AMDが満を持して世に送るハイエンドグラフィクスカードRX Vega 64とVega 56は8月発売

5月に予告されたAMDの新しいグラフィクスカードRX Vegaの、発売に関する詳細が公表された。そのハイエンドのグラフィクスカードは、NvidiaのGTX 1080と1070による市場支配の打破をねらっている。

発売日は8月14日とされ、お値段はRadeon RX Vega 64が499ドル、Radeon RX Vega 56が399ドルからだ。

仕様としては、RX Vega 64のコアは計算ユニットが64基、ベースクロックが1247MHz、ブーストクロックが1547MHz、HBM2メモリ8GBとなる。GPU用のこの新しいメモリ技術は、484GBの帯域を誇る。

この性能を日常語に翻訳すると、ケーブル1本で5Kを楽に表示できる、となる。あるいは、暗号通貨のマイニングができる、とかね。

AMDはFreeSyncモニタのエコシステムの改良を通じてその最新のGPUをプッシュしたい意向だ

RX Vega 64の消費電力は295Wであり、GTX 1080のTDP(thermal design point)180Wより大きい。しかしAMDはFreeSyncを装備した曲面モニタの普及に賭けており、また、それだけのハイパワーが正当化されるようなゲームをサポートする、としている。ゲーム用としての最高性能をねらっているのだ。

一方Vega 56はGTX 1070相当だが、お値段は64より100ドル安い。メモリは強力な兄機と同じく8GB、計算ユニットは少なく、ブーストクロックも1471MHzとやや低い。

しかしホリデイシーズンまでまだ間があるから、Nvidiaがその最上位機種の仕様をアップデートするための時間は十分にある。

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Qualcommのモバイルチップ化したディープラーニングフレームワークが完全にオープン化

モバイルのチップメーカーQualcommは、あらゆる種類のデバイスの上でディープラーニングを利用するソフトウェアの開発ができるようにしたい。同社がそのSnapdragonシリーズのモバイルプロセッサー用にNeural Processing Engine(NPE)を作ったのも、そのためだ。そのNPEのソフトウェア開発キットを、誰もがQualcomm Developer Networkから入手できるようになった。これはそのSDKの最初の一般公開リリースで、スマートフォンや車載プラットホームなど、さまざまなデバイスの上で行うAIコンピューティングの、大きなそして多様な可能性を開くものだ。

このフレームワークの目的は、SnapchatやFacebookなどがモバイルのカメラアプリでやっているような画像のスタイル変換〔eg.“ゴッホふう”〕や各種のフィルタなどのUXの実装を簡単に可能にし、ユーザーの写真に対するもっと精度の高いアプリケーションを作れるようにすること。また、シーン検出や顔認識、オブジェクトの追跡や回避、自然言語処理といった各種のファンクションをディープラーニングのアルゴリズムによって高性能にすることも、目的に含まれる。要するに、これまでは強力なクラウドサーバーや先進的なプロセスにお願いしていたようなタスクを、デバイス上でローカルにできるようにしたいのだ。

NPEの初期的アクセスを獲得したデベロッパーの中にはFacebookもおり、同社はすでに画像やライブビデオ上のARの性能を、QualcommのSnapdragon SoC上のAdreno GPUを使って従来の5倍にすることに成功している。

NPEはTensorflowやCaffe2など一般的によく使われている一連のディープラーニングフレームワークをサポートし、Snapdragon 600/800シリーズのプロセッサープラットホームで使用できる。

今後ますます多くのテクノロジー企業がAIベースの計算機能をリモートサーバーからローカルなプラットホームへ移して、信頼性を高めるとともにネットワーク関連の面倒な要件から逃れようとするだろう。そうなるとこれはQualcommにとって巨大な財産になり、モバイルの次に優勢になるテクノロジーのトレンドが何であれ、それに乗り遅れるおそれはなくなるだろう。

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MITが開発した三次元のチップデザインは強力なエッジコンピューティングの未来を開くか

MITの研究者たちが、カーボンナノチューブと抵抗変化型メモリ(resistive random-access memory, RRAM)を併用する三次元チップ製造法により、複雑な三次元アーキテクチャ〔多層構造〕をサポートする結合型ナノ電子プロセッサーデザイン*(combined nanoelectronic processor design)を開発した。従来のシリコンを使ったチップ製造法では、二次元の構造しか作れなかった。〔*: 結合とは、コンピューティングとメモリが一体化している…三次元構造…という意味。〕

この三次元構造が可能なのは、カーボンナノチューブの回路とRRAMのメモリ部位が、摂氏200度以下の温度で作れるからだ。二次元のシリコントランジスタの製造に必要な1000度に比べると、きわめて低い。低温だと、多層構造を隣接する他の層にダメージを加えずに作れる。

この三次元モデルの利点は、小さなプロセッサーに高速な処理能力と処理の対象となる大量のデータを一体化できることにある。それは、従来ならデータセンターやプロセッサーファームへの行ったり来たり(ラウンドトリップ)を必要とするほどのデータおよび処理量だ。科学者たちや製品の設計者たちは最近ますます、‘エッジにおける’高度なデータ処理を追究している。エッジとは、たとえばセンサー群がそこにある超ローカル、という意味だ。そんなところでデータをラウンドトリップしていたら、その旅程そのものがリスクになりかねない。またアプリケーションによっては、たとえば自動運転車などでは、そんな旅路は不可能である。

この設計は、一つのチップの上にプロセッサーのロジック部位とメモリ部位が結合している点でもユニークだ。しかも、カーボンナノチューブのロジック成分とRRAMの成分は、今日のシリコンやDRAMに比べてエネルギー効率が良い。カーボンナノチューブはセンサーとしても動作するから、最上位層をセンサーにして、処理とストレージを担当する下の層へデータを供給してもよい。

MITが引用しているあるエキスパートによれば、これは、コンピューターのパワーのムーアの法則に従った指数関数的なスケールアップの継続に代わる、まったく新しい解になりうる。しかも従来的なチップ製造法は、そろそろその物理的な限界に近づきつつある。まだきわめて初期的な段階だが、将来の研究開発にとって、有望な方向性であることは確かだ。

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ロジテック発、iPad Pro用Slim Comboで生産性は一気に向上

ロジテックは、これまでにもいろいろなiPad用キーボードを開発してきている。このたび、そのロジテックから最新の10.5インチiPad Proおよび12.9インチiPad Pro用のキーボードがリリースされた。名前をSlim Comboという。プロダクトはケースとキーボードからなり、ケースにはApple Pencilの収納場所もあり、またキーボードはSmart Connector経由で接続するようになっている。

