Googleの会長Schmidt曰く, 経済格差が民主主義の最大の阻害要因になる

Googleの会長Eric Schmidtは今日(米国時間3/7)、テキサス州オースチンのSXSWに集まったオーディエンスを前に、サンフランシスコにおける経済格差の拡大と、それによって起きている抗議活動が“非常に心配だ”、と述べた。“あそこの平均的市民は、自動化やグローバル化やテクノロジから恩恵をこうむっている”が、経済格差は“民主主義の第一番の問題”になるだろう、と彼は予言した。

Schmidtはそのとき、彼の本The New Digital Ageの宣伝を、共著者のJared Cohenと共にしていた。それは、プライバシー、政府、テクノロジの社会的影響など、話題がきわめて多岐に亙る長いインタビューの中の、ひとこまだった。

Googleはこのところ、拡大する経済格差がもたらす社会不安の渦中にいる。サンフランシスコの活動家たちは、同社専用の通勤バスを、格差の象徴として攻撃している。ぼくが話を聞いた何人かのエコノミストは、サンフランシスコはテクノロジ企業が多いため、中間層が不況の猛威から守られている、と言うが、地代や家賃の高騰によって長年住み慣れたこの都市(まち)を追われてしまう者も少なくない。

テクノロジは一部の人にとって恩恵だが、しかし格差は拡大している。労働経済の専門家の典型的な意見の一つとして、MITのDaron Acemoğlu教授は次のように言っている: “今合衆国の労働市場、そしてヨーロッパなどほかの国々も、経済格差の激化を経験している。原因は一つではないが、爆発的な格差拡大をもたらしている最大の動因が技術の変化だ”。

Schmidtが提案する対策は三つある: まず、スタートアップを支援することだ。“今のこの問題の究極の原因は失業の深刻化だ。仕事を作り出すためには(既存企業は人が足りているので)、成長性の高いスタートアップを作るしかない”。

第二は、“教育と情報とネット接続の拡充”だ。彼もオバマ大統領と同じく、テクノロジ業界の慢性的な人不足を解決するためには教育、とくに理工系の教育の拡大が必要、と主張する。“創造性と人間的な配慮や思いやり”と無関係な仕事は、繰り替えし的な仕事を自動化できるロボットが奪ってしまう。リポーターなど、一部の知識労働者にもその危機は迫っている。そうSchmidtは予言する。

第三は、高度な技術系の仕事はつねに数に限りがあるから、政府による失業者福祉の充実が必要。Schmidt、仕事のない人でも“最低限、住居と医療だけは得られる”ための“セーフティネット”が社会に必要だ、と主張する。

いずれにしても今は、激しい変化が進行している。それに対する“長期的なソリューションは、テクノロジの進歩は誰にも止められないことをみんなが理解することだ”、とSchmidtは言う。テクノロジによって生じている問題の対策が、テクノロジの抑制や規制であってはならない、と言うのだ。そう、抑制の風土にスタートアップは育たないからね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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