社会課題解決ビジネス創出プログラム「SENDAI NEW PUBLIC」デモデーが3月25日に開催

宮城県仙台市とベンチャーキャピタル(VC)のサムライインキュベートは3月15日、社会課題解決ビジネス創出プログラム「SENDAI NEW PUBLIC」のデモデーをオンライン開催すると発表した。開催日時は3月25日午前10時から午後1時(予定)。参加費は無料。プログラム採択者7名が事業事案を発表した後、審査の上優秀者には賞が贈られる。

SENDAI NEW PUBLICは、仙台市が取り組む「起業家を生み育てるエコシステム構築」の一環として、SDGsの達成につながる行政課題や地域課題の解決を目標に、採択された起業家やスタートアップの事業案の具現化を支援するプログラムだ。技術シーズを持つ研究者やスタートアップ企業について、「事業計画のブラッシュアップ」や「事業コンセプトの創出」「ニーズ検証」を支援するという。

またデモデー開催に合わせ、科学技術振興機構(JST)が運営する社会還元加速プログラム(SCORE)の一環として、事業アイデアのレクチャー、ワークショップ、相談会を行う「事業化人材発掘キャラバン」も実施される(こちらはオフライン開催)。

「SENDAI NEW PUBLIC」デモデー概要

  • 開催日:2022年3月25日
  • 開催時間:10時から13時(予定)
  • 開催場所:オンライン
  • 参加対象者:採択者の事業アイデアや技術に関心のある大手企業、中小企業、VC、自治体、大学の研究者
  • 参加費:無料
  • 申し込みhttps://snp2022.peatix.com/

成果発表者7名と発表テーマ(登壇予定順)

  • 菅野恵美氏
    所属:東北大学大学院 医学系研究科看護アセスメント学分野准教授
    発表内容:ナノ型乳酸菌を用いた生理痛緩和製品の開発
  • 酒井正夫氏
    所属:ゼロワ取締役CTO / 東北大学データ科学・AI教育研究センター准教授
    発表内容:地域の「活性化」と「スマート化」のための市民アクティビティ「視える化」サービス
  • 関口雄介氏
    所属:東北大学病院 理学療法士
    発表内容:リハビリテーションの質向上を目指す歩行診断AI
  • 金子萌氏
    所属:想ひ人代表取締役
    発表内容:ケアラー負荷軽減サービス
  • 松尾歩氏
    所属:東北大学大学院 農学研究科助教
    発表内容:DNA解析を活用した食品のトレーサビリティシステムの構築
  • 伊藤暁彦氏
    所属:横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授
    発表内容:レーザーCVD技術を活用した薄膜セラミックス単結晶成長
  • 萩原嘉廣氏
    所属:東北大学大学院医学系研究科スポーツ・運動機能再建医学寄附講座准教授
    発表内容:カスタム型骨折用プレート製造

「事業化人材発掘キャラバン」概要

  • 開催日:2022年3月25日
  • 開催時間:13時30分~17時30分
  • 開催場所:スマートイノベーションラボ仙台
    (仙台市青葉区一番町2-8-1 NTT青葉通ビル東棟1F)
  • 参加対象者:自身の技術や研究成果を社会に役立てたい方
  • 参加費:無料
  • 応募ページ:https://snp-0325-1330.peatix.com/

東京都の5Gイノベーション街中実装・事業化アクセラレータープログラムにYper・サイトセンシング・シナスタジア・Placyが採択

GO BEYOND DIMENSIONS TOKYOに採択された4社とその街中実装パートナー各社の代表

GO BEYOND DIMENSIONS TOKYOに採択された4社とその街中実装パートナー各社の代表

東京都の「5G技術活用型開発等促進事業(Tokyo 5G Boosters Project)」において、スタートアップ支援の開発プロモーターとして採択されたサムライインキュベートは、5Gを活用したサービスなどの街中実装や事業化を支援するプログラム「GO BEYOND DIMENSIONS TOKYO」を実施している。

2月3日には、第1期として募集した中から4社が選定され、記者会見が開催された。採択されたのはYperサイトセンシングシナスタジアPlacyで、今後パートナーとなる大手企業や大学とともに、事業化を目指した実証実験などを行う。今夏には成果発表会も実施される予定だ。

採択された4社とその街中実装パートナー各社

採択された4社とその街中実装パートナー各社

夏までには一定の成果を上げ、発表を行う予定

夏までには一定の成果を上げ、発表を行う予定

東京都は、Tokyo 5G Boosters Projectとして20201年度から支援事業を開始。都が選定した「開発プロモーター」が主導してスタートアップなどの開発・事業化を支援するなどして、東京都が抱える課題を、5Gを活用することで解決しようという試みだ。2021年度にその1社に選定されたサムライインキュベートがオーガナイザーとして募集したのが今回のプログラムとなる。

