大阪地震、シェアサイクルを無料開放。HELLO CYCLINGが発表

eng-logo-2015シェアサイクルサービスの「HELLO CYCLING」は6月18日、阪神地区の11箇所の駐輪ステーションにおいて、自転車の利用を無料化したと発表しました。大阪府北部で震度6弱を観測した地震被害への支援処置としています。

地震が発生した6月18日8時頃から無料を適用し、終了日は未定。地震発生後にすでに乗車しているユーザーに対しても、遡って適用するとしています。

対象となるステーションは下記のとおりです。

・阪神西九条駅東棟B駐輪場(大阪府 大阪市此花区西九条3丁目15-13)
・阪神福駅前A駐輪場(大阪府 大阪市西淀川区福町3丁目52-1)
・阪神御影駐輪場(兵庫県 神戸市東灘区御影本町2丁目)
・阪神杭瀬西第2駐輪場(兵庫県 尼崎市杭瀬本町3丁目36-1)
・阪神千鳥橋駅前広場駐輪場(大阪府 大阪市此花区四貫島1丁目1-4)
・阪神尼崎駅南口(兵庫県 尼崎市東御園町93番地)
・阪神尼崎センタープール前駐輪場(兵庫県 兵庫県尼崎市水明町373-6)
・阪神尼崎駅西 アマスタアマセン高架下駐輪場(兵庫県 尼崎市神田中通2丁目27-47)
・阪神甲子園西駐輪場(兵庫県 西宮市甲子園浦風町100番地)
・阪神西宮東駐輪場(兵庫県 西宮市六湛寺町135番地)
・阪神西宮西駐輪場(兵庫県 西宮市産所町88番地)

なお利用にはアカウント登録が必要。駐機ステーションにある自転車の数には限りがあるとしています。

「HELLO CYCLING」は、ヤフー子会社のZコーポレーションが出資するOpenStreetが運営するシェアサイクルサービス。全国の主要都市や観光地などで駐輪ステーションを提供しています。

Engadget 日本版からの転載。

自然に会話できるAI開発のSELFが東京理科大VCとエイベックスから2.5億円を調達

対話型AI開発を行うスタートアップのSELFは6月18日、東京理科大学ベンチャーファンドとエイベックスを引受先とした第三者割当増資により、2億5000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

SELFが開発するのは、自動で理解と推測を行い、自然な会話を進めることができるAI会話エンジンだ。ボットや自然言語処理開発者によって開発されたこのシステムは、ユーザーと会話した内容をもとに情報を記憶。これをリアルタイムに応用して新しい情報を提示する。ユーザーとAIとの掛け合い、コミュニケーションがより自然に行えるという。

SELFのAIエンジンでは、単層的なレコメンドサービスやボットサービスと違い、ユーザーから得られたさまざまな情報を各要素へ分解した上で、総合的に会話と情報提示へ結びつける。同社が独自に開発した30万近い会話のライブラリーから、システムが自動で適した会話を選択して、ユーザーとのコミュニケーションを成立させる。

現在同社では、このAIエンジンを活用して、自動でセールスや接客を行う企業向けのマーケティングソリューションや、ユーザーとの会話でグルメやニュースの提案や性格診断ができる個人向けAIアプリ「SELF」を提供している。

SELFでは、今回の資金調達は出資元との実践的なシナジーを見込んだ業務提携を目的としたものと説明している。

東京理科大学とは今回の資金調達後、学生生活をサポートする新規サービスの開発や共同研究、新規技術開発など、サービス面・技術面・人材面での総合的な提携を目指す。

エイベックスには、まずはエイベックスグループが運営するアーティスト育成スクールに、サービスナビゲーション型AIの導入を行う予定だ。AIが会員や入会希望者向けの情報提供を行うことで、サービスの利用促進を目指す。また、今後エイベックスが保有する、音楽コンテンツやエンタテインメントコンテンツに関わるサービスへのAI導入、アーティストやアニメキャラクターのAI化なども進めていくという。

調達資金については、AIエンジンの開発とサービス拡充に充てていくということだ。

仮想通貨取引所向けウォレットのスタンダード目指すフレセッツ、UTECとセレスから約3.5億円を調達

仮想通貨やブロックチェーン技術の研究開発を行うフレセッツは6月18日、UTEC(東京大学エッジキャピタル)およびセレスを引受先とした第三者割当増資により総額3億4900万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回調達した資金をもとにエンジニアの採用など組織体制を強化する方針。近日公開予定の事業者向けウォレット管理システム「Bitshield」の開発を進めるほか、マーケティング活動への投資も行う。

フレセッツは2017年8月の設立。同年9月にセレスとストーンシステムから約2300万円、2018年3月にも同じくセレスとULSグループから約3500万円を調達している。

社内に専門家がいなくても導入できるウォレット

フレセッツが現在開発しているのは、複数のホットウォレットとコールドウォレットをそれぞれマルチシグで複合利用できる事業者向け(仮想通貨取引所向け)のウォレットだ。

「コールドウォレット(ネットワークに接続されていない環境に秘密鍵を保存したウォレット)」や「マルチシグ(送金に必要な秘密鍵を分割し複数管理することでセキュリティを高める技術)」については1月にコインチェックからNEMが流出した騒動で取り上げられたこともあり、仮想通貨を保有していない人であっても聞き覚えがあるキーワードかもしれない。

この1件の影響もあり、金融庁では仮想通貨交換業者への一斉検査を実施。複数の事業者が行政処分の対象となり、一時は16社あったみなし業者も半数以上が登録申請を取り下げている。

こういった背景からすでに仮想通貨交換業に参入している事業者やこれから参入を目指している事業者は、これまで以上にセキュリティ面に配慮する必要がでてきた。特に安全性と利便性を兼ね備えたウォレットの整備は急務だ。

今までウォレットと言えば一般ユーザー向けのものが複数登場する一方で、事業者向けのものはアメリカの「BitGo」などほんのわずか。このBitGOでさえもAPI利用が前提となるため、コンプライアンス面がネックになる場合もあるという。

フレセッツのBitshieldはそのような事業者の課題を解決すべく、ウォレットの組み合わせやマルチシグによる運用管理をはじめとした機能により安全面を担保。それと同時に可用性やスケーラビリティを実現することを目指したものだ。

Bitshieldでは根幹となる標準化されたモジュールと、顧客ごとにカスタマイズできるモジュールを明確に分割。社内に高度な知識やスキルを持つ専門家がいない事業者でも、社内の内部統制基準に合わせて導入できることが特徴だ。技術面のアップグレードや、将来的に金融庁から新たな要望があった場合にも対応できるように設計しているという。

利用料金は初期費用と月額の利用料。BitGoのように出金額の一定割合(0.25%)が手数料となる仕組みではなく、取引額の大きい取引所でも使いやすい形で提供する。

まずは近日中にビットコイン向けのウォレットをリリースする計画で、年内を目処にイーサリアムなどほかの通貨への対応を目指す。

事業者向けウォレットのデファクトスタンダードを目指す

フレセッツの代表取締役社長を務める日向理彦氏は、東京大学の博士課程在学中にビットコインと出会ったことをきっかけに、モナコインの取引所の開発・運営を始めビットコイン決済のできるECサービスや、Twitter上でビットコインを送金できるサービスなどを開発してきた。

並行して専門家向け、初心者向けに仮想通貨関連の勉強会をかれこれ約2年に渡って運営。エンジニアとしてプロダクトを開発するだけでなく、ナレッジの提供や情報発信なども積極的に行っている。

フレセッツ創業のきっかけとなったのは、2017年4月の改正資金決済法の施行が決まった2016年の秋頃。これを機に仮想通貨交換業への参入を決める企業が一気に出てきた中で、上述したようなウォレットの問題が発生し、日向氏のもとに相談が寄せられたのだという。

共同創業者である余語邦彦氏とともにいくつかの事業者を回り、事業者向けウォレットのニーズを確認。8月にフレセッツを創業しBitshieldの開発を始めた。

2人の話では「社内に専門的な技術者がいない事業者が仮想通貨交換業に参入するのは日本がはじめてのこと」で、そこに海外展開も含めて大きなチャンスがあるという。まずは事業者向けウォレットのデファクトスタンダードを目指しつつ、ゆくゆくはウォレット以外にも同社の仮想通貨・ブロックチェーン技術を活用したプロダクトを開発する予定だ。

レシート買取アプリ「ONE」がDMM AUTOと連携し再開、ガソリンスタンドのレシートを最大100円で買取へ

6月12日のサービスリリース直後から注目を集め、結果的には当日中にレシートの買取をストップすることになったレシート買取アプリ「ONE」。そのONEが少し形を変えてサービスを再開するようだ。

運営元のワンファイナンシャルは6月18日、クルマの即時買い取りサービス「DMM AUTO」と連携し、ガソリンスタンドのレシートの買取を始めることを明らかにした。

サービスの使い方に関しては大きな変更点はなく、ガソリンスタンドのレシートを撮影するだけ。ただリリース時と違うのは、買取の対象となるレシートが1ユーザー1枚までになったことと、買取価格が1枚あたり30円~100円で変動するようになったこと(リリース時は1ユーザー1日10枚まで、買取価格は一律10円だった)。またワンファイナンシャルが買い取るレシートの総数にも上限がある。

