新型コロナ流行下の注目テクノロジー、現場作業者向けテキストや危機回避ホットラインなど

暖房装置フィルター、ロボット工学、そして建築分野で活躍するスタートアップに共通することは? 通常なら何もない。だが新型コロナウイルス(COVID-19)が世界で大流行し、数百万人もの命が脅かされている現在、企業は医療従事者用のN95マスクや人工呼吸器の生産に注力し始めている。

スタートアップ企業が提案するイノベーションは目を見張るものがあり、正直に言うとついていくのがやっとである。AmazonやGoogleのような潤沢な資金がなくても、シリコンバレー内外のあらゆる企業が困難に立ち向かおうとしているようだ。

そこで、新型コロナウイルスの影響と戦うスタートアップ企業の努力をまとめて、ちょっとしたいいお知らせとささやかな希望をお届けする。ちなみにこれは治療案に取り組むスタートアップ企業を分析するものではない(それについてはDarrellの精力的な作業結果を参照して欲しい)。その代わりにこの記事では、私たちの孤独を和らげようとスタートアップたちが考え出したユニークなアイデアや、この状況下で浮かび上がった課題をテクノロジーがどのように解決しようとしているのかを紹介しよう。

Stopcovid.co

Managed by Q創業者のDan Teran(ダン・テラン)氏は、 現場作業者向けに新型コロナウイルスの最新情報をまとめたテキストメッセージをリアルタイムに提供するために、社員教育サービスのスタートアップ企業ESLWorksと提携した。Stopcovid.coイニシアチブは、大きな機関からの保障などは受けてはいないものの、CDC(米疾病管理予防センター)が掲げる衛生上の推奨事項を確認したいと考える社会人を対象にしたサービスだ。メッセージはWhatsAppとテキストメッセージで送信されるため、デジタル環境が整っていないユーザーでも簡単にアクセスできる。テラン氏と話す機会があったとき、彼は「私たちが対象にする人々をひとくくりにするつもりはないが、もし自分が生活のために毎日12~14時間働く配送ドライバーだったら、おそらく新型コロナウイルスとその拡散状況の最新情報は把握できないと思う」と話していた。

Cornell Tech Clinic

Cornell Tech Clinicは、室内で過ごすことを強制され、バーチャルコミュニティだけが頼りのときに、DV被害者がサポートを得られるように支援する。同社は通話もしくはチャットの監視など、テクノロジーを利用した虐待の被害者に対してアドバイスを提供するリモートプログラムを開始した。この新しいプログラムでは、遠隔でケースワーカーと連絡を取る最適な方法、自立に向けたハウツーガイド、そしてそのようなテクノロジーを利用した虐待への対処方法などを提供している。

S’MoreとHopeline

ルックス以外の要素でユーザーを結ぶマッチングアプリを提供するS’Moreは、メンタルヘルスに関するホットラインを提供するHopelineと提携し、募金活動を行っている。「社会的距離は感情的な距離ではない」と名付けられたこのキャンペーンでは、新たにS’Moreに登録したユーザー1人につき1ドル(約107円)をHopelineに寄付する。

Procore(施工管理)

施工管理ソフトウェアデベロッパーのProcoreでは、新型コロナウイルスに関連する建設プロジェクトに対し、無償で同社のソフトウェアを提供している。ホテルやコンベンションセンターなどを緊急医療施設に変える際のソフトウェアのコスト負担をなくし、建設業界を支えることを目的としている。

Wize(個別指導プログラム)

Wizeは数多くのエドテック企業が提供する無料サービスに便乗するかたちで、学年度末まで無料の個別指導プログラムを提供する。このプログラムでは、学校閉鎖の影響を受けた学生が、試験や試験準備資料のライブラリーにアクセスできる。

Springboard(就職指導)

エドテックスタートアップのSpringboardは、就職指導セミナーを毎週無料で開催し、「パンデミック後の経済」に備え、求職者をサポートする。質問セッションは太平洋標準時の4月1日から毎週水曜日の12:30~13:30に開催される。

Voxel51

Voxel51は、設置済みで稼働中のカメラを利用して、世界中で予防対策が順守されているかどうか追跡している。AIを使って人出の多い公共の場における社会活動を把握し、社会行動に基づき各エリアの「スコア付け」を行っている。この方法でどれだけの人々が公共衛生の推奨事項に耳を傾けているかを追跡している

Tech Manitoba / Computers for Schools

カナダの非営利団体Tech Manitobaは、これまでの活動で、コンピューターを持たない150世帯に対して、たった8台のコンピューターしか提供できず、大きな解決策を要していた。そこで彼らはComputers for Schoolsと提携し、消毒済みの整備再生品コンピューター200台を必要な家庭に届けることができた。

One Planet(祈りの輪)

ベンチャー企業One Planetは世界規模の「祈りの輪」をスタートさせた。LightUpTheWorld.orgでは、世界中の人々が健康と希望への願いを込めた祈りと思いを投稿できる。サイトを開くと、リアルタイムで投稿した祈りの言葉が表示される。

Stilt(低金利ローン)

テック系スタートアップのStiltは、移民が社会保障番号や信用情報以外の資格に基づいて低金利ローンを組めるようにし、彼らの信用構築を支援する。時給で働き、年収4万5000ドル(約483万円)未満の顧客に対し、利息の即時凍結と2カ月間の支払猶予(担保差し押さえの延期)を提供する。

画像クレジット: PeterSnow / Getty Images

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(翻訳: Dragonfly)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。