サーバーレスで複雑なコンテナアプリケーションを開発デプロイできるPlatform9のFission Workflowsサービス

企業ITのクラウド化をいろんな面からサポートするPlatform9の新製品Fission Workflowsには、あなたのお好きなバズワードがすべて揃っている。Kubernetes、Dockerのコンテナ、そしてサーバーレスコンピューティング。しかもそれは、これらの技術の、必然的な次のステップのようだ。

Platform9のプロダクトとしてのFission自体は、コンテナオーケストレーションサービスKubernetesの上で動くオープンソースのサーバーレスコンピューティングプラットホームだ。サーバーレスアプリケーションは、その初期のころはもっぱら、何かのイベント(“ファイルがアップロードされた”など)にトリガされる小さなファンクションを作ることだった。しかしFission Workflowsの提供意図は、もっと複雑なサーバーレスアプリケーションの開発を支援することだ。

Workflowsは、サーバーレスのファンクション〔複数形〕のオーケストレーションを助ける。サーバーレスアプリケーションが複雑になればなるほど、使用するファンクションも多くなり、それらお互いに依存関係のあるファンクションの管理やアップデートが難しくなる。同時にまた、アプリケーションのモニタリングやトラブルシューティングも難しい。

Platform9のソフトウェアエンジニアでFissionを作ったSoam Vasaniによると、Fissionは、デベロッパーがKubernetesをもっと楽に使えるようにしたい、という願いから生まれた。 “Fissionがないころは、うちの顧客たちはKubernetesを使いこなせるまでに数週間もかかることが多かった”、と彼は語る。しかし今では、彼らは一時間ぐらいで彼らの最初のFissionのファンクションを動かせるようになる。そして、Fission Workflowは次の問題に取り組む: サーバーレスのアプリケーションがシンプルなファンクションから本格的なアプリケーションに成長するとき、何が起きるのか。

Fission WorkflowsはKubernetesの上で動くので、どんなクラウドでも、プライベートなデータセンターでも、あるいはデベロッパーのラップトップ上でローカルにも、動かせる。デベロッパーは自分のアプリケーションをPython, NodeJs, Go, C#, PHPなどで書く。

しかしFission Workflowsには、Microsoft Flowのようなドラッグ&ドロップのインタフェイスがない。今のところデベロッパーは自分たちのワークフローを手書きしなければならないが、Platform9のCEOで協同ファウンダーのSirish Raghuramによると、そのうちWorkflows用のビジュアルエディターを作るそうだ。ただし、現在すでに、ワークフローを視覚化するツールはある。

Fission本体と同様に、Workflowsも完全なオープンソースにする予定だ。Raghuramによると、同社のビジネスプランは、そのオープンソースのフレームワークを顧客にサービスとして提供するときに課金することだ。今すでにKubernetesとOpenStackに関してはその方式だが、Fissionもいずれそのポートフォリオに加わるだろう。ソフトウェアそのものは今後もずっとオープンソースで、オープンコアやフリーミアムモデルに移行するつもりは、まったくない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ドラッグアンドドロップで使えるコードベースのデザインツール「STUDIO」、シードラウンドで5000万円を資金調達

ウェブページやアプリのデザインについて、「イメージやアイデアはあるけれども、コーダーにうまく伝えられない」「PowerPointなどで何とかイメージを伝えようとするが、実現したいデザインとは全く違うものになってしまう」という悩みを持つ、ノンデザイナー、ノンコーダーの設計者は多いのではないだろうか。また、設計者やデザイナーが意図した動きとコーディングの実装が違っていて、思った通りに動かない、ということもよく聞く話だ。

STUDIO」は、デザインスキルやエンジニアスキルがない人のサービス開発を助ける、デザインツールだ。ブラウザ上のツールで、ドラッグ&ドロップで追加したい要素を移動させることで、リアルタイムでウェブやアプリのデザインが可能。実際のコードベースのレイアウトでデザインでき、レスポンシブデザインにも対応している。デザイン確認用のURLも発行され、実機での動きのチェックも簡単だ。

STUDIOは2017年1月に先行事前登録を開始し、ベータ版を4月に公開。8月には、世界中のプロダクトを紹介するサイト「Product Hunt」で「#1 Product of the Day」を獲得し、世界でも注目されている。現在のユーザー数は1万人を超え、海外ユーザー比率が60%を占めるという。

「アプリを作るには、デザイナーがイラストベースでデザインを作ってから、エンジニアがコードを書かないといけなかった。これでは二度手間。STUDIOは『コードを書かずに(デザインをするだけで)サービスを作る』という考えからスタートしている。デザインのツールではあるが、それは『グラフィック』という意味ではなくて『設計』という意味でのデザインのためのツールだ」——サービスを提供するSTUDIO代表取締役社長の石井穣氏、取締役の甲斐啓真氏はこのようにプロダクトの開発経緯を語る。

STUDIOは、2016年4月にUI/UXデザインの受託開発を行うオハコのグループ会社、オハコプロダクツとして設立され、独自プロダクトのSTUDIO開発を進めてきた。2017年9月には現在の経営陣を実施してオハコから全株式を取得。社名をSTUDIOに変更し、独立した。

そして10月4日、同社はシードラウンドで5000万円の資金調達を実施したことを発表。引受先は、D4V(Design for Ventures)大和企業投資、およびエンジェル投資家2人。D4Vは、グローバルで展開するデザインコンサルティングファームのIDEOとベンチャーキャピタルのGenuine Startupsによって、2016年10月に設立されたベンチャーキャピタルだ。

STUDIO社では今回の資金調達により、「STUDIOを世界でシェアを取れるツールにするべく開発体制を強化させていく」とコメント。STUDIOを「今後、コードを書かずにWebサービスやアプリを作成可能なツールに進化させていく」としている。外部サービスとのAPI連携を強化。アプリのパブリッシュ機能等を強化していく。

クラスの児童生徒への小テストをネット利用で行うKahootが好調、企業向けの有料バージョンをローンチ

先生がネット上で、自分のクラスのための小テストを作って配るというシンプルなサイトが、ここまで成長するとは、誰も思わなかっただろう。でもKahootは、ローンチ直後から大ヒットした。数か月前にMicrosoft Venturesなどから2000万ドルを調達した同社が、今度はそのサービスの有料バージョンを立ち上げて売上を伸ばそうとしている。

そのKahoot Plusは主に、企業の教育訓練用だ。体験的に言っても、これまではひどいアプリケーションしかなかったから、Kahootなら勉強してみたいな、とぼくは感じている。

Kahoot Plusを使うと、小テストはユーザー企業専用の非公開領域に保存でき、各テストに企業のロゴが入る。教育訓練担当者/担当部門は、記録を見て各生徒の進歩をチェックでき、誰のどこを強化すべきか分かる。

同社はオスロで2011に誕生し、今では月刊アクティブユーザー数が5000万を超えている。

企業が教育訓練に投じるお金はアメリカだけでも2016年に700億ドルを超え、Kahootにはすでに企業ユーザーもいて、その中には“Fortune 500社の25%が含まれる”そうだ。今後は、企業を本格的に同社の収益源にしたいのだ。

Kahoot Plusの料金は、導入期で教育訓練対象者一人あたり月額10ドル、本番利用では月額15ドルだ。年会費を払えば、利用者数に制限はない。

KahootのCEO Erik Harrellはこう言う: “毎年、効果のない教育訓練に企業は数十億ドルのお金と数百万時間もの時間を浪費している。彼らのプレゼンテーションデッキはつまらないし、授業も退屈だ。教育訓練というものは、有用であるだけでなく、楽しくて、忘れがたい思い出になり、何かのヒントが得られ、そして引き込まれるような魅力も必要だ”。

Kahootの学校向けバージョンは、今後も無料だ。でも、“企業向けのPlusには、学校で使っても有意義な特長がある。たとえば成績/進捗報告機能が高度だから、生徒たちの実情をより詳しく分析できる”、とHarrellは述べている。

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Googleがアプリデベロッパーのための新しいデータベースCloud Firestoreを立ち上げ

Googleが今日、アプリデベロッパーのためのプラットホームFirebase用に、新しいデータベースサービスを立ち上げた。そのCloud Firestoreと呼ばれるデータベースは既存のFirebase Realtime Databaseを補完するもので、両者の重複部分も多い。

Firebaseの協同ファウンダーJames Tamplinによると、Realtime Database(RTDB)はつねに、Firebaseプラットホームの旗艦的プロダクトであった。そのサービスは今や、数十万ものデベロッパーに利用されている。そしてTamplinの説では、デベロッパーにそれほど人気があるのは、データベースアクセスがリアルタイムであり、しかも管理やスケールアップ/ダウンはGoogleがやってくれるからだ。

彼によると、しかしそうやってサービスの規模が大きくなると、デベロッパーが不満を感じる部分も出てきたので、それを解決するためにCloud Firestoreを立ち上げた。不満はたとえば、RTDBでは複雑なクエリを扱いにくい。プラットホームのアーキテクチャのせいで、同時接続デバイス数が10万を超えるとシャーディングでデータベースを分割しなければならない。それでは、RTDBの本来の利点がなくなってしまう。

既存のデータベースサービスの改築工事はきわめて困難なので、チームは新築を選んだ。Cloud Firestoreはまったく新たに設計され、さまざまなユースケースをサポートする。たとえば、ローカルなデータベースを併用してオフラインのアプリを作るとか、複数のアプリやユーザー間でデータのリアルタイムのシンクができる、など。

すべてのデータが複数のリージョンにまたがって自動的に複製され、整合性も完璧だ。また、前と同様、スケーリングは自動的に行う。

さらに、Cloud Firestoreのクライアント側SDKにはアプリの認証やネットワーキングのコードもあり、またそのバックエンドは、いくつかのセキュリティルールによりデータへのアクセスを制御し、ユーザーの正当性を検証する。したがってアプリは、ユーザー確認のためのプロキシなどを使わずに、直接データベースにアクセスできる。

そしてもちろん、これらがすべてFirebaseのプラットホームに深く統合されている。したがってGoogleのサーバーレスプラットホームCloud Functionsも使える。

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TechCrunch Tokyo 2017、スタートアップデモブースを20社分増枠しました

11月16日、17日に渋谷ヒカリエで毎年恒例のスタートアップイベント「TechCrunch Tokyo 2017」を開催する。

TechCrunch Tokyo 2017では、創業3年未満(2014年10月以降に創業)のスタートアップが会場内でブースを出展できる「スタートアップデモブースチケット」を用意している。いつも30社分のデモブースを用意しているのだが、今年は例年より多くのスタートアップの申し込みをいただき早くに売り切れてしまっていた。たくさんのお申し込みをいただいて嬉しい限りだ。

売切れ後も問い合わせが続いたこともあり、今年はより多くのスタートアップがデモブースを出展できるよう、20社分のデモブースを追加販売することに決めた。ぜひこの機会に出展を検討してみてほしい。

デモブースチケットは売り切れ次第販売終了となり、これ以降の追加販売は予定していない。また、10月20日を過ぎてお申し込みいただいた場合は、パンフレットへの記載が難しくなるので、出展を希望するスタートアップは早めに申し込んでほしい。

スタートアップデモブース2日通し券の価格は3万5000円。チケットには2名分の入場チケットが含まれている。申し込み条件は創業3年未満(2014年10月以降に創業)のスタートアップ企業のみだ。なお、上場企業の子会社や、創業3年以上の外資系企業の日本法人の出展は対象外とさせて頂いている。また、公序良俗に反する、イベント趣旨に沿わないなど、出展内容によってはお断りする場合があるので、ご承知おきいただきたい。

デモブースの仕様は下記の通り。デモブースに関するFAQも合わせてご確認いただければと思う。

スタートアップデモブースのチケット購入はこちらから

Hondaの新しいロボットは、災害救助に活躍が期待される

Hondaの新しい二足歩行ロボットは、Asimoほどのカリスマ性はなくても、実用性はずっと高いかもしれない。このロボットは災害救助モデルで名前をE2-DRという(実にスターウォーズ的)。柔軟な関節を備え防水デザインで歩行速度は時速2km。はしごを登り、がれきの上を這いまわり、極端な温度でも動作し、様々なセンサーを装備してほぼどんな照明条件でも視界を確保できる。手には 深度検知カメラを内蔵している。

E2-DRは、ワイヤレスアクセサリーと協調して働くことも念頭に作られていて、状況に応じて様々な機能を付加できる ―― ものをつかんだり、制御装置を操作するための精密な手など。身長は165 cm、体重は84 kgと、このサイズのロボットとしては比較的軽量だ。さらに一番厚い部分の厚さが25 cmなので、狭い場所にも這っていける。


ロボットは1000 Whのバッテリーを搭載しており、最長約1時間半動作できるので複雑な現場でも威力を発揮するだろう。また膝と腰が曲がるので、しゃがんだ姿勢をとれるほか、特殊な地形に対応するための4足歩行も可能だ。

まだまったくのプロトタイプなので、誰かを助けられるようになるにはまだ時間がかかる。しかしこれはスタートであり、将来の商用利用の可能性をもつ実用プロトタイプと言えるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

導入実績500社、MA“ベンダー”スタートアップのtoBeマーケティングが4億円調達で体制強化

マーケティングオートメーション(MA)ツールの導入支援を行うtoBeマーケティングは10月4日、複数のベンチャーキャピタルを引受先とする第三者割当増資により総額4億円を調達したことを明らかにした。今回のラウンドには既存投資家のDraper NexusとSalesforce Venturesに加え、新たに三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタルが参加している。

2015年6月設立のtoBeマーケティングは同年9月にDraper Nexusから3000万円2016年6月にDraper NexusとSalesforce Venturesから2億円を調達しており、今回がそれに続くラウンドとなる。

2年間で蓄積したメソッドやナレッジを仕組み化、顧客は500社を突破

toBeマーケティングでは創業時から一貫してSalesforceの提供するMAツール「Pardot」とCRMツール「Sales Cloud」「Service Cloud」を組み合わせた導入支援、活用コンサルティングを提供してきた。

資金調達をするデジタルマーケティング関連のスタートアップといえば、MAツールを含め自社でプロダクトを開発している企業が多い。その中でtoBeマーケティングのように既存のツールを顧客に供給する“ベンダー”の存在は少々異質だ。

とはいえ市場の成長と相まって2016年6月には170社ほどだった顧客は現在500社を突破した。毎月継続的に顧客数を積み上げていて、来年度の目標は1000社。その先にはエグジットを見据える。

toBeマーケティングの特徴はオリジナルの導入支援・活用サポートに加え、MAツールを補完する一連のサービス「MAPlus(マプラス)」を提供していることだ。

たとえばPardotのビジター情報のIPアドレスを解析することで、企業名を特定する「ABMサポート」はその1つ。従来は1人のウェブ閲覧者にすぎなかったユーザーを企業単位で可視化することができれば、その後のマーケティングやセールスのやり方は大きく変わってくる。

