まれた。

YouTubeのブログ記事によると、2011年のエジプト革命の発端となったタハリール広場での抗議集会を機に、YouTubeはその前年からYouTubeビデオの事実検証と背景情報の収集を始めたStoryfulと提携するようになったという。Storyfulのチームはこれまでに10万本以上のYouTubeビデオを検証してきた。

GoogleのYouTubeとNews Corpの子会社、StoryfulはこれまでもCitizenTube、YouTube Politics、YouTube Human Rights Channelなどのチャンネルで提携している。

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今回のYouTube Newswireでは、提携をさらに一歩進め、 そのビデオに関連ある情報に詳しい世界中のジャーナリストやビデオの目撃者に直接連絡を取って証言を求めることとしている。

Storyfulのファウンダー、イノベーション担当ディレクターのMark Littleは新サービスのスタートを告げる声明の中で「インターネット上のノイズはますます大量になっており、それにともなって適切なキュレーションの必要性もこれまでになく強まっている。われわれのチームは最良のソーシャル・ジャーナリズムを目指して献身的に努力していく」と 述べている。Littleによれば、Storyfulが2011年にYouTubeとの協力を始めたときには48時間分のビデオが毎分アップロードされていたが、現在は毎分300時間にもなっているという。.

YouTube Newswireは世界的なニュースだけでなく、ローカルニュースも扱う。またTwitterメール・ニュースレターでもビデオを配信する。テーマとしては最新ニュースの他に政治と天気が扱われる。

Storyfulは昨年FacebookがFB Newswireをローンチしたときに、Facebookとも同様の協力をしている。FB NewswireはFacebookに投稿された記事のうち、情報源に信頼がおけて社会的に価値が高いものを選んで掲載するキュレーション・ページだ。

Storyfulの重要な役割は、単に記事を選んで見やすく整理するだけではなく、信頼性を検証し他のニュースメディアやジャーナリストが安心して引用できるようにする点にある。ソーシャルネットワークが普及した後のいわゆるリアルタイム・ジャーナリズムの時代にはTwitter、Facebook、 YouTubeへの投稿がメディアやジャーナリストによって引用され、事実化どうか確認される前に瞬時にニュースとして世界に拡散してしまう。Storyfulは話題のビデオがインチキであることを何度も暴いてきた。 この中にはトワーキング・ダンスしている女性がロウソクの上に倒れて火に包まれるというビデオトリック撮影によるものだという検証も含まれる。

リアルタイムニュースメディアとしてYouTubeに最近手強いライバルが現れている。TwitterはPeriscopeというニュースのライブストリーミングを開始したし、Meerkatにもかなりのファンがいる。どちらもユーザー投稿のニュースビデオを公開しており、最近はAmtrakの脱線事故、ニューヨークのビル崩壊ロサンゼルスのカーチェイス 政治論争の内幕などが話題になっている。

こうした動きに対抗して「信頼できるニュース」の提供によって差別化を図ろうとしたのがYouTube Newswireだといえる。YouTubeは投稿ビデオの信頼性を向上させるためにさらに2つのサービスをスタートさせた。

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その一つがThe First Draft Collectionで、これはソーシャルメディア・ジャーナリストのグループがこの秋に立ち上げを目指しているサービスで、ビデオの信頼性を検証するさまざまなリソースの提供を目指している。これには報道倫理の学習、検証のツールとノウハウの提供、詳細なケーススタディーの紹介などが含まれる。このチームにはEyewitness Media HubStoryfulBellingcat、First Look MediaのReported.lyMeedanEmergentSAM DeskVerification Junkieなどのサイトから検証のエキスパートが参加している。たとえばBellingcatのEliot Higginsはトレーラーで輸送される軍用車両の写真をGoogleストリートビューと付きあわせてロシアからウクライナに向けて送られる途中であることを突き止めた過程を説明している。

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またYouTubeはWITNESS Media Labと協力して公民権や政治的権利への侵害の問題を深く掘り下げた情報を掲載するWITNESSというサイトをスタートさせた。 新しいサイトはすでに公開されており、Twitterフィードも配信中だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

どっこいまだ死ななかった!…広告のないソーシャルネットワークElloがiPhoneアプリをローンチ

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Elloをおぼえておられるだろうか? 広告を載せない、を約束しているこのソーシャルネットワークが、明日(米国時間6/18)、iPhoneアプリを出す。ElloのWebサイトのホームページでは、”Coming June 18th”という大きな白抜き文字が点滅している(上図)。

同社は今日(米国時間6/17)、メディアの記者や編集者に(この私にも)謎のような品物を送ってきた。木で作ったパンのようなものと、Tシャツと、iOSアプリの発表声明文が記録されているUSBメモリだ(下図)。

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Elloは2014年の秋に、Facebookに代わるモアベターなSNSとして人気者になった。誰もかれも、招待されて会員になりたいと欲した。同社によると、当時は招待リクエストが毎時3万通以上殺到した。

その後、誰もかれも、Elloのことを忘れた。

協同ファウンダのPaul Budnitzは、声明文の中で、現在のEllo(Web版)のユーザは数百万、と言っているが、ユーザ数の伸び率などの数字は明かされていない。でもこれまで、公益企業として550万ドルの資金を獲得しているから、けっして、短命で終わったわけではない。

Elloはこれまで、その資金を使ってサイトのデザインを一新したり、iOSアプリを作ったり、Androidアプリの準備をしたり、してきた。

でも、‘Facebookに代わる’とうたったわりには、実際の乗り換えはあまり発生していない。今でも、Elloに関する話は主に、Facebook上にポストされている

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[LGBTQのコミュニティサイトにも参加しているが、家族が多いからFacebookはやめられない。]

本誌のTechCrunchのライターJosh Constineは、Facebookに挑戦することはドン・キホーテが風車ではなく厚さがレンガ10億個ぶんの壁と戦うのと同じだ、と言っている。

Facebookから王座を奪おうとトライして失敗したソーシャルネットワークは数多い(Google+もかな?)。高い理想を掲げたElloも、人びとにFacebookを去る動機は与えていない。Facebookの広告がいやなら、それをブロックするソフトがある。

Elloも、ソーシャルネットワークとしての機能は(最初のころはバグもあったが)Facebookなどと同じで、友だちを見つける、人を検索する、リアルタイムのアラート機能、プライベートなメッセージング、プライベートなグループ作り、そしてFacebookのLike(いいね!)に相当するLove。Loveしたポストはストリームにまとめられるから、そのすべてを一望にできる。

Elloのモバイルアプリも広告なしで、アドレスをインポートする機能がある。でも、くどいようだが、全体的な機能もデザインも、そのほかの多くのソーシャルネットワークと大きく変わるものではない。SNSは既成勢力があまりにも巨大だから、一つや二つの差別化要因だけで戦うのは、相当難しい。

〔訳注: Facebookオルタナティブとして本誌上で大きく扱われたDiasporaもまだ生存する。こちらはFacebookの一極集中巨大化に対し、完全な分散化〜分散システムを売りにする。今は、サブシステムが、各ユーザのWebサイトにもぶらさがる形になっているらしい(?)。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Twitter、ビデオおよびGIFの自動再生機能を提供開始

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Twitterが、iOSアプリケーションおよびウェブにて、ビデオやアニメーションGIFを自動再生する機能の提供をを開始した。Android版でも間もなく実装される予定であるとのこと。TwitterにアップロードされたネイティブビデオやVine、あるいはGIFなどは、タイムラインに表示されるようになると同時に再生されるようになるわけだ。Facebookでのビデオ自動再生と同じような機能だといえばわかりやすいだろうか。

この機能はしばらく前から限定的にテストされていたものだ。本日より、すべての利用者にむけて公開されることとなった。Twitterはこの自動再生の機能を「より多くの情報を伝えるための手段」と位置づけているそうだ。もちろん広告プラットフォームとしての価値を高めるための機能拡張であることも明言している。

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TwitterのGlobal Revenue部門のプレジデントであるAdam Bainによると、ビデオ広告に対する課金が発生するのはビデオが100%表示されている場合のみであるとのことだ。上下がカットされたりしておらず、かつ3秒以上再生された場合にのみ課金するような仕組みになっているのだとのこと。広告の「ビュー」を明確に定義することにより、ビデオ広告を出そうとする企業にとって最善のプラットフォームたらんとする発想によるものだとのことだ。

