Apple、iOSとmacOSのARM版カーネルをオープンソース化

AppleはmacOSの主要なリリースの後、常にカーネルを公開してきた。このカーネルはiOSデバイス上でも動作する。macOSとiOSが同じ基盤の上に作られているからだ。このほどAppleは、最新バージョンのカーネルをGitHubでも公開した。あわせてカーネルのARMバージョンも初めて目にすることができる。

先へ進む前に、まずはコンピューターの歴史を少し話しておくべきだろう。macOSの最初のバージョン(当初はMac OS Xと呼ばれていた)は2001年に登場した。ベースとなったNeXTSTEPは、NeXTのために作られたオペレーティングシステムだ。スティーブ・ジョブズは1985年にNeXTを創設し、1997年にAppleに売却した。そしてAppleはMac OS Xの基盤としてNextSTEPを使う決断を下した。

NeXTSTEP自身、オープンソースプロジェクトのBSDに由来している。今あなたが使っているかもしれないMacが、オープンソース技術に強く依存している理由はそこにある。それはAppleが毎年macOSのごく小さな部分をリリースする理由でもある。これをコンパイルして自分専用バージョンのmacOSを動かすことはできないが、このカーネルのソースコードに関心を持つデベロッパーもいる。

iOSはどうなのか? 2007年にスティーブ・ジョブズが最初のiPhoneを発表したとき、iPhoneのオペレーティングシステムはmacOSの派生物だと言った。「今日みなさんに、ソフトウェアのブレークスルーをお目にかけます。ほかのどの携帯電話よりも5年以上先を行くソフトウェアです。どうやってそれができたのでしょう? 実はある強力な基盤を元にしました ― iPhoneではOS Xが動いています」ジョブズはそう言った。「なぜ携帯端末にそんな高度なオペレーティングシステムを使うのでしょう? そこには私たちに必要なものが全部入っているからです」

AppleはこのオペレーティングシステムをiPhone OSと呼ぶようになり、後にiOSになった。iOSはフローティングウィンドウがないなどmacOSの完全なコピーではない。しかしiOSとmacOSは、Darwinと呼ばれる同じUnixベースのコアをはじめ多くのフレームワークを共有している。Apple WatchとApple TVも、やはりDarwinに依存するiOSの派生システムを使用している。

そういうわけで、ARMに最適化されたAppleカーネルのソースコードをダウンロードできるようになったことに、さほど大きな意味はない。Appleは、iPhoneのカーネルを公開することでオープンソースコミュニティーのフィードバックをもらいたいのかもしれない。AppleはARMチップで動くmacOSを開発中なのかもしれない。あるいは単なる間違いかもしれない。たぶんAppleはTwitterの反応を見たかっただけなのだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

完全オーダーメイドのファッションEC「LaFabric」が7.4億円調達

カスタムオーダーファッションレーベル「LaFabric」を展開するライフスタイルデザインは10月2日、グロービス・キャピタル・パートナーズニッセイ・キャピタルSpiral Ventures Japanを引受先とする第三者割当増資を実施した。調達金額は総額7.4億円だ。

これにより、グロービスの渡邉佑規氏とニッセイキャピタルの永井研行氏が社外取締役に、税理士法人市川会計の市川貴弘氏が監査役に就任する。

ライフスタイルデザインが展開するファッションレーベルのLaFabricでは、顧客の体のサイズを採寸し、そのサイズにピッタリの服をオーダーメードで製作する。

ライフスタイルデザインは都内を中心に5つのリアル店舗を構えており、そこで顧客の採寸を行う。一度測ったサイズはデータとして保存されるため、顧客は次回以降、自分にピッタリのサイズの服を簡単にオーダーすることができる。

ライフスタイルデザイン代表取締役の森雄一郎氏は、「リアル店舗は自社製品の体験スポットという位置づけだ。店舗に来る顧客はオンラインで服を買ったことがない人も多い。そこで、店舗に置いてあるタブレット端末で注文するという体験をしてもらい、ECに対する壁を取り除くという試みもしている」と話す。

オーダーメードということで値段が高いのではと思ったが、そうでもない。スーツは4〜7万円程度の価格帯で、シャツは1万円ほど。ある程度名の通ったブランドよりも低めの値段設定のように思う。

このような特徴から、LaFabricの顧客は平均して40日でリピート購買をしているのだとか。一番の売れ筋は、男性用のスーツとシャツだ(女性向けラインナップはまだない)。

自社製品を自社チャネルで提供するD2Cモデル

ライフスタイルデザインは、自社で企画した商品を自社のチャネルのみで販売するD2Cモデル(Direct to Consumer)を採用している。

そこで問われるのが商品の企画力だ。長年の歴史をもつ他のブランドにも負けない商品作りが必要となる。

その例として同社は、「水の都」とも呼ばれる岐阜県大垣市の伝統的な布地を使用した「THE ROOTSシリーズ」をはじめ、NASAが開発したマイクロカプセルを生地に練り込むことで体温を32度に自動で調節する「THE TECHシリーズ」などユニークな自社製品を開発している。

2015年3月に正式リリースしたLaFabricはこれまで順調に成長を重ね、売上は前年同期比で約550%の伸びを見せているという。

ライフスタイルデザインは今回調達した資金を利用して、幹部クラスの人材の採用、リアル店舗の拡大を行うという。また、これまでにも進めてきた提携工場とのシステム連携を加速させる。

「提携工場のなかには、注文を紙ベースで処理していることも多く、ヒューマンエラーも起きていた。工場とのシステム連携を進めることで、納品までの期間が数日短縮された例もある」(森氏)

ライフスタイルデザインは2012年の創業。同社はこれまでに、ニッセイ・キャピタルなどから4億円の資金調達を実施している。

建材比較サービス「truss」が1億円を調達、“紙のカタログ”問題をITで解決

IT化が遅れている業界の課題を、テクノロジーで解決する――このような挑戦をするスタートアップを知るとワクワクする。建材比較サービス「truss(トラス)」を通じて建築設計施工者、建材メーカーの課題を解決しようとしているトラスもまさにその1社だ。

建設業界というと何となくIT化が進んでいないイメージがあったが、少しずつその状況は変わってきているようだ。TechCrunchでも今年に入って建設現場向けチャットアプリ「stacc」建設業のための写真管理アプリ「Photoruction」を紹介した。staccの記事内では、「作業員の7割近くがスマホを持つようになりITが進められる状況になった」という話も紹介している。

このように設計者のコミュニケーションや業務を効率化するサービスは増えてきている。ただ一方で設計者が建築に使う「建材を選ぶ」段階では、今でも紙のカタログが主流でアナログな状況だ。

建材の種類はどんどん多様化する中で、紙のカタログをくまなくチェックして製品ごとの特徴を把握するのは困難。そのような「紙のカタログ問題」をITで解決するのが、建材比較サービスtrussだ。

同サービスを提供するトラスは10月2日、複数のベンチャーキャピタル及び個人投資家から1億円の資金調達を行ったことを明らかにした。調達先はDBJキャピタル、みらい創造機構、GMO VenturePartners、SMBCベンチャーキャピタル及び元ラクスル副社⻑の守屋実氏、キープレイヤーズ代表取締役の⾼野秀敏氏、レオスキャピタルワークス代表取締役の藤野英⼈氏だ。

なお守屋氏はトラスの経営顧問に就任している。

設計者と建材メーカー双方で課題となっている紙のカタログ

trussは建材メーカーが販売する製品を、横断して比較できるサービス。法規や性能など条件に応じて比較できるのはもちろん、性能や値段をグラフ上にプロットし分布図のような形で可視化する。製品の違いが一目でわかるため、効率的に情報を収集できるのが特徴だ。

現在は設計施工者を対象に無料で提供。マネタイズについては建材メーカー側からの販促費を考えているが、サービスの提供価値が上がればユーザーからの課金も検討する。

「建材はプロジェクトの内容に応じて必要なものが絞られるため、実際に必要なのは分厚い紙のカタログのうち、数ページほどだけ。そのわずかな情報のために各メーカーごとの分厚いカタログを引っ張り出して、細かく比較するというのは限界があった」(トラス代表取締役・久保田修司氏)

あるメーカーの断熱材カタログを実際に見せてもらったのだが、1冊で570ページほどだった。これが主要なメーカーのものだけでも10冊以上はあるそう。1つの材料を選ぶだけでも、紙のカタログでは相当骨の折れる仕事だ。

設計者は建材を選ぶことだけに膨大な時間を使うことはできないため、新製品の情報をキャッチアップできず過去に使ったものを何度も選ぶことがよくあるのだという。この現状は設計者だけではなく、建材メーカー側にとっても課題となっている。

「毎回大量のカタログを製本して送る、営業担当者が地道に新製品を紹介しに周るというのがずっと続いてきた。小さい事務所まで1件1件営業するのは難しいし、建材メーカーも効率が悪いのは分かっている。ただどのように効率化すればいいのかがわからないという状況。せっかくいい製品を作ったのに、認知されないから使われないというのはもったいないし、建材の質が建物の質に影響するため解決すべき課題だと思った」(久保田氏)

資金調達も実施、対象領域の拡大を目指す

trussを立ち上げてから約1年、現在は建材の中でも断熱材や窓、屋根材など外皮周りに特化して情報を掲載している。デザインやサイズ違いのものも含めサイト上では約7000種類の製品を比較できるようになったが、それでも市場に出回っているうちの約2~3割ほど。建材メーカーの許可を取りながら、その数を増やしている状況だ。

今後は外皮以外の領域にも対象を広げていく予定で、「trussにくれば建材の情報が一通りそろっていて、比較できる状態」を目指していく。

トラスは2014年12月の設立。東京工業大学建築学科の同級生だった3人で立ち上げた。trussの構想は代表取締役の久保田氏が総合商社に勤務していた頃に、ヨーロッパを訪れ現地の街並みや建物を見たことから。

「ヨーロッパの建物や街並みがきれいな要因は建材が統一されているからだと思った。東京に戻って建物を見ると建材がバラバラであることと同時に、種類の豊富さに気づいた。その時にどうやって建材を選んでいるのか、興味を持ったことがはじまり」(久保田氏)

共同創業者の1人が当時設計事務所で働いていて、紙のカタログを使っていることを聞いた。ITを使って効率化できないかを突き詰めた結果、trussのアイデアに行き着き起業に至ったという。

「建築にかかるお金は、大きくは『建材にかかるお金』と『建物を作り上げる人にかかるお金』にわかれる。後者に関しては設計者の業務効率化や彼らがお客さんを獲得するためのツールなど、IT化が進んできているが、建材の部分はまだまだ効率化が進んでいない。trussを通じて最適な建材選択を支援することで、建物の質をあげていくことに貢献していきたい」(久保田氏)

学校の勉強を手伝ってくれるアプリケーション

アメリカでも新学期が始まってしばらくになる。すなわち、宿題の量もいよいよ本格的になってくるということだ。

しかし今の時代、宿題もアプリケーションが手伝ってくれる。

TechCrunchでも、いくつか学業支援のアプリケーションを試してみたので、良さそうなものを紹介しておきたい。

Photomath

まずは、以前にも紹介したものだ。名前をPhotoMathという。数学が得意な人にも、苦手な人にも役立つアプリケーションだと思う。方程式問題を写真に撮れば、解答はもちろん、そこにいたる解法も示してくれるのだ。問題に関連するグラフも示してくれる。

非常に便利なアプリケーションではあるが、インチキのためのツールととらえてはいけない(もったいない)だろう。自分の解き方が正しいのかどうかを知るためにとても役立つツールとなっている。シンプルな方程式問題から、三角関数の問題にまで対応している。アプリケーションは無料で、iPhone版およびAndroid版がリリースされている。

Socratic

Socraticも、写真に撮ることで宿題の手伝いをしてくれるアプリケーションだが、こちらは数学以外にも対応している。理科、歴史、英語、経済学などにも対応しているのだ。

アプリケーションの説明によれば、AIの力を活用し、解答や関連情報を提示しているのだとのこと。高校レベルの学習に対応したグラフや解説を表示してくれる。さらにKhan Academyなどの教育プラットフォームからの関連ビデオなども提示してくれる。こちらも無料で、iPhoneおよびAndroidの双方に対応している。

Quizlet

現代風の、単語帳活用アプリケーションもある。Quizletもそのひとつで、デジタル単語帳を簡単に作って活用することができる。学習用アプリケーションカテゴリーでも人気を集めているようだ。

自分で単語帳を作って利用することもできるし、他の人がつくった数多くの単語帳データを活用することもできる。開発会社によれば、月間2000万もの人が、このアプリケーションを利用しているのだとのこと。単語帳と呼んでいるが、利用できるのはテキストだけではなく、画像やグラフ、地図など多岐にわたる。タイマー機能ももっているし、各種統計データで学習の進捗状況を分析することもできる。こちらもやはり無料で、iPhoneおよびAndroidに対応している。

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(翻訳:Maeda, H

『地域若者サポートステーション』サイトリニューアル

厚生労働省が主体する若年無業者の自立支援サイト『地域若者サポートステーション』(通称:サポステ)の、ウェブサイトリニューアル案件。 従来のサイトデザインを一新し、全く新しいデザインを一から企画し提案。コーディングから納品 […]

8bitdoの新製品ワイヤレスコントローラーはSNES Classic Editionにぴったりだ

SNES Classic Editionが今日発売され、今頃は予約が間に合ったラッキーな連中の家へ向かっているか、または世界中のゲームストアの前で行列を作り、眠そうな目をしたファンの手に渡っていることだろう。この小さなゲーム機の評価は総じて良いが、それも意外ではなく、今後はアクセサリ市場が賑わうことだろう。ここでご紹介する8bitdoの、昔のSNESを連想するレトロなワイヤレスゲームパッドも、そのひとつだ。〔SNES == スーパーファミコン〕

8bitdo SN30ワイヤレスコントローラーのニューバージョンは2.4GHzのワイヤレス受信部があり、[Down]と[Select]を同時に押すとSNES Classicのホーム画面が出る。内蔵バッテリーは充電可能で、また、オリジナルのスーパーファミコンやカラーSNESにあったボタンがすべてある(上図)。

この新しいコントローラーは、Amazonで今日(米国時間9/29)から予約を受け付けている。ワイヤレスで24ドル99セントは安いと言えるだろう。有線のコントローラーも、そう安くはないだろうから。なおこれらは2.4GHzのデバイスのみであり、同梱の受信部がないと使えない。Bluetoothのコントローラーは、だめである。

発売は12月10日だから、かなり待たされる。でもそれはまだ、ホリデーギフトシーズンのまっただ中だ。それまではSNES Classicに同梱されている、ケーブルの短い有線のコントローラーで我慢しよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AlibabaがMySQL代替系MariaDBへの2700万ドルの投資をリード、クラウド事業に本腰

【抄訳】
Alibabaは2017年をクラウドコンピューティング事業への注力に費やし、そして今度はその分野の西側のスタートアップに、初めての大きな投資をしようとしている。

この中国のeコマース巨人は、MariaDBへの2290万ユーロ(2700万ドル)の投資をリードすることに合意した。西側すなわちヨーロッパの企業であるMariaDBは、Webでいちばん多く使われているオープンソースのデータベース(社名と同じMariaDB)を作っている。今回の投資案件に詳しい情報筋によると。投資はまだ完了していないが、MariaDBの株主たちが今週OKを出したので、完了も至近だそうだ。

AlibabaとMariaDBの両社は、本誌からのコメントのリクエストに応じていない。

TechCrunchが聞いた話によると、Alibabaが2000万ユーロを出し、残りは既存の投資家 たちが出すらしい。投資に際してのMariaDBの評価額は約3億ユーロ(3億5400万ドル)で、Alibabaのクラウド事業の主席技術者Feng Yuが、MariaDBの取締役会に加わるようだ。

5月にEuropean Investment Bankから2500万ユーロ(当時で2700万ドル)を調達したときは2億から2億500万ドルの評価額だったから、かなりの増加だ。情報筋によると、今後のAlibabaとの事業関係への期待がMariaDBの評価額を押し上げた、といわれる。

MariaDBは、もっとも人気のあるMySQL代替DBMSでよく知られている。MySQLもオープンソースだが、Sun Microsystems次いでOracleと、企業がオーナーだったために、最初の頃と違って完全なフリーではない。そこで、MariaDBのような代替系が求められるのだ。

そしてAlibabaのクラウドコンピューティング事業は、同社の最速成長部門だ。ここ数年、毎年、3桁の売上増加額を記録している。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Firefoxにもう一度チャンスを与えるべきときが来た…v57はMozillaの最高の自信作

あなたもぼくみたいな人なら、デフォルトのブラウザーを何年も前にChromeに替えて、それきりだろう。そしてその前にはきっと、Firefoxや、あの悪名高きInternet Explorerを使っていただろう。当時のChromeの強みは、そのスピードと単純性だった…対照的にFirefoxは、アップデートを重ねるたびに遅くて鈍重になっていた。でも、時代は変わった。今は、Firefoxにもう一回チャンスを与えるべきときだ。

今週の初めに、Firefoxを支える非営利団体Mozillaが、Firefox 57の最初のベータをローンチした。重要なニュースとは思えないかもしれないが、実はバージョン57は近年ではいちばん重要なFirefoxのリリースだ。それは、ユーザーには見えない部分の多くの可動部品を何年もかけてチューンナップしてきた成果であり、それによりGmailの受信トレイやYouTubeまたの名‘猫のフォーラム’が、一瞬でさっと表示されるようになった。Mozillaは今回のリリースの重要性を強調するために、このバージョンを“Firefox Quantum”と呼んでいる。

誰もが知ってるようにMozillaは、さまざまな実を結ばないプロジェクトに大量の時間と労力を浪費してきた。モバイルのOSも作ったし、IoTサービスや、ブラウザー内蔵のビデオチャットなども作った。内部的なもめごともあったし、その回復には時間がかかった。でも、こんなことを長々と取り上げても意味がない。重要なのは、Mozillaがやっと自分のツボを見つけて、再び集中できるようになったことだ。そしてその効果が、現れ始めている。

最近の数年間Mozillaの技術者たちは二つのプロジェクト〔エンジンとインタフェイス〕に心血を注ぎ、そしてついに、その成果が見えてきた。それには予想外に、というか必然的に、長い時間を要したが、このQuantumリリースによってMozillaは再び、インストールする価値のあるブラウザーを提供しようとしている。

Quantumに見られるアップデートの多くは、Mozillaの実験的なブラウザーエンジンServoに由来している。Servoは独立のプロジェクトとしてはリリースされず、あくまでも未来のFirefoxを育てる培養器だった。そのエンジンは、Mozillaがまさにこのようなユースケースのために作ったプログラミング言語Rustで書かれている。〔Rust参考記事

そのためFirefox Quantumは、マルチコアのCPUをフルに利用でき、それはとくにCSSエンジンで威力を発揮する。そもそもWebページの表示が速いことはほぼイコール、CSSのレンダリングが高速であることだ。またそれによってメモリの使用量も少なくなり、スピードアップに貢献している。実際にメモリの使用量がChromeよりも少ない場合が、多いそうだ。

このリリースで、インタフェイスも新しくなった。たとえば、角の丸いタブはなくなった。新しいインタフェイスは、スピードと単純性を重視している。これまでのバージョンと同じく、インタフェイスのカスタマイズは可能だが、今度のインタフェイスは高密度の画面でも見栄えが良く、タッチスクリーンのあるラップトップでも反応が良い。

Pocketのサポートは継続するから、ぼくのようなPocketのヘビーユーザーにはありがたいが、そうでない人もいるだろう。またブラウザー画面をスクリーンショットする機能や、もっぱらテキストだけを読みたい人のために、レイアウトが簡素化されるリーディングモードもある。

ぼくはこのバージョンのナイトリーリリースを今日まで数週間使って、毎朝毎晩、Firefoxの前のバージョンとの違いを体験的に確認している。そして、これだけ速くて軽ければ、安定版が出たらChromeに替えて再びデフォルトのブラウザーにしてもよい、と感じている。

もちろん、不満もある。たとえば、TweetDeckのスクロールバーが醜い。LastPassのFirefox 57 beta対応バージョンがない(Mozillaのせいではないが、不満は不満)。

Firefox QuantumはChromeよりも大幅に良いか? それはない。でも、再び互角になった。ブラウザーの選択には個人の好みもあるが、ぼくは非企業という点が気に入っている。これまでは、Firefoxの遅さを前に、企業製のChromeを捨てる気にはなれなかった。でも今や両者は横並びだから、その比較は成り立たない。しかも、Mozillaがもたもたしている間(かん)に、VivaldiBrave(Mozillaを追われた元CEO Brendan Eichの作)などのコンペティターが出現したし、Operaもまだ健在だ。多くの選択肢の中での、比較ができる。

Firefox 57の公式リリースは11月14日の予定だ。それまでは、ベータデベロッパーリリースで、新しい機能をすべて体験できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebook、顔認識を使ったアカウント復元をテスト中

Facebookには、Apple FaceIDの独自バージョンがある。Facebookアカウントにアクセスできなくなったとき、本人認証に自分の顔を使ってアカウントを復元できる。これは、飛行機の中や旅行中などSMSで二要素認証を受け取れない時や、メールを読めない時には特に便利そうだ。

ソーシャルメディア研究者のDevesh Logendran(筆名)がTNWのMatt Navarraに新機能のスクリーンショットを送ってきた。本誌がこれをFacebook見せたところ、以下の回答があった。

「当社ではアカウント復活の際に、ユーザーが早く簡単にアクセスを取り戻すための新機能をテストしている。このオプション機能は過去にログインしたことのある端末でのみ利用できる。これは、SMS経由の二要素認証に加えて、アカウント保有者が本人であることを確認する新たな方法だ」

この機能がユーザーにとって信頼できるもので、ハッカーに騙されることがないと証明されれば、Facebookはもっと広く公開するかもしれない。

ここ数年Facebookは、凍結アカウントを復活するための新しい方法をいくつか試してきた。友達の写真を識別することで、自分が自分であることを証明するものもあった。あるいは、「信頼できる友達」を何人か指名しておき、アカウントのロック解除コードがそこに送られる、という方式もテストされた。

過去にFacebookは、写真のタグ付け候補に顔認識を利用して反発を受けた経験があるが、今回は本人を助けるためだけにテクノロジーが使われる。そのため、プライバシー問題を心配する必要はあまりないが、生体データに関わるものは何であれ人々を躊躇させるのはたしかだ。それでも、メッセージやニュースフィードやハッカー被害の復旧に役立つのであれば、多くの人はFacebookで自分の顔を使うことに抵抗を示さないだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ReactantはiOSアプリのための新しいネイティブフレームワーク

Xcodeに戻ってもいいかなと考えている開発者たちのために、Brightifyという名のチェコの小さなチームが、iOSアプリの開発を容易にするReactantという名のフレームワークを開発した。これは、コードのライブリロードを提供するSwiftベースのフレームワークで、プログラムしながらエレメントを素早く追加することができる。

「Reactantアーキテクチャは、iOSプロジェクトをどのように構築するかを隅々まで決定します。テスト可能で再利用可能なコードを書くことを可能にしますし、きわめてスケーラブルなものです。このことは、小さなアプリの開発速度を低下させるような定型部分がない一方、アプリが成長して行くときにもそのまま使い続けることができることを意味します」と語るのはTadeas Krizだ。チームはフレームワークをGithubで公開し、少数の友人たちや家族と一緒にシステムを拡張してきた。

「アーキテクチャは既に利用可能で、私たちの作る全てのアプリケーションで用いられています。これはクライアント向けの私たちの開発と並行して開発されてきたもので、このことで、フレームワークが私たちの全ての要求を満たしていることを、公開する前に確かめることができました。そしてこの部分は現在オープンソースとして、公開されています」。

彼らはまた、アプリのレイアウトをより簡単に行なうためのUIエディタも開発している。こちらの公開は12月の予定だ。

「主要な利点は、iOS開発者なら誰でもReactantを直ちに使い始めることができるということです。なぜなら、すべてネイティブのSwiftで記述されているからです。Swiftの強力な型システムによって、開発者たちはコンパイルの時点で多くの安全性を確保することが可能になります」。

Krizと共同創業者のMichael Chlubnaは、Reactantを彼ら自身の開発に対する解決策として開発した。チームはまた、モバイルアプリ開発会社のBrightifyも運営している。このツールを利用することで、大量のコーディングを行うことなくSwiftでのアプリケーション開発をより簡単に行なうことができるようになる。アプリケーションはネイティブのiOSコードにコンパイルされるので、React Nativeのようなハイブリッドフレームワークを利用するときのような非互換性は存在しない。彼らはまた極めて充実したドキュメントを用意しているので、Reactantを選んでプログラミングを始めるための敷居は低い。

私はサンフランシスコで開催されたDisruptでチームと実際に会った。プラットホームは良く構築されており、私のような初心者には間違いなくエキサイティングな内容だった。次のプログラミングプロジェクトのために検討をする価値はあるだろう。

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(翻訳:Sako)

アメリカの超有名なモニュメント(記念的建造物)やダムもドローン飛行禁止区域に

連邦航空局(Federal Aviation Administration, FAA)が、記念的建造物やダムなど、アメリカの重要なランドマーク周辺におけるドローンの利用を規制するルールを発表した。この新たな制限では、ドローンはそのランドマークから400フィート(122メートル)以内を飛行してはならない。FAAによるとこれらのルールは、連邦政府の安全保障ならびに法執行関連の省庁(FBIなど)からの要望に基づいて制定された。

これらの場所は、これまでも増え続けていた飛行禁止区域の、さらなる追加にすぎない。これまでは、空港、(空港以外の)滑走路、軍の基地、競技場、国立公園などが禁止区域だった。おもしろいのは、今回加わった場所の半分がダムであることだ。すなわちFAAは、エネルギーや水などを供給する公共事業のための施設も、ドローンから守りたいのだ。規制が発効するのは、2017年10月5日からだ。

  • Statue of Liberty National Monument, New York, NY(自由の女神像)
  • Boston National Historical Park (U.S.S. Constitution), Boston, MA(コンスティチューション号博物館)
  • Independence National Historical Park, Philadelphia, PA(インディペンデンス国立歴史公園)
  • Folsom Dam; Folsom, CA(フォルサムダム)
  • Glen Canyon Dam; Lake Powell, AZ(グレンキャニオンダム)
  • Grand Coulee Dam; Grand Coulee, WA(グランドクーリーダム)
  • Hoover Dam; Boulder City, NV(フーバーダム)
  • Jefferson National Expansion Memorial; St. Louis, MO(ジェファーソン国立記念公園)
  • Mount Rushmore National Memorial; Keystone, SD(ラシュモア山)
  • Shasta Dam; Shasta Lake, CA(シャスタ湖貯水池)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

【今日まで】TC Tokyo 2017、スタートアップバトルに応募する最後のチャンス

TechCrunch Japanは11月16日・17日に渋谷ヒカリエで「TechCrunch Tokyo 2017」を開催する。TechCrunch Tokyo 2017の目玉企画、スタートアップによるピッチコンテスト「スタートアップバトル」の本登録の締め切りがいよいよ本日の深夜までと迫ってきたので、最後のお知らせをしたい。

例年100社以上からご応募いただき、その内書類選考を通過した20社がTechCrunch Tokyo 2017の壇上でプロダクトのピッチを行う。11月16日にファーストラウンドを実施し、そこから勝ち上がった6社が11月17日午後に開催するファイナルラウンドに進出する。優勝チームには賞金100万円を贈呈するほか、スポンサー賞も多数ある。

書類選考に通過した20社はTechCrunch Tokyo 2017でブースを出展する権利もある。応募するのに費用は一切かからない。

今日が、TechCrunch Tokyo 2017のスタートアップバトルに応募する最後のチャンスだ。奮って、応募してほしい。

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応募資格

応募資格は下記の2点。
・未ローンチまたは2016年10月以降にローンチしたデモが可能なプロダクトを持つスタートアップ企業であること。
・創業年数3年未満(2014年10月以降に創業)で上場企業の子会社でないこと。

審査基準と書類審査員

審査基準は以下の3点だ。

・プロダクトの市場性
・ビジネスの成長性
・ビジョンを実現するためのチーム

この基準をもとに、以下の8人の審査員が書類選考を行う。

・有安伸宏氏(Tokyo Founders Fund 起業家・エンジェル投資家)
・今野穣氏(グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー、Chief Operating Officer)
・澤山陽平氏(500 Startups Japan マネージングパートナー)
・西田隆一氏(B Dash Ventures シニア・インベストメント・マネージャー)
・田島聡一氏(ジェネシア・ベンチャーズ ジェネラル・パートナー)
・和田圭祐氏(インキュベイトファンド 代表パートナー)
・西村賢(TechCrunch Japan 編集長)
・岩本有平(TechCrunch Japan 副編集長)

選考を通過した応募企業には、イベント運営事務局から10月13日までに審査結果を通知する。

応募締め切りは9月30日土曜日23時59分までだ。時間に余裕を持って入力してほしい。みなさんの応募を心待ちにしている。

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$49.99でSphero体験ができるSphero Mini登場

Spheroにとっては大忙しの1年だった。R2-D2スパイダーマン、あるいはライトニング・マックィーンといったプロダクトをたてつづけに送り出していたのだ。なお、そうしたプロダクトに埋もれがちではあるが、Spheroはライセンス製品以外も開発している。今回発表されたものもノンライセンスのプロダクトで、名前をSphero Miniという。Sphero製品の中で、もっとも安価なモデルともなっている。

「Sphero製品をおおぜいの方に使ってもらいたかったのです」と、共同ファウンダー兼ソフトウェア・アーキテクトであるAdam Wilsonは述べている。

このSphero Mini、基本的にはSphero 2.0の廉価版だ。サイズは42mm x 42mmで、重さは46グラムとなっている。サイズをコンパクトにするために、2.0からワイヤレス充電などの機能を削っている(防水でなくなっていて、耐久性も2.0には劣るとのこと)。

そうはいっても、このMiniにも2.0の主要機能は搭載されている。スマートフォンのアプリケーションを利用して操作することができるし、スマートフォンゲームのコントローラーとして利用することもできる。Sphero Eduのアプリケーションを使えば、プログラミングを楽しむこともできる。

さらに新機能としてFace Driveを備えてもいる。これは表情によってMiniをコントロールするものだ。私も試してみたが、操縦者が笑顔を見せたりしかめっ面をしたり、あるいは首をかしげるなどしてMiniをコントロールするのはなかなかおもしろい。

さらにMiniには、近くにあるMiniを検知する機能も備わっているのだとのこと。ただし、この機能を活かした動作はまだ実装されていないとのことだ。

「たしかにディズニーなどとのコラボレーションからうまれてくる製品は面白いが、メジャーな映画やキャラクターとは無関係なMiniのようなデバイスに果たして魅力はあるのだろうか」と考える人もいるかもしれない。Wilsonによれば、紐付きでないことで、むしろFace Driveのような新機能を試すことができたのだとのこと。また、Spheroの基本方針である「プログラマブルでハッカブル」を自由に試すことができるのだとも話している。

「わたしたちSpheroにとっては、キャンペーンも、また製品のキャラクターも自由に設定することができるという魅力があります」とWilsonは述べる。「また、新しい技術は自社ブランドプロダクトに埋め込んでみたいという考えもあります」。

Sphero Miniはすでに販売開始となっており、価格は49ドル99セントだ。Sphero 2.0の半額ほどの値段になる。製品にはミニ・ボーリングピンやコーンも同梱されている。個性を発揮したいという人には、カラーバリエーションも容易されている。

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(翻訳:Maeda, H

GoogleがAmazonのEcho Showに対抗するスマートスクリーンデバイスを開発中

複数の情報源がTechCrunchに伝えるところでは、Googleは卓上スマートスクリーンを開発しているということだ。ビデオ通話その他の利用が想定されており、AmazonのEcho Showと競合することになる。Amazonは沢山のEchoを発表したばかりであり、Facebookもコードネーム“Aloha”という、ビデオ通話スクリーン開発を続けている中で、このデバイスはGoogleをスマートホーム市場の競争に、留まらせるためのものとなるだろう。

情報源の2つがTechCrunchに語ったところによれば、このデバイスは”Manhattan”という内部コードネームで呼ばれていて、7インチのEcho Showと同様のスクリーンサイズを持つ。片方の情報源はこの情報をGoogleの従業員から直接得たということだ。両情報源とも、このデバイスが、YouTube、Google Assistant、Googleフォト、そしてビデオ通話を提供するとしている。また、Nestやその他のスマートな家庭用デバイスを制御できる、スマートハブとしても機能する。

Googleは以前、フルサイズのテレビに対抗できるような大きなスクリーンの製品に取り組んでいたが、今はこのManhattanデバイスにより注力しているということのようだ。当初のローンチ予定は2018年の中頃だったということだが、Echo Showの登場により、ローンチを2017年内に行うようにという、内部圧力がかかっているということだ。しかし結局は2018年にずれ込む可能性が高いらしい。これは、スマートハブのパートナーシップを確立するために必要な交渉がまだ多く残されていることと、Best Buy Geek SquadやEnjoy(どちらも電子製品の設定・修理サービス)と共に、家庭内設置サービスのパートナーシップのあり方を模索している最中だからということだ。

AmazonのEcho Showはビデオ通話が可能

情報源によれば、このデバイスはサードパーティがアプリを作りやすくなるように、Androidで動作するということだ。まだ確定ではないものの、チームがこのデバイス上で実行することに特に関心があるアプリの1つはNetflixである。

デバイスの価格がどの程度のものになるのか、またどのような外見になるのかは不明だ。トップに示したイメージはEcho Showに基いて、TechCrunchが想像で作成したモックアップに過ぎない。本記事の締め切りまでにGoogleからのコメントを得ることはできなかったが、もし何かわかったことがあれば更新する。Googleは10月4日にハードウェアイベントを開催する予定だが、このデバイスに関して何かの発表がある前触れはない。

なぜGoogleはスマートハブスクリーンが必要なのか

YouTubeがManhattanデバイスに取り込まれることで、最近GoogleがYouTubeをEcho Showから取り去った理由がより明確になった。取り去りの時点でAmazonがThe Vergeに語ったのは以下のような内容だった「Googleは顧客へ何の説明もなく、通知も行わずに、YouTubeをEcho Showで使えなくすることを選びました。その決定には技術的理由はありません」。

Googleはこれに対して「Echo ShowにおけるAmazonのYouTube実装は、私たちの利用規約に違反しており、ユーザー体験を損なっていました」と応じている。Echo Showでは、YouTubeが重要と考えるサブスクリプションやおすすめ動画が、全ては表示されていなかった。Googleは、自身がユーザー体験をコントロールできる似たようなデバイスを準備している現在、YouTubeに対するユーザー体験の一貫性を守るために、Echo Showでのリーチを犠牲にしたように見える.。

スクリーンを持たない既存のGoogle Home

Googleがスマートスクリーンを立ち上げる理由はほかにも沢山ある。

  • これはGoogleが、人びとの日常生活のための音声OSとすることを狙うGoogle Assistantを、家庭に招き入れるための手段の1つだ。
  • これはDuoやHangoutsといった、Googleのビデオチャットアプリを媒介するものだ。卓上に載る大きさは、電話や従来のコンピューターには馴染めないものを感じている子供やシニアたちには、親しみやすいサイズかもしれない。
  • Googleを、成長するスマートホームデバイスたちの中心に位置付けることが可能になるかもしれない。通常、そうしたガジェットたちは、無線通信を行なうために、イーサネットやWi-Fiに接続するハブやブリッジを必要としている。しかしそれぞれのデバイスのために異なるハブを用意するのは面倒だ。多くのパートナーたちと協力して作ったGoogle製のオムニハブは、セットアップを簡素化し、Googleをスマートホームの不可欠な部分にして、Amazonの新しいEcho Plusハブと競合することができる。
  • またこれは同社の他のプロダクト、例えばGoogle Photosなどへの新しいインターフェイスを提供する。デバイスがデジタルフォトフレームとして動作するところを見た人びとが、アプリケーションをダウンロードしたいと考えることによって、成長を促すことができる。これはAmazonとの差別化要素となり得る。なぜならAmazonのPrime PhotosはGoogle Photosほど有名ではないからだ。

基本的に、Googleがこれをローンチしない理由はほとんど見当たらない。Googleは既に、Google Wifiユニット、Google Homeスマートスピーカー、そしてChromecastを提供しているが、まだ欠けていたのがスクリーンとハブなのだ。Manhattanデバイスは、Googleの既存のサービスを完全に補完することになる。結局Googleのスマートスクリーンは、Googleに後塵を拝させることを強く決意しているように見えるAmazon Echoチームに、Googleが対抗していくことの役に立つだろう。

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(翻訳:Sako)

ReactとJavaScriptで仕事をしているデベロッパーがアプリに容易にAR効果を導入できるViro Media

ARやVRも、ゲームを作るならUnityやEpic Gamesなどに最高のツールがある。でもそれらは、ゲームのデベロッパー以外の人にとっては、ちょっと近寄りがたい。そこでViro Mediaは、Webやモバイルのデベロッパーに、ゲーム以外のAR/VRアプリを簡単に作れる方法を提供する。

Viroは、ふだんJavaScriptとReactを使ってお仕事をしているデベロッパーを、拡張現実の楽しさに近づける。そしてiOS 11のARKitを完全にサポートしているので、ARによる自撮りフィルターとか、Magic Portalsのようなアプリを容易に作らせてくれる。

同社のVR志向については、今年の3月にSoftbank NYやLowercase Capital, Betaworksなどから250万ドルを調達したときに本誌も取り上げた。そして今回はARKitをサポートし、近くGoogleのARCoreもサポートするそうだから、ARという新しい技術に向けて最適化されている非常に多くのデバイスにアクセスできることになる。VRのヘッドセットはまだそれほど多くないけど、ARKitは世界中で5億台もあるAppleのデバイスをサポートしている。

同社のサンプルアプリFigment ARを見ると、このプラットホームの実力を理解できる。デベロッパーは彼らの新旧のアプリに簡単にいろいろなイフェクトを導入できる。しかも遊びやゲームだけでなく、Viroはエンタープライズの顧客向けにも最適化されている。

これまでのAR体験は、相当小細工的なものが多かったが、WebとモバイルをサポートするViro Mediaを使えば、既存のアプリにAR機能を容易に付加できる。そしてデベロッパーたちは、すぐにでも実験を始められる。

ViroのARプラットホームは、無料で今から利用できる。ここで、ユーザー登録をしよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

スピルバーグ監督も支援――映画館にVRを導入するスタートアップがAMCより2000万ドル調達

消費者向けのVR(仮想現実)の出足は遅いが、特定の場所で体験するアトラクションであれば、業界にとって持続可能なものになると考える人も多い。コンシューマーが映画に行くのと同じ感覚で、より高品質の体験を提供するということだ。

本日(現地時間9/26)、VRスタートアップDreamscape Immersiveは、世界最大の映画チェーンAMCが率いるシリーズBで2000万ドルを調達したと発表した。Dreamscapeはすでにワーナー・ブラザーズ、21世紀フォックス、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー、 IMAX Corporation、そしてスティーブン・スピルバーグなどの支援を受けている。

資金調達に加えて、Dreamscapeは、同社の全身モーションキャプチャVRの技術を取り入れる大きな契約をAMCと締結した。最大6人のユーザーが同時にソーシャル体験を共有できるこの技術は、アメリカとイギリスの映画館や独自の施設に導入する。今後18カ月間に、最大6つの拠点で公開する予定だ。

これらはユーザーが自宅で再現できないようなテクノロジーを利用した独自の体験になるため、注目に値する。また、AMCはDreamscape Immersiveがコンテンツを作り始めるため、コンテンツのためのファンドに1000万ドルを出資する契約も結んでいる。

映画館業界は今のところ、誰かのためになろうとしているわけではない。彼らにとって位置ベースVRは、映画館に客足を戻し、単に自宅にあるより大きな画面でコンテンツを視聴する以上の体験を提供する機会となる。興行成績の規模は拡大していると言えど、オンデマンドの映画レンタルやストリーミングサービスの利便性を選択する人が増えた結果、映画館へ足を運ぶアメリカ人はますます少なくなっている。

現在の映画館には存在しない物流面での課題が明らかにあるが、位置ベースVRは大きな価値を提供できる可能性があり、すでにいくつかのスタートアップは大型の案件を決めている。先月ディズニーは、The Voidと呼ばれる企業のVR体験を2つのディズニーテーマパークリゾートに導入すると発表した。

 

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(翻訳:Keitaro Imoto / Twitter / Facebook

IoTインフラ創出を目指しエストニアに開発拠点を構えるPlanetway、Mistletoeなどから240万ドルを調達

データ連携技術「avenue-cross」やグローバル通信サービスを提供するPlanetwayは9月29日、Mistletoe、ABBALab、福岡を拠点に水産業を手がけるトクスイコーポレーションを引受先として240万ドル(2.6億円相当)の資金調達を実施したことを明らかにした。孫泰蔵氏が率いるMistletoeからは5月にも資金調達を行っている。

今回の資金調達はSAFE(Simple Agreement for Future Equity)という枠組みを用いて実施。SAFEは2013年にY Combinatorが公開した投資用のテンプレートで「将来の株式に関するシンプルな合意」などと訳され、転換社債が持つデメリットを改良したものとされている。SAFEについては2013年にTechCrunchでも紹介しているので詳しくはこちらを参照いただきたい。

Planetwayは現在、世界200ヵ国で利用可能なグローバル通信サービス(IoT向けSIM)を提供しているほか、IoTやAIを用いた新規事業創出に特化したプラットフォーム「avenue」を開発している。創業者兼CEOは日本人の平尾憲映氏で本社は米国サンノゼに構えるが、エストニアに開発拠点を持っている点が同社の特徴だ。

この拠点でavenueのコアテクノロジーであるCross-Industry Data-Access(複数業間でのデータ連携)に特化した「avenue-cross」を展開している。

エストニアといえば電子政府国家として世界的に知られる国だが、avenue-crossではエストニアの政府インフラを民間に応用。その技術にブロックチェーンなどを組み合わせることで、各企業間のデータベースを分散型で繋ぐ。そうすることでデータの安全性やセキュリティを担保しながら、個人法人を問わずデータへのアクセスを可能になる。

以前TechCrunchでも紹介したが、2017年1月には東京海上日動火災保険と共同でavenue-crossのテクノロジーを保険業界に適用する実証実験も行った。今回調達した資金は、主にこのavenue-crossを強化するための人材採用やプロダクト開発、マーケティング強化のために用いるという。

クラウド監視カメラ「Safie」がオリックスなどから9.7億円を調達、画像解析プラットフォームを目指す

クラウド録画プラットフォーム「Safie(セーフィー)」を運営するセーフィーは9月28日、オリックス、関西電力、キヤノンマーケティングジャパン、NECキャピタルソリューション、ティーガイアを引受先とする第三者割当増資により、総額9.7億円の資金調達を実施したことを明らかにした。今回の調達とあわせて、セーフィーは各社と業務提携も結んでいる。

セーフィーはこれまでソニーネットワークコミュニケーションズから資金調達を行っており、累計の調達額は約13.5億円となる。

Safieの特徴はSafie対応カメラをインターネットにつなぐだけで、遠隔地にいてもスマホやPCからリアルタイムで現地の映像・音声を確認できることだ(録画映像も視聴可能)。従来の監視カメラの場合は専用の録画機器やソフトウェアなどが必要で、一式そろえるのに数十万円かかることも珍しくなかった。

一方Safieの場合はクラウド環境を活用していて、カメラ以外の専門機器は不要。システムの設定も業者に依頼するような複雑なものではない。そのため既存のサービスよりも安価に導入できるうえに、画角や画質も担保。セキュリティについても、オンラインバンキング同等のレベルになっているという。カメラ本体は1万9800円から、クラウド録画サービスは月額1200円から提供している(双方とも税別の料金)。

これまでサービス提供から約3年で、1万台以上のSafie対応カメラを出荷。ビジネスシーンでは小売店における防犯や建設現場のモニタリング、店舗の業務改善などに使われている。一般家庭でも自宅の防犯、高齢者の見守りなどを目的に導入されている。

今回の資本業務提携により、セーフィーは各社と連携して営業基盤の拡大をはかるとともに画像解析連携などの技術開発も促進していく。今後は街や地域、施設の防犯や安全管理だけでなく、ビジネスの効率化やマーケティング支援など利用できるシーンを拡大。監視するだけのカメラから、未来を可視化する画像解析プラットフォームを目指すという。

Google Compute EngineではそのVMインスタンスの上で別の仮想マシンを動かせる、マトリョーシカのように

クラウドコンピューティングの、これからご紹介する機能は、ちょっと変わっているが、でも実用性は十分にある。GoogleのCompute Engineが今日(米国時間9/28)、“nested virtualization”(入れ子状の仮想マシン)と呼ばれる新たな機能を、ベータでローンチした。その名のとおり、VMの中でVMを動かせるのだ。

でも、なんでそんなことを? Compute EngineのプロダクトマネージャーScott Van Woudenbergが、今日の発表声明でこう説明している: “企業がオンプレミスで仮想マシンを動かし、その上にアプリケーションがあるとき、それらをクラウドへ移行するためにはnested virtualizationを便利に利用できる。VMのイメージをインポートして変換する必要がない。dev/test(開発/試験の繰り返し)やCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)などで、複数の環境でソフトウェアを検証する必要のあるワークロードでは、nested virtualizationが最適である。”

彼によると、これによりクラウドベースの災害復旧ソリューションをより安価に作れるし、教育訓練や資格認定のためにさまざまな仮想環境をセットアップしたい企業にとっても便利だ。被験者の全員に、確実に同じ環境を提供できるからだ。

この機能は、プリエンプティブVMを含め、Compute EngineのどのタイプのVMでも利用できる。唯一の要件は、その(ユーザーの)VMがIntelのHaswell以降のCPUで動くことだ。

実際にどうやるかというと、まず通常のVMをセットアップし、そのインスタンスの上にKVM互換のハイパーバイザーをインストールする。Googleによると、今のところKVM非互換のハイパーバイザー、Xen, ESX, それにMicrosoftのHyper-Vなどはサポートされない。使用するインスタンスも、Linuxインスタンスのみである。Windowsマシンではnested virtualizationを使えない。

なお、Microsoft Azureはすでにnested virtualizationをサポートしている(Hyper-Vハイパーバイザーを使用)。AWSでは、OracleのRavelloのようなツールを使って同様の機能を実現できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

マグネシウム製の食べられる温度センサーが食品の鮮度を保つ

生鮮食品の温度を輸送時に適温にキープすることは意外と難しいが、スイスの人たちはそれに取り組んでいる。この前彼らは本物の果物の荷の中に混ぜ込むロボットフルーツを発明したが、今度は別のチームが、食品に貼り付ける生分解性の温度センサーを作った。そのセンサーは、食品の出荷地からあなたの口の中胃の中まで旅をする。

食品の現在の温度を目視で、あるいは手作業で確認するのは困難だが、温度をコンスタントにかつワイヤレスでモニタできるなら、時間と労力の大きな節約になる。

これまでもRFIDタグなどを使えばそれはできたが、金属製のタグを誤飲したりしたら、それが毒物である可能性もある。今回ETH Zurich(チューリッヒ工科大学)のGiovanni Salvatoreが考えたのは、人間が安全に消化できる素材を使って、超薄型のセンサーを作ることだ。

彼と彼のチームによるその研究は、Advanced Functional Materials誌に載っている。彼らが作ったセンサーは厚さがわずか16マイクロメートルで(人間の髪の毛の太さは100マイクロメートルぐらい)、マグネシウムでできている。ETH Zurichのニュースリリースによると、マグネシウムは人体の必須栄養素のひとつだ。たしかに、それはそうだ。

酸化シリコンと窒化シリコンも使っているが、こちらも無害だ。そしてチップの全体をコーンとポテトのでんぷんで作った分解性のポリマーが包んでいる。曲げたり伸ばしたりできるし、くしゃくしゃになっても機能は生きている(ただし食べ物自体の状況も確認しよう)。

ケースの中のごく一部のリンゴや魚やバナナなどにこれを貼り付けて、船やトラックに積む。すると冷蔵室の外からでも、食品の温度(気温ではない)を知ることができる。そして、それが行きつくべきところへ行き着けば、あとは体内で分解される。

もちろん、電源やワイヤレスの部位は生分解性ではない。それらは外部にあって、同じく必須栄養素のひとつである亜鉛のケーブルで接続する計画だが、この難問が解決するまでは、まだ完全解ではない。でもセンサー部分が完成しただけでも、すごい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))