同社によると「ビジネスモデルを広告モデルに転換」し、その第一弾としてDMM AUTOが出稿した形になるとのこと。今回買取を再開するのはガソリンスタンドのレシートのみで、もともとのレシートを1枚10円で買い取る方式については再開を検討中だという。

買い取ったレシートに車両番号など車体を識別する情報があった場合には当該情報を収集又は分析の対象とせず、第三者への提供も行わない方針。合わせて「DMMに対してレシート画像や店員情報など、個人を特定する情報の開示や譲渡は一切致しません」としている(個人が特定できないよう加工してレシート画像を譲渡する可能性はある)。

また再開にあたってユーザーから要望の多かった本人確認書類提出を廃止。ただしこれについても今後買取する商品によっては法的な観点から提出を必須とする可能性があるという。

今回ONEが連携するのはDMMのサービス。過去には買取アプリのCASHがDMMの子会社となった例もあるので、もしかしたらと想像する人も多いかもしれないが「今回は特に出資や買収ではなくあくまでサービス間の連携(広告の出稿)」とのことだ。

Atomsは、究極のフィット感を提供するミニマリズムのスニーカー

Atomsは1/4刻みのサイズを揃えたスニーカーだ。私はこの2ヶ月間毎日Atomsを履いている。これはセミフォーマルな場面でも使える初めてのスニーカーでありながら、何時間歩いても快適で、ハイキングにも行ける。

Atomsが届ける最新のフットウェア体験のしくみはこうだ。

  • サイズを1/4単位でたとえば10.25を選ぶ。するとAtomsは10s、10.25s、10.5sの3足と靴下を送ってくる。
  • 試しに履いてみて、気に入ったペアを選ぶ。左右別々のサイズでもいい。残りは送り返す。
  • ロゴはついていない。Atomのカラーはジェットブラック、ピュアホワイト、または上が黒下が白の3種類で、あなたの足に広告を載せない。
  • 編み込まれた銅の糸が細菌を防ぎ防臭する。
  • 伸縮性の靴紐と楕円形の紐通し穴のおかげで、Atomは紐をほどかずに履くことができ、めったに紐を占める必要がない。
  • 古いAtomsを分析と寄付のために送り返すと、次の一足がディスカウントされる。

Image via Jeff Macke

179ドルのAtomは、100ドルのNikeや79ドルのAllbirdより高価だ。しかしバスケットボールシューズの巨人は1/2サイズ刻み、Allbirdは整数サイズしかないのでぴったりと足に合う人は稀だ。左右それぞれの足によく合った1/4サイズの靴は、体と一体化しているように感じられる。

「より良い靴を作るためには、なぜ人は靴を履くのかを知る必要がある」とAtomsの共同ファウンダー、Waqas Aliが私に言った。「人は決して履くことのないファンシーなドレスシューズを買い、子供っぽいデザインとブランディングに失望する。私たちはAtomsを日々の生活で使うことを念頭に開発してきた。歩く、立つ、通勤する。消費者は人間であり広告塔ではない。だからロゴはつけない。

それでもAtomsはベータテスト中からバイラルに広まった。一番に欲しい人たち4000人が 予約待ちの行列に並んだ。米国でのAtomsの発売は今年の夏だが、第一群の予約客たちは6月末から7月はじめに靴を手に入れる。

ビッグバン

Waqas AliとSidra Aliの夫婦ペアは、2012年にパキスタンのオカラでMarkhorという最初の靴の会社をスタートさせた。彼らは起業家にとって最大の特性ともいえる「好奇心」を武器に市場に挑戦した。先入観を捨て、世界中を回って人がどのように靴を履いているのかを調べた。「みんな『イタリアではみんな革靴を履いている』と思うかもしれないが、若者たちは皆スニーカーを履いていた」とWaqasは言う。

Kickstarterでプロジェクトを立ち上げたあと、Ali夫妻はシリコンバレーに来て、定評あるスタートアップアクセラレーター、Y Combinatorの2015年夏学期に参加した。

履き心地とスタイルがスニーカー購入の大きな決定要素だったので、ふたりはそこで差別化を図った。調査の結果70%以上の人たちが、左右の足で少なくとも1/4サイズ以上、7%以上が1/2サイズ違うことがわかった。だったらなぜ靴メーカーは1/4サイズを作らないのか?山ほどの種類の靴を作っているのに」とWaqasは言う。。

2つの基本方針が急遽一致した。男女兼用のモデルを1種類だけ限られたカラーでデザインすることで余分な布地や型紙を排除し、1/4刻みのサイズを作ることができる。事実、顧客の35%は左右で別のサイズを選んだ。こうしたブレークスルーによって、56万ドルのシード資金を元LinkedInのグロース責任者Aatif AwanとShrug Capitalから調達した。

しかしAtomsはシリコンバレーのシューズというラベル付を避けようと決意をした。プログラマーたちではなく、画家やグラフィックデザイナーのようなクリエイティブタイプの人たちにアーリーアダプターになって欲しいと考えている。目標は、コック長が一晩中履いても痛くならず、それでいてシックなダイニングルームに自信を持って立ち入れるエレガントなスニーカーを作ることだ。

フットウェアの未来

「市場にある履き心地の良い靴のほとんどが、心地よいのは試着したときだけだ」とWaqasは嘆く。別の靴スタートアップであるAllbirdsを見てみよう。超ソフトなウール製で、最初の何歩かはまるで雲のスリッパを履いているように感じる。しかし10ブロックも歩くと、曲がりやすい靴底はあまり足を保護していてないことがわかる。

そこでAtomsは靴ビジネス18年のベテランでポートランドと韓国でAdidasとPumaに勤めていたSangmin Leeを雇った。彼は大量の試作品を作り、その結果生まれたのが堅牢だが軽く、滑り止めと軽量化のための切れ込みの入った靴底だった。一方靴上部に使われている丈夫なメッシュ素材は通気性を保ちつつ形状を維持し、汚れにくい。

Image via Adam Bain

「靴メーカーは持続可能な材料を使っていると言うが、工場に履いていくとバラバラになってしまう」とSidraが私に言った。われわれの靴が環境の優しいのは、長持ちするからだ」とWawasが笑いながら言った。

現在Atomsは、購入者を永久利用者に変えるためのコマース・イノベーションを起こそうとしている。インソールに特殊なパターンを印刷し、体重のかかる位置のパターンが消えるようにする。利用者がディスカウントを受けるために古い靴を送ってきたら、インソールのパターンを分析して将来のモデルの形状を改善するのに役立てようという考えだ。

大手靴メーカーがミニマリストの1/4サイズスニーカーに進出してきたときのために、顧客ロイヤリティーが必要だ。1スタイルでカラーも限られていることから、テイストに合わないという人も多いだろう。ジムに行くのにもスーツにも似合わないかもしれない。しかし、しかし、控えめで丈夫で余計なことを考える必要のない靴がほしい人にはAtomsは最適だ。

膨大な広告とリアル店舗の流通力によって大ブランドが支配する市場で、スタートアップが手がかりをつかむためには、迅速さと完璧な顧客体験に頼るほかはない。ライバルの靴スタートアップに感謝すべきなのは、「世界はNikeとAdidasだけが支配しているのではないことをAllbirdsが示した」ことだろう。。

幸いAtomsには、交換可能なスニーカーの世界で強力な差別化要因を持っていることだ。「1/4刻みのサイズなんてジョークかギミックだと思っていた。10.25sを試すまでは」とAirbnbのデザイナー、Bryce Danielがツイートした。「10.25がこんなにぴったりなのに10.5には戻れない」。個人的には、過去十年間に私の生活にここまで深く浸透したIT製品やスタートアップ製品は、AppleのAirPods以来だ。

「靴をハックする方法はない」とWaqasは結んだ。「良い靴を作るしかない」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Instagram、「使いすぎ警告」ツール導入へ――有力企業各社もネット中毒対策に乗り出す

身近にインスタ使いすぎのユーザーはいないだろうか? iOSとAndroidのダッシュボードには次のアップデートでアプリの利用時間を管理する機能が追加されるあるが、Facebook傘下のSNS、InstagramではこれをOSまかせにせず、アプリ内に使いすぎをチェックできる機能を追加しようとしている。先月、TechCrunchはInstagramの Usage Insights機能について報じたが、同社のCEO、Kevin Systromはこれを近く一般公開する予定だと確認した。

Systromはわれわれの記事に触れたツイートで、「事実だ。 …われわれはインスタのユーザーがこのアプリ内で過ごす時間を知るツールを開発している。どんな時間も建設的かつ有意義に使われるべきだ。…ユーザーがアプリ内で過ごす時間がどれほどであるか理解することはユーザーにとって重要な情報だ。この点について率直になることはあらゆるテクノロジー企業の責務だ。われわれは問題を解決する側にいたい。私はこの問題をきわめて真剣にとらえている」と述べた。

