GoProが従業員20%相当の200人を解雇、事業モデルも見直し

アクションカメラ製造のGoProはかなりの組織変更を発表した。その柱が、従業員200人超を解雇するというものだ。これは従業員数20%減を意味する。

GoProは人員削減と併せて一部のオフィスを閉鎖する。5カ所のオフィスを閉鎖し、2020年に事業費を1億ドル(約107億円)削減するつもりだ。そして2021年には事業費をさらに2億5000万ドル(約269億円)減らすとしている。GoProはTechCrunchに対し、2021年は人員削減せずに事業費を抑制すると説明している。

その裏で、GoProはビジネスモデルに抜本的な変更を加えている。同社はカメラやアクセサリー、サブスクなどを販売しているが、メーンの販売店となるGoPro.comを活用して消費者直結型のモデルに切り替える。

同社は多くの小売店舗でのデバイス販売を取りやめるが、多く売り上げている一部の地域の選ばれた小売店とは関係を維持する見込みだ。

だが、GoPro.comでの直接販売が同社の未来であり、これは収益改善に貢献するはずだ。GoPro自身が小売になれば、小売店に手数料を払わなくてもいい。2019年にGoPro.comでの販売は欧州での売上高の20%超を、米国では20%近くを占めた。

「GoProのグローバル流通ネットワークは新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックで影響を受けていて、今後はより効率的で収益性のある消費者直結を中心に据えた事業に移行する」と創業者でCEOのNicholas Woodman(ニコラス・ウッドマン)氏は書いている。「チームの多くの有能な人を解雇せざるを得ないというのは悔しい。彼らのこれまでの貢献には今後も感謝する」

レイオフに加え、販売・マーケティングの支出も2020年以降カットされる。ウッドマン氏は年内、給料は受け取らない方針だ。役員会もまた報奨金は受け取らない。

GoProは第1四半期と2020年の決算ガイダンスの発表を見送ったが、売上高は1億1900万ドル(約128億円)、non-GAAP1株あたり利益は0.30〜0.40ドル(約32〜43円)の赤字を見込んでいる。取引開始前の執筆時点で、GoProの株価は15日終値より3%安い2.58ドル(約278円)で取引されている。

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(翻訳:Mizoguchi

インスタから料理を注文可能に、レストラン注文プラットフォームと連携

Instagramがロサンゼルスを拠点とするレストラン注文プラットフォームのChowNowと提携し、地元のレストランが投稿する写真やビデオに「フードをオーダー」ボタンとステッカーを追加して料理を注文できるようにする。

両社によれば、ボタンとステッカーはChowNowに直接リンクし、注文のフローを完了できるようにするという。フォロワーは自分のストーリーでレストランのステッカーを共有できるので、拡散が期待できる。

新型コロナウイルス感染拡大により、米国では州政府や自治体の指示で経済活動が大きく制限され、対人距離もとらなくてはならないため、レストランは特に大きな打撃を受けている。

ChowNowの共同創業者でCEOのChris Webb(クリス・ウェブ)氏は発表の中で次のように述べている。「この前例のない感染拡大の中、地域のレストランが存続し、最終的には成長するための支援として、ChowNowは全力でリソースを集中して記録的なスピードで新しいプロダクトとサービスを開始する。Instagramのこの機能は、我々がレストランのパートナーに提供する価値の高い新たなツールだ。レストランの費用負担はない。ほかのデリバリーアプリのような高額な手数料は不要で、レストランは売上と注文を増やすことができる」。

Instagramでは、料理の写真やビデオは特に広く共有される。ユーザーはこの新機能を使って、見つけた料理をすぐ注文できる。

ウェブ氏は、これはレストランにとって優れたマーケティングツールで、店内での飲食はできなくても営業はしていると顧客に簡単に知らせることができるという。

ロサンゼルスのレストラン、Birdie G’sとTallula’sのオーナーシェフであるJeremy Fox(ジェレミー・フォックス)氏は「我々はすぐ配達とテイクアウトのみの営業に変更した。これは全国の個人営業のレストランにとって、きわめて難しい選択だ。ChowNowを店舗のInstagramアカウントとシームレスにリンクでき、しかも注文に対する手数料が課されないので、我々が提供する新しいことをすべて宣伝して、しかもレストランと大切なスタッフがより多くの収入を直接得ることができる」と述べた。

Instagramとの提携はこの2、3週間で開発したとウェブ氏は言う。

「レストランにとって最も重要なことのひとつは、カスタマーベースに対するエンゲージメントと料理の注文についての告知だ。そのためのチャンネルにはInstagramが最も適している。Instagramで料理の写真を投稿し、サイトに誘導するのは簡単だ」(ウェブ氏)。

フォローしている近所のレストランに料理を注文したい人は、ストーリーに付けられたボタンかステッカーをタップするだけだ。するとChowNowの注文システムに移動し、ChowNowに統合されているStripeで支払いができる。

ChowNowはシステムの手数料をとっていないが、注文と決済の仕組みには月額99〜149ドル(約1万700〜1万6000円)を課している。ChowNowは、DoorDashなどの企業やロサンゼルスのJolt Deliveryのような地域の配達サービスと提携して、決済と配達を運営している。

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(翻訳:Kaori Koyama)

患者遠隔モニタリングのMedopadがHumaとしてリブランド

ロンドンを拠点とするMedopadは、デジタルバイオマーカー(血液サンプルや医師の診察によらず、アプリやウェアラブルを使用して病気や病気の進行状況、そして全体的な健康状態を測定可能な値のこと)に基づいて患者を遠隔モニターするための、医療従事者向けソフトウェアを開発するスタートアップである。そのMedopadに大きな変化が訪れようとしている。

同社はHumaという名前へリブランディングを行い、その初代取締役会議長に、元英国保健大臣のAlan Milburn(アラン・ミルバーン)氏を任命した。それに加えて、Humaは事業範囲を拡大するために2つのAIスタートアップの買収を発表した。メンタルヘルスに注力したBioBeatsと、心血管を専門とするTarilian Laser Technologies (TLT)である。

契約の金銭的条件は公開されていないが、BioBeatsの買収金額は約1000万ドル(約10億8000万円)だと推測されており、TLTの買収にはソフトウェア資産、多数の特許、そして現在FDAの承認待ちの非侵襲的な方法で血圧を継続的に測定する新しいハードウェアデバイスの獲得も伴っている。

いずれの買収も、Humaがバイオマーカーモニタリングを新たな分野(特にメンタルヘルス関連のバイオマーカーや、血圧に関連するすべての指標)に拡大し、慢性疾患その他の状態のモニタリングに加えて、人間の健康に関する分野に予防的で先を見越した拡大をするための役に立つだろう。

Humaは、その手の届く範囲を拡大するために、パートナーシップの強力なネットワークを構築してきた。スマートフォンでカメラに向かって話しかける様子をモニタリングするだけで、パーキンソン病の進行状況を測定する手法のテストに、Tencentと協力することも行われている。そして、製薬大手のJanssen(ヤンセン・ファーマ)とともに、発話された声に基いてアルツハイマーを診断する手法についても取り組んでいる。また、ロンドンのKings and Bartsや米国のJohns Hopkinsなどの主要な研究病院と密接に協力して、他のバイオマーカーテストを開発している。

しかし、そうした推進をしている初期研究の中には、Huma自身がBioBeatsやTLTが既に獲得済のものと同等の知識とチームを構築するには、何年もかかるものがある。それゆえに今回の買収に踏み切ったのだ。

これは、スタートアップがこの先も進める予定の行動パターンだ。

Humaは現在、英国の医療技術セクターでこれまで行われた調達の中で最大のもののの1つになることを目標に、今後数週間から数か月以内での資金調達に取り組んでいる(これまでで最大のものは、Babylon Healthによって昨年行われた、5億5000万ドル(約590億円)の調達である)。

この資金調達は、事業そのものの運営費用の捻出ではなく、より多くの買収を行うために行われるものだ。Humaはまだ、前回の資金調達(昨年11月にバイエルが主導した2500万ドル(約27億円)のラウンド)で得られたものよりも多くの資金を銀行に保有しており、CEO兼創業者のDan Vahdat(ダン・バーダット)氏によれば、すでに年間の収益目標を達成しているとのことだ(まだ4月ではあるが)。