キーボードおよびカバーのふたつとも、iPadとぴったりフィットするようになっており、出張時にも、そして旅行時にも便利に使うことができる。コンパクトでありながら、クリエイティブ用途にも十分応えるようになっている。

ところでマイクロソフトはSurface Proについて「Lapability」などという用語でプロモーションを行なっていた。その言葉もどうかと思うが、しかしこのSlim Comboも「Lapability」を体現するものでわある。すなわち、Surface Pro風のキックスタンドも備えているのだ。iPad Proをさまざまな角度で利用することができる。好みの角度でしっかり固定され、ラップトップ(膝の上)で利用するのにもとても便利だ。専用デスクなどなくとも、ソファの上や電車の中など、好きな場所で快適に利用することができる。

ちなみにキーボードは取り外して利用することもできる。ケースは端部分に隙間があり、その部分に磁石でくっつくようになっている。12.9インチ用にはパームレストもある。10.5インチ用の方はコンパクトにキーボードのみがおさめられている。タイピングの感触は双方ともに快適で、Apple純正のものよりも打ちやすく感じるほどだ。

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キーボードにはバックライトも備わっている。本体との接続にはSmart Connectorを利用するために、Slim Combo側にはバッテリーはなく、また本体とのペアリング作業なども不要となっている。タイピングの感触はまるでPCを操作しているような感じで、間に合せの感じは一切しない。

Slim Comboは硬化プラスチックでできており、落としたり衝撃を与えたりしても、ある程度までは耐えてくれそうだ。手で保持する部分には持ちやすいような加工もあり、全体的にもフィット感のある設計になっている。Apple Pencilも、装着に苦労することはないし、取り外すのに困るようなこともない。

まとめれば、好きな角度に立てて利用できるケース付きキーボードといった感じだ。状況に応じてベストな角度でiPadを利用することができる。秋になって、iPad Proが一層便利に使えるようになるiOS 11が正式にリリースされれば、さらにこうしたケース/キーボードの魅力が発揮されることになるのだろう。Slim Comboの10.5インチ用は15,800円、12.9インチ用が16,800円となっている。多様な機能を活用して、iPadに「生産性」を求める人は、きっと欲しくなるデバイスだと思う。

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(翻訳:Maeda, H

Boschが$1.1Bの新工場を建てて自動運転車やスマートシティ向けチップの生産力強化へ…上位サプライヤーの座を譲りたくない

自動車業界のティアワンサプライヤーBoschが、市場が今後向かう方向へ重点投資をしている。新たに発表された11億ドルの施設すなわち工場は、自動運転車とスマートホームおよびスマートシティのインフラストラクチャに使われる半導体を製造する。 そのドレスデンの新しいチップファブは、シリコンの商業生産を2021年に開始し、工場の建設は2019年に完了する。

チップの製造能力が大幅に拡大するBoschは、自動車メーカーが今後も引き続いて、インターネットへの接続を前提とするサービスやモバイルのプラットホームへフォーカスをシフトしていく中で、重要なサプライヤーとしての地位を維持し続けると自負している。ただしBoschがチップを製造するのは今回が初めてではない。同社は自動車用のチップを供給してきたし、最新のデバイスであるスマートフォンなどにも供給している。Bloombergによると、Boschのチップ生産は40年以上のキャリアがある。

新工場は自動車により従来的な機能を提供するチップも供給する。たとえばエアバッグの膨満をトリガするチップや、計器盤の表示をコントロールするチップ、車内において携帯電話を接続するためのチップなどだ。

自動運転車ではIntelも、世界的に上位のチップサプライヤーを目指しており、またNXPを買収したQualcommも同様だ。ただし後者の買収は目下、EUが事前審査中だ。Boschの自動車業界とのご縁は長いが、それでも自動運転車技術の市場は新しいから、コンピューター業界からやってきた企業と、自動車業界の末席につらなるサプライヤー企業のどちらが主導権を握るか、今後の見ものである。

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クラウドIDEのCodeanywhereがCodebenderを買収して今後はArduino開発もサポート

WebアプリケーションやWebサイトを作るためのクラウド上のIDE Codeanywhereが、Arduinoデバイスを作るための同じくIDE Codebenderを買収した。Codeanywhereにとって初めての買収だが、その価額等は公表されていない。

Codebenderとその関連サービスedu.cobebender.ccとblocks.cobebender.cc は存続し、CodeanywhereがそれらをサポートしてCodeanywhere,Inc.の提供物になる。CodeanywhereとCodebenderを合わせると、ユーザー数は100万を超える。

パロアルトに本社のあるCodeanywhereは、7つの投資家からの3回のラウンドで84万8000ドルを調達しており、テクノロジー方面の逸材の多いクロアチアで創業された。同社と競合するCodenvyは、900万ドルを調達してから今年の5月にRed Hatに買収された。また630万ドルを調達したcloud9ideは、昨年Amazonに買収された。そこで明らかに今、Codeanywhereの立ち位置は良い。

2013年ギリシア生まれのCodebenderはこれまで100万ドルあまりを調達し、約10万のユーザーを惹き寄せ、そのプラットホームで30万以上のプロジェクトをホストしている。Arduinoのエコシステムの中では、最大のコミュニティおよびコードリポジトリのひとつだ。

CodeanywhereのCEOで協同ファウンダーのIvan Burazinは曰く: “Codeanywhereのロードマップには、われわれのビジョンに合うデベロッパーツールの増加があり、Codebenderのプロダクトを加えることはまさにその目標にかなっている。コードの開発は、どこでも、いつでも、誰とでもできなければならない、とわれわれは確信している”。

CodebenderのCEO Vasilis Georgitzikisはこう述べる: “CodebenderがCodeanywhereの中に家を持つことは、全然たいへんなことではない。前から知っているし、今回の話し合いの中で、Codebenderがその家ですばらしい、持続可能なプラットホームに成長しうることが明らかになった。それは、われわれがこれまで、つねに努力してきたことだ”。

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ハードウェア特化型VCの仏Hardware Clubが31億円の1stクロージング発表

左より、Jerry Yang氏、Alexis Housou氏、Barbara Belvisi氏

パリに本社を置くハードウェア特化型VCのHardware Club(以下、HWC)は6月19日、同社のファンド「Hardware Club FundⅠ」の1stクロージングを完了し、2500万ユーロ(約31億円)の出資コミットメントを取得したと発表した。

日本からは、孫泰蔵氏が率いるMistletoeDGインキュベーションがLPとして参加している。その他、フランスのソブリン・ファンドであるBpifrance、大手保険会社のCrédit Mutuel Arkéa、台湾の鴻海科技集団などが出資に参加した。

