OracleがそのプラットフォームにAIアプリ開発サービスを追加

Oracleはクラウドへの参入が遅れ、ここ数年はそのキャッチアップに躍起になっていた。そのために、顧客たちがクラウドベンダーに要求する幅広いサービスに対応しようと努力を重ねてきたのだ。こうした流れの中で、同社は本日(米国時間10月2日)Oracle OpenWorldにて、サービスとしての人工知能を、その提供品目に追加した。

本日のOracleは、新しい自律型データベースぴかぴかの新しいブロックチェーンサービスといった一連の大型発表で大忙しだった。この人工知能サービスは、これらの発表の延長線上に位置付けられる。

人工知能は開発者にとって大きな賭けとなっている。いま開発者たちは、人工知能の深い知識は必要とせずに、AI機能の活用を比較的容易にしてくれる一連のツールとテクノロジを必要としているのだ。

興味深いことに、本日発表されたAIサービスは、Oracle自身が顧客向けのAI活用アプリケーションを構築するために、社内で利用してきたツールの拡張なのだ。このサービスは、顧客が独自のAIアプリケーションを構築しようとする際に、同様のツールセットを提供できるようにデザインされている。

Oracle適応型インテリジェンス向けの製品およびデータサイエンス担当副社長であるJack Berkowitzは、社内のサービスチームは、社内の開発者たちと一種の共生関係で協力していると述べ、以下のようにTechCrunchに語った「可能な限りユースケースを押し広げようとしています。(社内開発チームが)私たちに技術を提供し、私たちはその技術を活用しています。私たちは社内最大の顧客なのです。そうした部分をまとめて、(インテリジェントな)アプリケーションを構築することができるようにしたのです」。

Oracle Cloudの上級副社長であるAmit Zaveryは、これはブロックチェーンのように、顧客に対して一連のサービスを提供し、それらのサービスの上にアプリケーションを構築するためのツールを提供するものだと述べている。このために、共通のフレームワーク、ライブラリ、開発ツールを提供し、プラットフォームサービスとして利用できるようにすると彼は語った。このサービスを使うことで、開発者たちは、Google Tensorflow、Caffe、あるいはNeo4jなどの一般的なツールを利用して、しばしば高負荷を要求する機械学習をNVidia GPUの上で実行することができる。

Zaveryによれば、Oracleは顧客がAIアプリケーションをより簡単に構築できるように、努力を重ねているという。「これらのフレームワークとツールに関して私たちがわかったことは、統合されたものとしてのセットアップは容易ではなく、進化の速度が速いため、APIという観点で何を利用すべきかに追従することは難しいということなのです」。今回のサービスは、開発者に対するそれらの問題を軽減するようにデザインされている。

一般的なAI開発プラットフォームに加えて、同社はチャットボット、IoT、そして適応型インテリジェンスアプリなどの特定のサービス提供を、今後数週間で利用可能とする予定だ。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: BLOOMBERG/GETTY IMAGES

MLBのチームがiOS 11のNFC機能で非接触チケットによる入場をテスト、来年は全チームが本番採用

この春AppleがiOS 11を発表したとき、とても目立ったのは、iPhoneのNFCチップにデベロッパーがアクセスできるようになったことだ。Apple自身はNFCの非接触技術を使って、数年前から、iPhoneやApple WatchでApple Payを提供している。でもデベロッパーがそれを自分のアプリから利用することは、それまでできなかった。

今日MLBは、彼らが作ったNFC利用のチケットアプリをOakland Athleticsで試験的に使用している、と発表した。このアプリがあれば、ファンは自分のiPhoneやApple Watchを球場入り口のスキャナーにタップするだけで入場できる。Apple Payで決済するときと、同じやり方だ。

試験は、iOS 11がローンチしたあとの9月22日からのホームゲーム6試合で行われている。プロのスポーツイベントがApple Walletの非接触チケットをサポートするのは、これが初めてだった。実は、テキストメッセージングによるモバイルチケットの利用も、2007年のOakland Athleticsが初めてなのだ。

もちろん非接触の入場とモバイルのバーコードチケットを使う入場に大差はないし、後者は多くの球場が利用している。でもNFCはバーコードと違って複製を作れないから安全だ。スキャンの精度も、バーコードより高い。バーコードで入場できなくてあたまにきた経験は、どなたにもおありだろう。だからスマートフォンを使ってチケット確認を頻繁にする方にとっては、NFCによる非接触チケットが、大歓迎だろう。

MLBのアプリを実際に開発したのは、MLBAMの子会社Tickets.comだ。同社はMLBの23の全チームのチケットアプリを提供しており、今年はもうゲームがないけど、来年2018年には全チームのチケットのNFC化を行う。同社の顧客には、MLBの野球チーム以外もいる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google、誰でもストリートビュー画像を追加可能に。まずはInsta360 Proカメラに対応

Googleは新たなプログラム “Street View ready” を開始した。通常はGoogleの公式ストリートビューカーの360度カメラで収集されているストリートビュー画像データベースに、対応ハードウェアを持っている人なら誰でも寄与できる。”Street View ready” に正式認定された最初のカメラは、Insta360のProモデルだ。8K対応の360度カメラは最大秒間5フレームの静止画像を撮影可能で、リアルタイム手ぶれ防止機能も内蔵している。

Googleは、Insta360 Proをストリートビューアプリから直接制御できるようにする計画で、取り込んだ画像と映像は公式Insta360 Stitcherアプリを使ってアップロードできる。Insta360 Proの5 fpt、8K の撮影モードは、ソフトウェアアップデートでストリートビューコンテンツ専用に追加された新機能。同時に新しいUSBハードウェアアクセサリーも発売されGPSデータを自動的に画像データに付加できるようになった。

これは、冒険心旺盛なユーザーがストリートビュー画像データベースに貢献できる非常に楽しみな方法だ。Google自身では必ずしも撮影が容易でない地域の画像を、研究目的で記録する専門組織から入手することができる。Googleはこれまでにも限られた範囲でサードパーティーの協力を仰いできた。フェロー諸島の “Sheep View”プロジェクトもその一つだが、今回はずっと広く網を広げようとしている ―― ただし、協力者は高価なInsta360 Proを持っている必要がある。

