ファイザーの元科学主任が設立したUnlearn.AIは「デジタルの双子」で臨床試験の高速化と改善を目指す

医療研究の分野では、双子は昔から重要な役割を果たしてきた。特に臨床試験では、遺伝的に近い2人の片方に処置を施すという方法で、双子は治療の有効性の測定に寄与している。米国時間4月20日、Pfizer(ファイザー)の元科学主任が設立し、AIを使ってこのコンセプトをデジタル化する方法を開発したスタートアップが、その研究をさらに進めるための資金を得たと発表した。臨床試験の検査に使用する患者の「デジタルツイン(デジタル上の双子)」のプロファイルを構築する機械学習プラットフォームUnlearn.AI(アンラーンAI)が、シリーズAラウンドで1200万ドル(約13億円)を調達した。

このラウンドは8VCが主導し、前回の投資企業であるDCVC、DCVC Bio、Mubadala Capital Venturesも参加している。

DiGenesis(ダイジェネシス)というこのスタートアップのプラットフォームは、当初は神経疾患、具体的にはアルツハイマー病と多発性硬化症に適用するためのものだったのだが、これらは有効な治療方法がいまだ確立されておらず、既に発症している患者を対象にした臨床試験の実施が非常に難しい。

Unlearn.AIは新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミック関連の医療にはほとんど関わっていないものの、臨床試験の改善がなぜ重要なのかを知るいい機会を与えてくれた。この新型ウイルスに対抗するワクチンや治療法をみんなが緊急に競い合う中で、臨床試験のより効果的なアプローチの必要性が注目されている。そこはAIが力を発揮できる分野だ。

Unlearnは、現在のビジネスにおける提携先を公表していない。また実践的な臨床試験を、実際にどこまで実現できているのかも不明だ。今回の資金は、商業的展開に少しだけ近づくためのものと思われる。

「今回の資金調達は、私たちの成長にとって重要な布石だ。既にデジタルツインの研究を開始し、強力なエビデンスでその価値を実証し、臨床試験での成功の可能性を高めつつある規制当局との協力関係を大幅に前進させる力となります」とUnlearn.AIの創設者でCEOのCharles K. Fisher(チャールズ・K・フィッシャー)博士は声明の中で述べている。

「臨床試験は非常に困難な局面にあり、ここ数週間は深刻化する一方です。未来志向の投資家や提携企業の支援をいただき、極めて有能な私たちの人材をさらに成長させ、世界初のデジタルツインのアプローチを支える科学技術をさらに発展させられることを、とてもうれしく思っています」。

フィッシャー博士は、まさにテクノロジーと医療研究の集合体の中を歩んできた。製薬大手のファイザーで科学主任を勤めた経歴に加え、Leap Motion(リープモーション)で働いていたこともある。それ以前には、長年にわたり学術界にて生物物理学の勉強と研究を重ねていた。

Unlearnは昔ながらの機械学習の課題のひとつとして、いわゆるデジタルツインを構築するというアイデアに取り組んでいる。そこでは「デジタルツインを生み出すための疾病専用の機械学習モデルと仮想診療記録を構築するための、患者数万人分もの臨床試験のデータセット」が使われている。

これらは、単なる患者プロファイルとは異なる。デモグラフィック、臨床検査、生体指標に従って人と人とをマッチングさせてある。臨床試験と検査に必要な類似の人間、できれば双子を探す手間を、AIベースの双子を作ることで削減したいという考えに基づくものだ。

Unlearnは、2017年からこのプラットフォームの開発に取り組んできたが、双子(そして医療研究において遺伝子構造が類似した1組の人たち)を使った病理学や治療法の研究は、もう数十年前から始まっている。面白いことに、ある大人気の新型コロナウイルス監視アプリは、ロンドンのキングズ・カレッジ病院と、アメリカのスタフォード大学とマサチューセッツ総合病院が共同で行った長期にわたる双子の調査から生まれている

AIで「人」を作り出し、薬の有効性をテストする研究が広がっているが、それはコンピューターとアルゴリズムを使って薬品の組み合わや治療法を割り出しテストするという、さらに大きな課題へとつながる。以前は、長い時間と大きな資金を費やし、手で行ってきたであろうことだ(医療とは別の応用例として、製品開発がある。一般消費財のメーカーは、新しい石鹸やさまざまな製品の調合をAIプラットフォームで行っている)。

「Unlearnによるデジタルツインの先駆的な利用により、プラシーボを与えられる患者の数を減らすことができ、臨床試験にかかる全体的な時間も短縮できます」と8VCのプリンシパルFrancisco Gimenez(フランシスコ・ヒメネス)博士は声明の中で述べている。「医療とテクノロジーの交差点の投資家として、私たちは、最先端のコンピューター技術と革新的なビジネスモデルを組み合わせて医療の有意義な改善に取り組む企業に情熱を注いでいます。8VCはUnlearnをパートナーに迎え、無作為化臨床試験以来となる薬品の認可プロセスへの大きな挑戦に乗り出せたことで、大変に興奮しています」。ヒメネス氏は今回のラウンドにより、Unlearnの役員に加わった。

画像クレジット: Emsi Production Flickr under a CC BY 2.0 license.

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

パンデミックによりスポーツはファンの体験を再考する必要に迫られている

10歳のときに、父が私を初めてボストン・レッドソックスの本拠地、フェンウェイパークに連れていってくれた。通路を上った後に目に飛び込んできた輝く緑の芝を鮮明に覚えている。何もかもが素晴らしかった。それは優れたカスタマーエクスペリエンスだ。

私はすぐに野球場の美しさのとりこになった。内野の守備練習中にダイヤモンドでボールを軽々と放る才能豊かな選手たちを見る前から。試合の初球の前から、バットが折れる前から、観客がどよめく前から。音、景色、ホットドッグとドリンクも、その一部だった。私はエメラルドの芝を目にした瞬間から、そのエクスペリエンスに心を奪われた。

スタジアムで見るスポーツにはいつだってエクスペリエンスが重要だ。野球ファンにはおなじみの歌「私を野球に連れてって」(Take Me Out to the Ball Game)には「ピーナッツとクラッカージャックを買ってね、もう家に帰らなくてもかまわない」と歌われている。マスコットとダンサー、巨大な高解像度スコアボードの時代に、エクスペリエンスは強化された。

しかし2020年、スポーツは突然の存続の危機に瀕している。無観客で再開するとしたら、リーグは進化したテクノロジーを使って、家にいるファンにどのようにして興奮を感じさせるだろうか? パンデミックの中、あらゆるビジネスがカスタマーエクスペリエンスの意味を再考する必要に迫られている。スポーツは道を示せるかもしれない。ファンはこれまで「ホームチームにひたすら声援を送るよ」と歌ってきた。

今週、NFLのドラフトがバーチャルで実施され、私たちは新しいエクスペリエンスを初めて味わうことになりそうだ。NFLのドラフトは、ラスベガスで3日間にわたって開催される、お楽しみ満載のスペクタクルになる計画だった。ベラージオホテルの前に水上ステージが設けられ、指名された選手は船で登場するはずだった。新型コロナウイルスの影響で人々は集まれなくなり、細部まで作り込まれた野外劇はすべてご破算になって、代わりにテクノロジーを使ってドラフトは開催される。

短期的には、このドラフトをバーチャル移行の最終訓練として見るのはフェアではないだろう。これは初めての試みであり、完璧ではないかもしれない。しかしイベントや大学、小売店に至るまで、あらゆるビジネスがあらゆるエクスペリエンスの可能性を突然検討することになった。みんながこれからどうするか、興味深い。

ウイルスの影響で変化しているのは、第1ラウンドのスペクタクルだけではない。多くの企業がそうであるように、ここ6週間でチームの働き方も変化している。重要な人物がひとつの部屋に集まれず、「ドラフト作戦室」を再編成する方法を見つけなくてはならない。どこかで聞いた話でしょう?

ゲームが再開したら、我々がライブでスポーツを見る方法もおそらく変わるだろう。スポーツはNFLの最初の試みから何を学んで再構築するだろう? 雰囲気を盛り上げる生の観客なしで、コミュニティをどう作り、興奮を生み出すだろう?

大きな変化もあれば小さな変化もあるだろう。アイデアをいくつかひねってみよう。選手がファンとともに参加するライブのインタラクティブなコミュニティがあり得るかもしれない。フィールドの内外で選手やコーチがマイクをつければ、我々がふだん知ることのできない場面をもっと幅広く伝えてもらえるかもしれない。可能性は無限にある。プロも学生も、すべてのスポーツで何ができるかを大いに議論しているはずだ。

VRの活用のほか、先進的なリプレイや工夫されたカメラビュー、ファンを仮想的にフィールドに入れるなどエクスペリエンスの拡張もできるだろう。近年、こうしたアイデアは検討され、徐々に実装されて、アメリカンフットボールリーグのXFL(今月破産申請して短命に終わったが)で実際に目にすることもあった。AWSとスポーツリーグの協力により、詳しいデータが見事なビジュアルで表示されるのも見たことがある。このようなアイデア、そしてさらに多くのアイデアを、急激に加速させなくてはならない状況が突然やってきた。

さまざまなエクスペリエンスが現れるとしても、我々が今まさに見出そうとしているのはリーグの創造性だ。おそらく我々は、家の中で球場の範囲を超えた体験をする新しい方法を見つけるだろう。それは、これまでとは違うが、負けず劣らずエキサイティングなエクスペリエンスだ。10歳の子供はかつての私が感じたのと同じときめきを感じるかもしれないが、その手段はきっと違う。「私を野球に連れてって」の歌詞になぞらえて言うなら、「ホームチームが負けたらとても残念。1、2、3ストライクでアウトだよ、『新しい』野球では」。

画像:Ron Miller/TechCrunch

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

数百名の学者たちがプライバシーに配慮したコロナウイルス接触者追跡を支持

世界中の何百名もの学者たちが、コロナウイルスの広がりを理解するための接触者追跡システム(contact tracing systems)がプライバシーを重視することを歓迎している。

300名近くの学者が署名し、月曜日(米国時間4/20)に公開された書簡が、自分などがCOVID-19感染者と接触したかを知るためのオプトインで非集権的な方法を共同開発するという、最近のAppleとGoogleの発表を賞賛している。

学者たちによると、その接触追跡アプリは、Bluetoothによる追跡を自動的に行い、位置データを集めて中央的な場所に保存するアプリに比べて、はるかにプライバシーをしっかり保護する。

書簡はこう言っている: 「接触追跡はよく理解されている疫病対策ツールだが、従来は手作業でやっていた。スマートフォンの接触追跡アプリは、状況によっては手作業による接触追跡よりも効果的だ。しかしその効果性に対しては異論もある。まず、その実装はユーザーのプライバシーを護るものでなければならない。そのことが、他の多くの問題の対策にもなる。たとえば、そんなアプリを利用して、望まざる差別や監視が行われがちだ」。

この学者たちからの推奨は、いちばん重要なタイミングでやってきた。個人のコロナウイルスへの接触を追跡する方法は、いろいろある。しかし非集権的なシステムは追跡データを一箇所に置かないから、プライバシー保護が優れている。しかし学者たちによると、データの集権的中央的な保存は「人びとに関する情報の侵害的な再構築を許すから、議論の余地なく排除すべきだ」、という。そしてそれは、「外部からの検査が可能でプライバシーの保護ができる設計になってなければならない」。

さらにまた、「現在の危機を口実に、人びとのデータを大量に集められるツールを作ってはならない。今だけでなく、今後においても」。

この書簡の数日前には、この同じ学術グループが、PEPP-PTと呼ばれる同様の接触追跡プロジェクトのサポートを取り下げた。このツールは、詳細が不詳の7つの国が使用している。そのうちの2か国、スペインとスイスは、非集権的な接触追跡ソリューションを求めていた。しかし、蓋を開けてみるとPEPP-PTは、プロトコルが独自規格の集権的中央的なもので、そのプロジェクトに関わった一部の学者も、オープンでないし透明性を欠くとして、プライバシーを重視するDP-3TプロトコルやAppleとGoogleのクロスプラットホームなソリューションの方をサポートするようになった。

この書簡に署名した学者の一人であるサリー大学のAlan Woodward氏はTechCrunchに、書簡は学術世界のコミュニティが「正しいやり方」と信ずるものを示している、と語った。

「これまで、この世界でこんなものを見たことがない」、とWoodward氏は語る。「わずかな人たちでなく、多くの人が懸念していることの表れだ。やり直しは困難だから、政府もこの声をよく聴いてから対策に着手してほしい」、とも。

関連記事: 新型コロナの接触者追跡とはどのようなものか?

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

3Dプリントメガネ製造のFitzがヘルスケアワーカーにカスタム保護メガネを提供

多くのスタートアップが、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大や影響を抑制すべく取り組んでいるヘルスケアワーカーをサポートしようと、個人用防護具(PPE)やその他の必需品を求める声に応じている。そのうちの1社が消費者直結型3DプリントメガネブランドのFitz(フィッツ)だ。できる限りの保護を必要とする最前線で働くヘルスケアワーカーのための度入りレンズの保護メガネを作るのに、同社のカスタムフィットメガネ技術を活用している。

Fitz Protectは、FitzがiOSアプリ用に作り出したカスタムメードのための手法で作られている。この手法は、Appleが最近のiPhoneや全iPad Proモデルに搭載している深度センサー付きFace IDカメラによって可能になった。アプリではバーチャルのお試しができ、フィット感をミリ単位で調整できる。Protectはメガネの1種で、あらゆる度数に対応する。しかし、目の周辺から液体が入ることがないよう、カバーとガード機能を強化した安全メガネとなっている。

ヘルスケアのスタッフは、感染を拡大させる新型コロナ患者の咳やくしゃみ、飛沫を飛ばすようなその他の行為から顔や口、鼻、目を保護するために出来る限りのことをしている。それらの策は、1枚の透明なプラスティックシートを搭載しているフェイスシールドと、口と鼻を守るN95マスク(入手できないときはそれに代わるもの)が一般的だ。

FitzのCEO、Gabriel Schlumberger(ガブリエル・シュルンベルジュ)氏は電子メールで、Fitz Protectのデザインは、処方レンズ搭載の保護メガネを探していたニューヨークやロサンゼルス、テキサスの医療現場で働く医師や看護師によるものだと説明した。

「医師の60%超がメガネを使用している。そして現在のガイドラインではコンタクトレンズの使用中止を推奨している」とシュルンベルジュ氏は話した。しかもFitz Protectはさらに保護レイヤーを加えるフェイスシールドと併用することもできる、と付け加えた。

「メガネを使用する人から、普通のメガネでは特に眉の上などのカバー範囲が十分でない、と聞いた。ボール紙の切り抜きを加えている人もいた」と同氏は述べた。「もっといいものを作るために当社が持っているシステムを活用した」

Fitzのモデルは価格面でも貢献している。というのも、従来のメガネに比べてかなり競争力のある設定になっているからだ。Fitzのメガネはフレーム、レンズ、送料込みで通常たったの95ドル(約1万円)で販売されている。また、年間185ドル(約2万円)で無制限にフレームを変えられるメンバーシッププランも提供されている。医師、看護師、その他の病院スタッフ向けのFitz Protectの費用は免除している。そして同社は、現在1つあたり100ドル(約1万1000円)ほどかかる製造コストを賄うため寄付を募っている。ただし、シュルンベルジュ氏によると、この製造コストはプロセスの改善でもう少し抑えることができるという。

最初の週にすでに3000人超のヘルスケアワーカーから申し込みがあり、他にも需要が出てきた場合に応えられるよう同社は準備しているという。

“新型コロナウイルス

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

英政府が新型コロナで苦戦するスタートアップ向けの330億円ファンド新設を発表

英国のテックスタートアップエコシステムからのプレッシャーが高まり、英政府は4月19日に多くの議論を経て「Future Fund(未来ファンド)」を新設する計画を発表した。英国の高成長企業、つまりスタートアップが十分な額の投資を受け、新型コロナウイルス危機の間も存続できるようにする。

まず、政府が税金を財源として合計2億5000万ポンド(約330億円)をBritish Business Bankを通じて新ファンドに拠出する。企業が投資として引き出すには、英国に登記された民間企業であること、民間の投資家から同額かそれ以上のマッチング資金を確保していること、過去5年間に少なくとも25万ポンド(約3300万円)を民間から調達していることが条件だ。「投資」の形式はコンバーチブルローンノート(株式に転換可能だが事前に転換価格が決まっていない貸付金)のようだ。

Future Fundは5月に設立される予定で、要件を満たすスタートアップに政府が12万5000ポンド(約1700万円)から500万ポンド(約6億7000万円)を投資する。ファンドの規模は引き続き「検討中」。つまり、将来もっと多くの税金が投入される可能性があるということだ。申請はまずは9月末まで可能だ。

一方、Future Fundのコンバーチブルローンが実際にどう機能するかについては混乱がある。英財務省の初期計画には「ローンが返済されない場合は株式に転換される」と記載されていたため、次の資金調達ラウンドで強制的に株式に転換されるのではなく企業に借入返済の選択権があると考える人もいる。

しかし批判する向きは、返済オプションがあるなら、英国の納税者はアップサイドはほとんどまたはまったく取れずに、ダウンサイドリスクに全面的にさらされると指摘している。理論的には、すばらしい業績を上げた企業は借入返済を選択する可能性が高く、すばらしくない業績の企業(または何とか破綻を免れている企業)は株式への転換を選択することになる。

簡単にいえばコンバーチブルローンノートは強制転換される方が有利だ。政府は、破綻しないスタートアップの株式を割安で取得し、破綻するスタートアップの株式と価値を相殺できる。

当初の議論がお粗末だったり、政府内で多くの人が返済オプションを主張したりしたにも関わらず、財務省の計画を知る情報筋によると、ありがたいことに、おそらく企業側がかなりのプレミアムを払うような特定の場合を除いて、株式への転換が強制されることになりそうだ。そのプレミアムは「100%返済プレミアム」で、借入が転換されずに返済される場合、納税者は利息も含めると2倍以上のリターンを得ることになる。

筆者は英財務省広報局に正式な説明を求めた。返信があり次第この投稿を更新する。なお、財務省が公表したタームシートで骨子の詳細がわかる。

約1000億円の研究開発支援資金

英政府はFuture Fundとは別に「研究開発を重点的に行う中小企業」を対象とする7億5000万ポンド(約1000億円)の支援も約束した。資金は、Innovate UK(イノベートUK)の助成金と融資に関する既存の制度を通じて提供される。

「国の研究開発助成機関であるInnovate UKは、英国の2500の既存支援先の要望に応じて最大2億ポンド(約270億円)の助成金と融資をすみやかに提供する」と英財務省は述べた。

「既存支援先へのサポートを厚くするため追加で5億5000万ポンド(約730億円)を用意した。また現在Innovate UKの資金を受けていない約1200の企業に対し17万5000ポンド(約2300万円)を提供する」

Innovate UKによる最初の支払いは「5月中旬」までに行われるとのことだ。

画像クレジット:Carlos Delgado / Wikimedia Commons under a CC BY-SA 3.0 license.

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

フェイスブックが新型コロナアンケートシステムを米国で公開、全世界にも拡大予定

新型コロナウイルス(COVID-19)感染の兆候をモニタするアプリはこれまでも無数に開発されてきたが、今回発表されたFacebookのプロジェクトは影響範囲の広さが桁違いだ。

2020年4月初め、Facebookはカーネギーメロン大学(CMU)のDelphi疫学研究センター(Delphi Epidemiological Research Center)と新型コロナウイルス感染症のモニターに関して提携した。今回、Facebookはこのプロジェクトを全世界に拡大するという。同じく4月上旬から同社は米国のユーザーの一部に対し、新型コロナウイルス感染の自覚症状の有無をCMUの方法により自己チェックしてレポートするよう要請し始めている。これは流行が今後どこに拡大するか政府や医療当局が予測できるようにするプロジェクトだ。

Facebookのプロジェクトの拡大についてはメリーランド大学の研究者が協力する一方、CMUのDelphiチームはすべての研究者がデータを利用できるAPIを開発している。

Facebookは収集した調査データを独自の症候追跡マップに表示する。これにより郡(カウンティ)あるいは担当医療区域ごとに新型コロナウイルス感染症の症状を持つ住民が人口に占める割合を一覧することができる。マップには、新型コロナウイルスとは異なるインフルエンザに対する感染症候も表示される。多くの場所でまだ十分な報告が得られず、能力はまだ限られているが、この調査はウイルス感染拡大のトレンドを示すことで流行を予測可能とすることを目指している。

Delphi COVID-19対策チームの共同責任者、Ryan Tibshirani(ライアン・ティブシラニ)氏「我々が算出したリアルタイムの推定は、新型コロナウイルス流行に関する入手可能な最も確実なデータと高い相関があった。これにより、流行が拡大する可能性が高い地域を数週間前に予測して医療関係者に提供できるようになると確信している」と声明で述べている。

CMU Delphiの調査にオプトインしたFacebookメンバーは咳、発熱、息切れ、または嗅覚の喪失が発生しているかどうかを回答する。これら新型コロナウイルス感染の初期症状であり、治療が必要な重症化の前に現れる可能性が高いため医療関係者にとって重要だ。

CMUが月曜に発表した最初のレポートによれば、 Facebookで収集された新型コロナウイルス感染に関するデータは公衆衛生機関からの確認ずみデータと高い相関があったという。研究チームはCOVIDcastと呼ばれるツールを発表した。これは、新型コロナウイルス関連データを地域別に集約する。 Googleもこの調査に協力を始めているので今週後半にはCOVIDcastはFacebookとGoogle双方のアンケートの結果を統合できる。現在までにFacebookで毎週100万件、Googleのインセンティブ付きアンケートアプリ、GoogleアンケートモニターとAdMobアプリを通じて毎週60万件の近くの回答が得られている。

Washington Postの意見コラムでFacebookのファウンダーであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)はこう書いている。

「全米で郡ごとに正確なデータを取得することは難しい事業だ。そうした厳密なデータを全世界から取得するとなると困難さははるかに大きくなる。しかしFacebookは膨大な人たちに対してアンケートを行う上で極めてユニークな立場にある」。

プライバシーやセキュリティー上の問題で長らく批判されてきたソーシャルメディアは、新型コロナウイルスとの戦いを機に自らの重要性を再認識させようと努力している。ことにネガティブな報道に苦しめられてきたFacebookは医療専門家からの新型コロナウイルス情報をプラットフォームに掲載するなどいち早く対応を開始した。しかしFacebookや他のソーシャルネットワークは、新型コロナウイルスの場合でもデマ火事場泥棒陰謀論に悩まされ続けており、こうしたノイズを運営者が一掃するのは簡単ではないようだ。

【略】

画像クレジット:Angela Weiss / AFP / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

ロサンゼルスの新型コロナウイルス抗体保有者は公式感染者数の55倍

南カリフォルニア大学(USC)がロサンゼルス郡公衆衛生局と共同で実施した最新研究で、ロサンゼルス郡人口の2.8~5.6%がCOVID-19(新型コロナウイルス)の抗体をもっていることが示された。これは22万1000~44万2000人の市民が過去に感染していたことを示唆しており、検査によって確認されたよりも最大55倍の人数に上る。これは、感染は以前考えられていたよりもはるかに広がっていると疑っているカリフォルニア州が、短期間に行った2回目の抗体調査であり、ソーシャル・ディスタンス対策を継続する正当な理由でもある。

ロサンゼルス郡の研究結果には、よいニュースもある。もし抗体検査の結果が正確であれば(われわれは現時点で彼らの報告が正しいかどうか確信は持っていない。特に免疫性については)、感染者の致死率は公式診断例のデータよりもずっと低いことになる。USCの研究による抗体検査を通じて計算された感染率は、先週スタンフォード大学が発表したサンタクララ郡の感染率と驚くほど似通っていて、同郡では4万8000~8万1000人が感染から回復したことを示している。

ロサンゼルスの研究が、誤差を考慮した上で郡人口全体に外挿した結果、2.8~5.6%の市民が抗体をもっていることを示しているのに対して、スタンフォード大学の研究では、2.5~4.2%の住民が新型コロナウイルスの抗体をもっているという結果がでている。これらの数値は、検査キットの精度および検査標本の性別年齢層に基づいて補正されている。

いずれの研究論文も相互査読を受けていないので、ある程度疑ってかかる必要がある。しかし、双方の数値の密な近似や、世界で行われた過去の類似研究の結果を踏まえると、新型コロナウイルスの実際の感染数は公表されている数値よりはるかに多いことを示唆していると考えられる。公表数値は通常、診察で確認されたものだけを数えるが、その大部分は中度から重度の症状を示している患者が対象だ。

未検知感染者率の高さは、新型コロナウイルスの脅威が見かけより低いことを意味すると捉えるべきでは決してなく、この新しい情報は、外的症状がないために診察を受けることも隔離や接触者追跡の対象になることもなかった人々からの感染が、誰の予想よりもはるかに多いことを意味しているにすぎない。

これは、ソーシャル・ディスタンス対策がいっそう重要であることを意味している。なぜなら、新型コロナウイルスの潜在保菌者を識別することがこれまで思っていた以上に困難だからだ。感染の特質を理解することは、究極的にはウイルスにさらされる最大の危険を避ける対策の向上に役立つのだろうが、現時点でこの新しい情報からわかっているのは、新型コロナウイルスはわれわれがこれまで理解していたような早期の前兆をみせることなく、はるかに効果的に人々に伝わっている、ということだけだ。

画像クレジット:Kit Karzen https://www.kitkarzen.com/ /

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

緊急用人工呼吸器のSpiro Waveが米食品医薬品局の認可を取得して新型コロナ需要に応える

新型コロナウイルス(COVID-19)重篤患者の治療に必要な人工呼吸器の不足を補う新規プロジェクトが、米国時間4月20日に大きな節目を達成した。米食品医薬品局(FDA)の緊急時使用認可(EUA)が下りて、同プロジェクトの機器の使用と量産が認められた。「Spiro Wave」(スパイロ・ウェイブ)と呼ばれるそのハードウェアは緊急用の自動人工蘇生器で、1台5000ドル(約54万円)で製造できる。技術者、医師、研究者らからなる開発チームはすでに製造を開始して、介護施設に提供している。

Spiro Waveは、基本的に手動の人工蘇生器の機能を再現する。人工蘇生器は、緊急時に救急患者に手動で人工呼吸を行う持ち運び可能な装置だが、Spiro Waveはその作業を自動化し、かつ従来の手動式と同じタイプのバッグを使うので、機材の供給が容易だ。

Spiro Waveはマサチューセッツ工科大学(MIT)のオープンソースプロジェクトであるE-Vent(イーベント)のプロトタイプデザインを基にしている。E-Ventは新型コロナ危機による機器不足を緩和する位置手段として、MITの研究者らが開発した。Spiro WaveをつくったのはNewlab(ニューラブ)、10XBeta(テンエックス・ベータ)、Boyce Technologies(ボイス・テクノロジーズ)の共同ファウンダーたちからなるチームで、E-Ventのデザインを出発点にすることで、緊急用人口蘇生器の設計と製造をわずか数週間で成し遂げることができた。

製造パートナーのBoyce社は、ニューヨーク市クイーンズ地区にある同社のLong Island City製造工場で、1日に最大500台作ることが目標だといっている。最初の数百台は既に今週からニューヨーク市内の施設に届けられている。同チームは、FDAの医療機器製造許可を取得している海外パートナーを探して製造規模を拡大し、さらに多くの台数を供給することを考えている。

開発チームによると、これは本格的な人工呼吸器を置き換えることものではないという。緊急時の現場で、人工蘇生器で十分だが、手動式では操作者の配置や長期の利用が現実的ではないという場面に使用することで、機材不足を緩和することを目的としている。緊急時使用許可が与えられている他の多くの機材と同様、これは正式なFDA認可を受けた機器や治療方法を完全に置き換えるものではないが、革新的でスケーラブルな解決方法であり、過大な負荷のかかる医療機関における治療レベルに大きな違いをもたらすだろう。

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフトが新型コロナの元患者に血漿提供の可否を問うボットを開発

新型コロナウイルス(COVID-19)から回復した元患者の血液から取り出す血漿は、世界的パンデミックをコントロールしようと展開されている取り組みの中で、差し当たって活用できる有効な手法となる可能性を秘めている。米食品医薬品局(FDA)はすでに対象となる個人に献血を広く呼びかけている。そして今度はMicrosoft(マイクロソフト)がCoVIg-19 Plasma Alliance(ビル&メリンダ・ゲイツ財団が資金の一部を拠出している)の代理でオンラインスクリーニングツールを構築した。

マイクロソフトが財団のために開発した「CoVIg-19 Plasma Bot」は同社がテクノロジーを駆使して作った新型コロナ関連の最新ボット事例となる。同社が米疾病予防管理センター(CDC)向けに手がけた症状自己チェックサイトは、米国で初期に大規模展開されたものの1つだ。Plasma Botは個人が生物学上、そして健康上、血漿提供の条件に合致するか、個人が貢献したいかどうか、献血センターでの血漿回収に参加できるかどうかを判断するために、いくつかの簡単な質問をする。

新型コロナに感染し、完全に回復した人の血液から分離される液体である回復期血漿の使用は、多くの科学者や研究者が模索している治療方法だ。血漿の使用方法は主に2つある。1つは、予防や素早い回復のための免疫アップを目的に新型コロナ患者やリスクの高い人に直接血漿を注入するというもの。もう1つは高度免疫治療と呼ばれる治療法の開発だ。容易かつ効率的に大規模展開できるかもしれない治療法を開発するために提供された血漿から抗体を集める。

回復期血漿にかかる開発の試験や療法研究で最大のボトルネックが、血漿そのものだ。新型コロナウイルス感染症の元患者で完全に回復し、献血に必要な条件をクリアした人からしか集められない。

新型コロナウイルスを克服するために研究や開発が進められている他の多くの治療法と異なり、回復期血漿は他の呼吸器感染症の治療で既に効果が確かめられており、長く活用されてきた歴史がある。

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

インドの大手配車プラットフォームOlaが新型コロナ対策で政府に協力

インドが国民を新型コロナウイルス(COVID-19)から守るために緊急体制をとる中、配車サービス大手のOlaが支援に乗り出した。同社テクノロジープラットフォーム機能のうち、リアルタイムの追跡とナビゲーション、そして群衆に対応する機能を連邦政府と州政府に無償で公開する。

すでにパンジャブ州政府と連携しているOlaは、同社のプラットフォームを政府や公共サービス機関のリアルタイムの戦略に役立つよう調整できるとしている。

同社のプラットフォームでは多くの車両と人を追跡でき、人がマスクを着用しているかどうかをセルフィーの写真で確認する機能もある。後者のセルフィーの機能は、Olaでは運転席に座っている人が登録済みのドライバーパートナーかどうかを認証するために使っている。同社は「最高レベルのデータのプライバシーとセキュリティを保証します」と強調している。

Olaによれば、パンジャブ州政府は同社のテクノロジーを使って野菜市場で170万人以上の農業従事者の生産物と車両の動きを追跡管理し、対人距離の基準が確実に守られるようにしているという。

このような機能は州政府にとって有用だろう。地元メディアの報道によると、多くの地域でここ数週間に、野菜市場内や食料品店の外に大勢の人々が集まってしまうことがあったからだ。連邦政府は2020年3月に、全土に対して人の移動を制限する命令を出している。

パンジャブ州では、Olaのプラットフォームは州政府がデジタルの移動許可証を発行するのにも使われている。インド各州の政府は、医療従事者や緊急の業務のために家から出なくてはならない人に対して許可証を発行している。

政府機関のPunjab Mandi Boardの秘書官でガバナンス改革特別秘書官のRavi Bhagat(ラビ・バガット)氏は声明で「現在の危機的状況において、Ola CONNECTSは市民全体の利益のために政府関係者が迅速に展開できる強力なプラットフォームだ」と述べた。

Ola Connectというのが、危機的状況を支援するOlaの最新の取り組みの名前だ。ここ数週間で、同社はドライバーパートナーのリース契約を放棄した。また、新型コロナウイルスの検査で陽性と診断されたドライバーパートナーとその家族に対し、数百ドル(数万円)の支援をすることを明らかにしている。

Olaの共同創業者のPranay Jivrajka(プラネイ・ジブラージカ)氏は声明で「AI、追跡技術、配置とフローの管理にわたるOlaのイノベーションはすべて、CONNECTSプラットフォームに活かされる。我々は国のためにできる限りの方法で尽力する。先頭に立って新型コロナウイルスと戦っている多くの医師、医療従事者、最前線のスタッフのために、このプラットフォームを無償で提供する」と述べた。

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

外出禁止の影響でビデオチャットのHousepartyが1カ月で5000万ものサインアップを記録

「フォートナイト」で知られるゲームメーカーのEpic Gamesが2019年に買収した人気のビデオチャットアプリであるHousepartyが新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響で大幅な成長を見せている。外出禁止措置のため友達や大切な人と直接会えなくなり、ビデオチャットアプリの需要が突然増えた。アプリストア分析会社のApp Annieによると、アプリのビデオ会議カテゴリーは2020年3月に過去最高を記録した。ただしHousepartyは、これまで数字を公表していなかった。

米国時間4月15日、Housepartyは方針を変えて過去1カ月のサインアップ数が5000万だったことを明らかにした。一部の市場では普段のおよそ70倍になった。

アプリ分析会社のApptopiaのデータによると、ここ数週間でインストール数が急増し、モバイルのダウンロード数も記録的な結果となった。Housepartyは、過去30日間でiOSとAndroidの新規インストールは1720万回と推計している。一方、調査会社のSensor Towerは2800万インストールと推計している。

HousepartyアプリはMacChromeでも利用できるが、これらの数字には含まれていない。

Housepartyによると、需要が増加し多くの市場でモバイルアプリストアのランキングの第1位になったという。

Housepartyは、米国のApp Storeなど82カ国でソーシャルアプリの第1位になった。米国のGoogle Play Storeではソーシャルアプリの第3位になった。

16カ国ではアプリ全体でも第1位になっている。米国のApp StoreとGoogle Play Storeではアプリ全体の第2位に近い結果となった。

同社によれば、ユーザーがこのアプリを使う時間は長く、平均で60分以上会話をしていた。新型コロナウイルスの影響が発生してからは、平均で80分ほどになることもあったという。

Housepartyは溜まり場のように設計されているため、ほかのビデオチャットアプリに比べると主に若年層のユーザーに訴求してきた。まず、Snapchatと統合している。そしてSnapchatと同様に、年齢の高いユーザーが苦手とするジェスチャー主体のナビゲーションを大幅に取り入れている。さらにアプリ内で他の人たちとトリビアや言葉当てゲームも楽しめる。

一方、ZoomやSkype、Google Hangoutsといったビデオチャットアプリのライバルたちは、リモートワーカーや企業向けとして多く使用されていたところに、新たにコンシューマーの使用が増えてきた。そのためこれらのアプリはやや古くさく、「楽しむ」という意図とは距離がある。

とはいうものの、Housepartyは新型コロナウイルス感染拡大を受けて利用が広がり、今はあらゆる年齢や属性の人たちがこのアプリを使っていると同社は述べている。

Housepartyのユーザーは平均23人の友達とつながり、ユーザーの半数近くは会話をしながらゲームをしている。この数字も、同社は以前は明らかにしていなかった(最近すべてのゲームを無料にしたことが利用状況に影響していると思われる)。

これまでずっと米国がHousepartyの最大の市場だったが、App AnnieがHousepartyの成長に関する2020年3月の報告によると、ヨーロッパでの需要が顕著だという。3月21日の週のインストール数は、2019年第4四半期の週あたりの平均インストール数と比較して、イタリアで423倍、スペインで2360倍と急上昇した。新型コロナウイルスの危機が起きる前はスペインなどの市場で広く普及したアプリではなかったことを考えると、驚くべき成長だ。

Housepartyはユーザー数や売上など重要な数字を公開しない傾向があるが、最新の数字を今回公開したのにはさまざまな理由があるようだ。

まずHousepartyは、最近複数のユーザーからソーシャルメディアの投稿を通じてデータ流出を告発されたという困った状況に注目されたくないのかもしれない。ユーザーがTwitterで、Housepartyの自分のユーザーデータがNetflixやSpotifyなどほかのアカウントへのアクセスに使われたと主張した。しかしHousepartyは流出を否定し、さらにソーシャルメディアの投稿が同社のビジネスに損害を与えることを目的とした「お金をもらっている商業活動」の一部であったとさえほのめかしている。同社はこの説を裏付ける証拠に対して100万ドル(約1億700万円)の報奨金を提供するとした。証拠はまだ見つからず、告発の投稿は消えた。

さらに、Housepartyの競合であるZoomはセキュリティとプライバシーに関する多くの問題で最近批判されている。これについてZoomのCEOのEric Yuan(エリック・ユアン)氏は謝罪し、修正すると約束した。当面、HousepartyはZoomの代替を求める人々にアピールして、インストールベースをさらに増やしたいと期待しているかもしれない。

最後に、企業の歴史の中でこれほど規格外の成長を詳しく公表できる場面は、そう何回もない。米国で1億5800万人、世界中で何億人もの人々が家にいるように指示されるとは前代未聞の事態だ。この事態は、ビデオチャットアプリにとっては成長の絶好の機会となっている。

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

Uberが小売品や個人の荷物配送サービスも開始、新型コロナによる事業環境の変化に対応

Uberは今週、Uber DirectとUber Connectという2種類の新サービスを導入すると発表した。Directは小売品の配送プラットフォームで、Connectは家族や友人に荷物を送るためのピア・ツー・ピアのパッケージ配送サービスだ。これは、新型コロナウイルスのパンデミックがライドシェアリング事業を抑制し続けているため、既にUber Eatsプラットフォームを食料品に導入しているが、今回の発表はUberが宅配サービスにこれまでで最も積極的に進出することを意味する。

Uberは既に、最前線の労働者に個人用保護具を輸送するプラットフォームの新たな拡張を導入しており、一部の市場ではEatsも食料品に加えて、便利な商品を配送している。DirectとConnectのサービスは、当初は一部の都市で開始される予定だが、その内容は利用する場所によって大きく異なる。例えばニューヨークでは、Cabinetと提携して市販薬の配送を行う一方、ポルトガルでは郵便小包の配送で公共郵便サービスを補完する。

Uber Connectはある人から別の人との間で当日中に連絡を取り合って配送を行うサービスで、同社はこれを介護用品、必需品、ゲーム、その他の日用品を友人や家族に送る方法だとしている。サービスはオーストラリア、メキシコ、アメリカの25以上の都市で開始される。Connectは本質的にはUberの基本的なライドシェアサービスと大差はないが、ドア・ツー・ドアで人を運ぶのではなく、荷物を移動させる。

どちらのサービスも米国時間4月20日から導入されるが、Uberが利用状況を把握し、ユーザーがサービスに何を求めているのかを見極めながら、徐々に進化していくだろう。また、Uber Eatsの利用が急増している一方、一般的なライドシェアサービスの需要が大幅に減少している中で、荷物の配送事業を強化することは、ドライバーの稼働率を高め、さらには収入を継続させることにもつながる。

新型コロナウイルス 関連アップデート

原文へ

(翻訳:塚本直樹 Twitter

マーク・アンドリーセンが決起の呼びかけ、何か有意義なものを作ろう

私たちの生活を完全にひっくり返した殺人ウイルスと共に生活するのは実に恐ろしい。希望を捨てて観念してしまうのは簡単だ。

それではいけない、とMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏が米国時間4月19日、自身のベンチャーキャピタル会社であるAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)のサイトに書いた思慮に富んだエッセイで呼びかけた。文中でアンドリーセン氏は、何かをどんなものでも社会を今より前へ進ませるものをつくることを提唱している。「アメリカンドリームを再起動」するために我々は「政界のリーダーに、この国のCEOに、起業家に、投資家にもっと多くを要求する必要がある。そして、お互いにもっと多くを要求する必要がある。我々全員が必要であり全員が貢献できる、なにかを作ることに。

アンドリーセン氏は、テクノロジーの大部分はすでに作られていると指摘する。そして住宅、教育、製造、輸送の分野を取り上げ、それぞれを明るい未来に向けて加速するのに必要なツールはほとんどがすでに存在していると言う。そしてかつて我々の役に立ったシステムにしがみつくのは簡単だが、みんなが力を合わせて現状を捨てて置き換えることが重要だと説いた。我々はそういうものを「欲しがる」必要がある。問題は勢いだ。それを防ぎたい気持ちより、それを欲しがる力のほうが大きくなるようにしなくてはならない。問題は「規制の虜」(Regulatory Capture)だ。我々は新しい会社がこれらの新しいものを作ることを望まなくてはならない、たとえ既存勢力が望まなくても。たとえ既存勢力にそれを作るよう強制することになったとしても。そして問題は意志だ。我々はそういうものを作る必要がある。

もちろん彼のいうことは正しいが、アンドリーセン氏からはもっと規範的な何かを学びたい。彼はこの数年ほとんど人前に姿を見せていないが、その2万フィート(6km)の視野は想像をかきたてるものであるとともに、まだ出発点にすぎないことを期待したい。

社会がたった今なにを必要としているかは、トップダウンではなくボトムアップで決まる。問題を解決するためには大きな課題を小さな部分に分けることから始まる。アンドリーセン氏のような人は、今すぐ必要な目標を達成するために現在のテクノロジーに何ができるか、何をすべきかをもっと明確に話すことで、先頭に立って指揮を取ることができるだろう。お金を早く必要とする人に手に渡したり、ビジネス・インテリジェンスを使って緊急治療室の医師から新型コロナ患者の治療状況の情報を収集したり、政府のサプライチェーン管理に役立てたりなど。

米国には精力的な行動が必要であるとアンドリーセン氏は強調する。今ほどそれが明確なときはないと彼は言い、「コロナウイルス検査は足りていない、検査備品もだ。驚くべきごとに綿棒や一般的な試薬すら不足している。人工呼吸器も、陰圧室も、ICUのベッドも足りない。外科用マスク、アイシールド、医療用ガウンも。これを書いている今、ニューヨーク市はレインポンチョを医療用ガウンの代わりに使うよう非常命令を出している。レインポンチョ!2020年に!米国で!

今は恐ろしい状況であり、その大部分は政治システムが招いたものだとアンドリーセン氏は考察する。そしてアンドリーセン氏は口に出していないが、米国の収入格差はG7諸国中最大であり、毎年ごくわずかな人々のところに富が集まり、中流層は減り、貧困層が急増しているという事実がある。

しかし、一度にはひとつずつしかできない。

我々が今本当に必要としているのは、新型コロナ版のマンハッタン・プロジェクトであり、シリコンバレーがそれをリードする必要がある。

もしアンドリーセン氏がこれを手助けしたいのなら、みんな大賛成だ。私たちは耳を傾けている。

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

神戸市が新型コロナと戦うスタートアップを募集、2営業日以内のオンライン一次審査後に社会実装へ

神戸市は4月20日、新型コロナウイルス(COVID-19)蔓延に伴う経済停滞や市民生活支援などのソリューショを有するスタートアップを募集することを発表した。本日から募集を開始し、最短2営業日で一次審査を実施し、その後1週間をメドを2次審査と実証実験の開始時期を随時連絡するという、スピード感のあるプログラムだ。つまり、手を揚げたスタートアップから順に、1次審査、2次審査を通過すれば神戸市と共同で実証実験を進められる。募集終了の期限は現在のところ決まっていない。

募集テーマは以下のとおりで、対象となるスタートアップは創業年数や資金調達のステージを問わない。新型コロナウイルスと戦えるサービスや製品を開発しているスタートアップすべてが対象だ。同プログラムは専用のウェブページから申し込める。

  • データ解析
  • 感染恐れ確認
  • 困窮事業者支援
  • 市民生活支援などのための技術

採択企業への支援内容は以下のとおり。

  1. 市担当部署とのサービス開発に向けた調整
  2. 実証実験の実施協力
  3. 開発のための支援金提供(上限50万円/チーム)
  4. 成功モデルについての早期実装をサポート

審査により選ばれたスタートアップへは1件あたり上限50万円の事業資金が神戸市から提供されるほか、市民によるテスト利用や市役所業務の中での試行導入・実証実験などが可能になる。実証実験に成功したモデル(製品、サービス)については神戸市での実装も検討する。

担当者によると、このプログラムは4月上旬に発案し、神戸市役所でも異例のスピードで実現に漕ぎ着けたという。同市は2018年から柔軟な発想や優れた技術力を持つスタートアップと社会・地域課題を詳しく知る職員が協働して最適な解決手法を見出し、サービスとして構築・実証までを支援する「Urban Innovation KOBE」(UIK)と呼ばれる取り組みを進めており、今回のプログラムもUIKの枠組みの中で実施される。

そのほか神戸市は、米国サンフランシスコのベンチャーキャピタルである500 Stattupと共同開催のアクセラレーションプログラム「500 KOBE ACCELERATOR」を過去4年開催しているほか、2019年11月には、国連の機関であるUNOPS(United Nations Office for Project Services、国連プロジェクトサービス機関)との間で、テクノロジーを活用してSDGs(持続可能な開発目標)上の課題解決を目指すグローバルイノベーションセンター(GIC)の開設に向け、基本合意書(MOU)を締結。2020年4月にはUber Eatsとの提携による飲食店のデリバリーサービスの開始支援を始めるなど、スタートアップ企業との関わりが深い。

関連記事
神戸市がヘルステック強化へ、医療系に特化したアクセラレータープログラムの募集開始
神戸から世界へ、国連調達を目指すスタートアップ育成拠点が2020年夏に神戸上陸
神戸市がUber Eatsと連携して市内の営業エリア拡大
新型コロナウイルス 関連アップデート

インドが中国からの投資に政府承認を義務付け、新型コロナ渦中での敵対的買収を予防

過去2年間に中国の投資家がインドのスタートアップに注ぎ込んだ金額は約60億ドル(約6500億円)に上ったが、今後中国から世界2番目のインターネット市場であるインドへの投資は、より厳しい審査の対象となる。

インド政府は4月18日に対外直接投資政策を変更し、国境を接する国からの将来のすべての取引に政府の承認を必要とする。以前は、パキスタンとバングラデシュのみが対象だった。

インド産業・国内通商振興局は、新型コロナウイルス危機による課題に取り組むインド企業に対する「この機に乗じた買収を防ぐ」ために措置を講じるとコメントした。

「政府は現在の新型コロナのパンデミックに乗じたインド企業の乗っ取りや買収を防ぐため、現在の外国直接投資政策を見直した」と同局は通達で述べている。新規制は「直接・間接保有を問わず、インド企業の現在または将来の外国直接投資の所有権移転」にも適用されると付け加えた。

規制変更前は、インド政府はほとんどの国と同様、現在禁止されている原子力、防衛、宇宙産業の取引にのみ介入していた。国によっては、当局が介入する典型的な取引として、特定産業の自国のプレーヤーに競争上の不利益をもたらすような海外からの大型投資が対象になる。

ネパール、アフガニスタン、ブータン、スリランカはインド企業への投資にほとんど関心を示さないため、投資家やアナリストらは中国狙いの動きだと見ている。

「中国企業が安く、経営不振に陥っている会社を買収しているという懸念が世界中で高まっている」。バンガロールの弁護士であるNikhil Narendran(ニキル・ナレンドラン)氏はTechCrunchに語った。

インドは、ここ数週間で外国直接投資規制を強化したり似たような対策を検討している豪州やドイツなどの国々に続こうとしているようだと同氏は述べた。

中国の巨大企業であるAlibaba(アリババ)とTencent(テンセント)は近年、インドのスタートアップにとって最大の投資家として存在感を高めている。中国ではさらに12を超える企業やベンチャーファンドが、インドでのスカウト活動を強化している。

金融サービス会社のPaytm(ペイティーエム)、eコマースの大手Flipkart(フリップカート)、ソーシャルメディアオペレーターのShareChat(シェアチャット)、フードデリバリー会社のZomato(ゾモト)など、インドの大型スタートアップのいくつかは中国のベンチャーキャピタルの投資を受けている。

インド最大の銀行であり、住宅ローンの貸し手でもあるHDFCは今月初め、中国銀行が同行の保有持分を1%以上引き上げたと述べた。インド国民会議の元党首であるRahul Gandhi(ラフル・ガンジー)は今月初め、与党政府に「国家危機のこの時期に外国企業がインド企業を支配すること」を防ぐ措置を講じるよう要請した。

政策の変更は、インドの主要な投資家らがスタートアップに対し厳しい時期を迎える準備をするよう警告したのと同じタイミングで行われた。投資家らは今月初めスタートアップの創業者達に、今後数カ月間はこれまで以上に資金調達が難しくなる可能性が高いと話した。

調査会社Tracxnの最近のデータは、インドのスタートアップがすでにプレッシャーに直面し始めていることを示している。

Tracxnによれば、インドのスタートアップは3月に79件で4億9600万ドル(約540億円)を調達したが、2月は104件で28億6000万ドル(約3080億円)、1月は93件で12億4000万ドル(約1330億円)だった。また、昨年3月は153件の取引で21億ドル(約2270億円)を調達していた。

インドは新型コロナの拡大を抑えるために先月、全土にロックダウンを命じた。だが他国と同様に、この施策にはコストがかかる。何百万もの企業やスタートアップが深刻な混乱に直面している。

先月末、100を超える著名なスタートアップ、VCファンド、業界団体が政府に対し、混乱に対処するため救済基金を設けるよう求めた

画像クレジット:Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

新型コロナのカオスを正しく理解するために

私たちは毎日、もしかしたら毎時間、新型コロナウイルス(COVID-19)のデータや仮説や憶測さらにはばかげた陰謀論に囲まれて混乱している。数学的思考や何らかの批判的思考の下地があったとしても、どうやってこの状況を正しく理解すればいいのだろうか。

あなたがこの混沌を理解「したい」と考え、まだ一定の立ち位置や見方を決めていないと仮定しよう。そして、どんな新しい情報が入ってきても自分の思考になんらかの変更を加えることには抵抗する、という信念の持ち主ではないことも仮定しよう。しかし、残念ながらそういう人がなんと多いことか。それは、「ビルゲーツの仕業だ」から「われわれがウイルスである」、「単なるインフルエンザにすぎない」、「とにかくロックダウンを終えるべき時に間違いない」までさまざまな不平をぶちまけている人たち全員に当てはまる。

百歩譲って彼らを擁護するなら、私たちは今ソーシャルメディアで、ニュースあるいは「ニュースらしきもの」が、何ら意味のある説明も考察もなく流れてくる世界に生きている。こうしたニュースの「すばらしき新世界」では、誰もが自分自身で自分自身の文脈を決める必要がある。そうすることは、読んだものごとを正しく理解するために、今最も必要なスキルになりつつある。

たとえあなたがそのスキルに恵まれていたとしても、私たちはリアルタイムで起きているサイエンスを目の前にしている。驚くべき仕事が驚くべき速さで成し遂げられている。私たちは奇跡の時代に生きている。それを踏まえても、必要なプロセスはみんなが思うよりずっと厄介だ。査読前の論文と相互査読された論文の重みの違いを知る必要がある。モデルとデータ、仮説に基づく推論と残酷な事実との違いも。

これは調査結果の取り扱いにも当てはまる。薬品Xが有効か否かに関するあなたの意見が、支持政党が薬品Xを支持しているかどうかによって変わるとしたら、それはあなたが科学的に間違っているだけでなく、あなたの「知識」も間違っている。ウイルスに政治は関係ない。

微妙な変化も受け入れる必要がある。たとえば人工呼吸器。当初の考えは「できる限り多くの人工呼吸器が必要だ!」だった。しかし最近では、「人工呼吸器は乱用されている、益より害の方が大きいこともある」という懸念が出てきた。どちらも正しいかもしれない。過度な思考の単純化でこのカオスを乗り切ろうとする誘惑に負けてはならない。

雑音を選り分ける有効な方法は、3つの情報カテゴリーを区別することだ。
(A)自分たちの知っていることは真実である
(B)自分たちの考えていることは、十分強力な裏付けとなる証拠に基づく推論である
(C)その説は憶測である

世の中には、著しく証拠に乏しい(C)でありながら、(B)のふりをしているものが山ほどある。そして、確実にカテゴリー(A)に属している残酷な事実もたくさんある。たとえば、ウイルスが検査されなければ医療崩壊が起きるという極めて明確な証拠が、武漢、イタリアのロンバルディ、スペイン、そしてニューヨーク市で繰り返し見せつけられている。

軽度のカテゴリー(C)に属すものとして、当初新型コロナウイルスのち市立は0.025%程度だろうという憶測があった。今、1万3000人以上のニューヨーク市民が、新型コロナウイルスによる死亡として確認、あるいは可能性ありと分類されている。人口850万人のこの都市で死亡率は0.15%、これは「全市民」に対する割合であって、感染者に対する割合ではない。この種の憶測を、カテゴリー(D)「完全な誤りであると証明済み」と再分類する時はもう過ぎている。

あなた自身の信念をカテゴリー(D)に移動する勇気をもつことも重要だ。誰にもわかっていないことはたくさんあり、今も学習していることがたくさんある。もしあなたが、今全部の答えを知っていると思っているなら、自分があきれるど間違っている可能性の高さを考えてみてほしい。さもなければ今後あなたがウイルスについて議論をする機会も、あなたの信念の正しさを納得させられる機会もないことを保証する。だから、新たな証拠に出会ったときに、信念を変える覚悟をもつだけでなく、積極的に「変えたい」と思う気持ちをもつことを心がけてほしい。

画像クレジット:Pixabay under a Pixabay License.

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Instagramの創立者二人が新型コロナ感染追跡サイト「Rt.live」を公開

Instagramの共同ファウンダーであるKevin Systrom(ケビン・シストロム)氏とMike Kreiger(マイク・クリーガー)氏の二人が手を組み、Facebookの母艦を離れて以来最初のプロダクトを公開した。Rt.liveは新型コロナウイルス(COVID-19)が各州でどれだけ早く感染拡大しているかを追跡する。

“Rt”は、一人の感染者から生まれた平均感染者数を表すスコアだ。数値が1より大きければウイルスは集団内で急速に広がり、1より小さければ収束することを意味する。たとえば、Rt.liveによると、ジョージア州のRtスコアは最大で最も危険な1.5だが、ニューヨーク州では強力な自宅待機命令が功を奏して0.54まで下がっている。

クリーガー氏はによると「ケビン(シストロム氏)は日々のRtを計算する方法に関するデータ分析のメモを書き、オープンソースとして公開している。われわれはこの仕事を視覚化して各州の感染状態を誰でも目で見られるようにしたかった」。一方クリーガー氏は、サンフランシスコ湾岸地帯でギフトカードを売っているレストランを集めたSaveOurFavesというリストを作り、新型コロナ危機の最中もレストランが維持できるよう顧客が応援できるようにした。クリーガー氏は妻とともにこれを作り、オープンソース化することで、各地で同様のサイトをつくれるようにした。

Rt.liveによると、昨日(米国時間4/17)現在、テキサス州とカリフォルニア州では数値が1または1をわずかに下回り、バーモント州がベストスコアの0.33だった。時間を追ってグラフを見ると、ワシントン州とジョージア州は一度は新型コロナウイルスとの戦いに成功し、最近ウイルスが再発するまで1以下を維持していた。データはCOVID追跡プロジェクトから入手したものであり、Rt.liveのモデリングシステムはGitHubで見ることができる。

関連記事:
Instagram founder launches gift card site for quarantined restaurants

「各州は緊急事態命令が解除するために、感染状態を注意深く監視する必要があり、rt.liveのようなダッシュボードはそのために役立つはずだ」とクリーガー氏は言う。自宅待機政策の遵守率のごく小さな違いが、ウイルスの影響の深刻度を指数関数的に増やす可能性があることを視覚的に表すことで、人々に家を出ないよう説得する効果が高まる。この種のツールは、一部のビジネスを安全に再開できるかどうかの決定にも役立つし、ウイルスが急速に伝搬し、厳格なソーシャル・ディスタンスが再び必要かどうかをすばやく判断できる。

同サイトの注目すべき特徴は、地域ごとにフィルターできる機能で、西部の州が南部の州より新型コロナウイルスの撲滅に健闘していることが見て取れる。屋内退避命令の出ていない州が平均よりスコアが悪いこともわかる。グラフは政治的思考とそこから生まれた政策の違いが、感染状況にどう円強しているのかを知るのに役立つ。

写真アプリの成功者が医療統計サイトを立ち上げるのは場違いに思えるかもしれない。しかしシストロム氏はInstagramを急速に成長させる仕事の一環として、長年バイラル性について研究してきた。彼はコロナウイルスの感染者数と死者数を追跡するための 統計モデルを3月19日に公開した。「二人で一緒に働く方法について話しているときに、このアイデアが湧いてきた。私は大学を出た後最初の仕事として、データのビジュアル化と分析をMeeboで行っていたので懐かしい思いででもある」とクリーガー氏は言った。システロム氏がデータ分析を行い、クリーガー氏がサイトを構築しているのは、Instagram時代のフロントエンドとバックエンドの分担と同じだ。

Rt.liveを作った理由は、新型コロナウイルスの感染拡大状況を理解するにはRt(実効感染率)が最適な方法であると信じていたからだ」とクリーガー氏は説明する。「再び一緒に仕事ができることをとてもよろこんでいる。アイデアからサービス公開までわずか数日で済んだのは、過去の歴史と背景を共有していたからだ」

画像クレジット:Cody Pickens

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GMが米政府と契約した人工呼吸器の初回製造分を出荷

GMとVentec Life Systemsが組み立てた人工呼吸器が16日夜に病院向けに出荷され、週末にかけさらに多くの施設に届けられる見込みだ。米政府が注文した3万台の初回出荷となる。

イリノイ州のシカゴやオリンピア・フィールズにある病院への納入は、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミック渦中の1カ月弱前に、何千台もの病院向け人工呼吸器の製造を開始した両社にとってマイルストーンだ。

GMとVentec Life Systemsは人工呼吸器のような呼吸治療製品の製造を増強しようと、3月20日にパートナーシップを発表した。両社は当初、VOCSNと呼ばれるVentecの救命救急用の人工呼吸器の製造にフォーカスしていた。VOCSNは人工呼吸器、酸素濃縮器、咳アシスト、吸引、吸入器として使える多機能のハイエンドデバイスだ。2017年にFDAの承認を得た時のVOCSNは700以上の部品でできていた。

GMは必要な材料が調達可能かどうか、インディアナ州ココモの工場に新たなクリーンルームや生産ラインを建設すればどうなるかを調べた。そしてGMはおおよそ7億5000万ドル(約806億円)かかると見積もった。ここにはエンジンプラントの改造、人工呼吸器を製造するための材料の購入、生産を増強するために必要な作業員1000人の賃金が含まれる、と情報筋は話した。見積もった額のうち25万ドル(約2700万円)はVentec拠出分だ。

トランプ政権は価格に難色を示し、政府との契約は宙に浮いた。トランプ大統領がTwitterを使ってGMとCEOのMary Barra(メアリー・バーラ)氏を批判したが、GMとVentecはなんとか前進させようとした。 そしてトランプはGMに人工呼吸器を製造し、政府との契約を優先するよう大統領令に署名した。GMが人工呼吸器を製造する計画を発表して数時間後のことだ。

攻防にもかかわらず、GMは8月末までに人工呼吸器3万台を製造するという、4億9000万ドル(約530億円)の政府との契約にこぎ着けた。契約では、GMはVOCSN V+Proと呼ばれる400のパーツを使うシンプルバージョンの救命救急人工呼吸器を製造している。より高価で複雑なマシーンは多機能性を備えていた。

GMによると、人工呼吸器製造をスピードアップするために、政府は契約で人工呼吸器としての機能だけを搭載するVOCSNだけを求めている。

製造は今週1シフト制で始まり、加速している。GMの広報担当によると、数週間内に第2シフト、第3シフトを加える計画だ。3シフト制になると従業員1000人超が必要となる。

これまでに10台の人工呼吸器がオリンピア・フィールズにある聖フランシス病院に納入された。もう10台が17日にシカゴのワス・メモリアル病院に納入される見込みだ。3回目の出荷となる34台は18日にゲーリー/シカゴ国際空港にある米緊急事態管理庁に届けられ、そこから最も必要とされているところへ輸送されるとのことだ。

テストが広範に実施されるにつれCOVID-19感染者の数は急激に増えていて、人工呼吸器のニーズは切迫している。症状が軽い人もいれば、重篤な呼吸困難症状で病院に運ばれる人もいる。人工呼吸器の不足により、Ford(フォード)やVolkswagen(フォルクスワーゲン)などの自動車メーカーは人工呼吸器製造を模索することとなった。FordとGE HealthcareはAiron Corpから人工呼吸器デザインのライセンスを取得し、ミシガン工場で7月までに5万台を製造する計画だ。

自動車メーカーはまた、ヘルスケアワーカー用のフェイスマスク、フェイスシールド、電動ファン付き呼吸用保護具も製造している。

画像クレジット: AJ Mast for GM

“新型コロナウイルス

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

Facebookが新しいリアクション「care」をメインアプリとメッセンジャーに追加

多くの人が家に閉じこもりがちな今、Facebookは友だちや家族や近所人たちが新型コロナ・パンデミックの中でどうしているかをチェックする一番の道具になっている。今日(米国時間4/17)同社は、応援する気持ちと自分の存在を示す方法の一つとして、新しいリアクション、”care” を追加することを発表した。エモジの顔がハートを抱いていたり、ハートが鼓動していたりする。新しいリアクションのエモジは、これまでの「いいね!」「超いいね!」「うけるね!」「すごいね!」「悲しいね」「ひどいね」のエモジと並んで表示される。

この “care” は、2015年にそれまで「いいね!」だけだったリアクションの種類を増やしてして感情を素早く表せるようにして以来の新規追加だ。

“care”ボタンは来週からFacebookのメインアプリ(ハートを抱いているエモジの顔)に追加され、Messengerのリアクション(鼓動するハート)は今日から追加される。新しいハートは既存のリアクションを押して変更することも、新しいリアクションで出すこともできる。

[Messengerは鼓動するハートのリアクションを今日追加して、友だちや家族に特別の愛と気遣いを表現できるようになった。
リアクションを変更するには元のハートを長押しして新しいハートを表示させる。元に戻すにはもう一度新しいハートを押せばよい]

「新しいリアクションが#COVID19新型コロナ・パンデミックの中で誰かを気にかける気持ちを表す新たな方法になることを願っています」と広報担当者が ツイートした。「この不安な時期に、人々が友だちや家族のことを思っている気持ちを表すことで励まし合ってほしい」

今日に先立ち、Facebookのプロダクトデザイナー、Pedja Ristic氏は自身の投稿で新しいリアクションを試していたようで、これもヒントになった。

これは言ってしまえばごく小さなジェスチャーにすぎない。投稿への反応にエモジを送っても食べ物が届くわけでも、誰かの収入を保証できるわけでもない。新型コロナの偽情報を防ぐことも、最善の対応策を教えることもないし、この恐ろしい病気にかかってしまった人を治療することもできない。

しかし、Facebookが多くの人々の支援ネットワークの中心となり、一人で暮らす人たちにとってはいっそう重要や役割を果たしている今、新しいリアクションはFacebookをもっと役立つように、私たちがたった今必要としている気持ちに沿うようにする一つの方法だ。

Facebookは現在の健康危機に役立つためにさまざまなレベルの仕事をしている。誤情報を削除し、良いニュースを報じている地域メディアに支援金を提供し、中小企業にも支援の手を差しのべ重要なお知らせを広く伝達して公共保健機関を助け、他の多くの人たちと同じく必要としている人にマスクを寄付した。

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

新型コロナ禍でVCが尻込みする中、Clearbancはスタートアップ支援の新商品を発表

Clearbanc Runway

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によってベンチャー市場が鈍化し、スタートアップの資金調達はますます厳しいものになっている。パンデミックにより市場活動が減退した。これは投資家達にとって流動性の高い取引が減り、スタートアップに回す新規資本(ドライパウダー、待機資金)が減っていることを意味している。

その結果、投資家達は既に資金援助したスタートアップに対し、ディールフローのバブルが戻るまでランウェイを引き延ばす必要があると伝えている。これには数四半期を要する可能性があると投資家たちは話している。2008年度のデータを見ると、数年かかる場合も考えられる。

カナダのClearbanc(クリアバンク)は、Clearbanc Runway(クリアバンク・ランウェイ)という新しい金融商品を発表し、スタートアップの資金確保を支援する。

Clearbancのウェブサイトでは、スタートアップ創業者が現在のランウェイ額、現金残高、諸経費、収益、マージン、成長率などの条件を入力できるようになっている。同社はそのデータを分析し、起業家の持ち分を減らさない形で資金を提供する。創業者はレベニューシェア契約を通じて現金を返済できるようになっている。企業が対象資格を得るには、毎月最低1万ドル(約108万円)の収益と、最低6カ月間の一貫した収益履歴が必要になる。

Clearbancが金融会社のように聞こえるかもしれないが、実際のところ(ほとんど)その通りだ。Clearbancはスタートアップに融資し、返済計画に上乗せして利子を請求する。ただし同社は金融会社として規制されていないため、法的には金融会社にはならない。ローンには固定返済スケジュール、複利、返済日があるが、Clearbancにはそうした要素はない。その代わり売上に対する定率を取り分とし、スタートアップの業績が下がれば、返済されるまでしばらく待つことになる。同社がスタートアップ創業者にペナルティを課すことはないらしい。

レベニューシェア契約では一律6%の手数料が課され、その返済は既に資金調達プランの一部となっている。Clearbancからの投資を受けるスタートアップの売上が前月比で伸びている場合、企業が取得できる資金調達合計額はそれに反映される。

クリアバンク・ランウェイ グラフ

Clearbanc Runwayは同社のフラッグシップ商品「20分タームシート」に似ている。

Clearbancは、20分タームシートを作り、企業がGoogleやFacebookの広告に費やせるように、希薄化しない広告資金を取得できるようにした。株式資本が関わることから、スタートアップは貴重なベンチャー投資資金をその他の経費に使用することが前提とされた。Clearbanc Runwayはさまざまな目標を実現させている。

「我々は当初、主に広告費用に重点を置いていた。今では企業を維持するためのあらゆる経費に資金供給できる」とClearbanc共同創業者のAndrew D’Souza(アンドリュー・ドゥスーザ)氏は言及した。Clearbanc Runwayでは、将来エンタープライズ、ソフトウェアビジネス、eコマースビジネスにも資金供給する。

この2つの商品におけるわずかな違いは、新商品の方がやや保守的であるという点だ。Clearbancはこのパンデミックの状況下で、eコマースビジネスに多額の資金供給を行っているため、独自の位置にいる。そうしたインターネットビジネスは、新型コロナウイルスの大流行で実店舗が閉店する中、トラフィックを増やしている。

ただしそれは「不安定で、先行きは不透明だ」とドゥスーザ氏は言及している。「我々が6カ月前よりもさらに保守的になるのは明らかだ。おそらく、より少額をより頻繁に投資する感じになるだろう」。

Clearbancはベンチャーキャピタル企業とディールフローで競ってはいない。その代わりに、小規模事業に融資を行うフィンテック企業と競うことになるだろう。そしてその焦点は珍しくもなければ、新しくもない。

関連記事:Here’s why so many fintech startups are loaning to small businesses(未訳)

2020年3月、小規模事業が従来の融資資産の代わりにクレジットカードで経費を支払えるようにするPlastiq(プラスティック)は7500万ドル(約81億円)を調達した。決済処理大手のStripe(ストライプ)もStripe Capital(ストライプキャピタル)と呼ばれる融資商品を用意し、一律の利率でインターネットビジネスに融資している。

2020年1月、Lighter Capital(ライターキャピタル)は他のスタートアップに融資するために1億ドル(約108億円)を調達した。これはClearbancのレベニューシェア契約のフォーマットに似ている。これらすべては、融資を行う意思のある企業が多く存在することを示している。どの取引条件が最適かを決めるのは小規模事業の方だ。

ベンチャーキャピタル投資先スタートアップがすべての小規模事業ローンを利用できるわけではない。例えば米国政府が提供した2兆ドル(約215兆円)の景気刺激パッケージで用意された小規模事業への融資は3億4900万ドル(約375億円)だ。しかし新しいガイダンスでは、ほとんどのスタートアップが未だに金銭的支援から除外されている。だが先着順で配布されるため、ローンを申請する者も中にはいる。

Clearbancは、スピード感において競合するサービスと差別化できるという。

ドゥスーザ氏は「『SBA(米国中小企業局)ローン』に申請できるのはすばらしいことだが、時間がかかる可能性がある」と言及した。「莫大な未処理分があるし、取引銀行とそのシステムの設定にもよるだろう」。

ほぼ1年前に、Clearbancの共同創業者であるMichele Romanow(ミケーレ・ロマノウ)氏はIPOとユニコーンについて語っていた。会社の倒産や大量のレイオフを回避するための支援に関するドゥスーザ氏の話を聞くと、Clearbanc Runwayへの敷居は明らかに低くなっているようだ。

同社は2200の企業に対し10億ドル(約1075億円)の投資または金銭的取引を行った。

そもそもClearbancでは、従来の株式資本取引に含まれる所有権譲渡なしに、eコマース創業者がスタートアップを成長させる方法として同社を売り込んできた。現在では、世界中でベンチャーキャピタルが以前より活発ではなくなったことを受け、すべての創業者がビジネスを存続させる方法として売り込んでいる。

原文注:クリアバンクは、従来の金融会社とは異なる金融構造を有しているため、法的には金融会社とは言えないと言及している。記事はこの点を明確にするため更新されている。

画像クレジット: Malte Mueller / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳: Dragonfly)