ハードウェア特化型VCのHWCが正式に活動開始したのは2015年のこと。HWCは参加スタートアップに対し、製造や流通を担う一流企業とのマッチングや協業支援を推進しているほか、参加企業のみが利用できるオンラインプラットフォームを運営し、コミュニティ形成およびその活性化を推進している。

現在、同社のコミュニティには世界30カ国から260のスタートアップ企業が参加している。日本からはFOVEトリプルダブリュージャパンなどのスタートアップが参加中だ。

HWCのジェネラル・パートナーであるJerry Yang氏はプレスリリースのなかで、「Hardware Clubにとって、日本は、特にオープンイノベーションの推進を考える際に、とても重要になる国です。例えば、保険会社や不動産会社などは、我々のコミュニティに所属するフルスタックAI技術、すなわち、センサー、クラウド、ソフトウェア、マシーンラーニングなどを包括したソリューションを提供できるようなスタートアップと連携することで、驚くほど彼らの業績が伸ばせるということがわかっています」と語る。

また、Mistletoe代表の孫泰蔵氏は「Hardware Clubの一番の魅力は、彼らが世界初のコミュニティをベースとした集団であることです。コミュニティの素晴らしいところは、参加するスタートアップが、互いに切磋琢磨することで、どんどん成長していけるところです」とコメントしている。

同社が今回1stファンドクローズを発表したHardware Club FundⅠが注力するのは、デジタルヘルス、フルスタックAI、ノーベルセンサーなどのジャンルだ。今後、同ファンドはHWCのコミュニティに参加する260社のスタートアップに投資を行う。その中では、シードとシリーズAステージのスタートアップへの投資も検討しているという。

投資期間は2017年〜2020年。ファンドの存続期間は2017年〜2027年の10年間としている。

現在、TechCrunch JapanはJerry Yang氏に対して取材を試みている最中だ。追加のコメントが得られれば記事をアップデートする。

Samsungのゲーム用曲面モニタ最高級機はHDR, QLED, AMD FreeSync 2など最新技術を満載

Samsungのゲーム用曲面モニターが、新しい技術を山盛りにしてアップデートされた。サイズは27, 31.5, 49インチと3種類あり、それぞれC27HG70, C32HG70, C49HG90と呼ばれる。最新最良のモニター技術を詰め込んだと言われるそのパッケージの第一印象は、は、なかなか立派だ。

三機種ともHDR(high dynamic range)を実装し、光域(輝度レンジ)を広げている。量子ドットLEDがsRGB色空間の125%、DCI-P3色空間の95%をカバーし、AMDのFreeSync 2技術がスクリーンティアリング(screen tearing, 画面が裂ける現象)を回避する。

これほどのハイスペックでありながら、リフレッシュレートは144Hzを安定的に維持し、視野角度は178度だ。

機種によって異なるのは解像度だけで、49インチの機種は3840×1080と超ワイド、31.5と27インチは2560×1440だ。

個人的には49インチの曲面ディスプレイは要らないし、置く場所もない。でもSamsungは、この超ワイドな画面を必要とするユーザーが必ず存在する、と確信している。

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スクリーンティアリングを避けるためにAMDの技術を採用することには、不利な一面もある。つまりFreeSync2をサポートしているAMDのカードを使えばよいわけだけど、そのほかの、たとえばNVIDIAなんか使うと、その機能はない。

でもあえてAMD派になった人には、熱心なPCゲーマーでも、eスポーツのプロフェッショナルでも、あるいは編集やビデオのプロでも、快適な日々が待っている。どの機種にも高さや角度を調節できるスタンドがあり、オーディオ出力、マイクロフォン入力、HDMI、DisplayPort、そしてUSB 3.0のポートがある。

買える場所は、Amazon, Newegg, Samsung直販など。49インチは1499ドル、32インチは699ドル、27インチは599ドルだ。発売は6月末〜7月初の予定だ。

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IBMが爪の上に300億個のトランジスターが乗る5nmプロセスルールの微小トランジスタを開発

IBM Researchがチップ製造用の新しいタイプのトランジスターを作った。それは、5nmというこれまでで最小のプロセスを使用し、研究パートナーのGLOBALFOUNDRIESやSamsungと共同で開発された。チップの組み立て方式を変えるなど、いくつかの基本的な事項の変更によって生まれたその微小トランジスタは、これまでムーアの法則は終わったと言われていた、プロセスの限界を突破できた。

この新しいプロセスによって、チップのサイズと密度は、人間の指の爪の上に300億個のトランジスターを乗せられるレベルになる。その場合、集積のために全周ゲートFET(gate-all-around(GAA) transistors)と呼ばれる立体的なゲート集積プロセスを用いる。〔参考記事。〕

性能的には、同じ消費電力で、現在の10nmチップの40%アップとなる。現在の10nmチップと同性能として省エネをねらった場合は、75%の電力節約が可能になる。

しかし、喜ぶのはまだ早い。IBM自身も認めるように、この超過密チップの実用化商品化まではあと10〜15年はかかる。でも、これにより、われわれのローカルなコンピューティングやモバイルデバイスは、とても強力になるだろう。

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インテルのスーパーポータブルCompute Cardが、リアルポケットPCを実現する

私たちのポケットの中には既に、スマートフォンという名前のコンピューターが入っているが、インテルの新しいCompute Cardは、本物のPCをどこにでも持ち運べるものにしてくれる。超高効率なCeleronや、ノートブッククラスのCore i5など、さまざまなプロセッサオプションを用意しているので、インテルのOEMパートナーたちは、このUSBバックアップバッテリのように見える部品を、スマートサインやモジュラーノートなどへ応用することに興味が湧いているようだ。

今年初めにCESで最初の版が発表されたIntel Compute Cardは、今日(米国時間5月30日)のComputexでは、最大4GBのRAMと128GBのフラッシュストレージ、AC 8265無線ネットワーキング、Bluetooth 4.2接続機能などと共に披露された。本日インテルはまた、Compute Card Device Design Kitの公開も発表した。これにより、OEMパートナーたちは、このモジュラーコンピューティングコアと共に動作するデバイスを作成できる。

既に現在、LG Display、シャープ、Dell、HP、LenovoなどのパートナーたちがCompute Cardを用いたアクセサリソリューションに取り組んでいるが、インテルは小さなデスクトップPCケースをレファレンスデザインとして提供している。このケースにはUSBポート、ミニDIsplayPort、HDMI、そしてEthernet端子がついていて、Compute Cardを差し込めば本格的コンピューターにすることができる。