その力強いビジネス業績を達成できた理由の一部は、新型コロナウィルスによるものだ。Humaは、病院のオーバーフローを防ぐことを目指すCOVID-19トラッカーを3月末に発表した。それはCOVID-19の確定例または疑い例ではあるものの、入院させるほど重症ではない人びとを、入院させる代わりにスマートフォン、スマートウォッチ、その他のデバイスを使用して遠隔から測定を行い、注意深くモニターするシステムだ。モニター対象から上がってくるバイオマーカーが、病気の悪化の可能性を示した場合には、状況が悲惨なものになる前に病院に来るように指示される。

世界中の多くの医療システムが、コロナウイルス感染の流入で限界に達しつつある現在、これは患者流入ををトリアージする試みの1つの方法であり、それは多くの場所で歓迎された。Humaは、数週間以内に複数の国で同社のサービスの公式契約を発表する予定だとバーダット氏は語った。

新取締役会議長のミルバーン氏は、その声明のなかで「Humaと一緒に働き、デジタルバイオマーカーを通じて人体の新しい理解を深め、ヘルスセクターの変革を支援できることを嬉しく思っています」と述べている。「私たちは健康を理解し、病気を診断し治療するための、突破口となりえる手段の非常に初期の段階にいます。そしてHumaは、こうした生命科学分野、イノベーションパートナー、そしてヘルスケアのための新しい有望な分野における、真のリーダーになることができるでしょう」。

画像クレジット: Busakorn Pongparnit (opens in a new window)/ Getty Images

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(翻訳:sako)

エコノミストはまだモデルを放棄していない、でも時間の問題だ

認識の柔軟性が世界の新しい秩序

昨今、多くのものが不足しているが、認識の柔軟性もその1つである。

現代の世界ではデータ、モデリング、ヒューリスティック(経験則)、「直感」が混在しているが、人間はこのような極度の複雑さに向き合うことに慣れている。我々はすべてを知ることはできないので、目の前にある無秩序に秩序を与えるためには、特定の視点で切り取る必要がある。直線的な時代では、そのようなプロセスが実際に(ほとんどの場合)有効である。一般的に経済は一方向に進む傾向があり、モデルと直感は多少隔たりがある場合もあるが、現実にかなり合致する。

新型コロナウイルスは我々に新しいシナリオを提示する。それは現代のグローバル化した経済環境において我々が経験したことのないものである。どのようなモデルも直感も、現在起こっている事象を正確に評価できないでいる。我々が世界を認識するあらゆる方法(文字どおりあらゆる方法)をゼロから再構築する必要がある。

先日、米国で経済の健全性に関する2つの重要な指標が発表された。週次失業保険申請件数と、3月分の雇用調査である。

失業保険に関する数値が発表される前に、ブルームバーグのMax Reyes(マックス・レイズ)氏がエコノミストの予想について次のように述べている。

ブルームバーグの調査によるエコノミスト予想の中央値は350万件で、これは前回の予想をやや上回っており、すでに過去の最大件数の4倍を越えている。

実際の結果は660万件で、予想の約2倍であった。このような数字になるには、標準偏差と中央値にどれくらいの差が必要かを考えて欲しい。

だが、私にとって真に意外だったのはその翌日の発表だ。多くの経済統計と同様に、失業者数には注目する必要がある。失業者数は毎月第1金曜日に発表されるが、調査期間はその2週間以上前に終了している。そのため、「3月」の雇用データは、実際には2月中旬から3月中旬のデータを示している。通常、このような食い違いについては多くの計量経済学者が大学院のゼミで論じるだけだが、経済における最近の極めて大きな変化により、調査の設計から生まれたこの結果が突如注目を浴びることになった。

この統計が発表される前に、ウォール・ストリート・ジャーナルのEric Morath(エリック・モラス)氏がエコノミストの意見について次のように要約している。

ウォール・ストリート・ジャーナルが月曜日までに調査したエコノミストの予想は、雇用主が従業員1万人を削減し、3月の失業率は3.5%から3.7%に上昇するというものだった。この数字はそれほど悪くないように見えるが、飲食店、小売業、製造業などで発表された大規模な解雇が含まれていない。それらは調査期間終了後の3月後半に発生したためだ。

モラス氏は以前の記事の最後で、次のような課題について述べている。

3月のレポートから考えられる結果は著しく広範なものである。調査対象のエコノミストの予想は、雇用数31.2万の増加から125万の減少までさまざまである。失業率が50年ぶりの低水準になると予想する者もいれば、5%超に上昇すると予想する者もいる。

「現在の特殊な状況に対応できる予測モデルは作られていない。不確実性が非常に大きい」と、Upjohn Institute for Employment Research(アップジョン雇用問題研究所)のエコノミストであるBrad Hershbein(ブラッド・ハーシュバイン)氏は語った。

実際にハーシュバイン氏の言うとおりで、次のように中央値は大きく乖離していた

労働省による金曜日の発表によると、ウイルスを抑え込むための努力が米国経済を崩壊させたため、3月は雇用が70.1万件減少した。さらに、3月の失業率は2月の3.5%から4.4%に上昇した。これは1か月の上昇幅としては1975年1月以来最大である。

予想1万に対して実際は70.1万であった。

専門家(および報道関係者)にとって難しい点の1つは、最近の市場の不確実性を伝える方法である。31.2万の増加から125万の減少という範囲は、もはや範囲とは言えない。この世で起こり得る現実すべてを表している(それを踏まえると、グローバルなパンデミックの中で数十万の新規雇用を予想したエコノミストは、診療所や避難所に行くのをやめるべきであろう)。

スタートアップの世界でベンチャーキャピタルから繰り返し聞いた言葉は「わからない」である。これは健全な反応である。市場が来週どうなるかは誰にもわからないのだから。ましてや3ヶ月後や2年後のことなど当然わからない。さまざまな合理的シナリオがあるが、それらのシナリオは相互に矛盾することがよくあるので、分析麻痺が発生する。

繰延需要のおかげで2年後には旅行業界は回復するのだろうか。それとも海外旅行業界は長期的に衰退するのだろうか。小売業は活性化されるだろうか。新型コロナウイルスが多くの不要な店舗を一掃して小売業の展望をリセットし、それにより小売業が今後10年間、経済における最もダイナミックなセクターになるのだろうか。

誰にもわからない。それらすべてのデータ、すべてのモデル、ヒューリスティック、直感によって多少の見通しが示される可能性はある。だが、それらは理解を助けるのと同様、新しい世界を見ることを妨げる可能性もある。

配当と自社株買い

柔軟な認識の欠如は専門家だけの問題ではなく、一般の消費者や個人投資家にも同様に影響を与える。
世界中の主要銀行は、準備金と自行の貸し付けのニーズについて熟慮し、配当を見直そうとしている。それに納得できない投資家もいる

HSBCホールディングスの株式を2%保有する、香港を拠点とする個人投資家グループは、イギリスの規制当局の圧力によってこの銀行が74年ぶりに中止した現金配当の代わりに、スクリップ配当(株式配当)を要求している。また、臨時株主総会の開催をするよう強く求めている。

銀行制度を支え、信用を維持することは、このような金融株の長期的な健全性にとって極めて重要である。そのため、短期的な配当を支払うことで、基盤となる資産の価値が完全に崩壊するという代償を払うことになる可能性がある。

それでも配当を求めるシグナルが強いため、銀行は市場に悪いシグナルを送らないよう、自行の財務健全性から目を背けようとしている。フィナンシャル・タイムズのRichard Henderson(リチャード・ヘンダーソン)氏は、今後の市場における配当についてのネガティブな見解を書いている

支払いの額を毎年上げようとしている上場企業にとって、配当は財務的安定性の印である。通常、配当を実施しないと投資家からペナルティを科される。配当の安定的な増加は、最近の爆発的な自社株買いの増加とは対照的だ。自社株買いはお金を還元するためのより柔軟な方法だと考えられている。あまり目立つことをしなくてもプログラムを一時停止または廃止できるからだ。

「配当を削減するのは悪いシグナルであるため、削減はしたくないだろう。一度配当の実施を決めたら、削減するのは極限の状況においてのみである」とヴェリス氏は語った。

「削減するのは極限の状況においてのみである」。しかし、コロナウイルスの大流行という、今回の非常事態は極限の状況ではないらしい。実際に、安定を保つことは重要である。そのため、銀行の幹部は世界が何も変わっていないかのように物事を進めている