単なるベンダーではなく「このような機能があればよりMAツールが便利になる」という補完的な機能を自社で開発し提供していることが、toBeマーケティングの強みだ。

加えて代表取締役CEOの小池智和氏の話では、サービス開始から2年ほどが経過しメソッドやナレッジが蓄積され、効果的な体制を構築できてきたことも成長の要因だという。

たとえば以前は属人的だったMA導入時のサポートも、現在はポイントを150個ほど定義しそれに沿って画一的に行っている。導入後にやるべきことはトレーニングメニューとして仕組み化。MAツールを実際に運用する際には「伴走活用支援」として顧客ごとにメニューを作るが、それでもいくつかのパターンに類型化されるため、基本的にはカフェテリアのように用意されたものから選択する形式だ。

そこに動画コンテンツやオンラインセミナーを用意し疑問点を解決できる環境を用意しサポートしつつ、個別の対応が必要な場合は時間単位で金額を設定し応じる、といったようにこの2年間でシステマチックな体制を作り込んできた。

MAPlusと伴走活用支援を強化し、導入支援実績1000社を目指す

今回小池氏の話で興味深かったのが、ここ1年ほどで「顧客のフェーズが変わってきた」という話だ。

「Google アナリティクスやグループウェアと同じように、ウェブサイトを持っていて何かをやる企業はMAを検討するフェーズになってきている。以前は啓蒙活動に近かったが、最近ではMAの導入は決めたけどどれにしようか迷っているという顧客に提案する機会が多い。MAに対する予算が確保されているというメリットがある一方で、複数のツールと常に比較されるという難しさもでてきた」(小池氏)

実際toBeマーケティングが支援する企業は大手製造業メーカーや、地方の中小企業などバラエティに富んでいて、一見MAツールと距離がありそうなイメージの企業も多い。「MAの認識が変わりチャンスが広がってきている状況」だからこそ、さらなる成長を目指し資金調達を実施した。

toBeマーケティング代表取締役CEOの小池智和氏

今回調達した資金を元に、toBeマーケティングではMAPlusの開発と伴走活用支援の体制を強化する。MAPlusについては「メールが開封されなかった場合に資料を郵送する」などMAツール上でとれる選択肢を増やすとともに、現在提供している機能を改善し使い勝手の向上を計る。

伴走活用支援の体制については、特に企業のMA活用を支援するカスタマーサクセス人材の採用、育成が今後の成長に直結するため重点的に強化するという。

「最近よく言われるのが、MAはやりたいけど運用できる人がいないということ。MA専属の人材をつけるほどではないが、運用をサポートできる人が欲しい企業は多く(ここがどれだけ充実するかで)成果が変わる。MAツール自体は他社のものでいいが、それを保管するツールや支援体制を提供することでより多くの企業をサポートしていきたい」(小池氏)

Google Cloud、「カスタムの役割」で細かい権限設定を可能に

Google Cloudのように多様なプラットフォーム上のサービスを誰が利用できるかを決めることは、IT管理者にとって悩みの種だ。Googleは、数多くの設定済みの「役割」(roles)を提供するなど様々な努力をしてきたが、出来合いの役割では万人のニーズに合わないことを認識し、 custom roles[カスタムの役割]を今日発表した。

名前が示す通り、管理者は組織内の異なる仕事に応じて、役割を広くも狭くも定義することができる。プラットフォーム上には、オーナー、エディター、ビュワーという3種類の基本的役割がある。さらにサービスに特化した役割が100種類提供されるが、それでもニーズに合わないときはカスタムの役割の出番だ。

GCPの定義済み役割の例。出典:GCP

Googleのプロジェクトマネージャー、Rohit Khareが新機能を紹介するブログ記事にこう書いている:「カスタムの役割は基本的役割や定義済みの役割を補うことで、より詳細な分担が必要な場合に対応できる」。KhareはCloud SQLデータ監視者の事例を挙げた。収集されたデータを理解するためにデータベースをアクセスする必要はあるが、データの書き出しやデータに対するアクションは不可能にしたいケースだ。

Khareはブログ記事でこう説明している:「例えば『クラウドSQLインベントリー』というカスタムの役割を作って、監視者にデータベースの閲覧のみ可能で、コンテンツのエクスポートは不可能な権限を与えることができる」。

新しい役割を作る最善の方法は、既存の役割をコピーして、名前や権限を修正することだとGoogleは言っている。また、カスタムの役割を作る際は、それを追跡するシステムが必要だと注意している。それはGCPが常にプラットフォームをアップデートしているため、カスタム権限が最新バージョンに合致していることを確認する必要があるためだ。

Googleはこれまでも多くの利用場面に合わせた様々な権限を提供してきたが、例外は必ずあるものなので、管理者にカスタムの役割を作る機能を与えることは、定義済みの役割以上に綿密な管理を行いたい企業にとって魅力だろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Mozillaのオープンソース助成制度MOSSは今期の交付額総計が50万ドルを突破

Mozillaは、同団体のオープンソース助成金制度Mozilla Open Source Support(MOSS)の今期(4-9月)の交付総額が53万9000ドルだった、と発表した。この助成金の対象は主に小さなプロジェクトだが、今回はとくに安全とセキュリティをメインテーマとした。

最高額19万4000ドルを交付されたUshahidiは、助けを求めている人が必要としている情報を、素早く集めて散布する。災害で道路が交通不能になっている人たちや、抗議活動で催涙ガスなど警察の攻撃に遭っている人たち、選挙で特定候補への投票を脅されている人たちなどだ。

10万ドルを交付されたRiseUpは、活動家たちのための安全な通信ツールを提供する。クロスブラウザーな(ブラウザーの種類を問わない)フォーマットWebAssemblyの一環としてJavaScriptのモジュールをロードするローダーWebpackが、12万5000ドルを受け取った。HTML5によるゲームエンジンPhaserが5万ドル、HTTPSのデプロイを容易にするシステムの一部であるmod_mdが、7万ドルを交付された。

次期のMOSSは、特定の地域、最初はインドを対象とする。すなわち次回も対象は複数の比較的小さなプロジェクトだが、インド関連がメインになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

植物EC「HitoHana」提供元が1億円を調達――飲食予約からピボット、フラワー業界の課題解決へ

植物ECサイト「HitoHana」を運営するBeer and Techは10月4日、グローバルブレインと既存株主のANRIを引受先とする第三者割当増資により総額1億円を調達したことを明らかにした。

今後同社では生産やデザイン、販売まで自ら手がけるD2C(Direct to Consumer)モデルを展開していくとともに、法人向けの卸売・委託直送サービス「HitoHana for Business」を本格化させていく。

Beer and Techは2014年にANRI、プライマルキャピタル、East Venturesから資金調達を実施。当時は「スマート予約」という飲食店予約サービスを展開していたが、2015年末に現在のHitoHanaへとピボット。今回が2回目の資金調達となる。

6000点の商品と泥臭いオペレーションを武器に成長

HitoHanaは2016年から開始した植物ECサイトだ。「個人の観賞用」領域に特化していて、現在は鉢物だけで約6000種類の商品を扱う。インテリア需要などが中心となるが、顧客の趣味趣向に合わせて豊富なバリエーションから商品を選べるのが特徴。Beer and Tech代表取締役の森田憲久氏の話では、すでに単月で黒字化を達成しているという。