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    The Intel Compute Card is a modular computing platform with all the elements of a full computer, including Intel SoC, memory, storage and wireless connectivity with flexible I/O options. It is slightly longer than a credit card at 95mm x 55mm x 5mm and can plug into a dock. (Credit: Intel Corporation)
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    The Intel Compute Card is a modular computing platform with all the elements of a full computer, including Intel SoC, memory, storage and wireless connectivity with flexible I/O options. It is slightly longer than a credit card at 95mm x 55mm x 5mm and can plug into a dock. (Credit: Intel Corporation)
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    The Intel Compute Card is a modular computing platform with all the elements of a full computer, including Intel SoC, memory, storage and wireless connectivity with flexible I/O options. It is slightly longer than a credit card at 95mm x 55mm x 5mm and can plug into a dock. (Credit: Intel Corporation)
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    The Intel Compute Card is a modular computing platform with all the elements of a full computer, including Intel SoC, memory, storage and wireless connectivity with flexible I/O options. It is slightly longer than a credit card at 95mm x 55mm x 5mm and can plug into a dock. (Credit: Intel Corporation)
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    The Intel Compute Card is a modular computing platform with all the elements of a full computer, including Intel SoC, memory, storage and wireless connectivity with flexible I/O options. It is slightly longer than a credit card at 95mm x 55mm x 5mm and can plug into a dock. (Credit: Intel Corporation)
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    The Intel Compute Card is a modular computing platform with all the elements of a full computer, including Intel SoC, memory, storage and wireless connectivity with flexible I/O options. It is slightly longer than a credit card at 95mm x 55mm x 5mm and can plug into a dock. (Credit: Intel Corporation)
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    The Intel Compute Card is a modular computing platform with all the elements of a full computer, including Intel SoC, memory, storage and wireless connectivity with flexible I/O options. It is slightly longer than a credit card at 95mm x 55mm x 5mm and can plug into a dock. (Credit: Intel Corporation)
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    The Intel Compute Card is a modular computing platform with all the elements of a full computer, including Intel SoC, memory, storage and wireless connectivity with flexible I/O options. It is slightly longer than a credit card at 95mm x 55mm x 5mm and can plug into a dock. (Credit: Intel Corporation)
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    The Intel Compute Card is a modular computing platform with all the elements of a full computer, including Intel SoC, memory, storage and wireless connectivity with flexible I/O options. It is slightly longer than a credit card at 95mm x 55mm x 5mm and can plug into a dock. (Credit: Intel Corporation)

このようなソリューションが、ノートブックスタイルのケースや或いはホームシアター機器などと一緒に、様々な用途に対して柔軟に、利用者に合わせたPCコンピューティング体験を与えてくれることは容易に想像できる。

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(翻訳:Sako)

Androidの作者Andy RubinのスマートフォンEssential Phone(699ドル)はすばらしいルックスだ

Androidの作者Andy Rubinの新しいプロジェクトをめぐっては、さまざまな憶測が飛び交っていたが、やっと、その答の一部が出たようだ。

Rubinの新会社Essentialが、その最初のスマートフォンとAmazon Echoのようなデバイス、そして“Ambient”と呼ばれる新しいオペレーティングシステムを披露した。この三つはネット上で公開されたが、今のところEssentialが提供しているのは画像とグラフィクスだけなので、最終的な評価はまだ先の話だ。

これまでいちばん話題になっていたのがスマートフォンで、同社自身も先月から、その姿をちらっと見せていた

画像といっても同社提供のもので、第三者が撮った写真等ではないが、その、ベゼルの小さいエッジツーエッジの画面は印象的だ。デザインは、文句なしにすばらしい。この5.6インチのデバイスの最上部からスクリーンがあり、フロントカメラ用の小さなスペースがある。そこからずっと下へと広がり、そして小さなギャップがある。

Essentialによると、スクリーンはチタンとセラミックのブレンドで、AppleやSamusungの製品より強度があるそうだ。

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同じくEssentialのWebサイトによると、内部はQualcomm 835プロセッサー、RAM 4GB、ストレージ128GBだ。フロントカメラの画像センサーは8メガピクセルで、4Kのビデオも撮れる。リアカメラは13メガピクセルで、低照度での撮影を補助するモノクロのセンサーがある。AppleがiPhone 7 Plusでやった、第二レンズによるボケ味画像とは違う。

このほかアタッチメントとして360度カメラが提供される予定なので、スマホにしては相当多芸な写真撮影ができそうだ。そしてヘッドフォーンジャックはないけど、ドングルが提供される。

ソフトウェアについて詳細な発表はないが、このシンプルで強力なハードウェアのデザインから見ると、ソフトウェアも肥満体とは逆の、無駄を省いたシンプルな構成になりそうだ。

699ドルは公式に発表された価格で、この価格帯にはすでに、手強くておもしろいオプションがいくつかある。その中での勝負も、おもしろい。量販のためにはキャリアの採用が重要だが、それがなくてもEssential Phoneには、好奇心で人を惹きつける魅力がありそうだ。発売のスケジュールは未定だが、たぶんアメリカ・ファーストだろうね。

EssentialのEchoコンペティター“Home”も、看過できない。

同社Webサイトの画像から見るとそれは、音楽やスマートサーモスタット、スマート電球、質問への応答、などをコントロールするスマートアシスタント+コントロールインタフェイスのようだ。大きな円形画面と、音声起動であること以外は、まだ詳細は分からない。

ちょっとおもしろいのは、同社のブログ記事によると、Essential Homeはデータの出し入れや保存にクラウドを使わないことだ。これはプライバシー対策として思い切った試みだが、Amazon AlexaやGoogle Homeはこの問題を放棄している。Essential Homeでは、データとサービスはできるかぎりローカルに管理される。多くの人が前のめりで関心を持ちそうな、セールスポイントではないだろうか。

“Homeはhome(家、家庭)だから、プライバシーの心配をせずに好きなことができる場所でなければならない”、とEssentialのWebサイトは言っている

Homeを駆動している新しいOS、Ambientについて、同社はこう言っている:

Ambient OSは、あなたの家や家庭で動くアプリケーションの開発と実行を可能にする一連のサービスと機能を提供する。Ambient OSで、あなたの家がコンピューターになる。Ambient OSはあなたの家の物理的な構成や配置とそこに住む人びとを知り、家と人びとの両方にふさわしいサービスとデバイスを提供できる。

Ambient OSの中心的なコンセプトは、つねに人間がコントロールの主人公でなければならない、という信念だ。そのためそれは、あなたのニーズを先取りしてあなたの家をスマートにはしない。むしろそれは人間から学び、何かの振る舞いを提案することはできるけれども、最終的には人間がその採否を決める。

間違いなく、今後はもっといろんなものが、Essential PhoneやEssential Homeだけからではなく、Rubin本人から出てくるのだろう。彼の新しいベンチャー企業でEssentialの親会社Playgroundは、スマートフォンやアシスタントに限らず、複数のハードウェアプロジェクトを支えるインキュベータだ。 彼が作ったAndroidは、世界で最大人気のオペレーティングシステムで、採用機は20億を超えている。Rubinはその大きな実績の上に、さらに大きな花を咲かせようとしているようだ。

ありがとう: The Verge

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

「空飛ぶ自動車」のKitty Hawk、テストパイロットたちも大満足

Kitty Hawk Flyerは、昔から「空飛ぶ自動車」としてイメージされていたものに近いように思う。「自動車」としての機能はもっていないものの、一種のATV(All Terrain Vehicle:全地形対応車)と呼んで差し支えないように思う。これまでのATVよりも、より一層「全地形」に対応している。と、そのような言葉上の問題はどうでもよかろう。ともかく最新の乗り物であり、Googleの共同ファウンダーであるラリー・ペイジも出資している。単なる「コンセプト」の段階ではなく、「ワーキングモデル」(working prototype)が存在するのも面白い。

このたび、Business Insiderが、Kitty Hawk Flyerのテストパイロットについての記事を掲載していた。記事中ではデモスタッフへのインタビューなども取り上げられている。テストパイロットはさまざまな経歴をもつ人から選ばれ、選考あたっては飛行経験の有無のみならず、スポーツ全般への関心度、パラグライダーなどへの興味/経験などについても考慮したとのことだ。

また、トレーニングについては、個々のパイロットの経験に応じた個別のトレーニングメニューが用意されてもいるとのこと。Business Insiderの記事によれば、操縦自体はXboxのコントローラーを操作するのに似ているのだそうだ。上のビデオでも、パイロットが操縦のノウハウをマスターして自在にコントロールできるようになった際の感動などについて触れられている。

Kitty Hawkはこの乗り物を年内中にも発売したい考えだ。ビデオ中のテストパイロットの様子をみるに、テック系のオタク以外の人たちも、大いに興味を持ちそうに感じられる。

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(翻訳:Maeda, H

IntelがついにCore i9プロセッサーを発表、最上位機種は18コア32スレッドで1999ドル

今日(5/30)台北で行われたComputexのイベントで、Intelが同社のCore X連番シリーズのプロセッサーの新型機を発表した。ハイエンドデスクトップCPUの最新機種の計画は、今月初めにリークされたから驚きではないが、それでも、この新シリーズの旗艦機種となる18コア36スレッドのIntel i9-7980XEは、ほとんど衝撃的なデビューだ。

1999ドルという、思わず目が潤んでしまいそうなお値段のIntel i9-7980XEは、当分のあいだ、ごく一部の消費者を除いては憧れに留まるだろう。しかしAMDとのプロセッサー戦争においては、Intelの強力な新兵器になる。16コア32スレッドのAMD Ryzen Threadripperは今月初めに発表され、世界最強の消費者機向けCPUになるはずだったが、Intelがその王冠を奪い返したようだ。

Core i9系列のそのほかの機種は、10コア999ドル、16コア1699ドルと現実的なお値段だ(12コアと14コアもある)。すべてのi9プロセッサーがベースクロック3.3GHz、Turbo Boost 2.0では最大4.3GHz、Turbo Boost Maxで4.5GHzの、それぞれデュアルコア周波数だ。このほか、クァッドコアのi5-7640Xおよび4,6,8コアのi7プロセッサーも発売される。発売日は、まだ明らかでない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

LeEcoのアメリカ進出は失敗の典型―中国のコングロマリットの派手な上陸作戦の結果は大量レイオフ

1ヶ月以上前から点灯していた数々の赤信号の末、LeEco〔楽視〕のアメリカでの事業はついに人員の大幅削減に追い込まれた。LeEcoは中国の野心的なコングロマリットだが、アメリカだけで325人の社員をレイオフすることを明らかにした。私が受け取ったメールアドレスの変更通知の数からするとすでにレイオフは実行されているものと思われる。

月曜日のフットボール・ファンのように後知恵で試合を批評するのは簡単だとはいえ、惨事が起きたのは事実だ。しかもこのことは以前から予想されていた。LeEcoがアメリカで重要なスタートアップとみなされていたのはわずか1年前だという点には注意を払うべきだろう。大がかりで派手なプレス・カンファレンスが実施されたのはなんと昨年10月中旬だ。わずか7ヶ月でこの結果に終わるとは驚くべきスピードだ。しかしアメリカ事業には当初から事態を警告するシグナルはいくつも出ていた。

LeEcoはもちろん警報を無視した。同社は300人以上が職を失うという事態を招いたことを惨事とは認めず、何か悪いことが起きるたびに口にされる言い訳を持ち出している。つまり悪かったのは同社の戦略ではなく、資金調達で思わぬ障害を経験しただけだというわけだ。LeEcoはインドでレイオフを実行したときにも同じような声明を出した。

TechCrunchがコメントを求めたことに対する回答は、誰彼となく質問した者全員に送られるテンプレート・メールで、「消費者との間の壁を取り払おうとしたわれわれのビジョンは正しいと信じている。アナリストもこの点を認めている。今回、必要とする資金の調達ができなかったため、われわれはアメリカ事業において段階的アプローチ(a phased approach)を取ることとした」と書かれていた。

しかし「段階的アプローチ」というのは数百人をレイオフした後で使うべき言葉ではあるまい。そもそもこの会社の「スマート・ビジネス」そのものに問題があったというべきだ。国際的に展開して成功を収めた企業なら、中国とアメリカのように根本的に文化を異にする新市場への参入がいかに難しいか教えてくれるはずだ。われわれが掲載したAppleの中国進出の記事を見れば分かる。

LeEcoは「小さく始める」という戦略と無縁だった。無謀で派手な鳴り物入りが同社の本質だった。これが50エーカーに上るアメリカYahooの広大な跡地を高値で買わせ、金のかかった巨大な看板を立てさせた理由だろう。LeEcoの建設計画を聞けばアメリカ本社はまるでテーマパークのようなものになりそうだった。

アメリカで事業をスタートさせるに当たって、LeEcoは安いスマートフォンやテレビを売るだけが目的でないと宣言した。万人にすべてのもの提供するというのだ。いくぶんApple的、いくぶんNetflix的、いくぶんTesla的、いくぶんAmazon的というわけだ。VRヘッドセットやら自転車やら、加えてセレブのカメオにはトランスフォーマー・シリーズで知られるマイケル・ベイ監督まで動員した。同社はマット・デイモン主演の中国を舞台にしたアクション大作『グレートウォール』の製作にも出資し、ハリウッドの映画スタジオ・システムにも参入しようとした。

しかしこうした派手な車輪の回転は突如ストップした。LeEcoは約束のごくわずかな部分しか実現できなかった。LeEcoがスマートフォンを作る約束だけをしていたのならアメリカ市場を研究するチャンスはもっとあっただろう。失敗の可能性も低かったはずだ。しかし出だしで新市場の本質を見誤った場合、取り返すのは不可能だ。イカロスは太陽の側まで舞い上がって墜落したと言われているが、LeEcoはそれどころではない。世界に向かって「これから新しい太陽を作り、新しい太陽系を作る」と宣言した。

同社の今後の戦略がどうなるかは容易に想像できる。。同社はリストラ後、アメリカの中国語を話す家庭向けに「中国版Netflix」のようなサービスを提供しようとするだろう。同社はすでに中国語のコンテンツを持っているからこれは容易だし、マーケットもそれなりに大きい。アメリカ市場への参入の当初からこの道を選んでいればLeEcoの運命もかなり違ったものになっていたのではないか?

LeEcoの声明は大部分が無内容な企業語の大言壮語に過ぎない。企業も政治家も誤りを認めたがらず、失敗を自分の力の及ばない外部事情のせいにしようとする。そこでそうした外向きの発言ははともかく、社内では戦略の失敗を認めて今後の新戦略を立ててもらいたいものだ。どこからか再び資金が入ってくることを期待して小手先の修正でつないで済ませられる段階ではないだろう。

これはアメリカの消費者にとって安いスマートフォンの選択肢が一つ減ったというだけの話ではない。325人がある日突然職を失うというのは重大な事件だ。

画像: VCG/Getty Images

〔日本版〕LeEcoの沿革についてはWikipediaの楽視グループを参照。ただし記事末尾に「2016年 – 米テレビメーカーVIZIO買収」と書かれているが、これは今年4月に入って中止されている

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

不眠症を解消するゴーグル「Sana Sleep」――開発元のSana Healthが130万ドルを調達

Solar ImpulseのパイロットBertrand Piccardは、太陽光発電の電力だけで世界一周を目指す旅に出たとき、移動中はあまり休むことができないだろうと覚悟していた。機内で睡眠自体はとれるものの、飛行中の睡眠時間は1日最大3時間、それも20分ごとに1回起きなければいけなかった。というのも、1人乗りのSolar Impulseでは、20分ごとにシステムが正常に動いているかチェックしなければならないのだ。

そこでPiccardは、短い休憩時間にできるだけ深い眠りにつけるよう、Sana Healthのプロダクトを一部の区間で採用した。

Sana Sleepと呼ばれるこの”スマートゴーグル”は、2018年のQ2には睡眠障害に悩む一般ユーザー向けにも販売される予定だとSana HealthのファウンダーでCEOのRichard Hanburyは話す。なお、最近同社はFounders FundMaveronSOSVらが参加したシードラウンドで130万ドルを調達した。さらにHanburyによれば、Sana Sleepの小売価格は400ドル前後になるという。

CEOのHanbury自身が慢性疼痛に伴う睡眠障害に苦しんでいたことをきっかけに、このプロダクトの開発はスタートした。彼は、1992年にイエメンでJeepを運転中に事故に遭って障害を負い、それ以後慢性疼痛を患っていたのだ。しかし、もともと彼のために開発されたテクノロジーを必要とする人は他にもたくさんいる。元気な幼児を除けば、誰もが快適な睡眠を求めているということだ。

Sana Healthのファウンダー・CEOのRichard Hanbury。

CDCの最近のデータによれば、アメリカの成人の3分の1が十分な睡眠を取れていない。そしてピッツバーグ大学医学部の研究から、不眠症は人の気分や記憶力に悪影響をおよぼすだけでなく、その他にも様々な症状を引き起こすことが分かっている。

多くのスタートアップは、膨大な数のターゲットがいる不眠症対策ビジネスのチャンスに気づき、近年快適な睡眠を実現するためのプロダクトの開発に力を注いでいる。新しい素材で作られたマットレス種々ウェアラブルデバイス睡眠トラッキングアプリそのほかIoTデバイスなど、プロダクトの種類はさまざまだ。

投資家もこのビジネスの可能性を信じているようだ。Crunchbaseのデータによれば、昨年以降少なくとも30社(うち6社がハードウェア企業)の睡眠関連プロダクトを開発しているスタートアップが、シードもしくはベンチャーラウンドでの資金調達に成功している。

Sana Sleepは一見パッド付きのゴーグルか、シンプルでかけ心地の良いVRヘッドセットのように見える。現在行われているテストでは、トレーニング期間中で移動の多いアスリートが、Sana Sleepを使うことでどのくらい効率的に休めるかということが調査されている。

Hanburyはこのデバイスの仕組みについて次のように説明する。「Sana Sleepは、音と光を使って脳の特定の動きを引き起こすデバイスです。ナイトクラブに遊びに行って、ストロボライトを眺めながら早いテンポの音楽を聞いているときのように、このデバイスは脳を一旦興奮状態にさせ、リラックスモードに入るために必要なパターンを人工的につくり出しているのです」

ゴーグルからは音と光がビートを打つように発せられ、毎回かけ始めはそれを認識できるが、やがて眠りに入ってくるうちに気づかなくなってくる。さらに、Sana Sleepはユーザーの脈拍や呼吸を計測し、バイオメトリクスの反応をもとに音や光を自動的に調節できるようになっている。

そのため、最初はゴーグルを”トレーニング”しなければならない。だいたい4回ほど使えば、それ以降ユーザーは(慢性疼痛に悩む人たちでも)ゴーグルをかけてから10分以内に眠りにつけ、一晩中ぐっすり寝られるようになる。

シードラウンド以前にも、Sana HealthはSOSVが運営するハードウェアアクセラレーターのHAXを含む複数の投資家から45万ドルを調達していた。SOSVのジェネラルパートナーを務めるCryril Ebersweilerは、Sana Healthが深刻な不眠症の解決に繋がるテクノロジーを開発していることから、シードラウンドで再び彼らに投資したと語っている。

「Sana Sleepには、24年間におよぶ研究と大規模なテストに裏付けられた性能が備わっています。今後もプロダクトの継続的な改良が必要ですが、どの流通チャンネルがプロダクトに合っているかについてもそろそろ考え始めなければいけません」と彼は語る。

初期のテストでSana Sleepの有効性が認められたため、現在Sana Healthはアメリカ食品医薬品局(FDA)から医療機器の認証を取得しようとしている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Asus、超薄型ノート2機種発表―台北のショーに今年はロボットの姿なし

Zenboという家庭用ロボットを覚えているだろうか? 昨年、台湾のコンピューター・メーカー、ASUSが台北で開催したComputexプレスイベントに登場して話題をさらった。しかし今年のCumputexにはZenboの姿は見えず、ZenFonesスマートフォンとZenBookシリーズの新しいノートパソコンが発表された。その中でもスポットライトを浴びたのはZenBook Flip S、 ZenBook Pro UX550という超薄型のノート2機種だ。

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両機種とも非常に薄く、非常に軽い。AsusによればZenBook Flip Sは「コンバーティブル・タイプのノートパソコンとして世界最軽量」だという。重量は1.1kgで厚さは10.9mmしかない。Asusのプレス資料ではHP Spectre x360の重量1.29kg、厚さ13.8mm、またMacBook Airの重量1.35kg、厚さ17mmという数字と比較されていた。

ZenBook Flip Sは13.3インチのタッチスクリーン4K液晶ディスプレイを備え 360°回転できる。CPUはIntel Core i7-7500U、RAMは最大16GB、SSDは最大1TBだ。このスペックであれば高いパフォーマンスが期待できそうだ。

Asusはこの機種のバッテリーは最大11.5時間駆動可能であり、49分の充電で60%までチャージできるしている。周辺機器の接続にはUSB-Cが1個用意されている。ZenBook Flip Sの出荷は9月、価格は1099ドルが予定されている。

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新しいZenBook Pro UX550は前モデル同様、15.6インチの4Kタッチスクリーンを備えるが、新しい機種はIntelの第7世代のCPU、Core i7-7700HQ クオドコアを装備する。最大16GBのDDR4 RAM、専用グラフィックカードとしてNvidia GTX 1050 Tiを備える。特にこの最後のグラフィックカード装備はゲーマーにとって魅力的だろう。

ZenBook Pro UX550もスリムなノートで、重量1.8kg、厚さ18.9mmだ。来月、6月には1299ドルで出荷が開始されるという。

この他、ZenBook 3 Deluxe(1月のCESで発表ずみ)、499ドルのVivoBook S(CPUにCore i7、Nvidia GTX 940MX GPUを装備可能)、VivoBook(799ドルでCore i7 CPU、Nvidia GTX 1050 GPU装備)もデモされた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google I/Oで行方不明者になったATAPチーム、ハードウェアチームにマージされていた

これまでの数年間、GoogleのメインのデベロッパーカンファレンスであるGoogle I/Oでは必ず、同社の‘秘密の’研究開発部門ATAPが、単独でキーノートを行った。そしてそれは、Googleがそのもっとも実験的でおもしろいプロジェクトを紹介する機会になることが多かった。しかもATAPのキーノートは、そのほかの大型で派手なI/Oのキーノートよりおもしろいときもあった。でも今年は、I/Oのスケジュールのどこを見ても、ATAPの文字はない。

今週初めに出たBusiness Insider誌によると、ATAPチームのミッションは、前のトップRegina DuganがFacebookに寝返って以来変わった。たしかに数週間前彼女は、FacebookのF8カンファレンスに姿を見せていた。そしてやはり、I/Oにその姿はなかった。

途方もない夢のプロジェクトを追うGoogleのX部門と違ってATAPは、I/Oの機会に必ず、その最新のプロトタイプを紹介した。ジェスチャー検出のための超小型レーダー用センサーや、今ではLevi’s(リーバイス)の製品になっているセンサー内蔵ジャケット、モジュール化スマートフォンProject Ara(これは廃案になった)、パスワード不要の認証システム、などがその主なものだ。中にはけたたましく失敗したプロジェクトもあったが、自分たちのことを非正規特殊部隊と認識している彼らにとっては、失敗も成果のひとつだった。また、いずれも短期的なプロジェクトなので、失敗も最初から織り込み済みだった。

しかし、新しいリーダーRick Osterlohが率いる今のATAPは、前ほど自由気ままではないようだ。秘密性が前よりも増し、実験的というより、早期の収益化を目指したプロダクトに注力している。

今のGoogleでは、そうなるのも当然だ。Googleは全体的にも、前より真面目に収益化に取り組むようになっている。でもATAPのキーノートがI/Oで見られないようになると、その新しいバージョンがFacebookのF8に出てくる可能性もある。そうなるとそれは、Googleにとって喪失だ。

この記事を見たGoogleは、こう言ってきた: “ATAPの業務は通常通り行われております。約1年前に、彼らはRick Osterlohが率いるハードウェアチームの傘下に入り、Googleのハードウェア製品のための製品開発と技術開発に取り組んでいます。それらの製品や技術は、市場に出たり、弊社のポートフォリオに組み入れられたり、あるいはGoogleのほかの部門で利用されたりするでしょう”



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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

一歳を迎えたGoogleのTPUチップがアップグレード、機械学習/ディープラーニングのすそ野をさらに広げる

Googleが今日(米国時間5/17)のGoogle I/Oカンファレンスで、同社特製の機械学習チップTensor Processing Unit(TPU)の次世代バージョンを発表した。この、機械学習のタスクを高速化する専用チップは、従来のCPUやGPUよりも速いとされているが、昨年の同カンファレンスで発表されて以来、今回が初めてのアップグレードになる。

まず、スピードのアップだ。Googleによると、第二世代のTPUは1基が180TFLOPSの性能を有する。まだベンチマークは見ていないが、スピード以外でも進歩している。第一世代のTPUは既存のモデルを使って推論するだけだが、第二世代はモデルの訓練もできる。モデルの訓練は機械学習のワークフローの中でもとくに重要だが、その全過程をこの強力なチップがやってしまうのだ。

機械学習のモデルとは、たとえば写真に写っているものが木か車か猫かを正しく同定する能力のことだ。機械学習の推論とは、モデルを使って行う確率つきのオブジェクト同定処理だ。たとえば、“この写真に写っているのは85%の確率で木であってブロッコリの茎ではない”、などと推論する。

Googleの今日の声明文によると、同社の大規模な翻訳用のモデルを訓練するのに、市販の最良のGPU 32基を使用してまる一日、その1/8の台数の“TPUポッド”〔64TPUs, 11.5PFLOPS〕では午後の数時間で完了した、という。