カメラの価格は3499ドルで、現在Googleが “Street View ready” と公認しているハードウェアはこれだけだ。しかしGoogleは、要件を満たした個人または団体にカメラを貸し出す予定なので、かなり手の届くところまできていると言えるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AWSがOracle Larry EllisonのRedshift批判に反論、“例によってLarry節だ”と

Oracle OpenWorlカンファレンスのキーノートでOracleのLarry Ellison会長が同社の新製品、全自動データベース(autonomous database, 自律的データベース)を発表したとき、彼は数分間にわたり、クラウド市場における同社の強敵AWSをけなした。マーケットリーダーであるAmazonをEllisonが標的にするのは当然だが、しかしAWSは今回、彼のコメントに公開の場で反論した。

AWSがとくにひっかかったのは、同社のビッグデータウェアハウスAmazon Redshiftがエラスティックでない、というEllisonの主張だ。Ellisonはこう語った: “Amazon Elastic Cloudと呼ばれているのは知っていますが、でもそれはエラスティックではありません。すなわちAmazonのデータベースRedshiftは、ワークロードが大きくなったとき自動的にプロセッサーの数を増やせません。逆にそれを、減らすこともできません。そんな能力が、そもそもないのです”。彼はさらに、Redshiftでは手作業でシステムを停止し、新しいインスタンスを立ち上げ、データベースを新しいストレージにコピーし、その後の稼働結果を古いデータベースへコピーバックしなければならない、と主張した。

これに対しAmazonのスポークスパーソンは応じた: ばかばかしい(もっと多くの言葉で)。

“まず、それは事実ではない。Amazon Redshiftでは、顧客は必要に応じてクラスターをリサイズできるし、コンピュートをストレージとは別にスケールできる。Amazon Simple Storage Serviceのデータに対してRedshift Spectrumを使えるし、顧客はストレージとは無関係に単純にクェリに対して支払うだけでよい”。

さらに彼らは、Ellison自身についても非難した: “でも多くの人は、Larryという人物をすでによく知っている。事実に基づかない乱暴な主張、そして、大量のこけ脅かしが、彼の常套手段だ”。

エラスティック(elastic, 伸縮自在)というのは、ジョブのサイズに応じて計算機資源が自動的に拡大縮小することだ。Ellisonの場合ジョブとは、データベースの運用、クェリの処理だ。

エラスティックであること、リソースの伸縮が自動的に行われることは、クラウドコンピューティングサービスの主な魅力のひとつだ。まるで、音量ボリュームのつまみを回すときのように簡単に、使用するリソースの増減ができる。自前のデータセンターだと、誰も自動的にリソースを増減してくれない。必要なキャパシティは新たに買わなければならないし、しかも今後の余裕を見て、今の必要量よりも多い買い方をしなければならない。資金の無駄遣いである。

それでもなお、ホリデーギフトシーズンのショッピングでデータ量が予想を超えてスパイクしたら、万事休すだ。リソースを、その日のうちに、しかもその日一日だけのために、買い増すことはできない。しかしクラウドなら、リソースの必要な伸縮が自動的に行われ、‘一日’という短期的なニーズにも対応できるから、リソースの無駄なアロケーションも発生しない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Shake Shack、キャッシュレス支払のみの店を実験へ――マンハッタンのアスタープレイス

ハンバーガーチェーンのShake Shackは支払がキャッシュレスのみのスタンドをニューヨークで実験しようとしている。マンハッタンの中心部、アスタープレイスに今月上旬に開設される店ではタッチパネルを備えたセルフレジが用意される。顧客はこのレジで注文から支払まで済ませることができる。注文の品が持ち帰りできるようになるとスクリーンにそのメッセージが出るという。

このスタンドには人間も常駐する。Shake Shackによれば、スタッフには15ドル以上の時給が支払われ、‘Hospitality Champs’〔ホスピタリティー担当〕と呼ばれる。顧客の注文を助けたり質問に答えたりする役目だ。

Shake ShackのセルフレジはiOSとAndroidのモバイル・デバイスでの注文を処理するアプリでの経験をベースにデザインされた。セルフレジの場合はハンバーガー・スタンドに設置される専用ハードウェアで稼働する。自動注文システムはマクドナルドなど他のファーストフード・チェーンでも利用されている。

ただし支払が完全にキャッシュレスというのは一歩進んだ試みだ。アスタープレイスでどのように受け止められるか興味あるところだ。Shake Shackは評判の良いチェーンなのでツーリストの客も多い。アスタープレイスのような賑やかな場所はキャッシュフリーの支払という先進的試みを実験するには最適のロケーションだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ラスベガス銃乱射事件を受け、SNSと検索サイトにはクリックベイトが氾濫

米国史上最悪となった銃乱射事件を受け、多くの人々が情報を求めてソーシャルメディアに目を向けたが、主要ウェブサイトに載せられたトップ記事のほとんどが全くのでたらめだった。

インターネットの下水道を流れるコメントの選別をアルゴリズムに任せ、数百万の人々に配信するやりかたに、もはや勝ち目はない。これは、Facebookを始めとするソーシャルメディアが責任を放棄し続けていることを示す新たな兆候だ。

Googleやソーシャルメディアサイトは、良質のニュースソースがヒットする確率を高めようと努力しているが、ラスベガス銃乱射事件に続くデマの拡散は、彼らの仕事がどれほど多く残っているかを示すものとなった。

事件の後Facebookの「安否確認」ページには、ある極右ブロガー犯人は「極左の愚か者」であると糾弾する投稿が載せられた。その後同ページのトップ記事は、ニュース集約サービス MyTVTodayのクリックベイトビデオに取って代わられ、その後ようやくローカルおよび全国報道機関の記事に落ち着いた。

[今日FacebookはThe Gateway Punditをフィードのトップに載せた。Google Newsは4chanスレッドを拡散した。シリコンバレーよ、われわれは問題を抱えている]

憶測や真っ赤なウソを看板ページで拡散しているのはFacebookだけではない。投稿サイトの4chanに流れた、Geary Danlyという人物を射撃犯と誤認した噂記事は、Googleのトップ記事ウィジェットに登場した(BuzzfeedBloomberg による)。

Googleは、BloombergとNew York Timesで以下の声明を発表した(本誌もコメントを求めている):

「遺憾ながら、今日午前本サイトで、少数の検索クエリの結果ページに、ウェブサイト4chanの不正確な記事が一時的に表示された。数時間後、4chanの記事はアルゴリズムによって有効な記事に置き換えられた。これはいかなるクエリについても起きてはならないことであり、将来同じことが起きないよう今後もアルゴリズムの改善に努める」

TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアが記事の選別に使用しているアルゴリズムは、配布される情報への注目度が高まる中、アルゴリズム自体が見出しを飾る結果となっている。

Buzzfeedに載りTwitterで拡散されたでっち上げ記事ひとつだけをとっても、同社自慢のニュースストリームに意図的に火を放つならず者に対して何らかの手を打つ必要があると @Jack(Dorsey CEO)に確信させるのに十分だ。

そもそも、どうして4chanのような情報源が速報ニュースの有効な配信元とされているのか、というのは真っ当な疑問だ。実際すでに声をあげている記者もいる。

[適切な情報をリアルタイムで表示することの難しさは認識しているが、どうやって4chanが情報源のひとつになったのかは理解できない。]

Google、Twitter、Facebookの各社は、現在議会が捜査しているロシアハッキングスキャンダルを受け、すでに詳しい調査の対象となっている。そして、多くの命を奪い人々を傷つけて国を震撼させたこの事件の扱いを誤ったことは、ソフトウェアに依存する彼らのやり方 ―― およびそれが与えるリアル世界への影響 ―― がいかに大きな問題かを如実に示すものだ。

[NBCの記事は辛うじて2番目に見えている。これは腐りきったニュース選択であり、責任のあるアルゴリズムは退陣すべきだ]

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

データでホテルの適正価格を自動算出、「MagicPrice」運営の空が8000万円調達

データ分析を駆使してホテルの適正価格を算出する「MagicPrice」を提供する空(そら)は、500 Startups Japan大和企業投資日本政策金融公庫、および複数のエンジェル投資家から総額8000万円を調達した。

2016年7月に行ったシードラウンドを合わせ、同社の累計調達金額は約1億円になるという。

空が提供するMagicPriceはホテル向けに提供するBtoBサービス。宿泊予約データを分析することで、ホテルなどの適切な料金設定を可能にするツールだ。

適正価格の予測にはまず、特定の月や曜日ごとの過去の傾向を分析し、その日の「ベース価格」を算出する。その後、近隣ホテルの料金設定や近所でイベントがあるかなどの外部要因によってベース価格を加減し、最終的に適正価格を割り出すという仕組みだ。

MagicPriceは、年に数回の季節要因だけでなく、その時々に確定している予約数の数など、需給要因による適正価格の変動も加味して、それをリアルタイムで反映するという。また、外部のホテル予約サイトの宿泊料金をMagicPriceが自動で適正価格に設定する機能も備えられている。

空代表取締役の松村大貴氏は、「たとえば、現在と1週間後の価格は予約状況などの要因によって適正価格がまったく異なることもある。MagicPriceはホテルの料金設定を継続的に改善するためのサービスだ」と語る。

インプットするデータは2種類。ホテル側のシステムから取り込むデータと、外部Webサイトからのデータだ。

2017年3月、空はホテル予約システム開発大手のダイナテックと事業提携を結び、同社の予約システムとMagicPriceを統合した。これにより、ホテルがダイナテック製のシステムを使っている場合は過去の宿泊予約データをMagicPriceに取り込むことが可能になった。

そのほかにも、MagicPriceは外部の旅行予約サイトから過去の宿泊価格データを取得している。

2016年7月にリリースしたMagicPriceの料金は月額3〜6万円(ホテルの規模により変動)。これまでに顧客として獲得したホテルの数は数十社だ。

「改善」と「効果測定」

2017年8月、空はMagicPriceに続き、第2弾目サービスとなる「ホテル番付」をリリースした。

ホテル番付は、MagicPriceと同じくホテル業界に向けたBtoBサービス。1万軒以上のホテル業績データをもとに、現在の料金設定が本当に業績向上に結びついているのかを把握するための効果測定ツールだ。

例えば、あるホテルが宿泊料金を見直した結果、前年同期比で売上があがったとしよう。でも、それが適切な料金設定によるものなのかは分からない。たまたまインバウンド旅行者が多かったのかもしれないし、近くでイベントがあったのかもしれない。料金設定が業績向上の要因になったかどうかは、近隣にある他のホテルと業績を比べて見なければ分からないのだ。

ユーザーがホテル番付を利用することで、自社の業績データと他社のデータを分析し、宿泊料金の見直しが業績向上にどれだけ寄与しているか調べることが可能だ。

でも、SORAは1万軒ものホテルの業績データをどうやって取得しているのだろう。松村氏によれば、ホテル番付はネット上に公開されている各ホテルの価格情報と客数情報からそれぞれの業績を推定しているのだそうだ。

上の画像にもあるように、SORAは各ホテルの毎日の販売価格と残り室数を記録し、前日との差から最低でも◯◯室、◯◯円分は販売されたことを計算する。そして、それらの数字を足し合わせて、各ホテルの売上や稼働率の指標を算出しているという。

「MagicPriceがホテルの料金設定を改善するためのサービスだとしたら、ホテル番付はその効果を測定するためのサービス。いわば、アドテク業界のGoogleAnalyticsのようなものです」(松村氏)

ホテル番付は無料のサービスで、リリースから約1ヶ月に約500軒以上のホテルが同サービスを利用しているという。

「適正価格の算出技術」を軸に、各業界へ

ホテル業界向けのサービスを複数展開しているSORAだが、彼らが目指しているのは「ホテルスタートアップ」ではないという。

その社名の通り、2015年創業のSORAはもともと、航空チケットの適正価格を算出するサービスを考案するスタートアップだった。しかし松村氏は、ほんの数社がシェアの大半を握る航空業界を、スタートアップであるSORAの営業体力で突破するのは困難だと判断。

創業時のヒアリングから、中小規模の事業者が数多く存在し、スタートアップでもサービスを浸透させられる可能性の高いホテル業界にまずはターゲットを決めたのだそうだ。

「私たちはテクノロジーで世界中の料金ミスマッチをなくしたいと思っています」と松村氏はいう。

「ビッグデータ分析が可能になっただけでなく、料金表は紙からオンラインに変わった。つまり、料金を自由に何度でも変更することが可能になった。これまで固定されていた価格がすべて、日々変動する適正価格に置き換わる時代が来ると確信している」(松村氏)

写真右から3番目が空代表取締役の松村大貴氏。

ブロックチェーン技術mijinをジビエ食肉トレーサビリティに採用、試験運用を開始

野生の鳥獣の食肉「ジビエ」の流通を追跡確認するトレーサビリティのシステムが、中核技術としてテックビューロが開発したプライベートブロックチェーン技術mijinを採用した。システムは一般社団法人日本ジビエ振興協会が10月から試験運用を開始し、2018年1月からは実運用に入る予定。mijinを使った実証実験の報告例は多数あるが、実システムとして稼働した事例が発表されるのは初めてである。

mijinの採用理由は、開発工数と運用コストの削減が大きい。プライベートブロックチェーン技術は高い可用性を標準機能で実現できる。また耐改ざん性があり監査可能であることも、トレーサビリティと相性がいい。ざっくり言えば「信用できるデータ基盤」のニーズがある分野にはブロックチェーン技術の出番があるといっていい。

今回のシステムを運用する日本ジビエ振興協会は、ジビエ食肉の加工の統一規格や、販売先とのマッチングという課題に取り組んでいる。ジビエ食肉の加工、流通、消費までを追跡できるトレーサビリティシステムを構築した背景には、「野生鳥獣には病原菌や寄生虫のリスクがあることから、消費者や外食業界関係者は衛生面では家畜肉以上に厳しい目で見ている」(日本ジビエ振興協会)ことがある。

ジビエといえばもともとは狩猟で捕獲した鳥獣の食肉を指すが、狩猟以外にも背景がある。農林水産省は今、鳥獣被害対策とジビエ食肉の利活用をセットで進めている。年間200億円規模と見積もられている農林業への鳥獣被害を食い止めるとともに、捕獲した鳥獣の食肉を地域の資源として活用しようとするものだ。日本ジビエ振興協会は、この農林水産省の事業に協力しており、今回のシステム構築もその一環という形になる。

日本国内の食品分野のトレーサビリティのシステムとしては、牛肉トレーサビリティがすでに整備済みだ。これはBSE(狂牛病)のまん延を防ぐため牛肉のトレーサビリティが法律で義務付けられているためだ。

いっぽう、ジビエ食肉に関しては、制度、規格、システムなどはまだ整備の途中段階にある。今回のトレーサビリティシステムも、今までシステムが存在しなかったところに新規に構築するものだ。

ブロックチェーン技術の話題といえば、仮想通貨の発行、決済システムへの適用のような話題が多い。だがプライベートブロックチェーン技術は「信用できるデータ基盤」として、さまざまな局面で役に立つ可能性を秘めている。例えば複数の事業者から成るサプライチェーンの情報流通にブロックチェーン技術を使おうとする動きがある。

今回のトレーサビリティシステムは、信用できるデータ基盤を従来の情報システム技術に比べてより低コストで構築できる技術としてプライベートブロックチェーン技術を用いた事例だ。今までコスト面で見合わなかったシステムを作れる可能性があるという点でも、プライベートブロックチェーン技術は要注目の分野といえるだろう。

 

Oracleのイベントでラリー・エリソンが自律DB発表――AWSをからかう

Oracleはクラウド化の波に大きく取り残されており、ラリー・エリソン会長はそのことをよく知っている。そこでエリソンはあらゆる機会をとらえて最大のライバル、AWSに嫌味を言うことにしている。昨夜のOracle OpenWorldイベントのキーノートに登場したときも例外ではなかった。エリソンは自律的にチューニングを行う新しいデータベース・システムを紹介したが、同時にAWSを批判するという誘惑に勝てなかった。

今回発表されたスマート・データベースはテクノロジー的にみてクールなプロダクトに思える。エリソンとしては数分も割いてライバルについて論ずるより、自分たちの新しいデータベースの説明に集中したほうが効果的だったのではないか? このデータベースは、完全に自律的に作動するという。つまりチューニング、プロビジョニングを自ら実行できる。エリソンはこれを自分の自家用ジェット機の自動パイロットにたとえた(イベントの聴衆に自家用ジェットの所有者がどのくらいいたか知らないが)。つまり「今後はパイロットのエラーという事態は起きない。パイロットは乗っていないからだ。このデータベースではアドミニストレーションは完全に自動化されている」とエリソンはキーノートで述べた。

それに加えて、このデータベースには自己修復能力がある。なんらかの理由でデータベースの一部が壊れた場合、データベースは自らその部分を修復して運用を続ける。この能力があるため、Oracleは稼働率として99.995%を保証するという。エリソンはこれを「1年の作動あたり、計画的、突発的合わせて30分のダウンタイム」にすぎないと大胆に宣言した。

またエリソンは契約書にうたわれる4ナイン(99.99%)、5ナイン(99.999%)といった数字は「実質的にウソだ」と述べた。なぜならこの数字は通例ソフトウェアのバグ、セキュリティー・パッチのインストール、構成の変更などにともなうダウンタイムを除外してしているからだという。しかしOracleの新しいデータベースがいかにしてこうしたダウンタイムを一切排除できるのかについてエリソンは詳しく述べなかった。大規模なDDoS攻撃、最近アメリカを襲ったような猛烈なハリケーン、雷、それどころか単なるヒューマン・エラーも大規模なシステム障害を起こすことが知られている(昨年AWSに起きた障害がよい例だ)。

ともあれ、エリソンは何分か使ってAmazonのRedShiftを批判した。クラウドコンピューティングは非常に複雑なビジネスだが、赤丸付き急上昇でチャートのトップに立ったのはもちろAWSだ。一部の推定によればAWSのシェアはクラウドコンピューティング市場の40%を占めているという。2位のMicrosoft Azureは10%で、他はOracleも含めてこのトップ2社に遠く及ばない。

新しい自律的データベース・サービスは(18cというおよそ想像力を欠いた名称だが)、現在のOracleの強みを生かしながらクラウドでAmazonと戦おうとする試みだ。AWSはクラウド・ビジネスで何年も早くスタートを切り、巨大なシェアを誇っている。しかしOracleはデータベースを隅々まで知っており、これはクラウドに移行してもAWSより優位に立てる点のはずだ。

今回のイベントでのエリソンの発表は注目すべきものだったが、「プディングの良し悪しは食べてみるまでわからない」ということわざもある。このデータベースの能力も実際に運用されてみて初めて判明するだろう。Oracleによれば、新データベースは今年中に利用可能となるという。