「リアルな生花店やホームセンターでは店舗面積の関係で扱える商品数に限りがあり、商品数ではECに分がある。同業の通販サイトでは多いところでも品数は800点くらいだが、HitoHanaでは6000点をそろえることで細かいニーズにも応えられている」(森田氏)

この6000点というのは植物と鉢を組み合わせた総数だ(植物が6000種類あるわけではない)。他社は鉢物に加え、切花も扱っているため植物の品種自体は「おそらく他社の方が多い」(森田氏)という。

商品数の差は、サイズの違いや鉢との組み合わせなど細かいパターンの数から生まれているのだが、なぜこのような結果になっているのだろうか? この理由について森田氏に聞くと「動機の不在」「店舗をベースにしたEC」という2つが考えられるという。

まず動機の不在については、そこまで品数がいらないのではないかという考えが浸透しているそうだ。特に法人向けに胡蝶蘭など植物を販売する場合は、品数よりも値段や早さが要求されるため、品数を増やす必要性は少ない。

実はHitoHana自体も当初はラクスルをモデルに法人向けECからスタートしたものの、差別化の難しさもあり個人向けに変更したという経緯がある。また店舗ありきでECを始めた企業については在庫スペースの問題などから品数を増やしづらいが、HitoHanaの場合はスタートがECだったためこのような問題はなく、消費者のニーズに応えるべく商品数を増やし続けることができた。

このHitoHanaを裏で支えるのが、これまで時間をかけて作り上げてきたというオペレーション体制だ。2017年3月には自社のフルフィルメントセンターを埼玉に開設し、商品の撮影など細かい業務も含め一連の工程をこの場所で行っている。本社機能も同じ場所にあり、事業が拡大したため渋谷から埼玉にオフィスを移転したという珍しいスタートアップだ(ちなみに今後本社機能は都内へ移転を検討しているとのこと)。

埼玉にあるBeer and Techオフィス。写真右側が代表取締役の森田憲久氏。

蓄積データを活用したD2Cモデルの展開へ

一見シンプルな植物のECに見えるが実は裏の泥臭いオペレーションが大変で、この体制を構築してきたからこそ今後テクノロジーを活用した新たな展開ができるという。その1つが自社で商品の生産からデザイン、販売までを手がけるD2Cモデルだ。

「同じような商品でもデザインパターンが違うだけで売り上げが変わるなど、生の購買データが蓄積されてきた。このデータを分析し提携農家ともタッグを組みながら、顧客に支持される仕立てや品種を企画する。加えてまずは鉢からになるがプライベートブランドも立ち上げる。『どこの花屋から商品を買ってもあまり違いはない』という顧客の常識を変えていくチャレンジができれば」(森田氏)

直近では現在扱っていない切花部門を立ち上げ商品数を拡大する予定だが、そこからはデータを活用しながら新たな取り組みを行っていく。

またBeer and Techでは2017年1月から法人からのニーズを受け、卸売・委託直送サービスHitoHana for Businessも始めた。近年インテリアショップやリノベーション事業者などが植物を扱うようになっているが、専業ではない企業が在庫リスクを背負ったり、手厚いサポート体制を整えるのは難しい。

そこでHitohanaの持つ在庫や配送網を活用して、豊富な商品のタイムリーな納品や店頭での委託販売を実現。すでに複数の事業者から問い合わせがあり今後は大阪や名古屋、福岡など地方都市への展開も進めていくという。

飲食店予約サービス「スマート予約」は大きな注目を集めたが…

Beer and Techの創業は2014年の8月。当初は「スマート予約」という飲食店予約サービスを運営していた。スマート予約は日付や人数、利用目的などを入力すると10分以内に空席かつ人気のお店を3店舗紹介。利用者は好きなお店を選べば、運営側で予約してくれるというサービスだ。

便利さが受けて話題になり、VCから資金調達も行った。ところが実際にサービスを運用していくと、ユーザーは増えるもののリピートされないという課題に直面。そこで店舗を提案するのではなく、指名された店をダイレクトで予約できるシステムに方向転換したという。

外部に飲食店の空席データベースを解放したところ、googleの検索順位も上がり多くの人の目に触れるようになったが、今度は人気店を中心に混乱を招き飲食店からクレームが入る。

「送客自体はできていて営業もとれていたので、たとえばキュレーションメディアのような形でユーザーを集め店舗に送客するビジネスもできなくはなかった。ただそれは他の会社でもできることだし、別の形で社会に必要とされるビジネスをやりたいと思い2015年10月にクローズを決めた」(森田氏)

あらためてゼロから事業アイデアを練る中で行き着いたのは、森田氏にとって“なじみ”のある花卉業界だった。実は森田氏の実家は花の生産者。野菜や魚に比べても卸売市場を経由する割合が高く、顧客の声が作り手に届いていないという課題をテクノロジーで解決するべく、HitoHanaを立ち上げた。

「これまでの約1年は実際に花卉(かき)業界に入って学習してきたフェーズ。その中で現場のニーズにも気づき、HitoHanaやHitoHana for Businessをリリースしてきた。これからは学んできたことや蓄積してきたものとテクノロジーを掛け合わせて新しいモデルを作っていきたい」(森田氏)

Teslaの電動セミトラックらしき車両を発見!

これは、Teslaが今月末に発表するという新型セミトラックだろうか? Reddit投稿された(後に削除され、また投稿された)この写真は、Tesla自身が公開したティーザー写真に偶然とは思えないほどよく似ている(via The Verge)。流線形のフロント部分も電気駆動を思わせる。

Tesla自身が出した画像(下)はほとんどが暗くて比較は難しいかもしれないが、明確な特徴である張り出したフェンダーと角度のついたヘッドライトは、Redditのスクープ画像でもはっきり見て取れる。上野写真は「カリフォルニアのどこか」で撮られたもので、そこはTeslaが走行テストを行う場所として知られている。


Teslaが正式にセミトラックを発表するのは、Elon Musk自身が事前に予告していた10月26日のイベントだ。噂によるとトラックの航続距離は1回の充電で200~300マイル(320~480 km)で、これは長距離輸送には向かないものの本格的全電動貨物トラックとして非常に魅力的な数字だ。気になるのは、充電方法 -― と充電時間だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SoftBankの投資の狙いを推理する

シリコンバレーではSoftBankが1000億ドルのビジョン・ファンドでいったい何を目論んでいるのかいぶかる声が聞かれる。私的な会話では「酔っぱらいのガンマンが四方八方に小切手の弾を撃ちまくっている」という声も陰口も出ている。

しかしSoftBankに近い情報源によれば、一見クレージーなSoftBankの行動にも原則があるのだという。この情報源はSoftBankはビジョン・ファンドの投資によって最低20%の内部利益率(IRR=internal rate of return)を確保することを目標としていると語った。ファンドの投資先は人工知能、機械学習から製薬、ユーティリティー、ライドシェアリングまで多種多様だ。SoftBankはこうした投資から得た情報をさらに無数のチャンスに変えていくという。

情報源によれば、SoftBankの狙いは、KKRのようなファンドよりも大きい利益を上げることだ。KKRの最初の18件の投資ファンドは投資額の2倍の価値を生み、正味IRRが18.9%だった。SoftBankに近い情報源の1人は「[ビジョン・ファンドに]投資していればKKRやBlackstoneに投資するより儲かるはずだ」と語った。

実のところ、20%のIRR(向こう7年間についての予測)というのはSoftBankにとってワーストケース・シナリオだという。「最良のケースではマサ〔孫正義氏〕がこれまで挙げてきた実績なみの収益を期待できる」と情報源は述べた。

18年間の投資でSoftBankは44%のIRRという成績を誇っている。しかし この成績の大半は「SoftBankのファウンダー、孫正義が2000年のAlibabaの設立最初期から投資したことによっている」と批判するものもいる。 孫氏は5800万ドルを投資してAlibabaの株式を取得したが、現在はこれに1300億ドルの価値があり、別の企業を買収するためにその一部を売却しただけでも100億ドルになった。

Higher And Higher

ビジョン・ファンドが目標とするようなIRR(7年にせよ、もっと標準的な10年にせよ)といえば、封筒の裏に走り書きするような簡単な計算でも、ファンドの投資者にとって1300億ドルから4300億ドルの間の金額から当初の投資額、管理費、借り入れ額など合計、440億ドル程度を差し引いた額を意味する。

LP(リミッテッド・パートナー)がこれだけの成績を挙げることをは容易ではないはずだ。いったいどうやって実現するつもりなのか? 情報源によれば、SoftBankはライドシェアリングを重要な柱と考えているという。もっと詳しく言えば、SoftBankは現在のライドシェアリング企業が順調に成長して巨大な自動運転タクシーのネットワークという新しい交通インフラとなることを期待している。

このビジョンにもとづいてSoftBankはすでに数多くの投資を行っている。中国では滴滴出行(Didi Chuxing)、東南アジアではGrabといったライドシェアリングのメジャー企業に多額の出資を」している。インドでこの分野最大の企業、 Olaが昨日20億ドルの資金調達ラウンドを完了したが、これにもSoftBankが加わっていた。

もちろんアメリカのライドシェアリング企業を成長させることもSoftBankの戦略のきわめて重要な部分だ。SoftBankはUberとLyftに関心を持っていることを以前から公言していたが、結局Uberに投資することになった。事情に詳しい情報源によれば、Uberの取締役会は10億ドル分の株式をSoftBankに売却するという案を承認したが、これはSoftBankがLyftに投資することになるのを恐れたために「金を受け取らざるを得なかった」のだという。

UberがSoftBankを恐れていたのか内心軽蔑していたのかは不明だが、SoftBankが投資してくれないと困るという不安はシリコンバレーに広がりつつある。

先月TechCrunch Disrupに登壇したベンチャーキャピタリストのSteve Jurvetsonに私がSoftBankの投資のインパクトを尋ねたところ、Jurvetsonhは「ある種のキングメーカーだ。ある会社に巨額の資金を投資、別の会社にはしない〔ことによって王を指名できる〕」と述べた。

「ただし長期的にみれば、そうした効果はノイズのようなものだ。成功は結局プロダクトやサービスの質にかかってくる。しかし〔大きな投資は〕短期的には競馬の順位を入れ替えるといった〔程度の〕シフトを生み出すかもしれない」とJurvetsonは付け加えた。

【略】

すべての投資が金を生んでいる

巨額の手元資金にもかかわらず、SoftBankはすでに痛い失敗もしている。

たとえば、先週だが、SoftBankがバイオ製薬企業Roivant$11億ドルの投資ラウンドをリードしてわずか1か月後、Roivantの子会社、Axovantが開発しブロックバスターになると期待されていたアルツハイマーの治療薬に効果がないと判定された。

Axovantの株価はたちまち暴落し、同社の最大の株主であるRoivantに大打撃を与えた。

これはSoftBankにとっても最悪のニュースと思われたが、これでSoftBankの投資戦略を判断するのは早計だったらしい。昨日、Roivantは良いニュースを受け取った。Roivantと日本の武田薬品が共同で設立した子会社が開発していた子宮筋腫の治療薬がフェーズ3の治験で好結果が得られたという。

SoftBankに近い情報源は「〔ビジョン・ファンドが〕何か間違った投資をしていたとしても1年半以内にその結果が分かることはない」と語った。

この人物はNvidiaに対する投資を例として指摘した。Nvidiaは公開企業だが、SoftBankはこの5月に40億ドル分の株式を買収した。この時点で株価は137ドルだったが、現在は180ドルに跳ね上がっている。「今のところすべて金を生んでいる」と情報源は述べた。

画像: Tomohiro Ohsumi/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

その炎は「火事」か、「焚き火」か――SNS上の事故・災害情報をいち早く報道機関に提供するSpecteeが2.7億円調達

カメラを搭載したスマートフォンの世帯保有率が70%を超える今、報道機関ではない僕たち一般人が、事件、事故、災害の第一報を伝えることができる世の中になった。そんな中、報道機関もSNS上にアップされた画像や動画をニュース番組などに利用するケースが増えている。

そこで活躍するのが、Specteeが展開するSNS速報サービスの「Spectee(スペクティ)」だ。同社は9月25日、YJキャピタル共同通信イメージズみずほキャピタルアルコパートナーズクオラス、および元マイクロソフト社長の成毛眞氏などから総額2.7億円を調達したと発表した。

Specteeは、SNS上にアップロードされた事故や災害の画像、動画、テキストをAIが自動収集し、報道機関向けにいち早く配信するサービスだ。同社の画像解析技術は高く、画像に写る炎が「火事」なのか、それとも単なる「焚き火」なのかを見分けることもできる。周りにいる人々が炎からどれほど離れているか、そして、その人たちがどのような表情をしているのかなどを総合的に分析して判断するのだ。

同社は1つの事象ごとに複数の画像・動画をまとめ、それを報道機関向けに提供するダッシュボード上にリアルタイムでアップロードする。報道機関がそれをニュースにすると判断した場合、SNSユーザーに画像や動画の使用許諾を取るという流れだ。

Specteeはこれまでに、テレビ局と新聞社あわせて100社以上を顧客として獲得している。Spectee代表取締役の村上健治郎氏は、「独立系の地方テレビ局などをのぞけば、日本のテレビ局はほぼカバーできている」と語る。

画像解析の優位性

日本にはSpecteeと同様のサービスを提供する企業は他にもある。データセクションJX通信社などがその例だ。

それらの競合サービスとの違いについて、村上氏は「情報を提供するスピードは、正直どこも似たようなもの。しかし、Specteeの精度は他サービスよりも優れていると考える。他サービスはテキスト解析をベースにしたものが多いが、それでは事故や災害とは関係のない情報も流れてきてしまう」と話す。

それでは、ちょっと簡単な検証をしてみよう。Twitterの検索窓で「火事」と入力してみると以下のような結果になった。

検索結果のなかには本物の火事を映した画像もあるが、まったく関係のない画像も表示されていることが分かる。もちろん、他社サービスのテキスト解析が単なる文字検索と同等の精度だとは思わないけれど、テキスト解析では関係のない情報も流れてきてしまうという村上氏の主張には納得できる。

「たとえば、辛いラーメンを食べて『口のなかが火事』というようなツイートが表示される可能性もある。ユーザーが火事の現場を目撃して画像をツイートするとき、実際には『火事だ!』ではなく『やばい!』とだけコメントする人も多い」(村上氏)

品詞分解して見出しを自動生成

画像解析技術と並び、Specteeの肝となる技術がもう1つある。複数のテキストを品詞分解することでニュースの見出しを自動的に生成する技術だ。

Specteeのダッシュボードには、ユーザーがSNS上にアップロードした画像・動画に加えて、そのニュースを要約した“見出し”が表示される。複数のテキストを品詞分解し、その中から関連度の高い文字ピックアップして組み合わせることで、「北海道のコンビニで火事」などの見出しを自動的に付けているのだ。そして、Specteeはその見出しを音声で読み上げる機能も搭載している。

「ニュース記者もSpecteeのダッシュボードにずっと張り付いている訳にはいかない。音声で見出しを読み上げれば、記者は他の仕事をしながらでも情報をフォローできるので、この機能には定評がある。しかし、そもそも見出しを生成できなければ読み上げることもできない。だから、見出しを生成する技術はSpecteeにとってコア技術の1つでもあるのです」(村上氏)

チーム運営機能の追加と海外展開

今回の資金調達で2.7億円を手にしたSpecteeは、ダッシュボードへの機能追加と海外展開を目指す。

現在のダッシュボードは、SNS上の情報を収集して報道機関に配信するという機能のみが搭載されている。しかし、報道機関は1つのニュースに複数の担当者がつくことも多く、こなすべきタスクも多い。素材の使用許諾を取らなければならないし、取材もしなければならない。

そこで、Specteeはダッシュボート上の画像や動画にコメントを追加できる機能や、ステータスを管理(「使用許諾を取得中」など)する機能などを追加することで、チームでの運営がより簡単になる仕組みを取り入れる予定だ。

また、Specteeは海外展開にも意欲的だ。特定の業界だけをターゲットにする以上、限られたパイを取り尽くせばおのずと海外に出て行く必要がある。また、画像解析をベースとするSpecteeは、テキスト解析ベースのサービスと違って言語の壁がなく、海外展開もしやすい。

Specteeは海外展開の第1弾として、2017年6月にAP通信との業務提携を発表。これにより、SpecteeはAP通信が展開する映像配信サービス「AP Video Hub」を通じて、収集した映像を海外の報道機関に販売することが可能になった。

映像の販売は売り切り方式で、単価の相場は約300ドル。Specteeの取り分はその60%だという。AP Video Hubに日本企業が参加するのはこれが初めてのことだ。

2016年6〜8月における海外への動画販売数の割合

「昨年の終わりから今年はじめにかけて、海外の報道機関にダッシュボードを直接販売しようとしていた時期もあった。しかし、それには現地での営業やサポートに人員が必要で、今のSpecteeの体力では難しいことが分かった。それならば、当面は海外のプラットフォーマーに乗っかってしまうのが得策だと考えた」と村上氏は話す。

2014年2月に創業のSpecteeは、これまでにフジテレビなどから推定1億円前後の資金調達を実施している。

そうそう、同社は昨年のTechCrunch Tokyoで開催されたスタートアップバトルの参加企業でもある。もちろん今年のTechCrunch Tokyoでもスタートアップバトルを開催するので、創業3年未満のスタートアップ諸君はぜひ参加してもらいたい

Specteeのチームメンバー。前列左から2番目が代表取締役の村上健治郎氏。

Apple、iOS 11.0.2をリリース――iPhone 8の通話時のノイズなどバグを修正

iPhone 8、iPhone 8 Plusを購入したユーザーの一部はやっかいなバグに悩まされていた。 新しいiPhoneでは通話中にノイズが聞こえることがあった。Appleは先ほど、iOS 11.0.2をリリースしたが、このアップデートには問題のバグも修正も含まれている。

iPhone 8/8 Plusの発売直後から多くのユーザーが通話中にノイズが聞こえることを報告している。TechCrunchの同僚も2つの個体でこの現象を確認していた。

すべてのiPhoneに見られる不具合ではないことから、当初はハードウェアの欠陥が疑われた。しかし先週Appleが iOS 11.1ベータの最初のバージョンを発表するとこの不具合は消えていた。そこでAppleはユーザーがiOS 11.1を待たずにすむよう、バグフィックスを目的とする11.0.2を急きょリリースしたわけだ。

OSアップデートの手順は以下のとおりだ。iPhoneで設定アプリを開き、「一般」タブから「ソフトウェア・アップデート」を開く。Appleはマイナー・アップデートでも多数のバグを修正しているのが通例なので、iPhone 8を持っておらず現在のiOS 11.0で問題なくデバイスを利用できているユーザーもアップデートを実施しておくことをお勧めする。

コンピューターからアップデートしたい場合はデバイスを接続してiTunesを開く。アップデートの前に重要なデータはバックアップしておくのをお忘れなく。アップデートでは何が起きるかわからない。iCloudでバックアップしている場合は正常に動作していることを確認する必要がある。あるいはiTunesを使って手持ちのコンピューターにバックアップしてもよい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

World Viewの成層圏気球がツーソン本社からの浮上操作に成功、商用化に一歩前進

成層圏気球をさまざまな目的のために提供するWorld Viewが、同社の発表によると、アリゾナ州ツーソンの本社から、その最初の浮上に成功した。その新しい本社は公式には2月にオープンしたが、その後今日まで各種の準備作業に追われ、本日(米国時間10/1)やっと初浮上に至りついた。

World Viewは高高度の気球船を使うことにより、商用宇宙ビジネスに新しい分野を開拓しようとしている。その気球は地球の大気圏の上端で運用され、科学研究や観測などの目的に、低地球軌道人工衛星よりずっと安い費用で利用できる。その成層圏高度は、長期的な観測サイトにも適しており、気象観測や国防用途にも向いているとされる。

ツーソンにおける初浮上は、土曜日(米国時間9/30)に行われ、その前の気球充填テストは8月半ばに行われた。ツーソンの本社には浮上のための施設設備だけでなくオフィスもあり、巨大な気球を手作業で組み立てるための世界最長のテーブルもある。将来的には客室のある気球も構想しており、それが実現したら成層圏観光旅行や科学者たちの搬送も可能になる。

World ViewのCEO Jane Poynterによると、ツーソンからの最初の浮上は同社の(ブランド名)Stratollite気球の一連の開発および立証過程における、重要な里程標のひとつにすぎないが、今日の成功を踏まえて今後は徐々に、長期の滞留や永続的ステーションの実現に向けて努力していかなければならない、という。

ツーソン本社ではなく試験サイトからの浮上では、すでに気球の27時間の連続飛行に成功している。複数の気球の、数時間でなく数か月の一斉滞留が可能になれば、商用の運用もできる、と同社は考えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Truphoneは調達した3億3900万ドルで負債を返済し、IoTデバイスの接続事業に賭ける

低コストの国際的なモバイル音声通話およびデータプラン通じて名を上げた、ロンドンを拠点とするモバイル企業Truphoneは、通信の未来に突き進むための戦略として、とても大きな一歩を踏み出した。同社は2億5500万ポンド(3億3900万ドル)という巨額の資金を調達し、負債を帳消しにした上で携帯電話にとどまらないデバイス間のデータ接続に賭けようとしている。

この投資は、株主割当発行(rights issue)としておこなわれる。すなわち株式が既存株主に対して特別価格で発行されるのだ。今回のケースでは2つの投資ファーム、MindenとVollin Holdingsがその対象だ。これらはロシアの新興財閥で特にサッカーチームChelseaを所有していることで有名なRoman Abramovichが関係するファームである。本日(米国時間10月2日)のニュースに先立ち、彼らはすでにTruphoneの株式の83%を所有していた。

Truphone CEOのRalph Steffensは、TechCrunchに対して、このラウンドはTruphoneを、3億7000万ポンド(4億9100万ドル)と評価したと語った。これは、Truphoneのこれまでに報告されたラウンドに比べて大きなプレミアムではなく、会社がこれまでに調達した資金よりも遥かに少ない。2013年には Truphoneは3億ポンドの評価で7500万ポンドを調達し、現在までに合計で6億ドル弱を調達している。

Steffensによれば、本日の投資の大部分は、Truphoneの負債を返済し、綺麗な状態で進めるように使われるということだ。

同社は2006年以来営業を続けており(私は同社を「スタートアップ」と呼んでも良い期間は、いささかオーバーしていると思っている)、最後の3〜4年の間にビジネスの拡大に伴い約2億3900万ポンドの負債を抱えることになった、とSteffensは語った。

調達資金の残りの部分は会社の投資に回され、特にIoTビジネスでのさらなる買収に使われる。この領域は、Truphoneが既にある程度の基礎を作り上げているところなのだ。「数日の内には発表できる、戦略的買収を進めているところです」と彼は語った。

インターネットに接続できる新しいスマートデバイスの急増は、そうした接続を提供する新たなスタートアップグループの参入を招いている。Truphoneに加えて、同じ事業分野の他の企業としてはCubic Telecomが挙げられる。同社はAudiとコネクテッドカーで協業し、その成長のための資金調達も行っている。

Steffensによれば、Truphoneは「自動車メーカーとの取引」もしているが(メーカー名を挙げることは拒否)、同社のIoTへの関心はそれをさらに超えているということだ。「 当初は自動車業界に焦点を当てていたのですが、ここ6〜9カ月の間には、他の業界からも大きな商談が持ち込まれています」。

興味深いことに、Truphoneの基本的な技術は、同社のレガシービジネスの根幹であると同時に、これから参入したいと考えているビジネスの根幹でもあるのだ。

Truphoneがユーザーに低価格の音声通話並びにデータプランを提供できていた理由は、複数の国の複数のキャリアからの通信容量を、組み合わせることのできるソフトウェアを持っていたからなのだ。これによって、Truphoneユーザーはある容量を購入するだけで、それを様々な国で追加料金なしで利用することができるようになる。

そしてこれからは、安価な音声通話とデータに対するものと同じフレームワークを使って、それを必要とする任意のデバイスに適用し、新しいホームセキュリティや工場の機械のための通信路を提供することができるのだ。

「私たちは投資家のコミュニティから、正しい方向に進んでいるという点で、高い信頼を寄せて貰っています」とSteffensは、TruphoneがIoTに深く入り込もうとしている点について語った。「高度なソリューションを提供するために、一流企業や優良企業の皆さまたちと密な話し合いをする機会が増えています」。これらは自動車だけでなく、これから市場に登場する、より広い範囲の「スマート」なデバイスに対応する可能性があると彼は語った。

一方、同社の現在のビジネスは、従来のサービスの上で継続していく。

これには、220カ国で現在3500社の企業顧客向けに提供されている、Truphoneの低価格モバイルサービス(ローミングパッケージの明白なターゲット市場)、そして新しいAppleとの戦略的パートナーシップのような活動が含まれている。

TruphoneはAppleのeSimベースハードウェアの接続プロバイダーとして働いている(現段階ではiPadだけが対象となっている)。Steffensは、このパートナーシップのことを、現時点で「フルスピード」で取り組んでいる事業だと表現した。Truphoneは、今年の末までに30の市場で、そして来年には54の市場で、Appleデバイスを用いることができるようにすることが目標だ。

Steffensは、Truphoneは2018年には「高い収益性を達成するでしょう」と付け加えた。「それは英雄的な努力を必要とするものではありませんし、超一流企業との契約が必要となるものでもありません。つまり現在のビジネスの延長線上で達成できるということなのです」。

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(翻訳:Sako)
FEATURED IMAGE: NICOELNINO/GETTY IMAGES

福岡発AI・IoTスタートアップのスカイディスクが7.4億円を調達、提供分野の拡大と海外展開目指す

AIやIoT を活用したソリューションを提供するスカイディスクは10月3日、ニッセイ・キャピタル、 DG Daiwa Ventures、環境エネルギー投資、山口キャピタル、加賀電子、ドーガンベータ、アーキタイプベンチャーズを引受先とする第三者割当増資により、総額7.4億円を調達したことを明らかにした。

スカイディスクは2013年に福岡で設立。2016年の1月にニッセイ・キャピタル、アーキタイプベンチャーズ、ドーガンが運営するファンドから1億円を調達していて、今回はそれに続く資金調達となる。

センサデバイスからAI分析サービスまでワンストップで提供

スカイディスクの特徴はAI・IoTを現場で導入するのに必要な機能をワンストップで提供していることだ。

具体的にはデータを取得するための「センサデバイス」、そのデータをクラウドに届けるための「通信システム」、取得したデータを蓄積する「データ蓄積クラウド」、貯まったデータを分析するための「AI分析・学習モデル」といった技術やシステムを全て自社で保有。様々な業界の課題に合わせて、IoTとAIを活用したソリューションを提供している。

その1つが先日TechCrunchでも紹介した、スマホのマイク機能を使って取得した「音」により、設備機器の異常診断ができる「スマート聴診棒」だ。

従来は熟練の担当者が機器の発する音をたよりに行っていた異常診断業務。高度な技術や経験が必要になる属人的な業務であり、後世へノウハウを継承することも現場の課題となっていた。

そこでスカイディスクではIoTとAIを活用し、若手の担当者でも対応できる仕組みを構築。ある電力会社のニーズからできあがったシステムだったが、他社でも同様の課題を抱えていることを知り、正式なサービスとしてリリースした。

スマート聴診棒

設備保全分野に限らず、スカイディスクでは農家向けにハウスの気温や湿度などを自動測定できるシステムや、フィットネススタジオ向けに施設内の室温や酸素濃度を感知するシステムなども提供している。

プロダクトアウト型から、マーケットイン型の企業体へ変化

「(2016年1月に)出資を受けてからビジネスサイドのメンバーも増え、プロダクトアウト型の企業体からマーケットイン型へシフトしてきている。顧客のニーズや痛みをAIやIoTでいかに解決していくのか探るアプローチへ変わった結果、スマート聴診棒のようなサービスが生まれた」

そう話すのは、スカイディスク代表取締役CEOの橋本司氏。この1年半ほどで5名だった同社の社員は約25名までに増えた。事業が前進するきっかけになったのは、チーム編成が変わったことに加え顧客の変化もあったからだという。

「以前は『IoTって何?』という顧客が多かったが、今では『AIやIoTを活用してこのような課題を解決できないか?』という声が増えた。問い合わせもIoT推進部のような新設された部署だけでなく、実際に課題を抱えている事業部からいただくように変わってきている。現場の課題が明確なため取り組みやすく、仮に対応できない場合も断りやすい。状況判断のサイクルが早くなり、事業の成長に繋がっている」(橋本氏)

スカイディスク代表取締役CEOの橋本司氏

この1、2年ほどで「AIやIoTの活用に貪欲になった企業が増えてきている」(橋本氏)という実感があるからこそ、さらに多くの顧客に自社の技術を提供できるように資金調達へと踏み切った。今後スカイディスクではAIエンジニアやビジネス開発人員を増やした上で、「提供分野の拡大」と「海外展開」の2つに取り組む。

たとえば現在同社が注力している設備保全分野では、工場やビルの機械装置だけでなく、鉄道やトンネル、橋梁といったインフラにも拡大していきたい考えだ。扱うデータについてもスマート聴診棒のような「音」に加え、「振動・電流」から故障予兆が検知できるサービスを準備し顧客のニーズに応える。

また九州工業大学と介護領域でのIoT活用に関する共同研究をスタート。これまで着手できていなかった分野でもチャレンジを始めていく計画だ。

そしてAIやIoTを活用したサービスを提供できるのは、日本国内の企業だけではない。特に設備保全の問題などは世界でも共通する部分が多いという。橋本氏によると「主にアジア圏で実際に話が出てきている」そうだ。日本で作った事例の海外展開やその逆パターンなど、これから1、2年で国を超えた取り組みも行っていくという。

若手VC3人がインキュベーションコミュニティ「Sprint」を始動、11月には合宿型イベントも開催

先日TechCrunchではインキュベイトファンドが主催する合宿型のシードアクセラレーションプログラムである「Incubate Camp 10th」の様子を紹介したが、近年VCや事業会社が主催するインキュベーションプログラムやピッチコンテストが日本でも盛んになってきている。

プログラムごとに期間や内容は異なるが、上手く活用すれば起業家にとっては投資家との出会いの場、事業をブラッシュアップする場にもなるだろう。今回新たに始動した「Sprint」も3人のベンチャーキャピタリストが立ち上げた、起業家向けのインキュベーションコミュニティだ。

Sprintを主催するのはプライマルキャピタルの佐々木浩史氏、TLMの木暮圭佑氏、IF Angelの笠井レオ氏。いずれも20代から30代前半のベンチャーキャピタリストだ。冒頭に書いた通りすでにさまざまな起業家向けのプログラムがあるが、事業を立ち上げたばかりの若手起業家や、起業を視野に入れビジネスプランを考えている起業家予備軍に特化して、早い段階で気軽にVCやエンジェル投資家と接点を作れる場を作るべく、この取り組みをスタートしたという。

この「気軽に」というのがSprintのポイントだ。世にある多くの起業家支援プログラムでは、主催サイドとのパートナーシップを前提としていたり、主催者サイドが参加者に投資を行う、もしくは優先交渉権を持つといったケースが少なくない。もちろんプログラムを通してスタートアップのプロダクトをブラッシュアップしていくという意味ではエコシステムにおいて重要な役割を果たしているが、そういった座組みにチャレンジできるのはあくまで成長ステージのスタートアップに限られる。Sprintでは特にそういった条件は設定せず、同世代もしくはそれに近い駆け出しの起業家と投資家を結び付けるコミュニティとしての活動を重視するという。

具体的な取り組みとして、11月3〜4日にかけて、35歳以下の若手起業家(起業準備中の人を含む)を対象とした投資家との合宿型イベントを神奈川県・湯河原のThe Ryokan Tokyoで開催する。メンターには、主催者である3人に加えて、BEENEXTの前田ヒロ氏、GLOBIS CAPITAL PARTNERSの湯浅エムレ秀和氏、East Venturesの金子剛士氏の計6人の投資家が参加。期間中にメンタリングを行うほか、起業家とペアを組んで事業案のブラッシュアップも行う。参加社数は6社を予定しており、こちらのフォームから応募可能だ。募集期間は10月13日までとなっている。

PlayStation VRのヘッドセットとプロセッサーユニットがマイナーなアップデート

Sonyの発表によると、PlayStation VR用ヘッドセットのアップデートバージョンが近く発売される。でも、わりとマイナーなアップデートだから、あまり興奮しないように。それでも、最初のハードウェアのオーナーを悩ませていた問題の一部が、解決されている。

日本では今月の終わりごろ発売され、アメリカはそのあとだが、その日程はまだ発表されていない。

いちばん目立つアップデートは、ヘッドフォーンとヘッドセットが完全に一体化したことだ。ケーブルがそのぶん単純になり、また、ヘッドセットをうしろから見たときのルックスがすっきりする。

機能面で大きなアップデートは、外付けのプロセッサーユニットボックスがHDRも通すようになったので、互換機PS4やPS4 ProのHDR機能を利用するために、ユニットを外さなくてもよいことだ。

これらのアップデートはどれも、比較的ささやかだが、でもHDRがメジャーになりつつある今、PS VRのユーザーがいちいち、VRのセットアップを外さずにそれにアクセスできることは、ありがたい。気の重さがなくなった、と言える。でもFAQページによると、HDRをを楽しみたいのでプロセッサーユニットだけ、というアップグレードはできないようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

OracleがそのプラットフォームにAIアプリ開発サービスを追加

Oracleはクラウドへの参入が遅れ、ここ数年はそのキャッチアップに躍起になっていた。そのために、顧客たちがクラウドベンダーに要求する幅広いサービスに対応しようと努力を重ねてきたのだ。こうした流れの中で、同社は本日(米国時間10月2日)Oracle OpenWorldにて、サービスとしての人工知能を、その提供品目に追加した。

本日のOracleは、新しい自律型データベースぴかぴかの新しいブロックチェーンサービスといった一連の大型発表で大忙しだった。この人工知能サービスは、これらの発表の延長線上に位置付けられる。

人工知能は開発者にとって大きな賭けとなっている。いま開発者たちは、人工知能の深い知識は必要とせずに、AI機能の活用を比較的容易にしてくれる一連のツールとテクノロジを必要としているのだ。

興味深いことに、本日発表されたAIサービスは、Oracle自身が顧客向けのAI活用アプリケーションを構築するために、社内で利用してきたツールの拡張なのだ。このサービスは、顧客が独自のAIアプリケーションを構築しようとする際に、同様のツールセットを提供できるようにデザインされている。

Oracle適応型インテリジェンス向けの製品およびデータサイエンス担当副社長であるJack Berkowitzは、社内のサービスチームは、社内の開発者たちと一種の共生関係で協力していると述べ、以下のようにTechCrunchに語った「可能な限りユースケースを押し広げようとしています。(社内開発チームが)私たちに技術を提供し、私たちはその技術を活用しています。私たちは社内最大の顧客なのです。そうした部分をまとめて、(インテリジェントな)アプリケーションを構築することができるようにしたのです」。

Oracle Cloudの上級副社長であるAmit Zaveryは、これはブロックチェーンのように、顧客に対して一連のサービスを提供し、それらのサービスの上にアプリケーションを構築するためのツールを提供するものだと述べている。このために、共通のフレームワーク、ライブラリ、開発ツールを提供し、プラットフォームサービスとして利用できるようにすると彼は語った。このサービスを使うことで、開発者たちは、Google Tensorflow、Caffe、あるいはNeo4jなどの一般的なツールを利用して、しばしば高負荷を要求する機械学習をNVidia GPUの上で実行することができる。

Zaveryによれば、Oracleは顧客がAIアプリケーションをより簡単に構築できるように、努力を重ねているという。「これらのフレームワークとツールに関して私たちがわかったことは、統合されたものとしてのセットアップは容易ではなく、進化の速度が速いため、APIという観点で何を利用すべきかに追従することは難しいということなのです」。今回のサービスは、開発者に対するそれらの問題を軽減するようにデザインされている。

一般的なAI開発プラットフォームに加えて、同社はチャットボット、IoT、そして適応型インテリジェンスアプリなどの特定のサービス提供を、今後数週間で利用可能とする予定だ。

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(翻訳:Sako)

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