日本版Kickstarter正式ローンチ――「北斗の拳」全巻がまるごと楽しめる電子書籍も登場

クラウドファンディングプラットフォームのKickstarterは9月13日、日本版のKickstarterを正式ローンチしたと発表した。日本版のKickstarterは従来のKickstarterのウェブサイトから言語選択をすることでアクセスできる。URLは”https://www.kickstarter.com/japan”だ。

今回日本版が正式にローンチしたことで、日本の銀行口座、身分証明書を使ってプロジェクトを公開することが可能になる。資金の提供者は日本人に限らず、世界中から資金を集めることができるのも魅力の1つだ。

支援に利用される通貨は日本円で、現在はVisa、MasterCard、American Expressのクレジットカードを利用して決済することが可能だ。

なお、Kickstarterはプレスリリースの中で、運営はニューヨーク州にある米国本社が行い、別途日本オフィスを開設する予定はないとしている。カントリーマネージャーには元Facebookの児玉太郎氏が就任したことが5月に発表されている。

記事執筆現在、プラットフォーム上には647個のプロジェクトが公開されている。その中でも僕が面白いと思ったのが、マンガ「北斗の拳」全巻をまるごと楽しめる電子書籍「全巻一冊 北斗の拳」だ。

これはあくまでも電子書籍なのだけれど、外からの見た目は紙のマンガ本そのもの。A5サイズの単行本を開いた中に2つのスクリーン(7.8インチ)が搭載されていて、そこにマンガが表示される仕組みだ。スクリーンを囲む部分は紙でできている。

下の画像にある矢印ボタンを押すことでページのめくり、地球マークを押すことで作品中の言語を切り替えることが可能だ。日本語と英語の2か国語に対応している。画像で見る限り、マンガの描写も非常にくっきりしていて鮮明だ。

日本版Kickstarterがローンチしたことで、これから世界でも話題になる日本発プロジェクトがたくさん増えてくることに期待したい。TechCrunch Japanでも面白いプロジェクトを見つけ次第、読者のみなさんに紹介していきたいと思う。

カスタマー視点とアナリティクスでSEOはこう変わる

こんにちは、ナイルのデジタルマーケティング戦略顧問に就任した清水 誠です。私の顧問としての取り組みは、専門性を生かしたアドバイスに留まらず、「データとカスタマー視点でビジネスを変えていきたい!」という想いと、「SEOを進化させてビジネスに貢献したい!」というナイル側の想いへの共感に基づいています。今回はその経緯や内容、予定についてご紹介します。

旧来のSEOの課題

デジタルのビジネスには23年間、制作から編集、開発、サポート、マーケティング、分析まで幅広く携わってきましたが、以下のような課題を感じていたため、SEOに対してはあまり積極的ではありませんでした。

  • 棚ぼた的な無料集客効果への安易で過大な期待と依存
  • 他のマーケティング施策との連携不足
  • 一人ひとりの訪問者に合わせた接客の欠如
  • 順位や流入、コンバージョンといった安直で短期的な指標による施策の迷走

Googleやデジタルマーケティングの進化に伴い、「コンテンツがキング」「訪問のインテントが大事」「マイクロモーメント」「検索体験の最適化」とSEOも進化してきたようですが、まだまだ旧来のSEOのみに止まっていることが多いように見受けられます。

とはいえ、批判をしたりべき論を語っていても何も変わりません。ナイルが持つSEOの知見・経験と、私が提唱・推進するコンセプトダイアグラム&カスタマーアナリティクスを掛け合わせることによって、SEOをきっかけとした顧客中心でかつ成果が出るデジタルマーケティングの実現を支援できる体制の強化ができれば、業界にとってインパクトがあるのではないか、と考えて今回の顧問就任に至りました。

検索前後のストーリーを図解で整理・共有する

「検索」という行為は顧客にとっては生活やデジタル体験における一部(瞬間)でしかありません。「どのような意識や期待の変化がきっかけとなってキーワードによる検索という行為に至ったのか」「その検索によって情報に触れた結果、どのような心理状態になったのか?」といった検索前後のコンテクストまで視点を広げて顧客一人ひとりを理解する必要があります。

単に用語の意味を知りたいだけなら、説明文章を読んで満足してサイトを去ることでしょう。課題解決の方法を探しているけれども一部のメジャーなアプローチしか知らない場合は、検索結果のコンテンツを読んで新たなアプローチを発見し、自社の課題を再発見することもあります。たまたま自社が提供するサービスや商品がその解決の役に立つ場合は、それを提示すると成約につながるかもしれません。その提示がまだ時期尚早の場合は、社名やサービス名を覚えておき、半年後に本格的な検討を開始した際に自社のサービスが候補に入るかもしれません。

どのような状態の訪問者にどのタイミングでどのようなコミュニケーションをすることが訪問者にとっても企業にとってもベストなのか、判断した上で適切なチャネルで適切な内容のコミュニケーションをしていく必要があります。

…と正論を主張するのは簡単ですし、「そんなことわかっている」「当たり前なので参考にならない」という方も多いと思います。現実的で実践しやすいアドバイスとして、コミュニケーションのあり方を図解で整理することをオススメします。

コンセプトダイアグラム

単に行動の変化を時系列でつなげるのではなく、企業が戦略に基づいてマーケティングによって狙う顧客の心理の変化を明確にしていくのがポイントです。ユーザー視点に立ち過ぎると、企業が伝えるべきメッセージや行うべき施策の洗い出しが難しくなり、その効果をデータで表現・検証することが難しくなってしまいます。

そのため、コンセプトダイアグラムはUX(ユーザーエクスペリエンス)ではなく、マーケティングの方法論として位置付けられます。描く図はユーザーの実情ではありません。あくまで企業が望む顧客の変化と、それに対して企業はどうコミュニケーションすべきか、というコミュニケーションの戦略マップなのです。

図解には以下のようなメリットがあります。

  • 自分の考えを整理できる(実はわかったつもりでわかっていなかったことも自覚できる)
  • 描きながら議論すると脱線しにくく、理解が深まる
  • 他人に見せながら説明しやすい
  • 抽象的なアイデアを後ですぐ思い出せる

このような図解の方法論を「コンセプトダイアグラム」として体系化しています。

参考書籍:コンセプトダイアグラムでわかる [清水式]ビジュアルWeb解析

類似手法に「カスタマージャーニーマップ」がありますが、ユーザーとビジネスのバランスを重視し、コミュニケーション施策の洗い出しと位置づけ整理、データ活用につなげることを目的としている点が大きく異なります

図解後はデータで検証を

コンセプトダイアグラムでは、企業が望む顧客のゴール状態に到達するまでの過程を縦と横の軸を使って表現します。「獲得」「売上」「単価」といった企業視点ではなく、「こだわりの強さ」「危機意識」「自己理解」といった顧客視点の心理的な要因(結果ではない)を設定します。

ゴール到達につながる要因を分解すると、到達までの過程(シナリオ)を二次元で表現できるようになります。下だけに移動することもあれば、右だけに進むこともあります。途中で分岐することもあります。つまり、顧客の心理・態度変容のパターン化が可能になります。

コンセプトダイアグラムバリエーション

そして、このような軸があるからこそ、起こすべき変化のデータ化や、訪問者の状態の特定、さらには、それらのデータに基づいたコミュニケーション設計や、実行、評価、オートメーションが可能になります。このようなデジタルマーケティングにおけるデータ活用のフレームワーク「カスタマーアナリティクス」も体系化を進めています。

SEOはシステム要件、その後の顧客体験が重要

上記のような顧客視点の図解とデータ活用によって、顧客と企業のコミュニケーションを点ではなく線と面で捉えられるようになります。顧客と企業の接点の一つである検索サイトは、どの段階のどのような人が何を目的として利用するのか?SEOによって誘導すべき訪問者のコンテクストが明確になるので、人気キーワードを掛け合わせてトラフィックを稼ぐという短期的な施策に力を入れたものの成果につながらない、といった状況を避けることができます。

また、どのような意識・状態の人にどのタイミングで何をどう伝えるべきなのか?というコミュニケーション戦略を明確にしておけば、訪問後のサイト内の体験も最適化が可能になります。検索経由の訪問者の意図をページ内やサイト内の動きから推定し、ページ内のコンテンツを動的に切り替えることも可能です。メールやソーシャルによってつながりを維持できた場合は、後日の適切なタイミングで適切な内容のメッセージを個別送信することも可能でしょう。ターゲティングや接客、オートメーションのツールは既に、安価でシンプルなものから大規模なものまで幅広く利用可能です。

検索エンジン相手の最適化という意味でのSEOはシステム的なMUST要件でしかなく、それは当然クリアした上で、訪問者一人ひとりに向き合った体験やコミュニケーションを実現するためのマーケティングやコンテンツ施策、データ活用、社内の合意形成や体制構築を進めていく必要があります。

SEO会社はトランスフォーメーションが必要

(ホワイト系の)SEO会社は長期的な取り組みができ、かつコンテンツを重視しているという点で、コンセプトダイアグラムやカスタマーアナリティクスと親和性が高いのではないか、と最近思うようになりました。

ナイルがの従来からの強みであるSEOにコンセプトダイアグラムとカスタマーアナリティクスを掛け合わせることで、クライアント企業のゴール達成につながる顧客体験の設計と構築、その実現に向けた総合的な支援ができる体制を強化したい。その結果としてより多くの事例や人材を創出し、企業理念に根付いた価値のある商品やサービスを提供できる企業が日本でも増えることを支援していきたい、というのが私の願いであり、今回の顧問就任にあたってナイルと共感した価値観でもあります。

参考:ナイルの考え方と取り組みが分かる記事

SEO=「ユーザーにとって役に立つコンテンツを作る」に対する違和感

ユーザーの検索体験を「SEO成果指標」として可視化する方法(概念と準備編)

ナイルからのお知らせ:Webアナリスト仲間募集!

今回、清水氏がデジタルマーケティング戦略顧問に就任した背景や、今行っている取り組みについて執筆してもらいました。上述したとおり、今Webアナリストチームでは、清水氏やSEOコンサルタントと一緒にディスカッションしながら、カスタマーアナリティクスの考え方をサービスに落とし込んだり、Tableauを用いた分析レポートを作成したりと、コンサルティングチームの分析力を上げていくことに日々挑戦しています。

また、普段のコンサルティングにおいても、SEOの分析に限らず、アクセス解析やユーザー調査、ヒートマップ分析などを用いたユーザビリティ改善、CVR改善などを行っています。データから仮説を立て施策立案するのが好きな方、様々なWebサイトのデータをみて視野を広げたい方、新しい分析手法確立に挑戦したい方、分析力を活かしてアナリストチームを一緒に作っていきたい方などは是非、こちらをご覧下さい

カスタマー視点とアナリティクスでSEOはこう変わるナイル株式会社 - SEO HACKSで公開された投稿です。

ホンダ、理想的な都市型EVのコンセプトを発表――Urban EVは2019年にも欧州市場に投入

ホンダが発表した新しいコンセプトカー、Urban EVはあらゆる自動車メーカーが「都市の自動車は5年から10年後にはこうなる」として提示したがるような斬新なものだ。しかしホンダはこの電気自動車を2019年には欧州マーケットに投入するとしている。2019年といえばわずか2年後だ。

Urban EVの外観はややレトロで、70年代から80年代のハッチバックからヒントを得たものだろう。ホンダ自身のシビックにも多少似ているが、他の面ではこの車はレトロからは遠い。外観もフロントとリヤにディスプレイが埋め込まれ、充電率、ブランド名、路上の他のドライバーへの情報提供などあらゆるメッセージがここに表示される。

このホンダのEV Conceptカーのダッシュボードにはほとんどその全幅にタッチスクリーンが設けられる。 ホンダはこれを「パノラミック」呼んでいる。スクリーンは左右のドアにまで設置され、ウィングミラーに設けられたカメラからの映像が表示される。ドライバーはこの映像を見て車の全周の情報を得ることができる。

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    Honda Urban EV Concept unveiled at the Frankfurt Motor Show
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    Honda Urban EV Concept unveiled at the Frankfurt Motor Show

Urban EVはサイズからすれば2ドア・コンパクトカーに分類される。前後にベンチシートが設けられ乗車定員は4人だ。エクステリアのサイズを最小限に抑えながら車内スペースを最大限にするよう努力が払われている。

この車にはホンダのANA(Automated Network Assistant=自動ネットワーク・アシスタント)が搭載される。このシステムはドライバーの運転を学習し、それに応じて適切な情報を提供する。たとえばドライバーが特定の目的地を頻繁に訪れる場合、自動的に適切なルートを案内したり、他の有益な情報を提供する。

ホンダUrban EVはたいへんクールな自動車だ。当初ヨーロッパ市場が対象ということだが、ぜひ他の地域でも販売してもらいたい。また、ホンダはEV戦略を進めるにあたって完全に新しい電気自動車に特化したプラットフォームを開発している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

インフォステラが8億円を調達、衛星通信アンテナ共有事業を2018年にローンチへ

人工衛星の運用に欠かせない要素の一つがアンテナだ。資金を投入しリスクを背負って打ち上げた人工衛星も、地上で電波を送受信するアンテナを確保できなければ運用できない。この衛星用アンテナのシェアリング事業を手がけるインフォステラが、シリーズAラウンドで8億円を調達した。航空宇宙分野のスタートアップを中心に投資活動を展開するAirbus Venturesがリードインベスターとなり、早稲田大学発のベンチャーキャピタルであるウエルインベストメントD4VSony Innovation Fund、そして既存投資家であるフリークアウト・ホールディングス500 Startups Japanの6社を引受先とする第三者割当増資を実施した。出資比率は非開示。

調達した資金の使途は事業開発と人員拡充である。同社は自社開発の通信機器の開発と生産を予定しており、そのための資金に使う。同社CEOの倉原直美氏は「ソフトウェアエンジニアはすぐにでも増やしたい」と語る。例えばアドテクやゲームインフラ分野のスキルは宇宙分野でも活用できるそうだ。

同社はアンテナシェアリングプラットフォーム「StellarStation」のプロトタイプを完成させ、事業化直前の段階にある。倉原CEOは次のように話す。「宇宙ビジネスには、ロケット、衛星、地上設備の3つが欠かせない。ロケットや衛星ではスタートアップがいくつか出ているが、地上設備は参入が少ない」。同社はおそらく世界初となるクラウド型のアンテナシェアリング事業を目指す。その概要を把握するには以下の動画をどうぞ。

 

倉原氏は、もともとロケットを作りたくて宇宙開発の道を志したが、東京大学で超小型人工衛星「ほどよし」のプロジェクトで地上システムの開発マネージャーを体験した。起業した背景として、やはり東京大学発の超小型人工衛星スタートアップであるアクセルスペースなどの先行するこの分野のスタートアップの存在が刺激になった。「起業した時点では、アンテナシェアリングは必要だという確信があった」。宇宙開発分野を経験した起業家ならではの着眼点といえる。

今回の増資とともに社外取締役に加わったLewis Pinault氏(Airbus VenturesのManaging Investment Partner)が発表資料に寄せたコメントは、同社のビジネスの可能性をうまく要約しているので一部引用したい。「周回衛星打ち上げ数の増加や宇宙から得られるデータの重要性が増している現状において、それを支える地上側のアンテナが需要の急増に間に合っていない。一方、他社の衛星が上を飛ぶ間、ほとんどの時間その地上アンテナは待機状態となっている。インフォステラはこの状況を劇的に変える。彼らは世界中の何百ものアンテナを何千機もの衛星の運用のために活用することができる。アンテナの所有者の待機時間を減少させ、利益を向上させる。そしてリアルタイムのネットワークコントロールを得ることで、誰もが衛星運用者になり得る」。

人工衛星を運用するためのアンテナをシェアリングプラットフォームの枠組みにより使いやすくし、人工衛星運用者、アンテナ所有者、インフォステラと当事者全員が得をするビジネスモデルを目指す形といえる。

2018年にプラットフォームをリリース、事業展開へ

同社が目指すビジネスについては2016年10月のシードラウンド資金調達の記事でも説明した。当時はハードウェア(同社仕様の専用通信機を開発)とソフトウェアの開発が進行中の段階だったが、1年近くが経過し、同社の衛星アンテナシェアリングプラットフォームのプロトタイプは完成した。間もなくクローズ試験を開始する。クローズ試験では大学発のCubeSat(超小型人工衛星)プロジェクトのように密にコミュニケーションを取ってフィードバックをもえらえる顧客を対象とする方向とのことだ。同社のサービスプラットフォームは、2018年早々に正式リリースする予定だ。

その後の事業展開にあたり、倉原CEOが有望なユースケースとして挙げるのは、(1)地球観測(Earth Observation)、(2) 船舶自動識別システム(S-AIS)、(3)航空機の放送型自動従属監視(ADS-B)である。超小型人工衛星は気象情報や農業などの目的で地球観測に用いられる例が多く、最も初期のユースケースはこの分野となる。船舶と航空機は無線通信による自動識別が義務付けられているが、この分野でも大幅な通信需要の増加が見込まれているとのことだ。

インフォステラの事業は、クラウドサービスにより衛星との通信機会をシェアし、急増する超小型人工衛星の通信需要への対応を図る。宇宙ビジネスに注目する人は増えているが、宇宙開発は地上設備なしには進まない。地上設備のリソースの中でボトルネックとなるアンテナに注目した同社の挑戦に期待したい。

iPhoneのシリーズを整理してみた――少し複雑すぎ?

スティーブ・ジョブズは「シンプルにするのは複雑にするより難しい」という名言を残した。Appleは安易な方向に進んでいないだろうか。今日(米国時間9/12)、iPhoneに新しいモデルが追加されたことで消費者は多数のモデルから一つを選ぶことを強いられるようになった。シリーズ、サイズを比較し、さらにカラーバリエーションやストレージ容量を決めねばならない。

整理してみると、

  • 「小さくて安い4インチが欲しい」派」:iPhone SEは349ドルから
  • 「ヘッドフォン・ジャックはどうしても必要」派: iPhone 6S、6S Plusは449ドルから
  • 「未来に生きる。ヘッドフォンジャック要らない」派: iPhone 7、7 Plusは549ドルから
  • 「新モデルが欲しいが大きいのはイヤ」派:iPhone 8は699ドルから
  • 「大きいモデルが欲しいが200ドル節約したい」派:iPhone 8 Plusは799ドルから
  • 「最高モデルでFaceIDが欲しい」派:iPhone Xは999ドルから

以前は5種類のシリーズだったが、今日のイベントの発表で3機種増えた。さらにシリーズのネーミングもSE、添字なし、S、Plus、Xと5種類になった。

一部のユーザーには選択肢が増えることは嬉しいニュースなのだろう。しかし一般消費者には「選択を間違ったのではないか?」という不安をかき立ててしまうだろう。

「しまった、どうしてもヘッドフォン・ジャックは必要だった」、「あと少し出せばベストのiPhoneが買えたのに」、「表示は美しいが片手では操作できない」などという後悔が頻繁に聞かれることになりそうだ。

カメラ、自動車、テレビなどのテクノロジー製品を買うときにはどうしても面倒なスペックの比較がつきものだ。しかしAppleはシリーズを簡素化することによって「Appleの製品を買っていれば最良の製品を買ったことになる」という安心感を消費者に与えていたのでなかったか。しかし製品のシリーズが複雑化すると選択は難しくなるし、買った後での後悔も起きるようになる。契約しているキャリヤで使えないモデルが欲しいということになると、諦めて使えるモデルで我慢するか大変な手間をかけてキャリヤを変えるかしなければならない。

個人的な意見としては6と7のシリーズの販売を止めるべきだ。こうすればシリーズは小型、最新型の大型、小型、大型豪華版に集約できる。.

本当に優れたテクノロジーはテクノロジー製品であることを感じさせないものだと言われる。しかし「選択を間違ったかもしれない」という小さな声が頭の中でいつまでも聞こえているようでは本当に優れたテクノロジー製品とはいえないだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

誕生から10年、Appleが「iPhone X」を発表

10年前、世界は一気により広くなったのと同時に、小さくなった。Steve Jobsは世界初のインターネットに接続可能なスマートフォン「iPhone」を発表したのだ。それは、全てにおいてユーザー体験を優先し、全面タッチスクリーンを搭載するというアイディアを実現した端末だった。iPhoneの登場により、ソーシャルネットワークの台頭、アプリ経済が発展し、私たちは生活の何から何までスマホで行う時代となった。

本日、Appleは iPhone 8 と iPhone 8 Plusを発表。そしてお約束通り、Tim Cookは「one more thing(最後にもう一つ)」を用意していた。

誕生から10年、AppleはiPhone Xをお披露目した。ちなみに「X」の読み方は「Ten」だ。

さて、iPhone Xはどのように進化したのだろうか?

デザイン

iPhone XはiPhone 8とiPhone 8 Plusと同じ、新しいデザインを採用している。ベゼルはなく、前も後もガラス面を搭載。Appleによると、このガラスには強度を増すための層を入れているため、「スマホの中でも最も耐久性がある」と説明している。

新しいデザインのおかげで、iPhone Xは防水、防塵仕様だ。

本体は医療機器で採用可能なレベルのステンレススチールでできていて、スペースグレーとシルバーの2色を用意している。

ディスプレイ

今のスマホのトレンドを沿って、ベゼルをなくし、全画面を覆う5.8インチディスプレイを採用している。また、AppleがSuper Retina Displayと呼ぶOLEDのディスプレイを初めて搭載。iPhone Xは正確な発色、画面全体で統一感のある描写ができるといったOLEDの利点を享受している。

iPhone X Super Retina displayは、解像度2046×1125、455 PPIに対応。また、Dolby VisionとHDRの両方にも対応している。

報道によるとAppleはこの1枚のパネルに125ドル支払っているということだ。高額なiPhoneの噂が出回ったのは、これが影響しているのだろう。

FaceID

iPhone Xは全面がスクリーンになっているため、ホームボタンがない。ユーザーは、端末を持ち上げたり、画面の一部をスワイプすることで起動させることができる。アプリを閉じるには、放り出すように画面をスワイプする。また、ユーザーは「Hey Siri」と話しかけるか、サイドボタンを押すことでSiriを呼び出すことができる。

これまでホームボタンはiPhoneのセキュリティーの要だった。今回そのセキュリティーに取って変わるのは、深度センシングを搭載した前面カメラによるユーザーの顔認識機能だ。AppleはこれをFaceIDと名付けた。

iPhoneはユーザーの顔をどの角度からでも判別できるということだ。例えばテーブルに置いてある状態からでも、スマホを解除することができる。本物の代わりに平面の顔写真を使おうとしても、騙されないという。Appleは、他人がFaceIDを騙してスマホをアンロックできる確率は、100万分の1だという。

Phil Schillerは「メガネをかけたり、帽子をかぶったり、どのようなことをしても、昼も夜もFaceIDは作動します」と説明している。

FaceIDはTrue Depthカメラシステムと端末に内蔵された赤外線カメラ、投光照明、ドット・プロジェクターなどのおかげで実現した機能だ。

FaceIDは今のところ、Apple Payとメッセージ用新機能Animoji(アニメーション絵文字)で利用できる。 AnimojiではFaceIDを使って絵文字に自分の表情を投影し、独自の絵文字が作れる機能だ。十数種類のアニメーション絵文字から選ぶことができる。

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カメラ

iPhone Xのカメラは、これ以上ないほど高機能だ。背面カメラは12メガピクセルセンサー搭載、 f1.8とf2.8口径のデュアルレンズ(これは7 Plusの望遠より明るい)だ。また、フラッシュはdual-image OIS quad-LED TrueToneを搭載。

A11 Bionicプロセッサーと高機能カメラを活かし、Appleは「ポートレート・ライティング」機能も追加した。ユーザーはこの機能で、照明の効果を選択できるようになる。これはフィルターではなく、被写体の顔に当たる光をリアルタイムで分析して追加している。この光の効果は写真を取っている最中でも、撮ってからでも変えることができる。

動画撮影も飛躍的に向上した。A11プロセッサーのおかげで、ローライトモードでも60FPSでの撮影ができる。より早いフレームレート、4K撮影にも対応。スローモーション動画撮影では、1080p、240 FPSで撮影できる。

前面のカメラは、FaceIDに対応するTrue Depthカメラシステムを搭載。ただ、ここでのビッグニュースは、ポートレートモードとポートレート用の照明が前面カメラで利用できるようになったことだ。

スペック

本日発表された他のiPhone同様、iPhone Xはガラスデザインのためワイヤレス充電機能もある。ワイヤレス充電での標準規格と目されるQiに対応している。

また、バッテリーの持ち時間はiPhone7より2時間長い。これはソフトウェアの改善によるところが大きい。しかし、Appleはさらに一歩先を考えている。iPhoneのワイヤレス充電には、AirPowerと呼ばれる新しいアクセサリーを提供する。AirPowerは、iPhone、Apple Watch、AirPordを同時に充電できる大きめのマットだ。

iPhone XはA11 Bionicプロセッサーを搭載。64-bitデザイン、6コアだ。A10より25%早い2つのハイパフォーマンスプロセッサーに、4つは高効率コア(A10より2個多い)は70%早い。GPUは30%早い。

これによる影響が大きいのは写真だ。 TechCrunch編集長のPanzarinoはライブブログで「Apple ISPは写真撮影の秘密兵器。iPhoneの写真が好きな人は、その写真を仕上げた端末の画像プロセッサーに感謝すべきだろう」と書いている。

価格と出荷時期

iPhone Xの64GBモデルは999ドルから。256GBモデルもある。

事前予約は10月27日開始で、通常販売は11月3日から。ちょうどホリデーシーズンに間に合うね。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

今日のAppleイベントをビデオでおさらい――Watch3、iPhone 8/8 Plus/X

今日(米国時間9/12)、Appleは多数のガジェットを発表した。プレゼンのビデオを見損なった皆さんのために下にまとめてみた。

AppleはApple Watch Series 3、4K Apple TV、iPhone 8、iPhone 8 Plusに加えて噂のiPhone X(10周年記念なので「テン」と発音する)を発表した。

Appleのいつも流儀でイベントのプレゼンでは多数のビデオが流れた。いくつかはストレートなCMだが、優れたデザインを強調するものやデバイスが開発された裏のシーンなども含まれている。

こうしたビデオはプレゼンの中でもたいへんよくできた部分になっていた。そういうわけで下のビデオを見ると時間とエネルギーの相当な節約になるかもしれない。

Apple Watch Series 3

上はWatchのユーザーの声を集めたもの。下はストレートなCM


iPhone 8

iPhone X

 

最初と最後はストレートCM。中段のビデオではジョニー・アイブがXの優れた部分を詳しく解説。



新しい4K Apple TVについてはこちら

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

iPhone Xでは、Face IDがTouch IDを置き換える

Appleはつい先ほどiPhone Xを発表した。フチなしのエッジツーエッジ画面にホームボタンはない。ホームボタンがないことはTouch IDがないことを意味する。従来機種ではそこに指紋スキャナーが置かれていた場所だからだ。

このためAppleは、セキュリティーを守るためにFace IDを導入した。iPhoneを見つめるだけでロック解除できるしくみだ。この顔認証システムは、 Apple PayやTouch IDを利用してユーザーを識別する銀行アプリなどのサードパーティ製品ではTouch IDの代わりに使用される。

しくみはこうだ。新しいiPhone Xは最初に使用するとき、ユーザーの顔をあらゆる角度から3Dスキャンする。スキャン結果はiPhone Xのハードウェアチップの中に安全に保管され、iPhoneをロック解除するときカメラに映った顔との比較に使用される。

Appleは、この3Dフェイシャルマップを作るために様々な新ハードウェアを動員している ―― ドットプロジェクター、通常のフロントカメラ、フラッドイルミネーター、および赤外線カメラだ。Xbox Kinnectのミニチュア版がiPhoneの前面についたようなものだ。

Appleによると、顔スキャンは非常に精密で、他人の顔で誤ってロック解除される確率はわずか100万分の1だという。これはTouch IDのエラー率である5万分の1よりずっといい。そして、顔の写真を見せても解除はできないし、ハリウッド水準のフェイスマスク(下の写真)でもロック解除できない。Appleの技術チームは、ニューラルネットワークを学習させるために、さまざまなフェイスマスクを使用したと言った。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

新しいiPhone3機種の価格はこうなる

今日(米国時間9/12)スティーブ・ジョブズ・シアターで行われた大イベントで、Appleは3種類のiPhoneを発表した。iPhone 8、iPhone 8 PlusそしてiPhone Xだ。

「これまでにiPhoneほど世界にインパクトを与えたデバイスはほかにない」とApple CEO Tim Cookは言った。

iPhone 8は64GBモデルが699ドル(7万8800円)から、iPhone 8 Plusは799ドル(8万9800円)から。予約は9月15日に始まり、9月22日に発売される。

iPhone Xは999ドル(11万2800円)から。予約は10月27日から、出荷は11月3日からと少し遅れる。

iPhone 8/iPhone 8 Plus: $699/$799

AppleのiPhone 8 および iPhone 8 Plusは、4.7インチ/5.5インチのRetina HDディスプレイを備え、前面背面ともにガラスが使用されている。おそらくもっとも注目すべきは、背面にガラスを採用したことでオープンスタンダードのQiに準拠したワイヤレス充電が可能になったことだろう。

iPhone 8/ 8 Plusともに、シルバー、スペースグレイ、および新たに加わったゴールドフィニッシュのカラーが揃っている。

両iPhone 8モデルともに、新しいセンサーとレンズが使用されており、A11バイオニックプロセッサー、43億トランジスター、30%速くなったGPUを装備する。

「これは新しい世代のiPhoneであり、われわれがiPhoneについて知っていることすべてが改善されている」とAppleのワールドワイド・マーケティング担当SVP、Phil Schillerが言った。

iPhone 8 Plusには、シャープなディテールを描けるポートレートとモードに加え、新しいボートレートライティング機能を使えば背景を完全に黒くすることができる。

iPhone 8 と iPhone 8 Plusの詳細はこちらへ。

iPhone X: $999

全く新しいSuper Retinaディスプレイを得たiPhone Xは、上下左右とも縁のないエッジツーエッジ・ディスプレーのデザインだ。iPhone史上最高のピクセル密度となる455 PPI、2046 x 1125ドットの解像度をもつ。縁なし画面を採用したため、iPhone Xにホームボタンはない。

「ホーム画面に行きたいときは、下端から上にスワイプするだけ」とShillerは言った。

iPhone Xでは、ロック解除のためには画面を見るだけでよい。顔がパスワードになる。これは、Face IDとTrueDepthカメラシステム、アンビエントライトセンサー、赤外カメラ、フラッド・イルミネーター、ドットプロジェクターなどの装置のおかげだ。すごいのは、帽子をかぶったり、ヘアスタイルを変えたり、サングラスをかけても、Face IDはあなたを認識することだ。

iPhone Xは、自撮りでもポートレートモードが使用でき、バッテリー寿命はiPhone 7より2時間長く、iPhone 8/8 Plusと同じくワイヤレス充電が可能。iPhone Xの詳細こちらへ

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple、iPhone 8とiPhone 8 Plusを発表

Appleは先ほど新本社のスティーブ・ジョブズ・シアターで開催されたプレス・イベントでiPhone 8とiPhone 8 Plusをした。外観はiPhone 7、7 Plusによく似ているが、裏側はガラス製だ。背面カメラはiPhone 8はシングル、8 Plusはダブルだ。

カラーバリエーションはシルバー、スペースグレー、ゴールド。このゴールドはややローズ・ゴールドに近い。ボディーは防塵、防水となっている。Appleは同時に全面ディスプレイを採用したプレミアム・モデルのiPhone Xを発表した。 これについては別記事で紹介している。.

iPhone 8/8 Plusは新しいretina HDディスプレイを採用しており、最新のiPad Proと同じく、true toneテクノロジーが採用されている。ディスプレイは周囲の照明条件に対応して変化する。スピーカーの音量は25%アップし、低音も強化された。内部ではA11 Bionicチップが採用された。 64ビット・チップで、2基の高性能コアを備えており、 iPhone 7のA10より25%速い。4基の高効率コアはA10より70%速い(またA10は高効率コアを2基しか備えていない)。GPUも30%速くなっている。

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カメラとプロセッサーは完全に新規のものだ。ノイズリダクション・テクノロジーを採用しており、特に低照度の環境で能力がアップしている。 iPhone 8 Plusは2基の背面カメラを装備しており、ワールドワイド・マーケティング担当上級副社長のフィル・シラーのプレゼンによれば、それぞれf1.8とf2.8だ。iPhone 7 Plusのカメラより明るく、また 新しいカラー・フィルターも搭載しているという。

Appleはまたポートレートモードについて説明した。深度を認識するテクノロジーにより、背景とは独立に人物の顔に合わせて自動的に適切な露出を選択するという。ビデオのフレームレートも改善された。4Kビデオを毎秒60フレームで撮影できる。また1080pのHDの場合、毎秒240フレームのスローモーション撮影も可能だ。これなら相当のスローモーション再生になるだろう。

これらのカメラとA11 BionicチップはAR〔拡張現実〕のサポートのために最適化されている。フィル・シラーはMLB At Batアプリをデモした。野球場でこのカメラをプレイヤーに向けるとそれが誰か教えてくれる。Directive GamesはARKitを利用したゲームだ。ユーザーはテーブルの周囲りを動きまわりながらテーブルを撮影するとARゲームが始まる。なかなかリアルなARだが、ゲームのデベロッパーがARKitを広く利用することになるのかどうかは現時点では不明だ。Wiimoteのようなギミックに終わる可能性もなくはない。

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iPhone 8も、市場に出回っている多くのAndroidスマートフォンと同様、ワイヤレス充電をサポートした。Appleは標準的規格を採用したのでサードパーティー製のワイヤレス・チャージャーも利用できる。

iPhone 8は64GBモデルが699ドルから。iPhone 8 Plusは799ドルからだ。予約受け付けが9月15日開始となる。iPhone 8の出荷は9月22日が予定されている〔日本も同じ〕。.

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〔日本版〕Appleのサイトによれば、日本ではiPhone 8(4.7インチ)64GBは78,800円、iPhone 8 Plus(5.5インチ)64GBは89,800円となっている。

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

iPhoneにワイヤレス充電がやってきた

ずいぶん長かったが、ついにその時が来た。iPhoneにワイヤレス充電がやってくる。

Appleは、iPhone 8、8 Plusの発表の中で、そのことを発表した。

おそらく最も興味深いのは、Appleが独自の標準を作らなかったことだろう。Qi(「チー」と発音する)を使う ―― すでに10年近く使われてきたオープンスタンダードだ。Androidファンがすぐさま指摘するだろうが、数多くのAndroid端末で使われてきたのと同じ規格だ。

これはグッドニュースだ。なぜならQi充電器は〈もうそこにある〉から。過去数年の間に販売された多くの車にはQi充電パッドが備え付けられている。サードパーティー製Qi充電器もたくさん出回っている。IkeaにいたってはQi充電器内蔵の家具まで作っている。われわれの知る限り、いずれの充電器も新しいiPhoneで使える。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

セルラー通信対応のApple Watchが正式リリース

新しいApple Watchが正式にアナウンスされた。一番大きなニュースは単独でセルラーネットワークにアクセスできるようになったことだ。内蔵チップにより、単体でLTE通信ができるようになり、iPhoneとのテザリングなしにネットワークにつなぐことができるようになったのだ。Apple Watch単体での魅力を大いに向上させる変更であるといって良いだろう。

セルラー通信対応版の価格は399ドルからとなっており、セルラー非対応版は329ドルからだ。プレオーダーは9月15日からとなり、出荷は9月22日からだそうだ。

セルラー通信に対応したことで、iPhoneが手元になくても電話やメッセージの受発信を行うことができるようになったわけだ。iPhoneとつながっていない状態でも同じ電話番号を共有するようになっており、電話やメッセージを電話と時計の双方で受け取ることができるようになる。

もちろん、Apple Watch単体でApple Musicにアクセスできるようにもなる。ランニング中の統計情報を取得するといった従来の用途に加え、さまざまな可能性を持ち運ぶことができるようになるわけだ。

外見は以前のApple Watchと同様で、ストラップやバンドなどはこれまでのものを使うことができる。新しいiPhoneのカラーバリエーションにあわせて、Apple Watchの方にもBlush Goldと呼ばれるカラーが増えている。さらにハイエンドモデルではこれまでのホワイトに加えてDark Grayも加わることになる。なお、以前にもお伝えしたとおり、セルラー通信対応モデルの竜頭部分には赤色のカラーリングが施される。なかなか魅力的に見えるものであり、また非セルラー版との違いをアピールすることもできよう。

プロセッサーはデュアルコアで、従来よりも70%のパフォーマンス改善が行われているとのこと。さらに新しいW2チップの搭載によりBluetoothなどのワイヤレス接続の効率もアップしているそうだ。ディスプレイ部分がアンテナとしても機能し、電子SIMカードも内蔵している。

先に記したとおりにサイズはこれまでのものと同様だが、水晶発振器のサイズは若干大きくなっているらしい。それでも十分に小さなものとなっている。GPSや耐水機能、バッテリーのもちについてもこれまでと変わらない。

Tim Cookによれば、Apple Watchの顧客満足度は97%と、業界トップクラスにあるとのこと。また、昨年の腕時計シェアの数値と比較すれば、いまやApple Watchが世界ナンバーワンの地位にあるとも述べている。

ソフトウェア的なアップデートも行われ、心拍数モニターの表示もわかりやすくなった。安静時心拍数との比較で、ワークアウト完了時にどのくらいの時間で復帰できるかなども測定できるようになっている。

とくに運動を行なっていないのに心拍数が増えた場合などには、通知をしてくれるようになった。不整脈を検知して通知してくれる機能もある。心臓発作などの兆候を検知して、重大事になる前に対処するようなこともできるかもしれない。

スタンフォード大学の協力を得て、「Apple Heart Study」の開発も行なっているそうで、こちらは年内にアプリケーションストアに登場するとのこと。

さらに、アウトドアでの活動中に利用する「Sport Loop」というバンドも発表された。新しいエルメスバンドもあるし、カラーバリエーションも増える様子。ウォッチフェイスにも新しいものが用意されている。

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(翻訳:Maeda, H

GoogleのSafe Browsingツールは30億台のデバイスを保護している

Googleが今日、ユーザーを危険そうなサイトから守る同社のSafe Browsingサービスが、今や30億あまりのデバイスを保護している、と発表した。このサービスは右図のような警告メッセージを表示して、デスクトップとモバイルのChrome, SafariおよびFirefoxのユーザーを、危険と思われるサイトに行けないようにするが、対象機は2013年には10億、2016年5月には20億だった。

このサービスはGoogleのマルウェア対抗ツールの最初の試みのひとつで、2007年に同社の旗艦的サービスである検索の機能として導入された。その後、SafariとFirefoxがこのサービスを採用し、さらに多くのWebデベロッパーやアプリデベロッパーも採用した(たとえばSnapchat)。

しかしSafe Browsingの基本的な考え方は、今も変わっていない。ユーザーがこれから行こうとするサイトが詐欺的だったりマルウェアのホストのようだったら、ユーザーにそう告げる。

なお、Android上のChromeでSafe Browsingがデフォルトで有効になったのは、つい最近の2015年だ。2016年の対象機の急増は、そのせいである。

Googleは今日の発表の中で、Safe Browsingは機械学習を使って悪質サイトの検出精度を上げ、また、つねに最新の技術を評価し統合して改良に努めている、と述べている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

「見えない小売店」を目指すDarkstore

オンデマンドフルフィルメント(商品の受注決済在庫管理配送を全て手がけるサービス)スタートアップのDarkstoreが、T-Force Final Mileと提携し、さらに33の全国のマーケットを追加した。これによってDarkstoreが対象とするマーケットの総数は40となった、その中にはサンフランシスコ、ロサンゼルス、ポートランド、マイアミ、アトランタ、ボストン、リノ、そしてオースティンなどが含まれている。

T-Force Final Mileは、IKEA、Office Depot、そしてAmazonのための配送を行っているラストマイル配送会社だ。この提携のおかげで、Darkstoreは全国にあるT-Forceの40の倉庫をフルフィルメントセンターとして利用できるようになる。

Darkstoreは、顧客基盤を拡大するため、ショッピングカートの提供も発表した。これにより、各電子商取引ブランドは、コードを1行書くだけで、容易にオンデマンド配送を顧客に対して提供することができるようになる。

Darkstore’sのT-Forceとの提携と、ショッピングカートサービスの提供はDarkstoreの「見えない小売業者」になるという目標の一部を成すものだ。これはDarkstoreの創業者のLee Hnetinkaが先週私に語ったものだ。

Darkstoreは、貯蔵施設、モール、小売店の余剰倉庫を活用し、スマートフォンだけでフルフィルメントセンターとして機能させる。基本アイデアは、地元に倉庫のないブランドが、それをDarkstoreに保存しておき、当日出荷ができるようにするということだ。Darkstoreは在庫に対してはブランドに対して何も請求しないが、Darkstoreから出荷されるアイテムごとに価格の3%もしくは最低2ドル、そして最高20ドルまでを請求する。

実際の配送に関しては、DarkstoreはサンフランシスコのAxleHireやUberRUSHのような企業と提携している。他のマーケットでは、Darkstoreは、例えばDelivやブランドが使用したい他の地元の配送業者などのサービスを使用する。

Darkstoreの顧客一覧にはマットレススタートアップのTuft & Needle、プレミアムヘッドホンメーカーのMaster & Dynamic、衣料ブランドのWildfang、そしてソファスタートアップのBurrowなどが登録されている。

Darkstoreは昨年5月にローンチした。それ以来、Darkstoreは150万ドル以上の資金調達を行って来ている。4月にはPivo​​tNorthからの140万ドルの資金調達が続いた。Darkstoreの目標は今年末までに1億1000万ドル相当の製品の出荷を行なうことだ。Hnetinkaによれば、Darkstoreはその指標を「予想以上に早く達成している」。

平均してDarkstoreは1注文当たり16.50ドルの収益を挙げている。平均注文額は550.22ドルだ。昨年には、Darkstoreは毎月25%の収益と注文の伸びを見せていた。

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(翻訳:Sako)

CurioPetsはARを駆使した世界探索型ペット育成ゲームだ

Appleが拡張現実を組み込んだiOS 11をリリースすれば、スタートアップCurioPetsはポケモンGOとたまごっちを合体させたようなゲームの出荷が可能になる。

CurioPets(curious pet「好奇心が強いペット」の略)は、マルチプレイヤー対応の拡張現実ペットシミュレーターだ。AppleのARKitで開発され、その目的は現実世界の探究を促すというものだ。これはポケモンGOに似ている。そして仔犬もしくは仔猫を連れて世話をしながら歩き回る。こちらはたまごっちやネオペットに似ている。

CurioPetsの創業者であるNathan Kongは、世界中のすべてが好奇心のエネルギーだと語った。ゲーム全体を通して、ゲーム内の通貨であるCuriosを収集するために、美術館、アートギャラリー、文化的関連性を持つ他の場所などの、現実世界での様々な場所に移動する。Curiosを使用して、あなたの仮想ペット用の衣服、家具、食品、その他のものを購入することができる。

ゲームには2つの世界がある。最初のものはあなたのペットが暮らす仮想世界だ。ペットは浮遊する島の木の中に隠れている。ペットは、あなたがそこで遊び、住まいを飾り、服を着せることを待っている。

もう1つのARの世界は、あなたのペットがCuriosを集める場所だ。Curiosを収集するには、ARモードに入り、文化的なものに関連するスポットに行って、Curios球を探す。あなたのペットを幸せで健康的な状態に保つためには、十分に餌を与え、沢山愛情を与え、世界で経験を積むようにしなければならない。

Appleが、先週末の段階でARアプリをTestFlight(Appleの提供するiOS用のβテストプラットフォーム)で開発者が公開することを許諾していなかったので、Kongはその代わりに私に予告編ビデオを送ってきた。

あなたがどうかは知らないが、私はこれを試してみたくて仕方ない。正直に白状すると、私は非常にハマりやい性格なので、このゲームが私の生活を奪ってしまうかもしれないことに恐怖を覚えている。ちょうど数年前にCandy Crush Sagaにハマったときのように。 なので、もし最近私の消息を聞かないなあと思ったら、その理由は推して知るべし。

CurioPetsは、Sequoia Capitalの夏期プログラムへ参加したことによる助成金、そしてAmino Capitalの両者から30万ドル以上の資金を調達した。同社はまだプレシードの段階だが、Kongは近いうちにシードラウンドを行なうことを望むと話している。

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(翻訳:Sako)

GMとCruiseが初の「量産型」自動運転車を発表

Cruise Automation(昨年GMが買収)の創業者でCEOのKyle Vogtは、同社とそのオーナーであるGMにとってとても大きな発表を行った。発表の内容は彼らが自動運転車の量産体制が整ったというものだ。完全自動車両に必要な全てが搭載済で、あとはソフトウェアと規制問題がクリアされるだけだという。

「今日私たちは、量産可能な自動運転車のプロダクションデザインを発表します」とVogtは語った。「さらに重要なことに、これらの車両は運転手なしで走行することが可能なのです」。

つまり、すべての必要な部品は揃っていて、あとは「ソフトウェアの準備が整ったら」(とVogtは付け加えたが)、ドライバなしに路上を安全に運転することができるということだ。

GMのAutonomous Technology and Vehicle Execution担当副社長であるDoug Parksは、これまでVoltとBolt EVの設計に携わってきたと説明した。これが最終的に自動運転機能に結びつくものだと彼らは認識している。全てが「Kyleがいま発表した、初の量産型自動運転車を提供にむけて進行しています」。

「オリオンの組み立てセンターで製造することができるように、デザインに変更が加えられました」とParksは説明した。このためには部品調達のためにサプライヤーと協力したが、それは第2世代のテスト車両を使って成し遂げられたものだと語った。

この最新車両は量産可能なデザインになっている、とParksは述べた。つまり、自律システム全体に「完全な冗長性」が備わっているため、機械的にも準備が整っていて、センサとソフトウェアの観点からは「障害時にも機能し安全」ということになる。

この車両は、Chevrolet Boltを使用した第3世代Cruiseの自動運転プラットフォームに基づいている。彼らが以前Boltテスト車両を生産すると発表していた同社のミシガン州オリオンで生産されることになる。

この発表は、路上走行可能な自動運転車が明日にでも消費者の手に入るということを意味しているわけではない。Parkによればその前に「まだやるべきことはたくさんある」ということだ。

Vogtは自動運転技術における安全性に対する彼らの目標はどれ位向上して来たかについて語り、規模なしには何事もなし得ないと語った。数百台程度の車を路上に送り出すだけでは大きな利便性を達成することはできない。

「ハイテク企業にとって特にやりがいのある重要な挑戦は、車の製造です」と彼は言う。「そしてそれを量産することです」。

改造車両は製作が難しく、彼曰く「壊れ続ける」ために、継続的に修理して道路に戻すのは難しい。この発表が意味するのは、この車が年間何十万台も生産ラインから生み出されることが可能になったということだ。そしてその車両は現在出荷されているBolt EVにとても似ているものの、Vogtによれば内部では部品の40%が新しいものになっていて、そのほとんどが部品とシステムの冗長性に焦点を当てたものだ。

50台の車両が既にGMによって製造されていて、この先生産量が増加すると見込まれている。Vogtによれば、完全自動運転車を可能にするソフトウェアの展開の時期は設定されていないが、個人所有の車両ではなく、商用車両群に対する導入を目指しているということだ。

現在実際に生産されているこれらの新しい車両配備に関しては、Vogtによれば、今後数週間でサンフランシスコのCruise従業員に提供されるオンデマンド配車サービス”Cruise Anywhere”に統合され始める。

Vogtは、これはわずか14ヶ月で用意された第3世代のCruise自動運転車両であり、テスト目的だとしても、開発速度は驚異的だと指摘した。彼はまた、GMとCruiseが発表したものと、他の自動車メーカーやハイテク企業がCESのようなイベントに持ち込む一回限りのデモンストレーション車との違いを明らかにするという機会を得ることができた。

続報待ち

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(翻訳:Sako)

電力をまったく消費せずに何年も眠り続けるセンサーが、事象が起きたときだけ目覚めて信号を送る

通常の電力や太陽光発電などが使えるところで、常時電源onのカメラを設置することは容易だが、自然の奥地とか地下などの特殊な環境では、電力を一滴も無駄にしたくない。そこでこのほどDARPAで開発された新しいタイプのセンサーは、検知すべき事象が実際に起きるまでは、電力をまったく消費しない。だから、電池を充電しなくても、何年でも現場に放置できる。

このようなセンサーは、廃炉になった原発の深くて長いトンネルの中とか、山奥の廃鉱などに設置すると、電源供給の苦労が要らない。そしてそこに何かが起きたら、直ちにそれを表すデータが送信される。それまでの電力消費量は、ほとんどゼロだ。そこでDARPAはこれを、Near Zero Power RF and Sensor Operation(所要電力がゼロに近いRFおよびセンサーの運用)と呼んでいる。

この難しい要求に、ノースイースタン大学のエンジニアたちが取り組んだ。彼らは自分たちの仕事を、“plasmonically-enhanced micromechanical photoswitch” (プラズモンで強化される微小機械用光スイッチ)と呼んでいる…その技術のすべてを言い表しているね…ぼくの記事はここで終わってもいいぐらいだ。でも、昔教室で居眠りをしていた読者のために、説明の努力をしてみよう。

このセンサーは、赤外線の光波を検出する。赤外線は、目には見えないけど、人体、車、火など、熱のあるところから大量に発生している。しかしそのセンサーは、赤外線が存在しないときは完全に電源がoffになっている。

しかし赤外線が現れたら、センサーのカバーに当たって増幅される。プラズモンは伝導性素材の特殊な振る舞いだが、この場合は赤外線に反応して素材を熱する〔==赤外線が増幅される〕のだ。

エレメントの加熱によって閉じたギャップ(下左)。

“赤外線のエネルギーがセンサーの感知成分を加熱し、それによりセンサーの主要部位に物理的な動きを起こす”、DARPAのプログラムマネージャーTroy Olssonがブログにそう書いている。“これらの動きによって、それまで開(あ)いていた回路成分が閉じ、赤外線が検出されたことが信号される”。

井戸のパドルにようなものだ、と考えてみよう。それは、何年も何もせずにそこにあるが、誰かが井戸に石を投げ込んだら、石がパドルに当たり、回転してクランクを回す。クランクは紐を引っ張り、井戸のオーナーに知らせるための旗を揚げる。ただし、Olssonの説明は、もっとややこしい。

“この技術には複数の感知成分があり、それぞれが特定の波長の赤外線を吸収する。それらが複雑な論理回路を構成し、赤外線のスペクトルを分析できる。そのためこのセンサーは単に環境中の赤外線エネルギーを検出するだけでなく、その発生源(火、車、人、その他)を特定できる”。

“長年、人が維持作業などをせずに放置されているセンサーが、めったにないけど重要な事象を検知できる”、と研究者たちは書いている。たしかに、セキュリティ以外にも用途はたくさんあるだろう。たとえば森じゅうにこのセンサーをはりめぐらしたら、動物の群(むれ)の移動をモニタできるだろう。宇宙では、非常にまれな現象を捉えるかもね。

この技術を説明しているペーパーは、今日(米国時間9/11)発行されるNature Nanotechnologyに載っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebook、事前にWi-Fiでデータ読み込んでおく「インスタントビデオ」 をテスト中

Facebookは、ユーザーがビデオを見続けて通信データ枠を使い果たしてほしくないと考えている。同社のテストしているInstant Videosという機能は、Wi-Fiが使えるときにFacebookビデオをダウンロードしておき、後で見ることができる仕組みだ。プレロードされたビデオには稲妻アイコンが表示される。

Instant Videosは、Instant Articlesを思い出させる機能だ。Instant ArticlesはFacebookの定めた形式のコンテンツを速く読み込むことで、ユーザーが外部記事の表示を待たずに済むシステムだ。ビデオの読み込みはウェブページ以上に遅いため、自分のビデオを見て欲しいと思うパブリッシャーには魅力だ。

この機能は、Facebookに新たに加わったオリジナルビデオコンテンツ用のWatchタブにとっても有益だ。キャッシュされたコンテンツを出先でもデータプランを気にせずにみることができる。

FacebookはInstant Videosのテストはごく限られた割合のAndroidユーザーを対象に行っていると本誌に話した。Instant Videosを最初に報告したのは “Devesh Logendra” と名乗る人物で、TNWのソーシャルメディア担当ディレクター、Matt Navarraに匿名でスクリーンショットを送ってきた。本誌はFacebookに連絡をとり、この機能の目的はFacebookのビデオを見るための通信料金という障壁をなくすことだと正式に確認した。

これまでFacebookは、帯域幅や通信料金の異なるユーザーのために、ファイルサイズの小さいコンテンツを優先してニュースフィードに流したり、すでに見たコンテンツを再掲するなどの方法をとってきた。

Instant Articlesの主な狙いがFacebookでニュースを読む際のスピードと利便性であったのに対して、Instant Videosはコストとアクセスしやすさに重点を置いている。これは途上国での利用を開拓しているFacebookにとって重要な機能になるだろう。データ料金が平均収入とくらべて著しく高く、通信も途絶えがちの地域ではビデオの閲覧はストレスのたまる体験だ。

しかし、もしFacebookが今日だけでなく明日のソーシャルネットワークになりたいのなら、ビデオをもっと前面に押し出す必要がある。ビデオはテキストや写真以上に魅力的なエンターテイメントや個人間のつながりをつくる。モバイルビデオの利用は急増しており、eMarketerが報じたNewsWhipの調査結果によると、Instagramで配信されたニュースビデオの視聴は前年比53%も伸びている。

ビデオは、ブランドが制作に慣れているテレビCMに近い広告を利用できるため、実入りのいいメディアでもある。通常のビデオを見ることに慣れたユーザーは、ビデオ広告を受け入れやすい。さらにFacebookは、ビデオの途中に広告を入れ、収益の55%をクリエイターに分配するシステムも開始している。Instant VideosにもこうしたCMが挿入される可能性がある。

Instant VideosのテストをAndroidで行うことで、FacebookはiPhoneが稀な途上国と、予算に敏感な若者の両方を取り込の基盤を作ろうとしている。技術を駆使し将来を見越したアクセス拡大への取り組みと普及の高さを利用して、FacebookはYouTube、Snapchat、Twitterを始めとするビデオのライバルとの戦いを優位に進めようとしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apache Flinkの商用化企業Data ArtisansがFlinkアプリケーションのためのApplication Managerを発表

オープンソースの分散ストリームプロセッサーApache Flinkの商用部門Data Artisansが、ストリーミングアプリケーションを管理するための新しいツールを含む、このプラットホームの商用バージョンの、アーリーアクセスリリースを発表した。

Data ArtisansのCEO Kostas Tzoumasによると、リアルタイムでストリーミングを行うプロダクトを管理するアプリケーションは、それを自分で作ろうとする顧客にいくつかの難題をつきつけるので、同社のApplication Managerはその難題を解決するために設計されている。

Netflix, Alibaba, INGなど大手のFlinkユーザーには、そのようなツールを自作して大量のストリーミングアクティビティを管理しモニタする能力があるが、平均的な企業にはそんな贅沢ができない、とTzoumasは語る。

そんな顧客が作って使っているアプリケーションは、さまざまな外部システムと対話するものが多く、しかもそれをやりながら、大量のデータを、ほぼリアルタイムで処理しなければならない。Data Artisansは、そういう処理につきまとう複雑性を軽減するために、管理の部分を担当するツールを作ったのだ、とTzoumasは説明する。

その新しいツールはFlinkを通るすべてのストリーミングアクティビティを一箇所で集中的に管理する管理コンソールを提供する。そしてストリーミングデータのデータソースやデベロッパーのワークフロー、サービスのデプロイアーキテクチャ、ロギング、メトリクスなどを一望できる。

Apache Flinkを利用しているストリーミングアプリケーションと対話するすべてのサービスを管理できるだけでなく、そのツールを使ってデベロッパーがアプリケーションの開発過程を管理できる。完成したそれらのアプリケーションは、Kubernetesのようなコンテナオーケストレーションツールを使ってローンチする。

さらに、Apache Flinkのストリームに関連するすべてのユーザーアクションの監査証跡を記録するから、デプロイ後にそのステップをさかのぼって調べることができる。

ファウンダーのTzoumasとCTOのStephen Ewenは、Apache Flinkを学生時代に作り、2014年にはその商用化を行う企業としてData Artisansを創業した。標準的なオープンソースのビジネスモデルを採用して顧客がApache Flinkをサポートできるようにし、また企業がApach Flinkによるストリーミングアプリケーションを作るときにはコンサルタントとしてそれを手伝う。しかし、そうやって企業顧客との付き合いを重ねる中で、管理ツールの不在に新たなビジネス機会を見出したのだ。

彼らの会社はベルリンにあり、これまで700万ドルを調達した。今、Apache Flinkのダウンロード回数は1か月に1万ぐらいだ。この記事で取り上げた商用バージョンは2017年の終わりから2018年の初めにかけて一般公開される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

チャットフィクションアプリの「TELLER」が30万ダウンロード、今後はユーザー投稿作品の公開も

チャット型のUIで友人とメッセンジャーをやり取りするかのごとく展開するストーリーを読んで楽しむ、スマホ版のケータイ小説とも呼べる「チャットフィクション」。すでに海外では「Hooked」や「Yarn」といったアプリが、ティーンを中心に人気を集めている。

国内でもこのチャットフィクションを体験できるアプリはいくつか登場している。TechCrunchでも、7月には元ベンチャーキャピタリストの久保田涼矢氏率いるFOWDがリリースした「Balloon」のリリースを紹介している。

このBalloonに(10日ほど)先駆けてサービスをリリースしたのが、1月にDMM傘下となったピックアップが提供する「TELLER」だ。ピックアップによると、9月にTELLERのダウンロード数は30万件を突破。順調な滑り出しを見せているという。

TELLERは、7月にリリースされたチャットフィクションアプリ。ユーザーはあらかじめ運営サイドが投稿されているストーリーを読んだり、自身でストーリーを作成して投稿したりできる(投稿作品の閲覧機能は今後提供)。ユーザーの年齢層は13〜18歳のティーンが50.3%、19〜22歳が20%以上と非常に若いサービスになっている。

「若い人が活字離れしているという話は良くあるが、実際は活字を読むフォーマットが変わってきたのではないか。海外でHookedなどが出てきてそう考えるようになった。『恋空』(2000年代にヒットしたケータイ小説)のようなヒット作もこのフォーマットで出していきたい」——ピックアップ代表取締役社長の宮本拓氏はTELLERをリリースした背景についてこう語る。

まだマネタイズについても広告モデルや課金モデルなど検討中だが、当面はコンテンツ拡大に注力する。すでにユーザーから投稿されたストーリーは3500件を越えており、社内でのチェック体制を整え、審査の上で公開していくという。また同時に、運営が提供するストーリーのジャンルも拡大していく。現在公開されているストーリーはホラーが中心だが、恋愛やサスペンスといったジャンルのストーリーを提供していく。7月には、フリマアプリ「FRIL」を手がけるFablicの共同創業者の荒井達哉氏が同社に技術顧問として参画。今後エンジニアチームを拡大していくとしている。

ピックアップは2014年7月の設立。TELLERのほかに第1弾のプロダクトである写真ストレージアプリ「POOL」、ライブコマースアプリの「CHIPS」(こちらはアプリこそ公開しているが、「方向性も含めてまだテスト中」(ピックアップ)とのこと)などを開発している。

ピックアップの荒井達哉氏(左)と宮本拓氏(右)