Apple Music、日本時間7月1日午前0時よりスタート― iOS 8.4インストールが必要

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Apple Musicは明日スタートする。Apple Musicのシニア・ディレクターでBeatsの元CEO、Ian Rogersが太平洋時間6月30日午前8時〔日本時間7月1日午前0時〕のローンチをブログ記事で公式に確認した。 Rogersの記事およびFacebookイベントによれば、その時点でiOS 8.4が一般公開される。Apple Musicへの参加はiOS 8.4へのアップデートが条件となる。

iOS 8.4へのアップデートはごく簡単なものになるようだ。新OSの普及はApple史上でも新記録となるスピードとなるだろう。今回のアップデートではiOS 8が発表された当時のような空き容量不足による混乱などは起きないはずだ。

Rogersはサービス開始の日時に確信を持っているようだが、これまでもiOSのアップデートでは多数のユーザーが一時に殺到したためサーバーがダウンするなどの遅延を経験している。しかし最近では以前よりメジャー・アップデートもスムーズに実施されるようになった。Appleがクラウド・インフラに巨額の投資を行ってきた成果なおだろう。しかしOTAのOSアップデートによるストリーミング・サービスの提供という困難条件を考えるとApple Musicのスタートには一部で多少の遅れが出る可能性はある。

Apple Musicは3ヶ月の無料トライアル(この期間のアーティストへの支払を巡ってテイラー・スウィフトからの批判に譲歩した)経緯がある。著名アーティストがホストを務めるストリーミング・ラジオのBeats 1も提供される。

〔日本版〕Appleジャパンのサイトでは依然として「MUSIC まもなく登場」とだけ表示されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

GoogleがPlay Musicの広告入り無料バージョンをローンチ(プレイリスト方式)

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Apple Musicのローンチを受けてGoogleは今日(米国時間6/23)、Play Musicで月額9ドル99セントを払いたくない人たちのために、広告入りで無料のサービスを開始した。

Play MusicはGoogleの音楽ストリーミングサービスで、SpotifyやApple Music、Tidalなどと競合する。しかし今日ローンチした無料バージョンではPandoraiTunes Radioなどと同じく、すでに作成されているいくつかのプレイリストの中からどれかのリストを選ぶだけで、ユーザが曲を選ぶことはできない。

プレイリストには”Driving”(運転中)、”Working Out”(練習中)などのテーマがあり、また、ジャンルや、アーチスト、曲などを指定して独自のリストを作らせることができる。曲を指定すると、類似の曲が集まる。Googleは2014年に音楽キュレーションサービスSongzaを買収したが、彼らのスキルがプレイリスト作りに生かされる。

月額約10ドル(合衆国内)の有料制に加えて、無料版が加わったことにより、Google Play MusicはSpotifyやApple Musicなどの大物と互角にタタカう態勢が整ったと言える。また有料無料を問わず、Googleのアカウントの保有者なら誰もが、自分の音楽コレクションから最大5万曲をアップロードしてそれらをリモートで聴くことができる。

音楽ストリーミングはこれにより、競争がいよいよ熾烈になってきた。

Spotifyは最近、かつてのSongzaに似た機能、すなわち、ユーザが今何をしているかを想定して(例: 出勤のため車を運転中)、それに基づいたプレイリストを提供する機能を導入した。 一方AppleはDrakeを利用してApple Musicを立ち上げたが、最近、障害にぶつかってしまった。

音楽ストリーミングへの消費者の食欲は、ますます旺盛だ。こうやってリンクの上でタタカう選手たちが増えてくると、全体として消費者の利益にもなる。Google Play Musicの無料バージョンは今日からWebで始まり、iOSとAndroidは来週になる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Apple、テイラー・スウィフトに譲歩―無料トライアル期間中にもアーティストに印税支払を約束

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Appleのインターネット・ソフトウェアとサービス担当上級副社長のEddy Cueは先ほど、Appleは方針を変更し、Apple Musicの3ヶ月の無料トライアル期間中の分についてもアーティストに印税を支払うことにしたと Twitter発表した

これは無料トライアル期間中はアーティストに一切印税を払わないという方針に対してテイラー・スウィフトが厳しく抗議したことを受けたものだ。テイラーは大ヒット中のアルバム、1989をApple Musicに提供しないと述べた。

われわれが入手した情報によれば、Appleは無料トライアル期間中もストリーミング回数に応じた(その料率は明らかでないが)印税をアーティストに支払うことにしたという。

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Appleは6月30日からスタートする定額制の音楽ストリーミング・サービスApple Musicについて、ユーザーが契約後最初の3ヶ月を無料トライアル期間とするとしている。しかしながら、Appleはメジャー・レーベルに対して無料トライアル期間中に著作権者に対して印税の支払を行わず、ユーザーが料金を支払い始めた後で少額の割増を支払うという条件を飲ませた。

しかしこの条件はテイラー・スウィフトのブログ記事をきっかけに激しいバッシングを受けることになった(私も昨日の記事で、Appleは欲深すぎる―印税を払うべきだと論じた)。

印税を支払うことに方針を変更したことでAppleのイメージは改善されるだろう。またアーティストのボイコット運動に火をつける危険も減った。Beggars Groupに所属するアーティストたちも、テイラーとは別にAppleに抗議していた。

Taylor Swift Apple Music

テイラー・スウィフトととBeggars Groupが新しい条件を受諾したかどうかはまだ公式に明らかにされていない。しかしスウィフトは「皆さんの応援ありがとう。私は大いに勇気づけられ、意気が上がってます」とツイートしている。

スウィフトは、これに先立って「広告入りで無料の音楽配信」というサービスの哲学に賛成できないという理由で1989をSpotifyから引き上げている。Spotifyもまた非常に低額(月0.99ドル)で3ヶ月のトライアル期間を設けている。しかしわれわれが聞いたところによるとSpotifyはトライアル期間中もアーティストに印税を支払うことにしているという。Spotify、Apple Musicともにトライアル期間中に、通常の契約期間よりは低料率であるものの、印税の支払をすることになりそうだ。

昨日、私はAppleはApple Musicの長期的な成功のためにはトライアル期間中も印税を払うべきだと論じたが、どうやらAppleはこの点である程度譲歩することにしたようだ。Appleが印税を支払うべき理由については上記の記事を参照していただきたい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

LINE MUSICは「シェア」と「価格」で音楽ビジネスを再構築する

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サイバーエージェントとエイベックスが5月27日にスタートした「AWA」、日本は未確定ながらも6月30日に世界150カ国で開始する「Apple Music」と、国内でも定額制音楽配信サービスがにわかに盛り上がりつつある。そして、紆余曲折を経て「LINE MUSIC」がついにベールを脱いだ。

LINE MUSICはどのようなサービスなのか? 一言でいえば、LINEは「シェア」という仕組みと、若者を意識した「価格体系」を武器に、音楽ビジネスを本気で再構築しようとしているように思える。スタートまでの紆余曲折を紹介した前回の記事に引き続き、LINE MUSICの舛田淳社長と、ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長に狙いを聞いた。

二段階+学割で「若者の音楽離れを止めたい」

LINE MUSICの特徴は、まず「価格」だ(表参照)。時間にも機能にも制限のない「プレミアム」の価格は、業界の標準ともいえる価格帯だが、機能制限はなく20時間まで聞ける「ベーシック」が用意されていること、さらに双方に「学割」が用意されているところが特徴だ。

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舛田氏(以下敬称略):私どもの思いとして、若者の音楽離れを止めたい、というものがあります。ですから「学割」を用意します。二つの価格帯双方に用意し、1000円が600円、500円が300円になります。これによってエントリーのハードルを下げて音楽に触れていただき、音楽を好きになってもらいたいのです。