モルガン・スタンレーのCEOであるJames Gorman(ジェームズ・ゴーマン)氏がCNBCに語ったところによると、当面、配当を一時的に停止することは「非常にまずい方法」であり、「不安定化をもたらす」ということだ。一方、シティグループのCEOであるMike Corbat(マイク・コーバット)氏は同じくCNBCに対して、銀行の配当は「健全であり、払い続けるつもりだ」と語った。

直線的な世界では、「安定した企業は安定した配当を支払うべき」というようなヒューリスティックが意味を成すのであろう。しかし現在の状況を考えれば、企業が現金の配布をやめるべき理由がわかる。それでもやめない場合は、過去のモデルに固執しており、未来を歩む方法を考えていないのだ。

今は新しい時代である。ヒューリスティックやモデルなど、我々が世界を理解するためのあらゆる認識の手段の限界を認める必要がある。そしてそれらを放棄する必要がある。15年前に学んだ経済の仕組みに賭けるときではない。今は長期的な考え方を再構築する機会である。

画像クレジット: Michael Raines / Getty Images

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(翻訳: Dragonfly)

GE HealthcareとMicrosoftが新型コロナ患者の遠隔監視ソフトを立ち上げ

GE Healthcare(GEヘルスケア)は、クラウドベースの新型コロナウイルス(COVID-19)患者監視ソフトウェアをヘルスシステム向けに立ち上げるために、Microsoft(マイクロソフト)との長年のコラボレーションを拡張する。

GE Healthcareはもともと、同社のMural Virtual Care Solutionを今年初めの病院管理システム協会の会合でデビューさせるつもりだった。COVID-19の流行がその計画を台無しにしたとき、同社はMicrosoftのAzureクラウドを使用している病院に素早く提供できるCOVID-19アプリケーションにフォーカスするためにソフトウェアの提供を再設計した。当初はEdisonプラットフォームの新機能として提供する予定だった。

GE HealthcareとMicrosoftは2021年1月まで、このソフトウェアにかかるインストール以外の費用をすべて免除する。

ソフトウェアは、病院のスタッフが集中治療室の患者(呼吸器をつけている人も含む)をモニターできるハブとなるようにデザインされている。

Microsoftのグローバル・メディカル責任者を務めるDavid Rhew(デイビッド・リュー)博士が指摘したように、リモートツールは病院スタッフの感染患者への曝露を減らすのに役立ち、必須の個人保護具をとっておくのにつながるかもしれない。

「これはもともと、インストールするのに数週間かかり、サーバーを設置するのにも時間がかかるオンプレミスのソリューションとして構築されていた」とリュー博士は話した。「効率的にモニターするのに、これは明らかに素晴らしい手法だ。というのも病室に入らなくてもよく、個人保護具を使わず、暴露のリスクを減らせるからだ」

同社の発表によると、Muralをインストールすると、複数の場所にあるICUのベッド100床をベテランの看護師3人と集中治療医2人でモニターできる。ソフトウェアは、人工呼吸器や既存の患者モニタリングシステム、電子医療記録からリアルタイムでデータを収集し、1つの監視ハブに集約する、としている。

「ひるんでしまいそうなCOVID-19の勢いに直面しているが、私や仲間のヘルスケアワーカーが個人保護具を使うことなく重篤な患者を安全にモニターして看護するために、バーチャルICUテクノロジーの活用は必須だ」とオレゴン健康科学大学の医療能力責任者で救急医療副会長、麻酔学・周術期の教授であるMatthias Merkel(マティア・メルケル)氏は声明で述べた。「テクノロジーを通じて密接につながってサポートし続けられることで、我々はこれがなければ対応できなかっただろう地理的な距離も超えて患者の看護をより良いものにすることができる」

画像クレジット: Glow Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

PayPalやIntuit、Squareが新型コロナ緊急融資プログラムへ参加

フィンテック企業はこの数週間、中小企業向けの米国政府の緊急融資プログラムに参加できるようロビー活動を続けてきた。その努力がついに報われた。PayPal(ペイパル)、Intuit(インテュイット)、Square(スクエア)の米中小企業庁(SBA)の給与保護プログラム(PPP)への参加が承認された。これは、従業員への給与を少なくとも8週間払い続けている中小企業を返済免除条件付き融資で支援する制度だ。

3500億ドル(約38兆円)の中小企業向け融資プログラムは、議会の2兆ドル(約220兆円)の新型コロナウイルス対応の景気刺激策の一部であり、従業員500人未満の企業が対象だ。

PayPalは4月10日に参加への承認を得た後、SBAのプログラムの下で融資を提供できる最初のノンバンクの1つとして承認されたと発表した

同社はすでに本日まで中小企業向けの貸し手として営業している、と指摘した。PayPalは2013年以降、事業主に長期・短期の資金を融資している。これまで30万5000以上の中小企業に150億ドル(約1兆6000億円)を超える資金を融資した。

PayPalの社長兼CEOのDan Schulman(ダン・シュルマン)氏は声明で「当社は、中小企業がこの困難な時期を乗り切るために、資本と専門知識を活用して支援したいと考えている」と述べた。「申請していた最初の融資が実行された。今後数日以内にさらに多くの融資が実行される予定だ。CARES(コロナウイルス支援・救済・経済安全保障)法により、PayPalのような会社が、深刻な影響を受ける企業に資金を迅速に届けられるよう配慮した議会の指導者らと政権のおかげだ」と付け加えた。

一方Intuitは4月13日、新型コロナ危機対応のために始めた複数の新しいプログラムと、今回の政府援助制度について詳しく説明した。直近ではIntuit Aid AssistというWebサイトを立ち上げた。このサイトでは、中小企業の経営者や自営業者がSBA管轄のCARES法の下で連邦政府の救済措置を受ける要件を満たしているか、無料で判定できる。

PayPalと同様、Intuit傘下のQuickBooks Capital(クイックブックス・キャピタル)も4月10日、SBAのPPPに関してノンバンクの貸し手として承認を受けた。中小企業のオーナーは連邦政府の救済措置の適格性を満たすかQuickBooks Capitalのソフトウェアで判断できる。自動化によって申請プロセスも簡素化されている。適格であれば、SBAと連携しつつ、PPP融資を実行する。QuickBooks Capitalが救済措置へのアクセスを迅速化する。

「消費者や中小企業の多くが家計や帳簿のやりくりに必死だ。嵐を乗り切るために必要となる収入の消失や貯蓄の欠如に直面している」とIntuitのCEOであるSasan Goodarzi(ササン・ゴッダルジ)氏は述べた。「米国政府は待ち望まれていた救済策導入に踏み込んだ。当社も支援のため政府と密接に連携していく。当社の迅速にイノベーションを生み出す能力と人工知能の技術を活かして、米国人がさまざまツールを検討し、必要とする救援措置に速やかにアクセスできるよう支援する」

また、Intuitは最近、景気刺激策に基づく給付登録サイトを開設した。これはTurbo Tax(税務申告ソフト)を利用した新しいサービスで、ユーザーは登録すると政府から給付を受け取ることができる。同社によると、2週間も経たないうちに、16万5000人以上の米国人がこのサービスを利用し、2億3000万ドル(約250億円)を超える連邦政府による給付のための登録がなされた。

4月13日にはSquare Capital(スクエアキャピタル)がPayPalとIntuitに加わり、PPPの貸し手としてSBAの承認を得たと発表した。同社は今週、Celtic Bank(セルティック銀行)と協力してPPP融資の申請を開始する予定だという。

Square Capitalは申請が通り次第、Square Dashboard通じて小売業者に通知すると述べた。申請データを自動で確認できる雇用主から始める。

オンライン融資企業やフィンテック企業は過去数週間にわたり、SBA認可の融資業者として業務ができるようロビー活動を続けている。

米財務省は4月9日、フィンテック企業がSBA融資プログラムへの承認を申請できる様式を発行することで対応した。だがNBCニュースは最近、一部の未承認のオンラインフィンテック企業が救済を求める企業の融資申請を受け付けていたことを明らかにした。たとえば、Kabbage(カバッジ)は当初、認可業者ではないことをウェブサイトで明示していなかったとNBCは報じた。

フィンテックテクノロジーのリーダーによるアライアンスであるFinancial Innovation Nowは3月、中小企業への資金供給に銀行とともに参加できるよう要求する書簡を議会に提出した。Square、PayPal、Intuit、Stripeなどが参加するアライアンスは、「企業へのリーチ、構築した関係、デジタル技術によって従来の金融機関よりも迅速に、最も打撃を受けやすい企業に手を差し伸べることができる」と主張している。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

製造業と小売業の低迷で米国株下落の中アマゾンが最高値を更新

米国時間4月15日、米国主要株式インデックスは揃って下落した。商務省および連邦準備制度理事会の最新データが、 製造業生産高と小売業売上の崩壊を示したためだ。

しかし、本日の暴落は昨日4月14日の上げ幅をすべて消し去ったわけではなく、米国の投資家と企業が、新型コロナ感染拡大による経済ショックに耐える好位置につけている可能性を示唆している。

商務省から出されたデータは特に厳しかった。米国小売業の売上は、先月8.7%減少した。これは1992年以降最大の下落だ。工場生産高は第二次世界大戦以来最悪の月だった。3月の工場出荷高は6.3%減という驚きの数字だった。

工業、小売両方から悪い知らせが届いたことを思えば、株価の下落はもっとひどくても不思議はなかった。おそらく投資家たちは、景気刺激策が近々実施される(大統領の署名するものが増えて遅れることがなければ)かもしれないという情報に元気づけられたのだろう。

  • ダウ平均株価:1.8%、445.41ドル安の2万3504.35ドルで引けた。
  • S&P 500:2.20%、62.70ポイント下げて、2783.36ポイントで引けた。
  • ナスダック総合指数:1.44%、122.56ポイント安の8393.18ポイントで終えた。

主要インデックスが低迷する一方で、SaaS株とクラウド株は この日値上がりした

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ダウを始めとする各インデックスは、底値より30%弱上がっているが、まだ最近の最高値には届いていない。つまり市場は、以前の楽観と最近の悲観の中間あたりにいる。次に何が起こるかは、おそらく誰も確信をもっていない。

株式市場がさまざまなメッセージを発信する中、巨人テック企業のAmazon(アマゾン)は今日最高値を更新した。株価は2307.68ドル、1%高で一日を終えた。低迷する市場の中でAmazonは突出した例外だ。

画像クレジット:monsitj / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

経済悪化でユニコーンの大量解雇が止まらない

米国時間4月15日午前、米国経済の急激な下降を示すデータが新たに発表された。そして午後には、強力な資金援助を受けている著名なユニコーン3社が大規模な人員削減を行うというニュースが飛び込んできた。

株価が下がり、個人取引も公開市場も、そして経済全体からもよくない兆候が送られてくる。ここでは最初にマクロな状況を俯瞰し、そのあとBloomberg(ブルームバーグ)が最初に報じたCarta(カータ)、Business Insiderが報じたZume(ズーム)、The Informationが報じたOpendoor(オープンドア)の各社のレイオフ状況を見てみよう。

経済低迷

本日わかったレイオフの背景にあるのが米国経済の低迷だ。最近のニュースをひと目見るだけで十分だろう。過去数時間の間に、住宅建築は史上最悪の暴落を見せ、3月の小売業売上は8.7%の減少で、CNBCはこれを「政府の記録上最大の下げ幅」と評し、CNN Businessによると米国の3月の工場出荷高は5.4%減少し、「1946年以来最大の月間減少率」だった。

おそらく、ユニコーンが年中レイオフを行っているのは驚きではないだろう。今年1月にビジョン・ファンドが支援する複数の企業が怪しくなっていた。そして第一波の新型コロナによる人員削減が大企業を襲った。Bird(バード)やTripActions(トリップアクションズ)といった会社は、パンデミックと関連する経済や社会の変化による主要事業の停滞のために崩壊した。

小さな会社の小規模な人員整理ほぼ日常的に起こり、TechCrunchも報じた。

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しかし、今日レイオフが起きたユニコーン(会社価値10億ドル以上の非上場企業)3社は、長らくTechCrunchの注目の的だった大物だ。少々解説してみたい。

  • Opendoor:サンフランシスコ拠点の住宅販売に特化したスタートアップでソフトバンクが支援している同社は今日、大規模な人員削減を発表した。TechCrunchに提供された声明文の中でCEOのEric Wu(エリック・ウー)氏は、同社従業員の35%が、「我々のミッションを継続して実行するために」解雇されると語った。同CEOは、既存従業員には8週間分の給与と「16週間分の医療費」が支払われることも話した。さらにWu氏は自身の2020年の報酬を社員支援のための基金に寄付する。Opendoorは今年3月に発表したラウンドで、評価額38億ドルで、3億ドルを調達した
  • Carta:サンフランシスコ拠点で非上場の株式サービスプラットフォームを提供する同社は、社員の16%、161名を解雇すると発表した。同社が公開したメモでわかった。以前はeShareという名称だったCartaは、非上場中小企業の投資管理サービス提供会社から、大規模なサービスとソフトウェアを扱うまでに成長しながらも非上場を維持している。Cartaは昨年5月に3億円を調達し、評価額は17億ドルだった。
  • Zume:ピザ宅配のZumeは本稿執筆時点までコメント要求に回答がなく、公開メモを見つけることもできなかった。それでもBusiness Insiderは同社が年始の人員削減に続きさらに200人以上解雇すると報じた。同社に残る社員は100名程度で、ピザ配達を行うのだろう。Zumeは2018年11月に評価額(調達後)19億ドルで3.75億ドルを調達した。

レイオフ状況をすべて把握するのはますます難しくなっている。どうでもいいが、私は最近 Modsy(モッジー)のレイオフTechCrunchのNatasha Mascarenhasが速報するのを手伝い、BounceX(バウンスX)のレイオフも最初に報じた。厳しく過酷な経済は、スタートアップ・ユニコーンのように成長重視の企業をとりわけ痛めつけている。

追加があればまた。たぶん、私が書きたくなるよりも早くに。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Scanwellが新型コロナ抗体テスト検証を1000人規模で開始

家庭での新型コロナウイルス(COVID-19)抗体検査については、科学者や医療関係者の間でかなりの議論がある。抗体を持っている個人を認証して経済活動を部分的に再開するプロセスにおいて必要なステップだと言う人もいれば、現在利用できるテスト手法の精度と効果に疑問を投げかける人もいる。あなたがどちらの側につくにせよ、さらなるテストが必要なのは確かだ。そしてスタートアップのScanwellが家庭での抗体検査をそれなりの規模で検証する取り組みを始めた。その一方で同社は診断にかかる緊急使用承認についてFDA(米食品医薬品局)と協議を続けている。

Scanwellは家庭用の抗体テストキット1000個を無作為に抽出した市民に配布するのにノースカロライナ州、そしてローリー拠点のWake Forest Baptist Health(ウェイク・フォレスト・バプティスト・ヘルス)の協力を得ている。この検証には州議会が10万ドル(約1070万円)を拠出した。対象者はウェイク・フォレスト・バプティスト・ヘルスのシステムに登録された患者の中から選ばれ、指先から血液を採取するキットが年間を通して毎月郵送で届く。これはウイルスと抗体を追跡するためであり、統計学的により多くの人を対象とした調査の縮図となる。

今回のScanwellのテストは、まだFDAから緊急使用の承認を受けていないため、研究目的でのみ使用することができる。FDAはこれまでのところ、遠隔診療で使用されているものも含め、COVID-19に関するいかなる家庭用テストも承認していない。しかしつい最近、「家庭用も含め、安全で正確な新型コロナウイルステストの利用を拡大するのは公衆衛生上の価値がある」とガイダンスをアップデートした。そして診断サービスの企業などと提携してテストの開発に積極的に取り組んでいる最中だ、としている。

すでに家庭用の尿路感染症診断サービスを展開しているロサンゼルス拠点のScanwell Healthは先月、家庭用の血清抗体テストの使用についてFDAの承認取得に取り組んでいると発表した。このテストキットでは、診断ラボにキットが到着すればわずか15分で結果がわかる。しかし新型コロナウイルスにかかる抗体テスト全体の精度については疑問が投げかけられている。そしてウイルスに感染し、回復した人の感染後の免疫の状態や期間についてもさまざまな意見がある。

免疫や回復した人をよく理解することは、外出禁止を徐々に緩和する上で重要な材料となる。免疫テストはその中核を担う。既存の分子テスト手法での感染テスト、そしてAppleとGoogleが実施しているシステムのような感染追跡とともに、大規模で行われる必要がある。

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(翻訳:Mizoguchi

米食品医薬品局が製造コスト25分の1の新型人工呼吸器を認可

米国食品医薬品局(FDA)は、ミネソタ大学が設計した新しいタイプの人工呼吸器「Coventor」(コベンター)の製造を認可した。このプロジェクトは既存モデルと同等の生命維持能力をもつ人工呼吸器を大幅な低コストで量産できるようにすることで、必要としている医療機関が早期に安価で入手できるようにすることを目的にしている。

Coventorは、FDAの緊急使用許可(EUA)を取得した最初の新型人工呼吸器だ。緊急使用許可とはその名が示す通り、FDAが通常発行する伝統的な医療機器の認可と異なり、不足している必要機器を提供するために一時的に認可したり、全承認行程を経ずに行う緊急時の対応だ。

新型コロナ・パンデミックは近代の記録ではこの種の危機としておそらく最大の事例であり、COVID-19による呼吸器疾患の重篤患者の治療には、殆どの場合挿管あるいは人工呼吸器による補助が必要になる。増え続ける肺炎患者のために人工呼吸器は米国内外で供給不足が続いており、新しい設計の機器や他の医療用呼吸器具を改造して補完するなどいくつもの解決策が提案されている。

ミネソタ大学のCovnetorは、工学部と医学部の共同チームが開発した。卓上サイズの新型呼吸器は約1000ドル(11万円)で製造が可能で、原価で販売されれば、市価2万~2万5000ドルする現行の医療水準人工呼吸器を置き換える有力な候補になる。

医療機器メーカーのMedtronic(Teslaとも共同で人工呼吸器の製造計画を進めている)とBoston Scientific(今回の承認後にCoventorの製造、販売を担当する)の両社も設計に寄与した。ミネソタ大学は今日(米国時間4/15)、Coventorの仕様をオープンソース化し、世界中で製造できるようにすることも発表した。ただし他社が製造するためにはFDAまたは各国の公共保健機関の承認を得る必要がある。

画像クレジット:University of Minnesota

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Lyftが新型コロナ影響受けた団体向けに食料や医療品の配送開始

Lyftは米国時間4月15日、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが進行する中、医療や政府機関、非営利団体のニーズに応えるためのプログラム「Essential Deliveries」を開始すると発表した。

本日から開始されるこのサービスでは、食料品や食事からクリーニングや医療用品に至るまで、さまざまな必需品をドライバーが配達する。Lyftによると、このプログラムはオプトイン方式で提供され、配達の内容はドライバーに通知され、完全に非接触で行われるという。

Lyftは以前、ウイルスと診断されたドライバーや隔離されたドライバーに資金を提供するプログラムも発表していた。

今回のプログラムは、アトランタやオースティン、ダラス、ヒューストン、インディアナポリス、オーランド、フェニックス、サンフランシスコ、サンディエゴ、サンアントニオ、シアトルなど、さまざまな地域で提供される。なお、新型コロナウイルスの症例数と死亡者数が最も多いニューヨーク市は、最初のリストには含まれていない。その他の地域として、ノース・カロライナとアトランタが含まれる。

Lyftはプレパック食品を提供するDole(ドール)のような、いくつかの大企業や地元の組織と提携している。このプログラムは、危機的な状況に対しどのように協力するかをドライバーに尋ねる、約12万人が署名したオプトインサービスのLyftUp Driver Community Task Forceのローンチに続くものだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

工事現場で対人距離監視と接触者追跡をするウェアラブルデバイス

以前に電気工事従事者の安全を守る専用ガジェットを開発したスタートアップが、新たな脅威、新型コロナウイルスから工事現場を守るニーズに応えようとしている。バンクーバーを拠点とするProxxiは、手首につけるウェアラブルデバイスの「Halo」を発売した。適正な対人距離として推奨されている6フィート(約1.8m)以内に別のバンドが近づくと振動で知らせるデバイスだ。

Proxxiは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が続く中でも現場での作業は不可欠であり、しかも通知システムがなければ従業員同士が適正な距離を保つのが難しい業務でガイドラインを守るために、このデバイスを設計したと説明している。

このバンドは低電力Bluetoothを使ってほかのバンドと通信する。また、新型コロナウイルスの陽性患者が発生した場合に現場内での接触者追跡ができるように、どのバンドが接近したかも記録する。Proxxiによれば、プライバシーを保護するためにバンドは位置情報を追跡しない。また情報はバンド間で共有、またはProxxiに送信され、身につけている従業員の個人を特定する情報とは紐づけられない。

Estimoteの職場用接触者追跡ウェアラブルなど、同様の取り組みはほかにもある。Proxxiのアプローチは、アクティブな監視や周囲との適正な距離の通知を主眼としている点で他社と異なる。Estimoteのウェアラブルは、接触した可能性のある人に関するアラートを視覚的に提供するシステムに力を入れている。

ProxxiのHaloシステムは、簡単にすぐセットアップし、使い始めることができるという。また、スマートフォンとの接続や、スマートフォン経由でのセットアップも不要だ。

バンドの価格は100ドル(約1万7000円)で、5月4日に出荷を開始する。接触者追跡、および現場での対人距離に関するコンプライアンスと有効性の監視のために、モバイルアプリとウェブベースのダッシュボードが提供される。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Airbnbが新型コロナ対応で1080億円の協調融資を確保

Airbnb(エアビーアンドビー)は機関投資家からの協調融資で10億ドル(約1080億円)を確保した、と発表した。

緊急のキャッシュ注入は、新型コロナウイルスによる移動制限でバケーションレンタルが無惨なものになっていることを受けての措置だ。人々は家に閉じこもり、海外旅行は禁止されたり公衆衛生上の懸念から控えるよう強く促されたりしている。

融資を引き受けた機関の名称や条件などは明らかにされていない。しかしロイターはこの件に詳しい情報筋の話として、プライベートエクイティファンドのSilver Lake、Apollo Global Management、Sixth Street Partners、Oaktree Capital Management、Owl Rockによるもので、なかでもSilver Lakeが「中心的な役割を担っている機関の1つ」とされている、と報じている。ただし全社ともコメントを拒否した。

ロイターの情報筋によると、融資期間は5年間で、金利はLiborベンチマークで750ベーシスポイント。投資家らは12%ほどのレートで稼ぎ、ローンの額面は少しディスカウントされているという。協調融資の条件は第一順位担保で、もしAirbnbが債務不履行に陥った場合、リストにある債権者が最初に支払われるという。

我々はAirbnbにコメントを求めている。

今月初めAirbnbは前述のプライベートエクイティファンド、Silver LakeとSixth Street Partnersから債権と株式で10億ドルを調達したことを発表していた。その際、Airbnbは苦難の時期を乗り越えるのに使うのではなく、現在進行形の長期的戦略にあてられると話していた。

10億ドルの協調融資は明らかに、COVID-19による足元の影響に対処するためのものだ。しかし、Airbnbは声明の中で、パンデミック後の将来について旅行が活発になるという上向きの予想図を描こうとしている。ただ、それがいつになるのかは具体的に示せていない。

「旅行業界のあらゆる部門がパンデミックという嵐の渦中にあるにもかかわらず、多くの機関が当社に対して示してくれた自信や信頼に深く感謝する。人々が再び旅行するようになるのはわかっている。支援により当社はしゃがみこむのではなく、コミュニティに投資しながら前進を続けることができる」とAirbnbの共同創設者でCEOのBrian Chesky(ブライアン・チェスキー)氏は声明で述べた。「ここ数週間取ってきた措置で、パンデミックという嵐がどれくらい長く続こうとも当社はさらに強くなって嵐から抜け出すだろう」。

現金の注入は「Airbnbが引き続き世界220カ国・地域にまたがるホストやゲストの企業やコミュニティに引き続き投資できることを確かなものにする」と同社は述べた。

同社は先月、ゲストがコロナ禍の予約の全額返金を受けられるようポリシーを変更したが、その後同社はキャンセルや返金に直面したホストから怒りをぶつけたられていた。そして同社は新型コロナによるキャンセルで影響を受けたホストを支援するために2億5000万ドル(約280億円)を拠出した。

英国を含む一部の国は新型コロナパンデミック中のホリデーレンタルを全面禁止している。英国は最近、「隔離の隠れ家」と広告していたホストを見つけて取り締まった。

また、Airbnbのようなプラットフォームでレンタルを提供しているプロの貸主が、現状コストがかかるばかりとなっている空室物件で収入を得ようと模索していて、ロンドンのような一部のマーケットで長期貸し物件が増えているというレポートもある。

住居賃貸契約は5年以上延ばすことができる。レンタル物件がそうしたマーケットに流れ込めば、レンタルプラットフォームが今まで金儲け手段として利用してきたバケーションレンタルの多くの物件が使えなくなるかもしれない。

1つ確かなことがある。グローバルの旅行危機はAirbnbのIPO計画に大きな影を落としている。昨年9月、同社は投資家、従業員、そして世界に対し2020年に上場すると明言した。その数カ月後にコロナウイルスが発生し、2019年にピーク時は350億ドル(約3兆7000億円)あったバリュエーションが激減した。

ロイターによると、先週プライベートエクイティファンド2社との10億ドルの債権ディールには保証が含まれていて、これはバリュエーション180億ドル(約1兆9000億円)という数字で計算されるかもしれない。3月初めに同社が内部で使用したバリュエーション260億ドル(約2兆8000億円)をもずいぶん下回っている。

画像クレジット: TOSHIFUMI KITAMURA / Contributor / Getty Images

参考:Airbnbが新型コロナ禍の中、未公開株式投資会社から1000億円超を調達

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(翻訳:Mizoguchi

ポケモンGOにリモートレイドバトル機能が加わる、集合しなくても100ポケコインでプレイ可能

ポケモンGOは外でプレイするようデザインされたゲームだ。しかし残念ながら友達と町に出たり観光スポットの回りに大勢で集まったりするのは「最もしてはならない行為」となってしまった。

開発元のNiantic(ナイアンティック)ではポケモンGOをリビングのソファからプレイできるようリモート化に努力してきた(ポケモン閉じ籠もり?)。4月15日、レイドバトルについてのアップデートの内容が発表された。

レイドバトルは2017年に導入された仕組みで、プレイヤーは協力して協力で珍しいポケモン(ボスポケモンと呼ばれる)を倒す。チームが勝てばポスポケモンを入手するチャンスが得られる。

これまでレイドバトルに参加するには特定の時間に特定の場所に行き、自分以外に19人のプレイヤーが集まるのを待つ必要があった。パンデミック後はもちろんどれも不可能だ。そこでリモートレイドが必要となったわけだ。

リモートレイドのプレイ方法(アップデートは「すぐに」実施される)

  • プレイヤーは「付近のようす」に表示されているレイドに参加できる。実際にその場所にGOする必要はない。ディスプレイにレイドが表示される距離にいさえすればいい(都会の場合は数ブロック圏内)。
  • タスク達成の度合い、報酬などについては従来のレイドバトルと同様の扱いになる。
  • 参加には新しく設けられたリモートレイドパスが必要。これはレイドパスと同様プレミアムアイテムで1枚が100ポケコイン(米国だと約1ドル)。
  • リモートレイドのプレイヤーは現実のレイドのプレイヤーと同じ能力がある。ただし移動制限や外出禁止令が終了した後は、リモートレイドプレイヤーもレイドに参加できるものの、現場のプレイヤーに比べて強さが制限されるかもしれない。
  • Nianticの発表によれば、やがてプレイヤーは場所を問わず、遠隔地にいる友だちもリモートレイドに招待できるようにするという。遠くにいる友だちに援助を頼みたい場合は、先にレイドに参加している必要がある。

Read a deep dive of Niantic on Extra Crunch

Nianticによれば、プレイヤーは每日午前零時にリモートで「フィールリサーチ」を1個受け取ることができるようになるという。また「相棒」のポケモンが近くのポケストップからギフトを持ってきてくれるらしい。自分でポケストップに出向く必要がなくなる。アイテムは有効期間中、複数をまとめて使えるという。個数分だけ効果時間が延長される。ポケモンを引き寄せるアイテムを4つ持っているが、30分ごとに使うのは面倒だったら最初に4つ発射しておくと次の2時間有効となる。

Nianticはリモートレイドを「近くリリース予定」と発表したが、正確な日時はまだ不明だ

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

新型コロナ流行下の注目テクノロジー、現場作業者向けテキストや危機回避ホットラインなど

暖房装置フィルター、ロボット工学、そして建築分野で活躍するスタートアップに共通することは? 通常なら何もない。だが新型コロナウイルス(COVID-19)が世界で大流行し、数百万人もの命が脅かされている現在、企業は医療従事者用のN95マスクや人工呼吸器の生産に注力し始めている。

スタートアップ企業が提案するイノベーションは目を見張るものがあり、正直に言うとついていくのがやっとである。AmazonやGoogleのような潤沢な資金がなくても、シリコンバレー内外のあらゆる企業が困難に立ち向かおうとしているようだ。

そこで、新型コロナウイルスの影響と戦うスタートアップ企業の努力をまとめて、ちょっとしたいいお知らせとささやかな希望をお届けする。ちなみにこれは治療案に取り組むスタートアップ企業を分析するものではない(それについてはDarrellの精力的な作業結果を参照して欲しい)。その代わりにこの記事では、私たちの孤独を和らげようとスタートアップたちが考え出したユニークなアイデアや、この状況下で浮かび上がった課題をテクノロジーがどのように解決しようとしているのかを紹介しよう。

Stopcovid.co

Managed by Q創業者のDan Teran(ダン・テラン)氏は、 現場作業者向けに新型コロナウイルスの最新情報をまとめたテキストメッセージをリアルタイムに提供するために、社員教育サービスのスタートアップ企業ESLWorksと提携した。Stopcovid.coイニシアチブは、大きな機関からの保障などは受けてはいないものの、CDC(米疾病管理予防センター)が掲げる衛生上の推奨事項を確認したいと考える社会人を対象にしたサービスだ。メッセージはWhatsAppとテキストメッセージで送信されるため、デジタル環境が整っていないユーザーでも簡単にアクセスできる。テラン氏と話す機会があったとき、彼は「私たちが対象にする人々をひとくくりにするつもりはないが、もし自分が生活のために毎日12~14時間働く配送ドライバーだったら、おそらく新型コロナウイルスとその拡散状況の最新情報は把握できないと思う」と話していた。

Cornell Tech Clinic

Cornell Tech Clinicは、室内で過ごすことを強制され、バーチャルコミュニティだけが頼りのときに、DV被害者がサポートを得られるように支援する。同社は通話もしくはチャットの監視など、テクノロジーを利用した虐待の被害者に対してアドバイスを提供するリモートプログラムを開始した。この新しいプログラムでは、遠隔でケースワーカーと連絡を取る最適な方法、自立に向けたハウツーガイド、そしてそのようなテクノロジーを利用した虐待への対処方法などを提供している。

S’MoreとHopeline

ルックス以外の要素でユーザーを結ぶマッチングアプリを提供するS’Moreは、メンタルヘルスに関するホットラインを提供するHopelineと提携し、募金活動を行っている。「社会的距離は感情的な距離ではない」と名付けられたこのキャンペーンでは、新たにS’Moreに登録したユーザー1人につき1ドル(約107円)をHopelineに寄付する。

Procore(施工管理)

施工管理ソフトウェアデベロッパーのProcoreでは、新型コロナウイルスに関連する建設プロジェクトに対し、無償で同社のソフトウェアを提供している。ホテルやコンベンションセンターなどを緊急医療施設に変える際のソフトウェアのコスト負担をなくし、建設業界を支えることを目的としている。

Wize(個別指導プログラム)

Wizeは数多くのエドテック企業が提供する無料サービスに便乗するかたちで、学年度末まで無料の個別指導プログラムを提供する。このプログラムでは、学校閉鎖の影響を受けた学生が、試験や試験準備資料のライブラリーにアクセスできる。

Springboard(就職指導)

エドテックスタートアップのSpringboardは、就職指導セミナーを毎週無料で開催し、「パンデミック後の経済」に備え、求職者をサポートする。質問セッションは太平洋標準時の4月1日から毎週水曜日の12:30~13:30に開催される。

Voxel51

Voxel51は、設置済みで稼働中のカメラを利用して、世界中で予防対策が順守されているかどうか追跡している。AIを使って人出の多い公共の場における社会活動を把握し、社会行動に基づき各エリアの「スコア付け」を行っている。この方法でどれだけの人々が公共衛生の推奨事項に耳を傾けているかを追跡している

Tech Manitoba / Computers for Schools

カナダの非営利団体Tech Manitobaは、これまでの活動で、コンピューターを持たない150世帯に対して、たった8台のコンピューターしか提供できず、大きな解決策を要していた。そこで彼らはComputers for Schoolsと提携し、消毒済みの整備再生品コンピューター200台を必要な家庭に届けることができた。

One Planet(祈りの輪)

ベンチャー企業One Planetは世界規模の「祈りの輪」をスタートさせた。LightUpTheWorld.orgでは、世界中の人々が健康と希望への願いを込めた祈りと思いを投稿できる。サイトを開くと、リアルタイムで投稿した祈りの言葉が表示される。

Stilt(低金利ローン)

テック系スタートアップのStiltは、移民が社会保障番号や信用情報以外の資格に基づいて低金利ローンを組めるようにし、彼らの信用構築を支援する。時給で働き、年収4万5000ドル(約483万円)未満の顧客に対し、利息の即時凍結と2カ月間の支払猶予(担保差し押さえの延期)を提供する。

画像クレジット: PeterSnow / Getty Images

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(翻訳: Dragonfly)

Googleがローカルニュースを支援する助成金制度を発足

Googleは、Google News Initiativeの一環として、COVID-19パンデミックの経済的打撃を受けたローカルの報道機関を財政的に支援する。

そのためのファンドJournalism Emergency Relief Fundは、規模は公表されていないが、Googleのニュース担当副社長Richard Gingras氏のブログ記事によると、その目標は「世界中の中小のローカルニュースパブリッシャーを支える」ことであり、その金額は「小さなハイパーローカルなニュース企業への数千ドルの支援から、地域によって異なる大きな報道機関への数万ドルの支援などだ」、という。

Gingras氏はこう述べる: 「ローカルニュースは重要なときに人びととコミュニティを結びつける必須のリソースだ。今は、その役割がますます重要で、地域のロックダウンや在宅の指示、学校や公園の閉鎖などについて報じなければならない。COVID-19の被害状況も、毎日のように必要だ。しかしニュース産業は今、COVID-19の影響で人減らしや一時休暇、業務の縮小などに苦しんでいる」。

財政支援の申込み受け付けは、もう始まっている。期間は2週間で、米太平洋時間4月29日午後11時59分までだ。

Gingras氏によると、Googleの社会貢献部門Google.orgは、二つのジャーナリスト支援団体、International Center for JournalistsとColumbia Journalism School(コロンビア大学ジャーナリズム大学院)のDart Center for Journalism and Trauma(ジャーナリストの精神的外傷救援団体)に、100万ドルを献金する。

多様な活動でジャーナリズムを支援するGoogle News Initiativeは、およそ3億ドルの当初資金で動いているが、コロナウイルスに関しては、誤報を防ぐファクトチェッカーとその非営利団体への650万ドルの支援金を発表した。その成果としてすでに、COVID-19 Case Mapper(患者地図、患者発生/存在分布地図)のようなツールができている。

Facebookも、現在の危機に対応してローカルニュースを支援するために1億ドルの提供を発表している。2500万ドルが助成資金、7500万ドルがマーケティング支援(広告クレジット)だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ラグジュアリー品委託販売のRealRealが社員の10%を解雇、15%を自宅待機に

オンライン委託販売会社のThe RealRealは、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの中で多くの企業に続いて社員の解雇と自宅待機を行う。米国時間4月14日の四半期決算で同社は、社員の10%が解雇、15%が自宅待機の対象であることを発表した。

これによりRealRealは営業経費を約7000万ドル(約75億円)を削減できるという。同社はプレスリリースで、この人員削減は「パンデミックの中で社員を支援し、この健康危機の向こう側で力強い再出発をするために会社がよい状態でいられることを目的にしている」と記している。

自宅待機対象者は、RealRealのeコマースセンター、小売店、ラグジュアリー委託販売オフィス、営業部隊、および本社の社員らだ。RealRealは雇用を凍結するほか、幹部社員の給与を削減する。

1年弱前に上場企業になったRealRealは、他の多くのテック企業と同様に、新型コロナ感染拡大の中で人事刷新を行った。

「パンデミックの期間が不明であることを踏まえ、我々は営業経費を減らし、流動資産を維持することで近々の試練を乗り越え、目の前に広がる最大のチャンスをつかむ最高の位置にいることを確実にできる」とRealRealのCEOであるJulie Wainwright(ジュリー・ウェインライト)氏は声明で語った。また「私は当社の強力なバランスシート、顧客満足度、堅調なトラフィック、そして買い手と委託者のリピート率が、運営の効果的なスケーリングを支えるテクノロジーの進展とともに、経済が安定したときにいち早く復活できる位置に我々をおいてくれる」という。

関連記事:Layoffs are disproportionately impacting startup satellite offices

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

フランスの裁判所がアマゾンは必需品以外の注文を制限すべきと判決

フランス・ナンテールの裁判所は、Amazon(アマゾン)が今後数週間のうちに、フランス国内での注文を大幅に制限すべきだとの判決を下した。AFPある労働組合が入手した判決によると、アマゾンは食料品や衛生、健康関連商品の注文のみ受け付けられるという。

アマゾンは24時間以内に判決に従わなければ、1日あたり100万ユーロ(約1億2000万円)の罰金がかせられる。

フランスでは新型コロナウイルスによる大規模なロックダウンが始まって以来、アマゾンは既に非必需品よりも必需品を優先している。つまり、アマゾンでビデオゲームを注文した場合、自宅に届くまでに1週間以上かかる可能性があるということだ。

しかし、フランスにある6カ所のフルフィルメントセンターはすべて、米国時間4月14日現在も通常通り運営されている。3月にMediapartは、アマゾンの幹部が倉庫労働者を守るために十分なことをしていないと発言している音声記録を共有した。例えばソーシャルディスタンス(社会的距離)を尊重するのは特に難しい、といったものだ。

これまで、フランスでは少なくとも1人のアマゾンの従業員が、新型コロナウイルスに感染していると診断された。労働組合のSud Solidairesは裁判所命令に触れ、従業員を保護するために倉庫を完全に閉鎖するようアマゾンに求めた。

裁判所は、このような状況下ではアマゾンは通常通りの運営を続けることはできないと判断した。しかし、同社はまだ必需品の注文を受けつけることができる。今後さらに受注を増やすのであれば、業務の見直しが必要となる。

Le Parisienによると、この判決は新型コロナウイルス(COVID-19)に関連するリスク審査が終わるまで、最長1カ月間有効であるという。また、裁判所は制限の延長を決定することができる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

大学の学資ローン免除を支援するSaviが6.4億円調達

学資ローン危機はますます深刻化を増している。新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行により米国中の大学が閉鎖され、経済の急速な落ち込みは就職への道を薄暗くしてしまった。今の学生や卒業生は、上手な資金繰りを教えてくれるツールを必要としている。

悪いことに、米国の学資ローンは非常に複雑にできている。ローンの条件、返済方法、公的な利息免除のオプションが、文字通り数百種類ある。学生にとって、このルールに従いつつ、負担を最も小さくできる最良の方法はなんだろう?

ワシントンD.C.に本社を置くSavi(サビー)は、学資ローンを借りている人たちを、いちばん有利なオプションが選べる「Savvy(抜け目ない)」な人間にすることを目指しているが、このほど、その緊急の課題に取り組むためのさらなる資金を手に入れた。同社は今日、フィンテック界で最も影響力のある投資企業のひとつNyca Partners(ニカ・パートナーズ)主導のシリーズA投資600万ドル(約6億4000万円)を調達したことを発表した。

金融系スタートアップでは、利用者と自社の収益モデルとの間にインセンティブのずれが生じることがよくある。家計の健全化のためのアプリは、人々がまったく必要としていない新しいクレジットカードやローンを売り歩いた紹介料で密かに儲けていたりする。

Saviの面白いところは、常に利用者第一の姿勢を保つように最初から作られている点だ。同社は公益法人であり、米国の若者の成果の改善に共に尽力してきた2人の理想的な人物によって創設された。

ジョージタウン大学ローセンターを卒業したAaron Smith(アーロン・スミス)氏は、若者に焦点を絞ったシンクタンクであり人権擁護団体のYoung Invincibles(ヤング・インビンシブルズ)を創設し、そこで4年間働いていた。この団体はそもそも、オバマ政権初期に行われた保健医療制度の見直し論議の際に、若者の問題に注目してもらおうと設立されたものだ。一方、Saviのもう1人の創設者Tobin Ostern(トービン・オスターン)氏は、Students for Barack Obama(バラク・オバマを支援する学生の会)のリーダーとして、オバマ氏の最初の大統領選挙戦で若者に投票を呼び掛ける活動を行った後、超党派政策機関アメリカ進歩センターに加わった。

Saviの共同創設者トービン・バン・オスターン氏とアーロン・スミス氏(写真提供:Savi)

2人は、学資ローンを抱える若者の支援を目指すという進歩的な使命を果たそうと、Saviの共同創設を決意した。学資ローンの世界は「非常に複雑で、当然のこととして政策面の継続的な改善が欠かせないと思う一方で、学資ローンを抱える学生たちのための解決策が今すぐ必要なのです」とスミス氏は話す。「それが、ある意味でSaviの推進力にもなっています。テクノロジーを使って、そうした解決策を生み出すのです」

Saviは、利用者の学資ローンのデータを取り込み、数値を計算して、利用者の目標を考慮しつつ、返済や免除のための最良のオプションを導き出そうとしている。

学生相手の融資は1兆ドル(約107兆円)を超える市場だが、Saviは、その進歩的なルーツに立脚し、ソーシャルワーカー、教師、公務員といった利用者にプラットフォームを提供することに特別に力を入れている。同社の提携先の中でも最も大きな組織として、300万人の会員を擁するアメリカ最大の教師組合NEAがある。Saviは会員特典として提供されている。

企業や団体は、その従業員や会員に、自分の経済状況をよく理解してもらおうとSaviの学生ローン評価ツールを使わせている。このツールは無料で利用できるが、例えばば書類手続きの自動化機能などを使って学資ローンを積極的に管理したい場合は、サブスクリプション契約が必要となる。ただし利用者は、サブスクリプション料金を支払う前に、資金繰りの節約方法をSaviで計算できる。もしSaviが役に立たないとわかったときに、料金を支払わずに済むようにする配慮だ。同社によると、平均的な学資ローン利用者は、月に140ドル節約できるという。サブスクリプション料金は月額5ドル(約536円)だ。

雇用条件によっては、Saviはローンの免除に関して特別な専門性を発揮する。これは、多くの学資ローンが公益法人に勤める人に与えている権利だ。こうした権利には、繁雑で難解な適用規則がつきまとうものだが、Saviはそれぞれのローンの規則に準拠しつつ、利用者が免除の道を探れるように取り計らってくれる。現在、同社は150件を超える免除と返済オプションに取り組んでいるという。

組織向けの評価ツールに加えて、Saviは新型コロナウイルス関連の新しいツールをローンチした。医療従事者またはパンデミックで職を失った人たちが、自分の学資ローンの状況を知り、新しい援助プログラムが探せるようにするものだ。「私たちの利用者のうち、新型コロナ危機対応の仕事に就いている人たちの割合が驚くほど多かったのです」とオスターン氏は話していた。

学資ローン管理関連のスタートアップは、ベンチャー投資の間では人気が高い。昨日、私の同僚Alex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)も、学資ローン・プラットフォームのFrank(フランク)が暫定戦略的ラウンド500万ドル(約5億3600万円)を調達し、エドテックの最大手Chegg(チェグ)が
役員の座に着いたという記事を書いていた。私も2019年末に、Summer(サマー)が1000万ドル(約10億7000万円)を調達したことを伝えた。SummerはSaviと同様、学資ローン利用者の負担を最小限にすることを目指す公益法人だ。

Nycaに加えSaviは、AlleyCorp、Temerity Capital、9Yards Capital、そしてMichelle Kang(マイケル・カン)氏、Catherine Reynolds(キャサリン・レイノルズ)氏、Sheila Lirio Marcelo(シェイラ・リリオ・マルセロ)氏からも資金を得ている。

新型コロナウイルス 関連アップデート

画像クレジット:Topp_Yimgrimm  / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

新型コロナによるレイオフはスタートアップのサテライトオフィスに大きな影響を与えている

レイオフがスタートアップの世界を急速に襲っている。サービス業や旅行関係、人材採用、そしてスクーター企業もだ。新型コロナウイルスの影響によるレイオフの最新情報を見ると、サテライトキャンパスへの打撃が特に大きいようだ。

サテライトオフィスは、当然のことながらスタートアップの本社に対して二次的な存在だ。企業が新しいラウンドで資金を調達したり新しい市場に進出したりする際に、規模の小さいオフィスを開設するのは戦略的な動きだ。これまでポートランド、フェニックス、そしてApple(アップル)やFacebook(フェイスブック)、Oracle(オラクル)がサテライトオフィスを構えるオースティンなどの都市に、スタートアップのサテライトオフィスが出現してきた。

Y Combinator(Yコンビネータ)の卒業生であるRoger Lee(ロジャー・リー)氏が作成した追跡ツールのLayoffs.fyiによると、起業家の重要なハブとなっているベイエリアやニューヨークに本社を持つ企業がレイオフに踏み切っているが、実際にはサテライトの都市にいるスタッフがレイオフされているケースが多い。

サンフランシスコにあるロジスティック企業のEasyPostは、ソルトレイクシティとルイヴィルにいる従業員のほぼ全員にあたる75人をレイオフした。英国のチャレンジャーバックのMonzoは、ラスベガスにいる165人のカスタマーサポート要員をレイオフした。

ボストンに拠点を置くレストラン管理プラットフォームのToastは、全従業員の50%にあたる1300人をレイオフした。Layoffs.fyiのデータによると、レイオフされたうちの12%はオマハ、10%はシカゴにいる従業員だった。

サンフランシスコに拠点を置き、最新の評価額が12億5000万ドル(約1340億円)だった輸送用トラック管理のKeepTruckinは、約350人をレイオフした。そのうち33%はナッシュビルとシカゴにいる従業員だった。

Layoffs.fyiで扱っているのは公開された情報のみなので、これらの数字は米国全体で発生しているレイオフを断片的に見たものにすぎない。しかしサンプリングであるとしても、注目すべき重要なデータだ。

こうしたデータの持つ意味は

経済がニューノーマル、つまり前とは違う新しい常識で再生したときに、本社所在地とサテライトのどちらが立ち直りに適した場所になるかはわからない。最近レイオフの嵐に直面しているスタートアップのハブであるボストンの投資家たちに話を聞いた。

ボストンに拠点を置くベンチャーキャピタル、UnderscoreのパートナーであるLily Lyman(リリー・ライマン)氏によれば、サテライトオフィスにはセールス、カスタマーサクセス、事業開発のスタッフが勤務していることが多い。事業として考えれば、こうした役割は消費者の活動が低下することで最も大きな影響を受ける。多くの企業には、今なすべきセールスや取引がない。

ライマン氏は「企業が売上の減速を予測しているため、(これらの役割は人員の削減に関して)より大きな影響を受けている。手持ちのキャッシュで持ちこたえる期間を伸ばすためには理にかなった決定だが、顧客との間に回復が難しいダメージを与えるリスクもある」と語った。

人員削減がサテライトオフィスに集中するとは見ていない人もいる。同じくUnderscoreのパートナーであるMichael Skok(マイケル・スコック)氏は「サテライトオフィスがコストがあまりかからない新しい市場で地位を確立するケースも見てきた。そのため、サテライトオフィスはこの事態の中で実は守られるかもしれない」と述べた。どういうことかというと、コストを減らそうとする場合、サンフランシスコの従業員はデンバーの従業員よりコストがかさむ可能性がある。サンフランシスコのほうが、生活費がとてつもなくかかるからだ。新興テックシーンのスタートアップに投資しているRevolution Venturesは、投資先のサテライトオフィスのレイオフは最近聞いていないという。

最後にやっかいな話として、資金調達が難しくなりそうだという悲観的な兆候があり、創業者やベンチャーキャピタリストはこれを懸命に避けようとしているが、本社以外の都市でのレイオフはこの兆候を抑えるかもしれない。新型コロナウイルスの感染は広がり続けているため、事業のスリム化は受け身の戦略ではなく事前の対策になりつつある。

レイオフが単独で実施されることはめったにない。また、人員削減はあまり堅牢でないテックのエコシステムに、より深刻な影響を与えるようだ。現在の状況はこうしたことを示している。

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画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)