ビデオの自動再生はミュート状態にて行われる。もちろんこれはふさわしい振る舞いであるはずだ。また、自動再生をオフにする機能もある(標準ではオンだ)。再生中のビデオをクリックすればフルスクリーン・ビューとなり、さらに音声も再生されるようになる。またデータ通信量を意識して、Wi-Fi接続時のみオートプレイをオンにするオプションもある。また帯域幅の狭い地域やデータ通信料金が高額な地域の利用者に対しては、これまで同様にクリックして再生する形式が標準として提供されるのだそうだ。

今回の変更についてどのような反応があるのかは興味深いところだ。Facebookがビデオの自動再生をはじめたときには、反対の声もさほどなかった様子。しかしTwitterについては別の反応もあり得るだろう。またフォローしている人の数や、フォロー相手によっては、タイムラインがとても騒々しくなるということはあり得る話だ。そのような中から、予想外な反応が生まれてくることも考えられる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

TwitterのCEO、ディック・カストロが辞任、共同ファウンダーのジャック・ドーシーが暫定後任に―株価は7%アップ

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数年前からユーザー数が伸び悩んでいたTwitterだが、先ほど、CEOのDick Costoloが7月1日付で辞任すると発表した。ただしCostoloは取締役としては留まる。新CEOが選定されるまで共同ファウンダーでSquareのCEO、Jack Dorseyが暫定CEOを務める。投資家に対して辞任の経緯を説明する カンファレンス・コールこのあと予定されている

Costoloの辞任のニュースに市場は好感し、Twitterの株価は時間外取引で7%アップした。6週間前の第1四半期の決算報告で売上が予測に届かなかったことが明らかになった後、Twitterの株価は18%も急落した。ユーザー数も3億200万人と直前の四半期から4.86%伸びに留まった。

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内心は不機嫌だったかもしれないが、若いころスタンダップ・コメディアンを経験したこともあるCostoloは「お帰り、ジャック」とツイートした。一方Dorseyは「両親を訪問」とツイーしている。

DorseyはTwitterの暫定CEOを務める間もSquareのCEOを続ける。Dorseyは2008年に共同ファウンダーのEv WilliamsらによってTwitterのCEOを降ろされ、Williamsが後任のCEO となった経緯がある。Dorseyは2011年にCostoloが就任したときにエグゼクティブ・チェアマンに就任した。

新CEOの選定委員会は、Twitterの筆頭社外取締役、Peter Currieが委員長で、最初期からの投資家Peter FentonとEv Williamsがメンバーとなる。

Costoloの投資家向け声明を下に全文エンベッドした。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

LINE MUSICは「シェア」と「価格」で音楽ビジネスを再構築する

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サイバーエージェントとエイベックスが5月27日にスタートした「AWA」、日本は未確定ながらも6月30日に世界150カ国で開始する「Apple Music」と、国内でも定額制音楽配信サービスがにわかに盛り上がりつつある。そして、紆余曲折を経て「LINE MUSIC」がついにベールを脱いだ。

LINE MUSICはどのようなサービスなのか? 一言でいえば、LINEは「シェア」という仕組みと、若者を意識した「価格体系」を武器に、音楽ビジネスを本気で再構築しようとしているように思える。スタートまでの紆余曲折を紹介した前回の記事に引き続き、LINE MUSICの舛田淳社長と、ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長に狙いを聞いた。

二段階+学割で「若者の音楽離れを止めたい」

LINE MUSICの特徴は、まず「価格」だ(表参照)。時間にも機能にも制限のない「プレミアム」の価格は、業界の標準ともいえる価格帯だが、機能制限はなく20時間まで聞ける「ベーシック」が用意されていること、さらに双方に「学割」が用意されているところが特徴だ。

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舛田氏(以下敬称略):私どもの思いとして、若者の音楽離れを止めたい、というものがあります。ですから「学割」を用意します。二つの価格帯双方に用意し、1000円が600円、500円が300円になります。これによってエントリーのハードルを下げて音楽に触れていただき、音楽を好きになってもらいたいのです。

サービスの発表から開始まで時間がかかりましたが、この価格帯を実現するために時間がかかった、というところに近いです。世界が「ストリーミング・ミュージックは1000円だ」と言っているさなかで、我々は「もっとエントリーポイントを下げましょう」という話をさせていただいたわけです。

渡辺氏(以下敬称略):重要なのは、「でも、フリーではない」ということです。

舛田:まさに。フリーではない。フリーは(音楽ビジネス側から見ると)機会損失が大きい。ものすごい数の機会損失を生んでいるんです。実際、(無料の)ストリーミングとダウンロードで収支のバランスが取れているかというと、そうではありません。ですから無料はやるべきではない、と判断しました。その上で、プロモーションのために無料にしたい、というアーティストがいれば、それはそれで、プラスアルファの設計をすればいいだけです。なので、今回は2つの価格帯です。

LINE MUSICの舛田淳社長

LINE MUSICの舛田淳社長

LINEならではの音楽「シェア」機能とは

サービスは有料なのだが、「無料」で打ち出すところもある。それが、音楽の「シェア」である。

舛田:もうひとつは、会員登録がなくても、各曲30秒の試聴用の音楽だけは聴ける、ということです。トークルームとかタイムラインに好きな曲を送り合えます。LINEのスタンプはコミュニケーションの中に溶け込みますよね? それと同じように、音楽を送り合えるような設計にしています。プレイヤーから「シェア」を選べば、LINEのトークとタイムライン、その他TwitterやFacebookに送れます。(注:LINE以外のサービス経由で試聴する場合には、LINE MUSICアプリのダウンロードが必要。会員登録は不要)

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LINE MUSICにはiPhoneとAndroid向けに専用のスマホアプリが用意され、会員は通常そちらで音楽を楽しむ。

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だが、音楽がLINEでシェアされた場合には、LINE MUSICのアプリは必要ない。LINEのスタンプのように、最小限の機能を持った音楽プレイヤーと音楽が一緒に送られてくるので、それをタップすれば楽曲が聴ける。

会員なら曲全体が聴けるが、会員でない場合には、各曲30秒間は無料で聴ける。サブスクリプション型なので、会員側はスタート時150万曲以上というカタログから何曲、どれを選んでも追加料金はかからない。シェアされる側も負担はない。

ネット時代の「音楽を語り合う放課後」を作ろう

音楽の「シェア」は、LINE MUSICのサービス設計の根幹をなす部分である。そこには舛田氏を初めとする、LINE MUSIC開発陣の強い思いがあった。

舛田:例えば、グループトークをしている時に、「BGMはこれだよね」みたいにシェアできますし、「ハッピーバースデー」ミュージックみたいなこともできます。そうですね……告白ミュージック的なものもできますね(笑)。生活の中のコミュニケーションというか、感情を伝える手段として使えるわけです。

昔、彼女にカセットテープを作って送ったりしたじゃないですか。それと同じ環境をどうやって作るか、そしてデジタルの時代に応じて進化させるか、というのが我々のテーマでした。

音楽に出会うポイントって、年齢を重ねる毎に減るんですよ。先日は、33歳で新しい音楽との出会いは止まる、なんていう記事もありましたよね。

学生時代が一番音楽を聴いていて、放課後はひたすら音楽について話し込んだりしていたじゃないですか。そういう世界を、30になろうが40になろうが60になろうが、続けられるような世界を作りたかった。「ずっと放課後」を作りたかったんですよ。

音楽をコミュニケーションアイテムに

音楽レーベルと連携したのも、こうした新しい聴き方が、音楽市場拡大につながるのではないか、という発想からだった。

舛田:結果、音楽の楽しみ方が、次のステージに行けるかもしれません。音楽は一人で聴くもの、という感覚が強いのですが、そうじゃなくて、みんなでコミュニケーションアイテムとして使う、という新しい価値を提供することで、今音楽から離れようとしているユーザー達に、「音楽って素晴らしいよね」と伝えられるかもしれない。

アーティストの方々から見ても、新しい表現手段だと思います。もしかすると、トークに合った楽曲を作っていただけるかもしれない。それがヒットするかもしれない。

新譜と違い旧譜って、出会うきっかけがないじゃないですか。でもコミュニケーションの中で、「このシーンならこの曲でしょ」「このトークの流れなら、この曲が鉄板でしょ」というものを見つけてきて流すこともあるかもしれない。そういうコミュニケーションがLINEらしさです。

ラジオ型ではなくオンデマンド型サービスを選んだ理由

サブスクリプション・ミュージックには、楽曲を1つずつ再生する「オンデマンド型」と、ラジオや有線放送のように流しっぱなしにする「ラジオ型」がある。LINE MUSICはオンデマンド型だが、それを選らんだのも、シェアをやりたいがゆえだった。

舛田:なぜオンデマンド型サービスにこだわったかというと、コミュニケーションの要素を入れるためでした。ラジオのチャンネル1つをシェアされても、困る。コミュニケーションにはならないんです。コミュニケーションにストーリー性を持たせるのであれば、一曲一曲である方がいいだろう、という判断です。ラジオ型はオンデマンドではないので、一曲一曲のシェアが難しいんです。

正直この辺は、かなり社内でも検討しました。楽曲の配信許可許諾については、ラジオ型の方が料金も安くなりますし、簡単です。ラジオとオンデマンド配信では文化が異なっているため、そのような慣習になっています。

しかし今回は、あえて茨の道を行きました。各社と調整し、口説き落としながら進めていったんです。「未来はこっちですよ」と。

「着うた」と「LINE MUSIC」の類似点

ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺氏は、そうした新しい要素と「着うた」の類似性を指摘する。

渡辺:着うたは、他の国々にはなかった日本のデジタルならではの盛り上がりで、すごくユーザーにも支持されたものです。一つの時代を作ったサービスだったな、と思います。特に、若い世代が音楽に触れるための道具としてワークしました。

着うたは、一種のアイデンティティです。ガラケーの中で、自分のテーマソングを決めるようなところがありました。その中での遊びだったと思います。

しかし今回のサ−ビスは、スマホになってLINEさんと組むことで、考えられる以上の遊びが考えられます。そこがまた音楽を盛り上げるきっかけになると思います。

着うたの時もユニークなユーザーが、最盛期には約2000万人くらいいました。LINE MUSICをはじめとしたストリーミング・ミュージックが2000万人くらいのユーザーに楽しんでもらえるようになれば……と思います。非常に大きなデジタルでの音楽マーケットができるのではないか、と期待しています。

2000万人に楽しんでもらえるような市場になれば、アーティストへの分配も、着うた時代以上に可能になるでしょう。新しいサービスがユーザーに支持されれば、着うた時代のように対価を払うことになんら抵抗がない、その分楽しんでいただけることになる。ストリーミング・ビジネスに対する懐疑論については、「2000万ユーザー」といった数字になってくれば、状況がまったく異なってくる、と期待しています。

そうなると、音楽ファンからアーティストファンへの移行もあるでしょうし、「所有」するような商品への需要も広がるでしょうし、ライブに行ってアーティストに触れるビジネスも広がります。ベースがあれば、その先はいくらでも計算できます。音楽ファンのベースを作るのが優先で、そこからつなげていけます。

ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長

ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長

前回の記事にて、「アーティストのファン向けのビジネスから、音楽ファンのビジネスへ」という、渡辺氏のコメントをご紹介した。これは、シェア機能の存在を前提にしている。無料でシェアできるよう広げていくことで、音楽を使ったコミュニケーションで「遊ぶ」人々が増え、結果、人々が音楽に触れる裾野が広がることを期待しているわけだ。

「LINEが旨味を独占するわけではない」

一方、こうした仕組みを「LINEが旨味を独り占めする」ととられたくはない、と舛田氏は話す。

舛田:実は私、LINE MUSICという名前から「LINE」を外すことも検討したんですよ。このビジネスをやるのは「この座組だから」であって、音楽業界全体のプラットフォームになれたら、と思っているんです。LINEという冠があると狭く思われてしまうのではないか、と。

でもみなさん「いやいや、LINEでしょ」と(笑)

思いとしては、LINEの中に止めるつもりはないんです。プレイリスト機能などについては、LINEの中以外に公開できるようにすべきだと思います。まずはLINEのタイムラインの中とか、公式アカウントを持っているアーティストがオフィシャルブログや公式アカウントでプレイリストを公開する、というところから始めますが。しかし、TwitterやFacebookでもいいですし、プレイリスト用のAPIを公開して、キュレーションメディアのようなものを作れる……といったところまでやるべきだと考えています。

LINEの他のサービスとも連携して広げていくべきだと考えています。

カタログの量と「サービスとしての完成度」は前提条件

LINE MUSICの魅力が「シェア」にあるのは間違いない。しかし、それは支持されるサービスになる一つの要素である。舛田氏は「通常のオンデマンド型サブスクリプション・サービスとして、素晴らしいものでなくてはならない、ということが大前提」と話す。

舛田:まずは音楽ファンを満足させるものでなくてはなりません。やはりカタログ数が重要です。主要なレーベルにご参加いただきました。第一弾として、二十数レーベルに参加していただき、新しい楽曲も出していただきます。カタログ数は今後も増やしていきますが、要はありとあらゆる楽曲を用意するつもりでやります。インディーズも含めてです。最初の段階では、日本の主要な楽曲は入っているのではないかな、と思います。

まずはスマホアプリですが、BGMとして、作業しながら聴く、ということはあると思いますので、ちょっと遅れることにはなりますが、PC版も用意します。

そして次に重要なのが価格です。こちらはいうまでもありません。音楽との出会いは人それぞれです。トップページで見つける方もいれば、専門家が作るプレイリストみたいなものを聴いていただくこともあるでしょうし、一般の方が作ったもので出会うこともあるでしょう。データによるレコメンドもあります。ユーザー同士のコンテンツ共有もあります。

プレイリストのイメージ

プレイリストのイメージ

音楽と出会うためにすべての手を打つ

舛田:これ、すべてがないとダメだと思うんです。そうでないと浅くなります。私は元々検索をやっていた人間で、検索には限界があると思って「NAVERまとめ」を作ったんです。かといってNAVERまとめですべてが完結できるわけではないです。そこは、すべてがハイブリッドでなくてはいけないです。現在は「音楽と出会うきっかけがない」のが問題なのですから。考えられるすべての手を打ちます。

いくら楽園があっても、そこへ到達できなければ意味がないんです。ですから、ユーザー間のシェアを大切にします。メーカーやアーティストが自分で情報発信していけるようにもなります。そうすれば、タッチポイントは必ず増えていきます。

今年、2015年は多数のストリーミング・ミュージックサービスがスタートするとみられています。まさにダムが決壊するがごとく、この2015年というのが、日本の音楽市場にとってターニングポイントになるのではないか、と。いや、そう「したい」と思っているんです。

その中で我々がどういう地位を占めたいか、というと、当然多くのユーザーに使っていただきたいと思っています。そしてその時は私たち(LINE)だけでなく、音楽業界全体のプラットフォームになっていきたい。それが目指すべき方向です。コミュニケーションと音楽を結びつけるというのが、私たちがやるべきこと。若い人達に音楽を聴いてもらって、感動してもらうのが、私たちがやるべきことです。

定額制音楽配信サービスの勝者は?

LINE MUSICがスタートした背景には、各種ストリーミング・ミュージックがこの時期に向けてスタートの準備を進めており、同様の条件交渉が必要なLINE MUSICについても、結果的に同じようなタイミングになった……という部分があるようだ。ライバルが増えることになるが、舛田氏は悲観していない。むしろ「今がチャンス」とみている。

海外のネット事情に詳しい人や、熱心な洋楽ファンにとっては、ストリーミング・ミュージックは「日常」であってなんら珍しいものでもない。だが日本では、舛田氏の言うとおり、多くの人が「本物のストリーミング・ミュージックを体験してない」状態であり、市場開拓はこれから。短期的には、競い合って認知度が高まることが望ましい。

一方、どのサービスが本命になるかは、読むのが難しい。

集客の点では、現在公称会員数300万人で、トップシェアであるNTTドコモの「dヒッツ」と、LINE MUSICが有利だ。dヒッツは、NTTドコモのスマートフォン販売戦略と連携しており、店頭での拡販が強み。一方LINEは、メッセージングサービスとしての圧倒的認知度がある。

Apple Musicは、音楽ファンには一番注目度が高い。ダウンロード販売では強いiTunes Storeとの連携が強く、「すでに持っているライブラリとの統合」は魅力的だ。Androidでの展開は秋になるものの、iOS機器に加え、PCやMacでもスタート時点から使えるため、「マルチデバイス展開」でも一歩先を行っている。海外では当たり前である水準をきちんとカバーしており、システムとしての完成度は一番高そうな印象を受ける。