GoogleのTenso Flowチップセット。写真提供: Google

このような比較はいつも、よく調べないと正しい意味が分からないが、とにかくGoogleは、GPUより速いと言っている。今日の機械学習の演算では多くの場合、もっとも強力なチップとしてGPUが使われているのだ。

さらにGoogleは、このチップの能力を同社のクラウドプラットホームからSaaSのサービスとして提供している。誰もが気軽に、この世界に入れるように。また、IntelのSkylakeとかNvidiaのVoltaなど、ほかのチップで作ったモデルを、TPUのクラウドへ移植して使うこともできる。

またコストをあまりかけられない試行や研究用には、無料のクラウドサービスTensorFlow Research Cloudがある。そこでは、研究者たちが、クラウド上の1000 TPUのクラスターを利用できる。



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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

「世界最強のグラフィクスカード」を自称するAMDの長く待たせた新型機Radeon Vegaが6月に発売

グラフィクスカードに関してちょっと間(ま)が開(あ)きすぎた感のあるAMDから、ついにその次世代機Radeon Vega Frontier Editionが出た。この、おそらくペア搭載(duo)と思われるハイスペックGPUがねらうのは、NvidiaのPascalシリーズGTX 1080と1080Ti、そしてさらに最新のTitan Xpも標的だ。

その細部は: 64コア、単精度12.5TFPSのプロセッサー、帯域16GBのキャッシュ、そして8Kディスプレイのサポートだ。

それでも飽きたらぬAMDは、同機の水冷バージョンも用意した。限定生産だが、もっとも過酷な処理負荷に対応し、自分が焼け死ぬことを防ぐ。

同社American Micro DevicesはRadeon Vegaプラットホームを、AIなどのアプリケーションのための“世界最強のグラフィクスカード”と呼ぶ。これまでPC上のゲーマーたち向けにはNvidiaに人気をさらわれたが、それでもAMD製品は、サーバーやデスクトップ、ラップトップ、ゲーム専用機などさまざまなシステムに、全世界的に採用されてきた。

そして今回のVegaは、スピードでもNvidiaに勝つことが目的だ。“速い”という言葉が、Nvidiaの可用性の高いPascalに付着している状態を、解消したい。長年のAMDファンは、まるで醒めぬ夢のように、そう思い続けてきた。

AMDは、Vegaの得意分野を二つ挙げている: 今後のAIの研究を加速する機械学習の開発と、そしてもちろんゲームをさらに贅沢にするフォトリアリスティックな描画能力だ。

発売予定は6月半ば、価格は未発表だが、1000ドルラインまで届くかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MINIとHAXが運営するアクセラレーター”Urban-X”のデモデイ――多彩なジャンルのハードウェアが続々登場

Urban-Xのショーケースは、同社のアクセラレータープログラムに参加している8社のスタートアップを、投資家や報道陣向けにお披露目するためのクローズドなイベントだ。彼らのイベントに関する噂を確認するため、私も先週同イベントに参加してきた。

第2回となるプログラムに参加した8社のうち、私は公害や視覚障害、街中の輸送手段、そして街の清潔さに関する問題に取り組む、O2O2 Facewear、WearWorks、Upcycles、Sencityという4つのスタートアップに注目した。

視覚障害者のための触覚ナビゲーションシステム

今回のイベントで紹介されたものの中でも、人の人生を変える可能性を持っていると思えたのが、WearWorksのプロダクト。同社がプロトタイプをお披露目したこのリストバンド型の製品は、GPSベースの視覚障害者向けナビゲーションシステムだ。

WayBandと呼ばれるこのプロダクトは、強力なモーターを使って触覚フィードバックを発するため、ユーザーは現在地や進行方向を肌で感じることができる。

これまでに多くの視覚障害者がWayBandをテストしており、中には今年のニューヨークマラソンに参加予定のウルトラランナーもいる。

もしもマラソンでのテストが成功すれば、一般販売開始に向けて彼らはさらに多くのアーリーアダプターにWayBandを配布していく予定だ。

マスクのマネタイズ

先進的なフェイスウェアーを開発しているO2O2は、彼らが”数十億規模の市場”と呼ぶ分野に挑もうとしている。同社はまず、公害や大気汚染が世界でも最低レベルの北京をはじめとする、世界の各都市を中心にビジネスを展開しようとしている。

予想外にも、出席者はO2O2のプロダクトを試すことができなかった(当日お披露目したものは社員の顔の形に合わせて作られたためと同社は話していた)が、販売開始までにはさまざまな顔の形状に合うよう4種類のモデルと、センサーやフィルターやバッテリーなどカスタマイズ可能なモジュールを準備する予定だという(上の写真はプロトタイプ)。

このマスクのすごいところは、専用のアプリを使うことで外気の汚染度合いだけでなく、ユーザーの体の様子(恐らくこれは酸素摂取量を基に割り出される)も確認できるということだ。

さらにユーザーデータを収集することで、街のどの部分でもっとも空気が汚れているかといった情報を日々入手できるため、各地域の公害対策にも寄与することができる。

都市部の輸送手段を簡素化

Upcyclesがステージに上がってまず言ったのが、彼らは人間中心的かつ反ロボットの考えを持っているということだった。この発言で上手くオーディエンス心を掴んだ彼らは、続いて都市で使える新しいタイプの輸送車両Yaxを発表し、さらに参加者を盛り上げた。

都市部の狭い道でも最大500ポンド(230キロ弱)の荷物を自由自在に運べるYaxは、平らな荷台が取り付けられた変わった見た目の三輪車だ。Yaxを運転する配達員は、座った状態でも四方を見渡せるようになっているほか、操作方法に関しては普通の自転車とほぼ変わらない。

新時代の……デジタルゴミ箱?

恐らく私が見たプレゼンテーションの中でもっともニッチなプロダクトだったのが、SencityのTetraBINだ。オーストラリアのショッピングモールや大使館にも作品が採用されている彼らの正体はデザイン会社。都市部の路上の清潔さに関する問題に取り組んでいる彼らは、インタラクティブで見た目にも楽しいゴミ箱を開発したのだ。

センサーやスピーカー、マイク、全体を覆うLEDが搭載されたTetraBINは、恐らく誰もこれまでに見たことがないくらいハイテクなゴミ箱だ。街を行き交う人は、ゴミを捨てたときにビジュアル作品を楽しめるだけでなく、近くのカフェまでの道や、 どのゴミをどの箱に捨てればよいかといったことも尋ねられ、その答えを視覚的に確認することができる。

TetraBINがニューヨークのような街でどのくらい役に立つかはまだ分からないが、私が心配しているのは、このようなプロダクトが壊されてしまわないかということだ……

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter