Yコンビネーターの支援するCodeCombat、プログラミング学習RPGを提供中

プログラミングの勉強を始めたいと思ったものの、どこから始めて良いのか迷っている人も多いはずだ。プログラム初心者向けのサービスはいろいろと出揃ってきている。そんな中、最近注目を集めているのはYコンビネーターの支援するサービスで、ゲームを通してプログラミングを学ぼうとするものだ。

ゲームはウェブベースのもので、コンピュータサイエンスの基本講座で学習するような、JavaScriptの基本を勉強することができる(訳注:日本語化もされています)。ゲームを進めていくには、提供されるレッスンを理解して、自分でプログラムを書いてきちんと動作させる必要がある。

ゲームの内容はRPG風のもので、ビギナー用のシングルプレイヤーモードと、経験者向けのマルチプレイヤーモードが用意されている。対象としては楽しみながら基本を学びたいと考える高校生程度を想定しているとのこと。共同ファウンダーのGeorge Sainesによると「すごい勢いで参加者が増えています」とのこと。

開発を始めたのは2013年2月のことだ。来週にYコンビネーターを卒業することになっている。昨年10月からベータ版として運用しているのだが、その前からRedditでアルファ版のソースを提供していた。1月にプロダクト全体をオープンソース化し、利用者が自分でコンテンツを作れるようにレベルエディターも公開した。

「この動きをさらに広げていきたいと考えています」とSainesは言っている。「多くの人がゲームをプレイしてくれていますが、コンテンツ制作にはどうしても時間がかかります」。

レベルエディターを公開してから、103人がコンテンツの投稿を行ってくれたのだそうだ。

ゲームは無料で、Saines曰く無料で提供し続けていくつもりだとのこと。そして採用活動と結びつけることによるマネタイズを考えているのだそうだ。CodeCombatでは、ゲーム上に現れる課題をどのように解決したのか、どういう方法で解決したのかを記録に残すこともできる。そうした記録を残しておけば、プレイヤーのプログラミング能力を正確に見極めることもできるわけだ。

こうした情報を、採用希望企業と共有することによって、CodeCombatはいわゆるプラットフォーム料金を得ることができるというわけだ。

CodeCombatは無料で、こちらにてプレイすることができる。

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(翻訳:Maeda, H


World Science Uは、科学の基本原理を美しくシンプルに説明する教育コース

インターネットには、アインシュタインの特殊相対性理論から量子力学まで、科学の基本原理の美しくてシンプルな説明が溢れている。待望の大型オンライン・コース・プロバイダー、World Science Uが今日開業し、様々な重要テーマに関する短編ビデオやコースが満載されている。

「もし、時間の遅れや空間の収縮を実際に視覚化できれば、子供たちの理解はずっと深まるはずだ」と、World Science Uのファウンダーでコロンビア大学教授のBrian Greeneが、Stephen Colbertに語った

World Science Uが提供する教材の一端を見るために、以下にビデオを貼った。
最初は科学的な疑問に答える短いビデオの一例。

そして次は、特殊相対性理論に関する複数回にわたる短編の一つだ。6分30秒付近から、科学者がどうやって移動する物体中での時間の遅れを測るかの例をGreeneが説明している。

長編のコースでは、MOOC プレイブックのページを使用したり、フォーラムでの対話やクイズを混じえて学習プロセスを補完している。現在は全コース無料だが、将来は収益モデルを考えている。他のサービス、例えばCourseraやUdacityはすでに有償化を開始しており、証書の発行や受講時の補助なども行っている。

World Science Uが科学概念の解説として第一級であることは間違いなく、全国の教室で採用される日も近いだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Googleの会長Schmidt曰く, 経済格差が民主主義の最大の阻害要因になる

Googleの会長Eric Schmidtは今日(米国時間3/7)、テキサス州オースチンのSXSWに集まったオーディエンスを前に、サンフランシスコにおける経済格差の拡大と、それによって起きている抗議活動が“非常に心配だ”、と述べた。“あそこの平均的市民は、自動化やグローバル化やテクノロジから恩恵をこうむっている”が、経済格差は“民主主義の第一番の問題”になるだろう、と彼は予言した。

Schmidtはそのとき、彼の本The New Digital Ageの宣伝を、共著者のJared Cohenと共にしていた。それは、プライバシー、政府、テクノロジの社会的影響など、話題がきわめて多岐に亙る長いインタビューの中の、ひとこまだった。

Googleはこのところ、拡大する経済格差がもたらす社会不安の渦中にいる。サンフランシスコの活動家たちは、同社専用の通勤バスを、格差の象徴として攻撃している。ぼくが話を聞いた何人かのエコノミストは、サンフランシスコはテクノロジ企業が多いため、中間層が不況の猛威から守られている、と言うが、地代や家賃の高騰によって長年住み慣れたこの都市(まち)を追われてしまう者も少なくない。

テクノロジは一部の人にとって恩恵だが、しかし格差は拡大している。労働経済の専門家の典型的な意見の一つとして、MITのDaron Acemoğlu教授は次のように言っている: “今合衆国の労働市場、そしてヨーロッパなどほかの国々も、経済格差の激化を経験している。原因は一つではないが、爆発的な格差拡大をもたらしている最大の動因が技術の変化だ”。

Schmidtが提案する対策は三つある: まず、スタートアップを支援することだ。“今のこの問題の究極の原因は失業の深刻化だ。仕事を作り出すためには(既存企業は人が足りているので)、成長性の高いスタートアップを作るしかない”。

第二は、“教育と情報とネット接続の拡充”だ。彼もオバマ大統領と同じく、テクノロジ業界の慢性的な人不足を解決するためには教育、とくに理工系の教育の拡大が必要、と主張する。“創造性と人間的な配慮や思いやり”と無関係な仕事は、繰り替えし的な仕事を自動化できるロボットが奪ってしまう。リポーターなど、一部の知識労働者にもその危機は迫っている。そうSchmidtは予言する。

第三は、高度な技術系の仕事はつねに数に限りがあるから、政府による失業者福祉の充実が必要。Schmidt、仕事のない人でも“最低限、住居と医療だけは得られる”ための“セーフティネット”が社会に必要だ、と主張する。

いずれにしても今は、激しい変化が進行している。それに対する“長期的なソリューションは、テクノロジの進歩は誰にも止められないことをみんなが理解することだ”、とSchmidtは言う。テクノロジによって生じている問題の対策が、テクノロジの抑制や規制であってはならない、と言うのだ。そう、抑制の風土にスタートアップは育たないからね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


今や非営利事業も支援しているY Combinator, 次の育成対象はプログラミング教育のCodeNow

本誌の記事の昔からの常連で高名なインキュベータY Combinatorの傘下に、プログラミング教育を行う意欲的な非営利団体CodeNowが加わることになった。CodeNowのファウンダでCEOのRyan Seashoreは、YCの助力による今後の成長を期待している。

CodeNowはプログラミングの基礎を、高校生、中でもとくに女子や少数民族など、社会で被差別的な扱いを受けがちな層に教えている。ワシントンD.C.で2011年にローンチし、その後ニューヨークとサンフランシスコにも手を広げた。

その教育事業の構成は、週末のセッションとオンラインのコースワークと夏休みなどに行う合宿訓練から成る。Seashoreによると、彼が絶えず自問し、YCに加わることで一層増幅された問いは、“生身の人間対人間の教育をスケールしたい…しかしどうやって?”だ。

彼がとりあえず見つけた答は、とにかく集団教育やオンライン教育でも人間的側面を失わないようにすることだ。これまでCodeNowはクラスのサイズを最大30名に限定してきたが、最近その方針を変えて、クラスの人数は多いがそれを6~8名から成るグループに分割している。そして各グループにボランティアの先生がつき、各グループの能力や特質に合わせた進み方をする。

また企業やそのほかの団体などが、いわばCodeNowの‘分校’として独自に教育活動を展開できるために、標準化されたカリキュラム”CodeNow in a Box”を開発している。協力企業を探すのはこれからの作業だが、すでに数社が関心を示しているそうだ。

Seashoreは曰く、これが、どうやってスケールするかという問いへの答の一つである、と。彼によるとYCは、自分をそれまでのぬるま湯から蹴り出して、大きな視野を持つことを強制した、という。“これまでは毎回数百名の子どもたちが相手だったが、これからは一度に数十万という規模になる”、と彼は言った。

YCが、非営利団体も育てると発表してから手がけた最初の雛(ひな)が、1年あまり前のWatsiだった。そして昨年の秋にこのインキュベータは、一回の育成事業に複数のノンプロフィットがいてもよい、という方針を発表した。その育成資金は、寄付でまかなう予定のようだ。

YCの今のバッチにも、複数のノンプロフィットがいる。Seashoreは今、YCの‘生徒’になるためにMountain Viewに来ていて、サンフランシスコもCodeNowの重要な市場だと認めているが、本社は今後もニューヨークだ。つまり、YCがニューヨークのノンプロフィットを手がけるのは今回が初めて、ということになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


誰もが容易に対話的学習コースを作れるGoogleのOppia, 完全オープンソース(拡張自由)でローンチ

Googleはこのところますます、教育の世界に手を伸ばしてきた。中でもとくに同社は、テクノロジが学習の方法をどう変えるのか、ということの探究に関心があるようだ。Google Play for EducationGoogle Playを統合したSamsungのAndroidタブレットで学校の教室に進出し、またMOOCなどのオンライン学習コースを立ち上げるなど、本格的な高等教育の分野にも手を出し始めている。