この機能が実際にどういうものであるか、われわれはJane Manchun Wongのツイートで見ることができた。Android APKコードから新機能をいち早く探り出す優れた能力があるため、Wongは情報源として最近TechCrunchのお気に入りだ。Usage Insights機能は正式リリースまでにまだ修正される可能性はあるが、Wongのスクリーンショットで、このツールがおよそどういうもののであるかつかむことができる。Instagramでは「今のところ特に発表する情報はない」としてこのツールに関するコメントを避けた。

まだ一般公開されていないが、このUsage Insightsツールはアプリ内でユーザーが過ごした時間を1日単位で教えてくれる。ユーザーは利用時間の上限を設定でき、利用時間がそれを超えると警告の通知が行く。また通知の設定に対するショートカットが用意され、Instagramがうるさすぎないようにできる。またスクリーンショットではスライドして開くプロフィール・ページに新しいハンバーガーメニューのボタンが設置されている。これを開くと+Discover Peopleのオプションの下にUsage Insightsが表示される。

もちろん設定された利用時間上限を超えててもInstagramにログインできなくなるとかグレーアウトされて使えなくなるとかするわけではない。そんなことをすれば広告主の怒りを買うことになりビジネスに悪影響が出る。それでもOSのダッシュボードを開かねば利用時間がわからないのと比べて、ユーザーに直接通知されるというのは進歩だ。

InstagramはUsage Insightsをさらに厳格にすることでSNSとして正しいロールモデルを示すことができると思う。 たとえば、1日の上限に達したときに、一回だけ警告の通知をするのではなく、たとえば、15分ごとに警告するなどだ。アプリ内に常に警告フラグを表示してもよい。ユーザーは自分で決めた上限をオーバーしていることに常に気付かされることになる。

Instagramはユーザーが新しいフィードをすべて見てしまうと全部見ましたという注意を表示してそれ以上スクロールしないよう促す機能をすでに追加している。

他のアプリも利用時間に関してiOS 12のScreen TimeやAndroid PのDigital Wellbeingといったダッシュボード機能にまかせず、自ら利用時間の制限を強く推し進める方向で努力すべきだと思う。【略】

上のスクリーンショットは近く公開されるスマートフォンの利用時間を管理するツールで、左がiOS Screen Time、右がAndroid Digtal Wellbeingだ。The Vergeによれば、Instagramは世界でもっとも利用されているアプリの一つだという。これは同時にもっとも乱用されやすいことも意味する。友達の生活を羨み自分も対抗して何から何まで写真に撮って投稿したり、モデルの美しい体型を果てしなくスクロールしたり、とても有意義とはいえない時間の使い方をする「インスタ中毒」をよくみかける。Instagramはテキストを入力したりリンクを貼ったり送信先を指定したりする必要がほとんどない。Facebookでも延々と受動的に記事を読み続けるゾンビー的利用がもっとも危険性が高いという調査結果を発表している.

われわれは「注意力の奪い合い」という危機の中にいる。モバイル・アプリのビジネスモデルはアプリの利用時間を最大化することによって広告収入やアプリ内課金を最大化しようとする方向に動きやすい。しかしわれわれのポケットの中のデバイスでインターネットという底なしのブラックホールにユーザーの時間を飲み込んでいこうとする競争が行われることは望ましくない。人々の注意力を奪い、教育を妨害し、抑うつ状態を招く危険性がある。いわばスマートフォンの画面を眺めることで脳内麻薬が放出されるような状態だが、これには必ず反動がある。

Instagramその他のアプリで友達の生活をリアルタイムで眺めるのには交流を深めるメリットもある。しかし自分自身の生活を生きることととのバランスが大切だ。テクノロジーの有力企業がこのこの点について責任を果たそうとし始めたのは良いことだ。

画像:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

きっかけはクックパッドを支えた社内ツール、個人の情報発信をチームの力に変える「Kibela」が資金調達

「ものづくりを支える“いい道具”を提供することで、世の中からもっと良いサービスが生まれる。そんな循環を作っていきたい。イメージとしては大工さんが仕事で使う道具のようなもの。(周りからは)見えづらいけど、ものづくりをしっかりと支える存在」——そう話すのは、チーム向けの情報共有ツール「Kibela(キベラ)」を提供するビットジャーニー代表取締役の井原正博氏だ。

同社は6月18日、元クックパッドの社長で現在はオウチーノやみんなのウェディングで取締役会長を務める穐田誉輝氏から約5500万円を調達したことを明らかにした。

クックパッドの組織作りを支えた情報発信の文化

井原氏はもともとヤフーやクックパッドで開発部長や技術部長を担っていた人物だ。

特にクックパッドにはエンジニアが7〜8人のタイミングでジョイン。「日本で1番、イケてるエンジニアが働きたいと思う会社」を目標に技術力の向上やエンジニアの採用に従事し、開発チームが40〜50人規模になるまでを支えた。同社ではその後、人事副部長や新規事業の立ち上げなども担当している。

ビットジャーニー代表取締役の井原正博氏

そんな井原氏が自ら起業をして、社内情報共有サービスを開発するに至ったのは、クックパッドで使われていた社内ツール「Groupad」の影響が大きかったという。

「クックパッドではGroupadを通じてエンジニアに限らず社員みんなが積極的に情報発信をしていて、これが強い組織作りのひとつの源泉になっていた。あるメンバーの知見や経験、アイデアがほかのメンバーにもインプットされ、また新しいアイデアを生むきっかけになる。そんな良いサイクルが回っていたように思う」(井原氏)

自分が得たものを少しだけ頑張って社内へアウトプットすることで、他のメンバーの役に立てる。そんな効果があるのはもちろんだけど、実は発信者側にも大きなメリットがあるという。

「情報を発信すればするほど、周囲から『自分の得意なこと』を知ってもらえる。結果的に関連する情報や仕事が自分に集まり、さらに得意になり成果にもつながる。(この仕組みができれば)わかりやすく言えば、情報を発信することで給料もあがると考えている」(井原氏)

このような文化が他の組織にも広がっていけば、より良いものづくりが行われ、今よりもさらに良いサービスが増えていくのではないか。そんな思いからまずは井原氏1人でKibelaの開発を始めたそうだ。

そこから少しずつ体制を整え2016年5月にベータ版のティザーサイトを公開したところ、数百チームが登録。同年8月にベータ版を、2017年3月に正式版をリリースしている。

とにかく簡単でシンプルなインターフェースがウリ

少し背景が長くなってしまったけど、ここからはKibelaがどんなプロダクトなのかをもう少し詳しく紹介したい。

Kibelaは社内に蓄積しておきたいストック情報を発信、共有するためのツールだ。個人的なメモや考えを共有できるBlog(ブログ)と、複数人で情報の整理がしやすいWiki(ウィキ)の2種類のアウトプット方法を用意している。

発信の対象となるのは議事録や日報だけでなく、個人的な学びや気づきなど幅広い情報。部署ごとにグループをつくることで、情報が届く範囲をコントロールすることもできる。発信した情報が個人のプロフィールページにも蓄積されていくので、「各メンバーごとの得意分野や関心トピック」も周囲からわかりやすい。

チームの情報共有をサポートするサービスとしては、世界で広く使われている「Confluence(コンフルエンス)」のほか、国内発の「Qiita:Team」や「esa」などがある。

井原氏の話では世界のエンタープライズ向けのツールとしては現状Confluenceの一択であり、別の選択肢となれるようなサービスを目指したいということだった。サービスの特徴としては「技術的に何かしらの特許で支えられているわけではない」とした上で、今は使い勝手の違いが大きいという。

「前提として社員全員が使えないと意味がない。クックパッド出身者が多いということもあり、とにかく簡単で使いやすいインターフェースへのこだわりや、サービス開発に対する考え方は意外と真似できないのではないか。いかにUIを追加せずやりたいことができるかを追求する一方で、なんでもできるツールにはせず『こう使うといいのでは』という意思を込めている」(井原氏)

たとえばこういったツールでは一般的な機能のように思える、記事ごとのタグ機能はKibelaにはない。その理由は「探したい情報にたどり着きやすくするのが目的なのであれば、検索の精度をあげるなど別の手段もある。検索の場合はインターフェースを増やさずにすむので、よりシンプルに保てるから」(井原氏)だという。

試しに少し使ってみたのだけど、投稿画面も含め余計な機能が一切ないというか、他のツールではあるような機能も削ぎ落とされているように感じた。Confluence含め上述した3つのサービスは全て使ったことがあるが、確かに「それらにはない特別な機能がいくつもある」というわけではなさそうだ。

なおKibelaはユーザー数に応じて料金が変わる設計になっていて、5ユーザーまでは無料で使うことができる。

今後はエンタープライズ領域で拡大へ

現時点の導入企業はスタートアップ含めTech系の小規模なチームが多いというが、徐々に大きめの企業からの問い合わせが増えてきているという井原氏。これからの1年で売り方を固めつつ、より大規模な企業にも使われるサービスを目指していくという。

「今までコツコツと作ってきて、ようやくお金を払って使ってもらえるレベルになってきたのでここからアクセルを踏んでいく。(大規模な企業では)情報が属人的になってしまい、社内に共有するという文化がないところも多い。アウトプットをするのが日常的ではない人でも使いやすいサービスを通じて、情報共有の課題を解決していきたい」(井原氏)

ビットジャーニーでは今回調達した資金を通じて、開発やセールスなど人材採用を強化する方針。エンタープライズ向けの機能開発や事業推進、ネイティブアプリの開発などに取り組む。