画像:: Bloomberg/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google Pixel 2 XLのディスプレイ側写真がリーク――今週の発表イベントは期待できそう

GoogleのPixel 2発表イベントは今週、10月4日〔日本時間10/5〕に迫っており、関心も一段と高くなってきた。Googleがイベントで正式に発表するはずの新モデルのものとみられる写真がリークし、ハイプも最高潮だ。連続リーク(ほとんどが本物だった)で知られるEvan Blassが投稿した写真によれば、新しいGoogle Pixel 2 XLは、われわれが予想してきたとおり、大型でベゼルの幅は最小限のスマートフォンのようだ。

Blassが公開した写真はデバイスを正面から撮ったもので、どちらもベゼルは黒だ。こちらはケースに入った状態、こちらはケースから出した状態。 2枚の写真から判断するとディスプレイはSamsung Galaxy S8に似ており、コーナーは丸められている。左右両側のベゼルは非常に細く、天地のベゼルはとやや厚みがある。本体のディスプレイ上部にはスピーカーと裏向きカメラが収められているようだ。下部にもグリルがあり、ここにもうひとつのスピーターと通話用マイクがあるのだろう。

ディスプレイに表示されているウォールペーパーは驚くほどリアルな立体感があり、色彩も派手だ。もしこれがGoogle自身がマーケティングのために用意した画像なら、表示できる色彩の鮮やかさや背面のメインカメラの描写能力をデモするためのものに違いない。スマートフォンカメラの画像としては異例な美しいボケ味を出している。

前回われわれが入手したPixel XL 2のリーク写真は背面を撮ったもので、白黒のツートンカラーは新しいが、本体デザインは現行モデルに似ていた。

FCC〔連邦通信委員会〕への提出書類その他の情報からするとPixel XLは韓国のLGのOEMだ。本体デザインはLG G6やもっと最近のV30に似ているように思える。いずれにせよこの写真が本物かどうかはすぐに分かる。私はおそらく本物だろうと思っているが、そうであればGoogleのAndroidスマートフォンのフラグシップモデルにふさわしいプロダクトだ。

TechCrunchではこのGoogleのイベントを現地で取材し、ライブで報告する予定だ。イベントは10月4日の太平洋時間午前9時にスタートする〔日本時間10/5 AM 1:00〕

画像: Evan Blass

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebookが人材募集サイトと提携し求人広告を増やす

Facebookは、オンライン求人市場における自社の野望を隠すつもりはないようだ。同社は、SNSを使った求職活動の促進において業界を支配するLinkedInの牙城に迫る。今日(米国時間9/28)、Facebookはその過程における次の一歩を踏み出した。

今日、FacebookはZipRecruiterと機能連携する。ZipRecruiterは、従来の求人掲示板や、 LinkedIn、Google、Twitterなどのウェブサイトに、企業の求人広告を掲載するアグリゲーションサイトだ。Facebookの目的は、自社の20億人の月間アクティブユーザーをターゲットに、Facebook上の求人広告の数を増やすためだ。

Facebookは今年初めに求人広告の取り扱いを開始し、その後にメンターを探す人と指導する人を繋ぐプラットフォームなどといった、キャリアに焦点を当てた機能を増やすことに関心を示していた。

今回の展開もその方向性と一致している。今まで、Facebookを人材募集に使いたい企業は、Facebookから直接、自社のFacebookページに求人広告を掲載する必要があった。

FacebookがZipRecruiterなどと提携したことで、人材を募集する企業は、今やチェックボックスにレ点を入れるだけで、Facebookや様々な求人掲示板に求人広告を掲載できるようになる。ZipRecruiterなどのアグリゲーションサイトは、このような求人掲示板をまとめており、例として、ZipRecruiterは何百もの求人掲示板を網羅している。

Facebookの求人広告プロジェクトマネージャーGaurav Dosiは、今朝の人材業界のカンファレンスで、この新しい機能連携について発表を行う予定だ。

Facebookのこの動きは興味深い。なぜならこれは、Facebookが求人広告機能のさらなる量と利用方法を求めているだけでなく、自社の力だけでは目的を達成できない可能性があると理解したことを示している。結果としてより対立を生まない、ユーザーフレンドリーな姿勢に至った。

「アメリカの中小企業の40%は、予想以上に人材採用が難しいと答えています。これら中小企業がアメリカ国内の半分近くの労働者を雇用していることを考慮すると、厳しい問題です」とFacebookがTechCrunchに送った声明の中でDosiは語った。「Facebookの目標は、地元の仕事を見つける時や、適切な人材を雇用する時の手間を省くことです。ZipRecruiterとの提携は、このような人々や企業のため、その一連の作業をさらに簡単にする方法の一つです」。

Facebookはこの提携の詳細についてはコメントを控えた。しかし、TechCrunchが理解しているところでは、ZipRecruiterが主な提携先であるものの、独占契約ではなく、Facebookは他の企業とも協力しているようだ。

また、この取引は人材業界全体がいかに細分化されているかを浮き彫りにしている。

「アメリカには4万以上の求人サイトがあり、歴史ある優良企業も気を引くために求人欄で競い合っています」とZipRecruiterの共同創設者兼CEO Ian Siegelは語る。「そのため、Facebookが参入して、1つの求人サイトになるとは言っても…やり方は1つだけではありません」。

しかし、うまくやってのければ、Facebookにとって大きなチャンスになるとSiegelは付け加えた。

SNSは、求人広告において一般的に非常に大きな成果をもたらす。理由の一つは、従業員の人脈を活用することができ、その繋がりから応募する人は一貫した関心を持つ傾向にあるからだ。「SNSは質の高い候補者を送り込んでくれます」とSiegelは言う。「現在の従業員の人脈から来た人たちの質は、保証することが可能です」。また、求人情報におけるノイズが少ない。「その人たちとは、仕事だけではなく、幅広い話題を通して交流しているので、非常に自然な繋がりだと感じます」。

さらにSiegelは、ZipRecruiterを介して広告を出稿する企業の多くはFacebookとの機能連携を求めていたと話す。SiegelとFacebookはどちらも、どちらがこの機能連携を持ちかけたかについてはコメントを控えた。

ZipRecruiterは2014年、1回だけ資金調達を実施している。調達額は6300万ドルだった。今後さらなる資金調達を予定しているかに関しては、Siegelはコメントしなかった。

 

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(翻訳:Keitaro Imoto / Twitter / Facebook

コンテンツマーケティングの成果を倍増させるFacebook広告活用術

バズ部では、コンテンツマーケティングを実践し成果を上げているクライアント様に対して、さらなる成長を目指してFacebook広告の活用を提案している。 もし、あなたがコンテンツマーケティングの成果をもっと伸ばしたいと思って […]

コンテンツマーケティングの成果を倍増させるFacebook広告活用術

バズ部では、コンテンツマーケティングを実践し成果を上げているクライアント様に対して、さらなる成長を目指してFacebook広告の活用を提案している。 もし、あなたがコンテンツマーケティングの成果をもっと伸ばしたいと思って […]

Amazon Echoが年内に日本登場へ——スマートスピーカーの国内参入、続々と発表

アマゾンジャパンは10月2日、クラウド音声サービスの「Amazon Alexa」とAlexaを搭載したスマートスピーカー「Amazon Echo」を年内に日本で展開すると発表した。Echoについては、当初は招待制で、事前に購入を希望した顧客に販売するという。

Amazon Echoは、2014年11月に米国で発表されたスマートスピーカー。音声による操作で、音楽の再生やニュース、天気、スケジュールなどの情報の読み上げができる、バーチャルアシスタントだ。米国では現在、年末のホリデーシーズンに発売が予定されるものも含めて8種類のEchoが発表されているが、日本でどの機種が販売されるのかについては、明らかになっていない。

Alexa、Echoの日本登場のニュースと同時に、アマゾンジャパンでは、開発者向けにAlexaを使った機能(スキル)を開発できるAlexa Skills Kit(ASK)と、Alexaに対応したハードウェア製品の開発が可能となるAlexa Voice Service(AVS)についても、日本での年内展開を発表している。

Alexaスキルについては、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなどの通信キャリアやクックパッド、NHK、ヤフー、リクルートなどのコンテンツサービスプロバイダ、JR東日本、三菱UFJフィナンシャルグループなどの事業者らがパートナーとして提供を予定しているという。また、Alexa対応製品については、アンカー・ジャパン、HTC、オンキヨー、ハーマンインターナショナルほか、各社が既に日本市場向けの発売を計画しているとのことだ。

日本市場へのスマートスピーカー投入は、2017年に入って続々と発表されている。Googleは5月に「Google Home」の日本発売を発表し、10月上旬にも販売が開始されると見られている。日本発の製品では、LINEが「WAVE」を発表。今秋発売予定の正式版に先駆け、7月に先行体験版を販売した。また、音声認識・音声対話プラットフォームの「mimi」を提供するフェアリーデバイセズは、9月に企業向けのホワイトレーベル・スマートスピーカー「Fairy I/O Tumbler」を発表している。

さらに変わったところでは、バンダイがアニメ『機動戦士ガンダム』の内容に特化した、AI搭載の対話型コミュニケーションロボット「ガンシェルジュ ハロ」を開発しているとのこと。Amazon Echoの日本登場発表と同じ10月2日に発表され、ガンダムに関するうんちくやクイズが楽しめるというこのロボットは、2018年発売予定で開発が進められているそうだ。

レンタルスペースマッチングの「SHOPCOUNTER」が原宿にシェアリングスペース

空きスペースの短期利用をマッチングするレンタルスペースサービスが、日本でも浸透してきている。宿泊に特化した「Airbnb」が有名だが、他にも「スペースマーケット」や「インスタベース」、「スペイシー」など、さまざまな“場所”のマーケットプレイスが提供され、会議室や料理教室のためのキッチン、撮影スタジオなど、さまざまな目的で利用されている。

2015年5月からサービスを提供している「SHOPCOUNTER(ショップカウンター)」もそうしたサービスのひとつだ。そのSHOPCOUNTERを運営するカウンターワークスは10月2日、不動産開発・運用を営むクレディセゾングループのアトリウムと組んで、ポップアップストアや展示会向けのシェアリングスペースを新設し、共同運営事業を始めると発表した。

元々、SHOPCOUNTERの登録ユーザーにはアパレル企業が多く、ファッションブランドやEC事業者、クリエイターのポップアップストアや展示会、プロモーションイベント開催などを目的として、スペースが利用されている。具体的には、季節性のある衣料品やスポーツ用品などのポップアップショップや、新製品発売時の販促イベントなどで需要があるとのこと。登録・掲載されている場所は、主要商業地の路面店舗、小売店、店舗の壁や棚、ショッピングセンターや駅、空港などの空きスペースだ。直近3カ月の月間利用総額は、約300%の伸びを見せているという。

今回の共同運営スペース「BOK Gallery」は、東京・原宿の竹下口交差点にも近い好立地。1棟貸しの他、1階2階を別々にレンタルすることもできる。

カウンターワークスでは、今回のアトリウムとのシェアリングスペースの共同運営は、商用不動産の短期利用の需要増に応えるとともに、不動産収入の多様化にも寄与するだろうと見込んでいる。カウンターワークス代表取締役CEOの三瓶直樹氏は、2016年10月の資金調達の際の取材に「スペースの貸し手は、借り手よりもこうしたサービスに慣れていないことが多い」と話していた。今回の共同運営では、アトリウムの持つ物件開発力、収益不動産の運営力による、さらなる空きスペース需要への対応が期待される。

今回の発表に際し、カウンターワークスでは「短期利用の需要が高まる一方で、対面や個別交渉でのテナント誘致ではなく、システムを利用したマッチングにより、テクノロジー面からも短期貸しの課題が解決されつつある」とコメント。共同運営を通じて「短期的には主要都市圏での商業エリアにおいて路面店舗や不動産の短期貸しによる収益機会を不動産所有者に提供し、中期的には短期貸し専用のシェアリングスペースの運用受注を増加させて、登録ユーザーの強い需要に応える」としている。

インターネットTVのRoku、IPOの2日後にも13%高

デジタルストリーミングのスタートアップ、Rokuが華々しく株式市場デビューを飾った。

水曜日(米国時間9/27)にIPO価格14ドルでスタートしたRokuは、初日の取引きを23.50ドル、68%高で終えた。そして金曜日には26.54ドルで引け、48時間以内に90%値上がりした。現在同社の時価総額は約26億ドルだ。

これは同社にとって素晴らしいニュースに違いない、だろうか?まあ、そうではある。おそらくRokuのチームはここまで株式市場が気に入ってくれていることを、未来へのよい予兆だと喜んでいるだろう。

しかし、これはもっとずっと高く株を売ることもできたという意味でもある。RokuはIPO価格を1株当たり14ドルに設定して2.19億ドルを調達した。もし22ドルにしていれば、Rokuは3.45億ドルを調達し、投資家も20%以上の利益を上げられた。銀行は通常、上場価格を20~30%割り引くことを推奨する。株式市場での第一印象を良くするためだ。今後の値動きによって、これが1.25億ドルの失敗だったかどうかが明らかになるだろう。

投資家がRokuを買う理由のひとつに、コードカッティング(ケーブルテレビ潰し)分野の将来に楽観的だということがある。ミレニアル世代は伝統的ケーブルテレビモデルを回避し、デジタルコンテンツを見ることを選択している。

Rokuは、Amazon Fire StickやApple TV、Google ChromeCastなどとの激しい競争の中、米国でかなりのシェア維持している。ハードウェアで大きな利益を上げているだけでなく、スマートテレビのメーカーにはオペレーティングシステムをライセンスしている。

昨年同社は3億9900万ドルの売り上げを計上したが、収支は4300万ドルの損失だった。2015年の売り上げは3億2000万ドルで3800万ドルの赤字だった。

ファウンダー・CEOのAnthony Woodは木曜日、TechCrunchにこう話した、「売り上げの伸びは穏やかで、これは価格を下げているためだ。低価格のライバル製品に触発されて、29ドルのRoku Express端末が導入され、Woodいわく「大成功」だった。

Woodは同社のプラットフォーム事業を成長のチャンスだと主張する。そこには、Amazon、Hulu、Netflix、およびYouTubeから生まれる広告収入も含まれている。コンテンツの配信手数料による収入もある。

Rokuはこれまでに2億ドルのベンチャー資金を調達している。Menlo Venturesは、最初で最大の出資者であり、IPO時点で同社の35.3%を所有していた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

YouTuber支援プラットフォームのBitStarがTBS、ABCから資金調達——マスとネットの協業進める

インフルエンサーと企業をつなぐプラットフォーム「BitStar」を運営するBizcastは10月2日、TBSイノベーション・パートナーズABCドリームベンチャーズが運営する各ファンドから資金調達を実施したことを明らかにした。調達金額は非公開だが、関係者によると数千万円程度の模様。また同社はあわせて、社名をBitStarに変更することを発表している。

BitStarは2014年7月の設立。これまでにシードラウンドでEast Venturesから、2016年8月のシリーズAラウンドでコロプラから、2017年6月のシリーズBラウンドではグローバル・ブレインから資金を調達している。今回の資金調達はシリーズBの追加調達に当たるという。

同社は、インフルエンサー支援プラットフォームのBitStarを手がけるほか、“マスメディアとデジタルの融合”をコンセプトとしたYouTuberプロダクション「E-DGE」を2017年7月に立ち上げ、所属YouTuberのマネジメントとコンテンツ制作を行っている。BitStar代表取締役の渡邉拓氏は「テレビはまだまだ主力メディアだ。プロダクション事業を拡大するに当たっては、所属するYouTuberを有名にすることが重要。メジャーなメディアであるテレビに、タレントを露出する場を用意することも、今回の資金調達の目的のひとつだ」と言う。

渡邉氏はテレビ局と組むことによるメリットを「番組宣伝へのYouTuberの出演、YouTuberを起用した広告宣伝、インフルエンサーが出演する番組を作れること」と説明する。「若者のテレビ離れと言われる中、テレビ局は若者を呼びたいし、広告も売りたい。そこでインフルエンサー出演番組を制作し、広告商品も一緒に企画するなど、(お互いに)自社だけではできない協業を進めたい、ということで今回の資本提携に至った」(渡邉氏)

「テレビ広告は、広告業界6兆円のうちの2兆円を占める。我々は、インフルエンサーのキャスティング、アサインからコンテンツ制作、広告販売まで一気通貫でできるところが強み。広告の共同商品開発をはじめ、TBS、ABCの2局と協業の仕組みを確立したい」(渡邉氏)

実はBitStarでは、9月27日にE-DGE所属のYouTuberが、10月4日深夜から放送されるテレビ東京のエンターテイメント番組「エンタX」にレギュラー出演することを発表している。番組MCには“ピコ太郎のプロデューサー”こと古坂大魔王氏らが起用され、毎週のゲストにマックスむらい氏ほか、E-DGE所属外も含めた大物YouTuberが出演する。BitStarはこの番組への取り組みでも、テレビ広告の共同販売を視野に入れているという。渡邉氏は「YouTuber番組をやりたかったテレビ局とスポンサー、そして我々の三者の意向が合致した。E-DGEの目指す“マスとデジタルの融合”を実現し、露出の場を作ってあげることができた」と話している。

渡邉氏はさらに「インフルエンサーのメディアへの露出も支援していくが、マスメディアがネットへ進出したい、という動きも支援したい」と語っている。「テレビだけでなく、出版やラジオなども含め、YouTubeでチャンネルを持ったり、ネットで番組を公開したりしたい、というメディアとの連携も進めていきたい」(渡邉氏)

Sansanの名刺管理アプリ「Eight」、低価格で導入可能な企業向けプランが登場

名刺管理システムを導入したいけれど、コスト的に難しいと悩んでいた起業家諸君に朗報だ。

法人向け名刺管理サービス「Sansan」などを展開するSansanは10月2日、個人向け名刺管理アプリの「Eight」に企業向けの有料プラン「企業プレミアム」を追加すると発表した。

今日からEightに追加される企業プレミアムは、おもに社員数が20名前後の小規模事業者やスタートアップをターゲットにした新サービスだ。

企業プレミアムを契約することで、企業の担当者は各社員がアプリで読み込んだ名刺データを一括してCSV形式でダウンロードできるようになる。名刺データから見込み客リストを作成するときなどに便利だろう。ちなみに、社員は社内で共有するデータとしないものを分けることも可能だ。

TechCrunch Japan読者ならよくご存知だと思うけれど、Sansanはこれまで「個人向けのEight、法人向けのSansan」というように領域を分けてそれぞれのサービスを展開してきた。

法人向けサービス「Sansan」のおもな機能

法人向けサービスのSansanは、つながりのある会社の組織図作成などの豊富な機能が備えられている代わりに、初期費用、1台につき月額1万円のスキャナ設置料金、そして月額5万円〜の基本料金が発生する。正直、駆け出しのスタートアップには重たい負担だ。

一方、Eightの企業プレミアムの料金は月額1万円。企業プレミアムを契約するには、各社員がEightの有料プランである「Eightプレミアム」に加入している必要があるが、EightプレミアムはiOSで月額480円、Androidで月額400円だ。

つまり、社員10名の事業者の場合、Eightの企業プレミアムであれば最大で月額1万4800円の料金で済むことになる。

企業プレミアムは、共有データをダウンロードしてリスト化するという必要最低限の機能を提供する代わりに、スタートアップでも気軽に利用できるように価格を抑えたプランだと言えるだろう。

Eightと同様の名刺管理アプリとしては、2017年7月に新機能追加を発表した「Wantedly People」などがある。Wantedly Peopleは無料の個人向けアプリで、現在のところ法人向けプランは提供していない。

米SEC、仮想通貨資金調達(ICO)2件を詐欺で告発

今日(米国時間10/01)証券取引委員会(SEC)は、ダイアモンドおよび不動産の仮想通貨資金調達(ICO)を、投資家を欺いたとして告発した。

初の仮想通貨に基づく不動産会社であるREcoin、およびダイアモンド会社のDRC Worldは、いずれもMaksim Zaslavskiyという実業家が所有している。SECは声明文で、これらの会社が未登録証券および、実在しないコインを無防備な投資家に販売したとして、Zaslavskiyを告発した。

SECによると、Zaslavskiyは投資家らに、この取引で「膨大なリターン」が期待できると話し、集めた資金が投資される方法やすでに投資された金額を偽って伝えた疑いがある。

その後米国政府は緊急裁判命令を発行し、Zaslavskiyと所有する会社の資産を凍結させた。

これは、仮想通貨に基づく資金調達(ICO: Initial Coin Offering)が詐欺で告発された最初の事例ではなく、間違いなく最後でもない。

New York Timesのコラムニスト、Kevin RoseがICOの本質についていみじくもこう書いている。「友だちがカジノを作ろうとしていてあなたに出資を頼んだところを想像していほしい。対価としてあなたはチップをもらい、完成した暁にはカジノテーブルで使うことができる。さて、そのチップの価値は固定ではなく、カジノの人気やほかのギャンブラーの人数、カジノの規制状況などによって変動すると思って欲しい。そうそう、その相手は友達ではなく、インターネットの見知らぬ人で偽名を使っているかもしれず、実際にはカジノの作り方を知らないかもしれず、もしあなたのお金を盗んでポルシェを買ったとしても訴訟できないかもしれない。それが、I.C.O.だ」

当然まだSECは詐欺で起訴することができる。同委員会は以前からICOに対して懸念をいだいており、7月には投資家への注意喚起を発行し、未承認の売り込みや異常に高い利回りに気を付けるよう警告した。

「投資家は、ICOを並外れた利益を生む方法であると謳う会社を警戒すべきだ」とSEC広報担当者のAndrew M. Calamariが今日の声明で付け加えた。「当委員会が訴状で主張しているように、Aaslavskiyは新規技術が巨大な利益を生むという虚偽の約束で投資家を誘引した」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

スマホ上の指の動きで性格診断―、HR TechのIGSがシリーズAで2.5億円を追加調達

あなたは外交的ですか? と聞かれてイエス・ノーと答える性格診断って意味が分からないよね。それが「コミュニケーション能力」を求める企業への就職活動の一環なら、答えはイエス以外にないし、実際就活生の8割は「外交的」と答えるそうだ。けれど、これをスマホでやると、一瞬の迷いとか指の軌跡からまた違った診断が可能なのだそうだ。

そんなテクノロジーを使ったスタートアップ企業のIGS(Instution for a Global Society)が今日、慶応イノベーション・イニシアティブ(KII)とみやこキャピタル(京大ファンドの認定運営事業者)からシリーズAラウンドとして合計2.5億円の資金調達を実施したことを発表した。これまでIGSは2016年9月に東京理科大インベストメント、東京大学エッジキャピタルから3.5億円を調達していて、累計6億円の資金調達額となる。IGSは2010年の創業で、元々は自己資本で教育コンサルをしていた。

IGSは主に2つの事業を展開している。

スマホによる診断では指の動きも見ているそう

1つは2016年にスタートした採用支援の「GROW」で、もう1つは2014年スタートのオンライン英語システム「e-Spire」。いずれも人工知能活用をうたう。

GROWは、周囲の人々に能力や適性を評価してもらう「コンピテンシー360度評価システム」や潜在性格診断をもとに、新卒採用スクリーニング、組織分析のサービスを提供。現在、大手企業を中心に50社以上の導入実績があるという。冒頭に書いたようにスマホ上で指の動きをみるのが特徴だ。

例えば「Big 5」と言われる心理学で良く用いられる性格診断テストでも、自分を偽れる。ただ、実際に回答しているときの身体反応をみると嫌悪感は隠せない。かすかに反応が遅れるとか、ちょっと左に動くとか、そうしたことが起こる。完全なポーカーフェイスというのは無理なのだそうだ。といっても嘘を見抜くのが目的というわけではない。内向的でも活躍できる職場・職種はあるわけで、そうしたマッチングをするのが目的だ。適合率をみて企業に推薦するといったサービスを開始しているという。ちなみに「気質」自体は生まれつきのものであっても、社会的コンピテンシーというのは本人の自覚や努力で獲得できる。これが「成長」だというのがIGSが考えるところだとか。

組織の360度評価では、各自個人で30個のパラメーターを確定する。このとき、GoogleのPageRankように評価者の実績も反映するなどして評価者の評価を補正するようなデータ分析をしているのがIGSの強みという。こうしたパラメーターを見た上で、たとえば「メンター・メンティー」の組み合わせとして「論理的思考の強い人は、メンターに論理的思考の強い人を組み合わせたほうが良い」などという人材最適配置ができるそうだ。

オンライン英語システムのe-Spireは、TOEFLの問題形式を意識した学習コンテンツと教員向けモニタリングツールを提供している。2017年6月からは人工知能による英語エッセイの児童採点機能を搭載していて、スーパーグローバルハイスクールや国際バカロレア認定校を中心に13校に導入されているそうだ。