サムライインキュベートのDirector Enterprise Groupの山中良太氏は、「5G普及による将来ビジョンは、AI・データ活用のケータイ化」と指摘。これはAIやデータ活用が「誰もが手軽に、いつでも利用できる」(山中氏)という意味だという。

例えば自動配送ロボットは、超高性能センサーや超高性能プロセッサを搭載するため、1大300~500万円とコスト高になる。しかし、5Gの特徴である高速・大容量、低遅延、多数接続といったメリットを生かし、クラウド側でデータを処理することでコスト低減に繋がる。これによって「サービスやソリューションが一気呵成に普及する可能性を秘めている」と山中氏。

5Gが目指す将来ビジョンとして、山中氏はエッジのシンクライアント化によるコスト低減などにより、AI・データ活用のケータイ化が起きる、としている

5Gが目指す将来ビジョンとして、山中氏はエッジのシンクライアント化によるコスト低減などにより、AI・データ活用のケータイ化が起きる、としている

これによって、自動運転車、ドローン配送、遠隔手術、xRといった社会課題を解決できるようになる。そんなポテンシャルを秘めていると山中氏は強調する。そうした世界を実現するために、スタートアップと街中実装パートナーによるタッグで、より確実に開発が進められることを狙ったのが今回のプロジェクトだ。

サムライインキュベートの山中良太氏

サムライインキュベートの山中良太氏

5Gの真価が現れる5G SAサービスが順次開始される2022年を「AI・データ活用元年」(山中氏)として、プロジェクトを推進し、実用化に繋げていきたいと意欲を見せていた。

「5G遠隔操作・監視でどこからでも配達員になれる自律走行ロボット」

採択されたYperは、もともと置き配バッグ「OKIPPA」を提供していたスタートアップ。物流のラストマイル配送を効率化するとしてOKIPPAを開発したが、加えて新たに開発しているのが自動配送ロボットの「LOMBY」だ。

OKIPPAのYperが開発している自動配送ロボットLOMBYが採択

OKIPPAのYperが開発している自動配送ロボットLOMBYが採択

Eコマースなどの通信販売やフードデリバリー、フリマアプリといったサービスの拡大で、「ラストマイル配送」の市場規模は2.5兆円に達していると同社代表取締役の内山智晴氏は指摘。宅配物の取扱量も2020年の約45億個から35年には88億個まで拡大すると予測されているが、国内労働人口は逆に約6400万人から5587万人に減少するとみられている。

宅配物の取扱量が急拡大するのに対して、労働人口が減少し、配達員が不足する懸念がある

宅配物の取扱量が急拡大するのに対して、労働人口が減少し、配達員が不足する懸念がある

結果として、物流は伸びても配送するための人員が不足することが懸念されており、「このギャップをどう埋めるか」(内山氏)ということから、今回の配送ロボットが開発されているという。

遠隔からロボットを操作することで、効率よく非対面の配送が可能になる

遠隔からロボットを操作することで、効率よく非対面の配送が可能になる

街中実装パートナーとしてJR東日本都市開発、東京都立大学、三菱地所が参画。飲食店からマンションへフードデリバリーをする実験や、都立大キャンパスでの宅配物配送や構内のフードデリバリー、東京の2つのビルにおける商業ビル内外での商品配送といった実験を計画している。

例えばフードデリバリーでは、店舗から300mほど離れたマンションへ遠隔操作で配達する

例えばフードデリバリーでは、店舗から300mほど離れたマンションへ遠隔操作で配達する

例えばフードデリバリーでは、店舗から300mほど離れたマンションへ遠隔操作で配達する

公道での配送においては、今後の法改正や警察などとの協議も必要になるが、5Gを使った映像伝送によって周囲を確認しながらの遠隔操作が可能。内山氏も、「遠隔操作では比較的技術的な課題が少ない」と話す。実証実験によって、それぞれの環境での商用利用ではどういった課題があるかを見極め、それをクリアしていきたい考えだ。

実験のプラン

実験のプラン

Yperの内山智晴氏

Yperの内山智晴氏

「減災初期対応に必要な災害時の被災状況のドローン生中継サービス」

産業技術研究所発のスタートアップであるサイトセンシングは、GPSなどの衛星測位システムの電波が届かないような地下、屋内、悪天候化の屋外などでも自律飛行ができるドローンを開発している。

サイドセンシングのドローン(画像中央)。屋内でGPS信号が届かなくても自律飛行が可能で、自動で撮影した画像を使って3Dモデルを作成する、といった開発が行われている

サイドセンシングのドローン(画像中央)。屋内でGPS信号が届かなくても自律飛行が可能で、自動で撮影した画像を使って3Dモデルを作成する、といった開発が行われている

サイドセンシングのドローン(画像中央)。屋内でGPS信号が届かなくても自律飛行が可能で、自動で撮影した画像を使って3Dモデルを作成する、といった開発が行われている

同社のドローンは、「移動体の動きにおける加速度の変化を積分して自己位置を求め、映像を使わずに自律航行ができる」(同社代表取締役の平林隆氏)という仕組みで、外部からの電波が不要で、映像も使わないので処理が軽く高速な位置測定が可能だという。

被災状況のリアルタイム把握を行うなど、様々な現場で活用できるとしている

被災状況のリアルタイム把握を行うなど、様々な現場で活用できるとしている

高精細映像が撮影できることで、そのデータを活用したサービスとの連携も可能になるとしている

高精細映像が撮影できることで、そのデータを活用したサービスとの連携も可能になるとしている

災害時にもいち早く現場で活動でき、現場の状況を素早く伝送できることにフォーカスしているそうで、その映像の伝送のために高速・大容量の5Gを生かす。ドローンからの映像を元に、災害時の避難民の数を数えたり、河川の決壊危険個所を映像から推定したり、といった外部のサービスとの連携において、映像がより高精細であるほど精度が高まるため、4Kや8Kの高精細映像を伝送できるよう、今回のプロジェクトで取り組む。

まずは開発の第1フェーズとして、小型のプロトタイプのドローンを開発。都立大のキャンパス内で自律飛行と撮影をして、5Gで映像を伝送する実験を行う。来年には大型ドローンで同様の実験を行い、24年3月には実用化に繋げたい考えだ。

今後のプラン

今後のプラン

サイドセンシングの平林隆氏

サイドセンシングの平林隆氏

「5Gによる大量普及型XR顧客体験価値向上サービス」

観光バスに乗り込んだ乗客がVRゴーグルを装着し、観光地の実際の景色と映像を組み合わせたXR周遊観光サービスなどを提供しているシナスタジアは、5Gによって機材の低コスト化と高リッチ化を実現して、サービス拡大に繋げたい考え。

VRゴーグルとリアルの観光を組み合わせたXR周遊観光サービス

VRゴーグルとリアルの観光を組み合わせたXR周遊観光サービス

現在は、京急電鉄の横浜バスツアーで導入されているがVRゴーグルに加えて処理するためのPCとバッテリーが必要で、バス1台に付き約2000万円のコストが掛かっているという。これを5Gの高速・低遅延の特徴を生かし、ネットワーク側でXR処理を行い、VRゴーグルに配信する仕組みによって、1台に付き400万円という大幅なコスト削減が可能になるという。

コストの重さが課題だったが、5Gの活用でシンクライアント化して安価に抑える

コストの重さが課題だったが、5Gの活用でシンクライアント化して安価に抑える

現在の仕組みでも、1人あたり4000円のチケットが即日完売で、利用者からも好評だという。ただ、オープントップバス1台で運用しており、これをさらに広げようとするには、現状の仕組みでは高コストだと京急側も判断。

それに対して、5Gを使ってデバイスをシンクライアント化することで、コストを削減し、今後はスマートフォン上でもXRコンテンツを配信できるようになり、幅広い環境にサービスが提供できるようになると期待する。

シナスタジアの代表取締役・有年亮博氏は、今回のプロジェクトを踏まえ、「来年度に実サービスを開発する」考えだ。

シナスタジアの有年亮介氏

シナスタジアの有年亮介氏

「オフィスにおける創造・共創を誘発するリアルワールド・メタバースサービス」「人と都市とのリアルなつながり・交流を創出するリアルワールド・メタバースサービス」

4社目のPlacyは、音楽を通じた感性解析AIを開発するスタートアップ。人の感性を推定するために音楽を活用すると精度が高くなることが「研究レベルでは出ている」と同社の代表取締役社長の鈴木綜真氏。Spotifyは、SNSで取得されるデータよりも音楽から得られたデータの方がより高精度にパーソナリティの推定が可能だとしているそうだ。

場所に対して音楽を投稿し、投稿された音楽を聴いて自分の感性と合う場所を見つける、という感性マップを提供している

場所に対して音楽を投稿し、投稿された音楽を聴いて自分の感性と合う場所を見つける、という感性マップを提供している

今回のプロジェクトでは「感性」という観点から街やオフィスの魅力を高めるサービスを開発する

今回のプロジェクトでは「感性」という観点から街やオフィスの魅力を高めるサービスを開発する

こうした視点を応用してその人と感性の合う街を紹介するといったサービスを展開してきた同社だが、今回のプロジェクトではパートナーの清水建設のオフィス内で、従業員のオフィスに最適化されたBGMを再生する。三菱地所とは、NianticのAR技術を活用し、東京・丸の内の「感性マップ」を作成し、誘客・回遊を生み出すためのコンテンツを作成する。

丸の内では、メタバースと感性マップを使って街の感性を可視化し、人の回遊性を高める

丸の内では、メタバースと感性マップを使って街の感性を可視化し、人の回遊性を高める

NiantecのAR技術を使った街クエストを開発してゲーム性も備えるサービスにする計画

NiantecのAR技術を使った街クエストを開発してゲーム性も備えるサービスにする計画

オフィスの感性マップを作成し、感性に合う環境で仕事をすることで、新たな価値の創出を狙う

オフィスの感性マップを作成し、感性に合う環境で仕事をすることで、新たな価値の創出を狙う

Placyの鈴木綜真氏

Placyの鈴木綜真氏

アカデミアの技術・研究成果の事業化を目指しサムライインキュベートが東北限定「事業化人材発掘大学キャラバン」開催

サムライインキュベートは1月27日、アカデミア発の事業化人材発掘や支援を目的として、東北エリアにある4大学の5カ所を東北エリア限定「事業化人材発掘大学キャラバン」として訪問することを発表した。各大学にて事業アイデアのレクチャー、ワークショップ、相談会を開催する。

東北エリア限定「事業化人材発掘大学キャラバン」開催スケジュール日程

  • 2月28日:新潟県 長岡技術科学大学
  • 3月7日:宮城県 東北大学(青葉山キャンパス)
  • 3月8日:宮城県 東北大学(片平キャンパス)
  • 3月9日:岩手県 岩手大学
  • 3月11日:青森県 弘前大学

同プログラムは、東北大学を主管機関とする「東北地域 大学発ベンチャー共創プラットフォーム」が採択された「JST社会還元加速プログラム(SCORE)事業の一環。イノベーションやスタートアップの支援を行ってきたサムライインキュベートが、東北4大学5エリアを訪問。アカデミアで研究開発に取り組んできた人々を対象に、事業アイデアの考え方レクチャーやワークショップ、個別相談会を実施する。自身の技術や研究成果を「社会実装したいものの方法がわからない」といった悩みなども含め、各々に応じた壁打ち相談が可能という。

サムライインキュベートは、これまでのイノベーションがソフトウェアドリブンによる情報革新だったものに対し、高度化によりデジタルとアナログの融合が求められるようになり、研究開発のシーズを基にした「ディープテック」が今後のイノベーションには不可欠だと考えているという。

また、ディープテックは仕組みを抜本的に変えて課題解決を図るため、研究と試行を積み重ねる必要があると指摘。その際、地方が「事業開発の場」として価値を発揮し、地方でのイノベーションエコシステム拡大を図ることが必要としている。さらに、地方で起業するスタートアップが増えることでイノベーションエコシステムの構築に寄与するため、本質的な社会課題解決を目指すには、地方で研究開発型のスタートアップを起こすことが重要だと捉えているという。

ヘリコプターシェアのAirXと京急電鉄が資本業務提携、空の交通を推進し「空の駅」設置・eVTOL商用化など検討

京浜急行電鉄(京急)と、空の交通デジタルプラットフォームを開発するテック企業AirXサムライインキュベートは10月27日、資本業務提携を発表した。3社は今後、東京、船橋、横浜地区と三浦半島を結ぶヘリコーター路線の開設やヘリポートの運営などにより、新たな観光の創出を図るとしている。

長中期的には、京急が「成長トライアングルゾーン」と位置づける地域の拠点となる、品川・羽田・横浜にスカイポート(空の駅)の設置、いわゆる空飛ぶクルマ(eVTOL)の商用化の検討も進め、観光だけでなく、移動手段としての空の足を形作るという。

三浦半島におけるヘリコプター運航事業

時期は2021~23年度とし、三浦半島に常設ヘリポートを設置。他エリアのヘリポートとの新規路線を開設する。現在は、東京、船橋、横浜と三浦半島を結ぶ路線を想定。三浦半島遊覧飛行や、三浦半島観光施設へのヘリコプターでの送迎付き宿泊プランの開発も行う。

「成長トライアングルゾーン」スカイポート設置

時期は2023~25年度とし、品川、羽田、横浜地区に、規制緩和を見据えてスカイポートの設置を検討する。

空飛ぶクルマ(eVTOL)商用化

時期は2025年度以降とし、上記事業にeVTOLの導入を検討する。

京急とサムライインキュベートは、「モビリティを軸とした豊かなライフスタイルの創出」を目指したスタートアップ支援プログラム「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」(京急アクセラレータープログラム)に取り組んでろい、AirXは、2019年度に実施した第2期の採択企業にあたる。今回の資本業務提携は、このプログラムを通じて実施された。

日本のVC「サムライインキュベート」がアフリカのスタートアップ向けに20億円超のファンドを組成完了

東京拠点のベンチャーキャピタルであるSamurai Incubate(サムライインキュベート)が「Samurai Africa Fund 2号」の組成を完了し、総額20億2600万円を集めたことを4月15日に発表した。

同社によると、目標額20億円のファンドには募集枠以上の応募があり、総勢54名の投資家がLP(有限責任組合員)として出資した。注目すべきLPの1つが豊田通商株式会社で、アフリカ大陸全体に多様なネットワークを持っている。同社はコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)のMobility 54を設立し、アフリカの輸送、物流、フィンテックのスタートアップへの投資を計画している。

榊原健太郎氏は2018年にSamurai Incubateを設立し、子会社のLeapfrog Venturesを立ち上げてアフリカへの投資を開始した。Samurai Incubateは新たな子会社を通じて2018年8月以来、アフリカのスタートアップ20社に250万ドル(約2億7000万円)出資した。そして2019年6月、Leapfrogの社名をSamurai Incubate Africaに変更した。

「当社は一貫してファウンダーへの価値提案を最大化するという経営方針の改善と最適化に注力してきました。しかし、いつも完璧だったわけではありません。私たちがもたらす価値は、資金や日本の投資家や企業へのアクセス以上のものであるべきだと信じています」と同社は声明で語った。

セクター無依存のファンドを提供するSamurai Incubate Africaはすでに26社に投資している。今回の第2号ファンドの投資先には、テック利用ホームサービスのスタートアップであるEden Life、オンライン融資マーケットプレイスのEvolve Credit、エネルギー・スタートアップのShyft Power Solutions、自動車レンタル向け少額融資サービスのFMG、貨物輸送会社のOneport、およびオンライン食料品プラットフォームのPricepallyら6社が含まれている。

Samuraiの会社の多くはアフリカの3つの国、ケニア、ナイジェリア、南アフリカにある。しかし、今後はそれが変わる。マネージングパートナーの米山怜奈氏によると、Samurai Incubate Africaは対象国にエジプトを加える予定だ。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

2018年以来、エジプトにおけるエコシステムの成長は目覚ましく、人材、スタートアップ、および地元投資家を猛烈なスピードで生み出している。Samurai Incubate Africaにとって、この成長に目をつけるのは当然であり、エジプトが加わることで、同社はアフリカ大陸のトップスタートアップエコシステムであるBig Fourすべてでスタートアップを持つことになる。

「エジプトのスタートアップエコシステムと経済は急速に拡大しており、この国には数多くの才能あるファウンダーと偉大な投資家がいることを知っています」と米山氏がTechCrunchに話した。「すでにエジプトのスタートアップ1社への投資を決めており、絶対に後悔しないことがわかっています」。

2020年にSamuraiが最初にこのファンドを発表した時、出資規模は5万ドル(約540万円)から50万ドル(約5400万円)だった。プレシードからシードラウンドまで、スタートアップは20万ドル(約2200万円)以下を獲得する。プレシリーズAとシリーズAラウンドでも50万ドル以下だった。しかしファンドの組成完了後は、投資金額を80万ドル(約8700万円)へと拡大する。

「投資先企業のプレシリーズAとシリーズAを既存出資者として支援するつもりです。そのために、投資額を企業の最近ラウンド規模と評価額に応じて増やすほうがいいと考えました」と米山氏は説明した。

セクター無依存ではあるが、同社が特に力を入れているのはフィンテック、インシュアテック、流通、医療健康、消費者、コマース、エネルギー、アグリテック、モビリティー、エンターテインメントだ。

日本のVCは、プレシードとシードステージの新規企業30~40社に加えて、投資先企業7~10社のプレシリーズAとシリーズAラウンドにも参加する計画だ。Samurai Incubateは、Kepple AfricaやUncovered Fundなどと並ぶ、日本で増えつつあるアフリカのスタートアップを対象としたVCの1つだ。

関連記事:日本のUncovered Fundがアフリカのアーリーステージ企業向けに15億円超のファンドを設立

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Samurai Incubate日本東京アフリカエジプト

画像クレジット:Samurai Incubate

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nob Takahashi / facebook