安全な広告表示にAIを用いて積極的に取り組むCheqが500万ドルを調達

ブランドの安全担保と不正防止は、ここ数年にわたり広告業界の大きなトピックだった。CheqのCEOであるGuy Tytunovichは「広告検証のための第一世代のソリューション」は十分なものではなかったと主張する。

Tytunovichによるれば、既存製品の問題点は、広告主に対して「事後」に警告を行うことだという。クレジットカード詐欺の場合と比較してみよう。もしクレジットカード会社が詐欺が起こったずっと後に単に警告をするだけだとしたら、そのような種類のソリューションに満足することはできないだろう。

CheqのTytunovichと彼のチームは、人工知能を使って「自律的なブランドの安全性」と呼ばれるアプローチを開発した。基本となるアイデアは、広告が表示される際に、Cheqはそれがロボットによる偽の表示である可能性や、ブランドが関連して表示されたくない他の広告のそばに表示される可能性を、検知しようとするというものだ。もし問題がある場合には「広告が配信されないように、リアルタイムでブロックします」とTytunovichは語る。

事前に広告主は独自の広告掲出ガイドラインを設定し、その後、個々の広告が配信されなかった理由を確認することができる。

Cheqは、Battery Venturesが主導したシリーズAで500万ドルを調達したことを発表した。Tytunovichは、Cheqチームの8割が開発者で構成されており、その調達資金の大部分はさらなる製品開発に投入されると述べている。

もしCheqのアプローチが実際にはるかに優れているなら、なぜ、より大きな豊富な資金を持つ企業は同じことに取り組まないのだろうか?Tytunovichは、その理由は彼と彼のチームの経験にあると言う。イスラエル国防軍の仕事の中で「規模とマンパワーの不足を、自動化とスピードにこだわることで乗り越えることを学んだのです」と彼は語る。

同様にTytunovichは、Cheqでは「スピードがゲームを制するのです」と語る。

「当社の基盤技術の大部分は、データの処理速度を重視したものです」と彼は語る。「一回の広告表示(インプレション)あたり、約700のパラメータを検査します…私たちは全てのデータを取り込んで、分析することをリアルタイムに行う必要があるのです」。

Cheqは東京、ニューヨーク、そしてテルアビブにオフィスを構えている。 Tytunovichは、現在、米国と日本の市場に注力していると語った。 CheqはCoca Cola、Turner、そしてMercedes-Benzが提供するスタートアップ支援プログラムThe Bridgeに参加している。

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(翻訳:sako)

Facebookの、真に「目を見張らせる」新しいAI研究

赤目やレンズフレアを除去することなど、写真を操作してより良く見せる方法は沢山ある。しかし、これまでのところ、まばたきは良いスナップショットの頑固な敵であることは良く知られている。だがそれも、Facebookによる研究によって変わるかもしれない。この手法は閉じた目を開いた目へと、驚くほどもっともらしく置き換えることができるのだ。

それは、プログラムが特定の領域を類推によって塗りつぶし不要なオブジェクトを消してしまう、インテリジェントな「インペインティング」の例よりも遥かに進んだものだ。例えばAdobeは「コンテキストを意識した塗りつぶし」で似たことを行っていて、ユーザーが望まない対象、例えば突き出た枝や雲を、非常に巧みな類推を使って、まるでなかったかのように消去することを可能にしている。

しかし、ツールの置き換え能力を超越してしまう場合もある。そのうちの1つが「目」の置き換えである。目の詳細で多様性をもつ性質は、システムがそれをリアルに変更あるいは生成することを、実質的に困難にしている。

おそらく歴史上、他の誰よりも多く、まばたきをしている人の写真を保有しているFacebookは、この問題に切り込むことにした。

それはGAN(Generative Adversarial Network)を基本にしている。これは本質的には、自分自身の創造物が実物であると考えるように、自分自身をだまそうとする機械学習システムである。GANでは、システムのある部分が顔などを認識することを学習し、システムの別の部分は認識部分からのフィードバックに基づいて、徐々にリアルになって行くイメージを繰り返し生成する。

左から順に、「原型」画像、ソース画像、Photoshopの目開きアルゴリズム、そしてFacebookの手法。

この場合、ネットワークは、開いた目をもっともらしく認識し複製するように訓練されている。これは既にある程度できているかもしれないが、右に示した例からわかるように、既存の手法にはまだ改善の余地がある。既存のアルゴリズムは、残りのイメージとの一貫性をあまり考慮せずに、人びとの目に対して貼り付けを行うようだ。

これは機械の単純さに由来するものである:開いた目はまわりの皮膚の色を変えたりしないという直感的理解を持っていないのだ(その点に関して言えば、そもそも彼らは目や色などに関する直感的理解を何一つ有していないのだが)。

Facebookの研究者がしたことは、目を開けた対象者を示す「原型」のデータを取り込むことだった。そこからGANはどの目が顔の上に乗るかを学習するだけでなく、特定の個人の目がどのような形や色などになるかも学習する。

結果は非常にリアルなものである:色の不一致や明らかな継ぎ目は存在しない、なぜならネットワークは人間がそのように見えないことを知っているからだ。

テストしてみたところ、人びとは作られた「目の開いた写真」を、本物だと間違えた。言い換えれば半分以上のケースでどちらがどちらかを区別できなかったのだ。写真が間違いなく改変されていることを知っていなければ、おそらくニュースフィードをスクロールしている最中にそれが出てきても気付くことはないだろう。とはいえガンジーは少しばかり奇妙に見える。

まだ時々失敗することもある。ひとの目が部分的に髪で覆われていた場合には妙な結果を生成するし、色を正しく再生成できないこともある。しかし、それらは修正可能な問題である。

ある人の他の写真をチェックして、最新の写真のまばたき部分を置き換えてくれるFacebook上の「目を開ける」自動ユーティリティの有用さは想像できると思う。それは少々気味の悪さもあるが、そうしたやり方は実にFacebookらしい。まあ少なくとも数枚のグループ写真を救うことはできるだろう。

[原文へ]
(翻訳:sako)

機械は単語に対する深い理解を介して、言語をよりよく学ぶ

コンピュータシステムが人間の話すことを理解する能力は、かなり良くなって来ているが、いくつかの大きな弱点もある。なかでも、複数の意味や複雑な意味を持つ単語の扱いに問題があるのは事実だ。ELMoと呼ばれる新しいシステムは、重要な文脈を単語に加えることで、全体的に良い理解を導こうとするものだ。

問題を説明するために”queen”(女王)という単語を考えてみよう。あなたと私が話しているときに、私がその単語を話した場合、あなたは文脈からそれが、エリザベス女王か、チェスの駒か、蜂の巣の女王か、あるいはRuPaul’s Drag Raceを指しているのかを判断できる。

複数の意味を持つことのできる、このような単語の特性は、多義性(polysemy)と呼ばれる。そして実際に、それは例外的なものではなく慣例的に決まるものなのだ。通常はフレーズによって、その解釈は曖昧さなく決めることができる ―― 例えば “God save the queen!” (女王陛下万歳!)と “I saved my queen!”(クイーンの駒を守ったぞ!)など ―― そしてもちろん、これはトピック、文章の構造、返答が期待されているかどうかなどを伝えている。

しかし、機械学習システムは、こうしたレベルの柔軟性を持っていない。彼らが単語を表現しがちな方法は、はるかに単純だ。その単語のあらゆる異なる定義を眺めて、ある種平均的な複雑度のものを選び出す。しかしそれは真の複雑さを反映しているわけではない。正しい言葉の意味がわかることが重要であるとき、それに頼ることはできないのだ。

しかしELMo (Embeddings from Language Models:言語モデルからの埋め込み)は、システムが多義性をより簡単に処理できるようにする。その有用性の証として、それは先週NAACLで最優秀論文賞を受賞した。その核の部分で、訓練データ(テキストの膨大なコレクション)を利用して、ある単語が複数の意味を持っているかどうか、そしてそれらの異なる意味が、言語の中でどのように伝えられるのかが判断される。

たとえば、上記の “queen”の例文を人間が読んだときには、お互いに似てはいるものの、王族の話をしているのか、ゲームの話をしているのかの違いは区別できるだろう。これは、それらが書かれているものの中に、この”queen”がどちらの意味なのかを、読み手の文脈検知エンジンに判断させる手がかりが含まれているからだ。

学習対象のテキストコーパスに、手作業で注釈を付けることによって、これらの違いをシステムに知らせることはできる。だが、どの”queen”がどの意味かの注釈を与えるために、何百万もの単語に対して手作業を行いたい者がいるだろうか?