サービスの発表から開始まで時間がかかりましたが、この価格帯を実現するために時間がかかった、というところに近いです。世界が「ストリーミング・ミュージックは1000円だ」と言っているさなかで、我々は「もっとエントリーポイントを下げましょう」という話をさせていただいたわけです。

渡辺氏(以下敬称略):重要なのは、「でも、フリーではない」ということです。

舛田:まさに。フリーではない。フリーは(音楽ビジネス側から見ると)機会損失が大きい。ものすごい数の機会損失を生んでいるんです。実際、(無料の)ストリーミングとダウンロードで収支のバランスが取れているかというと、そうではありません。ですから無料はやるべきではない、と判断しました。その上で、プロモーションのために無料にしたい、というアーティストがいれば、それはそれで、プラスアルファの設計をすればいいだけです。なので、今回は2つの価格帯です。

LINE MUSICの舛田淳社長

LINE MUSICの舛田淳社長

LINEならではの音楽「シェア」機能とは

サービスは有料なのだが、「無料」で打ち出すところもある。それが、音楽の「シェア」である。

舛田:もうひとつは、会員登録がなくても、各曲30秒の試聴用の音楽だけは聴ける、ということです。トークルームとかタイムラインに好きな曲を送り合えます。LINEのスタンプはコミュニケーションの中に溶け込みますよね? それと同じように、音楽を送り合えるような設計にしています。プレイヤーから「シェア」を選べば、LINEのトークとタイムライン、その他TwitterやFacebookに送れます。(注:LINE以外のサービス経由で試聴する場合には、LINE MUSICアプリのダウンロードが必要。会員登録は不要)

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LINE MUSICにはiPhoneとAndroid向けに専用のスマホアプリが用意され、会員は通常そちらで音楽を楽しむ。

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だが、音楽がLINEでシェアされた場合には、LINE MUSICのアプリは必要ない。LINEのスタンプのように、最小限の機能を持った音楽プレイヤーと音楽が一緒に送られてくるので、それをタップすれば楽曲が聴ける。

会員なら曲全体が聴けるが、会員でない場合には、各曲30秒間は無料で聴ける。サブスクリプション型なので、会員側はスタート時150万曲以上というカタログから何曲、どれを選んでも追加料金はかからない。シェアされる側も負担はない。

ネット時代の「音楽を語り合う放課後」を作ろう

音楽の「シェア」は、LINE MUSICのサービス設計の根幹をなす部分である。そこには舛田氏を初めとする、LINE MUSIC開発陣の強い思いがあった。

舛田:例えば、グループトークをしている時に、「BGMはこれだよね」みたいにシェアできますし、「ハッピーバースデー」ミュージックみたいなこともできます。そうですね……告白ミュージック的なものもできますね(笑)。生活の中のコミュニケーションというか、感情を伝える手段として使えるわけです。

昔、彼女にカセットテープを作って送ったりしたじゃないですか。それと同じ環境をどうやって作るか、そしてデジタルの時代に応じて進化させるか、というのが我々のテーマでした。

音楽に出会うポイントって、年齢を重ねる毎に減るんですよ。先日は、33歳で新しい音楽との出会いは止まる、なんていう記事もありましたよね。

学生時代が一番音楽を聴いていて、放課後はひたすら音楽について話し込んだりしていたじゃないですか。そういう世界を、30になろうが40になろうが60になろうが、続けられるような世界を作りたかった。「ずっと放課後」を作りたかったんですよ。

音楽をコミュニケーションアイテムに

音楽レーベルと連携したのも、こうした新しい聴き方が、音楽市場拡大につながるのではないか、という発想からだった。

舛田:結果、音楽の楽しみ方が、次のステージに行けるかもしれません。音楽は一人で聴くもの、という感覚が強いのですが、そうじゃなくて、みんなでコミュニケーションアイテムとして使う、という新しい価値を提供することで、今音楽から離れようとしているユーザー達に、「音楽って素晴らしいよね」と伝えられるかもしれない。

アーティストの方々から見ても、新しい表現手段だと思います。もしかすると、トークに合った楽曲を作っていただけるかもしれない。それがヒットするかもしれない。

新譜と違い旧譜って、出会うきっかけがないじゃないですか。でもコミュニケーションの中で、「このシーンならこの曲でしょ」「このトークの流れなら、この曲が鉄板でしょ」というものを見つけてきて流すこともあるかもしれない。そういうコミュニケーションがLINEらしさです。

ラジオ型ではなくオンデマンド型サービスを選んだ理由

サブスクリプション・ミュージックには、楽曲を1つずつ再生する「オンデマンド型」と、ラジオや有線放送のように流しっぱなしにする「ラジオ型」がある。LINE MUSICはオンデマンド型だが、それを選らんだのも、シェアをやりたいがゆえだった。

舛田:なぜオンデマンド型サービスにこだわったかというと、コミュニケーションの要素を入れるためでした。ラジオのチャンネル1つをシェアされても、困る。コミュニケーションにはならないんです。コミュニケーションにストーリー性を持たせるのであれば、一曲一曲である方がいいだろう、という判断です。ラジオ型はオンデマンドではないので、一曲一曲のシェアが難しいんです。

正直この辺は、かなり社内でも検討しました。楽曲の配信許可許諾については、ラジオ型の方が料金も安くなりますし、簡単です。ラジオとオンデマンド配信では文化が異なっているため、そのような慣習になっています。

しかし今回は、あえて茨の道を行きました。各社と調整し、口説き落としながら進めていったんです。「未来はこっちですよ」と。

「着うた」と「LINE MUSIC」の類似点

ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺氏は、そうした新しい要素と「着うた」の類似性を指摘する。

渡辺:着うたは、他の国々にはなかった日本のデジタルならではの盛り上がりで、すごくユーザーにも支持されたものです。一つの時代を作ったサービスだったな、と思います。特に、若い世代が音楽に触れるための道具としてワークしました。

着うたは、一種のアイデンティティです。ガラケーの中で、自分のテーマソングを決めるようなところがありました。その中での遊びだったと思います。

しかし今回のサ−ビスは、スマホになってLINEさんと組むことで、考えられる以上の遊びが考えられます。そこがまた音楽を盛り上げるきっかけになると思います。

着うたの時もユニークなユーザーが、最盛期には約2000万人くらいいました。LINE MUSICをはじめとしたストリーミング・ミュージックが2000万人くらいのユーザーに楽しんでもらえるようになれば……と思います。非常に大きなデジタルでの音楽マーケットができるのではないか、と期待しています。

2000万人に楽しんでもらえるような市場になれば、アーティストへの分配も、着うた時代以上に可能になるでしょう。新しいサービスがユーザーに支持されれば、着うた時代のように対価を払うことになんら抵抗がない、その分楽しんでいただけることになる。ストリーミング・ビジネスに対する懐疑論については、「2000万ユーザー」といった数字になってくれば、状況がまったく異なってくる、と期待しています。

そうなると、音楽ファンからアーティストファンへの移行もあるでしょうし、「所有」するような商品への需要も広がるでしょうし、ライブに行ってアーティストに触れるビジネスも広がります。ベースがあれば、その先はいくらでも計算できます。音楽ファンのベースを作るのが優先で、そこからつなげていけます。

ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長

ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長

前回の記事にて、「アーティストのファン向けのビジネスから、音楽ファンのビジネスへ」という、渡辺氏のコメントをご紹介した。これは、シェア機能の存在を前提にしている。無料でシェアできるよう広げていくことで、音楽を使ったコミュニケーションで「遊ぶ」人々が増え、結果、人々が音楽に触れる裾野が広がることを期待しているわけだ。

「LINEが旨味を独占するわけではない」

一方、こうした仕組みを「LINEが旨味を独り占めする」ととられたくはない、と舛田氏は話す。

舛田:実は私、LINE MUSICという名前から「LINE」を外すことも検討したんですよ。このビジネスをやるのは「この座組だから」であって、音楽業界全体のプラットフォームになれたら、と思っているんです。LINEという冠があると狭く思われてしまうのではないか、と。

でもみなさん「いやいや、LINEでしょ」と(笑)

思いとしては、LINEの中に止めるつもりはないんです。プレイリスト機能などについては、LINEの中以外に公開できるようにすべきだと思います。まずはLINEのタイムラインの中とか、公式アカウントを持っているアーティストがオフィシャルブログや公式アカウントでプレイリストを公開する、というところから始めますが。しかし、TwitterやFacebookでもいいですし、プレイリスト用のAPIを公開して、キュレーションメディアのようなものを作れる……といったところまでやるべきだと考えています。

LINEの他のサービスとも連携して広げていくべきだと考えています。

カタログの量と「サービスとしての完成度」は前提条件

LINE MUSICの魅力が「シェア」にあるのは間違いない。しかし、それは支持されるサービスになる一つの要素である。舛田氏は「通常のオンデマンド型サブスクリプション・サービスとして、素晴らしいものでなくてはならない、ということが大前提」と話す。

舛田:まずは音楽ファンを満足させるものでなくてはなりません。やはりカタログ数が重要です。主要なレーベルにご参加いただきました。第一弾として、二十数レーベルに参加していただき、新しい楽曲も出していただきます。カタログ数は今後も増やしていきますが、要はありとあらゆる楽曲を用意するつもりでやります。インディーズも含めてです。最初の段階では、日本の主要な楽曲は入っているのではないかな、と思います。

まずはスマホアプリですが、BGMとして、作業しながら聴く、ということはあると思いますので、ちょっと遅れることにはなりますが、PC版も用意します。

そして次に重要なのが価格です。こちらはいうまでもありません。音楽との出会いは人それぞれです。トップページで見つける方もいれば、専門家が作るプレイリストみたいなものを聴いていただくこともあるでしょうし、一般の方が作ったもので出会うこともあるでしょう。データによるレコメンドもあります。ユーザー同士のコンテンツ共有もあります。

プレイリストのイメージ

プレイリストのイメージ

音楽と出会うためにすべての手を打つ

舛田:これ、すべてがないとダメだと思うんです。そうでないと浅くなります。私は元々検索をやっていた人間で、検索には限界があると思って「NAVERまとめ」を作ったんです。かといってNAVERまとめですべてが完結できるわけではないです。そこは、すべてがハイブリッドでなくてはいけないです。現在は「音楽と出会うきっかけがない」のが問題なのですから。考えられるすべての手を打ちます。

いくら楽園があっても、そこへ到達できなければ意味がないんです。ですから、ユーザー間のシェアを大切にします。メーカーやアーティストが自分で情報発信していけるようにもなります。そうすれば、タッチポイントは必ず増えていきます。

今年、2015年は多数のストリーミング・ミュージックサービスがスタートするとみられています。まさにダムが決壊するがごとく、この2015年というのが、日本の音楽市場にとってターニングポイントになるのではないか、と。いや、そう「したい」と思っているんです。

その中で我々がどういう地位を占めたいか、というと、当然多くのユーザーに使っていただきたいと思っています。そしてその時は私たち(LINE)だけでなく、音楽業界全体のプラットフォームになっていきたい。それが目指すべき方向です。コミュニケーションと音楽を結びつけるというのが、私たちがやるべきこと。若い人達に音楽を聴いてもらって、感動してもらうのが、私たちがやるべきことです。

定額制音楽配信サービスの勝者は?

LINE MUSICがスタートした背景には、各種ストリーミング・ミュージックがこの時期に向けてスタートの準備を進めており、同様の条件交渉が必要なLINE MUSICについても、結果的に同じようなタイミングになった……という部分があるようだ。ライバルが増えることになるが、舛田氏は悲観していない。むしろ「今がチャンス」とみている。

海外のネット事情に詳しい人や、熱心な洋楽ファンにとっては、ストリーミング・ミュージックは「日常」であってなんら珍しいものでもない。だが日本では、舛田氏の言うとおり、多くの人が「本物のストリーミング・ミュージックを体験してない」状態であり、市場開拓はこれから。短期的には、競い合って認知度が高まることが望ましい。

一方、どのサービスが本命になるかは、読むのが難しい。

集客の点では、現在公称会員数300万人で、トップシェアであるNTTドコモの「dヒッツ」と、LINE MUSICが有利だ。dヒッツは、NTTドコモのスマートフォン販売戦略と連携しており、店頭での拡販が強み。一方LINEは、メッセージングサービスとしての圧倒的認知度がある。

Apple Musicは、音楽ファンには一番注目度が高い。ダウンロード販売では強いiTunes Storeとの連携が強く、「すでに持っているライブラリとの統合」は魅力的だ。Androidでの展開は秋になるものの、iOS機器に加え、PCやMacでもスタート時点から使えるため、「マルチデバイス展開」でも一歩先を行っている。海外では当たり前である水準をきちんとカバーしており、システムとしての完成度は一番高そうな印象を受ける。

価格面でも、上記2サービスは強い。LINE MUSICは「学割」をはじめとした施策でハードルを下げているし、dヒッツは税込み540円で、視聴時間制限がない。自分がまだ学生だと想定すると、毎月1000円近い金額が「音楽のためだけに出て行く」のは確かにちょっとつらい。だから、500円まででの戦いが主流になるのではないか、という予想もできる。一方、Apple Musicは1人向けのディスカウントはしないものの、「家族6人までが14.99ドルで使える」という、ファミリーアカウント制度を用意する。親に支払ってもらう想定ならば、実質的にはかなり競争力がある。

そうなると競争軸は、「音楽との出会いのプロセス」になるだろう。LINE MUSICのように「シェア」を軸に、友人との関係から利用者を広げる手法もあるだろう。Apple Musicは、国内で楽曲調達やiTunes Storeの「店舗設計」を日夜担当している音楽の目利きが、プレイリスト作成や楽曲提案の中心になる。「音楽がわかる人々からの伝播」という、ある意味古典的な「ラジオから流れる音楽」と同じモデルだ。他のサービスは、「シェア」「音楽発見」について凡庸な印象で、特徴が薄い。

「無料で音楽を楽しむ人々」を引きつけることが本命の条件だとすれば、「聴ける」以上の要素がカギになる。だからこそ、「Spotifyなどが日本への参入を果たしていない」という前提に立てば、LINE MusicとApple Musicの対決になるのでは……というのが、筆者の見立てある。どちらにしろまず、目の前にある「無料モデルからの脱却」が最大のハードルであり、「どこが勝つか」はその先にしかないのだが。

定額制音楽配信サービス「LINE MUSIC」のティザーサイトが公開、取締役の舛田氏がツイッターでコメント

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エイベックス・デジタルとサイバーエージェント提供するサブスクリプション型(定額制)音楽配信サービス「AWA」が5月27日にスタートした。

僕も早速アプリをダウンロードしてほんの少し触ったが、UIも洗練されているし、楽曲も思った以上にバラエティに富んでいる印象だ。ソーシャルメディアを見る限りおおむね好評のようだ。90日間サービスは無料なので、リストをはじめとしてもう少しいろいろな機能を使ってみたいともっている。

そんなAWAのリリースがあった翌日、LINEなどが開発中のサブスクリプション型音楽配信サービス、「LINE MUSIC」のティザーサイトがオープンした。

LINE MUSICは、LINEとエイベックス・デジタル、ソニー・ミュージックエンタテインメントが共同出資した「LINE MUSIC株式会社」が開発中のサービス。サイト上では近日中にサービスインするとしているが、詳細なスケジュールについては改めてお知らせするとのこと。

ところで、このタイミングでのティザーサイト公開について、「AWAを意識しているのではないか」といった声もあるようだ。LINE取締役でCSMOの舛田淳氏はそんな声の1つ(ベンチャーキャピタリストの佐俣アンリ氏のツイートだ)を取りあげて、「予定通りですw」とツイートしている。

人気デュオPomplamooseの最新ビデオではドローンがNatalyに恋をする

 

本誌TechCrunchのお友だちPomplamooseWikipedia)が今日(米国時間4/28)ポストしたビデオは、一人の女性とドローンと一輪の薔薇の花が登場する。曲はMadonnaのLike A Prayerを意図的に元気よくしたようなカバーで、良くできているけど、ビデオのストーリーはもっとすばらしい。

2022年にはドローンが知覚と感情を持ち、サンフランシスコのファッショナブルな倉庫みたいな家に住んでいる女性に恋をする。ドローンは自分の恋が社会的にも生物学的にも実らないことを知っているが、そこまで分かるけなげなクワッドコプターに恋を諦めることができるだろうか? できない、できるわけがない。ドローンが最愛の彼女とまわりから祝福される仲にはなれない、という事実にもめげず、彼はひたすら頑張り続けて、彼女をますます怖がらせてしまう。

曲はPomplamooseの次のアルバムに入っていて、定番のパワーポップの見事なカバーだ。ビデオは、ドローンがLGのスマートフォンらしきものを使って、たどたどしく”I love you”を言うところだけでも、一見の価値はある。ぼくなら、恋をするドローンが未来の人類に君臨する大君主でもかまわないけどね。

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Chrome 43(ベータ)は外付けMIDIキーボードをサポート、新たなパーミッションAPIも

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WebのAudio APIを使った楽器のWebアプリケーションを、すでにいくつかご存知だろう。しかし今度のChromeはWebのMIDI APIをサポートしているので、それらの楽器アプリケーションや音楽アプリケーションがMIDIにも対応していれば、MIDIキーボードをブラウザにつないで演奏ができる。

ブラウザがユーザのお気に入りのデジタルオーディオワークステーションに取って代わるとは思えないが、しかしこれによってデモなどが楽しくなるし、Audio APIを使ってみたくなるデベロッパも増えるだろう。

今度のChromeのもうひとつのビッグな機能は、Permissions APIだ。これまでは、ユーザの位置を必要とするサイトにアクセスすると、Chromeはただちに、ブラウザのウィンドウの上部に小さなリクエストを出した。それがどんな、何の、サイトかまだ分からない時点でも。しかし今度からは、デベロッパが(サイト〜Webアプリケーションが)パーミッションのステータスを調べたり見たりできる。Googleによると、“これによってサイト側のコンテキストの中でパーミッションを求めることができるので、ユーザ体験が改善される”、という。

Chrome 43はまだベータだが、デベロッパがレガシーなサイトでセキュアなHTTPSのリクエストとセキュアでない接続をミックスできる新しい方法が提供される。“変更できない大量のレガシーのWebコンテンツをHTTPS化するのは大仕事になる。リンク先がセキュアでないリソースだったら、いちいちウォーニングが出たりする”、とChromeのチームが今日(米国時間4/16)書いている。今度の新しい機能により、セキュアでないリクエストを、ダウンロードが始まる前に自動的にセキュアなリクエストにアップグレードする。ユーザは安全になるし、混成コンテンツに対するウォーニングも出なくなる。

今日のアップデートに関する詳しい説明(changelog)はここにある

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第三の音楽共有形式: プライベートなグループ共有をサポートするMusicyouが30万ユーロのシード資金を調達

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メッセージングを通じて音楽をシェアするPingTuneMusicMessengerなどのアプリの主要な価値提案は、音楽をめぐるおしゃべり(チャット)だ(主に一対一)。一方TunePicsやMindie、それにFlipagramなどは、音楽を、Twitter的に公開フィードでシェアすることが主体だ(一対多)。Music MessengerとPingTune、Mindie、FlipagramなどはVCの資金を調達しているが、TunePicsはどちらかというとエージェンシーのプロダクトだ。

ここでご紹介するMusicyouは、メッセージング(チャット)による共有でもない、公開フィードによる共有でもない、音楽の気軽でプライベートな共有方法を提供する。Spotifyみたいな公開共有はいやだけど、同好の士や友だちとは音楽を共有したい、という人に向いている。テキストや画像のようなコンテンツに、音楽を付けることもできる。

Musicyouはエンジェル投資家のSmart EquityとBrains2Marketから、30万ユーロの資金を獲得している。

またポルトガル最大の通信企業PT Portugalとパートナーして、8月5−9日に行われる音楽フェスティバルMEO SWのプロモーションを引き受けている。

いろんなメッセンジャーアプリやソーシャルネットワーク、ソーシャルメディアでテキストや写真やビデオをこれから送ろうというとき、Musicyouを使ってそこに音楽をつけられる。音楽はiTunesから選び、それをコンテンツに加える。

ファウンダのRui Lopesはこう言う: “Musicyouをほかの音楽アプリよりも良いと言うつもりはない。単純に、音楽をプライベートに共有する方法を提供しているだけだ”。

Lopesが作ったmobicompはMicrosoftが買収し、彼の二つ目の企業がCloud9(Node.jsのためのIDE)だ。そして協同ファウンダのGoncalo Fernandesは、モバイル用のコンテンツ企業T.I.M.weのファウンダだ。

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演奏を聴きながら自動的に楽譜をめくる音楽教育アプリTonaraが中国のインターネット大手Baiduから$5Mを調達

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イスラエル発のシートミュージックアプリTonaraが、中国の巨大インターネット企業Baiduとこれまでの投資家Carmel Venturesから500万ドルの資金を調達した。Lool Venturesも、この投資に参加した。

Baiduは中国最大の検索サービスだが、同社の企業開発担当シニアディレクターPeter Fangが、Tonaraの取締役会に入る。Tonaraによると、Baiduの支援により中国における事業拡大を加速できるという。

Baiduが投資している海外企業として、TonaraのほかにUberが挙げられる。同社はUberの、中国における戦略的パートナーでもある。

Tonaraアプリのそのほかのデジタルシートミュージックアプリとの違いは、演奏者の演奏にリアルタイムで“聴き入り”、練習や公演のときページを自動的にめくることにある。もうひとつの同社のアプリWolfieは、音楽を教える人のための教授と評価のツールだ。

Tonaraの新CEO Guy Baumanによると、中国ではBaiduとの協働により主にWolfieの販売促進に力を入れていく。

Baumanはこう述べる: “中国市場は単なるデジタルシートミュージックの市場にとどまらず、音楽教育市場としてのポテンシャルが大きい。中国でピアノを習っている人は5000万人以上おり、ヴァイオリンは1000万から2000万人が習っている”。

“Wolfiは教師が生徒を教え、やる気を出させることが主体で、ほかのアプリのように間違いの指摘や修正が主力ではない。このような、教えることに最適化されたツールを中国の巨大なオーディエンス人口に提供できることは、本当にすばらしい”。

中国でTonaraは、Wolfieのローンチに加え、中国の音楽学徒と教師のため専用のプロダクトとサービスも、今後提供して行く予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

“オーディオのYouTube”SoundCloudがコンテンツの有権状態を追跡するZefrとパートナーして売上増に本腰

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音楽ストリーミングのSoundCloudは今、できるだけ多くの曲から、広告や有料化による収益を上げたいと努力しているが、その努力の一環としてこのほど、このサイト上でどの曲がいつ聴かれているかを知るための重要なパートナーシップを結んだ。これからパートナーZefrの力を借りて同社は、どんなコンテンツがいつポストされて、いつ聴かれているかを逐一知ることができる。

今日の発表声明には詳細が乏しいが、Zefrはパートナーシップのねらいを、“このプラットホーム上の共有の様相をよく理解すること”、と述べている。今両社に、パートナーシップによって具体的に何をするのか、Kobaltのような著作権管理サービスの関与は今後あるのか、など、いくつかの質問を送っているので、答が得られ次第この記事をアップデートしたいが、今すでに明らかなのは、これが今後の売上増大策の一環であることだ。

SoundCloudの協同ファウンダでCEOのAlexander Ljungは、声明で次のように述べている: “SoundCloudはレーベルとアドバタイザーズのための成熟したプラットホームとして進化を続けている。Zefrと協働することによりSoundCloudは、デジタルオーディオビジネスにおける強力なプレーヤーになるための次の一歩を踏み出した”。

このパートナーシップは、ZefrとSoundCloudの両方のビジネスにとって重要だ。

Zefrは、YouTubeのパートナーとして、このビデオネットワークにポストされるビデオの著作権の有無の状態を調べ続けた。同社の旗艦サービスContent IDとBrand IDは、音楽や映画のストリームだけでなく、Cokeのような製品まで判定する。NascarやレーベルとしてのSonyなども顧客にしているZefrは、各月に2億7500万のオンラインビデオと、それらの310億あまりの視聴を調べているという。

とはいえ、これまでZefrにとってはYouTubeが唯一の、メジャーなストリーミングプラットホームのパートナーだった。しかし同社は、昨年IVPからの3000万ドルの資金を獲得したとき、今後はGoogleのビデオ部門に限定されずに、メディアストリーミングやソーシャルメディアなど、そのほかの成長企業に対する顧客開拓努力に資金を使っていく、と声明した。SoundCloudは、その声明以降同社が発表した最初のパートナーだ。もちろん、今後ほかにも出てくるはずだが。

SoundCloudは“オーディオのYouTube”と呼ばれることもあるから、それはお似合いのカップルでもある。

SoundCloudはこれまで、1億2300万ドルあまりの資金調達を公表しており、もっとも最近発表された2014年の数字では1億7500万のアクティブユーザがいる。その後も成長が続いているから、今はもっと多いだろう。

しかしながら、その成長には、昨年の決算報告にも見られるように、高い費用が伴っている。

2013年度の決算では、Soundcloudの売上は1120万ユーロ(1410万ドル)で、2012年度の800万ユーロから40%の増加だ。しかし同じ時期に経常損失は倍増し、2012年度の1240万ユーロから2013年度には2310万ユーロ(2920万ドル)になった。

ということは、同社はさらなる投資を必要としているはずだ。実際に今、12億ドルの評価額で1億5000万ドルの資金調達を進めているという報道もある。しかし、それではなぜ、そんなときにSoundCloudは収益化のための新しい技術(Zefr)を導入しようとしているのか?

コンテンツビジネスの日々の詳細な内情を追跡するZefrのようなパートナーを得たことによって、SoundCloudは主なコンテンツオーナーたちとの交渉がやりやすくなる。今現在は、SoundCloudとコンテンツのライセンス契約を結んでいるメジャーなレーベルはWarner Musicだけだが、Warner Musicは、SoundCloudのストリームからお金を得ている唯一のレーベルではない。ではそもそも、他社は今後、このサービスからコンテンツを引き上げたり、コンテンツの提供を控えたりするつもりなのか? それを避けるためにSoundCloudは何をすべきか?

Zefrの協同ファウンダZach Jamesは、今日の声明の中で次のように述べている: “Zefrは長年、権利管理におけるリーダー企業であり、SoundCloudはファンがコンテンツをシェアする活気に満ちたプラットホームだ。そのファンのアクティビティを正しく利用するやり方を見つけることは、SoundCloudとその音楽レーベルのパートナー、およびパブリッシャーにとって利益である。SoundCloudがコンテンツクリエイターやアドバタイザーズにとって積極的に利用したいプラットホームになるために、弊社の技術と専門知識が活かされることは、まことに欣快至極である”。

SoundCloudの企業サイズはYouTubeに比べてずっと小さいが、しかしユーザの滞在率や再訪率はきわめて高いことが実証されている。同サイトにアップロードされる音楽やそのほかのオーディオコンテンツの量は、毎分12時間ぶん以上にも達する。

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楽器の練習と進歩がゲーム感覚になるJellynote、ビデオとの同期があるなど、けっこう高機能

フランス生まれのJellynoteは、新しいけどみんながよく分かる方法で、楽器の練習を提供する。Jellynoteでは、スコア(楽譜)とYouTube上の(その曲の)カバービデオを同時に見たり、ソングブックを作ったり、曲の別のバージョンを提案したりする。でも最大の機能は、Guitar Hero的なモードでマイクを利用できることだ。ビデオゲームをプレイするような感覚だが、ギターは本物だし、正しい音を出したかどうかがリアルタイムで分かり、演奏の進行がスコアに表示されていく。

協同ファウンダでCEOのBaptiste Poirierは、こう言う: “新しい楽器の練習を始めたときには、重要な課題が三つある。コンテンツを見つけること、その読み方を学ぶこと、そしてモチベーションを維持することだ”。

JellynoteのWebサイトへ行ってみると、インターネットの上でよく見る、画像を散りばめたスコアのデータベースではないことが、すぐに分かる。また、良質なユーザ体験のための工夫が、いくつも隠されている。

たとえば.midiファイルからスコアを起こすツールがある。また、Spotifyなどでアーチストや曲を見つけると、スコアが出て、ギター、ベース、ピアノなど好きなパートを演奏でき、テンポなども変えられる。

カバービデオに対しては、Jellynoteがオーディオトラックを分析し、それにシンクする形で、スコアがリアルタイムで表示される。スコアのどこかへジャンプして、ビデオ上でそこの部分の弾き方を見る、なんてこともできる。そして新しい曲を練習することは、Guitar Heroでハイスコアを叩き出すことに似ている。

Jellynoteが音楽練習ツールとして優れているのは、主に二つの点だ。くそまじめな、ステップバイステップのコースではないこと(それだとあきる人が多い)。それに、Jellynoteに何度でも戻ってきたくなる細かい仕掛けがたくさんあって、練習に意欲が出ることだ。

Jellynoteは、WebとAndroidiOSで使える。スコアデータベースの利用は無料だがビデオとのシンクやマイクを使うGuitar Heroモードには月額5ドルを払う。

著作権のある曲の場合は、Jellynoteと権利者が売上を折半する。でも今のところJellynoteは、コンテンツのオーナーにとって、雲の下を低空飛行しているようなもので、彼らのレーダーには映らないだろう。


〔ここにスライドが表示されない場合は、原文を見てください。画像が10枚もあります。〕

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YouTubeが音楽系アーチストのためのリソースサイト”YouTube for Artists”を開設

YouTubeは今朝(米国時間3/16)、アノテーションを将来置き換えることになる「カード」機能をローンチしたが、実はそれと併せてYouTube for Artistsという新しいサイトのローンチも発表した。このサイトは、YouTube上で自分の作品をプロモートしようとする音楽アーチストにさまざまなリソースをガイドし、作品や演奏が発見されるためのコツや、ファンの参加性を増す方法、収益の上げ方、などなども教えることが目的だ。

そこには、ローンチしたばかりのカード機能(“Cards”)の案内もある。それはビデオにオーバレイする対話的な成分で、視聴者にいろんな情報を提供する。たとえば、資金を募集しているクラウドファンディングのサイトのリンク、売りたい商品の案内、次回のコンサートの宣伝、などなどだ。

またこのサイトは、アーチストたちを世界中のビデオ制作用リソースに結びつけ、さらにYouTube上の視聴をBillboardのチャートや、SiriusXMなどでのプレイに利用するやり方も述べている。

YouTubeによると、もうすぐ、ビデオクリエイターたちのためのそのほかのツールもローンチする。たとえば、どの都市にファンが多いか、オフィシャルビデオの総視聴数、Content IDシステムによるファンのアップロード数などを知るためのデータツールだ。これらのデータをミュージシャンは、次のビデオをリリースすべき最適のタイミングや、タイムゾーン(地球上の地域分け)、次のコンサート会場などを決めるための参考にする。このツールの正式ローンチ前のデモを、オースチンで行われる音楽フェスティバルSXSWで行う。

今度の”Find your fans”(ファンを見つけよう)ツールは、この新しいWebサイトで大きく紹介されているが、ただし供用開始日未定の”coming soon”(もうすぐ)になっている。YouTubeによると、それは“数週間後”だそうだ。

YouTube上のスターミュージシャンを特集する企画、とくにYouTubeの音楽賞であるYouTube Music Awards(YTMA)授賞大会を今月末に行う。そこでは今年初めて、YouTube上の人気上位15までのアーチストのビデオ集もリリースされる。詳細は、YouTubeのYTMA 2015チャネルにある。今後はアーチストとその音楽をYouTubeのビジターたちに見つけてもらうためのプロモーション的な企画も提供して行く、とYouTubeは言っている。

YouTubeはビデオのパブリッシャー向けのリソースサイトを、これまでにもいろいろ提供しているが、今回のYouTube for Artistsもその一つだ。YouTubeがこの前作ったCreator Hubは、今では月間100万を超えるビジターがある。

このWebサイトのローンチと合わせて今日のThe Guardianの記事の中では、YouTubeの元役員が、YouTube上のクリエイターたちへの警告として、別のプラットホームへ船を乗り換えることと、オーディエンスへのコンスタントで親密なコミュニケーションを怠ることは、ともに危険である、と述べている

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スマホでピアノの練習ができる電子鍵盤Keys、MIDI音源機能も搭載

ピアノを弾けるようになりたい人のための新しいツールとして、Keysはどうだろう。このスマート(電脳)キーボード、というか鍵盤は、スマートフォンに接続して練習する曲を選んだり、コンピュータに接続して作曲ができる。

Keysのサイズは13インチのラップトップぐらいで、アルミニウム製、その上に24のキーがある。これをiPhoneに接続してKeysのアプリを立ち上げると、Guitar HeroやRock Bandのようなインタフェイスでピアノの弾き方を教えてくれる。

色のついたドットが下へスクロールし、画面の底に来たらキーをたたく。キーのLEDが、同じ色になる。そのパターンをおぼえると、新しい曲の弾き方をおぼえたことになる。十分弾けるようになったら、今度はシートミュージック(楽譜)のようなシンプルなインタフェイスに変える。その仕組みは、gTarと同じだ。gTarは、今Ophoという名前の同社が、Incident Technologiesという社名でDisrupt 2012に出たときのプロダクトだ。もっとたくさん曲をおぼえたくなったら、同社が提供しているパブリックドメイン(無料)のクラシックや、最近の曲(各1ドル)をダウンロードできる。

このキーボード、というか鍵盤には、楽器本体がない。右や左へスワイプすると、より高い(または低い)オクターブを弾ける。

あるいは、左右にキーユニットを増設してもよい。下図のように、ワイヤレスで動作するコントローラモジュールをつけることもできる。このノブをまわして、今の電子音楽ふうに音を操作できる。

デモビデオでは外部電源を使っているが、OphoのCEO Idan Beckによると、Keysの厚みのほぼ半分は電池が占めているので、電池は数日間の寿命がある。

売価99ドルのKeysは、ピアノを練習するためのツールであるだけでなく、安価なMIDIデバイスでもあるので、バックパックなどに入れてセッション用や野外コンサート用に持ち歩くこともできる。デモビデオでは、DJがKeysとその内蔵のセンサを使って、今鳴ってる音に別の音をかぶせたり、音をモジュレートしたりしている。このような使い方は、Keysのモジュールが今後もっと増えるとおもしろくなるだろう。ターンテーブルとか、スライダーなど。

現状では、プロ用のデバイスとしてはまだ物足りないし、またMIDIの機能はピアノの初心者向けとは言えない。Beckは、今後いろんな有名アーチストに試用してもらって、その光景をビデオに撮り、消費者の興味と関心を盛り立てたい、と言っている。

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Google Play Musicの私的ストレージMy Musicの容量が2万曲から5万曲に拡大

Google Play MusicのプライベートロッカーサービスMy Musicの最大曲数が、これまでの2万曲から5万曲へと倍増++した。ユーザは再登録などの手続きいっさいなしで、そのまま従来どおりサービスを利用すればよい。初回のアクセス時には「5万曲になったよ」という案内メッセージが表示される(上図のグリーンの部分)。

まだこのサービスを利用していなかった人は、次のようにしてGoogle Play Musicに自分の私的ライブラリを作れる:

  1. 自分のGoogleアカウントでGoogle Play Musicにサインインする—すなわちplay.google.com/musicへ行って、必要ならユーザ登録をする。
  2. 自分の無料ストレージを確保する—Google Playの音楽会員サービスの会員になるなら“Get Started”、ストレージを利用するだけなら“No Thanks”をクリックする。
  3. 自分の音楽コレクションをアップロードする—セットアップのときにChrome用アプリをインストールすると、シームレスなアップロードができるようになる※。iTunesのライブラリ全体をアップロードしてもよいし、あるいはローカル(自機上)の音楽用フォルダを指定する。無料でアップロードできるのは5万曲まで。
  4. 自分の音楽へは同時に複数のデバイスからでもアクセスできる—ストリーミングして聴くこととダウンロードしてオフラインで聴くことの両方ができる。パソコンなどではWebブラウザからのアクセスもできる。コンピュータやモバイルデバイスを新しい機種に買い替えても、My Musicへのアクセスとその中身は前とまったく同じだ。これからは、あなたのお好きなアーチストが、いつもあなたのおそばにいる!

※: Chromeを使ってない人には、上記ステップ3のところでMusic Managerアプリをインストールするご案内が出る。このアプリでも、5万曲までOKだ。

今はもっぱらストリーミングサービスを利用する人が多くて、曲をわざわざダウンロードする人は少ないが、でも最近の消費者調査などによると、ローカル(自機上の)ストレージに大量の音楽をためこんでいる人がまだまだ多い。Googleはそういう個人的なコレクションもクラウド化+ストリーミング利用にすることによって、未来の音楽享受形式をあくまでもストリーミングに統一したいのだ。

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ダンスミュージックの無料ストリーミングサービスBeatportは音楽を売るための巧妙な仕掛け

世界中のDJたちが自分がかける音楽を買っているBeatportで、無料で聴けるのは2分間のサンプルに限られていた。そのBeatportが、無料無制限のストリーミングを開始し、販促を強化しようとしている。ダンスミュージックの無料ストリーミングサービスは今日(米国時間2/23)から、招待制の非公開ベータを始めるが、本誌TechCrunchはその前にちょいと試してみることができた。

2003年に創業されたBeatportのストアは、DJが自分が使うための電子音楽をHiFiでダウンロードできる。最近ではDJたちとそのファンのためのソーシャルネットワークにもなり、また、リミックスを作るためのステム曲のステム==リミックスのための部材)を見つけるためのプラットホームにもなっている。電子ダンス音楽(electronic dance music, EDM)のコングロマリットSFXに2013年に買収されてから、不採算部門を切り捨てるためのレイオフを何度か行った

今Beatportは、プロダクトの全面的なオーバーホールに力を入れている。音楽ストアBeatportはBeatport Proになり、Newsは前と同じく電子音楽の人気作家/奏者のアップデートやインタビュー、ビデオなどを提供、今準備中のShowsは、今後のコンサートの予定をスキャンしてカレンダーを作れる。

新しく始まるストリーミングサービスは、単純にBeatportと呼ばれる。初期ユーザとして招待されたい人は、ここで申し込む

そのWebインタフェイスは、音楽を閲覧して見つけることに特化し、知ってる曲の検索や再生の機能はない。ホームページには、特集アーチスト、チャート上位者、テーマ別のプレイリスト、編集者のお気に入り、クラブミュージックの名作、などがある。お気に入りマークをつけた曲は、まとめられてあなたのプロフィールに載る。

どの曲もすぐにストリーミングされ、全曲をBeatportの埋め込みプレーヤーで聴ける。ほかのサイトへ行っても曲は鳴り続ける。ひとつの曲をかけるたびに、その曲が載っているチャートやプレイリスト、アルバムなどもキューに並ぶから、これまでのストリーミングサービスのビッグな欠点がなくなっている…そして、沈黙(音無し)の時間というものがない。

なお、Beatport Proには曲の完全なジャンル別リストがあるが、無料ストリーミングサービスではジャンル分けは簡単なものしかない。だから、DJのための選曲ツールとしてはやや使いづらいだろう。

でもBeatportは、全体としてスムーズですっきりしている。競合サイトによくある、中途半端に機能山盛りにするよりも、必要最小限主義を貫いている。意外にもv1インタフェイスで使えるし、そのジャンルもうまく捕捉する。

Beatportのカタログには、Spotifyで見つからないものもたくさんある。クレジットのはっきりしないトラックやリミックスなどもある。だからSpotifyのような完全に合法的なアプリと、SoundCloudなどのごたごたしたサービスの、法的には灰色(グレーゾーン)の、リミックスなどのロングテールの両者を、橋渡ししている。

BeatportのストリーミングサービスからBeatport Proのストアへすぐに行って、曲を買う(ダウンロードする)こともできる。つまりストリーミングサービスは、売上につなげるための陳列棚だ。無料で、しかも、広告もない。いわゆる、ロスリーダーである。今の世界でDJたちは、身銭を切って音楽を買う貴重なる少数民族だから、だいじにしてやらないと、いけないのだ。ビットレートが低い(HiFiではない)から、そのままクラブ/ディスコなどで鳴らすのには向いていない。

Beatportのサンプル〜曲発見機能を利用している電子音楽のミュージシャンはとても多い。音楽というものは、全曲聴いて感動したからお金を出して買う、というパターンが多いから、無料の場面でも、短いサンプルよりは全曲提供が正解である。Beatportの新しいストリーミングサービスは、大衆受けする必要はない。DJにとって曲を見つけるためのベストの場であれば、それで十分だ。Beatportは、スタートアップとしてはとてもうまいやり方で、「有料」と「無料」を調和させている。

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月25ドルの会費でいくつでもコンサートに行けるJukelyがサンフランシスコにもやってきた

会員になれば月に何回でもいろんなコンサートに行ける、というサービスJukelyは、昨年10月にローンチして以来、対象都市(ほとんど合衆国内)を着実に増やしてきた。最初はニューヨーク、それからロサンゼルス、等々(下表)。私を含め多くの人が、そろそろベイエリアにも来てほしい、と願っていた。

そしてついにそのときが来た。Jukelyのコンサートに、サンフランシスコでも行けるのだ。

このサービスは小規模な音楽会場や大スターではないミュージシャンの中から選んで契約し、ユーザは月に25ドルを払うとその都市で行われるそれらのコンサートにいくつでも行ける。Jukelyだけでなくコンサートの主催者も、空席がうまることによる売上が得られる。一方、無名のバンドやミュージシャンの中に明日のスターや掘り出し物を探すタイプの音楽ファンは、安い料金でたくさんのコンサートを聴ける。

Jukelyには、音楽で出会いを作るという側面もある。このプラットホーム上でユーザは、自分と同じ音楽趣味の人たちに出会ったり、またシステムの個人化機能により、自分の好きなタイプの音だけどまだ知らなかった、という新人のコンサートを知って行けたりする。

ファウンダたちは、誰でも無差別に会員にしてシステムをぶっ壊したくない、と思っている。協同ファウンダのBora Celikは昨年11月のSF Music Tech Conferenceで、今では入会申込者をひそかに審査している、と言っていた。対象都市を増やすペースが遅いのも、良質なシステムを維持したいからだ。

さて、今夜(米国時間2/6)のサンフランシスコのコンサートは、Slim’sでLondon Richards、そしてGreat American Music HallでThe Warfield and Particleだ。

【Jukelyのこれまでの展開都市】

Atlanta
Austin
Boston
Chicago
Denver
Las Vegas
Los Angeles
Miami
Nashville
New York
Philadelphia
Portland
San Francisco
Seattle
Toronto
Washington, D.C.

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Appleの‘The Song’コマーシャルのメイキングビデオは新旧技術の等置を謳う

 

Appleの年の瀬コマーシャル“The Song”には、多くの人が感動したようだ。まあそういうCMを作るのが一年のこの時期の慣例だけど、でもあれが語っている製品に関するお話は、Appleの今の製品系列の多くに通ずるクリエイティブな労作だ。同社が今日発表したあのコマーシャルの‘メイキング’ビデオは、Appleの最先端技術と、非常に初期の、骨董品のような録音機を結びつけることによって、あの感動の作品が作られたことを物語っている。

コマーシャルの主人公が見つけた“ヴィンテージ”ふうの録音は、実は現在のレコーディングアーチスト(プロの歌手)が吹き込んだものだが、全体は美術さんと音響さんの努力によって、いかにも40年代ふうに見えるし聞こえる。今の証明写真ブースのような録音ブースが観光地の遊歩道などに置いてあって、そこへぶらりと入った旅行者が自分の声を90秒録音してレコードを作る。そうやって録音された若き日のおばあちゃんの歌声を、CM中の若い女性がMacの上でリミックスする。

Appleがこのメイキングビデオで指摘したいのは、当時の録音ブースが与えた社会的インパクトと、Appleの技術との相似だ。人びとが、録音された自分の声を初めて聴く。そしてGarage Bandでは、スタジオの技術者ではないアマチュアが、自分の曲を録音して世界と共有できる。CMの最初で40年代の録音ブースが登場したときは、頭の中が???になった方も多いと思うが、それでもなおAppleとしては、この見事な比較により、高度な技術の民主化/大衆化という同社の特技を、今年のクリスマス商戦でも売り込みたいのだ。

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ビデオを制作/アップロードする前にYouTubeが使用音楽の著作権の有無などを教えてくれる

Googleは今日(米国時間12/8)、ユーザが著作権のある音楽のビデオをYouTube Audio Libraryにアップロードしたらその後どうなるかを、事前にお知らせする機能を導入した

今日までは、ユーザがビデオをYouTubeにアップロードすると、YouTubeのコンテンツIDシステムが、そこに著作権のある音楽が含まれてないか調べる。アーチストやレーベル(レコード会社)は、1)そのビデオのオーディオをミュートする、2)ビデオそのものを見せない、(もっと賢ければ)3)そこに広告を載せて広告収入を得る、などの態度を選べる。問題は、アップロードする人に事前にそのことが分からないことだ。ビデオを作って、アップロードしてみて、やっと分かる。

Audio Libraryの新しい検索機能を使うと、これからは、何が起きるかが事前に分かる。たとえば本誌TechCrunchのお友だちであるCharli XCXBoom Clapをあなたのビデオで使いたかったら、(1)そのビデオは世界中の人が自由に見られる、(2)広告が入る、(3)あなた自身には広告収入はない、ということが事前に分かる。

これでYouTubeのコンテンツクリエイターたちの心の負担が相当軽くなる。いやらしい削除警告は依然としてありえるけど、とにかく、自分のビデオにこの音楽使ったらどうなるかな?ということが事前に分かるのはありがたい。感謝祭用に苦労して作ったビデオを、家族が見られない、とあとになってから分かるより、ずっとましだ。

YouTubeには今、使用料無料の曲集もあるから、収益目的のビデオを作るときには便利に利用できるだろう。

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利用者は18歳未満が7割――音楽コラボアプリ「nana」がユーザー参加型動画などリアル施策を強化

先週開催したイベント「TechCrunch Tokyo 2014」では、「10代がハマるサービス」をテーマにしたセッションがあった。そのセッションに登壇してくれたモイ、uuum、葵といったスタートアップのほかにも、10代の“濃い”コミュニティが形成されているサービスは存在する。

そんなサービスの1つが、nana musicの提供する音楽コミュニティアプリ「nana」だ。同社は11月26日よりユーザー参加型の音楽番組「nanaキャス」の配信を開始した。

nanaはユーザーがスマホで録音した音声や演奏に、他のユーザーが更に音声や演奏を重ねて音楽コラボレーションを実現するスマートフォンアプリだ。例えば1人のユーザーがある楽曲のギター演奏を録音してアップすれば、それを聞いた他のユーザーがピアノ、ドラムといった演奏や、歌声と重ねてコラボレーションした音楽をアップロードしていくことができる。

ユーザーの7割が18歳以下

2012年11月にサービスを正式リリースしたが、現在の累計ダウンロード数は60万件以上。これまでの累計楽曲投稿数は300万曲、現在では毎日1万曲以上の楽曲が投稿されているという。年齢別にユーザーの割合を見ると18歳以下が約70%で、1人あたりの月間平均滞在時間は5時間、しかも上位5%のユーザーに限定すると64時間という数字になるのだそうだ。

MAUなどは公開されていないため、実際の規模についてはなんとも言えないところがあるが(歌や演奏ということで投稿のハードルも高そうだし)、10代を中心とした密なコミュニティが形成されていることは間違いない。nana music代表取締役社長の文原明臣氏いわく、「(アニメやゲームソング、ボーカロイド楽曲などのカバーを指す)『歌ってみた』をやりたくても、実はPCを持っていないという10代は少なくない。そんな人たちでもスマートフォンがあれば投稿できることもあって利用されているようだ」とのこと。

サービス内でのコミュニケーションも活発で、1つの投稿に対して200件以上のコメントが付くような投稿者もいるという。

ちなみにユーザーの海外比率も決して小さくない。日本のユーザーは全体の65%となっており、米国、タイがそれぞれ全体の6%、さらにベトナムやロシア、トルコなどにユーザーがいる。世界各国、数十人でコラボレーションした「We are the world」なども投稿されている。

番組配信たリアルイベントでユーザーの目標を作る

nanaキャスではそんなnanaのユーザーが登場し、カバー曲の演奏や、オリジナル楽曲の製作といったコラボレーションをリアルな場で行う。配信は月1〜2回、モイの「ツイキャス」、YouTubeの「YouTube Live」で視聴できる。11月26日に第0回となる試験配信を実施。第1回の配信は12月21日午後5時からを予定している。

また、これまで2回開催したオフラインミーティング「nanaフェス」を2015年夏に開催する。第1回は100人、第2回は200人規模での開催となったが、第3回は2000人規模のイベントを目指すそうだ(すでに会場も決まっているらしい)。さらに2016年夏には武道館を貸し切り、1万人規模のイベントを開催したいと語る。

なぜnanaはリアルイベントにこだわるのか? 文原氏はこのサービスで「音楽仲間に出会えて居心地いいコミュニティ」を実現したいとする一方、現状はユーザーのゴール、目標となるステージが存在していないと考えているそうだ。そこで、ユーザー同士がリアルな場所でセッションできる――しかもほかのユーザーも見る番組や、武道館のような大きな舞台で――という「目標」を作ってあげたいのだと説明する。

冒頭にあったTechCrunch Tokyoのセッションに登壇してくれたモイのツイキャス、uuumがマネジメントするYouTuberなどはすでにネットサービスの枠を超えて活躍する人々を排出しているが(もっと遡るとニコニコ動画からだってそうだ)、nanaからもネット発のアーティストが生まれるのかもしれない。

マネタイズは2015年以降に

このサービスが10代を中心にした濃いコミュニティを作っているという話は分かったのだけれど、気になるのはマネタイズだ。nanaはこれまで企業とのコラボレーション企画なども実施しているが、文原氏は黒字化を達成していないと説明する。今後同社ではプレミアム会員向けの課金、ギフトサービス、タイアップ広告を展開するという。

まずスマホアプリを12月4日にリニューアルする予定だが、ここにプレミアム会員向けの機能を導入する。これと並行してタイアップ広告を2015年から展開するという。例えば音楽アーティストの公式提供楽曲を使ってのコンテストなどを行うといったことを検討しているそうだ。ギフトサービスについては詳細や提供時期は明らかにされなかった。


アプリでソーシャルな共有などいろいろできるスマートヘッドフォーンMuzikが$10Mを調達

オーディオアクセサリのMuzikが、設計に2年を要したという新製品を今日(米国時間11/25)発売する。その、Muzikの耳かけ式スマート(smart, 電脳)ヘッドフォーンは、定価が299ドルで、年末クリスマス商戦を待たずして発売され、しかも同社は営業マーケティングを強化するための資金として1000万ドルの資金を調達した。

何がどこがスマートかというと、ホットキーがいくつかあって、その機能をユーザが指定できる。モーションセンサがあるので、頭の動きを入力として利用できる。製品の初期設定では、今聞いている曲をツイートする、Facebookで共有する、付属アプリのお気に入りリストに曲を保存する、友だちにテキスティングやメールができる。…これらの制御はすべて、右の耳カップにあるボタンで行う。

AndroidとiOS用の同梱アプリMuzik Connectが上記のソフトウェア機能をすべて担当し、またオープンソースで提供しているデベロッパプラットホームもある。ということは、Muzikの公式アプリではなく、デベロッパが勝手に作ったアプリがMuzikのAPIを呼び出して、いろんなことができる。お気に入りへの登録、Rdioでオフラインで再生、などなど。モーションセンサは、ユーザの動きでヘッドフォーンを制御できるので、たとえば、外してどこかに置いたら電源を切って電池を節約、といったこともできる。

本体はアルミ製で、耳カップには形状記憶素材を使っている。お値段はほかのヘッドフォーン並だが、ソーシャル機能というおまけが付く。昨年のCESで発表されたが、すぐには発売せず、1年間磨いてから、次のCES(来年1月)の直前に発売されたのだ。

MuzikのファウンダでCEOのJason Hardiはこう語る: “音楽は大好きだ。人と人を結びつけるし、ストーリーがあるし、逃げる場所にもなるし、貴重な時間を作ることもある。うちのビジョンは、ヘッドフォーンのインテリジェントな設計を通じて音楽体験をより豊かにすること。これまでの1年は、そのことに集中していた”。

ヘッドフォーンとしての機能に不満がなければ、Muzikの持つスマート機能は顧客が手を出す強力な差別化要因になるだろう。Beatsはスタイルで評判になり、セレブが使っているというブランドイメージを作った。若者市場をねらう新人ブランドは、ドラゴンを何頭も倒してからでないと、なかなか注目されない。でもアプリの、デベロッパが自由に利用できるプラットホームがあるMuzikは、今後のアプリ次第で大化けする可能性もある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))