価格面でも、上記2サービスは強い。LINE MUSICは「学割」をはじめとした施策でハードルを下げているし、dヒッツは税込み540円で、視聴時間制限がない。自分がまだ学生だと想定すると、毎月1000円近い金額が「音楽のためだけに出て行く」のは確かにちょっとつらい。だから、500円まででの戦いが主流になるのではないか、という予想もできる。一方、Apple Musicは1人向けのディスカウントはしないものの、「家族6人までが14.99ドルで使える」という、ファミリーアカウント制度を用意する。親に支払ってもらう想定ならば、実質的にはかなり競争力がある。

そうなると競争軸は、「音楽との出会いのプロセス」になるだろう。LINE MUSICのように「シェア」を軸に、友人との関係から利用者を広げる手法もあるだろう。Apple Musicは、国内で楽曲調達やiTunes Storeの「店舗設計」を日夜担当している音楽の目利きが、プレイリスト作成や楽曲提案の中心になる。「音楽がわかる人々からの伝播」という、ある意味古典的な「ラジオから流れる音楽」と同じモデルだ。他のサービスは、「シェア」「音楽発見」について凡庸な印象で、特徴が薄い。

「無料で音楽を楽しむ人々」を引きつけることが本命の条件だとすれば、「聴ける」以上の要素がカギになる。だからこそ、「Spotifyなどが日本への参入を果たしていない」という前提に立てば、LINE MusicとApple Musicの対決になるのでは……というのが、筆者の見立てある。どちらにしろまず、目の前にある「無料モデルからの脱却」が最大のハードルであり、「どこが勝つか」はその先にしかないのだが。

FacebookのMessengerに最初のゲーム登場―スパム化を防止する舵取りが必要

2015-06-11-facebook-messenger-games2

Facebook Messengerはついにゲームの世界にまで拡張された。今日(米国時間6/10)、私はMessengerプラットフォームのアプリのリストにDoodle Drawという ゲームを発見した。取材したところ、Facebookは「4月にプラットフォームがスタートして以来、これが最初の本格的なゲームだ」と確認した。

Doodle Draw

当初FacebookはMessengerプラットフォームに登録できるアプリをGIF化やサウンドメーカーなどコンテンツ加工系に限っており、ゲームは許可していなかった。

しかし私はプラットフォームのローンチ前に情報源から「Facebookはテストの結果がよければ、けっきょくゲームやユーティリティーなど広範囲なアプリを許可することになるだろう」と聞いていた。先月、The Informationは「FacebookはMessengerにゲームを導入することを前向きに検討している」という記事を載せた。

私の取材に対して、Facebookは「われわれはMessengerプラットフォームにもっとも適したアプリはコンテンツ加工とキュレーション系だと考えている。 しかしF8カンファレンスでMessenger Platformはすべてのデベロッパーに開かれていると宣言したことでもあり、もっと広い範囲のアプリも考慮することにした」と語った。

Doodle Draw(iOS版、Android版)をプレイしたゲームファンの中には何か見覚えがあると感じたものもいたはずだ。実はこのゲームは 2012年にいっときブームとなり、とんでもない高値でZyngaに買収されたDraw Somethingというゲームのデッドコピーなのだ。しかしDraw Something自体が昔からあるパーティーゲームのPictionaryのモバイル版だったのだから、あまり憤慨することもないだろう。デベロッパーの ClayのサイトにはDoodle Draw以外のゲームもたくさんある。

Doodle Draw is an obvious clone of this game, Draw Something

Doodle Drawの元になったDraw Something

Doodle Drawを開くとテーマが表示されるので、限られたツールと色でそれを描き、友達に送る。友達はそれが何かを当てなければならない。友達を招待したりプレイ回数を重ねたりするとプレイヤーにはポイントが付与され、そのポイントで新しい色を購入することができる。将来は色やツールをキャッシュでゲーム内購入できるようにするのだろう。

こうした売上からFacebookが手数料を徴収することになるのかどうかはまだ不明だ。UltratextというMessengerアプリは有料でフィルターを販売しているがFacebookは手数料を課していない。

Facebook Messenger Games

うまくいけばゲームはMessengerプラットフォームのエコシステムを急成長させるのに役立つが、反面、以前のFacebookゲームがそうなったように、ユーザーを騙して課金するアプリやスパムの温床になりかねない。Zyngaはプレイヤーが友達を誘ってゲームに参加させるとポイントが与えられるシステムを作り、ポイント欲しさのしつこい宣伝投稿でニュースフィードがひどく汚染されるという騒ぎになった。〔日本版:2009年にTechCrunchのファウンダーで当時の編集長、Micheal Arringtonは詐欺まがいが蔓延―ソーシャル・ゲームの邪悪のエコシステムは放っておけないという記事でZyngaのフラグシップ・ゲーム、Farmvilleなどが悪質な課金手法を取っていることを厳しく指摘し、Zyngaは謝罪した。〕

Facebookはニュースフィードの質の低下を恐れて、こうしたバイラル勧誘の仕組みに大ナタをふるい、大部分を禁止してしまった。これと、同時に進展したモバイル化のためソーシャル・ゲーム会社は大打撃を受けた。

Doodle Drawにもこうしたソーシャルスパムへの萌芽が見えるのが気がかりなところだ。ゲームをプレイするとゲーム内通貨として使えるポイントが与えられるという仕組みは、ポイント欲しさにつまらない絵が大量に送られる危険性を秘めている。 Facebookはこういうインセンティブの与え方に対して厳格な態度を取るべきだろう。

Messenger Game Spam

今後Messengerプラットフォームがどこまで拡大するかは未知数だが、Messengerの価値がゲームスパムで傷つけられることがないよう、Facebookの適切な舵取りが期待される。.

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ますますアルゴリズムが活躍するTwitter、今度は会話のスレッドをアルゴリズムが検出して表示

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昨日(米国時間6/8)はAppleの例年のWWDCで賑わったが、同じ日にTwitterが、同社のネットワーク上のコンテンツに対する新しい整列アルゴリズムにより、ツイートをもっと会話的/対話的に見れるようにする、と発表した。その新しい機能は、昨日からお目見えしている。

昨年Twitterは、タイムラインの生成を人間の手作業ではなくアルゴリズムによるものにする、と声明した。意図的に人力によるキュレーションを薄めるのは、それがTwitterの魅力にもなる反面、Facebookのような厳しいコントロールが敷かれているソーシャルサービスに比べて、ユーザのコンテンツの露出度が大きくなる危険性があったからだ。

Twitterがユーザに、アルゴリズムによってやや希薄化されたコンテンツと情報をあえて見せるのは、このところのユーザ増加率の低迷を意識しているからだ。とくに、新しいユーザが今後リピーターとなり固定客として定着していくためには、情報やコンテンツのより魅力的な提示の仕方が重要、とTwitterは考えた。長年Twitterを使っているユーザ(たとえば私)は、このサービスの価値を築いてきたのは自分たちだと自負しているから、そんないやらしい小細工を歓迎しない。

しかしこのところTwitterは継続的に、ユーザ(とくに新人ユーザ)の視線を意識して、そのコンテンツの見せ方をいじくってきた。たとえば昨年末にローンチした、未読まとめ機能’while you were away‘は、アルゴリズムが選択した(そのユーザが好むと思われる)ツイート集合をユーザのタイムラインのトップに持ってくる。それもまた、ユーザになるべくおもしろいものを見せようとする、おせっかいの試みだ。〔日本語記事。〕

この4月にTwitterは、暴言や脅迫などがなるべく拡散しないための、自動化フィルタ(すなわちアルゴリズム)をテストした。長年、言論の自由の味方を標榜してきたTwitterにとって、それは微妙な問題だったが、でも過去のTwitterは同時に、集団いじめのような発言を厳しく取り締まることもしなかった。

ツイートに参加性をもたせる

そして最新の小細工、会話的ビューは、だれかのツイート列と、それに対する応答の列が会話のような形になっているとき、それを会話らしく見せようというレイアウトデザインだ。

発言と応答が入り交じっている従来のTwitter列の形ではなく、会話的ビューでは応答をアルゴリズムが拾って整列する(下図はキャメロン首相のツイートに対する応答列)。

この新しい機能についてTwitterのプロダクトマネージャAkarshan Kumarはこう書いている:

ひとつのツイートをめぐる会話は、応答の数が多くてしかもいろんな人が発言しているときには、会話として把握することが難しくなる。そこで私たちは、それをもっと見やすくするための工夫を講じた。会話をグループにまとめ、とくにおもしろい意見交換をオリジナルのツイートの真下に置いた。たとえば、オリジナルの人が、応答に対してさらに応答しているような場合は、‘おもしろい意見交換’と〔アルゴリズムが〕判断している。

この小細工では、2013年に複数の対話的ツイートを青い線でつないでスレッドを作ろうとした工夫が、不人気だったにもかかわらず、再び使われている。オリジナルとの対話のあるスレッドが上に置かれるから、それがない孤立的な意見はどんどん下の方へ移動する。つまり参加性(エンゲージメント)に富んだ応答列が、上の方へレイアウトされる。

たとえば下図は、イギリスの首相デイビッド・キャメロンからの最近のツイートへの、最初のいくつかの応答だ:

Screen Shot 2015-06-09 at 11.35.41 AM

実際には、最初の4つのグループ化された応答では、複数のTwitterユーザがオリジナルのツイートに対して、入れ子状(ネスティング)に応答していて、キャメロン自身からの応答はない。他からのリアクションのない個別の応答は、階層の下の方へ追いやられていく。ただし、会話的な応答が個別的な応答の上に必ず来る、という単純なルールでもないのだけど。

だから、こういった会話的スレッドを作り出すアルゴリズムが、何を基準にして、優遇すべきスレッドを決めているのか、それがよく分からない。上の引用では、「応答に対してオリジナルからのさらなる応答があること」だけを挙げているが、上図を見るかぎり、ほかにも基準はありそうだ。今Twitterに問い合わせているから、答が得られ次第、この記事をアップデートしよう。

キャメロンのツイートには、ひどい暴言の応答が寄せられることが多い。上図の会話例でも、多いのはネガティブな感情だ。キャメロンのことをdishface(お皿顔)とののしるツイートは、ずっと下までスクロールしないと見れないけどね。それでも、悪名高い”fuck off dishface“がまったく登場しないのは、Twitterのアルゴリズムが事前に、暴言として排除したためだろうか。

Twitterは、アルゴリズム的小細工をやるたびに、“今後も継続的に改良して参ります”と言い訳をしている。そして、今回の会話ビューのねらいは、“Twitter上の会話を分かりやすく、そして参加しやすくし、また、もっとも適切で良質なコンテンツを見つけるためです”、だそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

メッセージはFacebookの一人勝ち―Messenger、Google Playでのダウンロードが10億回に

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Google Playでダウンロードが10億回を超えた会社は2社しかない。そのうちの1社はもちろんGoogle自身だ。今日(米国時間6/9)、FacebookはSMSを代替するビジネスの市場がどれほど巨大かを実証した。Messenger部門の責任者、David Marcusが発表したところによると、MessengerのAndoid版のダウンロード回数が 10億回の大台に乗ったという。10億回超えのアプリはFacebook本体、WhatsApp、Gmail、YouTube、Google検索、Googleマップと極めて数が少ない。Messengerもついにこのエリートクラブに仲間入りしたわけだ。

最新のモバイル・デバイスの共有機能とスピーディーなテキストメッセージのやりとりを結合させるというMessengerの基本戦略は成功した。しかもFacebookはMessengerの機能を野心的に拡大中だ。VOIP通話、ビデオ会議、スタンプ、ボイスメール、ピア・ツー・ピア支払、ロケーション、サードパーティー向けアプリのためのプラットフォーム化等々、Messengerはユーザーのあらゆるコミュニケーションのニーズに一手に応えようとしている。 そしてそのユーザーはすでに6億人に上っている。

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シンプルなメッセージ・サービスに特化したWhatsAppを傘下に持つFacebookはメッセージ・アプリの世界の難攻不落の要塞を建設することに成功している。Snapchat とYik Yakもいくらかおこぼれにあずかれるかもしれないが、Facebookはすでにコミュニケーション・ユーティリティーとして次の展開を狙っている。

Facebookは現在、目立たないやり方でMessengerを本体にさらに緊密に組み込もうとしている。

たとえばグラフ検索で「xxの曲を聞いたことがある友達は?」のような検索をすると、そのユーザーのプロファイルではなくMessengerのリンクが表示される。友達の誕生日にFacebookは誕生祝いのメッセージを、ニュースフィードではなく、メッセージで送信するよう促すことがある。

Messenger In Facebook

先週、FacebookはMessengerの地図とロケーション機能をリニューアルした。これはGPS機能を利用した新たなロケーション機能導入のための準備だ。これまで、待ち合わせ場所の確認はFacebppl本体アプリのNearby Friendsが受け持っていた。

Facebookがライバルのチャットサービスに対して優位なのは、FacebookはMessengerで金を儲ける必要がないという点だ。広告を溢れさせたり有料のスタンプを売り込んだりする必要がない。Messengerの役割はユーザーをFacebookコミュニティーにしっかりと繋ぎ止めることで十分果たされており、その後はFacebookのモバイル広告が十分すぎるほどの売上をもたらす

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しかしここまでの道のりは必ずしも平坦ではなかった。Facebookはユーザーにメッセージを使うなら本体と別に新たなアプリをダウンロードするよう告げねばならず、少なからぬユーザーが反発した。しかしそれも無事に収まって新アプリが普及するに連れ、チャット・サービスに日が当たるようになり、エンゲージメントは着実に上昇し始めた。Facebook本体という巨艦から独立したことでMessengerは身軽になり、新機能の実装も素早くなった。

PayPalの元プレジデント、David Marcusをトップに、プロダクトのエキスパート、Stan Chudnovskyがナンバー2を務めるMessengerチームがこの半年で実施した主なアップデートは次のようなものだ。

一方で、メッセージ分野を制することができる資金と技術力をもったライバル、Googleはここ数年、彼らが言うところのムーンショット(野心的)プロジェクトに気を取られて失敗を重ねてきた。Googleハングアウトはビデオチャットで先行したにもかかわらず、それ以上に伸びなかったし、WhatsAppの買収にも失敗した。成功していれば二頭立てレースになったはずだが、現状はFacebookの一人勝ちという結果になっている。

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Facebookはメッセージ・アプリが今後モバイルでもっとも長い時間使われるようになると考えている。中国のWeChatはチャットをすべてのモバイル活動のポータルとするという戦略のパイオニアだが、Facebookも必要に応じてあらゆる機能をMessengerに移植できる態勢を整えている。

長年、シリコンバレーでは「何がFacebookキラーになるか?」という議論が続いてきた。結局、Facebookキラーを作り出したのはFacebook自身だったようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

「本物の定額制音楽サービスを見せる」 LINE MUSIC仕掛け人、狙いを語る

LINE MUSICの社長であり、LINEの取締役CSMO最高戦略・マーケティング責任者舛田淳氏(左)と、ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長(右)

いよいよ「LINE MUSIC」が始まる。5月28日にティザーサイトを開設し、近日中にサービスを開始することを公表した。音楽配信を主体とする事業会社、LINE MUSICに共同出資するエイベックス・デジタル、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ユニバーサルミュージックの音楽レーベル3社と共同でビジネスを開始する。

LINE MUSICのティザーサイト

LINE MUSICのティザーサイト

それにしても、スタートまでに紆余曲折があったものである。LINEは幾度も音楽配信への参入宣言をしているが、具体的な動きをなかなか出せずにいた。そもそも定額制音楽サービスは、日本では芽が出ていない。海外大手「Spotify」も近日中の日本参入を公表しつつも具体的な動きが見えない状況にある。きょう未明には、Appleが月額9.99ドルの「Apple Music」を世界100カ国で6月30日に開始すると発表。日本でもまもなく登場することが予想される。

今回LINEはようやくサービス開始にこぎつけたわけだが、スタートが難航した理由はなんだったのか。そしてLINE MUSICは、どうやって日本に定額制音楽配信を根付かせようとしているのか。LINE MUSICの社長であり、LINEの取締役 CSMO 最高戦略・マーケティング責任者である舛田淳氏と、音楽レーベル側の代表として、ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長に話を聞いた。

残念ながら、この記事が公開される段階では、LINE MUSICのサービスは開始されていないため、料金体系を含めたサービスの詳細は明かすことができない。そのため、ビジネス状況や戦略を中心に説明していただいた。サービスの詳細を含めた戦略と展開については、別途近日中にインタビューの第二弾を公開する予定である。

LINE MUSICの社長であり、LINEの取締役CSMO最高戦略・マーケティング責任者舛田淳氏(左)と、ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長(右)

LINE MUSICの社長であり、LINEの取締役CSMO最高戦略・マーケティング責任者舛田淳氏(左)と、ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長(右)

4度目の正直だったLINE MUSIC

――LINEは音楽事業への参入にかなりこだわってきたように見えます。LINE MUSICはなかなかスタートできなかった。これまでの経緯を教えてください。

舛田氏(以下敬称略):LINEがまだ生まれる前のネイバージャパンの時代……2010年頃に検索サービスを日本で立ち上げた時代から、「検索と音楽」であったり「まとめと音楽」であったりというものが何かないかと考え、「NAVER MUSIC」という企画を立てました。「まとめ」というキュレーションメディアにストリーミングをくっつけたり、検索にストリーミングメディアをくっつけたりというモデルをしたかったんです。

その時、企画書をもって色んな音楽メーカー・レーベルを回らせていただいたのですが、一言でいえば「ダメ」でした。市場の環境がまったく整っていなかった上に、私どもも「検索サービス」という意味ではパワーがまったく足りませんでした。「NAVERまとめ」も成長の過程にあった状態でしたし、この企画自身はなくなりました

さらにそれ以降、本日に至るまで3回くらい、過去に「LINEは音楽をやります」と宣言してきました。第一弾は2012年のカンファレンスにて、話をさせていただいて、その時は大手音楽配信サービスとのパートナーシップを検討していました。しかしこれも、私たちが思い描くサービスができそうになかった。サービスとして十分ではないものは出さない、という判断をして、企画をまた白紙にしました。

次は私どもが単独で、2013年に「LINE MUSIC」を立ち上げて、そこに対して、各メーカー・レーベルさんに参画いただく、という形で準備を進めました。我々は「LINE MUSIC 1.0」と呼んでいるんですが、これは予定日の1週間前になって、サービスのローンチを止めました。ちょうど1年前でしたが、アプリマーケットの審査も通しましたし、記者会見の場所すら押さえていたんです(笑)。

でも「1.0」はアプリごとつぶし、ゼロにしました。そして、それを経て出来上がったのが、今のLINE MUSICです。

「腹をくくって一緒にやろう」

――ローンチ直前まで進んでいた「1.0」を捨てた理由は? どんなきっかけがあったのですか?

linemusic04舛田:今、思い返せば、実は私も迷いながら、GOを出そうとしていたんです。市場環境が整わないなら、まず出してみて、そこから変えていこうと。

日本において「ユーザーの音楽体験を変える」「海外と同じように、ダウンロードからストリーミングに変えていく」には、いくつかの条件があると思っているんです。それは「主要メーカーが参加しているか」や「豊富な楽曲数」であるとか「新譜があるか」であるとか、「手に入りやすい価格帯か」「オンデマンドであるか」「ユーザーにデリバリーする仕組みとして特徴があるか」、あとは「アーティストから見てプロモーション力があるか」といったところでしょうか。こういったところが、「LINE MUSIC 1.0」は、高いレベルになかった。

ローンチ前の段階でも、楽曲をご提供いただくことについて、最後の最後の段階で返事をいただけていなかったレーベルさんもいたんです。ソニー・ミュージックさんなんですが(笑)「前向きなようだが、まだGOは出ていない」という話だったので、ある種の直談判ということで、ソニー・ミュージックさんを訪ねていったんです。

日本の音楽市場の未来、問題点、アーティストのモノ作りへの想い、LINEとしての構想など、お互いに素直に話をさせていただいたのですが、その時に、ソニー・ミュージックの村松(俊亮社長)さんに思ってもみない言葉を言われました。「今よりも、もっと腹くくって一緒にやらないか?」と。

——渡辺さんにおうかがいします。ソニー・ミュージックはなぜ「腹をくくって一緒にやろう」とLINE側に言ったのですか?

渡辺:レコード会社は、音源を作り、ユーザーに届けるのが仕事です。当時も今も大きいのは「パッケージメディア」。特に日本はパッケージの売り上げが多いのが特徴です。ですからビジネスプランもそこが中心になります。

その一方で現在は、映画業界のように「ウィンドウ」的にサブスクリプションを捉えていかなくてはいけない時代です。ファースト・ウィンドウはパッケージとダウンロードで、どちらかといえばアーティストのファンに向けて売っていく。その後にウィンドウをつけてサブスクリプションに持っていく……というプランが、当時の構想でした。

ただ僕たちが重要だと思ったことがあります。アーティストのファンはもちろん大切なんですが、やはり「音楽ファン」に広くアプローチして、そこからアーティストのファンになっていただきたい。そういうやり方はウィンドウ戦略とはまた違うものです。

そういう発想でいくと、やっぱり一番一緒にやりたいのはLINEだよね、と社内で話していたのですが、そこにLINEからサブスクリプション型の提案がきていました。ならば、僕たち側からも逆提案しよう、という形になったんです。

linemusic06

舛田:LINE MUSICを立ち上げる前に、ユーザーアンケートをとりました。「音楽は好きですか?」「音楽は聴きますか?」という問いに対しては、9割以上の方々が「聴きます」「好きです」と答えるんです。音楽はいつの時代も皆が好きで、魅力的なコンテンツなんです。

ただ、今の市場環境としては、パッケージ販売が落ちてきています。ある種、世界の中で希有な存在とされてきた日本のパッケージ市場ですら、ダウントレンドに入ってきた。それを埋めるはずのダウンロードも世界ではダウントレンドに入ったと言われています。

音楽は好きだが、そこにお金を払う、という状況から離れ始めた、というのが今の状況です。

日本のユーザーの多くは「本物のサブスクリプション・サービス」を知らない

――LINE MUSIC 1.0は、音楽レーベルとLINEの双方で「これじゃない」という思いがあったようですが、具体的に何が足りなかったんでしょうか。

舛田:今の時点に至るまで、日本のユーザーの多くは「本物のサブスクリプション・サービス」を知らないんですよ。カタログが揃っている、と言える状態には一回もなったことがない。なおかつ、手に入りやすい価格でもなかった。いままでもいくつか出てはいますが、多くのユーザーを熱狂させるものには、なれていなかった。

LINEが「1.0」として出そうとしていたものも、「業界標準価格の1メニューだけで、メジャーレーベルも参加せず、カタログも不十分」という形でした。その当時の判断として、これでは熱狂させる「本物のサブスクリプション」にはなっていない、という判断をしました。

逆にいえば「カタログが揃っている」「手に入りやすい価格である」のが、これからスタートするLINE MUSICである、と言えます。

フリーミアムモデルは音楽市場の成長につながらない

――海外のストリーミングサービスは、無料の機能制限版+広告の無料会員と、月額10ドル程度の有料会員の2階建ての「フリーミアムモデル」が主流です。LINE MUSICはどのような料金体系なのでしょうか?

舛田:まだ詳細はお伝えできませんが、日本のLINE MUSICに関していえば、一般的なフリーミアムモデルを採用しません。海外でフリーミアムのストリーミングはここ数年伸びていますが、今年に入り「本当に大丈夫?」という声もアーティスト側から聞こえてきています。市場を本当に成長させてくれるの? という疑問が出てきていますね。テイラー・スウィフトがフリーミアムサービスには楽曲を提供しないと発言したのは印象的でしたね。今後世界でのフリーミアムモデルの環境変化には、注目しています。

――フリーミアムモデルは無料で音楽を聴く人が増えすぎて消耗戦に陥っている、との批判があります。音楽業界側からは無料型ではなく「有料型」で、という意見が強いのですが、LINE MUSICもそれに倣うということでしょうか。

舛田:日本のユーザーは素晴らしい。これまでも音楽に価値を認め、お金をお支払いいただいているわけです。グローバルでフリーミアムが流行っているからといってそれを闇雲に日本のサービスに持ち込むべきでない、という部分は、コンテンツ側からの要請ではなく、私自身も「そうすべきだ」と思っているからです。コンテンツ、国、市場によって、それぞれ最適なモデルにしていくべきです。

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コミュニケーションに音楽を取り込む

舛田:昔はレコード店で楽曲を買いました。情報はテレビ・ラジオなどのマスメディアで仕入れる。それがデジタル化し、次は「検索」や「ポータル」で知るようになりました。今はさらに時代が変わり、「ソーシャルメディア」で知るようになりました。ソーシャルメディア・サービスが人のコンテンツとの出会いを演出するメディアになったんです。

しかし一方、一般的なSNSは密接なクローズドなコミュニケーションの中には入り切れていません。我々が目指すところであり、求められていることは、LINEが担っているリアルな人間関係の中のリアルなコミュニケーションの中に音楽の話題を入れていくことです。

学生時代は、とにかくたくさん、友人と音楽のことを話していたはずです。でも今はそんなにしなくなっている。「好きなのに」「聴くのに」です。

そこに矛盾が生まれ始めている。ユーザーにとっても、提供するプラットフォーム側にとっても、音楽を提供する側にとっても、です。今回は、我々のコミュニケーションプラットフォーム上に音楽コンテンツを置くことで、コミュニケーションの中でもう一回音楽を採り上げていただく環境を作る、ということが、一つの大きな方向性です。

「着うた」以上の巨大市場を期待するレコード会社

――音楽レーベルとしては、LINE MUSICでどのくらいのユーザー数を獲得したいと考えていますか?

linemusic02渡辺:着うたの時もユニークなユーザーが、最盛期には約2000万人くらいいました。LINE MUSICをはじめとしたストリーミング・ミュージック全体で、2000万人くらいのユーザーに楽しんでもらえるようになれば……と思います。非常に大きなデジタルでの音楽マーケットができるのではないか、と期待しています。

2000万人に楽しんでもらえるような市場になれば、アーティストへの分配も、着うた時代以上に可能になるでしょう。特に日本においては、フリーミアムによる広告モデルでのレベニューシェアでは、そうした規模のビジネスは非常に難しいと思います。

日本で定額音楽配信サービスはブレイクするか?

定額制音楽配信の多くは、音楽をPCやスマートフォンなどにダウンロードせず、ストリーミング形式で再生する。すでに海外では、CDやダウンロードをしのぐ勢いである。アメリカ・レコード協会(RIAA)の発表によれば、2014年のアメリカの音楽事業では、ストリーミング・ミュージックの売り上げは18億7000万ドル。ついに、CDの売り上げ(18億5000万ドル)を越えてきた。

しかし、日本ではどうも伸びない。日本でも「KKBOX」や「レコチョク Best」、「dヒッツ」などの先行サービスはあるものの、ブレイクするには至っていない。海外の大物を含め、「本命」と呼べるサービスが不在であるから……ともいえる。

5月27日には、エイベックスとサイバーエージェントが共同出資する「AWA」がスタートして話題になったが、メッセージングの分野で圧倒的なシェアを持つLINEが参入するとなれば、注目されるのも当然といえる。

LINEとしてはもちろん、定額制音楽配信の中でトップを狙う。競合となるサービスも今年中に続々スタートするとみられており、舛田氏は「2015年というのが、日本の音楽市場にとってターニングポイントになるのではないか。いや、そう”したい”」と意気込みを語る。

では、具体的にどのようなサービスになるのか? それはどういう狙いで組み立てられたものなのか? そうした点は、サービスがスタートした段階で改めて解説していくこととしたい。

Facebook、企業ページ向け返信テンプレートをテスト中

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Facebookは、”Saved Replies” と呼ばれる新機能をテストしている。ビジネス用Facebookページのオーナーが、返信文を保存しておき、顧客とのやりとりで再利用できるものだ。これによって企業はカスタマーサービスその他の顧客対応時間を節約できる。

現在同機能は一部のFacebook Pageオーナーが利用可能で、管理者は返信文を作成、保存できる他、返信文リストの中から最適なものを見つけるための検索も可能だ。大量に返信文の種類があるユーザーには特に便利だ。
企業向けにいくつかのサンプル返信文が用意されていて、それをカスタマイズして使うか、一から作ることができる。設定が済めば、保存した返信文をリストから選ぶだけでメッセージ本文に挿入される。

saved-replies-facebook

【Pageオーナーの Saved Replies インターフェース】

もう一つ便利なのは、返信文自体にメールで見られるような自動パーソナル化機能だ。相手や管理者の姓、名、ウェブサイトのURLなどを埋め込むことができる。

Saved Repliesは現在限定的に提供されているが、利用中の会社も新機能についてFacebookから聞かされていなかったと言っている。ある日メールを開いて顧客に返信しようとしたら、オプションがそこにあった。他のPage管理者は、自分のページにこの機能がまだ来ていないと言っていた。

Facebookが正式公開前に小グループでテストするのはいつものことだ。

  1. saved-replies-personalize.png

  2. replied-with-saved-response.png

  3. saved-replies-screen1.png

  4. saved-replies-demo.png

大企業はZendeskやFreshdesk等のヘルプデスク専用プラットフォームを使って、Facebook上で始まったカスタマーサービスを処理することもできるが、現在返信文のリストを作ってコピー&ペーストしている小さな会社にとって、Saved Replies機能は有用だろう。

ここ数年、Facebookは徐々に企業ユーザー向けのコミュニケーション管理、ページ管理機能を追加してきた。例えば、数年前にFacebookはキーワードに基づくブロックリスト機能を導入し、スパムその他の不適切なコメント削除を支援している。

Image credits: MyTechSkool; Belletoppers.com

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、GIFのサポートを開始―ウェブ上のGIFがニュースフィードで再生される

2015-05-30-facebook

今日(米国時間5/29)、FacebookはニュースフィードでGIFをサポートし始めたことを明らかにした。ただし今のところユーザー全員がGIFアニメを見られるわけではない。このアップデートは順次公開中だという。この動きはFacebookにとって大きな方針の変更だ。これまでFacebookは「ニュースフィードの見た目があまりにもカオス化する」として意識的にGIFをサポートしてこなかった。

FacebookはGIFの代わりにビデオに力を入れてきた。2013年後半には自動再生ビデオがサポートされ、これはGIFよりもさらに動きが派手だったが、依然としてGIFのサポートはなかった。昨年夏に TwittertもGIFを採用したが、Facebookの方針は変わらず、Facebookの公式な態度はGIFのサポートはくだらないミームでニュースフィードが汚染されるおそれがあるというものだった。

今日、その長年の方針が変わったことになる。

fb-gif

新機能が利用可能になっているかどうかは、Giphy、Imgur、TumblrなどのサイトのGIF画像のURLを自分の近況にコピー&ペーストして投稿してみればよい。ユーザーのアカウントでGIFが有効になっていれば公開されたGIFがアニメーションするはずだ。現在のところユーザーがGIFファイルを直接アップロードしてアニメーションさせることはできない。〔訳者の環境では有効〕

昨日までFacebookでGIFを表示しようとすればGiphyを利用した非公式の迂回策しかなかった。今日のアップデートでウェブ上のGIFをGiphy以外でも自由にFacebookで共有できるようになった。

われわれはブランドのページでもGIFを試してみたが作動しなかった。Facebookはまず個人ユーザー向けにこの機能を公開しているのか、企業の利用は制限しようとしているのか、どちらなのかは不明だ(この点をFacebookに問い合わせ中)。

またGIFはiOSのFacebookネーティブアプリ上では自動再生されるが、モバイル・ブラウザで開かれた場合は再生されない。われわれはこうした点を含めてGIFサポートの詳細についてFacebookに問い合わせているので、回答があり次第報告する。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

肉食男子・女子の行動原理はもちろん「肉」

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レシピ情報(ないし恋愛ハウツー)を期待してGoogle検索してたどり着いた人は、いますぐにこのページから離れて欲しい。テック系サイトにはしばしば「冗談じゃない」(面白さの面でもモラルの面でも)冗談が掲載されることも多いが、これもそのひとつであると警告しておく。

この記事で紹介するのは下に掲載したVimeoビデオだ。Marcello Gómez Maureiraが「肉力」を表現したものだ。

ビデオの名前は「出会いはそれぞれの肉のため」(Tender: It’s how people meat)という。

既にお察しのことと思うが、個人的にはこのようなビデオを面白いと感じる。

このビデオについてソーシャルネットワークに投稿されたコメントを紹介しておこう。

「Tinderとはまさに肉のマーケット」(BoingBoingの記事より)。

ぜひ新鮮なうちに届けて欲しいね」(こちらの曲のパクリだ)。

「肉と肉が出会うのがTinderだね」(自作。イマイチなのはみとめる)。

「Tinder Plusがあればさらに有益な肉の交換が楽しめる」(申し訳ない)。

最初に「警告」は発しておいたと思う。他のTechCrunch記事ははるかに有益なものであることを、ここに宣言しておきたいと思う。

(訳注:深夜なのでOKかと訳出した。もし朝からこんなものをご覧になってしまった方がいたならお詫びしたい)

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(翻訳:Maeda, H

Facebook、MessengerにチャットIDを導入―発信者情報の表示でビジネス利用も容易に

2015-05-22-facebookmessenger

メッセージが着信したが、名前に見覚えがない。どこの馬の骨? スパム? それとも昨日カンファレンスで会った好感のもてる人物だろうか? 新しいFacebook メッセンジャーはメッセージに応答する前に相手についての情報を与えてくれる。メッセンジャーは初めてメッセージを送信してきた相手の居住地域、肩書などの公開情報をメッセージ・スレッドのトップに表示するようになった。このアップデートはiOSとAndroidに対するもので、今日(米国時間5/21)から公開される。当面アメリカ、イギリス、フランス、インドのユーザーが対象となる。

友達以外の誰かからメッセージが届いたとき、メッセンジャーはその相手を、たとえば「フード・ブロガー」で「シアトル居住」であるというように表示する。すると記憶をたどって「最近シアトルに出張したときフィッシュ・マーケットで話をした女性だな」などと思い出すことができるわけだ。相手が実際に会ったことがある人間だと分かればメッセージに返事をしようと考える可能性が高くなる。また会話を「えー、どこでお会いしましたっけ?」というような気まずい文句で始めずにすむ。

Facebook Chat ID

またメッセンジャーはすでにFacebookで友達になっているが、過去にメッセージのやりとりをしたことがない相手についても情報を提供してくれる。たとえば、高校の同級生が最近あなたの町に引っ越してきて同じ業種の会社に勤めたとしよう。メッセージの冒頭に居住地と職種が表示されれば「高校の同級生のネイト? 何の用だろう?」という疑いは「おや、ネイトが町に引っ越してきて同業になったのか!」に変わるだろう。

友達以外でも友達でも、メッセンジャーが表示するのは一般に公開ないし受け手に対して公開されている情報だ。プライバシー設定に反するような情報が表示されることはない。

この新機能はFacebookが先月発表した発信者IDを表示するAndroid向けアプリ、Helloに似ているので、チャットIDと呼ぶことにする。発信者IDアプリは通話が着信すると相手の電話番号をデータベースと照合し、Facebookのユーザーの場合はその公開情報を表示し、既知のスパマーの場合は自動的にブロックするというものだ。

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チャットIDと発信元IDはFacebook友達だけでなく、ユーザーの生活におけるあらゆる個人的コミュニケーションをFacebookが仲介しようという戦略の現れとみることができる。これによってユーザーは自分のソーシャル・ネットワークを効果的に拡大することができる。同時に、特にビジネス面で、Facebookの役割がさらに高まるだろう。

これまでFacebookは友達以外との会話にメッセンジャーを利用することについては慎重な態度を取っていた。たとえば、友達以外からのメッセージの多くをスパムといっしょに「その他」のインボックスにまわしてユーザーの目に触れにくくしていた。一般のユーザーはめったに「その他」のインボックスをチェックしないので、用のないメッセージを見ないですむと同時に重要なメッセージを見るチャンスを失わせてもいた。私の友達は長年音信不通だった兄弟からのメッセージが「その他」に入っていたために長いこと見逃していたという。

私の取材に対してFacebookは「『その他』インボックスの扱いにはまったく変化がない。今までもメッセンジャーで友達以外とチャットできた」と語ったが、 今回のチャットIDの導入によって、メインのインボックスに振り分けられるメッセージは増えるに違いない。本来『その他』に分類されてはいけないビジネス上のメッセージが表示されやすくなると期待してよいのではないだろうか。.

若い世代のプロフェッショナルは以前ほどLinkedInを重視しなくなっている。モバイル化とメッセージ機能で遅れを取っていると感じられるためだ。Facebookがその間隙を埋めることになるかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google、モバイルとデスクトップの検索結果にツイートを含める

2015-05-20-googletwitter

Googleは検索結果にツイートを加えた。ツイートが表示されるのはAndroidとiOSのGoogle公式アプリ、モバイル・ブラウザとデスクトップだ。検索の際にTwitterというキーワードあるいはハッシュタグを入力するとTwitterが検索される。Twitter上でポピュラーな話題の場合はこうしたキーワードなしでも結果が表示される。当面は英語のみの機能だが、今後他の言語にも拡張される予定だ。

Googleは公式ブログでこの試みを「リアルタイム情報の拡充のため」だとしている。同時にTwitterのユーザーがこれまでより広い範囲のオーディエンスを獲得することになるので、Twitterにとってもネットワーク拡大と新規ユーザー獲得のために大いに有利に働くだろう。

Twitterも自身のブログでGoogleとの新たな取り決めを報告しているが、内容はGoogleブログのものとほぼ同一だ。どちらのブログもこの提携は当面、主要言語に英語を選択しているアメリカのGoogleユーザーがGoogle.comにアクセスした場合が対象となるとしている。ただし数ヶ月で他の言語にも拡張される予定だ。

あらたな取り決めでツイートが公開される範囲が大きく拡大されたことは確かだが、Twitterが新しいユーザーを獲得するためには、自らがそれ自身で価値あるデスティネーションだということを引き続きに証明していく必要があるだろう。Googleの検索結果に現れるというだけでは、平均的な検索ユーザーの目に止まる可能性はやはそれほど高くなさそうだ。

〔日本版〕日本からでも主要言語を英語にすればツイートが検索される。Barack Obama tweetのように入力するとオバマ大統領の最初のツイートがトップに表示される。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

オバマ大統領、やっと独自のTwitterアカウント@​​POTUSを取得―即座に10万ユーザーがフォロー

2015-05-19-potustwitter

バラク・オバマ大統領がTwitterアカウントを開設してからフォロワーが10万人を超すまで24分しかかからなかったという。この@POTUSアカウントには、当然ながら、認証マークがついている。このニュースは今朝(米国時間5/18)、ホワイトハウスのウェブサイトで紹介された

このアカウントは2016年の大統領選で新大統領が決まれば、その後任者に引き継がれるのだろう。

最初のツイートはこうだった。

Screen Shot 2015-05-18 at 9.03.22 AM

〔ハロー、こちらはバラクです! 6年もたってやっと自分のアカウントが持てた〕

ところで大統領は誰をフォローしているだろうか?

フォローしている65のアカウントにはハーバード大学、シカゴのスポーツ・チーム、連邦政府機関、存命の元大統領などが含まれる。最初の3アカウントはWhite HouseFファーストレディーバイデン副大統領だった。

Featured Image: Diego Cambiaso/Flickr UNDER A CC BY-SA 2.0 LICENSE

〔日本版:POTUSはPresident Of The United Statesの頭文字でポータスと発音する。〕

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

TwitterがツイートへのMS-DOSゲームの埋め込みを禁止

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Internet ArchiveがホストしているすべてのMS-DOSゲームをツイートに埋め込んで、Twitterの公式のWebクライアントでプレイできる、という新発見の機能が、今日から消える。その機能はTwitterのCards機能を利用していたが、Twitterの埋め込みビデオプレーヤーに完全なゲームのまるまる全体を置くことは同社のサービス規約に違反していた。

それは楽しい機能だったから、このソーシャルネットワークのエンゲージメントをかなり高め、そのためにしばらく黙認されたのだろう。でもThe Guardianの特ダネ記事によると、パーティーは終わった。規約違反であることはかなり明らかだから、閉鎖も当然だ。つまらないし、廃止は誰のプラスにもならないと思うけどね。

でもゲームはArchive.orgでプレイできるから大丈夫だし、自分のWebサイトやブログにゲームを埋め込むのも簡単だ。たとえば、下の例のように:

〔訳注: ここにゲームがない場合は、原文へ行ってください。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ツイート内にゲーム(Prince Of PersiaやStreet Fighter IIなどなど)を埋め込める時代がやってきた!

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MS-DOSで鍛えた実力を、ふたたび発揮するチャンスがやってきたようだ。と、言っても何かを新たに用意する必要もない。Twitterさえあれば良いのだ。The Internet Archiveで提供するゲームが、ツイート内に埋め込めるようになったのだ。ゲームを埋め込んだツイートや埋め込んだブログ記事などをブラウザで表示すれば、そのままゲームを楽しめるようになっている。たとえば下にもひとつ埋め込んである。Jordan MechnerのPrince of Persiaなどを懐かしく思い出す人も多いことだろう。こちらのリストに掲載されているゲームは、いずれもツイート内に埋め込み可能となっているようだ。

もちろん、ゲームを楽しむためには今ではSteamなどのプラットフォームも整ってきてはいる。しかしツイートの中にゲームを埋め込むことができるというのは、いかにも「新時代」な感じだ。かつて、ゲームを遊ぼうと思えば何枚ものフロッピーディスクを使ってインストールする必要があった。それが今やツイートひとつで簡単にゲームの配布ができるようになったのだ。

きっと大いにはまってしまう人もいることだろう。ご注意あれ。

Via TNW.

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(翻訳:Maeda, H