「私たちは人手による注釈の必要性を大幅に減らす方法を模索していました」と説明するのは、この論文の筆頭著者であるMathew Petersである。「目標は、ラベルのないデータからできるだけ多くのことを学ぶことでした」。

さらに彼は、従来の言語学習システムは「1つの単語のすべての意味を、単一のベクトルに圧縮していました」と語った。「そこで私たちは、基本的な前提を疑うことから始めました:単一のベクトルを学習するのではなく、無限個のベクトルを持つことにしよう。なぜならその意味は、文脈に大きく依存しているからです」。

ELMoは、単語が現れる完全な文章を取り込むことによってこの情報を学習する;それは、king(王)がqueenと一緒に言及されるときには、それは王族あるいはゲームの話であって、ミツバチの話ではないことを学習するだろう。それがpawn(チェスの駒)を見たときには、それをチェスだと判断し、jackを見たときにはトランプだと判断する、などだ。

ELMoを搭載した言語エンジンは、何年も言語を解釈した経験を持つ人間ほど優秀ではないものの、多義性に対する知識を有しているだけでも、言語の理解には大いに役立つ。

それだけではなく、単語の意味に対して全文を考慮することによって、その文の構造がより簡単にマッピングされ、自動的に句および品詞をラベル付けすることが可能になる。

ELMo方式を採用したシステムでは、最新の自然言語アルゴリズムに対してさえ品質を25%も向上させるという即効性がみられた ―― これは、この分野としては非常に大きな進歩である。そしてそれは、より優秀で、よりコンテキストを意識した学習スタイルではあるものの、根本的に既存のものと異なるものではないために、既存の商用システムに簡単に組み込むことができる。

実際には、Microsoftは既にそれをBingで使っていると言われている。結局のところ、検索では意図を決定することが重要である。そのためにはクエリー(問い合わせ)を正確に読み取る必要がある。ELMoはAllen InstituteのAIに対する他の成果と同様に、オープンソースでもある。もし自然言語処理を必要とする企業であれば、これをチェックする必要があるだろう。

論文は、ELMoを英語のシステムに利用するための根幹部分が示されている。しかしその力は、本質的には取り込んだデータを詳細に読み込むことによって得られているものなので、それを他の言語だけでなく他の分野に対しても適用できない理由は(理論的には)存在しない。言い換えれば、もしそれに神経科学の膨大なテキストを入力した場合、システムはtemporalという単語が、時間に関するものなのか、脳の部位(側頭部)を意味しているものなかを区別できるようになるだろう。

これは、機械学習と言語の関係が急速に発展していることを示す一例に過ぎない。基本的な翻訳や、文章の読み上げなどには、すでに十分に役立ってはいるが、自然言語インターフェイスを通してコンピューターができることはまだ沢山あるのだ ―― もしやり方さえわかるなら。

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(翻訳:sako)

Docker Hubから誰でもダウンロードできるコンテナイメージに暗号通貨採掘ボットが潜んでいた

セキュリティ企業のFortinetKromtechが、17の汚染されたDockerコンテナを見つけた。それらはダウンロードできるイメージだが、中に暗号通貨を採掘するプログラムが潜んでいる。さらに調べた結果、それらが500万回ダウンロードされたことが分かった。ハッカーは安全でないコンテナにコマンドを注入し、それらのコマンドが、本来なら健全なWebアプリケーションの中へこの採掘コードをダウンロードしたのだろう。研究者たちがそれらのコンテナを見つけたのは、ユーザーのイメージのためのリポジトリDocker Hubの上だ。

研究者の一人David Maciejakはこう書いている: “もちろん、これらがマニュアルで(手作業で)デプロイされたのではないことは確実だ。というか、犯行は完全に自動化されていたらしい。いちばん高い可能性として、犯人は構成が正しくないDockerとKubernetesのインストールを見つけるスクリプトを作ったのだろう。Dockerはクライアント/サーバシステムだから、REST APIで完全にリモートで管理できる”。

そのコンテナは今やどこにもないが、ハッカーは最大で9万ドルの暗号通貨を持ち逃げしたかもしれない。小額だが、このようなハックとしてはかなりの額だ。

Kromtechのレポートを書いた著者の一人はこう語る: “Kubernetesのようなオーケストレーションプラットホームの構成を間違えて、外部に公開された状態になってるところがとても増えているから、ハッカーはこれらのプラットホームにMoneroの採掘を強制する完全自動化ツールを作れるのだ。悪質なイメージをDocker Hubのレジストリにプッシュし、それを被害者のシステムから取り出す。この方法でハッカーは544.74Moneroを採掘できた。ほぼ9万ドルに相当する”。

DockerのセキュリティのトップDavid Lawrenceは、Threatpostのレポートでこう書いている: “GitHubやDocker Hubのような公開リポジトリは、コミュニティの便宜のためにある。でも、オープンで公共的なリポジトリやオープンソースのコードを扱うときには、お勧めしたいベストプラクティスがいくつかある。1)コンテンツの作者が分かること、2)実行の前に画像はスキャンすること、3)そしてDocker Hubにあるキュレートされたオフィシャルな画像を使うこと、4)できるかぎりDocker Storeの認定コンテンツを使うこと”。

興味深いのは、最近のハッカーはAmazonのAWS Elastic Computeのサーバーよりも、そのほかのコンテナベースのシステムを襲う傾向がある。DockerとKubernetesのコンテナを管理するセキュリティシステムはいろいろあるが、ユーザーも自分の脆弱性に警戒し、しっかり評価して、ハッカーにやられるスキがないようにしよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Macの新しい広告キャンペーンでは最高にクリエイティブなアーチストもドングルを使用

Appleが、“behind the Mac”と名付けた、Macの新しい広告キャンペーンを開始した。このキャンペーンでは、仕事やクリエイティブなプロジェクトや障害などアクセシビリティの理由でMacを使っている人たちのストーリーをシェアしている。

Macは多芸なプラットホームだ。メールのチェックやWebの閲覧など、退屈な仕事のために使っている人もいるし、また数えきれないほどいろんなことに使ってる人もいる。Appleは、Macでは、WordやExcelを使うこと以外にこれも、これもできるよ、と訴求したいようだ。

Appleが今日(米国時間6/15)シェアしたビデオは4つだ。最初のは(下)、ほかの3つのまとめだ。ひとつひとつのビデオは、Macを毎日使っている誰かのポートレートだ。AppleのWebサイトを見ると、ポートレートは全部で12あることが分かる。

まず、Peter Kariuki(下)は、ルワンダの道路の安全性を改善するiPhoneアプリを作ったデベロッパーだ。

Bruce Hall(下)は、目の不自由なフォトグラファーで、写真を使って外界の細部を見ている。

そしてGrimes(下)は、今もっともおもしろい音楽アーチストのひとりだ。

三人ともラップトップを使っているが、たしかにMacBookはAppleのもっとも人気のあるコンピューターになった。Appleは、iMacやiMac Pro, Mac Mini, Mac Proを見捨てていないが、今では買う人がそんなに多くない。

また、これらのMacは最近の1年間アップデートされていない。Mac系の新機種も出ていない。だからそんなタイミングで広告キャンペーンを打つのは、ちょっと気になる。あと数か月は、Macのアップデートはないのだろう。

それに、最近のMacBookやMacBook Proを使っている人は、アクセサリーをUSB-CやThunderbolt 3のポートに挿入するために、あほらしいドングルを使っているかもしれない。でもGrimesでさえドングルを使わざるをえないのだから、しょうがないね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

新しいGmailのスマート機能は嫌いな人も少なくない、お節介で的外れでうるさい

Gmailは最近、デザインが一新された。新しい機能の多くはユーザーが無効にしたり無視できるが、返事を出さないままになっている古いメールを取り出して、返事をしなさいと勧める機能はどうだろう。それは、こんなやつだ:

[2日前に受信してるけど返事しないの?]

オレンジのテキストは、すぐに注意を惹く。しかも受信トレイの最上部に出るから、メールの並びの時系列が壊れる。

Gmailはしかも、そのメールはリプライすべきだったんだけど、あなたがぐずぐず延ばしてしまったんだ、という判断をしている。ソーシャルネットワークには、こんなうるさいコンテンツが山のようにあって、われわれを悲しませたり怒らせたりする。メールの受信トレイが、あなたに罪悪感を抱かせたり、ストレスを与えたりすべきではない。

仮にその提案が正しかったとしても、ちょっと気持ち悪いし、実装も雑だし、なんか自分がもう、自分の受信トレイをコントロールできなくなったのか、と思ってしまう。

今度のGmailのスマート機能は、どれもユーザーが無効にできる。スマートなカテゴリー分類なんて要らない、という人もいる。Gmailが重要メールと判断したメールを、上の方へ持ってこなくてもよい。ここで話題にしている、スマートな返信機能も、ぼくは要らない。誰もが必要とする唯一のスマート機能は、スパムフィルターだ。

メールのメッセージの並び方は、単純な時系列がいちばん便利だ。Instagramのユーザーも、時系列フィードを求める人が圧倒的に多い。しかしアルゴリズムで選択加工したフィードは、エンゲージメントや生産性を高めることもある。Googleはたぶんテストをして、Gmailがお知らせをしたら返信が増える、と判断したのだ。

でもぼくは、メールの価値はGmailのアルゴリズムではなく、自分で判断したい。ランク付けは、余計なおせっかいだ。

ぼくがVCなら、ぼくがジャーナリストなら、ぼくが大学の奨学金担当者なら、それぞれの仕事のために、重要なメールは自分で見分ける。Googleのおせっかいなアルゴリズムは要らない。サンフランシスコの電気スクーターも、Googleのスマート機能が仕掛けた/見つけたブームじゃない。自分にとって重要なことは、自分で分かるよ。