今日(米国時間2/26)のGoogleは、初等統計学を一般大衆に教えるMOOCコースと並ぶ、教育分野の第二の実験も開始している。Googleのオープンソース関連のブログ記事によると、その実験プロジェクトはOppiaと呼ばれ*、“誰もがオンラインの対話的な活動の場を容易に立ち上げることができて”、そこからほかの人たちが学べるようにすること、を目標としている。要するに、MOOCなどの既製の学習コースを提供するのではなくて、誰もが簡単に利用できる学習コース開設サービスを提供するのだ。〔*: Oppia, フィンランド語で「学ぶ」。〕

Googleの説明によると、Oppiaプロジェクトを立ち上げた動機は、たしかに今ではビデオやSMSなどで配布される教育コンテンツの量は増えているものの、その多くが静的で非同期(ノン・リアルタイム)であることだ。つまり講義をそのままデジタル化~オンライン化しても、インターネットが得意とする対話的諸活動やコミュニケーション、フィードバックなどの機能はまったく生かされない。

Googleがオープンソースで開始するこのプロジェクトのねらいは、Googleが提供するフレームワークの上で誰もが…デベロッパでない人でも…簡単迅速に対話的な学習体験を開設提供でき、それがGoogleのコンテンツ資産にもなることだ。また同時に教師たち、教える立場の人たちは、このサービスを自主的創造的に利用することによって、‘テクノロジに自分の仕事を奪われる’という不安や恐怖から完全に免れることができる。

つまりOppiaが提供しようとしているのは、人と人(eg.教師と生徒)とのリアルタイムの対話性をしっかりと温存したオンライン学習、それを、誰もが実現展開できるためのフレームワークだ。それにより、それぞれの生徒個体の特性に合わせた教え方が可能になる。GoogleはOppiaを説明する文の中で、これまでのオンライン教育は人を海辺の釣り場まで連れていくことはできるが、Oppiaはその“コンピュータの力を生かし個人化されたフィードバックシステム”により、人に実際に魚の釣り方を教えることができる、と述べている。

そのシステムは学習の過程で、対話(フィードバックや質問など)の進行の中から、その特定の学習者に関するデータを集め、それに基づいて教え方や教材の構成などを柔軟に調整する。また、教師が出した問題に学習者が答を提供した場合でも、システムが自動的に正解を教えたり間違いを指摘したりはしない。人間教師と生徒とのあいだの、重要な対話性の契機を、システムが奪い取ることはしないのだ。

生徒が犯した間違いの性質を把握して、それらに個別に適切に対応していくことは、あくまでも教師の仕事だ。Oppiaは、教師と生徒とのあいだの、そういうフィードバックのやりとりを、便利な入力インタフェイスなどで支援し、両者間のコミュニケーションを円滑に、そして迅速にできるようにする。

またOppiaが教師と生徒に提供する入出力インタフェイスの構造など、フレームワークとしてのOppiaのアーキテクチャは、完全にオープンソースなので、今後開発に参加してくるデベロッパが…教える側学ぶ側のニーズに対応して…自由に拡張できる*。そしてOppia上でユーザが作り、拡張改造していくレッスンは、ほかのWebページに埋め込むことができる。埋め込みはレッスンの特定のバージョンを参照するので、そのページのユーザがレッスンの将来のバージョンに惑わされることはない。そうやって複数のバージョンを保存できることは、教える側にとっても便利だ。〔*: たぶん科目の違い…外国語学習、初等電子工学、etc.…や、教師の考え方や個性で、構成を自由に変えられた方が、ありがたいだろう。〕

また、個々の教師が孤立することなく、レッスンの作成や変更に関してほかの人たちとコラボレーションできる。バージョンコントロールの仕組みもあり、また学習者にいろんなパラメータを結びつけて、より詳細で深い対話的な学習体験を作ることも可能だ。しかもOppiaにはすでに、応答性の優れたモバイル用のUIも用意されている。

Oppiaの場合おもしろいのは、Googleのプロダクトではない、とGoogle自身が明言していることだ。完全なオープンソースをベースとして、今後いろんなデベロッパやユーザの手によって、多様な形で作られていくもの、とGoogleは位置づけている。メンテナンスも当然、各コミュニティがやっていく。その方がむしろ、オンライン学習~オンライン教育の、あるべき姿かもしれない。静的固定的なものが最初からがっちりとあるよりは。

いずれにしても、完成されたプロダクトではなく、人びとが今後その上で教育/学習という名の多様なレッスンプロダクトを作っていくためのフレームワークであり、プラットホームでもあるOppiaは、今後実際にそれがどう使われていくかで評価が決まる。学習ツールではなく学習ツールを作っていくためのツールだから、可能性としてはものすごく広い層のユーザに対応する。個人だけでなく、企業や団体も利用したいだろう。そういった広い層の、文字通り誰もが有効にOppiaを利用できるために、Googleにはドキュメンテーションを多様に充実させてほしい、と願いたい。

Oppiaのホームページがここにある。説明のためのYouTubeビデオもある:

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


GoogleがedXと組んでMOOCを展開か?: 一般大衆向け初等統計学コースをまず無料で提供

Googleが、調査や研究などの結果を表す統計データの理解の仕方を一般大衆に教えるMOOCを開始する。“Making Sense of Data”(データを理解する)と題されたそのコースは3月18日から4月4日まで行われ、MOOCの定石として一連のビデオ講義と対話プロジェクトから成り、またコミュニティのティーチングアシスタントを支援する。

コースを最後まで完全に履修し、宿題も全部やった人は、ご希望なら終了証書をもらえる。下のYouTubeビデオ(未公開)に、簡単な説明がある:

最近ホワイトハウスは、データサイエンスが分かる職員がもっと欲しいと言っており、その要望に応える有料のオンライン教育サービスがこのところ増えている。GoogleのMOOCは無料だが、内容的には彼らの仲間入りをすることになる。MOOCの二大大手、CourseraUdacityには、終了証書が有料のデータサイエンスコースがある。

Googleによると、このコースは同社のデータ視覚化ツールFusion Tablesと関連している。これは、データを噛み砕いて消化してグラフやチャートやマップなどで表示してくれるサービスだ。ただし対象は勉強好きのデベロッパではなく、あくまでも一般大衆。

Googleの目的は、現在の一般教育では一般大衆レベルにデータを正しく理解する能力が身につかないのでそのギャップを填めること、そしてついでに同社のプロダクトを宣伝することだ。同社のブログは曰く、“Making Sense of Dataは、学生や教師、ジャーナリスト、企業の管理職や経営者など、日々の仕事でデータを扱っている人たちに、データを有効に利用する能力を一層高めていただくことを目的とする”。

このコースの開設にあたってGoogleは、MIT/Harvard*のMOOCプロジェクトedXの協力を得ている。というか両者のパートナーシップは、誰でも自分のコースを開設できるようにする、という壮大なプロジェクトが本来の目的で、今回のMOOCはそのささやかな一端にすぎない。〔*: MIT/Harvard, マサチュセッツ工科大学とハーバード大学。〕

今、初等レベルの統計学の即席コースを求めている先生たちや企業人はとても多いから、この二週間のコースは今後、各地の高校などで頻繁の再利用され、Googleのベストプロダクトの一つになってしまうだろう。つまりこれはGoogleの顧客サービスではなく、れっきとした製品開発なのだ。

ぼくも最近、Courseraの統計学MOOCを数か月受講してみたが、そのクォリティは、ぼくが昔カリフォルニア大学で取った大学院コースと比べてもひけをとらない。合衆国のMOOCはすでに累積受講者が10万名を超えており、Googleのような企業が今回のようにマーケティングのふりをして(実は)製品開発に取り組んでもおかしくない、将来性に富む商材なのだ。

4月になったら、このコースのレビューを書いてみよう。いずれにしても、オンラインの学校というビジネスは、今後の高等教育と成人学習市場を強力にディスラプトしていくだろう。ただし、Googleなどが企業としてそれをやる際には、自社の企業利益と、大衆教育という社会的目標とのあいだの、細心の均衡が必要だ。

毎日大量のデータ処理でメシを食っている大企業が、データ理解のための公開コースを無料で提供するのはとってもクールだが、その内装ならぬ外装が持つ企業色には気をつけよう。

画像: theshirtdudes

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazonは全メディアコンテンツ、アプリ、ゲーム等をテレビやホームシアターに流し込むSTBを3月に発売?

Re/Codeの記事によると、Amazonは3月にテレビ用のセットトップボックスをローンチするらしい。つまり、この、eコマースとデジタルメディアの巨人が今実際に、ストリーミングTV製品の開発に勤しんでいるというのだ。しかもそれは、昨年のホリデイシーズンに出ると噂された製品の発売時期が延ばされたもの、ということらしい。

そのAmazonのストリーミングボックスは、同社のデジタルメディアのコンテンツをテレビで視るための製品だ。まずAmazon Instant Videoのタイトルがあるし、合衆国のAmazon Primeの会員に無料で提供されるコンテンツもある。音楽のカタログも膨大だから、ひまだった(かもしれない)ホームシアターの稼働率を上げるには恰好だ。

Re/Codeの記事は、AmazonのそのガジェットがAndroidデバイスだ、と言っている。ただしKindle Fireのときと同じく、独自にフォークしたAndroidが搭載される。そのセットトップボックスがゲーム機にもなるのか、その辺ははっきりしないが、でも本誌の情報筋が前に漏らしたところによると、確かにそいつはゲームもサポートする。また、最近、別の業界筋から聞いたところによると、昨年暮のショッピングシーズンを逃したにもかかわらず、ゲーム機能はある、ということだ。

Amazonがストリーミングのためのメディア製品を消費者に提供するのは、至極当然だ。しかもそれがAndroidでAmazon Appstoreから何でもインストールできるとなれば、アプリのオープンなライブラリの整備が遅れていた一部の競合他社は一気に追い抜かれてしまうだろう。問題は料金だが、Amazon Primeの会費が20~40ドル値上げされるという噂が本当なら、このハードウェアとコンテンツの完全無料化が、すでに織り込み済みなのかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


YouTubeよりは本格的な勉強のできるビデオ学習サイトCuriousが収益化を目指し$15Mを調達

【抄訳】

パソコンやスマートフォンなどの普及、クラウドサービスでコンテンツの制作と配布が容易になったこと、これらを背景として、テクノロジはわれわれの勉強の仕方を根本的に変えつつある。学習のためのコンテンツを発見し、作り、そして消費することがこれまでになく容易かつ安上がりになっただけでなく、良質なデジタルビデオが教室でも多用されるようになって以来、勉強が楽しい体験になりつつある。

今Webの上には、ビデオを使う学習ツールがたくさん存在するが、しかしその多くは、従来の大学などの課程をそのままオンライン化したサービスだ。しかし、昨年の夏にローンチしたCuriousは、生涯学習やホビーや、そのほかの多様な好奇心に応えて、小さなビデオ教材の集合と、そのためのマーケットプレースを提供するプラットホームだ。Curiousでは、教育の提供者側が課程を構成するのではなく、あくまでも学習者の好奇心と知識欲が学習の過程を導く。

Curiousの上では今、700名あまりの‘先生’たちが作った多様な教材ビデオを見られる。テーマは、洋裁、ピラティス法によるトレーニング、MS Excelの高度な使い方などなど、さまざまだ。Curiousはいわば、自分の好奇心の命ずるままにコースを編成でき、対話性もあるYouTubeだ。何か知りたいことがあったときに訪れるサイトとして、今いちばん優れているのが、Curiousだろう。

立ち上げ時にRedpoint Venturesや元Appleの会長Bill Campbellらから得た750万ドルの資金があるとはいえ、Curiousがビデオを利用する自己学習サイトとして本当に充実するためにはもっと急速なスケールアップが必要だ。サイト構成の充実だけでなく、本格的な収益化モデルと‘先生’たちへの報償システムもいずれ必要になる。

そこで同社はこのほど、GSV Capitalが率いるシリーズBのラウンドとして、1500万ドルを調達した。この投資には、Redpoint Venturesなど既存の投資家たちも参加している。

今後の収益化計画については、教材ビデオ/教習ビデオの部分的有償化として:
●‘先生’たちが自分の複数のビデオを連ねて一つないし複数の課程(コース)を構成する場合、それらを有料化してよい。
●個別ビデオは原則無料だが、生徒は同サイトの仮想通貨Curious Coinを使って‘先生’に任意で謝礼を進呈してもよい。
といった方式を考えている。

基本的にCuriousの長期目標は、学習者にとって便利なサイトであることと、人に教えることを厭わない人びとの収入基盤であることの両方を、同じ比重で実現することだ。

下のビデオでは、CuriousのファウンダJustin Kitchが、CuriousのiPhoneアプリをデモしている:

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


イギリスは義務教育(5-16歳)公式カリキュラムにプログラミング教育を導入–9月施行にさきがけYear Of Codeキャンペーンを助成

現代の政府は問題を抱えている。インターネットは将来の経済にとってますます重要だ。しかしそれを活用するための技能は、教育政策の中でもずっと下位のプライオリティしか与えられていない。初等教育の段階からプログラミングを正式の教科として導入している国は、ニュージーランド、韓国、アメリカ合州国、イスラエル、連合王国(イギリス)など、ごくわずかだ。

イギリスではこの問題が、政策課題として大きく浮上してきた。それは同国で、スタートアップの爆発的な増加が見られるようになったからでもある。今年イギリスは、G20の経済的上位国の中で初めて、プログラミングを全国レベルで学校のカリキュラムの中核的な部分に位置づける国になる。タイミングも良い。今年はWebの誕生から25周年を迎え、しかもそれを世界に与えたのはイギリスの科学者Sir Tim Berners-Leeなのだ。

今日(米国時間2/4)、ロンドンで行われたカンファレンスSkills 2014 Summit〔主催: RSA、Codecademyらが協賛〕で、財務長官George Osborneと教育長官Michael Goveが、この重要な技能の普及と、ひいては活発な起業家精神の育成を図るために、教師を対象とするソフトウェアのコーディング(==プログラミング)の教育訓練事業を開始する、と発表した。

この教師教育訓練事業には政府が50万ポンドを投じ、そしてそれと同額を、実際の教育訓練を行うコンピューティングの専門組織企業(複数)が負担して、今後児童生徒に対するプログラミング教育のカリキュラムを実践していく教師たちを、教えていく。イギリスの企業は今月の終わりに、この政府補助事業への参画を申請する。

新しいカリキュラムの全国展開の準備のために50万ポンドはあまりに小額に見えるが、政府のスポークスパーソンが本誌に語ったところによると、この補助事業は今および今後行われる教師育成施策全体の中の、ごく一部にすぎない。

たとえばすでに政府はBritish Computer Societyに200万ポンドを投入して400名の‘指導教師’たちのネットワークを作り、そのほかの学校の教師たちの教育に当たらせるとともに、教室で使用する教材なども提供している。また110万ポンドを投じて行われている’Computing at School’プロジェクトは、オンラインのリソースと学校でのワークショップにより、今すでに教室でプログラミングを教えている小学校教師に対する教育訓練を提供している。このほか、コンピューティングの教師になりたい者への政府奨学金があり、またコンピュータ科学の教師への25000ポンドの奨学金がMicrosoftやGoogle、IBM、Facebookなどの協賛により設けられている。

新しい全国カリキュラムは今年の9月に導入されるが、上記の話はすべて、学校と教師がその教育実践能力を持つための下地作りだ。そのカリキュラムは、Royal Society of Engineering(イギリス工学学会)とGoogle、Microsoftなど指導的企業からの意見や助言を取り入れて設計された。

今回の補助事業は、民間の共同キャンペーンUK’s Year of Codeに対する政府補助の一環だ。このキャンペーンは、合衆国のHour of Code事業を半ばモデルにしている〔参考記事(1)(2)〕。

このYear of Codeキャンペーンの目的は、多くの教師や児童生徒にコンピュータのプログラミングに前向きに取り組んでもらうための、一種の啓蒙活動だ。協賛団体企業はBBC、Codecademy、CoderDojo、Decoded、FreeFormers、ounders4schools、RaspberryPi、Young Rewired Stateなどなど、とても数が多い。

このキャンペーンの最初の部分には、Moshi MonstersのテーマによるPongゲームを作っていくプログラミング入門講座がある。これを作ったKanoは、Index VenturesのSaul Kleinが支援しているスタートアップだ。

そしてそのあと、12か月にわたり、一般国民レベルでのコンピューティングの振興を目的とするいろんなイベントが行われる。たとえば3月には、特定の1週間を決めて、その週にはイギリスのすべての学校ですべての児童生徒に、少なくとも1時間、プログラミングを教えることが奨励される。

昔ながらのICT教科が、9月からの新カリキュラムで置換される。つまり、Word、Excelなどをベースとするコンピュータリテラシーの教育が、プログラミングの仕方、プログラムの作り方、コンピュータの動作原理の理解、といったより今日的な社会経済ニーズに対応する授業内容へと一変するのだ。政府の新方針では、5歳から16歳までの全児童生徒にプログラミングの学習が義務化される。

テクノロジ系スタートアップに関するイギリス首相の特別顧問だったRohan Silvaが、Year of Codeキャンペーンの座長を務める。また、Million Jobs CampaignのファウンダLottie Dexterが、キャンペーンの総監督だ。

Index VenturesのパートナーSaul KleinもYear of Codeの熱心な協賛者であり推進者の一人だが、彼はこう言う: “われわれは三つのR(three Rs; reading, ‘riting, and ‘rithmetic — 読み書き算数)で育ったが、今回のきわめて重要なカリキュラム変更により、これからの子どもたちは三つのRと一つのCで育っていくのだ”。

政府関連機関だけでなく、たとえばGoogleは昨年、Code ClubやTeach First、Raspberry Pi Foundationなどに100万ポンドあまりを寄付し、Microsoftは巡回教育事業”Switched On Computing”により、教師たちを教育している。

YouGovに委託して行った調査によると、今ではイギリス人の多くが、テクノロジの知識は読み書き算数と変わらぬほど重要、とみなしている。

その調査は4000名の成人を対象に行われ、その60%近くがコンピュータのプログラミングは今日の職業市場におけるきわめて重要な技能と考えている。また94%は、一般的なITスキルが通常のリテラシー(読み書きの能力)や算術能力と並んで就職準備のため不可欠、とみなしている。5歳から16歳までの子どものいる回答者の94%は、コンピュータの技能が今日の職業市場において重要、と見なしている。リテラシーが重要と答えた者の94%、算術能力が重要と答えた者の95%が、コンピュータ技能も等しく重要と答えている。地区をロンドンに限定するとコンピュータ技能が重要と考える者は全体の98%となり全国平均よりも高く、しかもリテラシーや算術を重要と答えた者よりも多い。一方、全国ベースで、外国語が重要と答えた者はわずか62%だった。

そして親たちは、子どもたちが学校で十分なコンピュータ技能を身につけるべき、と考えている。今現在で自分の子どものパソコン技能が‘非常に良い’と答えた者は19%、‘かなり悪い’と答えた者が13%だった。若年期にプログラミングを学んだ親はほとんど皆無で、さらに若年期以降では、プログラミングの学習経験者がさらに少ない。

さらにこの調査では、プログラミングのやり方を知っている、が10%、しかし50%近くが、機会があれば学習したい、と答えている。別の調査では、今日の職業の50%が今後2年以内にテクノロジとオートメーションに奪われる、と見なされている。

これら最近のプロジェクトは、前のUK Digital Skills ChampionでGo On UKを主宰するMartha Lane-FoxがFacebookやBarclaysやFreeFormersから立ち上げたデジタル技能教育キャンペーン’Web for Everyone‘を、発想の契機としている。

Year Of Codeは、テクノロジと起業家精神とクリエイティブな思考を励起していくためのすばらしい企画だ。しかしそれは、最近再び政府*がお熱をあげている古めかしい古典の教育や、罰則としての100行筆写などとは、あまりにもコントラストが激しすぎる。〔*: 100行筆写罰則の復活、地域清掃罰則などは、政府がというより、今の‘食わせ者’と評されることもある教育長官Michael Gove**のスタンドプレイとも見なされている(顔を見ただけでどういうタイプの人物か分かりそう!)。**: 着任が2010年5月だから、これまでのコンピュータ教育プログラミング教育推進の流れとは、ほとんど無縁の人。〕.

100行筆写の課題が、プログラムのコードにだけは、ならないでほしいけどね。

下のビデオは、Year of Code事業の公式紹介ビデオだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


既存大学そのままオンライン化の限界を悟ったUdacityが, 企業人を先生とするデータサイエンス課程を開始

インターネットの上には、その気になればビジネスに活を入れることのできる貴重なデータがたくさんあるので、今企業は、それらのデータの中からデジタルの金塊を発見できる統計家を熱烈に求めている。ホワイトハウスもデータサイエンティストの増員が必要と言い出した昨今、MOOC(Massively Open Online Course, 大型公開オンライン課程)のプロバイダUdacityが、有料の統計学課程をローンチした。

“すでに相当大きな需要がある。このオンライン課程により、求人者と求職者とのあいだのスキルギャップを解消したい”、とUdacityのファウンダSebastian Thrunは言っている。

“探査型データ分析(Exploratory Data Analysis)”と題されたそのコースは、 月額150ドルで3月に始まり、Facebookのエンジニアが授業を担当する。また、今日(米国時間1/22)始まる”データサイエンス入門(Intro to Data Science)”(同じく月150ドル)は、小売業向けの小さなアフィリエイト企業Yubのエンジニアが教鞭をとる。

受講期間は受講者のペースにもよるが、およそ2週間から2か月である。

しかしこのオンライン教育を、大学のオンライン課程に比べるとどうだろうか。UC Berkeley(カリフォルニア大学バークリー校)は、学費6万ドルで2年がかりのオンラインデータサイエンスコースを開始した。Udacityのコースに比べると、期間も学費も相当大きい。

今のところ、Udacityがバークリーに比べて良いとか悪いとかは言えないが、ぼく自身はかつて、ふつうの大学で統計学の修士号を取得した。そこで、ぼくの過去の学習体験と、CourseraでJohns Hopkins大学が無料で提供しているデータサイエンスコースを比較してみた。

率直に言って、Couseraはなかなか良い。授業内容はぼくが大学で受けた講義や演習などとほとんど変わらないが、教え方のテクニックは最新だ。

Udacityのは、先生が企業人だ。だから教材として使用されるデータ集合は、ぼくが大学の統計学で使ったものよりも、ずっと実用価値が高いだろう。

Udacityのビジネスとしては、どうなるのか、そこがまだはっきりしない。同社はこれまで、総額で2000万ドルの資金を獲得したし、ジョージア工科大学のコンピュータ科学の学位を6000ドルで提供している。カリフォルニア州立サンノゼ大学との実験的な提携がうまく行かなかったので、今多くの大学がオンラインコースの提供開設をためらっている。しかしThrunは、学習資源を既存の大学以外にも広げていきたい、と言っている。だから今回は、企業人の先生に教わるのだ。

今後は、このようなノン大学のコースを、コンピュータ科学Web開発、そしてモバイルWeb開発でも始める予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


暗記帳を共有する無料アプリ「zuknow」、転職サイトのビズリーチがEdTech参入

ビズリーチは21日、個人の学習ノウハウを共有するアプリ「zuknow(ズノウ)」のiOS版を公開した。第一弾の機能として、外国語や資格試験などを覚える「暗記帳」コンテンツを作成・共有するサービスを開始。紙や参考書を使っていた学習をスマホに置き換え、スキマ時間に学習できるのが特徴だという。学生時代、テスト前に優秀なクラスメイトが作ったノートを借りるようなやりとりがアプリ上で実現するのだとか。

暗記帳コンテンツは表・裏で構成されるカード形式で、文字や画像を付けられる。例えば表に英単語、裏に意味を記載する単語帳のような使い方から、表に人物や動物の画像、裏に名前を記入する画像付きカードなどを作成できる。Siriの音声機能を使って発音をチェックする機能も備える。

覚えたカードにはチェックを入れ、覚えていないカードだけを表示することが可能。すべてのカードには自動的に4択のクイズが生成され、自分がどれだけ覚えたかを確認できる。クイズの正解数をグラフ化したり、学習の進捗状況に応じてさまざまな絵柄のバッジを付与するなど学習の継続を促す機能も備える。

コンテンツは、アプリ内の“いいね”の数や、学習者の多いコンテンツをランキング形式で表示。現時点では、昨年から提供してきたベータ版登録ユーザーが作った約1万の無料コンテンツに加えて、NHKの語学番組で紹介されたフレーズを紹介する有料コンテンツを用意している。

自分が作成したコンテンツはすべてのユーザーに公開・非公開のどちらかしか選べないが、今後は指定したユーザーとだけ共有する「クラス機能」を追加する予定。現在はコンテンツのほとんどが語学や資格試験に関するものだが、ビズリーチの南壮一郎社長はクラス機能を活かすことでユニークなコンテンツが生まれると話す。

「リリース前のクラス機能を試すにあたって、社員の名前と写真を紐付けたコンテンツを使っています。ビズリーチは毎月10人ペースで採用していて、社員の顔と名前がすぐに一致しなくなってきたが、そんなときにズノウが便利。すべての社長が使うべきです(笑)。そのほかにも、社内用語集を共有するといった使い方も考えられます。」

ビズリーチ南社長は社員の名前と写真を紐付けたコンテンツを使っているという

ビズリーチは、エグゼクティブに特化した転職情報サイト「ビズリーチ」や、分社化したルクサでネット通販などを手がける企業。既存事業とズノウの相乗効果は「一切ない」(南社長)という。教育とテクノロジーを組み合わせるEdTech事業に参入することになったのは、日本と海外で教育を受けてきた南氏の実体験が影響しているという。

「幼少期から大学時代にかけて、日本、米国、カナダの3カ国で教育を受けてきました。国は違えども、共通していたのは学校の仲間が勉強のノウハウを教えてくれたこと。その一方で、一生懸命作ってみんなと共有していたノートは、学年が変わると捨てられている。こうした資産を有効活用して世界に伝えたいと思ったのがズノウを思いついたきっかけ。」

今後は3月にAndroidアプリをリリースし、2014年で30万ユーザー、3年後に300万ユーザーを目指す。


Code.orgの提唱した「Hour of Code」、2週間で2000万人が学び、生まれたコードは6億行

一年ほど前、Hadi PartoviとAli Partoviの兄弟がCode.orgを立ち上げた。目的はアメリカにおけるコンピュータサイエンスやSTEM教育の普及を支援するためだ。合衆国中でSTEMに力を入れる学校やコースを増やすことを目指している。どうやら、このCode.orgの動きは大きな流れとなり始めているようだ。

12月9日、Code.orgはHour of Codeという全国キャンペーンをスタートさせた。Code.orgにあるコーディングコースやチュートリアルを使って、アメリカ中の先生に初歩のコンピューターサイエンスの授業を1時間行ってもらおうとするものだ。Computer Science Education Weekと時を同じくして開催された。キャンペーンの具体的な目的は、現在までのところ10校中9校ではコンピューターサイエンスに関わる講座が設けられていないというアメリカ教育会の現状に変革を迫ろうとするものだ。

こうした全国を巻き込んだキャンペーンやロビー活動が、どうやら実を結びそうな展開となっている様子だ。政策面でもコンピューターサイエンスの重要性が各地で認められつつあるようであるし、またHour of Codeのキャンペーンも大きな注目を集めた。たとえばアラバマ州、メリーランド州、そしてウィスコンシン州は、州内の教育ポリシーの変更をアピールした(ないしアナウンスする予定となっている)。またChicago Public SchoolsおよびNew York City Department of Educationもコンピューターサイエンス授業の採用を予定していることが発表された。

さらに、Partovi達によれば、Computer Science Education Weekの期間に1500万以上の学生がHour of Codeに参加して、トータルで5億行ものプログラムを書いたのだとのこと。Computer Science Education Weekは12月16日に閉幕したわけだが、Hour of Codeの方は続いていて、参加者数は2000万を超え、書かれたコード行数も6億7500万行となっているのだそうだ。

ちなみに、このHour of Code参加者には海外からの参加者も含まれている。参加者の国数を数えると170ヵ国にのぼるそうだ。それでも海外からの参加者と、大人の数を覗いてカウントすると、アメリカ国内のK-12段階の生徒の4人に1人がHour of Codeに参加したのだとのこと。また学校単位でHour of Codeに参加しているところから、この2週間のうちに参加した女子の数が、公立学校生徒に通う女子でコンピューターサイエンス授業を受けた女子の総数(全歴史)を上回ることにもなったのだそうだ。

Hour of Code参加者の数値をもう少し詳細に見ておこう。Code.orgの発表によれば、参加者総数は2000万以上で、83%がアメリカからの参加だった。74%がK-12レベルの生徒たちで、51%が女子だったようだ。アフリカンアメリカンの率は8%で、ヒスパニック率は14%だった。この数字がこれをきっかけに伸びていくのか、また1時間のプログラミング教育の効果のほどがどの程度のものであるのかといったことは、今後検証していくことになる。しかしHour of Codeはかなりの成果をあげたということができるのではなかろうか。

これだけ大きなムーブメントとなるために、キャンペーンで行ったことはなんだっただろうか。

まず、Hour of Codeは数々のビッグネームによる支援されていた。TechCrunchでも記事にしたようにMicrosoftやAppleも、自らの小売店舗にてHour of Codeのクラスを開催した。また、Appleはこの催しについてホームページを通じて広く告知してもいた。さらにGoogleはアメリカのコンピューターサイエンティストでCOBOL言語の開発者であるGrace Hopperを偲ぶGoogle DoogdleにてComputer Science Education Weekの幕を開けた。また、このGoogle Doodleの下にはHour of Codeキャンペーンへのリンクも掲載していた。

さらに、YouTube、MSN、Bing、Yahoo、Disney(などなど)で広くフィーチャーされ、有名な政治家、ミュージシャン、スポーツ選手なども支援を表明していた。たとえば芸能人でいえばシャキーラ、アシュトン・カッチャー、アンジェラ・バセット、またアスリートで言えばクリス・ボッシュ、Warren Sapp、あるいはドワイト・ハワードなどだ。テック界からもスティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグ、およびSusan Wojcickiなどが支援者に名前を連ねている。

政治家も党派を問わず賛意を示していた。名前をあげればオバマ大統領や多数党院内総務を務めるEric Cantor、Cory Booker上院議員、ニュート・ギングリッチ、合衆国教育省の長を務めるArnie Duncanなどだ。

生徒たちにプログラミングを指導するのを支援するためにCode.orgは、企業、非営利組織、ないし大学などの協力を仰いでオンラインチュートリアルを用意した。こうしたチュートリアルを求める動きも活発で、たとえばAll Things Dの記事によれば、Khan Academyで用意したビデオを見るトラフィックが増大し、サイトが一時的にダウンしてしまうほどだったとのこと。

キャンペーン自体は大いに注目を集め成功であると評価して良いものと思う。しかし今回の2000万人はあくまでもスタート地点だ。興味をもった人は、自身でもHour of Codeのサイトから面白そうなコースを見つけて参加してみては如何だろうか。また先に示した記事の中にも、オバマ大統領などからのメッセージビデオも掲載している。またComputer Science Education Week期間中の動きについてのインフォグラフィックを下に掲載しておこう。

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(翻訳:Maeda, H


「コーディング教育など無用だ」。そう主張する人に伝えたいこと

久しぶりに、オバマ大統領が2つの話題でTwitterを賑わした。ひとつはもちろん追悼式典会場における自分撮り記念写真の可否問題で、もうひとつは「皆にコーディングを学んで欲しい」という発言だ。

Computer Science Education Week関連イベントの一貫として、オバマ大統領は「アメリカ人全員にコーディングを学んで欲しい」旨を訴えかけるビデオを投稿した。

「コンピューター関連のスキルを身に付けることは、皆さん自身の未来に係るだけではないのです。アメリカという国にとっても非常に重要なことなのです」と大統領は言う。「アメリカが最先端の国家であり続けるために、皆さんのような若いアメリカ人に、これから大きく変化していくコンピューター関連ツールおよび技術をきちんとマスターしてもらう必要があるのです」とのことだ。

前にもこういう話は出た。ニューヨーク市の市長であるマイケル・ブルームバーグが、2012年の抱負としてCodecademyを使ってコーディングを学ぶことにしたとツイートしたときだ。これはかなりの反論を招いた。

たとえば「コーディングの知識を持つことと、配管の知識を持つことの意味に大差はない」とDiscourseの共同ファウンダー兼CTOのJeff Atwoodは意見を表明し、標準的な教育シーンでは、少なくともコーディングと同程度くらいにはコミュニケーションスキルの学習が重要なはずだと述べている。コンピューティングの時代だからコーディングを学べという風潮に対し、多くの人がエンジンの作り方を知らなくても車は運転できると反論した。

今回も、たとえばSlateのMatthew Yglesiasは、アメリカには読み書きのできない人もまだ多くいて、コードリテラシーを高める云々よりも、本当のリテラシーを高める努力の方が必要なのだと主張している。

いろいろな意見があるが、しかし個人的には、やはりできるだけ多くの人がコードリテラシーを身につけるべきだと考えている。起きている時間のほとんどの時間を蛇口の前で過ごし、議会が将来的な蛇口の多様性に関する法案を熱心に審議しているような世の中なのであれば、確かに配管の知識を学ぶことが重要になるだろう。車の例で言うのなら、Program or be Programmedの著者であるDouglas Rushkoffの意見に与する。曰くコーディングのことを全く知らないというのは、車を運転できないということを意味するのではなく、目隠し運転をするようなものだとのこと。エンジンの組み立て方を知らなくても運転はできるという人がいるが、しかしエンジンの物理的な仕組みや内燃機関の動き方については、ほぼ全ての人が学ぶようになっている。車の世界とテックの世界を比較して言うのなら、確かに多くの人にとってFacebookを独力で構築するようなコーディングスキルをマスターする必要はないだろう。しかしどのように作られているのかといった知識程度はなるべく多くの人が知っておくべきことであると思う。

もちろん、プログラミング教育によって、読み書きや算数など、他の教科学習を犠牲にすべきだなどとは考えていない。そもそも他の教科学習を犠牲にする必要など全くないのだ。コーディング関係の知識というのは、他の教科学習と平行して身に付けることができるものなのだ。

たとえば算数や数学がコンピュータープログラミングと親和性の高いものであることは、誰もが認めるところだと思う。たとえばStephen Wolframの弟であるConrad Wolframは、算数・数学教育に、もっとコンピューターを持ち込むべきであると強硬に主張している。自ら運営するComputerbasedmath.orgでは、繰り返し学習で手順を暗記するようなことはやめて、計算はコンピューターにまかせて、手順の背後にある概念に思いを巡らせることをもって算数・数学教育とすべきなのだとしている。

「なぜコンピューターがはるかにうまく行えること(計算)ばかりを生徒にやらせるのでしょう。現在はまだコンピューターにまかせることのできない創造的思考や分析、問題解決のための方法などを学ぶようにすべきなのではないでしょうか」とブログでも書いている。またエストニア政府に協力して、同国の統計確率についての教育カリキュラムを新規に策定することになっているのだそうだ。この分野をコンピューターなしで行うのは馬鹿げたことだとも言っている。但し、話をこういう国家規模の話にもっていく必要もない。算数や数学の授業に、ちょっとしたプログラミングを伴う演習を入れるのははるかに簡単に行うことができる。

アメリカの高校教育で選択科目として人気なのは経済学だが、プログラミング講座の開講を真剣に検討すべきだろう。またプログラミングは他の科目との連携して学習することもできる。カレッジレベルの生物学や物理学を学ぶのに、プログラミングを通じて行おうとする本はいくつも出ているし、そうした内容を高校レベルに導入することもさほど難しくないはずだ。

もちろん算数/数学や理科といったいわゆる理系関連科目のみが、プログラミング技術との親和性を示すものではない。たとえば音楽理論の習得にSuperColliderPureDataを使っているところもある。音楽理論自体の学習も楽しくインタラクティブに行うことができ、同時にプログラミングについても学ぶことができるのだ。またNew York UniversityのAdam Parrishはプログラミングを通じた創造的文章講座を開設している。学生にPythonの基礎を教え、Twitter APIを使ってコンピューターに現代詩を生成させるといったことを行っているのだ。

さまざまな教科は、コンピューター科学などと融合させることで一層面白く学べるようになる。プログラミング、電子工学、数学、物理、そして音楽を教え、最終的にArduinoを使ったシンセサイザーを制作するコースなどといったものも面白そうではなかろうか。

学生たちに、学んで何かを実現する楽しみを教えるという意味もある。たとえばあるブログに「People Feel Dumb: That’s Why They Don’t Code」(プログラミングは頭の良い人にしかできないのだと諦める人々)というタイトルの記事があった。これは面白い論考で、確かに自分はもっと優秀になれるのだと考えている生徒こそが良い成績を残すという調査結果もある。自分は愚かだと考える生徒が、どんどん落ちこぼれていくことになるという話だ。これは個人的にもよくわかる話だ。作文や絵画など、創造性を問うような授業にて、自己否定してしまえばまったく良い成果を残せなくなってしまうのだ。

「ぼくには無理」とか「才能がないんだ」という諦めの気持ちを持たせないためには、なるべくはやい段階での成功体験を与えることもひとつの方法だ。プログラミングなどという、難しいものと考えられがちのことが「できる」喜びを伝え、音楽を作ることが出来ると体験させ、算数が楽しいものであることを経験させる。こうした体験は、その後の教育成果に繋がっていくはずだ。

すべてがうまくいきそうなスキームに思えるが、最も困難な問題は教師側にあるだろう。エストニアは昨年、小学校段階からコンピューター科学を教えていくことを決めた。このためにまず行っているのは、やはり教師側のトレーニングだ。アメリカにおいても、こうしたことを念頭において前に進んでいくべきだろうと思う。

Photo by Michael Himbeault

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(翻訳:Maeda, H


12歳の少年二人がプログラミングスクールを開校, 2年間ですでに150名が課程を終了

[筆者: Mike Abbott]
この記事は、本誌の”Founder Stories“シリーズの中でもきわめて特殊だ。

まず、これまで登場した起業家の中でいちばん若いこと。Max ColbertとMatthew Dillaboughが2011年にThe Menlo App Academyを創ったときには、二人とも12歳だった。このAcademy(学校)は、小6から中3までの生徒たちに、iOS上のアプリケーション…iPhoneアプリなど…の作り方を教える。これまでの2年間でこの学校は、15のクラスを‘終了’し、150名近くの生徒を‘卒業’させた。

すごいわ。

次に、このTCTVの‘番組’の中でColbertとDillaboughは主に、Academyを始めた背景事情を語っているのだが、彼らは何よりもまず、プログラミングができるようになりたいという友だちがとても多いことに、気がついた。学校の勉強、スポーツ、そのほかの活動と毎日忙しい両人は、それでもなんとか時間をひねり出して、生徒集めとオンライン/オフライン両面でのマーケティング活動に励んだ。そして、子どもたちの人生のオプションの中にはコンピュータリテラシーの獲得もあるんだ、という状態を作り出すことに成功した。さらに二人は、子どもが子どもに教えることから生まれる微妙な副作用(大人が子どもに教える場合にはない)と、‘教師’の数が増えるに伴って、その全員とコミュニケーションすることの重要性について語った。

ぼくがいちばんびっくりしたのは、Colbert、Dillabough両人の、大人びた落ち着きだ。彼らの志(こころざし)は純粋であり、しかも今は、子どもたちが低学年のころから、機械としてのコンピュータと学門としてのコンピュータ科学のリテラシーを身につけ、明日の世界へのより良い備えを獲得しなければならない時代なのだ。

編集者注記: Michael AbbottはKleiner Perkins Caufield & Byersのゼネラルパートナーで、以前はTwitterの技術担当VP、そして彼自身もファウンダだ。Mikeのブログはuncapitalized。Twitterでは@mabb0ttだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


プログラミング教育用トイ・ロボットのPlay-i、140万ドルを調達していよいよ来夏より出荷開始

これからは世の中にさらにテックの要素が増えていき、そして仕事でも一層テック系の素養が必要となってくる。それであってみれば、子供たちにコンピューターサイエンスやエンジニアリングを教えていくことが大切だ。と、そういう考えを当然のことだと考える人も多い。しかしアメリカでは10校のうち9校までがプログラミングの授業を行っていない。コンピューターサイエンスやテクノロジーに親しませ、積極的に関わっていくことができるようにするためには、たとえば他の言語を学ぶのと同様に、早期に始めることが非常に大切なことなのだ。もちろん、内容は楽しいものでなければならない。

コーディングのスキルを身に付けるのには時間もかかり、大人になってからではかなり難しくなってしまう。但し、子供を椅子に縛り付けてコーディングの勉強をさせるのもまた難しいことだ。もちろんコンピューターサイエンスの理論を覚えこませようなどというのも無駄に終わる可能性が高い。これに対処しようと動き出したのが、GoogleでConsumer Payments部門の長を務めた経験をもつVikas Guptaだ。子供たちが楽しくプログラミングを学ぶことのできるPlay-iというプロダクト(プログラムでロボットを動かす)を生み出したのだ。

共同ファウンダーにAppleでiPodソフトウェアチームを率いていたSaurabh Guptaおよび,
Frog Designでエレクトロニクスプロダクトおよび玩具のデザインおよび製造を行っていたMikal Greavesを加えて、Play-iの開発を行った。開発にあたっては、子供たちが「遊べる」ものを作ることを心がけたのだそうだ。こうした考えに沿って生まれてきたのがBoとYanaという2つのロボットだ。プログラムで制御できる、インタラクティブなトイ・ロボットだ。

Play-iは昨年、Google Ventures、Madrona Venture Groupなどから100万ドルの資金を調達してプロトタイプの開発を行った。現在もまだ細部を詰めている段階ではあるが、全体的な学習システムはほぼ完成し、ついに商用リリースの目処がたつところまでやってきた。来年には販売を開始する予定で、そうなればiPadで動作するPlay-iを使って、BoやYanaと一緒に遊ぶことが出来るようになるわけだ。

iPad用アプリケーションには、アクションシーケンスや、簡単なコマンドが用意されていて、それを並べてロボットを動作させることができる。たとえば手のようなパーツを叩いたり、あるいは手を振るように動かしたり、握手するような動きを行うことができる。3つのタイヤを備えたBoは部屋の中をあちこちに動きまわることができるし、ライトを点滅させたり、木琴を演奏したり、あるいはYanaを揺らしてライオンのように吠えさせたり、さらにはロボット2台を対話的に動かすことなどができる。実際に動いたり音楽を奏でたりするおもちゃを通じて、自分のプログラムがいったい何を引き起こしているのかということを学習していくことができるのだ。

また、単にロボットが動くのを見て愉しむ段階をこえて成長しても、このPlay-iを楽しめる仕掛けが用意されている。すなわちPlay-iで使うことのできるコマンドは、JavaやPythonなどといったプログラミング言語を用いて作成されたものなのだ。こうしたプログラミング言語を活用して、自分だけのコマンドを作ることもできるわけだ。これにより、さまざまな年齢層でBoおよびYanaとのコミュニケーションを愉しむことができるようになっており、いろいろなレベルでプログラム開発を行っていくことができる。

おもちゃを使ってプログラミングを学ぼうというコンセプトは、このPlay-i以外にも昔から存在するものだ。Play-iについての以前の記事でも指摘されているように、この分野にはCargo-Bot、Move the Turtle、あるいはBee-Botなどの先輩プロダクトがある。比較的新しい分野だとはいうことができ、いろいろなプロダクトが今後も参入してくることとなるだろう。こういうプロダクトに対するニーズも、最近になって生まれてきたものだ。教育会全体としてもSTEM教育に関心があつまりつつあり、それもあって若年層に対するテック教育のためのツールが探し求められるようになった背景もある。この分野は、今後ますます発展していくことになるのだろう。

もちろん共同ファウンダーたちは、このBoとYanaのことをとても気に入っている。しかし一般の消費者が興味を持ってくれるのか、あるいは商品を手にとってみたいと思ってもらえるのかについては慎重な姿勢ももっていた。すなわち11月半ばにクラウドファンディングでのプロジェクトを立ち上げて、一般の人の反応を探ってみたのだ。反応は上々で、しかもアメリカ以外の国の人も関心を持っていることが判明した。

Kickstarterでの31日間のキャンペーンにて、Play-iは目標の5倍となる140万ドルの資金を調達した。また、そのうちの2万6000ドルは、学校や経済的に恵まれない子供たちを対象とした施設に対してPlay-iを寄贈することを目的とした寄付として出資された。出資者はイギリス、カナダ、ドイツ、オーストラリア、インド、フランスなど多数の国にわたり、全体の30%以上がアメリカ国外からのものだった。

プレオーダーの件数も1万を超え、出荷は来年の夏から開始される見込みだ。それまでの期間は、製品の最終仕上げと、販売パートナーの獲得を行っていく予定なのだそうだ。Gupta曰く、Play-iをサイトおよび実店舗の双方を通じて販売していきたい考えであるとのこと。但し詳細についてはまだ決まっていないらしい。

今後もまだまだ新しい情報が出てきそうなPlay-iのホームページはこちら。またファウンダーのインタビュー動画を下に掲載している。

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(翻訳:Maeda, H


Codecademyがプログラミング学習をモバイルアプリ化–食べやすい一口サイズで通勤のお供に最適

毎日アプリやインターネットについて書いている私だが、プログラミングをちゃんと勉強したことはない。

上で“ちゃんと”というクッションを入れたけど、私の場合本当は“まったく”と書くべきだった。いまだに、プログラミングなんて全然知らない。中学ではちょっと勉強したと思うけど、高校はCSの教科なし、大学では学生新聞の記事を書いたり、とっくに死んだ白人男性たちが書いた本ばかり読んでいた。私の若き日の人生には、プログラミングのプの字もない。

でも私のトゥドゥリストにはある。神に誓ってうそではない。

今日(米国時間12/9)はネット上のプログラミング自習塾Codecademyが、初めてのアプリを作ってリリースした。30分足らずで終わる、プログラミング入門編だ。今日は洗濯物が山のようにあるから、ひまつぶしにこいつをちょっとやってみよう。

このアプリのローンチは、コンピュータ科学教育週間にタイミングを合わせている。さらに、国の行事と合わせて、合衆国の児童生徒1000万人に1時間のプログラミング教育(の授業)を与えようという、キャンペーンもある。でもアプリのねらいはもっと一般的で、とにかく、毎日仕事で忙しい人でもプログラミングができるようになるために、プログラミングのコースを、小さな単位で、一口(ひとくち)ずつかじっていこう、というものだ。

CEOでファウンダのZach Simsによると、このアプリCodecademy for iPhoneは、同サイトのネット上の課程とは別の単独のコースだ。最初のはとてもベーシックで、プログラミングとはどういうもので、何を一体するのか、という話に終始する。でも今週中には、これの次の一口(ひとくち)が出る予定だ。

このアプリは、プログラミングができる、プログラムを書ける、という目標に向かう、とてもなだらかな、誰でも歩ける登山道だ。テストの問題に関する質問も歓迎されるから、自分のための学習を自分で組み立てている感覚になり、私のように、自尊心がでかくて傷つきやすいエゴを持ってる人間でもついていける。インナー類の洗濯が終わる前にアプリを終えてしまい、すぐにその続きをやりたくなった。

この第一回のプログラムは5部から成り、1)はじめに、2)データタイプ(型)、3)変数、4)比較、5)If…Else、となっている。各部にコード例と問題があり、Simsの言い方では、“スナックのような”レッスン集だ。

学習体験は、モバイルの環境に制約される。つまり、小さな画面と、大量のタイプは不可であること。デスクトップでアクセスする同社のWebサービスは、自分でコードを書きながら学ぶ、という学習体験になるが、アプリの方は、そのあたりがちょっと不自由だ。自分でコードを書くのではなくて、クイズの“言葉入れ”みたいに、未完成の文を正しい語で完成させる。答えの候補が並んでいて、その中から選ぶ。問題のまったくない部もある。

問題の中には、やさしすぎるのもある。‘はじめに’の部には、“‘6 – 2’を計算するプログラムを書けますか?”という問題があり、答えは”print(6 ? 2);” の’?'のところをマイナス記号’-'にするだけだ。答えはやはり多択の候補の中から選ぶ。

こんな話を読むと、“プログラミングなんて、馬鹿のやることさ。アプリのアイデアで、大儲けできるのに”、と誰かさんは言うだろうか?

こういう問題は、受動的な学習にはつきものだ。自分の問題を自分で解決していく能動的な学習に移行できるまで、その点には注意すべきだろう。

今日の私の30分の体験で感じた唯一の問題は、用語の定義がないこと。だから、いちいちGoogleの検索で、“文字列(string)って何?”とか、やらなければならない。でもたぶんこれは、そのうちCodecademy自身がモバイル版の問題点として気づき、対策してくれるだろう。

Simsは、成功したエドテック(ed-tech)企業の例としてDuolingoに言及しながら、目標はプラットホーム非依存なプロダクトを作ることだ、と言った〔ということはAndroid版も近く出る?〕。ただしモバイルデバイス、とくにスマートフォンの上では自分でコードを書きづらいから、この問題をCodecademyはどうやって克服するか? 私は、というと、オンライン(Web版)にユーザ登録しようかな、と今は考えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


プログラミングを学校の必須科目にするためのキャンペーン”Hour of Code”と国の”コンピュータ科学教育週間”が同時期に

今年の1月にAli/Hade Partovi兄弟が立ち上げたCode.orgのミッションは、単純だった: プログラミングとコンピュータ科学を、アメリカ人がこれらに対してこれまで持っていたイメージを変えて、大衆化すること。

ほぼ1年たった今、Code.orgはどうなっているだろうか。そして多くのアメリカ人が、STEM*を国家的最優先事項にする必要があることを、認めるようになっているだろうか。その答えが、今週、ある程度分かるだろう。今週(12/9-15)行われるコンピュータ科学教育週間(Computer Science Education Week)の幕開けの祝辞としてオバマ大統領と共和党の下院院内総務Eric Cantorがそれぞれ、合衆国の児童生徒学生はプログラミングの学習を全員必須とすべし、とメッセージする、ビデオによる声名を発表した。〔*: STEM, science, technology, engineering, mathematics; 理数系~理工系教科。〕

一方Code.orgも今週、数か月かけて準備したキャンペーン”Hour of Code“(1時間のプログラミング)を立ち上げる。コンピュータ科学教育週間と同じ週にこのキャンペーンは、合衆国の教師たち全員に、児童生徒にコンピュータ科学とプログラミングを教える時間を1時間確保するよう、求める。全員だから、英語や歴史の先生も対象に含まれる。

Partovi兄弟がCode.orgを立ち上げた動機も、今のアメリカの学校におけるコンピュータ科学やプログラミング教育の乏しさにある。だいたい10校のうち9校は教科にコンピュータ科学が含まれない。今は少しずつ変わり始めてはいるが、それでもコンピュータ科学とプログラミングが選択科目である学校が多い。つまりそれらは、成績証明に含まれない。Partovi兄弟とCode.orgは、カリフォルニア州に対してはこれまで積極的にロビー活動を積み重ね、徐々に状況を変えつつある。

Hadi Partovi(元Microsoft、MySpace、iLikeなど)によると、Code.orgの最初のミッションは、各州がコンピュータ科学を必須学科にすることだ。官僚主義とのたたかいは容易ではなかったが、彼らの説得に耳を傾ける州も少しずつ増えつつある。“ロビイスト活動の中では、むしろ、それほど苦労しなかった方ではないか”、とHadiは言っている。

そして今度は、州に次いで国が腰をあげる。また、”Hour of Code”キャンペーンに参加するのは合衆国の学校だけでなく、世界167か国の33000のクラスの500万人あまりの児童生徒の参加が期待されている。Hadiの“500万人あまり”とは、1000万のことだ。

Code.orgのその目標達成を助けるために、AppleとMicrosoftは全世界の小売アウトレットで”Hour of Code”のクラスを行う。Appleは、各店で”Hour of Code”のクラスを展開することを、専用のWebサイトで公示している。同社によると、‘きわめて対話的な’状況および雰囲気の中でプログラミングの基礎を教えるそうだ。こうやって、自社の店舗などでこのキャンペーンを助けるという企業は、100社近くある。その中には、テクノロジ系でない企業もある。

Googleの検索ページは、右図のようなGoogle Doodleでコンピュータ科学教育週間を祝っている。この絵に登場する女性は、女性プログラマの元祖でCOBOLプログラミング言語を作ったGrace Hopperだ。絵の下には”Hour of Code”へのリンクもある。このほかCode.orgは、Yahoo、Youtube、Apple、MSN、Bing、Disney、 有力政治家たち、映画などのスターやアスリートたちにも、キャンペーンの宣伝への貢献を求めている。

現在協力を表明している俳優やミュージシャンはShakira、Ashton Kutcher、Angela Bassettら、アスリートはChris Bosh、Warren Sapp、Dwight Howardら、テクノロジ世界のリーダーの中からは生前のSteve Jobs、Bill Gates、Mark Zuckerberg、Susan Wojcickiらだ。全国レベルの政治家では、民主党、共和党の両派が協力を表明し、オバマ大統領と共和党下院院内総務Eric Cantorのほかに、上院議員Cory BookerNewt Gingrich、教育大臣Arnie Duncanらが、”Hour of Code”を支持するビデオを掲出している。

Code.orgは、”Hour of Code”キャンペーンに協賛してチュートリアルを提供する企業や大学、非営利団体などのリストと、 Mard Zuckerbeg、Chris Bosh、Bill Gatesらが登場するビデオチュートリアルを提供している。この前の”Learn to Code”キャンペーンのビデオは2週間で1200万回見られた。

また10月には、LinkedInのCEO Reid Hoffmanが、なぜ全アメリカ人がプログラミングを学ぶべきか、その実利的な理由を本誌の記事で語っている。

下のビデオは、オバマ大統領のメッセージと、Code.orgによる、多くの有名人が登場する”Hour of Code”の立ち上げビデオだ。

さて、これからのアメリカはどうなるか。全国民がプログラミングを学ぶだろうか? まずCode.orgのページを見ながら考えてみよう。〔*: 日本でも現安倍政権の構想では、“いずれ”義務教育からプログラミング教育が導入されるらしい。〕

〔訳注: Code.orgに関する過去記事: (1)(2)(3)。〕

〔Code.orgのビデオの大阪弁バージョン。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


遊びを通して子供たちにプログラミングを教えるArduinoロボットのPrimo

子供たちを遊ばせるのに、単に面白おかしいということ以上のものを求める親が多いようだ。Kickstarterに登録されたDan ShapiroのRobot Turtlesというボードゲームを以前紹介した。これは2万5000ドルの資金調達を目指して登録されたものだが、なんと63万ドル以上の資金を調達することとなった。そちらも遊びながらプログラミングの基礎を教えてくれるものだった。どうやらギーク系の親たちはお金に余裕があり、教育への投資には非常に積極的である様子。

Kickstarterコミュニティの反応を見る限りにおいて、プログラミング系教育系玩具の評判は非常に高いものであるようだ。本日取り上げるPrimoも、Arduino制御のロボットを動かすためのプログラミング作成を、積み木を組み合わせることにより行っていく玩具だ。

Primoのエレクトロニクス系要素はすべて木製のボックスの中に隠されている。これは子供たちにシンプルな木製ブロックで遊んでいるのだと思わせるためだ。ロボットも、プログラミングを行うタイルも、双方ともに普通の木製ブロックに見える。しかしカラーブロック(命令用ブロック)をボードにセットすると、実はプログラミングを行っていることになるのだ(フィジカル・プログラミングインタフェース)。こうしてプログラムを作成し、最後に大きな赤ボタンをクリックすると、プログラム通りにタイヤのついたロボットが動き出す。作ったプログラムにしたがって、ロボットが部屋の中を動き回るわけだ。

命令用ブロックは4つの色で分類されている。ロボットを前に進めるための「前進」ブロックをはじめ、「左」「右」、そして緑色の関数ブロックもある。サブルーチンのようなもので、呼び出すと制御はいったん関数ブロックの中に移り、ブロックの処理が終わると本体に制御が戻ってくることんある。これにより、少々複雑なプログラミングを愉しむことができる。

関数を使うことにより、より長いコマンドを扱えるようになるとともに、プログラマ側には一層の論理的思考力を要求することとなる。遊びを通じて、思考能力の向上などにも役立つものを提供したいというのが、本プロダクトの狙いだ。

先日紹介したKickstarterプロジェクトのKano DIYコンピュータにくらべれば遥かに基本的なものではある。こちらの方は、4歳から7歳くらいの子供たちを対象に、ごく単純なところからスタートさせようとするものだ。

「スキルというのは徐々に身についてくるものです。山に上るのに一歩一歩進んでいくのと同じことです。Primoはプログラミング教育の最初の第一歩となるものなのです。言わば、プログラミング教育のいろはを提供するものなのです」と、イギリスに拠点をおく(イタリア人の)クリエイターは述べている。

このキットを市場に送り出すため、3万5000ポンドの資金調達を狙ってKickstarterに登録した。初期特典で、135ポンドで自分で組み立てるDIY版が提供されている。これまでのところ、27日を残したところで9000ポンド近くの資金を集めている。資金調達に成功すれば、プロダクトは来年8月から出荷していきたい考えなのだそうだ。

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(翻訳:Maeda, H


ボールペンで紙に線を描くと電子回路が完成するCircuit Scribe, Kicistarterで資金募集中

あのすばらしいPCB用3DプリンタEx1の、次に登場したのがCircuit Scribeだ。このKickstarterプロジェクトは、電子回路のプロトタイプをブレッドボードもハンダ付けもなしで、簡単に作れるプロダクトだ。しかも、ものすごいローテクとローコストを意図的にねらっている。それは一見、ふつうのボールペンだが、使用するインクの原料が銀なので、ノートやメモ用紙などの上に回路を描ける。

その銀インクは、伝導性がある(50-100ミリオーム/S/m)だけでなく、水性で毒性がない。したがって子どもが学校で使うこともできる。このプロジェクトは、メーカーたちやライフハッカー、アーチストなどに加えて、子どもたちも市場としてねらっている。

作者はアメリカ人で、彼によると、このインクはほかのすべての伝導性インクよりも優れている。ボールペンタイプのCircuit Scribeにインクを入れて描くと、最初から最後までなめらかに線を描け、途中でペンを振ったり押したりする必要がない。またインクが乾くのをしばらく待ったり、生乾きの線をシャツの袖などで消してしまう心配もない。

Circuit Scribeはいくつかの既製のコンポーネント(部品)を提供しているので、それらを利用して回路を完成させることができる。LED基板、コイン(硬貨型)電池、9V電池のコネクタなどのほかに、ポテンショメータ(可変抵抗器)、RGB LED、感光素子など、やや高度なものもある。100ドルのデベロッパキットには、モーター、DIY用ソルダーボード、DPDTスイッチなどもあり、Circuit Scribeで作った回路をArduinoやRaspberry Piなどのボード製品と併用することも可能だ。

伝導性インクで描いた回路にコンポーネントをつなぐために、冷蔵庫のドアにメモを貼り付けるとき使うような、小さな磁気素材を利用している(下のビデオ参照)。

“とりあえずコインバッテリーとペーパークリップ(部品保持用)とLEDがあれば回路を作れるが、もっといろんな部品を使えば複雑な回路も作れる”、と同社はKickstarterのページの上で説明している。

未開封のペンは貯蔵寿命が約1年、開封したペンでスムーズに線を描けるのは半年あまりだ(キャップをしっかりかぶせたか、など、保存状態にもよる)。描ける線の長さは60から80メートル、線の伝導性は“数年”はもつ。

目標額は85000ドルだが、残り40日の時点で22000ドルあまりが集まっている。目標額に達したら、多くのコンポーネントを同梱したペンを2014年6月に発売できる予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


PCBを作れる安価な3DプリンタEx1, Cartesian Co.がKickstarterで資金募集中

3Dプリンタはプラスチックの小さなウィジェットを作るのには良いけど、もっと複雑なもの、たとえば電子回路の基板なんかにはどうかな? オーストラリアと合衆国にまたがるスタートアップCartesian Co.は、安価な3DプリンタでPCB(プリント回路基板)作ることを考え、Ex1と名づけたそのプロトタイプを市販の製品として完成させるべく、Kickstarterで3万ドルの資金を募集している。

回路基板をプリントできる3Dプリンタは、これが初めてではないが、彼らが主張するのは、価格をメーカーフレンドリなレベルにまで下げたことだ。“これは世界初の、ホビイストでも買える回路基板プリンタ”だ、と彼らは言っている。“インクジェット方式だけど、これまで5万ドル以下のPCBプリンタはなかったのだ”。

Kickstaterの支援者は、最初が899ドル、次が1199ドル、そのあとは1499ドルでEx1を入手できる。そして最後が、1999ドルだ。それでも、5万ドルに比べれば安い。

Ex1は、回路を試作しようとするときの、ブレッドボードよりはましなもの、を目指している。手彫りでPCBを作る方法もあるが、相当に難しい。Ex1を使えば、便利、かつ、気軽、かつ安価に回路を試作できる。その価格は、学校やワークショップや子どもたちの利用を想定して決められた。電子工学で遊ぶ子どもが増えることを、彼らは期待している。

“ふつうの3Dプリンタが機械的/物理的なプロトタイピングにもたらしたもの(個人やホビイストにできる、“メーカー”化)を、電子回路にもたらしたい”、と彼らは言う。“3Dプリンタは今みたいにポピュラーになる前に、数十年の歴史を背負っている。誰でも買えるようになったのは、ごく最近だ。高度な技術製品を大衆化すること、これが、これまでなかった完全に新しい種類のプリンタにわれわれが取り組んだ理由だ”。

Ex1は、ナノサイズの銀の微粒子をインクジェット方式で基板材の表面に吹きつけて、回路を形成する。そのとき銀に加える添加剤が、接着材であると同時に、回路の伝導性の鍵だ。

基板材は、紙、プラスチック、ステッカー、布、シリコン、さらに木、ガラス、セラミックなど、さまざまなものを試してきた。また“どんな面の上にでもプリントできる”ための、コーティング材も作っている。

まず個々の部品(抵抗器、コンデンサ、etc.)は、ハンダ付けまたは伝導性のある糊で基板材に取り付ける。伝導性のある糊は、ハンダごてを使わないので、Ex1をさらに便利に気軽に使える。

またPCBの設計そのものを単純化するために、Ex1のソフトウェアは、回路図として描いたものをそのままプリントする。

“ふつうのユーザはCADの名人でなくてもよい。ネット上の何百万という既存の設計の中から、自分の目的に合ったものをダウンロードすればよい。うちのプリンタも、それと変わらないぐらい簡単で、今まで誰もできると思わなかったことができるのだ。そのためのインフラストラクチャはすでにあるから、今後はコミュニティを大きくして、もっともっと容易で簡単なものにしていきたい”。

“みんなに、物作りの未来を楽しんでほしい。ハッカーたちも、学校の児童生徒も、このプリンタがあればそれができるんだ。たとえば中学や高校の教室で、電子回路についてただ教科書等で学ぶのではなく、実際に回路を作って動かせる学習経験が一般的になったら、未来はすごいことになるだろう”。

Cartesian Co.はブリスベーンのインキュベータiLabに育てられ、最初の資金とオフィススペースとメンタリングを得ている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))