Qualcommのモバイルチップ化したディープラーニングフレームワークが完全にオープン化

モバイルのチップメーカーQualcommは、あらゆる種類のデバイスの上でディープラーニングを利用するソフトウェアの開発ができるようにしたい。同社がそのSnapdragonシリーズのモバイルプロセッサー用にNeural Processing Engine(NPE)を作ったのも、そのためだ。そのNPEのソフトウェア開発キットを、誰もがQualcomm Developer Networkから入手できるようになった。これはそのSDKの最初の一般公開リリースで、スマートフォンや車載プラットホームなど、さまざまなデバイスの上で行うAIコンピューティングの、大きなそして多様な可能性を開くものだ。

このフレームワークの目的は、SnapchatやFacebookなどがモバイルのカメラアプリでやっているような画像のスタイル変換〔eg.“ゴッホふう”〕や各種のフィルタなどのUXの実装を簡単に可能にし、ユーザーの写真に対するもっと精度の高いアプリケーションを作れるようにすること。また、シーン検出や顔認識、オブジェクトの追跡や回避、自然言語処理といった各種のファンクションをディープラーニングのアルゴリズムによって高性能にすることも、目的に含まれる。要するに、これまでは強力なクラウドサーバーや先進的なプロセスにお願いしていたようなタスクを、デバイス上でローカルにできるようにしたいのだ。

NPEの初期的アクセスを獲得したデベロッパーの中にはFacebookもおり、同社はすでに画像やライブビデオ上のARの性能を、QualcommのSnapdragon SoC上のAdreno GPUを使って従来の5倍にすることに成功している。

NPEはTensorflowやCaffe2など一般的によく使われている一連のディープラーニングフレームワークをサポートし、Snapdragon 600/800シリーズのプロセッサープラットホームで使用できる。

今後ますます多くのテクノロジー企業がAIベースの計算機能をリモートサーバーからローカルなプラットホームへ移して、信頼性を高めるとともにネットワーク関連の面倒な要件から逃れようとするだろう。そうなるとこれはQualcommにとって巨大な財産になり、モバイルの次に優勢になるテクノロジーのトレンドが何であれ、それに乗り遅れるおそれはなくなるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))