Gmailの新デザインがリークし始めたとき、ある同僚は、“まず、これらをoffにする設定の仕方を見つけたいね”、と言った。

このおせっかいな「返事は?」リマインダーをoffにするには、GmailのWebバージョンでは“Suggest emails to reply to”と“Suggest emails to follow up on”のボックスのチェックを消す。これで、あのいまいましいオレンジ色のテキストにおさらばできる。でも、そもそも最初からこれらのスマート機能は、デフォルトでoffになっているべきだ。

〔訳注: これは、rantと呼ばれるタイプのブログ記事です。個人的な不平や文句をたらたら述べるのが、rantです。〕

[Twitter上にも苦情殺到]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

中国の配車サービスDidi、オーストラリアでサービス開始へ

中国最大のライドシェア事業者Didi(滴滴出行)は、グローバル展開を拡大し、今月オーストラリアでサービスを開始すると発表した。

2016年にUberの中国事業を買収したこの会社は、メルボルンから75キロ離れた町Geelongで1カ月のトライアルを経て、6月25日にメルボルンでサービスを開始する。事業はDidiのオーストラリア子会社が行い、“ドライバー、そして利用客向けに一連のお得なサービス”ー割引やプロモーションであることは間違いないーを提供する予定だ。ドライバー登録の受け付けは6月1日から始まっている。

オーストラリアでの事業開始では、DidiはUberと直接的に競合することになるが、それは最近特に珍しいものではなくなってきている。インドのライドシェアOla、そしてDidiのどちらもDidi資本が入っている。Didiは今年、台湾、メキシコ、ブラジルへとサービスを拡大している。

Didiは昨年12月、AIやその他のテクノロジーの開発、そして海外展開のために40億ドル資金調達した。その後、海外展開の方策をいろいろと模索していたようだ。今回のオーストラリアでの展開にあたっては自らチームを立ち上げたが、台湾ではフランチャイズモデルを使い、ブラジルではUberのライバル的存在で評価額10億ドルだった99を買収した。

また日本でも、ソフトバンクとジョイントベンチャーを立ち上げて参入しようとしている。

「2018年、Didiは南米、オーストラリア、そして日本でマーケット開拓を続ける。ワールドクラスの交通AIと現地の専門という組み合わせにより、海外でもより良いサービスを提供できると確信している」とDidiは発表文で述べている。

今回の海外でのサービス拡大は、国際的に存在感を出しながらも、世界各地のライドシェア企業と提携を拡大してきていただけに、新たな混乱を招いている。

Uber事業の取得は株式の交換で行われーDidiとUberは競合相手という関係から株主という間柄に変わったーDidiはまた、東南アジアにおけるGrab、米国のLyft、インドのOla、中東のCareemにも出資している。最近では主に欧州とアフリカでライドシェア事業を展開しているTaxifyもその列に加わった。

オーストラリア事業に関していえば、DidiはUberとOlaーすでにメルボルンで、そして今年初めにパースとシドニーで事業展開しているーのライバルとなり、Taxifyも同様だ。UberとDidiは火花を散らすことが予想されー複雑な関係だーOlaに関して言えば、Didiは投資ディールで設立された企業と初めて直に競合することになる。

これは、DidiとOlaの関係でいえば些細なことかもしれない。Didiが出資を続けたGrabのときとは異なり、DidiはOlaが昨年行った最新の資金調達では口出しをしなかった。

「ライドシェア事業はまだ初期段階にあり、成長可能性を秘めている。すでに繁栄している産業のように、この事業でも競争はある。しかし、競争は良い商品、良いサービスにつながり、究極的には消費者が恩恵を受ける」。OlaとTaxifyとの競合について尋ねたのに対し、Didiは文書でTechCrunchにこう答えている。

これはTaxifyと似ている。「オーストラリアのマーケットサイズを考えた時に、複数の事業者がサービスを展開して成長するだけの余地はある」と広報者はTechCrunchに対し話した。

Olaはコメントを拒否している。

今回のオーストラリア事業の展開は、先月同社のサービス‘Hitch’を利用した客が殺害された事件が起こり、そのことでプレッシャーを受けている中でのものとなる。

同じ方向に向かう客がライドシェアするというこのHitchサービスをDidiは一時停止した。そして、このサービスを日中のみの展開に制限し、またいくつかの機能を削除した。今週、夜間のライドシェアも間もなく再開すると発表したが、ドライバーは自分と同じ性別の客だけを乗車させることができるという制限を設けている。

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(翻訳:Mizoguchi)

Samsungが再生可能エネルギー採用の推進を発表

Samsungは、米国、ヨーロッパ、そして中国にあるすべての工場とオフィスに、再生可能エネルギーを100%使用すると発表した。Samsungが、再生可能エネルギーに対する取り組みを公に宣言したのはこれが初めてである。

グリーンピースと環境保護活動家たちが、Samsungに対して、多くのハイテク企業は既に再生可能エネルギーへの転換を開始していると何ヶ月もの間呼びかけていた。

Samsungは、自社の建物、工場、そして事務所など、自分自身でより簡単に管理できる部分から取り組み始めている。グリーンピースのプレスリリースによれば、その38の建物のうち17の建物が米国、ヨーロッパ、そして中国に置かれている。

Samsung Electronicsは、再生可能エネルギー目標を設定したアジア最初のエレクトロニクス製造会社です。この宣言は、同社の巨大なグローバル製造規模を削減するために、大きな影響を与える可能性があり、排出削減と再生可能エネルギーへの移行を加速する上で、重要な企業参加であることを示しています。より多くの企業がこの先例に従い、再生エネルギー目標を設定すべきです。そして政府機関も、企業が再生可能エネルギーをより容易に入手できるようにするための政策を推進する必要があります」とプレスリリースの中で語るのは、グリーンピースの広報担当であるInsung Leeである。

一夜にして全てが変わるわけではないが、これらの建物は2020年までに再生可能エネルギーで稼動する予定だ。Samsungは、他の国で再生可能エネルギーの利用を増やすことができると述べている。それに加えて、Samsungは韓国の京畿道にソーラーパネルを設置する予定である。

多くのハイテク企業と同様に、Samsungは数千のサプライヤーと協力している。そのため、自分の施設に再生可能エネルギーを使うだけでは不十分だ。Samsungはこの問題にも徐々に取り組み、Carbon Disclosure ProjectのSupply Chain Programにも参加する。

まずは、サプライヤー上位100社のエネルギー需要を把握し、再生可能エネルギーへの移行を支援したいと考えている。これは多年にわたるプロジェクトであり、Samsungの進捗状況を定期的に把握することが重要である。

しかし、世界最大のコンシューマーエレクトロニクス会社の一つが、力強い宣言を出すのを見ることは良いことだ。

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(翻訳:sako)

画像クレジット: Bloomberg

E3 2018を個人的に振り返る

今年最大のトレンドに関する全く包括的ではないまとめ

1年が経って、今週またE3に参加した。ショーフロアの混みっぷりが、通路にどれほど人間を詰め込めるかという主催者の腕の見せ所となっているComic-Con並になってはいるものの、いつ来ても楽しいショーだ。

私たちはこの1週間、様々なストーリーを伝えてきたが、この記事は全く不完全な今年のショーに関する私の感想である。

ゾンビはまだ大活躍だ

私はゾンビ祭りのピークは数年前だったと思っていたのだが、結局そこら中にゾンビを見ることとなった。ロサンゼルス・コンベンション・センターのロビーにも、アンデッドに扮した俳優たちが溢れていた。ゲーマーたちが、作り物の血まみれ死体と一緒に写真を撮るのを眺めるのは、根本的な不安を感じさせるものだ。あるいはそれは、私たちの時代を象徴する完璧な寓話なのかもしれない。

任天堂の復活

任天堂がモバイルゲームを採用したが、そのアプローチのわずかな調整は確かに重要な役割を果たすことになった。しかし、任天堂の復活の鍵は、使い慣れたIPで革新的な体験を提供する(いわゆる「枯れた技術の水平思考」)という、最も得意なことに再び重点を置いたことである。ああ、そしてゲームキューブコントローラで遊べるスマッシュブラザーズ。この互換性は、任天堂基準で考えても、素晴らしいちょっとしたファンサービスだ。

量か質か?

Microsoftのイベントは、一種のビデオゲーム電撃戦だった。同社は50のタイトルを発表したが、そのうち15は独占タイトルだった。一方ソニーは、少数のタイトルを深く紹介することにこだわった。結論としては、私は後者を好むと告白しなければならない。このイベントでは、実際のゲームプレイ映像は非常に限られたリソースのように感じられる。

ウルトラハイデフによるウルトラバイオレンス

もちろんこれはゲームにおける新しいトレンドではないが、誰かが誰かの顔に噛み付くのを巨大スクリーン上で見ることは、特に動揺を感じさせる。ソニーの記者会見は、奇妙な詩のようなものであり、その一部が血飛沫と血糊に埋め尽くされた、この週最も美しい映像だった。

ノーマン・リーダスと胎児

私たちはさらに沢山の映像を見たが、ゲームはよくわからなかったような?

