クックパッド、JR東日本と連携し駅改札で食材を受け取れるサービスをトライアル実施、利用料無料

クックパッドがJR東日本と連携し駅改札で食材を受け取れるサービスをトライアル実施、利用料無料クックパッドは2月2日、生鮮食品ECプラットフォーム「クックパッドマート」(Android版iOS版)で購入した食材を、JR東日本の駅改札で受け取れるサービスのトライアルを開始したと発表した。JR東日本とJR中央線コミュニティデザインとの連携により実現したもので、受け取りサービス利用料は無料。

対象となる駅は、根岸線磯子駅、横浜戦小机駅、南部線稲城長沼駅、南部線・武蔵野線の府中本町駅。今後、横浜駅と川崎駅についても準備が整い順次開始する(決定次第、別途発表)。それぞれの駅ごとに受取可能時間や対象期間が異なるため、以下画像を参照のこと。

受け取りサービスを利用する場合は、クックパッドマート専用アプリを利用し、注文時に受取場所と日付を選択する。いくつか注意事項があり、受け取り可能期間はアプリに表示される日時のみで、受け取り日時を過ぎた場合の再配達はない。また、受け取る駅まで移動が必要な場合、有効な乗車券類が必要となる。列車の運行不能・遅延などにより改札の混雑が発生した場合は、待ち時間が発生してしまう可能性がある。緊急対応や極度の混雑や係員不在といったやむを得ない理由により受け取りができなかった際は、駅ではなくアプリで運営に連絡を入れる必要がある。

【コラム】オンチェーンの資金調達はスタートアップの資金調達を変える

Web3はVCが支配する、とJack Dorsey(ジャック・ドーシー、Twitterの共同創業者)はツイートする。そうだろうか。Web3は私たちが作るものであり、許可された場合のみVCが所有するのだと筆者は思う。私たちは今まさにWeb3を構築しており、その過程でどこに行くのか、どのように資金を調達するのかをコントロールするできるのは私たちである。

分散と自律性を真剣に考えるなら、時代遅れのVCの基準に従わなければならない理由はない。スマートコントラクトで管理されたオンチェーンの資金調達など、他の手段が存在する。プロジェクトが直感的に利用できる、より公平で、完全に透明性があり、投資家や開発者にとっても適応性がある手段である。

筆者が完全なオンチェーン方式を資金調達の未来(あるいは少なくとも次の大きな進化)と考えるのはこれが理由である。

長く困難な道のり

Web3がVCに支配されるとしたら、Web2.0がすでに億万長者、コングロマリット、多国籍企業に支配され、文化的影響力、政治的権力、そして人類がこれまでに経験したことのないような巨額の富を得ていることも頷ける。それならば、消えゆく光に逆らっても仕方がないが、ここに問題がある。私たちがインターネット上で行うことは、文字通りすべて、彼らに権力をさらに独占させ、彼らにより多くの資本を生み出すように設計されている。私たちがログインするたびに、彼らには富が転がり込む。

そう考えると、ジャック・ドーシーのようなベテランのWeb 2.0プレイヤーが、Web3の将来について冷ややかに見ているのも不思議ではない。今後、私たちが覚えておくべきことは、Web3はスタンドアロンで存在するということである。Web2.0に取って代わるものではなく、彼らのプレイグラウンドはそのまま存続する。

Web3は、Web2.0とは独立して同時に存在する。信じようと信じまいと、この機会を倫理的な要請として捉え、インターネットの概念を反復し、前世代の過ちを正し、おそらく社会の機能の最も基本的な部分に影響を与え始めなければならないと考える人もいる。企業に力を与えるのではなく、コミュニティに力を与えるのだ。

結局のところ、現在企業が支配しているものと同じプラットフォームを個人に与えるためのオープンソースがWeb3なのだ。私たちの新しいフレームワークの存在意義は、個人に力を与え、年齢、人種、性別、国籍を問わず、すべての人がより公平にアクセスできるようにすることにある。現状を打破するためには、誰かが立ち上がらなければならない。

未来は私たちが描くものである

この崩壊は、具体的にどのように起こるのだろうか?出発点はオンチェーンに他ならない。現在、Web3のプロトコルや分散型アプリを構築している開発者の大半は、新世代のクリエイターとして哲学にむしゃぶりついて仕事をしている。

彼らは、古いモデルがどのように機能しているか、誰がサービスを提供しているか、その状態を維持できるようにどのように設計されているかを理解している。会社の設立、資金調達、取締役会の設立、従業員の採用などを知る従来のスタートアップアクセラレーターの経験は、開発者たちの仕事をさらに向上させるための強固な基盤となる。

ブロックチェーン技術は、すでにオープンソースの不変的な台帳を提供している。この台帳は、Web3を生み、これを推進してきた理念と直接沿う形で、すべての資金調達ニーズを満たすために使用できる。私たちは、自己実行型のスマートコントラクトを利用して、資金調達のオープンポイントとクローズポイントをコントロールし、すべての投資と条件をオープンにして検証可能性をもたせることができる。

Web3のプロジェクトでは、透明性は非常に重要である。このようなオンチェーンで一般に検証可能な資金調達方法を利用すれば、偏りがないことを保証できる。このモデルでは、すべてが公開され、すべての投資家が同じ土俵に立っていることがオープンなので、裏取引はできない。さらにいえば、投資がブロックチェーン上で確定するたびに、株式取引や構造が明らかになる。

もう1つの方法は、ホワイトリストを利用することである。ホワイトリストを利用すると、プロジェクトに純粋に情熱をもち、それに関わっている人々が、経済的に最も大きな影響力をもつことができる。

暗号アドレスを事前に選択することで、すべての審査とデューデリジェンスを事前に完了し、プロセスを効率化することができる。資金調達契約は汎用性があり、理由を問わず任意のアドレスをホワイトリストに登録することができるため、権限はすべてスマートコントラクトを発行したチームに残る。これにより、煩雑で時間がかかりがちなプロセスをきめ細かくコントロールすることができる。

良心的な創造

オンチェーンの資金調達モデルは、開発者に対してより公平なアプローチを提供し、教育、雇用、信用、コネクションなどの社会経済的な障壁を回避することができる。これらのモデルでは、プロジェクトだけしかもっていない開発者でも、プロジェクトをスタートさせることができる。プロジェクトとその潜在価値だけが重要となる、より実力主義的な機能が提供されるのだ。

小規模なプロジェクトでも、ピッチデッキを作成したり、銀行口座を開設したり、今までのように積極的に投資家を探したりする必要がなくなり、リソースと時間を節約することができる。

これこそが、ブロックチェーンという産業を生み出したコミュニティ主導の理念である。シンプルなツールを導入することで、プロジェクトごとに理にかなう方法で成長と資金調達を促進することができる。これにより、開発者、愛好家、ユーザーによるWeb3の所有が可能になる。

まだ長い道のり

オンチェーンの資金調達は、従来のVCモデルを完全に消滅させるものではない。なぜなら、開発者は優れた投資家と一緒に仕事をすることで、貴重な視点を得ることができるからである。VCは、ビジネスモデルや財務モデルの分析、スケールアップの計画、実行リスクや市場での企業のポジションなどを評価する専門家である。このような特性に重点を置くVCは、今と同じように価値をもち続けるだろう。どのプロジェクトも、企業の成長と成功を支援した実績のある人材を求めている。

オンチェーンは特効薬ではない。それは単に、オープンで公平な資金調達のプロセスを実現し、開発者が最も便利だと感じるメカニズムに近づけるための、(今のところ)最高の枠組みである。

この新しいイノベーションに注目し、新しいつながりがその可能性を最大限に発揮できるように歓迎したい。

編集部注:本稿の執筆者Parker McCurley(パーカー・マッカーリー)はDecent Labsの共同設立者でCEO。

画像クレジット:cnythzl / Getty Images

原文へ

(文:Parker McCurley、翻訳:Dragonfly)

スマートアイデアが約3500万円の追加調達、AGキャピタルグループ会社ライフカードに開発支援サービス提供

家計簿アプリ「2秒家計簿おカネレコ」を運営するスマートアイデアが約3500万円の追加調達

家計簿アプリ「2秒家計簿おカネレコ」(Android版iOS版)を中心にPFM(個人財務管理)事業を展開するスマートアイデアは2月4日、第三者割当増資による約3500万円の追加資金調達を実施したと発表した。引受先はAGキャピタル。

今後、AGキャピタルのグループ会社ライフカードが、スマートアイデアの開発支援サービス「サブスク開発」を採用。ライフカードがシステム開発・アプリ開発の支援を行う。

スマートアイデアは、ある一定期間開発チームの時間を確保し、プロジェクトを担当する開発サービス「サブスク開発」を展開。確保した時間を上限とし、システム開発・アプリ開発を進行させるものという。継続してプロダクト運営ができるよう、開発後のアフターサポートを行うメンテナンスプランも用意している。

同サービスでは、プロダクトマネージャーおよびITディレクター・開発ディレクター・デザイナー・エンジニアのチーム体制で、毎月上限時間までプロダクト開発をトータルサポート。日本国内での企画と、ベトナムのエンジニアによる開発により、「高品質」「低価格」なプロダクト開発を実現できるとしている。

また、プロフェッショナル人材によるPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)業務を行い、部署間コミュニケーションの最適化やマルチベンダーマネージメント、プロジェクトコストの最適化などを実施する。PMOでは、企業におけるプロジェクト支援について、部署の枠を超えて、開発ベンダーとの調整なども含めてマネージメントを行う。

スマートアイデアが約3500万円の追加調達、AGキャピタルグループ会社ライフカードに開発支援サービス提供

家計簿アプリ「2秒家計簿おカネレコ」を運営するスマートアイデアが約3500万円の追加調達

家計簿アプリ「2秒家計簿おカネレコ」(Android版iOS版)を中心にPFM(個人財務管理)事業を展開するスマートアイデアは2月4日、第三者割当増資による約3500万円の追加資金調達を実施したと発表した。引受先はAGキャピタル。

今後、AGキャピタルのグループ会社ライフカードが、スマートアイデアの開発支援サービス「サブスク開発」を採用。ライフカードがシステム開発・アプリ開発の支援を行う。

スマートアイデアは、ある一定期間開発チームの時間を確保し、プロジェクトを担当する開発サービス「サブスク開発」を展開。確保した時間を上限とし、システム開発・アプリ開発を進行させるものという。継続してプロダクト運営ができるよう、開発後のアフターサポートを行うメンテナンスプランも用意している。

同サービスでは、プロダクトマネージャーおよびITディレクター・開発ディレクター・デザイナー・エンジニアのチーム体制で、毎月上限時間までプロダクト開発をトータルサポート。日本国内での企画と、ベトナムのエンジニアによる開発により、「高品質」「低価格」なプロダクト開発を実現できるとしている。

また、プロフェッショナル人材によるPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)業務を行い、部署間コミュニケーションの最適化やマルチベンダーマネージメント、プロジェクトコストの最適化などを実施する。PMOでは、企業におけるプロジェクト支援について、部署の枠を超えて、開発ベンダーとの調整なども含めてマネージメントを行う。

小さなスタートアップMayhtは新コンセプトの小型スピーカーで業界の巨人たちに挑む

スタートアップを立ち上げる方法はいろいろあるが、少数の既存企業が深く根を下ろし市場を独占している業界に挑戦するには、ひときわ勇敢な創業者チームが必要だ。例えば、トップ企業の名前が文字通り「インターネットで検索する」という動詞になっているようなネット検索市場には、余程の勇気がなければ挑戦しようとは思わないだろう。スピーカーの世界も似たようなもので、過去100年の間、テクノロジーはほとんど進歩しておらず、Shania Twain(シャナイア・トゥエイン)の甘く心地良い歌声を気中に放つスピーカーのコンポーネントは、ほとんどすべてひと握りのメーカーが作っている。

この世界に風穴を開けようと考えるスタートアップは多く、毎年、さまざまな方法で「スピーカーをより良くする」と謳う企業のプレゼンを何度も目にするが、いつもそれは不発に終わっている。確かにイノベーションは起きているが、スピーカーのコアテクノロジーでは、真に革新的といえるような動きがほとんどない。しかし、2022年のCESでは、その例外ともいえるMayht(メイト)のチームと話をすることができた。

同社は、お互いに反対方向を向いたスピーカーを作り、モーターでスピーカーの振動板を同時に動かすことで、手を叩くのと同じような動きを実現した。つまり、2つのスピーカーは完全に同調するということだ。同社によると、この小型化されたスピーカーは使用時のエネルギー効率を高め、出荷や保管の際のサイズも小さくでき、業界に与えるインパクトはこれまでの投資に見合うものだとしている。スピーカーの技術も興味深いが、筆者が興味をそそられたのは、オランダの小さな寄せ集めのイノベーター集団が、どのようにしてこの業界の状況を変えようとしているのかということだ。

Mayhtはテクノロジー企業だ。同社は開発の早い段階で、スピーカー技術の世界においては、巨大企業と真っ向勝負してもあまり意味がないことに気づいた。そのため、いくつかの特許とクールなリファレンススピーカー(パートナー候補にデモをするプロトタイプ)を武器に、同社は実質的に外部から委託を受ける研究開発部門を構築したいと考えている。つまり、新しくて興味を引くテクノロジーを生み出し、それを有名なスピーカーブランドにライセンス供与するスカンクワークス(極秘開発チーム)だ。筆者は、このオランダの小さなスタートアップに注目し、コンシューマーエレクトロニクスの中でも最も強固な守りを敷く業界にどのように挑んでいるのか詳しく見てみることにした。

このインタビューでは、Mayhtチームとその投資家らに話を聞き、ゴリアテの世界の中で好戦的なダビデになるための秘訣は何かを考えてみた。

「当社は、2016年からこのスピーカー技術に取り組んできた。最初の2、3年はプロトタイプを作っていたが、今では量産に近いもの、あるいは量産中のものが数多くある。当社はスピーカーユニットのメーカーではなく、その技術を守り、それをライセンスしているだけだ」と、MayhtのCEOであるMattias Scheek(マティアス・シーク)氏は説明する。そして「サウンドバーから小型サブウーファー、小型音声アシスタントスピーカーまで、さまざまな用途で当社の技術をようやく紹介できるようになった。特に小型音声アシスタントスピーカーは、市場に旋風を巻き起こすと確信している。例えば、Echo Dot(エコードット)がSonos One(ソノス・ワン)やサウンドバーと同じ音を出せるようになるということだ。また、サブウーファーのないスピーカーでも、サブウーファーのあるものと同じ音が出せるようになれば、市場は大きく変わる。当社はようやくそれらを公開することができた」と同氏は述べる。

同社は、新世代のスピーカーユニットを発明したという。一般的なスピーカーユニットは振動板を備えているが、駆動機構全体が振動板の後ろにあるため、限られた動きしかできない。Mayhtのイノベーションは、駆動機構を振動板の横に配置することだ。これにより、振動板はより大きく動くことが可能となる。自動車のエンジンでも似たようなことがある。エンジンのパワーを大きくするには、2つの方法がある。1つはシリンダーを大きくして、より多くのガスと空気の混合物を爆発させてパワーを生み出す方法、もう1つは、ストローク長を大きくする方法だ。Mayhtは、この考え方をスピーカーにも応用している。Google Mini(グーグルミニ)やAlexa(アレクサ)のスピーカーのようなスマートスピーカーだけでなく、スペースが限られている車載用など、さまざまな用途でスピーカーの小型化が求められていると同社は考えている。また、同社のスピーカー技術は、ビリつきを抑えることもできるという。

Mayhtのスピーカー技術では、駆動機構を振動板の横に配置している。これにより、2つのスピーカーを同調させ、従来のデザインによる同等サイズのスピーカーに比べて、より多くの空気を動かすことができるという理論だ(画像クレジット:Mayht)

同社は、現世代のスマートスピーカーに対してあまり高い評価はしていない。音声コントロール機能、メッシュWi-Fi、優れたデザイン、電源管理、優れたユーザーエクスペリエンスなど、いずれも意味のあるイノベーションだったが、スピーカーの技術自体は代わり映えしないものだ。

「Bang&Olufsen(バング&オルフセン)、Bose(ボーズ)、Sony(ソニー)など、どのメーカーも似たようなものだ。どのメーカーも同じ技術を使い、同じスピーカーユニットを使っている。同じ工場で作られたユニットなのだから仕方がない。主要メーカーは3~4社で、さまざまなスピーカーブランドはそれらのメーカーからスピーカーユニットを調達しているのだ。この分野でイノベーションが起こらないのは不思議なことではない」とシーク氏は嘆く。「メーカー自身がスピーカーユニットを開発しているわけではないので、より高品質なテクノロジーを追求しようとは思わないのだ。1~2%程度の改善はあっても、スピーカーユニットの全体的なアーキテクチャを変えることはない。そのようなことをすれば、メーカー全体の製造体制を変えることになり、メーカーにとっては大きなリスクとなる」と同氏は続ける。

Sonos Oneを分解してみると、凝ったテクノロジーの下には平凡なスピーカーユニットがあることがわかる(画像クレジット:Haje Kamps for a Bolt teardown

「スピーカーメーカーは、真のイノベーションを達成するのに見合う報酬が得られない。というのも、最低レベルのコストで最高の品質を実現する必要があるため、既存のテクノロジーにとらわれず、本当に新しくて革新的なものを生み出すインセンティブがスピーカーメーカーには与えられないからだ」と、MayhtのチーフコマーシャルオフィサーであるMax van den Berg(マックス・ファン・デン・バーグ)氏は説明する。そして「そういったことを踏まえて、当社は創業以来、世界中の45社ほどのスピーカーメーカーと話をしてきた。その中で、このような製品を見たことがある会社はなかった。これはまさに破壊的なイノベーションだ」と同氏は語る。

Mayhtは、今回のラウンドで、オランダのベンチャーキャピタルForward One(フォワード・ワン)を中心に総額400万ユーロ(約5億2000万円)を調達した。筆者は、この投資を先導した同VCのパートナーにインタビューを行い、はたから見ると困難な戦いに挑もうとしているように見える会社に、なぜ自信を持って資金を投入できたのかを探った。

「私は、このチームがMayhtを特別なものにしていると思う。創業者の兄弟2人は、7歳の頃からスピーカーに携わっており、とても感銘を受けた」とハードウェアのスタートアップに投資をしているフォワード・ワンのパートナー、Frederik Gerner(フレデリック・ゲルナー)氏は述べる。「両氏がスピーカー業界の枠組みを破壊しようとしていることは、非常に有意義なことだ。同じテクノロジーで何十年も成り立っていた巨大かつ成長中の市場は、今まさに革命の時を迎えている。ハードウェアは、多くの業界を一歩前進させる真の手段であり、当社はこのハイテクハードウェアのイノベーションの必要性を、これまで以上に達成可能で重要なものと考えている」と同氏は続ける。

既存のスピーカーユニットメーカーを蹴落とすために工場を建設するのは無駄なことだ。代わりに賢明な同社は、ライセンス方式を採用し、非常にスリムでエンジニアリングに特化したチームを構築し、比較的少額の資金を調達することを進めている。現在、Mayhtの従業員は20名で、そのうちの70%ほどがエンジニアリング部門の担当者だ。また、戦略的に非常に強い影響力を持つ人材を顧問として迎え入れたのも賢い選択だ。このことは、今後この種の企業を構築する上での鍵となるかもしれない。

「顧問には、非常に経験豊富なメンバーがいて、チームで活躍している。Philips(フィリップス)のライセンス部門で働いていたメンバーが2人いるが、そのうちの1人は、実際にライセンス部門を率い、フィリップスにおいてライセンシングを巨大なビジネスにした。彼は、ライセンシングの仕組みだけでなく[特許]訴訟の処理についても大いに助けてくれているし、非常に優れた交渉役でもある」とシーク氏は説明する。

Mayhtのスピーカーのプロトタイプと、Sonosの(より大きな)スピーカー。Mayhtによると、この2つのスピーカーの音量や音質は同じだという。画像クレジット:Mayht

Mayhtでは、起業する場合、自分たちによく合うタイプの会社を作ることを重視している。例えば、同社は、Sonosでマネージングディレクター兼グローバルオペレーション担当副社長を5年間務めたPiet Coelewij(ピート・コエレウィジ)氏も顧問として招き入れている。また、同社のチーフコマーシャルオフィサーであるマックス・ファン・デン・バーグ氏も注目の人物だ。同氏は、1990年代半ばにソニーのパーソナルオーディオ部門のマーケティングマネージャーを務め、その後も長年にわたってソニーの上級幹部として活躍してきた。「適切な人材が部屋にいることで、ドアを開けて進むことができる」と、シーク氏は控えめな表現ながらも両氏の功績に言及する。

同社はブランドを築き上げ、それを他社との共同ブランドとして活用したいと考えている。これはブランディング上の大きな問題を解決する賢明な方法だ。ほとんどの人は、自分が持っているスピーカーの内部で使われているスピーカーユニットのメーカーは知らないし、知る必要もないだろう。しかし、他の業界では前例がある。余程のマニアでもない限り、ほとんどの人は自分のパソコンのプロセッサーが誰によって作られているかなどは気にしていない。少なくとも、AMD(エイ・エム・ディー)がIntel(インテル)のしっぽを捉えた時、IntelがAMDに対抗して「Intel inside(インテル入ってる)」キャンペーンを展開するまでは、そうだったはずだ。Mayhtはそのシナリオを参考にして、Heartmotion(ハートモーション)ブランドを商標登録した。そして、同社のスピーカーをライセンシーと共同ブランド化することの合意を取りたいと考えている。例えば「Sonos powered by Heartmotion(Heartmotion搭載Sonos)」といったようなものだ。

「『Heartmotion』というのは、当社がライセンス供与するテクノロジーブランドだ。スピーカーの動きが心臓の動きに似ていることから、そう呼んでいる。目標は、すべてのスピーカーが当社の技術を搭載し、当社の技術を使用するパートナーが製品の箱にマーケティングの一環としてHeartmotionのロゴを使用することだ」とシーク氏はいう。

スピーカーのサイズと重量を最小限に抑える技術を基に、同社はいくつかの巧妙なセールスポイントを用意している。自動車やRVのメーカーにとっては、ドアパネルやダッシュボードなどの小さなスペースに、音の出力を落とすことなく、より多くのスピーカーを配置できるということだ。これは当然のことなのだが、筆者が特に感心したのは、より環境に配慮した技術に人々が(ようやく!)興味を示し始めている現在の状況において、Mayhtがいくつかのマーケティングメッセージを活用していることだ。低消費電力でありながら大きな出力が得られる小型スピーカーをパッケージ化することで、思いがけない効果が生まれることがある。その一例として、同社が試作したスピーカーには、太陽光発電技術の「Powerfoyle(パワーフォイル)」で覆われたものがある。これは、鳴り続けるBluetoothスピーカーを作ることが可能ということだ。エネルギー消費量に加え、フォームファクターが小さくなれば、重量や輸送量が削減され、結果的に環境面でも大きなメリットがある。

関連記事:太陽電池を搭載し自ら電力を供給し続けるMayhtの小型高音質スピーカー

Mayhtの「Heartmotion」スピーカーのプロトタイプ(画像クレジット:Mayht)

Mayhtは、特許ポートフォリオ戦略に裏打ちされたライセンシングファーストのビジネスモデル、優れた創業者のストーリー、ライセンシングやオーディオの専門家が名を連ねる顧問チーム、そして初めから適切にものごとに対処するために落ち着いて行動しようとする姿勢によって、注目の2022年に向けて着実に体制を整えている。そして、チームは、長年の研究と土台作りを経て、実行の年に向けたシフトアップを狙っているため、十分なリソースを確保したいと考えている。

「2022年は、当社の製品が消費者の手に渡る年だ。その瞬間を目にすることをとても楽しみにしている。当社は、かなり長い間、目立たないように製品作りに取り組んできた。これは本当に奇妙なことだが、業界ではそのすばらしさが知られていても、消費者はまだそれを体験していないのだ。当社にとって、2022年は大々的に公開する年になる。パートナーと協力してこの製品を消費者に届けるだけでなく、当社自身もやることを考えている……」といいながら、シーク氏は途中から声をひそめた。詳細を話しかけていたのだが、録音されていることを思い出したのだ。しかし「もうすぐ、2022年の第2四半期には発表できるだろう。まだ詳しいことはいえないが、現在、消費者が当社から直接購入できるリファレンス製品を開発中だ。消費者にも体験してもらいたいので、試用のために限定版のスピーカーを作っている」と話してくれた。

同社によると、自社製品での収益はあまり考えておらず、これはブランドの認知度を高めるために、大量に生産するサンプルだという。

「自分たちで(3インチ[7.62cm]の)T3スピーカーユニットを搭載した製品を作っているのは、実績を上げれば業界全体が動き出すからだ。この数年間でたくさんのプロトタイプを作った」とファン・デン・バーグ氏は説明する。問題は、新製品の設計には時間がかかり、大手スピーカーブランドにもその時間が必要だということだ。そのため同社は、ペースを上げるべく、リスクを冒して自分たちの手で問題を解決しようとしている。「当社は(サードパーティがデザインしたスピーカーは)少し長いプロセスを必要とすると感じている、サードパーティには決定する時間が必要なのだ。おそらく、彼らの製品が市場に出回るのは、2022年末から2023年初頭になるだろう。それまでの間、当社がこのテクノロジーを消費者に発表することが非常に重要だと考えている。当社は誰かと競争をしたいわけではないが、当社がてがけていることはクールだと思うし、Heartmotionを搭載したすばらしいBluetoothスピーカーの限定サンプルを提供できることをとても楽しみにしている」とファン・デン・バーグ氏は語った。

画像クレジット:Mayht

原文へ

(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Dragonfly)

オランダのEdTechのStudytubeがトレーニングマーケットプレイスSpringestを買収、シリーズBで約34.5億円調達

オランダのオンライン学習プラットフォームStudytube(スタディチューブ)は、ヨーロッパの研修予約マーケットプレイスSpringest(スプリングエスト)を買収した。同時に、Energy Impact Partners(エナジー・インパクト・パートナーズ、EIP)と既存投資家のVerdane Capital(バーデン・キャピタル)が主導する3000万ドル(約34億4900万円)のシリーズB投資ラウンドを終了した。買収の条件は明らかにされていない。

Studytubeは、SaaS型マーケットプレイスを通じて、中堅・大企業にオンライン学習・開発プラットフォームを提供し、サードパーティプロバイダーからコースを提供している。

Springestを加えることで、StudytubeはT-Mobile(Tモバイル)、Vattenfall(バッテンフォール)、Aegon(エイゴン)、NS、Eneco(エネコ)、STORK(ストーク)など30以上の顧客を獲得し、さまざまな業界の300以上の中堅・大企業を抱えることになるという。また、ドイツ、ベルギー、北欧、英国にも進出する。Studytubeは現在アムステルダム、ベルリン、ハリコフの各オフィスで働いている180人以上の従業員を抱えており、まもなく北欧にオフィスを開設する予定だ。

今回の投資ラウンドは、欧州での人員増強とさらなる戦略的買収のために実施される予定だ。

StudytubeのCEOであるHomam Karimi(ホーマン・カリミ)氏は「Springestの買収により、当社のポートフォリオは瞬く間に8000以上の学習プロバイダーに拡大し、25万以上のオンラインおよびオフラインの学習製品を提供するようになりました。2021年には、合計5000万ユーロ(約65億8600万円)相当の学習製品が、当社のマーケットプレイスを通じて調達されました」。と述べている

SpringestのCEOであるRuben Timmermans(ルーベン・ティマーマンス)氏は「Springestは、企業とその従業員に、最も包括的なヨーロッパのトレーニングデータベースを提供します。我々のデータベースとStudytubeのオンライン学習・開発プラットフォームを組み合わせることで、Springestを利用する組織は、コースの検索、予約だけでなく、組織の学習・開発を1カ所で簡単に整理、管理、提供することができます」。と語る。

EIPのヨーロッパマネージングパートナーであるNazo Moosa(ナゾ・ムーサ)氏は「ヨーロッパのEdtech市場は、シングルポイントソフトウェアソリューションで混雑しています。Studytubeは、学習管理システム、学習体験プラットフォーム、統合オーサリングツール、学習マーケットプレイスからなる、完全に統合された学習プラットフォームを提供した初めての企業です。このため、Studytubeは他の成功したシングルポイントソフトウェアソリューションを統合するのには最適な企業となっています。優れた製品への絶え間ない注力とともに、StudytubeはヨーロッパのEdtech分野における勝者の1人になると信じています」。と語っている。

Studytubeは、Docebo(ドシーボ)、LearnUpon(ラーンアップオン)、Cornerstone(コーナーストーン)、Go1(ゴーワン)と競合している。

カリミ氏は「Studytubeの学習管理システムは、詳細なレポート、資格管理、複雑なビジネスプロセスの簡単な自動化など、完全に包括的であるため、競争力があるのです。このため、ヘルスケアのようなコンプライアンス重視の分野にも対応できます」と私に教えてくれた。

「直感的な学習体験と同時に、スマートレコメンデーションとソーシャルラーニングを活用しています。他の多くのLMS(学習管理システム)は、ユーザーエクスペリエンスのこの側面を忘れていることが多く、彼らはインスピレーションを与えるためではなく、学習を管理するためだけに作られています」と述べている。

画像クレジット:Studytube team

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

フォードの電気自動車への移行はコスト削減が中心となる

フォードの新しい電気自動車(EV)モデルは、最高経営責任者のJim Farley (ジム・ファーリー)氏が 「信じられないほどの需要」と呼ぶほど好調だが、同社はその需要を満たしつつ利益率の改善を図る中で、コスト削減をEV戦略の重要な要素に位置づけた。

米国時間2月3日に行われた第4四半期および通期の決算説明会で、ファーリー氏は、フォードがバッテリー電気自動車(BEV)の部品表を「通常の部品コスト削減を超えて大きく」削減するためのタスクフォースを設置したことを明らかにした。

「例えばMustang Mach-E(マスタング・マッハE)では、私たちのチームは先月だけで、1台あたり1000ドル(約11万5000円)のコスト減の機会を見つけました。これは、設計の簡素化、垂直統合、生産の拡大にともなうサプライチェーンでの規模の活用によって意図的に実現してきたものです」とファーレイ氏は述べている。「そしてチームはまだ始まったばかりなのです」。

注目すべきは、フォードがコスト削減や効率向上につながる変更を行うために、第2世代のクルマまで待ってはいないという点だ。

ファーレイ氏は、Mach-Eの製造過程で、エンジニアリング、サプライチェーン、製造の各部門をよりよく統合することで、フォードは利益を拡大できる方法を学んだのだという。例えばMach-Eの冷却システムは、モーターが2個で済むところを4個使用していたり、ホースが60本もしくは70本もあるが、実際にはその3分の1で十分に機能するとファーレイ氏は指摘する。

「それらは今まさに追い求めているチャンスなのです。2023年を待つつもりはありません」と彼はいう。「マイナーチェンジ を待つのではなく、この車両を今リエンジニアリングして、そのノウハウをLightning(ライトニング)やE-Transit(イー・トランジット)、そしてもちろんすべての電動プラットフォームへ活用していきます」。

フォードのCFOであるJohn Lawler(ジョン・ロウラー)氏は、同社のBEVのマージンを改善する必要があると述べている。

「私たちにはチャンスがありますが、それを大規模にやらなければならないのです」とロウラー氏はいう。「現在のMustang Mach-EやLightning、そして商用車のE-Transitのような、大量生産されるセグメントの主要な車両で、頼りになる強力なラインナップを持ちたいと考えています。複雑さを削減していくのです」。

フォードF-150LightningトラックとE-Transitバンはまだ市場に出ていないが、バンは2022年1月末から納車が開始される予定だ。現在のフォードのBEVポートフォリオは、Mustang Mach-Eだけだが、2021年発売されて以来、このクロスオーバーEVの販売は加速している。2022年の1月だけでMach-Eは2370台を販売した(前年同月は238台)。

コストを下げるためには、明らかにオペレーションを拡大することが有効だが、そのためには多くの先行投資が必要となる。

フォードとバッテリーメーカーのSK Innovation(SKイノベーション)は、114億ドル(約1兆3000億円)を投じてテネシー州とケンタッキー州に2つの工場を建設し、バッテリーや次世代電動Fシリーズトラックを生産する計画で、1万1000人の新規雇用を創出するとしている。フォードはこのプロジェクトに70億ドル(約8047億2000万円)を拠出するが、これは118年の製造の歴史の中で単一としては最大規模の投資となる。この投資は、先に発表した2025年までに電気自動車に300億ドル(約3兆4488億円)を投入する計画の一環である。

ファーレイ氏は内燃機関(ICE)車事業を、成長著しいEV事業とは別の事業と位置づけているもの、フォードは内燃機関車事業のコスト削減にも力を入れている(Transitバンのように両セグメントにまたがるモデルもあるが)。フォードの利益は依然としてICEモデルが中心であるため、この点は重要なポイントだ。

ロウラー氏は「ICEビジネスでは、車両に対する計算を活用して、製造コストを大幅に削減し、業務を簡素化し、それを車両のボトムラインに還元していきます」と語り、パートナーと協力して流通コストを削減する方法も検討していると述べている。

健全なICEビジネスへの投資を継続することの目的は、健全なBEVビジネスの成長を促進することだとファーリー氏は述べ、ICE車の将来の製造は、フォードの電動化に注入できるキャッシュリターンを最適化することに主眼を置いていると語る。

フォードは、2020年の第4四半期に計上した28億ドル(約3222億6000万円)の損失から一転し、2021年第4四半期には123億ドル(約1兆4140億円)の純利益を計上した。このフォードの利益には、2021年11月に上場したEVスタートアップ企業Rivian(リビアン)への投資による82億ドル(約9427億5000万円)の利益が含まれている。Rivian社からの利益を除いた調整後の第4四半期の利益は20億ドル(約2299億4000万円)となる。第4四半期の売上高は、5%増の377億ドル(約4兆3344億円)だった。

通年でみたときにはフォード純利益は179億ドル(約2兆581億円)で、これは2020年の12億7000万ドル(約1460億2000万円)の赤字から改善している。

フォードの業績がアナリストの予想に届かなかったため、時間外取引でフォードの株価は4.37%下落している。

画像クレジット:Roberto Baldwin

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

セキュリティテスト自動化SaaSのAeyeScanを提供するエーアイセキュリティラボが3億円調達、開発体制拡大・営業体制を強化

セキュリティテスト自動化SaaSのAeyeScanを提供するエーアイセキュリティラボが3億円調達、開発体制拡大・営業体制を強化

セキュリティテスト自動化SaaS「AeyeScan」を提供するエーアイセキュリティラボは2月3日、第三者割当増資による3億円の調達を完了したと発表した。引受先は、リード投資家のグロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)、またSalesforce Ventures(米国セールスフォース・ドットコムCVC)、G-STARTUPファンド(グロービス)、既存投資家のANRI。

調達した資金により、開発体制拡大に向けた採用を強化し、プロダクトの継続的な機能追加と改善を推進する。また、既存顧客、パートナーとの連携強化・深耕を図るべく営業体制を強化する。さらに、新たなセキュリティモデルを模索するSaaS企業や、自社開発プロダクトを有する企業へのマーケティング活用・営業を展開し、開発・運用とセキュリティがシームレスに連携するDevSecOps実現に向けた取り組みを開始する。

AeyeScanは、いつでも誰でも高品質な脆弱性診断を可能にするSaaS型Webアプリ診断ツール。これまで専門家に依頼していたウェブサイト・ウェブサービスの安全性を確認する脆弱性診断を自社で実施する「診断の内製化」や、アプリケーション開発時における「セキュリティテストの自動化」「DevSecOpsの実現」をサポートするものという。

ウェブサイトやSaaSへの脆弱性診断の実施は、運用負荷・コストなど課題が山積しており、昨今話題となっているLog4jの脆弱性は、脆弱性対応への課題を改めて浮き彫りした。AeyeScanでは、最新の自動化技術を駆使し、人手に依存せず高度な脆弱性診断を実現し、これら課題の解決を支援する。セキュリティテスト自動化SaaSのAeyeScanを提供するエーアイセキュリティラボが3億円調達、開発体制拡大・営業体制を強化

エーアイセキュリティラボは、「セキュリティエンジニア不足を我々の有する技術力で解決する」を理念に2019年4月に創業したスタートアップ。サイバーセキュリティ技術のプロフェッショナル集団、特にウェブアプリケーションセキュリティに深い知識と経験を有するメンバーが在籍しており、クラウドを活用したセキュリティサービスの開発提供および各種コンサルティングを提供している。

モノグサの学習プラットフォーム「Monoxer」が小テスト比較分析機能公開、一夜漬けか日々の学習の成果かを判断可能に

モノグサは2月4日、記憶定着のための学習プラットフォーム「Monoxer」(モノグサ。Android版iOS版)において、「小テスト比較分析」機能をリリースしたと発表した。小テスト機能で実施したテストの結果と学習履歴・記憶度を比較分析し、データに基づいた学習プロセスの評価を可能にするもの。

Monoxerの小テスト機能は、児童生徒が学んだ内容をMonoxer上で小テストにし、AIが自動採点する機能。配点や制限時間、難易度まで設定が可能なうえすべてデジタル上で行えるため、教員・指導者による紙のテストの配布・回収・集計といった手間を削減できる。また手書き入力機能から音声認識機能まで備えていることから、教員は様々な形式のテストを作成可能だ。

新たに搭載した小テスト比較分析は、この小テスト機能の結果とMonoxer上での学習において蓄積された学習履歴・記憶度を比較する機能。記憶度、学習計画の達成率、学習計画の合計日数といった様々な学習データと小テストの結果を比較し、テスト結果と学習プロセスの相関を可視化できるという。これにより教員は、児童生徒の傾向や学習した問題の妥当性を定量的に評価できるようになる。

モノグサによると、この学習履歴や記憶度と小テストの結果を比較することで、一夜漬けなのか日々の学習の成果なのかを判断でき、長期目標に対しての正しい進捗を把握できるという。さらに、学習履歴とテスト結果を紐付けると、児童生徒や保護者と結果だけでなくプロセスの共有も行えるそうだ。これにより、先生、保護者、児童生徒の三者間でより強固な関係性を築けると考えているとのこと。

2016年8月設立のモノグサは「記憶を日常に。」をミッションとして掲げ、人々の知的活動の根幹を担う記憶領域でイノベーションを起こすべく、事業を推進。

Monoxerでは、先生が生徒に覚えてほしい内容を登録するだけで、その内容を定着するために必要な問題が自動で作成される。児童生徒は、作成された問題をスマホやタブレットのアプリで学習し、その中で個別の習熟度・忘却度に応じリアルタイムで問題の出題頻度や難易度の調整を行うため、それぞれのレベルにあった学習を実現できるという。

また、遠隔でも児童生徒の学習状況・定着度がわかるため、通学・通塾が困難な状況でも、きめ細やかな指導を行える。

 

ドルビーが超低遅延ストリーミングプラットフォームのMillicastを買収

Dolby Laboratories(ドルビーラボラトリーズ)は米国時間2月3日、超低遅延のビデオストリーミング体験を構築するWebRTCベースの開発者プラットフォームMillicast(ミリキャスト)を買収したと発表した。

2018年に設立されたMillicastは、世界中のコンテンツを放送品質で、1秒以下の遅延で配信できることを約束する。同社の顧客は、放送局、会議主催者、コンサート会場、オンラインギャンブル会社、オークションハウスなど多岐にわたり、いずれも高品質で低遅延のストリームを必要としているという。ユーザーは、ウェブベースのダッシュボードや人気の高いOBS Studio(OBSスタジオ)デスクトップアプリ、あるいはZoomを含むRTMP対応サービスでストリーミングを受信できる。

つまり、これはかなり企業向けの製品であるということに注目しておく価値はあるだろう。月額料金は495ドル(約5万7000円)からで、500GBのCDN帯域幅が含まれる。

ドルビーは一般にオーディオコーデックでよく知られているが、開発者向けエコシステムの構築にも力を入れており、他社のオーディオとビデオの専門知識が自社製品に統合できるように取り組んでいる。

2020年に、ドルビーはDolby.ioをいくつかのオーディオAPIとともに立ち上げた。現在では、オーディオマスタリングソリューションからトランスコーディングサービスやライブストリーミングツールまで、さまざまなものを構築するための幅広いAPIを開発者に提供している。当然のことながら、ドルビーはMillicastの買収を利用して、同社の低遅延放送機能を備えたライブストリーミング用製品の強化を計画している。

「ドルビーにとってこの買収は、開発者や企業の機会を拡大するためのものです。Millicastの超低遅延ストリーミングによって、Dolby.ioのすでに豊富な機能を補完することができます」と、ドルビーの広報担当者は筆者に語った。

画像クレジット:Millicast(スクリーンショット)

Millicastの現在の顧客は、ドルビーのプラットフォームで慣れ親しんだ同じ機能に引き続きアクセスすることができる。両社の顧客層はすでにかなり重なっているとのことだ。

「ドルビーとMillicastは、光のように速く、水晶のように澄んだコンテンツを、何千人もの参加者に向けてストリーミングできる未来を実現したいという情熱を共有しています」と、MillicastのAlexandrine Platonoff(アレクサンドリーヌ・プラトノフ)CEOは述べている。「私たちが協力することで、世界中のお客様に超低遅延を提供し、あたかもその場にいるかのような仮想化された大規模な視聴体験を実現することが可能になります。私たちはドルビーの一員になれたことに興奮し、一緒にどんなものが作れるかを楽しみにしています」。

両社は買収額を明らかにしていない。近年のMillicastの業績は非常に好調らしく、起業家で投資家のKeith Teare(キース・ティア)氏は先日、同社が2021年に収益を300%以上伸ばしたことを紹介していた

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

任天堂Nintendo Switchの累計販売台数が1億354万台に到達、2017年3月の初代モデル発売から約5年で1億台突破

任天堂Nintendo Switchの累計販売台数が1億354万台に到達、2017年3月の初代モデル発売から約5年で1億台突破

Engadget

任天堂は3日、Nintendo Switchの累計販売台数が1億354万台となり、Wiiの1億163万台を超えたことを発表しました。2017年3月の初代モデル発売から約5年で、1億台を突破したことになります。

2021年第3四半期(10月~12月)でのNintendo Switchファミリー全体の販売台数は、10月に発売した有機ELモデルが各地域で好調な販売を記録したこともあり、1067万台だったとのこと。これはソニーが販売するPS5の390万台を大きく上回るものです。

任天堂Nintendo Switchの累計販売台数が1億354万台に到達、2017年3月の初代モデル発売から約5年で1億台突破

任天堂

しかしスイッチ全体の販売台数は前年同期よりも7.7%減少し、任天堂は年間予測を前回の2400万台から2300万台へと100万台の下方修正をしています。また1~9月期の売上高は1兆4044億円で、前年同期比の6%減とのことです。任天堂Nintendo Switchの累計販売台数が1億354万台に到達、2017年3月の初代モデル発売から約5年で1億台突破任天堂Nintendo Switchの累計販売台数が1億354万台に到達、2017年3月の初代モデル発売から約5年で1億台突破

かたや10月~12月の自社ソフトウェアセルスルー(消費者向け売上)については、スイッチの発売以来四半期として最大規模だったと述べられています。特に『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』(2021年11月発売)は発売から7週間で1170万本以上となり、全体の売上を牽引しているようです。

その一方で、過去9か月の累計では『マリオカート8 デラックス』が796万本(全世界累計で4335万本)「あつまれ どうぶつの森」も499万本(同3762万本)に達しており、旧作が息長く売れ続ける任天堂自社製ソフトのロングテール的な強さが見て取れます。

また久しぶりの2Dメトロイドこと『メトロイド ドレッド』も274万本も売れており、続編やスピンオフ、さらには3Dシリーズ最新作『メトロイドプライム4』(2017年6月に発表、記事執筆時点で未発売)にも何らかの動きが期待できるのかもしれません。

(Source:任天堂1)(2)(PDF)Engadget日本版より転載)

任天堂Nintendo Switchの累計販売台数が1億354万台に到達、2017年3月の初代モデル発売から約5年で1億台突破

任天堂Nintendo Switchの累計販売台数が1億354万台に到達、2017年3月の初代モデル発売から約5年で1億台突破

Engadget

任天堂は3日、Nintendo Switchの累計販売台数が1億354万台となり、Wiiの1億163万台を超えたことを発表しました。2017年3月の初代モデル発売から約5年で、1億台を突破したことになります。

2021年第3四半期(10月~12月)でのNintendo Switchファミリー全体の販売台数は、10月に発売した有機ELモデルが各地域で好調な販売を記録したこともあり、1067万台だったとのこと。これはソニーが販売するPS5の390万台を大きく上回るものです。

任天堂Nintendo Switchの累計販売台数が1億354万台に到達、2017年3月の初代モデル発売から約5年で1億台突破

任天堂

しかしスイッチ全体の販売台数は前年同期よりも7.7%減少し、任天堂は年間予測を前回の2400万台から2300万台へと100万台の下方修正をしています。また1~9月期の売上高は1兆4044億円で、前年同期比の6%減とのことです。任天堂Nintendo Switchの累計販売台数が1億354万台に到達、2017年3月の初代モデル発売から約5年で1億台突破任天堂Nintendo Switchの累計販売台数が1億354万台に到達、2017年3月の初代モデル発売から約5年で1億台突破

かたや10月~12月の自社ソフトウェアセルスルー(消費者向け売上)については、スイッチの発売以来四半期として最大規模だったと述べられています。特に『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』(2021年11月発売)は発売から7週間で1170万本以上となり、全体の売上を牽引しているようです。

その一方で、過去9か月の累計では『マリオカート8 デラックス』が796万本(全世界累計で4335万本)「あつまれ どうぶつの森」も499万本(同3762万本)に達しており、旧作が息長く売れ続ける任天堂自社製ソフトのロングテール的な強さが見て取れます。

また久しぶりの2Dメトロイドこと『メトロイド ドレッド』も274万本も売れており、続編やスピンオフ、さらには3Dシリーズ最新作『メトロイドプライム4』(2017年6月に発表、記事執筆時点で未発売)にも何らかの動きが期待できるのかもしれません。

(Source:任天堂1)(2)(PDF)Engadget日本版より転載)

バカン、オフィス向けコミュニケーション促進サービス「Keeple」をNTT東日本の本社オフィスに提供開始

バカン、オフィス向けコミュニケーション促進サービス「Keeple」をNTT東日本の本社オフィスに提供開始

バカンは2月4日、東日本電信電話(NTT東日本)との提携を深化し、ニューノーマルな働き方に適応する共同検討の新サービス、オフィス向けコミュニケーション促進サービス「Keeple」(キープル)の提供を開始すると発表した。

また同提携の一環として、NTT東日本本社オフィスの執務スペース約300席にKeepleを2021年12月より展開。Keepleでは、VACANが提供する座席の即時予約サービス「VACAN Noline Autokeep Module」(ノーライン オートキープ モジュール)を活用することで、素早い開発およびサービス提供を実現しているという。同モジュールは、VACANが提供する座席の予約サービス「VACAN Noline Autokeep」の機能をベースとしており、導入環境に応じて必要な機能を随時カスタマイズできる仕組み。バカン、オフィス向けコミュニケーション促進サービス「Keeple」をNTT東日本の本社オフィスに提供開始

昨今、リモートワークの浸透、オフィスのフリーアドレス化、フレックス勤務などのワークスタイルの変化により、様々な課題が生じている。バカンは、これら課題を見える化し、ワークプレイスの最適化、組織と人、人と人との新たなコミュニケーションの実現に向け、今後もNTT東日本と連携してサービスをブラッシュアップし、展開を加速させるとしている。

オフィス内の空いている座席を検索・予約、座席利用データを基に席の配置や導線設計の見直しなども行える

バカンのKeepleは、オフィスの座席に設置された専用タブレットと専用ウェブサービスを活用することで、座席の予約やオフィス内での社員の現在位置を検索できるサービス。

専用サイトにスマートフォンからアクセスすることで、オフィス内の空いている座席を検索・予約できる。また座席を予約した者は、座席に設置されているQRコードやタブレットのバーコードを読み取ることで、チェックインが可能となる。

事前予約を行っていない場合は、席が空いていれば座席に設置されているタブレットから直接利用予約が可能。

座席の満空情報は、専用サイト以外にも、オフィスに設置してあるサイネージなどの情報端末からも確認できる。座席の利用率や残席数などをリアルタイムに分析することで、おすすめの座席をレコメンドし簡単に座席を選べるようにサポートするといった機能も実装しているという。バカン、オフィス向けコミュニケーション促進サービス「Keeple」をNTT東日本の本社オフィスに提供開始

また、オフィス内における社員同士のコミュニケーションを活性化させるために、「社員の位置検索」機能も提供。位置検索機能において、探したい社員の名前を専用画面に入力することで、利用している席の場所を見つけられる。これにより、フリーアドレス特有の人を見つけにくいといった課題を解決し、スムーズな対面での会話を実現している。

さらに、利用データを基に各デスクの利用状況を可視化可能。これらデータを活用することで、席の配置や導線設計の見直しなどが可能となり、オフィス運用をデータでサポートするとしている。バカン、オフィス向けコミュニケーション促進サービス「Keeple」をNTT東日本の本社オフィスに提供開始

やった!ついにSnapが黒字に

クラクションを鳴らせ、のぼりを立てろ、パレードをしよう。Snap(スナップ)が黒字になった

それも、調整後EBITDA黒字のことでも、調整後営業利益黒字でも、悪名高き非GAAP純利益黒字でもない。「本物」の黒字だ。

2021年第4四半期、Snapは売上13億ドル(対前年比42%増、約1493億3000万円)、営業損失2510万ドル(約28億8000万円)、GAAP純利益2260万ドル(約26億円)を計上した。これまで長年にわたりSnapのときには曲がりくねった黒字への道について書いてきた意地悪のすべてに代えて、私は「おめでとう」をいいたい。

1つだけ、わずか6320万ドル(約72億6000万円)の注意点。営業損益はマイナスなのに、どうやってプラスの純利益をひねり出したのか?

画像クレジット:Snap

この会社の2021年第4四半期の営業損失をプラスに変えるのにひと役買った「その他の利益(Other Income)」とは何か?私は知らない。今はまだ。会社の決算リリースでも用意されたコメントでも説明されていない。しかしいずれにせよ、Snapの四半期は絶好調であり、投資家たちは興奮した。株価はこの日の散々な通常取引(23.53%安)から、数字が発表されたあとの時間外取引で現在急上昇(40.90%高)している。

要するに、多くの会社に打撃を与えたApple(アップル)のプライバシーポリシー変更が、SnapにとってはOKだということらしい。これは驚きだ。なぜなら2021年第3四半期同社は、Appleの新しいプライバシー方針は損益に直接的打撃を与えるとコメントしていたからだ。どう考えればよいのか?会社の決算発表文を見てみよう。最高ビジネス責任者であるJeremi Gorman(ジェレミ・ゴーマン)氏が次のように語っている(強調は引用者による)。

ダイレクトレスポンス広告部門では、AppleのATT(アプリケーション追跡透明性)関連の変更から生じた課題への継続的取り組みによって、堅調な進展を見せています。予想していたとおり、ブランド部門では、サプライチェーン崩壊と労働力崩壊に関連するマクロな逆風が顕在化し、新年になっても未解決のままです。こうした状況にもかかわらず、当社は新しい広告主の獲得を続け、アクティブ広告主数は史上最高を記録しました。

確かに堅調な進展だ。

絶好調の四半期を推進したのは着実なユーザー成長であり、それはMeta(メタ)が現在苦闘していることそのものだ。これに関するSnapのグラフを見てみよう。

画像クレジット:Snap

要約すると「ヤバイ!」

他に関連する企業のニュースとしては、Amazon(アマゾン)は絶好調の決算報告後の時間外取引ですばらしい時間を過ごしている。これはPayPal(ペイパル)、Spotify(スポティファイ)、Netflix(ネットフリックス)をはじめとするテック世界の他社が、投資家の期待に答えられずに沈黙せざるをえなかった後の出来事だ。

最近の決算報告は悲喜こもごもであり、言い方を変えれば、我々は、少なくとも2021年は足並みを揃えて前進していたようだった企業間の業績の相違を確認しているのだ。

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ローコードでサードパーティサービスを統合するプラットフォームDigibeeがシリーズAで約28.7億円調達

ローコード統合プラットフォームDigibeeは、今、すべての同類のプラットフォームが行っていると思われること、つまり資金調達を行う。米国時間2月3日、同社はSoftBank Latin America Fundが主導するシリーズAラウンドで2500万ドル(約28億7000万円)を調達したことを発表した。このラウンドには、ブラジルのKineaG2D Investmentsも参加している。

2017年に登場したDigibeeは、企業がコードを一切触ることなく、統合ワークフローを簡単に構築・展開できるようにするものだ。同じことを喜んでやってくれるプラットフォームは他にもたくさんあるが、Digibeeが他と異なるのは、統合を構築するだけでなく、その統合を再利用可能なビジネスロジックにすることにも重点を置いているサービスである点だ。1年前、同社は「Capsule(カプセル)」と呼ばれる組織全体で共有できる共通の統合機能のパックを発表した。

画像クレジット:Digibee

現在の顧客には、Accentureやブラジルの証券取引所B3、小売チェーンのCarrefourなどがいる。

「私たちは、グローバル企業のデジタル化の旅を支援しています。これにより、企業は経済的に高額な初期費用なしに成長・拡大することができ、人材はビジネスの推進に専念できるようになります。私たち自身は、米国と世界各地に拠点を設け、世界で最も革新的な企業を顧客にしていきたい」と、Digibeeの共同設立者兼CEOであるRodrigo Bernardinelli(ロドリゴ・ベルナーディネッリ)氏は語る。

同社によると、今回の資金調達は、米国での市場開拓戦略の支援に使う予定だという。

「私たちのプロダクトは、競合他社よりもはるかに優れたシステム統合の課題を解決しており、多国籍の顧客は私たちにグローバルな事業展開を求めています。そのためには、各ターゲット市場で優秀な人材を採用する必要がありました」と、ベルナーディネッリ氏はいう。

また、同社は事実上すべての機能において、従業員数を急速に増やす計画であることも明かした。

SoftBank Latin America Fundのアーリーステージ投資担当マネージングパートナーであるRodrigo Baer(ロドリゴ・ベア)氏は、次のように語る。「Digibeeへの投資に、とてもエキサイトしています。同社は、統合の費用という問題に挑戦しています。それは、ソフトウェア経費の50%以上を占めることもあります。それでも、企業は統合化によって、自他複数のシステムを接続してデジタルトランスフォーメーションを実現できます。Digibeeの営業力はワールドクラスのものなので、そのソリューションを市場化していく能力があります。これにより彼らのプロダクトは、グローバルなプレイヤーに育ちます」。

画像クレジット:Ed Peeters/EyeEm/Getty Images

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

竹製トイレットペーパーとセレブ出資者で知られるCloud Paperが約5.8億円を追加調達

商品一覧にトイレットペーパーとキッチンペーパーをに揃え、さらに品揃えを増やそうとしているCloud Paper(クラウド・ペーパー)は、従来の原料に代えて竹から作った持続可能なトイレットペーパーを作っている。同社は500万ドル(約5億7500万円)の資金調達ラウンドを、そうそうたる投資家を迎えて完了した。同社はこの資金を使って製品ラインを拡充し、業務用トイレットペーパー、タッチレス・ディスペンサー用ペーパーなどの業務用製品の提供を開始する。この会社はセレブリティ・ビンゴをプレイするかのように、スター満載の出資者リストを作っている。

「Cloud Paperは、紙製品業界に樹木フリー製品への切り替えを促すミッションを背負っています」とSoundwaves(サウンドウェーブズ)のAshton Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏はいう。「私たちはこのミッションに加わり、この分野での立場をいっそう強固にするとともに、Cloud Paperには小売業へと拡大し、積極的なB2B戦略を追求し、DTC(消費者直販)を成長させていくことを期待しています」。

今回の500万ドルのラウンドには、Bezos Expeditions(Jeff Bezos[ジェフ・ベゾス]氏個人の投資会社)、Mark Benioff(マーク・ベニオフ)氏のTIME Ventures(タイム・ベンチャーズ)、Presight Capital(プリサイト・キャピタル)、Soundwaves、およびAmazonの幹部、Jeff Wilke(ジェフ・ウィルキー)氏が参加した。

2人のファウンダーは、最初にUber(ウーバー)、次にConvoy(コンボイ)と会社から会社へと互いに追いかけ合い、ついには過去(と我々の下部を)を水に流すクリーン・テック会社を作った。

「共同ファウンダーと私は、Uberで会社がUber Xと全世界へのライドシェアリングを展開し始めた頃に出会いました。私たちはそこで驚くほどユニークな時間を経験し、超成長が起きるところを目の当たりにしました。そして次はConvoyで一緒に働きました。そこはトラック運送とサプライチェーンのUberのような会社で、2人はこうした非常に成長の早いスタートアップで6~7年を過ごしました」とCloud Paperの共同ファウンダー、Ryan Fritsch(ライアン・フリッツ)氏は説明した。「あるとき2人で話し合いました。『今こそ築き上げた経験を活かすときだと思う。何をしようか?2人ともサステナビリティの分野に大々的に参入したいことはわかっていました。調査結果は、私たちを紙・パルプ産業の与えている影響へと導きました。早送りして2019年の春、会社を立ち上げ、300万ドル(約3億4000万円)のシードラウンドをGreycroft(グレイクロフト)のリードで行いました」。

画像クレジット:Cloud Paper

それ以来、会社はさらに高い目標を設定し、これまでに300万ロール以上のトイレットペーパーを販売した。現在スタッフは8人だけで、もっと大量の水を流すべく体制を整えている。

「2022年はB2Bに大きく力を入れます。それが私たちの始まりでしたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の間は消費者直販にシフトしていました。一部の産業、特に接客と旅行は活気を取り戻し始めています。これらので施設で求められている業務用製品は、現在当社のウェブサイトにあるものとは大きく異なります」とフリッツ氏はいう。「ペーパータオルとトイレットペーパーにはあらゆる種類のバリエーションがあります。たとえばアリーナは小さな350枚のロールを欲しがりません。欲しいのは3000枚の大容量巨大ロールです。現在商品ラインを拡大しているところです。それが2023年に向けた当社の焦点です」。

数字も意味のある結果を示している。Cloud Paperはシードラウンド当時より930%多くのロールを販売し、消費者直販の顧客ベースは230%増だ。企業顧客は400%増だと同社は報告している。この期間にブランドの売上は800%以上伸びた。

これは大変な数のペーパーロールで、1万本の樹木が救われたと同社は推定している。紙の材料となる竹は中国から仕入れているが、サプライチェーンを元の竹まで追跡することは困難だ。では、Cloud Paperはどうやって、実際に持続可能な方法で栽培された再生可能な竹を使っていることを知っているのだろうか?ファウンダーには明確な答えがある。

「私たちはサプライチェーンの持続可能性を検証できる実績あるサードパーティーを信頼しています。2021年当社は、FSC(森林管理協議会)認証を取得した最初の100%竹ブランドになりました。直接の競合他社を探すと、いつも3つか4つの同じ名前が見つかるでしょう。竹の収穫と栽培の持続可能性に関してFSCのチェックボックスにチェックを入れたのは私たちが最初です。とフリッツ氏は説明した。「Natural Resources Defense Council(NRDC、天然資源保護協議会)が発行している ‘the issue of tissue’(ティッシュの問題)という年次報告書があります。2021年初めて、新しい竹由来ブランドが複数掲載されました。2021年当社は最高評価をもらいました。今後も第三者監視機構の追加を検討するとともに、必要な透明性が維持されていることを確認します。つい最近私たちは、USDA biobased certification(米農務省バイオ素材認定)を受けたところで、他にも目を向けています」。

同社は、彼らの樹木フリー竹製ペーパータオル / トイレットペーパーが2021年だけで1万本以上の樹木を救ったと言っている。今回調達資金によって、Cloud Paperはサプライチェーン、製品開発および雇用への大規模な投資が可能になる。

画像クレジット:Haje Jan Kamps

関連記事
ロバート・ダウニーJrやグウィネス・パルトロウ、マーク・ベニオフはトイレットペーパーに投資している
Salesforce創業者やロバート・ダウニー・Jr氏が出資する竹のトイレットペーパー企業がペーパータオルを発売

原文へ

(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Nob Takahashi / facebook

不必要なプラスチックを排除したより環境に優しい食料品配送を目指すZero Grocery

Zero Grocery(ゼロ・グロッサリー)は、食料品を2時間以内に、地球を傷つけない方法で届けることを使命としている。

プラスチックを使わない食料品、家庭用品、パーソナルケア用品の配送を行うこのスタートアップ企業は、2年前、廃棄物の削減に焦点を当てたビジネスに対するベンチャーキャピタルの関心について取り上げた企業の1つだ。当時、2019年に起業した創業者兼CEOのZuleyka Strasner(ズレイカ・ストラスナー)氏は、470万ドル(約5億3900万円)の資金を調達したばかりだった。

米国時間2月3日、同社はSway Ventures(スウェイ・ベンチャーズ)が主導する新たなシード資金としてさらに1180万ドル(約13億5500万円)を調達し、Zero Groceryがこれまでに1650万ドル(約18億9400万円)を調達したことを発表した。これは、同社が環境に優しい無料配達を2時間以内に提供する持続可能なオンライン食料品店を立ち上げたことにともなうものだ。

ストラスナー氏はTechCrunchにメールで、前回の資金注入以来、Zero Groceryは「信じられないような旅をしてきました」と、語った。同社はチームの規模を倍増し、ロサンゼルスやベイエリア市場など、サービスを提供する市場の数も倍増させた。

さらに、顧客数も2倍以上に増え、平均注文額と継続率も伸びた。その結果、顧客生涯価値の向上につながり、2021年にはペットボトル3万5000本分、食料品のビニール袋6万枚分が埋立地に捨てられるのを防いだという。

「2022年1月からは、サービスを全面的に刷新し、手数料や会員登録なしで当日2時間以内の配達を実現し、顧客獲得が完全に軌道に乗りました」と、ストラスナー氏は付け加えた。「2022年に成長に投資したドルの回収率は、2021年の平均の3倍になっています」。

画像クレジット:Zero Grocery

資金調達の面ではすばやい成功を収めたが、同社の焦点はより全体的で持続可能なモデルであるとストラスナー氏はいう。これは、コンセプトをすばやく実証し、その後、規模を拡大することで、より少ない労力でより多くのことを可能にするというアプローチによるものだ。

新資本は、Zero Groceryがより多くの地域でサービスを提供するために、新しいハブを開設できるよう、地理的拡大に充てられる予定だ。さらに、規模を拡大するために、新規顧客の獲得にも投資する。会社が大きくなればなるほど、運営上の効率は上がり、ベンダーとの関係も強化され、持続可能な社会の実現に貢献できるとストラスナー氏は言った。

ストラスナー氏は、同社の成功の多くは、市場機会に起因すると考えている。2020年、2021年は、デリバリーサービスが大きく伸びた。実際、それ以前は、米国の食料品販売に占めるデリバリーの割合は10%弱だった。その時、世界的なパンデミックによってニーズが急増したが、その多くは満たされていなかったとストラスナーはいう。

「速く、便利で、手頃な価格で、高品質で、持続可能な、ゲームチェンジャー的なサービスは、より多くの次元でお客様に価値を提供し、同時に複数のニーズを満たします」と、彼女は付け加えた。「このことは、競合他社から多くの顧客を獲得することに容易につながりました」。

オンライン食料品専門店Mercatus(メルカタス)によると、需要により、2022年の食料品売上高1兆1240億ドル(約129兆円840億円)のうちオンライン比率は11.1%に成長し、2026年には1兆2500億ドル(約143兆円5887億円)の20.5%となる見込みと予測されている。

現在、プラスチックはわずか9%しかリサイクルされておらず、その多くが埋め立て地や海へと流れている。つまり、プラスチックのゴミを減らすために個人が行う小さな変化でも、積み重なれば環境に大きなプラスの影響を与えることができる、とストラスナー氏はいう。

「このパンデミックを通して、人々がどのような生活を送りたいか、そして今日の決断が明日にどのように影響するかをより意識するようになったことが大きな特徴です」と彼女は付け加えた。「つまり、オーガニックで、クリーンで、環境にやさしい製品を求めているということであり、Zero Groceryはそれを提供することができるのです」。

画像クレジット:Zero Grocery / Zuleyka Strasner, Zero Grocery founder and CEO

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Yuta Kaminishi)

GM Venturesが急速充電対応バッテリー技術のスタートアップSoelectに投資

ノースカロライナ州に本社を置くバッテリー技術のスタートアップSoelect(ソエレクト)は、1100万ドル(約12億円)のシリーズAラウンドをクローズした。同社は、新たに調達した資金を、電気自動車の次世代バッテリーを可能にするかもしれない、急速充電が可能な電極技術の拡張に使う予定だ。

リードインベスターのLotte Chemicalと投資会社KTB Networkに加え、General Motorsのコーポレートベンチャーキャピタル部門であるGM Venturesも戦略的投資家として参加した。GM Venturesは、輸送の安全性や持続可能性に関するソリューションを提供する企業に投資する傾向があり、そうしたソリューションは将来のGM車や製造施設、事業運営に導入することができる、とGMの広報担当Mark Lubin(マーク・ルービン)氏は述べている。

「SoelectをGM Venturesのポートフォリオに加えることの競争上の優位性の1つは、急速充電が可能な電極技術であり、これは将来のリチウム金属電池と固体EVバッテリーの電極設計の両方を可能にするものです」と、ルービン氏はTechCrunchに語った。「今回の投資、そしてこの分野における他の投資は、将来のGM製品の航続距離の増加、効率向上、コスト削減を可能にするバッテリー技術の進歩を加速させるGM Venturesの取り組みをさらに拡大します」。

VCが最近投資したバッテリー会社はSoelectだけではない。バッテリー寿命を向上させ、バッテリーを2倍のエネルギー密度にする「電極なし」のリチウム金属電池を持つ、MITのスピンアウトスタートアップSolidEnergy Systems(SES)にも投資し、提携した。SESとGMは、マサチューセッツ州にプロトタイプ製造施設を建設し、2023年までに大容量の量産前バッテリーを作ることを目指している。

関連記事:GMがバッテリーのエネルギー密度向上でSolidEnergy Systemsと提携

GMは、パートナーのLG ChemとUltiumバッテリーのための2つのバッテリー製造施設を建設中だが、GMは他の実りあるバッテリー提携の可能性にもオープンだ。同社は2021年10月、長寿命で急速充電でき、そして持続可能なバッテリーを実現するためのバッテリー技術を開発する新しいバッテリー研究施設をミシガン州に建設する計画を発表した。GMは、1リットルあたり最大1200ワット時のエネルギー密度を持つバッテリーを製造し、コストを少なくとも60%削減したいと考えている。

関連記事:GMがより低コストで航続距離の長いEV用バッテリーの開発施設を建設中

画像クレジット:Getty Images

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

ランボルギーニは同社初のEVについて未だ思案中、4人乗りクーペになる可能性が有力

Lamborghini(ランボルギーニ)の会長兼CEOであるStephan Winkelmann(ステファン・ヴィンケルマン)氏は、超高級SUV「Urus(ウルス)」の需要に支えられて2021年の販売台数が過去最高を記録した自動車メーカーの指揮を執っているにもかかわらず、祝杯を挙げる暇もない。

このイタリアのスーパーカーメーカーを率いるヴィンケルマン氏は、販売台数が前年比13%以上増加したことや、1月が終わる前に2022年の生産台数をほぼ完売させた成功の余韻に浸るよりも、もっと差し迫った問題を抱えている。

それ以上にヴィンケルマン氏は、同ブランドを電動化の世界に導くことに集中しているのだ。これは、効率性よりも大げさなエンジンで知られるランボルギーニとは、相反する動きのように思える。

ランボルギーニは、2023年にハイブリッド車を投入するなど、いくつかの目標を設定している。しかし、そこから先のEV計画は不明瞭だ。

ガソリンの代わりに電気を使ってどのように車を走らせるのか、また、顧客にどのような体験を提供するのか、ランボルギーニは未だ決定できていない。

「私たちは、ランボルギーニのためのクルマを作るだけでなく、10年後にも対応するために、バッテリー技術やどのようなタイプのエンジンを搭載する必要があるのかということについて、よく検討しているところです」と、ヴィンケルマン氏はTechCrunchに語った。

「私たちには、EVを真っ先に採用する必要はないという利得があります」と、ヴィンケルマン氏はいう。それは、世の中の動きに目を光らせ、未来を見極めるようとしているという意味だ。EVの技術は急速に進化し続けているため、それは簡単なことではない。「もしかしたら、5年後には誰も気にしていないようなことを話しているのかもしれません」とCEOは認めている。

先行しようとする中で、自動車メーカーとしては、いくつかの点で間違っているかもしれないことを認めなければならないと、CEOは語った。それはつまり、適切なタイミングで適切な判断を下すことであり、あまり先を見過ぎてはいけないということだ。

「良いアイデアを持っていても、それが5年後、6年後、7年後、8年後には正しくないとわかるかもしれません」と、ヴィンケルマン氏は付け加えた。

ランボルギーニは、少なくとも全体的なデザインプランは持っている。

ヴィンケルマン氏によると、ランボルギーニ初のEVは2020年代の後半に登場する予定だという。それは現行モデルの「Aventador(アヴェンタドール)」や「Huracan(ウラカン)」のような純粋なスーパーカーではなく、(ウルスを除く)ランボルギーニに人々が期待する以上の地上高を持つ、より実用性が高い2+2シーターの4人乗り2ドアクーペになるとのこと。

もちろん、それはランボルギーニらしいルック&フィールを備えた車になるだろう。スーパーカーではないランボルギーニというものが冒涜のように感じる人は、同社が1968年から1978年まで、4人乗り2ドアクーペの「Espada GT(エスパーダGT)」を販売していたことを思い出していただきたい。

Lamborghini Espada GT(画像クレジット:Lamborghini)

そのクルマのデザインは、電気自動車であるがゆえに未来的になると同時に、ランボルギーニのDNAに沿ったものになると、ヴィンケルマン氏はいう。パワートレインも、EVならではの強大なトルクで、ランボルギーニ車のオーナーがこのブランドから思い描くパフォーマンスを実現するだろう。しかし、1つだけ決定的に失う要素がある。エンジンの咆哮だ。

「その代わりとなり得るスーパーカーとは何かという新しい見解を、どうやって示すことができるか、我々は見極めなければなりません」と、ヴィンケルマン氏は語った。ランボルギーニの魅力の1つは、そのエキゾーストノート(排気音)だ。これは、ランボルギーニの車を所有することで得られる「俺を見ろ!」という威勢の誇示に欠かせない。ランボルギーニには、ブランドに相応しい何かを考え出すための時間がある。それが車内にだけ聞こえる音なのか、それとも車外にも聞こえる音になるのかは、まだわからない。

今後のハイブリッド車については、まずアヴェンタドールのV12プラグインハイブリッドが登場する予定だ。PHEVパワートレインの採用は、特定の都市において排ガスを出さない電気駆動を求める規制の拡大に対応するためだ。

2021年発表された限定生産モデル「Lamborghini Countach LPI 800-4(ランボルギーニ・カウンタックLPI 800-4)」。2019年に発表された限定モデル「Sián(シアン)」のために開発されたスーパーキャパシタ技術とV12エンジンを組み合わせたハイブリッド・パワートレインを搭載する(画像クレジット:Lamborghini)

内燃機関については、2022年がランボルギーニにとって新型の非電動車を導入する最後の年となる。パワートレインの進化の始まりが、2023年に迎える同自動車メーカーの創立60周年と重なるのは、ある意味で相応しいとも言える。

ランボルギーニは、規制と筋金入りのファンの両方を満足させる方法として、今度のプラグインハイブリッド車をできるだけ長く製造したいと考えている。もし、合成燃料を使った低排出ガス化が実現すれば、2030年代に入ってもスーパーカーの導入と生産を続けることができるだろう。

しかし、最終的にランボルギーニとそのCEOは、同社初のEVとその後に続くモデルについて、決断を迫られることになるだろう。「この変化の一端を担えることを誇りに思いますし、光栄に思います」とヴィンケルマン氏は語る。

しかし、同氏はこれから起こることの重さを理解していると主張する。

「その一方で、私には当社で働く人々やその家族の将来に対する責任だけでなく、ブランドとその新製品という船を安全な場所に導き、対岸で待っているお客様の情熱的な手に引き渡すという、大きな責任があります」。

将来のランボルギーニの電気自動車に搭載されるバッテリーやパワートレインの技術について語るのは、少し時期尚早かもしれない。だが、ヴィンケルマン氏は、やや胸を張って次のように語った。「本当に信じられないほどパワフルで、ランボルギーニの精神に非常に忠実な車になると期待してください。まだ我々には時間が十分にあります。この車が発表されるときには本物のランボルギーニになっていると、私は強く確信しています」。

画像クレジット:Lamborghini

原文へ

(文:Roberto Baldwin、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

東京都の5Gイノベーション街中実装・事業化アクセラレータープログラムにYper・サイトセンシング・シナスタジア・Placyが採択

GO BEYOND DIMENSIONS TOKYOに採択された4社とその街中実装パートナー各社の代表

GO BEYOND DIMENSIONS TOKYOに採択された4社とその街中実装パートナー各社の代表

東京都の「5G技術活用型開発等促進事業(Tokyo 5G Boosters Project)」において、スタートアップ支援の開発プロモーターとして採択されたサムライインキュベートは、5Gを活用したサービスなどの街中実装や事業化を支援するプログラム「GO BEYOND DIMENSIONS TOKYO」を実施している。

2月3日には、第1期として募集した中から4社が選定され、記者会見が開催された。採択されたのはYperサイトセンシングシナスタジアPlacyで、今後パートナーとなる大手企業や大学とともに、事業化を目指した実証実験などを行う。今夏には成果発表会も実施される予定だ。

採択された4社とその街中実装パートナー各社

採択された4社とその街中実装パートナー各社

夏までには一定の成果を上げ、発表を行う予定

夏までには一定の成果を上げ、発表を行う予定

東京都は、Tokyo 5G Boosters Projectとして20201年度から支援事業を開始。都が選定した「開発プロモーター」が主導してスタートアップなどの開発・事業化を支援するなどして、東京都が抱える課題を、5Gを活用することで解決しようという試みだ。2021年度にその1社に選定されたサムライインキュベートがオーガナイザーとして募集したのが今回のプログラムとなる。

サムライインキュベートのDirector Enterprise Groupの山中良太氏は、「5G普及による将来ビジョンは、AI・データ活用のケータイ化」と指摘。これはAIやデータ活用が「誰もが手軽に、いつでも利用できる」(山中氏)という意味だという。

例えば自動配送ロボットは、超高性能センサーや超高性能プロセッサを搭載するため、1大300~500万円とコスト高になる。しかし、5Gの特徴である高速・大容量、低遅延、多数接続といったメリットを生かし、クラウド側でデータを処理することでコスト低減に繋がる。これによって「サービスやソリューションが一気呵成に普及する可能性を秘めている」と山中氏。

5Gが目指す将来ビジョンとして、山中氏はエッジのシンクライアント化によるコスト低減などにより、AI・データ活用のケータイ化が起きる、としている

5Gが目指す将来ビジョンとして、山中氏はエッジのシンクライアント化によるコスト低減などにより、AI・データ活用のケータイ化が起きる、としている

これによって、自動運転車、ドローン配送、遠隔手術、xRといった社会課題を解決できるようになる。そんなポテンシャルを秘めていると山中氏は強調する。そうした世界を実現するために、スタートアップと街中実装パートナーによるタッグで、より確実に開発が進められることを狙ったのが今回のプロジェクトだ。

サムライインキュベートの山中良太氏

サムライインキュベートの山中良太氏

5Gの真価が現れる5G SAサービスが順次開始される2022年を「AI・データ活用元年」(山中氏)として、プロジェクトを推進し、実用化に繋げていきたいと意欲を見せていた。

「5G遠隔操作・監視でどこからでも配達員になれる自律走行ロボット」

採択されたYperは、もともと置き配バッグ「OKIPPA」を提供していたスタートアップ。物流のラストマイル配送を効率化するとしてOKIPPAを開発したが、加えて新たに開発しているのが自動配送ロボットの「LOMBY」だ。

OKIPPAのYperが開発している自動配送ロボットLOMBYが採択

OKIPPAのYperが開発している自動配送ロボットLOMBYが採択

Eコマースなどの通信販売やフードデリバリー、フリマアプリといったサービスの拡大で、「ラストマイル配送」の市場規模は2.5兆円に達していると同社代表取締役の内山智晴氏は指摘。宅配物の取扱量も2020年の約45億個から35年には88億個まで拡大すると予測されているが、国内労働人口は逆に約6400万人から5587万人に減少するとみられている。

宅配物の取扱量が急拡大するのに対して、労働人口が減少し、配達員が不足する懸念がある

宅配物の取扱量が急拡大するのに対して、労働人口が減少し、配達員が不足する懸念がある

結果として、物流は伸びても配送するための人員が不足することが懸念されており、「このギャップをどう埋めるか」(内山氏)ということから、今回の配送ロボットが開発されているという。

遠隔からロボットを操作することで、効率よく非対面の配送が可能になる

遠隔からロボットを操作することで、効率よく非対面の配送が可能になる

街中実装パートナーとしてJR東日本都市開発、東京都立大学、三菱地所が参画。飲食店からマンションへフードデリバリーをする実験や、都立大キャンパスでの宅配物配送や構内のフードデリバリー、東京の2つのビルにおける商業ビル内外での商品配送といった実験を計画している。

例えばフードデリバリーでは、店舗から300mほど離れたマンションへ遠隔操作で配達する

例えばフードデリバリーでは、店舗から300mほど離れたマンションへ遠隔操作で配達する

例えばフードデリバリーでは、店舗から300mほど離れたマンションへ遠隔操作で配達する

公道での配送においては、今後の法改正や警察などとの協議も必要になるが、5Gを使った映像伝送によって周囲を確認しながらの遠隔操作が可能。内山氏も、「遠隔操作では比較的技術的な課題が少ない」と話す。実証実験によって、それぞれの環境での商用利用ではどういった課題があるかを見極め、それをクリアしていきたい考えだ。

実験のプラン

実験のプラン

Yperの内山智晴氏

Yperの内山智晴氏

「減災初期対応に必要な災害時の被災状況のドローン生中継サービス」

産業技術研究所発のスタートアップであるサイトセンシングは、GPSなどの衛星測位システムの電波が届かないような地下、屋内、悪天候化の屋外などでも自律飛行ができるドローンを開発している。

サイドセンシングのドローン(画像中央)。屋内でGPS信号が届かなくても自律飛行が可能で、自動で撮影した画像を使って3Dモデルを作成する、といった開発が行われている

サイドセンシングのドローン(画像中央)。屋内でGPS信号が届かなくても自律飛行が可能で、自動で撮影した画像を使って3Dモデルを作成する、といった開発が行われている

サイドセンシングのドローン(画像中央)。屋内でGPS信号が届かなくても自律飛行が可能で、自動で撮影した画像を使って3Dモデルを作成する、といった開発が行われている

同社のドローンは、「移動体の動きにおける加速度の変化を積分して自己位置を求め、映像を使わずに自律航行ができる」(同社代表取締役の平林隆氏)という仕組みで、外部からの電波が不要で、映像も使わないので処理が軽く高速な位置測定が可能だという。

被災状況のリアルタイム把握を行うなど、様々な現場で活用できるとしている

被災状況のリアルタイム把握を行うなど、様々な現場で活用できるとしている

高精細映像が撮影できることで、そのデータを活用したサービスとの連携も可能になるとしている

高精細映像が撮影できることで、そのデータを活用したサービスとの連携も可能になるとしている

災害時にもいち早く現場で活動でき、現場の状況を素早く伝送できることにフォーカスしているそうで、その映像の伝送のために高速・大容量の5Gを生かす。ドローンからの映像を元に、災害時の避難民の数を数えたり、河川の決壊危険個所を映像から推定したり、といった外部のサービスとの連携において、映像がより高精細であるほど精度が高まるため、4Kや8Kの高精細映像を伝送できるよう、今回のプロジェクトで取り組む。

まずは開発の第1フェーズとして、小型のプロトタイプのドローンを開発。都立大のキャンパス内で自律飛行と撮影をして、5Gで映像を伝送する実験を行う。来年には大型ドローンで同様の実験を行い、24年3月には実用化に繋げたい考えだ。

今後のプラン

今後のプラン

サイドセンシングの平林隆氏

サイドセンシングの平林隆氏

「5Gによる大量普及型XR顧客体験価値向上サービス」

観光バスに乗り込んだ乗客がVRゴーグルを装着し、観光地の実際の景色と映像を組み合わせたXR周遊観光サービスなどを提供しているシナスタジアは、5Gによって機材の低コスト化と高リッチ化を実現して、サービス拡大に繋げたい考え。

VRゴーグルとリアルの観光を組み合わせたXR周遊観光サービス

VRゴーグルとリアルの観光を組み合わせたXR周遊観光サービス

現在は、京急電鉄の横浜バスツアーで導入されているがVRゴーグルに加えて処理するためのPCとバッテリーが必要で、バス1台に付き約2000万円のコストが掛かっているという。これを5Gの高速・低遅延の特徴を生かし、ネットワーク側でXR処理を行い、VRゴーグルに配信する仕組みによって、1台に付き400万円という大幅なコスト削減が可能になるという。

コストの重さが課題だったが、5Gの活用でシンクライアント化して安価に抑える

コストの重さが課題だったが、5Gの活用でシンクライアント化して安価に抑える

現在の仕組みでも、1人あたり4000円のチケットが即日完売で、利用者からも好評だという。ただ、オープントップバス1台で運用しており、これをさらに広げようとするには、現状の仕組みでは高コストだと京急側も判断。

それに対して、5Gを使ってデバイスをシンクライアント化することで、コストを削減し、今後はスマートフォン上でもXRコンテンツを配信できるようになり、幅広い環境にサービスが提供できるようになると期待する。

シナスタジアの代表取締役・有年亮博氏は、今回のプロジェクトを踏まえ、「来年度に実サービスを開発する」考えだ。

シナスタジアの有年亮介氏

シナスタジアの有年亮介氏

「オフィスにおける創造・共創を誘発するリアルワールド・メタバースサービス」「人と都市とのリアルなつながり・交流を創出するリアルワールド・メタバースサービス」

4社目のPlacyは、音楽を通じた感性解析AIを開発するスタートアップ。人の感性を推定するために音楽を活用すると精度が高くなることが「研究レベルでは出ている」と同社の代表取締役社長の鈴木綜真氏。Spotifyは、SNSで取得されるデータよりも音楽から得られたデータの方がより高精度にパーソナリティの推定が可能だとしているそうだ。

場所に対して音楽を投稿し、投稿された音楽を聴いて自分の感性と合う場所を見つける、という感性マップを提供している

場所に対して音楽を投稿し、投稿された音楽を聴いて自分の感性と合う場所を見つける、という感性マップを提供している

今回のプロジェクトでは「感性」という観点から街やオフィスの魅力を高めるサービスを開発する

今回のプロジェクトでは「感性」という観点から街やオフィスの魅力を高めるサービスを開発する

こうした視点を応用してその人と感性の合う街を紹介するといったサービスを展開してきた同社だが、今回のプロジェクトではパートナーの清水建設のオフィス内で、従業員のオフィスに最適化されたBGMを再生する。三菱地所とは、NianticのAR技術を活用し、東京・丸の内の「感性マップ」を作成し、誘客・回遊を生み出すためのコンテンツを作成する。

丸の内では、メタバースと感性マップを使って街の感性を可視化し、人の回遊性を高める

丸の内では、メタバースと感性マップを使って街の感性を可視化し、人の回遊性を高める

NiantecのAR技術を使った街クエストを開発してゲーム性も備えるサービスにする計画

NiantecのAR技術を使った街クエストを開発してゲーム性も備えるサービスにする計画

オフィスの感性マップを作成し、感性に合う環境で仕事をすることで、新たな価値の創出を狙う

オフィスの感性マップを作成し、感性に合う環境で仕事をすることで、新たな価値の創出を狙う

Placyの鈴木綜真氏

Placyの鈴木綜真氏