チェックメイト

Indiecade(インディーズのゲームが置かれたコーナー)は、E3におけるお気に入りのコーナーだ。ビッグ3の激混みブースから逃れて、良い休憩となる。面白いことに、私が覚えていたものよりも多くの卓上ゲームも置かれていた。よくご存知だろう、スクリーンがなく実際のコマを使うやつだ。

トゥームレイダーの中の死

私はNVIDIAの会議スペースに置かれたPCで、Shadow of the Tomb Raider(トゥームレイダーの影)をプレイした。それは素晴らしいものだったが、私の腕が追いついていなかった。私は可哀想なLaraを、何度も死なせてしまった。私のキャラクターがMaster Chiefの盛装にされても我慢はできるが、私が彼女を5回溺死させてしまったときの表情のクローズアップショットは私をがっかりさせた。ビデオゲームは共感力を強化することができるのだろうか、あるいは私たちは皆自分の感受性を鈍らせるしかない運命なのだろうか、なにしろ私たちは墓暴き(トゥームレイド)をしなければならないのだ。

私は光を見た

NVIDIAはまた、そのレイトレーシング技術を、その日私がE3で見た中で最も印象的なデモであると請け合った。おそらく彼らは正しいだろう、Sonic Racingを見てみよう。GDCで最初にデモされたこの技術は「リアルタイムの映画品質のレンダリングをコンテンツ制作者やゲーム開発者にもたらす」ということだ。

VRはまだ出番待ちの状態である

2年前のE3では、ゲームはすぐにでもVRのブレイクスルーに見舞われるかのように感じられた。しかし2018年の今、それがさらに進んだような感じを受けることはない。今回のイベントには、いくつかの魅力的な新しいVR体験もあったが、多くの体験が、文字通りの意味でも、また比喩的な意味でも、大舞台での出番を待ちながらイベントの中心からは離れたところにいるように感じられた。

Control

ソニーのControlの予告編は、私が実際に見た情報の中でも、最高に興奮度合いの高いものだった。おそらくそれはビデオゲーム版Inceptionか、Quantum Breakの続編のようなものなのだろう。まだよくわからないけれど、楽しみだ。

ARは注目すべきものだが、E3として注目すべきものかどうか

私たちは、奇妙で素晴らしいTendAR(ゲームの魚が死なないように沢山の表情をつくる必要がある)などの、いくつかの興味深い例を見た。それはあなた自身の心理的エネルギーで養うシーマンのようなものだ。しかし結局のところ、E3はモバイルショーではないのだ。

クロスプラットフォーム

そうは言っても、クロスプラットフォームの可能性の興味深い例はそこここにみられた。任天堂Switch用の50ドルのPoké Ball Plusが、私が驚いたものの良い例だが、詳しくは語られていない。新しいSwitchのタイトルの操作に加えて、Pokémon GOを介してポケモンを捕獲するために使うこともできる。そこには良いブランドシナジーが期待できる。そして、もちろん、SwitchにもあるFortniteがある。このゲームのバトルロイヤルモードは、クロスプラットフォームのプレイがいかに大成功につながるかを示す、優れた例である。しかしどうやら、ソニーは本当はクロスプラットフォームプレイをしたいとは思っていない

V-Bucks

ああ、Epic Games(Fortniteの開発メーカー)は今やたんまりお金を持っているようだ

Moebiusコミックス

ビデオゲームはアートだ。あなたはとっくの昔にそれを聞かされてきたことだろう…。しかしSableは、あのMoebiusコミックを動かそうとしているようだ。私はそれがDragon’s Lairほども遊べないものなのではないかと心配しているが、その予告編でさえ既に注目すべき仕上がりだ。

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(翻訳:sako)

ヨーロッパとインドが共同でネットの中立性を擁護へ

ヨーロッパのBEREC(Body of European Regulators for Electronic Communications, 欧州電子通信規制者団体)とインドのTRAI(Telecom Regulatory Authority of India, インド通信業規制局)が昨日(米国時間6/15)共同会議を行い、オープンなインターネットを推進していくための共同声明に署名した

この短い文書は、ネットの中立性を保証するための規則集を記述している。それは、インターネットのトラフィックの平等な取り扱いや、ゼロレーティングの実践に関するケースバイケースの判断など、一部のベーシックなルールだ。

EUとインドは共にすでに、ネットの中立性を確保するための規制を実施している。しかし彼らは今回、その同じルール集合に関してさらに協力を深めたいようだ。ネットの中立性はつねに進化しているので、ルールも絶えずアップデートする必要がある。両者のコラボレーションが、ネットの中立性の統一に貢献するだろう。

共同声明よりもさらに重要なのは、その発表のタイミングだ。FCCは月曜日に、ネットの中立性を正式に廃止した。ヨーロッパやインドがアメリカで起きていることにいちいち対応する必要はないが、ネットの中立性だけは、自国でそれが無傷であることを、確保したいのだ。

FCCの決定がドミノ効果を惹き起こすリスクもある。ほかの国の通信企業も、規制当局にロビー活動を仕掛けて、ネットの中立性を終わらせようとするかもしれない。アメリカでやったんだから、俺らにもできるだろう!?

フランスの通信規制当局ARCEPのSébastien Soriano長官が数か月前に語ったところによると、そろそろ、別のやり方があることを実際に示すべきときだ。そのための最良の方法は、同じ原則を共有するいろんな国の規制当局が集まって、行動を興すことだ。EUとインドを合わせると世界の人口の大きなパーセンテージになるが、それだけの数が明らかにネットの中立性を擁護しているのだ。

そのほかの国もこの同盟に加わって、ネットの中立性がイノベーションと競争と最終消費者にとって重要であることを、証明していける。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleの翻訳結果が‘字義通りだけど無意味’なので警官の捜索が憲法違反に

外国語の機械翻訳がとても便利であることは確かだが、どこかへの行き方やおすすめのランチ以上の話題になると、その浅さが現実的な障害になる。そしてそれが、法律や基本的人権の問題になると、“まあまあの翻訳”では役に立たない、とある判事が裁定した。

その判決(PDF)にそれほど重大な意味があるわけではないが、翻訳アプリは今や法曹の世界でも使われ始めているので、その今後の正しい進化のためにも、気にする必要があるだろう。今は幸いにも多言語社会になっているが、しかし現在および短期的な未来においては、異なる言語間の橋渡しがどうしても必要だろう。

その裁判では、Omar Cruz-Zamoraという名前のメキシコ人がカンサス州で警官に、道路脇への停車を命じられた。警官たちが彼の同意のもとに車の中を調べると、大量の覚醒剤やコカインが見つかり、当然ながら彼は逮捕された。

でも、ここからが問題だ。Cruz-Zamoraは英語が話せなかったので、車の中を捜索する同意はGoogle Translateを介する会話によって得られた。法廷は、その会話が十分に正確ではないので、“当事者の自発的かつ了解のもとに”得られた同意を構成しない、と見なした。

アメリカの憲法修正第4条は、不合理な捜索や押収を禁じている。そして正当な理由がない場合公務員は、Cruz-Zamoraが、車内の捜索を断ってもよいことを理解していることを必要とする。会話からは、その理解が明確でなく、一貫して両者は、相手の言っていることの正しい理解に失敗している。

それだけでなく、アプリが提供した翻訳は、質問を十分に正しく伝えていない。たとえば警官は英語から翻訳されたスペイン語で“¿Puedo buscar el auto?”、と質問している。その文字通りの意味は、“車を見つけてもよいですか”に近く、“車を捜索してもよいですか”にはならない。Cruz-Zamoraがその“字義通りだが無意味な”(←裁判長の言葉)翻訳結果から、車の捜索に同意するかという本当の質問を類推できた、という証拠はない。彼自身に選択の権利があることすら、理解しなかったかもしれない。

同意が無効なので車の捜索は憲法違反となり、Cruz-Zamoraの告訴は取り下げられた。

Google Translateなどのアプリでは同意が不可能、という意味ではない。たとえばCruz-Zamoraが自分でトランクやドアを開けて捜索をさせたら、それはたぶん同意を構成しただろう。しかし、アプリを使った対話が正確でないことは、明らかである。これは、英語の話せない人を助けたり調べるためにパトロールしている警官だけの問題ではなく、法廷の問題でもある。

機械翻訳サービスのプロバイダーは、その翻訳がほとんどの場合に正確だ、数年後にはとても難しい場合をのぞき人間翻訳者をリプレースする、とわれわれに信じさせようとしているかもしれない。しかし今回の例が示すのは、機械翻訳がもっともベーシックなテストに失敗することもありえる、ということだ。その可能性があるかぎり、私たちは健全な懐疑主義を持ち続けるべきだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Google、反多様性メモ発覚後初の多様性報告書を発表ー黒人とヒスパニック系の従業員確保が課題

Googleは、悪名高いJames Damoreのメモ(これによりDamoreはGoogleを離れることとなった)の一件後では初となる、同社従業員の多様性についての報告書を公表した。このメモの件は語ると長いが、要約すると、Damoreは性差別的な考えをメモに記し、これが社内外に広まったというものだ。Damoreはクビになり、この解雇について彼はGoogleを訴えた。しかしこの訴えは2月に労働関係委員会により調停が行われた。それからほどなくして、他の社員の件が明らかになった。2月下旬のGizmodoの報道にあるように、Tim Chevalierが多様性を唱えたことで解雇された、と主張している。ChevalierはGoogleを告訴している。

「私は、Googleの職場で見られる白人の特権や性差別を指摘したことで、報復を受けた。これは間違っている」。Chevalierは数カ月前、TechCrunchに対し、なぜGoogleを告訴しようと決めたのかこう語っている。「私はこの件を公にしたかった。Google内で人種的少数派の人たちがどのように扱われているかを社会に知ってほしかったからだ」。

Googleはこの件を調停に持ち込もうとしている。2018年6月11日付けの裁判所の記録文書によると、今月初め、Googleの弁護士は、Chevalierは最初の申し立ての中で“この件を調停とすることに書面で同意している”と述べている。

さて、Googleの多様性や構成の現状を要約して説明しよう。ここに実際のレポートがある。多様性についてのレポートとしては5回目となり、最新かつ最も網羅しているものだ。今回初めて、人員損耗率やインターセクショナリティについても情報を公開している。

最初に、ハイレベルな数字から。

・30.9パーセント グローバルでの女性の割合

・2.5パーセント 米国における黒人の割合

・3.6パーセント 米国におけるラテンアメリカ系の割合

・0.3パーセント 米国における先住民の割合

・4.2パーセント 米国における混血の人の割合

Googleはまた、ジェンダーについてのレポートが“社内の性的マイノリティの人たちの存在を反映していない”ことを認め、ジェンダーについての今後の調査手法を模索している。Googleが自ら指摘しているように、女性や黒人、ラテンアメリカ系の人たちの割合は増えてきている。昨年、Googleにおける女性の割合は30.8パーセント、黒人は2.4パーセント、ラテンアメリカ系の人は3.5パーセントだった。

管理職レベルでも、前年に比べると数字は良くなっているが、高い職位の従業員は74.5パーセントが男性で、66.9パーセントが白人だ。改善は喜ばしいことだが、これでは不十分で次回のレポートではさらなる改善を期待したい。

話を先に進めると、Googleにとっての最終目標は過小評価された能力を掘り起こすことだとしている。それがどういうことなのは今ひとつ明らかではない。Googleで多様性を担当する副社長のDanielle BrownはTechCrunchとのインタビューで、Googleは専門の学位を取得していながら過小評価されている人たちのスキルや仕事、センサス・データを見る、と明らかにしている。しかし、こうすることで構成割合の数字がどんなものになるのかはわからない、とも述べている。理想の姿について尋ねたところ、彼女の答えは以下のようなものだった。

ご存知の通り、これは長期にわたる取り組みだ。これまで我々はうまくやってきただろうか。私にはわからない。しかし我々は状況を改善していけると、楽観視している。1晩で解決できるチャレンジだとは思っていない。全体にかかるものだからだ。長期的な取り組みになるが、私たちのチームは達成可能だと楽観視している。

前述したように、Googleは今回初めて、人員損耗率についても公表している。黒人とラテンアメリカ系の人で人員損耗率が2017年最も多かったが、これは、少なくとも私にとっては、驚きではない。はっきり言うと、人員損耗率というのは、つまるつころ何人が社を去ったかという指標だ。管理職に黒人やラテンアメリカ系の人が少ない企業で働くとき、一般的にそうした企業内で排他的な扱いや攻撃、差別を受けるのはよくあることだ。

「明らかに、女性、男性ともに米国における黒人、ラテンアメリカ系の人員損耗率は良いものではない」とBrownはTechCrunchに語った。「この分野こそ、我々が集中して取り組んでいるところだ」。

それから彼女は、Googleの内部調査のデータから、従業員は自分たちが仲間に入れていないと感じた時に会社を辞める傾向があることが明らかになったことも付け加えた。だからこそ、今Googleは従業員同士のつながり、「いいつながりとはあなたにとってどういうことか」ということに取り組んでいる。

「私たちが学んだことの一つに、無意識の偏見のトレーニングをやめると、意識した行動を起こせないというものがある。必要な行動を起こせなくなる」と彼女は語った。

人員損耗率から離れると、Googleがうまくやっているのは女性の定着率だ。テクニカル分野、非テクニカル分野ともに男性より女性の方が長期間Googleで働いていることが明らかになった。一方でBrownは、大きな問題となる前に対処できるよう、CEOのSundar Pichaiと彼の経営チームに隔週で人員損耗率の数字を1月から報告している、と明らかにした。

前述したように、Googleがインターセクショナリティについての情報を明らかにするのは今回が初めてだ。Googleのデータによると、人種ごとにみたときの女性の数は全人種において男性よりも少なかった。それも、前回同様にさほど驚きではない。従業員の3パーセントが黒人だが、黒人女性の割合は1.2パーセントにすぎない。ラテンアメリカ系の女性に目を向けると、ラテンアメリカ系全体の割合が5.3パーセントだったのに対し、女性の割合は1.7パーセントにとどまる。つまり、Googleが言うように、Googleにおける女性従業員の増加は、主に白人とアジア系によるものということになる。

Brownは昨年6月にIntelからGoogleに移ってきたが、以来多くのことに直面した。8月にDamoreの反多様性メモが問題となったが、これはBrownがGoogleに移ってきて数カ月後のことだ。「オープンで包括的な環境というのは、異なる政治的意見を含めたさまざまな考え方をする人々が自由闊達に意見を交わせる文化の形成を意味する。しかしそうした自由な意思表明は行動規範、ポリシー、反差別法に記されている平等な雇用機会の原則に沿ったものでなければならない」と語っている。

Brownはまた、このドキュメントは「私や会社が推奨・奨励する見方を反映しているものではない」とも述べている。

今日、Brownは反多様性メモの件について、「私にとってGoogleの企業カルチャーやGoogle従業員がどう考えているのかを学ぶ、非常に興味深い機会となった」と話した。

「このレポートで強調されたことが公約となれば」とも語った。「Googleだけでなくテック産業全体としても、私たちは一丸となって長期的に取り組むべき課題を抱えている」。

Brownによると、Googleの従業員全員が社の考えに賛同しているわけではないという。しかし彼女は、ポジティブな見方、ネガティブな見方どちらでも従業員に積極的に議論に参加してほしいと切に願っている。しかし、他の企業同様「なんでもありというわけではない」。

Googleの行動規範に従わない場合は「慎重に対処しなければならない。そして、政治的な見方にとらわれずに判断を下す」と彼女は語った。

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(翻訳:Mizoguchi)

 

AT&TがTime Warnerの買収を完了…メディア買収が通信大手の生き残る道?

AT&TがTime Warnerの買収手続きをを完了し、ここにメディアとテクノロジーの大型統合がまたひとつ実現した。

その額は854億ドルで債務負担を入れると1080億ドルになるが、最初に発表されたのは2016年の10月で、今週初めに裁判所が認可し、木曜日(米国時間6/14)に完了した

完了まで長くかかったが内容は複雑で、AT&TはTime WarnerだけでなくケーブルテレビのHBPとWarner Brother’sの映画スタジオ、そしてテレビ局Turnerのチャンネルも支配下に置く。これだけあれば複雑な衝突が起きるのも当然で、なにしろこれにより、メディアの配信とコンテンツの制作が同じ親会社の傘下になるのだ。

AT&Tの会長兼CEOのRandall Stephensonは声明でこう述べている: “Warner Bros., HBO, そしてTurnerのコンテンツとクリエイティブの陣容は第一級だ。そのすべてがAT&Tの消費者に直接届く強力な配信網と合体すれば、他に類のない高品質なモバイルファーストのエンターテインメント体験を提供できる。われわれは、メディアとエンターテインメント産業が消費者とコンテンツクリエイターとディストリビューターとアドバタイザーズのために仕事をしていくやり方に、新しいフレッシュなアプローチを導入したい。”。

買収は、AT&Tという企業の生死にかかわっていた。同社によると、“シナジー効果”により25億ドルの費用節約が見込まれ、4年後には売上が成長に転ずると期待される。Time WarnerとTurnerを含むAT&Tの新事業は、昨年の年商が310億ドルだった。

今週の裁判所の決定の前には、政府が反トラスト法により買収をブロックしようとしていた。いわゆる垂直的合併…上流と下流が一体になること…により、価格操作が可能になり、消費者を害する、とされた。この買収は10年前の反トラスト訴訟の亡霊と揶揄され、初めて裁判所が、垂直的合併を単純に悪とする議論に断を下(くだ)した。携帯電話やスマートフォンが発明されたことにより、メディアと配信の業界構造が変わったことを、裁判所は指摘した。

一件落着したことによってAT&T-Time Warnerは、そのほかの大メディア買収に道を拓(ひら)いた。今週はComcastがFoxを650ドルで買収すると名乗りを上げ、12月に524億ドルを提示していたDisney(ディズニー)と戦うことになった。

情報開示: TechCrunchのオーナーであるOath〔旧AOL〕はVerizonのデジタルメディア分野の子会社であり、この親会社は〔通信大手として〕ComcastやAT&Tと競合している。

画像クレジット: KENA BETANCUR/AFP/Getty Images / Getty Images(画像は加工した)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa